JP2013538655A - 薬剤含有体を目標部位に送達するためのドラッグデリバリブレード及び方法 - Google Patents

薬剤含有体を目標部位に送達するためのドラッグデリバリブレード及び方法 Download PDF

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Abstract

薬剤含有体を患者の治療部位へ送達するためのドラッグデリバリブレードが開示されている。ドラッグデリバリブレードは、ブレードの長手方向軸線を規定するシャフトと、シャフトの近位端部からシャフトの遠位端部まで長手方向に延びる管腔と、シャフトの遠位端部において鋭い先端部を形成する第1の斜め切取り部と、シャフトの遠位端部の近くの拡開部分とを有する。ブレードの拡開部分は、鋭い前縁を有する2つの半径方向に延びるブレードセグメントを有する。鋭い前縁により、ドラッグデリバリブレードは、ブレードが治療部位に向かって前進させられる際に組織を切断する。ドラッグデリバリブレードを使用する方法も開示されている。

Description

関連する出願とのクロスリファレンス
本願は、2010年9月30日に出願された米国特許仮出願第61/388254号明細書の利益及び優先権を主張する。前記明細書は、引用したことにより本明細書に完全に包含され、本明細書の一部を形成する。
分野
本発明は、患者の目標部位(例えば目)に薬剤含有体(drug depot)を送達する際に使用するためのドラッグデリバリブレードに関する。特に、目の中の様々な位置、例えば硝子体へ薬剤含有体(すなわち、インプラント、微粒子、及び/又は、薬剤及び/又は生理活性物質を含有するゲル)を送達するためにドラッグデリバリブレードを使用することができる。
背景
目の疾患を治療する際に主に困難なのは、薬剤又は治療薬を目に導入し、これらの薬剤又は治療薬を治療に有効な濃度で目に所要の期間だけ維持することができないということである。全身投与は、理想的なソリューションでないことがある。有効な眼内濃度を達するために、許容できないほど高いレベルの全身用量がしばしば必要とされ、これにより、薬剤の許容できない副作用の発生率を高めるからである。単なる点眼又は眼球適用は、多くの場合に許容できる代替的手段ではない。涙の作用により薬剤が即座に洗い流されるか、さもなければ眼内から体循環へ瀉出されるからである。このような方法は、薬剤の治療レベルを十分な期間に亘って維持することを困難にする。
治療に有効な濃度を目に維持する1つの方法は、持効性薬剤含有体(インプラント、微粒子、及び/又は、1つ以上の薬剤及び/又は生理活性物質を含有するゲル)の使用による。薬剤含有体は、通常、マトリックス材料、例えばポリマ全体に亘って分散若しくは分配された1つ以上の薬剤及び/又は生理活性物質を含んでいる。薬剤含有体は、より長期に亘って薬剤及び/又は生理活性物質の有効濃度を送達するために眼内に配置されてよい。薬剤含有体の埋込みのために、目の硝子体、前眼房又は後眼房又はその他の組織などの様々な部位が目に存在する。切開部を縫合しなければならないことを回避するために、薬剤含有体は、理想的には、セルフシーリング法を用いて埋め込まれる。しかしながら、セルフシーリング切開部を通じて薬剤含有体を送達するための極めて小さなニードルの使用は、送達することができる薬剤及び/又は生理活性物質の量を事実上制限する。なぜならば、薬剤含有体の寸法(例えば直径)が、デリバリニードルの管腔の寸法に制限されるからである。
前記のことを考慮して、セルフシーリング切開部を通じて薬剤含有体を送達するための装置であって、この装置は、切開部の寸法に対して大きな断面積を有する薬剤含有体を送達し、これにより、薬剤及び/又は生理活性物質の高い充填量が薬剤含有体によって治療部位に送達されることを可能にする装置が必要とされる。
概要
1つの実施の形態において、本発明は、セルフシーリング切開部によって患者の治療部位(例えば目)に薬剤含有体を送達するのに適したドラッグデリバリブレードに関する。多くの実施の形態において、ドラッグデリバリブレードは、ブレードの長手方向を規定するシャフトと、シャフトの近位端部からシャフトの遠位端部まで長手方向に延びる管腔であって、該管腔は、開口を形成するように遠位端部において終わっている管腔と、シャフトの遠位端部において鋭い先端部を形成する第1の斜め切取り部と、シャフトの遠位端部の近傍における拡開(すなわち矢印形)部分であって、該拡開部分は、2つの半径方向に延びたブレードセグメントを有する、拡開部分と、を有し、前記半径方向に延びたブレードセグメントは、シャフトの遠位端部において鋭い前縁を有する。半径方向に延びたブレードセグメントにより、ドラッグデリバリブレードは、ブレードが治療部位に向かって前進させられる時に組織を切断することができる。
典型的な実施の形態において、本発明のドラッグデリバリブレードは、ブレードの遠位端部が組織に対して前進させられる際に組織を切断するが、ブレードが、切断された組織から引き出される際には付加的な組織を切断しないように構成されている。これは、ブレードが前進させられる時に組織を切断するための鋭い遠位端部と、ブレードが引き出される時に組織を切断しない拡開部分の丸みづけられた後縁部とを有する拡開部分を備えるように、ドラッグデリバリブレードを構成することによって達成される。
ドラッグデリバリブレードによって送達することができる薬剤の量を増大するために、多くの実施の形態において、ドラッグデリバリブレードは、横断面形状が非円形の管腔を有する。この場合、増大した横断面積を有する薬剤含有体を管腔に保持し、セルフシーリング切開部を用いてブレードによって送達することができる。幾つかの実施の形態において、送達することができる薬剤の量は、円形の横断面形状を有する管腔と比較して、約20%以上、又は約30%以上、又は約40%以上増大させられる。
幾つかの実施の形態において、本発明のドラッグデリバリブレードは、セルフシーリング切開部を形成するように寸法決め及び成形されている。例えば、ドラッグデリバリブレードは、半径方向に延びたブレード部分に亘って測ったときに、23ゲージ(約0.57mm)以下に対応する幅と、半径方向に延びたブレード部分に対して90°(デリバリブレードの幅に対して90°)で測った場合の寸法における25ゲージ(約0.46mm)以下の高さとを有してよい。
使用時、本発明のドラッグデリバリブレードはブレードホルダに取り付けられる。ブレードホルダは、ドラッグデリバリブレードを固定し、ドラッグデリバリブレードが外科医によって操作されることを可能にする。幾つかの実施の形態において、ブレードホルダは、ドラッグデリバリブレードの管腔にはめ込まれるよう寸法決めされたプランジャ若しくはストッパを有する。幾つかの実施の形態において、プランジャは、薬剤含有体を排出するために管腔内を長手方向に摺動する。別の実施の形態において、ブレードホルダは、薬剤含有体用の定置のストッパを備える、後退外側ブレードを有する。
ブレードホルダは、選択的に、プランジャと、プランジャを管腔内で長手方向に第1の位置から第2の位置へ前進させるための機構とを有する。第1の位置において、プランジャは、後退した位置において管腔の内部に位置決めされ、これにより、管腔の遠位端部が薬剤含有体を保持することができる。第2の位置において、プランジャは、管腔を前方へ長手方向に前進させられ、これにより、薬剤含有体をドラッグデリバリブレードの遠位端部から排出する。プランジャを前進及び後退させるための様々な機構が用いられてよい。
別の実施の形態において、本発明は、ドラッグデリバリシステムであって、(a)本発明のドラッグデリバリブレードと、(b)ブレードホルダと、(c)薬剤含有体とを有する、ドラッグデリバリシステムを提供する。このシステムを利用するために、ドラッグデリバリブレードがブレードホルダに取り付けられ、これにより、ブレードホルダのプランジャはドラッグデリバリブレードの管腔内で長手方向に摺動する。薬剤含有体は管腔内に位置し、プランジャが薬剤含有体をブレードホルダの遠位端部における開口から排出させるようにプランジャを前進させることによって、目標部位(例えば目)に埋め込むことができる。
さらに別の実施の形態において、本発明は、薬剤を患者における目標部位へ投与する方法であって、該方法は、本発明のドラッグデリバリシステムを提供するステップと、ドラッグデリバリブレードを用いて患者における目標部位に切開部を形成するステップと、薬剤含有体をドラッグデリバリブレードの管腔の開口から排出するようにブレードホルダを用いて薬剤含有体を目標部位に埋め込むステップとを含む方法を提供する。目標部位の例は、患者の目、例えば硝子体を含む。好適な実施の形態において、ドラッグデリバリブレードによって形成された切開部は、セルフシーリング切開部である。
本明細書に記載された典型的なドラッグデリバリブレードの遠位端部の斜視図である。 本明細書に記載された典型的なドラッグデリバリブレードの遠位の端面図である。 線3−3に沿って見た図1のドラッグデリバリブレードの断面図である。 本明細書に記載された、ブレードの下側から見た、典型的なドラッグデリバリブレードの近位端部の斜視図である。 本明細書に記載された典型的なドラッグデリバリブレードの遠位端部の拡大斜視図である。 本明細書に記載されたドラッグデリバリブレードを具備する典型的なブレードホルダの側面図である。 本明細書に記載されたドラッグデリバリブレードを具備する典型的なブレードホルダの側面図である。
詳細な説明
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、及び請求項、並びにそれらの前述及び後述の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本願の装置、システム及び/又は方法が開示及び説明される前に、本発明は、それ以外の明示がない限り、開示された特定の装置、システム及び/又は方法に限定されず、すなわち、もちろん変更されてよいと理解されるべきである。ここで使用される用語は、特定の実施の形態を説明するためだけのものであり、限定しようとするものでないとも理解されるべきである。
本発明の以下の説明は、最良の、現時点で知られている実施の形態としての、発明の実施を可能にする開示として提供される。このために、当業者は、依然として本発明の有利な結果を得つつ、本明細書に説明される発明の様々な実施の形態に対して多くの変更をなすことができることを承認及び認識するであろう。本発明の所望の利点のうちの幾つかを、他の特徴を利用することなく本発明の特徴のうちの幾つかを選択することによって得ることができることも明らかになるであろう。したがって、当業者は、本発明に対する多くの変更及び適応が、可能であり、ある状況においては望ましくもある場合があり、本発明の一部であることを、承認するであろう。つまり、以下の説明は、本発明の限定ではなく、本発明の原理の例示として提供される。
全体で使用されるように、単数の記載は、文脈がそうでないことを明確に規定しない限りは複数を含んでいる。つまり、例えば、「前縁」という記載は、文脈がそうでないことを明確に規定しない限り、2つ以上のこのような前縁を含むことができる。
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、というように表現される場合がある。このような範囲が表現されている場合、別の実施の形態は、該ある特定の値から及び/又は該別の特定の値までを含んでいる。同様に、値が、先行詞「約」の使用により近似値として表現されている場合、この特定の値は別の実施の形態を形成することが理解されるであろう。さらに、それぞれの範囲の終点は、他方の終点に関連しても、また他方の終点とは無関係でも、重要であると理解されるであろう。
本明細書で使用されるように、「選択的な」又は「選択的に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、説明は、前記事象又は状況が生じる例と、生じない例とを含んでいる。
本明細書で使用されるように、「薬剤含有体」とは、患者におけるあらゆる数の位置(例えば目)に埋め込むことができる、インプラント、微粒子及び/又はゲルを意味し、制御された量の薬剤及び/又は生理活性物質を徐々に解放することができるように設計されている。固体又は半固体であることができるこのような薬剤含有体は生体適合性であり、かつポリマ又はその他のより低い分子量の材料を用いて形成されていてよい。本発明において有効な固体薬剤含有体は、通常、対応する横断面形状を有する管腔を通じた送達のために非円形の横断面形状を有する。
本明細書で使用される場合、「セルフシーリング」とは、薬剤含有体を、ドラッグデリバリブレードを通って患者の目の所望の位置に、切開部位における縫合又はその他の同様の閉鎖手段を必要とすることなく導入する方法を意味する。このような「セルフシーリング」法は、デリバリ装置の引き抜き時に切開部位が即座に完全にシールすることを要求するのではなく、あらゆる初期的な漏れが最小限でありかつ直ちに散逸し、これにより、外科医が縫合しない又はさもなければ切開部位にその他の同様の閉鎖手段を提供しないことを要求する。
図1を参照すると、本発明のドラッグデリバリブレード10の実施の形態が示されている。ドラッグデリバリブレード10は、ドラッグデリバリブレード10の長手方向軸線Lを規定するシャフト12を有する。シャフト12は、シャフト12の近位端部16からシャフト12の遠位端部18まで延びた中央管腔14を有する。シャフト12の遠位端部18において、中央管腔14は開口20において終わっている。シャフト12の遠位端部18は、開口20の近くで鋭い先端部24を形成する第1の斜め切取り部22を有することができる。
ここで図1から図3及び図5を参照すると、ドラッグデリバリブレード10は、シャフト12の遠位端部18の近くに拡開部分13若しくは広がった部分13を有することができる。拡開部分13は、ドラッグデリバリブレードに、遠位端部18の近くにおいて矢印形状を与えている。拡開部分13において、シャフトの半径は管腔14の両側において増大している。典型的な実施の形態において、拡開部分13は、シャフト12の管腔14から半径方向外方に延びる2つのブレードセグメント38及び40から形成することができる。図2の実施の形態において、ブレードセグメント38及び40は、シャフト12の長手方向軸線を中心として見て、互いに対して180°に位置決めされている。しかしながら、ブレードセグメント38及び40は、約120度から約240度までの範囲の角度で互いに対して位置決めすることができると考えられる。半径方向に延びるブレードセグメント38及び40は、ドラッグデリバリブレード10の先端部24から、半径方向に延びるブレード部分38及び40の頂点45及び47まで延びる、鋭い前縁42及び44を有することができる。半径方向に延びるブレード部分38及び40は、共同で、ドラッグデリバリブレード10の遠位端部が組織(例えば目の組織)に対して前進させられた時に組織を切断するための切断面をデリバリブレード10の遠位端部に形成することができる。
ここで図3を参照すると、ドラッグデリバリブレード10の横断面図が、ブレード10の遠位端部18から見て示されている。図2に示したように、中央管腔14は横断面形状が非円形である。形状は、楕円形、角が丸みづけられた正方形などであってよい。幾つかの実施の形態において、1つ以上の辺が円弧状であることができる。図3の実施の形態において、中央管腔14は、平坦な底面26と、平坦な側面28及び30と、円弧状の上面32とを有する。上面32及び底面26は、丸みづけられた角34及び36において側壁面とつながっている。この場合、管腔14は、角張った(例えば直角の)角を備えずに、全体的に滑らかな内面を有することができる。中央管腔14は、シャフトの寸法に対して管腔の横断面積を増大させるために非円形の形状を有することができる。この形状は、ドラッグデリバリブレードが、円形の管腔が使用された場合よりも大きな薬剤含有体を保持することを可能にすると考えられる。より大きな薬剤含有体は、目に送達するためのより大きな量の薬剤又は生理活性物質を含有することができるので有利な可能性があるとさらに考えられる。管腔の横断面形状及び寸法は、管腔14の横断面積が実質的に薬剤含有体の横断面積に相当し、薬剤含有体を管腔14内に収容することができ、その後、管腔14から排出することができるように十分な間隙を備えるように、選択されていてよい。多くの実施の形態において、管腔14の横断面積は、約0.1mm2〜約0.4mm2の範囲であることができる。別の実施の形態において、管腔14の横断面積は、約0.1mm2〜約0.2mm2の範囲であることができる。1つの典型的な実施の形態において、管腔14の横断面積は約0.137mm2であることができる。装置の外側寸法に対して、管腔の大きな横断面積は、装置が、セルフシーリングする傷を依然として提供しつつ、比較的より大きな横断面積を有する薬剤含有体を保持することを可能にすることができると考えられる。さらに、薬剤含有体の比較的より大きな横断面積は、ドラッグデリバリブレード10が、薬剤又は生理活性物質のより高い充填量を目に供給することを可能にすると考えられる。
ここで図4を参照すると、デリバリブレード10の下側(すなわち開口20とは反対の側)の近位端部16から見たドラッグデリバリブレード10の斜視図が示されている。図3に示したように、ドラッグデリバリブレード10は、ドラッグデリバリブレード10の底面に沿って長手方向斜め切取り部50を有することができる。典型的な実施の形態において、長手方向斜め切取り部50及び52は、斜め切取り部22によって形成された面54及び56とつながり、ブレード10の鋭い前縁42及び44を形成している(図1参照)。
図1を参照すると、(長手方向軸線と前縁とが共通の水平面にあるとして、それぞれの前縁が長手方向軸線と交差する鋭い先端部の箇所から測ったときに)ブレード10の長手方向軸線Lと、それぞれの前縁42,44とによって規定される角度は、例えば約15度〜約45度までの範囲の角度を含むあらゆる角度であることができる。図1、図2及び図5を参照すると、(長手方向軸線と、鋭い先端部の交差箇所とが、ブレード10を通って上方へ延びる共通の横断平面内にあるとして、それぞれの前縁42,44が長手方向軸線と交差する鋭い先端部の箇所から測ったときに)第1の斜め切取り部22の面54及び56は、長手方向軸線Lに対して上方に傾斜させられている及び/又は角度づけられている。その角度は、例えば約15度〜約45度までの範囲の角度を含むあらゆる角度であってもよい。
多くの実施の形態において、本発明のドラッグデリバリブレード10は、ブレード10が組織(例えば目)に挿入される際に組織を切断するが、ブレード10が引き出される際には組織を切断しないように構成することができる。典型的な実施の形態において、これは、ブレード10が、ブレードが組織を通って前進させられる際に切断するための鋭い前縁42及び44と、ブレードが組織から引き出される際に後縁が組織を切断しないように丸みづけられた後縁64及び66とを具備することにより達成することができる。この設計は、薬剤含有体の埋込み後にブレードが目から引き出される際に生じる場合がある、目に対する損傷を最小限に減じることができると考えられる。
ここで図4を参照すると、デリバリブレードの下側における近位端部から見たドラッグデリバリブレード10の底部の斜視図が示されている。図4に示したように、図4の実施の形態のドラッグデリバリブレード10は、長手方向半径切取り部58及び60を有することができる。長手方向半径切取り部58及び60は、丸みづけられた後縁64及び66を形成するために装置のシャフトに沿って角を丸みづけるように働く。
典型的な実施の形態において、再び図1及び図2を参照すると、ドラッグデリバリブレード10は1つ以上のフィレット切取り部68,70及び72を有することができると考えられる。フィレット切取り部は、斜め切取り部22のような表面切取り部により存在する場合がある鋭いエッジを丸みづけるよう構成することができる。フィレット切取り部68,70,72は、さらに、ドラッグデリバリブレードが患者の組織に挿入される際に組織に接触しかつ切断するよう構成することができる。
最も幅広の(すなわち頂点45から頂点47まで、ブレードの拡開部分に亘って横方向に計った)箇所は、約0.5mmから約1mmまでの範囲であることができる。典型的な実施の形態において、ドラッグデリバリブレードの幅は、約0.5mmから約0.8mmまでの範囲であることができる。ドラッグデリバリブレードの高さ(すなわちブレード部分の頂点から90°で上部から底部まで計った高さ)は、約0.7mmから約0.3mmまでの範囲であることができる。典型的な実施の形態において、ドラッグデリバリブレードの高さは、約0.6mmから約0.4mmまでの範囲であることができる。多くの実施の形態において、ドラッグデリバリブレードの側壁28及び30は、約50μmから約100μmまでの範囲の厚さを有することができる。側壁28及び30の厚さは、中央管腔14の周囲に亘って実質的に一定であることができると考えられる。これに代えて、側壁28及び30の厚さは、中央管腔14の周囲に亘って変化していることもできる。典型的な実施の形態において、ドラッグデリバリブレード10の幅は、23ゲージ(すなわち約0.573mm以下)であることができる。ドラッグデリバリブレードの高さは、25ゲージ(すなわち約0.455mm以下)であることができる。側壁28及び30の厚さは、約50μmから60μmまでの範囲であることができる。
ドラッグデリバリブレード10は、例えば計算機数値制御(CNC)加工のような、これに限定されない公知の製造技術を用いて製造することができると考えられる。ドラッグデリバリブレードは、例えばステンレス鋼のような、これに限定されないあらゆる適切な生体適合性材料から形成することができる。
使用時、本発明のドラッグデリバリブレードは、通常、ブレードホルダに取り付けられる。ブレードホルダは、ドラッグデリバリブレード10を保持及び操作するためのハンドルを提供することができ、管腔の遠位端部から薬剤含有体を排出するためにデリバリブレードの管腔14を通って長手方向にプランジャを前進させるための機構を提供することもできると考えられる。多くの実施の形態において、ブレードホルダは、容易な掴み及び操作のために人間工学的に構成することができ、概して、ペン又はその他の筆記用具と類似の全体的形状を有することができる。プランジャを前進させるための様々な機構を使用することができると考えられる。幾つかの実施の形態において、プランジャを、慣用のシリンジが操作されるように、装置の遠位端部においてプランジャを押し付けることによって前進させることができる。別の実施の形態において、ブレードホルダのハウジングに対して垂直な力を加えることによってプランジャを前進させることができる。これらの実施の形態において、内部機構は、プランジャを長手方向に前進させて薬剤含有体を排出させるために垂直の力を伝達するように機能する。
ここで図6を参照すると、デリバリブレード10に関して本明細書で説明されたようなドラッグデリバリブレード210に取り付けられたブレードホルダ200が示されている。典型的な実施の形態において、ブレードホルダ200はハウジング220を有する。ハウジング220は、デリバリブレード210が外科医によって保持及び操作されることを可能にするよう構成されている。この実施の形態において、ドラッグデリバリブレード210を、ホルダ200の遠位端部に取り付けることができる。図6に示したように、ブレードホルダ200及びドラッグデリバリブレード210を、共通の長手方向軸線CA1を有するように位置合わせさせることができる。取付けは、ルーアーロック取付け215又はその他の適切な取付け機構であってよいと考えられる。内部において、ブレードホルダ200は、デリバリブレード210の管腔235を通って長手方向に摺動するよう適切に寸法決め及び成形されたプランジャ230を収容することができる。図6の実施の形態において、ブレードホルダ200の近位端部240においてプランジャ230に力を加えることによってプランジャ230を前進させることができる。図6に示したように、薬剤含有体260を最初、プランジャ230の遠位において、デリバリブレード210の管腔235内に保持することができる。プランジャ230に力を加えると、プランジャを、薬剤含有体260が管腔から排出されるまで、管腔の遠位端部に向かって管腔235を通って共通の長手方向軸線CA1に沿って前進させることができる。
ここで図7を参照すると、ドラッグデリバリブレード10に関して本明細書で説明されたようなドラッグデリバリブレード310に取り付けられたブレードホルダ300の別の実施の形態が示されている。典型的な実施の形態において、ブレードホルダ300は、デリバリブレード310が外科医によって保持及び操作されることを可能にするよう構成されたハウジング320を有することができる。この実施の形態において、ドラッグデリバリブレード310をホルダ300の遠位端部に取り付けることができる。図7に示したように、ブレードホルダ300及びドラッグデリバリブレード310を、共通の長手方向軸線CA2を有するように位置合わせさせることができる。取付けは、ルーアーロック取付け315又はその他の適切な取付け機構によってなされてもよいと考えられる。内部において、ブレードホルダ300は、デリバリブレード310の管腔335を通って長手方向に摺動するよう適切に寸法決め及び成形されたプランジャ330を収容することができる。図7の実施の形態において、プランジャ330は、プランジャ330に作用的に接続されたボタン345の表面に押圧力を加えることによって前進させることができ、ボタン345に押圧力を加えると、プランジャ330は、薬剤含有体360を管腔から排出させるまで、管腔の遠位端部に向かって、管腔335を通って共通の長手方向軸線CA1に沿って前進させられる。ボタン345とプランジャ330とを作用的に接続するためのあらゆる慣用の電気的又は機械的な手段を、本明細書に記載されているように使用することができると考えられる。例えば、ボタン345は、制御装置と作用的な電気通信を行うようになっていることができる。制御装置は、ボタンへの押圧力の提供がモータの作動を惹起し、ひいてはプランジャの対応する前進を惹起するように、プランジャ330と作用的な通信を行うよう配置されたモータを作動させるよう構成されている。これに代えて、ボタンへの押圧力の提供がプランジャの対応する比例的な前進を生ぜしめるように、ボタン345をリンク機構(図示せず)を介してプランジャ330に機械的に接続することができると考えられる。プランジャの選択的な前進を生ぜしめるための典型的な装置は、米国特許第7468065号明細書に提供されている。この米国特許明細書の開示は、引用したことにより全体が本明細書に記載されたものとする。
様々な実施の形態において、本明細書に記載された固体の薬剤含有体は、約10mm以下の全長を有することができる。典型的な実施の形態において、固体の薬剤含有体は、約7mm以下の全長を有することができる。約7mmを超える長さを有する薬剤含有体は、患者の硝子体に配置された後、患者の視野を妨げる恐れがあると考えられる。さらに、ドラッグデリバリブレードの管腔の形状に適切に適合するために、薬剤含有体は非円形の横断面形状を有することができると考えられる。さらに、本明細書に記載されたドラッグデリバリブレードは、例えばインプラント、粘性ポリマ、現場ゲル化含有体(in-situ gelling depot)、微粒子などであってこれらに限定されないものを供給するために使用することができると考えられる。
記載されたドラッグデリバリブレードを、患者の目における所定の位置に薬剤含有体を送達する方法に組み入れることができる。例えば目の硝子体、目の前眼房又は後眼房、又は網膜内、網膜下、脈絡膜内、脈絡膜上、強膜内、強膜上、結膜下、角膜内又は角膜上を含む目のその他の領域などであってこれらに限定されない、薬剤含有体の埋込みのための様々な部位が目に存在する。1つの実施の形態において、患者の目に薬剤含有体を送達する方法が提供される。この実施の形態において、ドラッグデリバリブレードは、ブレードによって患者の目の外層を切断するために使用され、次いで、ブレードは、患者の目の中の所望の位置に挿入されて位置決めされるか、又はそうではなく患者の目における所望の位置へ前進させられる。典型的な実施の形態において、ドラッグデリバリブレードを、本明細書に記載されたブレードホルダに連結することができる。この実施の形態において、ブレードのシャフトが所望の位置に位置決めされると、ブレードホルダのプランジャをシャフトの近位端部からシャフトの遠位端部に向かって移動させることができ、これにより、薬剤含有体を管腔から排出させる。排出後、ブレードを患者の目から取り出すことができる。ドラッグデリバリブレードによって形成された切開部は、好適には、患者からのブレードの取外し時にセルフシーリングすることができると考えられる。セルフシーリングデリバリは、侵襲及び外傷がより小さいことに加え、外科的セッティングにおける手順を行うための必要性を排除することによって、よりコストの低い治療を提供することができる。
発明の複数の実施の形態が前記明細書に開示されているが、前記説明及び関連する図面に示された開示の利益を有する、発明の多くの変更及びその他の実施の形態が、発明が属する心に浮かぶことが当業者によって理解される。発明は、上記に開示された特定の実施の形態に限定されず、多くの変更及びその他の実施の形態が、添付された請求項の範囲に含まれることが意図されていることが、さらに理解される。さらに、特定の用語が本明細書で、及び後に続く請求項において用いられているが、これらの用語は、一般的及び説明的な意味でのみ用いられており、記載された発明及び後に続く請求項を限定する目的で使用されていない。

Claims (29)

  1. ドラッグデリバリブレードであって、
    該ドラッグデリバリブレードの長手方向軸線を規定するシャフトであって、近位端部と、遠位端部とを有するシャフトと、
    該シャフトの近位端部から前記シャフトの遠位端部まで長手方向に延びる管腔であって、該管腔は、開口を形成するように前記シャフトの遠位端部において終わっている、管腔と、
    前記シャフトの遠位端部に鋭い先端部を形成する第1の斜め切取り部と、
    前記シャフトの遠位端部の近くにおける拡開部分であって、2つの半径方向に延びたブレードセグメントから成る、拡開部分と、を備え、
    前記半径方向に延びたブレードセグメントは、前記シャフトの前記遠位端部において鋭い前縁を有することを特徴とする、ドラッグデリバリブレード。
  2. 前記第1の斜め切取り部は、ブレードの前記鋭い先端部から計って、約15度〜約45度の範囲の角度で前記シャフトの長手方向軸線に対して上方へ傾斜して角度づけられている、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  3. 前記半径方向に延びたブレードセグメントは、互いに対して約180度で半径方向に位置決めされている、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  4. 前記半径方向に延びたブレードセグメントはそれぞれ、前記鋭い先端部から各ブレードセグメントの頂点まで延びた鋭い前縁を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  5. 前記管腔は、非円形の横断面形状を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  6. 前記管腔は、楕円形の横断面形状を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  7. 前記管腔は、丸みづけられた角を備える正方形から成る横断面形状を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  8. 前記管腔は、
    実質的に平坦な底面と、
    実質的に平坦な側壁面と、
    実質的に円弧状の上面と、を有し、
    前記上面及び前記底面は、丸みづけられた角を形成するように前記側壁面とつながっている、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  9. 前記管腔は、約0.1mm2から約0.4mm2までの範囲の横断面積を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  10. 前記管腔は、約0.1mm2から約0.2mm2までの範囲の横断面積を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  11. 前記ドラッグデリバリブレードは、ブレードの下側に1つ以上の長手方向斜め切取り部を有する、請求項11記載のドラッグデリバリブレード。
  12. 前記長手方向斜め切取り部は、鋭い前縁を形成するように第1の斜め切取り部につながっている、請求項11記載のドラッグデリバリブレード。
  13. ブレードは、組織に挿入される際に組織を切断するが、ブレードが引き出される際には組織を切断しないように構成されている、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  14. それぞれの前記半径方向に延びたブレードセグメントは、ブレードが組織に挿入される際にブレードが組織を切断するが、ブレードが引き出される際には組織を切断しないように丸みづけられた後縁を有する、請求項13記載のドラッグデリバリブレード。
  15. 前記ドラッグデリバリブレードは、ブレードの拡開部分に亘って計ったとき、約0.5mmから約1.0mmまでの範囲の幅を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  16. 前記ドラッグデリバリブレードは、約0.5mmから約0.8mmまでの範囲の幅を有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  17. 前記ドラッグデリバリブレードは、約0.3mmから約0.7mmまでの範囲の高さを有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  18. 前記ドラッグデリバリブレードは、約0.4mmから約0.6mmまでの範囲の高さを有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  19. 前記ドラッグデリバリブレードの側壁は、約50μmから約100μmまでの範囲の厚さを有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  20. 前記ドラッグデリバリブレードは、約0.57mm以下の幅と、約0.46mm以下の高さと、約50μmから約60μmまでの範囲の側壁厚さとを有する、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  21. 前記ドラッグデリバリブレードは、ステンレス鋼から成る、請求項1記載のドラッグデリバリブレード。
  22. ドラッグデリバリシステムであって、
    (a)ブレードホルダと、
    (b)該ブレードホルダに取り付けられたドラッグデリバリブレードであって、該ドラッグデリバリブレードは、
    該ドラッグデリバリブレードの長手方向軸線を規定するシャフトであって、近位端部と、遠位端部とを有するシャフトと、
    該シャフトの近位端部から前記シャフトの遠位端部まで長手方向に延びる管腔であって、該管腔は、開口を形成するように前記シャフトの前記遠位端部において終わっている、管腔と、
    前記シャフトの前記遠位端部に鋭い先端部を形成する第1の斜め切取り部と、
    前記シャフトの前記遠位端部の近くにおける拡開部分であって、該拡開部分は、2つの半径方向に延びるブレードセグメントから成り、該半径方向に延びるブレードセグメントは、前記シャフトの前記遠位端部において鋭い前縁を有する、拡開部分と、を有するドラッグデリバリブレードと、
    (c)薬剤を含有する薬剤含有体と、を備え、
    前記ブレードホルダは、前記ドラッグデリバリブレードの前記開口から前記薬剤含有体を排出するための手段を有することを特徴とする、ドラッグデリバリシステム。
  23. 前記薬剤含有体は、インプラント、粘性ポリマ、現場ゲル化含有体及び微粒子のうちの少なくとも1つから成る、請求項22記載のドラッグデリバリシステム。
  24. 前記薬剤含有体は、約10mm以下の全長を有する、請求項22記載のドラッグデリバリシステム。
  25. 前記薬剤含有体の横断面形状は、前記ドラッグデリバリブレードの管腔の横断面形状に実質的に合致するよう構成されている、請求項22記載のドラッグデリバリシステム。
  26. 患者における目標部位に薬剤を投与する方法であって、該方法は、
    (a)ドラッグデリバリシステムであって、
    (i)ブレードホルダと、
    (ii)該ブレードホルダに取り付けられたドラッグデリバリブレードであって、該ドラッグデリバリブレードは、
    該ドラッグデリバリブレードの長手方向軸線を規定するシャフトであって、近位端部と、遠位端部とを有するシャフトと、
    該シャフトの前記近位端部から前記シャフトの前記遠位端部まで長手方向に延びる管腔であって、該管腔は、前記シャフトの前記遠位端部において終わっており、開口を形成している、管腔と、
    前記シャフトの前記遠位端部に鋭い先端部を形成する第1の斜め切取り部と、
    前記シャフトの前記遠位端部の近くにおける拡開部分であって、該拡開部分は、2つの半径方向に延びたブレードセグメントを有する、拡開部分と、を有し、
    前記半径方向に延びたブレードセグメントは、前記シャフトの前記遠位端部における鋭い前縁を有する、ドラッグデリバリブレードと、
    (iii)薬剤を含有する薬剤含有体と、を備え、
    前記ブレードホルダは、前記ドラッグデリバリブレードの開口から前記薬剤含有体を排出するための手段を有する、ドラッグデリバリシステムを提供するステップと、
    (b)前記ドラッグデリバリブレードを用いて患者における目標部位に切開部を形成するステップと、
    (c)前記ドラッグデリバリブレードの前記管腔の前記開口から前記薬剤含有体を排出するために前記ブレードホルダを用いて前記目標部位に前記薬剤含有体を埋め込むステップと、を含むことを特徴とする、患者における目標部位に薬剤を投与する方法。
  27. 前記目標部位は、患者の目である、請求項26記載の方法。
  28. 前記目標部位は、患者の目の硝子体である、請求項27記載の方法。
  29. 前記切開部は、セルフシーリングする、請求項26記載の方法。
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