多様な図面における同様の参照番号及び符号は、同様の要素を示す。
以下の詳細な説明は、革新的側面を説明する目的で特定の実施形態に向けられたものである。しかしながら、本明細書の教示は多様な方法において適用可能である。説明される実施形態は、動的なもの(例えばビデオ)又は静的なもの(例えば静止画)であり且つ文字、グラフィック又は写真である画像を表示するように構成されたあらゆるデバイスにおいて実施可能である。特に、実施形態は、多様な電子デバイスにおいて実施され又はこれらに付随し得ることが想定され、そのような電子デバイスとして、携帯電話、マルチメディアインターネット可能携帯電話、携帯テレビ受信機、ワイヤレスデバイス、スマートフォン、ブルートゥース(登録商標)デバイス、PDA(personal data assistant)、ワイヤレス電子メール受信機、携帯型コンピュータ、ネットブック、ノートブック、スマートブック、タブレット、プリンタ、コピー機、スキャナ、ファクシミリデバイス、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲームコンソール、腕時計、置時計、計算機、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、電子読書デバイス(例えばe‐リーダ)、コンピュータモニタ、オートディスプレイ(例えばオドメータ等)、コックピット制御部及び/又はディスプレイ、カメラ後方ディスプレイ(例えば、車両の背面カメラのディスプレイ)、電子写真、電子掲示板又は標識、プロジェクタ、建造物、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、カセットレコーダ又はプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、ラジオ、携帯型メモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯乾燥機、パーキングメータ、パッケージング(例えば、電気機械システム(EMS)応用、MEMS応用及び非MEMS応用)、審美的構造物(例えば、宝石上の画像表示)、及び多様な電気機械システムデバイスが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、本明細書の教示は、非ディスプレイ応用においても用いることができ、そうした応用として、電子スイッチングデバイス、無線周波数フィルタ、センサ、加速度計、ジャイロスコープ、動作感知デバイス、磁力計、家庭用電子機器の慣性部品、家庭用電子機器の部品、バラクタ、液晶デバイス、電気泳動デバイス、ドライブスキーム、製造プロエス、電子試験設備が挙げられるがこれらに限定されるものではない。従って、本教示は、単に図面に示された実施形態に限定されるものではなく、当業者に明示的である多様な適用性を有するものである。
アナログ干渉変調器の可動電極を作動、帯電、及び較正する方法及びデバイスが本明細書で説明される。例えば、二つの帯電した電極間のギャップ内に配置された電荷中性の電気的に絶縁された電極(“中間電極”)を作動させて、電荷中性電極を作動させて帯電した電極のうち一方に向けて移動させる多様な方法及びデバイスが提供される。一実施形態では、電圧Vが帯電した電極にわたって印加される際に、少なくとも二つの帯電した電極が、電気的に絶縁された電荷中性の中間電極を移動させることができる電場をそれらの間に生成するように構成される。このような実施形態では、異なる寸法及び/又は表面積を有する少なくとも二つの帯電した電極が存在し得る。中間電極を、このような電極の間に配置することができる。他の実施形態では、電荷中性の電気的に絶縁された中間電極を、異なる表面積を有する帯電した電極間に電場を印加することによって、作動させ、ここで、相補電極が帯電した電極のうち一方に対して横方向に整列されている。
また、アナログ干渉変調器の可動電極上に電荷を与える方法及びデバイスも本明細書で説明される。例えば、多様な方法及びデバイスは、帯電した電極に向けて作動又は移動した後に電荷中性の電気的に絶縁された中間電極に電荷を与えることができる。一実施形態では、中間電極が帯電した電極に向けて移動して、帯電した電極上の導電性ポストと直接電気的に接触した際に、電荷が中間電極上に印加される。中間電極に作用する逆向きの機械的ばね力が中間電極に作用する電気力を超えるまで、中間電極は正味の電荷を発達させる。そして、中間電極は帯電した電極から離れて移動して、電気的接触を断ち、中間電極上に印加された電荷を電気的に絶縁する。他の実施形態では、中間電極が帯電した電極に向けて移動してその帯電した電極に対して横方向に整列された相補電極上の導電性ポストと電気的に接触した際に、中間電極が誘導帯電され、ここで、その相補電極は、帯電した電極から電気的に絶縁されて接地されている。
アナログ干渉変調器の可動電極に与えられた電荷を較正する方法及びデバイスも本明細書で説明される。“スイッチ”構成を用いた一実施形態では、一つ以上のスイッチを閉じて、相補電極及び帯電した電極を電気的に接続して、複合電極を形成する。較正電圧を複合電圧と対向する帯電した電極との間に印加して、帯電した中間電極を複合電極に向けて移動させて、例えば複合電極上の少なくとも一つの導電構造体(例えば導電性ポスト)に電気的に接続することによって、その電荷を変更する。一実施形態では、中間電極に作用する逆向きの機械的ばね力が中間電極に作用する電気力を超えるまで、電気コンタクトが、中間電極上の電荷を変更する。そして、中間電極は複合電極から離れて移動して、電気的接触を断ち、中間電極上に残った電荷を電気的に絶縁する。リリースの際に、中間電極上の電荷量は、中間電極に作用する機械的ばね力に関係している。中間電極を保持して機械的ばね力を提供する構造体は例えば、多様な構成のばねであり得て、又は中間電極自体の構造が電極の変形に対抗する。開示の明確性のため、このような力が電極物質自体によって提供されてようとも、中間電極に接続された構造体によって提供されようとも、中間電極に機械的ばね力を与える構造体のことを本願において“ばね”と指称する。
他の構成は、可動電極上に印加された電荷を較正するのに“スイッチ無し”の構成を用いる。較正電圧を、異なる表面積を有する二つの帯電した電極間に印加する。帯電した中間電極は、小さい方の表面積を有する帯電した電極に向けて移動して、その帯電した電極に電気的に接続された導電性ポストに電気的に接触する。中間電極に作用する逆向きの機械的ばね力が中間電極に作用する機械力を超えるまで、電気コンタクトが、中間電極上の電荷を変更する。そして、中間電極が帯電した電極からはなれて移動して、電気的接触を断ち、中間電極上に残った電荷を電気的に絶縁する。リリースの際に、中間電極上の電荷量は、中間電極を保持するばねの剛性に関係している。
本開示で説明される主題の特定の実施形態は、以下の考えられる利点の一つ以上を実現するように実施可能である。三端子電気機械デバイス(例えば干渉変調器)は、二つの電極(例えば上部電極及び下部電極)間のギャップ内に配置された可動性の中間電極を含むことができる。本明細書で説明されるデバイス及び方法の実施形態は、正味ゼロの電荷を有する電気的に絶縁された中間電極を移動させて、中間電極を上部(又は下部)電極に接触させることができる。中間電極は、この接触を介して帯電可能であり、典型的な三端子デバイスに関する欠点を解消する。上部(又は下部)電極に接触すると中間電極を帯電させるデバイス及び方法が開示される。電荷が中間電極に与えられると、中間電極は接触していた電極からリリースされて、電極上の電荷を絶縁する。そして、中間電極上の電荷を、中間電極に作用する機械的ばね力を考慮するように較正することができる。例えば、図31〜図33及び図39〜図41を参照して、中間電極上に印加された電荷を較正する方法及びシステムが説明される。所望の電荷量で三端子デバイスのアレイにわたる各中間電極を較正することは、全てのデバイスにわたって同じ電圧が印加された際に、全ての中間電極を同じ位置に移動させることを可能にする。較正後において、アレイ内の複数の較正された変調器が動作可能状態になる。また、本明細書で説明される作動プロセス、帯電プロセス、及び較正プロセスを有用であれば繰り返して、デバイスの寿命における中間電極からの電荷の漏れ率の変動を考慮するように調整することができる。
説明される実施形態を適用することができる適切なEMSデバイス又はMEMSデバイスの一例は、反射ディスプレイデバイスである。反射ディスプレイデバイスは、光学干渉原理を用いて入射光を選択的に吸収及び/又は反射する干渉変調器(IMOD)を組み込むことができる。IMODは、吸収体、その吸収体に対して相対的に可動する反射体、吸収体と反射体との間に画定される光学共鳴キャビティを含み得る。反射体は、二つ以上の異なる位置に移動可能であり、光学共鳴キャビティのサイズを変化させることによって干渉変調器の反射率に影響を与えることができる。IMODの反射スペクトルは、多様な色を発生させるように可視波長にわたってシフト可能であるかなり広範なスペクトル帯を形成することができる。スペクトル帯の位置は、光学共鳴キャビティの厚さを変化させることによって、つまり反射体の位置を変化させることによって、調整可能である。
図1は、干渉変調器(IMOD)ディスプレイデバイスの一組の画素における二つの隣接画素を示す等角図の例を示す。IMODディスプレイデバイスは、一つ以上の干渉MEMSディスプレイ素子を含む。こうしたデバイスにおいて、MEMSディスプレイ素子の画素は、明状態又は暗状態のいずれかとなり得る。明(“緩和”、“開”、“オン”)状態においえ、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分を例えば使用者に向けて反射する。逆に、暗(“作動”、“閉”、“オフ”)状態では、ディスプレイ画素は僅かな入射可視光しか反射しない。一部実施形態では、オン状態及びオフ状態の光反射特性が逆になり得る。MEMS画素は、白黒に加えて、カラーディスプレイを可能にするように特定の波長において主に反射するように構成可能である。
IMODディスプレイデバイスは、IMODの行/列アレイを含み得る。各IMODは空隙(光学ギャップ又はキャビティとも称される)を形成するように互いに可変且つ制御可能な距離に配置された一対の反射層、つまり可動反射層及び固定部分反射層を含み得る。可動反射層は、少なくとも二つの位置の間を移動し得る。第一の位置、つまり緩和位置では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きな距離に配置され得る。第二の位置、つまり作動位置では、可動反射層は、部分反射層により近づいて配置され得る。二つの層から反射される入射光は、可動反射層の位置に応じて、強め合って又は弱め合って干渉して、各画素に対して全体的な反射状態又は非反射状態のいずれかを形成することができる。一部実施形態では、IMODは、非作動時において反射性状態であり、可視スペクトル内の光を反射し得て、また、非作動時において暗状態であり、可視範囲内の光を吸収し及び/又は光弱め合って干渉し得る。しかしながら、他の一部実施形態では、IMODは、非作動状態において暗状態であり、作動状態において反射状態となり得る。一部実施形態では、印加電圧の導入が画素を駆動させて状態を変化させることができる。他の一部実施形態では、印加電荷が画素を駆動させて状態を変化させることができる。
図1の画素アレイの図示されている部分は、二つの隣接干渉変調器12を含む。(図示されるような)左側のIMOD12では、可動反射層14が、光学積層体16(部分反射層を含む)から所定の距離の緩和位置にあるものとして示されている。左側のIMOD12にわたって印加された電圧V0は、可動反射層14の作動を生じさせるには不十分である。右側のIMOD12では、可動反射層14が、光学積層体16の近くの又はこれに隣接した作動位置にあるものとして示されている。右側のIMOD12にわたって印加された電圧Vbiasは、可動反射層14を作動位置に維持するのに十分である。
図1では、画素12の反射性は、画素12に入射する光を示す矢印13及び左側12の画素から反射する光15で一般的に示されている。詳細には図示されていないが、画素12に入射する光13の大部分は、透明基板20を透過して光学積層体16に向かうことを当業者は理解されたい。光学積層体16に入射する光の一部は、光学積層体16の部分反射層を透過し、一部は反射されて戻されて透明基板20を介する。光学積層体16を透過する光13の一部は、可動反射層14において反射されて、透明基板20に向けて(また、これを介するように)戻される。光学積層体16の部分反射層から反射された光と、可動反射層14から反射された光との間の干渉(強め合う又は弱め合う)が、画素12から反射される光15の波長を決める。
光学積層体16は、単一の層又は複数の層を含み得る。その層は、電極層と、部分反射及び部分透過層と、透明誘電体層のうちひとつ以上を含み得る。一部実施形態では、光学積層体16は導電性であり、部分透明且つ部分反射性であり、例えば透明基板20上に上記層のうち一つ以上を堆積させることによって製造可能である。電極層は、多様な物質製、例えば多様な金属(例えばインジウム錫酸化物(ITO,indium tin oxide))製であり得る。部分反射層は、例えば、多様な金属(例えばクロム(Cr))、半導体、誘電体等の部分反射性である多様な物質製であり得る。部分反射層は、一層以上の物質層で形成可能であり、その各層は、単一の物質又は複数物質の組み合わせで形成可能である。一部実施形態では、光学積層体16は、光学吸収体及び電気導体の両方として機能する金属又は半導体の単一の半透明な厚さを有し得る一方、他のより導電性の層又は部分(例えば光学積層体16の部分、又はIMODの他の構造の部分)が、IMOD画素間に信号をバス伝送するのに役立つ。また、光学積層体16は、一つ以上の導電層又は導電性/光吸収性層を覆う一つ以上の絶縁層又は誘電体層も含み得る。
一部実施形態では、光学積層体16の層は、平行なストリップにパターニングされ得て、後述のようなディスプレイデバイスの行電極を形成し得る。当業者に理解されるように、“パターニング”との用語は本願において、マスキング及びエッチングプロセスを称するものとして用いられる。一部実施形態では、例えばアルミニウム(Al)等の高導電性反射物質が、可動反射層14用に使用され得て、それらのストリップがディスプレイデバイスの列電極を形成し得る。可動反射層14は、堆積金属層(一層又は複数層)の一組の平行ストリップ(光学積層体16の行電極と直交する)として形成可能であり、ポスト18の頂部に堆積させた列と、ポスト18間に堆積された介在犠牲物質とを形成する。犠牲物質がエッチング除去されると、可動反射層14と光学積層体16との間に画定されたギャップ19又は光学キャビティが形成され得る。一部実施形態では、ポスト18間の間隔は略1〜1000μmであり、ギャップ19が10000オングストローム(Å)以下となり得る。
一部実施形態では、IMODの各画素は本質的に、作動状態であろうと緩和状態であろうと、固定反射層及び可動反射層によって形成されたキャパシタである。電圧が印加されないと、図1の左側の画素12に示されるように、可動反射層14は、機械的に緩和された状態のままであり、可動反射層14と光学積層体16との間にギャップ19を有する。しかしながら、電位差(電圧)が選択された行及び列のうち少なくとも一つに印加されると、対応する画素における行電極及び列電極の交点に形成されたキャパシタが帯電して、静電力が電極を互いに引き寄せる。印加電圧が閾値を超えると、可動反射層14が変形して、光学積層体の近くに又はその逆方向に動くことができる。光学積層体16内部の誘電体層(図示せず)は、短絡を防止して、図1の右側の作動画素12に示されるように、層14と16との間の離隔距離を制御することができる。挙動は、印加電位差の極性に関係なく同じである。アレイ中の一組の画素を、場合によって“行”又は“列”と称することができるが、当業者は、一方の方向を“行”と称し、他方の方向を“列”と称することが任意のものであると理解するものである。言い換えると、向きによっては、行が列と見なされて、列が行と見なされる。更に、ディスプレイ画素は、直交する行及び列において均等に配置可能であり(“アレイ”)、又は、例えば互いに特定の位置的なずれを有する非線形な構成で配置され得る(“モザイク”)。“アレイ”及び“モザイク”との用語は、いずれの構成でも称され得る。従って、ディスプレイが“アレイ”又は“モザイク”を含むとして称されても、素子自体は互いに直交に配置されたり、均等な分布で配置されたりする必要ななく、いずれの場合でも、非対称な形状及び不均一に分布した素子を有する配置を含み得る。
図2は、3×3の干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスを示すシステムブロック図の例を示す。電子デバイスは、一つ以上のソフトウェアモジュールを実行するように構成可能なプロセッサ21を含む。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサ21は、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、又は他のソフトウェアアプリケーション等の一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。
プロセッサ21は、アレイドライバ22と通信するように構成され得る。アレイドライバ22は、例えばディスプレイアレイ又はパネル30に信号を提供する行ドライバ回路24及び列ドライバ回路26を含み得る。図1に示されるIMODディスプレイデバイスの断面が図2の線1−1によって示される。図2は、明確性のため3×3のアレイのIMODを示すが、ディスプレイアレイ30は、非常に多数のIMODを含み得て、列と行とで異なる数のIMODを含み得て、又はその逆も同様である。
図3は、図1の干渉変調器について、可動反射層の位置対印加電圧を示す図の一例を示す。MEMS干渉変調器について、行/列(つまり、共通/セグメント)の書き込み手順は、図3に示されるようなデバイスのヒステリシス特性を利用し得る。例えば、干渉変調器は、例示的な一実施形態では、略10ボルトの電位差を用いて、可動反射層又はミラーが、緩和状態から作動状態に変化するようにし得る。電圧がこの値から減少しても、可動反射層はそのままの状態を維持し、電圧が、この例では10ボルト以下に低下しても、電圧が2ボルト以下に低下するまでは、可動反射層が完全に緩和しない。従って、図3に示されるように、この例では、略3から7ボルトの電圧範囲が存在し、その範囲内では、デバイスが緩和状態又は作動状態のいずれかで安定である印加電圧のウィンドウが存在する。これは、本願において、“ヒステリシスウィンドウ”又は“安定ウィンドウ”と称される。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイ30に対して、行/列の書き込み手順は、一つ以上の行を一度にアドレスするように設計可能であり、所定の行のアドレス中において、そのアドレスされた行中の作動される画素が、この例では、略10ボルトの電位差を受ける一方、緩和される画素が、ゼロボルト近くの電圧差を受けるようになる。アドレス後には、画素が、この例では略5ボルトの安定状態又はバイアス電圧差を受けて、以前のストローブ状態のままとなる。この例では、アドレス後において、各画素は、略3〜7ボルトの“安定ウィンドウ”内の電位差を見る。このヒステリシス特性は、例えば図1に示される画素の設計が、同じ印加電圧条件下において作動又は緩和のいずれかの既存状態で安定なままであることを可能にする。各IMOD画素は本質的に、作動状態であろうと緩和状態であろうと、固定反射層及び可動反射層によって形成されたキャパシタであるので、この安定状態は、電力を実質的に消費したり失ったりせずにヒステリシスウィンドウ内の安定電圧で保持可能である。更に、印加電圧(電位)が実質的に固定されたままであると、本質的にはIMOD画素内にほとんど又は全く電流が流れない。
一部実施形態では、所定の行内の画素の状態に対する所望の変化(存在する場合)に応じて、一組の列電極に沿った“セグメント”電圧としてのデータ信号を印加することによって、画像のフレームを生成することができる。そして、アレイの各行を、フレームが一つの行において一度に書き込まれるようにアドレスすることができる。所望のデータを第一の行の画素に書き込むため、第一の行内の画素の所望の状態に対応するセグメント電圧を列電極に印加することができて、特定の“共通”電圧又は信号としての第一の行パルスを、第一の行電極に印加することができる。そして、一組のセグメント電圧を、第二の行の画素の状態に対する所望の変化(存在する場合)に対応するように、変化させることができて、第二の共通電圧を第二の行電極に印加することができる。一部実施形態では、第一の行内の画素は、列電極に沿って印加されるセグメント電圧の変化によって影響を受けず、第一の共通電圧の行パルスの間において、設定された状態のままである。このプロセスを、全ての組の行、又は列に対して逐次的に繰り返して、画像フレームを形成することができる。このプロセスを一秒当たり所望の数のフレームで連続的に繰り返すことによって、新たな画像データでフレームをリフレッシュ及び/又はアップデートすることができる。
各画素にわたって印加されるセグメント信号及び共通信号の組み合わせ(つまり、各画素にわたる電位差)は、各画素の結果としての状態を決める。図4は、多様な共通電圧及びセグメント電圧を印加した場合の干渉変調器の多様な状態を示す表の一例を示す。当業者には理解されるように、“セグメント”電圧は、列電極又は行電極の一方に印加可能であり、“共通”電圧は、列電圧又は行電圧の他方に印加可能である。
図4に示されるように(及び図5Bのタイミング図に示されるように)、リリース電圧VCRELが共通ラインに沿って印加されると、セグメントラインに沿って印加される電圧(つまり、高セグメント電圧VSH及び低セグメント電圧VSL)に関わらず、その共通ラインに沿った全ての干渉変調器素子が緩和状態(リリース状態、非作動状態とも称される)にされる。特に、リリース電圧VCRELが共通ラインに沿って印加されると、高セグメント電圧VSH及び低セグメント電圧VSLがその画素に対応するセグメントラインに沿って印加された際にいずれも、変調器画素にわたる電位差(画素電圧とも称される)が、緩和ウィンドウ内に存在する。
例えば高保持電圧VCHOLD_H又は低保持電圧VCHOLD_L等の保持電圧が共通ラインに印加されると、干渉変調器の状態が一定のままとなる。例えば、緩和IMODは緩和位置のままであり、作動IMODは作動位置のままである。保持電圧は、高セグメント電圧VSH及び低セグメント電圧VSLが対応するセグメントラインに沿って印加された場合にいずれも画素電圧が安定ウィンドウ内に留まるように選択され得る。従って、セグメント電圧のふり幅(つまり、高セグメント電圧VSHと低セグメント電圧VSLとの間の差)は、正又は負の安定ウィンドウのいずれの幅以下である。
アドレス又は作動電圧(例えば高アドレス電圧VCADD_Hや低アドレス電圧VCADD_L等)が共通ラインに印加されると、個々のセグメントラインに沿ったセグメント電圧の印加によって、そのラインに沿った変調器にデータを選択的に書き込むことができる。セグメント電圧は、作動が印加されるセグメント電圧に依存するように選択され得る。アドレス電圧を共通ラインに沿って印加すると、一つのセグメント電圧の印加が、安定ウィンドウ内の画素電圧を生じさせて、画素を非作動のままにする。対照的に、他のセグメント電圧の印加は、安定ウィンドウを超えた画素電圧を生じさせて、画素を作動させる。作動を生じさせる具体的なセグメント電圧は、どのようなアドレス電圧を用いるかに応じて変化し得る。一部実施形態では、高アドレス電圧VCADD_Hを共通ラインに沿って印加する場合、高セグメント電圧VSHの印加は、変調器がその現状の位置に留まるようにする一方、低セグメント電圧VSLの印加が、変調器の作動を生じさせることができる。当然の結果として、セグメント電圧の影響は、低アドレス電圧VCADD_Lを印加する場合には逆となり得て、高セグメント電圧VSHが変調器の作動を生じさせて、低セグメント電圧VSLは、変調器の状態に対して影響しない(つまり安定なままである)。
一部実施形態では、変調器にわたって同じ極性の電位差を生じさせる保持電圧、アドレス電圧、及びセグメント電圧が用いられ得る。他の一部実施形態では、変調器の電位差の極性を時々交互に入れ替える信号を用いることができる。変調器にわたる極性の交互入れ替え(つまり、書き込み手順の極性の交互入れ替え)は、単一極性の書き込み動作を繰り返した後に生じ得る電荷蓄積を低減又は抑止し得る。
図5Aは、図2の3×3の干渉変調器ディスプレイにおけるディスプレイデータのフレームを示す図の例を示す。図5Bは、図5Aに示されるディスプレイデータのフレームを書き込むのに使用可能な共通信号及びセグメント信号に対するタイミング図の例を示す。信号は、図2のアレイと同様の3×3のアレイに印加可能であり、最終的には、図5Aに示されるライン時間60eのディスプレイ配置を生じさせる。図5Aの作動変調器は暗状態であり、つまり、反射光の実質的部分が可視スペクトル外であり、例えば視聴者に暗い見た目をもたらす。図5Aに示されるフレームの書き込みの前において、画素はあらゆる状態であり得るが、図5Bのタイミング図に示される書き込み手順は、各変調器がリリースされていて、第一のライン時間60aの前においては非作動状態であることを前提としている。
第一のライン時間60aにおいて、リリース電圧70が共通ライン1に印加され、共通ライン2に印加された電圧が高保持電圧72から始まり、リリース電圧70に移り、低保持電圧76が共通ライン3に沿って印加される。従って、共通ライン1に沿った変調器(共通1,セグメント1)、(1,2)及び(1,3)は、第一のライン時間60aの期間に対して緩和又は非作動状態のままであり、共通ライン2に沿った変調器(2,1)、(2,2)及び(2,3)は緩和状態に移り、共通ライン3に沿った変調器(3,1)、(3,2)及び(3,3)は以前の状態のままである。図4を参照すると、セグメントライン1、2及び3に沿って印加されるセグメント電圧は、干渉変調器の状態に影響しない。何故ならば共通ライン1、2又は3が、ライン時間60a中に作動を生じさせる電圧レベル(つまり、VCREL−緩和、VCHOLD_L−安定)を受けていないからである。
第二のライン時間60bの間において、共通ライン1に対する電圧は高保持電圧72に動き、共通ライン1に沿った全ての変調器が、印加されるセグメント電圧に関わらず緩和状態のままとなる。何故ならば、アドレス又は作動電圧が共通ライン1に印加されていなかったからである。共通ライン2に沿った変調器は、リリース電圧70の印加に起因して緩和状態のままであり、共通ライン3に沿った電圧がリリース電圧70に移ると、共通ライン3に沿った変調器(3,1)、(3,2)及び(3,3)が緩和する。
第三のライン時間60cの間において、共通ライン1に対して高アドレス電圧74を印加することによって、共通ライン1がアドレスされる。このアドレス電圧の印加中においてセグメントライン1及び2に沿って低セグメント電圧64が印加されているので、変調器(1,1)及び(1,2)にわたる画素電圧は、変調器の正の安定ウィンドウの上限よりも大きく(つまり、電圧差が所定の閾値を超える)、変調器(1,1)及び(1,2)が作動される。逆に、高セグメント電圧62がセグメントライン3に沿って印加されるので、変調器(1,3)にわたる画素電圧は、変調器(1,1)及び(1,2)の画素電圧以下であり、変調器の正の安定ウィンドウ内に留まるので、変調器(1,3)が緩和したままである。また、ライン時間60cの間において、共通ライン2に沿った電圧が低保持電圧76に低下し、共通ライン3に沿った電圧がリリース電圧70のままであり、共通ライン2及び3に沿った変調器を緩和位置のままとする。
第四のライン時間60dの間において、共通ライン1に対する電圧は高保持電圧72に戻り、共通ライン1に沿った変調器を個々のアドレスされた状態のままにする。共通ライン2に対する電圧は低アドレス電圧78に低下する。高セグメント電圧62がセグメントライン2に沿って印加されるので、変調器(2,2)にわたる画素電圧は、変調器の負の安定ウィンドウの下限以下であり、変調器(2,2)を作動させる。逆に、低セグメント電圧64がセグメントライン1及び3に沿って印加されるので、変調器(2,1)及び(2,3)は、緩和位置のままである。共通ライン3に対する電圧は高保持電圧72に増大し、共通ライン3に沿った変調器を緩和状態のままにする。
最後に、第五のライン時間60eの間において、共通ライン1に対する電圧は高保持電圧72のままであり、共通ライン2に対する電圧は低保持電圧76のままであり、共通ライン1及び2に沿った変調器を個々のアドレスされた状態のままにする。共通ライン3に対する電圧は高アドレス電圧74に増大して、共通ライン3に沿った変調器をアドレスする。低セグメント電圧64がセグメントライン2及び3に印加されるので、変調器(3,2)及び(3,3)が作動する一方、セグメントライン1に沿って印加される高セグメント電圧62が、変調器(3,1)を緩和位置のままにさせる。従って、第五のライン時間60eの終わりにおいて、3×3の画素アレイは図5Aに示される状態にあり、他の共通ライン(図示せず)に沿った変調器がアドレスされている際に生じ得るセグメント電圧の変動に関係なく、保持電圧が共通ラインに沿って印加されている限りは、その状態を保つ。
図5Bに示されるタイミング図において、所定の書き込み手順(つまりライン時間60a〜60e)は、高保持電圧及びアドレス電圧、又は、低保持電圧及びアドレス電圧のいずれかの使用を含み得る。書き込み手順が所定の共通ラインに対して完了すると(また、共通電圧が、作動電圧と同じ極性を有する保持電圧に設定されると)、画素電圧は所定の安定ウィンドウ内に留まり、リリース電圧がその共通ラインに印加されるまでは、緩和ウィンドウを通り過ぎない。更に、各変調器が、変調器をアドレスする前の書き込み手順の一部としてリリースされるので、リリース時間ではなくて、変調器の作動時間が、ライン時間を決定し得る。特に、変調器のリリース時間が作動時間よりも長い実施形態では、図5Bに示されるように、リリース電圧が単一のライン時間よりも長く印加され得る。他の一部実施形態では、共通ライン又はセグメントラインに沿って印加される電圧が、異なる変調器(例えば異なる色の変調器)の作動電圧及びリリース電圧の変動を考慮して変化し得る。
上述の原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は多様なものであり得る。例えば、図6A〜図6Eは、可動反射層14及びその支持構造を含む干渉変調器の多様な実施形態の断面の例を示す。図6Aは、図1の干渉変調器ディスプレイの部分断面の例を示し、金属物質のストリップ、つまり可動反射層14が、基板20から直交して延伸している支持体18の上に堆積されている。図6Bでは、各IMODの可動反射層14が略正方形又は矩形の形状であり、テザー32上でコーナーにおいて又はその付近において支持体に取り付けられる。図6Cでは、可動反射層14は略正方形又は矩形の形状であり、変形可能層34(フレキシブル金属を含み得る)から懸架されている。変形可能層34は、可動反射層14の周囲付近において基板20に直接又は間接に取り付けされる。こうした接続部を本願では支持ポストと称する。図6Cに示される実施形態は、可動反射層14の光学的機能をその機械的機能から分離することに起因する追加の利点を有するが、これは変形可能層34によって達成される。この分離は、反射層14に対して用いられる構造設計及び物質と、変形可能層34に対して用いられる構造設計及び物質を互いに独立的に最適化することを可能にする。
図6Dは、IMODの他の例を示し、可動反射層14が、反射副層14aを含む。可動反射層14は、支持構造(例えば支持ポスト18)上に存在する。支持ポスト18は、下方の静止電極(つまり、図示されるIMODの光学積層体16の一部)からの可動反射層14の離隔を提供して、例えば可動反射層14が緩和位置にある際に、ギャップ19が、可動反射層14と光学積層体16との間に形成される。また、可動反射層14は、電極として機能するように構成可能な導電層14cと、支持層14bも含み得る。この例では、導電層14cが、基板20の反対側の支持層14bの一方の面上に配置されていて、反射副層14が、基板20側の支持層14bの他方の面上に配置されている。一部実施形態では、反射副層14aが導電性であり、支持層14bと光学積層体16との間に配置され得る。支持層14bは、誘電体(例えば、酸窒化シリコン(SiON)や、二酸化シリコン(SiO2))の一層以上の層を含み得る。一部実施形態では、支持層14bは、複数層の積層体であり得て、例えば、SiO2/SiON/SiO2三重層積層体などであり得る。反射副層14a及び導電層14cのいずれか一方又は双方は、略0.5%の銅(Cu)を有するアルミニウム(Al)合金や、他の反射性金属物質を含み得る。誘電体支持層14bの上下に導電層14a、14cを採用することは、応力のバランスをとり、導電性を増強させることができる。一部実施形態では、反射副層14a及び導電層14cは、例えば可動反射層14内部に特定の応力プロファイルを達成する等の多様な設計目的に対して異なる物質で形成可能である。
図6Dに示されるように、一部実施形態では、ブラックマスク構造23も含まれ得る。ブラックマスク構造23は光学的に不活性な領域(例えば画素の間やポスト18の下)に形成されて、環境光又は迷光を吸収し得る。また、ブラックマスク構造23は、光がディスプレイの不活性部分から反射したり又はそこを透過したりすることを抑制することによって、ディスプレイデバイスの光学性能を改善して、コントラスト比を増大させることができる。更に、ブラックマスク構造23は、導電性であり得て、電気バス層として機能するように構成可能である。一部実施形態では、行電極をブラックマスク構造に接続して、接続された行電極の抵抗を低下させることができる。ブラックマスク構造23は、堆積及びパターニング法を含む多様な方法を用いて形成可能である。ブラックマスク構造23は一層又は複数の層を含み得る。例えば、一部実施形態では、ブラックマスク構造23は、光学吸収体として機能するモリブデンクロム(MoCr)層と、或る層と、反射体及びバス層として機能するアルミニウム合金層とを含み、それぞれの厚さの範囲は、略30〜80Å、500〜1000Å、500〜6000Å、である。一層又は複数の層は、フォトリソグラフィ、乾式エッチングを含む多様な方法を用いてパターニング可能であり、例えば、MoCr層及びSiO2層に対しては四フッ化炭素(CF4)及び/又は酸素(O2)が使用され、アルミニウム合金層に対しては塩素(Cl2)及び/又は三塩化ホウ素(BCl3)が使用される。一部実施形態では、ブラックマスク23は、エタロン、又は干渉積層体構造であり得る。このような干渉積層体ブラックマスク構造23においては、導電性吸収体を用いて、各行又は列の光学積層体16内の下方の静止電極間に信号を伝達又はバス伝送させることができる。一部実施形態では、スペーサ層35が、吸収体層16aをブラックマスク23の導電層から一般的に電気的に絶縁する機能を果たし得る。
図6Eは、IMODの他の例を示し、可動反射層14が自己支持となっている。図6Dとは対照的に、図6Eの実施形態は、支持ポスト18を含まない。代わりに、可動反射層14が複数箇所において下方の光学積層体16と接触して、可動反射層14の曲率が、十分な支持を提供して、干渉変調器にわたる電圧が作動を生じさせるには不十分である際に、可動反射層14が、図6Eの非作動位置に戻る。光学積層体16は、複数の異なる層を含み得るが、明確性のため、この図では、光学吸収体16a及び誘電体16bを含むものとして示されている。一部実施形態では、光学吸収体16aは、固定電極及び部分反射層の両方として機能し得る。
図6A〜図6Eに示されるような実施形態では、IMODが直視型デバイスとして機能して、画像は透明基板20の前方から、つまり変調器が形成されている面の反対側から視られる。このような実施形態では、デバイスの後方部分(つまり、可動反射層14の後方のディスプレイデバイスの部分であり、例えば、図6Cに示される変形可能層34を含む)を、ディスプレイデバイスの画像の質に作用したり悪影響を与えたりせずに構成及び動作させることができる。何故ならば、反射層14がデバイスのこれらの部分を光学的に遮蔽するからである。例えば、一部実施形態では、バス構造(図示せず)を可動反射層14の後方に含ませることができて、変調器の光学特性を変調器の電気機械特性(例えば電圧アドレスやそのようなアドレスの結果としての移動)と分離することができる。また、図6A〜図6Eの実施形態は、例えばパターニング等の処理を単純化し得る。
図7は、干渉変調器の製造プロセス80を示す流れ図の例を示し、図8A〜図8Eは、このような製造プロセス80の対応する段階の断面概略図の例を示す。一部実施形態では、製造プロセス80を実施して、電気機械システムデバイス、例えば図1及び図6に示される一般的なタイプの干渉変調器を製造することができる。電気機械システムデバイスの製造は、図7に示されていない他のブロックも含み得る。図1、図6及び図7を参照すると、プロセス80は、基板20上に光学積層体16を形成するブロック82で開始する。図8Aは、基板20上に形成されたこのような光学積層体16を示す。基板20は、例えばガラスやプラスチック等の透明基板であり得て、また、フレキシブルであるか又は比較的硬くて曲がらないものであり得て、また、例えば光学積層体16の効率的な形成を促進するためのクリーニング等の前処理プロセスを受けたものであり得る。上述のように、光学積層体16は、導電性、部分透明且つ部分反射性であり得て、また、例えば透明基板20上に所望の特性を有する一層以上の層を堆積させることによって形成され得る。図8Aでは、光学積層体16が、副層16a及び16bを有する多層構造を含むが、他の一部実施形態ではこれよりも多い又は少ない副層が含まれ得る。一部実施形態では、副層16a及び16bの一つが光学吸収性及び導電性の両方を備えて形成可能であり、例えば、導体/吸収体の組み合わさった副層16aとなる。また、副層16a及び16bの一つ以上が、平行なストリップにパターニングされ得て、ディスプレイデバイスの行電極を形成し得る。このようなパターニングは、マスキング及びエッチングプロセスや、当該分野において既知の他の適切なプロセスによって実行可能である。一部実施形態では、副層16a及び16bの一つが、絶縁層又は誘電体層であり得て、例えば、一層以上の金属層(例えば、一層以上の反射及び/又は導電層)の上に堆積された副層16bである。また、光学積層体16を、ディスプレイの行を形成する個々の平行ストリップにパターニングすることができる。図8A〜図8Eは縮尺通りではなくなり得る点に留意されたい。例えば、一部実施形態では、光学積層体の副層の一つ(光吸収層)が非常に薄くなり得るが、図8A〜図8Eでは、副層16a及び16bはやや厚く示されている。
プロセス80は、光学積層体16の上に犠牲層25を形成するブロック84へと続く。犠牲層25は、後で除去されて(例えばブロック90で)、キャビティ19を形成するので、犠牲層25は、図1に示される結果物の干渉変調器12には示されていない。図8Bは、光学積層体16の上に形成された犠牲層25を含む製造途中のデバイスを示す。光学積層体16上への犠牲層25の形成は、例えばモリブデン(Mo)やアモルファスシリコン(a‐Si)等の二フッ化キセノン(XeF2)エッチング可能物質を、所望のサイズを有するギャップ又はキャビティ19(図1及び図8Eを参照)を後の除去後に提供するように選択された厚さで堆積させることを含み得る。犠牲物質の堆積は、例えばスパッタリング等の物理気相堆積(PVD,physical vapor deposition)、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD,plasma−enhanced chemical vapor deposition)、熱化学気相堆積(熱CVD)や、スピンコーティング等の堆積法を用いて行われ得る。
プロセス80は、支持構造(例えば図1、図6及び図8Cに示されるポスト18)を形成するブロック86へと続く。ポスト18の形成は、犠牲層25をパターニングして、支持構造アパーチャを形成し、例えばPVD、PECVD、熱CVD又はスピンコーティング等の堆積法を用いて、そのアパーチャ内に物質(例えば、ポリマー、又は無機物質(例えば酸化シリコン))を堆積させて、ポスト18を形成することを含み得る。一部実施形態では、犠牲層内に形成された支持構造アパーチャが、犠牲層25及び光学積層体16を貫通して下方の基板20まで延伸し得て、図6Aに示されるようにポスト18の下端が基板20に接触する。代わりに、図8Cに示されるように、犠牲層25内に形成されたアパーチャは、犠牲層25を貫通して延伸するが、光学積層体16は貫通しない。例えば、図8Eは、光学積層体16の上面と接触している支持ポスト18の下端を示す。ポスト18又は他の支持構造は、犠牲層25の上に支持構造物質の層を堆積させて、犠牲層25内のアパーチャから離れた位置の支持構造物質の一部をパターニングすることによって、形成され得る。支持構造は、図8Cに示されるようにアパーチャ内部に位置し得るが、犠牲層25の一部の上に少なくとも部分的に延伸し得る。上述のように、犠牲層25及び/又は支持ポスト18のパターニングは、パターニング及びエッチングプロセスによって実行可能であるが、代わりのエッチング法でも実行可能である。
プロセス80は、例えば図1、図6及び図8Dに示される可動反射層14等の可動反射層又は膜を形成するブロック88へと続く。可動反射層14は、一以上の堆積ステップ(例えば反射層(例えばアルミニウム反射層、アルミニウム合金反射層又は他の反射層)の堆積を含む)を、一以上のパターニングステップ、マスキングステップ及び/又はエッチングステップと共に採用することによって形成され得る。可動反射層14は、導電性であり得て、導電層と称され得る。一部実施形態では、可動反射層14は、図8Dに示されるような複数の副層14a、14b及び14cを含み得る。一部実施形態では、副層14a及び14c等の副層のうち一つ以上が、その光学特性に対して選択された高反射副層を含み得て、他の副層14bは、その機械特性に対して選択された機械副層を含み得る。犠牲層25が、ブロック88で形成された製造途中の干渉変調器に依然として存在しているので、可動反射層14は典型的にはこの段階で可動しない。犠牲層25を含む製造途中のIMODは、本願において、“リリースされていない”IMODとも称され得る。図1に関して上述したように、可動反射層14は、ディスプレイの列を形成する個々の平行ストリップにパターニングされ得る。
プロセス80は、キャビティ(例えば図1、図6及び図8Eに示されるキャビティ19)を形成するブロック90へと続く。キャビティ19は、犠牲物質25(ブロック84において堆積された)をエッチング剤に晒すことによって形成され得る。例えば、MoやアモルファスSi等のエッチング可能犠牲物質を、乾式化学エッチングによって除去することができ、例えば、所定の量の物質(典型的には、キャビティ19を取り囲む構造に対して選択的に除去される)を除去するのに有効な期間にわたって固体XeF2由来の蒸気等のガス状又は蒸気のエッチング剤に犠牲層25を晒すことによって除去する。例えば湿式エッチング及び/又はプラズマエッチング等の他のエッチング法も使用可能である。犠牲層25がブロック90の間に除去されるので、可動反射層14は典型的にはこの段階の後に可動する。犠牲物質25の除去の後において、結果物の完成した又は製造途中のIMODが、本願において“リリースされた”IMODと称され得る。
上述の干渉変調器は、緩和状態及び作動状態の二つの状態を有する双安定性ディスプレイ素子である。以下の説明は、アナログ干渉変調器に関する。例えば、アナログ干渉変調器の一実施形態では、単一の干渉変調器が、赤色、緑色、青色、黒色及び白色を反射することができる。一部実施形態では、アナログ干渉変調器は、印加電圧に応じて、光の或る波長範囲内のあらゆる光を反射することができる。更に、アナログ干渉変調器の光学積層体は、上述の双安定性ディスプレイ素子とは異なり得る。こうした差は異なる光学的結果を生じさせ得る。例えば、上述の双安定性素子の一部実施形態では、閉状態(作動状態)は、双安定性素子を暗い(例えば黒色)の反射状態にする。一部実施形態では、アナログ干渉変調器は、電極が双安定性素子の閉状態と同様の位置にある際に、白色光を反射する。
三端子電気機械デバイス(例えば干渉変調器)は、上部電極と下部電極との間のギャップ内に配置された可動性の中間電極を含み得る。一方法では、三端子デバイスは、スイッチ又は直列キャパシタを用いて、中部電極上に電荷を提供することができる。そして、電圧を上部電極と下部電極とにわたって印加すると、帯電した中間電極が、上部電極と下部電極との間に結果として生じた電場と相互作用することができる。結果として、帯電した中間電極を、印加電圧によって生じた電場に基づいて、移動又は変位させることができる。しかしながら、このようにしてスイッチ及びキャパシタを用いて中間電極上に電荷を提供することは、中間電極の寄生ローディングにつながり得る。外部回路に電気的に接続されておらず、従って電気的に絶縁された電荷中性中間電極上に電荷を提供することが有用となり得るが、電荷中性中間電極は、通常、上部電極と下部電極との間に印加された電場に応答しない。従って、正味ゼロの電荷で電気的に絶縁された中間電極を動かして、それが電気コンタクト(又は電極)に接触することによって、中間電極に電荷を与えるためのデバイス及び方法が有用である。電荷を受け取った後に中間電極をリリースするデバイス及び方法も有用である。
図9は、アナログ干渉変調器の電荷中性電極を作動及び較正するための一方法を示すフローチャートの一例を示す。方法900は、電気的に絶縁された電荷中性中間電極が提供されるブロック951で開始する。電気的に絶縁された中間電極は、例えばデバイスに最初に電源が入れられた際の帯電及び/又は較正の前において、又は漏れ若しくは意図的な電荷消失プロセスの結果として電荷が枯渇した後において、電荷中性であり得る。本方法は、中間電極を作動させるブロック952に続き、電気力を用いて中間電極を他の電極に向けて移動させる。電荷中性である際に中間電極を作動させるデバイス及び方法については、例えば図12〜図20を参照して後述する。方法900は、電荷が中間電極に与えられるブロック953に続く。図21〜図25は、このような中間電極上に電荷を印加ためのシステム及び方法のいくつかの一般的な実施形態を説明する。具体的には、上部電極との接触によって中間電極を帯電させるためのデバイス及び方法が、図21〜図23を参照して説明され、絶縁されて接地された相補電極との接触によって中間電極を帯電させるためのデバイス及び方法が、図22及び図24〜図25を参照して説明される。一部実施形態では、電荷中性の中間電極は、図26〜図30を参照して説明されるように、スイッチ構成を用いて帯電し得て、一方、他の実施形態では、中間電極は、図34〜図38を参照して説明されるように、スイッチ無しの構成を用いて帯電し得る。
方法900は、中間電極に印加された電荷を、中間電極に作用する特定の機械的ばね力を考慮するように較正するブロック954を含む。スイッチ構成を用いて電荷を較正するための特定のデバイス及び方法が、図31〜図33を参照して説明される。また、スイッチ無しの構成を用いて電荷を較正するためのデバイス及び方法の一部実施形態が、図39〜図41を参照して説明される。所望の電荷量で三端子デバイスのアレイにわたる複数の中間電極の各々を較正することは、全てのデバイスにわたる選択電圧の印加の際に全ての中間電極を同じ位置に確実に移動させることができる。これは、アナログ干渉変調器ディスプレイに表示される色の精度を改善するのに役立ち得る。
方法900は、較正された中間電極を有するアナログ干渉変調器のアレイを含むディスプレイを動作させるブロック955に続く。一部側面では、ディスプレイを動作させることは、上部電極1002及び下部電極1010(図10を参照)によって形成されたギャップ内の多様な位置に中間電極を作動又は移動させて画像を表示することを含む。中間電極の位置は、アナログ干渉変調器画素の反射されて表示される色を決めるのに有用である。方法900は、任意で、ブロック952〜ブロック955を繰り返すブロック956に続く。一部実施形態では、ブロック952に戻る前に、中間電極を電荷中性にする。一部実施形態では、中間電極は、ブロック952で作動する際に多少の電荷を保持している。
図10は、三層又は三電極設計を有するアナログ干渉変調器1000の断面図の一例を示す。干渉変調器1000は、上部又は第一の電極1002を含む。一実施形態では、電極1002は金属製のプレートである。上部電極1002は、補強層1003を用いて補強され得る。一実施形態では、補強層1003は誘電体である。補強層1003を用いて、上部電極1002を硬質で実質的に平坦に保ち得る。また、変調器900は、下部又は第二の電極1010と、中間又は第三の電極1006(金属を含み得る)も含み得る。三つの電極は絶縁ポスト1004によって電気的に絶縁される。絶縁ポスト1004は、電気力が存在しない場合に、平衡位置において、電極1002と電極1010との間に中間電極1006を保持する機能も果たす。中間電極1006は、その上に配置された補強層1008を有する。一実施形態では、補強層1008は酸窒化シリコンを含む。
中間電極1006は、上部電極1002と下部電極1010との間の領域又はギャップ内で移動するように構成される。補強層1008は、電極1002と電極1010との間で移動する際に中間電極1006の一部を比較的硬質で平坦に保つのに役立つ。一実施形態では、補強層1008は、中間電極1006の中心部分に配置される。この実施形態では、中間電極1006が移動すると、中間電極1006の側方部分が曲がることができる。図10では、中間電極1006は、電極が実質的に平坦である平衡位置にあるものとして示されている。中間電極1006がこの平衡位置から離れて移動すると、中間電極1006の側方部分が変形又は湾曲する。中間電極1006の側方部分は、中間電極1006を平衡位置に戻す力を印加する弾性ばね力を与える(例えば、図26〜図33のばね2634、図34〜図41のばね3434を参照)。
また、中間電極1006は、基板1012を通って構造に入射する光を反射するミラーとしても機能する。一部実施形態では、基板1012はガラス製である。一実施形態では、下部電極1010は吸収性のクロム又はクロム含有層である。少なくとも部分的に透明のままであるように、吸収層は、上述のように比較的薄く作られ得る。下部電極1010は、その上に配置されたパッシベーション層1014(ここでは別個の層として具体的に示されている)を有する。一実施形態では、パッシベーション層1014は薄い誘電体層である。他の実施形態では、上部電極1002は、その上に配置されたパッシベーション層を有する。一部実施形態では、パッシベーション層は薄い誘電体層である。
図11Aは、制御回路1120を備えたアナログ干渉変調器1100の断面図の一例を示す。アナログ干渉変調器1110は、変調器1000又は他の同様の設計のアナログ干渉変調器であり得る。変調器1100は、上部電極1102と、中間電極1106と、下部電極1110とを含む。変調器1100は、電極1102、1106及び1100を他の構造から絶縁する絶縁ポスト1104を更に含む。変調器1100は、上部電極1102の上に配置された抵抗素子1116を更に含む。上部電極1102はその上に配置された補強層1103を有する。一実施形態では、上部電極1102は金属であり、補強層1103は誘電体である。また、変調器1100は、下部電極1110の上に配置された薄い誘電体パッシベーション層1114も含み、誘電体パッシベーション層1114が下部電極1110と中間電極1106との間に配置されるようにする。下部電極1110は、基板1112上に配置される。抵抗素子1116は、上部電極1102と中間電極1106との間のセパレータを提供する。中間電極1106を下部電極1102に向けて移動させると、抵抗素子1116が、中間電極1106が上部電極1102と接触することを防止する。一実施形態では、中間電極1106は、中間電極1106の下部に配置された絶縁層(図示せず)を含む。
また、アナログ干渉変調器1100は制御回路1120も含む。制御回路1120は、上部電極1102及び下部電極1110にわたって電圧を印加するように構成される。電荷ポンプ回路1118は、電荷を中間電極1106に選択的に印加するように構成される。制御電圧1120及び電荷ポンプ回路1118を用いて、中間電極1106の作動が達成される。電荷ポンプ回路1118は、中間電極1106に電荷を与えるのに用いられる。そして、帯電した中間電極1106は、上部電極1102と下部電極1110との間に制御回路1120によって生成された電場と相互作用する。帯電した中間電極1106と電場との相互作用は、中間電極1106を電極1102と電極1110との間で動かす。
IMOD上に正確な量の電荷を印加ための電荷ポンプ回路1118として実施可能な電荷注入回路の一例が、図11Bの概略図に示されている。これらの概略図では、IMODは可変キャパシタとして示されている。IMODのリセットの概略図(左)は、IMODをリセットするための回路構成の例を示す。この構成では、スイッチS3が閉じていて、IMODを短絡させて、IMOD上の電荷を散逸させる。スイッチS1及びS2は“開いていて”、電圧源Vin及びキャパシタCinを互いに絶縁し、またIMODから絶縁する。Cinのプレチャージの概略図(中央)は、スイッチS1が閉じていて、電圧源VinをキャパシタCinに接続して、キャパシタCinを充電する回路構成の例を示す。スイッチS2は“開いていて”、キャパシタCinをIMODから絶縁していて、スイッチS3は開いていて、IMODが最早短絡していない。電荷のサンプリング及びIMOD上への移動の概略図(右)では、スイッチS1が開いていて、電圧源Vinを回路の残りの部分から絶縁していて、スイッチS2が閉じていて、キャパシタCinを、IMODの端子1(左側の端子)に接続されたままのオペアンプの仮想接地入力に接続している。オペアンプ出力は、IMODの端子2にフィードバック接続される。これは、入力キャパシタCinからフィードバック経路中のキャパシタ(この場合はIMOD)に電荷を正確に移動させる周知のスイッチトキャパシタ回路である。不完全な電荷移動をもたらす他の方法も、オペアンプ無しでスイッチを用いて実施可能である。
中間電極1106を、制御回路1120により印加される電圧を変更することによって、電極1102と電極1110との間の多様な位置に移動させることができる。例えば、制御回路1120によって印加される正の電圧Vcは、下部電極1110を上部電極1102に対して正の電位にして、正に帯電している場合には中間電極1106と反発する。従って、正の電圧Vcは、中間電極1106を上部電極1102に向けて移動させる。制御回路1120による負の電圧Vcの印加は、下部電極1110を上部電極1102に対して負の電位にして、正に帯電している場合には中間電極を引き付ける。従って、不の電圧Vcは、中間電極1106を下部電極1110に向けて移動させる。
スイッチ1122を用いて、中間電極1106を電荷ポンプ回路1118から選択的に接続又は切断することができる。当該分野で知られているスイッチ以外の方法を用いて、中間電極1106を電荷ポンプ回路1118から選択的に接続又は切断することができて、例えば、薄膜半導体、ヒューズ、アンチヒューズ等が挙げられる。
アナログ干渉変調器1100は、中間電極1106が上部電極1102及び下部電極1110にわたって印加される電圧に線形比例して応答するように構成され得る。従って、中間電極1106の移動を制御するために用いられる電圧と、電極1102と電極1110との間の中間電極1106の位置との間には線形の関係性が存在する。
スイッチ1122を用いて中間電極1106に電荷を与えることは、中間電極1106の寄生ローディングを生じさせ得る。例えば、中間電極1106が完全には電気的に絶縁されていないと、中間電極1106に蓄積した電荷Qが、電極1102と電極1110との間の位置で変化し得る。このQの変化は、電荷に対する中間電極1106の応答に影響し得る。中間電極1106が完全には電気的に絶縁されていないと、そこから上部電極1102及び下部電極1110の各々にまで取り付いた寄生キャパシタンスが存在する。また、蓄積した電荷Qの一部が、時間と共に、中間電極1106からスイッチ1122を通って漏れ得る。
多様なシステム及び方法を用いて、寄生キャパシタンスを考慮することができ、例えば特許文献1(“Analog Interferometric Modulator”との名称で2011年8月2日発行)に記載のものが挙げられる。例えば、変調器1100は、中間電極1106と直列に且つ寄生キャパシタンス1140及び1142に並列に接続されたキャパシタを含むことによって寄生キャパシタンスを考慮するように構成され得る。従って、中間電極1106からスイッチ又は直列キャパシタまでの電気接続無しで、中間電極1106に対して電荷を与えて、次に電荷を絶縁することが有利である。このように電気的に絶縁された電極は、寄生ローディング又は電荷漏れの問題を低減することができる。
〈中性の電気的に絶縁された電極の作動〉
図12は、中間電極に電気的に接続されたスイッチ又は直列キャパシタを用いずに二つの帯電した電極間で移動又は作動可能な中間電極を含むアナログ干渉変調器1200の斜視図の一例を示す。図21〜図23を参照して以下で詳述するように、中間電極に電気的に接続されたスイッチ又は直列キャパシタを用いずに、中間電極をいずれかの帯電した電極に向けて移動させて、中間電極上に電荷を与えることができる。
変調器1200は、上部電極1202と、一定のギャップgによって上部電極1202から離隔された下部電極1210とを含む。可動中間電極又はプレート1206が、ギャップg内に配置されていて、上部電極1202から距離d2で離隔され、下部電極1210から距離d1で離隔され得る。中間電極1206は金属反射体又はミラーであり得る。中間電極1206がギャップg内に配置される際に、中間電極1206は電気的に絶縁可能であり、つまり、外部部品(例えばスイッチ)に電気的に接続されていない。また、中間電極1206は電荷中性であり、負電荷と同じ総数の正電荷を有する。一部実施形態では、電極1202、1206及び1210は薄膜電極である。一部側面では、例えば、薄膜上部電極1202の横寸法がDであり、薄膜上部電極1202の厚さが、横寸法の10分の1以下(D/10以下)である。一部実施形態では、三つの電極の各々が、離隔距離d1及びd2と比較して薄い厚さを有する。例えば、三つの電極の各々の厚さは、離隔距離d1及びd2よりも一桁以上薄いものであり得る。
中間電極1206は、構造体又は部品(図12に示さず)によって機械的に接続及び/又は支持され得る。しかしながら、このような構造体(又は部品)は、中間電極1206を電気的に絶縁したままにするように構成可能である(例えば、構造体は、中間電極1206を電気的に絶縁するのに有用な物質で形成され得る)。図21、図26及び図34を参照して以下で詳述するように、このような構造体は、中間電極1206に対して復元機械力を与えて、中間電極1206をギャップg内の特定の位置に戻すばねを含み得る。
上部電極1202と下部電極1210との間に電場を印加すると、帯電していない電気的に絶縁された中間電極1206を、上部電極1202又は下部電極1210のいずれに向けて作動又は移動させることができる。一実施形態では、これは、上部電極1202及び下部電極1210の一方を他方と異なるサイズに構成することによって達成される。例えば、図12に示される実施形態では、上部電極1202が表面積A2を有する一方、下部電極1210が、A2よりも大きい表面積A1を有する。他の側面では、下部電極1210は、上部電極1202の表面積A2よりも小さい表面積A1を有し得る。中間電極1206は、下部電極1210の表面積よりも小さい又は略等しい表面積を有し得る。
上部電極1202及び下部電極1210にわたる電圧Vの印加は、二つの電極間に不均一な電場を生じさせる。変調器1200の実施形態は、上部電極1202及び下部電極1210にわたって電圧Vを印加して不均一な電場を生じさせるように構成された制御回路を含み得る。
図13は、図12に示されるアナログ干渉変調器の構成の等価回路の例を示す。C1は、下部電極1210と中間電極1206との間のキャパシタンスを表し、C2は、上部電極1202と中間電極1206との間のキャパシタンスを表す。ΔV1は、下部電極1210と中間電極1206との間の電位差を表し、以下の式で与えられる:
ΔV2は、上部電極1202と中間電極1206との間の電位差を表し、以下の式で与えられる:
上部電極1202及び下部電極1210に電圧Vを印加することは、上部電極1202及び下部電極1210に対して同じ大きさを有する電荷を提供する。これらの帯電した電極のいずれかによって中間電極1206に働く電気力は、帯電した電極の表面積に反比例する。しかしながら、この例では、上部電極1202の表面積が下部電極1210の表面積よりも小さいので、上部電極1202は、下部電極1210よりも大きな電気力を中間電極1206に対して働かせる。下部電極1210の表面積が上部電極1202の表面積よりも小さい実施形態では、下部電極1210が、上部電極1202よりも大きな電気力を中間電力1206に対して働かせる。
中間電極1206に対して作用する正味の力を、キャパシタンスC1及びC2に対する平行プレート近似を用いて求めることができる。上部電極1202及び下部電極1210が静止しているので、中間電極1206に対する正味の電気力を以下のように近似することができる:
ここで、ε0は真空の誘電率を表し、A1は下部電極1210の表面積を表し、A2は上部電極1202の有効表面積を表し、ΔV1は下部電極1210と中間電極1206との間の電位差を表し、ΔV2は上部電極1202と下部電極1206との間の電位差を表し、d1は中間電極1206と下部電極1210との間の距離を表し、d2は中間電極1206と上部電極1202との間の距離を表す。A1=A、A2=αA(αは面積係数)としてみると、力の式が以下のように単純化される:
従って、上部電極1202の表面積が下部電極1210の表面積よりも小さい実施形態では、異なる面積を有する電極にわたる電場の印加が、電荷中性の電気的に絶縁された中間プレート1206に対して正味上向きの力をもたらし、それを上部電極1202に向けて上方に移動させる。中間プレート1206は、上部電極1202と接触するように、又は上部電極1202の上の及び/又は上部電極1202と電気的に導通したコンタクト(例えば抵抗コンタクト)と接触するように上向きに移動するように構成される。図23及び図25を参照して以下で詳述するように、中間電極1206と上部電極1202との間の接触は、中間電極1206に対する電荷を変更することができる。
図14は、図12のアナログ干渉変調器の構成において、中間電極1206に対して作用する正味上向きの電気力が、上部電極1202と中間電極1206との間の距離d2でどのように変化するのかを示すグラフの例を示す。この例では、上部電極1202と下部電極1210との間に印加される電圧Vは100ボルトであり、面積係数αは0.25であり、全ギャップ距離gは1000nmであり、画素サイズは53μmであり、この例では、2809μm2の面積Aをもたらす。
一部実施形態では、下部電極1210は、上部電極1202の表面積A1よりも小さな表面積A2を有し得る。このような場合、上部電極1202と下部電極1210との間の電圧の印加は、不均一な電場と、中間電極1206に対する正味下向きの力とをもたらし、下部電極1210と接触するように中間電極1206を動かすことができる。本明細書中で説明されるように、これを用いて、下部電極1210との物理的接触によって中間電極1206を帯電させることができる。
上部電極1202及び下部電極1210は、電極Vが上部電極1202及び下部電極1210にわたって印加された際に、電気的に絶縁された電荷中性中間電極1206を移動させることができる電場をそれらの間に生成するように構成可能である。上部電極と中間電極との間のキャパシタンスであるCtopと、中間電極と下部電極との間のキャパシタンスであるCbotという二つのキャパシタの直列の組み合わせは以下のように与えられ、
ここで、ε0は自由空間の誘電率であり、εtopは上部電極と中間電極との間の頂部ギャップを占める比誘電率であり、A1は上部電極の表面積であり、εbotは下部電極と中間電極との間の下部ギャップを占める比誘電率であり、d2は上部電極と中間電極との間のギャップであり、gは上部電極と下部電極との間の総距離であり、Aは他の下部電極及び中間電極の表面積である。電極面積及び誘電率が頂部キャパシタ部分及び底部キャパシタ部分の両方に対して同じであると、総キャパシタンス値は一定であり、上部電極と下部電極との間のギャップ(例えば、距離d2)に依存しない。電極サイズ及び/又はギャップに充満する媒体の誘電率が不均衡であると、総キャパシタンスは、中間電極が上部電極と下部電極との間に配置されている箇所の関数となる。電気システムは、上方又は下方に単調に中間電極を移動させることによってキャパシタンスを増大させようとして、この増加キャパシタンス(ギャップ距離での増加)の不均衡は、絶縁されて帯電していない中間電極に作用する力になり得る。
図12を参照して上述した一実施形態では、二つの異なる表面積を有する上部電極1202及び下部電極1210は、電気的に絶縁された電荷中性中間電極1206を移動させることができる電場をそれらの間に生成するように構成される。上述のように、総キャパシタンスは、中間電極1206が上部電極1202と下部電極1210との間に配置されている箇所の関数である。上部電極1202及び下部電極1210にわたる電圧Vの印加は、中間電極1206に影響して上部電極1202又は下部電極1210に向けて移動させることができる不均一電場を生じさせる。他の例では、電気的に絶縁された電荷中性中間電極1206を、異なる形状を有する上部電極と下部電極との間に発生させた電場によって移動させることができる。一実施形態では、異なる形状を有する上部電極及び下部電極は同じ又は実質的に同じ表面積を有する。他の実施形態では、異なる形状を有する上部電極及び下部電極は異なる表面積を有する。このような実施形態は、上部電極と下部電極との間の特定の領域内により多くの電気力線を発生させて、このような領域内の電場の流束を増大させる。図15Aを参照して後述する他の例では、上部電極と下部電極との間に印加される電圧が、上部電極付近の接地された相補電極と共に、電気的に絶縁された電荷中性中間電極に影響して、上部電極に向けて移動させる電場を生成することができる。更に他の実施形態では、平行プレート電極構成として近似することができない下部電極及び上部電極の構成が、電気的に絶縁された電荷中性中間電極を移動させることができる電場を生成することができる。更に他の実施形態では、上部電極1202と中間電極1206との間の上部ギャップ、若しくは下部電極1210と中間電極との間の下部ギャップが、誘電流体又はガスで充填され得て、又は上部ギャップ及び下部ギャップの両方が誘電流体又はガスで充填され得る。上部ギャップが変化する際のキャパシタンスの変化率は、下部ギャップが変化する際のキャパシタンスの変化率と異なり、上部電極1202及び下部電極1210にわたって電圧Vが印加された際に、中間電極1206を上部電極1202又は下部電極1206に向けて移動させる。特定の実施形態は、不均一な電場及び/又は特定のキャパシタンス特性に関係するものとして説明され得るが、当業者は、このような実施形態の電気特性及び物理的特性を特徴付けて説明する他の方法が存在し、本明細書に含まれる説明が限定的なものではないことを理解されたい。
〈複合電極構成〉
図15Aは、中間可動電極1506と、上部電極1502と、上部電極1502から一定のギャップgで離隔された下部電極1510とを含むアナログ干渉変調器1500の断面図の例を示す。緩和(又は非作動)位置では、中間電極1506は電気的に絶縁されていて、ギャップg内に位置する。中間電極1506は、この構成において正味ゼロの電荷を有することができる。
また、変調器1500は、上部電極1502に対して横方向に整列された相補電極1524も含む。図示される実施形態では、相補電極1524は、接地されて、上部電極1502から電気的に絶縁されて、相補電極1524及び上部電極1502が二つの電気的に別個の電極となる。
しかしながら、図15Bに示され、図32を参照して以下で詳述されるように、上部電極1502及び相補電極1524は、“複合”電極1526を形成する較正プロセスの間、電気的に接続されるように構成可能である。図15Bは、複合電極1526が形成された後のアナログ干渉変調器1500の例を示す。本願において、“複合電極”とは、電気的に接続された状態にある複合電極内に含まれた二つの電極を指称する。複合電極1526は表面A2を有し、これは、一部実施形態では、下部電極1510の表面積A1と同じ又は実質的に同じである。一実施形態では、相補電極1524が上部電極1502に電気的に接続されて複合電極1526を形成する際に、その複合電極1526は平行プレートとして構成されて、複合電極1526及び下部電極に1510にわたる電圧の印加が、略均一な電場を発生させるようにする。この均一な電場を、通常のIMOD動作中に用いて、例えば、中間電極1506を多様な位置に移動させて多様な色を反射することができる。また、図26〜図33を参照して説明される作動プロセス及び較正プロセス中に、相補電極1524は、後述のように中間電極1506の作動及び較正を補助することができる。
一部実施形態では、相補電極1524は、中間電極1506の下方に配置されて、下方電極1510に対して横方向に整列され得て、下部電極1510及び相補電極1524が複合電極1526を形成するようになる。
相補電極1524が接地されていて上部電極1502から電気的に絶縁されている図15Aを再び参照すると、図15Aに示される電極構成は、所定の印加電圧Vに対して中間電極1506に作用する上向きの電気力を増大させることができる。相補電極1524は、その右端及び左端において中間電極1506の上面1528上の正電荷を誘起することができる。中間電極1506は正味電荷中性で電気的に絶縁されているので、下部電極1510は、図12に示される構成よりも少ない正電荷を中間電極1506の下面1530上に誘起する。結果として、中間電極1506に作用する上向きの力の大きさが、電場の不均一性が異なる面積の上部電極及び下部電極によってのみ達成されている図12に示される構成と比較して増大する。
図16は、図15Aに示されるアナログ干渉変調器の構成を等価回路として特徴付ける概略図の例を示す。以下、中間電極1506に作用する力を、図16を参照して詳述する。この実施形態では、下部電極1510の表面積はAであり、上部電極1502の表面積はαAであり、接地された相補電極1524の表面積は(1−α)Aである。上部電極1502と中間電極1506との間の電位差は以下の式によって与えられる:
下部電極1510と中間電極1506との間の電位差は以下の式によって与えられる:
中間電極1506に作用する正味の力は上向きであり(例えば上部電極1502に向かう)、以下の式によって与えられる:
式(8)を上記式(4)と比較すると、図15Aに示される実施形態に対応する式(8)に示される正味の力の大きさが、図12に示される実施形態で中間電極1206に作用する正味の力の大きさよりも大きいことは明らかである。
図17は、図12の構成の中間電極1206及び図15Aの構成の中間電極1506に作用する正味上向きの力の大きさを、上部電極1202、1502と中間電極1206、1506との間の距離d2の関数として、対数目盛りで示す。両実施形態において、上部電極1202、1502と下部電極1210、1510との間に印加される電圧Vは100ボルトであり、面積係数αは0.25である。図17は、図15Aの構成(相補電極1524が接地されていて上部電極1502から電気的に絶縁されている)の中間電極1506に作用する正味の力Fの大きさが、単一の上部電極1202の構成の中間電極1206に作用する正味の力Fの大きさよりも大きいこと(d2が700nm以下において)を示している。従って、図15Aに示される電極構成は、所定の電圧Vに対して中間電極1506に作用する上向きの電気力を増大させ得る。
図18〜図20は、電気的絶縁及び/又は接続が可能であり複合電極を形成する上部電極及び相補電極を含む多様な電極構成を示す。図18は、図15Aに示される相補電極1524及び上部電極1502の平面図の例を示す。この実施形態では、複合電極は、リング状に形成可能であり、円形の上部電極1502がリング状の相補電極1524に電気的に接続される。相補電極1524は上部電極1502に対して横方向に整列される。この構成では、上部電極1502は、リング状の相補電極1524の内部に側面にそって配置される。
本明細書で説明される複合電極の実施形態は円形又はリング状に限定されない。例えば、図19は、正方形のフレーム状の相補電極1924に対して電気的絶縁及び/又は接続される正方形の上部電極1902を含む他の電極構成の例を示す。上部電極1902は、正方形の相補電極1924の内部に側面にそって配置される。電気的に接続されると、上部電極1902及び相補電極1924は、下部電極1910の表面積に実質的に等しい表面積を有する複合電極を形成することができる。
図20は、インターロッキング構成の例を示し、相補電極2024が上部電極2002に対して横方向に整列される。互いに電気的に接続されると、電極2002及び2024は、下部電極2010の表面積に等しい又は実質的に等しい表面積を有する複合電極を形成することができる。当業者は、複合電極の他の形状及び構成も可能であることを理解されたい。
〈電極に対する電荷の印加〉
上述のアナログ干渉変調器の実施形態は、電荷中性の電気的に絶縁された中間電極を作動させて、不均一な電場の存在下において、中間電極を上部電極又は下部電極に向けて移動させることができる。以下、図21〜図25を参照して、その移動を作動させた後に中間電極に電荷を与える方法を説明する。
〈電極の直接帯電〉
図21は、中間電極2106と、上部電極2102と、下部電極2110とを含むアナログ干渉変調器2100の断面図の例を示す。この実施形態では、上部電極2102は、中間電極2106及び下部電極2110の表面積よりも小さい表面積を有する。中間電極2106は、上部電極2102と下部電極2110との間の不均一な電場の存在下において作動する前のものとして示されている。作動の前に、中間電極2106は、上部電極2102と下部電極2110との間のギャップg内の第一の位置に配置されている。図12を参照して上記で詳述したように、中間電極2106は第一の位置において電気的に絶縁されている。作動の前において、中間電極2106は正味中性の電荷を有する。また、変調器2100は、一つ以上の電気コンタクト、例えば、上部電極2102上に配置された一つ以上の導電性ポスト2132を含むことができる。
図22は、図21の変調器2100の中間電極に電荷を与えるための一方法2200を示すフローチャートの例を示す。方法2200は、帯電作動電圧Vchargeを印加して、上部(又は第一の)電極2102と下部(又は第二の)電極2110との間の不均一な電場を生じさせるブロック2202で開始する。一部実施形態では、電圧Vchargeは100ボルト以下である。他の実施形態では、電圧Vchargeは略10ボルトと略20ボルトとの間であり得る。場合によっては、電圧Vchargeは略20ボルト以下である。上記において詳述したように、中間電極2106は、異なる面積を有する電極2102と電極2110との間の不均一な電場の影響下において、上部電極2102又は下部電極2110のいずれかに向けて作動及び移動可能である。
ブロック2204では、帯電作動電圧を印加すると、電極2106が、ギャップg内において、第一の電極又は第二の電極に向けて移動する。図22の残りの記載は、上部(第一の)電極を参照したプロセスを説明するものであるが、方法2200が、適切な極性の印加帯電作動電圧を用いて下部電極でも実施可能であることは理解されたい。中間電極2106が上部電極2102に向けて移動する実施形態では、中間電極2106は、上部電極2102に向かう不均一電場の影響下において上向きに移動する。言い換えると、中間電極2106は、ギャップg内において、第一の位置から離れて、上部電極2103に近い第二の位置に向けて移動する。ブロック2206において、中間電極2106は、ギャップg内において第二の位置に移動して、上部電極2102に電気的に接続された導電構造体(例えば、導電性ポスト2132)に接触する。中間電極2106がギャップg内の第二の位置にある例が、図23に示されている。
図23は、中間電極2106が上部電極2102上の導電性ポスト2132と接触した後における、第二の位置にある中間電極2106を示す干渉変調器2100の断面図の一例を示す。第二の位置に移動すると、中間電極2106は、導電性ポスト2132に接触し、中間電極2106は上部電極2102に電気的に接続して、最早電気的に絶縁されていない。
図22を再び参照すると、次のブロック2208において、中間電極2106上の電荷を変更する。電気的接触がなされた後において、中間電極2106は、その電荷の散逸又は“漏れ”によって、その負電荷の一部を導電性ポスト2132を介して失い始める。従って、中間電極2106は、第二の位置では電荷中性ではなく、漏れが続くと次第に正に帯電するようになる。一部実施形態では、導電性ポスト2132は、中間電極2106上の電荷の変化率を低減する抵抗を提供する抵抗ポストである。一部実施形態では、抵抗器が、導電性ポスト2106と接地との間の経路に存在する。
中間電極2106と上部電極2102との間の接触を感知して、電荷が中間電極2106から漏れ始める時間を測定することができる。一実施形態では、ブロック2208において中間電極2106上の電荷が変化し始めると、帯電作動電圧Vchargeを、選択された較正電圧Vcalに低下させる。所定の較正電圧Vcalを求める方法については、図31のブロック3104を参照して、以下で検討する。
負電荷が中間電極2106から散逸する速度も求めることができる。一実施形態(図37を参照して詳述する)では、中間電極2106と上部電極2102との間の導電経路の抵抗を増大させることによって、散逸速度を低下させることができる。例えば、導電性ポスト2132を抵抗器を介して上部電極2102に接続することによって、抵抗を増大させることができる。代わりに、導電性ポスト2132を高抵抗物質で形成し得る。
中間電極2106が正味正の電荷を発達させると、中間電極2106に作用する正味上向きの電気力が減少する。最終的には、中間電極2106は、中間電極2106に作用する上向きの電気力が、中間電極2106に作用する機械的ばね力によって中間電極2106に働く下向きの機械力と最早バランスをとれなくなるのにちょうど十分な正味正の電荷を発達させる。
ブロック2210では、中間電極2106は、導電性ポスト2132との接触を断ち、上部電極2102から離れて、ギャップg内の第三の位置に向けて下向きに移動する。一実施形態では、中間電極2106は、接触が断たれた後に、導電性ポストの直下の第三の位置に移動する。本願において、導電性ポスト2132の“直下”に位置する中間電極2106は、導電性ポスト2132と物理的に接触していない。一実施形態では、中間電極2106が導電性ポスト2132の直下の第三の位置に移動する際、中間電極2106は、導電性ポスト2132の下略10ナノメートルの距離に移動する。導電性ポスト2132との電気的接触が断たれた後、中間電極2106は電気的に絶縁される。第一の位置における正味中性の中間電極2106とは対照的に、中間電極は、第三の位置において正に帯電している。
次に、方法2200は、中間電極2106上の電荷が較正されるブロック2212に進む。中間電極2106上の電荷を較正するためのデバイス及び方法については、図39〜図41を参照して後述する。
ブロック2210において、中間電極2106が第三の位置に移動する際、中間電極2106上の正電荷の量が、中間電極2106を保持するばね力の強度(例えば、ばねの剛性)に関係している。ばね力が強いほど、すぐに中間電極2106は導電性ポスト2132との接触を断ち、長く接触していた場合よりも少ない正電荷を有するようになる。一実施形態では、例えば、第一の中間電極Aを支持するばねは、第二の中間電極Bを保持するばねよりも比較的剛性である。結果として、比較的強いばね機械力が第一の中間電極を上部電極2102から下に移動させるように働く前に、負電荷は第一の中間電極Aからあまり漏れない(従って、第一の中間電極Aにはあまり正電荷が与えられない)。対照的に、比較的弱いばねによって働く機械力が、第二の中間電極Bに作用する上向きの電気力を超える前に、より多くの負電荷が第二の中間電極Bから漏れる(より多くの正電荷が第二の中間電極Bに与えられる)。
〈電極の誘導帯電〉
図24は、電荷中性の電気的に絶縁された中間電極上に電荷を与えることができるアナログ干渉変調器2400の断面図の一例を示す。変調器2400は、図21に示される変調器2100と同様のものであり、中間電極2406と、上部電極2402と、下部電極2410とを含む。この実施形態では、変調器2400は、上部電極2402に対して横方向に整列された相補電極2424を含む。図15Bに示される複合電極1526を参照して上述したように、相補電極2424及び上部電極2402は、電気的に接続可能であり、複合電極を形成する。しかしながら、図24に示される実施形態では、相補電極2424は上部電極2402から電気的に絶縁されていて、接地されている。
図示されるように、中間電極2406は、作動前において、上部電極2402と下部電極2410との間のギャップ内の第一の位置に配置されている。中間電極2406は第一に位置において電気的に絶縁されている。作動前において、中間電極2406は正味中性の電荷を有する。また、変調器2400は、一つ以上の電気コンタクトを含むことができる。例えば、一つ以上の導電性ポスト2432が相補電極2424上に配置される。
アナログ変調器2400の実施形態は、図22に示される方法2200に従い、誘導によって中間電極2406に電荷を与えることができる。例えば、帯電作動電圧Vchargeを印加して、上部又は第一の電極2402と下部又は第二の電極2410との間に不均一な電場を生成する。ブロック2204において、中間電極2406は、不均一な電場の影響下において上部電極2402に向けて上向きにギャップ内を移動する。中間電極2406は、ギャップ内において第一の位置から離れて、上部電極2402に近い第二の位置に向けて移動する。ブロック2206において、中間電極2406は、ギャップ内の第二の位置に移動して、相補電極2424上の導電性ポスト2432と接触し、中間電極2406が電荷を受け取る。
図25は、中間電極2406が相補電極2424上の導電性ポスト2432と接触した後における、第二の位置にある中間電極2406を示す変調器2400の断面図の一例を示す。中間電極2406が導電性ポスト2432と接触すると、中間電極2406は最早電気的に絶縁されておらず、第二の位置において相補電極2424に直接電気的に接続される(導電性ポスト2432を介して)。この中間電極2406と相補電極2424との間の接触は、接地経路を提供して、中間電極2406の誘電帯電を提供する。
図22のブロック2208において、中間電極2406上の電荷が変更される。電気的接触がなされた後、中間電極2406上の正電荷は、導電性ポスト2432を通って散逸(漏れ)始める。従って、中間電極2406は、第二の位置において電荷中性ではなく、漏れが続くと次第に負に帯電していく。中間電極2406上の電荷が散逸する速度は制御可能である。例えば、図29を参照して説明される一実施形態では、散逸速度を、相補電極2424及び導電性ポスト2432を接地する抵抗器(図24〜図25に示さず)を用いて、低下させる。
ブロック2208で放電が始まると、帯電作動電圧Vchargeを選択された較正電圧Vcalに低下させることができる。放電が続き中間電極2406が正味負の電荷を発達させると、上部電極2402と中間電極2406との間の引力が弱まる。最終的には、中間電極2406は、中間電極2406に作用する上向きの電気力が最早、中間電極2406をギャップ内に配置する中間電極2406に働く下向きの機械力とバランスがとれなくなるのにちょうど十分な正味負の電荷を発達させる。
図22を再び参照すると、図25に示される接触の後、ブロック2210において、中間電極2406は導電性ポスト2432との接触を断ち、上部電極2402から離れてギャップ内の第三の位置に向けて下向きに移動する。中間電極2406がブロック2210でリリースされる際、中間電極2406上の正電荷の量は、上記で詳述したように、中間電極2406を保持するばねの剛性に関係している。
導電性ポスト2432との電気的接触を断って第三の位置に移動した後、中間電極2406は再び電気的に絶縁されるが、今度は負に帯電している。従って、アナログ干渉変調器2400の実施形態は、中間電極を不均一な電場に晒して、中間電極を帯電したプレート(例えば、上記実施形態では、相補電極2424)と接触するように移動させることによって正味中性の電気的に絶縁された中間電極を誘導帯電させることができる。
次に、方法2200は、中間電極2406上の電荷を較正するブロック2212に進む。中間電極2406上の電荷を較正するためのデバイス及び方法については、図31〜図33を参照して後述する。
当業者は、本明細書で説明される作動及び帯電の方法及びデバイスが、印加電圧に晒される上部電極2402に限定されないことを理解されたい。例えば、一実施形態では、上部電極2402が接地されて、帯電作動電圧が相補電極2424と下部電極2410との間に印加されて、不均一な電場を生成する。このような実施形態では、導電性ポスト2432を、上部電極2402の上に配置することができる。
〈電極上の電荷の較正〉
電極上に電荷を作動及び提供することに加えて、本明細書で説明されるアナログ干渉変調器の実施形態は、電極上に印加された電荷を較正することができる。干渉変調器のアレイ内の中間電極上の電荷の較正は、中間電極を保持する機械的構造体のばね定数のばらつきを補償することができる。以下で詳述する較正プロセスに続いて、一組の正又は負に帯電した電気的に絶縁された電極はそれぞれの上部電極と下部電極との間に懸架される。較正された各中間電極上の正(又は負)電荷は、その電極を保持する特定のばねの剛性の関数である。
例えば、本明細書で説明される較正プロセスの後において、比較的弱いばねによって支持されている中間電極E1は、比較的強いばねによって支持されている中間電極E2よりも少ない正電荷を有する。一つのグローバル電圧(例えば1ボルト)をE1及びE2に付随しる上部電極及び下部電極にわたり印加すると、印加電場によりE1及びE2に結果として作用する電気力は、E1及びE2上の電荷に比例する。より多くの正電荷でE2に作用する力は、より少ない正電荷でE1に作用する力よりも大きい。E2に作用するより大きな電気力は、そのより硬いばねによって働くより大きな機械力を補償することができて、同じ印加電圧でE1と同じ位置に移動する。従って、一組の中間電極上の電荷の較正を用いて、ばね定数のばらつきに関わらず、複数の電極を同じ位置に移動させることができる。
〈電極の誘電帯電及び較正〉
電荷中性の電気的に絶縁された電極を誘導帯電させて較正するためのシステム及び方法を、図26〜図33を参照して以下詳述する。
図26は、電荷中性の電気的に絶縁された電極上に電荷を与えることができて、そして電極に作用する特定の機械的ばね力を考慮するようにその電荷を較正することができるアナログ干渉変調器2600の断面図の例を示す。変調器2600は、下部又は第二の電極2600からギャップgで離隔された上部又は第一の電極2602を含む。また、変調器2600は、上部電極2602に対して横方向に整列された相補電極2624も含む。また、変調器2600は、相補電極2624を上部電極2602に電気的に接続することができるスイッチ2638、又は代わりに、相補電極2624を接地することができるスイッチ2638も含む。
また、変調器2600は、ギャップg内に懸架され且つばね2634によって支持された中間電極2606も含む。図26に示されるように、中間電極2606が第一の位置においてギャップg内に懸架されていると、中間電極2606は電気的に絶縁されている。また、中間電極は第一の位置において電荷中性である。中間電極2606が第一の位置から離れて移動すると、ばね2634によって中間電極2606に印加された機械的復元力が、中間電極2606を第一の位置に戻すように働く。
相補電極2624は一つ以上の導電性ポスト2632を含む。一部実施形態では、相補電極2624は、はじめは上部電極2602から電気的に絶縁されていて、抵抗素子2636を介して接地されている。一実施形態では、抵抗素子2636は、導電性ポスト2632を通る電流を減少させるように構成された抵抗器である。図32を参照して後述するように、相補電極2624及び上部電極2602は電気的に接続されて、複合電極2626を形成することができる。
図27は、上部電極2602と下部電極2610との間のギャップg内の第一の位置に配置された中間電極2606を示す変調器2600の断面図の例を示す。図15及び図24を参照して上記で詳述したように、帯電作動電圧Vchargeを上部電極2602及び下部電極2610に印加して、それらの間に不均一な電場を生成する。
図28は、中間電極2606を不均一な電場の影響下で作動させた後の変調器2600の断面図の例を示す。この図では、中間電極2606は、第一の位置から離れて上部電極2602に向けて上向きに移動しているが、中間電極2606は依然として電気的に絶縁されて電荷中性のままであり、負電荷と同じ数の正電荷を有する。
図29は、相補電極2624上の導電性ポスト2632と電気的に接触した後の第二の位置にある中間電極2606の断面図の例を示す。図25を参照して詳述したように、中間電極2606上の負電荷は、上部電極2602上の正電荷と結合されている一方、中間電極2606と相補電極2624との間の電気的接触は、中間電極2606上の正電荷を中性化する。ばね2634によって中間電極2606に働く機械的復元力は、上部電極2602と下部電極2610との間の電場によって働く電気力よりも小さい。中間電極2606上の正電荷が導電性ポスト2632との電気的接触を介して散逸し続けると、中間電極2606は次第に負に帯電するようになる。本明細書の上記及び他の箇所の説明では、正電圧を下部電極2610と上部電極2602との間に印加すると仮定していた。しかしながら、印加帯電作動電圧が負である実施形態では、中間電極2606上の負電荷が散逸して、中間電極2606が次第に正に帯電するようになる。
中間電極上の電荷の散逸速度は制御可能である。例えば、一実施形態では、散逸速度は、導電性ポスト2632及び相補電極2624を抵抗器2636を介して接地することによって、制御及び/又は低減される。散逸速度を、特定の又は所望の抵抗を有する抵抗器2636を選択して導電性ポスト2632及び相補電極2624を接地することによって、低減することができる。
図30は、ばねの復元力が中間電極2606に作用する電気力を超えて、中間電極2606を上部電極2602から離して下方に引いた後における、第三の位置にある中間電極2606の断面図の例を示す。中間電極は再び電気的に絶縁されるが、今度は負に帯電している。中間電極2606上の負電荷は、中間電極2606を支持しているばね2634の剛性に関係している。
中間電極を作動させて中間電極上に電荷を与える方法について、図26〜図30を参照して説明してきた。以下、図31〜図33を参照して、中間電極2606上に印加された電荷を較正するための方法及びシステムを説明する。
図31は、例えば図26の変調器2600を用いて、中間電極上の電荷量を較正するための一方法3100を示すフローチャートの例を示す。以下の開示では、図31に示される方法3100のブロックに関係する図32及び図33の特徴も参照する。方法3100は、相補電極2624を上部電極2602に電気的に接続して複合電極2626を形成するブロック3102で始まる。一実施形態では、電極2624及び2602は、電極2624及び2602を絶縁又は接続するように構成された一つ以上のスイッチ2638で互いに接続される。一部側面では、各変調器2600は画素毎に2つのスイッチを含む。他の実施形態では、スイッチ2638は、複合電極2626を形成するように開くか、複合電極2626を、相補電極2624及び上部電極2602という二つの別々の電極に分割するように閉じることができるトランジスタを含む。
図32は、一つ以上のスイッチ2638が閉じて、相補電極2624及び上部電極2602を含む複合電極2626を形成した後における、変調器2600の断面図の例を示す。相補電極2624は最早上部電極2602から電気的に絶縁されておらず、抵抗器2636を介して上部電極2602に電気的に接続されている。ここでは、相補電極2624及び上部電極2602の両方が接地点から電気的に絶縁されている。一つ以上のスイッチ2638が閉じた後において、複合電極2626の表面積は、下部電極2610の表面積と同じ又は実質的に同じである。
中間電極2606が作動して帯電した後、図26〜図30を参照して上述したように、中間電極2606は、複合電極2626と下部電極2610との間のギャップ内の第三の位置に留まる。一部実施形態では、較正プロセスの開始時における中間電極2606の位置を、“第一”の位置と称する。帯電プロセスの終了時において“第三”の位置にあると説明されようとも、又は較正プロセスの開始時において“第一”の位置にあると説明されようとも、中間電極2606がギャップg内の同じ位置にあることを当業者は理解されたい。
図31を参照すると、ブロック3104において、選択された較正電圧Vcalに等しい電圧が下部電極2610と複合電極2626との間に印加される。中間電極2606上に電荷を印加するための上記帯電作動電圧とは異なり、下部電極2610と複合電極2626との間に印加される電圧Vcalは、電極2602と電極2626との間に実質的に均一な電場を生成するように構成される。一部側面では、電圧Vcalは100ボルト以下であり得る。他の側面では、電圧Vcalは略10ボルトと略20ボルトの間であり得る。場合によっては、電圧Vcalは略20ボルト以下である。コントローラは、較正プロセスの間、複合電極2626及び下部電極2610にわたって較正電圧を印加するように構成可能である。
一部実施形態では、較正電圧Vcalは、変調器2600又は変調器2600のアレイの製造時に求められる。例えば、まず、変調器アレイ中の各変調器の中間電極2606に作用する機械的ばね力を見積もって、アレイ内の機械的ばね力の範囲を求めることができる。そして、この範囲を、経年劣化、環境要因、及び変調器2600のアレイの予想寿命中の他の影響に起因して想定される機械的ばね力の変化を考慮するように調整する。そして、アレイ中の各変調器2600に印加される単一の較正電圧Vcalを、この情報に基づいて選択することができる。一実施形態では、Vcalは、アレイ中で最も強い機械的ばね力を有する変調器2600が複合電極2626と電気的に接触する第二の位置に向けて上向きに移動することを保証するように選択される。他の実施形態では、Vcalは、Vcalがアレイにわたって各変調器2600に印加される際に、アレイ中の各変調器2600の中間電極2606が複合電極2626と電気的に接触する第二の位置に向けて上向きに移動することを保証するように選択される。
次に、本方法は、負に帯電した中間電極が、下部電極2610と複合電極2626との間の均一な電場の影響下で複合電極2626に向けて上向きに移動するブロック3106に進む。従って、電場によって中間電極2606に印加される電気力が、中間電極26060を、第一の位置から離れて、複合電極2626と電気的に接触する第二の位置に向けて移動させる。次に、ブロック3108において、中間電極2606が第二の位置に達して、相補電極2624上の一つ以上の導電性ポスト2632を介して複合電極2626に電気的に接続される。
図32は、第二の位置にあり導電性ポスト2632に接触している中間電極2606を示す変調器2600の断面図の例を示す。中間電極2606は最早電気的に絶縁されておらず、第二の位置において複合電極2626に直接電気的に接続されている(導電性ポスト2632を介して)。
図31を再び参照すると、ブロック3110において、中間電極2606上の電荷が変更される。中間電極2606が複合電極2626と接触した後、中間電極2606がばね2634の機械的復元力に最早耐えられなくなるまで、中間電極2606上の電荷の一部が中性化される。
次にブロック3112に進むと、機械的復元力が第三の電極2606に印加された電気力を超えると、中間電極2606は、ギャップg内の第三の位置に向けて下向きに移動する。較正プロセスにおける第三の位置(例えば図31のブロック3112で参照される第三の位置)は、作動プロセスにおける第三の位置(例えば図22のブロック2210で参照される第三の位置)と同じであり得るが、必ずしもそうとは限らない。図33は、中間電極が導電性ポスト2632から離れて、第三の位置に向けて移動し、つまり、中間電極2606上に残る負電荷を絶縁した後における、変調器2600の断面図の例を示す。中間電極2606がブロック3112でリリースされる際に、中間電極2606上の負電荷の量は、中間電極2606を保持するばねの剛性に関係している。以上で、変調器2600が較正されて、作動範囲内にあるか、又は作動可能な状態になる。
図33Aは、較正された電荷Qcを有する中間電極2606を備えたアナログ干渉変調器の断面概略図の例を示す。較正された電荷Qcは、中間電極2606を支持するばね2634の剛性に関係している。一実施形態では、中間電極2606上の較正された電荷Qcと、中間電極2606を支持するばね2634の剛性との間の関係は以下の式で示される:
ここで、ε0は真空の誘電率を表し、Aは中間電極2606の表面積を表し、Vcは上部電極2602を帯電させる電圧を表し、xcは、静止(緩和)位置にある中間電極2606の位置から導電性ポスト2632までの距離を表し、Kはばね定数を表し、d0はギャップgの距離を表す。
図31を参照して説明した較正プロセスを、アレイ内の一組の変調器2600に適用することができる。図31で説明される較正プロセスの後に、複数の負に帯電した電気的に絶縁された中間電極が、それぞれの上部電極と下部電極との間に懸架される。較正された各中間電極上の負電荷は、電極を保持する特定のばねの剛性の関数である。また、較正された各中間電極上の負電荷の量は、同じ電圧が全ての中間電極にわたって印加された際に、各中間電極が、確実且つ常に同じ位置に移動することを確実にするのに十分なものである。従って、一組の中間電極上の電荷の較正を用いて、関連するばね定数のばらつきに関わらず、電極を同じ位置に移動させることができる。
本明細書で説明される較正プロセスを用いて、ディスプレイ内の変調器2600を較正することができる。一実施形態では、ディスプレイは、アレイに配置された複数のアナログ干渉変調器2600を含む。駆動電圧をアレイ内の複数の干渉変調器2600にわたって印加して、ディスプレイを動作させて、データを表示することができる。ディスプレイの動作は、アレイ内の変調器の中間電極2606を、上部電極2602及び下部電極2610によって形成されたギャップ内の多様な位置に作動又は移動させて、画像及び/又はデータを表示することを含むことができる。ギャップ内の中間電極2606の位置は、アナログ干渉変調器の画素の反射されて表示される色を決めるのに有用である。ディスプレイの動作又は駆動は、複数の干渉変調器2600の各々の中間電極2606から散逸する電荷をもたらし得る。一部実施形態では、ディスプレイが動作した後に、中間電極2606は電荷中性になる。他の実施形態では、ディスプレイが動作した後に、電荷が中間電極2606上に残る。一部実施形態では、散逸電圧を印加して、中間電極2606を導電性ポスト2632に接触させて、中間電極2606から全ての電荷を散逸させることができる。
そして、図26〜図33を参照して説明した作動プロセス、帯電プロセス、及び較正プロセスを、二度目にディスプレイ上にデータを表示するのに備えて、実施することができる。各変調器2600の相補電極2624を、上部電極2602から電気的に絶縁して、接地することができる。そして、図27〜図28を参照して上述した作動プロセスを実施することができる。例えば、帯電作動電圧を、各変調器2600の上部電極2602及び下部電極2610にわたって印加して、上部電極2602と下部電極2610との間のギャップ内に不均一な電場を生成することができる。帯電作動電圧は、駆動電圧と同じ又は実質的に同じであり得る。図27〜図28を参照して説明したように、各変調器2600の中間電極2606は上部電極2602に向けて作動又は移動する。
そして、図29〜図30を参照して説明した帯電プロセスをアレイ内の全ての変調器2600にわたって実施することができる。そして、図31〜図33を参照して説明したように、較正プロセスを各変調器2600に対して実施して、各中間電極2606に印加された電荷を較正することができる。一実施形態では、較正プロセス中に中間電極2606を作動させるのに用いられる較正電圧は、帯電作動電圧よりも小さい。較正プロセスの後に、変調器2600は動作可能状態になる。駆動電圧を複数の変調器にわたって再び印加して、ディスプレイを動作させて、データを表示することができて、サイクルを再び開始する。一部実施形態では、サイクルを再び始める前に、上述のように、散逸電圧を印加して、中間電極2606を電荷中性状態に戻すことができて、又は、中間電極2606は、更に帯電されて較正される際に多少の電荷を保持することができる。動作(例えばデータ表示)、作動、帯電、及び較正の上記サイクルを有用であれば繰り返して、デバイスの寿命における中間電極2606からの電荷の漏れ速度の変動を考慮するように調整することができる。
〈電極のスイッチ無しでの帯電及び較正〉
以下、図34〜図41を参照して、スイッチを用いずに電荷中性の電気的に絶縁された電極を帯電及び較正するためのシステム及び方法を説明する。
図34は、スイッチの無い較正配置を用いて、電荷中性の電気的に絶縁された電極上に電荷を与えて、次に電極に作用する特定の機械的ばね力を考慮するように電荷を補正することができるアナログ干渉変調器3400の例を示す。変調器3400は、ギャップgによって下部又は第二の電極3410から離隔された上部又は第一の電極3402を含む。また、変調器3400は、ギャップg内に懸架されてばね3434によって支持された中間電極3406も含む。
図34に示されるように、中間電極3406が第一の位置においてギャップg内に懸架される際、中間電極3406は電気的に絶縁されている。また、中間電極は第一の位置において電荷中性である。中間電極が第一の位置から離れて動くと、ばね3434によって中間電極3406に印加された機械的復元力が、中間電極3406を第一の位置に戻すように働く。
変調器3400は、上部電極3402に対して横方向に整列された一つ以上の抵抗コンタクト又はポスト3432を含む。導電性ポスト3432は、抵抗素子3436を介して上部電極3402に電気的に接続される。一実施形態では、抵抗素子3436は、導電性ポスト3432を通る電流を減少させるように構成された抵抗器である。
図35は、作動及び帯電プロセスの開始時における変調器3400の断面図の例を示す。図27に示されるように、中間電極3400は初め電荷中性である。帯電作動電圧Vchargeを印加して、上部電極3402と下部電極3410との間に不均一な電場を生成する(図12及び図23を参照して上記で詳述したように)。この実施形態では、印加電圧Vchargeの結果として(互いに相対的に)、上部電極3402は正電荷を有し、下部電極が負電荷を有する。
図36は、図23を参照して詳述したように中間電極3406が不均一な電場の影響下において作動した後における変調器3400の断面図の例を示す。この図では、中間電極3406が第一の位置から離れて上部電極3402に向けて上向きに移動しているが、依然として電気的に絶縁されていて電荷中性である。
図37は、導電性ポスト3432と電気的に接触した後における、第二の位置にある中間電極3406を示す変調器の3400の断面図の例を示す。図23を参照して詳述したように、中間電極3406と導電性ポスト3432との間の電気的接触は、中間電極3406上の負電荷を減少させる。一実施形態では、中間電極3406上の電荷の変化率は、導電性ポスト3432を抵抗器3436を介して上部電極3402に接続することによって制御及び/又は低減される。例えば、中間電極3406上の電荷の変化率は、特定の又は所望の抵抗を有する抵抗器3436を選択して導電性ポスト3432及び上部電極3402を接続することによって、制御及び/又は低減可能である。
従って、中間電極3406は、導電性ポスト3432との直接接触によって帯電する。ばね3434により中間電極3406に働く機械的復元力は、上部電極3402と下部電極3410との間の電場によって働く電気力よりも小さい。中間電極3406上の負電荷が導電性ポスト3432との電気的接触を介して散逸すると、中間電極3406は次第に正に帯電するようになる。
図38は、ばねの復元力が中間電極3406に作用する電気力を超えて、中間電極3406を導電性ポスト3432から離して下方に引いた後における、第三の位置にある中間電極3406を示す変調器3400の断面図の一例を示す。中間電極は、再び電気的に絶縁されるが、今度は正に帯電している。中間電極3406上の正電荷は、中間電極3406を支持するばね3434の剛性に関係している。この場合、電荷を較正する較正プロセスの前に、中間電極3406が電荷を有し、ギャップg内の電気的に絶縁された位置に戻る。
中間電極3406を作動させて中間電極3406上に電荷を直接あたえる方法について、図34〜図38を参照して説明してきた。以下、図39〜図41を参照して、中間電極3306上に印加された電荷を較正するための方法及びシステムを説明する。
図34〜図38を参照して上述した作動及び帯電プロセスの終了時において、中間電極3406は、上部電極3402と下部電極3410との間のギャップg内の第三の位置に留まっている。一部実施形態では、較正プロセスの開始時における中間電極3406の位置が、“第一”の位置と称される。
図39は、図34の変調器3400を用いて、中間電極上の電荷を較正するための一方法3900を示すフローチャートの例を示す。方法3900は、上部電極3402に印加された電圧を選択された較正電圧Vcalに設定するブロック3902で開始する。Vcalを求める方法は、図31のブロック3104を参照して上記で詳述している。一部実施形態では、印加電圧の極性が逆になり、負電圧が上部電極3402に印加されて、正電圧が下部電極3410に印加される。
ブロック3904では、正に帯電した中間電極が、上部電極3402と下部電極3410との間の電場の影響下において導電性ポスト3432に向けて上向きに移動する。電場によって中間電極3406に印加される力は、中間電極3406を第一の位置から離れて、導電性ポスト3432と電気的に接触する第二の位置に向けて移動させる。
次に、ブロック3906において、中間電極3406が、第二の位置に移動して、導電性ポスト3432に電気的に接続される。
図40は、第二の位置にあり導電性ポスト3432と接触している中間電極3406を示す変調器3400の断面図の例を示す。中間電極3406は最早電気的に絶縁されておらず、第二の位置において導電性ポスト3432に直接電気的に接続されている。
次に、ブロック3908において、中間電極3406上の電荷が変更される。図40に示されるように、中間電極3406と導電性ポスト3432との間の電気的接触がなされると、中間電極3306がばね3434の機械的復元力に最早耐えることができなくなるまで、中間電極3406上の正電荷の一部が失われる。
次にブロック3910に進むと、機械的復元力が第三の電極3406に印加される力を超えると、中間電極3406は、ギャップg内の第三の位置に向けて下向きに移動する。図41は、中間電極が導線性ポスト3432から離れて、第三の位置に移動することによって、中間電極3406上に残っている正電荷を絶縁した後における、変調器3400の断面図の例を示す。上記で詳述したように、中間電極3406がブロック3910でリリースされる際、中間電極3406上の正電荷の量は、中間電極3406を支持するばねの剛性に関係している。以上で、変調器3400が較正されて、動作範囲内にあるか、又は動作可能状態になる。
図39を参照して説明した較正プロセスを、アレイ内の一組の変調器3400に適用することができる。図39で説明される較正プロセスの後に、一組の正に帯電して電気的に絶縁された中間電極は、それぞれの上部電極と下部電極との間に懸架される。較正された各中間電極上の正電荷は、その電極を保持する特定のばねの剛性の関数である。一組の中間電極上の電荷の較正を用いて、関連するばね定数のばらつきにも関わらず、所定の印加電圧に対して電極を同じ位置に移動させることができる。
図39を参照して説明した較正プロセスを用いて、ディスプレイ内の変調器3400を較正することができる。一実施形態では、ディスプレイは、アレイに配置された複数のアナログ干渉変調器3400を含む。駆動電圧を、アレイ内の複数の変調器3400にわたって印加して、ディスプレイを動作させて、データを表示することができる。ディスプレイを動作させることは、アレイ内の変調器の中間電極3406を、上部電極3402及び下部電極3410によって形成されたギャップ内の多様な位置に作動又は移動させて、画像及び/又はデータを表示することを含むことができる。ディスプレイを動作させることは、複数の変調器3400の各々における中間電極3306から散逸する電荷をもたらし得る。一部実施形態では、ディスプレイを動作させることは、中間電極3306が較正されていない電荷を有するように、複数の変調器3400の各々における中間電極3306から散逸する電荷をもたらし得る。一部実施形態では、散逸電圧を印加することによって、電荷を中間電極3406から意図的に散逸させる。
図34〜図41を参照して説明した作動プロセス、帯電プロセス及び較正プロセスを、二度目にディスプレイ上にデータを表示するのに備えて実施することができる。初めに、図35〜図36を参照して上述した作動プロセスを実施することができる。例えば、帯電作動電圧を、各変調器3400の上部電極3402及び下部電極3410にわたって印加して、上部電極3402と下部電極3410との間のギャップ内に不均一な電場を生成することができる。電荷作動電圧は、駆動電圧と同じ又は実質的に同じであり得る。図35〜図36を参照して説明したように、各変調器3400の中間電極3406を、上部電極3402に向けて作動又は移動させる。
そして、図37〜図38を参照して説明した帯電プロセスを、アレイ内の全ての変調器3400にわたり実施することができる。そして、図39〜図41を参照して説明したように、較正プロセスを、各変調器3400に対して実施して、各中間電極3406に印加された電荷を較正することができる。一実施形態では、較正プロセス中に中間電極3406を作動させるのに用いられる較正電圧は、帯電作動電圧よりも小さい。較正プロセスの後に、変調器3400は動作可能状態になる。駆動電圧を複数の変調器にわたって再び印加して、ディスプレイを動作させて、データを表示して、サイクルを再び開始する。一部実施形態では、複数の駆動電圧を所定の変調器に印加して、再び作動、帯電及び較正する前の異なる時点において異なる色を表示する。一部実施形態では、サイクルを再び開始する前に、上述のように、散逸電圧を印加して、中間電極3406を電荷中性状態に戻すことができて、又は、中間電極3406は、更に帯電及び較正される際に多少の電荷を保持することができる。動作(例えばデータ表示)、作動、帯電、及び較正の上記サイクルを有用であれば繰り返して、デバイスの寿命における中間電極3406からの電荷の漏れ速度の変動を考慮するように調整することができる。
図34に示される“スイッチ無し”の実施形態において中間電極上の電荷を較正するために中間電極を作動させる電圧は、図26に示される実施形態において較正のために中間電極を作動させる電圧よりも大きい。図34に示される“スイッチ無し”の実施形態の上部電極3402は、図32に示される実施形態の複合電極2626よりも小さな表面積を有する。図17を参照して上述したように、図34に示される“スイッチ無し”の実施形態のより小さな上部電極3402により働く力は、一般的に、図32に示される実施形態の複合電極2626による働く力よりも小さいので、より高い電圧が、中間電極を作動させるのに一般的には用いられる。また、図34に示される実施形態の上部電極3402と下部電極3410との間のキャパシタンスは一定ではなくて、中間電極3406の位置の関数であることを理解されたい。結果として、上部電極3402と下部電極3410との間のキャパシタンスは、中間電極3406の変位の非線形関数である。非線形の程度は、上部電極3402と、中間電極3406と、下部電極3410との間の面積の差によって決まる。
本明細書で説明される作動、帯電、及び較正の方法及びシステムは、電気機械システムデバイスや、MEMSデバイスに限定されるものではない。本明細書で説明される方法及びシステムは、作動、電荷の印加、電極上の電荷の較正を含むあらゆるディスプレイデバイスにおいて使用可能であり、例えばOLEDデバイスやLCDデバイスが挙げられる。また、本明細書で説明されるデバイス、方法及びシステムは、ねじりミラー又は電極を有するデバイスにおいても実施可能である。例えば、電気的に絶縁された電荷中性のねじりミラー又は電極を作動させて、不均一場の影響下において回転運動させることができる。
図42A及び図42Bは、複数の干渉変調器を含むディスプレイデバイス40を示すシステムブロック図の例を示す。ディスプレイデバイス40は例えばスマートフォンや携帯電話であり得る。しかしながら、ディスプレイデバイス40の同じ部品又はその若干の変更例は、例えばテレビ、電子リーダ、携帯メディアプレーヤー等の多様なタイプのディスプレイデバイスを表すものでもある。
ディスプレイデバイス40は、筐体41と、ディスプレイ30と、アンテナ43と、スピーカ45と、入力デバイス48と、マイク46とを含む。筐体41は、多様な製造プロセスで形成可能であり、射出成形や真空成形が挙げられる。また、筐体は多様な物質から作製可能であり、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、セラミック、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。筐体41は、取り外し可能な部分(図示せず)を含み得て、色が異なったり、異なるロゴ、写真、又は記号を含んだりする他の取り外し可能な部分と相互交換可能となり得る。
ディスプレイ30は、本明細書で説明されるような、双安定ディスプレイやアナログディスプレイを含む多様なディスプレイのいずれかであり得る。また、ディスプレイ30は、例えばプラズマ、EL、OLED、STN LCD、TET LCD等のフラットパネルディスプレイ、又は例えばCRTや他のチューブデバイス等のフラットパネルではないディスプレイを含むようにも構成され得る。また、ディスプレイ30は、本明細書で説明されるような、干渉変調器ディスプレイを含み得る。例えば、ディスプレイは、本明細書で説明される方法を用いて動作、作動、帯電及び/又は較正されるアナログ干渉変調器画素を含むことができる。
ディスプレイデバイス40の構成要素が、図42Bに概略的に示されている。ディスプレイデバイス40は、筐体41を含み、また、それに少なくとも部分的に取り囲まれた追加の構成要素も含み得る。例えば、ディスプレイデバイス40は、送受信機47に結合されたアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。送受信機47はプロセッサ21に接続され、そのプロセッサ21は調整ハードウェア52に接続される。調整ハードウェア52は、信号を調整する(例えば信号をフィルタリングする)ように構成され得る。調整ハードウェア52は、スピーカ45及びマイク46に接続される。プロセッサ21は、入力デバイス48及びドライバコントローラ29にも接続される。ドライバコントローラ29はフレームバッファ28とアレイドライバ22とに結合されて、そのアレイドライバ22はディスプレイアレイ30に結合される。電源50は、特定のディスプレイデバイス40の設計により必要とされるような全ての構成要素に電力を供給することができる。
ネットワークインターフェース27は、アンテナ43及び送受信機47を含み、ディスプレイデバイス40が、ネットワーク上の一つ以上のデバイスと通信できるようにする。ネットワークインターフェース27は、例えばプロセッサ21のデータ処理要求を軽減するようにある程度の処理性能も有し得る。アンテナ43は、信号を送受信する。一部実施形態では、アンテナ43は、IEEE 16.11規格(IEEE 16.11(a)、(b)、(g)を含む)又はIEEE 802.11規格(IEEE 802.11a、b、g、nを含む)に準拠したRF信号を送受信する。他の一部実施形態では、アンテナ43は、BLUETOOTH(登録商標)規格に準拠したRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナ43は、CDMA(code division Multiple access)、FDMA(frequency division multiple access)、TDMA(time division multiple access)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、GSM(登録商標)/GPRS(General Packet Radio Service)、EDGE(Enhanced Data GSM(登録商標) Environment)、TETRA(Terrestrial Trunked Radio)、W‐CDMA(Wideband‐CDMA)、EV‐DO(Evolution Data Optimized)、1xEV‐DO、EV‐DO Rev A、EV‐DO Rev B、HSPA(High Speed Packet Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)、HSPA+(Evolved High Speed Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)、AMPS、又は、例えば3Gや4G技術を用いたシステム等のワイヤレスネットワーク内の通信に使用される他の既知の信号を受信するように設計される。送受信機47は、アンテナ43から受信した信号を前処理することができて、その信号が、プロセッサ21によって受信されて更に操作されるようにする。また、送受信機47は、プロセッサ21から受信した信号を処理することもできて、その信号が、アンテナ43を介してディスプレイデバイス43から送信されるようにする。
一部実施形態では、送受信機47を受信機に置換し得る。また、一部実施形態では、ネットワークインターフェース27を、プロセッサ21に送信される画像データを記憶又は発生させることができる画像ソースに置換し得る。プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の動作全体を制御し得る。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27又は画像ソースから例えば圧縮画像データ等のデータを受信して、そのデータを、生の画像データ、又は生の画像データへと簡単に処理されるフォーマットへと処理する。プロセッサ21は、処理されたデータを、ドライバコントローラ29又は記憶用のフレームバッファ28に送信し得る。生データとは典型的に、画像内の各位置における画像特性を識別する情報のことを称する。例えば、そのような画像特性として、色、彩度、グレイスケールレベルが挙げられる。
プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の動作を制御するためのマイクロコントローラ、CPU、又は論理ユニットを含み得る。調整ハードウェア52は、信号をスピーカ45に送信し、また、マイク46から信号を受信するために、アンプ及びフィルタを含み得る。調整ハードウェア52は、ディスプレイデバイス40内部の個別部品であり得て、または、プロセッサ21又は他の構成要素内に組み込まれ得る。
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21が発生させた生の画像データを、プロセッサ21から直接又はフレームバッファ28から受け取って、アレイドライバ22への高速伝送のために、その生の画像データを再フォーマットし得る。一部実施形態では、ドライバコントローラ29は、生の画像データを、ラスタ状フォーマットを有するデータフローに再フォーマットし得て、そのデータフローがディスプレイアレイ30にわたる走査に適したタイムオーダを有するようにする。そして、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送信する。例えばLCDコントローラ等のドライバコントローラ29は、スタンドアローン型集積回路(IC,integrated circuit)としてシステムプロセッサ21に付随することが多いが、このようなコントローラは、多様な方法で実現され得る。例えば、コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21に実装されるか、ソフトウェアとしてプロセッサ21に実装されるか、又はアレイドライバ22と共にハードウェア内に完全に集積され得る。
アレイドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信して、ビデオデータを、並列な組の波形に再フォーマットすることができて、その並列な組の波形は、一秒当たり何度も、数百、場合によっては数千(又はそれ以上)のリード(ディスプレイの画素のx‐yマトリクスから来る)に印加される。
一部実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22及びディスプレイアレイ30は、本願で説明されるあらゆる種類のディスプレイに適したものである。例えば、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラ又は双安定ディスプレイコントローラ(例えば、IMODコントローラ)であり得る。また、アレイドライバ22は、従来のドライバ又は双安定ディスプレイドライバ(例えば、IMODディスプレイドライバ)であり得る。更に、ディスプレイアレイ30は、従来のディスプレイアレイ又は双安定ディスプレイアレイ(例えば、IMODのアレイを含むディスプレイ)であり得る。一部実施形態では、ドライバコントローラ29は、アレイドライバ22と集積され得る。このような実施形態は、携帯電話、腕時計、及び小型ディスプレイ等の高集積システムにおいて有用となり得る。
一部実施形態では、入力デバイス48は、使用者がディスプレイデバイス40の動作を制御することができるように構成され得る。入力デバイス48は、キーパッド(例えばQWERTYキーボードや電話のキーパッド等)、ボタン、スイッチ、ロッカー、タッチスクリーン、又は圧力感知若しくは熱感知膜を含み得る。マイク46は、ディスプレイデバイス40用の入力デバイスとして構成され得る。一部実施形態では、マイクロ46を介した音声命令を用いて、ディスプレイデバイス40の動作を制御することができる。
電源50は、多様なエネルギーストレージデバイスを含み得る。例えば、電源50は、充電式バッテリ(例えばニッケルカドミウムバッテリやリチウムイオンバッテリ等)であり得る。充電式バッテリを用いた実施形態では、充電式バッテリは、例えばコンセント又は光起電デバイス若しくはアレイからの電力を用いて充電可能である。代わりに、充電式バッテリは非接触式で充電可能である。また、電源50は、再生可能エネルギー源、キャパシタ、太陽電池(プラスチック太陽電池や太陽電池ペイント等)でもあり得る。また、電源50は、コンセントから電力供給されるようにも構成可能である。
一部実施形態では、制御プログラム可能性は、電子ディスプレイシステム内の複数箇所に配置可能なドライバコントローラ29内に在る。他の一部実施形態では、制御プログラム可能性はアレイドライバ22内に在る。上述の最適化は、あらゆる数のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素及び多様な構成において実施可能である。
本願で開示される実施形態に関して説明される多様で例示的な論理、論理ブロック、モジュール、回路、アルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両者の組み合わせとして実施され得る。ハードウェア及びソフトウェアの可換性は、一般的にその機能性に関して説明され、上述の多様で例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路及びステップにおいて説明されている。このような機能性がハードウェアにおいて実施されるかソフトウェアにおいて実施されるのかは、具体的な応用と、システム全体に課せられる設計の制約に依存する。
本願で開示される側面に関して説明される多様で例示的な論理、論理ブロック、モジュール、回路を実施するために用いられるハードウェア及びデータ処理装置は、本願で説明される機能を実施するように設計された汎用の単一又はマルチチッププロセッサ、DSP(digital signal processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)、他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート又はトランジスタ論理、個別ハードウェア部品、又はこれらの組み合わせを用いて、実施又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、又は従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であり得る。また、プロセッサは、複数の計算デバイスの組み合わせ(例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた一つ以上のマイクロプロセッサ、このような他の構成)としても実施可能である。一部実施形態では、特定のステップ及び方法が、所定の機能専用の回路によって実行され得る。
一以上の側面において、説明される機能が、ハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア(本明細書で開示される構造、その等価な構造物、又はそれらの組み合わせを含む)において実施され得る。本明細書で説明される主題の実施形態は、データ処理装置によって実行される又はその動作を制御するコンピュータストレージ媒体に実装された一つ以上のコンピュータプログラム(つまり、コンピュータプログラム命令の一つ以上のモジュール)としても実施され得る。
本願で説明される実施形態の多様な修正が当業者には明らかであり、本願で定められる一般原理は、本願の精神又は範囲を逸脱せずに他の実施形態に適用可能である。従って、特許請求の範囲は、本明細書に示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示される開示、原理及び新規特徴と矛盾しない最も広範な範囲に従うものである。“例示的”との用語は、本願において専ら、“例となる”ことを意味するものである。また、“例示的”に本明細書で説明される実施形態は、必ずしも他の可能性又は実施形態に対して好ましいものであったり有利であったりするものではない。また、 “上”及び“下”との用語が図面を簡単に説明するために使われることがあるものであって、適当な向きのページに対する図面の位置に対応する相対的な位置を示すものであって、実施されるようなIMODの適当な向きを反映しないことがある点を当業者は理解されたい。
別々の実施形態に関連して本明細書で説明される具体的な図面は、単一の実施形態において組み合わせ実施され得る。逆に、単一の実施形態に関連して説明される多様な図面は、複数の実施形態において別々に実施されたり、適切な部分組み合わせで実施されたりし得る。更に、特徴が、特定の組み合わせにおいて作用するものとして上記で説明されたり、そのようなものとして特許請求されたりし得るが、場合によっては、特許請求される組み合わせからの一つ以上の特徴が、その組み合わせから削除され得て、特許請求される組み合わせが、一部組み合わせ、又は一部組み合わせのバリエーションを対象とし得る。
同様に、動作は図面において特定の順番で示されているが、これは、所望の結果を得るためには、そのような動作を図示される特定の順番又は逐次的な順番で実施しなければならないと理解されるものではなく、全ての図示された動作を行わなければならないと理解されるものでもない。更に、図面は、流れ図において一つ以上の例示的なプロセスを概略的に示したものであり得る。しかしながら、示されていない他の動作が、概略的に示された例示的プロセスに組み込まれ得る。例えば、一つ以上の追加動作が、図示されたいずれかの動作の前、後、同時、又は間に実行され得る。場合によっては、マルチタスク及び並列処理が有利となり得る。更に、上述の実施形態における多様なシステムコンポーネントの分離は、そのような分離が全ての実施形態において必要であると理解されるものではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは一般的に、単一のソフトウェア製品内に互いに統合されるか、又は複数のソフトウェア製品内にパッケージングされ得る。また、他の実施形態も、特許請求の範囲内に存在する。場合によっては、特許請求の範囲内の動作が、異なる順番で実行可能であり、それでも所望の結果が達成される。