本組成物および本方法を記載する前に、記載する特定のプロセス、組成物、または手法は変化することができるため、本発明は、これらに限定されないことを理解されたい。同様に、本記載中で使用する専門用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを説明する目的のためであり、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるであろう本発明の範囲を制限するものではないことも理解されたい。別段に定義される場合を除き、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって共通に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載される方法および材料に類似する任意の方法および材料、またはその等価物が、本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法、機器、および材料を次に記載する。本明細書内で言及される全ての出版物は、その全体が参照により援用される。本明細書のいかなる記載も、本発明が先行発明によってかかる開示に先行する権利を有しないということを認めるものとして解釈してはならない。
本明細書および添付の特許請求の範囲内で使用するとき、単数形の「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈において別段に明確に指示のない限り、複数の言及を含むことも留意されなくてはならない。したがって、例えば、「1つの細胞」への言及は、1つ以上の細胞および当業者にとって既知であるその等価物等への言及である。
本明細書で使用するとき、用語「約」は、それとともに使用される数の数値のプラスマイナス10%を意味する。したがって、約50%は、45%〜55%の範囲内を意味する。
「投与する」とは、治療薬と共に使用されるとき、治療薬を、標的組織内もしくは標的組織上へ直接に投与することか、または患者へ薬剤を投与することを意味し、それによってその薬剤がその標的とする組織へ良い影響を与える。したがって、本明細書で使用するとき、用語「投与する」とは、ニトロ化脂質と共に使用する場合、ニトロ化脂質を対象者に全身的に、例えば、それによって薬剤が標的組織へ到達する静脈注射によって、提供することを含むが、それに限定されない。組成物を「投与する」ことは、例えば、注射、経口投与、局所投与、または他の既知の技術と組み合わせたこれらの方法によって、達成することができる。かかる組み合わせ技術には、加熱、放射線、超音波、および送達剤の使用が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「動物」は、ヒト、および、野生動物、家畜、農用動物等の非ヒト脊椎動物を含むが、それらに限定されない。
用語「改善する」は、本発明が、それが提供、塗布、または投与される組織の特性および/または物理的属性を変化させることを表すために使用される。用語「改善する」はまた、疾患状態と共に使用されてもよく、疾患状態が「改善される」場合、その疾患状態と関連付けられる症状または物理的特性が、減退、低減、または取り除かれる。
用語「阻害する」は、症状の発現を防ぎ、症状を軽減し、あるいは疾患、疾病、または障害を取り除くための、本発明の化合物の投与を含む。
「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性がなくてはならず、またその受容者に有害であってはならないことを意味する。
本明細書で使用するとき、「薬学的組成物」は概して、日常の食事を補うために使用されることもある、疾患予防および健康促進を含む生理学的利益を提供する、天然の生物活性化学化合物を指す。高レベルの天然物質を含有する薬学的組成物は、生体工学的方法を用いて精製または濃縮するか、また、遺伝学的方法を通して増進することができる。薬学的組成物の例には、単離した栄養素および生薬製品が挙げられ、概して以下の成分のうちの少なくとも1つを含有する。ビタミン、無機物、生薬または他の植物、アミノ酸、代謝物質、構成物、抽出物、もしくはこれらの成分の組み合わせ。一般的な薬学的組成物の例には、βカロチン、マオウ、イチョウ、ヒドラスチス、バレリアン、チョウセンニンジン、緑茶抽出物、およびエキナセアが挙げられる。本明細書に記載される薬学的組成物は、例えば、健康な関節、皮膚、目、および脳機能、心臓系および循環系、ならびに総体的健康の、維持および支持に有用であってよい。
本明細書で使用するとき、用語「薬剤」、「活性薬剤」、「治療薬剤」、または「治療薬」は、患者の望ましくない疾病または疾患を治療、撲滅、寛解、予防または改善するために利用される、化合物または組成物を意味する。一部分においては、本発明の実施形態は、炎症、肥満、肥満関連疾患、代謝性疾患、心臓血管および心臓関連疾患、脳血管および神経変性疾患、認知障害、癌または細胞の異常増殖等に影響を与えることに関する。
組成物の「治療的有効量」または「有効量」は、所望の効果を達成するように、すなわち、細胞の活性化、移動、または増殖を、阻害する、遮断する、または逆転させるように、計算された、予め定められた量である。本明細書に記載される方法が企図する活動には、場合に応じて、内科治療および/または予防的治療の双方が含まれ、また本発明の組成物は、記載される疾病のうちの任意のものでの改善を提供するために使用されてよい。同様に、本明細書に記載される組成物は、症状を示していないが特定の障害を発症する危険性を有する可能性のある、健康な対象者または個人に投与されてもよいことも企図される。治療および/または予防効果を獲得するために本発明に従って投与される化合物の具体的な1回分の用量は、勿論、例えば、投与される化合物、投与経路、および治療される疾病といった、その事例周辺の特定の環境によって決定されるであろう。しかしながら、選択される用量範囲は、本発明の範囲をいかなるようにも制限することを意図しないことが理解されるであろう。本発明の化合物の治療的有効量は、典型的には、生理学的に耐容性のある賦形剤組成物で投与されるとき、有効な全身濃度または組織内局所濃度を達成するのに十分であるような量である。
本明細書で使用するとき、用語「治療する」、「治療される」、または「治療すること」は、治療法と予防または防止手段との双方を指し、その目的は、望ましくない生理学的疾病、障害、もしくは疾患を予防するもしくは減速させる(低める)こと、または有益なもしくは所望の臨床結果を獲得することである。本発明の目的に関して、有益なまたは望ましい結果には、症状の軽減、疾病、障害、もしくは疾患の範囲の縮小、疾病、障害、もしくは疾患状態の安定化(すなわち、悪化させないこと)、疾病、障害、もしくは疾患の発現の遅延もしくは進行の減速、疾病、障害、もしくは疾患状態の改良、検出可能か検出不可能かに関わらず、疾病、障害、もしくは疾患の(部分的か全体的かに関わらない)緩和、または増進もしくは改善が挙げられるが、それらに限定されない。治療には、過度の副作用を伴わずに臨床的に有意な反応を引き起こすことが含まれる。治療はまた、治療を受けない場合に予期される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含む。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「強化した」は、組成物または組成物の部分がその組成物内に天然に生じる構成要素の量より多い特定構成要素の濃縮物を含むことを意味するものとする。例えば、活性化脂肪酸に関して、活性化脂肪酸を強化した組成物は、少なくとも50nMを超える活性化脂肪酸を含むことができる。したがって、活性化脂肪酸を強化した組成物は、少なくとも0.05重量%の活性化脂肪酸、少なくとも0.1重量%の活性化脂肪酸、少なくとも0.15重量%の活性化脂肪酸、少なくとも0.25重量%の活性化脂肪酸、少なくとも0.5重量%の活性化脂肪酸、少なくとも1.0重量%の活性化脂肪酸、少なくとも2重量%の活性化脂肪酸等である。
不飽和求電子性脂肪酸は、重要な階級の内在性シグナル分子として出現している。具体的には、ニトロ脂肪酸は、種々の転写および細胞信号プロセスに関与する細胞タンパク質の求核中心との可逆性共有結合付加体を形成するようである。
最近の研究は、9−または10−ニトロオクタデセン酸(「ニトロオレイン酸」)、およびニトロリノール酸の種々の位置異性体(9−、10−、12−、および13−ニトロ)といった、ニトロ脂肪酸は、原因となる細胞事象に関連する疾患プロセスにおいて重要な役割を果たす、適応性のある媒介物であることを示唆している。具体的には、ニトロ脂肪酸は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR−γ)の活性を、例えば、炎症および代謝不均衡に反応して、調節する。ニトロオレイン酸およびニトロリノール酸の双方ともPPAR−γと相互作用するが、そのPPAR−γ活性および関連する遺伝子転写の下流活性化の構造的および生化学的決定因子については、ほとんど知られていない。それ故、PPAR−γ活性を調節することができるファーマコフォアの設計に対する体系的なアプローチは存在しない。
本発明の実施形態は、1つ以上の有効量の活性化脂肪酸と、血糖またはインスリン産生に効果を有する有効量の1つ以上の第2の活性薬剤と、を含む、糖尿病を治療するための薬学的組成物、および糖尿病の治療においてかかる薬学的組成物を使用するための方法に関する。特定の実施形態では、糖尿病は、2型糖尿病であってよい。2型糖尿病は、インスリンに対する感受性の損失から生じる慢性疾病である。本実施形態の薬学的組成物は、インスリン感受性を改善してもよく、したがって、2型糖尿病を治療するための治療薬として機能することができる。
種々の実施形態において、1つ以上の活性化脂肪酸は、少なくとも1つの電子求引基が、炭素−炭素二重結合またはヘテロ原子またはその薬学的に許容される塩と関連付けられる、1つ以上の電子求引基を有する任意の不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸を含んでもよい。幾つかの実施形態では、不飽和脂肪酸もしくはポリ不飽和脂肪酸は、約4〜約25個の数の炭素を有する脂肪族鎖を含んでもよく、また他の実施形態では、不飽和脂肪酸もしくはポリ不飽和脂肪酸は、4〜23個の炭素を有する脂肪族鎖を含んでもよく、または特定の実施形態では、脂肪族鎖は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25個の炭素を有する。さらなる実施形態では、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸は、糖脂質、グリセロ脂質、リン脂質、またはコレステロールエステルであってもよい。
種々の実施形態の1つ以上の電子求引基には、Rは水素、メチル、もしくはC2−C6アルキルである、アルデヒド(−COH)、アシル(−COR)、カルボニル(−CO)、カルボン酸(−COOH)、エステル(−COOR)、ハロゲン化物 (−Cl、−F、−Br、−I)、フルオロメチル(−CFn)、フッ化アリル(−CH=CHCH2F)、シアノ(−CN)、スルホキシド(−SOR)、スルホニル(−SO2R)、スルホン酸(−SO3H)、1°、2°、および3°アンモニウム(−NR3+)、またはニトロ(−NO2)が含まれるがそれらに限定されず、また特定の実施形態では、1つ以上の電子求引基は、ニトロ(−NO2)基であってもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の電子求引基は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の炭素−炭素二重結合のα炭素上に位置してもよく、また他の実施形態では、1つ以上の電子求引基は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の炭素−炭素二重結合のβ炭素上に位置してもよい。また他の実施形態では、1つ以上の電子求引基は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の炭素−炭素二重結合のγ炭素上に位置してもよい。したがって、1つ以上の電子求引基は、電子求引ビニル基または電子求引アリル基であってよい。
炭素−炭素二重結合は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の脂肪族鎖の任意の炭素にて発生してよい。例えば、幾つかの実施形態では、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸は、2つ以上の共役炭素−炭素二重結合を有する脂肪酸であってよく、また特定の実施形態では、1つ以上の電子求引基のうちの少なくとも1つは、2つ以上の共役炭素−炭素二重結合内の任意の炭素にあってよい。特定の実施形態では、1つ以上の電子求引基のうちの少なくとも1つは、C−9、C−10、C−12、C−13、またはそれらの組み合わせに位置してもよい。1つ以上の電子求引基に関連付けられる炭素−炭素二重結合は、シスまたはトランス配列であってよく、また1つ以上の電子求引基は、sp3キラル/立体におけるRまたはsp3キラル/立体中心におけるSの絶対立体化学であってよい。
幾つかの実施形態では、1つ以上のヘテロ原子は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の脂肪族鎖上の任意の場所に位置してよく、また特定の実施形態では、少なくとも1つのヘテロ原子は、脂肪酸のカルボキシ末端から先頭の1、2、3、または4個の炭素に位置し、活性化脂肪酸の炭酸塩、酢酸、プロピオン酸、またはブタン酸誘導体を産生してもよい。他の実施形態では、電子求引基は、ヘテロ原子に直接隣接する炭素に位置してもよく、またはさらなる実施形態では、ヘテロ原子に直接隣接する炭素に直接隣接する炭素に位置してもよい。また他の実施形態では、電子求引基は、ヘテロ原子に直接隣接する炭素および/またはヘテロ原子に直接隣接する炭素に直接隣接する炭素に位置してもよい。また他の実施形態では、脂肪族鎖が、別のヘテロ原子または炭素−炭素二重結合に関連付けられる少なくとも1つの電子求引基を含むのであれば、ヘテロ原子に関連付けられる電子求引がなくてもよい。
幾つかの実施形態では、例えば、エステル結合、エーテル結合、およびビニルエーテル結合といった、1つ以上の非炭素−炭素結合は、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の脂肪族鎖上で置換されてもよく、また他の実施形態では、不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸は、その不飽和脂肪酸またはポリ不飽和脂肪酸の脂肪族鎖の任意の炭素に位置する電子求引基以外の、1つ以上の官能基をさらに含んでもよい。
特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、活性化オレイン酸または活性化リノール酸またはそれらの組み合わせであってよく、また特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、活性化オレイン酸であってよい。実施形態は、かかる実施形態の活性化オレイン酸またはリノール酸に関連付けられる電子求引基に制限されるものではないが、幾つかの実施形態では、電子求引基は、ニトロ基であってもよい。特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、C−13か、またはC−12か、にて電子求引基を有する、ニトロオレイン酸(ocatadecac−9−enoic acid)(オクタデカ−9−エン酸)である。
また他の実施形態では、活性化脂肪酸は、上述の活性化脂肪酸の代謝物質であってもよい。例えば、例えば、β酸化によって、分解された活性化脂肪酸、またはβ酸化によって分解された活性化脂肪酸の構造を模倣するように調製された活性化脂肪酸が、本実施形態の薬学的組成物内に提供されてもよい。かかる実施形態では、代謝物活性化脂肪酸は、不飽和またはポリ不飽和であってよく、約4〜約30個の炭素からなる脂肪族炭素鎖を含んでよい。幾つかの実施形態では、代謝物質は、約4〜約20個の炭素からなる脂肪族炭素鎖を含んでもよく、また他の実施形態では、約10〜約16個の炭素からなる脂肪族炭素鎖を含んでもよい。理論によって拘束されることを望むものではないが、血漿中のβ酸化生成物の存在は、生理学的示唆を与えることがある。例えば、活性化脂肪酸の短鎖代謝物質は、その親酸より疎水性が低いことがあるが、これらの化合物は、例えば、PPARγ結合等にとって、重要となることができる分子決定因子を保存する。加えて、より小さい寸法の活性化脂肪酸代謝産物は、これらの代謝物質に、生理学的に異なる疎水性コンパートメントと親水性コンパートメントとの間を分割させることができ、これらの化合物の解剖学的分布、化学反応性、および薬理学的特性を、細胞内標的に対する可用性を変更することによって、変更することができる。
本発明の活性化脂肪酸の異性型および互変異性型、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容されるカチオン、アニオン、酸、塩基、および塩も、本発明に同様に包含される。例えば、薬学的に許容されるカチオンには、金属イオンおよび有機イオンを挙げることができる。幾つかの実施形態では、金属イオンには、適切なアルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(IIa族)塩、および他の生理学的に許容される金属イオンを挙げることができるが、それらに限定されない。例示的イオンには、それらの通常の価数における、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛を挙げることができる。他の実施形態では、有機塩には、一部にトリメチルアミン、ジエチルアミン、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、およびプロカインを含む、プロトン化第3級アミンおよび第4級アンモニウムカチオンを挙げることができる。例示的な薬学的に許容される酸には、限定はしないが、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸等を挙げることができる。例示的な薬学的に許容される塩は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アンスラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸から調製される。上述の塩の全ては、本発明の対応する化合物から、従来の手段を用いて当業者によって調製されることができる。
上述の活性化脂肪酸は、薬学的に許容される製剤として調整されてもよい。本明細書で使用するとき、用語「薬学的に許容される」は、その化合物が、調剤製品における使用に適切であることを意味する。例えば、薬学的に許容されるカチオンには、金属イオンおよび有機イオンが挙げられる。より好ましい金属イオンには、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および他の生理学的に許容される金属イオンが挙げられるがそれらに限定されない。例示的イオンには、それらの通常の価数における、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛が挙げられる。好ましい有機イオンには、一部にトリメチルアミン、ジエチルアミン、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、およびプロカインを含む、プロトン化第3級アミンおよび第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。例示的な薬学的に許容される酸には、限定されないが、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸等が挙げられる。
本発明の活性化脂肪酸の異性型および互変異性型、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容される塩も、本発明に同様に包含される。例示的な薬学的に許容される塩は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アンスラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸から調製される。
本発明の活性化脂肪酸に関して使用される好適な薬学的に許容される塩基付加塩には、金属イオン塩および有機イオン塩が挙げられる。例示的な金属イオン塩には、適切なアルカリ金属(Ia族)塩、アルカリ土類金属(IIa族)塩、および他の生理学的に許容される金属イオンが挙げられるが、それらに限定されない。かかる塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛のイオンから作製することができる。好ましい有機塩は、一部にトリメチルアミン、ジエチルアミン、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、およびプロカインを含む、第3級アミンおよび第4級アンモニウム塩から作製することができる。上述の塩の全ては、本発明の対応する化合物から、従来の手段を用いて当業者によって調製されることができる。
特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、ニトロオレイン酸(オクタデカ−9−エン酸(ocatadecan−9−enoic acid))、またはニトロオレイン酸の代謝物質であってよい。全ての活性化脂肪酸が、PPAR−γのアゴニストとしてある程度作用することができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、ニトロ−オレイン酸は、その類似した寸法に関わらず、例えば、ニトリノール酸を含む、他の活性化脂肪酸より強力なPPAR−γのアゴニストである場合がある。ニトロオレイン酸の改善されたPPAR−γアゴニスト活性により、ニトロオレイン酸およびその代謝物質、ならびにそれらの薬学的に許容される塩およびそれらのプロドラッグ形態は、ニトロオレイン酸が、糖尿病の、また特定の実施形態では、PPAR−γの不適切な働きに付随するインスリン耐性から生じる2型糖尿病の、治療において、特に有効な活性薬剤である可能性があるということを、示唆することができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、ob/obマウスにおいて体重増加がないことは、生理学的には、ニトロオレイン酸が、プラズマに対して提示され、これが「貯蔵システム」として機能し、特定の信号伝達事象を促進するために要求さるまでニトロ化脂肪酸を一時的に不活性化するために、生じる可能性がある。PPAR−γの活性化は、結合を有さないニトロオレイン酸で生じるため、この分子の隔離は、PPAR−γの異常活性化、またはこの核内受容体によって制御される遺伝子の転写を防止する。
幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸は、糖尿病の治療に使用される、当分野において既知である任意の活性薬剤を含む、1つ以上の糖尿病補助治療薬剤と併用されてもよい。例えば、2型糖尿病は現在、インスリン増感剤、DPP IV阻害剤、およびGLP1類似体、例えば、アセトヘキサミド(DYMELOR)、クロルプロパミド(DIABINESE)、トラザミド(TOLINASE)、トルブタミド(ORINASE)、グリメピリド(AMARYL)、グリピジド(GLUCOTROL)、グリピジド延長放出剤(GLUCOTROL XL)、グリブリド(DIABETA、MICRONASE)、微粉化グリブリド(GLYNASE、PRESTAB)といった、スルホニル尿素誘導体を含むがそれに限定されないインスリン分泌促進剤、例えば、ナテグリニド(STARLIX)およびレパグリニド(PRANDIN)といった、メグリチニド、消化管抑制ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド(GLP)−1、モルフィリノグアニドBTS67582、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ならびにコハク酸エステル誘導体、インスリン受容体活性化因子、例えば、メトホルミン(GLUCOPHAGE)といった、インスリン抵抗性改善ビグアニド、例えば、トログリタゾン(REZULIN)、ピオグリタゾン(ACTOS)、ロシグリタゾン(AVANDIA)、MCC−555、リボグリタゾン、シグリタゾンといった、チアゾリジンジオン(TZD)、非TZDペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ(PPAR−γ)アゴニストGL262570、例えば、アカルボース(PRECOSE)およびミグリトール(GLYSET)といった、αグルコシダーゼ阻害剤、例えば、グルコバンス(GLYBURIDEを伴うGLUCOPHAGE)といった、組み合わせ薬剤、例えば、バナジウムといった、チロシンホスファターゼ阻害剤、PTP−1B阻害剤、ならびに、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオシド(AICAR)を含むAMPK活性化因子、ならびに、例えば、エキセンジン(EXENATIDE(合成エキセンジン−4))およびアミリン(SYMLIN(商標)(酢酸プラムリンチド))、D−チロ−イノシトール、変更型ペプチドリガンド(NBI−6024)、anergix DB複合体、GABA阻害メラノコルチン、グルコース低下剤(ALT−4037)、エアロドーズ(AEROGEN)、インスリン模倣体、単独でまたはBP3との複合体としての(SOMATOKLINE)インスリン様成長因子1、メトクロプラミドHCL(Emitasol/SPD 425)、motillde/エリトロマイシン類似体、およびGAG模倣体といった、他の薬剤を含むがそれらに限定されない、複数の広範な階級の薬物の範囲内にある活性薬剤を使用して治療される。特定の実施形態では、1つ以上の糖尿病補助治療薬剤は、例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、MCC−555、リボグリタゾン、シグリタゾン等の、チアゾリジンジオン等、およびそれらの組み合わせといった、インスリン増感剤であってよく、また特定の実施形態では、糖尿病補助治療薬剤はロシグリタゾンであってよい。
種々の実施形態は、本実施形態の活性化脂肪酸と、上述の1つ以上の糖尿病補助治療薬剤と、を含む、薬学的組成物を含む。幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸と補助薬剤のうちの1つ以上とは、活性化脂肪酸と1つ以上の補助薬剤とが別々の薬学的組成物内で提供されるように、別々の単位用量で投与されてもよい。したがって、活性化脂肪酸を含有する第1の個々の薬学的組成物と、1つ以上の糖尿病補助治療薬剤を含有する1つ以上の第2の個々の薬学的組成物とが調整され、患者に提供されてもよい。かかる実施形態では、個々の薬学的組成物は、治療の同一の過程内で、同時に、または一日を通して異なる時間に、投与されてもよい。
さらなる実施形態では、活性化脂肪酸と1つ以上の補助糖尿病治療薬剤とは、同一の単位用量内で提供されてもよい。治療過程はしたがって、単一の薬学的組成物の投与による、活性化脂肪酸と1つ以上の補助糖尿病剤との双方の同時投与を含んでもよい。幾つかの実施形態では、治療過程は、活性化脂肪酸および1つ以上の補助糖尿病剤の双方を含有する単一の薬学的組成物の同時投与と、活性化脂肪酸かまたは個別に投与される1つ以上の糖尿表補助治療薬剤のうちの少なくとも1つかの補足的投与と、を含んでもよい。
またさらなる実施形態では、活性化脂肪酸および1つ以上の補助糖尿病治療薬剤は、互いに共有結合していてもよい。幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸と1つ以上の補助糖尿病治療薬剤との間の共有結合は、単結合であってもよく、また他の実施形態では、共有結合は、活性化脂肪酸を1つ以上の補助糖尿病治療薬剤へと連結する任意の数の原子を有してもよいか、または有する。したがって、リンカーは、1つ以上のアルキル、アルケン、またはアルキンを含んでもよく、そのそれぞれは、任意の数の官能基で置換されてもよい。また他の実施形態では、リンカーは、1つ以上のヘテロ原子、シクロアルキル基、またはアリール基を含んでもよい。幾つかの実施形態では、リンカーは、加溶媒分解、加水分解、または生理学的代謝によって切断される、1つ以上の代謝的に切断可能な基を含んでもよい。例えば、リンカーは、例えば、(アシルオキシ)アルキルエステル、または((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル、アミン、アミド、もしくはそれらの組み合わせといった、エステルまたは二重エステルを含んでもよい。
種々の実施形態の薬学的組成物の各投与周期中に送達される活性化脂肪酸の有効量は、約10mg/m2/日〜約1000mg/m2/日の範囲であってよい。幾つかの実施形態では、有効量は、約20mg/m2/日〜約700mg/m2/日であってよく、また他の実施形態では、有効量は、約30mg/m2/日〜約600mg/m2/日であってよい。特定の実施形態では、有効量は、約50mg/m2/日、約400mg/m2/日、約500mg/m2/日、または約600mg/m2/日であってよい。また他の実施形態では、活性化脂肪酸の有効量は、治療の進行に応じて変化してもよい。例えば、投薬計画が、投与周期を通した治療の進行に応じて増大もしくは減少されてもよく、または、一日の用量が、投与を通して増大もしくは減少されてもよい。追加の実施形態では、高容量の活性化脂肪酸さえも患者に対して概して耐容性があり、また望ましくない生理学的効果を生み出さないかもしれないため、1000mg/m2/日超が投与されてもよい。
幾つかの実施形態では、投与される活性化脂肪酸は、少なくとも5重量%まで、少なくとも10重量%まで、少なくとも20重量%まで、少なくとも30重量%まで、少なくとも40重量%まで、少なくとも50重量%まで、少なくとも60重量%まで、少なくとも70重量%まで、少なくとも80重量%まで、少なくとも90重量%まで、または少なくとも100重量%まで、の1つ以上の種の活性化脂肪酸を含んでもよい。特定の実施形態では、単一の種の活性化脂肪酸は、投与される活性化脂肪酸全体の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも50%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%をなしてもよく、また他の実施形態では、単一の種の活性化脂肪酸は、投与される脂肪酸の約5重量%〜約100重量%、約25重量%〜約75重量%、または約40重量%〜約55重量%、をなしてもよい。特定の実施形態では、活性化脂肪酸の非活性化脂肪酸に対する比率は、約99:1〜約1:99、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、約1:2〜約2:1であってよい。
例えば、幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸は、EPAまたはDHAまたはEPAとDHAとの組み合わせのうちの1つから調製されてもよい。投与される組成物は、約5重量%〜約100重量%、約25重量%〜約75重量%、または約30重量%〜約60重量%の活性化EPAおよび/または活性化DHAを含んでよく、また任意の残余部分は、非活性化EPAおよび/またはDHAで構成されてもよい。活性化EPAおよび活性化DHAの双方を含有する組成物において、活性化EPAおよび活性化DHAは、99:1〜1:99、1:4〜4:1、1:3〜3:1、1:2〜2:1、または1:1の重量比率で存在してもよい。活性化EPAおよび/または活性化DHA、ならびに非活性化EPAおよび/またはDHAを含有する組成物において、活性化:非活性化の重量比率は、99:1〜1:99、1:4〜4:1、1:3〜3:1、または1:2〜2:1であってよい。上述の実施形態において、重量%は、他の型が本発明にしたがって利用されているとしても、ω−3脂肪酸のエチルエステル型に基づくのが好ましくはあるが、遊離酸またはエステル型に基づいてもよい。
また他の実施形態では、活性化脂肪酸は、それが組み合わせられる非活性化脂肪酸と異なる基本の脂肪酸から調製されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸は、活性化リノール酸、活性化オレイン酸、またはそれらの組み合わせであってよく、またこれらの活性化脂肪酸は、非活性化EPAおよび/またはDHAと組み合わされてもよい。かかる実施形態では、活性化リノール酸および/または活性化オレイン酸の非活性化EPAおよび/またはDHAに対する比率は、約99:1〜1:99、1:4〜4:1、1:3〜3:1、1:2〜2:1、または1:1であってもよい。特定の実施形態では、活性化リノール酸またはオレイン酸は、EPAおよびDHAと組み合わされてよく、また3つの構成要素のそれぞれは、約1:1:1、2:1:1、1:2:1、1:1:2、2:2:1、1:2:2、3:1:1等の比率で提供されてもよい。
幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸を含む薬学的組成物は、例えば、抗酸化剤、スタチン、スクアレン合成阻害剤、アゼチジノン系化合物、低密度リポタンパク質(LDL)異化活性化因子、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アンタゴニストまたはアゴニスト、抗不整脈剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)等、およびそれらの組み合わせと組み合わされてもよい。特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、例えば、PPAR−α、PPAR−γ、PPAR−δ、PPAR−β、およびこれらの種類のうちの2つ以上の組み合わせを含むがそれらに限定されない、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アゴニストおよび/またはアンタゴニストと組み合わされてよい。PPAR−αアゴニストは、フィブラート系化合物を含み、また肝臓内のトリグリセリドの合成および分泌を阻害することによって血中コレステロールレベルを低下させ、リポタンパク質リパーゼを活性化する薬物である。フィブラート系化合物の例には、ベザフィブラート, ベクロブラート, ビニフィブラート, シプロフィブラート, クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラート等、およびそれらの組み合わせが挙げられる。PPAR−γアゴニストおよび/またはアンタゴニストには、例えば、チアゾリジンジオン、ピオグリタゾン、およびロシグリタゾンが挙げられる。PPAR−α/γアゴニストおよび/またはアンタゴニストには、例えば、幾つかの非チアゾリジンジオン、ナビグリチザール(naviglitizar)、およびムラグリタザールが挙げられる。全ての種類の受容体に対して活性を有するPPARアゴニストおよび/またはアンタゴニスト(すなわち、パンアゴニスト)には、例えば、ネトグリタゾンを挙げることができる。
概して、1つ以上の補助糖尿病治療薬剤のそれぞれは、当分野の知識、連邦政府の勧告等に基づいた適正量で提供することができる。当業者はしたがって、上述の補助糖尿病治療薬剤のうちの任意のものの適正量を決定することが可能である。幾つかの例示的実施形態では、活性化脂肪酸は、1つ以上の補助糖尿病治療薬剤と、重量で約1:1000〜約1000:1または重量で約200:1〜約200:1の範囲で、組み合わされてよい。他の例示的実施形態では、活性化脂肪酸は、約1mg〜約3000mgまたは約10mg〜約2000mgの量で存在してもよく、また1つ以上の補助糖尿病治療薬剤のそれぞれは、約1mg〜約1000mg、約5mg〜約500mg、および約5mg〜約100mgの量で存在してもよい。特定の実施形態では、単回用量単位は、約500mg〜約2000mgもしくは約1000mgの1つ以上の活性化ω−3脂肪酸と、約1mg〜約50mgもしくは約2mg〜約25mgのチアゾリジンジオンまたは約1mg〜約30mgもしくは2〜約10mgのロシグリタゾンと、を含んでもよい。
本発明の薬学的組成物は、それらが活性である任意の経路によって、任意の従来の手法で投与することができる。投与は全身的または局所的であってよい。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、経口、口腔内、眼球、膣内、または吸入であってよいが、それらに限定されない。特定の実施形態では、投与は非経口であってよい。幾つかの実施形態では、薬学的組成物は、延長された全身的摂取、組織半減期、および細胞内送達を助ける、安定化添加物の存在下または不在下で調製されてよい。したがって、本発明の化合物に対する投与様式(単独か、または他の調剤との組み合わせによってかに関わらず)は、注射可能である(短時間作用型、蓄積注射、埋込剤、および皮下または筋肉内に注射されるペレット形式を含む)。幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸を含む注射用製剤は、例えば、関節鏡検査、血管形成術、ステント留置術、バイパス手術等による外科的切開部位または炎症部位といった、損傷または炎症部位に置かれてもよい。
特定の他の実施形態では、本発明の組成物は、炎症領域に直接塗布される軟膏またはローションとして、局所的に塗布されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、本発明の活性化脂肪酸を含むローションまたは軟膏は、熱傷、放射線熱傷、真皮障害部位、浮腫、関節炎を患う関節等に対して、調製され塗布されてもよい。かかる軟膏およびローションは、皮膚科学的に許容されるビヒクル内の1つ以上の活性化脂肪酸の局所製剤を含んでよく、また特定の実施形態では、局所製剤は、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲングルコサミン、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ビタミンC、緑茶抽出物、シアバター、ブドウ種子抽出物、アロエ抽出物、またはそれらの混合物を含有することができる、薬学的組成物軟膏またはローションとしてであってもよい。
本発明の実施形態ではまた、活性化脂肪酸を含有するゲルカプセルを含み、また幾つかの実施形態では、1つ以上の補助薬剤および/または非活性化脂肪酸を含有するゲルカプセル、ならびにかかるゲルカプセルを調製するための方法を含む。本実施形態のゲルカプセルは、軟または硬ゲルカプセルの形式であってよく、また任意の数の層を含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ゲルカプセルは、コーティング層によって封入される1つ以上の活性化脂肪酸を含んでもよい。かかる実施形態では、1つ以上の活性化脂肪酸は、カプセルのコアをなしてもよく、また概して、ゲルカプセル全体の約10重量%〜約95重量%であってもよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、コアは、カプセルの総重量の約40重量%〜約90重量%であってもよい。特定の実施形態では、1つ以上の活性化脂肪酸は、例えば、抗酸化剤、ビタミンE、ビタミンC、β−カロチン、小麦胚芽油等といった、1つ以上の安定剤と混合されてもよく、また幾つかの実施形態では、カプセル内に含まれる1つ以上の活性化脂肪酸は、例えば、界面活性剤、親水性もしくは疎水性溶媒、油、またはそれらの組み合わせといった、1つ以上の可溶化剤と組み合わされてもよい。
例えば、幾つかの実施形態では、可溶化剤は、ビタミンE、もしくは、例えば、α−、β−、γ−、δ−、ζ1−、ζ2−、およびε−トコフェロール等であるがそれらに限定されない、ビタミンE誘導体、ならびに、例えば、トコトリエノールといった、それらのdl、d、およびl型、ならびにそれらの構造的類似体、有機酸を用いて産生される、対応する誘導体、エステル、ならびにそれらの混合物であってもよい。特定の実施形態では、ビタミンE誘導体可溶化剤は、例えば、酢酸、プロピオン酸、胆汁酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、コハク酸ポリエチレングリコール、およびサリチル酸といった、有機酸を伴う、トコフェロール、トコトリエノール、およびトコフェロール誘導体を含んでもよい。
他の実施形態では、例えば、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、脂肪アルコール、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコール、もしくはシクロアルキルアルコールを含む、一価アルコール、または、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、6−22個の炭素原子の脂肪酸、胆汁酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、およびサリチル酸といった有機酸の、一価アルコールエステルが、可溶化剤として使用されてよい。特定の実施形態では、この群の可溶化剤は、例えば、クエン酸トリエチル,クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、およびそれらの混合物といった、クエン酸トリアルキル、例えば、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、およびそれらの混合物といった、低級アルコール脂肪酸エステル、ならびに、ラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、それらの異性体、およびそれらの混合物、を含んでもよい。
また他の実施形態では、可溶化剤は、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、およびそれらの混合物といった、窒素含有溶媒であってよく、アルキルは、C1−12分岐鎖または直鎖アルキルであってよい。特定の実施形態では、窒素含有溶媒は、N−メチル2−ピロリドン、N−エチル2−ピロリドン、またはそれらの混合物を含んでもよい。別法としては、窒素含有溶媒は、例えば、ポリビニルピロリドンといった、ポリマーの形態であってもよい。
また他の実施形態では、可溶化剤は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、レシチン、リゾレシチン、リゾホスファチジルコリン、ポリエチレングリコール変性リン脂質/リゾリン脂質(liysophospholipid)、レシチン/リゾレシチン、およびそれらの混合物といった、リン脂質を含んでもよい。
また他の実施形態では、グリセロールアセテートおよびアセチル化グリセロール脂肪酸エステルおよびグリセロール脂肪酸エステルが、可溶化剤として使用されてもよい。かかる実施形態では、グリセロールアセテートは、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。アセチル化グリセロール脂肪酸エステルには、約6〜約22個の炭素原子であってよい脂肪酸成分を伴う、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、およびそれらの混合物を挙げることができる。グリセロール脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、約6〜12個の炭素を有する脂肪酸を伴う中間鎖モノグリセリド、約6〜12個の炭素を有する脂肪酸を伴う中間鎖ジグリセリド、約6〜12個の炭素を有する脂肪酸を伴う中間鎖トリグリセリド、および、それらの混合物であってよい。
さらなる実施形態は、プロピレングリコールエステルまたはエチレングリコールエステルであってもよい、可溶化剤を含む。かかる実施形態では、プロピレングリコールエステルには、例えば、プロピレンカーボネート、モノ酢酸プロピレングリコール、ジ酢酸プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチル化プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を挙げることができる。別法として、プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコール脂肪酸モノエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル、またはそれらの混合物であってもよい。特定の実施形態では、プロピレングリコールエステルは、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、およびそれらの混合物であってもよい。エチレングリコールエステルには、モノ酢酸モノエチレングリコール、ジエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、モノ酢酸エチレングリコール、ジ酢酸エチレングリコール、エチレングリコール脂肪酸モノエステル、エチレングリコール脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、およびそれらの混合物を挙げることができる。かかる実施形態では、脂肪酸は、約6〜約22個の炭素原子を有してもよい。
親水性溶媒は、例えば、例えば、エタノールまたはグリセロール等の水混和性アルコールといった、アルコール、1,2−プロピレングリコール等の、グリコール、例えば、ポリエチレングリコール等の、ポリアルキレングリコールといった、ポリオールを含む、可溶化剤として利用されてもよい。別法として、親水性溶媒は、N−メチルピロリドン、クエン酸トリエチル、ジメチルイソソルビド、カプリル酸、またはプロピレンカーボネートといった、N−アルキルピロリドンを含んでもよい。
活性化脂肪酸含有コアは、1つ以上のコーティング層でコーティングされてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ゲルカプセルは、コーティング層と活性化脂肪酸コアとの間に水溶性ゲル層を含んでもよい。他の実施形態では、ゲルカプセルは、カプセル上に、例えば、即時放出型コーティング、保護コーティング、腸溶性または遅延放出型コーティング、持続放出型コーティング、遮断コーティング、およびそれらの組み合わせといった、多数の追加のコーティングを含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の補助薬剤または非活性化脂肪酸は、活性化脂肪酸と混合されてもよく、および/または、コーティング層か、水溶性ゲル層か、もしくは追加のコーティング層かの中に存在してもよい。加えて、種々の実施形態では、本発明の活性化脂肪酸および/または1つ以上の補助薬剤は、可溶化剤、抗酸化剤、キレート化剤、緩衝剤、乳化剤、増粘剤、分散剤、および保存料を含むがそれらに限定されない、1つ以上の追加の非薬学的有効成分と共に製剤化されてもよい。幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸は、本明細書にその全体を参照により援用される、米国特許第6,531,150号に記載されるように、ゼラチンから調製されるコーティング内に封入されてもよい。ゼラチン層は、1つ以上の他の非ゼラチンタンパク質、および/または、例えば、アルブミン、ペクチン、グアーガム、粉末寒天、寒天といった、1つ以上の多糖、および/または、例えば、腸溶性材料、塑性剤、保存料といった、1つ以上の添加物を、さらに含んでもよい。本発明の実施形態で使用される腸溶性材料には、ゲルカプセルが経口投与されるときに、胃内で溶けない任意の材料が含まれ、またペクチン、アルギン酸、例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等といった、セルロース、および、アクリルコポリマーEudragit(商標)が含まれるがそれらに限定されない。理論によって拘束されることを望むものではないが、腸溶性コーティングの追加は、活性化脂肪酸の胃への放出を制限することによって、活性化脂肪酸の匂いを遮蔽するための手段を提供することができる。塑性剤には、例えば、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の、多価アルコールを挙げることができる。上述の実施形態では、各コーティング層は、約0.001〜約5.00mmまたは約0.01〜1.00mm厚であってよい。
種々の実施形態のコーティングは、1つ以上のフィルム形成材料、ならびに/または結合剤、ならびに/または、潤滑剤、充填剤、付着防止剤、抗酸化剤、緩衝剤、可溶化剤、染料、キレート化剤、崩壊剤、および/もしくは吸収増進剤等の、他の従来の添加物を、さらに含んでもよい。界面活性剤は、可溶化剤としても、吸収増進剤としても、作用することができる。加えて、コーティングは、当分野において周知の方法に従って、即時放出、遅延もしくは腸溶性放出、または持続放出用に製剤化されてもよい。従来のコーティング技術は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990)に記載されており、本明細書に参照により援用される。本発明に従って採用されるべき追加のコーティングには、例えば、1つ以上の即時放出型コーティング、保護コーティング、腸溶性または遅延放出型コーティング、持続放出型コーティング、遮断コーティング、およびそれらの組み合わせを挙げることができるがそれらに限定されない。幾つかの実施形態では、即時放出型コーティングは、製品の上品さを改善するため、ならびに防水や味および匂いの遮蔽のために、使用されてもよい。胃媒体内でのフィルムの迅速な破断は重要であり、有効な崩壊および分解につながる。
カプセル材料(すなわち、活性化脂肪酸含有コアおよび/または1つ以上のコーティング層)は、1つ以上の保存料、着色剤および不透明化剤、着香料および甘味料、糖類、胃耐性物質、またはそれらの組み合わせを、さらに含んでもよい。好適な保存料および着色料は、当分野において既知であり、例えば、安息香酸、パラオキシベンゾエート、カラメル着色料、クチナシ着色料、カロチン着色料、タール着色料等が挙げられる。特定の実施形態では、1つ以上の着香料は、ゼラチンカプセルのコアの含有物に、またはカプセルの1つ以上のコーティング層内に、またはそれらの組み合わせに含まれてもよい。例えば、口当たりの良い着香料を活性化脂肪酸ゲルカプセルへ提供することは、 水溶性の香りを有する香り付けされたコーティング層を提供することによって、達成することができる。かかる実施形態では、該コーティング層の約0.25重量%〜約1.50重量%が、水溶性着香料であってもよい。ベリー、イチゴ、チョコレート、ココア、バニラ、レモン、ナッツ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ココナッツ、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、桃、レモン、ライム、ミント、ペパーミント、オレンジ、バナナ、唐辛子、コショウ、シナモン、および/またはパイナップルといった、当分野において既知である任意の好適な香りが、コーティング層に提供されてよい。幾つかの実施形態では、油溶性着香料は、カプセル内に封入される活性化脂肪酸コアと混合されてもよい。かかる実施形態では、該コアの約0.25重量%〜約1.50重量%が、油溶性着香料であってよい。かかる油溶性着香料は、例えば、イチゴとイチゴといったように、カプセルの香りの味に類似していてもよく、または、油着香料の味は、例えば、バナナとイチゴといったように、カプセル着香料を補うものであってもよい。かかる着香料、および脂肪酸含有カプセルへ着香料を提供するための方法は、米国特許第6,346,231号および同第6,652,879号に見出すことができ、その全体は本明細書に参照により援用される。
幾つかの実施形態では、本実施形態のゲルカプセルは、1つ以上の補助薬剤を含有する、少なくとも1つのコーティング層を含んでもよい。かかる実施形態では、1つ以上の補助薬剤を含有する層は、1つ以上の補助薬剤の酸化分解を防ぐのに十分な厚さであってよい。例えば、幾つかの実施形態では、この層の厚さは、約5〜約400ミクロン、約10〜約200ミクロン、約20〜約100ミクロンであってよく、または特定の実施形態では、約40〜約80ミクロンであってよい。他の実施形態では、かかる層の厚さは、カプセルの総重量に基づいた重量増加の割合を単位として表すことができる。例えば、1つ以上の補助薬剤を含む層は、約0.05〜約20%、約0.1〜約10%、約0.1〜約5%の、また特定の実施形態では、約0.25〜約1%の、重量増加を生成してもよい。特定の実施形態では、1つ以上の補助薬剤を含有するコーティング層は、酸化分解を防ぐための少なくとも1つの化合物をさらに含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態では、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース水分散液、およびそれらの組み合わせ、好ましくはヒドロキシプロピル(hydroxpropyl)セルロース、エチルセルロース、およびそれらの組み合わせといった、セルロース誘導体があるがそれに限定されない、少なくとも1つのポリマーが、約1:20〜約20:1または約1:5〜10:1のポリマーの補助薬剤に対する重量比率で、コーティング層に添加されてもよい。具体的には、補助薬剤の量が約15mg未満である場合、ポリマーの量は、約1:2〜約5:1または約1:1〜約4:1であってもよく、また、補助薬剤の量が約15mg以上である場合、ポリマーの量は、約1:4〜約4:1または約1:3〜約2:1であってもよい。
1つ以上の補助薬剤がコーティング層内に適用される実施形態では、補助薬剤は、薬学的に許容される溶媒中の、同質のコーティング溶液または異質懸濁液として提供されてもよい。かかる薬学的に許容される溶媒は、水性溶媒、または、例えば、メタノール、エタノール、イソプロプラノール、エチレングリコール、アセトン、もしくはそれらの混合物といった、有機溶媒であってよい。他の実施形態では、薬学的に許容される溶媒には、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール900、ポリエチレングリコール540、ポリエチレングリコール1450、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000等のポリエチレングリコール;例えば、プロピレングリコール、エタノール,2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400等の、室温で液体である薬学的に許容されるアルコール、例えば、三リシノール酸ポリオキシエチレングリセロールまたはポリオキシル35ヒマシ油、オキシステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、RH40(ポリエチレングリコール40水素化ヒマシ油)またはRH60(ポリエチレングリコール60水素化ヒマシ油)等の、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、飽和ポリグリコール化グリセリド;例えば、セトマクロゴール1000等の、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;例えば、ステアリン酸PEG−6、ステアリン酸PEG−8、ステアリン酸ポリオキシル40NF、ステアリン酸ポリオキシエチル50NF、ステアリン酸PEG−12、ステアリン酸PEG−20、ステアリン酸PEG−100、ジステアリン酸PEG−12、ジステアリン酸PEG−32、ジステアリン酸PEG−150等の、ステアリン酸ポリオキシエチレン;オレイン酸エチル、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート等;ジメチルイソソルビド;N−メチルピロリジノン;パラフィン;コレステロール;レシチン;坐剤基剤;例えば、カルナウバ蝋、黄蝋、白蝋、微結晶蝋、乳化蝋等の、薬学的に許容される蝋;薬学的に許容されるケイ素溶液;ラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン等の、ソルビタン脂肪酸エステル;例えば、水素化ヒマシ油(グリセリル−トリス−12−ヒドロキシステアレート)、セチルエステル蝋(約43〜47℃の溶解範囲を有する、主にC14−C18飽和脂肪酸のC14−C18飽和エステルの混合物)、モノステアリン酸グリセリン等の、薬学的に許容される飽和脂肪または薬学的に許容される飽和油を挙げることができるが、それらに限定されない。
当分野において既知であるゲルカプセルを調製するための任意の方法が、本発明の種々の実施形態において使用されてよい。例えば、一実施形態では、カプセルは、外側コーティング層のシートと、他の層の1つ以上のシートと、を調製するステップと、そのシート類を積層化するステップと、積層化したシートを乾燥させ、乾燥シートを獲得するステップと、1つ以上の活性化脂肪酸、または1つ以上の活性化脂肪酸と1つ以上の補助薬剤とを、回転充填機上で乾燥シート内に封入し、継ぎ目のあるカプセルを形成するステップと、を含む、方法によって、生産されてもよい。別の実施形態では、継ぎ目のないカプセルは、同心円状に配置される2つ以上のノズルを備える機器を使用して、生産されてもよい。他の実施形態では、ゼラチンカプセルは、例えば、2部品型の封止されたまたは封止されていない硬ゼラチンカプセルとして、製造されてもよい。
また別の実施形態では、ニトロ脂肪酸を含むゼラチンカプセルは、ゼラチンカプセル内に1つ以上のニトロ脂肪酸の単回用量をカプセル封入することによって、形成されてもよい。かかる実施形態では、ゼラチンカプセルは、例えば、ゼラチン、グリセロール、水、着香料、着色剤、およびそれらの組み合わせから構成することができ、またニトロ脂肪酸用量は、例えば、180mgのニトロ化EPAおよび120mgのニトロ化DHAであってよい。かかる実施形態の製造プロセスは、ゲル見本(gelswatch)成分を組み合わせるステップと、溶解し、液体化したゲル見本を形成するステップと、液体化したゲル見本およびニトロ脂肪酸を、カプセル封入機へ送達するステップと、ニトロ脂肪酸の単回用量を封入するステップと、封入された用量を乾燥するステップと、封入された用量を洗浄するステップと、ニトロ脂肪酸カプセルを出荷のためにパッケージ化するステップと、を含んでもよい。ゲル見本成分は、例えば、ゼラチン、もしくは、例えば、変性デンプンもしくは当分野において既知である他の好適なゼラチン基材等の、ゼラチン基材、例えば、グリセロールもしくはソルビトールもしくは他の好適なポリオール、もしくは当分野において既知である他のゼラチン軟化剤等の、軟化剤、例えば、イチゴ香料Firmenich#52311Aもしくは当分野において既知である他の好適なゼラチンカプセル着香料等の、着香料、および任意で、例えば、ケラチンもしくは当分野において既知である他の好適なゼラチンカプセル着色剤等の、着色剤といった、ゼラチンカプセルの生産において有用な、本明細書に記載される任意の成分を含んでもよい。
特定の実施形態では、ゲルカプセルは、約45重量部のゼラチン、約20重量部のグリセロール、約35重量部の水、および約0.5重量部以上の着香料のゲル見本混合物から、形成されてもよい。ゲル見本成分は、液体化ゲル見本を形成するために、約60℃〜70℃に加熱され、一緒に混合されてもよい。液体化ゲル見本およびニトロ脂肪酸は、次に、カプセル封入機内へと注入されてよい。カプセル封入機は次に、ニトロ脂肪酸用量をゼラチン内へと封入することによって、ニトロ脂肪酸カプセルを形成する。
カプセルは次に、例えば、約20℃の温度で、乾燥することができる。カプセルの水分含有量は、乾燥工程中の蒸発によって低減してよい。カプセルは次に、洗浄され、パッケージ化、販売、または出荷のため準備されてよい。幾つかの実施形態では、甘味料または着香料を、浸漬プロセスを通してカプセルに添加することができる。浸漬プロセスでは、ゼラチンカプセルを、甘味料/着香料溶液中に浸漬し、次に乾燥し、甘味料に、カプセルの外側周囲にコーティングを形成させる。幾つかの実施形態では、甘味料または着香料は、腸溶性コーティングプロセスを通してカプセルへ添加されてもよく、また他の実施形態では、液体化した甘味料または着香料が、ゼラチンカプセルの外側上に噴霧され、乾燥されてもよい。ゼラチンカプセルを作製する他の方法は、当分野において既知であり、また企図される。
種々の実施形態では、カプセル上に1つ以上のコーティングは、パンコーティング、流動層コーティング、または噴霧コーティングを含むがそれらに限定されない、当分野において既知である任意の技術によって適用されてよく、また1つ以上のコーティングは、例えば、溶液、懸濁液、霧、粉塵、または粉末として、適用されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーコーティングは、水性系溶液、有機系溶液、または分散液として、また幾つかの実施形態では、1つ以上の補助薬剤を含有して、適用されてもよい。かかる実施形態では、ポリマー含有液滴は、空気または不活性ガスを用いて微粒化され、活性化脂肪酸を含有するコア上に噴霧されてもよく、また幾つかの実施形態では、加熱された空気または不活性ガスが、溶媒の蒸発およびフィルム形成を促進するために加えられてもよい。軟ゼラチンカプセルの場合、噴霧速度および床温度の処理パラメータは、可溶化およびカプセル凝集作用を制限するように制御されなくてはならない。加えて、高い床温度は、カプセルシェルからの残余水分の蒸発をもたらす可能性があり、カプセルを脆弱にする可能性がある。さらに、コーティングされたカプセルの質量分散、および、コーティングされた活性化脂肪酸の含有量分散、および堆積の正確さを含む、コーティングの均一性が、評定されなくてはならない。
本発明の種々の実施形態のゲルカプセルは、例えば、円形、楕円形、管状形、長円形、捩じ切り形、または非標準的な形状(例えば、動物、木、星、ハート等)等があるがそれらに限定されない、任意の形状であってよく、またカプセルの寸法は、その中に含有されることを意図される充填組成物の体積に従って、変化してよい。例えば、幾つかの実施形態では、硬または軟ゼラチンカプセルは、標準的なカプセル形状を備える単一型単位として、従来の方法を用いて製造されてもよい。単一型軟ゼラチンカプセルは、典型的には、例えば、3〜22ミニム(1ミニム=0.0616ml)の寸法で、また楕円形、長円形、または他の形状で、提供されてよい。同様に、硬ゲルカプセルは、最大数が最小寸法に対応する(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)といった指定されたもの等の、標準的な形状および種々の標準的な寸法で、従来の方法を使用して、製造されてよい。非標準的形状も、使用されてもよい。
本発明の化合物および好適な担体を含有する他の薬学的製剤は、有効量の本発明の活性化脂肪酸を含む、固体、溶液、粉末、流体乳状液、流体懸濁液、半固体、および乾燥粉末が挙げられるがそれらに限定されない、種々の形態であってよい。活性成分は、薬学的に許容される希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、抗酸化剤、保存料等と共に、かかる製剤内に含有することができることも、当分野において既知である。投与の手段および方法は、当分野において既知であり、また当業者は、手引きのために種々の薬理学的参照文献を参照することができる。例えば、どちらもその全体を参照により本明細書に援用される、Modern Pharmaceutics,Banker&Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979)、およびGoodman&Gilman’s,The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co.,New York(1980)を、閲覧することができる。
本発明の他の実施形態は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および細粒を含む、経口投与用の固体用量形態として製剤化される、上述のように調整される活性化脂肪酸を含む。かかる実施形態では、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンといった、1つ以上の不活性希釈剤と共に混合されてもよい。かかる用量形態はまた、通常の実施において、例えば、ステアリン酸マグネシウムといった、平滑剤等の、不活性希釈剤以外の追加の物質を含んでもよい。カプセル、錠剤、丸薬の場合、用量形態は、緩衝剤も含んでもよく、またそれに加えて、腸溶性コーティングを用いて調製されることもできる。
固体用量形態における活性化脂肪酸の調製は、多様であってよい。例えば、一実施形態では、活性化脂肪酸の液体またはゼラチン製剤は、活性化脂肪酸を、上述のもののような、1つ以上の脂肪酸希釈剤と組み合わせ、増粘剤を液体混合物に添加し、ゼラチンを形成することによって、調製することができる。ゼラチンは次に、カプセルを形成するために、単位用量形態内に封入されてよい。別の例示的実施形態では、上述のように調製される活性化脂肪酸の油性調製物を、凍結乾燥して、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と混合されることのある固体を形成し、錠剤を形成してもよく、また別の実施形態では、油性調製物の活性化脂肪酸を結晶化して、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と組み合わされることのある固体を形成し、錠剤を形成してもよい。
活性化脂肪酸の経口投与に有用である可能性のあるさらなる実施形態は、液体用量形態を含む。かかる実施形態では、液体用量は、水等の、当分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容される乳状液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含んでもよい。かかる組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、ならびに甘味料、着香料、ならびに芳香剤といった、補助剤を含んでもよい。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)、またはイオン交換樹脂、または、例えば、難溶性塩といった、難溶性誘導体と共に、製剤化することができる。他の好適な希釈剤には、後述のものが挙げられるが、それらに限定されない。
植物油:本明細書で使用するとき、用語「植物油」は、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖がその植物油に共有結合する、植物油のエトキシ化から形成される、化合物または化合物の混合物を指す。幾つかの実施形態では、脂肪酸は、約12個の炭素〜約18個の炭素を有してもよい。幾つかの実施形態では、エトキシ化の量は、約2〜約200、約5〜100、約10〜約80、約20〜約60、または約12〜約18のエチレングリコール反復単位で変化してもよい。植物油は、水素化または非水素化されてもよい。好適な植物油には、ヒマシ油、水素化ヒマシ油,ゴマ油、コーン油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、大豆油、安息香酸ベンジル、ゴマ油、綿実油、およびパーム油が挙げられるが、それらに限定されない。他の好適な植物油には、Miglyol(商標)810および812(SwedenのDynamit Nobel Chemicalsから入手可能)、Neobee(商標)M5(Drew Chemical Corp.から入手可能)、Alofine(商標)(Jarchem Industriesから入手可能)、Lubritab(商標)シリーズ(JRS Pharmaから入手可能)、Sterotex(商標)(Abitec Corp.から入手可能)、Softisan(商標)154(Sasolから入手可能)、Croduret(商標)(Crodaから入手可能)、Fancol(商標)(Fanning Corp.から入手可能)、Cutina(商標)HR (Cognisから入手可能)、Simulsol(商標)(CJ Petrowから入手可能)、EmCon(商標)CO(Amisol Co.から入手可能)、Lipvol(商標)CO、SES、およびHS−K(Lipoから入手可能)、ならびにSterotex(商標)HM(Abitec Corp.から入手可能)等の、市販の合成油が挙げられるがそれらに限定されない。ゴマ油、ヒマシ油、コーン油、および綿実油を含む、他の好適な植物油には、その全体を参照により本明細書に援用される、R.C.Rowe and P.J.Shesky,Handbook of Pharmaceutical Excipients,(2006),5th ed.に列挙されるものが挙げられる。好適なポリエトキシ化植物油には、Cremaphor(商標)ELまたはRHシリーズ(BASFから入手可能)、Emulphor(商標)EL−719(Stepan productsから入手可能)、およびEmulphor(商標)EL−620P(GAFから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
鉱油:本明細書で使用するとき、用語「鉱油」は、未精製の鉱油および精製された(軽)鉱油との双方を指す。好適な鉱油には、Avatech(商標)グレード(Avatar Corp.から入手可能)、Drakeol(商標)グレード(Penrecoから入手可能)、Sirius(商標)グレード(Shellから入手可能)、およびCitation(商標)グレード(Avater Corp.から入手可能)が挙げられるがそれらに限定されない。
ヒマシ油:本明細書で使用するとき、用語「ヒマシ油」は、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖がそのヒマシ油に共有結合する、ヒマシ油のエトキシ化から形成される化合物を指す。ヒマシ油は、水素化されてもよく、または非水素化であってもよい。ポリエトキシ化ヒマシ油の類義語には、ポリオキシルヒマシ油、水素化ポリオキシルヒマシ油、リシノール酸マクロゴルグリセロール(mcrogolglyceroli ricinoleas)、ヒドロキシステアリン酸マクロゴルグリセロール(macrogolglyceroli hydroxystearas)、ポリオキシル35ヒマシ油、およびポリオキシル40水素化ヒマシ油が挙げられるが、それらに限定されない。好適なポリエトキシ化ヒマシ油には、Nikkol HCO−30、HC−40、HC−50、およびHC−60(ポリエチレングリコール−30水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−40水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−50水素化ヒマシ油、およびポリエチレングリコール−60水素化ヒマシ油)等の、Nikkol(商標)HCOシリーズ(Nikko Chemicals Co.Ltd.から入手可能)、Emulphor(商標)EL−719 (ヒマシ油40 mole−ethoxylate、Stepan Productsから入手可能)、Cremophore RH40、RH60、およびEL35(それぞれ、ポリエチレングリコール−40水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール−60水素化ヒマシ油、およびポリエチレングリコール−35水素化ヒマシ油)を含む、Cremophore(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、ならびにEmulgin(登録商標)ROおよびHREシリーズ(Cognis PharmaLineから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。他の好適なポリオキシエチレンヒマシ油誘導体には、その全体を参照により本明細書に援用される、R.C.Rowe and P.J.Shesky,Handbook of Pharmaceutical Excipients,(2006),5th ed.に列挙されるものが挙げられる。
ステロール:本明細書で使用するとき、用語「ステロール」は、ステロール分子のエトキシ化に由来する化合物または化合物の混合物を指す。好適なポリエトキシ化ステロールには、PEG−24コレステロールエーテル、Solulan(商標)C−24(Amercholから入手可能);PEG−30コレスタノール、Nikkol(商標)DHC(Nikkoから入手可能);植物ステロール、GENEROL(商標)シリーズ(Henkelから入手可能);PEG−25植物ステロール、Nikkol(商標)BPSH−25(Nikkoから入手可能);PEG−5大豆ステロール、Nikkol(商標)BPS−5(Nikkoから入手可能);PEG−10大豆ステロール、Nikkol(商標)BPS−10(Nikkoから入手可能);PEG−20大豆ステロール、Nikkol(商標)BPS−20(Nikkoから入手可能)、およびPEG−30大豆ステロール、Nikkol(商標)BPS−30(Nikkoから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「PEG」は、ポリエチレングリコールを指す。
ポリエチレングリコール:本明細書で使用するとき、用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、式−O−CH2−CH2−のエチレングリコールモノマー単位を含有するポリマーを指す。好適なポリエチレングリコールは、ポリマー分子の各端部において遊離水酸基を有してもよく、または、例えば、メチル基といった、低級アルキルでエーテル化される1つ以上の水酸基を有してもよい。同様に好適なものは、エステル化可能なカルボキシ基を有するポリエチレングリコールの誘導体である。本発明において有用なポリエチレングリコールは、任意の鎖長または分子量のポリマーであってよく、また分枝を含むことができる。幾つかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約9000である。幾つかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約5000である。幾つかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約900である。幾つかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約400である。好適なポリエチレングリコールには、ポリエチレングリコール−200、ポリエチレングリコール−300、ポリエチレングリコール−400、ポリエチレングリコール−600、およびポリエチレングリコール−900が挙げられるが、それらに限定されない。名称内の−の後の数は、そのポリマーの平均分子量を指す。幾つかの実施形態では、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール−400である。好適なポリエチレングリコールには、Carbowax(商標)およびCarbowax(商標)Sentryシリーズ(Dowから入手可能)、Lipoxol(商標)シリーズ(Brenntagから入手可能)、Lutrol(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、ならびにPluriol(商標)シリーズ(BASFから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
プロピレングリコール脂肪酸エステル:本明細書で使用するとき、用語「プロピレングリコール脂肪酸エステル」は、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールと脂肪酸との間に形成される、モノエーテルまたはジエステル、またはそれらの混合物を指す。プロピレングリコール脂肪アルコールエーテルを引き出すのに有用な脂肪酸には、本明細書に定義されるようなものが挙げられるが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、プロピレングリコール由来である。幾つかの実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約1〜約200のオキシプロピレン単位を有する。幾つかの実施形態では、分子のポリプロピレングリコール部分は、約2〜約100のオキシプロピレン単位を有する。幾つかの実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約4〜約50のオキシプロピレン単位を有する。幾つかの実施形態では、モノエステルまたはジエステルは、約4〜約30のオキシプロピレン単位を有する。好適なプロピレングリコール脂肪酸エステルには、ラウリン酸プロピレングリコール:Lauroglycol(商標)FCCおよび90(Gattefosseから入手可能);カプリル酸プロピレングリコール:Capryol(商標)PGMCおよび90(Gatefosseから入手可能);ならびにプロピレングリコールジカプリロカプレート:Labrafac(商標)PG(Gatefosseから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
ステアロイルマクロゴールグリセリド:ステアロイルマクロゴールグリセリドは、ステアリン酸から優位に合成される、または、ステアリン酸から優位に引き出された化合物から優位に合成される、ポリグリコール化グリセリドを指すが、他の脂肪酸、または他の脂肪酸から引き出された化合物も、合成において使用してもよい。好適なステアロイルマクロゴールグリセリドには、Gelucire(登録商標)50/13(Gattefosseから入手可能)が挙げられるが、それに限定されない。
幾つかの実施形態では、希釈剤構成要素は、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末状セルロース、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、予めゼラチン化されたデンプン、リン酸カルシウム、金属カーボネート、金属酸化物、または金属アルミノケイ酸塩のうちの、1つ以上を含む。
固体および/または液体用量形態において使用するための、例示的な賦形剤または担体には、次のものが挙げられるがそれらに限定されない。
ソルビトール:好適なソルビトールには、PharmSorbidex E420(Cargillから入手可能)、Liponic70−NCおよび76−NC(Lipo Chemicalから入手可能)、Neosorb(Roquetteから入手可能)、Partech SI(Merckから入手可能)、ならびにSorbogem(SPI Polyolsから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、および予めゼラチン化されたデンプンには、その全体を参照により本明細書に援用される、R.C.Rowe and P.J.Shesky,Handbook of Pharmaceutical Excipients,(2006),5th ed.に記載されるものが挙げられるが、それに限定されない。
崩壊剤:崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、イオン交換樹脂、食物酸およびアルカリカーボネート構成要素に基づく発泡性システム、粘土、タルク、デンプン、予めゼラチン化されたデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロースフロック、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、金属カーボネート、重炭酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、またはリン酸カルシウムのうちの、1つ以上を含んでよい。
本発明のまたさらなる実施形態は、例えば、補助剤、タンパク質分解酵素阻害剤、または、本明細書に記載される方法の所望の効果を達成するのに、かかる組み合わせが、望ましい、もしくは有利であると考えられる、他の適合性のある薬物もしくは化合物、といった、他の活性物と組み合わせて投与される、活性化脂肪酸を含む。
種々の実施形態の活性化脂肪酸は、当分野において既知である任意の方法によって調製されてもよい。例えば、特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、例えば、活性化脂肪酸を含有することができる魚油および植物油といった天然源から引き出されてもよく、また具体的には、魚油から単離、精製、濃縮されたニトロ脂肪酸およびケト脂肪酸でありうる。他の実施形態では、活性化脂肪酸は、天然起源の不飽和脂肪酸を、1つ以上のニトロ含有化合物、窒化剤、および/または酸化剤と接触させることによって、調製されてもよく、また活性化脂肪酸は、得られた油から、単離、精製、または濃縮されてもよく、また幾つかの実施形態では、かかる方法は、1つ以上の余因子および/または触媒の存在下で実行されてもよい。例えば、特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、不飽和脂肪酸を、例えば、その全体を参照により本明細書に援用される、米国特許第4,599,430号に記載されるように、アンモニアまたは第1級アミン、分子酸素、および酸化触媒といった、1つ以上の窒化剤および/または酸化剤と組み合わせることによって、調製されてよい。
幾つかの実施形態では、活性化脂肪酸の単離、精製、または濃縮は、種々の固相クロマトグラフィーストラテジーを使用して達成されてもよく、増大または減少する極性の溶媒の勾配を受けてもよい。特定の実施形態では、親和力に基づく、または共有結合付加ストラテジーが、使用されてもよい。例えば、幾つかの例示的実施形態では、固定化チオール含有化合物、またはクロマトグラフィービーズを、天然油または処理された油から、活性化脂肪酸を濃縮するために、使用することができる。また他の実施形態では、天然油もしくは処理された油、または、濃縮、単離、もしくは精製された活性化脂肪酸は、有害な副産物および酸化脂肪酸を除去するために、追加で処理されてもよい。
特定の実施形態では、活性化脂肪酸は、
a)不飽和脂肪酸を、第2水銀塩およびセレン化合物と接触させることと、
b)ステップa)から得られる中間物を、試薬、酵素、または電子求引基を導くことができる反応物質と、接触させることと、
c)ステップb)から得られる中間物を、酸化剤と反応させることと、
のステップを含む方法によって、調製されることができる。
理論によって拘束されることを望むものではないが、例えば、PhSeBr、PhSeCl、PhSeO
2CCF
3、PhSeO
2H、PhSeCN等の、セレン化合物は、下記の反応のステップ1に示されるように、例えば、HgCl
2、Hg(NO
3)
2、Hg(OAc)
2等の、第2水銀塩によって促進されることができる反応において、不飽和脂肪酸の1つ以上の炭素−炭素二重結合と反応して、脂肪酸上に3員環中間物を形成することができる。
不飽和脂肪酸は、当分野において既知である任意の不飽和脂肪酸であってよい。例えば、幾つかの実施形態では、不飽和脂肪酸は、例えば、調剤または薬学的組成物級のω−3脂肪酸といった、調剤または薬学的組成物級の脂肪酸であってもよい。 他の実施形態では、不飽和脂肪酸は、魚油由来であってもよく、不飽和脂肪酸を濃縮するための魚油の分取によって獲得してもよく、またはしなくてもよい。また他の実施形態では、不飽和脂肪酸は、当分野において既知である任意の方法によって製造される合成脂肪酸であってもよい。
電子求引基の源は、例えば、NaNO2、AgNO2、HSO2OH等といった、活性化脂肪酸内へと組み込むことが可能な電子求引基を生成することができる、当分野において既知である任意の化合物であってよい。理論によって拘束されることを望むものではないが、電子求引基(上述の反応図におけるX)は、例えば、上述の反応図のステップIIに示されるように、セレン化合物に関連付けられた臭素を置換することによって、炭化水素鎖に連結されてもよい。電子求引基はまた、臭素が攻撃している(attacking)として示される位置において、ステップIに示されるように、3員環エピセレノニウム(episelenonium)イオンと直接反応してもよいことに留意されたい。最後に、上述に提供される反応図のステップIIIに示されるように、酸化剤は、反応性セレン−オキソ官能基を形成し、それは、分子の再配列、および炭化水素鎖上の電子求引ビニル(ニトロビニルとして図示される)の形成につながるZSeOHの除去を受ける。上述の反応図内のZは、任意の数の基であってよい。例えば、特定の実施形態では、Zはフェニル基であってよい。
他の実施形態では、活性化脂肪酸は、Henry反応等の、修正されたアルドール縮合を使用して調製されてもよい。Henry反応およびヘンリー方法に関連する方法についての概要は、例えば、Frederick A.Luzzio,F.A.“The Henry reaction: recent examples” Tetrahedron 2001,57,915−945に見出すことができ、その全体は参照により本明細書に援用される。既知の種々のHenry反応も、活性化脂肪酸の調製において有用であってよく、全てのかかる方法は本明細書に組み入れられる。例えば、幾つかの実施形態では、種々のHenry反応は、Henry反応のWittig様バリエーション、Henry反応のHorner−Wadsworth−Emmonsバリエーション、およびHenry反応のPetersonオレフィン化バリエーションを含むがそれらに限定されない。かかる方法においては、二重結合は、反応物質内に一時的に含まれるが産生物中には含まれない基を活用して、形成される。例えば、Wittig反応は、リンイリドを使用して、カルボニルとの縮合反応を助け、またアルケンを形成するための脱水反応を助ける。縮合および脱水工程のため、Horner−Wadsworth−Emmons反応は、ホスホン酸エステルを使用し、またPetersonオレフィン化は、ケイ素試薬を使用する。Wittig反応、Horner−Wittig、Horner−Wadsworth−Emmonsを含む、カルボニル化合物との官能化試薬の反応による主要なアルケン形成人名反応の概要は、例えば、Peterson,Johnson,and Julia reactions.Blakemore,P.R.“The modified Julia olefination:alkene synthesis via the condensation of metallated heteroarylalkylsulfones with carbonyl compounds J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I,2002,2563−2585に見出すことができ、それらはその全体が参照により本明細書に援用される。
ヘンリー「ニトロアルドール」反応は、ニトロアルカンの、アルデヒドか、またはケトンカルボニル含有化合物か、との縮合であり、新規に形成されるβ−ヒドロキシニトロアルキル基を伴う、ニトロアルドール産生物を形成する。ニトロアルドール産生物からの脱水(水の損失)は、ニトロアルケンの形成につながる。ニトロアルドールを生成するようにニトロアルカン−カルボニル縮合反応を実施するための多くの方法があり、またニトロアルケンを形成するための脱水反応のための多くの方法がある。かかる方法の例は、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、Woodcock,S.R.;Marwitz,A.J.V. Bruno,P.;Branchaud,B.P.“Synthesis of Nitrolipids.All Four Possible Diastereomers of Nitrooleic Acids:(E)−and(Z)−,9−and10−Nitro−octadec−9−enoic Acids”Organic Letters,2006,8,3931−3934に見出すことができ、高純度および通常は高化学収率で、1つの位置異性体と、通常は2つの可能なアルケンシス/トランスまたはZ/Eジアステレオマーのうちの1つと、が提供されている。
エナンチオ選択性Henry反応もまた可能であり、反応のために1つ以上の触媒を必要としてもよく、また本発明の実施形態は、ニトロアルケンの立体特異的異性体を調製するためのかかる方法の使用を含む。例えば、Boruwa,J.;Gogoi,N.;Saikia,P.P.;and Barua,N.C.“Catalytic Asymmetric Henry Reaction” Tetrahedron:Asymmetry 2006,17,3315−3326は、ニトロアルケン(nitoralkenes)の立体特異的異性体を調製するための方法を記載しており、その全体は参照により本明細書に援用される。
また他の実施形態では、アルケン(オレフィン)は、カルボニル化合物上での縮合による、金属媒介クロスカップリング反応(2個の分子を一緒に連結し、1個の新規の分子を生成すること)によって、調製されてもよい。かかる方法は、ニトロアルケンの形成に対して、または電子求引置換基を有する他のアルケンの形成に対しては適用されていないが、かかる方法は、電子求引置換基を有するアルケンの合成に適合されてもよい。例えば、Heck,Suzuki and Stilleカップリングといった、人名のついたクロスカップリング反応は、他のものと併せて、活性化脂肪酸を調製するために使用されてもよい。かかる方法は、当分野において既知である。かかる反応の概要は、例えば、Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions de Meijere,Armin/Diederich,Francois(eds.)Wiley−VCH,Weinheim 2004.XXII,ISBN−10:3−527−30518−1およびISBN−13:978−3−527−30518−6に見出すことができ、それらの全体は本明細書に参照により援用される。
活性化脂肪酸を調製するための方法の種々の実施形態の例は、少なくとも以下のステップを含んでよい。
i)1つの端に電子求引基を有する脂肪族炭化水素を少なくとも含む、第1の構成要素を、1つの端にアルデヒドを有する脂肪族炭化水素鎖を含む第2の構成要素と、塩基の存在下で組み合わせ、第1の中間物を形成することと、
ii)該第1の中間物から、アルケンを発生させること。
例示的な反応を、以下の図IおよびIIに示す。
反応図IおよびIIにおいて、変数Xは、電子求引基を表し、本明細書で上述に記載される、または当分野において既知である、任意の電子求引基であってよい。変数nおよびmは、脂肪族炭化水素鎖内の炭素原子の数を表し、nおよびmは、任意の数であってよい。例えば、開始化合物のうちの任意の脂肪族炭化水素鎖は、長さで、2〜20個の炭素であってよい。さらに、二重結合の位置、および二重結合に関する電子求引基の配列は、明確に決定されてもよく、また、特定の活性化脂肪酸が高収率で生成されてもよい。例えば、オレイン酸は、mが10である第1の基材と、nが2である第2の基材とを組み合わせることによって、図Iの反応によって産生されてもよい。
本発明の種々の実施形態はまた、活性化脂肪酸を投与するための方法に関する。投与の具体的様式は、変化してもよく、また指示に依存してもよい。投与の具体的経路および用量計画の選択は、最適な反応を獲得するように、既知の方法に従って調節または漸増されてよい。投与するべき化合物の量は、治療的に有効な量である。投与するべき用量は、例えば、治療される特定の動物、年齢、体重、健康状態、仮にある場合は同時治療の種類、治療頻度といった、治療される対象の特性に依存するであろうし、また当業者によって容易に決定されることができる。当業者は、用量は、例えば、いずれもその全体を参照により本明細書に援用される、Goodman&GoldmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics,Ninth Edition(1996),Appendix II,pp.1707−1711からの、またはGoodman&GoldmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition(2001),Appendix II,pp.475−493からのといった、手引きを用いて、決定することができることを理解するであろう。従来のプレニル化酵素阻害剤に関しては、手引きは、例えば、その全体を参照により本明細書に援用される、J.E.Karp,et al.,Blood,97(11):3361−3369(2001)、およびA.A.Adjei,et al.,Cancer Research,60:1871−1877(2000)に記載されるような、当分野において承認されている用量から獲得することができる。
2型糖尿病の成功的な治療は典型的に、例えば、この疾病に関連付けられる異なる代謝パラメータの生理学的レベルの観察等、糖尿病性の疾病に関連する変化についての対象者の継続観察を必要とする。したがって、幾つかの実施形態では、本実施形態の活性化脂肪酸をどの頻度で投与するかを判定するために、対象者の血液および/または尿のグルコースレベルを測定してもよい。体重の増加、尿頻度、および血液中のグルカゴンレベルといった、追加のマーカーもまた、観察するため、また場合により所与の対象者に最適なように治療を修正するため、使用することができる。
本発明を、その特定の好ましい実施形態への参照と共にかなり詳細に記載してきたが、他のバージョンも可能である。したがって、添付の特許請求の精神および範囲は、本明細書に含まれる記載および好ましいバージョンに制限されるべきではない。本発明の種々の態様は、以下の非限定的実施例への言及と共に例証されることとする。
<実施例1>
ニトロオレイン酸は、ob/obマウスにおいて、例えば、体重増加および体液鬱滞といった、例えば、ロシグリタゾンといった、糖尿病を治療するために用いられる他の既知のPPAR−γアゴニストに関連付けられる副作用を伴わずに、インスリン感受性を改善し、また血糖レベルを低下させることが見出されている。
オレイン酸、ニトロオレイン酸、ロシグリタゾン、またはビヒクル対照を、給餌されたWTマウスに投与し、これらのマウスの血糖レベルを観察した。図1に示されるように、対照マウスは、約170mg/dLで安定した血糖レベルを維持し、一方で、ニトロオレイン酸およびロシグリタゾンの双方とも、血糖レベルを減少させ、それぞれ、約125mg/dLおよび約150mg/dLという、ビヒクル対照より低い血糖レベルを維持するのに有効であった。対照的に、オレイン酸を投与したWTマウスは、研究過程にわたって、またロシグリタゾンを投与したマウスを上回って、増大された血糖レベルを示した。
同様の結果が、ob/obマウスに関する実験においても観察される。図2に示されるように、ビヒクル対照およびオレイン酸を与えたマウスは、研究過程にわたって増大された血糖レベルを示した。対照的に、ニトロオレイン酸およびロシグリタゾンを給餌したマウスは、研究過程にわたって、血糖レベルが有効に低減された。
総合して考えると、これらの結果は、ニトロオレイン酸は、血糖レベルを低減および維持するのに、少なくともロシグリタゾンと同程度に有効であることを示唆している。
<実施例2>
血糖レベルの低減に加えて、マウスにニトロオレイン酸を投与する場合、ビヒクル対照、オレイン酸、またはロシグリタゾンを投与したマウスと比較して、実質的に体重増加が観察されなかった。図3に示されるように、ニトロオレイン酸またはロシグリタゾンを受けたWTマウスの体重は、研究過程を通して(25日)変化せず、一方でビヒクル対照またはオレイン酸を与えたマウスは、研究過程を通して緩やかな体重増加を示した。図4に示されるように、ob/obマウスの場合では、ニトロオレイン酸を与えたマウスの体重は、初期には減少し(第0日〜第10日)、その後、研究の後半にわたって実質的に一定のままであった。対照的に、ビヒクル対照、ロシグリタゾン、およびオレイン酸を与えたob/obマウスは全て、研究過程にわたって安定した体重増加を示した。
これらの結果は、ニトロオレイン酸は、特に、例えば、ob/obマウスによって模倣される肥満集団等、体重増加の影響を受けやすい集団において、例えば、ロシグリタゾンといった、幾つかの糖尿病治療薬に関連付けられる体重増加を伴わず、低減された血糖レベルを提供することができるということを示唆している。
<実施例3>
ob/obマウスにおけるインスリン感受性が、ニトロオレイン酸は、PPAR−γ活性をロシグリタゾンのそれとは異なる結合相互作用を介して変調する、ということを示すために使用された。これらの結果は、ニトロオレイン酸は、インスリン感受性を改善するようであり、一方ロシグリタゾンはそうではなかったということを示している。図5により具体的に示されるように、ニトロオレイン酸かまたはロシグリタゾンかを受けたWTマウスは、インスリンの投与後に血糖レベルの初期降下を示し、次いでインスリンの投与の約120分後に、正常レベルまで戻る血糖の増大を示した。対照的に、図6に示されるように、ob/obマウスにニトロオレイン酸を投与し、次いでインスリンを投与することは、120分期間の過程にわたって血糖レベルの実質的な減少を引き起こし、一方でロシグリタゾンを受けたob/obマウスにおける血糖レベルは、インスリンの投与後実質的に不変であり、またオレイン酸またはビヒクル対照を与えたob/obマウスの血糖レベルは、120分の時間経過にわたって増大した。
これらの結果は、インスリンの投与前のニトロオレイン酸の投与は、ob/obマウスにおけるインスリン感受性を増進する可能性があり、一方ロシグリタゾンはインスリン感受性を増大しないということを示唆している。ニトロオレイン酸およびロシグリタゾンの双方とも、PPAR−γの活性化を通してその血糖低下効果を発揮するため、ニトロオレイン酸およびロシグリタゾンは、異なってPPAR−γと相互作用することが示唆される。その結果、体重増加および体液鬱滞につながる代謝事象を制御する遺伝子の転写は、ニトロオレイン酸を投与する場合とロシグリタゾンを投与する場合とで、異なってもたらされる可能性がある。