JP2013533869A - ギ酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

ギ酸と第三級アミン(I)とを含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得するための方法であって、第三級アミン(I)とギ酸源とを一緒にすることによってギ酸と第三級アミン(I)とを0.5〜5のモル比で含有する液状の流れを生じさせ、そこに含まれる副成分の10〜100質量%を分離し、そして得られた前記の液状の流れから蒸留装置において100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力でギ酸を蒸留により分離する前記方法。その際、蒸留装置からの底部排出物を、2つの液相に分離し、そして上方の液相を、ギ酸源へと返送し、並びに下方の液相を、副成分の分離へと及び/又は蒸留装置へと返送する。

Description

本願は、参照により2010年10月12日と2010年6月29日に出願された米国仮出願第61/392062及び第61/359382を包含する。
本発明は、ギ酸と第三級アミン(I)とを含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得するための方法であって、第三級アミン(I)とギ酸源とを一緒にすることによってギ酸と第三級アミン(I)とを0.5〜5のモル比で含有する液状の流れを生じさせ、そこに含まれる副成分の10〜100質量%を分離し、そして得られた前記の液状の流れから蒸留装置において100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力でギ酸を蒸留により分離する前記方法に関する。
ギ酸は、重要かつ多岐に亘り使用可能な生成物である。ギ酸は、例えば飼料の製造における酸性化のために、保存剤として、殺菌剤として、テキスタイル産業及び皮革産業における助剤として、その塩との混合物として飛行機及び滑走路の除霜のために、並びに化学産業における合成構成要素として使用される。
目下、ギ酸の製造のためにとてもよく行われている方法は、例えばメタノール及び一酸化炭素から得ることができるギ酸メチルの加水分解である。加水分解によって得られる水性ギ酸は、その後引き続いて、例えばジアルキルホルムアミドなどの抽出助剤を使用して濃縮される(DE2545658A1)。
その他に、ギ酸及び第三級窒素塩基からの化合物の熱分解によるギ酸の取得も公知である。これらの化合物は、一般に、第三級窒素塩基の酸性のギ酸アンモニウムであり、前記化合物に関しては、ギ酸が、古典的な塩形成の工程を通じて第三級窒素塩基と反応して、水素橋かけ結合を介して橋かけされた安定な付加化合物となっている。ギ酸と第三級窒素塩基とからなる付加化合物は、第三級窒素塩基とギ酸源とを一緒にすることによって形成させることができる。ここで、例えばWO2006/021,411は、かかる付加化合物の製造を開示しており、一般に(i)第三級窒素塩基とギ酸とを直接的に反応させ、(ii)第三級窒素塩基の存在下に遷移金属触媒により二酸化炭素を水素化してギ酸を得て、(iii)ギ酸メチルと水とを反応させ、引き続き形成されたギ酸を第三級窒素塩基で抽出し、並びに(iv)ギ酸メチルと水とを第三級窒素塩基の存在下に反応させることによって行われる。
ギ酸を取得するためにギ酸と第三級窒素塩基とからなる付加化合物を使用する際の一般的な利点は、一方では、前記付加化合物がギ酸はまず非常に十分に形成されて、ギ酸は遊離のギ酸として、そのギ酸が最初に化学合成によって形成される媒体から、例えば反応媒体から又は例えば希釈されたギ酸溶液から取り出され、そしてギ酸は、その付加化合物の形でそれによりさらに簡単に分離できることにあるが、他方では、ギ酸を引き続き付加化合物から熱分解によって再び溶出させ、濃縮し、そして遊離形に精製して取得するためには十分さに劣る。
EP0001432Aは、ギ酸メチルを第三級アミンの、特にアルキルイミダゾールの存在下で加水分解することによって、ギ酸及び第三級アミンとからなる付加化合物を形成させつつ取得するための方法を開示する。未反応のギ酸メチル、水、メタノール、付加化合物及び第三級アミンを含む得られた加水分解混合物からは、第一の蒸留塔において低沸点物であるギ酸メチル及びメタノールが除去される。第二の塔においては、残留する塔底製品が脱水される。第二の塔の脱水された塔底製品であって、さらに付加化合物及び第三級アミンを含有するものは、次いで第三の塔に供給され、そしてそこで前記付加化合物は熱分解されて、ギ酸と第三級アミンとなる。遊離されたギ酸は、塔頂製品として取り出される。第三級アミンは底部に集まり、それは加水分解へと返送される。
DE3428319Aは、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得方法を開示している。未反応のギ酸メチル、水、メタノール及びギ酸を含む得られた加水分解混合物からは、第一の蒸留塔において低沸点物であるギ酸メチル及びメタノールが除去される。底部に発生する水性のギ酸は、引き続き、より高沸点のアミン、特により長鎖の疎水性のC6〜C14−トリアルキルアミンで、付加的な疎水性の溶剤、特に脂肪族の、脂環式のもしくは芳香族の炭化水素の存在下に抽出され、その際に反応して、ギ酸とアミンとからなる水性の付加化合物となる。前記化合物は、第二の蒸留塔において脱水される。底部に発生する脱水された付加化合物は、ここで、DE3428319Aの教示によれば、蒸留塔の最上段(図1に"K4"と示される)に供給され、熱分解される。疎水性の溶剤は、塔頂部にも、塔底部にも存在する。気体状の頂部流れは、疎水性の溶剤の他に、とりわけ遊離されたギ酸を含有する。この流れは、凝縮器中で再び液化される。その際、2つの相、すなわち1つの極性のギ酸相と1つの疎水性の溶剤相とが形成される。ギ酸相は、生成物として排出され、そして溶剤相は、還流として塔中に戻される。疎水性の溶剤の存在によって、付加物の完全な分解を達成でき、その分解は、前記のDE公報の教示によればギ酸の分解なく行われると考えられている。(ほぼ)ギ酸を含まない底部物は、疎水性のアミンと疎水性の溶剤を含有する。これは、抽出工程へと返送される。
EP0181078A及びEP0126524Aは、遷移金属触媒と第三級アミン、例えばC1〜C10−トリアルキルアミンの存在下で二酸化炭素を水素化して、ギ酸と第三級アミンとからなる付加化合物を形成させ、その水素化排出物を後処理して、触媒と低沸点物とを分離し、付加物塩基をより弱くより高沸点の第三級アミンと、特にアルキルイミダゾールと交換して、第一の第三級アミンを分離し、そして引き続き新たに形成された付加化合物を蒸留塔において熱分解することによってギ酸を取得するための方法を記載している。そのために、EP0181078Aの図1によれば、ギ酸とアミンとを含有する流れは塔"30"の中間領域へと供給される。熱分解に際して遊離されたギ酸は、塔頂製品として取り出される。より弱くより高沸点の第三級アミンは底部に集まり、それは塩基交換の工程へと返送される。
WO2008/116,799は、遷移金属触媒と、高沸点の極性溶剤、例えばアルコール、エーテル、スルホラン、ジメチルスルホキシドもしくはアミドなどの溶剤と、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する極性のアミンとの存在下に二酸化炭素を水素化して、ギ酸とアミンとからなる付加化合物を形成させることによってギ酸を取得する方法を開示している。WO2008/116,799の教示によれば、前記の水素化排出物は、付加化合物の熱分解のために、直接的に蒸留装置に供給されうる。前記装置は、蒸留塔を含んでよく、短い滞留時間が望ましい場合には、薄膜型蒸発器もしくは流下薄膜型蒸発器も含みうる。遊離されたギ酸は、塔頂製品として取り出される。前記の極性のアミン及び極性の溶剤と、場合により分離されていない触媒は底部に集まり、それは水素化工程に返送することができる。
WO2006/021,411は、ギ酸及び第三級アミンからの付加化合物(第四級アンモニウムギ酸塩)の熱分解によるギ酸の取得方法であって、前記第三級アミンが105〜175℃の沸点を有する前記方法を開示している。好ましい第三級アミンとしては、アルキルピリジンが挙げられる。第三級アミンの特別な沸点範囲によって、取得されたギ酸の色安定性は高められる。使用されるべき付加化合物は、その際一般に、第三級アミンとギ酸源から取得できる。より好ましくは、付加物合成からの排出物からは、まず揮発性成分が除去され、次いで熱分解に供給される。その熱分解は、通常通りに蒸留塔において行われ、その際、ギ酸とアミンを含有する流れは、図1によれば、塔(C)の中間領域へと供給される。遊離されたギ酸は、塔頂製品として取り出される。場合によりなおもギ酸残分を含有しうる第三級アミンは底部に集まり、それはギ酸源へと返送することができる。
EP0563831Aは、ギ酸と第三級アミンからの付加化合物(第四級アンモニウムギ酸塩)を熱分解してギ酸を取得するための改善された方法を挙げている。使用されるべき付加化合物は、その際一般に、第三級アミンとギ酸源から取得できる。より好ましくは、その合成からの排出物からは、まず揮発性成分が除去され、次いで熱分解のために蒸留塔の中央へと供給される。前記の改善点は、本質的に、付加化合物の熱分解を、取得されたギ酸の色安定性を高める第二級ホルムアミドの存在下で行うことにある。遊離されたギ酸は、塔頂製品として取り出される。第三級アミンと第二級ホルムアミドは底部に集まり、それはギ酸源へと返送することができる。
本発明の課題は、ギ酸及び第三級アミンを含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得するための方法であって、先行技術に対する利点を有し、かつギ酸が高い収率、高い濃度、そして高い純度で取得可能である方法を見出すことであった。更に、該方法は、できる限りエネルギー効率よく実施でき、特に目下の大工業的に行われるギ酸メチル加水分解の作業方法に対して経済的な利点を有するべきである。その際、低い色数と高い色数安定性にも焦点がしぼられている。更に、前記方法は、当然簡単に実施でき、信頼できるものであるべきである。
従って、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得するための方法であって、
(a)前記の第三級アミン(I)とギ酸源とを一緒にすることによって、ギ酸と第三級アミン(I)を0.5〜5のモル比で含有する液状の流れを生じさせ、
(b)工程(a)から得られる液状の流れから、そこに含まれる副成分の10〜100質量%を分離し、そして
(c)工程(b)から得られる液状の流れから、蒸留装置において、100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力でギ酸を蒸留により分離する、前記方法において、第三級アミン(I)として、1013hPa(絶対)の圧力で、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有するアミンが使用され、さらに、工程(a)で使用されるべき第三級アミン(I)と、工程(c)に挙げられる蒸留装置中の分離速度は、工程(c)において挙げられる蒸留装置の底部排出物中に、工程(d)にある条件下で2つの液相を形成するように選択され、
(d)工程(c)に挙げられる蒸留装置からの底部排出物を、2つの液相に分離し、その際、上方の液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比0〜0.5を有し、かつ下方の液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比0.5〜5を有し、
(e)工程(d)からの相分離の上方の液相を、工程(a)へと返送し、そして
(f)工程(d)からの相分離の下方の液相を、工程(b)及び/又は(c)へと返送することを特徴とする前記取得方法が見出された。
ギ酸源とは、この場合、ギ酸を、希釈された形で、汚染された形で、及び/又は化学的に結合された形で含有するか、又は化学反応によってギ酸が生成される前駆物質を含有する物質流れを表す。その希釈された及び/又は汚染されたギ酸は、例えば多様な製造プロセス又は応用法に由来しうる。そのギ酸は、例えば水もしくは有機溶剤で希釈されていてよく、かつ多様な別の随伴物質で汚染されていてよい。このための具体例としては、例えば再生原料の発酵に由来する希釈された汚染されたギ酸並びにギ酸メチルの加水分解からのメタノールと残留ギ酸メチルの分離後の水性のギ酸が挙げられる。化学的に結合された形での添加は、例えば錯体の形、塩の形、又はギ酸及び第三級アミン(I)とは異なるアミンとの間の付加化合物の形で行うことができる。化学反応としては、基本的には、ギ酸が生成されるあらゆる化学反応が該当する。しかしながら、特に工業的に重要なものは、本願の出願時点では、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の生成と、遷移金属触媒による二酸化炭素の水素化によるギ酸の生成である。2つの挙げられる合成手法は、当該技術分野ではよく知られており、種々の変法及び実施形態において規定されている。化学反応によるギ酸の生成のための更なる工業的に関連した一つの手法は、例えばまた一酸化炭素と水との直接的な反応である。
ギ酸メチルの加水分解の場合には、通常は、加水分解によって形成されるギ酸を第三級アミン(I)で付加化合物の形で捕捉し、こうして加水分解平衡から逃れるために、ギ酸メチル、水及び第三級アミン(I)は、一緒に又は前後して加水分解反応器に添加される。それによって、ギ酸メチルの高い転化率を達成でき、そして未反応の水の、後続の蒸留による特に好ましい分離が可能である。
遷移金属触媒による二酸化炭素の水素化の場合に、第三級アミン(I)は、一般に、水素化に際して既にギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れが形成されるために水素化反応器に添加される。
好ましくは、工程(a)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れが、水と第三級アミン(I)の存在下でのギ酸メチルの加水分解によって生成される。更に好ましくは、工程(a)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れが、第三級アミン(I)の存在下で希釈されたギ酸から濃縮によって生成される。しかしながら、特に好ましくは、工程(a)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れが、水と第三級アミン(I)の存在下でのギ酸メチルの加水分解によって生成される。
第三級アミン(I)とギ酸源とを工程(a)において一緒にした場合に生成される液状の流れは、ギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比0.5〜5を有する。前記モル比は、好ましくは1以上であり、かつ好ましくは4以下であり、特に好ましくは3以下である。挙げられたモル比は、これが一相又は多相で存在するかどうかとは無関係に、全液体流れに対するものである。
工程(a)で生成される、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する液状の流れは、一般に、該流れの全体量に対して1〜99質量%の濃度のギ酸と第三級アミン(I)とを有する。好ましくは、上述の流れの有するギ酸と第三級アミン(I)との濃度は、5質量%以上であり、特に好ましくは15質量%以上であり、かつ好ましくは95質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以下である。
工程(a)から得られる液状の流れから、そこに含まれる副成分の10〜100質量%が分離される。上述の値範囲の基礎を成すのは、工程(a)で生成される液状の流れが有する副成分の濃度である。この濃度を、以下に"C副成分(工程(a)からの流れ)"と呼ぶ。副成分が低減された液状の流れは、工程(c)により蒸留装置に供給される流れに相当する。この濃度を、以下に"C副成分(工程(c)への供給流れ)"と呼ぶ。従って、上述の副成分の分離は、商
Figure 2013533869
に当てはまる。
好ましくは、工程(b)において、副成分の20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上で、かつ好ましくは99.99質量%以下、特に好ましくは99.9質量%以下が分離される。
副成分という概念は、その際、工程(a)で得られる液状の流れに含まれるあらゆる成分であって、ギ酸でも第三級アミン(I)でもないものを表す。例としては、例えば、水、メタノール(特にギ酸メチルの加水分解の場合)、溶解された加水分解されていないギ酸メチル(特にギ酸メチルの加水分解の場合)、第三級アミン(I)の考えられる分解生成物、溶解された不活性ガス、均一系触媒(特に二酸化炭素の水素化の場合)、溶解された二酸化炭素もしくは溶解された水素(特に二酸化炭素の水素化の場合)、溶剤、その他の成分が挙げられる。
副成分の分離される様式及び方法は、本発明による方法にとってはあまり重要ではない。ここで、例えば、液状の物質混合物の分離のための通常のかつ公知の方法を使用することができる。まず第一に、ここでは蒸留による分離が挙げられる。この場合に、液状の物質混合物は、蒸留装置において分離される。ここで、例えば低沸点の副成分、例えばメタノール、ギ酸メチル又は水などの成分は、頂部を介して又は側方抜出物として分離することができる。しかしまた、高沸点の副成分を底部を介して、そしてギ酸及び第三級アミン(I)を含有する混合物を側方流れもしくは塔頂製品として分離することも考えられる。しかしながら、蒸留による分離の他に、また、膜法、吸収法、吸着法、結晶化法、濾過法、沈降法又は抽出法も可能である。抽出法は、希釈された水性のギ酸の濃縮に際して、水と混和しないか又は水と僅かな部分までしか混和しない第三級アミン(I)を使用した場合に好ましい。
もちろん、さらに種々の方法を基礎とすることができる複数の分離工程を組み合わせてもよい。1もしくは複数の分離工程の設計は、通常の専門知識をもって行うことができる。
工程(a)と工程(c)との間で、本発明による方法では、工程(d)に加えて、もちろんさらに他の方法工程を行うこともできる。
工程(b)から得られる液状の流れから、蒸留装置において、100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力において、ギ酸は蒸留により分離される。
蒸留装置は、内部取付物を有する固有の塔体に加えて、とりわけ頂部凝縮器と底部蒸発器を含む。さらに、蒸留装置は、任意にまたなおも更なる周辺装置又は内部取付物、例えば供給路におけるフラッシュ容器(例えば塔体への供給路における気体と液体との分離のために)、中間蒸発器(例えば該方法の改善された熱統合のために)又はエーロゾル形成の回避もしくは低減のための内部取付物(例えば温度調節可能なトレイ、デミスター、コアレッサー又は深層拡散フィルタ(Tiefbettdiffusionsfilter))などを含んでよい。該塔体は、例えば充填物、充填体又はトレイを備えていてよい。必要な分離段の数は、特に、第三級アミン(I)の種類、工程(c)における蒸留装置の供給路におけるギ酸と第三級アミン(I)の濃度及びギ酸の所望の濃度もしくは所望の純度に依存し、かつ当業者によって通常のように決定できる。一般に、必要な分離段の数は、3以上であり、好ましくは6以上であり、特に好ましくは7以上である。高い分には、原則的に限界は課されない。しかし、実践的理由から、一般に50以下の、場合により30以下の分離段を使用することが通常である。
ギ酸と第三級アミン(I)を含有する、工程(b)からの流れは、蒸留装置において、側方流れとして塔体に供給できる。
場合により、その添加には、例えばフラッシュ蒸発器が前接続されていてよい。供給された流れの蒸留装置における熱的負荷をできるだけ僅かに保持するために、一般に、その流れをむしろ蒸留装置の下方領域に供給することが好ましい。ここで、工程(c)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れを、存在する分離段の、下方四分の一の領域で、好ましくは下方五分の一の領域で、特に好ましくは下方六分の一の領域で供給することが好ましく、その際、この場合には当然のように底部における直接的な供給もともに含まれている。
しかしながら、選択的には、また、工程(c)において、ギ酸と第三級アミン(I)とを含有する工程(b)からの上述の流れを、蒸留装置の底部蒸発器に供給することも好ましい。
蒸留装置は、100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力で運転される。好ましくは、蒸留装置は、120℃以上の、特に好ましくは140℃以上の、かつ好ましくは220℃以下の、特に好ましくは200℃以下の底部温度で運転される。その圧力は、好ましくは30hPa(絶対)以上であり、特に好ましくは60hPa(絶対)以上であり、かつ好ましくは1500hPa(絶対)以下であり、特に好ましくは500hPa(絶対)以下である。
ギ酸と第三級アミン(I)を含有する、蒸留装置への供給物の組成と起源とに応じて、ギ酸は、蒸留装置から塔頂製品として及び/又は側方製品として得ることができる。該供給物がギ酸よりも低沸点の成分を含有する場合に、場合により、該成分を、塔頂製品として、かつギ酸を側方抜出物として蒸留により分離することが好ましい。該供給物中に溶解されていることが考えられるガス(例えば一酸化炭素又は二酸化炭素など)の場合、しかしながらそれは、ギ酸を前記ガスと一緒に塔頂製品として分離することも可能である。前記供給物がギ酸よりも高沸点の成分を含有する場合に、ギ酸は、好ましくは塔頂製品として蒸留により分離されるが、場合によりその代わりに又はそれに加えて、第二の流れの形で側方抜出物において蒸留により分離される。ギ酸よりも高沸点の成分は、この場合に、その際好ましくは追加の側方流れを介して抜き出される。副成分を有する側方流れは、場合により該副成分の分離のために工程(b)へと返送することができる。
このように、100質量%までの含有率を有するギ酸を取得することができる。一般に、75〜99.995質量%のギ酸含有率は問題なく達成できる。100質量%までの欠いている残留含分は、主として水であり、その際、ギ酸と第一級アミン(I)の他に蒸留装置に導入された物質に応じて、当然、別の成分、例えば溶剤又は考えられる分解生成物などの成分も考えられる。ここで、水は、既に蒸留装置の供給物に既に含まれていてよいが、場合によりまた、熱的分離に際してはじめて、ギ酸自体の分解によって少量だけ生じてもよい。
95〜100質量%の含有率を有する濃縮されたギ酸を塔頂製品又は側方製品として取得する場合には、水は、分解されたギ酸の一部と一緒に側方流れにおいて排出される。この側方流れのギ酸含有率は、典型的には、75〜95質量%である。しかしまた、水及び分解されたギ酸は、共通の頂部流れ又は側方流れにおいて排出することも可能である。こうして取得された生成物のギ酸含有率は、その際、一般に85〜95質量%である。側方流れからの水性のギ酸は、場合により水の分離のために工程(b)へと返送することができる。
更に、本発明によれば、酸素の存在によって第三級アミン(I)の酸化的分解が生じることがあるので、従ってとりわけ0.1MPa(絶対)未満の圧力での蒸留装置の運転に際しては、酸素の侵入を、連結部、管片及びフランジの数をできるだけ少なくすることによって、取付に際して特に慎重にすることによって、特に密なフランジ接続(例えば櫛状輪郭シール又は溶接リップシールを有するもの)を使用することによって、又は窒素で覆われたフランジ接続によって回避するか、又は少なくとも非常に低く保つことが特に好ましい。好適なフランジ接続は、例えばDE102009046310A1に開示されている。
本発明による方法によって得られるギ酸は、低い色数と高い色数安定性を有する。一般に、問題なく、20以下のAPHAの色数を、特にそれどころか10以下のAPHAの色数を、場合によりそれどころか5以下のAPHAの色数を達成することができる。何週間もの貯蔵に際しても、色数はほぼ一定に留まり、あるいは微々たる程度だけ高まるにすぎない。
更に、第三級アミン(I)の分解から、例えばアルデヒド、カルボン酸、アルコール、アルキルギ酸エステルもしくはホルムアミドなどの副成分の理論上考えられる形成にもかかわらず、得られたギ酸中のかかる副成分の含有率は、100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、殊に好ましくは25質量ppm以下である。
それに応じて、特に遊離のギ酸及びアミン(I)含有の塔底製品の他に、なおも他のフラクション、例えば随伴物質、反応副生成物、不純物及び/又は種々の純度及び濃度のギ酸フラクションを含有する他のフラクションを得るべき場合には、工程(c)において複数の蒸留装置を使用することが好ましいこともある。
ギ酸の分離のための蒸留装置は、もちろん、熱的に連結された蒸留塔としても又は分離壁塔(Trennwandkolonne)としても構成されていてよい。
本発明による方法で使用されるべき第三級アミン(I)は、1013hPa(絶対)の圧力において、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有する。好ましくは、使用されるべき第三級アミン(I)は、ギ酸よりも、少なくとも10℃だけ高い、特に好ましくは少なくとも50℃だけ高い、殊に好ましくは少なくとも100℃だけ高い沸点を有する。沸点についての上限値に関する制限は、本発明による方法については、第三級アミン(I)のできるだけ低い蒸気圧が基本的に好ましいので、必要ない。一般に、第三級アミン(I)の沸点は、場合により公知法により真空から1013hPa(絶対)にまで外挿された圧力において、500℃未満である。
更に、工程(a)で使用されるべき第三級アミン(I)及び工程(c)において挙げられる蒸留装置中の分離速度は、工程(c)において挙げられる蒸留装置の底部排出物において、工程(d)にある条件下で2つの液相を形成するように選択されるべきである。
2つの液相の形成は、主として、2つの相の化学的特性と物理的特性から決定される。これらはまた、使用されるべき第三級アミン(I)の選択によっても、蒸留装置における分離速度によっても、しかしながらまた場合による添加成分の、例えば溶剤などの存在によって、そしてその濃度によってさえも影響されうる。
分離速度とは、その際、商
Figure 2013533869
を表し、その際、"mギ酸(工程(c)への供給流れ)"は、単位時間あたりに蒸留装置に供給されるギ酸の量に相当し、そして"mギ酸(底部排出物)"は、単位時間あたりに底部排出物を介して排出されるギ酸の量に相当する。本発明による方法では、一般に10%以上の、好ましくは25%以上の、特に好ましくは40%以上の、かつ一般に99.9%以下の、好ましくは99.5%以下の、特に好ましくは99.0%以下の分離速度が選択される。分離速度は、例えば蒸留装置中の温度条件及び圧力条件によって、並びに蒸留装置中の滞留時間によって簡単に影響を受けることがある。分離速度は、簡単な実験によって、場合により本発明による方法の運転に際しても調査することができる。
第三級アミン(I)又は場合により付加的に望まれる溶剤の適性は、例えば意図する条件下で相の性質を調べる簡単な実験において調べることができる。
工程(d)においては、工程(c)に挙げられる蒸留装置からの底部排出物は、2つの液相に分離され、その際、上方の液相は、0〜0.5のギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比を有し、かつ下方の液相は、0.5〜5のギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比を有する。
相分離は、例えば、蒸留装置に後接続されている個別の相分離器において行うことができる。しかしながらまた、相分離器を、蒸留装置の底部領域に、底部蒸発器の領域に、又は底部蒸発器循環路の領域にも統合することが可能である。この場合に、例えば遠心分離型分離器の使用も可能であるか、あるいは場合によってはそれどころか好ましい。
2つの液相の形成は、両方の相の化学的特性及び物理的特性に加えて、さらにまた温度によっても影響され、一般に混和性は温度に伴って高まるので、相分離の向上のためには、場合により、予め選択された底部温度よりも低い温度でこれを行うことが好ましいことがある。そのために、底部排出物は、通常は、間に接続された熱交換器において30〜180℃の範囲の温度に冷却される。好ましくは、前記の相分離は、50℃以上の温度で、もしくは160℃以下の温度で行われる。
工程(d)における上方の液相は、0.005以上の、特に好ましくは0.015以上の、かつ好ましくは0.25以下の、特に好ましくは0.125以下の、ギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比を有する。工程(d)における下方の液相は、0.75以上の、特に好ましくは1以上の、かつ好ましくは3.5以下の、特に好ましくは3以下の、ギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比を有する。
更に、本発明による方法においては、工程(c)に挙げられる蒸留装置における分離速度を、底部排出物におけるギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比が0.1〜2.0であるように選択することが好ましい。底部排出物とは、液状の底部凝縮物の全体であって、蒸留装置を出て、工程(d)に従って2つの液相に分けられるものを表す。その際に、該底部凝縮物が、例えば蒸留装置の底部物自体に直接的に由来するか、底部蒸発器の底部物に由来するか、あるいはその両方に由来するかは、あまり重要ではない。好ましくは、工程(c)に挙げられる蒸留装置における分離速度は、底部排出物におけるギ酸の、第三級アミン(I)に対するモル比が、好ましくは1.5以下であるように選択される。
本発明による方法においては、工程(e)に従い、工程(d)からの相分離の上方の液相は、工程(a)へと返送される。それによって、該上方の液相中に含まれる第三級アミン(I)は、ギ酸源と一緒にすることによって、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れの更なる生成のために使用することができる。一般に、上方の液相の、10〜100%が、好ましくは50〜100%が、特に好ましくは80〜100%が、殊に好ましくは90〜100%が、特に95〜100%が、工程(a)へと返送される。
ギ酸メチルの加水分解の場合に、前記の上方の液相は、好ましくは加水分解工程へと直接的に返送される。
上方の液相の返送においては、もちろん、更なる方法工程が組み込まれていてよい。制限されない例として、例えば、返送されるべき上方の液相を、もしくはそこに含まれる第三級アミン(I)を、不所望な随伴物質、反応副生成物又は不純物から精製することが挙げられる。また、間に接続された方法工程の種類に関しては、基本的に制限は課されない。また、上方の液相の一部を意図的に、いわゆる"パージ流れ"として取り出すことも可能である。不足したもしくは失われた量の第三級アミン(I)は、もちろん、新たに供給された第三級アミン(I)によって改めて補うことができ、その際、前記アミンは、例えば返送流れを介して、または工程(a)へと直接的にも供給できる。
本発明による方法においては、工程(f)に従い、工程(d)からの相分離の下方の液相は、工程(b)及び/又は(c)へと返送される。それによって、下方の液相中に含まれるギ酸は、同様に、蒸留による分離によってギ酸を取得するために利用することができる。所望の実施形態に応じて、本発明による方法では、前記の下方の液相は、従って、(i)工程(b)へと、(ii)工程(b)と工程(c)とに分けて、又は(iii)工程(c)へと返送することができる。しかしながら、一般に工程(c)への返送が好ましい。それというのも、それによって、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する下方の液相の負荷量は、通常最も低く、そして工程(b)における物質流れは量的に上がらないからである。このことは、さもなくば、相応してより大きな規模決めの結果となる。一般に、下方の液相の、10〜100%が、好ましくは50〜100%が、特に好ましくは80〜100%が、殊に好ましくは90〜100%が、特に95〜100%が、工程(b)及び/又は(c)へと返送される。
しかしながらまた、本発明の範囲においては、下方の液相の工程(b)及び/又は(c)への上述の返送に加えて、更なる部分を工程(a)へと返送することも可能である。そのことは、例えば遷移金属触媒による二酸化炭素の水素化によるギ酸の生成の場合に好ましい。それというのも、その生成は、一般に極性溶剤の存在下に行われ、その溶剤は、同様に下方の液相中に集まるので、再び工程(a)へと返送されうるからである。
また、下方の液相の返送においては、もちろん、なおも更なる方法工程が組み込まれていてよい。制限されない例として、ここでも、返送されるべき下方の液相を、もしくはそこに含まれる第三級アミン(I)及び/又はそこに含まれるギ酸を、不所望な随伴物質、反応副生成物又は不純物から精製することが挙げられる。また、間に接続された方法工程の種類に関しては、基本的に制限は課されない。また、下方の液相の一部を意図的に、いわゆる"パージ流れ"として排出して、それと共に不所望な副生成物もしくは不純物を除去することも可能である。
本発明によれば、ギ酸及びアミンを含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得する際に、金属及び金属化合物は、通常の材料ではほぼ避けられない僅かな表面腐食によって溶け出して液状の物質流れへと達することが判明した。その溶け出した金属及び/又は金属化合物は、設備全体におけるプロセス流れにわたって広がり、濃度が高まり(aufpegeln)、溶解度限界を超えたときには制御不能に種々の箇所、例えば流量計、制御弁、ポンプ、熱交換器表面又は容器内表面(例えば蒸留装置の底部領域中)などの箇所に堆積する。それによって、長期にわたり設備の運転に際して重大な問題が生ずることがある。設備の該当箇所への直接的な損傷の他に、該当する装置の清浄化のために頻繁に設備を止めることによって生産能力の損失が生ずることがある。始めからそれを避けるために、前記設備を貴な材料から構成することも当然可能である。しかしながら、それは非常に手間がかかり高価である。
本発明による方法では、溶け出した金属及び金属化合物は極性の液相に集まり、特に工程(d)により形成された下方の液相中に集まることが判明した。更に、該金属及び金属化合物を、工程(d)により形成される下方の液相から排出することが好ましいことが判明した。工程(d)により形成された上相であって、工程(a)の後に返送される相は、実質的に金属及び金属化合物を含まない。それによって、溶けた金属及び金属化合物が返送されたプロセス流れを介して全設備に広がり、上述の問題を引き起こすということは回避される。金属及び金属化合物の除去の様式及び方法は、基本的に制限されない。例えば、これらをいわゆる"パージ流れ"を介して排出することが適切である。最も簡単な分離は、前記金属化合物を溶解度限界を上回って濃縮して、固体として、例えば工程(d)における相分離容器から排出することである。そこに含まれるギ酸及びそこに含まれる第三級アミン(I)を再び取得して返送しうるためには、場合により、排出された"パージ流れ"を、好ましくは真空中で蒸発に供することが好ましい。その際に、ギ酸及び第三級アミン(I)は蒸発し、そして引き続き凝縮によって再び回収することができる。それらの金属及び金属化合物は、蒸発残留物として残る。また、例えばギ酸を溶解度の低下のために部分蒸発させ、引き続き沈殿した金属及び金属化合物を濾別することも考えられる。前記の金属及び金属化合物を下方の液相から除去するための更なる手法は、それらを、排出された"パージ流れ"から、例えばアルカリ液での洗浄によって、好適な吸着剤での吸着によって、又はイオン交換体での処理によって除去することにある。好適な吸着剤としては、例えば商慣習の活性炭、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム及び−SO3H、−CO2H、−NR12(R1、R2は、例えばH、アルキル、−CH2CO2H、−CH2PO32、−C(SH)NHである)、−PO32、−SH)などの多様な官能基を有するイオン交換体樹脂が挙げられる。上述の措置は、もちろん原則的には、排出された"パージ流れ"によるのみならず、全液体流れによっても実施することができる。しかし、より多量の液体流れに基づき、それは非常に手間がかかるため、一般には、"パージ流れ"からの取り出しが好まれる。
本発明による方法で有利に使用される第三級アミン(I)は、一般式(Ia)
NR123 (Ia)
[式中、基R1〜R3は、同一又は異なっており、かつ互いに独立して、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族の、芳香脂肪族の又は芳香族の、それぞれ1〜16個の炭素原子を有する、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する基を表し、その際、個々の炭素原子は、互いに独立して、−O−及び>N−の群から選択されるヘテロ基によって置換されていてもよく、かつ2つの又は全ての3つの基は、少なくともそれぞれ4つの原子を含む鎖を形成して互いに結合されていてもよい]を有する。
好適なアミンとしては、例えば以下のものが挙げられる:
・ トリ−n−プロピルアミン(沸点1013hPa=156℃)、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ウンデシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、トリ−n−トリデシルアミン、トリ−n−テトラデシルアミン、トリ−n−ペンタデシルアミン、トリ−n−ヘキサデシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン
・ ジメチル−デシルアミン、ジメチル−ドデシルアミン、ジメチル−テトラデシルアミン、エチル−ジ(2−プロピル)アミン(沸点1013hPa=127℃)、ジオクチル−メチルアミン、ジヘキシル−メチルアミン
・ トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロヘプチルアミン、トリシクロオクチルアミン及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ ジメチル−シクロヘキシルアミン、メチル−ジシクロヘキシルアミン、ジエチル−シクロヘキシルアミン、エチル−ジシクロヘキシルアミン、ジメチル−シクロペンチルアミン、メチル−ジシクロペンチルアミン
・ トリフェニルアミン、メチル−ジフェニルアミン、エチル−ジフェニルアミン、プロピル−ジフェニルアミン、ブチル−ジフェニルアミン、2−エチル−ヘキシル−ジフェニルアミン、ジメチル−フェニルアミン、ジエチル−フェニルアミン、ジプロピル−フェニルアミン、ジブチル−フェニルアミン、ビス(2−エチル−ヘキシル)フェニルアミン、トリベンジルアミン、メチル−ジベンジルアミン、エチル−ジベンジルアミン及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ N−C1〜C12−アルキル−ピペリジン、N,N−ジ−C1〜C12−アルキル−ピペラジン、N−C1〜C12−アルキル−ピロリジン、N−C1〜C12−アルキル−イミダゾール及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン("DBU")、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン("Tropan")、N−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン("Granatan")、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン("Chinuclidin")、7,15−ジアザテトラシクロ[7.7.1.02,7.010,15]ヘプタデカン("Spartein")
本発明による方法では、もちろん、種々の第三級アミン(I)の混合物も使用できる。好ましくはその際、もちろん、使用される全ての第三級アミン(I)は、1013hPa(絶対)の圧力において、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有する。
上記の一般式(Ia)の第三級アミンのうち、式中、基R1〜R3が、同一又は異なっており、かつ互いに独立して、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族の、芳香脂肪族の又は芳香族の、それぞれ1〜16個の炭素原子を有する、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する基を表し、その際、個々の炭素原子は、互いに独立して、−O−及び>N−の群から選択されるヘテロ基によって置換されていてもよく、かつ2つの又は全ての3つの基は、少なくともそれぞれ4つの原子を含む飽和の鎖を形成して互いに結合されていてもよいアミンが好ましい。
好ましくは、前記基の少なくとも1つは、α−炭素原子に、2つの水素原子を有する。
特に好ましくは、本発明による方法では、第三級アミン(I)として、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1〜R3が、互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジル及びフェニルの群から選択されるアミンが使用される。
特に好ましくは、本発明による方法では、第三級アミン(I)として、一般式(Ia)で示される飽和アミンが使用される。
殊に好ましくは、本発明による方法では、第三級アミン(I)として、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1〜R3が、互いに独立して、C5〜C8−アルキル、特にトリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、ジオクチルメチルアミン及びジメチルデシルアミンの群から選択されるアミンが使用される。
本発明による方法で形成される、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れは、該混合物中の遊離のギ酸及び遊離の第三級アミン(I)に加えて、ギ酸及び第三級アミン(I)を、種々の別の形態で含んでいてもよい。個々の形態の種類及び量は、その際、存在する条件に応じて、例えばギ酸の第三級アミン(I)に対する相対的な量比、更なる成分(例えば水、溶剤、副生成物、不純物)の存在、そしてつまり最後にはギ酸及び第三級アミン(I)の濃度、温度並びに圧力などの条件に応じて様々であってよい。ここで例えば、以下の考えられる形態:
− ギ酸アンモニウム(ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比は1である)もしくはギ酸リッチな第三級アミン(I)との付加物(ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比は1を上回る)
− イオン性液体
が挙げられる。
本発明による方法の実施のためには、個々の形態の種類及び量はあまり重要ではない。
工程(c)に供給されるべき工程(b)からの液状の流れは、ギ酸及び第三級アミン(I)に加えて、もちろんさらに他の成分、例えば工程(b)で分離されていない又は完全には分離されなかった副成分などの成分も含有してよい。好ましくは、工程(c)へは、ギ酸及び第三級アミン(I)の他には、工程(c)においても問題なくギ酸から蒸留により分離でき、又は少なくとも後接続された工程において、得られたギ酸から簡単に、例えば後続の蒸留、抽出、吸収又は吸着などによって分離できる成分だけが供給されるべきである。
工程(c)へと供給されるべき液状の流れにおけるギ酸及び第三級アミン(I)の他の可能性のある更なる成分の濃度もしくは前記の流れに存在するギ酸及び第三級アミン(I)の含有率は、本発明による方法の実施のためには、一般に基本的にはあまり重要ではない。しかし、本発明による方法の効率に基づき、ギ酸及び第三級アミン(I)を高すぎる希釈において工程(c)へと供給しないことが好ましい。それというのも、希釈は、もちろん一般にまた、蒸留装置の寸法及び設計並びにそのエネルギー使用量に影響するからである。従って、一般に、ギ酸及び第三級アミン(I)の全含有率の少なくとも10質量%を、好ましくは少なくとも50質量%を、特に好ましくは少なくとも80質量%を有する流れを供給することが望ましい。
工程(c)へと供給すべき工程(b)からの液状の流れは、任意にまたいわゆる溶剤を含有してもよい。
溶剤が使用されるべき場合には、一般に、この溶剤は、第三級アミン(I)と混和性でないかあるいは非本質的にのみ混和性であるが、ギ酸との混和性が良好であり、従って工程(d)においてむしろ下方の液相に再び見出されることが好ましい。このために、基準として、好ましくは200・10-30Cm以上の静電係数(electrostatischer Faktor)(EFとも短縮される)が見出された。その静電係数EFは、溶剤の相対誘電率εrと双極子モーメントμとの積として定義される(例えばC. Reichardt, "Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry", 第3版, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co KGaA, Weinheim 2003の第3.2章、第67頁の下方から第68頁の上方までを参照のこと)。この好ましい値は、任意の溶剤が所定の最小極性を有し、かつ工程(d)において下方の液相と混和性であることを保証する。
溶剤の使用は、その都度の系(例えば第三級アミン(I)の種類、濃度、温度、圧力など)に依存して、例えば両方の液相の分離を改善できる。
任意の溶剤として特に適した物質クラスとしては、特にジオール並びにそのギ酸エステル、ポリオール並びにそのギ酸エステル、スルホン、スルホキシド、開鎖型アミド又は環状アミド並びに上述の物質クラスの混合物が該当する。
好適なジオール及びポリオールとしては、例えばエチレングリコール(EF=290.3・10-30Cm)、ジエチレングリコール(EF=244.0・10-30Cm)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール(EF=285.6・10-30Cm)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(EF=262.7・10-30Cm)、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール(EF=212.5・10-30Cm)、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリンが挙げられる。ジオール及びポリオールは、そのOH基に基づき、ギ酸の存在下でエステル化されることがある。それは、本発明による方法では、とりわけ工程(c)において、上述の蒸留装置におけるギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れの熱的分離に際して起こる。生ずるギ酸エステルは非常に類似した相挙動を示すので、それらのエステルは、溶剤として一般に同様にとても適している。また、エステル化の際に生ずる水は、熱的分離に際して害はない。本発明による方法の連続的な運転においては水量の増加は生じない。それというのも、この少量の水は、蒸留装置において側方抜出部を介して分離できるからである。
好適なスルホキシドとしては、例えばジアルキルスルホキシド、好ましくはC1〜C6−ジアルキルスルホキシド、特にジメチルスルホキシド(EF=627.1・10-30Cm)が挙げられる。
好適な開鎖型の又は環状のアミドとしては、例えばホルムアミド(EF=1243.2・10-30Cm)、N−メチルホルムアミド(EF=2352.9・10-30Cm)、N,N−ジメチルホルムアミド(EF=396.5・10-30Cm)、N−メチルピロリドン(EF=437.9・10-30Cm)、アセトアミド及びN−メチルカプロラクタムが挙げられる。
しかしまた、それに応じて、まさにむしろ200×10-30Cmを下回る非極性溶剤を使用することも好ましいことがある。非極性溶剤は、場合により上方の液相中のギ酸の濃度を低下させることができる。
しかしながら、好ましくは、本発明による方法は、溶剤を添加せずに行われる。
図1aは、本発明による方法の一般的な一実施形態の単純化されたブロック図を示している。 図1bは、本発明による方法の一般的な更なる一実施形態の単純化されたブロック図を示している。 図2は、本発明による方法に際して好ましい一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図3は、本発明による方法に際して好ましいもう一つの実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図4は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図5は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図6は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図7は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。 図8は、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための好ましい一実施形態の、単純化されたブロック図を示している。 図9は、ギ酸メチル流れ(1a)が、蒸留装置B中に入れられる、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための別の好ましい一実施形態を示している。 図10は、ギ酸メチルの流れ(1a)も、水の流れ(1b)も、蒸留装置B中に入れられる、ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための更なる別の好ましい一実施形態を示している。 図11は、1つの蒸留塔を有する一実施形態と、2つの蒸留塔を有する異なる実施形態を示している。 図12は、3つの蒸留塔を有する異なる実施形態を示している。 図13は、研究室用設備1の単純化されたブロック図を示している。 図14は、研究室用設備3の単純化されたブロック図を示している。
図1aは、本発明による方法の一般的な一実施形態の単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
A=ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを生成するための装置
B=副成分を分離するための装置
C=蒸留装置
D=相分離容器
ギ酸源は、流れ(1)を介して、そして第三級アミン(I)は、流れ(8)を介して、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを生成するための装置Aへと供給される。既にさらに先に説明したように、供給すべきギ酸源は、例えばギ酸を、既に、希釈された形で、汚染された形で、及び/又は化学的に結合された形で含有するか、又は化学反応によってギ酸が生成される前駆物質を含有することができる。ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れ(2)は、装置Aから抜き出され、そして副成分の分離のために装置Bへと供給される。この装置は、例えば蒸留装置であってよく、その装置中で低沸点の副成分を蒸留により除去することができる。分離された副成分は、流れ(3)を介して取り出される。流れ(4)を介して、ギ酸と第三級アミン(I)の濃縮がなされた流れは、蒸留装置Cへと供給される。そこでは、ギ酸の蒸留による分離が、流れ(5)として行われる。蒸留装置Cの底部物は、流れ(6)として相分離のために相分離容器Dへと供給される。上方の液相は、流れ(8)として装置Aへと返送される。下方の液相は、流れ(7)として蒸留装置Cへと返送される。
図1bは、本発明による方法の一般的な更なる一実施形態の単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
A=ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを生成するための装置
B=副成分を分離するための装置
C=相分離が統合された蒸留装置
図1bによる方法は、本質的には図1aによる方法に相当するが、相分離が蒸留装置Cに統合されているという違いがある。ギ酸は、蒸留装置Cから同様に流れ(5)として分離される。上方の液相は、流れ(8)として装置Aへと返送される。下方の液相は、流れ(7)として蒸留装置Cへと返送される。
蒸留装置C及び相分離Dの領域において、本発明による方法においては、種々の構成形態が可能である。これらは、相分離が別個の容器で行われるか又は統合されて蒸留塔の底部で行われるかの点で異なるのみならず、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを蒸留装置へと添加する位置の点と、塔容器と底部蒸発器との間の流路の点並びに底部排出物の取り出し位置の点で異なる。
図2は、本発明による方法に際して好ましい一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
C1=内部取付物を有する塔体
C2=底部蒸発器
D=相分離容器
H=熱交換器
ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れ(4)は、塔体C1に供給される。ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する、蒸留装置Cへの供給物の組成と起源とに応じて、ギ酸は、流れ(5)を介して塔頂製品として、流れ(5a)を介して側方製品として、及び/又は流れ(5b)を介して側方製品として、蒸留により取り出され、その際、特に、以下の3つの変法が引き続き行われる。
第一の変法は、一般に、蒸留装置Cへの供給物中に、ギ酸よりも低沸点の副成分がなおも含まれている場合に重要である。これらは、次いで流れ(5)として分離される。ギ酸(例えば100質量%までのギ酸含有率を有する)の分離は、次いで流れ(5a)を介して行われる。流れ(5b)を介して次いで、一般に、含水のギ酸(例えば75〜95質量%のギ酸含有率を有する)が取り出される。流れ(5b)における水性のギ酸は、場合により水の分離のために工程(b)へと返送することができる。
第二の変法は、一般に、蒸留装置Cへの供給物中に、ギ酸よりも低沸点の副成分が含まれていないか又は所望のギ酸品質を脅かさない副成分が含まれている場合に重要である。この場合に、次いで、ギ酸(例えば100質量%までのギ酸含有率を有する)は、流れ(5)を介して分離される。含水のギ酸(例えば75〜95質量%のギ酸含有率を有する)は、次いで一般に、流れ(5a)を介して取り出される。流れ(5a)における水性のギ酸は、場合により水の分離のために工程(b)へと返送することができる。従って、この場合には、流れ(5b)は通常省くことができる。
第三の変法は、一般に、所望のギ酸品質が既に流れ(5)によって達成できる場合に重要である。それは、例えば、蒸留装置Cへの供給物における、水及びギ酸よりも低沸点の副成分の含有率が、その含有率がギ酸の所望の品質要求と合致するほど低い場合である。従って、この変法は、特に75〜95質量%の含有率を有するギ酸の取得のために重要である。
塔体C1では、流れ(4)の供給路は、一般に、流れ(5a)/(5b)の側方抜出部と塔体C1の底部との間にあり、あるいは更に好ましい一実施形態においては、存在する分離段の下方四分の一の範囲にある。塔体C1の塔底製品は、流れ(6)として抜き出される。流れ(6a)は、加熱のために底部蒸発器C2に入れられる。流れ(6x)を介して、ギ酸を含む蒸気と、場合により第三級アミン(I)及び/又はギ酸を含有する液状の流れは、塔体C1に返送される。底部排出物の部分流(6b)は、任意の熱交換器Hを介して、そこで前記流れが冷却されて、相分離容器Dへと供給される。上方の液相は、流れ(8)として装置Aへと返送される。下方の液相は、流れ(7)として蒸留装置Cへと返送される。
流れ(7)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
図3は、本発明による方法に際して好ましいもう一つの実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
C1=内部取付物を有する塔体
C2=底部蒸発器
D1=蒸発器循環路中の相分離容器
D2=相分離容器
H=熱交換器
ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れ(4)は、塔体C1に供給される。ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する、蒸留装置Cへの供給物の組成と起源とに応じて、ギ酸は、流れ(5)を介して塔頂製品として、流れ(5a)を介して側方製品として、及び/又は流れ(5b)を介して側方製品として、蒸留により取り出され、その際、詳細な説明で図2について述べた2つの変法が引き続き行われる。流れ(4)の塔体C1への供給路は、一般に、流れ(5a)の側方抜出部と塔体C1の底部との間にあり、あるいは更に好ましい一実施形態においては、存在する分離段の下方四分の一の範囲にある。塔体C1の塔底製品は、流れ(6)として抜き出され、そして蒸発器循環路中の相分離容器D1に供給される。下方の液相は、流れ(6a)として、加熱のために底部蒸発器C2に入れられる。流れ(6x)を介して、ギ酸を含む蒸気と、場合により第三級アミン(I)及び/又はギ酸を含有する液状の流れは、塔体C1に返送される。蒸発器循環路中の相分離容器D1の上方の液相は、流れ(6b)として、任意の熱交換器Hを介して、そこで前記流れが冷却されて、相分離容器D2へと供給される。上方の液相は、流れ(8)として装置Aへと返送される。下方の液相は、流れ(7)として蒸留装置Cへと返送される。
単純化された様式において、図3による変法に際しては、相分離容器D2と場合により熱交換器Hも省くことができ、かつ蒸発器循環路中の相分離容器D1からの上方の液相は、流れ(6b)として取り出され、そして流れ(8)として装置Aへと返送されうる。
流れ(7)及び/又は流れ(6a)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)及び/又は流れ(6a)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
図4は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は図2の場合と同じ意味を有する。図4からの変法は、図2からの変法とは、任意に熱交換器Hを介して行われる相分離容器Dの供給物が、塔体C1の底部に由来するものではなく、底部蒸発器C2の底部に由来するものであるという点で異なる。この変法に際しても、流れ(7)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
図5は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は図2の場合と同じ意味を有する。図5からの変法は、図2からの変法とは、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れ(4)が、塔体C1に供給されずに、底部蒸発器C2に供給されるという点で異なる。この変法に際しても、流れ(7)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
図6は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は図3の場合と同じ意味を有する。図6からの変法は、図3からの変法とは、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れ(4)が、塔体C1に供給されずに、底部蒸発器C2に供給されるという点で異なる。この変法においても、流れ(7)及び/又は流れ(6a)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)及び/又は流れ(6a)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
図7は、本発明による方法に際して好ましい更なる一実施形態の、蒸留装置Cと相分離Dの領域における単純化されたブロック図を示している。そのうち個々の文字は図2の場合と同じ意味を有する。図7からの変法は、図5からの変法とは、任意に熱交換器Hを介して行われる相分離容器Dの供給物が、塔体C1の底部に由来するものではなく、底部蒸発器C2の底部に由来するものであるという点で異なる。この変法に際しても、流れ(7)を底部蒸発器C2へと返送する代わりに、流れ(7)は、また完全に又は部分的に、塔体C1の底部に返送してよい。
以下に、本発明による方法の特定の使用分野についての特定の幾つかの実施形態を記載する。
ギ酸の濃縮
希釈された及び/又は汚染されたギ酸の濃縮又は精製のための一般的な一実施形態は、図1a及び図1bに記載される方法に基づくものである。その際、流れ(1)を介するギ酸源は、希釈された及び/又は汚染されたギ酸である。例えばスタティックミキサ、混合ノズル、撹拌容器、反応塔(例えば低沸点の不純物の場合)又は抽出塔(例えば水性のギ酸の場合)でありうる装置Aにおいて、流れ(1)及び流れ(8)からの第三級アミン(I)は、混合されて、ギ酸、第三級アミン(I)並びに希釈する溶剤(例えば水など)及び/又は汚染している副成分(不純物)を含有する流れ(2)を形成する。流れ(2)を介して、その流れは、次いで装置Bに到達し、そこで前記副成分は、部分的にないし完全に分離される。
低沸点の副成分の場合には、これらは、例えば既に装置Aにおいても、いわゆる反応塔の使用によって分離することができる。この場合に、ギ酸源と第三級アミン(I)との混合は、例えば反応塔又は蒸留塔が載った反応器において行われ、そこで低沸点の副成分は同様に蒸留により取り除かれうる。
それが水性希釈されたギ酸の濃縮である場合に、装置Bにおいて大部分の水が分離される。使用される水性希釈されたギ酸が、流れ(2)が2つの相に分かれうるほど大きく希釈されている場合に、好ましくは装置Bとしては相分離容器が使用される。水相は、下方の相として沈殿し、除去することができる。上方の相は、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有し、そして流れ(4)を介して蒸留装置Cへと供給される。装置A及びBは、この場合に、1つの装置に、例えば1つの抽出塔にまとめることができる。その際、水性のギ酸は塔の上方部に、アミン(I)は塔の下方部に供給される。塔底部において、その際、ギ酸の低減された水が抜き出され、塔頂部ではギ酸及びアミン(I)を含有する相であって、場合によりなおも少量の水を含んでよい相が抜き出される。相分離の改善のために、もしくはアミン(I)及びギ酸を含有する相の含水率の低減のために、補助物質、例えば非極性の炭化水素、例えばオクタン又はデカンなどを添加してよい。生成物の所望のギ酸濃度に依存して、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを、間に接続された蒸留塔において更に脱水し、次いでまず蒸留装置Cに供給することが好ましいことがある。
蒸留装置C及び相分離Dの範囲における実施形態は、例えば図2ないし図7に記載されるように行うことができる。ギ酸と第三級アミンとの間の沸点を有する副成分は、蒸留装置Cにおいて、例えば側方流れとしても取り出すことができる。場合により、第三級アミン(I)は、その沸点に関して、前記副成分の側方抜出しが可能であるように選択することが適切である。場合により底部に残留する副成分は、量に応じて、例えば分岐した流れにおいて、下方の液相又は上方の液相から、好適な方法によって、例えば蒸発、蒸留もしくは活性炭上での吸着などの方法によって取り出すことができる。
上述の濃縮によって、例えば水性ギ酸は、100質量%まで濃縮することができる。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための好ましい一実施形態は、図8において単純化されたブロック図によって示されている。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
A=ギ酸メチルを加水分解して、ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを生成するための装置
B=副成分を分離するための蒸留装置
C=ギ酸の取得のための蒸留装置
D=相分離容器
ギ酸メチル(流れ(1a)及び(3b))、水(流れ(1b)及び(3c))並びに第三級アミン(I)(流れ(8))を、装置Aに供給する。装置Aとしては、原則的に、流体流の弱発熱反応が可能なあらゆる装置を使用することができる。例としては、例えば撹拌槽、管形反応器又は管束型反応器が挙げられ、それぞれは内部取付物(例えば充填床(Schuettung)、充填体、有孔板及び類似物など)を有しても有していなくてもよい。装置Aは、好ましくは断熱的に又は冷却しつつ運転される。従って、ギ酸メチルの加水分解によって、ギ酸、第三級アミン(I)、メタノール、水及びギ酸メチルを含有する流れが生成し、該流れは、流れ(2)として装置Aから取り出され、そして装置Bへと供給される。ギ酸メチルの転化及び従って流れ(2)の組成は、第一に、3つの供給流れであるギ酸メチル、水及び第三級アミン(I)の装置Aへの相対供給量と、使用される第三級アミン(I)の種類と、滞留時間と、反応温度とに依存する。その都度の反応系のために合理的な条件は、当業者によって、例えば予備試験によって簡単に決定することができる。通常は、その反応は、80〜150℃の温度範囲及び0.4〜25MPa(絶対)の圧力範囲において行われる。流れ(2)において、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比は、通常は、0.5〜3であり、その際、もちろんこの範囲から逸脱してもよい。
蒸留装置Bにおいて、流れ(2)からここでいわゆる副成分が分離される。これは、第一に、(i)低沸点物として流れ(3b)から分離できる未反応のギ酸メチル、(ii)加水分解に際して形成される、同様に中沸点物として流れ(3a)を介して分離できるメタノール、並びに(iii)更なる中沸点物として流れ(3c)を介して分離される未反応の水である。分離される未反応の使用物質であるギ酸メチルと水は、流れ(3b)もしくは(3c)を介して装置Aへと返送される。流れ(3a)を介して分離されるメタノールは、例えば新たにギ酸メチルの製造のために使用することができる。ギ酸及び第三級アミン(I)は、流れ(4)を介して取り出される。これは、さらになおも水の残量を含有する。方法の実施に応じて、これらは、流れ(4)の数質量パーセント又はそれどころか数十質量パーセントを構成しうる。好ましくは、流れ(4)中の含水率は、20質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下であり、殊に好ましくは5質量%以下である。ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比は、蒸留装置Bによって変化しないか又は非本質的にのみ変化するにすぎないので、そのモル比は、流れ(4)においても通常は0.5〜3であり、その際、もちろんこの範囲から逸脱してもよい。
流れ(4)は、蒸留装置Cに供給される。そこで、ギ酸は流れ(5)を介して塔頂製品として、流れ(5a)を介して側方製品として、及び/又は流れ(5b)を介して側方製品として、蒸留により取り出される。図2に対する、流れ(5)、(5a)及び/又は(5b)を介したギ酸の分離に関する説明は、当該実施形態にも当てはまる。大枠の条件、つまりとりわけ蒸留装置Cへの供給流れ(4)の組成並びにギ酸の所望の純度に応じて、当該実施形態においては、ギ酸は、流れ(5)として頂部を介して、又は流れ(5a)として側方製品として得ることができる。含水のギ酸は、次いで側方製品として流れ(5a)もしくは(5b)を介して取り出される。特別な場合には、それどころか、ギ酸もしくは含水のギ酸を単に流れ(5)を介して塔頂製品として取り出すことで十分なことがある。従って具体的な実施形態に応じて、側方流れ(5b)又はそれどころか両方の側方流れ(5a)及び(5b)は省くことができる。蒸留装置Cの可能性のある実施形態に関して、これは、図1bに記載されるように、相分離器を統合して行えることに留意されたい。更に、蒸留装置Cに関してはもちろん図2ないし図7の実施形態も好ましいことに留意されたい。
蒸留装置Cの塔底製品は、流れ(6)として相分離容器Dに供給される。既に先に挙げたように、相分離容器は、もちろん蒸留装置C中に図1bのようにして統合されていてよい。相分離容器Dにおいては、塔底製品は、2つの液相に分離される。既に図2ないし図7の実施形態で述べたように、蒸留装置Cと相分離容器Dとの間には、任意に、取り出された底部流れの冷却のために熱交換器が間に接続されていてよい。より低い相分離温度は、確かに一般的に、ギ酸含量に関する幾らかより良好な分離を導くものの、熱交換器の使用に基づき付加的な費用とエネルギー所要量を引き起こす。従って利点と欠点をそれぞれ考慮すべきである。相分離容器Dからの上方の液相は、流れ(8)を介して装置Aへと返送される。下方の液相は、流れ(7)を介して蒸留装置Cへと返送される。場合により両方の返送流れに残留する副成分は、量に応じて、例えば分岐した流れにおいて、下方の液相又は上方の液相から、好適な方法によって、例えば蒸発、蒸留もしくは活性炭上での吸着などの方法によって取り出すことができる。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための別の好ましい一実施形態においては、図9によれば、ギ酸メチル流れ(1a)は、蒸留装置B中に入れられる。この実施形態は、一般に、流れ(1a)として提供されるギ酸メチルがなおもメタノールの残留量で、例えば事前に行われたメタノール部分転化とギ酸メチルの不完全な後処理を伴うギ酸メチル合成工程により汚染されている場合に好ましい。従って、流れ(1a)を蒸留装置Bへと直接的に供給することによって、含まれるメタノールは流れ(3a)として分離され、それは、例えばギ酸メチル合成工程へと返送することができる。この変法によって、ギ酸メチル合成工程において、それどころか完全にギ酸メチル/メタノールの分離を省くことができ、従って全体の蒸留塔と、従って絶え間ない運転においてエネルギーも削減することができる。
ギ酸メチルの加水分解によるギ酸の取得のための更なる別の好ましい一実施形態においては、図10によれば、ギ酸メチルの流れ(1a)も、水の流れ(1b)も、蒸留装置B中に入れられる。水の流れ(1b)に関しては、この実施形態は、一般に、高温凝縮物又は蒸気を水源として提供する場合に好ましい。それというのも、これによって、そこに蓄積される熱エネルギーを、蒸留装置Bにおいて用いることができるからである。
完全性のために、さらに、更なる一実施形態においてはもちろん、ギ酸メチルの流れ(1a)を装置Aに入れるが、水の流れ(1b)は蒸留装置Bへと入れることも可能であることを述べたい。それは、例えば低圧過剰蒸気(Niederdruck-Ueberschussdampf)が提供される場合に好ましい。
図8から図11までの変法に際して、蒸留装置Bの実施形態に関して、1つの、2つの又はそれどころか3つの蒸留塔を有する特定の変法が可能である。図11aは、1つの蒸留塔を有する一実施形態を示している。図11bから図11eまでは、2つの蒸留塔を有する異なる実施形態を示している。図12aから図12cまでは、3つの蒸留塔を有する異なる実施形態を示している。蒸留装置Bの実施形態に関しては、1つもしくは2つの蒸留塔を有する変法が好ましい。完全性のために、特に1つもしくは2つの蒸留塔を有する実施形態の場合には、これらの蒸留塔は、熱的に連結された塔として又は分離壁塔として構成されていてもよい。
本発明による方法は、ギ酸及び第三級アミンを含有する流れの熱的分離によって高収率及び高純度でギ酸を取得することを可能にする。該方法は、簡単にかつ確実に実施することができる。取得されるギ酸は、低い色数と高い色数安定性を有する。
本発明による方法は、ギ酸の蒸留による分離の方法工程からギ酸源へのアミン含有の返送流れにおいて、極めて少量のギ酸だけしか戻り輸送されないか、あるいは事実上ギ酸は全く戻り輸送されないことも保証する。返送流れにおけるより多量のギ酸は、高められたプロセス流れをもたらし、従ってより高い投資費用もより高いエネルギー所要量も結果としてもたらしうる。それは、特にギ酸メチルの加水分解に際して起こり、ギ酸が返送される場合には、ギ酸メチル転化の低下がもたらされる。ここで、相分離を行わない方法では従って、ギ酸の蒸留による分離において、返送されたアミン流れ中での低いギ酸濃度を達成するために持続的に高い分離速度で作業する必要がある。より低い分離速度をもたらす蒸留装置の運転で場合により生ずる障害は、こうして前方のプロセス工程へと直接的に伝わる。最悪の場合には、設備の安定な運転はもはや不可能であり、その設備を、より低められた生産能力で可動させるか、あるいは場合によってはそれどころか停止せねばならない。それは、部分的なまたはそれどころか完全な生産中止を意味する。それに対して、本発明による方法では、方法工程(c)におけるギ酸の蒸留による分離に後接続された相分離と、相分離の上方の液相の工程(a)への返送とによって、分離速度の高い可変性が達成される。工程(c)で分離されなかったギ酸は、相分離の下方の液相中に存在する。従って、ギ酸の蒸留による分離のための方法工程の運転を、最適化された全プロセスの要求に簡単に適合させ変更することができる。従って本発明による方法は、また、運転の障害の受けやすさが明らかに低い。
熱的分離に際して特に温度操作の点でより穏やかな条件のため、さらに、蒸留装置中での腐食速度は、底部において本質的により低いギ酸含有率を得ようとする先行技術による方法の場合よりも低い。ここで、一般に、10℃だけ低い温度では、腐食速度の低下は、2倍〜3倍であると見込まれる。そのことは、一方で、塔の材質の耐久性に好ましい作用を有し、しかしながら他方で、本発明による方法では相応の先行技術による方法の場合よりも低い底部における不所望な微量の異種金属の含分に好ましい作用を有する。微量の異種金属に関しては、より低い濃度の他にもさらなる利点を生じる。この利点は、腐食金属がほぼ極性の下方の液相中だけに存在するため、通常は第三級アミン(I)を含有する上方の液相が原則的に異種金属を含まないことに基づいている。下方の液相を介して、溶解された異種金属は、場合によりパージ流れを通じて意図的に排出できるか、又は少なくとも返送流れを介して工程(f)に位置する。従って、前記の異種金属は、また、ギ酸源(つまり方法工程(a))へと返送されないか又は極めて小規模にのみ返送されるにすぎないので、前記金属はそこと後続のプロセス工程においても悪影響を及ぼさない。それに対して、先行技術による方法では、前記異種金属は、第三級アミン(I)を含有する一相の底部物と一緒に方法工程(a)へと返送されて、そこと後続の設備部分において時間と共に該設備における被膜をもたらす。これらは、時間の経過において運転性能を妨げる。
さらに、本発明による方法は、熱的分離におけるより穏やかな条件によって、蒸留装置がより低い温度で運転できるという利点も有する。従って、例えば、蒸留装置の運転のために低エネルギー蒸気を使用することも可能である。
さらに、より穏やかな条件は、熱分解によるより低いギ酸損失をもたらす。
本発明による方法は、特にギ酸源としてのギ酸メチルの加水分解と組み合わせても使用でき、かつ現在大工業的に行われている、抽出助剤もしくは2圧蒸留による後接続された脱水を伴うギ酸メチルの加水分解の運転方法に対して技術的かつ経済的な利点を有する。
実施例
例1〜10
磁気撹拌機により撹拌されるガラスフラスコにおいて、1モルの所望の第三級アミンを初充填し、そしてアミン窒素1モル当たりに1モルのギ酸(98〜100質量%)を氷浴で冷却しながら滴加した。添加が完了した後に、その溶液を室温(約20℃)に加温し、そして両方の相が平衡して存在することを保証するために30分間にわたり撹拌した。引き続きそれらの相を分液漏斗によって分離し、そして秤量した。各相において、ギ酸含有率を、イソプロパノール中0.1NのNaOHを用いた滴定によって測定した(終点測定:電位差測定)。そのアミン含有率は、100%までの残部として仮定した。次いで組成から、ギ酸のアミンに対するモル比を計算した。個々の試験データは、第1表に見ることができる。例1〜10は、広く選択された第三級アミンがギ酸と2相混合物を形成することを示している。
比較例11及び14並びに例12及び13
例11〜14は、例3と同様にして実施したが、ギ酸の添加される量(ギ酸/アミン全体のモル比として表現される)が変化されたという差異があった。結果は、第2表に見ることができる。
これらの結果は、例えば系の2相性が、ギ酸/アミンのモル比にも依存しうることを示している。
比較例15及び例16〜例17
比較例15において、磁気撹拌機により撹拌されるガラスフラスコにおいて、1モルのメチル−ジシクロヘキシルアミンを初充填し、そして室温で0.21モルのギ酸(98〜100質量%)を滴加した。添加が完了した後に、その溶液を30分間にわたり撹拌した。得られた生成物は、固体であった(第3表を参照のこと)。
例16〜例17において、磁気撹拌機により撹拌されるガラスフラスコにおいて、同様に1モルのメチル−ジシクロヘキシルアミンを初充填し、そして室温で0.21モルのギ酸(98〜100質量%)を滴加した。しかしながら引き続き室温で10分間にわたり撹拌し、次いで使用されるアミン1グラム当たりに0.5gの溶剤を滴加した。添加が完了した後に、30分間にわたり撹拌した。引き続きそれらの相を分液漏斗によって分離し、そして秤量した。各相におけるギ酸の含有率を、メタノール中0.1NのKOHでブロムチモールブルーに対して滴定することによって測定し、そして第三級アミン及びジオールの含有率を、両方の相においてそれぞれガスクロマトグラフィーによって測定した。結果は、第3表に見ることができる。
それらの例は、例えば相の分解が起こらない場合に(例えば比較例15の場合のように)好適な極性溶剤の添加によって、2つの液相への分解を引き起こせることを示しており、その際、ギ酸は、極性溶剤と一緒に下相中に富化されて存在する。
比較例18及び例19〜例21
これらの例においては、例15〜例17と同様に行われるが、1モルのジメチル−n−ドデシルアミンと0.23モルのギ酸が使用される。結果は、第4表に見ることができる。ここでも、好適な極性溶剤の添加によって2つの液相への分解を引き起こせることが示されている。
比較例22及び例23〜例24
これらの例においては、例15〜例17と同様に行われるが、1モルのジメチル−n−テトラデシルアミンと0.26モルのギ酸が使用される。結果は、第5表に見ることができる。ギ酸/ジメチル−n−テトラデシルアミンの系でも、好適な極性溶剤の添加は、2つの液相への分解を引き起こす。
研究室用設備1
研究室用設備1は、本発明による方法の工程(c)及び(d)の調査のために用いた。研究室用設備1の単純化されたブロック図は、図13に示されている。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
C1=18個の泡鐘トレイと凝縮器と、塔頂部に制御可能な還流分離器(Ruecklaufteiler)を有する塔体(内径32mm)
C2=底部蒸発器(表面積0.046m2とワイパーブレード(Wischblaetter)回転数500分-1を有するオイル加熱される薄膜型蒸発器)
D=個別の相分離容器(オイル加熱型、全容量0.3L)
研究室用設備1の装置は、ガラスと、テフロン製の接続導管とから成っていた。研究室用設備1は、連続的に低下された圧力下で運転された。
研究室用設備1における全ての試験に際して、ギ酸の含有率は、それぞれ、水中0.5NのNaOHによる電位差測定的な滴定によって測定し、かつ含水率は、カール・フィッシャー法により測定した。全ての他の有機成分は、それぞれガスクロマトグラフィーによって測定した。
研究室用設備1は、ギ酸の蒸留による分離と、上方及び下方の液相の別個の返送を可能にするための相分離の本質的な方法部分に関するものであり、それは例として、とりわけ、例えば前もってギ酸メチルの加水分解によって得られたギ酸の濃縮と精製をも表している。
例25
例25は、研究室用設備1において実施した。蒸留装置は、塔体C1中の頂部圧0.01MPa(絶対)で運転され、かつ還流の留出物に対する還流比4に調整された。流れ(4)を介して、トリ−n−オクチルアミン及びギ酸からなる混合物(ギ酸:アミンのモル比=1.3)585g/hを、薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。薄膜型蒸発器の下方の排出物の温度は、143℃であった。蒸発器のガス状の排出物は、流れ(6x)として塔体C1へと供給した。塔体の液状の排出物は、流れ(6a)として薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。塔体C1の塔頂製品として、流れ(5)として99質量%のギ酸が45.5g/hで得られた。このギ酸は、有機不純物を13質量ppmしか含有しておらず、APHA色数1を有し、これはまた室温での9日間の貯蔵後にも変わらず保たれた。
薄膜型蒸発器の液状の排出物を、流れ(6b)として相分離容器Dへと導入した。相分離器は、温度30℃で運転した。上方の液相を、連続的に流れ(8)として367g/hで抜き出した。流れ(8)は、98.5質量%のトリ−n−オクチルアミンを含有し、ギ酸は1.4質量%しか含有しなかった。これは、ギ酸:アミンのモル比0.1に相当する。下方の液相を、連続的に流れ(7)として164g/hで抜き出した。流れ(7)は、86質量%のトリ−n−オクチルアミンを含有し、ギ酸14質量%を含有した。これは、ギ酸:アミンのモル比1.25に相当する。合計して、流れ(6b)においては、ギ酸:アミンの比率=0.43が存在していた。
分解によるギ酸の損失は、排ガス量と排ガス組成の測定によって、分解生成物である水素、二酸化炭素及び一酸化炭素のガスクロマトグラフィーにより測定された割合を介して測定した。留出物として取得されたギ酸に対して0.3%のギ酸しか分解されなかった。
例25は、非常に純粋でかつ色数安定なギ酸の本発明による取得を、蒸留装置の底部排出物から2つの液相を同時に得て行うことを示しており、その際、上方の液相はほぼ完全にトリ−n−オクチルアミンから成っているため、工程(a)への返送のために非常によく適しており、かつギ酸14質量%とトリ−n−オクチルアミン86質量%を有する下方の液相は、工程(b)及び/又は(c)への返送のために非常によく適している。
例26
例26は、例25と同様に実施したが、流れ(4)としてのトリ−n−オクチルアミン及びギ酸からなる合成混合物の代わりに、例25から集められた流れ(7)を使用した。流れ(5)としての塔体C2の塔頂製品として得られた生成物は、22質量ppmの有機副生成物を含有し、かつAPHA色数2を有していた。分解によるギ酸損失も、留出物として取得されたギ酸に対して0.3%で非常に低く保たれた。
例26は、工程(d)からの下方の液相が流れ(7)を介して蒸留により取得されたギ酸の品質の明らかな損失を伴わずに問題なく工程(c)へと返送できることを証明している。
例27
例27は、同様に研究室用設備1において実施した。蒸留装置は、塔体C1中の頂部圧0.015MPa(絶対)で運転され、かつ還流の留出物に対する還流比4に調整された。流れ(4)を介して、トリ−n−ヘキシルアミン及びギ酸からなる混合物(ギ酸:アミンのモル比=1.5)533g/hを、薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。薄膜型蒸発器の下方の排出部の温度は、158℃であった。蒸発器のガス状の排出物は、流れ(6x)として塔体C1へと供給した。塔体の液状の排出物は、流れ(6a)として薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。塔体C1の塔頂製品として、流れ(5)として99質量%のギ酸が78g/hで得られた。このギ酸は、有機不純物を25質量ppmしか含有しておらず、APHA色数5を有し、これはまた室温での49日間の貯蔵後にも変わらず保たれた。
薄膜型蒸発器の液状の排出物を、流れ(6b)として相分離容器Dへと導入した。相分離器は、温度80℃で運転した。上方の液相を、連続的に流れ(8)として364g/hで抜き出した。流れ(8)は、99.0質量%のトリ−n−ヘキシルアミンを含有し、ギ酸は1.0質量%しか含有しなかった。これは、ギ酸:アミンのモル比0.06に相当する。下方の液相を、連続的に流れ(7)として73g/hで抜き出した。流れ(7)は、78質量%のトリ−n−ヘキシルアミンを含有し、ギ酸20質量%を含有した。これは、ギ酸:アミンのモル比1.5に相当する。合計して、流れ(6b)においては、ギ酸:アミンの比率=0.26が存在していた。
分解によるギ酸の損失は、排ガス量と排ガス組成の測定によって、分解生成物である水素、二酸化炭素及び一酸化炭素のガスクロマトグラフィーにより測定された割合を介して測定した。留出物として取得されたギ酸に対して0.2%のギ酸しか分解されなかった。
例27は、方法条件の別形でも、特に例25とは異なる第三級アミンを使用した場合でも、本発明による方法によって、非常に純粋かつ色数安定なギ酸を得ることができることを示している。この場合にも、蒸留装置の底部排出物から2つの液相を同時に得られ、その際、上方の液相はほぼ完全にトリ−n−ヘキシルアミンから成っているため、工程(a)への返送のために非常によく適しており、かつギ酸20質量%とトリ−n−ヘキシルアミン78質量%を有する下方の液相は、工程(b)及び/又は(c)への返送のために非常によく適している。
例28
例28は、本質的に例27と同様に実施したが、流れ(4)としてのトリ−n−ヘキシルアミン及びギ酸からなる合成混合物の代わりに、例27から集められた流れ(7)を使用した。流れ(4)を介して、前記混合物518g/hを、薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。薄膜型蒸発器の下方の排出部の温度は、160℃であった。塔体C1の塔頂製品として、流れ(5)として99質量%のギ酸が76g/hで得られた。このギ酸は、有機不純物を31質量ppmしか含有しておらず、APHA色数3を有していた。
薄膜型蒸発器の液状の排出物を、流れ(6b)として相分離容器Dへと導入した。相分離器は、温度80℃で運転した。上方の液相を、連続的に流れ(8)として407g/hで抜き出した。流れ(8)は、98.0質量%のトリ−n−ヘキシルアミンを含有し、ギ酸は1.4質量%しか含有しなかった。これは、ギ酸:アミンのモル比0.08に相当する。下方の液相を、連続的に流れ(7)として7g/hで抜き出した。流れ(7)は、79質量%のトリ−n−ヘキシルアミンを含有し、ギ酸19質量%を含有した。これは、ギ酸:アミンのモル比1.4に相当する。合計して、流れ(6b)においては、ギ酸:アミンの比率=0.1が存在していた。分解によるギ酸損失は、留出物として取得されたギ酸に対して0.7%であった。
例28は、例26のものとは異なる第三級アミンを使用した場合にも、工程(d)からの下方の液相が流れ(7)を介して蒸留により取得されたギ酸の品質の明らかな損失を伴わずに問題なく工程(c)へと返送できることを証明している。
比較例29
比較例29は、同様に研究室用設備1において実施した。蒸留装置は、塔体C1中の頂部圧0.015MPa(絶対)で運転され、かつ還流の留出物に対する還流比4に調整された。流れ(4)を介して、トリ−n−ヘキシルアミン及びギ酸からなる混合物(ギ酸:アミンのモル比=1.5)492g/hを、薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。薄膜型蒸発器の下方の排出部の温度は、171℃であった。蒸発器のガス状の排出物は、流れ(6x)として塔体C1へと供給した。塔体の液状の排出物は、流れ(6a)として薄膜型蒸発器C2に上方で供給した。塔体C1の塔頂製品として、流れ(5)として99質量%のギ酸が72g/hで得られた。このギ酸は、APHA色数10を有するが、室温でのたった7日の貯蔵後に20に高まった。
薄膜型蒸発器の液状の排出物を、流れ(6b)として、80℃の温度で運転された相分離容器Dへと導入した。しかしながら、1相の液状排出物しか得られなかった。前記排出物は、トリ−n−ヘキシルアミン99.2質量%とギ酸0.7質量%を含有していた。分解によるギ酸の損失は、再び、排ガス量と排ガス組成の測定によって、分解生成物である水素、二酸化炭素及び一酸化炭素のガスクロマトグラフィーにより測定された割合を介して測定した。その際、留出物として取得されたギ酸に対して1.9%のギ酸という非常に高い分解値が測定された。
比較例29は、蒸留装置から1相の液状排出物が得られた場合に、ギ酸の高められた分解が起こったことを示している。
例30
例30においては、研究室用設備1を例27と同様に運転させたが、塔体C1の底部と、薄膜型蒸発器C2の底部において、それぞれ素材番号1.4406、1.4462及び1.4439を有する素材製のステンレス鋼小板(20mm×50mm×3mm)を取り付けたという相違点を有していた。前記の設備を引き続き連続的に15日にわたり運転させ、その際、例27との更なる相違点として、2つの液状流れである流れ(7)と(8)とを再び一緒にし、そして新たな水不含のギ酸と混合し、こうしてギ酸:トリ−n−ヘキシルアミンの一定の比率1.5に調整した。前記の混合物を、供給流れ(4)として使用した。15日後に、流れ(7)及び(8)における腐食金属Cr、Fe、Mo及びNiの含有率をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析法)によって定量的に測定した。上方の液相(流れ(8))において、全ての腐食金属の含有率は、1質量ppmの検出限界未満であった。下方の液相(流れ(7))は、32質量ppmのCrと、42質量ppmのFeと、7質量ppmのMoと、2質量ppmのNiを含有していた。
例30は、いわゆる腐食金属が、下方の液相中に特異的に存在し、従って好適な措置によって意図的にもこの相から排出できることを示している。工程(a)に返送すべき上方の液相は、実質的に腐食金属を含まない。
研究室用設備2
研究室用設備2は、本発明による方法の工程(b)の調査のために、あるいは具体的にはギ酸と第三級アミン(I)と水を含有する混合物の脱水の調査のために用いた。研究室用設備2は、20個の泡鐘トレイを有する連続駆動するガラス製の蒸留塔(内径=32mm)を含んでいた。熱の導入は、オイル加熱された底部(二重ジャケット)を介して行った。塔頂部に、凝縮器と還流分離器が存在し、これらによって還流比を調整できる。塔供給物を、9番目の泡鐘トレイ(下から数えて)で塔中に供給した。その塔は、周囲圧でそれぞれ0.5の還流比で運転した。
例31
例31は、研究室用設備2において実施した。塔中に、8.0質量%の水と、30.5質量%のギ酸と、61.5質量%のトリ−n−ヘキシルアミンとを含有する混合物230g/hを供給した。これは、ギ酸:アミンのモル比2.9に相当し、かつギ酸:水の質量比79:21に相当する。定常状態において、底部温度155℃が生じた。留出物は、本質的に、0.16質量%のギ酸しか有さない水を含有していた。塔底製品は、32.7質量%のギ酸と、65.8質量%のトリ−n−ヘキシルアミンと、なおも1.5質量%のみの水を含有しており、それは、ギ酸:アミンのモル比2.9に相当し、かつギ酸:水の質量比96:4に相当する。従って、81%の副成分である水が分離された。
例32
例32は、例31と同様に実施したが、塔中に、8.2質量%の水と、40.6質量%のギ酸と、51.3質量%のトリ−n−ヘキシルアミンとを含有する混合物262g/hを供給したという相違点を有しており、これは、ギ酸:アミンのモル比4.6に相当し、かつギ酸:水の質量比83:17に相当する。定常状態において、底部温度137℃が生じた。留出物は、本質的に、0.05質量%のギ酸しか有さない水を含有していた。塔底製品は、43.4質量%のギ酸と、54.7質量%のトリ−n−ヘキシルアミンと、なおも1.9質量%のみの水を含有しており、それは、ギ酸:アミンのモル比4.6に相当し、かつギ酸:水の質量比96:4に相当する。従って、77%の副成分である水が分離された。
例31及び32は、ギ酸とトリ−n−ヘキシルアミンとからなる水性混合物から既に比較的簡単な蒸留によって問題なく約80%の存在する水を分離できることを示している。
研究室用設備3
研究室用設備3は、本発明による方法の工程(a)及び(b)の調査のために、あるいは具体的にはギ酸メチルの加水分解と、引き続いての、未反応のギ酸メチルと、形成されたメタノールと、水の蒸留による分離の調査のために用いた。研究室用設備3の単純化されたブロック図は、図14に示されている。そのうち個々の文字は、以下の意味を有する:
A1=撹拌槽(容量3.5L、電気加熱式)
A2=管形反応器(内径80mm、長さ1200mm、2mmのガラス球で充填、電気加熱式)
B1=塔体(内径55mm、それぞれ1.3mの充填物高さと比表面積750m2/m3を有する織物充填物を装填、その際、供給路は両方の充填物床の間に存在する)とオイル加熱される流下薄膜型蒸発器(表面積0.45m2)を有する蒸留装置
B2=塔体(内径55mm、それぞれ1.3mの充填物高さと比表面積750m2/m3を有する織物充填物を装填、その際、供給路は両方の充填物床の間に存在する)とオイル加熱される流下薄膜型蒸発器(表面積0.15m2)を有する蒸留装置
研究室用設備3の装置及び導管は、素材番号2.4610を有するニッケル基合金から成っていた。質量流量の測定のために、コリオリ型の流量計を使用した。研究室用設備3は、連続的に運転された。
例33
例33は、研究室用設備3において実施した。流れ(1a)を介して、配量ポンプによって853g/hのギ酸メチルを、流れ(1b)を介して256g/hの水を、そして流れ(8)を介して1535g/hのトリ−n−ヘキシルアミンを、反応器A1中に計量供給した。反応器A1は、130℃及び1.2MPaの過圧下で運転させた。反応器A1からの排出物を、同様に130℃及び1.2MPaの過圧下で運転される後続反応器A2に導入した。流れ(2)として、トリ−n−ヘキシルアミン58.1質量%と、ギ酸15.0質量%と、メタノール10.4質量%と、水3.8質量%と、ギ酸メチル12.7質量%とを含有する生成物混合物が得られた。これは、ギ酸:アミンのモル比1.51に相当する。流れ(2)を放圧し、そして蒸留装置B1の塔体へと導入した。0.18MPa(絶対)の頂部圧と1.7の還流比において、塔頂製品として流れ(3b)として、本質的に形成されたメタノールと未反応のギ酸メチルとを含有する混合物を抜き出した。塔底製品として、流れ(3d)として、トリ−n−ヘキシルアミン74.9質量%と、水5.3質量%と、ギ酸19.8質量%と、メタノール0.1質量%とからなる混合物1990g/hが得られた。その塔体内の底部温度は、133℃であった。流れ(3d)を放圧し、そして蒸留装置B2の塔体へと導入した。流れ(5a)を介して前記塔体へと、さらにまた69g/hの水性ギ酸(ギ酸含有率82.5質量%)を、水性ギ酸の返送をシミュレートするために供給した。例えばそれは、図2についての説明によれば工程(c)における蒸留装置の側方抜出物として生じ、そして工程(b)へと返送できる。蒸留装置B2の塔頂製品として、0.11MPa(絶対)の頂部圧及び1.7の還流比で92g/hを抜き出した。それは、本質的に水と0.1質量%のギ酸を含有していた。流れ(4)を介して、塔底製品として、160℃の塔体中の底部温度において、トリ−n−ヘキシルアミン76.9質量%と、ギ酸21.2質量%と、水1.9質量%とからなる混合物1949g/hが得られた。流れ(4)におけるギ酸:アミンのモル比は、1.61であった。
例33は、本発明による方法が、ギ酸メチルの加水分解でも、引き続いての、副成分の分離による、特に残りのギ酸メチルと形成されたメタノールと水の分離によるその後処理に際して、ギ酸及びトリ−n−ヘキシルアミンについて高く富化された流れが得られることを示している。この流れは、次いで、例27〜例28に間接的に示されるように、非常に純粋なギ酸の蒸留による分離のために使用することができる。
Figure 2013533869
Figure 2013533869
Figure 2013533869
1 流れ、 1a ギ酸メチル、 1b 水、 2 流れ、 3 流れ、 3a 流れ、 3b ギ酸メチル、 3c 水、 3d 流れ、 4 流れ、 5 流れ、 5a 流れ、 5b 流れ、 6 流れ、 6a 流れ、 6b 底部排出物の部分流、 6x 流れ、 7 流れ、 8 流れ、 A ギ酸及び第三級アミン(I)を含有する流れを生成するための装置、 A1 反応器、 A2 後続反応器、 B 副成分を分離するための装置、 B1 塔体とオイル加熱される流下薄膜型蒸発器を有する蒸留装置、 B2 塔体とオイル加熱される流下薄膜型蒸発器を有する蒸留装置、 C 相分離が統合された蒸留装置、 C1 内部取付物を有する塔体、 C2 底部蒸発器、 D 相分離容器、 D1 蒸発器循環路中の相分離容器、 D2 相分離容器、 H 熱交換器

Claims (11)

  1. ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れの熱的分離によってギ酸を取得するための方法であって、
    (a)第三級アミン(I)とギ酸源とを一緒にすることによって、ギ酸と第三級アミン(I)を0.5〜5のモル比で含有する液状の流れを生じさせ、
    (b)工程(a)から得られる液状の流れから、そこに含まれる副成分の10〜100質量%を分離し、そして
    (c)工程(b)から得られる液状の流れから、蒸留装置において、100〜300℃の底部温度及び30〜3000hPa(絶対)の圧力でギ酸を蒸留により分離する、前記方法において、
    第三級アミン(I)として、1013hPa(絶対)の圧力で、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有するアミンが使用され、
    さらに、工程(a)で使用されるべき第三級アミン(I)と、工程(c)に挙げられる蒸留装置中の分離速度は、工程(c)において挙げられる蒸留装置の底部排出物中に、工程(d)にある条件下で2つの液相が形成されるように選択され、
    (d)工程(c)に挙げられる蒸留装置からの底部排出物を、2つの液相に分離し、その際、上方の液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比0〜0.5を有し、かつ下方の液相は、ギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比0.5〜5を有し、
    (e)工程(d)からの相分離の上方の液相を、工程(a)へと返送し、そして
    (f)工程(d)からの相分離の下方の液相を、工程(b)及び/又は(c)へと返送することを特徴とする前記取得方法。
  2. 工程(a)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れが、水と第三級アミン(I)の存在下でのギ酸メチルの加水分解によって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れが、希釈されたギ酸から第三級アミン(I)の存在下に生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(a)で生成される液状の流れが、該流れの全体量に対して1〜99質量%の濃度のギ酸と第三級アミン(I)とを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(c)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れを、存在する分離段の下方四分の一の範囲に供給することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項の方法。
  6. 工程(c)において、ギ酸と第三級アミン(I)を含有する流れを、蒸留装置の底部蒸発器に供給することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(c)に挙げられる蒸留装置における分離速度を、底部排出物におけるギ酸の第三級アミン(I)に対するモル比が0.1〜2.0であるように選択することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(d)から形成された下方の液相から、そこに含まれる金属及び金属化合物を除去することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)
    NR123 (Ia)
    [式中、基R1〜R3は、同一又は異なっており、かつ互いに独立して、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族の、芳香脂肪族の又は芳香族の、それぞれ1〜16個の炭素原子を有する基を表し、その際、個々の炭素原子は、互いに独立して、−O−及び>N−の群から選択されるヘテロ基によって置換されていてもよく、かつ2つの又は全ての3つの基は、少なくともそれぞれ4つの原子を含む鎖を形成して互いに結合されていてもよい]で示されるアミンが使用されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1〜R3が、互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジル及びフェニルの群から選択されるアミンが使用されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 第三級アミン(I)として、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1〜R3が、互いに独立して、C5〜C8−アルキルの群から選択されるアミンが使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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