JP2013532540A - 搾乳器 - Google Patents

Abstract

搾乳器では、真空を創成するために使用されるポンプ機構内に使用者の乳首から搾り出される乳を吸い込み得る。ポンプ機構は使用者による洗浄が困難又は不可能なので、これは不衛生な状況を引き起こし得る。本発明は、第一圧力チャンバ及び第二圧力チャンバ（２２，２３）と、２つのチャンバ（２２，２３）を流体的に分割するために配置されるアクチュエータ（２０）とを含む、搾乳器に関する。第一圧力チャンバ（２２）内に圧力差が生成されるときに、或いは、圧力差が第一圧力チャンバから解放されるときに、アクチュエータ（２０）は、第二圧力チャンバ（２３）内に逆の圧力差を生成するよう移動可能である。更に、アクチュエータ（２０）は、第一ピストン素子（３０）と、第二ピストン素子（３２）とを含み、第一圧力チャンバ（２２）は、第一ピストン素子（３０）と第二ピストン素子（３２）との間に配置される。

Description

本発明は、使用者の乳房から乳（ミルク）を搾り取るための搾乳器（ブレストポンプ）に関する。

搾乳器は、使用者の乳房から乳を搾り取るための周知の装置である。乳児又は幼児が自分自身で乳房から乳を搾り出せないならば、或いは、母親が乳児又は幼児から引き離されているならば、例えば、仕事で乳児から離れているならば、搾乳器を使用し得る。低い乳供給の婦人の乳産出を刺激し或いは増大するためにも、乳を搾り出すための搾乳器を使用し得る。

搾乳器は、授乳する母親の乳房からの乳圧搾を誘発するために真空を利用する。装置のポンプ作用は、乳首から収集容器に乳を吸い込み、一般的には、圧力及び／又は頻度を母親の好みに調節し得る。

ＷＯ２００４／０５８３３０は、乳の収集のための容器と共に、乳房カップと、ピストンを備えるポンプハウジングと、ハンドルの形態の活性化機構とを含む、手動搾乳器を開示している。乳房カップは、好ましくは剛的な外側部分と、好ましくは全体的又は部分的に可撓な内側部分とを含み、２つの相互に別個のチャンバが外側部分と内側部分との間に設けられる。ピストンは、ピストンの周縁をポンプハウジングの壁と接続し、それによって、ポンプハウジングを上方チャンバと下方チャンバとに分割する膜を含み、上方チャンバは、関連する管を備える２つの開口の助けを受けて、乳房カップのチャンバと流体接触し、下方チャンバは、乳房カップの内側と流体連絡する。

使用者の乳房から乳を搾り取る既知の搾乳器の一般的な実施態様を図１に示す。そのような搾乳器１は、本体２と、ボトル又はバッグ（袋）のような収集容器３とを含む。収集容器３は、ネジ嵌合によって本体２に取り付けられる。

使用者の乳房を受け入れるための乳房収容ファンネル（漏斗）５が本体２から延びている。ファンネル５は、内側表面６を有し、口部６と、喉部８とを含む。口部７は、外側端部で開放しており、ファンネル５の内側表面６は、外側端部から喉部８に向かって収束し、乳房を収容する中空の凹部を形成する。

真空を創成するために、真空ポンプユニット９が本体２に流体的に接続し或いは本体２内に形成され、真空ポンプユニット９は、一般的には、使用者が手動で操作するハンドル４を用いて或いは真空ポンプを作動する電気モータを用いて操作される。

しかしながら、上述の搾乳器構成の問題は、大気圧より下の負圧を生成するポンプユニットによる乳圧搾を促進するために、乳房で負圧が生成されるのが一般的なことである。従って、乳がポンプ機構内に吸い込まれることが知られている。これは不衛生な状況を招き得る。何故ならば、使用者がポンプ機構を洗浄するのは困難又は不可能だからである。

乳抽出の速度及び使用者の快適性を向上するために、乳抽出中に乳房及び／又は乳首の積極的なマッサージ又は揉みをもたらすインサートを備える搾乳器を提供することも知られている。しかしながら、そのような操作は、インサート内での正圧の生成を必要とし、よって、そのような圧力プロファイルを生成するために、別個のポンプが必要とされる。

従って、上述の問題を実質的に軽減し或いは克服する搾乳器を提供することが本発明の目的である。

本発明によれば、第一圧力チャンバと、第二圧力チャンバと、２つのチャンバを流体的に分割するよう配置されるアクチュエータとを含み、アクチュエータは、第一圧力チャンバ内に圧力差が生成されるときに、或いは、圧力差が第一圧力チャンバから解放されるときに、第二圧力チャンバ内に逆の圧力差を生成するよう移動可能であり、アクチュエータは、第一ピストン素子と、第二ピストン素子とを含み、第一圧力チャンバは、第一ピストン素子と第二ピストン素子との間に配置される、搾乳器が提供される。

搾乳器は、乳房収容ファンネルを更に含んでもよく、第二圧力チャンバは、乳房収容ファンネルによって定められる乳房収容凹部を含む。

搾乳器は隔壁を更に含み、アクチュエータは、隔壁内に滑動可能に配置されるのが便利である。

第一ピストン素子及び第二ピストン素子は、流体封止を形成するよう、各ピストン素子の外側縁部から隔壁の内側表面に延びるシールをそれぞれ含み得る。シールは、転動シール(rolling seal)であるのが好ましい。

第一圧力チャンバは、第一ピストン素子のシールと第二ピストン素子のシールとの間に配置されるのが有利である。

第二圧力チャンバは、第二ピストン素子のシールから延びるのが便利である。

第二ピストン素子は、第一ピストン素子から延び得る。
第一ピストン素子の直径は、第二ピストン素子の直径よりも大きいのが有利である。

搾乳器は、乳房収容ファンネル内に配置される使用者の乳房をマッサージするために乳房収容ファンネル内に配置される膨張可能なインサートと、第一圧力チャンバ内に正の圧力差が生成されるときにインサートが膨張するよう、インサートを第一圧力チャンバと流体的に連絡する圧力導管とを更に含むのが有利である。

搾乳器は、第一圧力チャンバ内に圧力差を生成するためのポンプユニットを更に含み得る。

ポンプユニットは、第一圧力チャンバ内に圧力差を生成するのが好ましい。

添付の図面を参照して、一例によってのみ、本発明の好適実施態様を記載する。

既存の搾乳器を概略的に示す断面図である。 中立位置にあるアクチュエータを備える搾乳器の第一実施態様を概略的に示す断面図である。 後退位置にあるアクチュエータを備える図２に示す搾乳器を概略的に示す断面図である。 搾乳器の第二実施態様を概略的に示す断面図である。 図４に示す搾乳器を示す斜視断面図である。 図４に示す搾乳器を示す他の斜視断面図である。

図２及び３を参照すると、搾乳器（ブレストポンプ）１０の一部が概略的に示されており、搾乳器１０は、乳房収容ファンネル（漏斗）１１と、本体１２とを含む。乳収容容器（図示せず）が本体１２に取り付けられ、乳収容容器は、幼児又は乳児のための供給ボトルである。しかしながら、容器は代替的にバッグ（袋）又は他の既知の入れ物であってもよいことが理解されよう。製造の容易性のために並びに殺菌を許容するために、乳房受入れファンネル１１、本体１２、及び、乳収容容器（図示せず）は、剛性プラスチックのような剛的で変形不能な材料で形成されるが、代替的な適切な材料を使用し得る。

ファンネル１１は、搾乳器１０の本体１２から延び、搾乳器１０の本体１２と一体的に形成される。ファンネル１１は、ファンネル１１の口部１４と喉部１５との間に延在する内側表面１３を有する。口部１４は、外側端部で開放しており、喉部１５に向かって収束し、使用者の乳房１７を収容する乳房収容凹部１６を形成する。ファンネル１１の喉部１５は、使用者の乳房１７から搾り出される乳が乳収容容器（図示せず）に流れることを可能にするために乳房収容凹部１６から本体１２を通じて乳収容容器（図示せず）に至る流体通路が形成されるように、本体１２から延びる。

隔室(compartment)１９が本体１２内に形成され、アクチュエータ２０が隔室内に配置される。アクチュエータ２０は隔室１９を第一圧力チャンバ２２と第二圧力チャンバ２３とに分割する。入口２１が第一圧力チャンバ２２から延び、ポンプユニット（図示せず）を第一圧力チャンバ２２に流体的に接続する。ポンプユニット（図示せず）は、後述するように、第一圧力チャンバ２２内の大気圧とは異なる圧力を創成するよう動作可能である。ポンプユニット（図示せず）は従来的であり、よって、ポンプユニットの更なる記載をここには示さない。

隔壁１９は、乳房収容凹部１６が第二圧力チャンバ２３の一部を形成するように、ファンネル１１の喉部１５と流体連絡する。出口（図示せず）が第二圧力チャンバ２３から乳収容容器（図示せず）に延び、流体通路を定める。後に説明するように、圧力差が第二圧力チャンバ２３内に形成されるときに乳房収容凹部１６を収容容器（図示せず）内の大気圧から封止するよう、弁（図示せず）が出口（図示せず）内に配置される。

隔室１９は、第一区画２４と、第二区画２５とを含む。第一区画２４は円筒形であり、内側表面２６を有する。第二区画２５は円筒形であり、第一区画２４よりも小さい直径を備え、内側表面２７を有する。ファンネル１１の喉部１５は、第二区画２５の端面２８から延びている。

アクチュエータ２０は、第一ピストン素子３０と、第二ピストン素子３２とを含む。第一ピストン素子３０は、内側面及び外側面３３，３４と、円周的に延在する縁部(rim)３５とを含み、縁部３５は、２つの面３３，３４の間に延在している。同様に、第二ピストン素子３２は、内側面及び外側面３６，３７と、円周的に延在する縁部３８とを含み、縁部３８は、２つの面３６，３７の間に延在している。アクチュエータ２０の第一ピストン素子３０及び第二ピストン素子３２は、第一及び第二のピストン素子３０，３２の内側面３３，３６の間に延在する接続部材３９によって接続され或いは互いに一体的に形成される。

第一ピストン素子３０は、その縁部３５の周りに円周的に延在するＯリング４０を有し、Ｏリング４０は、隔壁第一区画２４の内側表面２６に対して位置し、隔壁第一区画２４の内側表面２６で滑動可能に封止する。第二ピストン素子３２は、その縁部３８の周りに円周的に延在するＯリング４２を有し、Ｏリング４２は、隔壁第二区画２５の内側表面２７に対して位置し、隔壁第二区画２５の内側表面２７で滑動可能に封止する。第一圧力チャンバ２２は、第一及び第二のピストン素子３０，３２の内側面３３，３６の間に定められている。

図２及び図３を参照して、搾乳器の第一実施態様の動作を今や記載する。使用者は、ファンネル１１によって形成される乳房収容凹部１６内に乳房１７を挿入し、乳房１７をファンネル１１の内側表面１３に対して位置付け、気密シールを形成する。アクチュエータ２０は、初めは、アクチュエータ２０の第二ピストン素子３２が隔壁第二区画２５の端面２８に近接して配置された状態で、図２に示されるような中立位置において隔壁１９内に配置される。第一圧力チャンバ及び第二圧力チャンバは、初めは、大気圧にある。

次に、使用者はポンプユニット（図示せず）を操作し、第一圧力チャンバ２２内に正の圧力差を生成する。ポンプユニット（図示せず）は、正圧ポンプユニットであり、入口２１によって第一圧力チャンバ２２に流体的に接続される。従って、ポンプユニット（図示せず）が操作されるとき、第一圧力チャンバ２２内の空気圧力は増大し、ポンプユニットが第一圧力チャンバ２２内の空気圧力を増大するよう、アクチュエータ２０の第一及び第二のピストン素子３０，３２の周りに延在するＯリング４０，４２によって封止される。従って、大気圧からの正の圧力差が第一圧力チャンバ２２内に生成される。

第一圧力チャンバ２２内の空気圧力が増大すると、アクチュエータ２０は本体１２の隔室１９内で滑動（摺動）するよう推進される（駆り立てられる）。何故ならば、アクチュエータ２０の第一ピストン素子３０の内側面３３は、第二ピストン素子３２の内側面３６よりも大きい表面積を有し、よって、結果として得られる第一ピストン素子３０に対して作用する力は、第二ピストン素子３２に対して作用する力よりも大きいからである。従って、アクチュエータ２０は、第二ピストン素子３２の外側面３７が隔壁第二区画２５の端面２８から離れる方向に推進されるように、第二ピストン素子３２の方向において中立位置から後退位置に移動するよう推進される。

図３に示すように、アクチュエータ２０が隔壁１９内で後退位置に滑動するとき、第一圧力室２２内に生成される正圧の故に、第二圧力チャンバ２３内の容積は増大する。従って、乳房収容凹部１６内に負圧が生成され且つ乳房収容凹部内に配置される使用者の乳房１７に対して前記負圧が付与されるようにアクチュエータ２０が滑動すると、ファンネル１１によって定められる乳房収容凹部１６を含む第二圧力チャンバ２３内の圧力は減少する。第二圧力チャンバ２３内に生成される負圧は、第一圧力チャンバ２２内に生成される正圧に比例する。

アクチュエータ２０を後退位置から中立位置に戻すために、第一圧力チャンバ２２内の圧力差が減少され、且つ、アクチュエータ２０に作用する第二圧力チャンバ２３内の負の圧力差の故に、アクチュエータ２０が後退位置から中立位置に滑動するよう推進されるよう、第一圧力チャンバ２２内の正圧は解放される。アクチュエータ２０が中立位置に向かって滑動すると、第二圧力チャンバ２３内に生成される圧力は大気圧に向かって増大される。次に、周期的な負圧が乳房収容凹部１６内に配置される使用者の乳房１７に対して作用するよう、ポンプユニットは周期的に作用し、第一圧力チャンバ２２内の圧力を反復的に増減する。

創成される真空は、使用者の乳首に対して作用し、使用者の乳首からの乳圧搾（搾出し）を促進し、それは、次に、乳房収容凹部１６から本体１２によって定められる流体通路に沿って乳収容容器（図示せず）まで流れる。使用者は、所望の量の乳が搾り出されるまで、ポンプユニット（図示せず）を操作し続ける。次に、使用者は、乳房１７から搾乳器１０を取り外す。

上記の実施態様において、アクチュエータ２０は、接続部材３９によって接続される第一及び第二のピストン素子３０，３２を含むが、代替的な実施態様では、Ｏリング４２が接続部材３９の周りに垂直に延在し且つ隔壁１９の第二区画２５の内側表面２７に対して滑動可能に位置するように、接続部材３９は第二ピストン素子３２を形成することが理解されよう。

図４乃至６を今や参照すると、搾乳器の第二実施態様が概略的に示されている。図４に示す搾乳器は、上述の第一実施態様に示す搾乳器と同じ一般的な構成及び機能を有し、よって、ここでは詳細な記載を省略する。更に、上述した機能及び構成部品に対応する機能及び構成部品は、同じ参照番号を保有する。

第二実施態様の搾乳器は、ファンネル１１の口部１３内に配置されるインサート５０を有する。インサート５０は、外側端部５３からファンネル１１の喉部１５近傍まで或いは喉部１５内まで、ファンネル１１の口部１３の内側部分の周りに延在する円対称の可撓で変形可能な壁５２を有する。壁５２の内側面は、使用者の乳房が位置するファンネル１１の内側表面１３を形成し、壁５２とファンネル壁５５との間に空洞５４が定められる。以下に説明するように、乳房からの乳の圧搾を助ける試みにおいて乳首及び／又は乳輪に圧縮力を適用するよう、壁５２は使用中に乳房収容凹部１６内に変形可能である。

第一圧力チャンバ２２内に生成される圧力が空洞５４内に生成されるよう、圧力導管５６が空洞５４を第一圧力チャンバ２２に流体的に接続する。

アクチュエータ２０は、第一ピストン素子３０と、接続部材とを含み、接続部材は、この実施態様では、第二ピストン素子３２である。アクチュエータ２０は、第一ピストン素子３０が隔壁第一区画２４内に配置され且つ第二ピストン素子３２が第一ピストン素子３０から隔壁第二区画２５内に延びるように、隔壁１９内に配置される。

第一ピストン素子３０は円筒形であり、円周的に延在する縁部５７を備える。第二ピストン素子３２は円筒形であり、円周的に延在する縁部５８を備える。第一の円周的に延在する転動シール５９が、第一ピストン素子３０の縁部５７から隔壁第一区画２４の内側表面２６に延びている。第一転動シール５９の外側縁部６０は折り畳まれ、隔壁第一区画２４の内側表面２６に固定的に取り付けられている。第一転動シール５９は、第一ピストン素子３０の縁部５７まで延び、内側縁部６２で縁部５７に固定的に取り付けられている。従って、以後に明らかになるように、第一転動シール５９は、第一ピストン素子３０と隔壁第一区画２４の内側表面２６との間の気密な封止を形成し、アクチュエータ２０が隔壁１９を滑動し得るよう折り畳み可能である。

同様に、第二の円周的に延在する転動シール６３が、第二ピストン素子３２の縁部５８から隔壁第二区画２５の内側表面２７まで延びている。第二転動シール６３の外側縁部６４が、隔壁第二区画２５の内側表面２７まで延びている。第二転動シール６３は、第二ピストン素子３２の縁部５８まで延び、内側縁部６５が折り畳まれ、縁部５８に固定的に取り付けられている。従って、以下に明らかになるように、第二転動シール６３は、第二ピストン素子３２と隔壁第二区画２５の内側表面２７との間に気密な封止を形成し、アクチュエータ２０が隔壁１９内で滑動し得るよう折り畳み可能である。

転動ロールを使用する利点は、他のシール構成に比べシールの寿命が増大され、転動シールの膜が気密シールを維持することである。

第一圧力チャンバ２２は、第一及び第二の転動シール５９，６３の間に定められ、第二圧力チャンバ２３は、第二転動シール６３からファンネル１１の口部１４まで延びている。出口（図示せず）が第二圧力チャンバ２３から乳収集容器（図示せず）まで延び、流体通路を定める。第二圧力チャンバ２３内に圧力差が形成されるときに収容容器（図示せず）内の大気圧から乳房収容凹部１６を封止するよう、弁（図示せず）が出口（図示せず）内に配置される。

図４乃至６を参照して、第二実施態様の搾乳器の操作を今や記載する。使用者は、ファンネル１１によって形成される乳房収容凹部１６内に乳房（図示せず）を挿入し、インサート変形可能壁５２の内側面によって定められるファンネル１１の内側表面１３に対して乳房を位置付け、気密な封止を形成する。アクチュエータ２０は、初めは、図４に示すような中立位置において隔壁１９内に配置され、各圧力チャンバ内には大気圧がある。第一及び第二の圧力チャンバ２２，２３は、初めは、大気圧にある。

次に、使用者はポンプユニット（図示せず）を操作して、第一圧力チャンバ２２内に正の圧力差を生成する。ポンプユニット（図示せず）は正圧ポンプであり、入口２１によって第一圧力チャンバ２２に流体的に接続されている。従って、ポンプユニット（図示せず）が操作されるとき、第一圧力チャンバ２２内の空気圧力は増大し、第一圧力チャンバ２２は、アクチュエータ２０の第一及び第二のピストン素子３０，３２の周りに延在する第一及び第二の転動シール５９，６３によって封止されるので、ポンプユニットは、第一圧力チャンバ２２内の空気圧力を増大する。従って、大気圧からの正の圧力差が第一圧力チャンバ２２内に生成される。

大気圧からの正の圧力差は、空洞５４を第一圧力チャンバ２２に流体的に接続する圧力導管５６を用いて、インサート５０の空洞５４内にも生成される。

第一圧力チャンバ２２内の空気圧力が増大すると、アクチュエータ２０は、アクチュエータ２０の第一ピストン素子３０に作用する圧力の増大の故に、本体１２の隔壁１９内で滑動するよう推進される。従って、アクチュエータ２０は、第二ピストン素子３２の方向において中立位置から後退位置に移動するよう推進される。第一及び第二の転動シール５９，６３は、それぞれ、それら自体が転動するので、圧力封止は維持される。

第一圧力チャンバ２２内に生成される正圧がアクチュエータ２０を隔壁１９内で後退位置に滑動させるとき、第二圧力チャンバ２３の容積は増大する。従って、負圧が乳房収容凹部１６内に生成され且つ前記負圧が乳房収容凹部内に配置される使用者の乳房に付与されるようアクチュエータ２０が中立位置から滑動するとき、ファンネル１１によって定められる乳房収容凹部１６を含む第二圧力チャンバ２３内の圧力は減少する。第二圧力チャンバ２３内に生成される負圧は、第一圧力チャンバ２２内に生成される正圧に比例する。第一圧力チャンバ２２内に生成される正の圧力差は空洞５４内にも生成され、それはインサート５０の変形可能な壁５２を乳房収容凹部１６内に内向きに変形させ、従って、使用者の乳房を刺激する(urge)。

アクチュエータ２０を後退位置から中立位置に戻すために、第一圧力チャンバ２２内の圧力差が減少され、アクチュエータ２０が、アクチュエータ２０に作用する第二圧力チャンバ２３内の負の圧力差の故に、後退位置から中立位置に滑動するよう推進されるように、第一圧力チャンバ２２内の正圧が解放される。アクチュエータ２０が中立位置に向かって滑動すると、第二圧力チャンバ２３内に生成される圧力は大気圧に向かって増大される。更に、インサート５０の変形可能な壁５２は萎む。次に、周期的な負圧が乳房収容凹部内に配置される使用者の乳房に作用して、インサート５０が乳房を周期的にマッサージするよう、ポンプユニットは周期的に作用し、第一圧力チャンバ２２内の圧力を反復的に増減する。

各転動シール５９，６３は、成形又は鋳造弾性材料で形成され、本実施態様では、各転動シール５９，６３は、アクチュエータ２０が図４に示すような中立位置にあるときに各転動シールが有する所望の形状に成形又は鋳造される。

従って、アクチュエータ２０が第一圧力チャンバ２２内の圧力の増大の故に移動するよう推進されるときの各転動シール５９，６３の変形によって引き起こされる転動シール５９，６３の弾性力は、第一圧力チャンバ２２内の圧力差が解放されるときにアクチュエータ２０を中立位置に戻させる復元力として作用する。

上記構成の利点は、例えば、使用者の乳房がファンネル１１から取り除かれるときに、或いは、ポンプユニット（図示せず）が入口２１から取り外されるときに、アクチュエータ２０が、各圧力チャンバ２２，２３内の圧力差とは無関係に、中立位置に戻るよう推進されることである。

生成される真空は使用者の乳首に作用し、使用者の乳首からの乳圧搾を促進し、次に、それは乳房収容凹部１６から本体１２によって定められる流体通路に沿って乳収容容器（図示せず）まで流れる。所望の量の乳が搾り出されるまで、使用者はポンプユニット（図示せず）を操作し続ける。次に、使用者は搾乳器１０を乳房から取り外す。

上記構成の１つの利点は、上記構成が、正の圧力差を生成するよう操作される単一のポンプユニットを使用して、正及び負の圧力差の両方が生成されるのを可能にすることである。

上記実施態様では転動シールを示し且つ記載しているが、第一実施態様において記載したような滑動シール構成を備えるインサート構成を使用し得ることが理解されよう。同様に、インサートを伴わない転動シール構成を使用し得ることが理解されよう。

上記実施態様では、第一及び第二のピストン素子は円筒形であり且つ対応する隔壁の第一及び第二の区画も円筒形であるが、実施態様はそれに限定されず、代替的な構成を有し得ることが理解されよう。

上記構成の利点は、第二チャンバ内に、従って、使用者の乳房に負圧が創成されるよう、第一チャンバ内に正圧を創成するために、ポンプユニットを使用し得ることである。従って、使用者の乳房から搾り出される乳は、負圧を生成するポンプユニットによってポンプ機構内に吸い込まれるよう推進されず、よって、搾乳器の衛生を増大し、ポンプ機構を洗浄及び／又は殺菌する必要を排除する。

上述の実施態様では、第一及び第二の圧力チャンバを定める隔壁１９は本体内に配置されているが、隔壁を本体より遠位に、例えば、搾乳器の喉部内に配置し得るし、或いは、搾乳器の本体に取り付け得ることが理解されよう。

本実施態様において、ポンプユニットは大気圧からの正圧差を生成するよう構成されているが、代替的な実施態様では、ポンプユニットは、正の圧力差が第二チャンバ内に創成されるよう、第一チャンバ内の気圧からの負の圧力差を生成することが理解されよう。

本実施態様において、ファンネルは搾乳器の本体と一体的に形成されているが、代替的な実施態様では、殺菌及び洗浄の容易性のために、ファンネルは本体に取り外し可能に取り付けられることが理解されよう。

この出願では請求項は機能の特定の組み合わせに対して策定されているが、本発明の開示の範囲は、それが任意の請求項において現在請求されている同じ発明に関係しようがなかろうが、それが本発明と同じ技術的課題の一部又は全部を緩和しようがなかろうが、明示的であろうと暗示的であろうと、ここに開示される如何なる新規な機能若しくは如何なる新規な組み合わせ又はそれらの如何なる一般化をも含むことが理解されよう。そのために、本出願人は、本出願又は本出願から派生するあらゆる更なる出願の手続中に、そのような機能及び／又は機能の組み合わせに対する新たな請求項を策定し得ることを告知する。

本発明によれば、第一圧力チャンバと、第二圧力チャンバと、２つのチャンバを流体的に分割するよう配置されるアクチュエータとを含み、アクチュエータは、第一圧力チャンバ内に圧力差が生成されるときに、或いは、圧力差が第一圧力チャンバから解放されるときに、第二圧力チャンバ内に逆の圧力差を生成するよう移動可能であり、アクチュエータは、第一ピストン素子と、第二ピストン素子とを含み、第一ピストン素子の直径は、第二ピストン素子の直径よりも大きく、第一圧力チャンバは、第一ピストン素子と第二ピストン素子との間に配置される、搾乳器が提供される。

第二ピストン素子は、第一ピストン素子から延び得る。

Claims (11)

1. 第一圧力チャンバと、第二圧力チャンバと、前記２つのチャンバを流体的に分割するよう配置されるアクチュエータとを含む、
   搾乳器であって、
   前記アクチュエータは、前記第一圧力チャンバ内に圧力差が生成されるときに、或いは、圧力差が前記第一圧力チャンバから解放されるときに、前記第二圧力チャンバ内に逆の圧力差を生成するよう移動可能であり、
   前記アクチュエータは、第一ピストン素子と、第二ピストン素子とを含み、前記第一圧力チャンバは、前記第一ピストン素子と前記第二ピストン素子との間に配置される、
   搾乳器。
2. 乳房収容ファンネルを更に含み、前記第二圧力チャンバは、前記乳房収容ファンネルによって定められる乳房収容凹部を含む、請求項１に記載の搾乳器。
3. 隔壁を更に含み、前記アクチュエータは、前記隔壁内に滑動可能に配置される、請求項１に記載の搾乳器。
4. 前記第一ピストン素子及び前記第二ピストン素子は、それぞれ、流体封止を形成するよう、各ピストン素子の外側縁部から前記隔壁の内側表面に延びるシールを含む、請求項３に記載の搾乳器。
5. 前記シールは、転動シールである、請求項４に記載の搾乳器。
6. 前記第一圧力チャンバは、前記第一ピストン素子の前記シールと前記第二ピストン素子の前記シールとの間に配置される、請求項４又は５に記載の搾乳器。
7. 前記第二圧力チャンバは、前記第二ピストン素子の前記シールから延びる、請求項４乃至６のうちのいずれか１項に記載の搾乳器。
8. 前記第二ピストン素子は、前記第一ピストン素子から延びる、請求項１乃至７のうちのいずれか１項に記載の搾乳器。
9. 前記第一ピストン素子の直径は、前記第二ピストン素子の直径よりも大きい、請求項１乃至８のうちのいずれか１項に記載の搾乳器。
10. 前記乳房収容ファンネル内に配置される使用者の乳房をマッサージするために前記乳房収容ファンネル内に配置される膨張可能なインサートと、前記第一圧力チャンバ内に正の圧力差が生成されるときに前記インサートが膨張するよう、前記インサートを前記第一圧力チャンバと流体的に連絡する圧力導管とを更に含む、請求項１乃至９のうちのいずれか１項に記載の搾乳器。
11. 前記第一圧力チャンバ内に圧力差を生成するためのポンプユニットを更に含む、請求項１乃至１０のうちのいずれか１項に記載の搾乳器。

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