JP2013532495A - 小型超伝導磁石装置 - Google Patents
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Abstract
関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って均一で強力な磁場成分Bzを形成するための小型超伝導磁石装置は、軸Ozを始点として順に、環状端(10A,10B,20A,20B,30A,30B)で区切られた軸Ozの環状円筒断面(10,20,30)の周囲に形成された、少なくとも3つの共軸の超伝導ヘリカルコイル(1,2,3)を有する。ヘリカルコイル(1,2,3)の側端部は、半径cを有する1つの同一の球(5)の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、当該球の中心Oは、関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置しており、前記球は、前記磁石装置全体を包囲するものである。ヘリカルコイル(1,2,3)の方位角方向の電流密度j1,j2,j3は、交互に反対の符号を有する。ヘリカルコイル(1,2,3)の長さ(2b1、2b2、2b3)は、減少していく。最外部の超伝導ヘリカルコイル(3)の外半径(a32)は、最内部の超伝導ヘリカルコイル(1)の半分長さ(b1)に実質的に等しく、最内部の超伝導ヘリカルコイル(1)の外半径(a12)は、最外部の超伝導ヘリカルコイル(3)の半分長さ(b3;b4)に実質的に等しい。
【選択図】図3
【選択図】図3
Description
本発明の主題は、例えば、核磁気共鳴(NMR)または磁気共鳴イメージング(MRI)に用いられる、大きな体積を有し得る関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って強力で均一な磁場Bzを形成可能である小型超伝導磁石装置である。
本発明はまた、当該小型超伝導磁石装置の製造方法に関する。
特にNMRまたはMRI用途において、非常に大きな体積内に高度に均一な磁場を形成する磁石の製造には、実行が困難であることが判明し得るような特定の磁場配位を使用することが伴われる。そこで、単純で、正確に使用し易い磁石構造を探求した着想がある。例えば、1つの層から次の層への移行と、連続長を有する導体間に不可欠な接合とを行うのに十分な長さを有する複数のヘリカルな層の巻線を、ヘリカルコイルの計算可能な理論上の均一性を阻害することがないよう、関心体積から十分に離して配置する。
ヘリカルコイルは軸対称ではないが、らせんのピッチが通常、理論上の軸対称コイルと比較した場合にその差が無視できる程度にまで十分に小さくなっている。また、層ごとの巻き数と層の数の選択によって、それらの差をほぼ完全に補償することが可能である。したがって、その他の部分は、軸Ozに完全に軸対称であって、かつ、正中面xOzに対しても対称性を有する構成に制限される。関心内部領域(磁石の穴)における磁場成分Bzの球面調和関数展開(ESH)は、次の非常に単純な式で仮に表される。
このESHは、電流も磁性材料もない中心Oの最大の球の内部において有効である。
このESHの相対係数Zn/Z0は、コイルの最小半径a1の、1/a1 nとして減少する関数である。したがって、半径a<a1の原点を中心とする球において所定の理論上の均一性を得るためには、全Z2p項は、1≦p≦p0に対しキャンセルされなければならない。可能で最も効率的な方法において、このようにすることが明確に求められている。
種々の明白な理由(設置、使用、外部摂動など)から、磁石によって生成する外部磁場(「漂遊磁場」)を制限することが求められる。その理論的な方法は、均一性のために使用される方法と類似しており、いわゆる外部のESHが用いられ、この外部のESHは、電流も磁性材料もない中心Oの最小の球の外部において有効である。
このESHのこれらの係数は、電流分布の「モーメント」と呼ばれ、最初の係数M2は、双極子モーメントと呼ばれている。
外部磁場を減少させるための第1のステップは、双極子モーメントをキャンセルすることであり、当該ステップは、関心体積内で磁場を形成する方向とは逆の方向にOzの周りを回転して流れる電流を使用することを含み、よってこれが、外部磁場の減少に寄与する。
特許文献1には、内部空間に主磁場を形成するための、長さL1を有し軸zについて回転対称なメイン超伝導コイルと、前記内部空間に、前記メイン超伝導コイルによって形成された磁場の方向とは逆方向に磁場を形成するための、長さL1よりも短い長さL2を有し軸zについて回転対称であって前記メイン超伝導コイルと共軸な外部サブ超伝導コイルとを有する、超伝導磁石構造が提案されている。当該超伝導磁石構造はまた、前記メイン超伝導コイルによって規定された内部体積内に配置された、強磁性材料製の複数の環状体を有し、補償を可能にするとともに、関心体積における磁場の均一性を向上させている。
前記装置によって、関心体積における磁場の均一性を向上させることが可能であるが、強磁性材料製の複数の環状体によって重量が増加するという犠牲を払っており、特に、前記メイン超伝導コイルによって規定された自由体積内に、強磁性材料製の複数の環状体が配置されているがために、関心体積内の自由体積が制限されるという犠牲を払っている。関心体積の自由空間を同じ広さに維持することが望まれる場合には、超伝導コイルの直径を大きくすることによって、装置全体の寸法を大きくする必要があり、これは、装置の小型化に対して弊害となるものであり、また、製造コストの増大にもなる。
本発明は、上記の欠点を克服することを目的とするものであり、既存の超伝導磁石装置よりも小型であって製造が容易であり、かつ関心体積において得られる磁場が強力で均一性の非常に高いものであり、特にNMRまたはMRI用途に使用可能な、超伝導磁石装置を製造可能にすることを目的とする。
強力な磁場とは、少なくとも0.5T、好ましくは1T以上の磁場のことをいい、実施形態によっては、10Tを超え得る。
本発明はまた、単純化されていながら、関心体積内に形成された磁場に最適化された均一性を与えるような装置の製造方法を明示することを目的とする。
本発明によれば、これらの目的は達成され、その手段は、関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って均一な磁場成分Bzを形成するための、核磁気共鳴用または磁気共鳴イメージング用の小型超伝導磁石装置であって、前記磁石装置は、軸Ozを始点として順に前記軸Ozに垂直な方向に、少なくとも1つの第1の超伝導ヘリカルコイルと、少なくとも1つの第2の超伝導ヘリカルコイルとを有し、前記第1の超伝導ヘリカルコイルは、第1の環状端により区切られた、軸Ozの第1の環状円筒断面の周囲に形成されており、前記第1の超伝導ヘリカルコイルは、第1の方位角方向の電流密度j1とともに、第1の外半径a12、第1の内半径a11および第1の長さ2b1を有し、前記第2の超伝導ヘリカルコイルは、前記第1の環状円筒断面を囲い、第2の環状端により区切られた、軸Ozの第2の環状円筒断面の周囲に形成され、前記第2の超伝導ヘリカルコイルは、第2の方位角方向の電流密度j2とともに、第2の外半径a22、第2の内半径a21および第2の長さ2b2を有し、第1および第2のヘリカルコイルの側端部は、半径cを有する1つの同一の球の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、前記球の中心Oは、前記関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置しており、前記球は、前記磁石装置全体を包囲するものであり、前記磁石装置はまた、少なくとも1つの第3の超伝導ヘリカルコイルをさらに有し、前記第3の超伝導ヘリカルコイルは、前記第2の環状円筒断面を囲い、第3の環状端により区切られた、軸Ozの第3の環状円筒断面の周囲に形成され、前記第3の超伝導ヘリカルコイルは、第3の方位角方向の電流密度j3とともに、第3の外半径a32、第3の内半径a31および第3の長さ2b3を有し、前記第1、第2および第3の方位角方向の電流密度j1、j2、j3は、交互に反対の符号を有し、前記第1、第2および第3のコイルの第1、第2および第3の長さ2b1、2b2、2b3は、減少していくものであり、最外部の超伝導ヘリカルコイルの外半径a32は、最内部の超伝導ヘリカルコイルの半分長さb1に実質的に等しく、最内部の超伝導ヘリカルコイルの外半径a12は、最外部の超伝導ヘリカルコイルの半分長さb3;b4に実質的に等しい。
特定の一実施態様によれば、前記小型超伝導磁石装置は、さらに少なくとも1つの第4の超伝導ヘリカルコイルをさらに有し、前記第4の超伝導ヘリカルコイルは、前記第3の環状円筒断面を囲い、第4の環状端により区切られた、軸Ozの第4の環状円筒断面の周囲に形成され、前記第4の超伝導ヘリカルコイルは、第4の方位角方向の電流密度j4とともに、第4の外半径a42、第4の内半径a41および第4の長さ2b4を有する。前記第1、第2、第3、および第4の方位角方向の電流密度j1、j2、j3、j4は、交互に反対の符号を有し、前記第1、第2、第3および第4の超伝導ヘリカルコイルの第1、第2、第3および第4の長さ2b1、2b2、2b3、2b4は、減少していくものである。
本発明はまた、関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って均一な磁場成分Bzを形成するための、核磁気共鳴用または磁気共鳴イメージング用の小型超伝導磁石装置の製造方法に関し、当該方法は、以下の工程を含む。
a)前記関心領域ZIの最小半径および最大長さにそれぞれ対応する、第1の所定の半径a1および第1の所定の長さ2b1を有し、第1の環状端により区切られた、軸Ozの第1の環状円筒断面を決定する工程、
b)前記第1の環状円筒断面を囲むとともに、前記関心領域ZIの最大長さ2b1および最小半径a1にそれぞれ対応する最後の所定の半径a3;a4および最後の所定の長さ2b3;2b4を有し、最後の環状端により区切られた、軸Ozの最後の環状円筒断面を決定する工程、
c)前記第1の環状円筒断面および前記最後の環状円筒断面の間に挿入されるとともに、前記関心領域の最小半径a1と最後の所定の半径a3;a4の間の中間の所定の半径a2;a3、および前記最後の所定の長さ2b3;2b4と前記最大長さ2b1との間の中間の所定の長さ2b2;2b3を有し、環状端によって区切られた、軸Ozの少なくとも1つの中間の環状円筒断面を、第1の環状端、中間の環状端、および最後の環状端が、中心O、半径cの1つの同一の球の上に位置するように、決定する工程、
d)関心領域ZIの磁場の均一性が最適化されるように、軸Ozの前記第1の環状円筒断面上に形成された第1の表面電流シート、軸Ozの前記中間の環状円筒断面上に形成された少なくとも1つの中間の表面電流シート、および軸Ozの前記最後の環状円筒断面上に形成された最後の薄い表面電流シートに対し、それぞれが方位角方向の表面電流密度κiを有し、かつ2つの隣接する共軸の表面電流シートが異なる符号の方位角方向の表面電流密度を有するような、一連の複数の共軸の表面電流シートを検討し、前記中間の環状円筒断面の位置を決定する工程、
e)前記一連の複数の共軸の表面電流シートを、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有する軸対称の超伝導ヘリカルコイルで、前記ヘリカルコイルの側端部が、半径cを有する1つの同一の球の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、前記球の中心Oが前記関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置し、前記球が前記磁石装置全体を包囲するように、置き換える工程。
a)前記関心領域ZIの最小半径および最大長さにそれぞれ対応する、第1の所定の半径a1および第1の所定の長さ2b1を有し、第1の環状端により区切られた、軸Ozの第1の環状円筒断面を決定する工程、
b)前記第1の環状円筒断面を囲むとともに、前記関心領域ZIの最大長さ2b1および最小半径a1にそれぞれ対応する最後の所定の半径a3;a4および最後の所定の長さ2b3;2b4を有し、最後の環状端により区切られた、軸Ozの最後の環状円筒断面を決定する工程、
c)前記第1の環状円筒断面および前記最後の環状円筒断面の間に挿入されるとともに、前記関心領域の最小半径a1と最後の所定の半径a3;a4の間の中間の所定の半径a2;a3、および前記最後の所定の長さ2b3;2b4と前記最大長さ2b1との間の中間の所定の長さ2b2;2b3を有し、環状端によって区切られた、軸Ozの少なくとも1つの中間の環状円筒断面を、第1の環状端、中間の環状端、および最後の環状端が、中心O、半径cの1つの同一の球の上に位置するように、決定する工程、
d)関心領域ZIの磁場の均一性が最適化されるように、軸Ozの前記第1の環状円筒断面上に形成された第1の表面電流シート、軸Ozの前記中間の環状円筒断面上に形成された少なくとも1つの中間の表面電流シート、および軸Ozの前記最後の環状円筒断面上に形成された最後の薄い表面電流シートに対し、それぞれが方位角方向の表面電流密度κiを有し、かつ2つの隣接する共軸の表面電流シートが異なる符号の方位角方向の表面電流密度を有するような、一連の複数の共軸の表面電流シートを検討し、前記中間の環状円筒断面の位置を決定する工程、
e)前記一連の複数の共軸の表面電流シートを、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有する軸対称の超伝導ヘリカルコイルで、前記ヘリカルコイルの側端部が、半径cを有する1つの同一の球の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、前記球の中心Oが前記関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置し、前記球が前記磁石装置全体を包囲するように、置き換える工程。
本発明の方法の一実施態様によれば、前記工程c)において、1つの中間の環状円筒断面が決定され、前工程d)において、1つの中間の表面電流シートが決定され、前記工程e)において、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有し、前記1つの中間の表面電流シートと置き換わる、1つの中間の軸対称超伝導ヘリカルコイルが、決定される。
本発明の方法の別の実施態様によれば、前記工程c)において、2つの中間の環状円筒断面が決定され、前工程d)において、2つの中間の表面電流シートが決定され、前記工程e)において、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有し、前記2つの中間の表面電流シートと置き換わる、2つの中間の軸対称超伝導ヘリカルコイルが、決定される。
本発明の他の特徴および利点を、添付図面を参照しながら、例として挙げる本発明の特定の実施形態の以下の記載により明らかにする。
本発明によれば、長方形の軸方向半断面を有する軸対称コイルから形成される磁石構造を最適化する方法は、コイルの厚さの検討を含まない第1の工程を含む。最初からコイルの厚さを検討することは、煩雑な計算を招くものであり、構造に必須な特性の容易な理解を妨げるものであることが、効果的に理解される。
したがって、本発明によれば、第1の工程において、軸Ozの環状円筒が有する表面電流シートを有する構成について検討がなされる。本明細書では以降、他に詳細がなければ、当該電流シートを「薄型ソレノイド」と呼ぶ。
各薄型ソレノイドは、半径a、長さ2bまたは半分長さbを規定する第1の端部および第2の端部の寸法b1およびb2により特徴付けられ、また、Ozの周りで代数的に測定される、ソレノイドが有する方位角方向の電流密度κの表面密度によって特徴付けられる。次の表記が使用される。
球面調和関数展開(ESH)の、展開の内部の係数および外部の係数は、以下の式を用いて表される。
マックスウェルの方程式が、磁荷がただ電荷を残しながら消失するように記載されていたため(磁気の“独占”がない)、M0=0であることが思い出される。また、上記のMnの式は、M1=0を導くものであり、最初のゼロでないモーメントは、理論上、あらゆる電流分布の一般的な特性、双極子モーメントである。
これらの式は、顕著な特性を明示している。環状端が半径cの同一の球上に位置しているこれらの共軸のソレノイド群の集合体を検討すると、各ソレノイドは、2つのパラメータαiとκiによってのみ特徴付けられる。この構造は、「外接球」と称することができる。均一な磁石を製造するには、これらのパラメータは、Z2n項(xOyに対して対称であるため、この項の奇数次数はゼロである)が、次数2n0まで同時にキャンセルされるように選ばれ、モーメントM2nもまた、同じ次数までキャンセルされる。均一性を改善することによって、ここで外部場は、付随的に減少する。
2つのソレノイドの使用により、Z2をキャンセルすることができ、よって同時にM2をキャンセルすることができる。本発明では、3つまたは4つのソレノイドを有する構造を用いるものであり、これにより、内部ソレノイドの内側に位置する関心体積の中に鉄製の環状体を付加することなく、均一性を向上させることができる。
図1は、内側から外側まで軸Ozについて共軸に配置された3つの薄型ソレノイド1、2、3を有する構成の、本発明の外接球磁石を説明するものである。
3つのソレノイドの外接球構造は、下付き文字1、2、3をそれぞれ各薄型ソレノイドに割り当てれば、5つのパラメータに依存する。
均一性についての2つの条件(それ以上はない!)を満たすことが可能であり、このとき、双極子モーメントおよび四極子モーメントがキャンセルされる。
Z2=Z4=0
Z2=Z4=0
α1は、薄型ソレノイド1の有効内半径a1によって先験的に固定値となり、薄型ソレノイド1は、環状端10Aおよび10B(すなわち、円筒の母線に垂直な2つの平面によって区切られた円筒部10)により区切られた軸Ozの環状円筒断面に対応し、当該環状円筒断面は、自由空間として残された、可能な限り高い均一性を有する磁場が印加される関心領域ZIを画定している。α3は、外半径<cにより、最外部の薄型ソレノイド3を超過することなく、先験的に固定値となる。
よって、自由度が残され、これにより、最適化が可能となる。その支配的な強度は、クオリティファクターであり、薄型ソレノイドの外接球構造のクオリティファクターの一般式は、下記式となる。
上記の制約に留意しながらのQを最大化することは、構造を完全に決定するのに十分である。
一例として、仮に、以下の値を第1および第3のソレノイドに課すとする。
第3のソレノイド3の外半径2a3に等しい長さ2b1を有する「正方形」のアセンブリ6が、規定されることが確認される。
そして、中間の第2のソレノイド2について、最適解が推測され、この例では、下記の式のようになる。
図1において、半径cの球5上に必須に位置する環状端10A,10B,20A,20B,30A,30Bによりそれぞれ区切られた円筒断面10,20,30によってそれぞれ規定された3つのソレノイド1,2,3は、交互に符号を変える、方位角方向の表面電流密度を有する。例えば、ソレノイド1および3は、方位角方向の表面電流密度κ>0を有し、一方で、中間のソレノイド2は、方位角方向の表面電流密度κ<0を有する。図4Aおよび図4Bの曲線は、得られた均一性を示すものである。図4Aの曲線は、ppmで表した軸Ozでの相対場のプロファイルBz/B0−1を示し、図4Bの曲線はまた、軸Ozでの場のプロファイルBz/B0を示し、ここで、Bzは、軸Ozに沿った場の強度である。
次に、図2を参照して、内側から外側まで軸Ozについて共軸に配置された4つの薄型ソレノイド101,102,103,104を有する本発明の外接球磁石について説明する。
4つのソレノイドを有する外接球構造は、下付き文字101、102、103、104をそれぞれ各薄型ソレノイドに割り当てれば、7つのパラメータに依存する。
均一性についての3つの条件(それ以上はない!)を満たすことが可能であり、このとき、双極子モーメント、四極子モーメント、六極子モーメントがキャンセルされる。
Z2=Z4=Z6=0
Z2=Z4=Z6=0
α1は、薄型ソレノイド101の有効内半径a1によって先験的に固定値となり、有効薄型ソレノイド101は、環状端110A,110Bにより区切られた軸Ozの環状円筒断面110に対応し、環状円筒断面は、自由空間として残された、可能な限り高い均一な磁場が印加される関心領域ZIを画定している。α3は、外半径<cにより、最外部の薄型ソレノイド104を超過することなく、先験的に固定値となる。
よって、2つの自由度が残され、これらは、クオリティファクターQを最大化することによって、一意的に求まる。
先行例と同じ、「正方形」型と正方形断面の体積106の値を用いると、次のようになる。
図2において、半径cの球105上に必須に位置する環状端110A,110B,120A,120B,130A,130B,140A,140Bによりそれぞれ区切られた円筒断面10,20,30,40によってそれぞれ規定された4つのソレノイド101,102,103,104は、交互に符号を変える、方位角方向の表面電流密度を有する。よって例えば、ソレノイド101および103は、方位角方向の表面電流密度κ>0を有し、一方で、中間ソレノイド102および最後のソレノイド104は、方位角方向の表面電流密度κ<0を有する。
図2の構造では、場の係数とクオリティファクターに減少が見られる。図4Aおよび4Bと同様の曲線では、均一性に目立った向上が見られたが、一方で、既に得られていた外部場の非常に顕著な減少の程度は、さらなるモーメントのキャンセルによって改善されてはいない。
なお、均一性は、同じ半径と全長を有する4つのソレノイドを用い、以下の寸法(3つの空隙が非常に狭いことがわかる)を有する従来の構造により得られる均一性よりも、はるかに高い。
増加する半径a1,a2,a3,a4の共軸ソレノイド群を有する図2の外接球構造の均一性は、同じ半径a=a1を有する4つのソレノイドを用いた従来の構造のものよりもはるかに高い。というのは、Z2、Z4およびZ6のキャンセルを可能にする反対方向の電流が、続く係数を最も顕著に減少させるためであり、これは、従来の構成では起こらないことである。
本発明によれば、図1および2を参照して上記に示したように、3つまたは4つの薄型ソレノイドを有する所望の構造を決定した後に、一連の共軸の表面電流シート群を、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有する軸対称超伝導ヘリカルコイル1,2,3または101,102,103,104で置き換える。このとき、ヘリカルコイル1,2,3または101,102,103,104の側端部が、半径cを有する1つの同一の球5または105の近傍にあって、当該球の中心Oが、関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置し、当該球、磁石装置全体を包囲するようにする。
このようにして、有限厚さのコイルを用いた、真の外接球磁石装置が得られる。第1の工程で決定された先の理想解から、現実の構造への転換は、この段階においては、非常に容易である。必要なことは、薄型ソレノイドを、有限厚さの長方形の軸方向半断面を有するコイルに置き換えるだけである。
ここで、幾何学的なパラメータ(コイル内半径a11、最大外半径a32、最大全長2b1)が固定された上での最適化、および勾配があるまたは勾配の無いコイルの全体の電流密度についての従来の問題に直面する。同じ数のコイルを有する理想的な構造について得られる幾何学的データにより、必要な最初の値、特に、jiei≒κでiあるとき、電流密度jiを有する真のコイル群の厚さeiが与えられる。
図3は、環状端10A,10B,20A,20B,30A,30Bによりそれぞれ区切られた円筒断面10,20,30の周囲に形成された実際の3つのコイル1,2,3を有する本発明の超伝導磁石装置の例を説明するものである。実際の3つのコイル1,2,3は、半分長さb1,b2,b3、外半径a12,a22,a32、および内半径a11,a21,a31を有する長方形の軸方向半断面を有する。実際のコイル1,2,3は、交互に符号を変える、方位角方向の電流密度j1,j2,j3を有する。
均一で強力な磁場が得られる、3つのコイルの外接球構造の数値例を以下に示す。当該構造は、半径0.5mの関心領域ZIの有効体積内においてこのような磁場値を得るために提案されている公知の装置よりも空間を取らない。ここで、外半径と1.85mの半分長さが規定される。
コイル1,2,3のそれぞれに対し、内半径a1、外半径a2、半分長さb、および方位角方向の電流密度jの値が、順々に与えられる。
6つのパラメータ、すなわち、コイル1の内半径a1(a11とも記載される)、コイル3の外半径a2(a32とも記載される)、コイル1の半分長さb(b1とも記載される)、3つのコイル1〜3の方位角方向の電流密度j(中間のコイル2は、2つ他のコイル1,3とは反対の符号を有する)が予め固定されたものであり、表に挙げた他の6つのパラメータが、最適化の結果によるものである。
図3の点線は、最小の球5の輪郭と、磁石を包囲する最小の円筒6の(正方形)輪郭のトレースである。
2つの最初の内部のESHの係数が完全にキャンセルされているため、当該磁石は、高度に均一ではないことが予測される。しかしながら、これはすべての場合に当てはまるものではなく、均一性は、最も満足のいくものである。効果的には、
であり、他のすべての係数は、1ppbよりも小さい。ゼロでない係数をより明確にするために、r0=0.2mを採用した場合には、1ppbよりも大きくなるのみである。
5ガウス線が、軸上では7.95mの地点、垂直な平面においては6.645mの地点にあるため、外部場の制限にもまた優れている。
長方形の軸方向半断面を有し、本質的に軸対称な4つのコイルを備える実際の磁石装置を、図2に示した軸Ozの環状円筒が有する表面電流シートを含む構造によって求まる理想的な構造から出発して、同じ方法により作製した。
本発明によれば、最初に、薄型ソレノイド群の集合体が使用され、それにより同時にかつ自動的に、均一性と漂遊磁場減少の問題を解決することができ、課せられた条件は、簡潔であり、薄型ソレノイド群の環状端が、同一の球上に実質的に位置することが必要であるというものである。薄型ソレノイドは理論上の理想であり、一方、実際のコイルにおいては、本発明の超伝導体内においても、電流を流すために所定の厚さが明らかに必要である。薄型ソレノイド群によって得られる解決手段は、上記のような最適化プロセスを経て、それらの厚さをより厚くすることへと変わる。これらの条件下では、厚さの大きいソレノイドの環状端(その内径およびその外径)はどれも、同一の球上に正確に位置することをできなくするが、しかしながら、これらの環状端は、薄型ソレノイド群を用いた理想的な場合に対応する球の近傍に留まっており、ソレノイドが薄くなればなるほど、球に対して環状端がより近傍に位置する。他方で、近傍への接近の程度がより低いにもかかわらず、実際に厚さを有するソレノイド群の集合体は、残りの部分全体が球内におおよそ含まれるように、内半径と外半径(対応する薄型ソレノイドの半径を挟む)および長さ(それぞれはまた、対応する薄型ソレノイドの長さに近い)を適切に選択することによって、薄型ソレノイド群の集合体と同じように、均一性と漂遊磁場の特性を維持することができる。
本発明の超伝導磁石装置は、所望の磁場値に関係なく動作させることができる。特に、例えば、10または11テスラの、強力で均一な磁場成分Bzを得るために使用することができる。
以上をまとめると、関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って均一で強力な磁場成分Bzを形成するための小型超伝導磁石装置は、軸Ozを始点として順に、環状端10A,10B,20A,20B,30A,30Bで区切られた軸Ozの環状円筒断面10,20,30の周囲に形成された、少なくとも3つの共軸の超伝導ヘリカルコイル1,2,3を有する。ヘリカルコイル1,2,3(または101〜104)の側端部は、半径cを有する1つの同一の球5(または105)の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、当該球の中心Oは、関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置しており、前記球は、前記磁石装置全体を包囲するものである。ヘリカルコイル1,2,3(または101〜104)の方位角方向の電流密度j1,j2,j3は、交互に反対の符号を有する。ヘリカルコイル1,2,3(または101〜104)の長さ2b1、2b2、2b3(および任意の2b4)は、減少していく。最外部の超伝導ヘリカルコイル3(または104)の外半径a32は、最内部の超伝導ヘリカルコイル1(または101)の半分長さb1に実質的に等しく、最内部の超伝導ヘリカルコイル1(または101)の外半径a12は、最外部の超伝導ヘリカルコイル3(または104)の半分長さb3(またはb4)に実質的に等しい。
Claims (5)
- 関心領域(ZI)において軸Ozに沿って均一な磁場成分Bzを形成するための、核磁気共鳴用または磁気共鳴イメージング用の小型超伝導磁石装置であって、前記磁石装置は、軸Ozを始点として順に、前記軸Ozに垂直な方向に、少なくとも1つの第1の超伝導ヘリカルコイル(1;101)と、少なくとも1つの第2の超伝導ヘリカルコイル(2;102)とを有し、前記第1の超伝導ヘリカルコイル(1;101)は、第1の環状端(10A,10B;110A,110B)により区切られた、軸Ozの第1の環状円筒断面(10;110)の周囲に形成されており、前記第1の超伝導ヘリカルコイル(1;101)は、第1の方位角方向の電流密度j1とともに、第1の外半径(a12)、第1の内半径(a11)および第1の長さ(2b1)を有し、前記第2の超伝導ヘリカルコイル(2;102)は、前記第1の環状円筒断面(10;110)を囲い、第2の環状端(20A,20B;120A,120B)により区切られた、軸Ozの第2の環状円筒断面(20;120)の周囲に形成され、前記第2の超伝導ヘリカルコイル(2;102)は、第2の方位角方向の電流密度j2とともに、第2の外半径(a22)、第2の内半径(a21)および第2の長さ(2b2)を有し、第1および第2のヘリカルコイル(1,2;101,102)の側端部は、半径cを有する1つの同一の球(5;105)の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、前記球の中心Oは、前記関心領域(ZI)の中心にある軸Oz上に位置しており、前記球は、前記磁石装置全体を包囲するものであり、前記磁石装置はまた、少なくとも1つの第3の超伝導ヘリカルコイル(3;103)をさらに有し、前記第3の超伝導ヘリカルコイル(3;103)は、前記第2の環状円筒断面(20;120)を囲い、第3の環状端(30A,30B;130A,130B)により区切られた、軸Ozの第3の環状円筒断面(30;130)の周囲に形成され、前記第3の超伝導ヘリカルコイル(3;103)は、第3の方位角方向の電流密度j3とともに、第3の外半径(a32)、第3の内半径(a31)および第3の長さ(2b3)を有し、前記第1、第2および第3の方位角方向の電流密度j1、j2、j3は、交互に反対の符号を有し、前記第1、第2および第3のコイル(1,2,3;101,102,103)の第1、第2および第3の長さ2(b1、2b2、2b3)は、減少していくものであり、最外部の超伝導ヘリカルコイル(3;104)の外半径(a32)は、最内部の超伝導ヘリカルコイル(1;101)の半分長さ(b1)に実質的に等しく、最内部の超伝導ヘリカルコイル(1;101)の外半径(a12)は、最外部の超伝導ヘリカルコイル(3;104)の半分長さ(b3;b4)に実質的に等しい、磁石装置。
- さらに少なくとも1つの第4の超伝導ヘリカルコイル(104)をさらに有し、前記第4の超伝導ヘリカルコイル(104)は、前記第3の環状円筒断面(130)を囲い、第4の環状端(140A,140B)により区切られた、軸Ozの第4の環状円筒断面(140)の周囲に形成され、前記第4の超伝導ヘリカルコイル(104)は、第4の方位角方向の電流密度j4とともに、第4の外半径(a42)、第4の内半径(a41)および第4の長さ(2b4)を有し、前記第1、第2、第3および第4の方位角方向の電流密度j1、j2、j3、j4は、交互に反対の符号を有し、前記第1、第2、第3および第4の超伝導ヘリカルコイル(101,102,103,104)の第1、第2、第3および第4の長さ(2b1、2b2、2b3、2b4)が、減少していくものである、請求項1に記載の磁石装置。
- 関心領域ZIにおいて軸Ozに沿って均一な磁場成分Bzを形成するための、核磁気共鳴用または磁気共鳴イメージング用の小型超伝導磁石装置の製造方法であって、以下の工程を含む方法。
a)前記関心領域ZIの最小半径および最大長さにそれぞれ対応する、第1の所定の半径(a1)および第1の所定の長さ(2b1)を有し、第1の環状端(10A,10B;110A,110B)により区切られた、軸Ozの第1の環状円筒断面(10;110)を決定する工程、
b)前記第1の環状円筒断面(10;110)を囲むとともに、前記関心領域ZIの最大長さ(2b1)および最小半径(a1)にそれぞれ対応する最後の所定の半径(a3;a4)および最後の所定の長さ(2b3;2b4)を有し、最後の環状端(30A,30B;140A,140B)により区切られた、軸Ozの最後の環状円筒断面を決定する工程、
c)前記第1の環状円筒断面(10;110)および前記最後の環状円筒断面(30;140)の間に挿入されるとともに、前記関心領域の最小半径(a1)と最後の所定の半径(a3;a4)の間の中間の所定の半径(a2;a3)、および前記最後の所定の長さ(2b3;2b4)と前記最大長さ(2b1)との間の中間の所定の長さ(2b2;2b3)を有し、中間の環状端(20A,20B;120A,120B,130A,130B)によって区切られた、軸Ozの少なくとも1つの中間の環状円筒断面(20;120;130)を、第1の環状端(10A,10B;110A,110B)、中間の環状端(20A,20B;120A,120B,130A,130B)、および最後の環状端(30A,30B;140A,140B)が、中心O、半径cの1つの同一の球の上に位置するように、決定する工程、
d)関心領域ZIの磁場の均一性が最適化されるように、軸Ozの前記第1の環状円筒断面(10;110)上に形成された第1の表面電流シート、軸Ozの前記中間の環状円筒断面上(20;120,130)に形成された少なくとも1つの中間の表面電流シート、および軸Ozの前記最後の環状円筒断面(30;140)上に形成された最後の薄い表面電流シートに対し、それぞれが方位角方向の表面電流密度κiを有し、かつ2つの隣接する共軸の表面電流シートが異なる符号の方位角方向の表面電流密度を有するような、一連の複数の共軸の表面電流シートを検討し、前記中間の環状円筒断面(20;120,130)の位置を決定する工程、
e)前記一連の複数の共軸の表面電流シートを、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有する軸対称の超伝導ヘリカルコイル(1,2,3;101,102,103,104)で、前記ヘリカルコイル(1,2,3;101,102,103,104)の側端部が、半径cを有する1つの同一の球(5;105)の近傍のコイルの厚さ以下の所に配列されており、前記球の中心Oが前記関心領域ZIの中心にある軸Oz上に位置し、前記球が前記磁石装置全体を包囲するように、置き換える工程。 - 前記工程c)において、1つの中間の環状円筒断面(20)が決定され、前工程d)において、1つの中間の表面電流シートが決定され、前記工程e)において、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有し、前記1つの中間の表面電流シートと置き換わる、1つの中間の軸対称超伝導ヘリカルコイル(2)が、決定される、請求項3に記載の方法。
- 前記工程c)において、2つの中間の環状円筒断面(120,130)が決定され、前工程d)において、2つの中間の表面電流シートが決定され、前記工程e)において、厚さがゼロでない長方形の軸方向半断面を有し、前記2つの中間の表面電流シートと置き換わる、2つの中間の軸対称超伝導ヘリカルコイル(102,103)が、決定される、請求項3に記載の方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20141007 |