JP2013532130A - 新生物、炎症性疾患、およびその他の障害を治療するための組成物および方法 - Google Patents

新生物、炎症性疾患、およびその他の障害を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、新生物の治療または予防のための組成物および方法を特徴とする。より具体的には、本発明は、ブロモドメインを含んでなるBETファミリーポリペプチドとクロマチンとの相互作用を妨害する(例えばブロモドメインとヒストンN末端尾部上に存在するアセチルリジン修飾との相互作用を妨害する)ための組成物および方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2010年5月14日に出願された米国仮特許出願第61/334,991号明細書、2010年8月4日に出願された米国仮特許出願第61/370,745号明細書、2010年8月22日に出願された米国仮特許出願第61/375,863号明細書、および2011年3月24日に出願された米国仮特許出願第61/467,376号明細書の優先権を主張する。これらの各特許出願の内容は、参照によってその内容全体を本明細書に組み込む。
連邦により支援された研究開発の下でなされた発明の権利への宣言
この研究は、国立衛生研究所(National Institute of Health)からの補助金番号K08CA128972によって支援された。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
ヒストンN末端尾部は、クロマチンの安定性を保ち、転写調節と関連付けられている修飾の対象である。これらの修飾の中で最も良く特性解析されているのは、アセチル化、メチル化、およびリン酸化である。各修飾のために、適切な標識を施しあるいはそれを除去する酵素が存在する。これらの修飾は、次に転写機構によって解釈されなくてはならない。アセチルリジン認識は、一般に転写因子複合体の構成要素であるブロモドメインによって、主に媒介される。ブロモドメインおよびエキストラ末端(BET)ファミリー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)は、高レベルの配列保存を呈示する2つのN末端ブロモドメインを含んでなる共通ドメイン構造と、タンパク質−タンパク質相互作用に関係があるとされるより多岐にわたるC末端ドメインとを共有する。ヒストン修飾の異常調節は、遺伝子活性に影響を及ぼして、発がんの一因となり得る。リジン側鎖のアセチル化は、Hsp90、p53、STAT転写因子、コルタクチン、βカテニン、およびαチューブリンを含むが、これに限定されるものではない、非ヒストンタンパク質の機能における重要な調節事象である。したがってリジン側鎖認識の調節は、発達および疾患において、重要な表現効果および治療効果を広く発揮するであろうことが予期される。発がんに対するアセチルリジン認識の重要性にもかかわらず、アセチルリジン認識の調節因子は、わずかしか同定されていない。
下述するように、本発明は、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患を治療または予防し、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させるための組成物および方法を特徴とする。特定の実施形態では、本発明の化合物を使用して、新生物(例えばがんおよび非悪性疾患)の薬剤抵抗性を克服する。本発明の組成物のさらなる用途としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。より具体的には、本発明は、ブロモドメインを含んでなるBETファミリーポリペプチドと、アセチルリジンおよび/またはクロマチンとの相互作用を妨害し(例えばブロモドメインと、ヒストンN末端尾部上に存在するアセチルリジン修飾との相互作用を妨害し)、発がんを抑制する、組成物および方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、炎症性疾患を予防または治療する。
一態様では、本発明は、式I、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
はH、D、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であり、RおよびRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
(c)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rはそれぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。
特定の実施形態では、LはH、−COO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)Rまたは任意選択的に置換されるアリールである。特定の実施形態では、各Rは独立して、H;O、S、またはNから選択される0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有する−C〜Cアルキル;またはNH;N=CRからなる群から選択される。
特定の実施形態では、Rは−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であり、RおよびRの片方はHであり、RおよびRの他方は(CH−Yであり、pは1〜3(例えばpは2)でYは(芳香族または非芳香族であってもよい)窒素含有環である。
特定の実施形態では、RはH、D、ハロゲンまたはメチルである。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換されるアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、環Aは5または6員環アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、環Aはチオフラニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである。
特定の実施形態では、環Aはフェニルまたはチエニルである。
特定の実施形態では、mは1または2であり、Rの少なくとも1つの存在はメチルである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、H、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る。
別の態様では、本発明は、式II、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R’はH、−COO−R、−CO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニルからなる群から選択され;
mは0、1、2、または3であるが;
ただしR’が−COO−Rであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである。特定の実施形態では、Rは、p−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである。
特定の実施形態では、R’は−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;RはO、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい、−C〜Cアルキルである。特定の実施形態では、R’は−COO−Rであり、Rはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルであり;またはR’は、Hまたは任意選択的に置換されるフェニルである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールを形成し得る。
特定の実施形態では、各Rはメチルである。
別の態様では、本発明は、式III、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、RおよびRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rはそれぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである。
特定の実施形態では、Rはp−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである。特定の実施形態では、RはH、NH、またはN=CRである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
特定の実施形態では、RおよびRの一方はHであり、RおよびRの他方は(CH−Yであり、pは1〜3(例えばpは2)であり、Yは(芳香族または非芳香族であってもよい)窒素含有環である。
別の態様では、本発明は、式IV、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
はH、D、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、RおよびRの一方はHであり、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
(c)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rは−(CH−L(式中、nは0〜3であり、Lは−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールである)であり;RはO、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい、−C〜Cアルキルである。特定の実施形態では、nは1または2であり、Lはアルキルまたは−COO−R、およびRはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルであり;またはnは1または2であり、LはHまたは任意選択的に置換されるフェニルである。
特定の実施形態では、Rは−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であり、RおよびRの片方はHであり、RおよびRの他方は(CH−Yであり、pは1〜3(例えばpは2)であり、Yは(芳香族または非芳香族であってもよい)窒素含有環である。
特定の実施形態では、RはHまたはメチルである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、環Aはフェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る。
本発明はまた、本明細書の式V〜XXIIの化合物、および本明細書に記載される任意の化合物も提供する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物、または本明細書に記載される任意の化合物の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象において新生物を治療または予防する方法を提供する。
特定の実施形態では、化合物は式I〜IVのいずれかの化合物である。
別の態様では、本発明は、細胞を式I〜XXIIの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の有効量に接触させるステップと、それによって新生物細胞の成長、増殖または生存を低下させるステップを含んでなる、新生物細胞の成長、増殖または生存を低下させる方法を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞を式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物に接触させるステップと、それによって新生物細胞中で分化を誘導するステップを含んでなる、新生物細胞中で分化を誘導する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、細胞を式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の治療的有効量に接触させるステップと、それによって新生物細胞中で細胞死を誘導するステップを含んでなる、新生物細胞中で細胞死を誘導する方法を提供する。
特定の実施形態では、方法は、BETファミリーのブロモドメインに結合する化合物を選択するステップをさらに含んでなる。
特定の実施形態では、方法は、細胞環境内でブロモドメインのクロマチンへの結合を阻害する化合物を選択するステップをさらに含んでなる。
特定の実施形態では、方法は、示差走査型蛍光定量法(DSF)、等温滴定熱量計、および/またはルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(ALPHA−screen)を使用して、結合特異性について化合物を選択するステップをさらに含んでなる。特定の実施形態では、化合物は前記アッセイ中でブロモドメインの熱安定を増大させる。
方法の特定の実施形態では、BETファミリーメンバーは、BRD2、BRD3、BRD4またはBRDTである。
方法の特定の実施形態では、細胞は対象中にある。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与し、それによって対象中で新生物を予防または治療するステップを含んでなる、対象中で新生物を予防または治療する方法を提供する。
特定の実施形態では、対象は哺乳類である。特定の実施形態では、対象はヒト患者である。
特定の実施形態では、方法は、対象中で新生物の成長または増殖を低下させる。
特定の実施形態では、新生物は転写活性化因子によって駆動される。特定の実施形態では、転写活性化因子はmycである。
特定の実施形態では、対象は、バーキットリンパ腫、小細胞肺がん、乳がん、大腸がん、神経芽細胞腫、多形グリア芽細胞腫、MLL駆動白血病、慢性リンパ球性白血病、NUT正中がん、扁平上皮がんまたはNUT再配列と関連付けられている任意のその他のがん腫からなる群から選択される新生物を有する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の治療的有効量と、そのための薬学的に許容可能な賦形剤またはキャリアとを含んでなる組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の治療的有効量と、化合物投与ための書面での指示を含んでなる包装医薬品を提供する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で新生物を予防または治療する方法を提供し、化合物はブロモドメインのアセチルリジンへの結合を妨害し、またはさもなければクロマチンからBETファミリーメンバーを置き換え、それによって前記新生物を予防または治療する。
特定の実施形態では、化合物はヒストンH4 KacペプチドのBETファミリーメンバーへの結合を阻害する。
特定の実施形態では、BETファミリーメンバーは、BRD2、BRD3、BRD4またはBRDTである。
特定の実施形態では、化合物は、BETファミリーブロモドメインのKac結合部位に結合する。
別の態様では、本発明は、試験化合物をブロモドメインを含んでなるBETファミリーメンバーに接触させるステップと;ブロモドメインへの特異的結合を検出し、それによって新生物の治療に有用な試験化合物を同定するステップを含んでなる、新生物治療のための化合物を同定する方法を提供する。
特定の実施形態では、結合特異性は、示差走査型蛍光定量法(DSF)を使用してアッセイされる。
特定の実施形態では、結合は、前記ブロモドメインの熱安定を増大させる。
特定の実施形態では、結合は、等温滴定熱量計を使用して検出される。
特定の実施形態では、結合は、ルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(ALPHA−screen)を使用して検出される。
特定の実施形態では、化合物は、ヒストンH4 Kacペプチドの前記ブロモドメインへの結合を阻害する。
特定の実施形態では、化合物は、前記ブロモドメイン中の進化的に保存されたアスパラギンと水素結合を形成する。
特定の実施形態では、前記BETファミリーメンバーはBRD4またはBRD2であり、アスパラギンはBRD4(1)中のAsn140およびBRD2(2)中のAsn429である。
特定の実施形態では、化合物は、細胞環境内でクロマチンと競合的に結合する。
特定の実施形態では、クロマチンとの競合結合は、フォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)を使用して検出される。
特定の実施形態では、方法を生体外の新生物細胞中で実施する。
特定の実施形態では、方法は、細胞増殖低下、細胞死増大、または細胞分化増大を検出するステップをさらに含んでなる。
特定の実施形態では、細胞死はアポトーシス細胞死である。
特定の実施形態では、細胞分化は、サイトケラチン発現の増大を検出することで同定される。
特定の実施形態では、方法は、転写伸長の低下を検出するステップをさらに含んでなる。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の有効量を前記対象に投与するステップを含んでなる、対象中で新生物を治療または予防する方法を提供し、前記化合物は、BETファミリーブロモドメインに結合して、前記ブロモドメインとクロマチンとの相互作用を妨害し、それによって前記がんを予防または治療できる。
特定の実施形態では、方法は、前記対象中の新生物細胞中で、細胞死または分化を誘導する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物からなる群から選択される化合物の有効量と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、新生物を治療または予防するための組成物を提供し、前記化合物は、ヒストンH4 KacペプチドのBETファミリーブロモドメインへの結合を阻害する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で炎症を低下させる方法を提供する。
別の態様では、本発明は、式I〜XXIIのいずれかの化合物または本明細書に記載される任意の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与するステップと、それによって対象中で炎症性疾患を予防または治療するステップとを含んでなる、対象中で炎症性疾患を予防または治療する方法を提供する。
特定の実施形態では、対象は哺乳類である。特定の実施形態では、対象はヒト患者である。
特定の実施形態では、方法は、サイトカインレベル、ヒスタミン放出、または免疫応答性細胞の生物学的活性を低下させる
別の態様では、本発明は、試験化合物をブロモドメインを含んでなるBETファミリーメンバーに接触させるステップと;ブロモドメインへの特異的結合を検出し、それによって炎症の治療に有用な試験化合物を同定するステップを含んでなる、炎症治療のための化合物を同定する方法を提供する。
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明から、および特許請求の範囲から明白になるであろう。
定義
「作用物質」は、任意の小分子化合物、抗体、核酸分子、またはポリペプチド、またはその断片を意味する。
本明細書の用法では、「芳香族環」または「アリール」という用語は、炭素および水素原子を含んでなる単環または多環式芳香族環または環遊離基を意味する。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびに5,6,7,8−テトラヒドロナフチルなどのベンゾ融合炭素環式部分が挙げられるが、これに限定されるものではない。アリール基は非置換であり得て、または例えば本明細書でアルキル基について記載される置換基(制限なしにアルキル(好ましくは低級アルキルまたは1つまたは複数のハロ置換アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは低級アルコキシ)、アルキルチオ、シアノ、ハロ、アミノ、ボロン酸(−B(OH)、およびニトロを含む)などの1つまたは複数の置換基で、任意選択的に置換され得る。特定の実施形態では、アリール基は単環であり、環は6個の炭素原子を含んでなる。
本明細書の用法では、「アルキル」という用語は、典型的に1〜10個の炭素原子を有する、飽和直鎖または分枝非環式炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、およびn−デシルが挙げられ;一方、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシルなどが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、非置換であってもよく、またはアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロ、アシル、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオなどの1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。本発明の化合物では、低級アルキルが典型的に好まれる。
「ブロモドメイン」は、アセチル化リジン残基を認識するポリペプチド部分を意味する。一実施形態では、BETファミリーメンバーポリペプチドのブロモドメインはおよそ110個のアミノ酸を含んでなり、クロマチンと相互作用する多様なループ領域によって結合する、4本のαらせんの左巻きの束を含んでなる、保存された折り畳みを共有する。
「BETファミリーポリペプチド」は、2つのブロモドメインと、転写調節因子活性またはアセチル化リジン結合活性を有する末端外(extraterminal)(ET)ドメインまたはその断片を含んでなるポリペプチドを意味する。例示的なBETファミリーメンバーとしては、BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDTが挙げられる。
「BRD2ポリペプチド」は、NP_005095と少なくとも85%の同一性を有し、クロマチン結合または転写調節ができる、タンパク質またはその断片を意味する。
例示的なBRD2ポリペプチドの配列を下に示す。
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「BRD2核酸分子」は、BRD2ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを意味する。
「BRD3ポリペプチド」は、クロマチン結合または転写調節ができるNP_031397.1と少なくとも85%の同一性を有する、タンパク質またはその断片を意味する。
例示的なBRD3ポリペプチドの配列を下に示す。
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「Brd3核酸分子」は、BRD3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
「BRD4ポリペプチド」は、NP_055114と少なくとも85%の同一性を有して、クロマチン結合または転写調節ができる、タンパク質またはその断片を意味する。
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「Brd4核酸分子」は、BRD4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
「BRDTポリペプチド」は、NP_001717と少なくとも85%の同一性を有して、クロマチン結合または転写調節ができる、タンパク質またはその断片を意味する。
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「BRDT核酸分子」は、BRDTポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
「改善する」は、疾患の発症または進行を低下させ、抑制し、減衰させ、縮小させ、停止させ、または安定化することを意味する。
「変更」は、本明細書に記載されるような当該技術分野において公知の標準的な方法によって検出される、遺伝子またはポリペプチドの発現レベルまたは活性の変化(増大または低下)を意味する。本明細書の用法では、変更としては、発現レベルの10%の変化、好ましくは25%の変化、より好ましくは40%の変化、最も好ましくは発現レベルの50%以上の変化が挙げられる。
「アナログ」は、同一でないが、類似した機能的または構造的特徴を有する分子を意味する。例えばポリペプチドアナログは、天然ポリペプチドと比較してアナログの機能高める特定の生化学的修飾を有しながら、対応する天然ポリペプチドの少なくともいくらかの生物学的活性を保つ。このような生化学的修飾は、例えばリガンド結合を変更することなしに、アナログのプロテアーゼ耐性、メンブラン透過度、または半減期を増大させ得る。アナログとしては、非天然アミノ酸が挙げられる。
「化合物」は、任意の小分子化合物、抗体、核酸分子、またはポリペプチド、またはその断片を意味する。
「ジアステレオマー」という用語は、2つ以上の不斉中心があり、その分子が互いに鏡像でない立体異性体を指す。
「鏡像異性体」という用語は、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。2つの鏡像異性体の等モル混合物は、「ラセミ混合物」または「ラセミ体」と称される。
「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指す。
「ハロアルキル」という用語は、例えばフルオロメチルおよびトリフルオロメチルなどのハロゲンで一置換、二置換または多置換された、上で定義されるアルキル基を含むことが意図される。
「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書の用法では、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、イオウ、およびリンである。
「ヘテロアリール」という用語は、単環系の場合は1〜4環ヘテロ原子、二環系の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環系の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員環単環系、8〜12員環二環系、または11〜14員環三環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され、残りの環原子は炭素である。ヘテロアリール基は、アリール基などの1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フラニル、ベンゾジオキソリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリルチアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、およびインドリルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「複素環式」という用語は、本明細書の用法では、炭素以外の少なくとも少なくとも1つの原子(例えばS、O、N)を環構造内に含有する有機化合物を指す。これらの有機化合物中の環構造は、芳香族または非芳香族のどちらかであり得る。複素環式部分のいくつかの例としては、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、フラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、およびジオキサンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「異性体」または「立体異性体」という用語は、同一化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置が異なる化合物を指す。
「同位体誘導体」という用語は、その中で化合物中の1つまたは複数の原子が、原子の対応する同位体で置換されている、化合物の誘導体を含む。例えば、炭素原子(C12)を含有する化合物の同位体誘導体は、その中で化合物の炭素原子がC13同位体で置換されているものである。
「新生物」という用語は、自律的増殖能力を有する細胞、すなわち迅速に増殖する細胞成長によって特徴付けられる異常な事態または状態を指す。新生物病態は、病的と分類されてもよく、すなわち病態を特徴付けまたは構成し、または非病的と分類されてもよく、すなわち正常からの逸脱であるが病態と関連付けられていない。本用語は、組織病理学タイプまたは侵襲段階に関わりなく、全種類のがん性増殖または発がんプロセス、転移組織または悪性形質転換細胞、組織、または臓器を含むことが意図される。「病的過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍成長によって特徴付けられる疾患において発生する。非病的過剰増殖性細胞の例としては、創傷修復と関連付けられている細胞増殖が挙げられる。
本発明の化合物による治療の影響を受けやすい例証的新生物としては、白血病(例えば急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単核白血病、急性単球性白血病、急性赤血白血病、混合系統骨髄性白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、多発性骨髄腫、真性赤血球増加症、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、および(例えば線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞腫、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性肺がん、腎細胞がん、肝細胞腫、胆管がん、絨毛がん、セミノーマ、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴覚神経腫、神経内分泌腫瘍、希突起神経膠腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫などの)肉腫やがん腫などの固形腫瘍が挙げられるが、これに限定されるものではない。
一実施形態では、新生物はmycなどの主要転写活性化因子によって駆動される。このようながんとしては、バーキットリンパ腫、小細胞肺がん、乳がん、大腸がん、神経芽細胞腫、多形グリア芽細胞腫、MLL駆動白血病、慢性リンパ球性白血病、NUT転位を伴う扁平上皮がん、ならびにブロモドメイン含有タンパク質またはNUT転位を伴うその他のがんが挙げられるが、これに限定されるものではない。
新生物の「成長を阻害する」という言語は、その成長および転移の遅延、中断、抑止または停止を含み、新生物の成長の完全な排除を示すことは必須でない。
「コンピュータによるモデル化」は、以下の1つまたは複数を求めるための計算プログラムの応用を意味する:結合部分に対するリガンドの位置および結合近接性、結合リガンドの占有空間、結合部分とリガンド間の相補的接触面積、結合部分への所与のリガンドの結合の変形エネルギー、および水素結合強度のある程度の推定、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および/またはリガンドと結合部分間の静電相互作用エネルギー。コンピュータモデル化はまた、モデル系と候補化合物の特徴間の比較を提供し得る。例えばコンピュータによるモデル化実験は、本発明のファーマコフォアモデルを候補化合物と比較して、候補化合物とモデルの適合を評価し得る。
「コンピューターシステム」は、原子の座標データ分析のために使用される、ハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段を意味する。本発明のコンピュータベースのシステムの最小ハードウェア手段は、中央演算処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ記憶手段を含んでなる。望ましくは、構造データを視覚化するモニターが提供される。データ記憶手段は、RAM、または本発明のコンピュータ可読媒体にアクセスする手段であってもよい。このようなシステムの例は、Unixベース、Windows NTまたはIBM OS/2オペレーティングシステムが作動する、Silicon Graphics IncorporatedおよびSun Microsystemsから入手できる、マイクロコンピュータワークステーションである。
「コンピュータ可読媒体」は、例えば上述のコンピューターシステムで使用するのに媒体が適するように、コンピュータによって直接読み取られアクセスされ得る任意の媒体を意味する。媒体としては、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープなどの磁気記憶媒体;光ディスクまたはCD−ROMなどの光学式記憶媒体;RAMおよびROMなどの電気記憶媒体;および磁気/光学式記憶媒体などのこれらのカテゴリーのハイブリッドが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本開示では、「含んでなる(comprises)」、「含んでなる(comprising)」、「含有する(containing)」、および「有する(having)」などは、米国特許法でそれらに帰するとされる意味を有し得て、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得る;同様に「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially)」は、米国特許法で帰するとされる意味を有し、用語には制約がなく、列挙事項を超える存在によって、列挙事項の基礎的または新規特性が無変化でありさえすれば、列挙事項を超える存在を許すが、先行技術実施形態は除外する。
「検出」は、検出される分析物の存在、不在または量を同定することを指す。
「検出可能な標識」は、対象分子に結合した際に、対象分子を分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段を介して検出可能にする、組成物を意味する。例えば有用な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光染料、高電子密度試薬、酵素(例えばELISAで通常使用されるものなど)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテンが挙げられる。
「疾患」は、細胞、組織、または臓器の正常機能を損ないまたは妨げる、任意の病状または障害を意味する。本明細書で記述される化合物による治療に感受性の疾患の例としては、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性低下が挙げられる。本発明の組成物のさらなる使用としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「有効量」は、未治療患者と比較して、疾患症状を改善するのに必要な作用物質の量を意味する。疾患治療のために本発明を実施するのに使用される活性化合物の有効量は、投与様式、対象の年齢、体重、および総体的な健康に応じて変動する。究極的に、主治医または獣医が、適切な量および投薬計画を決定する。このような量は、「有効」量と称される。
「鏡像異性体」という用語は、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。2つの鏡像異性体の等モル混合物は、「ラセミ混合物」または「ラセミ体」と称される。
「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指す。
「ハロアルキル」という用語は、例えばフルオロメチルおよびトリフルオロメチルなどのハロゲンで一置換、二置換または多置換された、上で定義されるアルキル基を含むことが意図される。
「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書の用法では、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、イオウ、およびリンである。
「ヘテロアリール」という用語は、単環系の場合は1〜4環ヘテロ原子、二環系の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環系の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員環単環系、8〜12員環二環系、または11〜14員環三環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され、残りの環原子は炭素である。ヘテロアリール基は、例えば本明細書でアリール基について記載される置換基などの1つまたは複数の置換基によって、任意選択的に置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フラニル、ベンゾジオキソリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、およびインドリルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「複素環式」という用語は、本明細書の用法では、炭素以外の少なくとも少なくとも1つの原子(例えばS、O、N)を環構造内に含有する有機化合物を指す。これらの有機化合物中の環構造は、芳香族または特定の実施形態では非芳香族のどちらかであり得る。複素環式部分のいくつかの例としては、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、フラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、およびジオキサンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「異性体」または「立体異性体」という用語は、同一化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置が異なる化合物を指す。
「同位体誘導体」という用語は、その中で化合物中の1つまたは複数の原子が、原子の対応する同位体で置換されている、化合物の誘導体を含む。例えば、炭素原子(C12)を含有する化合物の同位体誘導体は、その中で化合物の炭素原子がC13同位体で置換されているものである。
本発明は、本明細書で記述される方法によって特性解析される障害を治療するための高度に特異的な薬剤開発に有用な、いくつかの標的を提供する。これに加えて、本発明の方法は、対象にとって安全な治療法を同定する容易な手段を提供する。これに加えて、本発明の方法は、ハイスループット、高感度、および低複雑度で、本明細書に記載される疾患に対する影響について、実質的にいくつもの化合物を分析する手段を提供する。
「適合」は、自動または半自動手段によって、作用物質分子の1つまたは複数の原子と、BETファミリーメンバーの1つまたは複数の原子または結合部位(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDTのブロモドメイン)の間の相互作用を測定し、このような相互作用が安定である度合いを判定することを意味する。適合のための様々なコンピュータベースの方法については、本明細書でさらに記載される。
「断片」は、ポリペプチドまたは核酸分子の部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含有する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個のヌクレオチドまたはアミノ酸を含有してもよい。
「ハイブリダイゼーション」は水素結合を意味し、それは相補的核酸塩基間における、ワトソン・クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合であってもよい。例えばアデニンとチミンは、水素結合の形成を通じて対合する、相補的核酸塩基である。
「単離ポリヌクレオチド」は、本発明の核酸分子が由来する生物の天然ゲノム中で遺伝子側面に位置する遺伝子が、含まれない核酸(例えばDNA)を意味する。したがって本用語は、例えば、ベクター中に、自己複製プラスミドまたはウイルス中に、または原核生物または真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた組換えDNA;またはその他の配列から独立して別個の分子(例えばcDNAまたはPCRまたは制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されるゲノムまたはcDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。これに加えて、本用語は、DNA分子から転写されるRNA分子を含み、ならびに追加的ポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
「単離ポリペプチド」は、天然でそれに付随する構成要素から分離された、本発明のポリペプチドを意味する。典型的に、ポリペプチドは、それが少なくとも60%重量であり、それが天然に結合するタンパク質または天然有機分子が不在であれば、単離されている。好ましくは、調製品は、少なくとも75重量%、より好適には少なくとも90重量%、最も好適には少なくとも99重量%が、本発明のポリペプチドである。本発明の単離ポリペプチドは、例えば天然原料からの抽出によって;このようなポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって;またはタンパク質の化学的合成によって、得られてもよい。純度は、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析などの任意の適切な方法によって測定し得る。
「マーカー」は、疾患または障害と関連付けられている発現レベルまたは活性に変更を有する、任意のタンパク質またはポリヌクレオチドを意味する。
本明細書の用法では、「作用物質を得る」に見られるような「得る」は、作用物質を合成し、購入し、または別の方法で入手することを含む。
「新生物」という用語は、自律的増殖能力、すなわち迅速に増殖する細胞成長によって特徴付けられる異常な事態または状態、を有する細胞を指す。新生物病態は、病的と分類されてもよく、すなわち病態を特徴付けまたは構成し、または非病的と分類されてもよく、すなわち正常からの逸脱であるが病態と関連付けられていない。本用語は、組織病理学タイプまたは侵襲段階に関わりなく、全種類のがん性増殖または発がんプロセス、転移組織または悪性形質転換細胞、組織、または臓器を含むことが意図される。「病的過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍成長によって特徴付けられる疾患において発生する。非病的過剰増殖性細胞の例としては、創傷修復と関連付けられている細胞増殖が挙げられる。
新生物の「成長を阻害する」という言語は、その成長および転移の遅延、中断、抑止または停止を含み、必ずしも新生物の成長の完全な排除を示唆しない。
「新生物」という用語の通常の医学的意味は、例えば新生物細胞成長に対する正常な成長制御への応答性喪失の結果である、「新しい細胞成長」を指す。「過形成」は、異常に高い成長率を示す細胞を指す。しかし本明細書の用法では、新生物という用語は、一般に、異常な細胞増殖率が認められる細胞を指す。新生物としては「腫瘍」が挙げられ、それは良性、前悪性または悪性のいずれであってもよい。
「化合物を得る」に見られるような「得る」という用語は、化合物を購入し、合成しまたは別の方法で入手することを含むことが意図される。
本明細書の用法では、「光学異性体」という用語は、キラル分子としてもまた知られている分子を含み、これらは互いに重ね合わせることができない正確な鏡像である。
「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、本明細書の用法では、制限なしに、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内注射および輸液を含む、通常は注射による、経腸投与および局所投与以外の投与様式を意味する。
「ポリシクリル」または「多環式基」という用語は、二環式以上の遊離基(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)を指し、その中では2つ以上の炭素が2つの隣接する環で共有され、例えば環は「融合環」である。非隣接原子を通じて結合する環は、「架橋」環と称される。多環式環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシラート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含む。
「多形体」という用語は、本明細書の用法では、本発明の化合物の固体結晶形態またはその複合体を指す。同じ化合物の異なる多形体は、異なる物理的、化学的および/または分光学的特性を呈示し得る。異なる物理的特性としては、安定性(例えば熱または光に対する)、圧縮率および密度(製剤および製品製造で重要)、および溶出速度(生物学的利用能に影響し得る)が挙げられるが、これに限定されるものではない。安定性の差異は、化学反応性変化(例えば剤形が1つの多形体からなる場合、別の多形体からなる場合よりも迅速に変色するような差異的酸化)または機械的特性変化(例えば動力学的に好まれる多形体が熱力学的により安定した多形体に転換するにつれて、錠剤が貯蔵中に崩壊する)または双方(例えば高湿では、1つの多形体の錠剤は破壊をより被りやすい)から帰結し得る。多形体の異なる物理的特性は、それらの加工に影響を及ぼし得る。
「プロドラッグ」という用語は、生体内で代謝され得る部分がある化合物を含む。一般に、プロドラッグは生体内でエステラーゼによって、またはその他の機構によって活性薬剤に代謝される。プロドラッグの例およびそれらの使用は、当該技術分野で周知である(例えばBerge et al.(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照されたい)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製中に原位置で調製し得て、または精製化合物の遊離酸形態またはヒドロキシルを個別に適切なエステル化剤と反応させることにより調製し得る。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処理を介してエステルに転換し得る。プロドラッグ部分の例としては、置換および非置換の、分枝または非分枝の低級アルキルエステル部分(例えばプロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(例えばジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステルが挙げられる(例えばアセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えばピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えばベンジルエステル)、置換(例えばメチル基、ハロ、またはメトキシ置換基による)アリールおよびアリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが挙げられる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。生体内でその他の機構を通じて活性形態に転換されたプロドラッグもまた、含まれる。
さらに炭素−炭素二重結合全体の立体化学の指標もまた、一般化学分野と対立し、その中で「Z」は「cis」(同側)コンフォメーションと称されることが多いものを指す一方、「E」は「trans」(反対側)コンフォメーションと称されることが多いものを指す。cis/transおよび/またはZ/Eのどちらの立体配置も、本発明の化合物に包含される。
キラル中心の命名法に関して、「d」および「l」立体配置という用語は、IUPAC勧告によって定義される通りである。ジアステレオマー、ラセミ体、エピマー、および鏡像異性体という用語の使用については、これらは調製品の立体化学について記述するそれらの通常の文脈で使用される。
「低下させる」とは、少なくとも10%、25%、50%、75%、または100%の負の変化を意味する。
「参照」は、標準または対照条件を意味する。
「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、例えば、完全長cDNAまたは遺伝子配列の断片、または完全cDNAまたは遺伝子配列など、指定された配列のサブセットまたは全体であってもよい。ポリペプチドについては、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に少なくとも約16個のアミノ酸、好ましくは少なくとも約20個のアミノ酸、より好適には少なくとも約25個のアミノ酸、そしてなおもより好ましくは約35個のアミノ酸、約50個のアミノ酸、または約100個のアミノ酸である。核酸については、参照核酸配列の長さは、一般に少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好適には少なくとも約75ヌクレオチド、そしてなおもより好ましくは約100ヌクレオチドまたは約300ヌクレオチドであり、またはそれらの前後またはそれらの間の任意の整数である。
「特異的に結合する」は、本発明のポリペプチドを認識して結合するが、例えば本発明のポリペプチドを天然に含む生物学的サンプルなどのサンプル中で、その他の分子を実質的に認識せず結合しない、化合物または抗体を意味する。
本発明の方法で有用な核酸分子としては、本発明のポリペプチドまたはその断片をコードする、任意の核酸分子が挙げられる。このような核酸分子は、内在性核酸配列と100%同一でなくてもよいが、典型的にかなりの同一性を呈示する。内在性配列と「かなりの同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも1本の鎖とハイブリダイズできる。本発明の方法で有用な核酸分子としては、本発明のポリペプチドまたはその断片をコードする、任意の核酸分子が挙げられる。このような核酸分子は、内在性核酸配列と100%同一でなくてもよいが、典型的にかなりの同一性を呈示する。内在性配列と「かなりの同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも1本の鎖とハイブリダイズできる。「ハイブリダイズ」は、様々なストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば本明細書に記載される遺伝子)またはその部分間で二本鎖分子を形成する対合、を意味する。(例えばWahl,G.M.and S.L.Berger(1987)Methods Enzymol.152:399;Kimmel,A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507を参照されたい)。
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaClおよび75mMのクエン酸三ナトリウムを下回り、好ましくは約500mMのNaClおよび50mMのクエン酸三ナトリウムを下回り、より好適には約250mMのNaClおよび25mMのクエン酸三ナトリウムを下回る。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションが、例えばホルムアミドなどの有機溶剤不在下で得られるのに対し、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好適には少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得られる。ストリンジェントな温度条件としては、通常、少なくとも約30℃、より好適には少なくとも約37℃、最も好適には少なくとも約42℃の温度が挙げられる。ハイブリダイゼーション時間、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの洗剤の濃縮、およびキャリアDNAの包含または排除などの追加的なパラメータを変化させることは、当業者に周知である。必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることで、様々なストリンジェンシーレベルが達成される。好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、30℃で、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、および1%のSDS中で起きる。より好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、37℃で、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、および100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中で起きる。最も好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションは、42℃で、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、および200μg/mlのssDNA中で起きる。これらの条件の有用な変動は、当業者には容易に分かる。
ほとんどの用途では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄ステップもまた、ストリンジェンシーが変動する。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度と温度によって規定され得る。上と同様、塩濃度の低下または温度の上昇によって、洗浄ストリンジェンシーを増大させ得る。例えば、洗浄ステップのためのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは約30mMのNaClおよび3mMのクエン酸三ナトリウムを下回り、最も好適には約15mMのNaClおよび1.5mMのクエン酸三ナトリウムを下回る。洗浄ステップのためのストリンジェントな温度条件としては、通常、少なくとも約25℃、より好適には少なくとも約42℃、なおもより好ましくは少なくとも約68℃の温度が挙げられる。好ましい実施形態では、洗浄ステップは、25℃で、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中で起きる。より好ましい実施形態では、洗浄ステップは、42℃で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中で起きる。より好ましい実施形態では、洗浄ステップは、68℃で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中で起きる。これらの条件の追加的な変動は、当業者には容易に分かる。ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、例えばBenton and Davis(Science 196:180,1977);Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA72:3961,1975);Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001);Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York);およびSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkに記載される。
「実質的に同一」とは、参照アミノ酸配列(例えば本明細書に記載されるアミノ酸配列のいずれ1つ)、または核酸配列(例えば本明細書に記載される核酸配列のいずれか1つ)と、少なくとも85%の同一性を呈示するポリペプチドまたは核酸分子を意味する。好ましくは、このような配列は、比較のために使用される配列に対して、アミノ酸または核酸レベルで、少なくとも85%、90%、95%、99%または100%同一である。
配列同一性は、典型的に、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および/またはその他の修飾に相同性の程度を割り当てることで、同一または類似配列をマッチさせる。保存的置換としては、典型的に、グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン群中の置換が挙げられる。同一性の程度を判定する例示的なアプローチでは、BLASTプログラムを使用してもよく、e.sup.−3とe.sup.−100の間の確率スコアは、近縁関係にある配列を示唆する。
「低下させる」または「増大させる」は、参照と比較して、それぞれ少なくとも約10%、25%、50%、75%、または100%のマイナスまたはプラスの変化を意味する。
「平均二乗偏差」は、平均からの偏差の平方の算術平均の平方根を意味する。
「細胞生存を低下させる」は、参照細胞と比較して、細胞生存を阻害し、または細胞死を誘導することを意味する。
「参照」は、標準または対照条件を意味する。
「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、例えば、完全長cDNAまたは遺伝子配列の断片、または完全なcDNAまたは遺伝子配列など、指定された配列のサブセットまたは全体であってもよい。ポリペプチドについては、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に少なくとも約16個のアミノ酸、好ましくは少なくとも約20個のアミノ酸、より好適には少なくとも約25個のアミノ酸、そしてなおもより好ましくは約35個のアミノ酸、約50個のアミノ酸、または約100個のアミノ酸である。核酸については、参照核酸配列の長さは、一般に少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好適には少なくとも約75ヌクレオチド、そしてなおもより好ましくは約100ヌクレオチドまたは約300ヌクレオチドであり、またはそれらの前後またはそれらの間の任意の整数である。
「対象」は、ヒト、またはウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、またはネコなどの非ヒト哺乳類を含むが、これに限定されるものではない、哺乳類を意味する。
「特異的に結合する」は、本発明のポリペプチドを認識して結合するが、例えば本発明のポリペプチドを天然に含む生物学的サンプルなどのサンプル中で、その他の分子を実質的に認識せず結合しない、化合物または抗体を意味する。
「スルフヒドリル」または「チオール」という用語は、−SHを意味する。
本明細書の用法では、「互変異性体」という用語は、互変異性化によって容易に相互転換する有機分子の異性体を指し、その中では、水素原子またはプロトンが反応中に移動して、場合によっては、単結合と隣接する二重結合との交替が伴う。
本明細書の用法では「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」などの用語は、障害および/またはそれに伴う症状を低下させまたは改善することを指す。「改善する」は、疾患の発症または進行を低下させ、抑制し、減衰させ、縮小させ、停止させ、または安定化することを意味する。排除はされないものの、障害または病状を治療することは、障害とそれに伴う症状または病状を完全に排除することを要さないことが理解されるであろう。
本明細書の用法では、「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、「予防(prevention)」「予防的治療(prophylactic treatment)」などの用語は、障害または病状を有さないが、リスクがあるまたは発症しやすい対象中で、障害または病状が発症する確率を低下させることを指す。
「有効量」は、治療対象に治療効果もたらす化合物の量を指す。治療効果は、客観的(すなわちある種の試験またはマーカーで測定可能)または主観的(すなわち対象に効果の徴候があり、または対照が効果を感じる)であってもよい。本明細書に記載される化合物の有効量は、約1mg/Kg〜約5000mg/Kg体重の範囲であってもよい。有効量はまた、投与経路、ならびにその他の作用物質の同時使用可能性に応じて変動する。
本明細書で提供される範囲は、範囲内の全ての値で省略表現であることが理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分的範囲を含むものと理解される。
本明細書の用法では「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」などの用語は、障害および/またはそれに伴う症状を低下させまたは改善することを指す。排除はされないものの、障害または病状を治療することは、障害とそれに伴う症状または病状を完全に排除することを要さないことが理解されるであろう。
特に断りのない限り、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書の用法では、「または」という用語は包括的であると理解される。特に断りのない限り、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書の用法では、「a」、「an」、および「the」という用語は、単数または複数であると理解される。
特に断りのない限り、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書の用法では、「約」という用語は、例えば平均の2標準偏差以内など、当該技術分野の通常の許容差の範囲内と理解される。約は、記載値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解され得る。文脈から明らかである場合を除き、本明細書で提供される全ての数値は、約という用語によって修飾される。
本明細書の任意の変数の定義における化学基一覧の列挙は、任意の単一群または列挙された群の組み合わせとしての変数の定義を含む。本明細書の変数または態様に関する実施形態の列挙は、任意の単一実施形態としてのその実施形態、または任意のその他の実施形態またはその部分と組み合わさったその実施形態を含む。
本明細書で提供される任意の組成物または方法は、本明細書で提供されるその他の組成物および方法のいずれかの1つまたは複数と組み合わせ得る。
2つのJQ1立体異性体の構造を示す。C6における立体中心は、星印(*)で示される。 (−)−JQ1鏡像異性体が、細胞中のBRD4−NUTと競合的に結合しないことを示すグラフである。図2Aは、GFP−BRD4のフォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)が、ビヒクル対照と比較して、(−)−JQ1(250nM、5h)の存在による影響を受けないことを示す。データは、平均±s.d.(n=5)を表す。図2Bは、併行比較研究において、発現したGFP−BRD4が、(+)−JQ1(250nM、5h)の存在下で改善された回復を実証することを示す。データは、平均±s.d.(n=5)を表す。図2Cは、FRAP試験(a、b)で観察された、GFP−BRD4の移動画分の定量比較を提供する。データは平均±s.d.(n=5)を表し、リガンド処理サンプルとビヒクル対照を比較する両側t試験から得られたp値によって、アノテートされる。 JQ1が、クロマチンと競合的にBRD4に結合して、ヒトNUT正中がん細胞を分化させることを示す。図3Aは、JQ1存在下で改善された回復を実証する、GFP−BRD4のフォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)を示す。核は、蛍光強度に比例して疑似着色される。白丸は、フォトブリーチング領域を示す。図3B〜Dは、JQ1が、形質移入されたGFP−BRD4(図3B)およびGFP−BRD4−NUT(図3C)で実施されたFRAP実験で蛍光回復を加速するが、核GFP−NUT(図3D)の回復には効果がないことを示す。図3Eは、FRAP試験(図3B〜3D)の時間対最大半量蛍光回復の定量比較を示す。データは平均±s.d.(n=5)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。図3Fは、JQ1(500nM、48h)は、NUTの病巣核染色の損失を促す(抗NUT;40×)。図3Gは、JQ1(500nM、48h)で処理されたNMC細胞が、扁平上皮分化の細胞学的徴候を実証することを示す(H&E;40×)。図3Hは、JQ1(500nM)によるNMC細胞の分化が即座で、時間依存性であり、サイトケラチン発現の顕著な増大によって特徴付けられることを示す(AE1/AE3;40×)。図3I〜Jは、JQ1が、生体外で、797細胞系(図3I)およびPer403NMC細胞系(図3J)の迅速な増殖を減衰させることを示す(Ki67;40×)。 JQ1が、NUT正中がん中で扁平上皮分化を選択的に誘導することを示す、顕微鏡写真である。図4aは、JQ1(500nM)で処理されたNMC 797細胞が、細胞の紡錘化、扁平化、およびオープンクロマチンの発生によって例示される、扁平上皮分化の時間依存性の細胞学的徴候を実証することを示す(H&E;40×および100×で図示される)。図4Bは、JQ1(500nM、48h)で処理されたNMC Per403細胞が、扁平上皮分化の比較できる徴候を呈示することを示す。細胞紡錘化および細胞質ゾル角質化が、それぞれH&Eおよびケラチン染色によって図示される(40×)。図4Cは、非NMC扁平上皮がん細胞系TE10が、JQ1(500nM)に応えて分化できないことをを示し、H&Eおよびケラチン(AE1/AE3)染色(40×)によって図示される。 JQ1が、NMC細胞増殖を損なうことを示す。図4D−aは、JQ1が、生体外でNMC Per403細胞系の迅速な増殖を減衰することを示す、2枚の顕微鏡写真を含む(Ki67;40×)。画像は、同一倍率で示される。図4D−bは、(4D−a)および図3Jで実施されたIHCによって測定された、細胞増殖に対するJQ1の効果を示すグラフである(Ki67染色および陽性;%)。細胞は、5つの高倍率視野中で、Ki67陽性(濃い染色核)または陰性(薄青の染色核)として手動で評点した。データは平均±s.d.(n=5)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。 JQ1によるNUT正中がん細胞中の扁平上皮分化の誘導が、立体特異的で時間依存性であることを示す。図4E−aは、(−)−JQ1(100nM)によってチャンバースライド内で処理されたNMC 797細胞が、ビヒクル処理対照と比較して、同等の細胞質ゾル表現型を呈示することを示す、6枚の顕微鏡写真を含む。(+)−JQ1(100nM、48h)は、細胞の紡錘化、扁平化、およびケラチン発現増大によって呈示される扁平上皮分化を促した。図4E−bは、JQ1鏡像異性体またはビヒクルで処理されたNMC 797細胞が、遠心分離、固定、薄片され、ケラチン発現について染色されたことを示す(左;AE1/AE3、20×)。染色強度について核をスコア付けできる不偏性マスキングと定量化アルゴリズムを使用して、同時に調製されたスライド上で、画像に基づくケラチン発現分析を実施した(右;20×)。図4E−cは、定量的免疫組織化学による測定で、(+)−JQ1(250nM)が、(−)−JQ1(250nM)およびビヒクル対照と比較して、処理されたNMC 797細胞中でケラチンの迅速な発現を誘導したことを示す。処理条件あたりのパーセント陽性核を提示する。データは平均±s.d.(n=3)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。図4E−dは、(+)−JQ1(250nM)は、(−)−JQ1(250nM)と比較して、処理されたNMC 797細胞の強力な(3+)ケラチン染色の時間依存性誘導を引き起こす。処理条件あたりのパーセント陽性核が提示される。データは平均±s.d.(n=3)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。グループ分けした画像は、同一倍率で示される。 BRD4−NUT転座を保有しない扁平上皮がん細胞系は、JQ1による処理に対して感受性がより低いことを示す。消化器扁平上皮がん細胞系(TTおよびTE10)は、(+)−JQ1(250nM、赤丸)または(−)−JQ1(250nM、黒丸)存在下で、72時間培養された。JQ1によって、細胞増殖に対して観察された最小効果は、有糸分裂細胞中の細胞周期進行における妥当と思われる役割に一致する。データは、平均±s.d.(n=3)として提示される。IC50値は、ロジスティック退縮によって計算した。 BRD4−NUT転座を保有しない扁平上皮がん細胞系は、JQ1による処理に対して感受性がより低いことを示す。消化器扁平上皮がん細胞系(TTおよびTE10)は、(+)−JQ1(250nM、赤丸)または(−)−JQ1(250nM、黒丸)存在下で、72時間培養された。JQ1によって、細胞増殖に対して観察された最小効果は、有糸分裂細胞中の細胞周期進行における妥当と思われる役割に一致する。データは、平均±s.d.(n=3)として提示される。IC50値は、ロジスティック退縮によって計算した。 JQ1処理が、生体外および生体内で、増殖を阻害し、分化および細胞死を促すことを示す。図5aは、BRD4−NUT依存性細胞系に対する、BRD4阻害の成長効果を示す。細胞を(+)−JQ1(赤丸)または(−)−JQ1(黒丸)と共に培養し、72時間後に増殖をモニターした。(+)−JQ1は、NMC細胞系による増殖をユニークに減衰させた。データは、平均±s.d.(n=3)として提示される。IC50値は、ロジスティック退縮によって計算した。図5Bは、NMC 797細胞に対する、(+)−JQ1の経時的な進行性抗増殖性効果が、1、3、7、および10日目に実証されたことを示す。データ点は、平均±s.d.(n=3)である。図5Cは、NMC 797細胞中のDNA含量に対するフローサイトメトリーの結果を示す。(+)−JQ1(250nM、48h)は、(−)−JQ1(250nM)およびビヒクル対照と比較して、G1停止を誘導した。図5Dは、表示されるビヒクル、JQ1またはスタウロスポリン(STA)で処理された、NMC 797扁平上皮がん細胞のフローサイトメトリー分析の結果を示す。PI、ヨウ化プロピジウム。AV、アネクシンV。図5Eは、マウスNMC 797異種移植片のPET造影の結果を示す。後肢異種移植片中のFDG取り込みは、50mg kg−1JQ1処理によって、ビヒクル対照と比較して低下する。図5Fは、毎日50mg kg−1JQ1で処理された確立された疾患(NMC 797異種移植片)があるマウス中において、腫瘍体積がビヒクル対照と比較して低下することを示す。14日目に両側t試験によって、治療法に対する顕著な応答が観察された(p=0.039)。データは、平均±s.d.(n=7)を表す。図5Gは、JQ1処理動物から摘出されたNMC 797腫瘍に対する組織病理学分析が、ビヒクル処理動物と比較して、ケラチン発現誘導(AE1/AE3、40×)および増殖低下(Ki67、40×)を明らかにすることを示す(棒目盛は20μm)。補足図11、12では、拡大視野が提供される。図5Hは、患者由来NMC 11060異種移植片の生存度が、PET造影によって確認されたことを示す。図5Iは、(+)−JQ1(4日間にわたり毎日50mg kg−1)に対する、一次11060 NMC異種移植片の治療反応が、PET造影によって実証されたことを示す。図5Jは、(+)−JQ1処理動物から摘出された一次NMC 11060腫瘍の組織病理学分析が、ビヒクル処理動物と比較して、ケラチン発現誘導を明らかにすることを示す(AE1/AE3、20×;棒目盛は20μm)。ケラチン誘導の定量的分析は、造影マスキング(図5J、右パネル)およびピクセル陽性分析を使用して実施された(図5K)。治療法に対する有意応答は、両側t試験(p=0.0001)によって観察される。データは、3つの独立した広視野顕微鏡視野の平均±s.d.を表す。染色された摘出腫瘍および定量マスクの比較画像が、図9に提供される。 NMC 797異種移植片を保有するマウスが、抗腫瘍効果を引き起こす、JQ1治療法に耐えることを示すグラフである。図5L−aは、NMC 797異種移植片保有マウスのJQ1による処理(1日あたり50mg kg−1)が、14日間の治療中に腫瘍量を低下させたことを示す。データは、平均±s.d.(n=7)を表す。図5L−bは、JQ1が、有害症状または体重減少を生じなかったことを示す。データは、平均±s.d.(n=7)を表す。 JQ1によるNUT正中がん細胞中の扁平上皮分化の誘導が、立体特異的で時間依存性であることを示す。図5M−aは、(−)−JQ1(100nM)によってチャンバースライド中で処理されたNMC 797細胞が、ビヒクル処理対照と比較して同等の細胞質ゾル表現型を呈示することを示す、顕微鏡写真である。(+)−JQ1(100nM、48h)は、細胞の紡錘化、扁平化、およびケラチン発現増大によって呈示される扁平上皮分化を促す。図5M−bは、顕微鏡写真である。JQ1鏡像異性体またはビヒクルで処理されたNMC 797細胞は、遠心分離、固定、薄片され、ケラチン発現について染色された(左;AE1/AE3、20×)。染色強度について核をスコア付けできる不偏性マスキングと定量化アルゴリズムを使用して、同時に調製されたスライド上で、画像に基づくケラチン発現分析を実施した(右;20×)。図5M−cは、定量的免疫組織化学による測定で、(+)−JQ1(250nM)が、(−)−JQ1(250nM)およびビヒクル対照と比較して、処理されたNMC 797細胞中で、ケラチンの迅速な発現を誘導することを示すグラフである。処理条件あたりのパーセント陽性核を提示する。データは平均±s.d.(n=3)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。図5M−dは、(+)−JQ1(250nM)が、(−)−JQ1(250nM)と比較して、処理されたNMC 797細胞の強力な(3+)ケラチン染色の時間依存性誘導を引き起こすことを示すグラフである。処理条件あたりのパーセント陽性核を提示する。データは平均±s.d.(n=3)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。グループ分けした画像は、同一倍率で示される。 JQ1が、IHCによる測定で、生体内で扁平上皮分化、成長停止、およびアポトーシスを促すことを示す顕微鏡写真を提供する。JQ1処理動物(右パネル)から摘出されたNMC腫瘍の組織病理学分析は、全てビヒクル処理動物(左パネル)との比較で、扁平上皮分化(H&E、40×)、核NUT病巣の展退(NUT、100×)、増殖低下(Ki67、40×)、ケラチン発現誘導(AE1/AE3、40×)、およびアポトーシス応答(タネル(TUNEL)、40×)を明らかにする。 JQ1が、IHCによる測定で、生体内で扁平上皮分化、成長停止、およびアポトーシスを促すことを示す顕微鏡写真を提供する。JQ1処理動物(右パネル)から摘出されたNMC腫瘍の組織病理学分析は、全てビヒクル処理動物(左パネル)との比較で、扁平上皮分化(H&E、40×)、核NUT病巣の展退(NUT、100×)、増殖低下(Ki67、40×)、ケラチン発現誘導(AE1/AE3、40×)、およびアポトーシス応答(タネル(TUNEL)、40×)を明らかにする。 JQ1が、ヒト扁平上皮がん細胞系でNMC中のアポトーシスを選択的に誘導することを示す。図7Aは、FACS分析の結果を提供する。JQ1で処理されたNMC Per403細胞(500nM、24または48h)は、フローサイトメトリーで、非NMC扁平上皮がん細胞系TE10およびTTとは対照的に、アポトーシス誘導を呈示する。PI、ヨウ化プロピジウム;AV、アネクシンV。図7Bは、図5bおよびaで実施されたフローサイトメトリーによる、アネクシンV陽性細胞の定量化および比較を示す。JQ1(500nM)は、非NMC扁平上皮がん細胞系と比較して、NMC細胞系において即座で時間依存性のアポトーシス誘導を呈示した。データは平均±s.d.(n=3)を表し、両側t試験から得られるp値によってアノテートされる。 NMC患者由来組織が、生体外で(+)−JQ1の抗増殖性効果に対して、感受性であることを示すグラフである。図8Aは、患者由来NMC 11060細胞の分析からの結果を示す。細胞は廃棄臨床材料から単離され、生体外実験のために短期培養中で培養された。NMC 11060細胞に対するBRD4阻害の抗増殖性効果は、(+)−JQ1(赤丸)または(−)−JQ1(黒丸)との培養の72時間後に測定された。NMC 11060細胞は、(+)−JQ1鏡像異性体に対してユニークに感受性である。データは、平均±s.d.(n=3)として提示される。IC50値は、ロジスティック退縮によって計算した。図8Bは、1、3、7、および10日目に実証された、患者由来NMC 11060細胞に対する、(+)−JQ1の経時的な進行性抗増殖性効果を示す。データ点は、平均±s.d.(n=3)である。図8Cは、NMC 11060細胞中のDNA含量に対するフローサイトメトリーの結果を示す。(+)−JQ1(250nM、48h)は、(−)−JQ1(250nM)およびビヒクル対照と比較して、G1停止を誘導する。 患者由来NMC 11060一次異種移植腫瘍中でjq1によって誘導される、びまん性の強力ケラチン発現の定量化を提供する。図9aは、薄片され、ケラチン発現について染色された、ビヒクル処理置動物由来の摘出NMC 11060一次異種移植片の低倍率(0.8×)画像を示す(AE1/AE3;左)。薄片された腫瘍全体を通じて、ケラチンに対する全体的染色は弱い。染色強度(右)について個々のピクセルをスコア付けできる不偏性マスキングと定量化アルゴリズムを使用して、画像に基づくケラチン発現分析を実施した。図9Bは、薄片され、ケラチン発現について染色された、(+)−JQ1−処理動物(毎日50mg kg−1で4日間)由来の摘出NMC 11060一次異種移植片の低倍率(0.8×)画像を示す(AE1/AE3;左)。JQ1−処理腫瘍中のケラチン誘導の一様な効果に一致する、びまん性染色が観察される。染色強度について個々のピクセルをスコア付けできる不偏性マスキングと定量化アルゴリズムを使用して、画像に基づくケラチン発現分析を実施した(右)。ピクセル陽性を定量的に評点し、青(0)、黄色(1+)、オレンジ(2+)および赤(3+)で視覚的に報告する。全ての画像対は、同一拡大率で示される。 JQ1が、齧歯類中で、優れた経口バイオアベイラビリティと、適切な薬物動態学的曝露を呈示することを示す。(+)−JQ1の薬物動態学的研究は、CD1マウス中で、静脈内(図10A、B)および経口(図10B、C)投与に続いて実施された。a、(+)−JQ1(5mg kg−1)の静脈内投与後の平均血漿濃度−時間プロフィール。データは、平均およびs.d.(n=3)を表す。図10Bは、優れた薬剤曝露[曲線下面積(AUC)=2090hr*ng/mL]とおよそ1時間の半減期(T1/2)とを実証する、計算された静脈内(+)−JQ1の薬物動態学的パラメータを示す。図10Cは、(+)−JQ1(10mg kg−1)の経口投与後の平均血漿濃度−時間プロフィールを示す。データは、平均およびs.d.(n=3)を表す。図10Dは、優れた経口バイオアベイラビリティ(F=49%)、ピーク血漿濃度(Cmax=1180ng/mL)と薬剤曝露(AUC=2090hr*ng/mL)とを実証する、計算された経口(+)−JQ1の薬物動態学的パラメータを示す。CL、クリアランス;Vss、定常状態における容積;MRTINF、無限時間まで外挿した平均滞留時間;Tmax、最大濃度到達時間。 BRD4.1を阻害するJQ1鏡像異性体のAlphaScreen結合データを示すグラフである。 BRD4.2を阻害するJQ1鏡像異性体のAlphaScreen結合データを示すグラフである。 その他のBETファミリーメンバー(活性)およびCBP(不活性)に対する、JQ1Sのプロファイリングを示すグラフである。 JQ1誘導体の重点的ライブラリーの投与量決定試験を示すグラフである。 図15Aは、JQ1が、NUT正中がん腫のマウス異種移植モデルにおいて、腫瘍量を低下させることを示すグラフである。図15Bは、JQ1で処理されたマウスの体重を示すグラフである。 図15Aは、JQ1が、NUT正中がん腫のマウス異種移植モデルにおいて、腫瘍量を低下させることを示すグラフである。図15Bは、JQ1で処理されたマウスの体重を示すグラフである。 JQ1およびその誘導体のBRD4(1)およびBRD4(2)結合活性を示すグラフである。 JQ1およびその誘導体のBRD4(1)およびBRD4(2)結合活性を示すグラフである。 JQ1およびその誘導体のBRD4(1)およびBRD4(2)結合活性を示すグラフである。 JQ1およびその誘導体のBRD4(1)およびBRD4(2)結合活性を示すグラフである。 NUT正中がん腫(NMC)細胞生存度に対する、JQ1およびその誘導体の効果を示すグラフである。 NUT正中がん腫(NMC)細胞生存度に対する、JQ1およびその誘導体の効果を示すグラフである。 NUT正中がん腫(NMC)細胞生存度に対する、JQ1およびその誘導体の効果を示すグラフである。 NUT正中がん腫(NMC)細胞生存度に対する、JQ1およびその誘導体の効果を示すグラフである。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 JQ1およびその誘導体で処理された、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。 リード化合物結合アッセイの結果を示すグラフである。 リード化合物結合アッセイの結果を示すグラフである。 リード化合物結合アッセイの結果を示すグラフである。 リード化合物結合アッセイの結果を示すグラフである。
本発明は、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患の治療または予防、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させるのに有用な組成物および方法を特徴とする。本発明の組成物のさらなる用途としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明は、ブロモドメインのBETファミリーに対する生化学的選択性がある、細胞透過性の強力小分子阻害剤(JQ1)および関連化合物の発見に少なくとも部分的に基づき、これらの化合物は、核クロマチン上のアセチルリジン残基を認識するブロモドメインを含有するポリペプチドのファミリーである、ブロモドメインファミリーを調節できる。リジンアセチル化は、細胞および疾患生物学に広く関連する、シグナル伝達修飾であることが分かってきた。側鎖のアセチル化を可逆的に媒介する酵素を標的指向化することは、長年にわたって創薬研究の活発な領域である。今まで、成功裏の努力は、核クロマチンの文脈で現れた、共有結合修飾の「ライター」(アセチルトランスフェラーゼ)および「イレーサー」(ヒストンデアセチラーゼ)に限定されてきた。アセチルリジン認識モジュール、またはブロモドメインの強力な阻害剤については、未だに記載されていない。最近のBRD4の高解像度共結晶構造の特性解析は、アセチルリジン結合窩との優れた形状相補性を明らかにした。JQ1とBRD4のタンデムブロモドメインとの結合は、アセチルリジン競合的であり、ヒト細胞中のクロマチンからBRD4を置き換える。BRD4の再発性転座は、ヒト扁平上皮がんの不治の遺伝的に定義されたサブタイプで観察される。JQ1のBRD4融合腫瘍性タンパク質への競合的結合は、患者由来細胞系で、およびBRD4依存性がん腫のマウスモデルで、即時の扁平上皮分化および特異的抗増殖性効果をもたらす。これらのデータは、エピジェネティックな「リーダー」の標的指向化タンパク質−タンパク質相互作用の実現可能性を確立し、より広くブロモドメインファミリー全体を通じて化学薬品プローブを開発するための用途の広い化学的骨格を報告する。
ブロモドメイン含有タンパク質
遺伝子制御は、基本的に、可逆的な高分子の非共有結合アセンブリーによって支配される。RNAポリメラーゼへの情報伝達は、クロマチンの翻訳後修飾状態を解釈できるアセンブリー要素によって空間的に制御される、より高次のタンパク質複合体を必要とする。エピジェネティックなリーダーは、ヒストンタンパク質またはDNAの共有結合修飾を認識する、1つまたは複数の進化的に保存されたエフェクターモジュールをそれぞれが保有する、構造的に多様なタンパク質である。ヒストン尾部上のリジン残基(Kac)のε−N−アセチル化は、オープンクロマチン構造および転写活性化と関連付けられている。アセチルリジンのコンテクスト特異的分子認識は、主にブロモドメインによって媒介される。
ブロモドメイン含有タンパク質には、転写因子複合体(TAF1、PCAF、Gcn5、およびCBP)、およびエピジェネティックメモリー決定因子の構成要素として、非常に高い生物学的関心が持たれている。合計で57の多様なブロモドメインを含有する、41個のヒトタンパク質がある。大きな配列多様性にも関わらず、全てのブロモドメインは、基質特異性を決定する多様なループ領域(ZAおよびBCループ)によって結合する、4本のαらせん(α、α、α、α)の左巻きの束を含んでなる、保存された折り畳みを共有する。ペプチド性基質との共結晶構造は、アセチルリジンが、中心疎水性窩によって認識され、ほとんどのブロモドメイン中に存在するアスパラギン残基との水素結合によってアンカーされることを示した。ブロモドメインおよびエキストラ末端(BET)ファミリー(BRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)は、高レベルの配列保存を呈示する2つのN末端ブロモドメインを含んでなる一般的ドメイン構造と、より多岐にわたるC−末端動員ドメイン(図1E)とを共有する
BRD4
最近の研究は、がんにおいてBRD4を標的とすることの抗しがたい理論的根拠を確立している。BRD4は、細胞周期進行を促進するように機能し、培養がん細胞系中のノックダウンはG1停止を促す。BRD4は、転写延長の重要な媒介物であり、陽性転写延長因子複合体(P−TEFb)を動員するように機能する7,8。P−TEFbのコア構成要素であるサイクリン依存性キナーゼ−9は、慢性リンパ球性白血病における検証された標的であり、最近ではc−Myc依存性転写と結びつけられている10。BRD4中に存在するブロモドメインは、P−TEFbを有糸分裂染色体に動員し、成長促進遺伝子の発現増大がもたらされる11。BRD4は、M/G1中に発現される遺伝子の転写開始部位に結合したままであるが、細胞周期のより後期に発現される開始部位における存在は発見されていない。増殖細胞中のBRD4のノックダウンは、有糸分裂進行に重要な遺伝子の発現レベル13および生存14を低下させることによって、G1停止およびアポトーシスをもたらすことが示されている12
最も重要なことには、BRD4は、最近、悪性度の高いヒト扁平上皮がんにおいて、再発性t(15;19)染色体転座の構成要素として同定されている15,16。このような転座は、いわゆるNUT正中がん腫(NMC)を遺伝的に定義するNUT(睾丸中の核タンパク質)タンパク質とのインフレームキメラとして、BRD4のタンデムN末端ブロモドメインを発現する。患者由来NMC細胞系中の機能検討が、この一様に致命的な悪性病変に特徴的な増殖利点および分化停止の維持における、BRD4−NUT腫瘍性タンパク質の本質的役割を検証している17。特に、BRD4−NUT遺伝子発現のRNAサイレンシングは、サイトケラチン発現の顕著な増大と共に、増殖を停止させ扁平上皮分化を促す。これらの観察は、ヒトブロモドメインタンパク質の直接作用型阻害剤の幅広い効用と、即時治療能力を強調する。
本発明は、ヒトブロモドメインタンパク質を阻害するのに有用な組成物および方法を特徴とする。
発明の化合物
本発明は、BETファミリーメンバーの第1のブロモドメイン(例えばBRD4)のapo結晶構造の結合ポケット中に結合する化合物(例えばJQ1および本明細書で記述される式の化合物)を提供する。理論による拘束は望まないが、これらの化合物は、増殖性新生物細胞の成長、増殖、または生存を阻害する上で、またはこのような細胞の分化を誘導する上で、特に効果的であってもよい。1つのアプローチでは、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患の治療、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させるためのまたは臓器移植における使用、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能の促進に有用な化合物は、ブロモドメイン構造的結合ポケットに結合することが予期される化合物を同定する、分子ドッキングプログラムを使用して選択される。特定の実施形態では、本発明の化合物は、BETファミリーメンバーに結合して、BETファミリーメンバーの生物学的活性を低下させ(例えば延長低下)、および/またはBETファミリーメンバーの細胞内局在化を妨害し得る(例えばクロマチン結合低下)。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の生物学的活性を少なくとも10%、25%、50%、75%、または100%妨げ、阻害し、または妨害し、または低下させて、および/または例えばブロモドメインapo結合ポケット中の結合部位に結合することにより、このようなタンパク質の細胞内局在化を妨害し得る。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、約1000ダルトン未満、800未満、600未満、500未満、400未満、約300ダルトン未満の分子量を有する小分子である。本発明の化合物の例としては、BETファミリーメンバーの第1のブロモドメイン(例えばBRD4(以下、BRD4(1)と称される;PDB ID 2OSS)のapo結晶構造の結合ポケットに結合する、JQ1およびその他の化合物が挙げられる。JQ1は、新規チエノ−トリアゾロ−1,4−ジアゼピンである。本発明は、このような化合物の薬学的に許容可能な塩をさらに提供する。
一態様では、本発明は、式I、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
はH、D(重水素)、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であり、RでRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
(c)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。
特定の実施形態では、LはH、−COO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)Rまたは任意選択的に置換されるアリールである。特定の実施形態では、各Rは独立して、H;任意選択的に置換されてO、S、またはNから選択される0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有する−C〜Cアルキル;またはNH、N=CRからなる群から選択される。
特定の実施形態では、RはH、D、ハロゲンまたはメチルである。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、環Aは5または6員環アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、環Aはチオフラニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである。
特定の実施形態では、環Aはフェニルまたはチエニルである。
特定の実施形態では、mは1または2であり、Rの少なくとも1つの存在はメチルである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、H、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る。
別の態様では、本発明は、式II、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R’はH、−COO−R、−CO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニルからなる群から選択され;
mは0、1、2、または3であるが;
ただしR’が−COO−Rであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである。特定の実施形態では、Rはp−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである。
特定の実施形態では、R’は−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;RはO、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい、−C〜Cアルキルである。特定の実施形態では、R’は−COO−Rであり、Rはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルであり;またはR’はHまたは任意選択的に置換されるフェニルである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールを形成し得る。
特定の実施形態では、各Rはメチルである。
別の態様では、本発明は、式III、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、RおよびRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rはそれぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである。
特定の実施形態では、Rはp−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである。特定の実施形態では、RはH、NH、またはN=CRである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである。
特定の実施形態では、Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
別の態様では、本発明は、式IV、

式中、
XはNまたはCRであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
はH、D、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
各Rは独立して、
(i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
(iv)NH、N=CR
からなる群から選択され;
各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
mは0、1、2、または3であるが;
ただし
(a)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
(b)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、RおよびRの一方はHであり、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
(c)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、Rは−(CH−L(式中、nは0〜3であり、Lは−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールである)であり;RはO、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい、−C〜Cアルキルである。特定の実施形態では、nは1または2であり、Lはアルキルまたは−COO−Rであり、Rはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルであり;またはnは1または2であり、LはHまたは任意選択的に置換されるフェニルである。
特定の実施形態では、RはHまたはメチルである。
特定の実施形態では、Rはメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである。
特定の実施形態では、環Aはフェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである。
特定の実施形態では、各Rは独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る。
本発明はまた、式V〜XXIIの化合物および本明細書に記載される任意の化合物も提供する。
別の態様では、本発明は、式、

その塩、溶媒和化合物または水和物によって表される化合物を提供する
特定の実施形態では、化合物は(+)−JQ1:

その塩、溶媒和化合物または水和物である。
別の態様では、本発明は、式、

または

その塩、溶媒和化合物または水和物によって表される化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、式、

または

によって表される化合物、その塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
別の態様では、本発明は、式、

のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
別の態様では、本発明は、式、

のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
別の態様では、本発明は、






の構造のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、





の構造の1つによって表され、またはその塩、溶媒和化合物または水和物であり得る。
一実施形態では、化合物は、構造

によって表され、またはその塩、溶媒和化合物または水和物である。
別の実施形態では、化合物は、構造

によって表され、またはその塩、溶媒和化合物または水和物である。
別の実施形態では、化合物は、構造

によって表され、またはその塩、溶媒和化合物または水和物である。
特定の実施形態では、本発明の化合物は、本明細書に示される任意の化合物の逆のキラリティーを有し得る。
特定の実施形態では、本発明は、式(V)、(VI)、または(VII)によって表される化合物、

(式中、R、R、およびRおよびRは式(I)中と同じ意味を有し;YはO、N、S、またはCRであり、Rは式(I)中と同じ意味を有し;nは0または1であり;式(VII)中の破線の円は芳香族または非芳香族環を示す)、またはその塩、溶媒和化合物または水和物を提供する。
式I〜IVおよびVI(または本明細書の任意の式)のいずれかの特定の実施形態では、Rは、下の表Aで示されるアルデヒドの非カルボニル部分に相当する(すなわち式RCHOのアルデヒドでは、Rはアルデヒドの非カルボニル部分である)。特定の実施形態では、RおよびRは、組み合わさって、表Aで示されるケトンの非カルボニル部分に相当する(すなわち式RC(O)Rのケトンでは、RおよびRはケトンの非カルボニル部分である)。
一実施形態では、化合物は、式、

によって表され、またはその塩、溶媒和化合物、または水和物である。
特定の実施形態では、化合物は(ラセミ)JQ1であり;特定の実施形態では、化合物は(+)−JQ1である。特定の実施形態では、化合物は、

および

からなる群から選択される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物である。
追加的な化合物の例としては、式、


に記載の化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
式IX〜XXII中では、RおよびR’は、例えば、それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニルであり得る。式XIV中では、Xは、本明細書に記載されるようなアリール基のための任意の置換基であり得る。
本発明の化合物は、そのいくつかが当該技術分野で公知の多様な方法によって調製し得る。例えば、下で提供される化学物質の例は、化合物JQ1(ラセミ体として)および鏡像異性体(+)−JQ1および(−)−JQ1(スキームS1およびS2を参照されたい)を調製するための合成スキームを提供する。式(I)〜(XXII)の多様な化合物は、適切な出発原料の置換により、類似法によって調製し得る。
例えば、JQ1から出発して、下のスキーム1に示されるようにして、類似アミンを調製し得る。

スキーム1
スキーム1に示されるように、JQ1のt−ブチルエステルの加水分解は、カルボン酸を与え、それはジフェニルリン酸アジド(DPPA)で処理されて、クルチウス転位条件にさらされてCbz保護アミンを提供し、次にそれは脱保護されてアミンをもたらす。例えば還元的アミノ化による引き続くアミン基の合成は第二級アミンをもたらし、それをらにアルキル化して三級アミンを提供し得る。

スキーム2
スキーム2は、例えば、(例えば式Iの環Aを異なる芳香族環で置換することで)その中で融合環コアが修飾される、式Iの本発明の化合物のさらなる実施例の合成を示す。(例えば後述のスキームS1中のアミノジアリールケトンS2に代えて)適切な官能性を有するアミノジアリールケトンを使用することで、多様な融合環コアおよび/または付属アリール基(式Iの基Rに対応する)を有する新しい化合物を提供する。このようなアミノジアリールケトンは市販され、またはそのいくつかが当該技術分野で公知の多様な方法によって調製され得る。
スキーム3は、さらなる本発明の化合物を調製するための追加的な例示的合成スキームを提供する。

スキーム3
スキーム3で示されるように、融合二環式前駆体(この化合物の合成については後述のスキームS1を参照されたい)を部分R(DAM=ジメチルアミノメチレン保護基)で官能化し、次にヒドラジドとの反応によって合成して、三環式融合コアを形成する。置換基Rは、適切なヒドラジドの選択によって変化させ得る。
(本明細書に記載される方法によって調製し得る)本発明の化合物の追加的な実施例としては、以下が挙げられる。
アミド
アミドは、例えば対応するカルボン酸またはエステルの調製と、それに続く標準条件を使用した適切なアミンでのアミド化によって、調製し得る。特定の実施形態では、アミドは、末端末端窒素含有環(例えばピリジル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリル(N−メチル−イミダゾリルを含む)、モルホリニルなどとの二炭素「リンカー」を提供する。例示的なアミド構造としては、

が挙げられる。
アミド部分と末端窒素含有環の間の二炭素リンカーの使用が好ましい。
「逆方向アミド」
第二級アミン
ボロン酸
特定の実施形態では、少なくとも1つのキラル中心を有する化合物が、ラセミ形態で存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのキラル中心を有する化合物が、鏡像異性的に濃縮され、すなわち少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、99%または100%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。特定の実施形態では、化合物は、本明細書に記載される化合物(+)−JQ1((S)−tert−ブチル2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾール[4,3−a][1,4]ジアゼパム−6−イル)アセテート)と同一の絶対配置を有する。
本明細書で開示される式のいずれかの特定の実施形態では、化合物は以下の構造によって表されない。

式中、
R’はC〜Cアルキルであり;
R’は水素、ハロゲン、またはハロゲン原子またはヒドロキシル基で任意選択的に置換されるC〜Cアルキルであり;
R’はハロゲン原子、任意選択的にハロゲン原子によって置換されるフェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、またはシアノ;−NR−(CH−R(式中、Rは水素原子またはC〜Cアルキルであり、mは0〜4の整数であり、Rは任意選択的にハロゲン原子によって置換されるフェニルまたはピリジルである);または−NR−CO−−(CH−R(式中、Rは水素原子またはC〜Cアルキルであり、nは0〜2の整数であり、Rは任意選択的にハロゲン原子によって置換されるフェニルまたはピリジルである)であり;
R’は−(CH−CO−NH−R(式中、aは1〜4の整数であり、Rは、C〜Cアルキルである);C〜Cヒドロキシアルキル;C〜Cアルコキシ;または任意選択的にC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノまたはヒドロキシル基または−(CH−COOR10(式中、bは1〜4の整数であり、R10はC〜Cアルキルである)によって置換されるフェニルまたはピリジルである。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書で開示される化合物(例えばJQ1、式I〜XXIIの化合物)または本明細書で記述される任意のその他の化合物から調製されて、カルボン酸官能基などの酸性官能基、および薬学的に許容可能な無機または有機塩基を有する塩を指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などのその他の金属の水酸化物;アンモニア、および非置換またはヒドロキシ置換モノ−、ジ−、またはトリアルキルアミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、またはトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ−、ビス−、またはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミンなどのN、N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、またはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン);N−メチル−D−グルカミン;およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。「薬学的に許容できる塩」という用語は、本明細書で開示される化合物または本明細書で記述される任意のその他の化合物から調製されて、アミノ官能基などの塩基性官能基、および薬学的に許容可能な無機または有機酸を有する塩も指す。適切な酸としては、硫酸水素、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸、糖酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。
コンピュータシミュレーションによるスクリーニング法およびシステム
別の態様では、本発明は、本明細書で同定されるBETファミリーメンバーポリペプチド(例えばBRD4ドメイン)結合部位の構造座標を含んでなる、機械可読記憶媒体を提供する。これは、提案されるJQ1結合部位である。これらのデータをコードする記憶媒体は、コンピュータスクリーンまたは類似視覚装置上に、このような結合部位を含んでなる分子または分子複合体の三次元グラフ表示を示すことができる。
本発明はまた、前述の結合部位に結合する化合物をデザイン、評価、同定する方法も提供する。このような化合物は、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の生物学的活性を阻害し、および/またはBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の細胞内局在化を妨害することが予期される。本発明は、a)結合部位を含んでなる分子または分子複合体の三次元表示;またはb)前記アミノ酸の主鎖原子からの平均二乗偏差が約2.0(より好適には1.5)Å以下である結合部位を含んでなる、前記分子または分子複合体のホモログの三次元表示を生成するコンピュータを提供し、前記コンピュータは、
(i)機械可読データによってコードされるデータ記憶物質を含んでなる機械可読データ記憶媒体;
(ii)前記機械可読データを処理するための命令を保存する作業メモリ;
(iii)前記機械可読データを処理して前記三次元表示にするための前記作業メモリおよび前記機械可読データ記憶媒体と接続している中央処理装置;および
(iv)前記三次元表示を示すための前記中央処理装置に接続しているディスプレーを含んでなり、前記データは、ブロモドメイン構造結合ポケットまたはその他のBETファミリーメンバー結合部位中のアミノ酸残基の構造座標を含んでなる。
したがって、コンピュータは、結合部位を含んでなる、分子または分子複合体の三次元図形構造を生成する。
別の実施形態では、本発明は、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)のアミノ酸の構造座標によって規定される、分子または分子複合体の三次元表示、または前記アミノ酸の主鎖原子からの平均二乗偏差が2.0(より好適には1.5)Å以下である結合部位を含んでなる、前記分子または分子複合体のホモログの三次元表示を生成するコンピュータを提供する。
例示的な実施形態では、コンピュータまたはコンピューターシステムは、例えば(参照によって本明細書に援用する)米国特許第5,978,740号明細書および/または米国特許第6,183,121号明細書で開示されるような当該技術分野で慣習的な構成要素を含み得る。例えば、コンピューターシステムは、中央演算処理装置(「CPU」)、作業メモリ(例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)または「コア」メモリであってもよい)、大容量記憶メモリ(1つまたは複数のディスクドライブまたはCD−ROMドライブなど)、1つまたは複数のブラウン管(CRT)または液晶ディスプレー(LCD)表示ターミナル、1つまたは複数のキーボード、1つまたは複数の入力行、および1つまたは複数の出力行を含んでなり、それらの全てが従来のシステムバスによって相互接続する、コンピュータを含み得る。
本発明の機械可読データは、データ回線によって接続されたモデムまたはモデム群の使用を介して、コンピュータに入力してもよい。代案としては、またはそれに加えて、入力ハードウェアは、CD−ROMドライブ、ディスクドライブまたはフラッシュメモリを含んでもよい。ディスプレー端末と併せて、入力装置としてキーボードもまた使用してもよい。
出力回線によってコンピュータに接続する出力ハードウェアも同様に、従来装置によって実装されてもよい。一例として、出力ハードウェアは、QUANTAまたはPYMOLなどのプログラムを使用して、本発明の結合ポケットのグラフ表示を示す、CRTまたはLCDディスプレー端末を含んでもよい。出力ハードウェアは、プリンターまたはディスクドライブもまた含んで、後で使用するためにシステム出力を保存してもよい。
作動中には、CPUが様々な入力および出力装置の使用を調整し、大容量記憶装置からのデータアクセスおよび作業メモリへのそして作業メモリからのアクセスを調整し、データ処理段階のシーケンスを決める。市販のソフトウェアを含むいくつかのプログラムを使用して、機械可読データを処理してもよい。
本発明に従った機械可読データを保存するための磁気記憶媒体は、従来型であり得る。磁気データ記憶媒体は、機械可読データをコードし得て、それは上述のコンピューターシステムなどのシステムによって実施し得る。媒体は、従来型であり得る適切な基材と、片面または両面上のこれもまた従来型であり得る適切なコーティングとを有し、その極性または方向が磁気的に変更され得る磁区を含有する、従来のフロッピーディスケットまたはハードディスクであり得る。媒体はまた、ディスクドライブまたはその他のデータ記憶装置のスピンドルを受け入れるための開口部(図示せず)を有してもよい。
媒体の磁区は、本明細書に記載されるコンピューターシステムなどのシステムによる実行のために、本明細書に記載されるような機械可読データを従来型であってもよい様式でコードするように、極性化または配向される。
光学的可読データ記憶媒体もまた使用して、機械可読データ、またはコンピューターシステムによって実施され得る命令セットをコードし得る。媒体は、従来のコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、または光学的に読み取り可能で磁気光学的に書き込み可能な光磁気ディスクなどの書換型媒体であり得る。
CD−ROMの場合、周知のように、ディスクコーティングが反射性であり、複数のピットで刻印されて機械可読データをコードする。ピットの配置は、コーティング表面にレーザー光を反射させることで読み取られる。好ましくは実質的に透明である保護コーティングが、反射性コーティングの上面に提供される。
光磁気ディスクの場合、周知のように、データ記録コーティングはピットを有しないが、レーザーなどで特定温度を超えて加熱した場合に、その極性または配向を磁気的に変化させ得る複数の磁区を有する。磁区の配向は、コーティングから反射したレーザー光の偏光を測定することで読み取り得る。磁区の配置が、上述のデータをコードする。
構造データは、これらの座標を翻訳して結合ポケットを含んでなる分子または分子複合体の3次元構造にする、ソフトウェアでプログラムされたコンピュータと併せて使用する場合に、創薬などの多様な目的のために使用されてもよい。
例えば、データによってコードされる構造は、化学実体と結合するその能力について計算的に評価されてもよい。BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の結合部位と結合する化学実体は、新生物細胞の増殖を阻害しまたは分化を誘導し、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の生物学的活性を阻害し、および/または細胞内局在化を妨害することが予期される。このような化合物は、潜在的な薬剤候補である。代案としては、コンピュータスクリーン上に、データによってコードされる構造を三次元図形表示で示してもよい。これによって構造の目視検査、ならびに構造の化学実体との結合の目視検査が可能になる。
したがって別の実施形態に従って、本発明は、化学実体が、a)本明細書に記載されるようなBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の構造座標によって規定される結合部位を含んでなる分子または分子複合体と、またはb)前記アミノ酸の主鎖原子からの平均二乗偏差が2.0(より好適には1.5)Å以下である結合ポケットを含んでなる、前記分子または分子複合体のホモログと、結合する可能性を評価する方法に関する。
この方法は、
i)計算的手段を用いて、化学実体とBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)ポリペプチドまたはその断片または分子複合体の結合部位の間の適合操作を実行するステップと;
ii)適合操作の結果を分析して、化学実体と結合ポケットの間の結合を定量化するステップ
を含んでなる。この実施形態は、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)またはその断片の結合部位に会合または結合する化学実体の可能性評価に関する。
「化学実体」という用語は、本明細書の用法では、化合物、少なくとも2つの化合物の複合体、およびこのような化合物または複合体の断片を指す。
特定の実施形態では、方法は、化学実体が、本明細書に記載されるようなBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)のアミノ酸全ての構造座標によって規定される分子または分子複合体と、または前記アミノ酸の主鎖原子からの平均二乗偏差が2.0(より好適には1.5)Å以下である、前記分子または分子複合体のホモログと、結合する可能性を評価する。
さらなる実施形態では、本明細書に記載される1つの結合部位の構造座標をブロモドメイン結合部位(例えばブロモドメイン構造的結合ポケット)を含んでなる分子の拮抗薬を同定する方法で利用し得る。この方法は、
a)BETファミリーメンバーの原子座標を使用するステップと;
b)三次元構造を用いて、潜在的作動薬または拮抗薬をデザインまたは選択するステップ
を含んでなる。化合物は、任意の利用可能な手段によって得られてもよい。「得る」は、例えば作動薬または拮抗薬を合成し、購入し、または別の方法で調達することを意味する。所望ならば、方法は、作動薬または拮抗薬をBETファミリーメンバーポリペプチドまたはその断片に接触させて、分子と相互作用する潜在的作動薬または拮抗薬の能力を判定するステップをさらに伴う。所望ならば、方法また、新生物細胞をブロモドメイン結合化合物に接触させて、細胞毒性を評価し、新生物細胞増殖、細胞死、BETファミリーメンバー生物学的活性、または細胞内局在化を評価するステップもさらに伴う。
別の実施形態では、本発明は、
a)BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)(例えばブロモドメイン構造的結合ポケット)の原子座標を使用するステップと;
b)三次元構造を用いて、潜在的作動薬または拮抗薬をデザインまたは選択するステップ
を含んでなる、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の潜在的拮抗薬を同定する方法を提供する。
本発明者らによる、今まで未同定だったブロモドメイン結合部位の解明は、全部または一部がブロモドメインと相互作用してもよく、ゆえにBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、BRDT)の活性を調節(例えば阻害)してもよい、新しい化学実体および化合物をデザインするのに必要な情報を提供する。
本発明に従って、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)の構造的結合ポケット配列に結合して、ブロモドメインの生物学的活性を低下させ、またはBETファミリーメンバーの細胞内局在化を妨害する化合物のデザインは、一般にいくつかの要素の考察を伴う。一実施形態では、化合物は、物理的および/または構造的に、少なくとも、ブロモドメインの構造的結合ポケット配列中の結合部位などのBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)の断片と結合する。この結合中で重要な非共有結合の分子相互作用としては、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および静電相互作用が挙げられる。望ましくは、化合物は、それがブロモドメイン結合部位と直接結合するようにするコンフォメーションになる。化合物の特定部分はこれらの結合に直接関与しなくてもよいが、実体のこれらの部分は、分子の全体的コンフォメーションになおも影響を与えてもよい。これは次に、化合物の効力に対して顕著な影響を及ぼしてもよい。このようなコンフォメーション要件としては、結合部位の全部または一部に対する化合物の全体的三次元構造および配向、または結合部位またはそのホモログと直接相互作用するいくつかの化合物を含んでなる官能基間の間隔が挙げられる。
ブロモドメイン結合部位に対する化合物の潜在的阻害または結合効果は、その実際の合成および試験に先だって、コンピュータモデル化技術の使用によって分析してもよい。所与の化合物の理論的構造が、それと標的結合部位間の不十分な相互作用および結合を示唆する場合、化合物の試験は不必要になる。しかし、コンピュータモデル化が強力な相互作用を示唆する場合は、分子を合成してBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)の構造的結合ポケット配列と結合する能力について試験し、または例えば、新生物細胞中の細胞毒性をアッセイすることにより、BETファミリーメンバーの生物学的活性低下をアッセイすることにより、またはBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)の細胞内局在化をアッセイすることにより、その生物学的活性について試験する。候補化合物は、その中で、化学実体または断片が、ブロモドメインの構造的結合ポケットと結合するそれらの能力についてスクリーニングされ選択される、一連のステップの手段によって計算的に評価してもよい。
当業者は、化合物または断片が、ブロモドメイン結合部位と結合するそれらの能力についてスクリーニングされる、いくつかの方法の1つを使用することもある。このプロセスは、例えば、本明細書に記載されるBETファミリーメンバーの構造座標、または機械可読記憶媒体から作成される類似形状を画定するその他の座標に基づく、コンピュータスクリーン上での結合部位の目視検査に始まってもよい。次に選択された断片または化合物を多様な配向に配置させ、または前出のように定義された結合部位内にドッキングさせる。ドッキングは、QuantaおよびDOCKなどのソフトウェアを使用して達成されてもよく、CHARMMおよびAMBERなどの標準分子力学力場によるエネルギー最小化と分子動力学が、それに続く。
(例えば当該技術分野で公知でありおよび/または市販されおよび/または本明細書に記載されるような)専門コンピュータプログラムもまた、断片または化学実体の選択プロセスを助けてもよい。
ひとたび適切な化学物質または断片が選択されたら、それらを単一化合物または複合体に組み立て得る。標的結合部位の構造座標に対する、コンピュータスクリーンに示される三次元画像上の断片の相互関係性の目視検査が、アセンブリーに先行してもよい。
上述のように、断片または化学実体を一度に1つずつの段階的様式で、結合ポケット阻害剤の構築を進める代わりに、空の結合部位を使用して、または任意選択的に既知の阻害剤のいくつかの部分を含めて、阻害性またはその他の結合化合物を全体的にまたは「新規に」デザインしてもよい。当該技術分野で公知の多数の新規リガンドデザイン法があり、そのいくつかは市販される(例えばTripos Associates,St.Louis,Mo.から入手できるLeapFrog)。
その他の分子モデル化技術もまた、本発明に従って用いてもよい(例えばN.C.Cohen et al.,”Molecular Modeling Software and Methods for Medicinal Chemistry,J.Med.Chem.,33,pp.883−894(1990)を参照されたい;M.A.Navia and M.A.Murcko,”The Use of Structural Information in Drug Design”,Current Opinions in Structural Biology,2,pp.202−210(1992);L.M.Balbes et al.,”A Perspective of Modern Methods in Computer−Aided Drug Design”,in Reviews in Computational Chemistry,Vol.5,K.B.Lipkowitz and D.B.Boyd,Eds.,VCH,New York,pp.337−380(1994)もまた参照されたい; W.C.Guida,”Software For Structure−Based Drug Design”,Curr.Opin.Struct.Biology,,4,pp.777−781(1994)もまた参照されたい)。
ひとたび化合物をデザインまたは選択したら、計算的評価によって、実体が結合部位に結合してもよい効率を試験し、最適化してもよい。
化合物の変形エネルギーおよび静電相互作用を評価するための特定コンピュータソフトウェアは、当該技術分野で利用可能である。このような用途向けにデザインされたプログラムの例としては、AMBER;QUANTA/CHARMM(Accelrys,Inc.,Madison,WI)などが挙げられる。これらのプログラムは、例えば市販のグラフィックスワークステーションを使用して実装されてもよい。その他のハードウェアシステムおよびソフトウェアパッケージは、当業者に知られている。
別の技術は、例えば本明細書に記載されるような化合物の仮想ライブラリーのコンピュータシミュレーションによるスクリーニングを伴う(例えば実施例を参照されたい)。数千の化合物を迅速にスクリーニングし得て、(例えば合成および生体外または生体内試験による)さらなるスクリーニングのために、最良の仮想化合物を選択し得る。小分子データベースは、BETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)ブロモドメイン結合部位に、全体がまたは一部が結合し得る化学実体または化合物についてスクリーニングし得る。このスクリーニングでは、形状相補性によって、推定相互作用エネルギーによって、このような実体と結合部位との適合の質を判定してもよい。
a)ブロモドメインの構造的結合ポケット配列中のアミノ酸残基の構造座標によって規定される、BETファミリーメンバーの構造的結合ポケットを含んでなる分子または分子複合体の三次元表示;または
b)前記アミノ酸の主鎖原子からの平均二乗偏差が、約2.0(より好適には1.5)Å以下である結合部位を含んでなる、前記分子または分子複合体のホモログの三次元表示を生成するためのコンピュータであって、前記コンピュータは、
(i)、機械可読データによってコードされるデータ記憶物質を含んでなる機械可読データ記憶媒体;
(ii)前記機械可読データを処理するための命令を保存する作業メモリ;
(iii)前記機械可読データを処理して前記三次元表示にするための前記作業メモリおよび前記機械可読データ記憶媒体と接続している中央処理装置;および
(iv)前記三次元表示を示す、前記中央処理装置と接続しているディスプレーを含んでなり、前記データは、BETファミリーメンバーの構造結合ポケット配列中のアミノ酸残基の構造座標の構造座標を含んでなる。実施例に記載されるように、コンピュータシミュレーションによる方法を使用して同定された化合物は、例えば、下述の「追加的なスクリーニング法」、または任意のその他の当該技術分野で公知の方法を使用して、生体外または生体内で任意選択的に試験してもよい。
追加的スクリーニング方法
上述したように、本発明は、ブロモドメイン結合ポケットに結合して、新生物細胞中で細胞分化を誘導しまたは細胞増殖を低下させる、JQ1、ならびにその他の置換化合物を含む、化合物の具体例を提供する。しかし本発明は、それに限定されない。本発明は、BETファミリーメンバーと結合でき、新生物細胞にとって細胞毒性であり、BETファミリーメンバーの生物学的活性を低下させ、またはBETファミリーメンバーの細胞内局在化を妨害する、(核酸、ペプチド、小分子阻害剤、および模倣剤を含む)作用物質を同定する単純な手段をさらに提供する。このような化合物はまた、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患の治療または予防、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させるのに有用なことが予期される。本発明の組成物のさらなる使用としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特に、本発明の特定の態様は、BETファミリーメンバーポリペプチドの生物学的活性を低下させる作用物質が、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患の治療または予防、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させるための治療薬として恐らく有用であるという発見に、少なくとも部分的に基づく。本発明の組成物のさらなる使用としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の実施形態では、細胞増殖、細胞生存または細胞死をアッセイすることにより、本発明の化合物またはその他の作用物質の効果を分析する。別のアプローチでは、転写調節または延長に対する効果について、本発明の作用物質および化合物をアッセイする。新生物の成長、増殖、または侵襲性を低下させる本発明の作用物質および化合物は、新生物の治療または予防に有用であると同定される。さらに別の実施形態では、免疫応答性細胞、サイトカインまたはヒスタミン放出、または炎症性疾患の任意のその他のマーカーに対する効果について、本発明の化合物をアッセイする。
BETファミリーメンバーと特異的に結合する、またはBETファミリーメンバーの生物学的活性を低下させる、実質的に任意の作用物質を本発明の方法で用いてもよい。本発明の方法は、新生物の成長または増殖を低下させ、遅延させ、または安定化する、または炎症性疾患を治療または予防する、候補作用物質のハイスループット低コストスクリーニングに有用である。次にBETファミリーメンバーのブロモドメインと特異的に結合する候補作用物質を単離して、新生物の細胞増殖を低下させ、分化を誘導し、および/または新生物の細胞死を増大させるその能力に関する生体外アッセイまたは生体内アッセイで、活性について試験する。当業者は、細胞に対する候補作用物質の効果が、典型的に、候補作用物質に接触させなかった対応する対照細胞と比較されることを理解する。したがって、スクリーニング法は、候補作用物質に接触させた新生物細胞の増殖と、未処理対照細胞の増殖とを比較することを含む。
別の実施形態では、候補作用物質で処理された細胞中のBETファミリーメンバーの発現または活性と、未処理対照サンプルとを比較して、接触させた細胞中のBETファミリーメンバーの生物学的活性を低下させる候補化合物を同定する。ポリペプチドの発現または活性は、ウエスタンブロット法、フローサイトメトリー、免疫細胞化学、磁性および/またはブロモドメイン特異的抗体被覆ビーズへの結合、原位置ハイブリダイゼーション、蛍光原位置ハイブリダイゼーション(FISH)、ELISA、マイクロアレイ分析、RT−PCR、ノーザンブロット法、またはBradfordアッセイやLowryアッセイのような比色分析アッセイなどの当該技術分野で周知の手順によって比較し得る。
一実施例では、新生物細胞を含有する培養液に、1つまたは複数の候補作用物質を様々な濃度で添加する。細胞中で発現されるBETファミリーメンバーの発現を低下させる作用物質は、本発明で有用と見なされ;このような作用物質は、例えば、新生物または炎症性疾患を防止し、遅延させ、改善し、安定化し、または治療する治療薬として使用されてもよい。ひとたび同定されたなら、本発明の作用物質(例えばブロモドメインと特異的に結合および/または拮抗する作用物質)を使用して、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患を治療し、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させてもよい。本発明の組成物のさらなる使用としては、臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能促進における使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の方法に従って同定された作用物質は、局所的にまたは全身的に送達されて、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHまたはさもなければ)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患を治療し、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させまたは臓器移植、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)での使用、または原位置多分化能を促進する。
一実施形態では、代案として、候補作用物質の効果は、ウエスタンブロット法または免疫沈降法などと同じ一般的方法と標準免疫学的技術を使用して、BETファミリーメンバーに対して特異的な抗体によって、BETファミリーメンバーの生成レベルで測定される。例えば、免疫測定法を使用して、新生物細胞中のBETファミリーメンバーの発現を検出またはモニターしてもよい。一実施形態では、本発明は、BETファミリーメンバーに結合して、生物学的活性をブロックしまたは細胞内局在化を阻害できる、(本明細書に記載されるように生成された)ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を同定する。BETファミリーメンバーの細胞内局在化を妨害し、または生物学的活性を低下させる化合物は、特に有用と見なされる。ここでも、このような作用物質は、例えば、新生物または炎症性疾患を防止または治療する治療薬として使用されてもよい。
代案として、またはこれに加えて、実施例に記載されるように、本発明のBETファミリーメンバー(例えばBRD2、BRD3、BRD4、およびBRDT)と特異的に結合して拮抗するものを最初にアッセイし、引き続いて新生物細胞に対するそれらの効果を試験することで、候補化合物を同定してもよい。一実施形態では、候補作用物質の有効性は、BETファミリーメンバーと相互作用するその能力に左右される。このような相互作用は、いくつもの標準結合技術および機能性アッセイ(例えば前出のAusubel et al.に記載されるもの)を使用して容易にアッセイし得る。例えば、候補化合物は、本発明のポリペプチドとの相互作用および結合について生体外で試験して、新生物細胞増殖を調節するその能力を任意の標準アッセイ(例えば本明細書に記載されるもの)によってアッセイしてもよい。一実施形態では、新生物細胞の分裂は、フローサイトメトリー分析を使用して、BrdU組み込みをアッセイすることにより判定される。別の実施形態では、BETファミリーメンバーの発現が免疫組織化学的にモニターされる。
潜在的ブロモドメイン拮抗薬としては、有機分子、ペプチド、ペプチド模倣剤、ポリペプチド、核酸リガンド、アプタマー、およびBETファミリーメンバーブロモドメインに結合してその活性を低下させる抗体が挙げられる。特定の一実施例では、BETファミリーメンバーに結合する候補化合物は、クロマトグラフィーベースの技術を使用して同定されてもよい。例えば、本発明の組換えBETファミリーメンバーポリペプチドは、遺伝子改変されてポリペプチドを発現する細胞から、標準技術によって精製してもよく、またはひとたび精製ペプチドをカラムに固定化したら、化学合成してもよい。次に候補作用物質の溶液をカラムに通過させ、BETファミリーメンバーポリペプチドに結合し、カラム上に固定化されるその能力に基づいて、BETファミリーメンバーポリペプチドまたはその断片と特異的に結合する作用物質を同定する。作用物質を単離するために、カラムを洗浄して非特異的に結合した分子を除去し、次に対象の作用物質をカラムから遊離させて収集する。この方法(または任意のその他の適切な方法)によって単離された作用物質は、所望ならば、(例えば高速液体クロマトグラフィーによって)さらに精製してもよい。これに加えて、これらの候補作用物質は、新生物細胞の増殖または生存度を低下させるそれらの能力について試験してもよい。このアプローチによって単離される作用物質はまた、例えば、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患を治療または防止し、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させまたは臓器移植における使用、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能を促進する治療薬として使用されてもよい。1nM、5nM、10nM、100nM、1μMまたは10μM以下の親和定数でBETファミリーメンバーに結合すると同定される化合物は、本発明で特に有用と見なされる。
試験化合物および抽出物
特定の実施形態では、BETファミリーメンバー拮抗薬(例えばブロモドメインと特異的に結合して活性を低下させる作用物質)は、天然物または合成(または半合成)抽出物の大きなライブラリーから、または化学物質ライブラリーまたはポリペプチドまたは核酸ライブラリーから、当該技術分野で公知の方法に従って同定される。創薬研究開発分野の当業者は、試験抽出物または化合物の正確な起源が、本発明のスクリーニング手順に重要でないことを理解する。スクリーニングで使用される作用物質は、新生物または炎症性疾患の治療薬として知られているものを含んでもよい。代案としては、本明細書に記載される方法を使用して、実質的にいくつもの未知の化学物質の抽出物または化合物をスクリーニングし得る。このような抽出物または化合物例としては、植物ベース、真菌ベース、原核生物ベースまたは動物ベースの抽出物、発酵ブロス、および合成化合物、ならびに既存ポリペプチドの修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない。
細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形態の天然ポリペプチドのライブラリーは、Biotics(Sussex,UK)、Xenova(Slough,UK)、Harbor Branch Oceangraphics Institute(Ft.Pierce,Fla.)、およびPharmaMar,U.S.A.(Cambridge,Mass.)を含む、いくつかの供給元から商業的に入手できる。このようなポリペプチドを当該技術分野で公知の本明細書に記載される方法を使用して修飾し、タンパク質形質導入ドメインを包含させ得る。これに加えて、所望ならば、当該技術分野で公知の方法に従って、例えば標準抽出法および分画法によって、天然のおよび合成的に生成したライブラリーを生成する。分子ライブラリー合成法の例は、例えば、DeWitt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909,1993;Erb et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:11422,1994;Zuckermann et al.,J.Med.Chem.37:2678,1994;Cho et al.,Science 261:1303,1993;Carrell et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059,1994;Carell et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061,1994;およびGallop et al.,J.Med.Chem.37:1233,1994などのように、当該技術分野に見られる。さらに、所望ならば、任意のライブラリーまたは化合物は、標準化学的、物理的、または生化学的方法を使用して、容易に修飾される。
糖類ベース、脂質ベース、ペプチドベース、および核酸ベースの化合物を含むが、これに限定されるものではない、いくつものポリペプチド、化合物のランダムまたは指向性合成(例えば半合成または全合成)を生じさせる多数の方法が利用できる。合成化合物ライブラリーは、Brandon Associates(Merrimack,N.H.)およびAldrich Chemical(Milwaukee,Wis.)から商業的に入手できる。代案としては、候補化合物として使用される化合物は、当業者に知られている標準合成技術および技法を使用して、容易に入手できる出発原料から合成し得る。本明細書に記載される方法で同定される化合物を合成するのに有用な合成化学転換および保護基手法(保護および脱保護)は、当該技術分野で公知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’sReagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);およびL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、およびそれに続く版などで記載されるものが挙げられる。
化合物ライブラリーは、溶液中(例えばHoughten,Biotechniques13:412−421,1992)、またはビーズ上(Lam,Nature 354:82−84,1991)、チップ上(Fodor,Nature 364:555−556,1993)、細菌上(Ladner,米国特許第5,223,409号明細書)、胞子上(Ladner 米国特許第5,223,409号明細書)、プラスミド上(Cull et al.,Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869,1992)またはファージ上(Scott and Smith,Science 249:386−390,1990;Devlin,Science249:404−406,1990;Cwirla et al.Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382,1990;Felici,J.Mol.Biol.222:301−310,1991;Ladner、前出)で提示されてもよい。
これに加えて、創薬研究開発当業者は、活性が既知である材料の複製または反復の脱複製(例えば分類学的脱複製、生物学的脱複製、および化学的脱複製、または任意のその組み合わせ)または排除を可能ならいつでも用いるべきであることを容易に理解する。粗抽出物が、BETファミリーメンバーブロモドメイン結合活性を有することが分かった場合、観察された効果の原因である分子成分を単離するために、陽性のリード抽出物のさらなる分画が必要である。したがって、抽出、分画、および精製過程の目標は、粗抽出物中にある、新生物細胞の増殖または生存度を低下させる化学実体の注意深い特性解析と同定である。このような不均一抽出物を分画および精製する方法は、当該技術分野で公知である。所望ならば、治療薬として有用なことが示される化合物は、当該技術分野で公知の方法に従って化学的に修飾される。
本発明は、本明細書の式の化合物を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象(例えばヒトなどの哺乳類)に投与するステップを含んでなる、疾患および/または障害またはその症状を治療する方法を提供する。したがって、一実施形態は、新生物疾患または障害またはその症状を患っている、またはそれに罹りやすい対象を治療する方法である。方法は、疾患または障害が治療されるような条件下において、疾患または障害またはその症状を治療するのに十分な本明細書の化合物の量の治療量を哺乳類に投与するステップを含む。
本明細書の方法は、このような効果を生じると本明細書に記載される、本明細書に記載される化合物または組成物の有効量を(このような治療を必要とすると同定された対象を含む)対象に投与するステップを含む。このような治療を必要とする対象の同定は、対象または医療従事者が判断し得て、主観的(例えば意見)または客観的であり得る(例えば試験または診断法により測定可能である)。
本発明の治療法(予防的治療を含む)は、一般に、本明細書の式の化合物などの本明細書の化合物の治療的有効量を哺乳類を含む、特にヒトである、それを必要とする対象(例えば動物、ヒト)に投与するステップを含んでなる。このような治療は、適切には、疾患、障害、またはその症状を患っている、有する、それに罹りやすい、またはそのリスクがある対象、特にヒトに投与される。「リスクがある」対象の判定は、診断試験による、または対象またはヘルスケア提供者の意見(例えば遺伝子試験、酵素またはタンパク質マーカー、Marker(本明細書で定義される)、家族歴など)による、任意の客観的または主観的判定によって下し得る。本明細書の化合物は、新生物または炎症が関係しているとされる、任意のその他の障害の治療において使用してもよい。
一実施形態では、本発明は、治療経過をモニターする方法を提供する。本方法は、診断マーカー(Marker)(例えば本明細書の化合物によって調節される本明細書で記述される任意の標的、タンパク質またはその指示薬など)、または新生物と関連付けられている障害またはその症状を患っている、またはそれに罹りやすい対象中における診断測定(例えばスクリーニング、アッセイ)のレベルを測定するステップを含み、疾患またはその症状を治療するのに十分な治療量の本明細書の化合物が、対象に投与される。本方法で測定されるMarkerのレベルを健態対照者またはその他の患者のどちらかの既知のMarkerレベルと比較して、対象の疾患状態を確立し得る。好ましい実施形態では、第1のレベル測定よりも後の時点で、対象中のMarkerの第2のレベルを測定し、2つのレベルを比較して、疾患の経過または治療法の有効性をモニターする。特定の好ましい実施形態では、本発明に従った治療開始に先だって、対象中のマーカーの治療前レベルを測定し;次にこのMarkerの治療前レベルを治療開始後の対象中のMarkerレベルと比較して、治療の有効性を判定し得る。
治療薬
別の実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して、薬理効果を有することが発見された作用物質(例えばJQ1または本明細書に記述される式の化合物)は、薬剤として、または合理的薬物設計による既存化合物の構造的修飾の情報として有用である。このような方法は、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病に対する効果を有し、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させまたは臓器移植における使用、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能を促進する作用物質をスクリーニングするのに有用である。
治療用途では、本明細書で開示される方法を使用して同定された組成物または作用物質は、例えば生理的食塩水などの薬学的に許容可能な緩衝液中に配合して、全身投与してもよい。好ましい投与経路としては、例えば、患者中で連続的な持続性薬剤レベルを提供する、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または皮内注射が挙げられる。ヒト患者またはその他の動物の治療は、生理学的に許容可能なキャリア中の本明細書で同定された治療薬の治療的有効量を使用して実施される。適切なキャリアおよびそれらの処方については、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences by E.W.Martinに記載される。投与される治療薬の量は、投与様式、患者の年齢および体重、新生物、炎症性疾患、肥満症、脂肪肝(NASHかそうでないもの)、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈ステント閉塞、心不全、悪液質、移植片対宿主病、ブロモドメインと関連付けられている感染性疾患の臨床症状、寄生生物、マラリア、トリパノソーマの治療、および男性の妊性を低下させまたは臓器移植における使用、再生医療のための細胞状態調節(すなわち細胞分化の促進または阻害による)、および多分化能の促進に応じて変動する。一般に、量は、このような疾患または状態と関連付けられているその他の疾患の治療で使用されるその他の作用物質で使用される量の範囲内であるが、場合によっては、化合物の特異性増大のためにより少ない量が必要とされる。化合物は、当業者に知られている方法による判定で、またはBETファミリーメンバーの発現または生物学的性を測定する任意のアッセイを使用した判定で、新生物細胞に細胞毒性であり、BETファミリーメンバーの生物学的活性を低下させ、または新生物細胞の増殖、生存、または侵襲性を低下させる投与量で投与される。別の実施形態では、化合物は、炎症性疾患の炎症または症状を低下させる投与量で投与される。
炎症性疾患
本明細書で記述される式の化合物を含む本発明の組成物は、炎症を低下させるのに、そして炎症性疾患の治療に有用である。炎症は、通常、感染症または細胞損傷または組織損傷に応えた、免疫系に関与する複雑な一連の分子シグナルの結果である。炎症は、常態では身体の治癒開始を構成する;しかし適切に調節されない場合、炎症は、関節炎などの慢性疾患をもたらし得る。
「炎症応答」または「免疫応答」は、血流量および免疫細胞流入および分泌の増大の結果として生じる、発赤、温感、腫脹、疼痛、および機能喪失によって特徴付けられる、傷害、感染性または刺激に対する生体組織の反応を意味する。炎症は、侵入感染性微生物に対する身体の反応であり、患部への血流量の増大、白血球細胞を誘引する化学物質の放出、血漿流量の増大、および壊死組織片を片付ける単球の到着をもたらす。炎症応答を刺激する任意のものが、炎症性であると考えられている。
先天性カスケード、または先天性免疫応答は、傷害または感染部位における走化性シグナル伝達に応えて免疫系によって展開され、白血球、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好酸球、および好塩基球、ならびに好中球などの貪食細胞、マクロファージ、および樹状細胞などの細胞の浸潤によって特徴付けられる非特異的応答である。前述の細胞によって分泌されるヒスタミンや様々なサイトカインなどの分子;および循環タンパク質の補体系が炎症に寄与する。
疾患は炎症によって特徴付けられ、ヒトの顕著な病因および死因である。
特定の実施形態では、炎症性疾患はリウマチ様障害である。リウマチ様障害は、本明細書の用法では、結合組織構造、特に関節、靱帯、および腱の炎症、時に変性および/または代謝異常によって特徴付けられる、任意の多様な炎症性疾患を指す。リウマチ様障害は、典型的に疼痛、硬直、および/または運動制限をもたらす。影響を受ける特定の組織または組織は、リウマチ様障害に左右される。例示的なリウマチ様障害としては、関節リウマチ、若年性関節炎、滑液包炎、脊椎炎、痛風、強皮症、スティル病、および脈管炎が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特定の実施形態では、リウマチ様障害は関節リウマチであり、関節リウマチの「治療」としては、1つまたは複数の関節リウマチ症状の重篤性、頻度、および/または出現を低下させることが挙げられる。別の実施形態では、リウマチ様障害は、若年性関節炎、滑液包炎、脊椎炎、痛風、強皮症、スティル病、または脈管炎である。本発明の方法は、これらの病状の1つまたは複数の症状のいずれかの重篤性、頻度、および/または出現を低下させる。
様々な実施形態では、関節炎またはその他の炎症性疾患の症状としては、発赤、腫脹、炎症、発熱、関節可動域低下、および疼痛が挙げられる。症状の出現または重篤性の低下例としては、腫脹関節数の低下、疼痛関節数の低下、鎮痛剤依存度の低下、患者による疼痛の頻度または重篤性の自己評価の低下、運動の自由度の増大、運動性の増大、発熱の低下、および日課遂行能力の増大が挙げられるが、これに限定されるものではない。
小膠細胞および星状細胞の活性化と、様々な炎症性メディエータの局所発現とによって特徴付けられる神経炎症は、外傷、脳卒中、感染性、または神経変性によるかどうかに関わらず、脳損傷に対する基礎反応である。この局部組織応答は、修復および回復過程の一部と考えられる。末梢疾患における多数の炎症状態と同様に、神経炎症は、CNS障害の病態生理に寄与し得る。
特定の実施形態では、炎症性疾患は炎症性皮膚疾患である。炎症性皮膚疾患としては、酒さ、アトピー性皮膚炎、座瘡、脂漏症皮膚炎、および蜂巣炎が挙げられるが、これに限定されるものではない。
別の実施形態では、炎症性疾患は、虚血性または炎症性心血管疾患である。炎症性心血管疾患または障害は、閉塞性疾患または障害、アテローム性動脈硬化、心臓弁疾患、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠動脈疾患、急性冠動脈症候群、うっ血性心不全、狭心症、心筋虚血、または血栓症であることもあるが、これに限定されるものではない。別の実施形態では、部位は、CNSまたは腎臓などの虚血性傷害の二次部位である。
別の実施形態では、炎症性疾患は、虚血性または炎症性腸疾患である。
炎症性腸疾患(IBD)は、小腸および大腸を冒す原因不明の慢性再発性炎症性疾患を指し、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)の双方が含まれる。クローン病は、腸管の任意の部分に影響し得るが、通常、遠位小腸および/または大腸に影響する。潰瘍性大腸炎は大腸のみに影響し、通常、直腸または遠位大腸に限定される。CDおよびUCマウスモデルの研究は、これらの疾患の双方が、粘膜細菌叢中の抗原に対する粘膜の免疫応答調節不全に起因することを強力に示唆する(Sartor,R.B.(1995).Gastroenterol Clin North Am 24,475−507)(StroberW,et al.(2002)Annu.Rev.Immunol.20:495−549)。
潰瘍性大腸炎または分類不能大腸炎は、その中で、以下の1つまたは複数の組織学的特徴が検出可能である、炎症状態によって特徴付けられる、大腸の病状を指す:上皮細胞損失とパッチ状潰瘍化の存在によって特徴付けられる表在性炎症、ムチン産生杯細胞の明白な枯渇、および管状腺密度の低下。これに加えて、固有層内では、腸管腔内への細胞滲出に付随する、リンパ球および顆粒球(後者は大部分は好中球、そしてより少ない程度に好酸球からなる)からなる混合炎症細胞浸潤物が観察される。また、粘膜下レベルがわずかな炎症細胞と共に顕著な浮腫を示し得る一方で、外面筋肉層内では、当業者は炎症の形跡をほとんどまたは全く見ない。例えばBoirivant et al.Journal of Experimental Medicine 188:1929−1939(1998)を参照されたい。臨床症状としては、下痢、直腸脱、体重減少、腹痛、および脱水が挙げられるが、これに限定されるものではない。
クローン病は、消化管の任意の部分を冒す炎症を指すが、ほとんどの場合、小腸末端部および/または隣接する上行結腸が冒される。炎症は、正常粘膜領域と交互する炎症領域からなる「飛び越し病変」によって特徴付けられることが多い。クローン病の腸患部は、紅斑、浮腫、および脆砕性増大を特徴とする;時には、腸は狭窄し、他の腹部臓器にまたは腸壁に付着する。罹患した腸と、皮膚を含む他の構造との間の瘻孔は、稀ではない。クローン病の組織の顕微鏡検査は、上皮びらん、ムチン産生杯細胞の損失、および粘膜全層に影響する広範なリンパ球浸潤を明らかにし;この浸潤は、時折、肉芽腫形成の徴候である巨細胞を含有する。炎症が、長期間(慢性的に)存在する場合、それは時折、瘢痕(線維症)を引き起こし得る。瘢痕組織は、典型的に、健康な組織程に可撓性でない。したがって、腸内に線維症が生じた場合、瘢痕は病変腸区域の通路(管腔)の幅を狭めることもある。これらの締め付けられた領域は、狭窄と称される。狭窄は、狭められた領域を腸内容物が通過するのをどの程度妨害するかに応じて、軽度または重篤であってもよい。クローン病の臨床徴候/症状としては、悪液質、体重減少、成長不全、腹痛、排出瘻孔、直腸脱、および脱水が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。
特定の実施形態では、炎症性肝疾患または障害である。例えば、炎症性肝疾患または障害は、自己免疫肝炎、肝硬変、および胆汁性肝硬変からなる群から選択される。
医薬組成物の処方
新生物または炎症性疾患を治療するための化合物の投与は、その他の構成要素都の組み合わせで、新生物または炎症性疾患を改善し、低下させ、または安定化するのに効果的な治療薬濃度をもたらす、任意の適切な手段によってもよい。化合物は、任意の適切なキャリア物質中にあらゆ適切な量で含有されてもよく、通常、組成物総重量の1〜95重量%の量で存在する。組成物は、非経口(例えば皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内)投与経路に適した剤形で提供されてもよい。医薬組成物は、従来の製薬慣行に従って調合してもよい(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照されたい)。
ヒト投与量は、最初に、マウスで使用される化合物量の外挿によって決定し得て、当業者は認識するように、これは動物モデルと比較してヒトのための投与量を変更する技術分野におけるルーチンである。特定の実施形態では、投与量が、約1μg化合物/Kg体重〜約5000mg化合物/Kg体重;または約5mg/Kg体重〜約4000mg/Kg体重または約10mg/Kg体重〜約3000mg/Kg体重;または約50mg/Kg体重〜約2000mg/Kg体重;または約100mg/Kg体重〜約1000mg/Kg体重;または約150mg/Kg体重〜約500mg/Kg体重の間で変動してもよいことが予期される。別の実施形態では、この用量は、約1、5、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000mg/Kg体重であってもよい。別の実施形態では、用量は、約5mg化合物/Kg体重〜約20mg化合物/Kg体重の範囲内であってもよいことが想定される。別の実施形態では、用量は、約8、10、12、14、16または18mg/Kg体重であってもよい。もちろん、この投与量量は、このような治療プロトコルで慣例的に行われるように、初期臨床試験の結果と特定患者のニーズに応じて、上向きまたは下向きに調節してもよい。
本発明に従った医薬組成物は、投与時に実質的に即座に、または投与後の任意の所定時間または期間に、活性化合物を放出するように調合してもよい。後者の種類の組成物は、一般に放出制御製剤として知られ、以下が挙げられる(i)体内で長期にわたり実質的に定濃度の薬剤をもたらす製剤;(ii)所定の遅延時間後に、体内で長期にわたり実質的に定濃度の薬剤をもたらす製剤;(iii)活性物質の血漿レベルのゆらぎ(鋸歯状動態パターン)と関連付けられている望ましくない副作用を同時に最小化しながら、体内で比較的一定した効果的レベルを保つことで、所定期間中に作用を維持する製剤;(iv)例えば、胸線に隣接または接触する、放出制御組成物の空間配置によって、作用を局在化させる製剤;(v)用量が例えば1週間または2週間毎に投与されるような、便利な投与ができるようにする製剤;および(vi)治療薬を特定の細胞型(例えば新生物細胞)に送達する、キャリアまたは化学物質誘導体を使用することで、新生物または炎症性疾患を標的とする製剤。いくつの用途では、放出制御製剤は、日中に血漿レベルを治療レベルに保つための頻繁な投与に対する必要性をなくす。
放出速度が、問題になっている化合物の代謝率を補って余りある、放出制御を得るために、いくつかのストラテジーを追究し得る。一例では、放出制御は、例えば、様々な種類の放出制御組成物およびコーティングを含む、様々な処方パラメータおよび成分の適切な選択によって得られる。したがって、治療薬は、適切な賦形剤と共に医薬組成物に調合され、それは投与時に、治療薬を制御された様式で放出する。実施例としては、一単位または複数単位の錠剤またはカプセル組成物、油剤、懸濁液、エマルション、マイクロカプセル、微小球、分子複合体、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームが挙げられる。
非経口組成物
医薬組成物は、投薬形態または製剤での注射、輸液または移植(皮下、静脈内に、筋肉内、腹腔内、など)によって、または従来の無毒の薬学的に許容可能なキャリアおよびアジュバントを含有する適切な送達デバイスまたはインプラントを介して、非経口的に投与してもよい。このような組成物の処方および調製は、製剤処方当業者に周知である。処方は、前出のRemington:The Science and Practice of Pharmacyにある。
非経口用の組成物は、単位用量形態(例えば単回投与アンプル)で、またはその中に適切な保存料が添加されても良い、数回の用量を含有するバイアルで提供されてもよい(下記参照)。組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、輸液用器具、または埋め込み用送達デバイスの形態であってもよく、またはそれは、使用前に水または別の適切なビヒクルで戻される乾燥粉末として提示されてもよい。新生物または炎症性疾患を緩和しまたは改善する活性薬剤の他に、組成物は、適切な非経口的に許容可能なキャリアおよび/または賦形剤を含んでもよい。活性治療薬は、放出制御のために、微小球、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み込まれてもよい。さらに、組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤、pH調節剤、浸透圧調節剤、および/または分散剤を含んでもよい。
上述の通り、本発明に従った医薬組成物は、無菌注射に適した形態であってもよい。このような組成物を調製するために、適切な活性抗新生物治療薬を非経口的に許容可能な液体ビヒクルに溶解または懸濁する。用いてもよい許容可能ビヒクルおよび溶剤は、水、適量の塩酸または水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝液の添加によって適切なpHに調節された水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、および等張の塩化ナトリウム溶液とデキストロース溶液である。水性製剤は、1つまたは複数の保存料(例えばメチル、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート)もまた含有してもよい。場合によっては、化合物の1つが難溶性またはわずかに水溶性であれば、溶解促進剤または可溶化剤を添加し得て、または溶媒に10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含めることもできる。
放出制御非経口組成物
放出制御非経口組成物は、水性懸濁液、微小球、マイクロカプセル、磁性微小球、油剤、油懸濁液、またはエマルションの形態であってもよい。代案としては、活性薬剤は、生体適合性キャリア、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または輸液用器具に組み込まれてもよい。
微小球および/またはマイクロカプセル調製品で使用するための材料は、例えばポリガラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)、およびポリ(乳酸)などの生分解性/生体内分解性のポリマーである。放出制御非経口製剤を処方する際に使用してもよい生体適合性キャリアは、炭水化物(例えばデキストラン)、タンパク質(例えばアルブミン)、リポタンパク、または抗体である。インプラントで使用するための材料は、非生分解性(例えばポリジメチルシロキサン)、または生分解性(例えばポリ(カプロラクタム)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)またはその組み合わせ)であり得る。
経口使用のための固体剤形
経口使用のための製剤としては、無毒の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物中の活性成分を含有する錠剤が挙げられる。このような製剤は、当業者に知られている。賦形剤は例えば、不活性希釈剤または増量剤(例えばスクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン類、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);および平滑剤、流動促進剤、および粘着防止剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、または滑石)であってもよい。その他の薬学的に許容可能な賦形剤は、着色剤、着香剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
錠剤は、未被覆であってもよく、またはそれらは公知の技術によって被覆されて、任意選択的に、胃腸管内における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたり持続性作用を提供する。コーティングは、(例えば放出制御製剤を達成するために)所定のパターンで活性薬剤を放出するように適合されてもよく、またはそれは胃通過後まで、活性薬剤を放出しないように適合されてもよい(腸溶コーティング)。コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレート共重合体、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンベース)、または腸溶コーティング(例えばメタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸メチルセルロースヒドロキシプロピル、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、および/またはエチルセルロースベース)であってもよい。さらに、例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料もまた用いてもよい。
固体錠剤組成物は、望まれない化学変化(例えば活性治療剤の放出前の化学分解)から組成物を保護するように適合されたコーティングを含んでもよい。コーティングは、前出のEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている様式と同じようにして、固体剤形上に塗布してもよい。
少なくとも2つの治療薬を錠剤中で一緒に混合してもよく、または分割してもよい。一例では、第2の治療薬のかなりの部分が第1の治療薬の放出前に放出されるように、第1の活性抗新生物治療薬が錠剤内部に、第2の活性治療薬が外側に含有される。
経口使用のための製剤は、チュアブル錠として、または活性成分が不活性固体希釈剤(例えばジャガイモデンプン、乳糖、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が、例えば、落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油などの水または油媒質と混合される、軟質ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。粉末および顆粒は、錠剤およびカプセルについて上述された成分を使用して、例えばミキサー、流動床装置または噴霧乾燥装置を使用して、従来の様式で調製してもよい。
放出制御経口投薬形態
経口使用のための放出制御組成物は、例えば、活性物質の溶出および/または拡散を制御することで、活性抗新生物または抗炎症性治療薬を放出するように構築されてもよい。溶出または拡散放出制御は、錠剤、カプセル、ペレットの適切なコーティングによって、または化合物の顆粒製剤によって、または化合物を適切なマトリックスに組み込むことによって達成し得る。放出制御コーティングとしては、上述の1つまたは複数のコーティング物質および/または、例えば、シェラック、蜜蝋、グリコワックス、水素化ヒマシ油、カルナウバ蝋、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メタクリル酸メチル、2-ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートハイドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/またはポリエチレングリコールが挙げられる。放出制御マトリックス製剤中では、マトリックス材は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバ蝋およびステアリルアルコール、カルボポル934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フルオロカーボンもまた含んでもよい。
1つまたは複数の治療用化合物を含有する放出制御組成物はまた、浮揚性錠剤またはカプセル(すなわち、経口投与時に、一定時間胃内容物上部に浮遊する錠剤またはカプセル)の形態であってもよい。化合物の浮揚性錠剤処方は、化合物と賦形剤の混合物をヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの20〜75%w/wの親水コロイドと共に顆粒化することで調製し得る。次に得られた顆粒を錠剤に圧縮し得る。胃液との接触時に、錠剤はその表面周辺に、実質的に不透水性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアは、1未満の密度の維持に荷担し、それによって錠剤が胃液中で浮揚性のままであるようにする。
併用療法
任意選択的に、抗新生物または抗炎症性治療薬は、当該技術分野で公知の任意のその他の標準抗新生物または抗炎症性治療法と組み合わせて投与してもよい;このような方法は当業者に知られており、Remington’s Pharmaceutical Sciences by E.W.Martinに記載される。所望ならば、本発明の作用物質(例えばJQ1、本明細書で記述される式の化合物、およびその誘導体)は、外科手術、放射線療法、または化学療法を含むが、これに限定されるものではない任意の従来の抗新生物治療法と組み合わせて投与される。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、エピジェネティックなまたは転写調節因子(例えばDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC阻害剤)、リジンメチルトランスフェラーゼ阻害剤)と組み合わせて、有糸分裂阻害剤(例えばタキサン、ビンカアルカロイド)、ホルモン受容体調節因子(例えばエストロゲン受容体調節因子、アンドロゲン受容体調節因子)、細胞シグナル伝達経路阻害剤(例えばチロシンキナーゼ阻害剤)、タンパク質安定性の調節因子(プロテアソーム阻害剤)、hsp90阻害剤、従来の化学療法薬、グルココルチコイド、全トランス型レチノイン酸または分化を促進するその他の作用物質と組み合わせて、投与される。
キットまたは医薬品システム
本組成物は、新生物または炎症性疾患の改善に使用されるキットまたは医薬品システムに組み立ててもよい。本発明のこの態様に従ったキットまたは医薬品システムは、その中に、バイアル、チューブ、アンプル、ボトルなどの1つまたは複数の収容手段を厳重に密封して有する、箱、カートン、筒などの運搬手段を含んでなる。本発明のキットまたは医薬品システムは、本発明の作用物質を使用するための付属使用説明もまた含んでなってもよい。
本発明の実施は、特に断りのない限り、十分に当業者の技量の範囲内である、従来の(組換え技術を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学技術を用いる。このような技術については、文献“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994);“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)において詳細に記載される。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生成に適用でき、したがって本発明の作成および実施で検討し得る。以下の節で、特定の実施形態のために特に有用な技術を考察する。
以下の実施例は、当業者に、本発明のアッセイ、スクリーニング、および治療法を作成して使用する方法の完全な開示と説明を提供するために提示され、発明者らが彼らの発明と見なす範囲を制限することは意図されない。
本発明の実施は、特に断りのない限り、十分に当業者の技量の範囲内である、従来の(組換え技術を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学技術を用いる。このような技術については、文献“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994);“Current Protocols inImmunology”(Coligan,1991)において詳細に記載される。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生成に適用でき、したがって本発明の作成および実施で検討し得る。以下の節で、特定の実施形態のために特に有用な技術を考察する。
以下の実施例は、当業者に、本発明のアッセイ、スクリーニング、および治療法を作成して使用する方法の完全な開示と説明を提供するために提示され、発明者らが彼らの発明と見なす範囲を制限することは意図されない。
I.化学物質実施例−合成および調製法
本発明の化合物は、本明細書の説明を考慮して、本明細書に記載される方法によって、および/または当業者に知られている方法に従って、合成し得る。
スキームS1.ラセミブロモドメイン阻害剤(±)−JQ1の合成
(2−アミノ−4,5−ジメチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノン(S2)
上に示すスキームに従って、化合物JQ1を調製した。
23℃のエタノール(20ml、0.35M)中の4−クロロベンゾイルアセトニトリルS1(1.24g、6.9mmol、1等量)、2−ブタノン(0.62ml、6.9mmol、1.00等量)、およびモルホリン(0.60ml、6.9mmol、1.00等量)の溶液に、イオウ(220mg、6.9mmol、1.00等量)を固体として添加した21。次に混合物を70℃に加熱した。12時間後、反応混合物を23℃に冷却し、鹹水(100ml)中に注いだ。水層を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、40グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、S2(1.28g、70%)を黄色固体として得た。
(S)−tert−ブチル−3−({[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル}アミノ)−4−{[3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル]アミノ}−4−オキソブタノエート(S3)
N,N−ジメチルホルムアミド(1.5ml、1.0M)中の9−フルオレニルメトキシカルボニル−アスパラギン酸β−tert−ブチルエステル[Fmoc−Asp(Ot−Bu)−OH](864mg、2.1mmol、2.10等量)の溶液に、(2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスファート(HCTU)(827mg、2.0mmol、2.00等量)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.72ml、4.0mmol、4.00等量)を逐次添加した。次に混合物を23℃で5分間撹拌した。次にS2(266mg、1.0mmol、1等量)を固体として添加した。反応混合物を23℃で撹拌した。16時間後、酢酸エチル(20ml)および鹹水(20ml)を添加した。2層が分離し、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、40グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、S3(625mg、90%)を褐色油として得た。
(S)−tert−ブチル3−アミノ−4−((3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル)アミノ)−4−オキソブタノエート(S4)
23℃のDMF溶液(4.0ml、0.22M)中の20%ピペリジンに、化合物S3(560mg、0.85mmol、1等量)を溶解した。30分後、酢酸エチル(20ml)および鹹水(20ml)を反応混合物に添加した。2層が分離し、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(3×25ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、24グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、遊離アミンS4(370mg、90%)を黄色固体として得た。エナンチオマ純度は75%に下がった(AS−Hカラムを使用して、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により測定された)。
(S)−tert−ブチル2−(5−(4−クロロフェニル)−6,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼパム−3−イル)アセテート(S5)
アミノケトン(S4)(280mg、0.63mmol)を10%酢酸エタノール溶液(21ml、0.03M)に溶解した。反応混合物を85℃に加熱した。30分後、全ての溶剤を減圧下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、12グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、化合物S5(241mg、95%)を白色固体として得た。S5のエナンチオマ純度は67%であった(AS−Hカラムを使用して、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により測定された)。
tert−ブチル2−(5−(4−クロロフェニル)−6,7−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼパム−3−イル)アセテート(S6)
ジグリム(1.25ml、0.4M)中のS5(210mg、0.5mmol、1等量)溶液に、五硫化リン(222mg、1.0mmol、2.00等量)、炭酸水素ナトリウム(168mg、2.0mmol、4.00等量)を逐次添加した。反応混合物を90℃に加熱した。16時間後、鹹水(20ml)および酢酸エチル(35ml)を添加した。2層が分離し、水層を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(2x15ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、24グラムシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、回収されたS5(73mg、34%)と共に、S6(141mg、65%)を褐色固体として得た。
tert−ブチル2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾール[4,3−a][1,4]ジアゼパム−6−イル)アセテート[(±)JQ1]
0℃のTHF(2.6ml、0.14M)中のS6(158mg、0.36mmol、1等量)溶液に、ヒドラジン(0.015ml、0.45mmol、1.25等量)を添加した。反応混合物を23℃に加温して、23℃で1時間撹拌した。全ての溶剤を減圧下で除去した。得られたヒドラジンを精製なしで直接使用した。次にヒドラジンをオルト酢酸トリメチルとトルエンの2:3混合物(6ml、0.06M)に溶解した。反応混合物を120℃に加熱した。2時間後、全ての溶剤を減圧下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、4gのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、JQ1(140mg、2段階で85%)を白色固体として得た。反応条件は、不斉中心をさらにエピマー化して、ラセミ体JQ1がもたらされた。(AS−Hカラムを用いて、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により測定された)。
スキームS2.鏡像異性的に濃縮された(+)−JQ1の合成
(S)−tert−ブチル−3−({[(9H−フルオレン−9−イル)メトキシ]カルボニル}アミノ)−4−{[3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル]アミノ}−4−オキソブタノエート(S3)
N,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml、1.0M)中の9−フルオレニルメトキシカルボニル−アスパラギン酸β−tert−ブチルエステル[Fmoc−Asp(Ot−Bu)−OH](411mg、1.00mmol、1.0等量)溶液に、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシル)トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)(494mg、0.95mmol、0.95等量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.50ml、2.8mmol、2.75等量)を逐次した。次に混合物を23℃で5分間撹拌した。次にS2(266mg、1.0mmol、1等量)を固体として添加した。反応混合物を23℃で撹拌した。4時間後、酢酸エチル(20ml)および鹹水(20ml)を添加した。2層が分離し、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、40グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、S3(452mg,72%)を褐色油として得た。
(S)−tert−ブチル3−アミノ−4−((3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル)アミノ)−4−オキソブタノエート(S4)
23℃のDMF溶液(2.2ml、0.22M)中の20%ピペリジンに、化合物S3(310mg、0.47mmol、1等量)を溶解した。30分後、酢酸エチル(20ml)および鹹水(20ml)を反応混合物に添加した。2層が分離し、水層を酢酸エチル(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を鹹水(3×25ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、24グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、遊離アミンS4(184mg、90%)を黄色固体として得た。エナンチオマ純度は、91%であった。(AS−Hカラムを使用して、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によりチェックした)。
(S)−tert−ブチル2−(5−(4−クロロフェニル)−6,7−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼパム−3−イル)アセテート(S5)
アミノケトン(S4)(184mg、0.42mmol)をトルエン(10ml、0.04M)に溶解した。シリカゲル(300mg)を添加して、反応混合物を90℃に加熱した。3時間後、反応混合物を23℃に冷却した。シリカゲルを濾過して、酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash RF system、12グラムのシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)によって精製し、化合物S5(168mg、95%)を白色固体として得た。エナンチオマ純度は90%であった(AS−Hカラムを使用して、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により測定された)。
(S)−tert−ブチル2−(4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾール[4,3−a][1,4]ジアゼパム−6−イル)アセテート[(+)JQ1]
−78℃のTHF(1.8ml、0.15M)中のS5(114mg、0.27mmol、1等量)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(THF中の1.0M溶液、0.3ml、0.30mmol、1.10等量)を添加した。反応混合物を−10℃に加温して、23℃で30分間撹拌した。反応混合物を−78℃に冷却した。クロロリン酸ジエチル(0.047ml、0.32mmol、1.20等量)を反応混合物に添加した22。得られた混合物を−10℃で45分間加温した。酢酸ヒドラジド(30mg、0.40mmol、1.50等量)を反応混合物に添加した。反応混合物を23℃で撹拌した。1時間後、90℃に加熱された反応混合物に、1−ブタノール(2.25ml)を添加した。1時間後、全ての溶剤を減圧下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combiflash system、4gシリカゲル、勾配0〜100%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、(+)−JQ1(114mg、92%)を白色固体として90%のエナンチオマ純度で得た(AS−Hカラム、85%ヘキサン−メタノール、210nm、t(R−鏡像異性体)=1.59分、t(S−鏡像異性体)=3.67分を使用して、Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって測定した)。キラル分取HPLC(OD−Hカラムを使用したAgilent高圧液体クロマトグラフィー)によって生成物をさらに精製し、99%ee以上でS鏡像異性体を得た。
HNMR(600MHz,CDCl,25℃)δ7.39(d,J=8.4Hz,2H),7.31(d,J=8.4Hz,2H),4.54(t,J=6.6MHz,1H),3.54−3.52(m,2H),2.66(s,3H),2.39(s,3H),1.67(s,3H),1.48(s,9H).
13CNMR(150MHz,CDCl,25℃)δ171.0,163.8,155.7,150.0,136.9,131.1,130.9,130.6,130.3,128.9,81.2,54.1,38.1,28.4,14.6,13.5,12.1.
HRMS(ESI)計算値C2124ClNS[M+H]:457.1460,実測値457.1451m/z.
TLC(EtOAc)、Rf:0.32(UV)
[α]22 =+75(c0.5、CHCl
Fmoc−D−Asp(Ot−Bu)−OHを出発原料として用いて、同様にして(−)−JQ1を合成し、キラル分取HPLC(OD−Hカラムを使用したAgilent高圧液体クロマトグラフィー)によってさらに精製して、99%eeを超えるR鏡像異性体を得た。[α]22 =−72(c0.5、CHCl
追加的な化合物の合成
スキームS3で図示されるようにして、追加的な本発明の化合物を調製した。
スキームS3.ヒドラジン誘導体の合成
スキームS3で示されるようにして、(+)−JQ1のt−ブチルエステル(1)を切断して遊離酸(2)をもたらし、それをヒドラジンと結合してヒドラジド(3)をもたらした。4−ヒドロキシベンズアルデヒドとの反応は、ヒドラゾン(4)を生じた。
ヒドラジド(3)およびヒドラゾン(4)のどちらも、少なくとも1つの生物学的アッセイで活性を示した。
ヒドラジド(3)と多様なカルボニル含有化合物との反応によって、化合物のライブラリーを調製した(上の表A参照)。
例えばアッセイ開発のためのプローブとして使用するために、追加的な化合物を調製した。例示的な合成を下のスキームS4に示す。
スキームS4.プローブとして有用な誘導体の合成
追加的な化合物を下の表Bで示すようにして調製した。
各化合物のスペクトルデータは、割り当てられた構造に一致した。
II.生物学的活性
実施例1:JQ1
図1はJQ1鏡像異性体を示す。
実施例2:JQ1は細胞中の核クロマチンからBRD4を置き換える。
JQ1が細胞環境内でクロマチンと競合的にブロモドメインに結合するかどうかを確立するために、BRD4上でフォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)実験を実施した。以前の研究は、核クロマチンの離散領域の選択的フォトブリーチングに続く、ブロモドメイン含有蛍光性キメラの側方再分配ペースの評価における、FRAPの効用を実証した27。GFP−BRD4で形質移入されたヒト骨肉腫細胞(U2OS)は、蛍光を発する強度の時間依存性回復を呈示する(図2Aおよび2B)。JQ1の存在下(500nM)では、観察された回復は、置き換えられた核BRD4と即時一致する(図3Aおよび3B)。細胞FRAP試験は、BRD4の移動画分に対する影響が、生化学的活性(+)−JQ1立体異性体に限定されることを確認した(図2A〜2C)。
均質な細胞ベースのアッセイで、BRD4への強力な選択的結合を実証したところで、疾患関連BRD4依存性細胞表現型に対するJQ1の効果を評価した。NMC中のt(15;19)転座から生じた病原性のBRD4−NUT融合タンパク質は、アセチル化クロマチンの離散性病巣と貪欲に結合し、増殖優位性および分化妨害を与える。FRAPを使用して、直接、BRD4−NUT腫瘍性タンパク質を標的とするJQ1の能力を評価した。ビヒクル対照と比較して、JQ1(500nM)は、GFP−BRD4−NUTで形質移入された細胞のフォトブリーチングされた領域内で、蛍光強度の時間−対−回復を顕著に加速した(図3C、3E)。重要なことに、GFP−NUTの再分配に対する効果は観察されなかった(図3D、3E)。要約すれば、これらのデータは、培養細胞中のBRD4へのJQ1の競合的結合と一致する。
実施例5:JQ1は、BRD4依存性がん腫中で扁平上皮分化および成長停止を誘導する。
再発性発がん性転座から発現された遺伝子産物の直接阻害は、がんにおける検証された治療的アプローチである28,29。BRD4依存性NUT正中がん腫上における、BETファミリーブロモドメインの化学的阻害の表現型帰結を探索した。BRD4−NUTクロマチン局在化は、融合タンパク質中のBRD4の保存されたタンデムブロモドメインに機構的に結び付けられている17。NMCの特性は、NUT誘導性免疫組織化学(IHC)による、BRD4−NUT腫瘍性タンパク質の離散した核スペックルの出現である30。JQ1(500nM)による患者由来797NMC細胞系の48時間の処理は、核病巣を展退させ、IHCによる拡散した核NUT染色を生じさせた(図3f)。
NMC細胞系中のBRD4−NUTのノックダウンによって、著しい分化表現型が観察された17。JQ1は、NMC 797およびPer403細胞中で、細胞拡散および扁平化、オープンクロマチン、および紡錘状形態によって特徴付けられる、同等の用量および時間依存性分化表現型を生じさせた(図3gおよび図4A、4B、4C)。分化は迅速であり(<24時間)、扁平上皮分化の証明である、顕著に増加したサイトケラチン発現によって特徴付けられた(図3h)。マイクロモル以下のJQ1に曝露させた培養中で7日後に、最終分化が観察された。重要なことには、非BRD4依存性扁平上皮がん細胞系(TE10およびTT)は、JQ1の分化効果を呈示できない(図4A、4B、4C)。BRD4依存性NMC細胞中では、Ki67染色の低下によって証明されるように、分化は当然ながら成長停止に付随して起こる(図3i、j、および4L−a、4L−b)。さらに標的化作用機序を支持するものとして、分化および成長停止表現型が(+)−JQ1のみによって促されるのに対し、(−)−JQ1は観察可能な効果を示さない(図4E−a〜4E−d)。
特に、JQ1処理は形態学的変化を表現型模写し、RNA干渉によるBRD4−NUTサイレンシングで観察された、ケラチン発現を増大させた(図4F−a、b)。これらの形態学的およびIHC研究を裏付けるものとして、RT−PCRによる3つのカノニカル扁上皮組織遺伝子の発現分析は、NMC 797細胞中における(+)−JQ1によるケラチン−14の著しい(30倍)誘導を同定した(図3i)。ケラチン−10の中程度の誘導、および表皮トランスグルタミナーゼ(TGM1)に対する効果の不在は、それからNMC 797細胞が誘導された縦隔原発腫瘍に一致する、胸部扁平上皮上皮に向かう進行性分化に一致する28。IHCによる、強力な(3+)ケラチン染色を伴う分化誘導は、定量的IHC分析による測定で、72時間にわたり進行する(図4M)。標的化作用機序を支持するものとして、分化表現型が(+)−JQ1によってのみ促されるのに対し、(−)−JQ1は観察可能な効果を示さない。重要なことには、非BRD4依存性扁平上皮がん細胞系(TE10)は、JQ1処理からの分化効果を呈示できない(図4N−c)。BRD4依存性NMC細胞中では、Ki67染色の低下によって証明されるように、分化は当然ながら成長停止に付随して起こる(図4A〜4G)。
次にBRD4依存性(797およびPer403)およびBRD4非依存性(TE10およびTT)ヒト扁平上皮がん細胞系において、JQ1鏡像異性体の抗増殖性活性を評価した。図5aおよび図4F−a〜cに示されるように、(+)−JQ1は、BRD4依存性細胞系のみにおいて、細胞成長の用量依存的阻害をユニークに呈示した(797 IC50=140nM;Per403 IC50=60nM)。IHCによって観察された強力な抗増殖性効果および不可逆的分化は、細胞死の誘導を示唆する。したがって、フローサイトメトリーによって、アネクシンVおよびヨウ化プロピジウム染色で、初期および後期アポトーシスを評価した。予期されたように、JQ1は、BRD4依存性ヒトがん細胞において即時の進行性アポトーシスを誘導するが、使用される濃度では、BRD−NUT融合を保有しない細胞系内のアポトーシス細胞の顕著なレベルは検出されなかった(図5bおよび図7)。
実施例6:NMCのマウスモデルにおけるJQ1の生体内有効性および薬力学的効果
JQ1が生体内で単一作用物質として、BRD4依存性がん腫の成長を減衰し得るかどうかを確立するために、NMC 797細胞系を使用してマウス中で、NMCのマウス異種移植モデルを開発した。主要エンドポイントとしてPET造影を用いて短期処理研究を実施し、JQ1の抗腫瘍活性を実証し得るかどうかを探索し、後に非侵襲造影がそれに続いた。測定可能疾患の確立された同等の負荷があるマウスのマッチコホートは、毎日腹腔内注射によって投与されるJQ1(50mg kg−1)またはビヒクルでの処理について、無作為化された。無作為化に先だってそして4日間の治療後、マウスをPET造影によって評価した。JQ1処理によって、FDG取り込みに対する顕著な応答が観察されたのに対し、ビヒクル処理動物は明白な進行性疾患を実証した(図5e)。
並行して、ノギス測定により腫瘍体積に対するJQ1の効果について、定量的IHCにより薬力学的効果について、NMC 797腫瘍保有マウスのマッチコホートを研究した。NMC 797異種移植片の攻撃的な増殖は、処理の14日目に研究の終結を促し、その時点で全てのビヒクル処理動物は施設の定める腫瘍サイズ限界(institutional tumor size limits)に近づいた。JQ1を投与した動物は、統計的に有意な腫瘍成長の低下を呈示した(図5c、p=0.039;両側t試験)。比較的機構および薬力学データを捕捉するために、全ての動物を殺処分して、組織病理学分析のために腫瘍を外植した。特に、JQ1は、この用量および投与計画では、毒性の有害徴候または明白な体重減少がなく、耐容性が良かった(図5d、5L)。
JQ1処理で観察された抗新生物効果が、標的係合に付随することを確認するために、薄片された腫瘍組織をBRD4−NUT腫瘍性タンパク質について検査した。図5eおよび図6Aに提示するように、JQ1処理は、核クロマチンへの競合結合に一致する、NUT核スペックルの展退をもたらした。細胞拡散およびケラチン発現増大は、薬力学的扁平上皮分化を立証した。処理動物におけるKi67の核染色の低下およびタネル染色の増大は、進行中の抗増殖性アポトーシス効果を立証した。総合して、これらのデータは、生体内におけるBRD4阻害とJQ1に対する治療反応の間の機構的関連性を提供する。
偏りのない様式で腫瘍ケラチン発現の薬力学(PD)生物マーカーを報告する努力の一環として、定量的IHC画像収集および分析についてプロトコルを確立した。標準化プロトコルおよび市販のソフトウェア(ImageScope;Aperio Technologies)を使用して、処理および未処理動物からの対合サンプルを調製し分析した。JQ1は、摘出腫瘍標本において均一に、NMC 797異種移植片中で強力な(3+)ケラチン発現を引き起こした(図6Ba〜e)。
これらの研究と並行して、縦隔から生じた広範に転移性のBRD4−NUT陽性NMCがある、29才の患者が同定された。より臨床的に妥当な疾患モデルを開発する目標で、患者の対症療法胸腔チューブから排出された胸膜液から得られた廃棄臨床材料を使用して、短期培養物を確立した。図8に提示するように、生体外研究は、細胞生存度(IC50=4nM)、成長、および細胞周期進行に対する(+)−JQ1の立体選択的な強力な効果を立証した。患者由来腫瘍材料を移植した4匹の動物は、測定可能疾患を発症し、それは強力にPET陽性であった(図5h)。動物をビヒクルまたは(+)−JQ1処理コホートに無作為に割り当てた。処理割り当てに先だってそして4日間の治療後、マウスをPET造影によって評価した。JQ1処理によって、FDG取り込みに対する顕著な応答が観察されたのに対し、ビヒクル処理動物は明白な進行性疾患を実証した(図5i)。この場合もやはり、定量的IHC分析のために腫瘍材料を調製し、それは(+)−JQ1処理に続いてケラチン発現の誘導を実証した(図5j、k、図9)。総合して、これらのデータは、生体内におけるBRD4阻害とJQ1への治療反応の間の機構的関連性を提供する。
新興のがんゲノムの複雑な突然変異景観の全域で、再発性染色体再配置は、がんにおける明白な遺伝的標的の説得力のあるサブセットを含んでなる。CML中のBCR−ABLを標的にするキナーゼ阻害剤の成功裏の開発によって証明されたように、良好に特性解析されたプローブ化合物31,32、高解像度結晶学的データ33、翻訳研究調査34、そして利用可能な場合は情報を与えるマウスモデル35は、リガンド発見および標的検証の最適プラットフォームを提供する。本明細書で報告するように、新規BRD4指向小分子阻害剤は、NUT−BRD4融合に付随する、遺伝的に定義されたヒト扁平上皮がんの治療において有用である可能性が高い。
NUT正中がん腫以外では、BETファミリーブロモドメインは、多数のその他の新生物および非新生物疾患に寄与する。BRD4は、P−TEFb複合体を有糸分裂染色体に標的指向して、c−Mycなどの成長促進遺伝子119および確立されたがん標的オーロラB13の発現がもたらされる。これに加えて、BRD4は乳がん中で増幅され36、乳がん患者における生存予測マーカーである37。これらの機能の他に、がん生物学では、BETファミリーメンバーが、ウイルス複製38,39のための、そして炎症応答媒介14における、必須遺伝子として認識されている。したがって、対合化学プローブとしての(+)−JQ1および(−)−JQ1の可用性は、広く、転写、発症、および疾患の生物学において、情報を与える研究を促す。JQ1はまた、細胞受容体に対する的外れ効果がわずかであり、49%の経口バイオアベイラビリティ(図10)を含む優れた薬物動態学的特性を呈示することも分かり、治療用途のための薬剤様誘導体の開発妥当性を確立する。
エピジェネティック標的の小分子阻害剤の発見および最適化は、現在の生物医学研究の大きな焦点である。今までの成功裏のアプローチは、クロマチン修飾酵素のためのリガンド同定に限定されている40。恐らく最も良く研究されたのは、そのために多数の医薬阻害剤が臨床的に開発されている、リジン側鎖の脱アセチル化の調節因子である。本発明は、ブロモドメインのBETファミリーの初めて完全に特性解析された阻害剤を含む、エピジェネティックなリーダーの強力な選択的阻害剤を開発するための組成物および方法を提供する。この発見を鑑みて、本明細書で概説されるアプローチは、BETファミリー中で選択性を有する追加的阻害剤を同定するための、追加的候補を同定するのに有用たり得る。
実施例7:JQ1鏡像異性体は、BRD4.1およびBRD4.2に結合し阻害する。
図11および12は、JQ1鏡像異性体が、BRD4.1およびBRD4.2に結合して阻害することを示す。図13は、JQ1SのBETファミリーメンバー(活性)およびCBP(不活性)への結合および阻害の比較を示す。図14は、JQ1誘導体の集中ライブラリー(化合物構造については上の表Bを参照されたい)の用量範囲試験の結果を示す。
実施例8:JQ1は、BRD3−NUTがんの治療に効果的である
マウスに、BRD3−NUT細胞を皮下移植した。腫瘍測定データを毎週収集した。腫瘍が触診可能になったら、マウスを2つの処理群(n=10)に分けた:JQ1は50mg/kg腹腔内(IP)7日/週で投与し、ビヒクルはIP7日/週で投与した。注射後24日目に、各群から5匹のマウスを安楽死させて、腫瘍サンプルを採取して研究室分析に送った。研究の残り期間を通じて、マウス殺処分時に腫瘍サンプルを採取した。全サンプルで、腫瘍の半分は10%ホルマリン中で固定し、別の半分はドライアイス上で急速冷凍した。処理は、32日目に終了した。全てのマウスが瀕死になるか、または腫瘍の寸法のいずれかが2cmに達するまで、腫瘍体積および重量を毎週採取した。図15Aは、JQ1が、マウス異種移植モデル中で、BRD3−NUTに対する生体内有効性を示すことを示すグラフである。JQ1による処理は、治療時に腫瘍退縮をもたらした。治療休止に際して、腫瘍成長は再開した。腫瘍体積の差は、任意の時点で有意であった(24日目にp=7.65274E−09)。JQ1は、50mg/kgで投与された。図15Bは、JQ1で処理されたマウスが穏和な体重減少と、治療休止後の迅速な回復を示すことを示す。
実施例9:JQ1およびそのアナログは多様ながんに対して効果的である
図16A〜16Dは、JQ1およびその誘導体が、5μMのJQ1で、Brd4.1およびBrd4.2結合を阻害することを示す(化合物構造については上の表Aを参照されたい)。図17A〜17Dは、JQ1およびその誘導体による2μM化合物での処理に続く、NUT正中がん腫(NMC)細胞生存度を示す(化合物構造については上の表Aを参照されたい)。図18〜55は、多様ながん細胞系の用量応答生存度を示す。これらのデータは、JQ1およびその誘導体が、広範ながんに対して抗がん有効性を示すことを示唆する。
本明細書で報告される結果は、以下の方法と材料を使用して得られた。
実施例10:結合アッセイ結果
結合アッセイの結果を下の表Cに示す。
リード化合物のBRD4部位1との結合活性は、12点用量応答曲線を用いて、α−アッセイによって決定された(図56A)。化合物(S)−JQ1(JQS)を陽性対照として使用した。(R)−JQ1(JQR)を陰性対照として使用した。化合物JQ6、JQ8、JQ13、JQ33、およびJQ35は、優れた結合活性を呈示した。全てのリード化合物のBRD4部位2との結合活性の結果もまた、12点用量応答曲線を用いて、α−アッセイによって決定された(図56B)。化合物JQ6、JQ8、JQ13、JQ33、およびJQ35は、優れた結合活性を呈示した。
(患者由来の)797細胞系の細胞アッセイにおいて、リード化合物の活性を検査し、BRD4−NUT依存性細胞系に対する、BRD4阻害の成長効果を判定した。細胞を化合物と共に培養し、72時間後に増殖をモニターした。曲線適合は、ロジスティック退縮により計算した(図56C)。患者に直接由来する10326細胞系の細胞アッセイにおいて、全てのリード化合物を検査し、BRD4−NUT依存性細胞系に対する、BRD4阻害の成長効果を判定した(図56D)。細胞を化合物と共に培養し、72時間後に増殖をモニターした。曲線適合は、ロジスティック退縮により計算した。
試薬
内在性BRD4−NUT発現中線がん腫細胞系797およびPER−403については、既に述べた。非NMC ヒト扁平上皮がん細胞系TE10およびTTは、Anil Rustgi博士(University of Pennsylvania)およびAdam Bass博士(Dana−Farber Cancer Institute)から得られた。U2OS細胞は、ATCCから得られた。GFP−BRD4、GFP−NUT、およびGFP−BRD4−NUTのための哺乳類過剰発現コンストラクトについては、以前記載されている。組織培養のための培地、トリプシン、および抗生物質は、Mediatechから購入した。免疫組織化学およびフローサイトメトリーのための抗体および系統は、Dako(サイトケラチンAE1/AE3抗体 カタログ番号N1590)、Millipore(タネルカタログ番号S7100)、Vector(Ki67 カタログ番号VP−RM04)、Cell Signaling Technologies(NUT カタログ番号3625)、BD Pharmingen(アネクシンV−FITC カタログ番号556547)、およびInvitrogen(ヨウ化プロピジウム カタログ番号P3566)から得られた。
アセチル−ヒストン結合アッセイ
製造会社のプロトコル(PerkinElmer,USA)をわずかに修正して、以前記載されているようにしてアッセイを実施した。全ての試薬は、0.05%CHAPSを添加した50mM HEPES、100mM NaCl、0.1%BSA、pH7.4の中で希釈して、プレートへの添加前に室温に平衡化させた。150〜0μMの範囲にわたるリガンドの24点1:2連続希釈を調製し、4μlを小容積384ウェルプレート(ProxiPlate(商標)−384 Plus,PerkinElmer,USA)に移し、4μlのHIS標識タンパク質(BRD4/1、250nM、BRD4/2およびCREBBP、2000nM)がそれに続いた。プレートを密封して、タンパク質への等モル濃縮の4μlのビオチン化ペプチドの添加前に、室温で30分間インキュベートした[BRD4(1)&BRD4(2)用ペプチド:H4K5acK8acK12acK16ac、H−SGRGK(Ac)GGK(Ac)GLGK(Ac)GGAK(Ac)RHRK(ビオチン)−OH;CREBBP用ペプチド:H3K36ac、ビオチン−KSAPATGGVK(Ac)KPHRYRPGT−OH(Cambridge Research Biochemicals,UK)]。プレートを密封して、4μlのストレプトアビジン被覆供与体ビーズ(25μg/ml)と4μlのニッケルキレート受容体ビーズ(25μg/ml)を弱光条件下で添加する前に、さらに30分間インキュベートした。プレートをホイルで密封して遮光し、室温で60分間インキュベートして、AlphaScreen 680励起/570発光フィルターセットを使用して、PHERAstar FSプレートリーダー(BMG Labtech,Germany)上で読み取った。IC50値は、対応するDMSO対照に対する正規化後にPrism 5(GraphPad Software,USA)中で計算され、20μlの反応容積中の化合物の最終濃度として提示される。
配列アラインメント
完全長ヒトブロモドメインのアミノ酸配列は、NCBI(BRD2受け入れ番号NP_005095、BRD3受け入れ番号NP_031397.1、BRD4受け入れ番号NP_055114.1、BRD−T受け入れ番号NP_001717.2)から得られた。ClustalW19を使用して、個々のブロモドメインの多配列比較を実施した。
フォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)
先に記載されたようにして3,20、FRAP試験をU2OS細胞上で実施した。手短に述べると、BRD4、NUT、およびBRD4−NUTを含むGFPキメラをコードする哺乳類過剰発現コンストラクトで、U2OS細胞を形質移入した(リポフェクトアミン;Invitrogen)。各視野内の1つの細胞中で、5μmの核領域を高レーザー光量でブリーチングし、低レーザー光量および150μmのピンホールで回復を測定した。37℃加熱チャンバーとFRAPモジュール装着した、Nikon C1プラス共焦点顕微鏡を使用して、90秒間にわたり同一視野の画像を得た。ブリーチング領域の平均強度をMetaMorph v7を使用して経時的に測定し、ブリーチング前の対象の独立領域に正規化した。次にデータをMicrosoft Excel Mac 12.2.4中で分析し、最大半量蛍光回復を評価した。
分化および増殖免疫組織化学
培養がん細胞系(797、Per403、TT、およびTE10)をチャンバー(4チャンバースライド)あたり1.0×10個の細胞またはチャンバー(8チャンバースライド)あたり5.0×10個の細胞で、チャンバースライド内で培養した。細胞をJQ1−ラセミ、(+)−JQ1、(−)−JQ1、またはビヒクル(DMSO)で処理し、様々な時間間隔で培養した。次に培地を除去して、チャンバーを冷PBSで洗浄した。次に細胞を4℃の4%ホルムアルデヒド中で20分間固定して、PBSで洗浄し、下述するように、染色のために、Dana−Farber/Harvard Cancer Center(DF/HCC)Specialized Histopathology Services Coreat Brighamand Women’s Hospitalに輸送した。最初にT−75フラスコ中でがん細胞系(797およびPer403)を増殖させ、JQ1またはビヒクル(DMSO)のどちらかで48時間処理して、細胞ペレットの免疫組織化学研究を実施した。次に細胞をトリプシン処理して、2,000rpmで10分間の遠心分離によって細胞ペレットを形成し、1/2容積のHistoGel(Richard−Allen Scientific)と10%ウシ血清アルブミンで安定化させた。細胞ペレットをPBSで洗浄し、4℃の4%ホルムアルデヒド中で20分間固定した。次に細胞をPBSで洗浄し、下述するように、染色のために、DF/HCC Core Laboratory at the Brighamand Women’s Hospitalに輸送した。光学顕微鏡検査によって、実験あたり5つの高倍率(40×)視野を使用して、Ki67染色の定量分析(細胞スコア付け)を実施した。全ての固定材料は、確立された最適化プロトコルを使用して、DF/HCC Core Laboratory at Brighamand Women’s Hospitalにより、包埋、薄片、染色された。Olympus BX40顕微鏡(Olympus Imaging America,Center Valley,PA)およびMicropublisher 3.3 RTVカラーカメラ(QImaging,Surrey,BC)を使用して、画像が得られた。
細胞増殖アッセイ
ウェルあたり全培地容積50μL中の500個の細胞で、白色384ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)内に細胞を接種した。1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび10%FBSを含有するDMEM中で、797、TT、およびTE10細胞を培養した。1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび20%FBSを含有するDMEM中で、Per403細胞を培養した。ロボットピン移動(robotic pin transfer)(V&P Scientific 100nLピンツールを装着したPerkin Elmer JANUS)によって、化合物をマイクロタイターアッセイプレートに送達した。37℃で48時間のインキュベーションに続いて細胞を溶解し、市販の増殖アッセイを使用して、総ATP含量についてウェルを評価した(Cell TiterGlo;Promega)。反復測定を用量について分析し、ロジスティック回帰によってIC50の推定を計算した(GraphPad Prism)。
フローサイトメトリー
培養ヒトがん細胞(797、Per403、TT、およびTE10)をウェルあたり出発濃度5.0×104細胞で、6ウェル組織培養プレート(BD Falcon)内で培養した。細胞は、JQ1(500nM)、スタウロスポリン(50nM)またはビヒクル(DMSO 0.05%)で、24時間または48時間処理した。トリプシン処理細胞と、アネクシンV−FITC(BD Pharmingen、1:500)およびヨウ化プロピジウム(Invitrogen、1:1000)を含有するアネクシンV/ヨウ化プロピジウム緩衝液(10mM HEPES pH7.4、140mM NaCl、2.5mM CaCl2)とを氷上で1:1で混合した。サンプルをBD FACS Canto II上で、即座に分析した。FlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェア(Tree Star,Inc.)を使用して、アポトーシス画分の可視化および分析を作成した。
異種移植片の有効性研究
6週齢メスNCrヌードマウス(Charles River Laboratories)の側腹部に、30%マトリゲル(BD Biosciences)中の797NMC細胞(10)を注射することで、NMC異種移植片を確立した。注射の12日後、測定可能腫瘍があるマウスを50mg/kg IPのJQ1またはビヒクル(5%デキストロース中の5%DMSO)で処理されたコホートに分けた。JQ1処理群(n=8)およびビヒクル群(n=7)の平均腫瘍サイズは、処理開始時に同様であった(それぞれ63.8+/−17.1および73.6+/−14.4mm3)。動物を毎日、臨床症状について追跡調査した。ノギス測定によって腫瘍測定値を評価し、式、Vol=0.5×L×Wを使用して体積を計算した。処置の2週間後、全てのマウスを人道的に安楽死させ、組織病理学検査のために腫瘍を10%ホルマリン中で固定した腫瘍体積の統計的有意性は、両側スチューデントt試験によって計算した。全ての動物試験は、DFCIのIACUCによって認可された。
使用機器
陽子および炭素13核磁気共鳴(HNMRおよび13CNMR)スペクトルは、Harvard Medical School East Quad NMR FacilityのVarianインベルターゼプローブ600 INOVA分光計によって記録した。化学シフトはδスケール上でppmで記録され、H NMRではNMR溶媒中の残留プロチウム(CHCl:δ7.24)、13C NMRでは溶媒の炭素共鳴(CDCl:δ77.2)をそれぞれ参照する。データは、次のように報告される:化学シフト[多重度(s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、br=ブロード)、カップリング定数(Hz)、積分]。高解像度質量スペクトル(HRMS)は、Instrumentation Facility of the Department of Chemistry,Massachusetts Institute of Technologyにおいて、Bruker APEX 4.7 Tesler FTMS分光計上で、エレクトロンスプレイイオン源(ESI)を使用して記録した。CombiFlash RFシステム(Teledyne Isco)を用いて、中間体および最終生成物を精製した。有機溶液をBuechi R−205回転蒸発器上で濃縮した。Berger超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)およびAS−Hカラムを用いて、鏡像異性体純度をチェックした。Agilent高圧液体クロマトグラフィーおよびOD−Hカラム(Broad Institute of Harvard and MIT)を用いて、鏡像異性体分取精製を実施した。
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その他の実施形態
前述の説明から、本明細書に記載される発明に変更および修正を加えて、様々な用途と条件に適合させてもよいことは明らかである。このような実施形態もまた、以下の請求項の範囲内である。
本明細書の任意の変数の定義における要素一覧の列挙は、任意の単一要素または列挙された要素の組み合わせとしての変数の定義を含む。本明細書の実施形態の列挙は、任意の単一実施形態としての、または任意のその他の実施形態またはその部分と組み合わさった、その実施形態を含む。
本出願は、2010年5月14日に出願された米国仮特許出願第61/334,991号明細書;2010年8月4日に出願された米国仮特許出願第61/370,745号明細書;および2010年8月22日に出願された米国仮特許出願第61/375,863号明細書に関連する。これらの各出願の内容は、参照によって本明細書に援用する。
本明細書で言及される全ての特許および刊行物は、具体的に任意の目的のために特許および刊行物がそれぞれが独立して個々に援用されたかのように、参照によって本明細書に援用する。

Claims (94)

  1. 式I、

    式中、
    XはNまたはCRであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
    環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
    Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
    はH、D、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
    各Rは独立して、
    (i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
    (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
    (iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
    (iv)NH、N=CR
    からなる群から選択され;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    mは0、1、2、または3であるが;
    ただし
    (a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
    (b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−CO−N(R)である)であり、RでRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
    (c)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは1であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
    化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  2. Rが、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  3. LがH、−COO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、または任意選択的に置換されるアリールである、請求項1に記載の化合物。
  4. 各Rが独立して、H;O、S、またはNから選択される0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有する−C〜Cアルキル;またはNH、N=CRからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
  5. がH、D、ハロゲンまたはメチルである、請求項1に記載の化合物。
  6. が、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシである、請求項1に記載の化合物。
  7. がメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである、請求項1に記載の化合物。
  8. 環Aが5または6員環アリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  9. 環Aがチオフラニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである、請求項1に記載の化合物。
  10. 環Aがフェニルまたはチエニルである、請求項1に記載の化合物。
  11. mが1または2であり、Rの少なくとも1つの存在がメチルである、請求項1に記載の化合物。
  12. 各Rが独立して、H、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRがそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る、請求項1に記載の化合物。
  13. 式II、

    式中、
    XはNまたはCRであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
    Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    R’はH、−COO−R、−CO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
    各Rは独立して、
    (i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
    (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
    (iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル;−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル
    からなる群から選択され;
    mは0、1、2、または3であるが;
    ただしR’が−COO−Rであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRはメチルでもエチルでもない
    化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  14. Rが、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである、請求項13に記載の化合物。
  15. Rが、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである、請求項14に記載の化合物。
  16. Rがp−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである、請求項15に記載の化合物。
  17. R’が−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;Rが、O、S、またはNから選択される0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい−C〜Cアルキルである、請求項13に記載の化合物。
  18. R’が−COO−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルであり;またはR’がHまたは任意選択的に置換されるフェニルである、請求項17に記載の化合物。
  19. がメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである、請求項13に記載の化合物。
  20. がメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、またはCOOCHOC(O)CHである、請求項13に記載の化合物。
  21. 各Rが独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、または任意の2つのRが、それぞれが付着する原子と一緒に融合アリールを形成し得る、請求項13に記載の化合物。
  22. 各Rがメチルである、請求項21に記載の化合物。
  23. 式III、

    式中、
    XはNまたはCRであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
    環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
    Rは、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    各Rは独立して、
    (i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
    (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
    (iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
    (iv)NH、N=CR
    からなる群から選択され;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    mは0、1、2、または3であるが;
    ただし
    (a)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rがフェニルまたは置換フェニルであり、Rがメチルであれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならず、モルホリノ環を形成せず;
    (b)環Aがチエニルであり、XがNであり、Rが置換フェニルであり、RがHであり、Rがメチルであり、RおよびRの一方がHであれば、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでない;および
    化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  24. Rが、それぞれが任意選択的に置換される、アリールまたはヘテロアリールである、請求項23に記載の化合物。
  25. Rが、それぞれが任意選択的に置換される、フェニルまたはピリジルである、請求項24に記載の化合物。
  26. Rがp−Cl−フェニル、o−Cl−フェニル、m−Cl−フェニル、p−F−フェニル、o−F−フェニル、m−F−フェニルまたはピリジニルである、請求項24に記載の化合物。
  27. がH、NH、またはN=CRである、請求項23に記載の化合物。
  28. 各Rが独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールである、請求項23に記載の化合物。
  29. が、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである、請求項23に記載の化合物。
  30. 式IV、

    式中、
    XはNまたはCRであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、ヒドロキシラルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−COO−Rであり;
    環Aはアリールまたはヘテロアリールであり;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;または任意の2つのRはそれにそれぞれが付着する原子と一緒に融合アリールまたはヘテロアリール基を形成し得て;
    は−(CH−L(式中、nは0〜3であり、LはHである)、−COO−R、−CO−R、−CO−N(R)、−S(O)−R、−S(O)−N(R)、N(R)、N(R)C(O)R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールであり;
    はH、D、ハロゲン、または任意選択的に置換されるアルキルであり;
    各Rは独立して、
    (i)H、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール;
    (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
    (iii)O、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニル;それぞれが任意選択的に置換されていてもよい、−C〜C12シクロアルキル、置換−C〜C12シクロアルキル、−C〜C12シクロアルケニル、または置換−C〜C12シクロアルケニル;および
    (iv)NH、N=CR
    からなる群から選択され;
    各Rは独立して、それぞれが任意選択的に置換される、H、アルキル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    は、それぞれが任意選択的に置換される、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;またはRおよびRはそれにそれらが付着する炭素原子と一緒になって4〜10員環を形成し;
    mは0、1、2、または3であるが;
    ただし
    (d)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、次にRおよびRはそれにそれらが付着する窒素原子と一緒にならずモルホリノ環を形成せず;
    (e)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−CO−N(R)である)であれば、RおよびRの一方はHであり、次にRおよびRの他方はメチル、ヒドロキシエチル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルでなく;
    (f)環Aがチエニルであり、XがNであり、RがHであり、Rがメチルであり、Rが−(CH−L(式中、nは0であり、Lは−COO−Rである)であれば、次にRはメチルでもエチルでもない
    化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  31. が−(CH−(式中、nは0〜3であり、Lは−COO−R、任意選択的に置換されるアリール、または任意選択的に置換されるヘテロアリールである)であり;RがO、S、またはNから選択される、0、1、2、または3個のヘテロ原子を含有して任意選択的に置換されていてもよい−C〜Cアルキルである、請求項30に記載の化合物。
  32. nが1または2であり、Lがアルキルまたは−COO−Rであり、Rがメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、またはt−ブチルである;またはnが1または2であり、LがHまたは任意選択的に置換されるフェニルである、請求項31に記載の化合物。
  33. がHまたはメチルである、請求項30に記載の化合物。
  34. がメチル、エチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、COOH、COOMe、COOEt、COOCHOC(O)CHである、請求項30に記載の化合物。
  35. 環Aがフェニル、ナフチル、ビフェニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ピリジル、フラニル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルである、請求項30に記載の化合物。
  36. 各Rが独立して、任意選択的に置換されるアルキルであり、またはそれにそれぞれが付着する原子と一緒にアリールを形成し得る任意の2つのRである、請求項30に記載の化合物。
  37. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物またはその誘導体の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で新生物を治療または予防する方法。
  38. 前記化合物が、配合I〜IVのいずれかの化合物である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記細胞を請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の有効量に接触させるステップと、それによって新生物細胞の成長、増殖または生存を低下させるステップとを含んでなる、新生物細胞の成長、増殖または生存を低下させる方法。
  40. 前記細胞を請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物に接触させるステップと、それによって前記新生物細胞中で分化を誘導するステップとを含んでなる、新生物細胞中で分化を誘導する方法。
  41. 前記細胞を請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量に接触させるステップとそれによって前記新生物細胞中で細胞死を誘導するステップとを含んでなる、新生物細胞中で細胞死を誘導する方法。
  42. BETファミリーのブロモドメインに結合する化合物を選択するステップをさらに含んでなる、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 細胞環境内でブロモドメインのクロマチンへの結合を阻害する化合物を選択するステップをさらに含んでなる、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
  44. 示差走査型蛍光定量法(DSF)、等温滴定熱量計、および/またはルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(ALPHA−screen)を使用して、結合特異性について化合物を選択するステップをさらに含んでなる、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記アッセイ中で、前記化合物がブロモドメインの熱安定性を増大させる、請求項44に記載の方法。
  46. 前記BETファミリーメンバーが、BRD2、BRD3、BRD4またはBRDTである、請求項42に記載の方法。
  47. 前記細胞が前記対象中にある、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
  48. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与するステップと、それによって対象中で新生物を予防または治療するステップを含んでなる、対象中で新生物を予防または治療する方法。
  49. 前記対象が哺乳類である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記哺乳類がヒトである、請求項48に記載の方法。
  51. 対象中で新生物の成長または増殖を低下させる、請求項48に記載の方法。
  52. 前記新生物が転写活性化因子によって駆動される、請求項48に記載の方法。
  53. 前記転写活性化因子がmycである、請求項52に記載の方法。
  54. 前記対象が、バーキットリンパ腫、小細胞肺がん、乳がん、大腸がん、神経芽細胞腫、多形グリア芽細胞腫、MLL駆動白血病、慢性リンパ球性白血病、NUT正中がん、扁平上皮がんまたはNUT再配列と関連付けられている任意のその他のがん腫からなる群から選択される新生物を有する、請求項48に記載の方法。
  55. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量と、そのための薬学的に許容可能な賦形剤またはキャリアとを含んでなる組成物。
  56. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量と、前記化合物の投与のための書面による使用説明とを含んでなる包装医薬品。
  57. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、前記化合物がブロモドメインのアセチルリジンへの結合を妨害し、またはさもなければクロマチンからBETファミリーメンバーを置き換え、それによって前記新生物を予防または治療する、対象中で新生物を予防または治療する方法。
  58. 前記化合物が、ヒストンH4 KacペプチドのBETファミリーメンバーへの結合を阻害する、請求項57に記載の方法。
  59. 前記BETファミリーメンバーが、BRD2、BRD3、BRD4またはBRDTである、請求項57に記載の方法。
  60. 前記化合物が、BETファミリーブロモドメインのKac結合部位に結合する、請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。
  61. 試験化合物をブロモドメインを含んでなるBETファミリーメンバーに接触させるステップと;前記ブロモドメインへの特異的結合を検出し、それによって前記試験化合物を新生物の治療に有用であると同定するステップを含んでなる、新生物治療のための化合物を同定する方法。
  62. 結合特異性が、示差走査型蛍光定量法(DSF)を使用してアッセイされる、請求項61に記載の方法。
  63. 結合が、前記ブロモドメインの熱安定性を増大させる、請求項61に記載の方法。
  64. 結合が、等温滴定熱量計を使用して検出される、請求項61に記載の方法。
  65. 結合が、ルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(ALPHA−screen)を使用して検出される、請求項61に記載の方法。
  66. 前記化合物が、ヒストンH4 Kacペプチドの前記ブロモドメインへの結合を阻害する、請求項61に記載の方法。
  67. 前記化合物が、前記ブロモドメイン中の進化的に保存されたアスパラギンと水素結合を形成する、請求項61に記載の方法。
  68. 前記BETファミリーメンバーがBRD4またはBRD2であり、前記アスパラギンがBRD4(1)中のAsn140およびBRD2(2)中のAsn429である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記化合物が細胞環境内でクロマチンと競合的に結合する、請求項61に記載の方法。
  70. クロマチンとの競合結合が、フォトブリーチング後蛍光回復(FRAP)を使用して検出される、請求項69に記載の方法。
  71. 生体外の新生物細胞中で実施される、請求項69に記載の方法。
  72. 細胞増殖の低下、細胞死の増大、または細胞分化の増大を検出するステップをさらに含んでなる、請求項71に記載の方法。
  73. 細胞死がアポトーシス細胞死である、請求項72に記載の方法。
  74. 細胞分化が、サイトケラチン発現増大の検出によって識別される、請求項71に記載の方法。
  75. 転写伸長の低下を検出するステップをさらに含んでなる、請求項71に記載の方法。
  76. BETファミリーブロモドメインに結合して前記ブロモドメインとクロマチンとの相互作用を妨害できる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の有効量を前記対象に投与するステップと、それによって前記がんを予防または治療するステップを含んでなる、対象中で新生物を治療または予防する方法。
  77. 前記対象の新生物細胞の細胞死または分化を誘導する、請求項76に記載の方法。
  78. ヒストンH4KacペプチドのBETファミリーブロモドメインへの結合を阻害する、請求項1〜36に記載の化合物からなる群から選択される化合物の有効量と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、新生物を治療または予防するための組成物。
  79. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象中で炎症を低下させる方法。
  80. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物の有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含んでなる、対象中で炎症性疾患を予防または治療する方法。
  81. 前記対象が哺乳類である、請求項80に記載の方法。
  82. 前記哺乳類がヒト患者である、請求項80に記載の方法。
  83. サイトカインレベル、ヒスタミン放出、または免疫応答性細胞の生物学的活性を低下させる、請求項80に記載の方法。
  84. 試験化合物をブロモドメインを含んでなるBETファミリーメンバーに接触させるステップと;前記ブロモドメインへの特異的結合を検出し、それによって前記試験化合物を炎症の治療に有用として同定するステップとを含んでなる、炎症治療のための化合物を同定する方法。
  85. 式、

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  86. 化合物が(+)−JQ1:

    である、請求項85に記載の化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  87. 式、

    または

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  88. 式、

    または

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  89. 式、

    のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  90. 式、

    のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  91. 構造、






    のいずれか1つによって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  92. 構造、

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  93. 構造、

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
  94. 構造、

    によって表される化合物、またはその塩、溶媒和化合物または水和物。
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