JP2013531681A - 非アルコール性脂肪肝疾患の予防および治療のためのアデノウイルスad36e4orf1タンパク質 - Google Patents

非アルコール性脂肪肝疾患の予防および治療のためのアデノウイルスad36e4orf1タンパク質 Download PDF

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    • C12N2710/10333Use of viral protein as therapeutic agent other than vaccine, e.g. apoptosis inducing or anti-inflammatory

Abstract

本発明は、一般的に、非アルコール性脂肪肝疾患の症状を治療または予防するための方法、肝臓から過剰な脂肪を低減するための方法、血糖コントロールを改善する方法、および肝機能障害を治療または予防するための方法に関し、該方法は、治療有効量のアデノウイルス36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを投与する工程を含む。

Description

関連出願に対する相互参照
本願は、その全体において全ての目的のために参照により本明細書に援用される、2010年7月8日に出願された発明の名称が「非アルコール性脂肪肝疾患の予防および治療のためのアデノウイルスAd36 E4orf1タンパク質」である米国仮特許出願第61/362,443号の利益を主張する。
政府資金提供
本発明の開発は、助成金番号R01 DK066164の国立衛生研究所からの助成金の下で、一部、政府により資金提供された。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
背景
肝臓は、脂肪代謝において主な役割を有し、通常、「正常レベル」までのみであるが脂質(脂肪)を蓄積する。肝細胞中の過剰な脂質の蓄積は、代謝的に有害であり、β酸化の低下またはリポタンパクの分泌の低下などの種々の肝機能障害により生じ得、肝臓脂質症を引き起こす。肝臓の多くの機能のうち別のものは、グルコースを循環(circulation)中に放出することである。健常個体においては、肝臓細胞は、血糖レベルを調節するためにグルコースを規則的に放出する。対照的に、糖尿病を有する個体においては、肝臓細胞は、グルコースを制御できずに放出し、血糖レベルが上昇する。そのため、肝臓細胞(肝細胞)からのグルコースの放出を低減することは、糖尿病の制御に非常に有効であり得る。
肝臓中の過剰な脂質蓄積は、インスリン抵抗性に寄与し、そのため不充分な血糖コントロール(glycemic control)に寄与し得る。脂肪組織(fat tissue)(脂肪組織(adipose tissue))により分泌されるタンパク質であるアディポネクチンは、多くの様式でインスリン感受性を向上させる。アディポネクチンは、アディポネクチン受容体AdipoR1およびAdipoR2を介して作用し、AMPKおよびPPARα経路を活性化させ(32)、全身および肝臓のインスリン抵抗性を低下させ、肝臓炎症および線維症を低減させる(32)。アディポネクチンKOマウスモデルまたは過剰発現マウスモデルにより示されるように、アディポネクチンは、肝臓脂質含有量の強力な決定因子である(14、33)。アディポネクチンは、AMPK媒介性肝臓脂質酸化の上方制御により肝臓脂肪症を低下させる(34)。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、米国において、成人の20%までが患い(affect)、肝臓における脂肪の過剰な蓄積(肝臓脂肪症)を含む。非アルコール性脂肪肝疾患は、しばしば肥満およびインスリン抵抗性に関連する(1、2)。NAFLDの罹患率は、2型糖尿病または肥満を有する成人において約70〜80%であり(3〜5)、全ての子供で3〜10%であり、および肥満の子供で40〜70%までである(4)。NAFLDは、より多い全死亡率および肝臓関連死亡率に関連する(6、7)。脂肪症に加えて、炎症および線維症が発症し得、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓不全および肝細胞癌に進行し得る。脂肪症は潜在的に可逆的であるが、一旦NASHまで進行すると、確立された治療はなく、わずかな利用可能な薬物療法は限られた成功を示す(8、9)。そのため、適切な時期の肝臓脂肪症の予防および/または治療が重要である。しかしながら、NAFLDについてさえ、薬物治療は最低限の成功しか有しておらず(10)、食事の脂肪摂取および肥満を低減することが、治療の中心である(11)。明確な健康の利益にかかわらず、食事または肥満の持続的な改善を達成するための生活習慣の変更に対するコンプライアンスは、一般の人にとって困難であることが明らかになっている。
過剰な肥満症または高脂肪(HF)食はNAFLDの危険因子であるが、アデノウイルス36(Ad36)は、HF食を続けて内蔵脂肪(adiposity)または皮下脂肪(adiposity)が低下することがないにも関わらず、マウスにおいて肝臓脂肪症を低減させる。Ad36は、HF食誘導性肝臓脂肪症を低減するために、存在する脂肪組織を質的に作り変えると思われる。Ad36による脂肪組織の代謝の質のこの変化は、脂肪酸の取り込みの増加および脂肪酸の放出の低下ならびにより多くのアディポネクチン分泌を含む(12、13)。Ad36のこの特有の能力は、過剰な肥満症または過剰な食事脂肪摂取を低減させる必要なく、過剰な肥満症または過剰な食事脂肪摂取の病的効果を有意義に打ち消すにするための顕著なモデルを提供する。チアゾリジンジオン(TZD)類の薬物も、脂肪組織の代謝の質を改善し、アディポネクチンを上方制御し、肝臓脂肪症を改善し得る(14〜16)。TZDの重大な副作用が報告されている(17〜19)。
Ad36は、動物において病的状態または意図されない死亡状態を引き起こさない。また、Ad36は、特にHF食の存在下で、TZDの作用を超える明確な利点を有するようである。TZDとは異なり、Ad36は、HF食を与えられたマウスにおいて肥満症を増大させない(20、21)。HF食の存在下で、TZDは、血糖コントロールを改善し得るが、同時に、肝臓を含む種々の器官における脂質貯蔵を促進させる(20、22、23)。このことは、脂肪摂取が低減されない場合、TZDの範囲を制限する。Ad36の食事脂肪および肥満症非依存的な効果のために、多数の代謝経路に対するAd36の潜在的な作用は、臨床的により魅力的であり、そのため潜在的により効果的である新規の脂肪症に対するアプローチを提供し得る。
有益な目的のためにウイルスの特定の性質を利用すること、例えばバクテリオファージウイルスの殺菌性(27)、変異体アデノウイルスの腫瘍崩壊性の能力(28)の使用、または癌の治療のための単純疱疹ウイルスおよびいくつかの他のウイルスの単独の使用(29)もしくは種々の相乗作用性薬物との併用(30、31)が、数年間有意義に使用されている。
そのため、肥満症または食事脂肪摂取非依存的に肝臓脂肪症を低減するための薬剤は、非常に魅力的であり、実際に有益である。
発明の概要
本発明は、Ad36感染は、肝臓病理および肝機能障害の発生率の低下に関連するという発見、ならびにAd36 E4orf1タンパク質は、遺伝子発現および生化学的経路を改変するために使用でき、肝機能の改善をもたらすというの発見に関する。
本発明は、一般的に、個体において非アルコール性脂肪肝疾患の症状を治療または予防する方法に関する。いくつかの局面において、該方法は、個体に、治療有効量のアデノウイルス36 E4orf1タンパク質を投与する工程を含み、個体の症状は、投与後に改善する。
本発明はまた、個体において肝臓中の過剰な脂肪を低減する方法に関する。いくつかの局面において、該方法は、個体に、治療有効量のアデノウイルス36 E4orf1タンパク質を投与する工程を含み、肝臓中の脂肪は、投与後に低下する。
本発明はまた、個体において血糖コントロールを改善する方法に関する。いくつかの局面において、該方法は、個体に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質を投与する工程を含み、インスリン感受性は、投与後に上昇する。
本発明はまた、脂肪肝および/またはインスリン抵抗性を特徴とする肝機能不全を治療または予防する方法に関する。いくつかの局面において、該方法は、個体に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質を投与する工程を含み、肝臓脂肪蓄積は、投与後に改善される。肝臓脂肪蓄積の改善は、脂質酸化の増加または肝臓からの脂質の輸送の増加を特徴とし得る。
本発明はまた、NASHを低減または予防する方法に関する。いくつかの局面において、該方法は、個体に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質を投与する工程を含み、肝機能不全により生じる高血糖が低減される。
アデノウイルス36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号:2またはその機能的バリアントであり得る。アデノウイルス36 E4orf1の核酸配列は、配列番号:1またはその機能的バリアントを含み得る。個体はヒトであり得る。
アデノウイルス36 E4orf1タンパク質は、個体に、アデノウイルス36 E4orf1タンパク質をコードする核酸分子を、アデノウイルス36 E4orf1タンパク質の発現が可能になる様式で導入することにより個体に投与され得る。核酸配列は、任意の適切な方法を使用して導入され得る。エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ磁場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ナノ粒子送達、ウイルスベクターおよび裸のDNA転移などの多くの適切な方法が当該技術分野において通常である。
図1は、食餌を与えたマウスにおける腹膜後脂肪パッドおよび肝臓の重量を示すグラフである。 図2は、高脂肪(HF)食を与えたマウスの体重を示すグラフである。 図3Aは、食餌を与えたマウスの空腹時血清グルコースを示すグラフである。図3Bは、食餌を与えたマウスの血清インスリンを示すグラフである。 図3Cは、HF食を与えたマウスにおける空腹時血清グルコースレベルの変化を示すグラフである。図3Dは、HF食を与えたマウスにおける空腹時血清インスリンの変化を示すグラフである。 図3Eは、HF食を与えたマウスにおける感染12週後のブドウ糖負荷試験の結果を示すグラフである。図3Fは、HF食を与えたマウスにおける感染20週後の自由に食餌を与えた場合の(free-fed)血清グルコースを示すグラフである。 図4Aは、HF食を与えたマウスの空腹時血清グルコースを示すグラフである。図4Bは、感染20週後のHF食を与えたマウスの自由に食餌を与えた場合の血清グルコースを示すグラフである。 図5Aは、HF食を与えたマウスの骨格筋におけるタンパク質アバンダンスを示すウェスタンブロットである。 図5Bは、HF食を与えたマウスの脂肪組織におけるタンパク質アバンダンスを示すウェスタンブロットである。 図5Cは、HF食を与えたマウスの肝臓におけるタンパク質アバンダンスを示すウェスタンブロットである。 図6Aは、C57Bl/6Jマウスの肝臓組織の過ヨウ素酸-シッフ染色のパネルである。暗い染色はグリコーゲンを示し、白い領域は脂質蓄積を示す。食餌を与えた対照マウスは、最小の脂質蓄積を示す。HF食を与えた群は、より大きな脂質蓄積を示した。しかしながら、Ad2ではなくAd36は、より低い脂質蓄積およびより多いグリコーゲンにより示されるように、HF食により誘導された脂肪症を有意に低減した(HF食を与えたmock感染対HF食を与えたAd36感染;p<.02)。 図6Bは、HF食を与えたマウスの肝臓切片のグリコーゲン含有量を示すグラフである。 図6Cは、HF食を与えたマウスの肝臓切片の脂質含有量を示すグラフである。 図7は、自由に食餌を与えた状態で感染の20週後に屠殺したHF食を与えたマウス由来の脂肪組織タンパク質を使用したウェスタンブロットを示す。(3匹のマウス/群)。図7A:GAPDHはローディング(loading)対照とした。mockと比較して、ホスホ-AKT、Glut1、Glut 4およびアディポネクチンはAd36群についてより大きかった(p<.05)が、Ad2についてはそうでなかった。図7B:mockと比較して、非還元、非変性条件下でアッセイしたアディポネクチンオリゴマーのそれぞれはAd2についてではなくAd36についてより大きかった(p<.03)。 図8は、HF食を与えたマウスの肝臓タンパク質を使用したウェスタンブロットを示す。mockと比較して、Ad36について、p-AMPKはより大きく、Glut2およびG6pアーゼはより低かった(p<.05)が、Ad2ではそうではなかった。 図9Aおよび9Bは、食餌を与えたマウスにおけるベースライン(0週)および感染12週後までの空腹時血糖(A)および空腹時血清インスリン(B)を示すグラフである。* mockに対してp<.05。 図10A〜Dは、HF食を与えたマウスにおける感染後のAd36、Ad2またはmock群における血清グルコースおよびインスリンの時間経過を示すグラフである。(A):4週および8週:ベースライン(0週)に対して調整した空腹時血清グルコース。 (B):12週: 2.5mg/g体重後のipブドウ糖負荷試験。 (C):20週:自由に食餌を与えた場合のグルコース。 (D):0週からの空腹時インスリンの変化。* それぞれの試験のmockに対してp<.05以下。 図11A〜Cは、E4orf1発現が3T3-L1(A)前駆脂肪細胞(preadipocyte)、(B)脂肪細胞および(C)C2C12筋芽細胞において基礎量2DGグルコース取り込みを有意に増加したことを示すグラフである。図11Dは、基礎量およびインスリン刺激条件下でのHepG2細胞によるグルコース産出を有意に低下したE4orf1発現を示すグラフである。
詳細な説明
概観
本発明は、Ad36感染は、肝臓病理および肝機能不全の発生率の低下に関連するという発見、ならびにAd36 E4orf1タンパク質は、遺伝子発現および生化学的経路を改変するために使用でき、肝機能の改善をもたらすというの発見に関する。これらの発見に基づいて、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、Ad36または単離されたAd36 E4orf1タンパク質もしくは組換えAd36 E4orf1タンパク質を個体に投与することにより、治療または、さらには予防され得る。NAFLDは、高頻度にNASHへと進行するために、NAFLDの病理学的プロセスを治療または低減することにより、NASHへの進行を低減または予防し得ることが当該技術分野において周知である。したがって、本発明はまた、NASHを低減または予防するための方法を含む。多くのウイルスは重大な肝臓損傷を引き起こすが(25、26)、Ad36およびAd36 E4orf1は、驚くべきことに、多数の代謝経路を好ましく調節することにより肝臓を保護し、それにより、肝臓脂肪症および肝機能に対して有益な効果を有する。
本明細書で使用する場合、「血糖コントロール」は、グルコースレベルを正常範囲内に維持する身体の能力のことをいう。血糖コントロールは、インスリン感受性が増加した場合に改善する。インスリン抵抗性は、血糖コントロールに対して反対の効果を有する。
本明細書で使用する場合、「グルコース取り込み」は、細胞がその周囲から取り込むグルコースの量のことをいう。一般的に、筋肉細胞または脂肪細胞(脂肪細胞および前駆脂肪細胞)によるより高いグルコース取り込みは、循環からグルコースを除去し、高血糖(血中の正常グルコースよりも高い)を改善させる場合に有益である。
ヒトの自然のAd36感染と、より良好な血糖コントロールおよびより低い肝臓脂質の関連が発見された。この関連は、動物モデルでさらに研究され、結果により、Ad36感染は、予想外に、肝臓脂質レベルを低下させ、血糖コントロールを改善することが確認された。さらなる研究により、Ad36の効果は、Ad36 E4orf1タンパク質により媒介されることが明らかになった。本明細書に記載されるように、実施された研究の結果により、Ad36 E4orf1タンパク質は、肝臓において脂肪酸化を増加させ、肝臓からの脂肪の輸送を増加させ、肝臓からのグルコース放出を低減させたことが立証される。したがって、本発明者により、ウイルスタンパク質Ad36 E4orf1は、NAFLDに対するAd36の保護効果、ならびに肝機能および血糖コントロールに対する有益な効果の原因であることが発見された。Ad36 E4orf1構造および特定の代謝機能は、国際公開番号WO 2007/064836として2007年6月7日に公開された国際特許出願PCT/US2006/045919に記載される。
本明細書に示すように、Ad36のE4orf1タンパク質は、肝臓脂肪症に対するAd36ウイルスの保護効果のメディエーターである。Ad36感染マウスは、その肝臓において、感染の5ヶ月後でもE4orf1遺伝子を発現し続ける。これらの肝臓は、有意に低い脂質蓄積および脂質酸化および脂質輸出(export)を促進する遺伝子のより高い発現を示す。また、Ad36 E4orf1は、アディポネクチンを上方制御し、Ad36 E4orf1を用いたHepG2細胞(肝細胞株)のトランスフェクションは、Glut2アバンダンスおよびグルコース放出を下方制御する。
いずれかの特定の理論に拘束されることを望まないが、アディポネクチンは、肝臓脂肪症の重要なエフェクターであり、脂肪組織により分泌されると考えられる。Ad36 E4orf1タンパク質単独の発現は、細胞によるアディポネクチン分泌を大きく増加させる。このことは、Ad36がE4orf1により媒介されるアディポネクチンの上方制御により、肝臓の脂質蓄積を低下させることを示す。また、Ad36 E4orf1は、Glut2アバンダンスおよびグルコース放出を下方制御し、肝臓におけるより低い脂質蓄積に寄与し得る。したがって、Ad36は、肝細胞に対する直接的な効果およびアディポネクチンを介した間接的な効果により肝臓脂肪症から保護し、E4orf1タンパク質はこれらの効果のメディエーターであると考えられる。
治療方法
本発明は、NAFLDを治療または予防し、肝臓からの過剰な脂質を低減し、血糖コントロールを改善し、肝機能障害を治療または予防するための治療方法を提供する。
一局面において、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の症状の治療および予防のための方法を提供する。NAFLDを治療または予防するために、Ad36組成物を必要とする個体(例えば、ヒトまたは他の霊長類などの哺乳動物)に、治療有効量のAd36組成物が投与される。
一局面において、本発明は、NASHの予防のための方法を提供する。肝機能障害により生じる高血糖を低減することによりNASHを予防するために、Ad36組成物を必要とする個体(例えば、ヒトまたは他の霊長類などの哺乳動物)に、治療有効量のAd36組成物が投与される。
一局面において、本発明は、個体(例えば、ヒトまたは他の霊長類などの哺乳動物)の肝臓から過剰な脂肪を低減するための方法を提供する。個体の肝臓から過剰な脂肪を低減するために、Ad36組成物を必要とする個体に、治療有効量のAd36組成物が投与される。
一局面において、本発明は、個体(例えば、ヒトまたは他の霊長類などの哺乳動物)において血糖コントロールを改善するための方法を提供する。個体において血糖コントロールを改善するために、Ad636組成物を必要とする個体に、治療有効量のAd36組成物が投与される。
一局面において、本発明は、脂肪肝および/またはインスリン抵抗性を特徴とする、肝機能障害を治療または予防するための方法を提供する。脂肪肝および/インスリン抵抗性を特徴とする肝機能障害を治療または予防するために、Ad36組成物を必要とする個体(例えば、ヒトまたは他の霊長類などの哺乳動物)に、治療有効量のAd36組成物が投与される。
本明細書に記載されるいずれかの方法の好ましい態様において、投与されるAd36組成物は、単離されたAd36 E4orf1タンパク質もしくは組換えAd36 E4orf1タンパク質またはそれらの機能的バリアントである。本明細書に記載されるいずれかの方法の他の態様において、投与されるAd36組成物は、Ad36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントをコードする単離された核酸または組換え核酸である。
Ad36組成物
本発明に従って投与されるAd36組成物は、種々の形態を有し得る。好ましくは、該組成物は、E4orf1またはその機能的バリアントを含む。例えば、Ad36組成物は、Ad36ウイルスまたは弱毒化されたバリアントであり得るか、あるいは熱殺傷もしくは漂白殺傷されたAd36または複製欠損組換えAd36などのAd36の不活性化された形態であり得る。Ad36組成物は、単離されたかまたは組換えのAd36タンパク質、好ましくはE4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを含み得る。Ad36組成物は、E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントをコードする核酸を含み得る。Ad36組成物は、E4orf1タンパク質のアナログ、例えば化学アナログまたは構造アナログを含み得る。
タンパク質およびペプチド
Ad36組成物は、単離されたかまたは組換えのAd36タンパク質、好ましくはE4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを含み得る。
本明細書において「単離された」と称されるタンパク質またはポリペプチドは、タンパク質またはポリペプチドが感染された哺乳動物細胞中に存在する状態を超えた状態にまで精製されたタンパク質またはポリペプチドである。E4orf1およびその機能的バリアントを含むAd36タンパク質は、組換え発現および精製、化学合成(例えば合成ペプチド)などの周知の方法を使用して、または生物学的方法と化学的方法の組合せ、および単離された組換えタンパク質またはポリペプチドにより作製され得る。タンパク質は、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは実質的に純粋な形態の単離された状態で得られ得る。本明細書において「組換え」と称されるタンパク質またはポリペプチドは、組換え核酸の発現により作製されたタンパク質またはポリペプチドである。
本明細書で使用する場合、「Ad36 E4orf1」は、天然に存在するE4orf1タンパク質またはアデノウイルス36由来の内在性E4orf1タンパク質、天然に存在するかまたは内在性の対応するAd36 E4orf1(例えば組換えタンパク質)の配列と同じアミノ酸配列を有するタンパク質、および前述のそれぞれの機能的バリアント(例えば、突然変異誘発および/または組換え技術により作製される機能的断片および/または変異体)のことをいう。したがって、本明細書に定義されるように、該用語は、成熟Ad36 E4orf1、グリコシル化Ad36 E4orf1タンパク質または非グリコシル化Ad36 E4orf1タンパク質、多形または対立遺伝子バリアント、ならびに(例えば選択的スプライシングまたは他の細胞プロセスにより作製される)Ad36 E4orf1の他のイソ型(isoform)、および機能的断片を含む。
Ad36 E4orf1の「機能的バリアント」としては、機能的断片、機能的変異体タンパク質および/または機能的融合タンパク質が挙げられる。一般的に、本発明に包含されるAd36 E4orf1の断片および部分としては、成熟Ad36 E4orf1に対してアミノ酸(すなわち、1つ以上のアミノ酸)の欠失(すなわち、1つ以上の欠失)(N末端、C末端または内部の欠失など)を有するものが挙げられる。成熟Ad36 E4orf1に対して連続アミノ酸のみが欠失した、または非連続アミノ酸が欠失した断片または部分も構想される。一般的に、本発明に包含されるAd36 E4orf1の変異体または誘導体としては、1つ以上の連続または非連続アミノ酸の付加、欠失および/または置換により異なる天然のバリアントまたは人工バリアント、あるいは1つ以上の残基が改変された改変ポリペプチド、ならびに1つ以上の改変された残基を含む変異体が挙げられる。好ましい変異体は、1つ以上の連続または非連続アミノ酸残基の付加、欠失および/または置換により異なるAd36 E4orf1の天然バリアントまたは人工バリアントである。
Ad36 E4orf1の「機能的断片または部分」は、肝臓脂肪症を低減する、グルコース処理(disposal)を高めるおよび/または血糖コントロールを改善するなどのAd36 E4orf1の少なくとも1つの特性、活性および/または機能特徴を有する単離されたおよび/または組換えのタンパク質またはオリゴペプチドのことをいう。
一般的に、Ad36 E4orf1または機能的バリアントは、バリアントの長さ全体にわたり配列番号:2または配列番号:4と少なくとも約85%類似、少なくとも約90%類似、少なくとも約95%類似、少なくとも約96%類似、少なくとも約97%類似、少なくとも約98%類似または少なくとも約99%類似であるアミノ酸配列を有する。
いくつかの態様において、配列番号:1または配列番号:3は、例えば現在利用可能な組換えタンパク質生成を使用して、Ad36 E4orf1の精製されたタンパク質を作製するために使用される。アミノ酸配列同一性は、CLUSTAL Wなどの適切なアミノ酸配列アライメントアルゴリズムを使用して、デフォルトパラメーターを使用して決定され得る。(Thompson J. D. et al., Nucleic Acids Res. 22:4673-4680 (1994).)
核酸およびベクター
Ad36組成物は、Ad36のタンパク質、好ましくはE4orf1タンパク質またはその機能的バリアントをコードする単離されたまたは組換えの核酸またはベクターを含み得る。
Ad36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントをコードする配列を有する単離された核酸および/または組換え核酸(例えば本質的に純粋なものを含む)は、インサイチュでのAd36 E4orf1生成を引き起こすために投与され得る。本明細書において「単離された」と称される核酸は、(例えば細胞中またはライブラリーなどの核酸の混合物中に存在する場合)核酸の起源の供給源のゲノムDNAまたは細胞RNAの核酸から分離された核酸であり、さらなるプロセッシングに供され得る。「単離された」核酸としては、本明細書に記載される方法、同様の方法または他の適切な方法により得られる核酸が挙げられ、本質的に純粋な核酸、化学合成により、生物学的方法と化学的方法の組合せにより作製された核酸、および単離された組換え核酸が挙げられる。本明細書において「組換え」と称される核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を使用したベクターへのクローニングなどの人工組換えの方法による手法により作製される核酸を含む、組換えDNA法により作製された核酸である。「組換え」核酸はまた、細胞の天然の機構を通じて生じる組換え事象から生じるが、所望の組換え事象を可能にしかつ起こり得るように設計された核酸の細胞への導入後に選択されるものである。
これらの基準を満たす単離された核酸および/または組換え核酸は、天然に存在するAd36 E4orf1およびその部分をコードする配列と同一の配列を有する核酸または天然に存在する配列の機能的バリアントを含む。かかるバリアントとしては、1つ以上の残基の付加、欠失または置換により異なる変異体、1つ以上の残基が改変された改変された核酸(例えばDNAまたはRNAアナログ)および1つ以上の改変された残基を含む変異体が挙げられる。該配列は、個体においての発現についてコドン最適化され得るかまたはコドン非最適化(de-optimized)され得る。
一局面において、Ad36 E4orf1または機能的バリアントは、バリアントの長さ全体にわたり、配列番号:1または配列番号:3と、少なくとも約85%類似、少なくとも約90%類似、少なくとも約95%類似、少なくとも約96%類似、少なくとも約97%類似、少なくとも約98%類似または少なくとも約99%類似である核酸配列を有する。核酸配列同一性は、CLUSTAL Wなどの適切な核酸配列アライメントアルゴリズムを使用して、デフォルトパラメーターを使用して決定され得る。(Thompson J. D. et al., Nucleic Acids Res. 22:4673-4680 (1994).)
核酸は、DNA、RNAの形態であり得、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。一般的に、核酸は、複製起点、プロモーターおよびエンハンサーなどの発現制御配列に作動可能に連結される(例えば、Queen, et al., Immunol. Rev. 89:49-68, 1986参照)。所望の細胞中での組換えタンパク質の発現に適切な多くのベクターは、当該技術分野で周知であり、通常である。適切なベクターは、限定されないが、以下:複製起点;選択可能マーカー遺伝子;転写制御因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)、および/または1つ以上の翻訳シグナルなどの1つ以上の発現制御因子;ならびに選択された宿主細胞中の分泌経路への標的化のためのシグナル配列またはリーダー配列の1つ以上を含む多くの成分を含み得る。所望の場合、ベクターは、検出可能マーカーを含み得る。
特定の態様において、発現ベクターは遺伝子治療に使用される。発現は、ベクター中に、適切なシグナルが提供されることを必要とし、該適切なシグナルは、宿主細胞中で目的の遺伝子を発現させるウイルスおよび哺乳動物供給源の両方由来のエンハンサー/プロモーターなどの種々の調節因子を含む。宿主細胞中のメッセンジャーRNAの安定性および翻訳可能性を最適化するように設計された因子も公知である。
発現ベクターを細胞に導入し得る多くの方法がある。本発明の特定の態様において、発現構築物は、ウイルスまたはウイルスゲノム由来の遺伝学で改変された(engineered)構築物を含む。特定のウイルスが受容体媒介性のエンドサイトーシスにより細胞に進入し、宿主細胞ゲノムに取り込まれ、ウイルス遺伝子を安定かつ充分に発現する能力は、ウイルスを、哺乳動物細胞への外来遺伝子の移送のための魅力的な候補にする(Ridgeway, 1988; Nicolas and Rubinstein, In: Vectors: A survey of molecular cloning vectors and their uses, Rodriguez and Denhardt, eds., Stoneham: Butterworth, pp. 494-513, 1988.; Baichwal and Sugden, Baichwal, In: Gene Transfer, Kucherlapati R, ed., New. York, Plenum Press, pp. 117-148, 1986. 1986; Temin, In: Gene Transfer, Kucherlapati, R. ed., New York, Plenum Press, pp. 149-188, 1986)。好ましい遺伝子治療ベクターは一般的にウイルスベクターである。
Ad36 E4orf1の投与
必ずしも限定されないが、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋内、皮下の注入)、経口(例えば食餌)、局所、吸入(例えば、気管支内、鼻腔内または経口の吸入、点鼻薬)または経直腸を含む種々の投与経路が可能である。
アデノウイルス36 E4orf1タンパク質は、アデノウイルス36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物中に、アデノウイルス36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することにより投与され得る。かかる方法において、核酸配列は、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ磁場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクターおよび裸のDNA転移からなる群より選択される方法により導入され得る。
投与されるAd36組成物の調製は、選択される投与経路(例えば、溶液、エマルジョン、カプセル)および治療される個体に従って変化する。投与される化合物を含む適切な組成物は、生理学的に許容され得るビヒクルまたは担体中で調製され得る。溶液またはエマルジョンについて、適切な担体としては、例えば、水性またはアルコール性/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液、例えば食塩水および緩衝化媒体が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは固定油が挙げられ得る。静脈内ビヒクルとしては、種々の添加剤、保存剤、または液体(fluid)、栄養もしくは電解質補充剤が挙げられ得る(一般的にはRemington's Pharmaceutical Science, 第16版、Mack編、1980参照)。吸入のために、化合物は可溶化され、投与に適切なディスペンサー(例えば、噴霧器、ネブライザーまたは加圧エーロゾルディスペンサー)に充填されるか、または呼吸可能乾燥粉剤として調製される。
Ad36組成物は、単一用量または複数用量中で投与され得る。治療有効量が投与される。治療有効量は、投与の条件下で意図される効果を生じるのに充分な量である。例えば、脂肪酸化を増加させ、肝臓からの脂肪の輸送を増加させ、肝臓におけるGlut2アバンダンスを低下させ、肝臓中のG6Pアーゼを低減させ、アディポネクチンおよび/またはGlut4を増大させ、血糖コントロールを改善し、および/または肝機能を向上させるのに充分な量が投与され得る。適切な用量は、個体の年齢、薬物に対する感受性、許容薬物、疾患の重症度および全体的な生活状態(well-being)ならびに他の要因を考慮して、当該技術分野に公知の方法を使用して通常の技術を有する医師により決定され得る。適切な用量は、一回の治療あたり約0.1〜約10.0mg/体重kgであり得る。
Ad36組成物を投与される個体は、治療が効果的であったかを決定するために、非侵襲性の試験により、例えば超音波を使用してスクリーニングされ得る。いくつかの局面において、個体は、超音波を使用してスクリーニングされる。いくつかの局面において、個体は、肝臓酵素を測定するために、肝機能試験を受ける。
本明細書に引用される全ての文書の全教示は、参照により本明細書に援用される。
Ad36 E4orf1配列
Ad-36 E4 orf 1 DNA配列(配列番号:1)
Ad-36 E4 orf 1タンパク質翻訳(配列番号:2)
Ad-36 E4 orf 1 ΔPDZ DNA配列(配列番号:3)
Ad-36 E4 orf 1 ΔPDZタンパク質翻訳(配列番号:4)
例示
本明細書に開示される試験の結果により、ヒトにおけるAd36感染と、より低い肝臓脂質レベルおよびより良好な血糖コントロールの間に関連があることが明らかとなった。結果はまた、Ad36 E4orf1タンパク質は、Ad36ウイルスの保護効果のメディエーターであること、ならびに該効果はアディポネクチンを含むいくつかの遺伝子の発現およびGlut2アバンダンスを改変することにより媒介される可能性があることを立証する。したがって、本明細書に開示されるこれらの試験は、Ad36、Ad36 E4orf1およびそれらの機能的バリアントは、NAFLDを治療または予防するため、哺乳動物の肝臓から過剰な脂肪を低減するため、血糖コントロールを改善するためおよび肝機能障害を治療または予防するために使用され得ることを示す。
技術およびアッセイ:
ウイルス調製. Ad-36は、American Type Culture collection (ATCC Cat# VR913)から得られ、以前に記載され、使用されたように(45、44)、プラークが精製され、A549細胞(ヒト肺癌細胞株)中で増殖された。Ad-2もATCC (Cat #VR846)から得られ、A549細胞中で増殖された。ウイルス力価は、プラークアッセイ(45)および接種により決定され、プラーク形成単位(PFU)として表された。
b. 生化学的アッセイ
グルコース: それぞれのマウス由来の2μLの血清は、Raichemグルコースオキシダーゼ法(R80038)を使用して、96ウェルプレート形式で測定した。500nmで吸光度を読んだ。インスリン: 超高感度マウスインスリンELISAキット(Ultra-sensitive mouse insulin ELISA kit)(Crystal Chem, # 90090)を使用してインスリンを測定した。Cardiochek脂質パネル試験片を使用してトリグリセリドを測定した。
qRT-PCR: 高脂肪食を与えたマウスの脂肪組織から、製造業者の指示書に従いRNeasy Miniキット(Qiagen, # 74101)を使用して、mRNAを抽出した。増幅等級デオキシリボヌクレアーゼI(Invitrogen, # 18068-015)を使用して残りのDNAを除去した。製造業者のプロトコルに従いiscriptTM cDNA合成キット(BioRad, # 170-8890)を使用して、1μgの全RNAをcDNAに逆転写した。cDNAの増幅のためにPCRコアシステムII(Promega, # M7665)を使用した。GAPDH(グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ; Applied Biosystems, # Mm99999915_g1)と比較して、遺伝子TNFα(腫瘍壊死因子アルファ、Applied Biosystems, # Mm00443259_g1)、レジスチン(Applied Biosystems, # Mm00445641_m1)、MCP-1(マクロファージケモアトラクタントタンパク質(macrophage chemoattractant protein);Applied Biosystems, # Mm00441243_g1)、CD68(Applied Biosystems, # Mm03047343_m1)、TLR4(Toll様レセプター4; Applied Biosystems, # Mm00445274_m1)、MCSF(マクロファージコロニー刺激因子; Applied Biosystems # Mm00432688_m1)およびIL6(インターロイキン6; Applied Biosystems, # Mm00446191_m1)の相対的発現レベルを試験するために、定量的RT-PCRを行なった。T検定により平均を比較した。有意さはp<0.05で設定した。
c. 感染の確認:
抗体力価:
血清中の中和抗体の存在は、詳細に記載されるように(92)、中和抗体を決定するための高感度、特異的かつ黄金標準アッセイである「一定ウイルス減少血清(constant virus-decreasing serum)」法により決定した。簡潔に、熱不活性化試験血清を、96ウェルプレート中で1:2から1:512に連続希釈(2倍)した。それぞれのアデノウイルス作業ストックの全部で100TCID-50(50%組織培養感染量)をウェルのそれぞれに添加して、次いで37℃で1時間のインキュベーション後にA549細胞を添加した。それぞれの試験血清は、2重で行った(run)。血清対照(血清および細胞あり、ウイルスなし)、細胞対照(細胞のみ、ウイルスなし、血清なし)およびウイルス対照(細胞およびウイルスあり、血清なし)をそれぞれのアッセイに含ませた。プレートを37℃で13日間インキュベートして、CPE(細胞変性効果)の存在に注意した。1:8以上の希釈度におけるCPEなしの血清試料は、それぞれのウイルスに対する中和抗体の存在について陽性とみなし、該ウイルスでの感染前の証拠とした。1:8未満の力価を有する試料は、ウイルス抗体の存在について陰性とみなした。クオリティーチェックとして、それぞれのアッセイでウイルス逆滴定を行なった。
ウイルスDNAおよびウイルスRNAのスクリーニング:
DNA単離: QIAMP DNA miniキット(# 51306)を使用してDNAを単離した。Ad36、Ad2のE4遺伝子についておよびマウスβアクチンについてもプライマーを設計した。PCRによりDNAを増幅した。プライマー配列は以下の通りである:
Ad36フォワードプライマー: 5'-GGCATACTAACCCAGTCCGATG-3'、
Ad36リバースプライマー: 5'-TCACTCTCAGCAGCAGCAGG-3';
Ad2フォワードプライマー: 5'-CCTAGGCAGGAGGGTTTTTC-3'、
Ad2リバースプライマー: 5'-ATAGCCCGGGGGAATACATA-3'
マウスβアクチンフォワードプライマー: 5'-GATCTTCATGGTGCTAGGAG-3'、
マウスβアクチンリバースプライマー: 5'-ACGTTGACATCCGTAAAGAC-3'。
陰性PCR対照: 水。陽性PCR対照: Ad36またはAd2感染A549細胞由来のDNA。DNAは、95℃で2分間変性させ、35サイクルのPCRに供した(94℃で1分、55℃で1分、72℃で2分、続いて72℃で5分インキュベーション。製造業者の指示書に従ってRNeasy Miniキット(Qiagen, # 74101)を使用して、RNAを抽出した。残りのDNAは、増幅等級のデオキシリボヌクレアーゼI(Invitrogen, # 18068-015)を使用して除去した。製造業者のプロトコルに従ってiscriptTM cDNA合成キット(BioRad, #170-8890)を使用して、1μgの全RNAを、cDNAに逆転写した。cDNAの増幅のためにPCRコアシステムII(Promega, # M7665)を使用した。
d. ブドウ糖負荷試験:
16時間の絶食後、意識のあるマウスにDグルコース(2.5mg/体重g)を腹腔内注射した。グルコース注射(時間0)前、および注射の10、20、30、60、120および150分後に尾静脈から血液を採取した。グルコース測定器(glucometer) (Contour, Bayer)を使用して血糖を測定した。
e. ウェスタンブロット分析:
免疫沈降: IR、IRS1およびIRS2の免疫沈降のために、組織試料を50mM HEPES (pH7.4)、2mMオルトバナジン酸ナトリウム、10mMフッ化ナトリウム、2mM EDTA、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウムおよびプロテアーゼインヒビターを含むバッファ中でホモジナイズした。次いで、ホモジネート(250μg)を3μgの一次抗体と共に免疫沈降させた。4〜20%勾配ゲルを使用して試料をSDS-PAGEに供し、PVDF膜に転写した。膜を抗リン抗体で免疫ブロットした。リン酸化-tyr-1322-IR-β(Millipore, # 04-300)および全IR-β受容体(Millipore, # 05-1104)、全IRS1 (Santacruz, # Sc-559)およびpIRS1-(tyr-989) (Santacruz, # Sc-17200)、pIRS1-(ser307) (Cell signaling, # 2381)、(Milipore, # 06-506)のIRS2および(Santacruz, # Sc-17195-R)のp-IRS2 (tyr-612)に対する抗体を使用した。
ウェスタンブロット: ビシンコニン酸アッセイによりタンパク質濃度を定量し、4〜20%のポリアクリルアミドゲルに等量で充填した。次いでタンパク質をPVDF膜に転写した。膜を3% BSAを含むPBS Tween-20中でブロッキングし、全AKT (Cell signaling, # 4691)、p-AKT(ser-473) (Cell signaling, # 9271)、Ras (Cell signaling, # 3965)、Glut1 (Abcam, # 35826)、Glut4 (Abcam, # 14683)、Glut2 (Santacruz, # 9117)、グルコース6-ホスファターゼ(Santacruz, # 7291)、全AMPKα(Cell signaling, # 2603)、p-AMPKα(Thr-172) (Cell signaling, # 2535)およびレプチン(Abcam, # 2095)抗体のそれぞれを認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体とインキュベートした。その後、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした二次抗体とインキュベートし、高められた化学発光によりシグナルを検出した。AlphaEaseFC分析器ソフトウェアを使用した走査デンシトメトリー(scanning densitometry)により特異的なバンドを定量して、等量の充填をGAPDH (Ambion, # 4300)アバンダンスに対する標準化により評価した。
アディポネクチンの異なるオリゴマー形態の分析: 脂肪組織から単離した30μgのタンパク質を、DTT、βメルカプトエタノールを含まない5X非還元バッファで処理し、室温で1時間インキュベートした。試料を、4〜20% Tris-グリシンSDS-PAGEゲルに流し(run)、PVDF膜に転写した。アディポネクチンの抗球状(antiglobular)ドメイン抗体(Millipore, # MAB3608, Temmecula, CA)を使用して、ウエスタンブロッティングを行なった。
f. 組織化学:
Ad36、Ad2およびmock感染した高脂肪食を与えたマウスのそれぞれからの3匹のマウスならびに対照として報告されるような(41)mock感染の食餌を与えた1匹のマウスの瞬間的に凍結した(flash frozen)肝臓試料に対してグリコーゲン染色を行なった。組織試料を、OCT封入培地に包埋し、8umの厚さにスライスした。過ヨウ素酸-シッフ染色(PAS)を使用してグリコーゲンを染色した。グリコーゲンの保存を高め、流動アーティファクト(streaming artifact)を防ぐことを補助するために、肝臓試料をカルノワ固定液(6部のエタノール、3部のクロロホルムおよび1部の氷酢酸)中、4℃で10分間固定した。固定の際、切片を蒸留水で数回すすいで洗浄し、次いで1%過ヨウ素酸溶液中、5分間室温でインキュベートした。蒸留水で洗浄後、シッフ試薬を添加して、11分間インキュベートした。全てのスライドを、冷却した流しっぱなしの水道水で10分間すすいだ。スライドを風乾して、パーマウント(permount)を使用してカバーガラスをかけた。グリコーゲンの染色は、切片にマゼンタ色を呈し、より濃い染色はより多くのグリコーゲンを示す。
固定中脂質は試料から出ていく(leave)ので、スライド上の白色のブランク領域は、脂質の小滴を示す(96)。Zeiss Axioskop 40FLで画像を作成した。グリコーゲンおよび脂質の定量のために、Image Jを使用して、1つの試料あたり3つの標本および1つの標本あたり3枚の画像を分析した。画像を8ビットに変換して、グリコーゲン特異的染色のみが見られる閾値を決定し、この閾値でグリコーゲンの量をピクセル2として計算した。報告されるように(96)、脂質の定量のために、全面積からこの数を引き、ブランク空間の面積を得た。
実施例1
Ad36およびヒト
4のコホートからの血清試料を、過去の感染の指示物質(indicator)としてのAd36抗体についてスクリーニングした。コホートは、A)HERITAGE家系研究(49)(n=671、白人および黒人の男性および女性)B)PBRC(ペニントンバイオメディカルリサーチセンター)研究(206人の白人および黒人の男性および女性)、C)MET研究(50、51)(n=45、思春期前の白人および黒人の男児および女児)、D)VIVA LA FAMILIA研究(52)(585人のヒスパニックの男児および女児)であった。Ad36抗体の広がり(prevalence)は、HERITAGE研究、PBRC研究、MET研究およびViva La Familia研究それぞれにおいて、13%、18%、22%および7%であった。より良い血糖コントロール(glycemic control)の種々の測定(インスリン感受性指数またはインスリンディスポジションインデックス(disposition index)を含む)が、年齢、性別、人種および肥満に関係なく、これらのコホートにおいて、Ad36感染と有意に関連した(例えば、表1および2は、PBRCおよびMETコホートを示す)。重要なことには、Ad36とより良い血糖コントロールの関連は、1500人を超える個体の種々の年齢群および人種のこれらのコホートにわたって、一貫して顕著であった。これらのデータは、Ad36感染がヒトにおいて血糖コントロールを改善し得ることを示唆した。
実施例2:
Ad36は食餌を与えたマウスにおいてインスリン感受性を改善する
年齢、体重および体脂肪を合わせた雌性C57BL/6JマウスにMockを感染させるか、Ad36もしくはAd2を感染させ、標準的な食餌で維持した。4週齢雌性C57B6/6Jマウスを、The Jackson Laboratories (Bar Harbour, Maine, USA)から購入した。1週間の馴化の後、総体脂肪を、Brucker Minispec mq10 NMR (Nuclear Magnetic Resonance)アナライザーにより測定した。マウスを、体重および体脂肪を合わせた3つの群に分割し、Ad36(N=3)もしくはAd2(対照として使用された一般的なヒトアデノウイルス;N=4)の107PFUを、鼻内的、経口的および腹腔内的に植え付けたか、または組織培養培地でmock感染させた(n=6)。マウスは、25℃で12時間の明暗サイクルにあり、1つの部屋にバイオセイフティーレベル2の封じ込め下で、マイクロアイソレーターケージに収容し、水および齧歯類の食餌(chow)(Purian LabDiet 5001)に自由にアクセスできるようにした。
3つの群のマウスは、12時間の実験の間、総体重の違いを示さなかった。
アデノウイルスに対する中和抗体、および/または種々のマウス組織中のウイルスDNAおよび/またはmRNAについてのPCR分析により、mock感染または予想されるウイルスによる感染を確認した(表3)。感染前のベースラインでのマウスの3つ全ての群の間の空腹時血清グルコースレベルおよび空腹時血清インスリンレベルは同等であったが、これらのレベルは、Ad36感染マウスのみにおいて、実験の経過と共に、段々と減少した(図1AおよびB)。さらに、感染後(pi)12週で、Ad36感染マウスの腹膜後脂肪パッドおよび肝臓の重量は、mock感染マウスに比べて、それぞれ、2倍重くなり(P<0.03)、または10%低下した(P<0.04)(表4、図1)。従って、標準的な食餌を与えたマウスでは、Ad36感染は、空腹時グルコースレベルおよび空腹時インスリンレベルを低下させることによって、全身の血糖コントロールを改善したが、Ad2感染は、そうしなかった。
体重を1週間に一回測定し、血液試料を、4時間絶食し麻酔したマウスの眼窩内の(intra orbital)眼球後方の洞(retrobular sinus)から採取した。マウスを、感染後12週で屠殺した。体幹血(trunk blood)を採取し、血清を分離した。肝臓、腹膜後脂肪貯蔵(depot)を、注意深く分離し、計量し、液体窒素中で瞬間凍結し、使用まで−80℃で保存した。血清を、グルコースおよびインスリンの測定のために使用した。
体重、肝臓、脂肪パッドの重量、ならびにグルコースレベルおよびインスリンレベルの違いを、スチューデントの「t」検定によって解析した。確率レベルを、P<0.05に設定した。
実施例3:
Ad36は高脂肪の食餌を与えたマウスの高血糖を改善する
この実験は、Ad36が、食餌誘導性高血糖を引き起こす高脂肪(HF、60kcal%)の食餌を用いて糖尿病性になったマウスにおいて同様の効果を有するかどうかを調査した。
先の8週間HFの食餌を与えた年齢、体重および体脂肪を合わせた雄性C57BL/6Jマウス(14週齢)は、高い空腹時血清クルコースレベル(>200mg/dL)を証拠として、糖尿病性状態を発症した。この時点で、マウスは、mockで感染されるか、またはAd36もしくはAd2で感染された。pi20週までに、3つ全ての群は、同様の累積摂食量、ならびに総体重および脂肪パッド重量を示した(表5、図2)。6週齢から高脂肪(60%kcal)の食餌(Reserch Diets Inc. D12492i)を与えられた14週齢の雄性C57B6/6Jマウスを、The Jackson Laboratory(Bar Harbour, Maine, USA)から購入した。1週間の馴化の際に、NMRによりベースライン体脂肪を測定し、マウスを、体脂肪および体重について合わせた3つの群(群あたりn=10)に分割した。群を、鼻内的、腹腔内的および経口的に、Ad36(0.6×106PFU)、Ad2(3×106PFU)またはmockで感染させ、さらに20週間、高脂肪の食餌(60%kcal)を続けた。マウスを、25℃で12時間の明暗サイクルにあり、1つの部屋にバイオセイフティーレベル2封じ込め下でマイクロアイソレーターケージ中に一匹ずつ収容した。食餌の消滅および体重を16週間1週間に一回測定し、血液試料を、麻酔したマウスの眼窩内の眼球後方の洞から得た。空腹時試料を、4時間食餌を取除いた後、採取した。マウスを、自由に食餌を与えた状態で、植え付けの20週後に屠殺した。体幹血を採取し、血清を分離した。肝臓、精巣上体、腹膜後の脂肪貯蔵を、注意深く分離し、計量し、液体窒素で瞬間凍結し、使用まで−80℃で保存した。
感染後20週間の期間にわたって、血糖コントロールを、空腹時グルコースおよび空腹時インスリン、ブドウ糖負荷試験を測定することによって、ならびに、自由に食餌を与えた状態でのグルコースレベルを測定することによっても、種々の方法において評価した。予想されたように、HFの食餌誘導性インスリン抵抗性により、mock感染マウスは、空腹時血清グルコースレベルおよび空腹時血清インスリンレベルの上昇を示したが、これらの上昇は、それぞれ、pi8週またはpi4週のAd36感染マウスにおいて有意に低減された(図3C&Dおよび4A)。Ad36感染マウスはまた、pi12週で有意により速い、腹腔内ブドウ糖負荷試験(ipGTT)に応答した血糖クリアランスを示し(図3E)、pi20週で有意により低い、自由に食餌を与えた場合の(free-fed)血清グルコースレベルを示した(図3Fおよび図4B)。実際、感染後20週で、Ad36感染マウス全ての自由に食餌を与えた場合の血清グルコースレベルは、mock感染マウスで測定されたものの、下方50パーセンタイル(lower 50th percentile)内であった(図4B)(χ試験P=0.01)。この実験において、Ad2について使用された用量はAd36に比べて5倍高かったにも関わらず、Ad2感染マウスは、mock感染対照マウスに比べて血糖異常の有意な改善をなおも示さなかった。従って、Ad36感染は、空腹条件および食餌を与えた条件の両方での糖尿病性マウスの血糖上昇応答を、同様に有意に改善する。
実施例2からのマウスを用いて行ったウェスタンブロット(WB)分析により、インビトロのデータ(76、12)と一致して、pi20週のmock感染マウスと比べて骨格筋、脂肪組織および肝臓中のRasおよびホスホ(phospho)−Aktのアバンダンス(abundance)がより多いことによって示されるように、Ad36は、Ras−PI3K経路をアップレギュレートすることが明らかになった(図5)。Ad36感染マウスについて、骨格筋および脂肪組織中のGlut4およびGlut1タンパク質のアバンダンスがより高いことにより、Ad36がこれらの組織中のグルコース取込みを増大させる機構が示唆され、肝臓中のGlut2アバンダンスおよびグルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)がより低いことにより、Ad36が、肝臓のグルコース放出を減少させることを示唆し(図5C)、次いで、これは、より良好な血糖コントロールに寄与するかもしれない。予想されるように、HFの食餌を与えたマウスの肝臓切片は、標準的な食餌を与えたマウスよりも、少ないグリコーゲンおよびより多い脂質を示した(図6A)。しかし、HFの食餌を与えたマウスの中で、Ad36感染マウスの肝臓は、mock感染マウスに比べて増加したグリコーゲンおよびより低下した脂質含有量によって示されるように、HFの食餌の病理学的効果からのより高度な保護を示した(図6A〜C)(P<0.02)。Ad36によって媒介されるHFの食餌誘導性肝臓異常(liver pathology)に対する保護効果は、Ad36に感染された成人および思春期前の若者の両方において低い肝臓脂質蓄積を示す本出願人のヒトでのデータと一致する。従って、本明細書に示された所見は、Ad36が骨格筋および脂肪組織によるグルコース取込みを増大させ、肝臓によるグルコース放出を低減させ、それによって、動物における全身の血糖コントロールを有意に改善するというモデルを支持する。
摂食量、体重、肝臓重量、脂肪パッド重量、ならびにグルコースレベルおよびインスリンレベルの違いを、スチューデントの「t」検定によって解析した。確率レベルをP<0.05に設定した。
実施例4:
Ad36は脂肪組織の代謝プロフィールのマーカーを改善する
ウェスタンブロットを、上記するように、感染後20週の自由に食餌を与えた状態で屠殺されたHFの食餌を与えたマウスからの脂肪組織タンパク質を使用してs実施した(3匹マウス/群)。GAPDHを、ローディング(loading)対照として使用した。Ad36は、より多いAKTリン酸化、ならびにGlut4およびGlut1のより多いアバンダンスによって示されるように、PI3K経路および下流のグルコース取込みをアップレギュレートするようである。感染に応答して、Ad2群中の脂肪組織は、Mock群に比べてより多いマクロファージ浸潤を有したが(P<.05)、Ad36群では有さなかった。重要なことには、Ad36群は、重要なインスリン感作物質およびグルコース取込みの促進因子(53)および肝臓脂肪症の保護物質(54)(55)である、アディポネクチンの有意により多いアバンダンスを有した(図4)。アディポネクチンは、より高い分子量(MW)形態、中程度の分子量形態およびより低い分子量形態で存在するが、より高いMW形態が、インスリン感受性と最も強く関連する(56、57)。Ad36は、HFの食餌を与えたマウスの脂肪組織中の全ての形態のアディポネクチンのレベルを有意に増大させた(図7B)。Ad36によるアディポネクチンのアップレギュレーションは、Ad36で感染されたヒト脂肪組織の外植片中の有意により多いアディポネクチンのmRNAおよびタンパク質のアバンダンスを含め、一貫して観察された(12)。これらの変化は、包括的に、Ad36が、脂肪組織の代謝の質を改善することを示す。アディポネクチンの強い肝臓効果(54、55)を考慮すると、アディポネクチンは、Ad36の抗脂肪症効果の重要なメディエーターであると信じられる。
実施例5:
Ad36は脂肪症を低減し、肝臓中の代謝プロフィールを改善する
HFの食餌を与えたマウスの肝臓切片は、標準的な食餌を与えたマウスより、少ないグリコーゲンおよびより多い脂質を示した(図6A)。HFの食餌を与えたマウスの中で、Ad36感染マウスの肝臓は、Mock群に比べて増加したグリコーゲンおよび低下した脂質含有量によって示されるように、HFの食餌の有害な効果からのより高い保護を示した(図6A)(p<.02)。Ad36群の肝臓中のより低いGlut2アバンダンスおよびグルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)(図8)により、肝臓グルコース放出の減少が示唆され、これは、次いで、より良好な血糖コントロールに寄与するかもしれない。Ad36の肝臓は、脂肪症に対して肝臓を保護するためのアディポネクチンの公知の標的である、AMPKリン酸化がより多いことを示したが、Ad2群ではそうではなかった(54)。
肝臓mRNA:食餌を与えたマウス(図9)またはHFの食餌を与えた(図10)マウスの肝臓からの選択された遺伝子の発現を試験した。これらの分子は、また、複数の経路において共通する役割を果たすが、本出願人は、脂質生成(lipogenesis)のモジュレーター(58)として、FAS(脂肪酸シンターゼ)、SREBP1c(ステロール応答エレメント結合タンパク質1c)およびFOXO1(フォークヘッドボックスO1)を考慮し、脂質酸化(59〜61)を示すために、CPT1(カルニチンパルミチルアシルトランスフェラーゼ)、LXR(肝臓Xレセプター)およびPPARαを考慮し、かつ脂質輸送(62〜66)を示すものとして、MTP(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)およびApoB(アポリポタンパク質B)を考慮した。炎症に関連する(coupled with)肝臓脂肪症は、NASHに進行するシグナルを出し得るので、炎症のマーカーを測定した。肝臓の遺伝子発現を、植え付け後12〜20週で測定した(表3)。かかる長い期間およびHFの食餌により幾分変化が隠されるが、食餌を与えたマウスおよびHFの食餌を与えたマウスからの遺伝子発現は、包括的に、Ad36が、脂質生成を低減させ、脂質酸化をアップレギュレートし、肝臓の炎症を低減させることを示唆した(表6)。
実施例6:
体重損失なしに肝臓脂肪症を低減するためのAd36 E4orf1
別個の実験において、HepG2細胞またはマウス一次肝細胞を、E4orf1または空のpcDNAベクターでトランスフェクトした。HepG2細胞によるパルミテート酸化およびapoB分泌ならびに一次肝細胞による基礎量の(basal)グルコース産出およびグルカゴン刺激グルコース産出を、感染後48時間に測定した。
ヌル(null)ベクタートランスフェクト細胞と比べて、E4orf1は、脂肪酸化を2倍に上昇させ(P<0.0001)、apoB分泌を1.5倍に上昇させ(P<0.003)、基礎量のグルコース産出およびグルカゴン刺激グルコース産出をそれぞれ、45%(P=0.0008)および22%(P<0.02)だけ減少させた。
このインビトロの肝細胞のトランスフェクションは、E4orf1が、Ad36の肝臓代謝に対する効果を媒介することを示す。データは、肝細胞において、Ad36 E4orf1が肝臓の外部の脂肪酸化および脂肪の輸送を上昇させ、グルコース放出を低減させることを示す。
実施例7
E4orf1はPPARγを誘導する
PPARγは、体が脂肪細胞を生成するプロセスである、脂肪生成(adipogenesis)の主なレギュレーターである。Ad36は、PPARγをアップレギュレートし、脂肪生成を誘導し、アディポネクチンを増加させ、血糖コントロールを改善する。この研究は、アディポネクチン発現が、PPARγ誘導または脂肪生成と独立で(uncoupled)あり得るかどうかを調査した。
以下の細胞型を、ヒトアデノウイルスAd36、もしくはAd2で感染するか、またはmock感染した:a)インタクトのPPARγを有する3T3−L1マウス胚線維芽細胞(MEF);b)PPARγ発現が損なわれているNIH/3T3 MEF;およびc)PPARγノックアウトマウス由来のMEF(MEF−/−)。PPARγのダウンレギュレーションまたは非存在にも関わらず、Ad36は、mockまたはAd2感染細胞に比べて、細胞グルコース取込み、アディポネクチン、Glut4およびGlut1タンパク質アバンダンスを上昇させた。予想されるように、脂肪生成誘導は、3T3−L1中の脂質を増加させたが、NIH/3T3またはMEF−/−では増加しなかった。これは、Ad36が、PPARγの補充または脂肪生成の増強なしに、グルコース取込みおよびアディポネクチン分泌をアップレギュレートすることを示した。ヒトにおいて、Ad36抗体の存在によって測定されるように、天然のAd36感染は、高いアディポネクチンレベルを予測させ、これらの効果の治療的関連性を示唆する。これは、さらに、TZDの作用とは異なり、体脂肪を上昇させることなしにE4orf1によってグルコース取込みを改善することが可能であるという本出願人の提案を強化する。
実施例8
E4orf1タンパク質はグルコース処理(disposal)を増強する
ドキシサイクリンに応答してE4orf1を誘導的に発現する安定な3T3−L1細胞株(3T3−E4)を、細胞シグナル伝達を研究し、かつAd36が3T3−L1前駆脂肪細胞(preadipocyte)においてグルコース取込みをアップレギュレートするためにE4orf1を必要とするかどうかを試験するために、開発した。mock感染細胞と比較して、Ad36は、基礎量のグルコース取込みを3倍だけ増加させるが、これは、E4orf1がsiRNAを用いてノックダウンされた場合失われた。これは、Ad36が、E4orf1を介してグルコース取込みを増強させることを示す。ヌルベクターを有する細胞と比較して、3T3−E4細胞は、誘導依存性様式で、グルコース取込みを増加した。E4orf1は、Ad36に誘導されるグルコース取込みの必須分子であるRasのアバンダンスおよび活性化を上昇させた。特に、E4orf1は、H−rasアイソフォームを活性化する。従って、E4orf1は、Ad36の抗高血糖効果を、単一のタンパク質にしぼる。
実施例9
E4orf1は脂肪細胞および肝細胞中のグルコース処理を調節する
別個の実験において、3T3−L1前駆脂肪細胞または脂肪細胞、C2C12筋芽細胞またはHepG2肝細胞を、E4orf1を発現するV−5タグ化プラスミド(pcDNA−V5−AD36−E4orf1)またはヌルベクター(pcDNA−V5−DEST)でトランスフェクトした。
脂肪組織および骨格筋によるグルコース取込みならびに肝臓によるグルコース産出が全身血糖コントロールに寄与することを考慮しつつ、これらの組織を代表する細胞株による基礎量のグルコース処理およびインスリン刺激グルコース処理に対するAd36 E4orf1の効果を測定した。E4orf1を発現するプラスミドでトランスフェクトされた3T3−L1前駆脂肪細胞または脂肪細胞、C2C12筋芽細胞またはHepG2肝細胞中のグルコース処理を、ヌルベクターでトランスフェクトされた細胞と比較した。
E4orf1発現は、3T3−L1前駆脂肪細胞、脂肪細胞およびC2C12筋芽細胞中の基礎量の2DG取込みを上昇させた(図11A〜C)。脂肪細胞において、E4orf1は、さらに、インスリン刺激2DG取込みを上昇させた(p=0.003)。完全にインスリン応答性ではない前駆脂肪細胞および筋芽細胞において、E4orf1は、インスリン刺激2DG取込みを増強しなかった。
グルコース取込み、グルカゴン合成、糖新生等の肝臓の複数の代謝機能は全身血糖コントロールに寄与するが、肝臓グルコース産出は、しばしば、インスリン抵抗性のために調節されず、2型糖尿病における高い血糖の主な寄与因子であり得る。従って、肝細胞によるグルコース放出に対するE4orf1の効果を測定することに焦点が当てられた。E4orf1トランスフェクションは、基礎的(basal)条件下およびインスリン刺激条件下で、HepG2細胞によるグルコース産出を有意に低減させた(それぞれ、P<0.000001および<0.001;図5D)。
この実験は、Ad36 E4orf1が、脂肪組織、骨格筋および肝臓によるグルコース処理に影響することを示す。
参考文献








Claims (32)

  1. 患者に、治療有効量のアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質もしくはその機能的バリアント、またはアデノウイルス−36 E4orf1もしくはその機能的バリアントをコードする核酸、またはアデノウイルス−36 E4orf1のアナログを投与する工程を含み、ここで、患者の症状が、前記投与後に改善する、個体における非アルコール性脂肪肝疾患の症状を治療または予防する方法。
  2. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質が投与され、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号:2またはその機能的バリアントである、請求項1記載の方法。
  3. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸が、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物にアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することによって投与される、請求項1記載の方法。
  4. 核酸配列が、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ電場の形成、DNAコート化微粒子銃(microprojectile bombardment)、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入(injection)、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクター、および裸のDNA転移(naked DNA transfer)からなる群より選択される方法によって導入される、請求項3記載の方法。
  5. 核酸配列が、配列番号:1またはその機能的バリアントを含む、請求項3記載の方法。
  6. 前記個体がヒトである、請求項1記載の方法。
  7. 患者に、治療有効量のアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを投与する工程を含み、ここで、肝臓中の脂肪は、前記投与の後に低下する、個体の肝臓から過剰な脂肪を低減する方法。
  8. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号:2またはその機能的バリアントである、請求項7記載の方法。
  9. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質が、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物にアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することによって投与される、請求項7記載の方法。
  10. 核酸配列が、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ電場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクター、および裸のDNA転移からなる群より選択される方法によって導入される、請求項9記載の方法。
  11. 核酸配列が、配列番号:1またはその機能的バリアントを含む、請求項9記載の方法。
  12. 前記個体がヒトである、請求項7記載の方法。
  13. 患者に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを投与する工程を含み、ここで、インスリン感受性が、前記投与の後に上昇する、個体において血糖コントロールを改善する方法。
  14. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質が投与され、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号:2またはその機能的バリアントである、請求項13記載の方法。
  15. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸が、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物にアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することによって投与される、請求項13記載の方法。
  16. 核酸配列が、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ電場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクター、および裸のDNA転移からなる群より選択される方法によって導入される、請求項15記載の方法。
  17. 核酸配列が、配列番号:1またはその機能的バリアントを含む、請求項15記載の方法。
  18. 前記個体がヒトである、請求項13記載の方法。
  19. 患者に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを投与する工程を含み、ここで、肝臓脂肪蓄積が前記投与の後に改善される、脂肪肝およびインスリン抵抗性を特徴とする肝機能不全を治療または予防する方法。
  20. 前記肝臓脂肪蓄積の改善が、脂質酸化の増大または肝臓からの脂質の輸送の増大を特徴とする、請求項19記載の方法。
  21. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質が投与され、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号:2またはその機能的バリアントである、請求項19記載の方法。
  22. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸が、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物にアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することによって投与される、請求項19記載の方法。
  23. 核酸配列が、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ電場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクター、および裸のDNA転移からなる群より選択される方法によって導入される、請求項22記載の方法。
  24. 核酸配列が、配列番号:1またはその機能的バリアントを含む、請求項22記載の方法。
  25. 前記個体がヒトである、請求項19記載の方法。
  26. 患者に、治療有効量のAd36 E4orf1タンパク質またはその機能的バリアントを投与する工程を含み、ここで、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発生が低減または予防される、NASHを低減または予防する方法。
  27. 肝機能障害に由来する高血糖が、個体において低減される、請求項26記載の方法。
  28. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質が投与され、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号:2またはその機能的バリアントである、請求項26記載の方法。
  29. アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸が、アデノウイルス−36 E4orf1タンパク質の発現を可能にする様式で、哺乳動物にアデノウイルス−36 E4orf1タンパク質をコードする核酸配列を導入することによって投与される、請求項26記載の方法。
  30. 核酸配列が、エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、カチオン性リポソーム融合、プロトプラスト(proptoplast)融合、インビボ電場の形成、DNAコート化微粒子銃、組換え複製欠損ウイルスを用いた注入、相同組換え、インビボ遺伝子治療、エキソビボ遺伝子治療、ウイルスベクター、および裸のDNA転移からなる群より選択される方法によって導入される、請求項28記載の方法。
  31. 核酸配列が、配列番号:1またはその機能的バリアントを含む、請求項28記載の方法。
  32. 前記個体がヒトである、請求項26記載の方法。
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