本発明は、少なくとも1つの装置のために通信を提供する方法、装置、及び、ネットワークに関する。
車両内では、機能ドメインに従って配列された制御装置が使用されている。この制御装置は、共通の通信技術を利用して互いに通信する。ここでは、バスシステムとして通常CANバス(Controller Area Network)又はFlexRayバスが使用される。車両のために利用されるバスシステム又はバス構成では、機能ドメインに割り当てられた通信ドメインからの物理的な分離が行われる。それにも拘わらず、通信ドメイン間での互いの通信を可能とするために、ゲートウェイ(Gateway)又はプロトコル変換器が使用される。
これに対して、IP(インタネットプロトコル、Internet Protocol)ネットワークの場合は、論理的な分離のみを行うのが一般的である。これに加えて、通信ノードのIPアドレスの一部がネットワークアドレスとしてマーク付けされる。同じネットワークアドレスを有するノードは、これにより発生するIPサブネットワーク又はサブネットワーク内で、通信を行うことが可能である。従って、複数のサブネットワーク間の通信も行われうる。
このような背景から、独立請求項に記載の特徴を備えた方法、装置、及びネットワークが提示される。本発明の更なる別の実施形態は、従属請求項及び明細書の記載から明らかとなろう。
本方法によって、車両内に配置されネットワークを介して互いに接続された装置のために、ドメインが設定され、インタネットプロトコル(IP)に従ったアドレス指定に基づいて、設定されたドメインのIPサブネットマッピング(IP−Subnet Mapping)又はIPサブネットワークマッピングが行われうる。その際特に、少なくとも1つのサブネットワークに対する、少なくとも1つの装置の対応付けを行うことが構想される。その際に、ネットワークの装置は、複数の機能群に割り当てることが可能であり、各機能群は、1つのサブネットワークに割り当てられる。装置が複数の機能群及びサブネットワークに割り当てられる場合には、装置は、サブネットワークごとにIPアドレスを有する。装置は、ネットワーク内及び/又はサブネットワーク内で、ノード又は加入者とも称される。
本発明によって、特に、CAN若しくはFlexRayバスが利用される既存のネットワーク化技術を、イーサネットネットワークへと変更する際に、IPサブネットワーク又はサブネットワークに対する、装置の既存の機能ドメインの対応付けを行うことが考慮されうる。
代替的に、機能群に従った対応付けも行われる。例えば、センサとして構成された装置として、及び、アクチュエータとして構成された装置として、その機能に考慮して、別々のサブネットワークに割り当てられる。
これにより、上記2つの場合に、従来のゲートウェイ又はプロトコル変換器を省略することが可能である。論理的な分離によって、ディストリビュータ(スイッチ)を通常通り利用した際に、ネットワークのサブネットワークのノード及び装置上で、通信が発生し過ぎないようになる。典型的に、データは、各IPサブネットワークに割り当てられたノード及び装置に対してのみ送信され、これにより、通信の発生は、関連するサブネットワークと、対応して割り当てられた関連する装置と、の間に制限される。
本発明の一実施形態において、車両の少なくとも1つの構成要素の機能を管理し、従って開ループ及び/又は閉ループ制御するように構成され、車両内に配置された制御装置(ECU)として、装置を構成することが可能である。この種の制御装置は、全体ネットワークの少なくとも1つのサブネットワーク、及び、複数のサブネットワークにも割り当てられうる。その際に、各サブネットワークの制御装置に、固有の、通常ではIPアドレスとして構成されたアドレスを割り当てることが可能である。
ネットワークのノード又は加入者は、需要に応じて、他のサブネットワークの更なる別のアドレスを獲得することが可能であるため、プロトコル変換器の設定は行われない。従って、複数のドメインにまたがる(domaenenuebergreifend)新しい機能の導入の際には、通常は制御装置として構成された各装置が適合されるが、追加的にプロトコル変換器は適合されない。
記載される対応付けは、IP技術に基づいて行われ、従って、OSI層又はOSI参照モデルに従った、第2の層又はデータ伝送のためのリンクレイヤ(データリンクレイヤ、Data Link Layer)の基礎となるプロトコルからは独立している。即ち、ネットワーク内で、イーサネット、MOST(Media Oriented Systems Transport)、又は、IP対応の他の伝送方法が使用されるかどうかは問題ではない。
インタネットプロトコルは、ISO/OSIモデルでは、第3の層、即ち、伝達又はネットワーク層(ネットワークレイヤ、Network Layer)に配置される。通常設けられる第2の層(データリンクレイヤ)は、イーサネット、MOST、及び無線LANである。インタネットプロトコル(IP)は、通常では、2つのバージョンが利用される。インタネットプロトコルバージョン4(IPv4)の場合は、32ビット長のアドレスが利用される。インタネットプロトコルバージョン6(IPv6)の場合は、アドレスは128ビット長である。このこととは関係無く、各IPアドレスは、2つの部分、即ち、ホストアドレスと、ネットワークアドレスと、から成っている。同じサブネットワーク内の全てのノード又は加入者及び装置は、ネットワークアドレスを介して互いに通信することが可能である。ホストアドレスは、装置の識別のために利用される。
可能な実施形態において、車両トポロジ、及び、これに従った車両ネットワークは、駆動軸(パワートレイン、Powertrain)のため、シャシー(Chassis)のため、ハウジング及び内装(ボディ&キャビン、Body&Cabin)のため、並びに、付属装置(快適性、Comfort)のための、4つのドメイン及び機能群又はサブネットワークを含むことが可能である。このトポロジがIPサブネットワーク内で実装される場合には、例えば、表1に示すような、CIDR(クラスレスドメイン間経路指定、Classless Inter−Domain Routing)に従った対応付けが行われうる。
本例では、IANA(インタネット番号割り当て機関、Internet Assigned Numbers Authority)によって私用ネットワークのために設けられたIPサブネットワーク10.0.0.0/8が利用されている。本ネットワークは、256個のサブネットワークに細分化され、そのうちの4個が、表1に記載した機能群及びサブネットワークに対応した機能ドメインのために利用される。
従って、各上記サブネットワークでは、各ノード及び装置のアドレス指定のために未だ16ビットが残っている。従って、各ドメイン内、通常では機能ドメイン内では、約65536個のIPアドレスが可能である。
装置は、ネットワークのノードとして、必要に応じて複数のサブネットワーク内で代表することが可能であり、従って、複数のIPアドレスを有することが可能である。一実施形態において、各装置は、256個の可能な各IPネットワークのIPアドレスを有しうる。
各装置は、通信のために少なくとも1つのIPアドレスを必要とする。このIPアドレスは、装置の受信又は送信された各データパケット(IPパケット)の構成要素である。さらに、各装置は、サブネットワークのためのIPアドレスを有する。本発明の利用は、車両内の如何なる形態のIPネットワーク内でも可能である。
ネットワークのためのIP又はインタネットプロトコルの利用によって、装置のアドレス指定のために、論理的な分離のみが行われる。これに加えて、通信ノードのIPアドレスの一部が、ネットワークアドレスとしてマーク付けされる。同じネットワークアドレスを有する装置は、これにより発生するIPサブネットワーク内で、通信を行うことが可能である。或る装置のために、複数のサブネットワークで通信が行われる場合には、この装置に複数のアドレスを割り当てることが可能である。
本発明に係るネットワークは、本発明に係る少なくとも1つの装置を有しうる。この少なくとも1つの装置及びネットワークは、提示される方法の全ステップを実施するよう構成される。その際に、本方法の個々のステップは、ネットワークの少なくとも1つの装置によっても実施されうる。さらに、ネットワークの機能又は少なくとも1つの装置の機能は、本方法のステップとして実現されうる。さらに、本方法のステップを、少なくとも1つの装置又は全ネットワークの機能として実現することが可能である。
本発明の更なる別の利点及び実施形態は、明細書の記載、及び、添付の図面から明らかとなろう。
先に挙げた特徴、及び、以下で解説する特徴は、各示される組み合わせのみならず他の組み合わせにおいて、又は、単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく利用されうる。
インタネットプロトコルバージョン4に従って構成されたIpv4アドレスの構造の一例を概略的に示す。
インタネットプロトコルバージョン4に従って構成されたヘッダデータ範囲の一例を概略的に示す。
インタネットプロトコルバージョン6に従って構成されたヘッダデータ範囲の一例を概略的に示す。
本発明に係るネットワークの一実施形態を概略的に示す。
本発明が、図面の実施形態を用いて概略的に示され、以下では、図を参照して詳細に記載される。
図1は、様々なアドレス1、3、5、7の区分の図を概略的に示しており、上記アドレス1、3、5、7は、ここでは、インタネットプロトコルバージョン4のためのIPv4アドレスとして設けられ、それぞれが、サブネットワーク部分10と、ホスト又はデータプロバイダ部分11と、を含んでいる。その際に、アドレス1、3、5、7の設定は、クラスレスドメイン間経由指定方法、略してCIDRに従って、及び、複数ドメインにまたがるメッセージ伝達のための方法に従って構想される。
その際に、車両のためのネットワークを提供する本発明に係る方法の一実現において、全ネットワークを、4つのサブネットワーク13、15、17、19へと構造化又は区分けすることが行われる。
その際に、第1のネットワーク12は、所謂、クラスAの私用ネットワークとして区分され、ブロックごとの値域が0〜255のアドレス1「10.0.0.0/8」を獲得する。第2のサブネットワーク15は、本発明の記載される実施形態において、クラスBの私用ネットワークとして構成され、このネットワークには、ここでは、アドレス3「172.168.0.0/12」が割り当てられる。第3のサブネットワーク17は、クラスCの私用ネットワークとして構成され、アドレス5「192.168.0.0/16」を有する。第2のサブネットワーク15及び第3のネットワーク17には、ブロックごとに同様に、0〜255の値域が割り当てられる。第4のサブネットワーク19は、クラスDの私用ネットワークとして構成され、アドレス7「224.0.0.0/4」、及び、ブロックごとの値域0〜240を有する。
図2は、IPv4のヘッダデータ範囲として構成されたヘッダデータ範囲21、従って、インタネットプロトコルバージョン4(IPv4)で送信されるデータパケット(フレーム)の導入部として利用されるような、ヘッダの一例を概略的に示している。
32ビット幅のこのヘッダデータ範囲21は、ヘッダデータ範囲21のバージョンについての4ビット幅の表示23と、データパケットの長さについての4ビット幅の情報25であって、長さ25はIP Header Length(IPヘッダ長)を略してIHLと称される、上記情報と、サービスタイプ(TOS:Type of Service)についての8ビット幅の情報27と、データパケットの全長についての16ビット幅の情報29と、を含む。
さらに、ヘッダデータ範囲21は、16ビット幅の識別子31と、3ビット幅の制御スイッチ(フラグ)33と、フラグメント化(フラグメントオフセット、Fragment Offset)についての13ビット幅の情報35と、を含む。さらに、ここでは、データパケットの寿命(生存時間、TTL:Time to Live)についての8ビット幅の情報37と、本発明の実施形態の枠組みにおいて利用されるインタネットプロトコルについての8ビット幅の情報39と、16ビット幅のチェックサム41と、が設けられる。バージョン4のインタネットプロトコル39に従った、ここで提示されるヘッダデータ範囲21は、それぞれが32ビット幅を有する発信元アドレスについての情報43及び宛先アドレスについての情報45及び、場合によっては、更なる別のオプションについての少なくとも1つの情報47も含む。
インタネットプロトコルバージョン6(IPv6)のデータパケット(フレーム)のためのヘッダデータ範囲51が、図3に概略的に示されている。IPv6ヘッダデータ範囲として構成されるこのヘッダデータ範囲51又はヘッダは、バージョンについての4ビット幅の情報53と、優先度設定(トラフィッククラス、Traffic Class)についての8ビット幅の情報55と、フロー値(フローラベル、Flow Label)についての20ビット幅の情報57と、IPv6データパケットとして構成されたデータパケットの内容の長さについての16ビット幅の情報59と、後続のヘッダデータ範囲の識別のための8ビット幅の情報61と、割り当てられたデータパケットを、ルータを介して元に戻すことが許される中間ステップ(ホップリミット、Hop Limit)の最大数についての8ビット幅の情報63と、を含む。さらに、示されるIPv6ヘッダデータ範囲51は、それぞれが128ビット幅を有する発信元アドレス65と宛先アドレス67とを含む。
図4は、本発明に係るネットワーク73の一実施形態を含む車両71を概略的に示している。ネットワーク73は、車両71内に配置され互いに接続された本発明に係る装置の複数の実施形態75、77、79、81を有し、その際に、これら装置75、77、79、81のうちの少なくとも1つが、ここでは図示されない車両71の少なくとも1つの構成要素のための制御装置(ECU)として構成される。ネットワーク73内では、示される装置75、77、79、81は、データと、インタネットプロトコルについての情報と、を交換する。
さらに、装置75、77、79、81は、車両の駆動パラメータの状態を検出するセンサとして、又は、車両の構成要素に作用するアクチュエータとして構成されうる。ここで記載される少なくとも1つの装置75、77、79、81が、制御装置としてではなく、外界とデータを交換し、及び/又は、運転者に、場合によっては交換されたデータに基づく情報を提供するよう構成された通信装置として、例えば、アンテナ、ラジオ、又は、ナビゲーション装置として、構成されるということも可能である。
その際に、第1の装置75には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス83と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス85と、が割り当てられる。第2の装置77には、同様に、インタネットアドレスとしての第1のアドレス87と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス89と、が割り当てられる。第3の装置79には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス91と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス93と、が割り当てられる。第4の装置81には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス95と、インタネットアドレスとして構成されたn番目のアドレス97と、が割り当てられる。
本発明に係る方法の一実施形態の枠組みにおいて構想される、装置75、77、79、81のための複数のアドレス83、85、87、89、91、93、95、97の割り当てによって、各装置75、77、79、81は、様々なサブネットワークに対して、従って、全体ネットワーク73の機能群に対して割り当てられうる。どのサブネットワーク内で装置75、77、79、81間でデータが交換されるのかに従って、各サブネットワークに割り当てられた、各制御装置75、77、79、81のアドレス83、85、87、89、91、93、95、97が、ソースアドレス及び/又はターゲットアドレスとして利用される。異なるサブネットワーク及び機能群に対する装置75、77、79、81の割り当てによって、装置75、77、79、81の機能的特性が考慮される。
図1は、様々なアドレス1、3、5、7の区分の図を概略的に示しており、上記アドレス1、3、5、7は、ここでは、インタネットプロトコルバージョン4のためのIPv4アドレスとして設けられ、それぞれが、サブネットワーク部分9と、ホスト又はデータプロバイダ部分11と、を含んでいる。その際に、アドレス1、3、5、7の設定は、クラスレスドメイン間経由指定方法、略してCIDRに従って、及び、複数ドメインにまたがるメッセージ伝達のための方法に従って構想される。
その際に、第1のネットワーク13は、所謂、クラスAの私用ネットワークとして区分され、ブロックごとの値域が0〜255のアドレス1「10.0.0.0/8」を獲得する。第2のサブネットワーク15は、本発明の記載される実施形態において、クラスBの私用ネットワークとして構成され、このネットワークには、ここでは、アドレス3「172.168.0.0/12」が割り当てられる。第3のサブネットワーク17は、クラスCの私用ネットワークとして構成され、アドレス5「192.168.0.0/16」を有する。第2のサブネットワーク15及び第3のネットワーク17には、ブロックごとに同様に、0〜255の値域が割り当てられる。第4のサブネットワーク19は、クラスDの私用ネットワークとして構成され、アドレス7「224.0.0.0/4」、及び、ブロックごとの値域0〜240を有する。
その際に、第1の装置75には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス83と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス85と、が割り当てられる。第2の装置77には、同様に、インタネットアドレスとしての第1のアドレス87と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス89と、が割り当てられる。第3の装置79には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス91と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス93と、が割り当てられる。第4の装置81には、インタネットアドレスとして構成された第1のアドレス95と、インタネットアドレスとして構成された少なくとも1つのn番目のアドレス97と、が割り当てられる。