様々な用途において、液体及び/又は気体を、混合及び/又は分散しなければならない。公知のとおりに、DE2205371又はCH642564により設計された静的混合部材を有する静的混合機は、この処理に非常に適している。
静的混合機は、バー、通路及びプレートなどの粗く構成された混合構造体で構成され、それらは、方向付けられて配置され、液体、懸濁液及び気体が貫流するとき、渦の形成及び層化による混合及び分散の効果をもたらすようになっている。混合構造体は、混合機の構造と任意に設定された断面との交点の数が最大20であるとき、粗く構成されたと言われる。断面は、静的混合機の長手方向軸線に対して直角、すなわち流れの主方向に対して直角に設けられる。
静的混合機を用いて特に反応において良好な混合及び/又は分散の効果を得るには、所望される結果に応じて、適切な物質移動、特定数の混合部材、特定の滞留時間及び特定の剪断入力量が必要である。そうすると、必要な構造長さ及び必要なエネルギー入力量が得られる。静的混合機のエネルギー入力量および構造長さは、当然、所与の1つの仕事に対してできるだけ小さく保つべきである。純粋な静的混合機のエネルギー入力量及び構造長さは、その形状に依存する。すべての場合において、対応する混合の仕事に対するエネルギー入力量及び構造長さは比較的大きい。
そうした静的混合機の構造長さ及びエネルギー入力量を最適化するには、国際公開第2010066457号に示されるように、混合機を異なるスケールの混合部材と組み合わせることも提案されている。これによって、確かに混合機の効率をある程度改善することができるが、特に混合部材が小さいスケールの混合構造体を有するときには、複数の異なる混合部材の製造が必要になるため、きわめて複雑及び/又は高価になる。
混合、分散及び熱交換のために、DE10327986に開示されるような開気孔の非構造的な微細セルの発泡構造体も提案されている。こうした構造体は、体積単位あたりの表面が大きいことを特徴とする。混合、分散及び熱交換器は、接触面が大きいため、ミクロ領域においてきわめて適切且つ効率的である。ミクロ領域は、混合機の断面の、混合の効果がそのミクロ領域に局所的に限定されることを特徴とする部分として理解される。ミクロ領域は、原則として断面の25%未満である。マクロ領域は、混合機の断面全体に及ぶ混合効果を特徴とする混合機の断面全体として理解される。
しかしながら、発泡構造体の大きな欠点は、方向性のない構造によって横方向の移動がきわめて不十分になり、したがって、大規模な濃度及び温度の差異を不十分に且つゆっくりとしか低減できないことである。断面全体にわたって均質な混合物、分散物、エマルジョン及び温度を得るべき場合には、比較的大きい圧力損失も引き起こす、比較的長く容積の大きい取り付け部材となる。この場合、異なる孔径の発泡構造体の組み合わせによって効率の改善をもたらすことも可能であるが、依然として横方向の交換が不足するという基本的な問題が残る。
本発明の目的は、できるだけ少ないエネルギー入力量、及びできるだけ短い設置長さで、液体、懸濁液、気体、又は液体と気体の混合、分散又は反応を実現することである。
本発明の目的は、発泡構造体を含む挿入部材が内部に配置された通路を含む、混合又は分散部材によって満たされる。マクロ混合又は予分散又はマクロ分散のために、静的混合部材がさらに通路内に取り付けられ、それは少なくとも部分的に、挿入部材の上流に配置することが好ましい。
本願において、マクロ混合は、混合又は分散部材の断面の大部分で行われる大規模混合として理解される。分散とは、第1の流体の中に少なくとも1つの非混和性の第2の流体を分布させることを表す。第1の流体は第1の相を、第2の流体は第2の相を形成する。予分散は、非混和性の第2の相を、混合又は分散部材の断面全体にわたって分布させた通常は1mm超の比較的大きい液滴に分解することとして理解される。マクロ分散は、混合又は分散部材の断面全体にわたる既存の液滴の均質な分布として理解される。
静的混合部材は、第1の静的混合部材として設計されることが好ましく、少なくとも1つの第2の静的混合部材は、挿入部材の下流に配置される。
さらに適切な分散を得るために、少なくとも1つの第2の挿入部材を、第2の静的混合部材の下流に配置することができる。
代替的実施例によれば、静的混合部材の少なくとも1つは、挿入部材を含むことができる。
挿入部材又は第1若しくは第2の挿入部材のうちの少なくとも1つと、静的混合部材との間に間隔を形成することができる。
挿入部材は特に、開気孔である発泡構造体を含むことができる。開気孔として特徴付けられる発泡構造体は、以下において、個々の気孔が壁によって互いに隔てられていない発泡構造体として理解すべきである。気孔は、孔又は中空の空間とみなすことができる。隣接する気孔間には大きい開口部が存在し、それを通って流体が流れることができる。開気孔の発泡構造体の場合、気孔間の壁は実際には完全に除かれる。壁内の開口部は大きく、その結果隣接する気孔間の縁部境界を形成する壁であるただ1つの棒状(バー)部が残る。明らかに、複数のバー部を設けることも可能である。
発泡構造体は、金属、合金、特にアルミニウム合金、セラミック材料、ガラス、カーボン及び/又はプラスチックを含むことができる。この発泡構造体には、開口を抑制し、相の境界を細分化するのに利用可能なきわめて大きい内面を有するという利点がある。
発泡構造体は、100PPIまでの孔径を有することができる。PPIは、発泡構造体の孔径を特徴付けるための慣例的な尺度である。それは、「1インチあたりの気孔数」の省略形である。孔径は、10〜100PPIの範囲にあることが特に好ましい。
分散部材に使用できる発泡構造体の空隙率は、40%〜97%、好ましくは50%〜95%である。
発泡構造体は、様々なプロセスによって製造できる。例えば第1のステップでは、型として開気孔のポリウレタン発泡体を用いることができる。ポリウレタン発泡体を使用する本質的な利点は、最も変化に富んだ形状及び孔径を、決められた方法で工業的に製造できることである。第2のステップでは、消失模型を用いて、ポリウレタン発泡体から軽金属の鋳造用の型を製造することができる。型は所望の発泡構造体を含む。工業的には、発泡構造体の製造に、CVD技術、又は前駆体としてのポリウレタン発泡体に基づく他のプロセスも用いられる。さらに、様々な他のプロセスが開発されつつあり、或いは開気孔の発泡構造体の製造に既に用いられている。或いは迅速な製造技術を用いて、様々な材料、特に前述の材料から、コンピュータで支援する形で発泡構造体を製造することもできる。プロセスは、空間的形状が層状の成形体によって生じる迅速な製造として理解され、層は粉末の溶融によって形成されることが好ましい。
驚くべきことに、混合及び/又は分散の場合、発泡構造体を静的混合機と組み合わせて使用することによって、必要な粉末入力量及びエネルギー入力量を従来型の静的混合機に対して最大80%低減することができる。そのため、小型の混合又は分散部材を構築することが可能である。この文脈において、小型とは、混合又は分散部材の長さが、純粋な静的混合部材の長さに比べて低減されることを意味する。長さの低減は、10%〜60%とすることができる。得られる発泡構造体は、長さL/直径Dが5よりも小さい、好ましくは3よりも小さい、特に好ましくは2より小さい、長さL及び直径Dを有することが好ましい。驚くべきことに、5よりも小さいL/Dの比を静的混合部材と組み合わることによって、従来技術で既に知られている静的混合部材と同質の混合物及び分散物を製造することが可能になる。
混合又は分散部材は、混合物、エマルジョン、分散物又は発泡体の製造に特に適している。本願において、分散物という用語は、液滴及び/又は泡が約50〜100マイクロメートルよりも大きい系を表す。エマルジョンという用語は、より小さい液滴及び/又は泡を有する系に用いられる。
挿入部材のそれぞれが、異なる孔径を有する発泡構造体を含むことができる。発泡構造体は、金属、金属合金、セラミック材料、ガラス、カーボン及び/又はプラスチックを含むことが好ましい。
前述の具体例の1つによる混合又は分散部材は、温度調整手段を含むこともできる。例えば通路が温度調整手段を備えるようにすること、又は温度調整手段によって囲まれるようにすることが可能である。
混合又は分散部材の少なくとも一部は、触媒表面、特に加水分解の触媒表面として設計することができる。
混合又は分散部材は、既に予混合又は予分散された流体系を処理するのに用いることが可能であり、或いは処理中に、混合又は分散させる液相又は気相が計量される。混合又は分散させる流体を計量する場合には、少なくとも1つの計量部材が、混合又は分散部材が内部に配置された通路に通じるようにすることができる。計量部材は、流体を、通路内を流れる第1の液体中に注入するように働く。流体は、気体又は第2の液体とすることができる。流体及び第1の液体は、特に平行な流れとして通路を通って流れる。
計量部材は、有利には分散部材の上流に配置される。計量部材を分散部材に取り付けることも可能である。分散させる相が均質な分布になるように、複数の計量部材を通路に通じるようにすること又は分散部材内に取り付けることもできる。
計量部材は、計量用の開口部を有する管として設計することができる。計量用の開口部は、例えばノズルとして設計することができる。分散させる相が分散部材内に理想的に分布できるように、計量用の開口部の領域に曲率を設けることが可能である。分散させる相をより適切に分布させるために、分散させる相に対して通路内に配置される給送点の数が増加するように、供給ラインが複数の計量部材に流れ込むことができるようにする。
本発明による混合物又は分散物を形成する方法は、以下のステップを含む、すなわち、第1のステップにおいて、第1の流体及び第2の流体を同時に通路内に導入し、混合又は分散部材での第2のステップにおいて第1の流体を第2の流体と接触させる。混合又は分散部材は、通路内に配置された発泡構造体を含むミクロ混合又は分散用の挿入部材を含み、さらに、マクロ混合又は予分散又はマクロ分散用の静的混合部材が、通路内に配置され、第1の流体及び第2の流体が、混合又は分散部材及び挿入部材を通る平行な流れとして伝えられ、それによって第2の流体及び第1の流体が混合又は分散される。
第1の流体は、第1の液体又は第1の気体とすることができ、第2の流体は、第2の液体又は第2の気体とすることができる。
混合物又は分散物を生成する方法は、例えば食品、家庭用品又は化粧品における分散物又はエマルジョンの製造に用いられる。分散物は、反応のための大面積の生成、オゾンによる水処理など気体の液体への溶解においても必要である。また、その方法は、大きい粘性の違い及び/若しくは大きく異なる体積流量の関係を有する液体の混合、又は湿潤が不十分な液体の混合に特に適している。気体は効率的に浄化することが可能であり、洗浄液の追加による圧力損失はきわめて小さい。液体は、スプレー・ノズルを用いてガスの流れの中に計量することも可能であり、装置を用いて迅速且つ完全に蒸発させることができる。
以下では、図面を参照して本発明について説明する。
図1による混合又は分散部材1は、発泡構造体を含む挿入部材3が内部に配置された通路2を含む。図1では挿入部材が見えるように、通路が部分的に断面で示されている。図1による挿入部材は、完全に発泡構造体で構成される。任意選択で通路2の中に導入しやすくするために、発泡構造体をジャケット部材で囲むことができる。
図1による通路2は、円形断面を有する管として示されている。通路はもちろん、任意の他の所望の断面形状を有することが可能であり、特に長方形として作製することができる。
図2には、混合又は分散部材10が示されている。混合又は分散部材は同様に、第1の挿入部材3及び第2の挿入部材4が内部に配置された通路2を含む。第1の挿入部材3と第2の挿入部材4との間には、CH642564に従って設計された第1の静的混合部材5が設けられる。さらに、第2の静的混合部材6が示されているが、その設置は、実質的にDE2205371に対応している。第1の静的混合部材5は、第1の挿入部材及び第2の挿入部材に直接隣接して配置される。第2の静的混合部材6は、第2の挿入部材4から間隔を置いて配置される。
この図には、通路2を通って流れる液体に流体を導入する計量部材は示されていない。そうした計量部材は、例えばEP1956206A2に示されている。
この実施例は、混合又は分散ユニットを形成する、混合又は分散部材、及び静的混合部材の可能な配置を例示的に示すものにすぎず、決して本発明がこの実施例に限定されると考えるべきではない。
図3は、開気孔である発泡構造体に対する実例を示している。図3に示される断面は、例えば図1又は図2による発泡構造体の1つに組み込むことができる。気孔は、図3の角部の点11、12、13、14、15、16、17、18、19、20によって境界を定められる孔又は中空の空間である。個々の気孔は、壁によって互いに隔てられていない。例えば角部の点11、12、13、14、15によってつなげられる面は、開口部21として形成される。この開口部21は、先に示した気孔と、図には示されていない図の平面の前面にある気孔との間に位置する。開口部を通る流体は、隣接する気孔を通って流れることができる。開口部21は、隣接する気孔の縁部の境界を形成するバー部22、23、24、25、26によって境界を定められる。
実施により、平行な流れの動作において、ミクロ混合及び/又は分散用の発泡構造体を使用すると、実際には不均等な分布がほとんど生じず、発泡構造体の大きい内面によってきわめて効率的なミクロ混合及び分散が得られることが示されている。ミクロ混合は、ミクロな領域に限定された混合効果として定義される。したがって、ミクロ混合は、混合又は分散部材の断面全体にわたって有効なものではない、区域に分けられ(zonarily)境界を定められた混合として理解される。この点において、不均等な分布は不均一な相互混合として理解されたい。断面が分散部材の断面を通って位置付けられる場合には、不完全な相互混合のゾーンを有する、十分な相互混合を伴うゾーンが見えるようになるはずである。これは、断面のある部分では相互混合が予想された値よりも低い、すなわち不完全な相互混合のゾーンであり、断面の他の部分では相互混合が予想された値に一致するか、又は予想された値を超え、すなわち十分な相互混合のゾーンが存在することを意味する。
発泡構造体は方向性がないため、単独の発泡構造体では大規模な混合を実施することができない。この点において、大規模な混合は、流体又は気体を流れの主方向に垂直なより大きい距離にわたって移動させ、流体又は気体の移動によって、流れの主方向に垂直な平面における流体又は気体中の個々の成分の分布の不均質を補償する混合プロセスとして理解される。したがって、大規模な混合及び予分散用の典型的な静的混合部材と、ミクロ混合及び微細分散用の発泡構造体とを組み合わせると有利である。微細な分散物はミクロ分散の結果、すなわち、最大の液滴のサイズが2mmよりも小さい、好ましくは1mmよりも小さい状態の分散した相が存在する分散物又はエマルジョンとして理解される。十分且つ大規模な混合は、異なる孔径の発泡構造体の組み合わせによっても実現することができない。
開気孔と同様の球体の充填物を用いることも可能である。球体の充填物と前述の発泡構造体の主な違いは、球体の充填物は、通常25%〜40%の空隙率を有し、したがって体積と表面の比がずっと小さく、また圧力損失がより大きいことである。前述の発泡構造体は、40%〜97%の空隙率を有する。
図4は、静的混合部材5及び挿入部材3を有する、本発明の第2の実施例による混合又は分散部材30を示している。このために流路2は、その長手方向軸線に沿って切り取られた状態で示してある。静的混合部材5は、バー部材の第1の配置7及びバー部材の第2の配置8を含む。2つのそれぞれの隣接するバー部材は、第1の配置7又は第2の配置8に属する。第1の配置又は第2の配置のそれぞれが、複数のバー部材を含むことができる。バー部材は流体の流れに対する障害物となり、流体がバー部材のまわりを流れ、それによって、流体の流れの偏向及び/又は渦の形成が生じる。この流れの偏向及び/又は渦の形成によって相互混合が行われる。バー部材は特に、CH642564又はEP0526392A1に従って設計することができる。貫流の方向は、まず混合部材を通り、次いで発泡構造体を通るようにすることが可能であり、或いは用途に応じて逆もまた同様である。
図1〜図3のものに従って設計された挿入部材3は、静的混合部材の下流に配置される。
図5は、静的混合部材5並びに挿入部材3を有する、本発明の第3の実施例による混合又は分散部材40を示している。挿入部材3は、静的混合部材5の下流に配置される。挿入部材3の下流に、他の静的混合部材6が配置される。静的混合部材6は、特に図4にあるように設計可能な静的混合部材5と同じ構造を有することができる。これに対する別法として、静的混合部材6及び/又は静的混合部材5は、例えば図2に示す静的混合部材6について示されるような異なる形の構造を有することもできる。
図6は、第1の静的混合部材5、および第1の静的混合部材5の下流に配置された第1の挿入部材3を有する、本発明の第4の実施例による混合又は分散部材50を示している。第1の挿入部材3の後、すなわちその下流に、第2の静的混合部材6が配置される。静的混合部材6の下流に、第2の挿入部材4が配置される。第2の挿入部材4の下流に第3の静的混合装置35が配置され、この第3の静的混合部材の下流に第3の挿入部材33が配置される。もちろん、他の静的混合部材及び/又は挿入部材を、それぞれ交互の順序で配置することが可能である。静的混合部材又は1群の少なくとも2つの静的混合部材の後に配置された、1群の少なくとも2つの挿入部材を形成することも可能である。
もちろん、静的混合部材の少なくとも1つを、他の静的混合部材の1つに対して傾けて配置することも可能である。第1の静的混合部材の位置は、特に通路の長手方向軸線のまわりで第2の静的混合部材に対して90°回転させることができる。
図7は、本発明の第5の実施例による混合又は分散部材60を示している。この分散部材は、図6と静的混合部材5、6、35について同じ配置、及び挿入部材3、4、33について同じ配置を有するが、挿入部材33は、静的混合部材35からある間隔を有する。静的混合部材の下流により長い混合経路を形成するそうした間隔は、バー部材の第1の配置7及び第2の配置8の表面に沿った流体の流れの偏向によって形成された、個々の流体のストランドが相互に混合するため、有利になる場合がある。
もちろん、その間隔を、混合又は分散部材60の他のすべての箇所に設けることもできる。先の実施例の混合又は分散部材1、10、30、50、或いは以下の実施例の分散部材70に、対応する間隔を設けることも可能である。
図8は、本発明の第6の実施例による混合又は分散部材70を示している。この混合又は分散部材70は、連続して配置された4つの静的混合部材5、6、35及び36を含む。静的混合部材の1つ、ここでは静的混合部材36は、挿入部材34に取り付けられる。したがって、流体の混合によって、同時に静的混合部材36及び挿入部材34を通って流れるようになる。これによって、静的混合部材の動作を挿入部材の動作と組み合わせることが可能になり、すなわち、静的混合部材のバー部材の配置を通しての流れの大規模な移動、及びそれぞれ挿入部材34を通してのミクロ混合又は分散が同時に起こる。
さらに図8は、温度調整手段27が内部を流れることができる通路9を示している。通路9は、流体の混合物が通って流れる通路2を囲む。通路9は、特にリング形状として形成することができる。これは、通路が、ハウジング部材29の外側ジャケットの表面を他のハウジング部材31として囲むことを意味する。この点において、ハウジング部材29及びハウジング部材31は、管として設計されることが好ましい。これに対する別法として、複数の通路を、通路2をつなぐハウジング部材29の外側ジャケットの表面に配置することができるが、図面には示されていない実施例である。
図8によれば、温度調整手段27は、流体の混合物28に対する対向流として流れるが、別法として、平行な流れ又は直交流として伝えることも可能である。
混合部材と、開気孔の発泡構造体を有する挿入部材の組み合わせによって、混合、並びに分散及び乳化、並びに熱交換のための、きわめて短くエネルギー効率のよい装置が得られることが分かっている。目的に応じて、装置は、単独の静的混合部材又は発泡構造体のみからなる挿入部材よりもずっと短くすること、また圧力損失をずっと小さくすることも可能である。この点において、先の実施例の1つによる分散部材の最初の部分は、断面全体にわたって混合する静的混合部材によって設計されることが好ましい。静的混合部材又は複数の静的混合部材は、流体の混合物を形成するために、流体の流れ又は気体の流れの中に計量された成分の大規模な最初の混合又は分散を実施する。
1〜5個の静的混合部材を使用することが好ましい。その場合、混合又は分散部材1、10、30、40、50、60、70の挿入部材は、開気孔の微細セル発泡体で構成されることが好ましい。この点において、予混合された又はそれぞれ予分散された混合の流体混合物は、ミクロ領域において集中的にさらに混合又は分散される。使用される発泡構造体は、70%、80%、90%よりも大きい空隙部分を有することが好ましい。
特に混合又は分散部材を分散に使用する場合、形成された細かい泡又は液滴を通路の断面全体にわたって均質に分布させるために、他の静的混合部材又は複数の静的混合部材が有用であることもある。用途に応じて、複数の一連の静的混合部材及び発泡構造体も、例えば熱交換又は化学反応の実施などの用途によっては実用的である。したがって熱交換器は、例えば熱媒体の液体が内部を循環する2重ジャケットを有する管で構成することができる。その場合、熱エネルギーは、管の壁を介して内部へ又は離れるように伝えられる。管内の金属の発泡構造体が取り付けられた領域では、発泡構造体の優れた熱伝導及び大きい表面によって熱伝達はきわめて高くなる。1つ又は複数の静的混合部材を含む領域では、発生する温度勾配がやはり断面全体にわたって補償され、したがって、やはり駆動温度の低下が大きくなり、それによって、発泡構造体を有する次の区域では、やはりきわめて効率的な熱交換が得られる。熱交換用の混合部材は、熱媒体が貫流する管で構成することもできる。
混合又は分散部材で化学反応を行うべき場合には、連続して取り付けられた複数の一連の発泡構造体及び静的混合部材によって、きわめて短い滞留時間及び高い反応収量を得ることができる。特に有利には、混合又は分散部材を、少なくとも2つの相で行われる気体/液体反応に用いることができる。ここで相とは、個々の成分が集合した状態として理解されたい。ある成分は、例えば気体の形、すなわち気相として存在することができ、また他の成分は、液体の集合した状態、すなわち液相として存在することができる。
すべての実施例において、発泡構造体の孔径は、好ましくは2つの隣接するバー部材間の間隔、プレートの間隔又は通路の間隔の1/5未満、特に1/10未満、特に好ましくは1/20未満である。バー部材、プレート部材又は通路はそれぞれ、静的混合部材の第1の配置7又は第2の配置8に属する。
一般的には、同じ区域内で静的混合部材を発泡構造体と組み合わせることも可能であり、その場合、混合部材内の中間の空間の少なくとも一部が、追加の発泡構造体によって満たされる。混合部材及び/又は発泡構造体の個々のセグメントの間には、空の空間が存在してもよい。異なる孔径の発泡構造体、並びに異なる混合部材及び異なるスケールの混合部材の組み合わせを組み合わせることも可能である。発泡構造体及び混合部材は、金属、セラミック材料、プラスチックなどの様々な材料から製造することができる。
前述の混合又は分散部材は、混合、エマルジョン、分散物、発泡体の製造、及び熱交換に適している。混合部材及び発泡構造体の製造は、従来型のプロセスによって、並びに迅速な製造によっても行うことができる。前述の混合又は分散部材は、きわめて安価に製造することもできる。発泡構造体を使用することによって、従来技術による静的混合機に対して、静的混合部材の数を著しく低減することが可能になり、それによって圧力損失がずっと小さくなる。静的混合部材はさらに、発泡構造体に対する支持構造及び締結構造として働くことができる。これは10cm超の直径の場合に特に興味深く、そうした場合には発泡構造体が管の直径に対して相対的に薄くなる可能性があり、それに応じて支持すべきためである。締結は、支持部材を介して最も単純に行われることが好ましい。