JP2013519676A - ラミブジン形態iの調製 - Google Patents

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Abstract

ラミブジンの形態Iの多形を調製するための熱力学的に制御された方法を記載し、前記方法は、(a)ラミブジンまたはその酸性塩または両方、(b)水と少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒系を含み、(c)形態Iの種晶を含んでいてもよい混合物から、約00C〜約500Cの温度で形態Iを晶析させることを含み;ラミブジンの酸性塩が前記混合物において使用される場合、晶析工程は塩基の存在下で行われ;前記溶媒系の水分活量が、形態Iがラミブジンの熱力学的に最も安定な形態である範囲内に維持される。
【選択図】図2

Description

本発明は、形態1がラミブジンの熱力学的に最も安定な形態である条件下でラミブジンを晶析させることを含む方法による、形態Iとして知られるラミブジンの多形の調製に関する。
ラミブジン(あるいはまた、本明細書においてLMVといい、多くの場合、典型的には当該技術分野において3TCと称される)は、現在、EPIVIR(GlaxoSmithKline)で市販されているHIV、HBVおよびHTLVの処置のための抗ウイルス薬である。化学的には、ラミブジンは、(−)−シス−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル−(1H)−ピリミジン−2−オンであり、下記の構造:
Figure 2013519676
を有する。
国際公開第91/017159号には、ラミブジンとそのエナンチオマーの混合物の酵素媒介性エナンチオ選択的異化作用を使用し、ラミブジンを白色粉末として調製することが開示されている(実施例4および5参照)。
米国特許第5905082号には、LMVが多形を示し、針状形状の結晶(形態Iと称される)および両錐型結晶(形態IIと称される)として存在し得ることが開示されている。ミリングなどの特定の操作によって形態IIへの形態Iの変換が引き起こされものとされているため、形態Iは形態IIよりも安定性が低いと開示されている。この2つの多形形態は、融解挙動、赤外線スペクトルおよびDSCスキャンによって特性評価され、これらによって識別される。この参考文献には、形態Iは、水溶液からの晶析または1−プロパノールとの共沸蒸留によって得られ得ること、および形態IIは、非水性媒体(特にC2〜6アルコール、工業用メチル化スピリット(IMS;変性エタノール)または1−プロパノール)からのLMVの再結晶によって得られ得ることが開示されている。また、この参考文献には、形態Iをその融点より上で加熱し、融解物を放冷するか、あるいはまた、形態Iを磨砕またはミリングすることにより形態IIが得られ得ると報告されている。米国特許第5905082号の実施例1には、LMV(この実施例では「中間体5」と称されている)の水懸濁液を45℃まで加熱して溶液を得、次いで、この溶液を30℃まで冷却して撹拌不可能な結晶性塊を得、これを分解して懸濁液にし、約10℃で1時間撹拌することによる形態Iの調製が開示されている。次いで、生成物を濾過し、IMSで2回洗浄し、45℃で24時間真空乾燥させると微細な針状結晶(形態I)が得られた。実施例2には、形態IのIMS懸濁液を還流させて溶液を得、この高温溶液を濾過し、濾液を蒸留し、蒸留した濾液に種晶添加し、80℃から25℃まで1時間にわたって冷却することによる形態IIの調製が開示されている。これにより単離された生成物は両錐体の凝集塊(形態II)であった。実施例3には、実施例1の形態IのIMS懸濁液を撹拌しながら50℃で合計約25時間加熱し、次いで20℃まで冷却し、この懸濁液を1時間撹拌し、次いで、形態IIを単離することによる形態Iからの100%形態IIの形成が開示されている。
Jozwiakowskiら,J.Pharm.Set 1996,85(2),pp.193−199には、LMVを高温水に溶解させ、等容量のMeOHを添加し、冷蔵庫内で冷却することによる形態Iの調製が開示されている。形態Iおよび形態IIは、SEM、偏光顕微鏡検査、TGA、DSCおよびXRPDによって特性評価された。この参考文献には、0.2水和物としての形態Iと、無水和物としての形態IIが記載されている。また、この参考文献には、種々の再結晶溶媒(すなわち、水、MeOH、EtOH、n−PrOH、2−PrOH、n−BuOH、sec−BuOH、EtOAc、アセトン、およびアセトニトリル)中における5℃、15℃、25℃、35℃および45℃での形態IおよびIIの溶解性挙動が記載されている。25℃でのEtOH−水混合物中における結晶性形態の溶解性挙動も調べられており、平衡状態で過剰の固形物を形態Iに変換させるためには、EtOH中に>18〜20%の水が存在していなければならないと開示されている。
Harrisら,J.Chem.Soc,Perkin Trans.2 1997,2653−2659には、形態IとIIを特性評価して比較するさらなる試験が示されている。これには、形態Iが水、メタノールまたは水性アルコールの溶液中から針状物として晶析されたこと、および、形態IIは、乾燥EtOH、n−PrOH、またはEtOHと極性の低い有機溶媒との混合物からゆっくり再結晶させると両錐体として得られたことが開示されている。この2つの形態は、DSC、13CおよびH NMR、IRならびにXRPDによって特性評価された。中でも、その所見は、形態IIが高度に対称な格子を有し、形態Iは、5つの非等価分子と、5つのLMVごとに1つの水分子を含む非対称な単位を有する(すなわち、0.2mol水和物)というものであった。
国際公開第03/027106号には、サリチル酸LMVを脂肪族ケトン、エステルおよびC1〜8直鎖または分枝鎖エーテルから選択される溶媒に懸濁させ、懸濁液を溶媒の還流温度で還流し、該還流温度で有機塩基を添加し、次いで、混合物を冷却し、濾過して形態IIを得る形態IIの調製方法が開示されている。この方法は、実施例1(溶媒=EtOAc、塩基=TEA)と実施例2(溶媒=アセトニトリル、塩基=TEA)に示されている。
国際公開第2007/119248号には、該文献において形態IIIと称されたラミブジンの結晶性半水和物が開示されている。この参考文献には、LMVを45℃の水中に溶解させる、得られた溶液を30℃まで冷却し、任意に形態III結晶の種晶添加を行い、0.5℃/分〜3.5℃/分の範囲で10℃までさらに冷却し、次いで、濾過によって結晶を単離し、任意にアルコールで洗浄し、45〜55℃で乾燥させることによる形態IIIの調製方法が示されている。実施例14および15には、それぞれ、米国特許第5905082号の実施例1および2のそれぞれに示されたものと実質的に同じ手順を用いた形態Iおよび形態IIの調製が記載されている。
国際公開第2008/114279号には、LMVの非晶質形態、LMVとジメチルアセトアミドの結晶性溶媒和物(該文献において形態IIIと称される)、LMVと1−メチル−2−ピロリジノン結晶性溶媒和物(該文献において形態IVと称される)、および該文献において形態Vと称されるLMVの結晶性無水多形の調製および特性評価が開示されている。この参考文献に報告された形態III(DMAC溶媒和物)と、上記に考察した国際公開第2007/119248号に報告された形態III(結晶性半水和物)は、同じLMV形態ではない。ここで使用される用語「形態III」は結晶性半水和物をいう。
国際公開第2008/114279号には、LMVの非晶質形態が、形態Vを加熱して融解物を形成させ、次いで、この融解物を冷却することにより調製され得ること、およびこの非晶質形態から形態Iが得られ得ることが開示されている。これには、形態Iが、非晶質形態のLMVを>90%の相対湿度で数日間保存することにより調製され得(実施例28参照)、また、非晶質形態のLMVを約40℃で数日間加熱することによっても調製され得る(実施例29参照)ことが開示されている。また、この参考文献には、LMVの有機溶媒(1種類または複数種)の高温溶液を周囲温度まで冷却することを伴う方法による形態Iの調製を開示するいくつかの実施例が含まれている。また、この参考文献には、時計皿でのLMVの有機溶媒の溶液の高速エバポレーションや、非晶質LMVの有機溶媒の懸濁液を周囲温度で一晩撹拌することによる形態Iの調製の実施例も開示されている。
国際公開第2009/037538号には形態Iの調製方法が開示されている。第1の方法は、LMVを水性アルコールに溶解させること(例えば、15〜20%の水性EtOHに35〜60℃、好ましくは45〜55℃で);この溶液をセライトに通して濾過すること;アルコールを42℃未満で減圧除去すること;EtOAcまたはメチルイソブチルケトンの添加によって残渣から生成物を析出させること;および濾過し、湿潤物質を(例えば、40〜50℃で)減圧下で、水分含量が≦1.8%w/wになるまで乾燥させることを伴うものである。この第1の方法は、実施例1(水性EtOH;EtOAc)、3(水性 MeOH;EtOAc)および4(水性EtOH;メチルイソブチルケトン)に例示されている。第2の方法は、サリチル酸LMV一水和物を有機溶媒中にて有機塩基で処理し、形態Iを単離することを含むものである。この第2の方法は、実施例2(温度=25〜30℃;塩基=TEA;溶媒=HEtOAc)および5(温度=25〜30℃;塩基=TEA;溶媒=メチルイソブチルケトン)に例示されている。第3の方法は、LMVをEtOAcと水の混合物でスラリー状にし、形態Iを単離することを伴うものである。この第3の方法は実施例6に示されており、該実施例では、形態Iと形態IIの混合物を、EtOAc(210mL)と水(5mL)(TEA(0.2g)含有)の混合物中で20〜30℃にてスラリー状にし;このスラリーを20〜30℃で一晩撹拌し;生成物を濾過し、EtOAcで洗浄し、40〜45℃減圧乾燥させると形態Iが得られた。
国際公開第2009/069013号には、LMVを38〜45℃で水に溶解させて溶液を得、この溶液を≦30℃の温度まで≦10分間で冷却して混合物を得、混合物を温度≦30℃で撹拌し、固形物を単離し、次いでこの固形物を水で洗浄して形態Iを得ることを含む方法による形態Iの調製が開示されている。該参考文献には、この方法によって得られた形態Iの生成物は安定であると記載されている;すなわち、該参考文献には、該方法によって得られる形態Iは、ミリングに供した場合、または45℃までで25%〜85%の相対湿度で保存した場合、形態IIに変換されないと主張されている。
国際公開第2009/127996号には、該文献において形態IVと称されたラミブジンの別の結晶性形態が開示されている。これには、形態IVが、LMVをメタノールに溶解させて溶液を得、得られた溶液を≦15℃まで冷却して混合物を得、混合物から形態IVを単離することにより調製され得ることが開示されている。
Variankavalら,Organic Process R&D 2007,11、PP.229−236には、N−シクロプロピル−1−[3−[(l−オキシドピリジン−3−イル)エチニル]フェニル]−1,4−ジヒドロ[1,8]ナフチリジン−4−オン−3−カルボキサミドの結晶性相の水分活量媒介性制御試験が開示されている。溶媒−水混合物における水分活量(water activity)は、ASPEN Propertiesソフトウェアにて実行されるNRTL−RKモデルを用いて計算された。この文献では(p.236)、「無水形態および水和形態の両方を特徴とする系において好適な晶析プロセスの設計における臨界パラメータは、水溶液の濃度ではなく水分の活量である」(原文において強調)と結論付けられた。
国際公開第91/017159号 米国特許第5905082号 国際公開第03/027106号 国際公開第2007/119248号 米国特許第5905082号 国際公開第2008/114279号 国際公開第2009/037538号 国際公開第2009/069013号 国際公開第2009/127996号
Jozwiakowskiら,J.Pharm.Set 1996,85(2),pp.193−199 Harrisら,J.Chem.Soc,Perkin Trans.2 1997,2653−2659 Variankavalら,Organic Process R&D 2007,11、PP.229−236
本発明は、形態Iが熱力学的に最も安定な形態である条件下で形態Iのラミブジン多形を晶析させるための方法に関する。該方法は、熱力学的に制御されるため、ラミブジンの他の形態を実質的にないし完全に含有していない形態Iを晶析させるための、ロバストで信頼性のある拡張可能な方法を提供する。熱力学的制御下で行われない形態Iの作製方法は、所望の形態を生成させる晶析速度論に依存する。晶析速度論は、規模に関連するパラメータ(混合剪断および操作条件における若干のばらつきなど)に依存性となり得るため、晶析の制御不良によって、ロット毎および生産規模間で結晶形態に変動がもたらされることがあり得る。本発明の方法では、この変動の可能性が最小化または排除される。例えば、速度論的に制御される晶析で調製された形態Iの生成物では、DSCにより微量の形態IIが観察された。微量の形態IIは、本発明の方法によって調製された形態Iの生成物では同様には観察されなかった。
より詳しくは、本発明は、(a)ラミブジンまたはその酸性塩または両方、(b)水と少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒系を含み、(c)形態Iの種晶を含んでいてもよい混合物から、約0℃〜約50℃の温度Tで形態Iを晶析させることを含む、形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法(あるいはまた、本明細書においてP法と称する)であって;ラミブジンの酸性塩が該混合物において使用される場合、晶析工程は塩基の存在下で行われ;該溶媒系の水分活量Aは、形態Iがラミブジンの熱力学的に最も安定な形態である範囲内に維持される;ただし、該溶媒系が二元溶媒系であり、温度Tが約20℃〜約30℃の範囲であり、形態Iを晶析させる混合物が、該二元溶媒系中の形態Iおよび形態IIからなるスラリーであり、該方法でラミブジンの酸性塩が使用されない(すなわち、該混合物にはLMVの酸性塩が含まれていない)場合、該二元系の有機溶媒は酢酸エチル以外であるものとする方法である。
該混合物は、遊離ラミブジンまたはラミブジンの酸性塩またはその組合せを含むものであり得、ここで、ラミブジンおよび/またはその酸性塩は該溶媒系に溶解され得るか、スラリー状にされ得るか、あるいは分散または懸濁され得る。晶析の開始時、該混合物は、例えば、ラミブジンの溶液、ラミブジンの酸性塩の溶液、ラミブジンの2種類以上の酸性塩の溶液、ラミブジンとその1種類(もしくは2種類以上の)酸性塩の溶液、ラミブジンのスラリー、ラミブジンの酸性塩のスラリー、ラミブジンの2種類以上の酸性塩のスラリー、またはラミブジンとその1種類(もしくは2種類以上の)酸性塩のスラリーであり得る。該混合物がラミブジンのスラリーであるか、または該スラリーを含むものである場合、開始時のスラリーは、非晶質のラミブジンあるいは多形(形態IIまたは形態IIIなど)または2種類以上の形態の混合物を含むものであり得る。また、開始時のスラリーは、種晶添加に必要な量を超えた量で形態Iを含むものであってもよく、この場合、晶析の目的は、少なくとも一部において、他の形態または開始時の形態Iに存在する不純物を実質的に含有していない形態Iの生成物を生成させることであり得る。該混合物の性質は、もちろん、晶析が進行するにつれて変化し、このとき、形態Iの生成物の量は増加し、開始時のラミブジンの形態(1種類または複数種)の量は減少する。晶析は、典型的には、形態Iの生成物の最適な収率が達成されるのに充分な時間行われる。開始時の混合物が溶液である場合、晶析は、典型的には、形態Iの収率が最大となり、溶液中に残留するラミブジンの量が最小限となるのに充分な時間行われる。開始時の混合物がスラリーである場合、晶析は、典型的には、残留する形態I以外の形態のラミブジンがなくなるまで行われる。開始時の混合物の性質とは無関係に、晶析工程が終結したとき、終了時の混合物は、ラミブジンの他の形態を実質的にまたは完全に含有していない形態Iの生成物のスラリーである。
晶析に使用される溶媒系は、水と少なくとも1種類の有機溶媒を含むものである。該溶媒系は、例えば、水と1種類の有機溶媒からなる二元溶媒系、水と2種類の有機溶媒からなる三元溶媒系、または四元以上の溶媒系であり得る。二元系は、典型的には、調製および水分活量に換算した特性評価がより容易であるため好都合である。さらに、二元溶媒の有機溶媒は、一般的に、三元以上の系と比べて、分離ならびに再利用および/または環境的に適切な廃棄のための回収がより容易である。
P法における使用に適した有機溶媒は、使用される晶析条件下で、液相であり、化学的に不活性であり、晶析の進行が可能となるようにその共溶媒である水とともに、出発物質のラミブジンおよび該混合物中に存在する任意の他の薬剤(例えば、該混合物がラミブジンの酸性塩である場合は塩基)を溶解、懸濁および/または分散させる有機物質である。P法における溶媒系における使用に適した代表的な有機溶媒としては、アルコール(例えば、アルカノール)、ケトン(例えば、アルカノン)、アルキルカルボン酸のエステル(例えば、酢酸アルキル)、環状および脂肪族エーテルおよびジエーテルが挙げられる。好適な有機溶媒は、以下においてさらに記載する。
P法における使用に適したラミブジンの酸性塩は、塩基と反応すると遊離形態のラミブジンをもたらし得る塩である。P法における使用に適した代表的な酸性塩としては、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩が挙げられる。好適な塩としては、ヒドロキシ安息香酸、C3〜10アルキルカルボン酸、C3〜10アルキルジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸の塩が挙げられる。該塩は、例えば、サリチル酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸の塩であり得る。特に好適なのは、ラミブジンのサリチル酸塩およびコハク酸塩である。サリチル酸ラミブジンが好ましい塩である。
ラミブジンの酸性塩が使用される場合、晶析は塩基の存在下で行われる。塩基は、ラミブジンの酸性塩を分解して中性のラミブジンをもたらし得る任意の塩基であり得る。P法における使用に適した塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンが挙げられる。塩基は、例えば、トリ−C1〜6アルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(diisoproylethylamine)、ジエチルイソプロピルアミン、もしくはトリ−n−プロピルアミン)またはピリジンであり得る。トリエチルアミンが好ましい塩基である。
塩基は、典型的には、ラミブジンの酸性塩がすべて分解されるのに充分な量で使用される。塩基は、好適には、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも約1当量の量で使用され得、典型的には、酸性塩1当量あたり約1〜約3当量(例えば、約1〜約2当量)の範囲の量で使用され、より典型的には、酸性塩1当量あたり約1.0〜約1.5当量(例えば、約1.05〜約1.2当量)の範囲の量で使用される。
晶析は、形態Iの種晶の存在下または非存在下で行われる。晶析プロセスにより、種晶なしで形態Iが得られるが、種晶添加により、該プロセスがより効率的となり得、特定のあるバッチにおける生成物は比較的均一となり、バッチ間ではより一貫した生成物が得られ得る。種晶は、好適には、晶析に使用されるラミブジンの重量に対して約1〜約20wt%の範囲の量で使用され、典型的には約2〜約6wt%の量で使用される。
該溶媒系の水分活量は、形態Iがラミブジンの熱力学的に最も安定な形態である値または値の範囲に維持する。用語「水分活量」はf/fと定義し、式中、fは、対象の溶媒系の水のフガシティーであり、fは、同じ温度での純水のフガシティーである。理想気体の法則があてはまる系では、フガシティーは圧力と等価である。かかる場合では、水分活量はp/pと等価であり、式中、pは、対象の溶媒系の水の蒸気圧であり、pは、同じ温度での純水の蒸気圧である。P法における使用に適した水分活量およびその測定方法は後述する。
本発明の第1実施形態(あるいはまた、本明細書において「実施形態PE1」と称する)は、以下である:ただし、該溶媒系が二元溶媒系であり、温度Tが約20℃〜約30℃であり、ラミブジンの酸性塩が該混合物に使用されない場合、有機溶媒は酢酸エチル以外であるものとすると読み替えるものとすること以外は、原型として記載したP法(すなわち、上記のもの)である。
本発明の第2実施形態(実施形態PE2)は、以下:ただし、該溶媒系が二元系であり、酸性塩が該混合物に使用されない場合、有機溶媒は酢酸エチル以外であるものとする、と読み替えるものとすること以外は、原型として記載したP法である。
本発明のさらなる実施形態は、以下の説明、実施例および添付の特許請求の範囲においてさらに説明しているか、またはそれらから自明であるかのいずれかである。
水と2−ブタノンの二元混合物におけるラミブジンの熱力学的に安定な形態を、水の重量パーセントと温度に関して示した相図である。 水と有機溶媒の二元混合物について、ラミブジンの熱力学的に安定な形態を水分活量と温度に関して示した相図である。 実施例1のラミブジンの結晶性生成物の形態構造を示す顕微鏡写真である。 実施例1のラミブジンの結晶性生成物の粉末X線回折パターンである。 実施例1のラミブジンの結晶性生成物のDSC曲線である。 実施例1のラミブジンの結晶性生成物の熱重量分析のプロットである。 実施例3のラミブジンの結晶性生成物の粉末X線回折パターンである。 実施例4のラミブジンの結晶性生成物の粉末X線回折パターンである。
本発明は、形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法に関する。ラミブジンは、少なくとも3種類の安定な水和状態で存在し得る。形態Iは0.2mol水和物であり;形態IIは無水であり;形態IIIは0.5mol水和物である。水性溶媒の系におけるこれらの各状態の熱力学的安定性は、水分活量(A)と系の温度(T)によって測定され得る。形態Iの水和状態は、形態IIの水和状態とIIIの水和状態の間に存在するため、形態Iが熱力学的に安定である条件は、形態IIが安定な条件とIIIが安定な条件の間に存在する。
二元溶媒系において形態Iが最も安定な形態であるAおよびTの値は、以下のようにして測定した:形態I、IIおよびIIIの物理的混合物を、ある範囲の水濃度と温度を有する一連の脱イオン水−2−ブタノン溶媒系に添加した。次いで、各混和物を、その温度で、各結晶性形態の相対量が一定に維持されるまで熟成させることにより平衡化した。平衡化の終了時、各混和物は、単一の結晶形態のスラリー、または1つの結晶形態が優位なスラリーを含むものであった。この結晶形態が、その混和物の温度条件および水濃度条件において熱力学的に最も安定なものである。形態Iは、約0℃では該混合物が2.5〜5.0wt%の水を含む場合、水−2−ブタノン混合物において熱力学的に安定であることがわかった。同様に、形態Iは、約25℃では該混合物が3.5〜6.0wt%の水を含む場合、約50℃では該混合物が5.0〜8.5wt%の水を含む場合、水−2−ブタノン混合物において熱力学的に安定であると測定された。形態Iと形態IIIの境界部でのさらなるデータを収集した;すなわち、20℃では、形態Iは、2−ブタノン中の水が5.7wt%未満のとき形態IIIよりも安定であり、30℃では、形態Iは、水が6.6wt%未満のとき、形態IIIよりも安定である。データを、図1に、水のwt%に対する温度の相図で示す。
水−2−ブタノン混合物の水分活量は、非ランダム2液−レドリッヒ‐クウォン(NRTL−RK)モデルを用いて計算した。このモデルは、液状混合物の過剰ギブスエネルギーを計算する該非ランダム2液式と、気相の圧力、温度および容量の状態の性質を関連させるレドリッヒ‐クウォン状態方程式をカップリングしたものである。該モデルのNRTL部分では、部分モル過剰ギブスエネルギーを計算するための式が提供される。部分モル過剰ギブスエネルギーは非理想的な系を表し、式:
Figure 2013519676
(式中、
Figure 2013519676
は、指定の成分iの部分モル過剰ギブスエネルギーであり、Rは気体定数であり、Tは温度であり、gは、成分iの活量係数である)
による混合物中の液状物の活量係数と関連している。活量Aは、成分iの活量であり、gと以下のように:
=g
(式中、Xは、成分iのモル分率である)
関連している。液状混合物の過剰ギブスエネルギーおよびNRTLモデルのさらなる説明は、Perry’s Chemical Engineers’Handbook.第7版,PerryおよびGreen,pp.4−10〜4−22;ならびにRenonら,AlChE Journal 1968,14,pp.135−144において知得され得る。
計算は、Aspen Properties(Version 2006,Aspen Technologies,Inc.,Cambridge,MA)において行った。マイクロソフトエクセルに対するAspen Propertiesのアドオンを計算に使用した。温度、圧力(=大気圧)、溶媒の型および溶媒の質量分率のモデル入力を使用し、エクセル用アドオンの「混合物の性質−活量係数」の関数をカップリングさせて水分活量を得た。逆計算(すなわち、特定の系における所望の水分活量の具体的な水の質量分率への変換)では、質量分率を目標水分活量が得られるまで反復させた。
2−ブタノン−水の系について上記で説明し、図1に示した平衡化データを用いて対応する水分活量を計算し、これから、AとTを2つの独立変数とする図2に示す相図を作成した。水−2−ブタノン系のデータから得られた相図を図2に示す。
図2に示した転移条件のプロットに使用したデータを線形最小二乗フィットに供した。形態IIからIへの転移は、式:
w1=(0.00458×T)+0.506(P)
を有すると測定された。形態IからIIIへの転移は、式:
w2=(0.00316×T)+0.775(Q)
を有すると測定された。図2の相図および二元混合物の水分活量と温度を関連付ける前述の式PとQは、原則的には、水と任意の有機溶媒の二元混合物に適用される。選択された温度の水と種々の溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、およびエタノール)の二元混合物におけるI−II間およびI−III間の転移条件を表示する水分活量の範囲を、式PとQを用いて調べた。次いで、NRTL−RKモデルとASPEN Propertiesソフトウェアを使用し、水分活量Aと温度Tの選択された各範囲に対応する水の重量パーセントの範囲を調べた。所与のTにおける各重量パーセントを、水のモル分率を自由裁量で選択し、その水分活量を計算し、次いで、このプロセスを、所望の水分活量に対応するモル分率が得られるまでイテレーション様式で反復することにより求めた。次いで、モル分率を重量パーセントに変換した。この手順により、種々の水−溶媒二元混合物において形態Iが熱力学的に最も安定な形態である条件が、0℃〜50℃の範囲の温度で相応して得られた。次いで、これらの二元混合物を後述のようにして使用し、熱力学的に制御された形態Iの晶析を行った。
式PとQは、物理的挙動が2−ブタノンと実質的に異なる有機溶媒に対しては使用することができない。例えば、これらの式は、LMVと溶媒和物を形成する傾向にある溶媒に直接適用することができない。かかる場合では、形態Iの熱力学的安定性の範囲を調べるため、該当する溶媒の相図のさらなる評価が必要である。
式PとQは、水と2種類以上の有機溶媒の三元以上の混合物には適用され得る。しかしながら、溶媒混合物の選択において考慮すべきさらなる自由度が存在するため(1種類より多くの有機溶媒の存在のため)、改良した反復手順を使用しなければならない。
前述の説明によれば、本発明の第3実施形態(実施形態PE3)は、該溶媒系が水と1種類の有機溶媒の二元系であり、該溶媒系の水分活量が晶析工程中、約Aw1〜約Aw2の範囲であり、ここで、Aw1=(0.00458×T)+0.506およびAw2=(0.00316×T)+0.775である、原型として記載したP法である。実施形態PE3の第1の下位実施形態(下位実施形態PE3−S1)は、実施形態PE1に示したとおりであるものとすること以外は、実施形態PE3に原型として記載した方法である。実施形態PE3の第2の下位実施形態(下位実施形態PE3−S2)は、実施形態PE2に示したとおりであるものとすること以外は、実施形態PE3に原型として記載した方法である。この実施形態およびその各下位実施形態の一態様において、晶析は種晶の非存在下で行われる。この実施形態およびその各下位実施形態の別の態様では、晶析は種晶の存在下で行われる。
本発明の第4実施形態(実施形態PE4)は、(i)該混合物が、該溶媒系中のラミブジンの酸性塩と、種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶とのスラリーであり、(ii)晶析工程が塩基の存在下で行われる、原型として記載した、または実施形態PE3に記載したP法である。
実施形態PE4の諸態様としては、以下の特徴(a1)〜(a6):
(a1−a)1種類以上の有機溶媒が、C3〜8アルカノンおよび酢酸C1〜8アルキルからなる群から選択される
(a1−b)1種類以上の有機溶媒が、2−ブタノン、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルからなる群から選択される;
(a1−c)有機溶媒が酢酸イソプロピルであるか、または1種類より多くの有機溶媒が使用される場合、溶媒のうちの1つは酢酸イソプロピルである;
(a2−a)塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択される;
(a2−b)塩基が、トリ−C1〜6アルキルアミンまたはピリジンである;
(a2−c)塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、またはトリ−n−プロピルアミンである;
(a2−d)塩基が、トリエチルアミンである;
(a3−a)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも約1当量の量で使用される;
(a3−b)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1〜約3当量の範囲の量で使用される;
(a3−b)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1〜約2当量の範囲の量で使用される;
(a3−d)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1.0〜約1.5当量の範囲の量で使用される;
(a3−e)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1.05〜約1.2当量の範囲の量で使用される;
(a4−a)ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される;
(a4−b)ラミブジンの酸性塩が、ヒドロキシ安息香酸、C3〜10アルキルカルボン酸、C3〜10アルキルジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選択される;
(a4−c)ラミブジンの酸性塩が、サリチル酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸の塩である;
(a4−d)ラミブジンの酸性塩が、サリチル酸またはコハク酸の塩である;
(a4−e)ラミブジンの酸性塩がサリチル酸ラミブジンである;
(a5−a)晶析が種晶の存在下で行われる;
(a5−b)晶析が種晶の非存在下で行われる;
(a6)溶媒系が、1種類の有機溶媒を含む二元系である、
の1つ以上が組み込まれたPE4に原型として記載した方法が挙げられる。
特徴(a1)〜(a6)は各々、原型として記載した実施形態PE4の方法に単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE4の一態様であることは理解されよう。
実施形態PE4の第1の下位実施形態(下位実施形態PE4−S1)は、晶析工程中、該塩基が該スラリーに漸増的に添加される、実施形態PE4に原型として記載した方法である。該塩基は固形形態であり得るが、典型的には、スラリーに使用したものと同じ溶媒系に溶解、分散または懸濁させる。上記に示した特徴(a1)〜(a6)は各々、原型として記載した下位実施形態PE4−S1に単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法はPE4−S1の一態様であることは理解されよう。
本発明の第5実施形態(実施形態PE5)は、(a)ラミブジンの酸性塩、(b)水と有機溶媒を含む二元溶媒系を含み、(c)形態Iの種晶を含んでいてもよい混合物から、約0℃〜約50℃の温度Tで形態Iを晶析させることを含む、形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法であって;晶析工程が塩基の存在下で行われ、該溶媒系の水分活量が晶析工程中、約Aw1〜約Aw2の範囲内に維持され、ここで、Aw1=(0.00458×T)+0.506およびAw2=(0.00316×T)+0.775である方法である。
実施形態PE5の第1の下位実施形態(下位実施形態PE5−S1)は、晶析工程中、該塩基が該スラリーに漸増的に添加される、実施形態PE5に原型として記載した方法である。該塩基は、固形物添加してもよく、スラリーに使用したものと同じ溶媒系の溶液または分散液または懸濁液として添加してもよく、典型的には溶液として添加される。PE5−S1の方法は、例えば、以下のようにして行われ得る:ラミブジンの酸性塩および固定割合の水と選択された有機溶媒を含む溶媒系を晶析装置に仕込み、該溶媒系の塩溶液のスラリーを得、スラリーの温度を、形態IがLMVの熱力学的に最も安定な形態である水分活量Aがもたらされる温度Tにして維持する。種晶添加を使用する場合は、形態Iの種晶を該スラリーに仕込み、次いで、別途一部の同じ溶媒系での塩基溶液を、晶析装置内の内容物をアジテーション(例えば、撹拌)し、温度を維持しながら、スラリーに漸増的に添加(例えば、滴下)する。塩基の添加が終了したら、その後に熟成を行ってもよく、形態Iからなるものになったスラリーを慣用的な手段を用いて回収する(例えば、結晶性固形物を真空濾過によって分離し、この固形物を、晶析に使用したものと同じ溶媒系で、晶析を行った温度またはそれに近い温度で洗浄し、次いで、形態Iの生成物が異なるLMV形態に変換されない温度および相対湿度にて真空炉内で乾燥させる)。
用語「熟成させる(aging)」およびその変形(例えば、「熟成された(aged)」)は、所望の度合(通常、最適度合)の形態Iへの変換が達成されるのに充分な時間、晶析が継続されるのを可能にすることを意味する。
実施形態PE4に関して上記に示した特徴(a1)〜(a5)は各々、原型として記載した実施形態PE5(または下位実施形態PE5−S1)の方法に、単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE5(または下位実施形態PE5−S1)の一態様であることは理解されよう。塩基と塩の好ましい組合せは、TEAとサリチル酸ラミブジンである。
実施形態PE5および下位実施形態PE5−SE1における使用に適した溶媒系としては、例えば、水−IPAc、水−EtOAc、および水−2−ブタノンが挙げられる。PE5およびPE5−S1に記載の晶析は、例えば、これらの溶媒系を用いて下記の条件下で行われ得る。
Figure 2013519676
本発明の第6実施形態(実施形態PE6)は、該混合物が、第1の量の該溶媒系に溶解させたラミブジンの酸性塩を含む第1成分と、第2の量の該溶媒系、塩基および、種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を含む第2成分の混和物である、原型として記載した、または実施形態PE3に記載したP法である。
実施形態PE6の諸態様としては、以下の特徴(b1)〜(b5):
(b1−a)1種類以上の有機溶媒が、ジ−C1〜5アルキルエーテル、C4〜6環状エーテルおよびC3〜5ジオキサンからなる群から選択される
(b1−b)1種類以上の有機溶媒が、エチルエーテル、MTBE、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、THFおよび1,4−ジオキサンからなる群から選択される;
(b1−c)有機溶媒がTHFであるか、または1種類より多くの有機溶媒が使用される場合、溶媒のうちの1つはTHFである;
(b2−a)塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択される;
(b2−b)塩基が、トリ−C1〜6アルキルアミンまたはピリジンである;
(b2−c)塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、またはトリ−n−プロピルアミンである;
(b2−d)塩基が、トリエチルアミンである;
(b3−a)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも約1当量の量で使用される;
(b3−b)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1〜約3当量の範囲の量で使用される;
(b3−b)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1〜約2当量の範囲の量で使用される;
(b3−d)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1.0〜約1.5当量の範囲の量で使用される;
(b3−e)塩基が、ラミブジンの酸性塩1当量あたり約1.05〜約1.2当量の範囲の量で使用される;
(b4−a)ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される;
(b4−b)ラミブジンの酸性塩が、ヒドロキシ安息香酸、C3〜10アルキルカルボン酸、C3〜10アルキルジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選択される;
(b4−c)ラミブジンの酸性塩が、サリチル酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸の塩である;
(b4−d)ラミブジンの酸性塩が、サリチル酸またはコハク酸の塩である;
(b4−e)ラミブジンの酸性塩がサリチル酸ラミブジンである;
(b5−a)晶析が種晶の存在下で行われる;
(b5−b)晶析が種晶の非存在下で行われる;
(b6)溶媒系が、1種類の有機溶媒を含む二元系である
の1つ以上が組み込まれたPE6に原型として記載した方法が挙げられる。特徴(b1)〜(b6)は各々、原型として記載した実施形態PE6の方法に、単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE6の一態様であることは理解されよう。
実施形態PE6の第1の下位実施形態(下位実施形態PE6−S1)は、該混和物が第1成分を第2成分に添加することにより形成され、ここで、第1成分は、添加前はTより高い温度を有し、該混和物は、晶析工程中、温度Tに維持される、実施形態PE6に原型として記載した方法である。第1成分は、ラミブジンの酸性塩が溶液状に維持されるのに充分な温度で保持される。第1成分は、典型的には、第2成分に漸増的に、温度Tが、形態Iが熱力学的に最も安定な形態である範囲外の温度に変化しないような様式で添加される。上記に示した特徴(b1)〜(b6)は各々、原型として記載した下位実施形態PE6−S1に単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法はPE6−S1の一態様であることは理解されよう。
本発明の第7実施形態(実施形態PE7)は、第1の量の二元溶媒系に溶解させたラミブジンの酸性塩を含む第1成分と、第2の量の二元溶媒系、塩基および、種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を含む第2成分の混和物を含む混合物から、約0℃〜約50℃の温度Tで形態Iを晶析させることを含む形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法であって;該溶媒系の水分活量が晶析工程中、約Aw1〜約Aw2の範囲内に維持され、ここで、Aw1=(0.00458×T)+0.506およびAw2=(0.00316×T)+0.775である方法である。
実施形態PE7の第1の下位実施形態(下位実施形態PE7−S1)は、該混和物が第1成分を第2成分に添加することにより形成され、ここで、第1成分は、添加前はTより高い温度を有し、該混和物は、晶析工程中、温度Tに維持される、実施形態PE7に原型として記載した方法である。第1成分は、ラミブジンの酸性塩が溶液状に維持されるのに充分な温度で保持される。第1成分は、典型的には、第2成分に漸増的に、温度Tが、形態Iが熱力学的に最も安定な形態である範囲外の温度に変化しないような様式で添加される。PE7−S1の方法は、例えば、以下のようにして行われ得る:ラミブジンの酸性塩と固定割合の水および選択された有機溶媒の溶液からなる二元溶媒系との混合物を、該塩が溶解して酸性塩溶液が得られるのに充分な温度まで加熱する(注:混合物は(例えば、密封槽内で)、水および/または有機溶媒の減損が最小限となるか回避される様式で加熱される)。別途一部の該溶媒系を晶析装置内に添加し、形態IがLMVの熱力学的に最も安定な形態である水分活量Aがもたらされる温度Tにして維持する。次いで、塩基、および種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を晶析装置に仕込む。次いで、別途調製した高温の酸性塩溶液を晶析装置に、晶析装置の内容物をアジテーション(例えば、撹拌)し、晶析装置の温度を維持しながら、漸増的に添加(例えば、滴下)する。高温溶液の添加が終了したら、その後に熟成を行ってもよく、得られた形態Iからなるスラリーを慣用的な手段を用いて回収する(例えば、結晶性固形物を真空濾過によって分離し、この固形物を、晶析に使用したものと同じ溶媒系で、晶析を行った温度またはそれに近い温度で洗浄し、次いで、形態Iの生成物が異なるLMV形態に変換されない温度および相対湿度にて真空炉内で乾燥させる)。
実施形態PE6に関して上記に示した特徴(b1)〜(b5)は各々、原型として記載した実施形態PE7(または下位実施形態PE7−S1)の方法に、単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE7(または下位実施形態PE7−S1)の一態様であることは理解されよう。塩基と塩の好ましい組合せは、TEAとサリチル酸ラミブジンである。
実施形態PE7および下位実施形態PE7−SE1における使用に適した溶媒系としては、例えば、水−THFが挙げられる。PE7およびPE7−S1に記載の晶析は、例えば、この溶媒系を用いて下記の条件下で行われ得る。
Figure 2013519676
本発明の第8実施形態(実施形態PE8)は、該混合物が(i)第1の量の該溶媒系に溶解させたラミブジン(すなわち、遊離塩基のLMV)の溶液と(ii)種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を含む第2の量の該溶媒系の混和物であり;該方法でラミブジン(lamvivudine)の酸性塩が使用されない(すなわち、該混合物にはLMVの酸性塩が含まれていない)、原型として記載した、または実施形態PE3に記載したP法である。
実施形態PE8の諸態様としては、以下の特徴(c1)〜(c3):
(c1−a)1種類以上の有機溶媒が、C3〜8アルカノンおよびC1〜8アルキルアルコールからなる群から選択される
(c1−b)1種類以上の有機溶媒が、2−ブタノン、エタノールおよび1−プロパノールからなる群から選択される;
(c2−a)晶析が種晶の存在下で行われる;
(c2−b)晶析が種晶の非存在下で行われる;
(c3)該溶媒系が二元溶媒系である、
の1つ以上が組み込まれたPE8に原型として記載した方法が挙げられる。
特徴(c1)〜(c3)は各々、原型として記載した実施形態PE8の方法に、単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE8の一態様であることは理解されよう。
実施形態PE8の第1の下位実施形態(下位実施形態PE8−S1)は、該混和物が、該ラミブジン溶液を第2の量の該溶媒系に添加することにより形成され、ここで、
(i)第2の量が温度Tであり、
(ii)該ラミブジン溶液がTより高い温度を有し、
(iii)該混和物は、晶析工程中、温度Tに維持される、
実施形態PE8に原型として記載した方法である。
PE8−S1において、ラミブジン溶液は、ラミブジンが溶液状に維持されるのに充分な温度で保持される。ラミブジン溶液は、典型的には、第2成分に漸増的に、温度Tが、形態Iが熱力学的に最も安定な形態である範囲外の温度に変化しないような様式で添加される。上記に示した特徴(c1)〜(c3)は各々、原型として記載した下位実施形態PE8−S1に単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法はPE8−S1の一態様であることは理解されよう。
本発明の第9実施形態(実施形態PE9)は、(i)第1の量の二元溶媒系に溶解させたラミブジンの溶液と、(ii)形態Iの種晶を含んでいてもよい第2の量の二元溶媒系の混和物である混合物から、約0℃〜約50℃の温度Tで形態Iを晶析させることを含み、該方法でラミブジンの酸性塩が使用されない、形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法であって;該溶媒系の水分活量が、晶析工程中、約Aw1〜約Aw2の範囲内に維持され、ここで、Aw1=(0.00458×T)+0.506およびAw2=(0.00316×T)+0.775である方法である。
実施形態PE9の第1の下位実施形態(下位実施形態PE9−S1)は、該混和物が、ラミブジンの二元溶媒系(sytem)の溶液を第2の量の二元溶媒系に添加することにより形成され、ここで、
(i)第2の量が温度Tであり、
(ii)該ラミブジン溶液がTより高い温度を有し、
(iii)該混和物は、晶析工程中、温度Tに維持される、
実施形態PE9に原型として記載した方法である。
PE9−S1では、ラミブジン溶液は、ラミブジンが溶液状に維持されるのに充分な温度で保持される。ラミブジン溶液は、典型的には、第2の量に漸増的に、温度Tが、形態Iが熱力学的に最も安定な形態である範囲外の温度に変化しないような様式で添加される。PE9−S1の方法は、例えば、以下のようにして行われ得る:ラミブジンと固定割合の水および選択された有機溶媒の溶液からなる二元溶媒系との混合物を、LMVが溶解してLMVの溶液が得られるのに充分な温度まで加熱する(注:混合物は(例えば、密封槽内で)、水および/または有機溶媒の減損が最小限となるか回避される様式で加熱される)。別途一部の二元溶媒系を晶析装置に添加し、形態IがLMVの熱力学的に最も安定な形態である水分活量Aがもたらされる温度Tにして維持する。種晶添加を使用する場合は、形態Iの種晶を晶析装置に仕込む。次いで、別途調製した高温のLMV溶液を晶析装置に、晶析装置の内容物をアジテーション(例えば、撹拌)し、晶析装置の温度を維持しながら、漸増的に添加(例えば、滴下)する。高温溶液の添加が終了したら、その後に熟成を行ってもよく、得られた形態Iからなるスラリーを慣用的な手段を用いて回収する(例えば、結晶性固形物を真空濾過によって分離し、この固形物を、晶析に使用したものと同じ溶媒系で、晶析を行った温度またはそれに近い温度で洗浄し、次いで、形態Iの生成物が異なるLMV形態に変換されない温度および相対湿度にて真空炉内で乾燥させる)。
実施形態PE8に関して上記に示した特徴(c1)〜(c3)は各々、原型として記載した実施形態PE9(または下位実施形態PE9−S1)の方法に、単独で組み込まれていても、任意の組合せで多重に組み込まれていてもよいこと、およびかかる各組込みによって得られる方法は実施形態PE9(または下位実施形態PE9−S1)の一態様であることは理解されよう。
実施形態PE9および下位実施形態PE9−SE1における使用に適した溶媒系としては、例えば、水−2−ブタノン、水−エタノール、および水−1−propoanolが挙げられる。PE9およびPE9−S1に記載の晶析は、例えば、これらの溶媒系を用いて下記の条件下で行われ得る。
Figure 2013519676
本発明の第10実施形態(実施形態PE10)は、形態Iがラミブジンの他の形態を実質的に含有していない、原型として記載した、または前述のいずれか1つの実施形態に記載したP法である。これとの関連における用語「実質的に含有していない」は、標準的な解析方法によって測定したとき、晶析工程によって生成および回収されるラミブジンの好適には少なくとも約90wt%、典型的には少なくとも約95wt%、好ましくは少なくとも約99wt%、より好ましくは100wt%が形態Iであることを意味する。100wt%の形態Iからなる生成物は、ラミブジンの他の形態が検出され得ないものである。
本発明の第11実施形態(実施形態PE11)は、形態Iが実質的に純粋な、原型として記載した、または前述のいずれか1つの実施形態に記載したP法である。これとの関連における用語「実質的に純粋な」は、晶析により生成および回収される物質の好適には少なくとも約90wt%(例えば、約90wt%〜約99wt%)、さらにより好ましくは少なくとも約95wt%(例えば、約95wt%〜約99wt%、または約98wt%〜100wt%)、最も好ましくは少なくとも約99wt%(例えば、100wt%)がラミブジンからなることを意味する。化合物および塩の純度レベルは、標準的な解析方法、例えば、薄層クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、および/または質量分析を用いて測定され得る。1つより多くの解析方法を使用し、それらの方法で、所与の試料において測定した純度レベルに実験上有意差が示された場合は、最も高い純度レベルが示された方法に支配される。100%純度の化合物または塩は、標準的な解析方法で測定したとき検出可能な不純物を含有していないものである。
原型として記載したP法に含めた但し書きの規定は、特に明示していない限り、または記載の特徴から但し書きの規定が適用されないことが明白でない限り、または但し書きの規定が黙示的に満足していない限り、前述の実施形態PE3〜PE11および下位実施形態ならびにその態様の各々に対して適用されるものであることは理解されよう。したがって、例えば、但し書きの規定は、実施形態PE3に適用されるが、PE4では、PE4に示した方法ではラミブジンの酸性塩が使用されるため不必要である。別の例として、原型として記載したP法における但し書きの規定は、下位実施形態PE3−S1およびPE3−S2に対しては、それぞれ実施形態PE1およびPE2の但し書きの規定が明示的に組み込まれるため適用されない。また、特に明示していない限り、または記載の特徴から但し書きの規定が適用されないことが明白でない限り、または但し書きの規定が黙示的に満足していない限り、前述の実施形態および下位実施形態は各々、原型の但し書きの規定の代わりに実施形態PE1およびPE2に示された但し書きの規定が適用された態様を含むことも理解されよう。
本発明の他の実施形態としては、晶析媒体から形態Iの生成物を単離すること(あるいはまた、これは回収すると称することもあり得る)をさらに含む、本明細書において先に規定した原型として上記に記載の方法およびその任意の実施形態、下位実施形態または態様が挙げられる。形態Iの回収は、典型的には、LMVの1種類以上の他の形態への形態Iの変換が本質的に起こり得ない条件下で行われること、および回収は、形態Iの変換が起こらない条件下で行われ得ることは理解されよう。回収は、例えば、形態Iが熱力学的に最も安定な形態または速度論的に安定な形態である条件下で行われ得る。
用語「約」は、物質もしくは組成物の量(例えば、当量)、または物性の値、またはプロセス工程を特性評価するパラメータの値(例えば、晶析を行う温度)などを修飾する場合、例えば、物質または組成物の調製、特性評価および/または使用に伴う典型的な測定、取り扱いおよび試料採取の手順:これらの手順における不注意による誤り;組成物の作製もしくは使用または手順の実施に使用される成分の製造、供給源または純度の差;などによって起こり得る数量の変動をいう。温度Tの具体的な場合では、用語「約」は、典型的には値±2℃を意味し、水分活量Aの場合では、用語「約」は、典型的には値±0.05を意味する。
本明細書で使用している略語としては、以下のものが挙げられる。
DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド;
DSC=示差走査熱量測定;
EtOAc=酢酸エチル;
EtOH=エタノール;
HBV=B型肝炎ウイルス;
HIV=ヒト免疫不全ウイルス;
HTLV=ヒトT−リンパ球向性ウイルス;
IPAc=酢酸イソプロピル;
MeOH=メタノール;
NMR=核磁気共鳴;
n−PrOH(または1−PrOH)=n−プロパノール(または1−プロパノール);
n−BuOH=n−ブタノール;
2−PrOH=2−プロパノール;
sec−BuOH=sec−ブタノール;
SEM=走査電子顕微鏡検査;
TEA=トリエチルアミン;
TGA=熱重量分析;
XPRD=粉末X線回折
以下の実施例は、本発明およびその実施を例示するために示したにすぎない。実施例は、本発明の範囲または精神に対する限定と解釈されるべきでない。これらの実施例において、「室温」は約20〜25℃の範囲の温度をいう。これらの実施例で使用している水は脱イオン水とした。
サリチル酸ラミブジンからのラミブジンの晶析
サリチル酸ラミブジン(90g)、および酢酸イソプロピルと水の溶液(756mL;1.3wt%の水)をジャケット付きフラスコに仕込み、得られたスラリーの温度を23℃〜27℃(0.68〜0.70の水分活量に対応する)にして維持した。次いで、このフラスコに形態Iの種晶(5.4g)を仕込んだ。次いで、このフラスコに、2Mのトリエチルアミン溶液(128mLのTEA含有酢酸イソプロピル−1.3wt%水;サリチル酸ラミブジンに対して1.1当量)を、フラスコの内容物を撹拌しながら10時間にわたって滴下した。TEAの添加終了後、得られた形態Iのスラリーを、温度を20℃〜30℃に維持しながら、粒径が34ミクロンに定常状態になるまで湿式ローター/ステーターミル(IKA)でミリングした。次いで、このスラリーを真空濾過し、60mL、140mL、次いで100mLのIPAc−1.3wt%水の溶液で洗浄した(すべて室温で)。次いで、生成物を真空炉内で25℃にて、IPAcが完全に除去されるまで乾燥させた。得られたケーク(53.3g;88%収率)は結晶性の白色粉末であり、その形態構造は棒状結晶であった(図3参照)。
結晶性生成物のXRPDパターンを、PW3373/10 Cu LFF DK 184158コンソールを備えたPhilips Pananalytical X’Pert Pro粉末X線回折計において作成した(2.5〜40度の2θの連続スキャンを使用)。銅K−α1(Kα1)およびK−α2(Kα2)放射線を線源として使用した。およそ30mgの試料をシリコン板上に置き、平たくして解析した。試料を用いた実験は、室温で非密閉式(open to the atmosphere)で行った。図4に示すXRPDパターンは形態Iのラミブジンのパターンである。XRPDパターンの最も代表的な回折ピークの2θ値、対応する面間隔d、および相対ピーク強度を以下に示す。
Figure 2013519676
結晶性生成物(約5mg)は、窒素雰囲気中、開放アルミニウムパン内で、25℃から250℃まで10℃/分の加熱速度でTA Instruments DSC 2910示差走査熱量計(DSC)を用いて解析した。DSC曲線(図5参照)では、開始温度が130℃の吸熱およびピーク温度136℃が示された。エンタルピーの変化は98J/gであった。吸熱は、水分減少およびラミブジン形態Iの融解と関連している。
結晶性生成物(約5mg)の熱重量分析(TGA)を、窒素下、25℃から250℃まで10℃/分の加熱速度で、Perkin Elmer TA7を用いて行った。TG曲線(図6参照)では、175℃までで1.6wt%の重量減少が示され、これは、0.2mol水和物のラミブジン(形態1)と整合する。
形態Iは、実施例1の結晶性生成物において検出されたラミブジンの唯一の形態であった。
サリチル酸ラミブジンからのラミブジンの晶析
実施例2A、2Bおよび2Cをミリングしなかったこと以外は実施例1に記載のものと同様の手順に従い、表3に示した各組の条件下、TEAの存在下でラミブジンをサリチル酸ラミブジンから晶析させた。各場合において、生成物は、XRPD、DSCおよびTGAでの確認により、形態Iのラミブジンであることが示された。ラミブジンの他の形態は検出されなかった。
Figure 2013519676
1. 当該表の実験における収率は算出していない。
サリチル酸ラミブジンからのラミブジンの晶析
密封丸底フラスコ内のTHF−水の溶液(27mL;2.9wt%の水)とサリチル酸ラミブジン(10g)の混合物を、サリチル酸性塩が溶解するまで64℃で加熱した。別途の一部(17mL)のTHF−2.9wt%水の溶液を、ジャケット付きフラスコ(「晶析装置」)に仕込み、約0℃(水分活量0.68に対応)まで冷却した後、この晶析装置にTEA(3.98g,1.1当量)と形態Iの種晶(0.3g)を仕込んだ。晶析装置でアジテーションし、0℃に維持しながら、高温サリチル酸ラミブジン溶液を4時間にわたって滴下した。次いで、得られた結晶性のスラリーを濾過し、2×8mLのTHF−2.9wt%水の溶液で0℃にて洗浄した。次いで、生成物を真空炉内で25℃にて乾燥させた。実施例1に記載の手順を用いて生成物のXRPD(図7参照)、DSCおよびTGAを得、その結果により生成物がラミブジンの形態Iであることを確認した。XRPDではラミブジンの他の形態は検出されなかった。
ラミブジンの晶析
ラミブジンの形態II(5g)を、丸底フラスコ内の1−プロパノール−水の溶液(72mL;8.7wt%の水)に添加し、フラスコを密封し、該混合物を60℃まで加熱して60℃に維持し、この時点でラミブジンは溶解した。ラミブジンの形態Iの種晶(0.35g)および1−プロパノール−水(12.5mL;8.7wt%の水)を、ジャケット付きフラスコ(「晶析装置」)に仕込むとスラリーになった。次いで、晶析装置に高温ラミブジン溶液を3時間にわたって仕込み、この間、晶析装置でアジテーションし、その温度を0℃〜5℃(=水分活量0.69〜0.70)に維持した。添加終了後、スラリーを真空濾過し、0〜5℃に冷却した1−プロパノール−8.7wt%水の混合物で洗浄し、次いで、真空炉内で40℃にて乾燥させた。実施例1に記載の手順を用いて生成物のXRPD(図8参照)を得、その結果により生成物がラミブジンの形態Iであることを確認した。XRPDではラミブジンの他の形態は検出されなかった。
ラミブジンの晶析
また、実施例4に記載のものと同様の手順に従い、表4に示した条件下でラミブジンを晶析させた。生成物は、XRPDでの確認により、形態Iのラミブジンであることが示された。ラミブジンの他の形態は検出されなかった。
Figure 2013519676
前述の明細書は、例示の目的で示した実施例とともに、本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施は、以下の特許請求の範囲の範囲内である通常のあらゆる変形、適合および/または修正を包含する。本明細書において挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、引用によりその全体が本開示に組み込まれる。

Claims (25)

  1. (a)ラミブジンまたはその酸性塩または両方、(b)水と少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒系を含み、(c)形態Iの種晶を含んでいてもよい混合物から、約0℃〜約50℃の温度Tで形態Iを晶析させることを含む形態Iのラミブジンを調製するための熱力学的に制御された方法であって;
    ラミブジンの酸性塩が前記混合物において使用される場合、晶析工程は塩基の存在下で行われ;前記溶媒系の水分活量Aは、形態Iがラミブジンの熱力学的に最も安定な形態である範囲内に維持される;ただし、前記溶媒系が二元溶媒系であり、温度Tが約20℃〜約30℃の範囲であり、形態Iを晶析させる混合物が、前記二元溶媒系中の形態Iおよび形態IIのスラリーであり、および該方法でラミブジンの酸性塩が使用されない場合、前記二元系の有機溶媒は酢酸エチル以外であるものとする、該方法。
  2. 前記溶媒系が水と1種類の有機溶媒の二元系であり、前記溶媒系の水分活量が晶析工程中、約Aw1〜約Aw2の範囲内に維持され、ここで、Aw1=(0.00458×T)+0.506、およびAw2=(0.00316×T)+0.775である、請求項1に記載の方法。
  3. (i)前記混合物が、前記溶媒系中のラミブジンの酸性塩と、種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶とのスラリーであり、(ii)晶析工程が塩基の存在下で行われる、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 晶析工程中、前記塩基が前記スラリーに漸増的に添加される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択され、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも1当量の量で使用される、請求項3または請求項4に記載の方法。
  6. 前記ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される、請求項3または請求項4に記載の方法。
  7. 前記溶媒系が二元系であり、前記有機溶媒がC3〜8アルカノンおよび酢酸C1〜8アルキルからなる群から選択される、請求項3または請求項4に記載の方法。
  8. 前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択され、ラミブジンの酸塩1当量あたり少なくとも1当量の量で使用され;
    前記ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される、
    請求項7に記載の方法。
  9. 前記溶媒系の有機溶媒が2−ブタノン、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルであり;
    前記塩基がトリエチルアミンであり;
    前記塩がサリチル酸ラミブジンである、
    請求項8に記載の方法。
  10. 前記晶析が、下記の溶媒系のいずれか1種類を用いて、表示した温度で行われる、請求項9に記載の方法。
    Figure 2013519676
  11. 前記混合物が、第1の量の前記溶媒系に溶解させたラミブジンの酸性塩を含む第1成分と、第2の量の前記溶媒系、塩基および、種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を含む第2成分の混和物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  12. 前記混和物が前記第1成分を前記第2成分に添加することにより形成され、ここで、前記第1成分は、添加前はTより高い温度を有し、前記混和物は、晶析工程中、温度Tに維持される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択され、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも1当量の量で使用される、請求項11または請求項12に記載の方法。
  14. 前記ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される、請求項11または請求項12に記載の方法。
  15. 前記溶媒系が二元系であり、前記有機溶媒が、ジ−C1〜5アルキルエーテル、C4〜6環状エーテルおよびC3〜5ジオキサンからなる群から選択される、請求項11または請求項12のいずれかに記載の方法。
  16. 前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩および第3級アミンからなる群から選択され、ラミブジンの酸性塩1当量あたり少なくとも1当量の量で使用され;
    前記ラミブジンの酸性塩が、有機カルボン酸塩、有機ジカルボン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩およびハロゲン化水素酸塩からなる群から選択される、
    請求項15に記載の方法。
  17. 前記溶媒系の前記有機溶媒がTHFであり;
    前記塩基がトリエチルアミンであり;
    前記塩がサリチル酸ラミブジンである、
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記晶析が、下記のTHF−水の系のいずれかを用いて、表示した温度で行われる、請求項17に記載の方法。
    Figure 2013519676
  19. 前記混合物が、(i)第1の量の前記溶媒系に溶解させたラミブジンの溶液と(ii)種晶添加が使用される場合は形態Iの種晶を含む第2の量の前記溶媒系の混和物であり;ラミブジンの酸性塩が使用されない、請求項1または請求項2に記載の方法。
  20. 前記混和物が、前記ラミブジン溶液を第2の量の前記溶媒系に添加することにより形成され、ここで、
    (i)前記第2の量が温度Tであり、
    (ii)前記ラミブジン溶液がTより高い温度を有し、
    (iii)前記混和物が、晶析工程中、温度Tに維持される、
    請求項19に記載の方法。
  21. 前記溶媒系が二元系であり、前記有機溶媒が、C3〜8アルカノンおよびC1〜8アルキルアルコールからなる群から選択される、請求項19または請求項20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記有機溶媒が、2−ブタノン、エタノールおよび1−プロパノールからなる群のものである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記晶析が、下記の溶媒系のいずれか1種類を用いて、表示した温度で行われる、請求項22に記載の方法。
    Figure 2013519676
  24. 形態Iがラミブジンの他の形態を実質的に含有していない、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 形態Iが実質的に純粋である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
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