JP2013517268A - 適応免疫応答を誘発するための、乳に由来する抗原特異的抗体、その調製法およびその使用 - Google Patents

適応免疫応答を誘発するための、乳に由来する抗原特異的抗体、その調製法およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗体の分野に関する。特に本発明は、適応免疫応答を生じるための乳由来の抗原特異的抗体、その調製法およびその使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗体の分野に関する。特に、本発明は、適応免疫応答を引き起こすための、乳に由来する抗原特異的抗体、その調製法およびその使用に関する。
高等生物、例えば哺乳類における免疫系は、異物または外部の生物学的影響への暴露の結果から生物を保護するために、特殊化されている。すなわち、免疫系は、例えば、細菌もしくはウイルス感染に対して、または癌細胞もしくは他の混入病原性物質の影響に対して体を防御し得る。免疫系は、先天性免疫および、感染または系への他の攻撃に適応し得る免疫の両方を提供する。先天性免疫は、生物が、混入微生物または異物への暴露に素早く応答することを可能にする。適応免疫系は、生物が、特異的微生物または異物への暴露に応答するための長期能力を発生することを可能にする。これら2つの系は、病原性微生物および異物への暴露から生じる攻撃から体を防御するために作用する。
本発明は、個体における免疫応答、特に適応免疫応答、を高めるおよび/または誘発するための方法および組成物を提供する。
本発明の1の局面は、反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および、上記抗体が投与された個体における抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための上記抗体の使用を提供する。
本発明の別の局面は、T細胞への当該抗原の効率的提示を促進するために使用される、反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を提供する。
本発明の別の局面は、個体における非炎症性の抗原特異的IgAの産生を促進するために使用される、反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を提供する。好ましくは、抗原特異的抗体が、個体の呼吸器官における非炎症性の免疫応答を促進するために使用される。好ましくは、抗原特異的抗体が、個体の腸における非炎症性免疫応答を促進するために使用される。
本発明の別の曲面は、樹状細胞を活性化するために使用される、反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を提供する。好ましくは、樹状細胞が、1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−αを産生する。
本発明の別の局面は、ヒトにおける経口投与に適する、上記抗体を含む組成物を提供する。好ましくは、上記組成物が、子供用栄養組成物(child nutritional composition)、好ましくは乳幼児用処方物(infant formula)である。
本発明の別の局面は、個体における適応免疫応答を高めるおよび/または誘発する方法であって、それを必要としている個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および当該抗原を一緒に投与することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、個体において、T細胞への当該抗原の効率的提示を促進する方法であって、それを必要としている個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および当該抗原を一緒に投与することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、個体における非炎症性の抗原特異的IgAの産生を促進する方法であって、それを必要としている個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および当該抗原を一緒に投与することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面は、個体における樹状細胞を活性化する方法であって、それを必要としている個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および当該抗原を一緒に投与することを含む方法を提供する。
好ましくは、抗原特異的抗体が、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる。好ましくは、抗原が個体に存在し、より好ましくは個体の胃腸管または気道に存在する。
好ましくは、個体がヒトである。好ましくは、抗体が、ウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる。好ましくは、抗体が、ヒトの消費に適する医薬組成物または栄養組成物中に配合される。好ましくは、組成物が、乳幼児用処方物または成長用ミルク(growing-up milk)である。好ましくは、組成物が、機能性食品である。好ましくは、個体が、アレルギー疾患、感染症、自己免疫疾患、または炎症性疾患に罹っているまたは罹る危険がある。好ましくは、抗原が、上記乳、乳製品、初乳、または初乳製品中に存在する。
好ましくは、収集された乳または初乳が、抗原および/または抗原特異的抗体の存在に関して試験される。好ましくは、収集された乳または初乳が、抗原特異的抗体で富ませるための少なくとも1の処理工程に付される。好ましくは、反芻動物が、乳または初乳を収集する前に当該抗原で免疫されていない。
本発明の1局面では、アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症および/または炎症性疾患から選択される疾患に罹る危険のある個体において、上記疾患の1以上の症状の始まりを遅くしまたは当該症状の重症度(severity)を低下させるための方法であって、上記危険のある個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を与えることを含む方法が提供される。好ましくは、個体が、当該抗原を一緒に投与される。好ましくは、上記抗原特異的抗体が、反芻動物の、より好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる。
本発明は、さらに下記の実施態様を提供する。
1.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、当該抗体が投与された個体において抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するために使用する方法。
2.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、T細胞への当該抗原の効率的提示を促進するために使用する方法。
3.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、個体における非炎症性の抗原特異的IgAの産生を促進するために使用する方法。
4.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−α、を産生するために使用する方法。
5.抗原が個体中に存在する、実施態様1〜4および27のいずれかの方法。
6.抗原が、個体の胃腸管または気道に存在する、実施態様5の方法。
7.個体がヒトである、実施態様1〜6および27のいずれかの方法。
8.個体の呼吸器官における非炎症性の免疫応答を促進するための、実施態様1〜7および27のいずれかの方法。
9.個体の腸における非炎症性の免疫応答を促進するための、実施態様1〜7および27のいずれかの方法。
10.抗体が、ヒトの消費に適する医薬組成物または栄養組成物中に配合されている、実施態様1〜9および27のいずれかの方法。
11.組成物が乳幼児用処方物または成長用ミルクである、実施態様10および27のいずれかの方法。
12.組成物が機能性食品である、実施態様10の方法。
13.個体が、アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症または炎症性疾患に罹っているまたは罹る危険がある、実施態様1〜12および27のいずれかの方法。
14.抗原が当該乳、乳製品、初乳または初乳製品中に存在する、実施態様1〜13および27のいずれかの方法。
15.収集された乳または初乳が、抗原および/または抗原特異的抗体の存在に関して試験されている、実施態様1〜14および27のいずれかの方法。
16.収集された乳または初乳が、抗原特異的抗体で富ませるための少なくとも1の処理工程に付されている、実施態様1〜15および27のいずれかの方法。
17.反芻動物が、当該乳または初乳を収集する前に当該抗原で免疫されていない、実施態様1〜16および27のいずれかの方法。
18.個体において適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための方法であって、それを必要とする個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および当該抗原を一緒に投与することを含む方法。
19.個体がアレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症および/または炎症性疾患に罹っているまたは罹る危険がある、実施態様18の方法。
20.アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症および/または炎症性疾患から選択される疾患に罹る危険のある個体において、上記疾患の1以上の症状の始まりを遅くしまたは当該症状の重症度を低下させるための方法であって、上記危険のある個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を付与することを含む方法。
21.個体が、当該抗原を一緒に投与される、実施態様20の方法。
22.抗原特異的抗体が、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる、実施態様18〜21のいずれかの方法。
23.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体であって、当該抗体が投与された個体において当該抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための抗体。
24.樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF-α、を産生するための、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体。
25.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を含む、子供用栄養組成物、好ましくは乳幼児用処方物であって、当該抗体が投与された子供、好ましくは乳幼児、において当該抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための組成物。
26.樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF-α、を産生するための、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を含む子供用栄養組成物、好ましくは乳幼児用処方物。
27.反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳、または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、a)当該抗体が投与された個体において抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発すること、b)T細胞への当該抗原の効率的提示を促進すること、c)当該個体において非炎症性の抗原特異的IgAの産生を促進すること、およびd)樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−α、を産生することの1以上のための薬剤の調製のために使用する方法。
28.組成物が、炭水化物を好ましくは25〜50重量%、より好ましくは28〜46重量%の量で、脱脂粉乳を好ましくは12〜20重量%、より好ましくは15〜18重量%の量で、脂肪を好ましくは22〜30重量%、より好ましくは24〜27重量%の量で、およびWPC−35を好ましくは5〜20重量%、より好ましくは8〜18重量%の量で含む、実施態様25〜25の子供用栄養組成物。
29.フコシルラクトースを好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.15〜0.3重量%の量で、シアリルラクトース、例えばヴィヴィナル(vivinal)シアリルラクトースを好ましくは1〜6重量%、より好ましくは2〜5重量%の量で、および/またはガラクトオリゴ糖(GOS)、例えばヴィヴィナル(vivinal)ガラクトオリゴ糖を好ましくは8〜15重量%、より好ましくは10〜13重量%の量でさらに含む、実施態様28の子供用栄養組成物。
30.初乳、好ましくは1〜5重量%の初乳、より好ましくは2〜4重量%の初乳を含む、実施態様28または29の子供用栄養組成物。
図1Aは、初乳(灰色)および精製されたウシ免疫グロブリン(黒色)からのウシIgGの、ヒト単球由来の未熟DC上での結合を示す。点線は、バックグランド染色を表わす。2つのうちの1つの代表的ドナーのデータを示す。 図1Bは、初乳(灰色)および精製されたウシ免疫グロブリン(黒色)からのウシIgAの、ヒト単球由来の未熟DC上での結合を示す。点線は、バックグランド染色を表わす。2つのうちの1つの代表的ドナーのデータを示す。 図1Cは、初乳(灰色)および精製されたウシ免疫グロブリン(黒色)からのウシIgMの、ヒト単球由来の未熟DC上での結合を示す。点線は、バックグランド染色を表わす。2つのうちの1つの代表的ドナーのデータを示す。 図2Aは、ヒト単球IgG(灰色)およびヒト凝集IgG(免疫複合体を模倣、黒色)のヒト単球由来の未熟DC上での結合を示す。点線は、バックグランド染色を表わす。 図2Bは、遮断抗CD32抗体(10μg/mlのマウス抗ヒトCD32クローンFL18.26、BD Pharmingen)によるプレインキュベーションの、ヒト凝集IgGの結合に対する影響を示す(黒色が抗CD32を伴わない場合であり、灰色が抗CD32を伴う場合である)。黒の点線(抗CD32を伴わない)および黒の実線(抗CD32を伴う)はバックグランド染色を表わす。 図3Aは、100ng/mLのLPSを伴うまたは伴わない、初乳、精製されたウシ免疫グロブリンおよびヒト単球IgGの、ヒト単球由来の未熟DCからの2日後のIL−10の産生に対する影響を示す。非刺激未熟DCおよび100μg/mLのポリI:Cで処理された未熟DCはそれぞれ、陰性および陽性の対照として行われた(棒(e)および(g)を参照)。3つのうちの1つの代表的ドナーのデータを示す。 図3Bは、100ng/mLのLPSを伴うまたは伴わない、初乳、精製されたウシ免疫グロブリンおよびヒト単球IgGの、ヒト単球由来の未熟DCからの2日後のTNF−αの産生に対する影響を示す。非刺激未熟DCおよび100μg/mLのポリI:Cで処理された未熟DCはそれぞれ、陰性および陽性の対照として行われた(棒(e)および(g)を参照)。3つのうちの1つの代表的ドナーのデータを示す。 図4は、ヒトGI管の状態を模倣するインビトロ消化実験後のウシ免疫グロブリンの生存を示す。IgGおよびIgAの%が、乳幼児の消化を模倣する処理の0、120、180および240分後(t=時間)に測定された。IgGおよびIgAの%が、成人の消化を模倣する処理の0、60、120および180分後に測定された。 図5は、乳幼児用処方物の調製のための組成の例示を示す。
母乳およびウシの乳は、広範囲の潜在的な病原性微生物、ウイルスおよび他の抗原に特異的である抗体を含む。これらの抗体は、母乳がすでに曝された感染性因子に対する有効な免疫応答をまだ開始することができない乳幼児を防御する。IgAは、ヒトの乳中の主な抗体であるが、IgGは、ウシの初乳および乳中に見つけられる主な抗体アイソタイプである。ヒトの乳中のIgAは、腸においてその効果を発揮することが一般に知られている一方で、母親は、出生の前に胎盤を経由して赤ちゃんへIgGを移す。
反芻動物は、抗体を含む乳を産生するので、当該乳またはその抗体調製物が、母乳の機能を補うまたは置換するための、ヒトにおける使用のために考慮される。反芻動物抗体は、当該抗体を摂取する個体の腸においてヒトの病原体に結合しそして中和しまたは病原体を別のやり方で弱め、そして受動免疫を伝えることが意図される。
短寿命の受動免疫と対照的に、適応免疫応答は、その病原体による感染に対する適応として個体の一生を通じて起こり、多くの場合には、同じ病原体による再感染に対して一生の保護免疫を与える。適応免疫応答は、T細胞およびB細胞と名付けられた2つの主なタイプのリンパ細胞の活性化、選択およびクローン増殖を包含する。抗原に遭遇すると、T細胞は、増殖しそして抗原特異的エフェクター細胞に分化し、一方、B細胞は、増殖しそして抗体分泌細胞に分化する。
適応免疫応答は、抗原提示細胞(APC)による抗原提示の後、CD4+Tヘルパー細胞の活性化によって開始される。APCは、ピノサイトーシスまたは受容体依存性エンドサイトーシスにより上記細胞の環境から外因性(タンパク質)抗原を取り込み、それらをペプチドに分解し、そしてこれらのペプチドをMHCクラスII分子との関連において抗原特異的T細胞に提示する。
促進された抗原提示が、プロフェショナルの抗原提示細胞上の細胞表面発現されたFc受容体に関して記載されている。Fc受容体は、循環する免疫グロブリンの一定領域に特異的に結合する経膜(transmembrane)タンパク質である。Fc受容体は、細菌およびウイルスならびに循環する血清免疫グロブリンによって結合されるタンパク質抗原を自己の一部とすることができ、その結果、病原性微生物を死滅させ、そして抗原を提示して免疫応答を開始する。
低いおよび中程度のアフィニティーのFc受容体は、単体免疫グロブリンに対して低いアフィニティーを有するが、免疫複合体に対しては高いアフィニティーを有する。その結果、これらの受容体は、これらが認識する抗原と一緒に複合体を形成しているときに免疫グロブリンを結合するだけであろう。実際、Fcγ受容体(Celisら、Proc Natl Acad Sci USA. 1984;81:6846-50, Gosselinら、J Immunol. 1992;149:3477-81)、Fcα受容体(Shenら、Blood.2001;97:205-13)、およびFcε受容体(Santamariaら、Hum Immunol. 1993;37:23-30)に関して、免疫複合体の方が、抗原単独よりも効率的に抗原提示細胞によって取り込まれることが示されている。これらの研究は、CD4+Tヘルパー細胞の抗原特異的応答が、抗原提示細胞上のFc受容体を介して取り込まれた特異的抗原によって強く促進され、その結果、より効率的な免疫応答が得られ、低い抗原量のときには特にそうであることを示している。
2つの他の非古典的Fc受容体はポリマーIgA受容体(pIgR)および新生児Fc受容体(FcRN)である。両方の受容体は、上皮組織部位上での免疫グロブリンの輸送を専門とする。pIgRはM細胞上および上皮細胞上で発現し、FcRNは上皮細胞上で発現するが、抗原提示細胞上でも発現する。最近の証拠は、これらの受容体が、免疫複合体のための腸管のサンプリングにおいておよびこれらの免疫複合体を下にあるリンパ組織(ここでは管腔中に存在する免疫グロブリンに結合した病原体に対して効率的な免疫応答が開始される)に運ぶために、重要な役割を果たすことを示唆している。
腸のリンパ構造にルミナル(luminal)抗原を運ぶことができる別のFc受容体はCD23、すなわち低アフィニティーIgE受容体である。CD23は、腸の上皮組織上で発現し、動物モデルにおける食物アレルゲンの内在化において役割を果たすことが示されている(Yangら、J Clin Invest.2000;106:879-86)。
本発明は、部分的に、ウシの免疫グロブリンが、抗原の存在下でヒトの未熟な樹状細胞(DC)に結合しそして活性化することができるという発見に基づく(実施例1および2)。腸粘膜DCは、上皮細胞間の堅い結合を開き、それらの樹状突起を上皮組織の外へ送って腸をサンプリングすることが報告されている。さらに、抗原提示細胞上の古典的および非古典的Fc受容体を介して内在化される免疫複合化された抗原は、複合化されていない抗原よりもはるかに効率的にTリンパ球に提示されることが知られている(いわゆる「ワクチン効果」)。
理論に縛られることを望まないが、本発明者は、ヒトの粘膜DCが、活反芻動物の抗原特異的抗体および例えば摂取された有害な微生物病原体からの抗原を含む免疫複合体によって性化され得ることを提案する。
すなわち、本発明の1局面は、反芻動物の、好ましくはウシの乳由来の抗原特異的抗体を使用して個体の適応免疫を高めるおよび/または誘発する方法を提供する。好ましくは、抗原特異的抗体が、抗原、例えば病原性微生物、ウイルス、食物アレルゲンまたは吸入アレルゲンの攻撃を受けた後にヒト免疫グロブリンの産生を促進する。好ましくは、抗原特異的抗体が、T細胞への抗原の効率的提示を促進する。個体は、哺乳類であり得るが、ヒトが好ましい。好ましくは、抗原特異的抗体が変性されていない。
乳から単離されたウシ免疫グロブリンは特に、グラム陰性病原性バクテリア、例えば大腸菌(E. coli)およびサルモネラ(Salmonella)、ならびに一般的なアレルゲン、例えばチリダニ(house dustmite)、カバノキ花粉(birch pollen)および草花粉(grass pollen)、のLPSを認識し得る(国際公開第2008/127105号パンフレットを参照、この文献は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、乳から単離されたウシ免疫グロブリンはまた、グラム陽性微生物、胃腸ウイルスおよびバクテリア毒のペプチドグリカンを認識し得る。
上気道の病原体は、かなりの量が飲み込まれ、したがって、腸において利用され得る。理論に縛られないが、抗原は、飲み込まれるか気道に存在するかのいずれにしても、ウシ免疫グロブリンによって結合され、古典的または非古典的Fc受容体を介して、抗原−免疫グロブリン複合体の目標とする取り込みおよび提示をもたらすと考えられる。抗原の提示は、これらの抗原に対する免疫応答、例えば腸および気道の粘膜におけるIgA免疫グロブリンの産生、をもたらす。その結果、ウシ免疫グロブリンを例えば経口投与によって投与された個体は、これら腸および気道の病原体に対して防御するIgAの産生においてより効率的であり得る。ウシIgGの予防的投与は従って、特定の抗原に対する適応免疫を誘発する。
好ましくは、抗原特異的抗体は、例えば、当該抗体が投与された個体の呼吸器管および/または胃腸管(好ましくは腸)において、非炎症性免疫応答の産生を促進する。反芻動物抗体は、任意のタイプのヒト免疫グロブリンの産生を促進し得る。好ましくは、IgAの産生が促進される。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載された抗体が、ヒトの樹状細胞(DC)を活性化し、好ましくは、上記ヒトDCにおいてサイトカイン産生、好ましくはIL−10および/またはTNF-α、を誘発する。いつくかの実施態様では、本明細書に記載された抗体が、ヒトDCを活性化し、好ましくは、抗原、例えばLPS、の存在下で上記ヒトDCにおいてサイトカイン産生、好ましくはIL−10および/またはTNF-α、を誘発する。
好ましい実施態様では、上記反芻動物抗体が、タイプIgG、IgAまたはそれらの組合せである。好ましくは、上記抗体が、当該抗原に特異的なIgGタイプまたはIgGおよびIgAの両方を含む組成物である。
好ましくは、反芻動物抗体によって認識される抗原が、上記抗体が投与される個体に存在する。すなわち、個体は、上記抗原に曝されていてもよく、例えば病原体、病原体の破片またはアレルゲンを飲み込むおよび/または吸入することによって曝されている。
いくつかの実施態様では、抗原が個体に投与され得る。例えば、抗体を含む収集された乳が抗原を含み得、または抗原が、抗体を含む調製物、例えば栄養または医薬組成物、に添加され得る。好ましくは、抗原が個体の胃腸管または気道に存在する。
本発明の1局面は、したがって、個体における適応免疫応答を高めるおよび/または誘発する方法を提供し、上記方法は、反芻動物の抗原特異的抗体および当該抗原を、それを必要とする当該個体に一緒に投与することを含む。いくつかの実施態様では、当該個体が、アレルギー疾患、感染症、自己免疫疾患および/または炎症性疾患に罹っている、または罹る危険がある。
本明細書で使用されるとき、「一緒に投与する」は、2種類以上の化合物の、先に投与された化合物が体内でまだ有効である間に第二の化合物が投与される(例えば、2つの化合物が患者において同時に有効であり、それは、当該2つの化合物の相乗効果を包含し得る)ような投与の形態を意味する。例えば、異なる化合物が、同一の調製物で投与され、または別個の調製物で随伴してまたは逐次に投与され得る。
本発明の別の局面は、個体における、アレルギー疾患、感染症、自己免疫疾患、および/または炎症性疾患から選択される疾患の1以上の症状の始まりを遅らせるまたは上記症状の重症度を低下させる方法を提供し、上記方法は、当該個体に反芻動物の抗原特異的抗体を提供することを含む。いくつかの実施態様では、上記方法が、当該個体が、アレルギー疾患、感染症、自己免疫疾患、および/または炎症性疾患から選択される疾患に罹るのを防ぎ、および/または上記疾患に罹る危険を低下させる。いくつかの実施態様では、個体が、上記疾患に罹る危険がある。上記疾患に罹る危険がある個体は、年配者、成人、青年、子供および乳幼児を包含する。いくつかの実施態様では、個体が、当該抗原を一緒に投与される。理論に縛られることを望まないが、反芻動物の抗原特異的抗体の投与は、当該抗原に対する適応免疫応答を誘発する。当該抗原に対する抗体、特にIgA抗体、の個体による産生は、続く暴露後の当該抗原の影響を中和すると考えられる。
本発明の1つの局面では、本明細書に記載された方法に有用な反芻動物抗体が、アレルギー抗原に特異的である。理論に縛られることを望まないが、非炎症性免疫応答の産生、好ましくは抗原特異的IgAを介する上記産生は、アレルゲンの影響を中和すると考えられる。いくつかの実施態様では、抗原特異的抗体が、食物アレルギーに関連する抗原、好ましくは乳、例えば雌ウシの乳、大豆、ヘーゼルナッツ、卵またはリンゴ、由来の食物アレルギー関連抗原、に特異的である。特に好ましい実施態様では、上記アレルギー抗原が、アレルギー関連ピーナッツ抗原である。別の実施態様では、上記アレルゲンが、草花粉アレルゲン、木花粉(tree pollen)アレルゲン、チリダニアレルゲン、ネコアレルゲン、カビまたは真菌アレルゲン(mold or fungus allergen)、刺咬昆虫(stinging insect)の毒の群から選ばれるがこれに限定されない吸入アレルゲンまたは毒アレルゲンである。上記吸入および毒アレルゲンは、呼吸器官を介してまたはミツバチ(bee)もしくはスズメバチ(wasp)などの昆虫の針を介してヒトの体に入ることができる。
好ましい実施態様では、反芻動物抗体を投与された個体が、食物アレルギー、鼻炎、結膜炎、喘息または毒アレルギーの群から選択されるアレルギー疾患に罹っているまたは罹る危険がある。
本発明の1局面では、個体における適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するために提供された方法が、感染症の症状の始まりまたは重症度を治療する、予防するまたは低下させるために有用である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載された方法のために有用な反芻動物抗体が、微生物またはウイルス、好ましくは腸または呼吸器管のための親和性(tropism)を有するもの、に特異的である。
好ましくは、上記微生物が、Eschericia属のメンバー、好ましくはEscherichia coli、Salmonella属のメンバー、好ましくはSalmonella typhimurium、Campylobacter属のメンバー、好ましくはCampylobacter jejuni、Helicobacter属のメンバー、好ましくはHelicobacter pilori、Bordotella属のメンバー、好ましくはBordotella pertussis、Clostridium属のメンバー、Shigella属のメンバー、Streptococcus属のメンバー、好ましくはStreptococcus pneumoniae、Staphylococcus属のメンバー、好ましくはStaphylococcus aureus、Haemophilus属のメンバー、好ましくはHaemophilus influenzae、Pseudomonas属のメンバー、好ましくはPseudomonas aeruginosa、Moraxella属のメンバー、好ましくはMoraxella catarrhalis、Chlamydia属のメンバー、好ましくはChlamydia pneumoniae、Mycoplasma属のメンバー、好ましくはMycoplasma pneumoniaeまたはLegionell属のメンバー、好ましくはLegionella pneumophilaから選択される。好ましいウイルス特異的抗体は、インフルエンザ属のメンバー、好ましくはインフルエンザウイルスAまたはインフルエンザウイルスB、パラインフルエンザウイルスのメンバー、呼吸器合包体(respiratory synctial)ウイルスのメンバー、ロタウイルスのメンバー、ノロウイルスのメンバー、エンテロウイルスのメンバー、サイトメガロウイルスのメンバー、またはアデノウイルスのメンバーに対して向けられる。
いくつかの実施態様では、反芻動物抗体が、個体の免疫細胞によって産生され、自己免疫疾患、炎症性疾患または他の過剰活性な免疫系の症状の維持および/または重症度に寄与する炎症反応を促進するサイトカインまたは刺激シグナル化因子に特異的である。すなわち、好ましくは、本発明の抗体が、免疫細胞によって分泌される因子に特異的である。特に好ましい実施態様では、本発明の方法において有用な反芻動物抗体が、ヒトTNF−α、IL−12p70、IL−17、IFN−γまたはヒトIL−23に特異的である。別の実施態様では、上記抗体が、治療されるべき個体の免疫細胞、上皮細胞、上皮内細胞、抗原提示細胞、またはM細胞、好ましくはT細胞、B細胞または樹状細胞、に特異的である。好ましい実施態様では、個体が、炎症性の腸疾患に苦しんでいる。さらに好ましい実施態様では、上記ウシ抗体が、上記自己免疫疾患に関連する微生物の抗原に特異的である。
本明細書に記載された反芻動物抗体は、任意の年齢のヒトに投与され得る。いくつかの実施態様では、個体が、0〜24カ月齢、好ましくは0〜12カ月齢、より好ましくは6〜24カ月齢である(典型的には、固形食物が食餌に含まれるとき)。抗体は、より年長の子供および成人と比較して、0〜12カ月齢の乳幼児の胃腸管においてより長い半減期を有する。いくつかの実施態様では、個体が、少なくとも16歳、少なくとも20歳、少なくとも30歳、少なくとも40歳、少なくとも50歳、または少なくとも60歳である。
本明細書に記載された方法に有用な反芻動物抗体は、個体における疾患の全身治療および/または予防のための薬物の調製において提供され得る。いくつかの実施態様では、上記薬物が、予防治療のためであり、上記疾患の1以上の症状の重症度を低下させおよび/または上記症状の始まりを遅くする。好ましくは、当該個体がヒトである。好ましくは、上記薬物が、経口投与用である。
本明細書に記載された方法に有用な反芻動物抗体は、適する組成物または調製物で提供され得る。好ましくは、上記抗原特異的抗体が、上記組成物中の抗体の全量の1%未満を含む。より好ましくは、上記抗原特異的抗体が、上記組成物中の抗体の全量の0.1%未満を含む。好ましい実施態様では、抗体の少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%がIgG、IgAまたはそれらの組合せである。好ましくは、上記組成物は、IgAよりもIgGに富む。本発明の別の好ましい実施態様では、組成物が、IgGよりもIgAに富む。
いくつかの実施態様では、組成物が、当該組成物中のタンパク質の合計量の0.001〜100%である量で反芻動物抗体を含む。好ましくは、上記抗体が、上記組成物中のタンパク質の合計量の0.1〜50%の量で存在する。好ましくは、上記抗体が、タンパク質の合計量の約5〜30%、より好ましくは10〜30%の量で存在する。
好ましい実施態様では、抗体の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%がIgG、IgAまたはそれらの組合せである。好ましくは、上記組成物は、IgAよりもIgGに富む。本発明の別の好ましい実施態様では、組成物が、IgGよりもIgAに富む。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載された反芻動物抗体が、筋肉注射による、静脈内投与による、または直腸もしくは膣を介する投与に適する調製物として提供される。
好ましくは、本明細書に記載された反芻動物抗体が、経口投与のための調製物として提供される。反芻動物抗体は、任意の栄養または医薬組成物、例えば食餌、食物、健康サプリメント;濃厚物(concentrate);および機能性食品(乳または他の乳製品、プロテインバー、スポーツ栄養、飲料、食物サプリメント、医療目的のための食物、臨床栄養、および好ましくは子供の栄養のための製品)において使用され得る。機能性食品は、食品の消費者に生理学的な利益を提供する1以上の成分を含む任意の新鮮なまたは加工された食品を意味する。いくつかの実施態様では、上記1以上の成分が、機能性食品に通常は存在しない。いくつかの実施態様では、上記1以上の成分が機能性食品に通常存在するが、より高いレベルで存在する。本明細書で定義されるとき、例えば、生乳は機能性食品でないが、加工されて免疫グロブリンを濃縮した乳または免疫グロブリンが補充された乳は機能性食品である。生理学的利益は、上記1以上の成分単独の結果、または上記1以上の成分および食品の他の成分の組合せの結果であり得る。好ましくは、本発明に従うウシ抗体を含む機能性食品が乳製品であり、特に、チーズ、バター、ヨーグルト、ケフィール、クォークチーズ、発酵乳、バターミルク、クリーム、エバミルク、粉乳、ホエー、乳糖、乳タンパク質、フレーバーミルク、低脂肪乳、フレーバードホエー(flavored whey)または乳脂肪製品もしくは調製物である。いくつかの実施態様では、機能性食品が乳、加工された初乳製品、または加工乳製品である。いくつかの実施態様では、機能性食品が、少なくとも100μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも500μg/ml、少なくとも700μg/ml、少なくとも1mg/ml、または少なくとも2mg/mlの抗原特異的ウシ免疫グロブリンを含む。
加工乳製品は、乳から得られた食品であり、加工されていない食品と比較して、製品中の生きた病原体の数を減少させるところの少なくとも1の処理工程(例えば、当業者に公知の任意の低温殺菌法)に付されているものを意味する。
子供の栄養は、乳幼児用処方物(formula)、後続の(follow-on)処方物、乳幼児用のシリアル製品または成長用ミルク(growing-up milk)、すなわち1〜3歳の子供のために適する調整乳または粉乳、を包含する。本明細書で使用される用語「乳幼児」は、一般に約2歳未満の子供、最も典型的には約1歳未満の子供を意味し、用語「乳幼児用処方物」は、乳幼児の唯一の、主要な、または補助の栄養要求を満たすために乳幼児に投与される組成物を意味する。乳幼児用処方物は、脂質(例えば、トリ、ジ、およびモノグリセリド、ホスホリピド、スフィンゴリピド、および脂肪酸)、タンパク質および炭水化物(例えば、二糖類、単糖類、マルトデキストリンおよびデンプン)および好ましくはビタミンおよび鉱物をさらに含む。乳幼児用処方物およびそれを作る方法は、当業者に周知であり、例えば米国特許第7090862号明細書に記載されている。
好ましくは、乳幼児用処方物はまた、ホエータンパク質濃厚物35(WPC35;ホエータンパク質濃厚物、乾燥物基準で35%タンパク質)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、フルクトオリゴ糖(FOS)、(好ましくは、9:1の割合のGOS:FOS)シアリルラクトース(SL)、フコシルラクトース(FL)、長鎖ポリ不飽和脂肪酸、リノール酸、α―リノレン酸、オレイン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、および加水分解されたタンパク質の1以上を含む。タンパク質の合計量の0.1%〜50%、好ましくは5%〜30%、さらにより好ましくは10%〜20%の量で存在する反芻動物抗体を含む乳幼児用処方物が提供される。いくつかの実施態様では、ウシ抗体が、乾燥重量の0.5%〜5%、好ましくは乾燥重量の1%〜2%の量で存在する。いくつかの実施態様では、再構成された乾燥の乳幼児用処方物または液体の乳幼児用処方物が、0.01〜10mg/ml、好ましくは0.05〜10mg/ml、より好ましくは0.5〜5mg/ml、好ましくは1〜2mg/ml、最も好ましくは0.5〜1mg/ml、のウシ抗体を含む。好ましい実施態様では、乳幼児用処方物が、100gの乳幼児用処方物粉末につき、1〜10g、好ましくは2〜5g、より好ましくは3〜4gの初乳を含む。
本発明は、炭水化物、脱脂粉乳(fat free milk solids)、脂肪およびWPC−35の組成物に基づく、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られた抗原特異的抗体を含む子供用栄養組成物、好ましくは乳幼児用処方物、をさらに提供する。好ましくは、炭水化物が、25〜50重量%、好ましくは28〜46重量%で存在し、脱脂粉乳が12〜20重量%、好ましくは15〜18重量%で存在し、脂肪が22〜30重量%、好ましくは24〜27重量%で存在し、WPC−35が5〜20重量%、好ましくは8〜18重量%で存在する。これらの濃厚物は、当業者によって、必要に応じて調整され得る。組成物は、初乳、好ましくは1〜5重量%の初乳、より好ましくは2〜4重量%の初乳;フコシルラクトース、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.15〜0.3重量%;シアリルラクトース、例えばヴィヴィナル(vivinal)シアリルラクトース、好ましくは1〜6重量%、より好ましくは2〜5重量%;またはガラクトオリゴ糖(GOS)、例えばヴィヴィナルガラクトオリゴ糖、好ましくは8〜15重量%、より好ましくは10〜13重量%、を単独でまたは任意の組合せでさらに含み得る。
好ましくは、組成物が初乳を含み、かつ以下の組成:42〜48重量%の炭水化物、好ましくは43〜47重量%の炭水化物;14〜18重量%の脱脂粉乳、好ましくは15〜17重量%の脱脂粉乳;23〜28重量%の脂肪、好ましくは24〜27重量%の脂肪;5〜15重量%のWPC−35、好ましくは8〜12重量%のWPC−35;および1〜5重量%の初乳、好ましくは2〜4重量%の初乳を有する。
好ましくは、組成物が初乳およびGOSを含み、かつ以下の組成:30〜35重量%の炭水化物、好ましくは32〜35重量%の炭水化物;14〜18重量%の脱脂粉乳、好ましくは15〜17重量%の脱脂粉乳;23〜28重量%の脂肪、好ましくは24〜27重量%の脂肪;5〜15重量%のWPC−35、好ましくは8〜12重量%のWPC−35;1〜5重量%の初乳、好ましくは2〜4重量%の初乳;および8〜15重量%、好ましくは10〜13重量%のGOSを有する。
好ましくは、組成物が初乳、フコシルラクトース、シアリルラクトースおよびGOSを含み、かつ以下の組成:25〜35重量%の炭水化物、好ましくは28〜32重量%の炭水化物;14〜18重量%の脱脂粉乳、好ましくは14〜17重量%の脱脂粉乳;23〜28重量%の脂肪、好ましくは24〜27重量%の脂肪;5〜15重量%のWPC−35、好ましくは8〜12重量%のWPC−35;1〜5重量%の初乳、好ましくは2〜4重量%の初乳;0.01〜0.5重量%、好ましくは0.15〜0.3重量%のフコシルラクトース;1〜6重量%、好ましくは2〜5重量%のシアリルラクトース;および8〜15重量%、好ましくは10〜13重量%のガラクトオリゴ糖(GOS)を有する。組成物の例が図5に示される。
本明細書に開示された重量%の定義は、合計乾燥重量に基づく。組成物はしたがって、固体、例えば粉末であり得、または液体、例えばすぐに使用できる乳幼児用処方物であり得る。
本明細書に開示された子供用栄養組成物を調製するために、IgGの任意の源が使用され得る。上述した組成物における初乳は、部分的にまたは全体的に、他のIgG源、例えば乳またはホエーによって、または精製されたIgGによって置き換えられてもよい。実施例5の表2に示されるように、生乳は、200μg/mlより多くのIgG1を含む。すなわち、4リットルの生乳は、約0.78g/リットルのIgG含量を有する組成物を調製するために十分なIgGを含む。好ましくは、組成物が、液体として調製されるときまたは液体として再構成されるとき、35〜60g/リットル、より好ましくは37〜58g/リットル、さらにより好ましくは48〜58g/リットルの炭水化物;10〜15g/リットル、より好ましくは11〜13g/リットルのタンパク質;23〜29g/リットル、好ましくは25〜27g/リットルの脂肪;3〜10重量%、好ましくは4〜9g/リットルのミネラルおよび他の成分、および0.1〜5g/リットルを含む。これらの組成物はまた、シアリルラクトースを好ましくは0.1〜0.3g/リットルの量で、フコシルラクトースを好ましくは0.1〜0.3g/リットルの量で、およびGOSを好ましくは3〜6g/リットルの量で含み得る。
経口的に送達される反芻動物抗体調製物は、水溶液、乳、ヨーグルトなどの流体中に配合され得、または噴霧乾燥または凍結乾燥されたタンパク質調製物として調製され得、または抗体を胃において保護するためにカプセル化され得る。好ましくは、そのような抗体が、乳幼児用処方物またはヒトの消費のための乳製品に添加される。本発明の別の好ましい実施態様では、本明細書に記載された組成物が、プロバイオティック細菌またはプレバイオティック(prebiotic)を含む。プロバイオティックは、例えば、乳酸菌、例えばStreptococcus lactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus bifidus、Lactobacillus casei、Lactobacillus lactis、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus delbruekii、Lactobacillus thermophilus、Lactobacillus fermentii、Lactobacillus salivarius、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium bifidum、およびPediococcus cerevisiae、またはそれらの混合物であり得る。上記プレバイオティックは、任意のプレバイオティックオリゴ糖、例えばガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、フコオリゴ糖、シアロオリゴ糖、ならびにイヌリン、βグリカン、イナゴマメ粉、ガム、ペクチン、シアリルラクトン、ガラクタンおよびヌクレオチドであり得る。
反芻動物抗体は、ヒト胃腸管における分解に比較的耐性であるが、経口投与のための調製物は、上記抗原特異的抗体を含む輸送ビヒクルを含むのが好ましい。ここで、上記輸送ビヒクルは、上記抗体のビヒクルからの目標とされる腸での放出を可能にする。封入された物質の腸管での特定の放出を可能にする種々の輸送ビヒクルは従来公知である。好ましくは、上記ビヒクルが、小腸での放出を可能にする。ウシ免疫グロブリンは、例えば、酸性条件での分解に耐える溶腸性コーティングでコーティングされるように調製され得る。胃のpHでは不溶であるが腸のpHでは溶解する腸溶性Jコーティングのための薬学的に許容され得る賦形剤は、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレートおよびアクリル酸ポリマーを包含する。
反芻動物の免疫グロブリン組成物の放出プロファイルは、コーティングの厚さおよびコーティングの組成を変えることにより変えられ得る。ウシ免疫グロブリンの持続放出が望ましいならば、徐放性コーティングまたは徐放性コーティングと腸溶性コーティングとの混合物が適用され得る。徐放性コーティングのための薬学的に許容され得る賦形剤は、セルロース誘導体およびメタクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチルセルロースならびにオイドラギット(Eudragit)NE、オイドラギットRLおよびオイドラギットRSを包含する。いくつかの実施態様では、徐放性組成物が、5〜20重量%の活性物質を1時間以内に放出し、23〜27重量%を2時間以内に、33〜42重量%を3時間以内に、75〜82重量%を5時間以内に、93〜97重量%を7時間以内に、および100重量%を12時間以内に放出する。処置されるべき疾患に基づいて放出ブロファイルを変えることは当業者の理解の範囲内である。
好ましくは、反芻動物抗体が、一日に5mg〜100gが投与されるような量で組成物中に存在する。いくつかの実施態様では、ウシ抗体が、一日に20mg〜10g、好ましくは50mg〜2gの量で投与されるところの子供用栄養組成物、例えば乳幼児用処方物に存在する。好ましくは、子供用栄養組成物が液体であり、一日に20ml〜1000mlの量で投与されるであろう。投与量は、個体の年齢および体重に依存するであろう。
いくつかの実施態様では、反芻動物の免疫グロブリンが、本明細書に記載された、免疫応答、好ましくは炎症性またはアレルギー性免疫応答の調節において使用するための抗炎症サイトカイン、例えばTGF−β、好ましくはウシTGF−β、との組み合わせで提供される。いくつかの実施態様では、反芻動物の免疫グロブリンおよびTGF−βが共に単一組成物中に一緒に配合される。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載された医薬組成物または栄養組成物が、抗原特異的抗体および抗原を含む。好ましくは、抗原が、本明細書に記載されたアレルゲンまたは病原体に特異的である。
好ましくは、本明細書に記載された反芻動物抗体が、ウシ抗原特異的抗体である。
抗原に対して予め免疫されていない反芻動物からの乳は、上記抗原と特異的に反応し得ることが先に示された(国際公開第2008/127105号パンフレットおよびCollinsら、Int Arch Allergy Appl Immunol1991;96:362-267)。これは、反芻動物が当該抗原に対して免疫されていなかったという事実にも関わらず、当該乳が、当該抗原を特異的に結合した抗体を含んでいることを示した。本発明では、この局面が、多量の乳が処理されるところの工業的環境において利用される。いくつかの実施態様では、本発明はしたがって、乳、初乳、またはそれらの加工されたものからの反芻動物抗原特異的抗体を提供し、当該乳が、乳を収集する前に当該抗原で免疫されていない哺乳類由来であることを特徴とする。
本発明の文脈における用語「抗原」は、ヒトの抗原を意味し、例えばヒトにおいて感染しそして病気を引き起こすことができる病原体由来の抗原およびヒトがアレルギーになり得るところのアレルゲンである。「抗原に対する免疫法」は、当該抗原および典型的にアジュバントを含む組成物を哺乳類に投与することを意味し、上記抗原、上記アジュバントまたはそれらの組合せに対する免疫応答を上記哺乳類において得ることを目的とする。上記投与は、組成物の成分と哺乳類の免疫細胞との間の集中的な接触の促進を包含する。そのような投与は典型的に、皮膚層を破壊することにより哺乳類内に組成物を沈着させることを包含する。従って、免疫法は、反芻動物を、ヒトの抗原、ヒトに感染しそして病気を引き起こし得る病原体、ヒトがアレルギーになり得るところのアレルゲン、またはそれらの組合せによって免疫にすることを意味する。したがって、反芻動物の病原体の抗原のために反芻動物にワクチン接種して当該反芻動物における病気を治療または予防することは、本発明の文脈における免疫法とみなされない。例えば当該反芻動物の食物(の一部)として、抗原を経口投与することは、哺乳類における当該抗原のための耐性の誘発としばしば関係し、したがって、本発明における免疫法とみなされない。
本明細書に記載された反芻動物抗体は、乳から直接収集され得、またはより後の工程で、乳製品、例えばホエー(例えば乳ホエー、初乳ホエー、チーズホエーおよび酸(カゼイン)ホエー)、スキムミルクもしくは発酵乳、または再構成されたホエータンパク質濃厚物もしくは粉末などからの乳処理中に収集され得る。反芻動物抗体はまた、全ての工程での初乳から収集され得、例えば生まれる前に、生まれた直後に、または生まれて1か月以内に産生された初乳、ならびに初乳製品、例えば初乳粉末または初乳ホエータンパク質濃厚物、から収集され得る。
好ましい実施態様では、本明細書に記載された抗体を得る方法が、乳を分泌する反芻動物から乳または初乳を収集すること、および上記乳または初乳から当該抗体を収集することを含む。好ましくは、同じ種の少なくとも2個体の反芻動物の乳または初乳が、抗体を収集する前にプールされる。こうして、十分でない抗体も十分な量で収集され得る。この目的のために、好ましくは同じ種の、少なくとも10個体、より好ましくは少なくとも100個体の反芻動物の乳または初乳から抗体を収集することが好ましい。好ましくは、上記反芻動物がウシであり、好ましくはウシ(Bos)属のウシである。ウシ属のうち、商業的に利用されている種が好ましい。好ましくは、上記反芻動物が、ガヤル(Gayal)種、Bos frontalis種(家畜ガウル(domestic gaur))、Bos mutus種(ヤク(Yak))またはBos taurus種(家畜のウシ)である。別の好ましい実施態様では、反芻動物が、ヤギまたはヒツジであり、好ましくはヤギ亜科のものである。この亜科のうち、Ovis属またはCapra属が好ましい。Ovis属のうち、Ovis aries種 (家畜のヒツジ)が好ましい。Capra属のうち、Capra aegagrus hircus種(家畜化されたヤギ)が好ましい。別の好ましい実施態様では、反芻動物がラクダ、ロバ、バッファロー、ウマまたはラマである。
免疫されたまたは免疫されていない反芻動物からの抗体は、好ましくは、アレルゲン抗原、ヒト成長因子、ヒト抗原、胃腸または呼吸器官ウイルス、胃腸または呼吸器官細菌、寄生虫、または他の関連する病気に関係する抗原に特異的である。1実施態様では、上記抗体が、免疫された反芻動物由来である。好ましくは、抗体が、免疫されていない反芻動物由来である。
乳がいくつかの成分、特に脂肪、油脂、非抗体タンパク質および炭水化物を含むとき、抗体を収集する前に、この乳を処理工程に付すことが好ましい。抗体を収集するための適する出発調製物は、生乳または初乳である。熱で処理されて細菌の対数的死滅を達成する(低温殺菌と呼ばれる処理)ところの乳または初乳も使用され得る。低温殺菌は典型的に、沸点よりも低い温度を使用する。なぜならば、乳の沸点よりも高い温度では、カゼインミセルが不可逆的に凝集する(または「カードになる」)からである。現在、2つの主なタイプの低温殺菌が使用されている。高温/短時間(HTST)処理および賞味期限延長(Extended Self Life:ESL)処理である。HTST法では、乳が、熱水で外側を加熱された金属板の間にまたはパイプ中に集められ、そして15〜20秒間、71.7℃(161°F)に加熱される。ESL乳は、微生物濾過工程およびHTSTよりも低い温度を有する。単に「低温殺菌された」とラベルされた乳は通常、HTST法で処理されたものである。乳はまた、71.7℃より低い温度で、高められた圧力と組み合わせて殺菌され得る。これは、細菌の対数的死滅において、より高温でより低圧の場合と同等に有効である。
乳処理工程は好ましくは、分離工程を含む。好ましい分離工程は、乳または初乳の脂肪が(部分的に)枯渇されるところの工程を含む。すなわち、抗体の収集のための別の好ましい出発調製物は、脂肪枯渇工程を受けた乳または初乳を含む。好ましい実施態様では、分離工程が、乳を少なくとも2つの部分に分離することを含み、その少なくとも1の部分は、タンパク質に富む部分である。バッチ処理された乳または初乳からの抗体の収集が可能であるが、上記処理工程は、(半)連続工程の一部であるのが好ましい。特に好ましい実施態様では、ホエー画分が、上記乳から調製され、上記抗体が上記ホエーから収集される。すなわち、好ましい実施態様では、抗体の収集のための出発調製物が、ホエーを含む。さらに別の実施態様では、抗体の収集のための出発調製物が、発酵乳を含む。出発点は、上述した通りであり得るが、そこから製造される再構成された濃厚物または乾燥粉末からであってもよい。
好ましい実施態様では、反芻動物が、乳の収集のための基準に基づいて選択される。この基準は、乳の分泌サイクルにおける時間を包含する。1実施態様では、反芻動物が、正常乳を産生しており初乳を産生していないことに基づいて選択される。別の実施態様では、反芻動物が、初乳を産生していることに基づいて選択される。
さらに好ましい実施態様では、上記基準が、乳の抗体含量、収集された乳における抗体特異性、反芻動物による食物摂取または食物サプリメント摂取の種類、哺乳類の病原体の抗原のためのワクチン接種(すなわち、前述したワクチン接種、例えば動物疾患に対するワクチン接種)、またはこれらの2以上の組合せを含む。
好ましい実施態様では、上記抗体が、IgG、IgA、IgGまたはIgM抗体である。好ましくは、上記抗体が、乳から得られた、抗体に富む画分から収集される。好ましくは、上記方法が、上記抗体に富む画分に存在する他のタンパク質と比較されるときにIgG、IgA、またはそれらの組合せのレベルを高める工程をさらに含む。好ましくは、β−ラクトグロブリンの量が、少なくとも50%減少している。これは、例えば、β−ラクトブロブリンの特異的加水分解によって、またはサイズ分離によるもしくはβ−ラクトグロブリンに特異的な抗体を使用する除去によるβ−ラクトグロブリンの除去によって、行われ得る。すなわち、好ましくは、ウシ抗体を収集する方法が、抗体に富む画分におけるβ−ラクトグロブリンの量を低下させる工程および/または上記抗原特異的抗体に富む抗体画分を得るためのアフィニティー精製工程をさらに含む。同じ種の種々の反芻動物の大きい集まりから抗原特異的抗体を収集する可能性を有することは、各個体の乳サンプルにおける抗体のありうる低い保有率にもかかわらず、アフィニティー精製された抗原特異的抗体のかなりの量のアフィニティー精製を可能にする。
好ましい実施態様では、収集された乳または初乳が、抗原の存在または抗原特異的抗体の存在のいずれかに関して試験される。乳または初乳中の免疫グロブリンの全含量および/または特定の抗体に特異的な抗体の存在が決定され得る。乳または初乳は、処理工程中の任意の時点で、好ましくは収集後に試験され得る。
抗原特異的抗体を得るために使用される方法に関係なく、本明細書に記載された方法において有用な抗体は、「機能的」である、すなわち、抗原を結合することができる変性されていない抗体である。従って、抗体を得るための好ましい方法は、抗体を有意に変性しない。
本明細書で使用されるとき、「含む」およびその活用型は、その非制限的意味において、上記用語に続く事項が包含されることを意味するが、具体的に言及されていない事項が排除されるものではない。さらに、動詞「から成る」は、本明細書で定義された化合物または付加化合物が具体的に特定されたもの以外の追加の成分を含み得ることを意味する「から本質的に成る」によって置き換えられ得る。ここで、上記追加の成分は、本発明の独自の特徴を変えない。
冠詞「a」および「an」は、上記冠詞の文法上の対象の1つまたは1より多くを(すなわち少なくとも1を)意味するために本明細書で使用される。例えば、「元素」は、1つの元素または1より多い元素を意味する。
用語「処理する」は、予防および/または治療のための処理を包含する。用語「予防または治療のための」処理は、従来認識されており、1以上の対象組成物の受容者への投与を包含する。好ましくない状態(例えば、宿主動物の病気または他の好ましくない状態)の臨床的症状の前に投与されるならば、その処理は予防である(すなわち、それは、宿主が好ましくない状態になるのを防ぐ)。一方、好ましくない状態の症状の後に投与されるならば、その処理は治療である(すなわち、既存の好ましくない状態またはその副作用を少なくする、改善するまたは安定化することが意図される)。
本明細書で使用されるとき、疾患または病気を「防ぐ」ところの治療に役に立つものは、統計サンプルにおいて、処理されていない対照サンプルに対して、処理されたサンプルにおける疾患また病気の発生を減少させ、または、処理されていない対照サンプルに対して、疾患または病気の1以上の症状の開始を遅らせまたは上記症状の重症度を低下させる化合物を意味する。
本明細書において引用された全ての特許文献および非特許文献は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明を下記実施例においてさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を単に明らかにするものに過ぎない。
ウシ免疫グロブリンの未熟樹状細胞上での結合能
ウシ免疫グロブリンが、AFFI−T(商品名)カラム、次いでプロテインGカラムを使用して、ウシ初乳から精製された。この精製されたウシ免疫グロブリン物質は、IgG1に富むが、IgMおよびIgAをなおも含んでいた。ウシ初乳および精製されたウシ免疫グロブリンの調製物は、IgG1>IgM>IgA>IgG2を含んでいた(表1)。
Figure 2013517268
CD32/FcγR−IIを発現するヒト単球由来の未熟DCが、ウシ初乳または精製されたウシ免疫グロブリンと共に代謝不活性条件下(4℃および無毒性濃度のNaN3)でインキュベートされて、ありうる異種間のFcR/免疫グロブリン相互作用が決定された。
未熟DC上における初乳および精製された免疫グロブリンの両方の調製物からのウシIgG(250μg/ml)の結合は明らかに増加した(図1参照)。このウシIgG結合は、容量依存性であった。ウシIgAおよびIgMの結合は最少量にすぎなかった。
単球ヒトIgG(250μg/ml)は、CD32発現ヒト未熟DCに結合できなかったが、凝集したヒトIgG(250μg/ml)は明らかにこれらの細胞に結合した(図2A参照)。この観察は、IgGのみがCD32と架橋後に相互作用するという考えと一致し、そして、ウシIgGの未熟DC上での上記結合はIgG免疫複合体または凝集体の結果であることを示唆する。
ヒトおよびウシIgGの未熟DC上での結合がCD32特異的であるかどうかを決定する試みにおいて、未熟DCが、公知の遮断マウス抗ヒトCD32抗体(10μg/ml、BD PharmingenからのクローンFL18.26)で前処理された。この抗CD32前処理は、ヒト凝集IgGの結合を明らかに減少させた(図2B参照)。抗CD32による遮断後のヒトIgGの残りの結合は、FcRNなどの他の受容体がまた、凝集/複合化されたIgG(ヒトだけでなくウシも)のヒトDCへの結合において役割を果たし得ることを示唆する。
免疫グロブリンの未熟樹状細胞上での生物学的活性
可溶免疫複合体を模倣する試みにおいて、LPS非感受性(TLR−4lowおよびCD14low)未熟DCが、Escherichia coliからの微量のLPSを伴ってまたは伴わないで、ウシ初乳および精製されたウシ免疫グロブリンに暴露された。暴露の2日後に、DC活性化が、サイトカイン産生(すなわちIL−10およびTNF−α)を調べることによりモニターされた。
ウシ初乳は、ヒトDCを強く活性化した。これは、2日の処理後に未熟DCによって放出されたIL−10およびTNF−αの再現可能な高いレベルによって実証された(図3参照)。この効果は、容量依存性であった(すなわち、250μg/mL>50μg/mL)。精製されたウシ免疫グロブリンも用量依存性ヒトDC活性化を示した(すなわち、250μg/mL>50μg/mL)。
本発明者は先に、乳中の細菌特異的ウシ抗体(LPSに対するものを包含する)の存在を実証した(国際公開第2008/127105号パンフレット参照)。100ng/mLのLPSとウシ初乳とのおよび特に精製ウシ免疫グロブリンとの組み合わせが、ヒト未熟DCからのIL−10およびTNF−α分泌に関して強い相乗効果をもたらした(図3参照)。100ng/mLのLPSのみでは、サイトカイン産生に影響を及ぼさなかった。この観察は、ウシ抗LPS特異的免疫グロブリンおよびLPSから成る免疫複合体が、FcR信号経路(signalling pathway)を介してヒト未熟DCを活性化することを示す。
ヒトGI管におけるウシ免疫グロブリンの生存
インビトロ消化実験を行って、ウシ免疫グロブリンに関する胃および小腸における消化の影響を決定した。この目的のために、初乳におけるウシIgG1およびIgAの安定性に関する乳幼児および成人のインビトロ消化プロトコルの影響が調べられた。
図4に示されるように、乳幼児消化プロトコルは、小腸処理の後、元のウシIgG1およびIgAの約40〜60%を残した。より活発である成人プロトコルは、元のIgG1およびIgAの約10〜20%を残す。別の独立した実験では、成人の胃および小腸処理によって<5%の免疫グロブリンが生存した。乳幼児と成人との間に見られる違いの少なくとも一部は、pHの相違の結果であり得る。年少乳幼児の胃相のpHは4であり(成人プロトコルではpH3である)、胃相の持続期間は年少乳幼児が1時間であり、成人が2時間である。本発明者は最近、ウシIgG1およびIgAがpH4で6時間安定であるが、pH3.5以下への暴露では、短い時間ですらかなり敏感であることを見出した。全体に、これらのデータは、経口的に消化された免疫グロブリンのかなりの量が、ヒトの腸にわたって存在し、したがって、機能性を保持することが期待され得ることを示す。
これらの実験は、先に発表された結果を確認する。1979年からの初期の研究は、活性なE.coli EPEC特異的Igまたはその活性Ig断片が、GI管を通った後の免疫された雌ウシからの免疫グロブリンで処理された乳幼児の糞便に存在すること、およびこれらの糞便から調製された抽出物が、マウスをE. coliによるインビボ攻撃に対して防御し得ることを示した(Hilpert H.ら、Nestle Res. News, 134-138. 1974)。同様に、Hilpertらは先に、乳幼児における腸通過ののち、10〜20%の免疫グロブリンが生存し得ることを示し(Hilpert, H.ら、1987. J. Infect. Dis. 156:158-166)、Pacynaらは、抗ロタウイルス免疫グロブリン活性が、ロタウイルス誘発された下痢に罹った子供の糞便において検出され得ることを示した(Pacyna, J.ら、2001. J. Pediatr. Gastroenterol.Nutr. 32:162-167)。
別の研究は、初乳からの約20%のIgGおよびIgMが(IgAでない)、成人において、腸骨を通って生存することを示した(Roos, Nら、1995. J. Nutr. 125:1238-1244)。これは、Kellyらの研究と一致する。Kellyらは、経口的に消化されたウシIgGの3%までが、健康な成人において口から肛門までGI管を通って生存できたことを記載した(Kelly, C.P.ら、1997. Antimicrob.Agents Chemother. 41:236-241)。免疫グロブリンが、pH6以上で溶解するカプセル中にあるとき、30%さえも、糞便中に検出できた。断食後に初乳を採った個体では、約2倍より多くのIgGが、腸を通って生存した。同様の研究において、全ての経口投与されたIgG1の50%が、小腸の最も近位部分である腸骨を通って生存することが示された(Warny, Mら、1999. Gut 44:212-217)。初乳と低いpHに対して防御するための制酸剤またはオメプラゾール(omeprazole)との組み合わせによる高められた生存は見られなかった。腸溶性カプセルは、腸骨においてほとんど損なわれなかった。これは、腸溶性カプセル中で投与された免疫グロブリンは、結腸に入るまでは放出されないことを示唆している。これらのデータは、経口的に消化された免疫グロブリンのかなりの量が、乳幼児の胃および小腸を通って存在し、したがって機能性を保持することが期待され得るという本発明者の結果を支持する。
乳、ホエー、初乳および乳由来タンパク質調製物におけるウシIgG1、IgMおよびIgAの測定
ELISAアッセイが、実施例1に記載されたように行われて、乳を包含する種々の源からのウシ免疫グロブリンの量を測定した。表2に示されるように、生乳は、かなりの量のIgGを含む。
Figure 2013517268
ホエー、初乳、乳およびタンパク質調製物中のウシ免疫グロブリンの測定値

データは、特に断らない限り、2つの別個のELISAの平均を示す。
*:標準曲線がOKでなかったので、単一測定からのIgAサンプル
**:単一IgG1測定値
***:未知の粉末のタンパク質含量
#:単一測定値、下記第二のELISA検出におけるサンプル
nd:決定されなかった
実施例において使用された材料および方法
ウシ初乳由来の免疫グロブリンの精製
初乳サンプルを、0.75Mの(NHSOを含むバッファーで希釈した(2倍希釈)。追加の(NHSOを添加して0.75Mの(NHSOの最終濃度を得た。サンプルをAFFI-T(商品名)カラム(Kem-en-Tec)に充填した。サンプルを0.05Mのトリス−HCl(pH8.9)溶離バッファーで溶離した。サンプルを0.02MのNaPi(pH7.0)を含むバッファーで希釈した(4倍希釈)。サンプルをプロテインGカラムに充填した(5ml、Amersham)。サンプルを0.1Mのグリシン−HCl(pH2.7)溶離バッファーで溶離した。サンプルを1Mのトリス−HCl(pH9.0)中和バッファーで中和した。PBSに対して透析した(3x1L)。精製されたIgsサンプルを濾過して無菌性(sterility)を得た(0.2μmフィルター)。A280(GeneQuant、Amersham)を測定してタンパク質濃度を決定した。4℃で貯蔵した。
ウシ初乳BCPLF200、精製されたウシ免疫グロブリン、および消化サンプルにおけるウシサブクラスIgG1、IgG2、IgAおよびIgMの決定
ELISAプレート(Corning)を、100μL/ウェルのコーティング抗体(すなわち、PBS(pH7.4)で希釈された1.25〜2.50μg/mLのヒツジ抗ウシIgG、IgAまたはIgM(Bethyl))で被覆した。加湿された環境において4℃で一夜インキュベートした。ウェルごとに300μLの洗浄バッファー(0.05%Tween-20(ICN)/PBS)でプレートを3回洗浄した。ウェルごとに200μLの1:10ブロックバッファー(Roche)でプレートをブロックした。加湿された環境において37℃で1時間インキュベートした。洗浄バッファーで3回洗浄した。100μL/ウェルの標準物質(ウシ参照血清、Bethyl)、ならびにウシ初乳および精製されたウシ免疫グロブリン(ブロックバッファーで希釈されたもの)を添加した。加湿された環境において37℃で1時間インキュベートした。洗浄バッファーで3回洗浄した。パーオキシダーゼに結合した検出抗体(すなわち、ブロックバッファーで希釈された0.02μg/mLのヒツジ抗ウシIgG1、IgG2、IgAまたはIgM(AbD Serotec))100μL/ウェルを添加した。加湿された環境において37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで5回洗浄した。100μL/ウェルのTMB溶液(Biosource)を添加した。RTで15分インキュベートした。1MのHSOを添加することにより(100μL/ウェル)、反応を停止した。マイクロプレートリーダーを使用して二重波長450nm/655nm(655nmは参照として)での吸光度を測定した。
ヒト未熟単球由来DCの産生および活性化
ヒト単球が、Lymphoprep(1,077g/ml)上での密度勾配遠心法によって、次いでPercoll勾配(3つの密度:1,076g/ml、1,057g/mlおよび1,054g/ml)上での密度勾配遠心法によってバッフィーコート(buffy coats)から単離された。細胞を洗浄しそして、Gentamycinで補充された無血清培地(CellGro DC培地、CellGenix)に再懸濁した後、上記細胞を、細胞表面フラスコの表面に1.5時間接着させ、非接着細胞を取り除き、新鮮な培地を添加した。20ng/mLのGM−CSF(PeproTech)および20ng/mLのIL−4(PeproTech)を接着された単球に添加した。単球を5%COインキュベーター中、37℃で5日間インキュベートした(2日目に「新鮮な」20ng/mLのGM−CSFおよび20ng/mLのIL−4を添加)。5日後に、培養未熟DC(culture immature DC)が採取され、ポリプロピレンチューブ(Greiner)ごとに20ng/mLのGM−CSFおよび20ng/mLのIL−4で補充されたCellGro DC培地/ゲンタマイシン中で1.0×106DC/mLに調整された。Escherichiacoli (セロタイプ055:B5、Sigma)からの100ng/mlのLPSを伴ってまたは伴わないで、初乳および精製されたウシ免疫グロブリンからの250μg/mLまたは50μg/mLのウシIgG1をDCに添加した。さらに、100ng/mlのLPSを伴ってまたは伴わないで、250μg/mLまたは50μg/mLのヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)について行い、そして非刺激DCおよび100μg/mLのポリI:C(Sigma)処理されたDC(PeproTech)をそれぞれ陰性および陽性の対照として行った。5%COインキュベーター中、37℃で2日間インキュベートした。2日後に、上清を収集して(−20℃で貯蔵)、サイトカイン量を決定した。
ウシ初乳、精製されたウシ免疫グロブリンおよびヒトIgGの未熟DC上での結合
未熟DCをPBS/0.1%BSA/0.05%NaN(Acros Organics)で4℃で洗浄し、チューブごとに4℃で1×105細胞/100μL PBS/BSA/NaNに調整した。初乳および精製されたウシ免疫グロブリンからの250μg/mLのウシIgG1、および250μg/mLの天然の(単球)または変性された(65℃で20分、免疫複合体を模倣するため)ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)を添加した。4℃で30分間インキュベートした。細胞(3分500g)を4℃で過剰(4mL/チューブ)のPBS/BSA/NaNで3回洗浄した。4℃で再懸濁して1×105細胞/100μL PBS/BSA/NaNにした。10μlの1:10ヒツジ抗ウシIgG(Bethyl)、10μlの1:10ヒツジ抗ウシIgA(Bethyl)、10μlの1:10ヒツジ抗ウシIgM(Bethyl)、または10μlの1:10ヤギ抗ヒトIgG−FITC(Jackson ImmunoResearch )を添加した。4℃で30分間インキュベートした。細胞(3分500g)を4℃で過剰(4mL/チューブ)のPBS/BSA/NaNで洗浄した。4℃で再懸濁して1×105細胞/100μL PBS/BSA/NaNにした。10μlの1:10ロバ抗ヒツジIgG−FITC(Jackson ImmunoResearch )を添加した。4℃で30分間インキュベートした。細胞(3分500g)を4℃で過剰(4mL/チューブ)のPBS/BSA/NaNで洗浄した。4℃で再懸濁して1×105細胞/200μL PBS/BSA/NaN/2%ホルムアルデヒドにした。4℃で30分間インキュベートした。フローサイトメーター(Becton & Dickinson)を使用してMFIを測定して(10,000事象/チューブ)、Ig結合を決定した。
免疫グロブリン安定性に対する消化(胃および小腸)の影響
免疫グロブリン含有サンプルの消化のために使用された消化プロトコルは、年少乳幼児および成人における上部GI管の条件に基づく。これら2つのプロトコルは、幾つかの点で異なる。年少乳幼児の消化の胃相のpHは4であり、成人プロトコルではpH3である。また、胃相の持続時間が年少乳幼児では1時間であり、成人では2時間である。ペプシン濃度は、成人では80mgであり、年少乳幼児では28mgである。小腸の消化は同じである。
a)乳幼児での胃および小腸における消化を模倣するプロトコル:
50mlの水に溶解された1gの初乳が、20mlの胃液(28mgのペプシンを含む、Sigma P-6887)とともに37℃およびpH4.0で120分間、バッチ式でインキュベートされた。この後、pHが重炭酸塩によってpH6.5に高められた。次いで、25mlの小腸液(100mgのパンクレアチンを含む、Sigma P-1750)が添加され、サンプルが37℃でさらに120分間インキュベートされた。消化後すぐに、サンプルが、IgG1およびIgAの測定まで、−20℃で貯蔵された。
b)成人での胃および小腸における消化を模倣するプロトコル:
50mlの水に溶解された1gの初乳が、20mlの胃液(80mgのペプシンを含む、Sigma P-6887)とともに37℃およびpH3.0で60分間、バッチ式でインキュベートされた。この後、pHが重炭酸塩によってpH6.5に高められた。次いで、25mlの小腸液(100mgのパンクレアチンを含む、Sigma P-1750)が添加され、サンプルが37℃でさらに120分間インキュベートされた。消化後すぐに、サンプルが、IgG1およびIgAの測定まで、−20℃で貯蔵された。

Claims (31)

  1. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、該抗体が投与された個体において抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するために使用する方法。
  2. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、T細胞への該抗原の効率的提示を促進するために使用する方法。
  3. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、個体における非炎症性の抗原特異的IgAの産生を促進するために使用する方法。
  4. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−α、を産生するために使用する方法。
  5. 該抗原が該個体に存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 該抗原が、該個体の胃腸管または気道に存在する、請求項5記載の方法。
  7. 該個体がヒトである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 該個体の呼吸器官における非炎症性の免疫応答を促進する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 該個体の腸における非炎症性の免疫応答を促進する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  10. 該抗体が、ヒトの消費に適する医薬組成物または栄養組成物中に配合されている、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 該組成物が乳幼児用処方物または成長用ミルクである、請求項10記載の方法。
  12. 該組成物が機能性食品である、請求項10記載の方法。
  13. 該個体が、アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症または炎症性疾患に罹っているまたは上記疾患に罹る危険がある、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 該抗原が該乳、乳製品、初乳または初乳製品に存在する、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 収集された乳または初乳が、該抗原および/または該抗原特異的抗体の存在に関して試験されている、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 収集された乳または初乳が、該抗原特異的抗体に富ませるための少なくとも1の処理工程に付されている、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 反芻動物が、該乳または初乳を収集する前に、該抗原で免疫されていない、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. 個体における適応免疫応答を高めるおよび/または誘発する方法であって、それを必要とする該個体に、反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体および該抗原を一緒に投与することを含む前記方法。
  19. 該個体が、アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症および/または炎症性疾患に罹っているまたは上記疾患に罹る危険がある、請求項18記載の方法。
  20. アレルギー疾患、自己免疫疾患、感染症および/または炎症性疾患から選択される疾患に罹る危険のある個体において、上記疾患の1以上の症状の開始を遅らせるまたは上記症状の重症度を低下させる方法であって、上記危険のある個体に反芻動物の、好ましくはウシの抗原特異的抗体を付与することを含む前記方法。
  21. 該個体が、該抗原を一緒に投与される、請求項20記載の方法。
  22. 該抗原特異的抗体が、反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる、請求項18〜21のいずれか1項記載の方法。
  23. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体であって、該抗体が投与された個体において該抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための前記抗原特異的抗体。
  24. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体であって、樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−α、を産生するための前記抗原特異的抗体。
  25. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を含む子供用栄養組成物、好ましくは乳幼児用処方物、であって、該抗体が投与された子供、好ましくは乳幼児、において該抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための前記子供用栄養組成物。
  26. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を含む子供用栄養組成物、好ましくは乳幼児用処方物、であって、樹状細胞を活性化して1以上のサイトカイン、好ましくはIL−10および/またはTNF−α、を産生するための前記子供用栄養組成物。
  27. 反芻動物の、好ましくはウシの乳、乳製品、初乳または初乳製品から得られる抗原特異的抗体を、該抗体が投与された個体において抗原に対する適応免疫応答を高めるおよび/または誘発するための薬剤の調製のために使用する方法。
  28. 該抗体が乳から得られる、請求項1〜17および27のいずれか1項記載の抗原特異的抗体の使用方法。
  29. 該抗体が乳から得られる、請求項22記載の方法。
  30. 該抗体が乳から得られる、請求項23または24記載の抗原特異的抗体。
  31. 該抗体が乳から得られる、請求項25または26記載の子供用栄養組成物。
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