JP2013516472A - 治療方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、パゾパニブまたはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を含む、好適な阻害剤の投与により、患者における眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法に関する。
Description
本発明は、哺乳動物における眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法に関する。その方法は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体、およびそれらを含む医薬組成物を投与することを含んでなる。
新脈管形成とも呼ばれている、新血管形成は、新しい血管を形成するプロセスである。新血管形成は、正常な発達の間に起こり、また、組織損傷後の創傷治癒にも重要な役割を果たす。しかしながら、新血管形成はまた、例えば癌、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、および眼の疾患を含む、多くの病的状態の重要な原因と関係している。
新血管形成が原因となる眼障害は、高齢者における重度な視力喪失の主要な原因である、加齢性黄斑変性(AMD)である。AMDにおける視力喪失は、脈絡膜新血管新生(CNV)に起因する。新血管形成は、脈絡膜血管に由来し、通常、網膜下色素上皮空間および/または網膜内の複数の部位においてブルッフ膜を介して成長する(例えば、Campochiaroら(1999)Mol.Vis.5:34を参照のこと)。それらの新しい血管からの漏出および出血により視力喪失が生じる。
本発明の一つの態様において、眼内新脈管形成(ocular angiogenesis)または脈管漏出(血管漏出)(vascular leakage)の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法は、1〜50mgの好適な阻害剤を患者に経口投与することを含む。
本発明の別の態様において、眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法は、1〜50mgの下記式(I)の化合物:
またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を患者に経口投与することを含む。
本発明によるさらに別の態様において、必要とする患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療するための1〜50mgの好適な阻害剤を含む薬剤の製造における好適な阻害剤の使用が提供される。
本発明によるさらに別の態様において、必要とする患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害の治療に使用するための1〜50mgの好適な阻害剤が提供される。
本発明は、加齢性黄斑変性などの眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法を提供する。本明細書で使用する場合、「治療」とは、障害に関連する1つ以上の病状が有益に変化する任意の方法を意味する。したがって、その用語は、障害の病状または副作用の治癒または改善、あるいは障害の進行速度の低下を含む。
本明細書で使用する場合、「好適な阻害剤」との用語は、以下の受容体:VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、c−kit、および/またはFGFRのうちの1つ以上を阻害する阻害剤を意味する。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」との用語は、障害の1つ以上の病状を治療、予防および/または改善するのに十分である治療剤の量を意味する。
本発明の実施形態によれば、眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法は、患者に1〜50mgの好適な阻害剤を経口投与することを含む。
好適な阻害剤は、以下の受容体:VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、c−kit、および/またはFGFRのうちの1つ以上を阻害する種々の阻害剤、限定されないが、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物、式(I’)の化合物またはその水和物、式(I’’)の錯体、式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩、アパチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ビバニブ、ミドスタウリン(PKC412)(Novartisによる開発下のFLT3、c−KIT、VEGFR−2、PDGFRおよびセリン/トレオニンプロテインキナーゼC(PkC)の多重アイソフォームの阻害剤)、E−7050(エーザイによる開発下のC−metおよびVEGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、XL−184(Exelixisによる開発下のMet、RetおよびVEGFR2を阻害するスペクトル選択的キナーゼ阻害剤)、XL−647(Exelixisによる開発下のEGFR、HER2、VEGFRおよびEphB4を阻害する経口利用可能なチロシンキナーゼ阻害剤)、セジラニブ、リニファニブ、モテサニブ、RAF−265(かつてはCHIR−265)(Novartisによる開発下のB−RafおよびVEGFRキナーゼ阻害剤)、チボザニブ、TAK−593(Millennium(Takeda)による開発下のVEGFR/PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、ARQ−197(ArQule(買収前はCyclis Pharmaceuticals)による開発下のc−MetのATP非依存性阻害剤、OSI−930(OSI Pharmaceuticalsによる開発下のc−kitおよびVEGFR−2チロシンキナーゼ阻害剤)、DCC−2036(Deciphera Pharmaceuticalsによる開発下のSrc様キナーゼLYN、HCKおよびFGR、ならびにTIE2およびKDRキナーゼも阻害するBcr−abl阻害剤)、MGCD−265(ChemBridge Research Laboratories,CA,USと共同のMethylGeneによる開発下のc−Met、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、Tie−2およびRonチロシン受容体キナーゼの阻害剤)、PF−337210(Pfizerによる開発下のVEGFR2の阻害剤)、BIBF−1120(Boehringer Ingelheimによる開発下のsrc、lckおよびlynチロシンキナーゼも阻害するVEGFR−2、PDGFおよびFGFキナーゼ阻害剤)、ENMD−2076(EntreMedによる開発下のFlt3、c−kit、CSF1RおよびKDR(VEGFR2)ならびにVEGFR3、PDGFR−アルファ、FGFR1、FGFR2、EphA1およびsrcも阻害するオーロラキナーゼA対Bを選択的に標的とするキナーゼ阻害剤)、TG−100−801(TargeGenによる開発下のVEGFR、Src、Yes、Lck、LynキナーゼおよびPDGFR−β阻害剤)、BMS−690514(Bristol−Myers Squibbによる開発下のEGFR、HER2、ErB4およびVEGFR1−3の阻害剤)、SSR−106462(Sanofi−Aventisによる開発下のTIE−2阻害剤およびVEGFR−2チロシンキナーゼ阻害剤)、BAY−73−4506(Bayerによる開発下のVEGFR、KIT、RET、FGFRおよびPDGFRキナーゼ阻害剤)、プリチデプシン、アキシチニブ、バンデチニブ、およびニロチニブを含む、阻害剤であり得る。好適な阻害剤は、薬学上許容可能な塩の形態、および一部の場合において、好適な阻害剤が溶媒和形態であるように当該技術分野において記載されている程度まで薬学上許容可能な溶媒和物の形態であり得る。
一部の実施形態において、好適な阻害剤は、パゾパニブまたはその薬学上許容可能な塩もしくは溶媒和物、例えば式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な溶媒和物、式(I’)の化合物またはその溶媒和物、または式(I’’)の錯体である。他の実施形態において、好適な阻害剤は、式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、ソラフェニブまたはその薬学上許容可能な塩、例えばトシル酸塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、スニチニブまたはその薬学上許容可能な塩、例えばリンゴ酸塩である。
本発明の実施形態によれば、眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法は、患者に1〜50mgの式(I)の化合物:
またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を経口投与することを含む。
式(I)の化合物は、化合物名5−[[4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]−2−メチルベンゼンスルホンアミドおよび一般名パゾパニブを有する。
ある実施形態において、式(I)の化合物の塩は塩酸塩である。特定の実施形態において、式(I)の化合物の塩は、式(I’)により例示するように一塩酸塩である。式(I)の化合物の一塩酸塩は、化合物名5−[[4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]−2−メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を有する。
他の実施形態において、式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物の一塩酸塩一水和物溶媒和物である。式(I)の化合物の一塩酸塩一水和物溶媒和物は、式(I’’)に例示するように化合物名5−({4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)−2−メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩一水和物を有する。
式(I)の化合物の遊離塩基、塩および水和物は、例えば、2001年12月19日に出願され、2002年8月1日に国際公開WO02/059110号として公開された国際特許出願第PCT/US01/49367号、および2003年6月17日に出願され、2003年12月24日に国際公開WO03/106416号として公開された国際特許出願第PCT/US03/19211号の手順に従って調製できる。
本発明の実施形態によれば、眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法は、患者に1〜50mgの式(II)の化合物:
またはその薬学上許容可能な塩を経口投与することを含む。式(II)の化合物の遊離塩基および塩は、例えば、2001年12月19日に出願され、2002年8月1日に国際公開WO02/059110号として公開された国際特許出願第PCT/US01/49367号、および2003年6月17日に出願され、2003年12月24日に国際公開WO03/106416号として公開された国際特許出願第PCT/US03/19211号の手順に従って調製できる。
本明細書で使用する場合、「薬学上許容可能な塩」との用語は、式(I)の化合物における置換基上の窒素に由来する酸付加塩を含んでもよい。代表的な塩としては、以下の塩が含まれる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロマイド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム、ムケート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド(triethiodide)、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。
本発明による方法の実施形態において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害は、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障、翼状片、血管が新生された緑内障濾過胞(vascularized glaucoma filtering blebs)、結膜乳頭腫などのいずれかの閉塞性または炎症性網膜血管疾患についての浮腫または血管新生;血管新生加齢性黄斑変性(AMD)、近視、前ブドウ膜炎、外傷、または特発性などの脈絡膜血管新生;手術後黄斑浮腫、網膜および/または脈絡膜炎症を含むブドウ膜炎に対する二次的黄斑浮腫、糖尿病に対する二次的黄斑浮腫および網膜血管閉塞性疾患に対する二次的黄斑浮腫(すなわち、分枝および中心網膜静脈閉塞)などの黄斑浮腫;網膜静脈閉塞、ブドウ膜炎、頸動脈疾患由来の虚血性眼症候群、眼または網膜動脈閉塞、鎌状細胞網膜症、他の虚血性もしくは閉塞性血管新生網膜症、未熟児の網膜症、またはイールズ病などの糖尿病に起因する網膜新生血管;ならびにフォンヒッペリ・リンドウ病(VonHippel-Lindau)症候群などの遺伝病であり得る。
一つの実施形態において、血管新生加齢性黄斑変性は、滲出型加齢性黄斑変性(wet age-related macular degeneration)である。別の実施形態において、血管新生加齢性黄斑変性は、萎縮型加齢性黄斑変性(dry age-related macular degeneration)であり、その患者は、滲出型加齢性黄斑変性を発症する危険性が高いと特徴付けられる。
好適な阻害剤は化学物質をそのまま投与してもよいが、医薬組成物として活性成分を提供することも可能である。したがって、本発明の実施形態はさらに、治療有効量の好適な阻害剤と、1種以上の薬学上許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。好適な阻害剤は上記の通りである。一つの実施形態において、好適な阻害剤は、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物である。別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(I’)の化合物またはその水和物である。さらに別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(I’’)の錯体である。さらに別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、ソラフェニブまたはトシル酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、スニチニブまたはリンゴ酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で許容可能でなければならない。本発明の別の態様によれば、好適な阻害剤と、1種以上の薬学上許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬製剤を調製するための方法も提供される。
医薬製剤は、単位用量あたり所定量の活性成分を含む単位用量形態で提供されなければならない。特定の実施形態において、単位投薬製剤は、日用量またはサブ用量の頻度あるいは活性成分のその適切な割合で投与される用量を含むものである。さらに、医薬製剤は、製剤分野において周知の任意の方法によって調製され得る。
医薬製剤は、経口投与に適合され得る。そのような製剤は、薬剤分野において公知の任意の方法、例えば活性成分と担体または賦形剤とを会合させることによって調製され得る。
経口投与に適合される医薬製剤は、カプセル剤または錠剤;粉剤または顆粒剤;水性または非水性液体での液剤または懸濁剤;食用泡状物またはホイップ;あるいは水中油液体エマルションまたは油中水液体エマルションなどの別個の単位として提供され得る。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態の経口投与のために、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口用、非毒性の薬学上許容可能な不活性担体と混合され得る。粉剤は、化合物を適切な微細なサイズに粉砕し、食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールなどの同様に粉砕した薬学的担体と混合することによって調製される。香味剤、防腐剤、分散剤および着色剤も提供されてもよい。
カプセル剤は、上記の粉末混合物を調製し、形成したゼラチンシースを充填することによって生成される。コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの流動促進剤および潤滑剤が、充填操作前に粉末混合物に加えられてもよい。寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤もまた、カプセルが摂取される場合、薬剤の利用可能性を改良するために加えられてもよい。
さらに、所望または必要な場合、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もまた、混合物に組み込まれてもよい。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、コーンシロップ、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投薬形態に使用される潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラギング(slugging)し、潤滑剤および崩壊剤を加え、錠剤内にプレスすることによって製剤化される。粉末混合物は、適切に粉砕された化合物を、希釈剤または上記の基剤、および任意に、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、第四級塩などの吸収促進剤および/またはベントナイト、カオリンもしくは第二リン酸カルシウムなどの吸収剤と混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプン糊、アカディア粘液(acadia mucilage)などの結合剤またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液およびスクリーンを介する促進法(forcing)を用いて湿潤することによって顆粒化され得る。顆粒化する代替法として、粉末混合が錠剤機械により行われてもよく、その結果、不完全に形成されたスラグが顆粒内で破砕する。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油によって、錠剤を形成する金型にくっつかないように潤滑されてもよい。次いで潤滑された混合物は錠剤内に圧縮される。本発明の化合物はまた、遊離流動不活性担体と混合され、顆粒化またはスラギング工程を経ずに直接錠剤内に圧縮されてもよい。セラックのシーリングコートからなる透明または不透明な保護コーティング、糖またはポリマー材料のコーティングおよびワックスの研磨コーティングが提供されてもよい。異なる単位投薬を識別するために染料がこれらのコーティングに加えられてもよい。
液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などの口腔液が、所定量の化合物に所与の量を含むように投薬単位形態で調製されてもよい。シロップ剤は、適切に風味付けされた水溶液に化合物を溶解することによって調製されてもよく、一方、エリキシル剤は、非毒性のアルコールビヒクルの使用により調製される。懸濁剤は、化合物を非毒性ビヒクルに分散することによって製剤化されてもよい。エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤およびエマルション、防腐剤、ペパーミント油または天然甘味料もしくは他の人口甘味料などの香味用添加物もまた加えられてもよい。
適切な場合、経口投与のための投薬単位製剤はマイクロカプセル化され得る。製剤はまた、例えばポリマー、ワックス中などに微粒子物質をコーティングまたは埋め込むことによって、放出を長引かせるかまたは持続するように調製され得る。
好適な阻害剤はまた、小単層ベシクル、大単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成され得る。
好適な阻害剤はまた、化合物分子が結合される個々の担体としてモノクローナル抗体の使用によって送達され得る。化合物はまた、目標を設定可能な薬物担体として可溶性ポリマーと結合され得る。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミン−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられ得る。さらに、化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポレプシロン(polepsilon)カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、ヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマーに結合されてもよい。
特に上記した成分に加えて、該処方は、問題となっている処方の型を考慮した、当該技術分野にて慣用的な他の剤も含んでもよく、例えば、経口投与に適当なものは着香剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
本発明の方法によれば、好適な阻害剤は、患者に投与または処方される。投与または処方される化合物の量は、例えば、患者の年齢および体重、治療を必要とする正確な病態、病態の重症度、製剤の性質を含む多くの要因に依存する。最終的に、その量は担当医の判断による。
本発明の方法の一部の実施形態において、毎日の頻度で投与される、投与または処方される好適な阻害剤の合計量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mgの下限から、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50mgの上限であり得る。好適な阻害剤は上記のように処方される。一つの実施形態において、好適な阻害剤は、式(I)またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物の化合物である。別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(I’)の化合物またはその水和物である。さらに別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(I’’)の錯体である。さらに別の実施形態において、好適な阻害剤は、式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、ソラフェニブまたはトシル酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。さらに他の実施形態において、好適な阻害剤は、スニチニブまたはリンゴ酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。
本発明の方法はまた、眼内新脈管形成障害を治療するための他の方法と組み合わされて利用されてもよい。一部の実施形態において、本発明の方法は、好適な阻害剤が、血管新生障害の治療のために1種以上のさらなる治療剤と組み合わされて投与される併用療法を含み、その治療剤は、本明細書に記載される好適な阻害剤自体であり得る。一つの実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物である。別の実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、式(I’)の化合物またはその水和物である。さらに別の実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、式(I’’)の錯体である。さらに別の実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。さらに別の実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、ソラフェニブまたはトシル酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。さらに別の実施形態において、組み合わせて使用される好適な阻害剤は、スニチニブまたはリンゴ酸塩などのその薬学上許容可能な塩である。併用療法に使用され得るさらなる治療剤の非限定的な例としては、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ミドスタウリン、ネパフェナク、インテグリン受容体アンタゴニスト(ビトロネクチン受容体アンタゴニストを含む)、および本明細書に記載される種々の好適な阻害剤が挙げられる。例えば、Takahashiら(2003)Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.44:409−15,Campochiaroら(2004)Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.45:922−31,van Wijngaardenら(2005)JAMA293:1509−13,Callahanらによる米国特許第6,825,188号明細書、およびManleyらによる米国特許第6,881,736号明細書(それらの各々は、それらの化合物に関し、引用することにより本明細書の開示の一部とされる)を参照のこと。
併用療法が利用される場合、治療剤は、一緒にまたは別々に投与されてもよい。投与するための同じ手段が、併用療法の1つより多い治療剤のために使用されてもよいか、あるいは併用療法の異なる治療剤が異なる手段により投与されてもよい。治療剤が別々に投与される場合、それらは、近い時間および離れた時間の両方で、任意の順序で同時または別々に投与されてもよい。好適な阻害剤および/または他の薬学的に活性な1つまたは複数の剤および投与の相対的タイミングは、所望の併用効果を達成するために選択される。
以下の実施例は例示のみを意図し、本発明の範囲を限定するものと決して意図されない。
これらの実施例に使用されるパゾパニブの遊離塩基、塩および水和物は、例えば、2001年12月19日に出願され、2002年8月1日に国際公開WO02/059110号として公開されている国際特許出願第PCT/US01/49367号、および2003年6月17日に出願され、2003年12月24日に国際公開WO03/106416号として公開されている国際特許出願第PCT/US03/19211号の手順に従って調製され得る。
生物学的データ
試薬
局所点眼剤を、5mg/mlパゾパニブを含有する緩衝化7%シクロデキストリン溶液中で製剤化した。フルオレセインナトリウム(10%w/v)は、Alcon(Alcon,Pharma,Freiburg,Germany)から購入した。内皮細胞基礎培地(EBM)および内皮細胞増殖培地(EGM)は、Lonza,Verviers,Belgiumから得た。ハンクス平衡塩溶液(HBSS)およびHam’s−F10はInvitrogen(Karlsruhe,Germany)から得た。全ての他の化学物質は、Sigma(Taufkirchen,Germany)から商業的に得た試薬グレートの製品であった。
試薬
局所点眼剤を、5mg/mlパゾパニブを含有する緩衝化7%シクロデキストリン溶液中で製剤化した。フルオレセインナトリウム(10%w/v)は、Alcon(Alcon,Pharma,Freiburg,Germany)から購入した。内皮細胞基礎培地(EBM)および内皮細胞増殖培地(EGM)は、Lonza,Verviers,Belgiumから得た。ハンクス平衡塩溶液(HBSS)およびHam’s−F10はInvitrogen(Karlsruhe,Germany)から得た。全ての他の化学物質は、Sigma(Taufkirchen,Germany)から商業的に得た試薬グレートの製品であった。
動物および麻酔
オスのBrown Norwayラット(10〜12週齢、170〜360gの体重のオスおよびメス)を、この研究を通して使用した。眼科および視覚研究における動物の使用に関するARVOステートメントに従って動物を処理し、全ての動物実験は、ライプツィヒにおける国内および大学病院動物ケア委員会によりレビューおよび承認された。腹腔内ケタミン(100mg/kg;Ratiopharm,Ulm,Germany)およびキシラジン(BayerVital,Leverkusen,Germany;10mg/kg)を用いてラットを麻酔した。トロピカミド(5mg/ml)およびフェニレフリン塩酸塩(Ankerpharm,Rudolstadt,Germany;50mg/ml)の局所適用を、レーザー光凝固術および蛍光眼底血管造影法の間に散瞳に滴下した。レーザー損傷から14日後、二酸化炭素の過剰摂取を用いてラットを人道的に安楽死させた。
オスのBrown Norwayラット(10〜12週齢、170〜360gの体重のオスおよびメス)を、この研究を通して使用した。眼科および視覚研究における動物の使用に関するARVOステートメントに従って動物を処理し、全ての動物実験は、ライプツィヒにおける国内および大学病院動物ケア委員会によりレビューおよび承認された。腹腔内ケタミン(100mg/kg;Ratiopharm,Ulm,Germany)およびキシラジン(BayerVital,Leverkusen,Germany;10mg/kg)を用いてラットを麻酔した。トロピカミド(5mg/ml)およびフェニレフリン塩酸塩(Ankerpharm,Rudolstadt,Germany;50mg/ml)の局所適用を、レーザー光凝固術および蛍光眼底血管造影法の間に散瞳に滴下した。レーザー損傷から14日後、二酸化炭素の過剰摂取を用いてラットを人道的に安楽死させた。
ラットにおけるCNVの誘導およびパゾパニブでの処置
スリットランプ(Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)に取り付けられた545nm色素レーザー(Coherent Argon Dye Laser#920,Coherent Medical Laser,Palo Alto,CA)を用いてレーザー光凝固術により誘導されるブルッフ膜の破壊を用いて動物を処置した。光凝固術の間中、角膜透明性を保持するためにコンタクトレンズを使用した。以下の設定:50μm直径、0.1秒の持続時間、および180−mW強度を用いてレーザースポットを別々に配置した。ブルッフ膜を破壊するために、4〜7個のレーザースポットを、光ディスクに近接する主要な網膜血管の間に適用した。パゾパニブ(約30μlの5mg/ml滅菌濾過溶液)を1日に2回投与した。対照群の動物にビヒクルのみを与えた。
スリットランプ(Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)に取り付けられた545nm色素レーザー(Coherent Argon Dye Laser#920,Coherent Medical Laser,Palo Alto,CA)を用いてレーザー光凝固術により誘導されるブルッフ膜の破壊を用いて動物を処置した。光凝固術の間中、角膜透明性を保持するためにコンタクトレンズを使用した。以下の設定:50μm直径、0.1秒の持続時間、および180−mW強度を用いてレーザースポットを別々に配置した。ブルッフ膜を破壊するために、4〜7個のレーザースポットを、光ディスクに近接する主要な網膜血管の間に適用した。パゾパニブ(約30μlの5mg/ml滅菌濾過溶液)を1日に2回投与した。対照群の動物にビヒクルのみを与えた。
実験的CNVにおける蛍光血管造影
その初期段階におけるCNVの処置を記録することを目的として、処置スケジュールを以下のように使用した。上記のようにレーザー光凝固術を実施し、レーザー後6日からレーザー後14日の研究の終わりまでパゾパニブを1日に2回局所に適用した。レーザー後7日に血管造影により、凝固した病変を最初に記録し、眼内CNVを有するラットのみがその分析に含まれた。フルオレセインナトリウムを、麻酔したラットの尾静脈内に注射し、眼底カメラ(FD−31A,Topcon,東京,日本)によって蛍光血管造影図を得た。14日目に、ラットに第2の血管造影を行った。注射後100〜140秒で得た血管造影をデジタル画像に変換し、主要血管と同じ程高い強度を有するフルオレセイン漏出の面積を、コンピュータソフトウェア(NIH image,Research Service Branch,Bethesda,MD)を用いて本発明者らの2つのマスクした型のBY(YY;XMY)において定量した。蛍光の相違を、以下の式を用いて計算した:
14日目のフルオレセイン漏出の面積×100%/7日目のフルオレセイン漏出の面積
その初期段階におけるCNVの処置を記録することを目的として、処置スケジュールを以下のように使用した。上記のようにレーザー光凝固術を実施し、レーザー後6日からレーザー後14日の研究の終わりまでパゾパニブを1日に2回局所に適用した。レーザー後7日に血管造影により、凝固した病変を最初に記録し、眼内CNVを有するラットのみがその分析に含まれた。フルオレセインナトリウムを、麻酔したラットの尾静脈内に注射し、眼底カメラ(FD−31A,Topcon,東京,日本)によって蛍光血管造影図を得た。14日目に、ラットに第2の血管造影を行った。注射後100〜140秒で得た血管造影をデジタル画像に変換し、主要血管と同じ程高い強度を有するフルオレセイン漏出の面積を、コンピュータソフトウェア(NIH image,Research Service Branch,Bethesda,MD)を用いて本発明者らの2つのマスクした型のBY(YY;XMY)において定量した。蛍光の相違を、以下の式を用いて計算した:
14日目のフルオレセイン漏出の面積×100%/7日目のフルオレセイン漏出の面積
組織構造および免疫組織化学
14日目にラットを安楽死させた後、眼を即座に解剖し、4%パラホルムアルデヒド(PBSに溶解した)で固定した。5分後、赤道において眼に穴を開け、同じ溶液に4℃で一晩置いておいた。その後、レンズおよび硝子体を全て除去して、眼を前方および後方部分に分けた。一連の6マイクロメートルの切片(section)を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)のいずれかで染色するか、または免疫組織化学のために処理した。HE染色切片を、光学顕微鏡(Axioplan2;Carl Zeiss Meditec,Jena,Germany)およびデジタルカラーカメラ(AxioCam MRc5;Carl Zeiss Meditec)を用いて200倍で観察した。有色脈絡膜層の外縁からCNV複合体の上部までの厚さと、病変に隣接している無傷の有色脈絡膜の厚さとの間の差を測定することによって、CNV複合体の最大面積を間接的に算出した。各CNV膜由来の3〜5の一連の切片を測定し、最も高い値(所与のCNV複合体の上部を表す)を保存した。デジタル画像を分析し、付属の画像分析ソフトウェア(Axiovision;Carl Zeiss)を用いて測定した。各々の病変に手動で丸印をつけ、それらの面積(μm2)をプログラムにより計算した。
14日目にラットを安楽死させた後、眼を即座に解剖し、4%パラホルムアルデヒド(PBSに溶解した)で固定した。5分後、赤道において眼に穴を開け、同じ溶液に4℃で一晩置いておいた。その後、レンズおよび硝子体を全て除去して、眼を前方および後方部分に分けた。一連の6マイクロメートルの切片(section)を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)のいずれかで染色するか、または免疫組織化学のために処理した。HE染色切片を、光学顕微鏡(Axioplan2;Carl Zeiss Meditec,Jena,Germany)およびデジタルカラーカメラ(AxioCam MRc5;Carl Zeiss Meditec)を用いて200倍で観察した。有色脈絡膜層の外縁からCNV複合体の上部までの厚さと、病変に隣接している無傷の有色脈絡膜の厚さとの間の差を測定することによって、CNV複合体の最大面積を間接的に算出した。各CNV膜由来の3〜5の一連の切片を測定し、最も高い値(所与のCNV複合体の上部を表す)を保存した。デジタル画像を分析し、付属の画像分析ソフトウェア(Axiovision;Carl Zeiss)を用いて測定した。各々の病変に手動で丸印をつけ、それらの面積(μm2)をプログラムにより計算した。
さらに、一部の切片をポリクローナルヤギ抗ラットVEGF抗体(R&D Systems)で染色した。簡潔に述べると、PBS−TD(PBS/1%ジメチルスルホキシド/0.3%トリトンX−100)を用いて切片を洗浄し、次いで5分間、PBS/0.3%H2O2中で内因性ペルオキシダーゼ活性をクエンチし、次いでPBS中で洗浄した。その後、1時間、37℃にてPBS−TD/10%ウサギ正常血清で切片をブロックし、一晩、抗VEGF(PBS/2%BSA中に5μg/ml)と共にインキュベートした。陰性対照切片において、一次抗体を正常ヤギ免疫グロブリン(Ig)Gと置き換えた。PBS−TDで3回洗浄した後、室温にて2時間、西洋ワサビペルオキシダーゼがコンジュゲートしたウサギ抗ヤギIgG(Dianova,Hamburg,Germany;PBS/2%BSA中に1:1000で希釈した)と共に薄片(slice)をインキュベーションした。ペルオキシダーゼ活性を検出するために、3,3’−ジアミノベンジジンの緩衝液(Vector Laboratories,Burlingame,CA)をH2O2と共に色原体として使用した。マイヤーヘマトキシリンで切片を対比染色し、PBSおよび水中で洗浄し、スライドに載せた。デジタルカメラを備えたZeiss Axioskop顕微鏡を用いて全てのスライドを観察した。
眼組織薬物濃度処理
これらの研究の間、メスのNorway Brownラットを使用した。ラットはCharles River(Portage,MI)から購入した。2つの独立した研究において、Norway Brownラットに、24時間(8〜12時間毎に全部で3滴を与えた)、5日間の間1日1回、または14日間の間1日2回のいずれかで、30μlのパゾパニブ点眼(緩衝化7%シクロデキストリン中に5mg/ml)を与えた。
これらの研究の間、メスのNorway Brownラットを使用した。ラットはCharles River(Portage,MI)から購入した。2つの独立した研究において、Norway Brownラットに、24時間(8〜12時間毎に全部で3滴を与えた)、5日間の間1日1回、または14日間の間1日2回のいずれかで、30μlのパゾパニブ点眼(緩衝化7%シクロデキストリン中に5mg/ml)を与えた。
組織収集処理
血漿試料の摘出および収集の前にCO2吸入によりラットを安楽死させた。試料を収集した後、ドライアイスで即座に凍結し、次いで−80℃で保存した。眼組織を、解剖−粉砕−薬物抽出工程に供した。以下の工程によって凍結した眼の切片化を実施した。ラットの眼杯の調製を、カミソリの刃を用いて眼の前方部分を除去することによって行い、次いで鉗子を用いてレンズおよび凍結した硝子質を除去した。眼杯において矢状断面を作製し、その後、有色組織が強膜組織から完全に除去されるまで、スパチュラの円形端部を用いて露出した強膜を砕くことによって網膜/脈絡膜組織を収集した。収集した組織を液体窒素下で粉砕した。液体窒素を入れたBioPulverizer(Biospec Products Inc,Bartlesville,OK)中に凍結した組織を注意深く入れた。粉砕後、組織粉末を粉砕器から除去し、ポリプロピレンチューブに移した。抽出緩衝液(50%メタノール/50% 0.5M HCl)を組織粉末に加え、次いで2サイクルの超音波処理、遠心分離、および上清収集を行った。組織ホモジネート上清をプールし、ドライアイスで凍結し、次いで薬物分析まで−80℃に保存した。この方法の抽出効果を計算目的のために100%と仮定した。
血漿試料の摘出および収集の前にCO2吸入によりラットを安楽死させた。試料を収集した後、ドライアイスで即座に凍結し、次いで−80℃で保存した。眼組織を、解剖−粉砕−薬物抽出工程に供した。以下の工程によって凍結した眼の切片化を実施した。ラットの眼杯の調製を、カミソリの刃を用いて眼の前方部分を除去することによって行い、次いで鉗子を用いてレンズおよび凍結した硝子質を除去した。眼杯において矢状断面を作製し、その後、有色組織が強膜組織から完全に除去されるまで、スパチュラの円形端部を用いて露出した強膜を砕くことによって網膜/脈絡膜組織を収集した。収集した組織を液体窒素下で粉砕した。液体窒素を入れたBioPulverizer(Biospec Products Inc,Bartlesville,OK)中に凍結した組織を注意深く入れた。粉砕後、組織粉末を粉砕器から除去し、ポリプロピレンチューブに移した。抽出緩衝液(50%メタノール/50% 0.5M HCl)を組織粉末に加え、次いで2サイクルの超音波処理、遠心分離、および上清収集を行った。組織ホモジネート上清をプールし、ドライアイスで凍結し、次いで薬物分析まで−80℃に保存した。この方法の抽出効果を計算目的のために100%と仮定した。
薬物分析
血漿試料および眼組織抽出物を、タンパク質沈殿に基づいた有効な分析法を用いてパゾパニブについて分析し、次いでHPLC/MS/MS分析を行った。50μlアリコートの血漿および眼組織抽出物を用いて、パゾパニブの定量の下限値は、血漿について1ng/mlおよび眼組織抽出物について10ng/mlであった。定量の上限値は、血漿について500ng/mlおよび眼組織抽出物について5000ng/mlであった。データを獲得し、定量するためにこれらの研究に使用したコンピューターシステムは、Analyst Version1.4.1およびSMS2000 Version1.6を含んだ。血漿試料濃度は、ngパゾパニブ/mlと表した。組織濃度は以下の式によって求めた:
パゾパニブng/g組織=([上清における濃度ng/ml*抽出体積ml]/組織重量g)
血漿試料および眼組織抽出物を、タンパク質沈殿に基づいた有効な分析法を用いてパゾパニブについて分析し、次いでHPLC/MS/MS分析を行った。50μlアリコートの血漿および眼組織抽出物を用いて、パゾパニブの定量の下限値は、血漿について1ng/mlおよび眼組織抽出物について10ng/mlであった。定量の上限値は、血漿について500ng/mlおよび眼組織抽出物について5000ng/mlであった。データを獲得し、定量するためにこれらの研究に使用したコンピューターシステムは、Analyst Version1.4.1およびSMS2000 Version1.6を含んだ。血漿試料濃度は、ngパゾパニブ/mlと表した。組織濃度は以下の式によって求めた:
パゾパニブng/g組織=([上清における濃度ng/ml*抽出体積ml]/組織重量g)
統計的分析
他に示されない限り、平均±標準偏差(SD)として結果を表す。ANOVAを用いて統計比較を実施し、帰無仮説を拒絶するためにp<0.05にて有意差を判断した。
他に示されない限り、平均±標準偏差(SD)として結果を表す。ANOVAを用いて統計比較を実施し、帰無仮説を拒絶するためにp<0.05にて有意差を判断した。
結果
パゾパニブはCNVのラットモデルにおいてCNVの発生を抑制する
パゾパニブが影響を与えるか否かを決定するために、ブルッフ膜をレーザー誘起破壊に供することによって、ラットの眼においてインビボでの新血管形成の実験的CNVを誘導させた。この方法は、血管新生AMDの実験的研究において一般に適用されており、ヒトにおける薬物効果の予測を行うことを可能にする。特に、VEGF発現が上方制御され、アンタゴニストがCNVを阻害するなどのため、VEGFRおよびPDGFRチロシンキナーゼ受容体の効果を十分に予測可能にする。Yi X,Ogata N,Komada M,Yamamoto C,Takahashi K,Omori K,Uyama M.Vascular endothelial growth factor expression in choroidal neovascularization in rats.Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol.1997;235:313−319;Shen WY,Yu MJ,Barry CJ,Constable IJ,Rakoczy PE.Expression of cell adhesion molecules and vascular endothelial growth factor in experimental choroidal neovascularisation in the rat.Br J Ophthalmol.1998;82:1063−1071;Kwak N,Okamoto N,Wood JM,Campochiaro PA VEGF is major stimulator in model of choroidal neovascularization.Invest Ophthalmol Vis Sci.2000;41:3158−3164を参照のこと。
パゾパニブはCNVのラットモデルにおいてCNVの発生を抑制する
パゾパニブが影響を与えるか否かを決定するために、ブルッフ膜をレーザー誘起破壊に供することによって、ラットの眼においてインビボでの新血管形成の実験的CNVを誘導させた。この方法は、血管新生AMDの実験的研究において一般に適用されており、ヒトにおける薬物効果の予測を行うことを可能にする。特に、VEGF発現が上方制御され、アンタゴニストがCNVを阻害するなどのため、VEGFRおよびPDGFRチロシンキナーゼ受容体の効果を十分に予測可能にする。Yi X,Ogata N,Komada M,Yamamoto C,Takahashi K,Omori K,Uyama M.Vascular endothelial growth factor expression in choroidal neovascularization in rats.Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol.1997;235:313−319;Shen WY,Yu MJ,Barry CJ,Constable IJ,Rakoczy PE.Expression of cell adhesion molecules and vascular endothelial growth factor in experimental choroidal neovascularisation in the rat.Br J Ophthalmol.1998;82:1063−1071;Kwak N,Okamoto N,Wood JM,Campochiaro PA VEGF is major stimulator in model of choroidal neovascularization.Invest Ophthalmol Vis Sci.2000;41:3158−3164を参照のこと。
脈管漏出の面積が、レーザー後7日〜14日、蛍光血管造影により追跡される場合、局所的に投与したパゾパニブはCNV病変の発生を顕著に減少させた。対照的に、CNV病変の漏出は、ビヒクルで処置した対照群の眼で進行し続けた(図1A;p<0.001)。図1Aにおいて、パネルaおよびcにより、レーザー損傷の7日後、光凝固病変においてフルオレセインの漏出が実証される。パゾパニブの局所適用は、ビヒクル対照群(パネルdおよびcにより表わす)の眼と比較して、レーザーの14日後(パネルbにより表わす)、CNV漏出の進行を顕著に減少させた。レーザー損傷の部位は矢印で示す。
特に、眼を薬物で処置した場合、フルオレセイン漏出の面積は、111.41±21.34%(平均±SD、7日にて100%に正規化したベースライン病変サイズ)までの取るに足りない変化を現したが、一方、対照の眼は、208.5±51.51%まで発生が増加した(図1B)。これらの結果により、パゾパニブの1日に2回の局所投与はさらなる病変の発生を89%より多く抑制することが示された。注目すべきことに、パゾパニブを他(反対側)眼に局所的に適用することもまた、これらの研究において病変サイズの進行を顕著に抑制した。したがって、パゾパニブで処置した他眼の病変した眼において、CNVは、ベースラインの115.24±16.72%までのごくわずかな増加を実証した(図1B)。
さらに、レーザー処置の14日後に、ヘマトキシリンおよびエオシンでの染色または免疫組織化学を用いて組織学的網膜切片を分析した。図2AおよびBにより、ビヒクルで処置した眼におけるCNV病変(図2A、パネルbおよびc)が、パゾパニブで局所的に処置したものより大きいことが実証される。図2Aは、レーザー処置をしていない眼由来(a)およびパゾパニブ(b)またはビヒクル(d:対照群)のいずれかで局所的に処置したレーザー処置した眼(b〜d)由来の脈絡膜/網膜切片を示す。反対側の眼を処置した場合(c)のCNV病変の減少を示す。病変におけるCNV膜の相対的厚さを測定することによるCNVの範囲の評価により、有意な差が現れた。ビヒクルで処置した眼の病変領域は27,397.3±7,386.4μm2であったが、パゾパニブで処置した眼の領域は合計で7,760.3±2,312.0μm2であった。したがって、ビヒクル対照と比較して病変サイズの有意な71.7%の阻害(p<0.001)(図2B)が示された。血管新生面積を定量的デジタル画像分析により測定した。別の研究において、他眼においてパゾパニブで局所的に処置したラット由来のレーザー処置した眼は、レーザー病変の約34%の阻害を実証した(図2C)。蛍光血管造影により得たデータと共に組織学データ(上記参照)は、他眼において薬物により生じる全身的作用を示し、同様に全身的作用を達成できる低経口用量が、CNVおよびそれにより、上記のような眼内新脈管形成または脈管漏出の障害の治療に効果的であるはずということを暗示する。
パゾパニブの局所投与の結果、Norway Brownラットの血漿において検出可能な薬物を生じる。単回の30μlの点眼剤の投与の60分後、300ng/mlの範囲でパゾパニブのピークレベルを測定した(図3A)。24時間後、血漿レベルは検知できないレベルまで減少した。24時間にわたって3回の左眼(OS)のみへの単回の30μlの点眼剤の局所投与の結果、処置した眼杯組織(強膜、脈絡膜、および網膜)において平均503ng/gのパゾパニブを生じた。興味深いことに、統計的に低い量ではあるが、他(OD)眼においても検出可能なレベル(平均=159ng/g)を観察した(図3B)。
パゾパニブの眼組織分布および全身濃度の検査
Dutch belted(有色性)ウサギに対するパゾパニブの局所眼投与後に、放射線の眼組織分布および全身濃度を評価した。標的用量の0.3mg/用量(30μCi/用量)にて単回の60μLを右眼に投与した。投与したおよび投与していない(左)眼の両方由来の血液および眼組織を、24時間までの8つのサンプリングの各々において一匹の動物から収集し、全放射線について分析した。
Dutch belted(有色性)ウサギに対するパゾパニブの局所眼投与後に、放射線の眼組織分布および全身濃度を評価した。標的用量の0.3mg/用量(30μCi/用量)にて単回の60μLを右眼に投与した。投与したおよび投与していない(左)眼の両方由来の血液および眼組織を、24時間までの8つのサンプリングの各々において一匹の動物から収集し、全放射線について分析した。
最も早いサンプリング時間(0.25時間)から最後のサンプリング時間(24時間)までの全ての血液および血漿試料中の放射線レベルを定量し、最も高い濃度を1時間にて血液中(11.3ng eq/g)、および2時間にて血漿中(12.8ng eq/g)で観察した。
脈絡膜でのレベルは2時間にて(40.6ng eq/g)に達し、8時間にて(60.1ng eq/g)のピークに達した。同様に、網膜レベルは、2時間にて(9.17ng eq/g)に達し、4時間にて(10.2ng eq/g)のピークに達した。これは、CNV標的組織において、点眼剤投与後、最初の2時間以内に最大値の半分以上に到達したことを示す。水中の低分子の拡散についてのStokes Einstein方程式に基づいて、最適な状況において、パゾパニブは、2時間内に多くても0.4cmにて局所薬物拡散を介して拡散し、それはウサギ眼のサイズ(約1〜2cm)より非常に小さいと推定した。全身性の寄与なしに、局所薬物拡散は、パゾパニブが網膜および脈絡膜に到達する速度を説明できない。
この研究において得た結果は、全身送達経路が、網膜および脈絡膜組織レベルに重要な寄与を与えるとの証拠を提供する。さらに、未処置の眼に見られる効果は、主に低レベルの全身的に送達された薬物から生じることが示される。
本発明の特定の実施形態が本明細書に例示され、詳細に記載されているが、本発明はそれらに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例示として提供され、本発明を限定するものと決して解釈されるべきではない。変更は当業者に自明であり、本発明の精神から逸脱しない全ての変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
Claims (28)
- 眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において、眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法であって、1〜50mgの下記式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を前記患者に経口投与することを含む、方法:
- 1〜20mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
- 5〜15mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記化合物が、下記式(I’)の化合物またはその水和物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
- 前記化合物が、下記式(I’’)の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
- 血管新生加齢性黄斑変性の病態に罹患している患者において血管新生加齢性黄斑変性を治療する方法であって、1〜50mgの下記式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を前記患者に経口投与することを含む、方法:
- 1〜20mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項6に記載の方法。
- 5〜15mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項6に記載の方法。
- 血管新生加齢性黄斑変性が、滲出型加齢性黄斑変性である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記血管新生加齢性黄斑変性が、萎縮型加齢性黄斑変性であり、前記患者が、滲出型加齢性黄斑変性を発症する危険性が高い、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記化合物が、式(I’)の化合物またはその水和物である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法:
- 前記化合物が、式(I’’)の錯体である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法:
- 眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法であって、1〜50mgの式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を前記患者に経口投与することを含む、方法:
- 1〜20mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項13に記載の方法。
- 5〜15mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項13に記載の方法。
- 血管新生加齢性黄斑変性の病態に罹患している患者において血管新生加齢性黄斑変性を治療する方法であって、1〜50mgの下記式(II)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を前記患者に経口投与することを含む、方法:
- 1〜20mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項16に記載の方法。
- 5〜15mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩もしくは水和物を投与することを含む、請求項16に記載の方法。
- 前記血管新生加齢性黄斑変性が、滲出型加齢性黄斑変性である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記血管新生加齢性黄斑変性が、萎縮型加齢性黄斑変性であり、前記患者が、滲出型加齢性黄斑変性を発症する危険性が高い、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 眼内新脈管形成または脈管漏出の病態に罹患している患者において眼内新脈管形成または脈管漏出の障害を治療する方法であって、前記方法は、1〜50mgの好適な阻害剤、またはその薬学上許容可能な塩を前記患者に経口投与することを含む、方法。
- 前記好適な阻害剤が、トシル酸ソラフェニブである、請求項21に記載の方法。
- 前記好適な阻害剤が、リンゴ酸スニチニブである、請求項21に記載の方法。
- 1〜20mgの前記好適な阻害剤またはその薬学上許容可能な塩を投与することを含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 5〜15mgの前記好適な阻害剤またはその薬学上許容可能な塩を投与することを含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記眼内新脈管形成または脈管漏出の障害が、血管新生加齢性黄斑変性である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記血管新生加齢性黄斑変性が、滲出型加齢性黄斑変性である、請求項26に記載の方法。
- 前記血管新生加齢性黄斑変性が、萎縮型加齢性黄斑変性であり、前記患者が、滲出型加齢性黄斑変性を発症する危険性が高い、請求項26に記載の方法。
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