JP2013513515A - ステアリングホイール - Google Patents

Abstract

カバーによって実質的に覆われるアーマチュアと、カバー上に設けられる外皮とを備える握持部を有するステアリングホイールが開示される。外皮は、相反する側の第１および第２の表面を規定する織物材料の層を備え、織物材料の前記第１の表面が高分子コーティングを有する。ステアリングホイールは、前記第１の表面が前記カバーの最外表面に付着され、前記第２の表面が前記握持部の外周表面を形成することを特徴とする。好ましくは、織物層の前記第２の表面が実質的にコーティングされない。好ましい構成において、織物層の第２の表面は、織物の織り方によってほぼ規定される表面レリーフパターンを有し、したがって、外周表面パターンを規定する。
【選択図】図７

Description

本発明は、例えば自動車に見出される類のステアリングホイールに関する。

自動車での使用に適する従来のステアリングホイールは一般に中央ボスを有する金属フレームを備え、中央ボスからは１つ以上のスポークが略径方向に延びる。略円形のあるいは円形に近い金属アーマチュアがスポークの径方向最外端によって支持され、それにより、自動車のドライバによって握られるべくステアリングホイールの外周リムの一部が形成される。アーマチュアは一般に発泡被覆体によって覆われ、また、発泡被覆体は外皮で仕上げられる。外皮は、視覚的に且つ触覚的に心地よい外周面をステアリングホイールに与えるために発泡被覆体上にわたって適用される。従来においては、一つにはステアリングホイールの外観および感触を向上させるために、しかしまた、使用時にホイールを適切に握ることができるようにするべくホイールとドライバの手との間に適切なレベルの摩擦を与えるために、ある種の表面レリーフパターンが外皮に設けられる。

欧州特許第１０５５５８２号明細書は、先に提案された一般的なタイプのステアリングホイール構造を開示する。特に、欧州特許第１０５５５８２号明細書は、ステアリングホイール上に外皮を形成する際に第２級のレザー（自動車の室内装飾として使用するのに更に適する最高級のレザーの製造から生じる副生成物として効果的に得られる）の使用を提案する。ステアリングホイールのリムは、中央アーマチュア上に設けられる発泡被覆体を備える。第２級レザーの基材が発泡被覆体に直接に適用され、その後、ポリウレタンの成形膜がレザー基材に接着される。ポリウレタン膜の外表面は、成形粒子パターンを備えており、塗装される。

以上から分かるように、欧州特許第１０５５５８２号明細書の構成は、ステアリングホイールリムの外周表面に所望の性状を与えるために、成形された表面レリーフパターンに依存する。これは、実際には、非常に一般的な提案である。しかしながら、この種の構成に伴う問題は、例えば更に高価な革製のステアリングホイールリムと比べると、レリーフパターンが幾分「人工的な」外観を有しているとして知覚され得るという点である。成形されたレリーフパターンの外観を向上させようとする試みは、成形プロセスのコストをかなり高める可能性がある。また、例えば金型の分離可能な部品間での成形材料の漏れによってもたらされる溶湯噴出マーク（ｆｌａｓｈ ｍａｒｋｓ）の発生などの成形プロセスから必然的に生じる成形マークを隠すことは困難となり得る。

欧州特許第１０５５５８２号明細書

本発明の目的は改良されたステアリングホイールを提供することである。

本発明によれば、カバーと該カバー上に設けられる外皮とによって実質的に封入されるアーマチュアを備える握持部を有し、外皮が、両側の第１および第２の表面を規定する織物材料の層を備え、織物材料の前記第１の表面が高分子コーティングを有するステアリングホイールであって、コーティングが織物層とカバーとの間に介挿されるように外皮がカバーの最外表面に付着され、前記第２の表面が前記握持部の外周表面を形成することを特徴とするステアリングホイールが提供される。

織物層の前記第２の表面は実質的にコーティングされないことが好ましい。

あるいは、織物層の前記第２の表面がコーティングを備えあるいは塗装される。

織物層の前記第２の表面は、織物の織り方によってほぼ規定される表面性状を有することが有益である。

随意的に、前記高分子コーティングはテクスチャード加工された表面を有する。

前記高分子コーティングはほぼ滑らかな表面を有することが好ましい。

前記高分子コーティングは、織物層に塗布される発泡層の形態を成して設けられることが都合良い。

前記高分子コーティングはポリ塩化ビニルを備えることが好ましい。

前記高分子コーティングはポリウレタンを備えることが有益である。

前記高分子コーティングはポリクロロプレン（より一般的には、「ネオプレン」として知られる）を備えることが都合良い。

随意的に、コーティングは織物材料に接着固定される。

カバーは発泡材料から形成されるのが好ましい。

カバーの発泡材料は熱可塑性材料を備えることが有益である。

カバーの発泡材料がポリウレタンを備えることが都合良い。

織物層のコーティングされた第１の表面はカバーに接着して付着されるのが有益である。

本発明を更に容易に理解できるように、また、本発明の更なる特徴が分かるように、ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を一例として説明する。

本発明に係るステアリングホイールの概略図である。 図１のＩＩ−ＩＩ線に沿うステアリングホイールのリムの断面図である。 ステアリングホイールのリムの一部を形成するために使用される外皮の構造を示す概略断面図である。 図３に示される外皮の第１の表面を示す概略図である。 図３に示される外皮の反対側の第２の表面を示す概略図である。 図３〜図５の外皮の両方の表面の領域を示す斜視図である。 ステアリングホイールのリムに適用される外皮を示す図２に示される領域ＶＩＩの拡大図である。

最初に図面の図１を参照すると、中央ハブ２を備えるステアリングホイール１が示されており、中央ハブ２からは複数のスポーク３が略径方向に延び、スポークは外側リム４を支持する。特に、スポーク３の径方向最外端が概ね円形のあるいは略円形の金属アーマチュア５（図１に破線で示される）を支持することに留意すべきである。ステアリングホイールのハブ２、スポーク３、および、アーマチュア５は共に一体のフレームを形成すると見なすことができる。アーマチュア５、および、随意的にはスポーク３の少なくとも一領域（共に、ドライバによって握られるのに好適なホイールの握持部を表すと見なされてもよい）には、発泡カバー６が設けられてもよい。発泡カバーは例えばポリウレタンフォームを備えてもよい。図１に示される構成において、発泡カバー６は、下層のアーマチュア５を完全に封入する役目を果たす一方で、各スポーク３の径方向最外領域も覆う。ここまで説明したように、ステアリングホイール１は概ね従来型のものである。

図２に示されるように、発泡カバー６は外皮７で覆われる。本発明は、とりわけ、外皮７に関するものであり、特に外皮７の構造および発泡カバー６に対する方向性に関するものである。

ここで、図３を参照して考慮すると、外皮７の断面構造が詳しく示されている。外皮７は、任意の都合の良い織りパターンにしたがって複数の縦糸および横糸９から織られる織物材料の層または基材８を備える。したがって、織物層８は両側の第１および第２の表面１０，１１を規定し、これらの表面はいずれも、織物の織り方によってほぼ規定される表面性状を有する。

織物層８の第１の表面１０（すなわち、図３に示される方向では、最も上側の表面）には高分子コーティング１２が塗布される。好ましい実施形態では、織物上に発泡層を形成するために、高分子コーティング１２が織物の第１の表面１０上に成形される。この発泡層を形成するために使用される高分子材料はポリウレタンまたはポリ塩化ビニルを備えることができるが、他の好適な高分子物質も使用できると考えられる。発泡層１２の外面上には表皮１３が形成され、この表皮１３は、細かい表面性状、または、層を形成するために使用される金型の表面から生じる「粒子」を有してもよい。図４は、発泡表皮１３における典型的な表面性状１４を示している。しかしながら、表皮１３がそのような表面性状を有することは本発明にとって必須ではなく、実際には、表皮１３がほぼ滑らかであることが好ましい。

以上から明らかなように、発泡層１２を形成する高分子材料は、第１の（上側）表面１０の側で織物の隣接する糸９間の隙間を少なくとも部分的に満たす。しかしながら、高分子材料は、織物層８を大きく貫通することができずあるいは貫通することが許容されず、そのため、第２の表面１１（すなわち、図３に示される方向では、織物層８の下側の表面）は、織物の固有の織り方によって規定されるその表面性状を保持する。図５は、織物８の第２の表面１１の表面性状１５の典型的なパターンを示している。

図６は、外皮７の２つの両側の表面の表面性状を都合良く対比している。塗布された発泡層１２の外皮１３上に形成された表面性状１４は、イミテーションレザー製品に一般に適用される表面性状と概ね同様の技術による同様の表面性状であってもよい。

ここで、図７を参照して考慮すると、前述した外皮７が、本発明に係るステアリングホイールリム４の発泡カバー６に適用されて示されている。特に、外皮７は、織物層８の第２の表面１５がリム４に対して外側に面するようにカバーに適用されているのが分かる。すなわち、外皮７は、織物層８がコーティング１２に対して径方向外側に位置されるようにカバー６に適用される。コーティング１２は下層のカバー６の最外面１６に付着される。これは、コーティングの表皮１３と発泡体の表面１６との間の界面に対して熱（随意的には圧力）を加えることにより達成されてもよい。あるいは、しかしながら、コーティング１２は、好適な接着剤１７（水性接着剤または溶剤系接着剤）の薄い層によって発泡体６の表面１６に付着されてもよい。発泡表皮１３のきめの細かい表面１４は、リム４の発泡カバー６に対する非常に良好な接着を確保するのに役立つ。

以上から分かるように、図７に示される配置にしたがって構成されるステアリングホイールのリム４は、織物基材８の第２の表面１１によって形成される外周握持面をドライバに与えるようになっている。したがって、織物８の固有の織り方は、外周表面に対して好適な性状を与える。

本発明の外皮７は、従来のレザー外皮の厚さにほぼ等しい厚さを有するように形成できると考えられる。これにより、本発明にしたがって形成されるステアリングホイール、および、レザーから形成される外皮を有するステアリングホイールのいずれにおいても、同じ金型を使用して、発泡カバー６を形成することができ、したがって、ステアリングホイールのそのような形態のいずれも、それらのそれぞれの外皮が適用されるときに同じリム直径を効果的に有する。

また、外皮７が複数の別個の部分でリムの周囲にわたって発泡カバー６に適用されてもよいと考えられ、それぞれの部分は、リムの断面外周にわたって延びる縫い目線によって隣接する部分に接続される。

以上、特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変形または改良をなすことができることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態は、織物基材８の第２の表面１１にコーティングが設けられていないが、別の実施形態では、織物の固有の織りパターンから生じる表面性状１５がコーティングを通して透けて見えるようにコーティングが十分に薄い場合には、第２の表面１１にコーティングを塗布できると考えられる。例えば、コーティングは、その耐摩耗性を高めるために、織物基材の第２の表面１１に塗布される塗料またはワニスの薄い層の形態を成すことができる。

別の実施形態では、織物基材８の第１の表面１０に塗布されるコーティングがポリクロロプレン（「ネオプレン」として一般に知られる）の層の形態を成してもよいと考えられる。そのような構成では、ポリクロロプレンの層が、好適な接着剤によって織物基材８の第１の表面１１に接着されるとともに、同様の接着剤を使用して下層の発泡カバー６に接着されてもよいと考えられる。この目的のために、ポリクロロプレンの代わりに、あるいは、ポリクロロプレンと組み合わせて、他のゴムまたはエラストマー物質を使用できる。

本発明に係るステアリングホイールは、既に提案されたタイプのステアリングホイール、特に、レザーまたは従来の人工の「レザー効果」被覆から形成される外周握持面を有するステアリングホイールに優る多くの利点を与える。例えば、本発明のステアリングホイールはその外周面が織布材料によって形成されるため、ステアリングホイールの外観および感触を、室内装飾品の織物などの、自動車の他の内部特徴の外観および感触に厳密に適合させることができる。また、ステアリングホイールの織物表面により、寒い環境条件で触ってもあまり冷たくないとともに、暑い環境条件で触ってもあまり熱くない。

また、欧州特許第１０５５５８２号明細書の教示内容にしたがって構成されたステアリングホイールと比べて、本発明に係るステアリングホイールは、発泡カバー６に外皮７を接着するためにあまり多くの接着剤を使用することなく製造できることが分かってきた。従来技術の構成では、レザー層が、本発明の織物層の表面１０に設けられる高分子コーティング１２よりもかなり多くの接着剤を吸収する

また、本発明のステアリングホイールはその表面性状が織布によって規定されるため、実際には、織物の表面１０に塗布される高分子コーティング１２上に表面性状を何ら形成する必要がないことは言うまでもない。これにより、コーティング１２を織物層上に形成するために使用される金型に表面パターンをエッチングしあるいは機械加工する必要が全くない。このため、金型がかなり安価になる。

この明細書および特許請求の範囲で使用される用語「備える」および「備えている」並びにその変形は、明記された特徴、ステップ、または、整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、ステップ、または、整数の存在を排除するように解釈されるべきではない。

前述した説明または以下の特許請求の範囲あるいは添付図面に開示される特徴は、それらの特定の形態で表され、あるいは、開示された機能を果たすための手段に関して、または、開示された結果を得るための方法あるいはプロセスに関して表されているが、本発明をその様々な形態で実現するために、必要に応じて、別々に利用されてもよく、あるいは、そのような特徴の任意の組み合わせで利用されてもよい。

前述した典型的な実施形態と併せて本発明を説明してきたが、多くの等価な改良および変形は、この開示が与えられたときに当業者に明らかである。したがって、前述した本発明の典型的な実施形態は、例示的であると見なされ、限定的であるとは見なされない。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、前述した実施形態に対して様々な変更がなされてもよい。

Claims (15)

1. カバー（６）によって覆われたアーマチュア（５）と、前記カバー上に設けられる外皮（７）とを備える握持部（４）を有し、外皮（７）が、第１の表面（１０）及び反対側の第２の表面（１１）を形成する織物材料の層（８）を備え、前記織物材料の前記第１の表面（１０）が高分子コーティング（１２）を有する、ステアリングホイール（１）であって、
   前記外皮（７）は、コーティング（１２）が織物層（８）とカバー（６）との間に介挿されるように、カバー（６）の最外表面（１６）に付設され、前記第２の表面（１１）が前記握持部の外周表面を形成することを特徴とする、ステアリングホイール（１）。
2. 織物層（８）の前記第２の表面（１１）が実質的にコーティングされない、請求項１に記載のステアリングホイール。
3. 織物層（８）の前記第２の表面（１１）がコーティングを備えあるいは塗装される、請求項１に記載のステアリングホイール。
4. 織物層の前記第２の表面（１１）は、織物の織り方によってほぼ規定される表面性状（１５）を有する、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
5. 前記高分子コーティング（１２）がテクスチャード加工された表面を有する、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
6. 前記高分子コーティング（１２）がほぼ滑らかな表面を有する、請求項１から請求項４のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
7. 前記高分子コーティング（１２）は、織物層（８）に塗布される発泡層の形態を成して設けられる、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
8. 前記高分子コーティング（１２）がポリ塩化ビニルを備える、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
9. 前記高分子コーティング（１２）がポリウレタンを備える、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
10. 前記高分子コーティング（１２）がポリクロロプレンを備える、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
11. コーティング（１２）が織物材料に接着固定される、請求項１０に記載のステアリングホイール。
12. カバー（６）が発泡材料から形成される、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。
13. カバー（６）の発泡材料が熱可塑性材料を備える、請求項１２に記載のステアリングホイール。
14. カバー（６）の発泡材料がポリウレタンを備える、請求項１２または請求項１３に記載のステアリングホイール。
15. 織物層（８）のコーティングされた第１の表面（１０）がカバー（６）に接着して付着される、先行する請求項のいずれかに記載のステアリングホイール。

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