JP2013510591A - 繊維状ファージ上でのジスルフィド結合二量体タンパク質の提示 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2009年11月17日に出願された米国出願第61/261,767号に対する優先権を請求し、この出願は、参照により全体的に組み込まれる。
本発明は、二量体抗体断片、全抗体、又は他のジスルフィド結合多量体構築物を産生するために、pIXファージディスプレイライブラリを生成し、用いるための、組成物及び方法に関する。
ADCC=抗体依存性細胞媒介型細胞傷害性、ADMC=抗体依存性単核細胞媒介型細胞傷害性、c1q=補体因子1q、EPO=組み換えエリスロポエチン、FcR=Fc受容体、Ig=免疫グロブリン、Hc=重鎖、Lc=軽鎖、IPTG=イソプロピルチオ−β−ガラクトシド。
本明細書で使用されるとき、別段の指示がない限り又は文脈から明白でない限り、抗体ドメイン、領域、及び断片は、当該技術分野において周知であるような標準的な定義に従う。本発明のタンパク質は、1つ以上の免疫グロブリンクラスの抗体に由来するか、又はその部分を組み込む。免疫グロブリンクラスには、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEアイソタイプ、またIgG及びIgAの場合は、それらのサブタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4。
二価抗原結合タンパク質である天然抗体は、重鎖の適切な会合のために、Fc定常ドメイン及びヒンジ領域に依存する。CH2及びCH3ドメインは、好ましくは、国際公開第2005005604号に記載されるもののような、又は天然又は操作された抗体配列の配列を含む検索データベースによって見出され得るもののような、ヒト生殖細胞系配列に由来する。広くは、本発明のタンパク質構築物は、1つ以上の定常ドメイン又はその部分に結合されたヒンジ領域を含む。能力受容体に結合し、体内の持続性を増加させる能力のようなすべての関連する機能を保持するために、Fcにおいて通常存在するすべての定常ドメイン:1つ以上のシステイン残基又は他のスルフィド若しくはセレノスルフィド結合形成残基を含有する、配列番号1〜4に示されるヒンジ又はその部分;配列番号5〜8によって例示されるCH2又はその変異型、及び配列番号9〜12によって例示されるCH3又はその変異型を組み込むことが通常は所望される。本明細書で提供されるものによって表される配列は、非限定的であり、天然及び変異型抗体ドメイン配列は、インターネット上の種々のデータベースにおいて、又は本発明の実践において有用であり得る多数の公報において見出され得ることが当業者によって理解されよう。加えて、構築物は任意に、CH1ドメインの幾つか若しくは、すべてを含んでもよく、又は配列番号13のもののように、抗体可変ドメインの幾つか若しくはすべてがまた存在してもよい。当然のことながら、これらのドメインは、完全IgG構築物において存在するであろう。抗体ドメインの適切な発現及び折り畳みに対する必要に応じて、配列番号14(pelB)及び15(ompA)のアミノ酸配列をコードするもののような、他の抗体配列及び非抗体配列が含まれてもよい。しかしながら、本発明は、ある種の定常ドメインのみを含み、その他を含まない構造、並びに非抗体由来のドメインが存在し得る構造を企図する。
繊維状ファージ粒子上に提示された融合タンパク質において、外因性ポリペプチドと繊維状ファージpVII又はpIXタンパク質との間の「融合」は、アミド結合によって直接に結合されてもよく、又はリンカーポリペプチド(すなわち、「リンカー」)を含んでもよい。典型的に一続きの長さ約5〜50のアミノ酸である様々なリンカーのいずれを使用してもよい。特に好ましいリンカーは、そのリンカーの位置で融合タンパク質に対して大きな可動度を付与する。リピートの数が典型的には1〜12であるG4S(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)リピート又はG3S(Gly−Gly−Gly−Ser)を有するもののような、支配的にグリシン(G、Gly)残基からなるもののような、二次構造が欠けているリンカーを、この目的のために使用してもよい。
V1o−Pepa−Flexn−V2m−ヒンジ−CH2−CH3 (I)を含み、
式中、Pepは、標的を特異的に認識することができる生物活性ペプチド又はポリペプチドを表し、Flexは、MIMETIBODYが代替的な配向及び結合特性を有することを可能にすることによって、構造的な可動性を提供する任意の可動性リンカーポリペプチドであり、V1及びV2は、ブラケティング配列であり、ヒンジは、免疫グロブリンヒンジ領域の少なくとも一部分、例えば配列番号1〜4であり、CH2は、免疫グロブリンCH2定常領域の少なくとも一部分、例えば配列番号5〜8であり、CH3は、免疫グロブリンCH3定常領域の少なくとも一部分、例えば配列番号9〜12であり、m、N、及びoは、ゼロであり得るか、又は1〜10の間の整数であり得、かつ1〜10までの整数であり得る。Pep配列は、任意に、目的又は安定化、又は任意の数の生物物理学的な機能のための配列を含むことができる。典型的な実施形態では、ブラケティング配列は、Vhフレームワークのような抗体可変(V)ドメインに由来し、V1は、配列QIQであり、V2は、免疫グロブリンJ遺伝子ドメインに由来する配列を表し、GTLVTVSS(配列番号13)である。結果として生じるポリペプチドは、Cys−Cysジスルフィド結合等であるが、これらに限定されない、会合又は共有結合によって他のポリペプチドに結合することができる。
本明細書に出発点として例示されたファージベクターを用いて、タンパク質は、分子のライブラリを生成するための指向性突然変異誘発を用いて特異的な個別的な残基位置で、又はNXT配列と一般的に称されるN結合グリコシル化配列のような領域で、多様であってもよい。各々が異なる細胞外タンパク質配列を保有する数十億の大腸菌コロニーを生成するために使用され得る、修飾されたKunkel突然変異誘発法が、特に有用である。効率的である一方で、高度に複合の配列ライブラリを生成するとき、突然変異誘発されていない親DNAの割合は増加する。加えて、長いオリゴヌクレオチドの合成の技術的制限は、遠位領域において配列多様性を含有するライブラリを作製するために使用されるとき、本方法の有効性を低下させる。これらの制限を克服するために、350塩基を超えるオリゴヌクレオチドを生成する追加的な技術を使用することができる。これらの技術には、米国特許第20050048617号に記載されるような、標準的なKunkel突然変異誘発法(Kunkelら、1987 Methods Enzymol 154:367〜382)と組み合わせた、メガプライマーの使用及び突然変異誘発テンプレートにおいて制限酵素認識部位を含有するステム−ループ配列の作製が含まれる。制限クローニング(Marksら、1991 J.Mol.Biol.222:581〜597、Griffithsら、1994 EMBO J.13,3245〜3260、Hoetら、2005 Nature Biotechnol 23,344〜348)、ファージ組み換え(Gigapack,Invitrogen)、及び配列特異的組み換えのような他のライブラリ技術と比較して、改善されたKunkelに基づく方法は、配列多様なライブラリ(109を超える)を生成する際に、有意により有効であり、標的化されたDNA中の任意の場所に配列多様性を導入するのにより万能である。
A.ファージミドベクター構築
ファージミドベクター、pCGMT9(Gaoら、Proc.Natl.Acad.Sci.96:6025〜6030,1999,米国特許第6472147号)は、pIX融合を介したファージディスプレイのために重鎖定常ドメインを挿入することができるファージミドpIXディスプレイベクターの発達のための主鎖としての機能を果たした。このファージミドにおいて、アンピシリンに対する耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子と共に、大腸菌(colE1)及び繊維状ファージ(f1)のための複製の源が存在する。
ファージミドベクターでトランスフェクトしたTG−1大腸菌を、液体培養でOD600=0.5〜0.6になるまで増殖させた。VCSM13ヘルパーファージストックを培養物に添加し、感染は、静的インキュベーションとして、37℃で45分間進行させた。培養物を遠心分離にかけて、細菌をペレット化し、カルベニシリン、カナマイシン、及びIPTGを補充した培地中に再懸濁させ、250RPMで振盪しながら、30℃で12〜16時間インキュベートした。一晩の培養物を遠心分離にかけ、ファージ含有上清を未使用の管に移し、そこに10分の1の容量の塩化ナトリウム/PEG溶液(NaCl及びPEGの濃度は?又は単に標準的な方法を用いて沈殿させたPEGと述べる(Ref))を添加した。各管を混合し、時折混合しながら氷上でおよそ3時間インキュベートし、その後、この管を遠心分離にかけてファージをペレット化した。ファージペレットを、PBS中に注意深く再懸濁させ、新たな管に移し、2回目の遠心分離にかけてあらゆる残存する細胞残屑を除去した。精製しファージを、−80℃のアリコート中で保管した。スポット滴定を行って、ミリリットル当たりのコロニー形成単位(cfu)としてファージ力価を推定した。
Fc及びペプチド−Fc構築物の提示の確認
この実施例において、ファージの2つの個々の調製物が使用された。Fc支持又はCNTO530支持ファージを検出するために、黒色ELISAプレートを、抗ヒトFcγ特異的ポリクローナル抗体又は抗EMP1ペプチドモノクローナル抗体(CNTO 3443)のいずれかでコーティングした。コーティングしたプレートを、TBST中の5%ミルクでブロックし、TBSTで洗浄した。ヘルパーファージ、Fc−又はCNTO530組み換えファージをプレートに添加し、室温で1時間インキュベートし、洗浄して非結合ファージを除去した。結合ファージを、HRP共役した抗M13 mAb及び化学発光基質で検出した。捕捉されたファージを、HRP共役した抗pVIII mAbを用いて検出した。ヘルパーファージ、及びCNTO530支持ファージの場合は、EMP1ペプチドを有さないFc組み換えファージを、陰性対照として使用した。
Fcを提示するファージは、抗Fc抗体を用いて捕捉し、抗pVIII抗体を用いて検出したため、ELISAアッセイは、Fcを提示するファージの比率を示すように設計した(図3A)。Fc組み換えファージについて観察された強力なシグナル及びヘルパーファージについて観察されたシグナルの欠如は、Fcが効率的にファージ表面上に提示されたことを実証する。EMP1融合タンパク質構築物、CNTO530、提示を、図3Bに示される捕捉リガンドとしてEMP−1特異的抗体を用いて確認した。Fc領域が適切な生物学的活性を保持し、故に、二量体であることを確認するために、特異的な結合アッセイを行った:プロテインA結合、及びFcRn結合。図4に示されるように、その表面上に提示されたFcを有するファージは、プロテイン−Aに結合する一方で、Fcを欠く対照ヘルパーファージは、それに結合しない。プロテインA結合についての化学発光シグナルは、ヒト免疫グロブリンγ特異的なポリクローナル抗体で捕捉されたFc提示ファージのそれに類似しており、ファージ提示されたFcの大部分が、プロテインAへの結合に適格な立体配座へと折り畳まれることを示唆する。
組み換えファージについて観察された強力なシグナルは、ヘルパーファージについてのシグナルの欠如と一緒に、EPO受容体作用物質(EMP−1)Fc構築物が、ペプチド並びにファージ粒子上のFcの検出によって実証されるように、効率的に提示されることを実証する。データは、Fc含有タンパク質が、天然リガンドへの結合を可能にする特徴的な立体配座特徴を有するホモ二量体として、ファージ上で効率的に提示されたことを示す。
ペプチド−Fc融合ライブラリを生成するために、無作為アミノ酸配列の部位においてヘアピンループを含有する、テンプレートファージミドを生成した。ヘアピンが二本鎖DNAを形成する場所に固有の制限部位、XbaIが配置されるような方法で、ヘアピンを設計した。これは後に、XbaIでの制限消化を介してテンプレートDNAを除去し、それによって最終構築されたライブラリにおいてテンプレートファージミドが密接に詰められたファージを還元するために使用される予定であった。この細胞株を通じる継代は、ウラシルのssDNA中への組み込みを引き起こすため、二本鎖テンプレートプラスミドを、Dut−/uNg−大腸菌宿主株、CJ236に形質転換した。次いでウラシル含有ssDNAテンプレートを、最終ライブラリ宿主細胞の酵素によって分解した。プラスミドを保有する単独コロニーを、液体培養で増殖させ、それをその後、VCS−M13ヘルパーファージで感染させた。ファージをPEGと生理食塩水で沈殿させ、一本鎖DNAの精製のために使用した。
1)Fc=V領域及び完全ヒンジを有する突然変異体IgG4(配列番号18)。2)Fc=ヒンジコアを有する突然変異体IgG4(配列番号17)
B.8NNKライブラリ(XXCXXXXXXXXCXX)
3)Fc=V領域及び完全ヒンジを有する突然変異体IgG4(配列番号18)
4)Fc=ヒンジコアを有する突然変異体IgG4(配列番号17)
一方は短い可動性グリシン−セリンリンカー(GS)、コアヒンジ、CH2、及びCH3を有し(配列番号17によって表される)、他方は可動性グリシン−セリンリンカー(GGGS)、Vhドメインの部分、突然変異IgG4ヒンジ、CH2、及びCH3(配列番号18によって表される)を有する、2つのFc足場は、約1〜3×109の複雑性を有するライブラリを産生した。各ライブラリからの96個のクローンの配列決定は、クローンのどの配列も同一でないことを示し、ライブラリの多様性が良好であることを示した。
A.ベクター設計。
完全IgGディスプレイファージミド(vDR47、図2B)を、図1に示される、また国際公開第2009/085462号に記載されるような、pCNTO Fab IX構築物を用いて構築し、それは重鎖のVh及びCH1(配列番号19)ドメインを含んだ。ヒトIgG1(配列番号20)のヒンジ、CH2、及びCH3ドメインをコードする配列、並びに野生型配列、P6S(配列番号14)からの単独突然変異を有する変異型pelBシグナル配列を付加して、pVIIマイナーコートタンパク質でのペプチドディスプレイ及びタンパク質分泌における有意な改善を引き起こし(出願人は出願を同時係属中)、このベクターは、lacI遺伝子を有さないが、lacプロモータを有する。
pIX上での完全IgGの提示を査定するために、試験構築物のパネルを作製した。6〜2及び16〜7と表記されるIL13に対する抗体、並びに抗サイトカイン抗体9〜4を、新たな完全IgG分子を構築するためのプロトタイプとして選択した。異なるコドン利用の効果を決定するために、2つの構築物を抗IL13抗体の各々に対して作製し、このうち1つはヒトコドン最適化を伴い、もう1つは大腸菌コドン最適化を伴った。表1は、5つの完全IgG試験構築物についてのベクター表記を列挙する。最適化された遺伝子を合成し、米国特許第6,670,127号及び同第6,521,427号に記載されるような二本鎖DNAに組み立てた。加えて、pIXと融合したEMP−1 Fc(実施例1)を、それがIgGヒンジ、CH2、及びCH3ドメインを含有するが、軽鎖を含有しないため、対照として含めた。
上記のB節に記載される完全IgGディスプレイ構築物を、標準的なプロトコルに従って2つの異なるF’大腸菌株、TG−1、及びXL−1ブルーに形質転換した。これらの2つの株を試験する理由は、仮説上、完全IgG pIX融合タンパク質のパッケージング及びディスプレイに影響を及ぼし得る、増殖率におけるそれらの差異である。個々の形質転換体を採取し、カルベニシリンを補充した(常に100μg/mLで使用される)2XYT培地中で一晩増殖させた。次いで一晩の培養物(500μL)を使用して、25mLの2XYT/カルベニシリンを接種し、培養物を37℃、250rpmで、OD(600nm)が0.5に到達するまで増殖させた。振盪を行わずに37℃で30分間インキュベーションする間に、細菌を1011pfu/mLのVCSM13ヘルパーファージ(Stratagene,La Jolla,CA)に感染させ、続いて3,000rpmで15分間、遠心分離工程を行った。この工程において、標準的なプロトコルにより、2XYT/カルベニシリン/IPTG(1mM)での細菌培養が求められた。しかしながら、我々は、この体系の漏出性が、その後のファージパッケージングを伴う融合タンパク質を産生するために十分であろうとの仮説により、培養物を2つに分割し、1mM IPTGを一方に添加し、他方には添加しなかった。要約すると、各々の構築物について、4つの異なるファージ調製を作製した:(i)IPTGを有するTG−1(ii)IPTGを有さないTG−1(iii)IPTGを有するXL−1ブルー(iv)IPTGを有さないXL−1ブルー。培養を30℃、250rpmで一晩増殖させ、翌日、3,000rpmで15分間遠沈させ、続いてPEG/NACl中でファージ上清の沈殿を行った。氷上で2時間後、沈殿したファージを10,000rpmで、15分間遠沈させ、ファージペレットを2mLのPBS中に再懸濁させた。ファージ調製物を更に、10,000rpmで10分間スピンすることによって、あらゆる残存する細菌ペレットから清澄化し、2mL管中、4℃で保管した。
標準的なプロトコルに従ってファージ力価を決定した。簡潔に述べると、OD(600nm)が0.5に到達するまで、TG−1細胞を2XYT中で増殖させた。ファージ調製物を、96ウェルプレート中のPBS中に連続的に希釈し、TG−1細胞をファージに添加し、37℃でインキュベートして感染可能にした。30分後、1%グルコース及びカルベニシリンを含有するLB寒天プレートに、2μLの各ウェルを分与することによって、スポット滴定を行った。プレートを37℃で一晩インキュベートし、ファージ濃度を、mL当たりのコロニー形成単位(cfu)の観点から決定した。表2は、すべての構築物及び培養条件についてのファージ滴定からの結果を示す。すべてのクローンは、10^11〜10^13cfu/mLの間の高いファージ力価を産生し、それは予測範囲内であり、ファージが効率的に産生されることを示した。
ファージpIX上での完全IgG分子の提示を査定するために、一連のサンドイッチELISAを設定した。黒色マキシソーププレートを、1μg/mLの、TBS中に希釈した捕捉抗体;ヒツジ抗ヒトIgG(FD、CH1)抗体(The Binding Site,Birmingham,UK)、マウス抗ヒトカッパ軽鎖(Southern Biotech,Birmingham,AL)、マウス抗ヒトIgG(CH2ドメイン)抗体(AbD Serotec,Raleigh,NC)、及びマウス抗ヒトIgG(CH3ドメイン)抗体(AbD Serotec)のうちの1つでコーティングした。プレートをケミブロッカー(Chemicon/Millipore,Billerica,MA)でブロックした後、プレートを洗浄し、ファージを2×1011cfu/mLの濃度(10%ケミブロッカー/TBST中に希釈)で添加し、1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、HRP共役したマウス抗M13抗体をプレートに添加した。30分のインキュベーション後、プレートを洗浄し、化学発光基質をウェルに添加し、プレートをEnvisionプレートリーダーにおいて読み取った。図7A〜Dは、それぞれCH1(図7A)、カッパ(図7B)、CH2(図7C)、及びCH3(図7D)サンドイッチELISAからの結果を示す。ELISAで使用した対照は、vDR10中のクローン6−2のFab−pIX融合物(ヒトコドン最適化、TG−1細胞中で作製、IPTG誘導を伴う)、非特異的な足場タンパク質−pIX融合物、又はCNTO530−pIX融合物を提示するファージであった。CH1及びカッパELISAにおいて、6−2 Fabは、陽性対照としての機能を果たす一方で、EMP−1構築物(CNTO530)分子は、陰性対照としての機能を果たす。CH2及びCH3 ELISAにおいて、6−2 Fabは、陰性対照としての機能を果たし、CNTO530分子は、陽性対照としての機能を果たす。足場タンパク質ファージは、それがいかなる抗体ドメインも担持しないため、すべてのELISAにおいて陰性対照としての機能を果たす。ファージの異なる捕捉抗体への結合を防止するために、可溶性競合物質として、5μg/mLの濃度での抗IL13完全IgG1抗体の添加によるELISAアッセイもまた行った。
IgG分子のすべてのドメインを、ELISAによってファージ粒子上で検出できることを実証した後、構築物が、それらのそれぞれの抗原に結合する能力も保持するかどうかを決定することが必要であった。IL13結合ELISAを、黒色マキシソーププレートを、1μg/mLの商業用の抗IL13抗体(マウス抗ヒトIL13、MAB213、R&D Systems)でコーティングすることによって設定した。MAB213は、IL13への結合をめぐって6−2又は16−7と競合せず、故に、サンドイッチELISA捕捉抗体として理想的である。洗浄及びブロッキング後、ビオチン化ヒトIL13R130Qヒト(Peprotech)を100nMで添加し、1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、pIX上で6−2及び16−7の完全IgGバージョンを提示するファージを2×1011cfu/mLで、単独で又は競合のための可溶性抗IL13抗体と一緒に添加した。結合ファージを、HRP共役したマウス抗M13抗体で検出し、化学発光をEnvision機器において読み取った。図8は、IL13ファージELISAの結果を示す。結合は、ほとんどの条件において検出され、このうち1mM IPTGを有するXL−1ブルー細胞中で産生されたファージが最も高いシグナルを示した。ペプチド−Fc−pIX及び代替的な足場分子−pIX融合物は、予測通り陰性であり、6−2 Fab pIX対照は、陽性であった。結合は、可溶性抗IL13抗体を添加することによって阻害され、相互作用が特異的であることを示した。IL13結合を更に検査するために、ELISAを設定し、そこで可溶性競合抗体を50μg/mL〜0.01μg/mLまで連続的に希釈した。対照抗体もまた含めた。図9A及びBは、それぞれ6〜2 IgG pIX及び6〜2Fab pIXのIL13結合に及ぼす可溶性抗体競合の効果を示す。結合の阻害は、およそ0.1μg/mLのIC50により、両方の構築物について見られた。しかしながら、完全IgG pIX構築物については、阻害は、非常に高い競合物質濃度においてさえ不完全であり、あるレベルの非特異的な相互作用が存在することを示唆する。
第2の確証的な実験を行った。これは、抗IL17A抗体の完全IgGバージョンをクローニングすることによって行った。構築物をXL−1ブルー細胞に形質転換し、ファージを、上述のように産生した。ELISAを行って、図6に示されるように、pIX上でのIL17 IgGの提示、並びにヒトIL17Amut6抗原へのその結合を確認した。各ELISA(FD捕捉、カッパ捕捉、CH2捕捉、CH3捕捉、IL13捕捉、及びIL17捕捉)について、ファージを単独で又は可溶性抗IL13 mAb若しくはA可溶性抗IL17A mAbと一緒にのいずれかで添加した。競合物質mAbの添加は、ELISAの特異性を示す。図10において明白なように、IL17 IgGは、IL13 IgGよりも低いレベルではあるが、pIX上に提示された。これは、これらの構築物の間のFab発現レベルにおける差異と一致する(データは示されず)。ファージ上の抗IL13 IgGは、IL17に結合せず、ファージ上の抗IL17 IgGは、IL13に結合しないことから、抗原結合の特異性を見ることができる。加えて、ファージの2つのタイプの各々の結合は、それらの可溶性mAb対応物によって阻害され得る。
追加的に、pVIIファージミド系を用いて、Fc及びMIMETIBODY(商標)タンパク質がファージ表面上に提示され得ることを実証した。
Claims (31)
- 繊維状ファージ粒子の表面上での機能的な多量体鎖間ジスルフィド結合タンパク質の表示のための複製可能なファージベクターであって、細胞外タンパク質に由来する第1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列と融合したファージpIX又はpVIIタンパク質をコードする核酸配列を含み、前記コードされた細胞外タンパク質のアミノ酸配列が、少なくとも1つのシステイン残基を含み、前記システイン残基が、pIX又はpVIIとの細胞外タンパク質融合として発現される第2のポリペプチド鎖上のシステイン残基に酸化的に結合されるようになることができ、前記第2のアミノ酸配列が、前記第1のアミノ酸配列と同じ若しくはその変異型であるか、又は異なるタンパク質であり、それによって、そのように形成された前記システイン結合が、前記維状ファージ粒子の表面上に提示されている前記機能的多量体構造の鎖間ジスルフィドである、前記ファージベクター。
- 前記タンパク質構造の機能的活性が、プロテインA結合及びFcRn結合から選択される、請求項1に記載のファージベクター。
- 前記コードされたアミノ酸配列が、配列番号1〜3及び4からなる群から選択される抗体ヒンジドメイン、並びに配列番号1〜3、及び4のコア残基を含む、請求項1に記載のファージベクター。
- 前記鎖間ジスルフィドが、前記アミノ酸配列の前記抗体ヒンジドメイン、又はコアヒンジ残基内に位置する、請求項3に記載のファージベクター。
- 配列番号5〜16、及び17〜22から選択される配列、又はその中の少なくとも1つの残基が置換されるそれらの変異型を更に含む、請求項4に記載のファージベクター。
- 前記核酸が更に、前記細胞外タンパク質コード配列のうちの1つに操作可能に融合された細菌分泌シグナルをコードする、請求項1に記載のファージベクター。
- 前記細菌分泌シグナルが、配列番号14又は15に示される、pelB配列若しくは変異型pelB配列から選択されるか、又はompA若しくはompAの変異型である、請求項6に記載のファージベクター。
- 誘導可能なプロモータを更に含む、請求項1に記載のファージベクター。
- 前記誘導可能なプロモータが、lacプロモータ又はlacの突然変異体である、請求項8に記載のファージベクター。
- 融合ポリペプチドをコードするベクターを封入し、表面上に機能的な多量体鎖間ジスルフィド結合タンパク質を有する、繊維状ファージ粒子であって、前記タンパク質が、繊維状ファージpVII又はpIXタンパク質のアミノ末端と融合したシステイン残基を有する第1の外因性ポリペプチドを含み、その上で、前記タンパク質が繊維状ファージタンパク質の表面で発現されるとき、前記システイン残基が、pIX又はpVIIと融合した第2のポリペプチド鎖上のシステイン残基に酸化的に結合されるようになり、前記第2のアミノ酸配列が、前記第1のアミノ酸配列と同じ若しくはその変異型であるか、又は異なるタンパク質であり、それによって、そのように形成された前記システイン結合が、前記繊維状ファージ粒子の表面上に提示されている前記機能的多量体構造の鎖間ジスルフィドである、前記繊維状ファージ粒子。
- 前記タンパク質構造の機能的活性が、プロテインA結合及びFcRn結合から選択される、請求項10に記載の繊維状ファージ粒子。
- 請求項10に記載の繊維状ファージを含む、細菌宿主細胞。
- 前記機能的タンパク質が、原核宿主細胞の培養培地から回収されることができる、請求項12に記載の宿主細胞。
- 前記タンパク質が、繊維状ファージ粒子の表面上に表示される、請求項13に記載の宿主細胞。
- 測定可能な機能的タンパク質結合活性を有する、請求項12に記載の細菌宿主細胞によって発現される二量体又は多量体融合タンパク質。
- 前記測定可能なタンパク質結合活性が、プロテインA結合又はFcRn受容体結合である、請求項15に記載の融合タンパク質。
- 請求項16に記載の多量体タンパク質構造の、生物学的に活性な細胞外タンパク質変異型。
- 請求項4に記載の核酸ファージベクターを含み、前記抗体配列内の個別的な残基又はドメインをコードする前記ベクター内の特異的位置が、多様である、細菌宿主細胞のファージライブラリ。
- 前記核酸が、アミノ酸置換を有するFc形成配列をコードする、請求項18に記載のファージライブラリ。
- 前記Fc形成配列が、更に、リガンド結合ドメインを含む、請求項19に記載のファージライブラリ。
- 前記リガンド結合ドメインが、受容体結合リガンド、受容体細胞外ドメイン、可変ドメイン及び定常ドメインを含む抗体Fabドメイン、並びに単鎖Fv構築物からなる群から選択される、請求項20に記載のファージライブラリ。
- 前記リガンド結合ドメインが、前記結合ドメイン内の特異的残基において互いに異なる配列を含む、請求項21に記載のファージライブラリ。
- リガンド結合ドメインが、CDR1、CDR2、及びCDR3からなる群から選択される生殖細胞系重鎖相補性決定領域において複数個の多様な変異を含む、請求項22に記載のファージライブラリ。
- 求項12に記載の細菌宿主細胞中で、抗体又はFc断片のライブラリを産生するための方法であって、
a.集団宿主細胞を、ファージコートタンパク質と融合した組み換え抗体又はその断片をコードする、請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクターのライブラリに感染させること、
b.前記細胞集団をファージ表面上での前記抗体又はそのFc含有断片の発現を可能にする条件下で培養することと、及び
c.所望の又は増強された特性を有する前記抗体又はその断片を提示するファージを選択することを含む、前記方法。 - 改善された特性を有する変異型の選択のために、請求項20に記載のファージライブラリを使用する方法。
- 前記特性が、改善された標的結合、特異的な標的エピトープへの結合、Fc受容体結合親和性、減少されたグリコシル化部位、増加されたグリコシル化部位、及び増強された熱安定性からなる群から選択される、請求項23に記載の変異型を選択する方法。
- 所望の生物活性について選択するために、請求項23に記載のファージライブラリを使用する方法であって、前記選択が、(a)抗体Fc断片を、請求項13に記載のファージライブラリから発現させること、及び(b)前記所望の生物活性を有するファージ粒子を選択することを含む、前記方法。
- 請求項22に記載の方法から得られる、核酸をコードするFc含有抗体又は抗体断片。
- IgA、IgE、IgM、IgD、IgY、及びIgGからなる群から選択される、請求項23に記載の抗体又は抗体断片。
- 前記抗体又はその断片が、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である、請求項23に記載の抗体又は抗体断片。
- 請求項24又は25に記載の方法を用いて選択されたFc含有抗体又は抗体断片を含む、医薬組成物。
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