JP2013508450A - Ftsおよびそのアナログによる甲状腺がん治療のための組成物 - Google Patents

Ftsおよびそのアナログによる甲状腺がん治療のための組成物 Download PDF

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Abstract

K−Rasのレベルが正常な甲状腺細胞に比べて高いことを特徴とする甲状腺がんを治療する医薬組成物および方法が開示される。この方法は、甲状腺がん患者に、治療有効量のFTS(ファルネシルチオサリチル酸またはサリラシブ)またはFTSアナログを含む医薬組成物を投与することを伴う。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、その開示を引用することにより本明細書の一部をなすものとする2009年10月26日出願の米国仮特許出願第61/254,879号の出願日の権益を主張する。
濾胞性甲状腺癌は、最も一般的な内分泌悪性腫瘍である[Hundahlら、Cancer 83(12):2638〜48(1998)、Perkinら、CA Cancer J.Clin.55(2):74〜108(2005)]。甲状腺癌の95%より多くは、濾胞細胞由来である。濾胞上皮細胞由来である大部分の癌腫は、放射性ヨウ素アブレーションを併用するかまたは併用しない手術によって、効果的に管理することのできる無痛性腫瘍である。しかし、こうした腫瘍のある特定の亜集団は、侵襲性の挙動を示す場合があり、現在は有効な治療形態がない[Sherman,S.I.、Lancet 361(9356):501〜11(2003)、Schlumberger,M.J.、New England Journal of Medicine 338(5):297〜306(1998)]。
濾胞性甲状腺癌は、組織学的および臨床的パラメータを基準として高分化型から未分化型に及ぶ幅広い範囲の腫瘍を包含する[Rosら、Biochimie 81(4):389〜96(1999)、Huntら、Am.J.Surg.Pathol.27(12):1559〜64(2003)]。高分化甲状腺癌には、乳頭状(PTC)および濾胞性(FTC)のタイプが含まれる。これらの癌は、一般に予後が良好である。対照的に、未分化型または退形成性の甲状腺癌(ATC)は、侵襲性が高く、予後が極めて不良である[Chiacchioら、Minerva J.Endocrinol.33(4):341〜57(2008)、Siposら、Expert Opin.Pharmacother 9(15):2627〜37(2008)]。ATCでは、急速に拡大する頚部腫瘤が生じるが、これは、近接した組織を侵し、身体の異なる部分、特に骨中に転移する。現在、未分化甲状腺癌の有効な治療はない。手術、化学療法、および放射線療法は、生存率の向上を図って実施される従来の治療戦略である。手術は、多くの患者で実現可能でなく、手術の実施可能性は、一連の報告にわたって17〜65%とまちまちである[Ahujaら、J.e ndocrinol.Invest.10(3):303〜10(1987)]。ATCは、性質が侵襲性であり、全身に広がる恐れがあるために、ドキソルビシンを始めとする多くの異なる化学療法計画が試されているが、ドキソルビシンは、良くても22%の部分寛解率しか示していない。生存は、通常は1年以内と診断される[Kebebewら、Cancer 103(7):1330〜5(2005)]。
本発明の第一の態様は、K−Rasのレベルが正常な甲状腺細胞に比べて高いことを特徴とする甲状腺がんの患者の治療方法に関する。この方法は、本明細書に記載される式によって共に規定される、治療有効量のファルネシルチオサリチル酸(本明細書においてFTSまたはサリラシブとも称される)またはFTSアナログと、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を、患者に投与するものである。これらの方法を実施する際に使用する組成物、ならびにその製造方法も提供される。
本発明者らは、乳頭状甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、および未分化甲状腺癌などの、K−Rasレベルが高いことを特徴とする甲状腺がんが、S−トランス,トランス−ファルネシルチオサリチル酸およびそのアナログなどの種々のRasアンタゴニストで治療できることを発見した。
Ras阻害剤FTSが、Gal−3タンパク質のレベルが高い甲状腺濾胞細胞の成長を抑制することを示す棒グラフである。図1Aは、比較的低い血清濃度(5%)の存在下で成長させ、50、75および100μMのFTSまたは0.1%DMSO(対照)で24時間処理し、次いでDNAへのBrdUの取り込みによって細胞増殖を判定した甲状腺癌ARO、MROおよびNPA(15000細胞/96ウェルプレート)において、FTSが細胞増殖を減少させたこと(およびTT細胞ではそうした効果がなかったこと)を示し、データは、FTS処理した細胞におけるBrdUの、対照に対する百分率として示す。図1Bは、上述のように成長させて処理し、次いでAlamarBlue試薬を使用して生細胞の判定を行った、FTS処理した甲状腺癌細胞の生存度を示し、データは、FTS処理細胞におけるAlamarBlue蛍光の、対照に対する百分率として示す(平均±SD、n=3)。 ホモジナイズした後、ホモジネートの分割量を、SDS−PAGE、および特異的抗体を用いた免疫ブロット法を使用して、Gal−3、Ras、Ras−GTP、Ras−GTPアイソフォーム(N−RasおよびK−Ras)、およびRas下流エフェクターであるホスホERKのレベルの判定にかけた、甲状腺癌細胞系ARO、MRO、NPAおよびTT細胞における活性Ras、ERK、およびGal−3のレベルを示す免疫ブロットである。β−チューブリンを添加対照として使用し、免疫ブロットは、ECLによって可視化した。 FTSが、種々の甲状腺がん細胞系においてRasおよびそのシグナルを阻害することを示す棒グラフである。図3Aは、FTSが、ARO、MROおよびNPA細胞において総Ras.GTPのレベルを低下させたことを示す。細胞は、図1Aに記載のとおりに播き、次いで75μMのFTSまたはビヒクル対照で48時間処理し、溶解させて、活性Ras.GTPおよび総Rasの定量化にかけた後、pan Ras Abを用いた免疫ブロット法に供した。図3Bは、比較的少ない血清条件下(0.5%)としたこと以外は図3Aについて記載したとおりに成長させ、次いで10μMのFTSまたはビヒクル対照で24時間処理した後、溶解させて、次いで活性K−Ras.GTPおよび総K−Rasを定量化し、続いて特異的抗K−Ras抗体を用いた免疫ブロット法に供したARO、MROおよびNPA細胞において、FTSがK−Ras.GTPのレベルを低下させたことを示す。図3Cは、75μMのFTSで48時間処理し、次いで溶解させて、抗ERKおよび抗ホスホERK Abを用いた免疫ブロット法にかけたAROおよびMRO細胞において、FTSがホスホERKのレベルを低下させたことを示す。 FTS処理によって、甲状腺癌細胞においてP21およびTtf−1のレベルが増大することを示す棒グラフである。図4Aおよび図4A’は、図3Aに記載のとおりに播き、75μMのFTSで処理した後、溶解させて、SDS−PAGEならびに抗p21および抗Ttf−1または抗チューブリン(対照)抗体を用いた免疫ブロット法に供した甲状腺癌細胞のARO、MROおよびNPA細胞において、FTSが、p21およびTtf1を上方制御することをそれぞれ示す。FTS処理したARO、MROおよびNPA細胞のp21のレベルは、対応する対照より高く(*P<0.05、**p<0.01)、FTS処理したAROおよびMRO細胞のTtf−1のレベルも、対応する対照より高かったが(*P≦0.05)、NPAおよびTT細胞では大きな差が記録されていない。図4Bは、ドミナントネガティブGFP−Ras 17NまたはGFP(対照)を発現させるベクターをトランスフェクトした後、トランスフェクトから48時間後に溶解させ、抗Ttf−1および抗β−チューブリンAbを用いた免疫ブロット法に供した甲状腺癌細胞AROおよびMROにおいて、ドミナントネガティブRasがTtf1のレベルを増大させることを示す。図4Cは、細胞(2×10細胞)をガラスカバースリップ上に播き、次いで75μMのFTSまたはビヒクル対照で48時間処理し、Hoechstおよびウサギ抗Ttf1 Abに続いて、フルオレセイン標識ヤギ抗ウサギAbで標識し、画像処理した対照ARO細胞およびFTS処理した細胞の共焦点蛍光画像の統計的分析を示す。図4Dおよび図4D’は、2×10細胞/6cmプレートの密度で播き、10μMのUO126を加えたおよび加えないRPMI/5%FCSで24時間成長させた後、溶解させて、SDS−PAGEにかけ、次いで抗Ttf−1、抗p21、および抗β−チューブリンAbを用いた免疫ブロット法に供したAROおよびMRO細胞において、MEK阻害剤UO126が、p21およびTtf1を増加させたことをそれぞれ示す。 ガラスカバースリップ上に播き、0.1%DMSO(対照)または75μMのFTSの存在下で72時間成長させ、次いでマウスpan抗Ras Abに続いてcy3標識ロバ抗マウスAb、およびラット抗Gal−3 Abに続いてフルオレセイン標識ヤギ抗ラットAbで標識したARO細胞(2×10細胞)の細胞膜において、FTSがK−Ras−Gal−3共局在を妨害することを示す棒グラフである。 FTSが、ヌードマウスモデルにおいてARO細胞腫瘍成長を抑制することを示すグラフである。ARO細胞は、ヌードマウスの側腹部に皮下注射し、続いて細胞を埋め込んでから7日後より毎日、経口FTS(60mg/kg、10匹)またはビヒクル対照(10匹)での処置を始めた。図6Aは、対照およびFTS処置マウスにおけるARO細胞腫瘍の体積を時間に応じて示す(平均±SE n=10 *P<0.05、対照対FTS)。図6Bは、対照マウスおよびFTS処置マウスにおけるARO細胞腫瘍の重量を示す。腫瘍重量は、処置25日目に測定した(平均±SE、n=10、**P<0.01)。図6Cは、免疫ブロット法によって評価したGal−3、Ras、ホスホERK、およびβ−チューブリンの活性を(Gal−3、Ras、Ras−GTP、およびホスホERK発現の濃度測定分析の見かけのレベルをβ−チューブリン発現によって正規化したものに関して)示す(平均±SE、n=4、*P<0.05、対照対FTS)。
[Rasアンタゴニスト]
Rasタンパク質、たとえば、H−Ras、N−RasおよびK−Rasは、細胞成長、分化、および生存を制御するシグナル伝達経路を調節する入切スイッチとして働く[Reutherら、Curr.Opin.Cell Biol.12:157〜65(2000)]。Rasタンパク質は、形質膜の内側小葉状部分に固定化され、そこで、受容体チロシンキナーゼなどの細胞表面受容体が活性化されることにより、Ras上でグアノシン二リン酸(GDP)がグアノシン三リン酸(GTP)と交換され、不活性Ras−GDPが活性Ras−GTPへと変換される[Scheffzekら、Science 277:333〜7(1997)]。これらのシグナルの停止には、Ras−GTPをRas−GDPにする加水分解が必要となる[Scheffzekら、Science 277:333〜338(1997)]。野生型Rasによる細胞増殖の促進に加えて、Rasのいくつかの変異型は、そのGTP加水分解の受けやすさに欠陥があり、したがって構成的活性型である[Barbacid、Biochem.56:779〜827(1987)、Box、Eur.J.Cancer 31:1051〜1054(1995)]。多くのがんタイプで見られるこうした発がん性Rasタンパク質は、悪性腫瘍の一因となり、したがって指向型治療の好適なターゲットとみなされる[Bos、Cancer Res.49:4682〜4689(1989)]。活性Rasタンパク質は、細胞成長、分化の調節解除、ならびに生存、遊走、および浸潤の増進に寄与する複数のRasエフェクターの活性化を通して発がんを促進する[たとえば、Downward,J.、Nat.Rev.Cancer 3:11〜22(2003)、Shields,J.M.ら、Trends Cell Biol.10:147〜541(2000)、およびMitin,N.ら、Curr.Biol.15:R563〜74(2005)を参照のこと]。
Rasの形質膜との連係は、野生型および変異した構成的活性型の両方において、Ras活性にとって非常に重要であることが示されている[Boguskiら、Nature、366:643〜654(1993)、Coxら、Curr.Opin.Cell Biol.4:1008〜1016(1992)、Marshall、Curr.Opin.Cell Biol.8:197〜204(1996)]。少なくとも2つの構造的要素がこの連係に必要であり、第一は、Rasのカルボキシ末端にあるファルネシルシステインカルボキシメチルエステルであり、第二の要素は、近傍の上流配列に存在し、異なるRasアイソフォームによって様々である[Hancockら、EMBO J.10:4033〜4039(1991)、Hancockら、Cell 57:1167〜1177(1989)]。正常なRas活性には、特にファルネシルイソプレノイド部分が必要であり[Coxら、Curr.Opin.Cell Biol.4:1008〜1016(1992)、Coxら、Mol.Cell.Biol.12:2606〜2615(1992)]、この部分が特異的な認識単位として働いて、H−Rasをガレクチン−1と[Elad−Sfadiaら、J.Biol.Chem.277:37169〜37175(2002)、Rotblatら、J.Biol.Chem.64:3112〜3118(2004)]、K−Rasをガレクチン−3と結合させ[Elad−Sfadiaら、J.Biol.Chem.279:34922〜34930(2004)]、強力な膜連係および強固なシグナル伝達を促進する。
FTSは、活性のあるGTP結合型のH−Ras、N−Ras、およびK−Rasタンパク質に、どちらかと言えば特異的に作用するRas阻害剤として知られている[Weisz,B.ら、Oncogene 18:2579〜2588(1999)、Gana−Weisz,M.ら、Clin.Cancer Res.8:555〜65(2002)]。より詳細には、FTSは、形質膜において、特異的な飽和性結合部位への結合を巡ってRas−GTPと競合し、その結果、活性Rasの誤った局在化が生じ、Ras分解が促進される[Haklaiら、Biochemistry 37(5):1306〜14(1998)]。この競合的阻害により、活性Rasがその主立った下流エフェクターと相互作用することが妨げられ、活性化型Rasを収容する形質転換細胞の形質転換された表現型が逆転する。その結果として、Ras依存的な細胞成長および形質転換活性は、in vitroおよびin vivoの両方で、FTSによって強力に阻害される[Weisz,B.ら、上記を参照、Gana−Weisz,M.ら、上記を参照]。
本発明における有用なRasアンタゴニストとして、以下に述べるFTSおよびその構造アナログが挙げられる。
Rasアンタゴニストは、次式により表される。
式中、Rは、ファルネシルまたはゲラニル−ゲラニルを表し、Rは、COOR、CONR、またはCOOCHROR10であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキルまたはアルケニル(線状および分枝状のアルキルまたはアルケニルを含み、一部の実施形態では、C1〜C4アルキルまたはアルケニルを含む)であり、Rは、Hまたはアルキルを表し、R10は、アルキル(線状および分枝状のアルキルを含み、一部の実施形態では、C1〜C4アルキルを表す)を表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ(線状および分枝状のアルキル、アルケニル、またはアルコキシを含み、一部の実施形態では、C1〜C4アルキル、アルケニル、またはアルコキシを表す)、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはアルキルメルカプトであり、XはSを表す。R、R、RおよびR10のいずれかがアルキルを表す実施形態では、アルキルは、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
一部の実施形態では、Rasアンタゴニストは、S−トランス,トランス−ファルネシルチオサリチル酸またはFTS(Rはファルネシルであり、RはCOORであり、Rは水素である)である。
一部の実施形態では、FTSアナログは、ハロゲン化されており、たとえば、5−クロロ−FTS(Rはファルネシルであり、RはCOORであり、Rはクロロであり、Rは水素である)および5−フルオロ−FTS(Rはファルネシルであり、RはCOORであり、Rはフルオロであり、Rは水素である)である。
他の実施形態では、FTSアナログは、FTS−メチルエステル(Rはファルネシルを表し、RはCOORを表し、Rはメチルを表す)、FTS−アミド(Rはファルネシルを表し、RはCONRを表し、RおよびRは、両方とも水素を表す)、FTS−メチルアミド(Rはファルネシルを表し、RはCONRを表し、Rは水素を表し、Rはメチルを表す)、およびFTS−ジメチルアミド(Rはファルネシルを表し、RはCONRを表し、RおよびRは、それぞれメチルを表す)である。
さらに他の実施形態では、Rasアンタゴニストは、S−プレニルチオサリチル酸アルコキシアルキルまたはFTS−アルコキシアルキルエステル(RはCOOCHROR10を表す)である。代表例としては、S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル(Rはファルネシルであり、RはHであり、R10はメチルである)、S−ゲラニルゲラニルチオサリチル酸メトキシメチル(Rはゲラニルゲラニルであり、RはHであり、R10はメチルである)、5−フルオロ−S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル(Rはファルネシルであり、Rはフルオロであり、RはHであり、R10はメチルである)、およびS−ファルネシルチオサリチル酸エトキシメチル(Rはファルネシルであり、Rはメチルであり、R10はエチルである)が挙げられる。上記の実施形態それぞれにおいて、別段詳細に指摘しない限り、R、R、RおよびRはそれぞれ、水素を表す。
[組成物および方法]
用語「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」とは、本明細書では、甲状腺がんおよびその関連する徴候の少なくとも1つの症状を回復させ、疾患の程度または重症度を軽減し、疾患の進行を遅らせまたは阻止し、部分的または完全な寛解を実現し、生存を引き延ばすのに十分なRasアンタゴニストの量およびその組合せを指す。任意のがん患者のための適切な「有効」量は、用量漸増研究などの技術を使用して決定することができる。任意の特定の患者の特別な用量レベルは、Rasアンタゴニストの効力、患者の年齢、体重、および全般的健康状態、がんの重症度などのいくつかの要素に応じて決まる。本発明のRasアンタゴニストの平均日用量は、一般には約200mg〜約2000mg、一部の実施形態では約400〜約1600mg、他の一部の実施形態では約600〜約1200mg、さらに他の実施形態では約800mg〜約1200mgの範囲である。
用語「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、本明細書では、Rasアンタゴニストの所望の生物学的作用部位への送達を可能にするのに使用することのできる方法を指す。本発明での使用に適する医学的に許容可能な投与技術は、当業界で知られている。たとえば、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics、現行版、Pergamon、およびRemington’s、Pharmaceutical Sciences(現行版)、Mack Publishing Co.、ペンシルヴェニア州イーストンを参照のこと。一部の実施形態では、Rasアンタゴニストを経口投与する。他の実施形態では、Rasアンタゴニストを非経口投与する(本発明の意図では、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、および注入がこれに含まれる)。局所投与や直腸投与などの他の投与経路が適する場合もある。
用語「薬学的に許容可能な」とは、本明細書では、化合物の生物学的活性または特性を損なわず、比較的非毒性である、担体や希釈剤などの材料を指す。
用語「医薬組成物」とは、本明細書では、任意選択的に薬学的に許容可能な担体と組み合わされた(たとえば、混合された)Rasアンタゴニストを指す。こうした成分は、非毒性であり、生理学的に不活性であり、Rasアンタゴニスト(および組成物中に存在する可能性のある他の任意の(1種または複数の)活性薬剤)と不利に相互作用しない。担体は、活性薬剤の製剤および/投与を円滑にする。本発明の医薬組成物は、1種または複数の賦形剤をさらに含有していてもよい。
Rasアンタゴニストの経口組成物は、(1種または複数)の薬剤を、担体と関連させる(たとえば、混合する)ことにより調製でき、ここで担体の選択は投与方式に基づく。担体は一般に、固体または液体である。場合によっては、組成物は、固体担体と液体担体を含有してもよい。活性物を含有する、経口投与に適する組成物は、錠剤(たとえば、フィルムコート、糖衣、制御放出、または持続放出を含める)、カプセル剤、たとえば、硬ゼラチンカプセル剤(制御放出または持続放出を含める)および軟ゼラチンカプセル剤、粉末および顆粒などの固体剤形にすることが好ましい。しかし、組成物は、他の経口形態、たとえば液体またはゲルでの患者への投与を可能にする、他の担体中に含まれていてもよい。形態にかかわらず、組成物は、所定の量のRasアンタゴニストを含有する個別または組合せの用量に分けられる。
経口剤形は、通常は活性医薬成分の形のRasアンタゴニストを、1種または複数の適切な担体と(任意選択的に1種または複数の他の薬学的に許容可能な賦形剤と共に)混合し、次いで組成物を所望の剤形に製剤することにより、たとえば、組成物を錠剤に圧縮する、または組成物をカプセルもしくは小袋に充填することにより調製できる。典型的な担体および賦形剤として、ラクトース、デンプン、マンニトール、微結晶性セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、第二リン酸カルシウム、アカシア、ゼラチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、トウコロコシ油、植物油、およびポリエチレングリコールを含む、増量剤もしくは希釈剤、結合剤、緩衝剤もしくはpH調整剤、崩壊剤(架橋およびスーパー崩壊剤、たとえばクロスカルメロースを含める)、流動促進剤、および/または滑沢剤が挙げられる。糖、セラック、合成ポリマーなどのコーティング剤、ならびに着色剤および保存剤を用いることもできる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,The Science and Practice of Pharmacy、第20版(2000)を参照のこと。
液体形態の組成物としては、たとえば、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、エリキシル、および加圧組成物が挙げられる。たとえば、(1種または複数の)活性薬剤を、水、有機溶媒(およびその混合物)、および/または薬学的に許容可能な油脂などの薬学的に許容可能な液体担体に溶解または懸濁させることができる。経口投与用の液体担体の例として、水(特に、前述のような添加剤、たとえば、セルロース誘導体を好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液中の懸濁液にしたものを含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、たとえばグリセリンおよび非毒性グリコールを含む)およびその誘導体、ならびに油(たとえば、ヤシ油およびラッカセイ油)が挙げられる。液体組成物は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、着香剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤、浸透圧調節剤などの適切な他の医薬賦形剤を含有してもよい。
非経口投与用組成物の調製に適する担体としては、注射用滅菌水、注射用静菌水、塩化ナトリウム注射液(0.45%、0.9%)、デキストロース注射液(2.5%、5%、10%)、乳酸加リンゲル注射液などが挙げられる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、これらの混合物、および油中に分散液を調製することもできる。組成物は、等張化剤(たとえば、塩化ナトリウムおよびマンニトール)、抗酸化剤(たとえば、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびアスコルビン酸)、および保存剤(たとえば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびメチルパラベンとプロピルパラベンの組合せ)も含有し得る。
本発明の方法による治療の影響を受けやすい甲状腺がんは、K−Rasのレベルが正常な甲状腺細胞に比べて高いことを特徴とし、このことは、甲状腺がん細胞の免疫ブロットを正常な甲状腺細胞と比較して判定することができる。そのようながんとしては、乳頭状甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、および未分化甲状腺癌が挙げられる。
Rasアンタゴニストを含有する医薬組成物は、キットの形で包装および販売することができる。たとえば、組成物は、錠剤やカプセル剤などの1種または複数の経口剤形の形にすることができる。キットには、本明細書に記載の本発明の方法を実施するための取扱説明書を含めてもよい。
一部の実施形態では、Rasアンタゴニストは、(単一または分割用量で)毎日経口的に3週間服用させ、続いて1週間の「休止期間」を置き、寛解に到達するまで繰り返すことにより投与される。
Rasアンタゴニストは、一次治療戦略として(たとえば、がんが転移しているかいないかにかかわらず、新たに診断されたがん患者における初回の治療として)、または二次治療戦略として(たとえば、少なくとも1種の他の薬剤を使用して以前に治療を受けたことがあるが、以前の(1種または複数の)薬剤に反応しなかった、またはそれに対して抵抗性が出てしまい、そのため、はっきりとわかる治療有効性が実現できる前に治療を終了する結果となってしまった可能性もあるがん患者の治療として)、単独で使用してもよいし、または他の治療剤、たとえば、生物学的抗がん剤(たとえば、抗体)、化学療法剤、放射線と共に使用してもよい。
ここで、本発明について、以下の非限定的な実施例において説明する。
[実施例1:in vitro実験]
−細胞系および試薬−
ヒト濾胞性甲状腺がん細胞系AROおよびMROならびにヒト未分化甲状腺がん細胞系NPAは、Soarsky Medical Center Tel Aviv内分泌学研究所のZaki Kraiem氏から寄贈を受けた。髄様甲状腺癌細胞系TTは、ATCC(カタログ番号:CRL−1803(商標))から購入した。細胞系はすべて、10%のウシ胎児血清(FCS)、2mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン、および100g/mlのストレプトマイシンを含有するRPMI培地で培養した。細胞は、5%COの加湿雰囲気中にて37℃でインキュベートした。
FTSは、Concordia Pharmaceuticals(フロリダ州フォートローダーデール)から寄贈を受けた。ECLキットはAmersham(イリノイ州アーリントンハイツ)から、Hoechst 33258はSigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。U0126は、AG Scientific(カリフォルニア州サンディエゴ)のものであった。マウス抗pan−Ras(Ab−3)、マウス抗N−Ras、およびマウス抗K−Ras抗体はCalbiochemから、ウサギ抗p21、ウサギ抗Ttf1、およびウサギ抗β−チューブリン抗体はSanta Cruz Biotechnology(カリフォルニア州Santa Cruz)から、マウス抗ホスホERKはSigma−Aldrichから、ウサギ抗ホスホAkt(ser473)およびウサギ抗GAPDH(14C10)抗体はCell Signaling Technology(マサチューセッツ州ベヴァリー)から入手した。ペルオキシダーゼ−ヤギ抗マウスIgG、ペルオキシダーゼ−ヤギ抗ラットIgG、およびペルオキシダーゼ−ヤギ抗ウサギIgGは、Jackson ImmunoResearch Laboratories(ペンシルヴェニア州West Grove)のものであった。
タンパク質バンドは、Image EZQuant−Gelソフトウェア(著作権(C)2005、EZQuant Ltd)を用いた濃度測定によって定量化した。
−トランスフェクション−
トランスフェクションアッセイについては、2×10個のARO細胞およびMRO細胞/ウェルを6ウェルプレートに播いた。後日、Lipofetamine(商標)2000トランスフェクションキット(カタログ番号11668−027、Invitrogen)を製造者の説明書に従って使用し、細胞に、GFP−Ras17NをコードするプラスミドDNA(2μg)または緑色蛍光タンパク質をコードする対照を有するベクター(2μg)をトランスフェクトした。
−細胞生存度−
ARO細胞、MRO細胞、NPA細胞およびTT細胞(96ウェルプレートに1.5×10細胞/ウェル)を、50、75および100μMのFTSまたはビヒクル(0.1%DMSO)で24時間処理した。AlamarBlueアッセイを製造者の説明書に従って使用し(Serotec、英国オックスフォード)、細胞生存度を推定した。
−細胞増殖アッセイ−
96ウェルプレートにおいて、ARO細胞、MRO細胞、NPA細胞およびTT細胞を、1.5×10細胞/ウェルの密度で5%FCS培地に播いた。翌日、細胞を50、75または100μMのFTSまたはビヒクル(0.1%のDMSO)で処理した。BrdU細胞増殖アッセイキット(Calbiochem)を使用し、5−ブロモ−2−デオキシウリジン(BrdU)の取り込みによって増殖を評価した。
−MTTアッセイ−
生存している細胞のミトコンドリア活性を判定する3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを使用し、6日後に、細胞増殖を判定した。細胞を0.1mg/mLのMTTと共に37℃で2時間インキュベートし、次いで100%のMeSOで溶解させた。570〜630nmで吸光度を読み取ることにより、結果を定量化した。
−ウエスタン免疫ブロット法−
ARO細胞、MRO細胞、NPA細胞(0.4×10細胞/10cm)、およびTT細胞(0.5×10細胞/mL)を、5%のFCSを含有するRPMI1640培地で培養した。細胞を75μMのFTSまたはビヒクル(0.1%のDMSO)で48時間処理し、溶解させ、先に詳述されているとおりにSDS PAGEおよび免疫ブロット分析にかけた[Elad−Sfadiaら、J.Bol.Chem.277(40):37169〜75(2002)]。次いで可溶化液を、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)にかけた後、次の抗体(Ab)、すなわち、1:2,500のpan−Ras Ab、1:50の抗K−Ras Ab、1:1000の抗β−チューブリンAb、1:1000の抗Gal−3 Ab、1 1:10,000の抗ホスホERK Ab、1:2,000の抗ERK Ab、1:750の抗p21 Ab、1:500の抗Ttf1 Abのうちの1種を用いた免疫ブロット法に供した。次いで免疫ブロットを、1:5,000のペルオキシダーゼ−ヤギ抗マウスIgG、1:5,000のペルオキシダーゼ−ヤギ抗ウサギIgG、または1:5,000のペルオキシダーゼ−ヤギ抗ラットIgGに暴露し、強化化学発光(ECL)キット(Amersham Pharmacia Biotech、イリノイ州アーリントンハイツ)を使用してタンパク質バンドを可視化した。
−Ras−GTPアッセイ−
1mgのタンパク質を含有する可溶化液を使用して、従前に記載されているようなグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)−RBDプルダウンアッセイ[Elad−Sfadiaら(2002)、上記を参照]、続いて上述のようなRasアイソフォーム特異的Abを用いたウエスタン免疫ブロット法により、Ras−GTPを測定した。
−共焦点顕微鏡観察−
2×10個のARO細胞をガラスカバースリップ上に播き、次いで75μMのFTSまたはビヒクル(0.1%DMSO)で処理した。72時間後に細胞を固定し、次いで0.5%Triton X−100で透過処理した。サンプルを2%ウシ血清アルブミンおよび200μg/mlのヤギガンマグロブリンで30分間ブロッキングした。細胞を1μg/mLの抗Ttf−1、Gal−3、およびpan−Ras抗体で1時間まで、次いで1:750のヤギ抗ウサギフルオレセイン、ヤギ抗ラットフルオレセイン、およびロバ抗マウスcy3抗体(Jackson ImmunoResearch)でそれぞれ標識した。それぞれインキュベートした後、3回十分に洗浄した。染色強度をMeta Zeiss LSM 510共焦点顕微鏡で分析した。各細胞の核中のTtf−1の定量化をImageJソフトウェアによって行った。
−感染およびshRNA−
Ttf−1に対する特異的shRNA(クローンID V2HS_61850 Open−Biosystems)をコードする6μgのレトロウイルスベクターを、レトロウイルスエンベロープとGagおよびPolタンパク質をそれぞれコードする3μgのpMD2Gおよび3μgのpCGPと共に使用し、HEK293細胞を一過性に三重トランスフェクトすることにより、ウイルスを生成した。対照として、6μgの非サイレンシングshRNA(Open−Biosystems)を、従前に記載されているとおりに使用した[Shalom−Feuersteinら、Biochim.Biophys.Acta(2008)]。
−結果−
甲状腺癌におけるガレクチン−3の発現は、高レベルのK−Ras.GTP、およびFTSによる成長抑制と相関する
最初の一連の実験では、Ras阻害剤FTSが4種の甲状腺癌細胞系、すなわち、NPA(乳頭状)、MRO(濾胞性)、TT(髄様)、およびARO(未分化)系列の成長に与える効果を調べた。本発明者らは、Ras阻害剤FTSが細胞増殖に及ぼす影響を、BrdUアッセイを使用して調べた。FTSは、TT細胞を除く全細胞系で、BrdUのDNAへの取り込みを用量依存的に強力に阻害し(図1A)、細胞死を誘発した(細胞生存度試薬AlamarBlueによって示される、図1B)。TT細胞では、FTSは、細胞成長の弱い抑制しか引き起こさなかった。
RBDプルダウンアッセイおよびpan Ras抗体を使用して活性Rasのレベルを測定したとき、本発明者らは、ARO、MROおよびNPAが比較的高レベルのRas.GTPを示し、TTが比較的低レベルのRas.GTPを示したことを見出した(図2)。研究中の細胞系はいずれも、Ras突然変異がないものである[Nambaら、J.Clin.Endocrinol.Metab.88(9):4393〜7(2003)、Nikiforovaら、J.Clin.Endocrinol.Metab.88(11):5399〜404(2003)]。したがって、これらの甲状腺癌で観察された比較的高レベルのRas.GTPは、おそらく成長因子受容体によるRas交換因子の刺激によるものであり[Kolibabaら、Biochim.Biophys.Acta.1333(3):F217〜48(1997)、Huangら、J.Biol.Chem.272(5):2927〜35(1997)、Smithら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 84(21):7567〜70(1987)]、活性Ras.GTPを安定化するRasシャペロンによるものであると思われる[Elad−Sfadiaら、J.Bol.Chem.279(33):34922〜30(2004)、Elad−Sfadiaら、J.Biol.Chem.277(40):37169〜75(2002)]。
したがって、本発明者らは次に、甲状腺悪性病変に関与することがわかっており[Saggioratoら、J.Clin.Endocrinol.Metab.86(11):5152〜8(2001)、Inoharaら、Cancer 85(11):2475〜84(1999)、Orlandiら、Cancer Research 58(14):3015〜20(1998)、Saggioratoら、J.Endocrinol.Invest.27(4):311〜7(2004)]、K−Ras.GTPの既知のシャペロンである[Elad−Sfadiaら、J.Bol.Chem.279(33):34922〜30(2004)、Shalom−Feuersteinら、Cancer Res.68(16):6608〜16(2008)]、Gal−3のレベルを調べた。本発明者らは、ARO細胞、MRO細胞およびNPA細胞が、比較的高レベルのGal−3を発現したが、TT細胞は、Gal−3を全く発現しなかったことを見出した(図2)。興味深いことに、本発明者らは、甲状腺癌細胞系のいずれにおいても有意な量のH−Rasを検出することができなかったが(図示せず)、N−Rasタンパク質を検出した(図2)。しかし、N−Ras.GTPのレベルは、Gal−3のレベルと相関がなかった(図2)。興味深いことに、NPA細胞は、最も高いレベルのp−ERKを示した(図2)。このことは、2つの要素、すなわち、i)この細胞が有する慢性的に活性なRas、および、ii)この細胞が2つの対立遺伝子に有する活性化B−Raf突然変異、によるものかもしれないと思われる[Liuら、Thyroid 18(8):853〜64(2008)、Cartaら、Clin.Endocrinol.(Oxf)64(1):105〜9(2006)]。したがって本発明者らは、主にARO(一方の対立遺伝子だけにB−Raf突然変異)およびMRO(B−Raf突然変異なし)について研究を続けた[Liuら、Thyroid 18(8):853〜64(2008)、Cartaら、Clin.Endocrinol.(Oxf)64(1):105〜9(2006)]。
FTSは、高いGal−3を示すARO細胞およびMRO細胞においてK−Ras.GTPを下方制御し、ERKへのK−Rasシグナル伝達に影響を及ぼす
次いで本発明者らは、種々の甲状腺癌細胞系においてFTSがRas.GTPのレベルに及ぼす影響を調べた。これら実験の典型的な結果は、FTS(48時間75μM)が、Ras.GTPのレベルを低下させ、総Rasに対しては小さい効果しか与えなかったことを示した(図3A)。別の実験では、FTSがK−Ras.GTPのレベルを低下させたことが示された(図3B)。この後者の実験は、基礎条件下、すなわち血清による刺激効果なしでFTSの影響が判定できるようにするために、血清不足の細胞で実施した。示されるように、K−Ras.GTPのレベルは、血清が不足していても、ARO、MROおよびNPAにおいて比較的高く、FTSによってK−Ras.GTPが減少した(図3B)。
次に本発明者らは、FTSで処理した甲状腺癌細胞におけるK−Ras.GTPレベルの低下がRasシグナル伝達の減少に変換されるかどうかを調べた。したがって本発明者らは、2つの主立ったRas経路Raf−MEK−ERKおよびPI3−K−Aktのそれぞれの読み出し情報としてのホスホERKおよびホスホAktのレベルを調べた。ホスホAktは、薬物処理なしでも、細胞系のいずれにおいても検出されなかった(図示せず)。したがって、ホスホAktは、Rasシグナル伝達の読み出し情報として使用できなかった。とはいえ、上述のように(図2)、本発明者らは、全細胞系においてホスホERKを検出しており、ARO細胞およびMRO細胞で、FTSによってホスホERKのレベルが激しく有意に低下したことを観察した(図3C)。FTSは、NPAおよびTT細胞においてホスホERKを減少させなかった(図3C)。高いK−Ras.GTPがFTSによって下方制御されたNPA細胞において、ホスホERKに対するFTSの効果が比較的小さいことの原因は、おそらくはこうした細胞が両方の対立遺伝子に活性化B−Raf突然変異(V600E)を有すると考えられることにある[Cartaら、Clin.Endocrinol.(Oxf)64(1):105〜9(2006)]。したがって、NPA細胞では、活性Rasとは無関係であるERKに対するRafシグナルが比較的強い。これは、活性化型変異体B−Rafに関してヘテロ接合性であり、1つのwt B−Raf対立遺伝子を有するARO細胞、およびB−Raf突然変異のないMRO細胞には当てはまらない[Liuら、Thyroid 18(8):853〜64(2008)、Cartaら(2006))。すなわち、どちらの細胞系においても、K−Ras.GTPがFTSによって下方制御されたとき、野生型(wt)B−RafのRas依存的な活性化が阻害される。
FTSは、細胞周期インヒビターp21および甲状腺転写因子1(Ttf−1)を上方制御する
Rasが活発ながん細胞系を用いた先の研究では、CDK2を阻害する細胞周期インヒビターp21が、少なくとも一部、活性Rasによる負の調節を受けること[Halaschek−Wienerら、Cell Signal 16(11):1319〜27(2004)]、およびいくつかのがん細胞系において、FTSがp21のレベルを増大させたこと[Halaschekら、Mol.Med.6(8):693〜704(2000)]が示されている。したがって本発明者らは、研究中の甲状腺細胞系においてFTSがp21レベルに影響を及ぼすかどうかを調べた。本発明者らは、FTSによって、ARO、MROおよびNPAでp21のレベルが増大したが、TT細胞では増大しなかったことを見出した(図4A)。これは、ARO、MROおよびNPAのみでK−Ras.GTPのレベルが低下し、細胞成長が抑制されたことと正の相関があった(図1Aおよび図3A)。すなわち、FTSによって誘発されたp21の増加は、高Gal−3の甲状腺細胞における細胞成長抑制の主要な要素であると思われる。
次に本発明者らは、FTSが、甲状腺癌ではRaf−MEK−ERK経路による負の調節を受けるTtf−1のレベルに影響を及ぼすかどうかを調べた[Misseroら、Molecular and Cellular Biology 20(8):2783〜93(2000)]。本発明者らは、FTSによって、ARO細胞およびMRO細胞ではTtf−1が上方制御されたが、NPA細胞およびTT細胞では上方制御されなかったことを見出した(図4A’)。これは改めて、K−Ras.GTPおよびRas依存的なERK活性化は、他の細胞系よりもAROおよびMROにおいてFTSに対する感受性が高いという本発明者らの結果と一致する。FTSのように、ドミナントネガティブ(DN)Rasも、ARO細胞およびMRO細胞においてTtf−1を上方制御した(図4B)。
すなわち、本発明者らの結果は、FTSまたはDN−RasによるRas阻害は、細胞成長を阻止し、甲状腺細胞における不可欠な因子であることがわかっている分化転写因子Ttf−1を増加させることにより、ここで研究している最も悪性の細胞系(ARO)の悪性の表現型を少なくとも一部戻すことを示唆している[Rosら、Biochimie 81(4):389〜96(1999)、Misseroら、Molecular and Cellular biology 20(8):2783〜93(2000)、DeVitaら、Molecular Endocrinology 19(1):76〜89(2005)、Akagiら、British Journal of Cancer 99(5):781〜8(2008)]。実際、FTS処理したARO細胞を顕微鏡で調べたとき、本発明者らは、細胞がより拡散し、密集しなくなっている、その形態の変化を見出した(図示せず)。加えて、本発明者らは、FTS処理後のこの細胞において核Ttf−1が著しく増加し、まだ解明されていないが、核傍Ttf−1が多少増加したことを観察した(図4C)。FTSのように、MEK阻害剤UO126によっても、ARO細胞およびMRO細胞においてp21およびTtf−1のレベルが著しく増大し(図4Dおよび図4D’)、これらの増大がRas−Raf−MEK−ERK経路の阻害を介したものであることが示唆される。これらの結果は、FTSの作用機序にTtf−1の上方制御が少なくとも一部関与するという見解を支持する。
全体的にみて、上記の結果は、ARO細胞およびMRO細胞においてGal−3がK−Ras.GTPと相互作用した結果として、p21およびTtf−1に負の調節をかける、すなわち細胞成長を迅速に抑制して、分化を誘導することが知られているRaf−MEK−ERKカスケードへの強力なシグナルが生じることを示唆した。
FTSは、ARO細胞の細胞膜におけるK−Ras−Gal−3の共局在を妨害する。
本発明者らは次に、FTSが、細胞膜におけるK−RasとGal−3の相互作用を妨害するかどうかを調べた。そのために、本発明者らは、一連の細胞の中で最も悪性の細胞、すなわちARO細胞を使用し、細胞をFTS処理の前後にマウス抗pan Ras抗体およびラット抗Gal−3抗体で染色した。次いで細胞をcy3標識抗マウス抗体(Ras標識用)およびフルオレセイン標識抗ラット抗体(Gal−3標識用)で染色した(写真は示さず)。これらの実験の典型的な蛍光共焦点画像は、Rasが主に対照細胞の細胞膜に局在化したこと(図示せず)、およびFTS処理後、Rasの主要な分画は、細胞質に誤って局在化したこと(図示せず)を示した。重要な点で、ARO細胞中のGal−3は、細胞質および細胞膜の両方に局在化し(図示せず)、FTS処理後、Gal−3の大部分は細胞質にあった(図示せず)ことがわかった。FTSが内因性のRasおよびGal−3相互作用に及ぼす強力な影響は、薬物処理した細胞の形質膜におけるGal−3およびRasの共局在の妨害が認められたことにより、はっきりと実証される(図示せず)。結果の統計的分析を図5に示す。重要なことに、これらの結果は、がん細胞におけるRasとGal−3の相互作用が、2種の結合パートナーの外因的な発現なしに妨害されたことを示している。
[実施例2:動物実験]
次に本発明者らは、FTSが甲状腺癌の成長をin vivoで抑制し得るかどうかを調べた。このために、本発明者らは、所有する中で最も悪性の細胞系、すなわちARO細胞を使用し、雄ヌードマウス側腹部の皮膚の下に、従前に詳述されているとおりに、細胞を埋め込んだ[Barkanら、Clin.Cancer Res.12(18):5533〜42(2006)]。細胞を埋め込んでから7日後、腫瘍の体積は、0.5〜0.6cmであった。次いで、マウスを対照群(10匹のビヒクル処置マウス)とFTS処置群(10匹)にランダムに分けた。マウスにFTS(60mg/kg、毎日)またはビヒクルを25日間経口的に与え、表示した時期に腫瘍体積を測定した。次いで、腫瘍重量および薬理学を明らかにするために、マウスを屠殺した。結果を図6A〜Cに示す。示されるとおり、FTSによって、腫瘍成長の速度が有意に低下した(p<0.05、図6A)。終末点での腫瘍重量も、FTS処置群では対照と比べて有意に少なかった(p=0.01、図6B)。図6Cに、薬理学の結果を示す。本発明者らは、経口FTS処置によって、Ras.GTP、Gal−3、およびp−ERKのレベルが有意に低下したことを見出した。全体としてこれらの実験は、FTSが、腫瘍においてin vivoでそのターゲットに打撃を与え、未分化甲状腺腫瘍の成長を抑制することを示した。
すべての特許刊行物および非特許刊行物は、本発明が属する分野の当業者の技量のレベルを示唆する。これらの刊行物はすべて、個々のそれぞれの刊行物について引用することにより本明細書の一部をなすものとすると明確かつ個別に指摘した場合と同じく、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
本明細書では本発明について特定の実施形態に関して述べてきたが、それらの実施形態は、単に本発明の原理および応用の具体例に過ぎないことを理解されたい。したがって、その具体例となる実施形態に数多くの変更を加えてもよいこと、ならびに添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の意図および範囲から逸脱することなく、他の計画を考案してもよいことを理解されたい。

Claims (24)

  1. 必要のある患者における甲状腺がんの治療方法であって、患者に、治療有効量の式
    [式中、Rは、ファルネシルまたはゲラニル−ゲラニルを表し、Rは、COOR、CONR、またはCOOCHROR10であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、またはアルケニルであり、Rは、Hまたはアルキルを表し、R10は、アルキルを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはアルキルメルカプトであり、XはSを表す]により表されるRasアンタゴニストを投与するステップを含み、ここで前記甲状腺がんはK−Rasのレベルが高いことにより特徴づけられる、方法。
  2. 前記RasアンタゴニストがFTSである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記Rasアンタゴニストが、5−クロロ−FTS、5−フルオロ−FTS、FTS−メチルエステル、FTS−アミド、FTS−メチルアミド、FTS−ジメチルアミド、S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、S−ゲラニルゲラニルチオサリチル酸メトキシメチル、5−フルオロ−S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、およびS−ファルネシルチオサリチル酸エトキシメチルからなる群から選択されるFTSアナログである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記投与が経口的である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記Rasアンタゴニストを、錠剤またはカプセル剤である経口剤形で投与する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記甲状腺がんが乳頭状甲状腺癌である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記甲状腺がんが濾胞性甲状腺癌である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  8. 前記甲状腺がんが未分化甲状腺癌である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。

  9. [式中、Rは、ファルネシルまたはゲラニル−ゲラニルを表し、Rは、COOR、CONR、またはCOOCHROR10であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、またはアルケニルであり、Rは、Hまたはアルキルを表し、R10は、アルキルを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはアルキルメルカプトであり、XはSを表す]により表され、必要のある患者において甲状腺がんの治療に使用するための有効量のRasアンタゴニストであって、前記甲状腺がんはK−Rasのレベルが高いことにより特徴づけられる、有効量のRasアンタゴニスト。
  10. 前記RasアンタゴニストがFTSである、請求項9に記載のRasアンタゴニスト。
  11. 前記Rasアンタゴニストが、5−クロロ−FTS、5−フルオロ−FTS、FTS−メチルエステル、FTS−アミド、FTS−メチルアミド、FTS−ジメチルアミド、S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、S−ゲラニルゲラニルチオサリチル酸メトキシメチル、5−フルオロ−S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、およびS−ファルネシルチオサリチル酸エトキシメチルからなる群から選択されるFTSアナログである、請求項9に記載のRasアンタゴニスト。
  12. 投与が経口的である、請求項9から11のいずれかに記載のRasアンタゴニスト。
  13. 前記Rasアンタゴニストが、錠剤またはカプセル剤である経口剤形で投与される、請求項4に記載のRasアンタゴニスト。
  14. 前記甲状腺がんが乳頭状甲状腺癌である、請求項9から13のいずれかに記載のRasアンタゴニスト。
  15. 前記甲状腺がんが濾胞性甲状腺癌である、請求項9から13のいずれかに記載のRasアンタゴニスト。
  16. 前記甲状腺がんが未分化甲状腺癌である、請求項9から13のいずれかに記載のRasアンタゴニスト。
  17. 必要のある患者において甲状腺がんを治療するための医薬組成物であって、式
    [式中、Rは、ファルネシルまたはゲラニル−ゲラニルを表し、Rは、COOR、CONR、またはCOOCHROR10であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、またはアルケニルであり、Rは、Hまたはアルキルを表し、R10は、アルキルを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、またはアルキルメルカプトであり、XはSを表す]により表されるRasアンタゴニストを含み、ここで前記甲状腺がんはK−Rasのレベルが高いことにより特徴づけられる、医薬組成物。
  18. 前記RasアンタゴニストがFTSである、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記Rasアンタゴニストが、5−クロロ−FTS、5−フルオロ−FTS、FTS−メチルエステル、FTS−アミド、FTS−メチルアミド、FTS−ジメチルアミド、S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、S−ゲラニルゲラニルチオサリチル酸メトキシメチル、5−フルオロ−S−ファルネシルチオサリチル酸メトキシメチル、およびS−ファルネシルチオサリチル酸エトキシメチルからなる群から選択されるFTSアナログである、請求項17に記載の医薬組成物。
  20. 前記組成物が経口投与に適するものである、請求項17から19のいずれかに記載の医薬組成物。
  21. 前記Rasアンタゴニストが、錠剤またはカプセル剤である経口剤形の形態である、請求項20に記載の医薬組成物。
  22. 前記甲状腺がんが乳頭状甲状腺癌である、請求項17から21のいずれかに記載の医薬組成物。
  23. 前記甲状腺がんが濾胞性甲状腺癌である、請求項17から21のいずれかに記載の医薬組成物。
  24. 前記甲状腺がんが未分化甲状腺癌である、請求項17から21のいずれかに記載の医薬組成物。
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