JP2013503349A - 主要有害心イベントの予測のためのバイオマーカーおよびその使用 - Google Patents

主要有害心イベントの予測のためのバイオマーカーおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、例えば、患者における主要有害心イベント(MACE)の発生に関連するリスクの決定に用いられ得るバイオマーカーの組み合わせおよびそのレベルに関する。

Description

本発明は、例えば、特定の期間にわたり患者における主要有害心イベント(MACE)の発生に関連する予後または将来的なリスク決定に用いられ得るバイオマーカーの組み合わせに関する。
急性冠症候群(ACS)の徴候および症状を呈する患者における将来的な主要有害心イベントのリスクを予測する能力は、重要な研究成果である。主要有害心イベント(MACE)は、一般に、死亡(あらゆる原因または心臓関連のいずれか)、心筋梗塞(MI)および血行再建(経皮的冠動脈血行再建術または冠動脈バイパス術のいずれか)のエンドポイントを意味する。二次的なエンドポイントは、多くの場合、うっ血性/慢性心不全(CHF)、脳卒中、再血行再建、およびACSまたは生命に関わるリズム障害による入院を含む。特に、リスク水準の早期決定により、外科手術、薬物投与、食事や運動の変化および/または定期的な心モニタリングによるかにかかわらず適切な治療介入を受けることによって、このようなイベントの重大なリスクを有する患者がこのリスクを低下させることができる。
急性冠症候群は、心臓への不十分な血液供給による胸痛である急性心筋虚血と適合する臨床症状の一群を包含する。特にこれは、不安定狭心症から非ST上昇型心筋梗塞およびST上昇型心筋梗塞にわたる臨床状態の範囲を包含する。2000年における心筋梗塞の再定義(J Am Coll Cardiol.2000;36:959−969)および2007年における心筋梗塞の新しい普遍的な定義(Thygesenら、J Am Coll Cardiol.2007;50:2173−95)は、臨床症状と併せた心筋梗塞の診断のための確実なバイオマーカーとしてトロポニンを確立した。トロポニンは、CK−MBに代わる好ましいマーカーとして同定された。トロポニンIおよびTは、先ず1970年代後半に心筋損傷の血清マーカーとして同定され(Clin.Sci.1979;56:30)、1980年代後半にその測定法が記載された(Am Heart J.1987;113:1333−44およびJ.Mol.Cell.Cardiol.1989;21:1349−1353)。
トロポニンは、3種のトロポニン分子(すなわち、トロポニンI、トロポニンTおよびトロポニンC)の複合体である。トロポニンTは、トロポニン複合体とトロポミオシンを結合し、トロポニンIは、アクトミオシンアデノシントリホスファターゼ活性の阻害剤としてアクチンとミオシンの相互作用を調節し、トロポニンCは、カルシウム結合ユニットである。トロポニン複合体は、骨格筋および心筋の両方を含むあらゆる横紋筋組織において見出される。トロポニンCは、あらゆる種類の横紋筋に単一の型しか存在せず、一方、トロポニンIおよびトロポニンTは、心筋、速筋および遅筋に対して特異的な3種のアイソフォームが発見されている。トロポニンIおよびトロポニンTの心筋特異型は、心筋梗塞の診断に用いられる型である。(心筋型は、名称の前に付けられた小文字のc、すなわち、cTnIおよびcTnTで表されている。)cTnIおよびcTnTは、心臓の細胞壊死により心臓から放出される。Tnの小型の細胞質プールが存在することが知られており、これは筋細胞のさらなる崩壊に先立ち放出される。原文献は、トロポニンの放出が傷害後約4−6時間に始まり(Wuら、Clin Chem.1999;45:1104−21)、12−16時間でピークに達すると説明するが、より新しくさらに高感度の測定法によると、トロポニンはさらに早く、恐らくはミオグロビンと同程度の早さで放出されると考えられる。
トロポニンは、数種類の異なる型で血液中を循環する。正確な循環型は完全には特徴付けられていないが、循環型cTnIの大部分はTnCと二重複合体を形成し(Katrukhaら、Clin Chem.1997;43:1379−85)、その後、cTnI−TnC−cTnT三重複合体を形成し、遊離型cTnIは殆ど循環していないと考えられる。さらに、cTnIは、リン酸化されていても、還元/酸化されていても、ヘパリンと結合していてもよい。
以前の研究から、初診後短期(すなわち、30から42日)または中期(すなわち、6ヶ月)の患者をリスク層別化するための単一マーカーの有用性が証明された。OhmanらおよびAntmanら(NEJM 1996;325:1331−41および1342−9)は、短期リスク層別化に対するトロポニンの有用性を証明した。急性冠症候群における閉塞冠動脈の再疎通治療戦略の国際的使用(Global Use of Strategies to Open Occluded Coronary Arteries in Acute Coronary Syndromes)(GUSTO−IIa)のサブ研究は、急性心筋虚血患者のリスク層別化における心筋トロポニンT(cTnT)の可能性を調査した。30日以内の死亡率は、cTnTレベルが上昇した患者において有意に高かった。TIMI(心筋梗塞における血栓溶解)IIIB試験において、急性冠症候群の患者から得られた試料が心筋トロポニンI(cTnI)に関して解析され、cTnIレベルと42日目の死亡率との間の関連性が決定された。cTnIのレベル上昇に伴い統計的に有意な死亡率増加が見られた。
別の研究において、不安定狭心症および非ST上昇型心筋梗塞の患者におけるリスクを予測するB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の能力が評価された(Morrowら、J Am Coll Cardiol.2003;41:1264−72)。TACTICS−TIMI(アグラスタットによる狭心症の治療と侵襲的または保存的治療の経費の決定−心筋梗塞における血栓溶解(Treat Angina with Aggrastat and determine Cost of Therapy with an Invasive or Conservative Strategy−Thrombolysis in Myocardial Infarction))18試験に登録された患者から得られた試料が評価された。非ST上昇型急性冠症候群(ACS)患者において、単独およびcTnIと併せて、様々な切点にわたってリスク評価および臨床判断するためにBNPを用いる能力が評価された。7日目および6ヶ月目にイベントが評価された。BNPが上昇(>80pg/mL)した患者は7日目および6ヶ月目の死亡リスクがより高く、この関連はcTnIとは独立的であった。BNPが上昇した患者は、30日目のうっ血性心不全(CHF)発症リスクもより高かった。著者らは、受診時のBNP上昇は、より高い死亡およびCHFリスクを有する非ST上昇型ACS患者を同定し、cTnIに追加的な情報を付け加えると結論した。
単一のマーカーに加えて、バイオマーカーパネルの急性冠症候群患者をリスク層別化する能力が評価された。上述の個々のマーカーが有害心イベントを予測することを示した。有害心イベントの予測における組み合わせマーカーの有用性は、OPUS−TIMI(不安定冠症候群の患者を対象としたオルボフィバン−心筋梗塞における血栓溶解(Orbofiban in Patients with Unstable coronary Syndromes−Thrombolysis in Myocardial Infarction))試験に登録された患者から得られた試料を用いて評価された(Sabatineら、Circulation.2002;105:1760−3)。cTnI、CRP(C反応性タンパク質)およびBNPのベースライン測定値が測定された。それぞれcTnI、CRPおよびBNPの上昇は、死亡、心筋梗塞またはうっ血性心不全の独立的予測因子であった。上昇マーカーの数に基づく患者の分類は、各追加的な陽性マーカーに対しほぼ2倍の死亡リスクと関連した。MI、CHFおよび複合型のエンドポイントに対して30日目と10ヶ月間の両方でも同様の関係性が示された。
TACTICS−TIMIの患者から得られた試料を利用する同様の研究は、異なるマーカーパネルを調査した(Morrowら、Eur.Heart J.2008;29:1096−1102)。非ST上昇型ACSにおける非致死的虚血性イベント再発に対するミエロペルオキシダーゼ(MPO)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、BNP、高感度CRP(hsCRP)およびcTnIの予後上の有用性が調査された。ベースラインMPOの上昇は、30日目における非致死的心筋梗塞またはACSによる再入院のより高いリスクを示す。ベースラインMPO、BNPおよびcTnIを用いた層別化は、30日目における虚血性イベント再発の>3倍のリスクを同定した。sCD40Lは、この集団におけるリスク増加と関連しなかった。
J Am Coll Cardiol.2000;36:959−969 Thygesenら、J Am Coll Cardiol.2007;50:2173−95 Clin.Sci.1979;56:30 Am Heart J.1987;113:1333−44 J.Mol.Cell.Cardiol.1989;21:1349−1353 Wuら、Clin Chem.1999;45:1104−21 Katrukhaら、Clin Chem.1997;43:1379−85 Ohmanら(NEJM 1996;325:1331−41) Antmanら(NEJM 1996;325:1342−9) Morrowら、J Am Coll Cardiol.2003;41:1264−72 Sabatineら、Circulation.2002;105:1760−3 Morrowら、Eur.Heart J.2008;29:1096−1102
上述に鑑み、心臓の傷害、不可逆的またはさらには致死的となり得る傷害のイベントに先立って治療介入を行うことができるような、主要有害心イベントの有意で正確な予測をするものが極めて必要である。より具体的には、本明細書に記載されているバイオマーカーおよびその使用により、このようなイベントを予測する能力を提供し、医師と患者に、このような予後情報なくしては失われていた筈の命を救うための適切な工程を実施する機会を与えることができる。
本明細書に参照されているあらゆる特許および刊行物は、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
(発明の要旨)
本発明は、患者における、急性冠症候群(ACS)の少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベント(MACE)を経験するリスクを決定する方法を包含する。この方法は、a)患者から試験試料を得る工程、b)試験試料におけるトロポニンI(TnI)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)またはその切断産物、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、胎盤増殖因子(PlGF)、推算糸球体濾過量(eGFR)、ホモシステイン(HCY)、コリン、虚血修飾アルブミン(IMA)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)およびリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPLA2)からなる群から選択される少なくとも3種類のバイオマーカーの量を決定する工程、ならびにc)少なくとも3種類のバイオマーカーの量をバイオマーカー標準試料と比較する工程を含み、リスクは比較の結果によって決定される。特に、これら少なくとも3種類のバイオマーカーは、例えば、プロBNPまたはその切断産物、PlGF、eGRFおよびホモシステインからなる群から選択されてよい。あるいは、少なくとも3種類のバイオマーカーは、例えば、プロBNPまたはその切断産物(例えば、BNPまたはNT−プロBNP)、PlGFおよびeGFRからなる群から選択される。さらに、少なくとも3種類のバイオマーカーは、例えば、cTnI、プロBNPまたはその切断産物およびPlGFからなる群から選択される。あるいは、少なくとも3種類のバイオマーカーは、例えば、cTnI、プロBNPまたはその切断産物、コリンおよびeGFRからなる群から選択される。試験試料は、血液、血清および血漿からなる群から選択されてよい。この結果は、患者がストレス試験を受けた後に、急性冠症候群の少なくとも1症状を呈して1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクの決定に用いられてよい。主要有害心イベントは、例えば、心筋梗塞、死亡および血行再建、血行再建反復、脳卒中、心不全およびリズム障害からなる群から選択される少なくとも1状態を含む。さらに、本発明は、患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含む、患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクを決定する方法を含み、約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、患者のeGRFが評価される必要があることを示し、PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、試験試料におけるBNPレベルが再評価される必要があることを示し、BNPレベルが再評価される必要がある場合、約65pg/mL以下のBNPレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約65pg/mLを超えるBNPレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示す。特に、約150pg/mL以下のBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約6.4%の主要有害心イベント発生率を有する。また、約150pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約27.6%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約2.4%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約19.5pg/mLを超えるPlGF値を有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.5%の主要有害心イベント発生率を有する。また、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.3%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約68mL/min/1.73m以下のeGFRを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約36.5%の主要有害心イベント発生率を有する。また、約65pg/mL以下のBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約1%未満の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約65pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約12.1%の主要有害心イベント発生率を有する。
さらに、本発明は、患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含む、患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験する発生率を決定する方法を含み、約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者のeGRFが評価される必要があることを示し、PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、試験試料におけるHCYレベルが評価される必要があることを示し、約19.5を超えるPlGFレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示し、前記HCYレベルが評価される必要がある場合、約12.5μmol/L以下のHCYレベルは、前記患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約12.5μmol/Lを超えるHCYレベルは、患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示す。約150pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約27.6%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約150pg/mL以下のBNPレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約6.4%の主要有害心イベント発生率を有する。また、約19.5pg/mLを超えるPlGF値を有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.5%の主要有害心イベント発生率を有する。
さらに、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約2.4%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.3%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約68mL/min/1.73m以下のeGFRレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約36.5%の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、12.5μmol/L以下のHCYレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約1%未満の主要有害心イベント発生率を有する。さらに、約12.5μmol/Lを超えるHCYレベルを有する患者は、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約10%の主要有害心イベント発生率を有する。
また、本発明は、確立された標準試料(例えば、cTnI≦約0.015ng/mL)と比較することによって、患者が心筋トロポニンI陰性であるか決定する工程および前記患者が心筋トロポニンI陰性である場合、患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含む、慢性腎疾患であると以前に確立または診断された患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクを決定する方法を包含し、約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者のeGRFが評価される必要があることを示し、前記PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、前記試験試料におけるBNPレベルが再評価される必要があることを示し、前記BNPレベルが再評価される必要がある場合、約65pg/mL以下のBNPレベルは、前記患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約65pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRレベルは、前記患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、前記患者がACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示す。
BNP、PlGFおよびeGFRレベルを利用することによってどのようにリスク決定が行われるかを示す図である。カテゴリー毎に患者数(N)が示されており、主要有害心イベント(MACE)を生じた患者のパーセンテージは括弧内に示されている。各分割に利用したバイオマーカーおよびカットオフが示されている。cTnIは解析に含まれているが、リスク決定に関して上述のバイオマーカーほど重要ではない。 BNP、PlGF、HCYおよびeGFRレベルの使用に基づいてどのようにリスク決定が行われるかを示す図である。カテゴリー毎に患者数(N)が示されており、主要有害心イベント(MACE)を生じた患者のパーセンテージは括弧内に示されている。各分割に利用したバイオマーカーおよびカットオフが示されている。上と同様に、cTnIは解析に含まれているが、リスク決定に関して上述のバイオマーカーほど重要ではない。 cTnI、BNPおよびPlGFレベルの使用に基づいてどのようにリスク決定が行われるかを示す図である。カテゴリー毎に患者数(N)が示されており、主要有害心イベント(MACE)を生じた患者のパーセンテージは括弧内に示されている。各分割に利用したバイオマーカーおよびカットオフが示されている。 cTnI、BNP、コリン(血漿)およびeGFRレベルの使用に基づいてどのようにリスク決定が行われるかを示す図である。カテゴリー毎に患者数(N)が示されており、主要有害心イベント(MACE)を生じた患者のパーセンテージは括弧内に示されている。各分割に利用したバイオマーカーおよびカットオフが示されている。
本発明は、例えば、心筋梗塞、死亡および/または心臓の血行再建等、主要有害心イベント(MACE)発生の可能性に関連するリスク決定のための、バイオマーカーの組み合わせの検出およびレベル(またはその不在)(すなわち、予後およびリスク層別化の式)に関する。より具体的には、本発明は、患者から得られた試験試料中に存在する少なくとも3種類のバイオマーカーの存在(または不在)およびレベルの使用を包含する。これらのマーカーは、例えば、心筋トロポニンI(cTnI)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)、NT−プロBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)、胎盤増殖因子(PlGF)、ホモシステイン(HCY)、コリン、虚血修飾アルブミン(IMA)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA(LpPLA)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)および高感度C反応性タンパク質(hsCRP)からなる群から選択され、リスクがある患者もしくは急性冠症候群の臨床症状を呈する患者における、または完全な心臓評価がなされているそれ以外は健常な患者における、上述のこのような心イベントの将来的な発生の予測において、推算糸球体濾過量(eGFR)と共に用いられ得る。これらバイオマーカーの存在およびレベルに関する情報は、医師がその後、リスクがある患者のために適切な介入療法および/または薬剤を処方できるように、患者のMACEリスクの決定において医師を支援する。
このようなマーカーの存在または不在の検出およびそのレベルは、当業者によく知られた様々な測定法形式(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているThe Immunoassay Handbook、第2版、David Wild編、Nature Publishing Group、London 2001を参照)により得ることができる。例えば、試験試料における本明細書に記載のバイオマーカー(またはその断片)の存在、量または濃度は、1)サンドイッチ免疫測定法(例えば、化学発光検出、放射性同位元素検出(例えば、ラジオ免疫測定法(RIA))および酵素検出(例えば、酵素免疫測定法(EIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)(例えば、Quantikine ELISA測定法、R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)))等、モノクローナル、ポリクローナルおよび/またはDVD−Igサンドイッチ免疫測定法、またはそれらの任意の変種(例えば、モノクローナル/DVD−IgもしくはDVD−Ig/ポリクローナル))、2)競合阻害免疫測定法(例えば、フォワードおよびリバース)、3)蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、4)酵素増幅免疫測定法(EMIT)、5)生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、6)均一化学発光測定法、7)SELDIに基づく免疫測定法、8)化学発光微粒子免疫測定法(CMIA)および9)臨床化学比色測定法(例えば、IMA、eGFR決定のためのクレアチニンおよびLC−MS/MS)等、免疫測定法を用いて得ることができる。(例えば、Tietz Textbook of Clinical Chemistry and Molecular Diagnostics.第4版、CA Burtis、ER AshwoodおよびDE Bruns編、Elsevier Saunders、ミズーリ州セントルイス、2006を参照。)利用可能な方法(単数または複数)は、検出したいバイオマーカーの種類に依存し、このような方法は、上述の通り当業者によく知られている。
さらに、尿、血液、血清および血漿ならびに他の体液を採取、取り扱いおよび処理するための本技術分野でよく知られた方法が、本発明の実施に用いられる。試験試料は、抗体、抗原、ハプテン、ホルモン、薬剤、酵素、受容体、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド等、対象分析物に加えてさらに別の成分を含んでよい。例えば、試料は、対象から得られた全血試料となることができる。本明細書に記載されている免疫測定法または他の測定法に付される前に、試験試料、特に全血が、例えば前処理試薬を用いて処理されることが必要または望ましくなる可能性がある。前処理が必要とされない場合(例えば、大部分の尿試料)であっても、場合によって前処理が行われてよい(例えば、市販のプラットフォームにおける処方計画の一部として)。
本明細書に記載の測定法において利用できる固体担体または固相は、本技術分野でよく知られており、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、メンブレン、足場分子、フィルム、濾紙、ディスクおよびチップを含むが、これらに限定されるものではない。
さらに、免疫測定法が利用されている場合、本技術分野で公知のような任意の適切で検出可能な標識が用いられてよい。例えば、検出可能な標識は、放射性標識(H、125I、35S、14C、32Pおよび33P等)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸脱水素酵素その他等)、化学発光標識(アクリジニウムエステル、チオエステルまたはスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステル(その他等)、蛍光標識(フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネートその他)等)、ローダミン、フィコビリンタンパク質、R−フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛キャッピングセレン化カドミウム)、温度測定標識または免疫ポリメラーゼ連鎖反応標識となることができる。標識、標識手順および標識検出の入門書として、Polak and Van Noorden、Introduction to Immunocytochemistry、第2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)およびMolecular Probes、Inc.、オレゴン州ユージーンから刊行されたハンドブックとカタログの組み合わせであるHaugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)が挙げられる。蛍光標識は、FPIA(例えば、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,593,896号、第5,573,904号、第5,496,925号、第5,359,093号および第5,352,803号明細書を参照)で用いられてよい。アクリジニウム化合物は、均一または不均一化学発光測定法において検出可能な標識として用いられてよい(例えば、Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.16:1324−1328(2006);Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:2313−2317(2004);Adamczykら、Biorg.Med.Chem.Lett.14:3917−3921(2004)およびAdamczykら、Org.Lett.5:3779−3782(2003)を参照)。
好ましいアクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。アクリジニウム9−カルボキサミドを調製するための方法は、Mattingly、J.Biolumin.Chemilumin.6:107−114(1991)、Adamczykら、J.Org.Chem.63:5636−5639(1998)、Adamczykら、Tetrahedron 55:10899−10914(1999)、Adamczykら、Org.Lett.1:779−781(1999)、Adamczykら、Bioconjugate Chem.11:714−724(2000)、Mattinglyら、In Luminescence Biotechnology:Instruments and Applications;Dyke、K.V.Ed.;CRC Press:Boca Raton、77−105頁(2002)、Adamczykら、Org.Lett.5:3779−3782(2003)ならびに米国特許第5,468,646号、第5,543,524号および第5,783,699号明細書(これらのそれぞれは、これに関するその教示のためその全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。別の好ましいアクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルである。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルの一例として、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホン酸(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバーから入手可能)が挙げられる。アクリジニウム9−カルボン酸アリールエステルを調製するための方法は、McCapraら、Photochem.Photobiol.4:1111−21(1965)、Razaviら、Luminescence 15:245−249(2000)、Razaviら、Luminescence 15:239−244(2000)および米国特許第5,241,070号明細書(これらのそれぞれは、これに関するその教示のためその全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルおよびその使用に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2008−0248493号明細書に説明されている。化学発光測定法(例えば、上述のアクリジニウムまたは他の化学発光剤を用いた)は、Adamczykら、Anal.Chim.Acta 579(1):61−67(2006)に記載されている方法に従って行われてよい。どの適切な測定法形式が用いられてもよいが、マイクロプレート化学発光計(Mithras LB−940、Berthold Technologies U.S.A.、LLC、テネシー州オークリッジ)は、小容量の複数試料の迅速な測定法を可能にする。それと同時またはその後に少なくとも1種類の塩基性溶液を試料に添加すると、分析物の存在を示唆する検出可能なシグナル、すなわち化学発光シグナルが生じる。塩基性溶液は、少なくとも1種類の塩基物質を含有し、10以上、好ましくは12以上のpHを有する。塩基性溶液の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸水素カルシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。試料に添加される塩基性溶液の量は、塩基性溶液の濃度に依存する。用いた塩基性溶液の濃度に基づいて、当業者であれば、試料に添加する塩基性溶液の量を容易に決定することができる。
生じた化学発光シグナルは、当業者にとって公知のルーチンの技法を用いて検出されてよい。生じたシグナルの強度に基づいて、試料における分析物の量が定量化され得る。具体的には、試料における分析物の量は、生じたシグナルの強度に比例する。存在する分析物の量は、生じた光の量を分析物の検量線と比較することによって、または標準試料と比較することによって、定量化され得る。検量線は、段階希釈または公知の分析物濃度の溶液を用いて、質量分析、重量測定法および本技術分野で公知の他の技法により作成され得る。上の記述は、化学発光剤としてアクリジニウム化合物の使用に重点を置いて説明してきたが、当業者であれば、この記述を他の化学発光剤の使用に容易に適応させることができる。
上述の通り、分析物の免疫測定法は一般に、サンドイッチ形式等、本技術分野で公知のどの形式を用いて行われてよいが、これに限定されるものではない。具体的には、免疫測定法の一形式において、試料におけるヒト分析物またはその断片等、分析物の分離および定量化のために少なくとも2種類の抗体が用いられる。より具体的には、少なくとも2種類の抗体は、分析物(またはその断片)上の異なるエピトープと結合し、「サンドイッチ」と呼ばれる免疫複合体を形成する。一般に、免疫測定法において、試験試料における分析物(またはその断片)を捕捉するために、1つ以上の抗体が用いられてよく(すなわち、これらの抗体は、多くの場合「捕捉」抗体と言う。)、検出可能(すなわち、定量化可能)な標識をサンドイッチに結合するために、1つ以上の抗体が用いられてよい(すなわち、これらの抗体は、多くの場合「検出抗体」または「コンジュゲート」と言う)。したがって、サンドイッチ免疫測定法形式に関連して、抗体(またはその断片、変種もしくは変種の断片)は、捕捉抗体、検出抗体またはその両方として用いられてよい。例えば、分析物(またはその断片)上の第一のエピトープと結合できるドメインを有するあるDVD−Igは、捕捉抗体として用いることができ、および/または分析物(またはその断片)上の第二のエピトープと結合できるドメインを有する別のDVD−Igは、検出抗体として用いることができる。この点において、分析物(またはその断片)上の第一のエピトープと結合できる第一のドメインおよび分析物(またはその断片)上の第二のエピトープと結合できる第二のドメインを有するDVD−Igは、捕捉抗体および/または検出抗体として用いることができる。あるいは、第一の分析物(またはその断片)上のエピトープと結合できる第一のドメインおよび第二の分析物(またはその断片)上のエピトープと結合できる第二のドメインを有する1種類のDVD−Igは、2種類以上の分析物を検出、場合によって定量化するための捕捉抗体および/または検出抗体として用いることができる。
一般的に言えば、免疫測定法において、バイオマーカー(またはその断片)に関して検査されている(例えば、それを含有している疑いのある)試料は、同時または連続的のいずれかにおいて任意の順序で少なくとも1種類の捕捉抗体および少なくとも1種類の検出抗体(例えば、捕捉および/または検出抗体が複数の抗体を含む場合、これは、第二の検出抗体もしくは第三の検出抗体またはさらに続く数の抗体となることができる。)と接触されてよい。例えば、試験試料は、先ず少なくとも1種類の捕捉抗体と、次に(連続的に)少なくとも1種類の検出抗体と接触されてよい。あるいは、試験試料は、先ず少なくとも1種類の検出抗体と、次に(連続的に)少なくとも1種類の捕捉抗体と接触されてよい。さらに別の代替法において、試験試料は、捕捉抗体および検出抗体と同時に接触されてよい。
上述のサンドイッチ測定法形式において、分析物(またはその断片)を含有している疑いのある試料は、先ず、第一の抗体/分析物複合体が形成できる条件下で、少なくとも1種類の第一の捕捉抗体と接触させる。2種類以上の捕捉抗体が用いられる場合、2種類以上の捕捉抗体を含む第一の捕捉抗体/分析物複合体が形成される。サンドイッチ測定法において、抗体、すなわち好ましくは少なくとも1種類の捕捉抗体は、試験試料において予想される最大量の分析物(またはその断片)のモル過剰量で用いられる。例えば、バッファー(例えば、微粒子コーティングバッファー)1mL当たり約5μgから約1mgの抗体が用いられてよい。
対照的に、単一の抗体による結合が必要とされることから多くの場合小分子分析物の測定に用いられる競合阻害免疫測定法は、連続的形式および古典的形式を含む。連続的競合阻害免疫測定法において、対象分析物に対する捕捉抗体は、マイクロタイタープレートウエルまたは他の固体担体上にコーティングされる。対象分析物を含有する試料がウエルに添加されると、対象分析物は捕捉抗体と結合する。洗浄後、公知の量の標識された分析物(例えば、アクリジニウム、ビオチンまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))がウエルに添加される。シグナル発生のため、酵素標識に対する基質が必要とされる。HRPに対する適切な基質の一例として、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)が挙げられる。洗浄後、標識された分析物によって生じたシグナルが測定され、これは試料における分析物の量に反比例する。古典的競合阻害免疫測定法において、対象分析物に対する抗体が固体担体(例えば、マイクロタイタープレートのウエル)上にコーティングされる。しかし、連続的競合阻害免疫測定法とは異なり、試料および標識された分析物が同時にウエルに添加される。試料中の任意の分析物は、捕捉抗体との結合において標識された分析物と競合する。洗浄後、標識された分析物によって生じたシグナルが測定され、これは試料における分析物の量に反比例する。
試験試料における分析物(例えば、バイオマーカー)またはその断片の濃度は、公知の濃度の分析物またはその断片の段階希釈を用いて作成された検量線の使用等、適切な手段により決定される。分析物またはその断片の段階希釈を用いる以外には、検量線は、重量測定により、質量分析により、および本技術分野で公知の他の技法により作成できる。
ARCHITECT(登録商標)分析装置を用いた化学発光微粒子測定法において、コンジュゲート希釈液のpHは、約6.0+/−0.2となることができ、微粒子コーティングバッファーは、ほぼ室温(すなわち、約17から約27℃)で維持されてよく、微粒子コーティングバッファーのpHは、約6.5+/−0.2となることができ、微粒子希釈液のpHは、約7.8+/−0.2となることができる。固形物は、好ましくは約0.2%未満であり、例えば約0.15%未満、約0.14%未満、約0.13%未満、約0.12%未満または約0.11%未満等であり、例えば約0.10%等である。当然ながら、これらの範囲または数値は、例えば、バックグラウンド干渉の低下、感度の上昇、特異性の上昇等を含む、測定法のこのような性質を増強するために変更され得る。
FPIAは、競合的結合免疫測定法の原理に基づく。蛍光標識した化合物は、直線偏光により励起されると、その回転速度に反比例する偏光度の蛍光を発する。蛍光標識したトレーサー−抗体複合体が直線偏光により励起されると、フルオロフォアは吸光時から発光時の間における回転が制約されるため、放射光は高度に偏光し続ける。「遊離」トレーサー化合物(すなわち、抗体と結合していない化合物)が直線偏光により励起されると、その回転は、競合的結合免疫測定法において生成された対応するトレーサー−抗体コンジュゲートよりも速くなる。FPIAは、特別な取り扱いおよび廃棄処理を必要とする放射性物質がないため、RIAよりも有利である。加えて、FPIAは、容易で迅速に行うことのできる均一測定法である。
測定法の方法(およびそのキット)に関し、市販の抗分析物抗体または文献に記載されている抗分析物を作製するための方法を用いることが可能となり得る。種々の抗体の商業的サプライヤーとして、Santa Cruz Biotechnology Inc.(カリフォルニア州サンタクルーズ)、GenWay Biotech、Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)およびR&D Systems(RDS;ミネソタ州ミネアポリス)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般に、所定のレベルは、例えば疾病を検出または疾病リスクを決定するため、分析物またはその断片に関して試験試料を測定法することにより得られた結果を評価するためのベンチマークとして用いられ得る。一般にこのような比較において、所定のレベルは、分析物の存在、量または濃度と、疾病、障害または状態の特定のステージもしくはエンドポイントとのまたは特定の臨床兆候との連関もしくは関連付けがなされるように、特定の測定法を適切な条件下で十分な回数行うことにより得られる。通常、所定のレベルは、基準対象(または対象の集団)の測定法により得られる。測定される分析物は、その断片、その分解産物および/またはその酵素切断産物を含み得る。
特に、疾病進行および/または治療のモニタリングに用いられる所定のレベルに関し、分析物またはその断片の量または濃度は、「変化しない」、「好ましい」(もしくは「好ましく変更」)または「好ましくない」(もしくは「好ましくなく変更」)となり得る。「上昇」または「増加」は、試験試料における、通常もしくは正常レベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)よりも高い、または別の基準レベルもしくは範囲(例えば、より初期の試料もしくはベースライン試料)よりも高い量もしくは濃度を意味する。用語「低下」または「減少」は、試験試料における、通常もしくは正常レベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)より低い、または別の基準レベルもしくは範囲(例えば、より初期の試料もしくはベースライン試料)より低い量もしくは濃度を意味する。用語「変更」は、試料における、通常もしくは正常レベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)と比べて、または別の基準レベルもしくは範囲(例えば、より初期の試料もしくはベースライン試料)と比べて、変更した(増加または減少した)量もしくは濃度を意味する。
分析物の通常または正常レベルまたは範囲は、標準的技法に従って規定される。分析物のレベルは一部の事例では非常に低いため、実験誤差または試料変動では説明できない、通常もしくは正常レベルもしくは範囲または基準レベルもしくは範囲と比べて何らかの純変化があれば、いわゆる変更レベルまたは変更が生じたと考えてよい。したがって、特定の試料において測定されたレベルは、いわゆる正常な対象から得られた同様の試料において決定されたレベルまたはレベル範囲と比較される。これに関連して、「正常な対象」は、例えば検出可能な疾病のない個体であり、「正常」(「対照」と呼ばれることもある)患者または集団は、例えばそれぞれが検出可能な疾病を示さない患者または集団である。さらに、分析物がヒト集団の大多数でルーチンに高レベルで見出されなければ、「正常な対象」は、実質的に検出可能に増加または上昇した分析物の量または濃度を持たない個体であると考えてよく、「正常」(「対照」と呼ばれることもある)患者または集団は、実質的に検出可能に増加または上昇した分析物の量または濃度を示さない患者または集団である。「見かけ上正常な対象」は、分析物が現在まで評価されていないまたは現在評価されている対象である。分析物が正常では検出不能(例えば、正常レベルがゼロ、または正常集団の約25から約75パーセンタイルの範囲内)であるが、試験試料において検出される場合、また、分析物が正常レベルより高いレベルで試験試料中に存在する場合、分析物のレベルは「上昇した」と言われる。したがって、とりわけ本開示は、特定の疾病、障害または状態を発症するまたは発症リスクがある対象を選別する方法を提供する。測定法法は、他のマーカー等の測定法にも関与し得る。
したがって、本明細書に記載されている方法は、対象が所定の疾病、障害または状態を発症しているまたは発症リスクがあるか否かの決定に用いてもよい。具体的には、このような方法は、(a)本明細書に記載されている方法または本技術分野で公知の方法を用いて、対象から得られた試験試料における分析物(またはその断片)の濃度または量を決定する工程、および(b)工程(a)において決定された分析物(またはその断片)の濃度または量を所定のレベルと比較する工程を含むことができ、工程(a)において決定された分析物の濃度または量が所定のレベルに関して好ましい場合、その後対象は所定の疾病、障害または状態を発症していないまたはリスクがないと決定される。しかし、工程(a)において決定された分析物の濃度または量が所定のレベルに関して好ましくない場合、その後対象は所定の疾病、障害または状態を発症しているまたはリスクがあると決定される。
さらに、対象における疾病進行をモニタリングする方法が本明細書に提供されている。最も有利には、(a)対象から得られた試験試料における分析物(例えば、バイオマーカー)の濃度または量を決定する工程、(b)対象から得られたより後期の試験試料における分析物の濃度または量を決定する工程、および(c)工程(b)において決定された分析物の濃度または量を工程(a)において決定された分析物の濃度または量と比較する工程を含み、工程(a)において決定された分析物の濃度または量と比較して工程(b)において決定された濃度または量が変化しないまたは好ましくない場合、その後対象における疾病が持続、進行または悪化したことが決定される方法。比較することにより、工程(a)において決定された分析物の濃度または量と比較して工程(b)において決定された分析物の濃度または量が好ましい場合、その後対象における疾病が休止、消退または改善されたと決定される。
場合によって、方法は、工程(b)において決定された分析物の濃度または量を、例えば所定のレベルと比較する工程をさらに含む。さらに場合によって、比較が、工程(b)において決定された分析物の濃度または量が例えば所定のレベルに関して好ましくなく変更したことを示す場合、方法は、ある期間1つ以上の医薬組成物で対象を治療する工程を含む。
したがって、特定の実施形態において、本開示は、所定の疾病、障害または状態を発症しているまたはリスクがある対象が治療候補であるか決定する方法も提供する。一般に、対象は、所定の疾病、障害もしくは状態の一部症状を経験した、または所定の疾病、障害もしくは状態を発症しているもしくはリスクがあると実際に診断された、および/または本明細書に記載されている分析物もしくはその断片の好ましくない濃度もしくは量を示した対象である。
当然ながら、本明細書における特定の実施形態は、本明細書に記載されている所定の疾病、障害または状態の評価に用いられた場合に有利であるが、測定法およびキットは、他の疾病、障害および状態における分析物の評価に用いられてよい。測定法法は、他のマーカー等の測定法にも関与し得る。
キット
分析物(またはその断片)の存在、量または濃度に関して試験試料を測定法するためのキットもまた、本発明の範囲内に包含される。キットは、分析物(またはその断片)に関して試験試料を測定法するための少なくとも1種類の構成要素および分析物(またはその断片)に関して試験試料を測定法するための取扱説明書を含む。分析物(またはその断片)に関して試験試料を測定法するための少なくとも1種類の構成要素は、例えば、場合によって固相上に固定化された、バイオマーカー(またはその断片、変種もしくは変種の断片)に対する抗体を含む組成物を含むことができる。
キットは、測定法、例えば化学発光微粒子免疫測定法により分析物に関して試験試料を測定法するための少なくとも1種類の構成要素および免疫測定法、例えば化学発光微粒子免疫測定法により分析物に関して試験試料を測定法するための取扱説明書を含むことができる。例えば、キットは、そのいずれかが検出可能に標識されていてよい、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(または分析物と結合できるその断片、分析物と結合できるその変種もしくは分析物と結合できる変種断片)等、分析物に対する少なくとも1種類の特異的結合パートナーを含むことができる。あるいは、またはさらに、キットは、そのいずれかが固体担体上に固定化されてよい、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(または分析物と結合できるその断片、分析物と結合できるその変種もしくは分析物と結合できる変種断片)または抗分析物DVD−Ig(またはその断片、変種もしくは変種の断片)との結合において試験試料中の任意の分析物と競合できる、検出可能に標識された分析物(または抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体もしくは抗分析物DVD−Ig(もしくはその断片、変種もしくは変種断片)と結合できるその断片)を含むことができる。キットは、1つ以上の検量物質または対照、例えば、単離または精製された分析物を含むことができる。キットは、測定法を行うための少なくとも1種類の容器(例えば、例えば第一の特異的結合パートナーで予めコーティングされていてよいチューブ、マイクロタイタープレートまたは条片)および/またはその内いずれか一方が濃縮液、検出可能な標識(例えば、酵素標識)のための基質溶液もしくは停止液として提供されてよい測定法バッファーもしくは洗浄バッファー等のバッファーを含むことができる。好ましくは、キットは、測定法の実施に必要とされるあらゆる構成要素、すなわち試薬、標準物質、バッファー、希釈液等を含む。取扱説明書は、書面形式であっても、ディスク、CD、DVDその他等、コンピューターで読み込み可能な形式であってもよい。
抗バイオマーカー抗体もしくは抗分析物DVD−Ig等、任意の抗体またはトレーサーは、フルオロフォア、放射性成分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識その他等、本明細書に記載されている検出可能な標識を取り込むことができる、またはキットは、検出可能な標識を行うための試薬を含むことができる。抗体、検量物質および/または対照は、別個の容器に提供されてよい、または適切な測定法形式、例えばマイクロタイタープレートに予め分注されてよい。
場合によって、キットは、品質管理用構成要素(例えば、感受性パネル、検量物質および陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は、本技術分野でよく知られており、様々な免疫診断用製品の添付文書に記載されている。感受性パネル要素は、場合によって測定法の性能特性を確立するために用いられ、さらに場合によって測定法キット試薬の完全性および測定法の標準化の有用な指標である。
キットは、場合によって、バッファー、塩、酵素、酵素補助因子、酵素基質、検出試薬その他等、診断測定法の実施に必要とされる、または品質管理評価を容易にする他の試薬を含むこともできる。試験試料の単離および/または処理のためのバッファーおよび溶液(例えば、前処理試薬)等、他の構成要素もキットに含まれてもよい。キットは、1つ以上の他の対照を追加的に含むことができる。キット構成要素の内1つ以上は凍結乾燥されてよく、その場合、キットは、凍結乾燥した構成要素の再構成に適した試薬をさらに含むことができる。
様々なキット構成要素は、場合によって、必要に応じて適切な容器、例えばマイクロタイタープレートに提供される。キットは、試料を保持または保存するための容器(例えば、尿試料のための容器またはカートリッジ)をさらに含むことができる。適切であれば、キットは、場合によって反応槽、混合槽および試薬または試験試料の調製を容易にする他の構成要素を含むこともできる。キットは、注射器、ピペット、ピンセット、計量スプーンその他等、試験試料の採取を補助するための1つ以上の器具を含むこともできる。
検出可能な標識が少なくとも1種類のアクリジニウム化合物である場合、キットは、少なくとも1種類のアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1種類のアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルまたはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、検出可能な標識が少なくとも1種類のアクリジニウム化合物である場合、キットは、バッファー、溶液等の過酸化水素源および/または少なくとも1種類の塩基性溶液を含むこともできる。必要に応じて、キットは、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、メンブレン、足場分子、フィルム、濾紙、ディスクまたはチップ等、固相を含むことができる。
キットおよび方法の適応
本明細書に記載されている測定法等、測定法により試験試料における分析物の存在、量または濃度を決定するキット(またはその構成要素)および方法は、例えば、米国特許第5,089,424号および第5,006,309号明細書に記載され、例えば、ARCHITECT(登録商標)としてAbbott Laboratories(イリノイ州アボットパーク)により市販されている、様々な自動および半自動システム(固相が微粒子を含むシステム等)における使用に適応され得る。
非自動システム(例えば、ELISA)と比較した際の自動または半自動システムとの差異の一部として、第一の特異的結合パートナー(例えば、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(またはその断片、その変種もしくはその変種の断片)または抗分析物DVD−Ig(またはその断片、その変種、もしくはその変種の断片)が結合し、いずれの場合であれサンドイッチの形成および分析物の反応性が影響され得る)基質、ならびに捕捉、検出および/または場合による任意の洗浄工程の長さおよびタイミングが挙げられる。ELISA等、非自動形式は、試料および捕捉試薬との相対的により長いインキュベーション時間を必要とし得る(例えば、約2時間)のに対し、自動または半自動形式(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Abbott Laboratories)は、相対的により短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)では約18分間)でよい。同様に、ELISA等、非自動形式は、コンジュゲート試薬等、検出抗体を相対的により長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)インキュベートし得るのに対し、自動または半自動形式(例えば、ARCHITECT(登録商標))は、相対的により短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)では約4分間)でよい。
Abbott Laboratoriesから入手できる他のプラットフォームとして、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(例えば、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,294,404号明細書を参照)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)およびQuantum(商標)IIならびに他のプラットフォームが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、測定法、キットおよびキット構成要素は、他の形式、例えば、電気化学的手法によるまたは他のコンパクトなもしくはポイントオブケア測定法系において用いられ得る。本開示は、例えば、サンドイッチ免疫測定法を行う市販のAbbott Point of Care(i−STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学的免疫測定法系に適用できる。免疫センサーならびにその製造および使い捨て検査装置における操作の方法は、例えば、これに関するそれらの教示のためそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,063,081号明細書、米国特許出願公開第2003/0170881号明細書、米国特許出願公開第2004/0018577号明細書、米国特許出願公開第2005/0054078号明細書および米国特許出願公開第2006/0160164号明細書に記載されている。
具体的には、I−STAT(登録商標)システムに対する分析物測定法の適応に関し、次の構成が好ましい。一対の金電流測定作用電極および銀塩化銀参照電極を備える微細加工シリコンチップが製造される。作用電極の一方において、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(またはその断片、その変種もしくはその変種の断片)または抗分析物DVD−Ig(またはその断片、その変種もしくはその変種の断片)が固定化されたポリスチレンビーズ(0.2mm直径)は、電極上にパターン形成したポリビニルアルコールのポリマーコーティングに付着する。このチップは、I−STAT(登録商標)カートリッジ内に免疫測定法に適した流体工学形式で組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバーの壁の一部において、そのいずれかが検出可能に標識されてよい、抗分析物モノクローナル/ポリクローナル抗体(または分析物と結合できるその断片、その変種もしくはその変種の断片)または抗分析物DVD−Ig(または分析物と結合できるその断片、その変種もしくはその変種の断片)等、分析物に対する特異的結合パートナーを含む層が存在する。カートリッジの液体パウチ内には、p−アミノフェノールホスフェートを含む水溶性の試薬が存在する。
操作において、分析物を含有している疑いのある試料が検査カートリッジの保持チャンバーに添加され、カートリッジがI−STAT(登録商標)読取装置内に挿入される。分析物に対する特異的結合パートナーが試料中に溶解した後、カートリッジ内のポンプ要素が、チップを含む導管内に試料を押し込む。そこで、それが振動されてサンドイッチの形成を促進する。測定法の最後から2番目の工程において、液体がパウチから押し出されて導管に押し込まれ、チップから試料を洗い流し、廃液チャンバーに入れる。測定法の最後の工程において、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールホスフェートと反応してそのリン酸基を切断し、作用電極において遊離p−アミノフェノールを電気化学的に酸化させる。読取装置は、測定電流に基づいて、内蔵アルゴリズムおよび工場で決定された検量線により試料における分析物の量を計算することができる。
さらに当然ながら、本明細書に記載されている方法およびキットは、測定法を行うための他の試薬および方法を必然的に包含する。例えば、本技術分野で公知および/または容易に調製もしくは例えば洗浄用に最適化され得るような様々なバッファーが、コンジュゲート希釈液、微粒子希釈液および/または検量物質希釈液として包含される。例示的なコンジュゲート希釈液は、特定のキット(Abbott Laboratories、イリノイ州アボットパーク)において用いられるARCHITECT(登録商標)コンジュゲート希釈液であり、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッカー、抗菌剤および界面活性剤を含有する。例示的な検量物質希釈液は、MES、他の塩、タンパク質ブロッカーおよび抗菌剤を含有するバッファーを含む、特定のキット(Abbott Laboratories、イリノイ州アボットパーク)に用いられるARCHITECT(登録商標)ヒト検量物質希釈液である。さらに、2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/142,048号明細書に記載されている通り、例えば、シグナル増幅因子としてのシグナル抗体と結合した核酸配列を用いたI−Statカートリッジ形式において、改善されたシグナル発生が得られる可能性がある。
他の定義
本明細書における「バイオマーカー」は、正常な生物学的過程、発病過程または治療介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定および評価される特性または実体である。これは、血圧または心拍数等、生理学的指標を含むことができ、身体によって産生され、血流中に放出される、測定可能で定量化可能なタンパク質、ペプチドまたは小分子等、化合物または生体物質も意味し得る。この定義には、クレアチニン、アルブミン、血中尿素窒素、年齢、性別、民族および体重に基づいてよい、推算糸球体濾過量(eGFR)等のバイオマーカーに基づくパラメータも含まれる。
本明細書における「プロBNP」、「プロB型ナトリウム利尿ペプチド」または「プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド」は、プレプロBNP分子に由来する108アミノ酸の配列を意味する。プロBNPは、酵素によりプロセシングされてNT−プロBNP(アミノ酸1−76)およびBNP(アミノ酸77−108)を生成する。プロBNPは、血液中における循環を示し(Seferianら、Clin Chem、2007;53:866−873)、心不全患者における内因性ナトリウム利尿ペプチド活性の決定において機能し得る(Lamら、J Am Coll Cardiol、2007;49:1193−1202)。
本明細書における「BNP」は、32アミノ酸を含有する4kDaのB型ナトリウム利尿ペプチドを意味する。これは、血圧調節および体液バランスのためのナトリウム利尿系に関与する(Bonow、R.O.、Circulation 93:1946−1950、1996)。これは、前駆プロBNP分子に由来するカルボキシル末端(C末端)の32アミノ酸(アミノ酸番号77から108)である。BNPレベル上昇は、心房および肺動脈楔入圧上昇と共に心室収縮および拡張機能低下、左心室肥大ならびに心筋梗塞を伴う(Sagnella、G.A.、Clinical Science 95:519−5219、1998)。BNPは、臨床的に用いられ、「呼吸が正しく行われない(Breathing Not Properly)」試験(Maiselら、N Engl J Med.2003;347:161−7)から得られたデータに基づいた、呼吸困難(すなわち、息切れ)のために救急医療部に来院した患者における心不全の診断、およびACS患者におけるリスク層別化(Morrowら、J Am Coll Cardiol.2003;41:1264−72)を支援する。
本明細書における「N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド」または「NT−プロBNP」は、プロBNPから切断された不活性アミノ末端(N末端)ポリペプチドを意味する。これは、プロBNPのアミノ酸番号1−76を含む。その利用を、呼吸困難を呈する患者における心不全の診断に有用なものとして支持する研究によると、NT−プロBNPの臨床上の有用性は、BNPの臨床上の有用性と非常に類似している(Januzziら、Am J Cardiology 2005;95:948−954)。
「トロポニンI」または「TnI」(上に簡潔に記載されている)は、あらゆる横紋筋組織に存在する、トロポニン複合体の25kDaの阻害要素である。このタンパク質は、Ca2+の不在下でアクチンと結合し、これによりアクトミオシンのATPase活性を阻害する。このタンパク質には数種類のアイソフォームが存在する。心臓組織に見られるアイソフォーム(すなわち、cTnI)は、急性心筋梗塞または他の有害心イベントを経験している患者に高レベルで存在し得る(Khanら、Am.J.Emerg.Med.17:225−229、1999)。遊離および複合体心筋トロポニンIも存在する。
本明細書における「ホモシステイン」は、2−アミノ−4−メルカプトブタン酸とも呼ばれるアミノ酸である。これはアミノ酸システインのホモログである。高レベルの血清ホモシステインは、心血管系疾患および脳卒中の重要なリスク因子であることが決定された(Boushey CJら、JAMA.1995;274:1049−57)。しかし、ホモシステイン低下療法は、再発予防における心血管イベントの発生頻度を低下させることができなかった(Loscalzo、J.、N Engl J Med 354(15):1629−1632、2006)。ホモシステインレベルの上昇は、ACS患者における虚血性傷害の増加とも関連している(Al−Obaidi MKら、J Am Coll Cardiol.2000;36:1217−22)。
本明細書における「コリン」は、水溶性の必須栄養素であり、ビタミンB複合体内にグループ化される有機化合物である。これは、細胞膜を構成する脂質に存在する天然の四級飽和アミンであり、神経伝達物質アセチルコリンにも存在する。具体的には、コリンおよびその代謝産物は、細胞膜の構造的統合性およびシグナル伝達の役割、コリン作動性神経伝達(すなわち、アセチルコリン合成)ならびにS−アデノシルメチオニン合成経路に関与するメチル基の主要なソース(その代謝産物であるトリメチルグリシンを経由)に必要とされる。コリンは、ホスホリパーゼDの刺激およびプラーク不安定化に関する様々な細胞型由来の細胞表面受容体の活性化の後に放出されると仮定された。入院時のコリン濃度の増加は、ACSが疑われる患者、特にトロポニン陰性患者における有害心イベントの予測因子である(Danneら、Am J Cardiol.2003;91:1060−67)。
「eGFR」または「推算糸球体濾過量」は、クレアチニン濃度に基づき、また多数の式、通常は「腎臓病に対する食事制限(Modification in Diet and Renal Disease)」式(MDRD)(Leveyら、Clin Chem、53(4):766、2007)またはコッククロフト・ゴールト式に基づいて計算される。
本明細書における「虚血修飾アルブミン」または「IMA(登録商標)」は、虚血状態において生じるアルブミンの修飾を意味する。これは、Inverness Medical(マサチューセッツ州ウォルサム)によって製造されたアルブミンコバルト結合検査(ACB(登録商標))を用いて評価される。これは、多数の臨床化学分析装置において行われ得る臨床化学比色測定法である。現在、このマーカーは心筋梗塞の「除外」のために用いられている。
本明細書における「C反応性タンパク質」、「CRP」、「高感度CRP」または「hsCRP」は、多くの場合炎症に応答した、生体防御に関与するホモ5量体Ca2+結合急性期タンパク質である。1990年代後半に始まった研究は、健康な男性における将来的な心疾患のリスクを示唆する高い正常レベルのCRPを同定し(Ridker、NEJM.1997;336:973−979)、女性における将来的な疾病の予測にまで拡大適用した(Ridker、Circulation、1998;98:731−33)。従来のCRP測定法は感度が低く、正常で健康な個体における値を定量化できなかった。したがって、高感度測定法が利用できるようになったとき、正常範囲内で上昇した値が測定できるようになり、これらの研究が行われた。同時に、予後およびリスク評価のためにより急性の心疾患においてCRPレベルが調査された。Liuzzoら(NEJM.1994:331:417−24)は、不安定狭心症患者におけるCRPの予後有用性を証明した。
本明細書における「PlGF」もしくは「胎盤増殖因子」または「血管内皮増殖因子関連タンパク質」は、ヒト動脈硬化病変内におけるその発現がプラーク炎症および新生血管成長に関連するタンパク質である。(急性心臓病患者におけるPlGFの有用性は、CAPTURE(治療抵抗性不安定狭心症を対象としたc7E3 Fabの抗血小板療法(c7E3 Fab Anti−Platelet Therapy in Unstable Refractory Angina))治験から得られた患者においてHeeschenら(JAMA.2004;291:434−441)によって最初に説明された。治験に参加すると、ベースライン試料が採取され、PlGFに関して評価され、30日後の死亡または非致死的心筋梗塞のリスクが決定された。血漿PlGFレベルは、ACSの疑いがある患者における有害事象から独立したバイオマーカーとなることができ、単一の初期測定値が、従来の炎症マーカーから得られた予測および予後情報を拡大すると考えられる。4年後のさらなる解析(Lenderinkら、J Am Coll Cardiol.2006;47:307−11)は、ACS患者における予後有用性を支持し続けた。)
本明細書における「ミエロペルオキシダーゼ」または「MPO」は、白血球に貯蔵された血液タンパク質であり、広範囲の生物に対する生体防御機構において機能する。白血球の活性化は、過酸化水素の介在によるハロゲン化物イオンの過酸化を触媒するMPOの分泌をもたらす。これらの産物は、炎症部位における酸化ダメージを促進する。MPOは、炎症ならびに初期内皮細胞機能不全、プラーク惹起および進行、不安定プラークの発達およびそれに続く動脈硬化性プラークの合併症に関与するイベントと関連付けられてきた。MPOは、心イベントのリスクがあるトロポニン陰性患者を同定し(Baldusら、Circulation.2003;108:1440−1445)、他の従来マーカーよりも的中率を増す(Brennanら、NEJM.2003;349:1595−604)ことを示した。
本明細書における「LpPLA2」または「リポタンパク質関連ホスホリパーゼA」は、破裂し易いプラークの形成に関係付けられた血管特異的な炎症性酵素である。LpPLAは、リン脂質を2種の炎症性分子、リゾホスファチジルコリンおよび酸化脂肪酸に切断し、動脈硬化性プラーク形成へと至るイベントカスケードをもたらす。PLAC(商標)測定法(DiaDexus、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)により測定されたLpPLAは、冠動脈心疾患および粥状動脈硬化に伴う虚血性脳卒中のリスク予測の補助として臨床評価および患者リスク評価と併せて用いられる。
本明細書における「sCD40L」または「可溶性CD40リガンド」は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバーであり、多機能リガンドである。CD40Lは、タンパク質切断を経て可溶性形態のCD40L(15−18kDa)を生成することのできる39kDA糖タンパク質である。sCD40Lは、膜貫通領域および一部細胞外ドメインを欠くが、TNF−α相同領域全体を含有する。
本明細書における「予後」は、特定の経過または治療成績が起こる可能性が高いことを意味する。言い換えると、それは、特定の疾病または状態ではない患者と比較した場合、その疾病または状態であると思われる患者において起こる可能性がより高い経過または治療成績である。当業者であれば、予後バイオマーカーと有害事象を生じるリスクまたは治療成績との相関は、標準試料として機能するバイオマーカーの所定のカットオフまたは範囲を用いた統計解析に基づくことを理解する。
本明細書における「生物活性」は、本明細書に記載されているマーカー(例えば、トロポニンI、PIGFおよびBNP)のあらゆる固有の生物学的性質を意味する。このような性質は、例えば、本明細書に記載されている抗体と結合する能力を含む。
本明細書における「MACE」は、患者に対する有効性および安全性転帰の重要な複合臨床基準である主要有害心イベントとして定義される。MACEは、例えば、心臓死、心臓発作(MI)または虚血が引き起こす標的病変血行再建を含む。
本明細書における「低リスク」は、急性心臓症候群(ACS)の少なくとも1症状を呈して1年以内に患者がMACEを発生する確率が10パーセント以下、好ましくは確率が5パーセント未満、より好ましくは確率が2パーセント未満と定義される。
本明細書における「中程度のリスク」は、ACSの少なくとも1症状を呈して1年以内に患者がMACEを発生するリスクが10パーセントを超え30パーセント未満であると定義される。
本明細書における「高リスク」は、ACSの少なくとも1症状を呈して1年以内に患者がMACEを発生するリスクが25パーセントを超え、好ましくは30パーセント以上、より好ましくは35パーセントを超えると定義される。(用語「低リスク」、「中程度のリスク」および「高リスク」に関連して本明細書に列挙されている範囲およびカットオフポイントは、リスク評価に関する関連データを集めるために利用された特定の試験に応じて変化し得ることに留意するべきである。さらに、これらカットオフポイントは、相対リスクではなくイベントリスクに関与することに留意するべきである。)
用語「多価結合タンパク質」は、2以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質を表すよう本明細書において用いられている。多価結合タンパク質は、好ましくは3以上の抗原結合部位を有するよう操作され、一般に自然発生的な抗体ではない。
用語「多重特異的結合タンパク質」は、2以上の関連のあるまたは関連のない標的と結合できる結合タンパク質を意味する。本明細書における二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質であり、四価または多価結合タンパク質である。このようなDVDは、単一特異的であっても(すなわち1種類の抗原と結合でき)、多重特異的であってもよい(すなわち2種類以上の抗原と結合できる)。2個の重鎖DVDポリペプチドおよび2個の軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVD Igと言う。DVD Igの各半分は、重鎖DVDポリペプチドおよび軽鎖DVDポリペプチドならびに2個の抗原結合部位を含む。各結合部位は、抗原結合部位につき抗原結合に関与する合計6個のCDRを備える重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む。DVD結合タンパク質およびDVD結合タンパク質の作製方法は、米国特許出願第11/507,050号明細書に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書における「機能的に均等」は、本明細書に記載されているバイオマーカーに対する抗体と同じ特性(例えば、結合親和性)を有するタンパク質(例えば、抗体)を意味する。
本明細書における用語「ポリペプチド」は、任意のアミノ酸ポリマー鎖を意味する。用語「ペプチド」および「タンパク質」は、用語ポリペプチドと互換的に用いられ、同様にアミノ酸ポリマー鎖を意味する。用語「ポリペプチド」は、天然または人工のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチドアナログを包含する。ポリペプチドは、モノマーであってもポリマーであってもよい。
用語「単離されたタンパク質」または「単離されたポリペプチド」は、その起源または誘導ソースのため、その天然状態ではそれに付随する天然関連の構成要素と関連しない;同じ種由来の他のタンパク質が実質的に含まれない;異なる種由来の細胞によって発現される;または自然に発生しない;タンパク質またはポリペプチドである。したがって、化学合成またはそれが天然に由来する細胞とは異なる細胞系において合成されるポリペプチドは、その天然関連の構成要素から「単離」される。タンパク質は、本技術分野でよく知られているタンパク質精製技法を用いた単離により天然関連の構成要素を実質的に含まないようにされてよい。
本明細書における用語「回収」は、例えば本技術分野でよく知られているタンパク質精製技法を用いた単離により、ポリペプチド等の化学種が天然関連の構成要素を実質的に含まなくさせるプロセスを意味する。
抗体、タンパク質またはペプチドと第二の化学種との相互作用に関連して、本明細書における用語「特異的結合」または「特異的に結合」は、相互作用が、化学種における特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味し、例えば抗体は、タンパク質一般よりむしろ特異的タンパク質構造を認識し結合する。抗体がエピトープ「A」に対し特異的である場合、標識された「A」および抗体を含む反応におけるエピトープA(または遊離型非標識のA)を含む分子の存在は、抗体と結合している標識されたAの量を減少させる。
本明細書における用語「抗体」は、Ig分子の重要なエピトープ結合特性を保有する、4本のポリペプチド鎖、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む任意の免疫グロブリン(Ig)分子またはその任意の機能断片、変異体、変種もしくは誘導体を広く意味する。このような変異体、変種または誘導体抗体の形式は、本技術分野で公知のものである。その非限定的な実施形態を下に記す。
完全長の抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書において、HCVRまたはVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3個のドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書において、LCVRまたはVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1個のドメイン、CLを含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称するさらに保存された領域が散りばめられた相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域へとさらに細分することができる。VHおよびVLのそれぞれは、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3個のCDRおよび4個のFRを含む。免疫グロブリン分子は、どの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってもよい。
本明細書における用語、抗体の「抗原結合部分」(または、単に「抗体部分」)は、抗原(例えば、対象バイオマーカーの1つ以上のエピトープ)と特異的に結合する能力を有する1つ以上の抗体断片を意味する。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の1つ以上の断片によって達成され得ることが示された。このような抗体の実施形態は、2種以上の異なる抗原と特異的に結合する、二重特異的(bispecificもしくはdual specific)または多重特異的であってもよい。用語、抗体の「抗原結合部分」の内に包含される結合断片の例として、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結した2個のFab断片を含む二価断片であるF(ab’)断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単腕のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含むdAb断片(参照により本明細書に組み込まれているWardら、(1989)Nature 341:544−546、Winterら、国際出願公開第90/05144(A1)号)、および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2個のドメイン、VLおよびVHは別個の遺伝子にコードされているが、これらは、VLおよびVH領域が対形成して一価分子を形成した単一のタンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られている。例えば、Birdら、(1988)Science 242:423−426およびHustonら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883を参照)として作製することが可能な合成リンカーにより、組換え法を用いて連結され得る。このような単鎖抗体も、用語、抗体の「抗原結合部分」の内に包含されている。二特異性抗体等、単鎖抗体の他の形態もまた包含されている。二特異性抗体は、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖において発現しているが、同一鎖上の2個のドメイン間で対形成を行うには短すぎるリンカーを用いており、このためドメインを別の鎖の相補ドメインと対形成させ、2個の抗原結合部位を作製させる、二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger、P.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448、Poljak、R.J.ら、(1994)Structure :1121−1123を参照)。このような抗体結合部分は、本技術分野で公知のものである(Kontermann and Dubel eds、Antibody Engineering(2001)Springer−Verlag、New York、790頁(ISBN 3−540−41354−5)。本明細書における用語「抗体構築物」は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常ドメインと連結した本発明の1つ以上の抗原結合部分を含むポリペプチドを意味する。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合により連結した2個以上のアミノ酸残基を含み、1つ以上の抗原結合部分の連結に用いられる。このようなリンカーポリペプチドは、本技術分野でよく知られている(例えば、Holliger、P.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448、Poljak、R.J.ら、(1994)Structure :1121−1123を参照)。免疫グロブリン定常ドメインは、重鎖または軽鎖定常ドメインを意味する。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列は、本技術分野で公知のものである。
本明細書における「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味するよう企図されている(例えば、対象バイオマーカーの少なくとも1個のエピトープと特異的に結合し、バイオマーカー内に存在する抗原またはエピトープ以外の抗原またはエピトープと特異的に結合する抗体を実質的に含まない単離された抗体)。
本明細書において、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を意味する。重鎖および軽鎖可変領域のそれぞれに3個のCDRが存在し、これらは各可変領域につきCDR1、CDR2およびCDR3と命名された。本明細書における用語「CDRセット」は、抗原と結合できる単一の可変領域に生じる3個のCDR群を意味する。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従い異なって定義されてきた。Kabatにより記載されたシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、メリーランド州ベテスダ(1987)および(1991))は、抗体のどの可変領域にも適用できる明確な残基番号付与方式を提供するだけではなく、3個のCDRを画定する正確な残基境界を提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと言ってもよい。Chothiaおよび共同研究者(Chothia&Lesk、J.Mol.Biol.196:901−917(1987)およびChothiaら、Nature 342:877−883(1989))は、Kabat CDR内の特定のサブ部分が、アミノ酸配列のレベルでは大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格立体構造を採ることを見出した。これらのサブ部分は、L1、L2およびL3、またはH1、H2およびH3(「L」および「H」は、それぞれ軽鎖および重鎖領域を示す)と命名された。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと言ってもよい。Kabat CDRと重複するCDRを画定する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133−139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732−45(1996))によって記載されている。特定の残基もしくは残基群、またはいっそCDR全体であっても抗原結合に有意な影響を与えないという予測または実験上の知見を考慮すると、これらは短縮されても延長されてもよいが、さらに別のCDR境界の定義は、上述のシステムの1つに厳密に従わない可能性があるが、そうであってもKabat CDRと重複する。好ましい実施形態は、KabatまたはChothia定義のCDRを用いるが、本明細書に用いた方法は、これらのシステムのいずれかに従って画定されたCDRを利用することができる。
本明細書において、用語「重要」残基は、抗体、特にヒト化抗体の結合特異性および/または親和性に与える影響がより大きい可変領域内の特定の残基を意味する。重要残基は次の内1つ以上を含むが、これらに限定されるものではない。CDRに隣接する残基、潜在的糖鎖付加部位(N−またはO−糖鎖付加部位のいずれであってもよい)、希少残基、抗原と相互作用できる残基、CDRと相互作用できる残基、標準残基、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間の接触残基、Vernier帯内の残基、Chothia定義の可変重鎖CDR1およびKabat定義の第一の重鎖フレームワークとの間で重複する領域内の残基。
用語「活性」は、抗体の、抗原、例えば抗体が反応する抗原に対する結合特異性/親和性等の活性を含む。
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体と特異的に結合できる任意のポリペプチド決定基を含む。特定の実施形態において、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル等、化学的な活性を有する分子表面配置を含み、特定の実施形態において、特異的な三次元構造特性および/または特異的な電荷特性を有することができる。エピトープは、抗体に結合される抗原の領域である。特定の実施形態において、抗体は、タンパク質および/または高分子の複合体混合物におけるその標的抗原を優先的に認識する場合、抗原と特異的に結合すると言われる。
本明細書における用語「標識された結合タンパク質」は、結合タンパク質の同定をもたらす標識を取り込んだタンパク質を意味する。好ましくは、標識は、検出可能なマーカーであり、例えば、放射標識されたアミノ酸の取り込み、または標識されたアビジン(例えば、光学的または比色方法により検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得るビオチン化成分とポリペプチドとの結合である。上述の通り、ポリペプチドの標識の例として次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。放射性同位元素または放射性核種(例えば、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Hoまたは153Sm);蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);およびガドリニウムキレート等の磁性薬剤。
用語「抗体コンジュゲート」は、治療薬または細胞毒等の第二の化学成分と化学的に連結した抗体等の結合タンパク質を意味する。
本明細書における用語「結晶」および「結晶化」は、結晶の形態で存在する抗体またはその抗原結合部分を意味する。結晶は、アモルファス固体状または液晶状等、他の形態とは異なる物質の固体状の一形態である。結晶は、原子、イオン、分子(例えば、抗体等のタンパク質)または分子集合体(例えば、抗原/抗体複合体)の規則的に反復する三次元配列で構成されている。これらの三次元配列は、本分野においてよく理解されている特定の数理的関連性に従って配置される。結晶において反復する基本単位または構成要素は、非対称単位と呼ばれる。所定の十分に定義された結晶学的対称性に適合する配置における非対称単位の反復は、結晶の「単位格子」を提供する。全三次元における規則的な平行移動による単位格子の反復は、結晶を提供する。Giege、R. and Ducruix、A.Barrett、Crystallization of Nucleic Acids and Proteins, a Practical Approach、第2版、201−16頁、Oxford University Press、ニューヨーク州ニューヨーク、(1999)を参照されたし。
本明細書に記述されている用語「ポリヌクレオチド」は、ポリマー型の2以上のヌクレオチド(リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかまたはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾型)である。この用語は、一本鎖および二本鎖型のDNAを含むが、好ましくは二本鎖DNAである。
本明細書における用語「単離されたポリヌクレオチド」は、その起源のために、「単離されたポリヌクレオチド」と共に天然において見出されるポリヌクレオチドの全部または一部と関連しない;天然においては連結しないポリヌクレオチドに作動可能に連結した;またはより長い配列の一部として自然発生しない;ポリヌクレオチド(例えば、ゲノム、cDNAもしくは合成起源の、またはそれらの特定の組み合わせ)を意味する。
本明細書における用語「ベクター」は、それと連結した別の核酸を運搬することが可能な核酸分子を意味するよう企図されている。ベクターの一型は、そこに付加的なDNAセグメントがライゲーションされてよい環状の二本鎖DNAループを意味する「プラスミド」である。別の種類のベクターは、付加的なDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、それが導入された宿主細胞において自律増殖できる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞へと導入すると宿主細胞のゲノム中に組み込まれることができ、これにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、そこに作動可能に連結された遺伝子の発現を方向付けることができる。このようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と言う。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、多くの場合プラスミドの形態をしている。プラスミドは最も一般に用いられているベクター形態であるため、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に用いられてよい。しかし、本発明は、均等な機能を果すウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)等、その他の形態の発現ベクターを含むことを企図する。
用語「作動可能に連結」は、記載されている構成要素類が、それらに企図された仕方で機能できる関係性にある並列を意味する。コード配列に「作動可能に連結した」調節配列は、調節配列に適合する条件下でコード配列の発現が行われる仕方でライゲーションされている。「作動可能に連結」した配列は、対象遺伝子と近接した発現調節配列と、トランスでまたは距離をおいて作用して対象遺伝子を調節する発現調節配列の両方を含む。本明細書における用語「発現調節配列」は、それがライゲーションされたコード配列の発現およびプロセシングに影響を及ぼすのに必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現調節配列は、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナル等の効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、Kozak共通配列);タンパク質の安定性を高める配列;ならびに必要に応じてタンパク質の分泌を増強する配列を含む。このような調節配列の性質は、宿主生物に応じて異なる。原核生物において、このような調節配列は一般に、プロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列を含む。真核生物において一般に、このような調節配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「調節配列」は、その存在が発現およびプロセシングに必要不可欠な構成要素を含むよう企図され、その存在が有利となる追加的な構成要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列を含むこともできる。
本明細書に定義されている「形質転換」は、外来DNAが宿主細胞に進入する任意の過程を意味する。形質転換は、天然条件下または本技術分野でよく知られている様々な方法を用いた人工条件下で起こり得る。形質転換は、外来核酸配列を原核生物または真核生物の宿主細胞へと挿入するための任意の公知の方法に依存し得る。方法は、形質転換される宿主細胞に基づいて選択され、ウイルス感染、エレクトロポレーション、リポフェクションおよび微粒子銃を含んでよいが、これらに限定されるものではない。このような「形質転換された」細胞は、挿入されたDNAが自己複製プラスミドとして、または宿主染色体の一部として複製できる安定的に形質転換された細胞を含む。これは、挿入されたDNAまたはRNAを限られた期間一過的に発現する細胞も含む。
本明細書における用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、そこに外来DNAが導入された細胞を意味するよう企図されている。このような用語が、特定の対象細胞のみならず、このような細胞の後代も意味するよう企図されていることを理解するべきである。突然変異または環境影響のいずれかにより後の世代においてある程度の改変が生じ得るため、このような後代は実際に親細胞と同一のものとなることはできないが、依然として本明細書における用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。好ましくは、宿主細胞は、生物界のいずれかから選択される原核生物および真核生物の細胞を含む。好ましい真核生物細胞は、原生生物、真菌、植物および動物の細胞を含む。最も好ましくは、宿主細胞は、原核生物細胞株E.コリー(E.coli);哺乳類細胞株CHO、HEK293およびCOS;昆虫細胞株Sf9;ならびに真菌細胞サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むが、これらに限定されるものではない。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のため、標準技法が用いられてよい。酵素反応および精製技法は、メーカーの仕様書に従って、または本技術分野において一般に達成される通りもしくは本明細書に記載されている通りに行われてよい。前述の技法および手順は一般に、本技術分野でよく知られている従来の方法に従って、または本明細書を通じて引用および記述されている様々な一般的およびより特定の参考文献に記載されている通りに行われてよい。例えば、いかなる目的に対しても参照により本明細書に組み込まれているSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))を参照されたし。
用語「制御する」および「調節する(modulate)」は互換的に用いられ、本明細書において、対象分子の活性の変化または変更を意味する。調節(modulation)は、対象分子の特定の活性または機能の規模の増加であっても減少であってもよい。分子の例示的な活性および機能は、結合特性、酵素活性、細胞受容体活性化およびシグナル伝達を含むが、これらに限定されるものではない。
同様に、本明細書における用語「調節因子(modulator)」は、対象分子の活性または機能を変化または変更することのできる化合物である。例えば、調節因子は、調節因子の不在下で観察される活性または機能の規模と比べて、分子の特定の活性または機能の規模の増加または減少をもたらし得る。特定の実施形態において、調節因子は、分子の少なくとも1種類の活性または機能の規模を減少させる阻害剤である。例示的な阻害剤は、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディー(peptibodies)、炭水化物または有機小分子を含むが、これらに限定されるものではない。ペプチボディーは、例えば、国際出願公開第01/83525号に記載されている。
本明細書において、用語「有効量」は、障害またはその1つ以上の症状の重症度および/または持続時間の低減もしくは寛解、障害進行の予防、障害の消退の原因、障害を伴う1つ以上の症状の再発、発症、発生もしくは進行の予防、障害の検出、または別の治療(例えば、予防薬もしくは治療薬)の予防効果もしくは治療効果の増強もしくは改善に十分な治療の量を意味する。
本明細書における用語「試料」は、その最も広い意味で用いられる。本明細書における「生物試料」は、生物またはかつて生物だったものに由来する任意の量の物質を含むが、これらに限定されるものではない。このような生物は、ヒト、マウス、ラット、サル、イヌ、ウサギおよび他の哺乳類または非哺乳類動物を含むが、これらに限定されるものではない。上述のこのような物質は、血液、血清、尿、滑液、細胞、器官、組織(例えば、脳)、骨髄、リンパ節、脳脊髄液および脾臓を含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書において他に規定がなければ、本発明に関連して用いられる科学および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を持つ。用語の意味および範囲は明確でなければならないが、何らかの潜在的な曖昧性がある場合には、本明細書に提供されている定義は、任意の辞書または外部定義における慣例に従う。さらに、文脈においてそれ以外が必要とされなければ、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数形を含む。本願において、「または」の使用は、他に記述がなければ「および/または」を意味する。さらに、用語「含む」ならびに「含んでいる」および「含まれる」等の他の活用形の使用は、限定的なものではない。また、「要素」または「構成要素」等の用語は、他に特に記されていなければ1ユニットを含む要素および構成要素の両方ならびに2以上のサブユニットを含む要素および構成要素を包含する。
一般に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して用いられる命名法およびそれらの技法は、本技術分野においてよく知られており、また一般に用いられている。本発明の方法および技法は一般に、他に断りがなければ、本技術分野でよく知られている従来の方法に従って、本明細書を通じて引用および記述されている様々な一般的およびより特定の参考文献に記載されている通りに行われる。酵素反応および精製技法は、メーカーの仕様書に従って、本技術分野において一般に行われる通りまたは本明細書に記載されている通りに行われる。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学ならびに医薬品および製薬化学に関連して用いられる命名法ならびにそれらの実験手順および技法は、本技術分野においてよく知られており、また一般に用いられている。標準技法は、化学合成、化学解析、医薬品の調製、製剤および送達ならびに患者治療に用いられる。
本発明において、また、特に抗体の結合親和性を評価するため、参照により本明細書に組み込まれている国際出願公開第2004/067561号に記載されているプロセスが用いられてよい。前記プロセスは、天然、組換えもしくは合成ペプチドまたはそれらの誘導体をアンフォールディングする工程;少なくとも部分的にアンフォールディングしたペプチドまたはその誘導体を界面活性剤に曝露し、洗浄作用を低下させ、インキュベーションを継続する工程を含む。
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の方法の他の適切な修正および適応が明らかであり、本発明の範囲または本明細書に開示されている実施形態から逸脱することなく適切な均等物を用いて行われてよいことを容易に理解できる。本発明を詳細に説明してきたが、これは説明目的のためだけに含まれ、本発明の範囲の限定を企図しない次の実施例を参照することによりさらに明確に理解される。
前向き多施設治験
前向き、盲検、多施設コホート治験を行った。この試験の目的は、バイオマーカーの濃度が単独または様々な組み合わせのいずれかにより予後値を提供するか決定して、ACSを示唆する虚血性症状を呈する患者における死亡、非致死的MIまたは血行再建の必要性を予測(陽性的中率)または除外(陰性的中率)することである。加えて、試験は、非心臓性原因による心虚血のために胸痛を呈した患者の識別にバイオマーカーを用いることができるか決定するよう調査した。試験は、心不全、血行再建反復の必要性、ACSによる再入院または生命に関わるリズム障害等、二次イベントの予測における、これらのバイオマーカーの有用性の決定も調査した。
患者
598名の患者を試験に登録した。新規のNSTEMI/ACSを示唆する虚血性症状を発症した適格患者が救急医療部に来院した際に補充した。入院中の臨床特性、心臓手術および心イベントに関するデータを収集した。登録後30日および約1年目に電話による追跡調査を行い、一次および二次エンドポイントを評価した。欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)/米国心臓病学会(American College of Cardiology)合同委員会の心筋梗塞の定義(Alpert JS、Thygesen Kら、Eur Heart J、2000;21:1502−13)を利用した地域委員会によりMIを判定した。したがって、次の判断基準の内いずれか1項は、急性、発展中または最新のMIの診断を満たす。
1)次の内少なくとも1項を伴う、心筋壊死の生化学マーカーの典型的な上昇およびゆるやかな低下(トロポニン)またはより急速な上昇および低下(CK−MB)
a)虚血性症状
b)ECGにおける病的Q波の発生
c)虚血を示唆するECG変化(ST上昇または下降)
d)冠動脈インターベンション(例えば、冠動脈形成術)
2)急性MIの病理的所見
組み入れ基準
試験に登録されるには、患者は次の要件を満たさなければならない。
1.試験に向けた活動の開始前に署名した同意書
2.妊娠が判明していない出産可能年齢の女性
3.年齢:最低でも18歳
4.それに先立つ12時間以内に最新の胸痛を伴う虚血の少なくとも1種類の徴候および/または症状の呈示。虚血の徴候および/または症状を次に挙げる。
・胸の痛み、圧力、圧迫感もしくは重苦しさ、痙攣、灼熱感または疼痛感;加速的パターンの胸痛または安静時または最小限の労作による遷延[>20分間]もしくは再発エピソード。
・首、顎、肩、背中または片方もしくは両方の腕に放散する痛み;または胸部不快感を伴う可能性のある原因不明の消化不良もしくは「胸焼け」、げっぷ、心窩部痛、吐き気および/または嘔吐;および/または付随する呼吸困難、および/または付随する発汗。
・カテーテル処置、血行再建または心筋梗塞の病歴に記録された冠疾患。
・虚血と一致したECG所見;例として、次のものが挙げられる。
○少なくとも0.05mVのST下降の新規所見、または
○少なくとも0.1mVの一過的(<20分間)ST上昇、または
○少なくとも2導出におけるT波逆転
除外基準
次の要件を満たす場合、患者は試験に登録しなかった。
1.少なくとも0.1mVの持続的(>20分間)ST上昇
2.試験の目的を理解できない
3.患者が18歳未満である
4.患者が囚人である
試料採取
登録時、4から8時間後、その時点で入院していれば登録12−16時間後に患者の血液試料を得た。血液を採取および処理して、5種類の異なる検体型(ヘパリンリチウム血漿、ヘパリンリチウム全血、EDTA血漿、EDTA全血および血清)を得た。解析前に試料を主に−70℃で保存した。
バイオマーカー測定法
患者の病歴または指示された治療に関する知識を持たず、心臓バイオマーカーを決定した。表1に示す臨床試料により評価したバイオマーカーは、心筋トロポニンI(cTnI)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP(NT−プロBNP)、C反応性タンパク質(hsCRP)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、胎盤増殖因子(PlGF)、コリン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA(LpPLA)、虚血修飾アルブミン(IMA)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)およびホモシステイン(HCY)を含む。これらのバイオマーカーを検査して、濃度増加が、患者集団における死亡、非致死的MIまたは血行再建の必要性を予測する(陽性的中率)か決定した。これらのバイオマーカーの、将来的な死亡、非致死的MIまたは血行再建の必要性を除外する(陰性的中率)能力も決定した。
市販のARCHITECT(登録商標)測定法を用いて心筋TnI、BNP、HCY、hsCRPおよびクレアチニンを検査した。プロトタイプのARCHITECT測定法を用いてMPOおよびPlGFを検査した。クレアチニン値に基づきMDRD(腎臓病に対する食事制限)式(Levey ASら、Clin Chem、2007;53:766−72)により推算糸球体濾過量(eGFR)を計算した。記載(Yue Bら、Clin Chem.2008:54:590−593)されている通りLC−MS/MS方法を用いて、ヘパリンリチウム全血、ヘパリンリチウム血漿およびEDTA全血におけるコリンを測定した。R&D SystemsのELISAにより可溶性CD40Lを測定した。Hitachi装置におけるアルブミンコバルト結合測定法(ACB、Ischemia Technologies Inc.)によりIMAを測定した。ELISA(DiaDexus)によりLpPLAを測定した。Ortho Vitros装置においてNTプロBNPを決定した。
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結果および主要有害心イベントの概要
合計598名の患者を試験に登録したが、55名の患者は追跡調査の情報を利用できなかった。バイオマーカーの予後有用性にさらに焦点を合わせるため、発症後最初の24時間に主要有害心イベントを患う別の40名の患者は解析セットから除外した。全患者における各バイオマーカーの有用性を評価するため、実験室からバイオマーカー値が失われたため別の53名の患者を除外した。これにより、評価のために合計449名の患者が残った。表2は、この患者集団のベースライン特性を示す。この患者群において47例(10.5%発生率)の複合型主要有害心イベントが存在した。主要有害心イベントは、19例の死亡(4.2%発生率)、7例の心筋梗塞(1.6%発生率)および21例の血行再建(4.7%発生率)からなる。
Figure 2013503349
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MACE=主要有害心イベント;TIMI=心筋梗塞における血栓溶解;ED=救急医療部;eGFR=推算糸球体濾過量
a)検査値、性別および年齢の識別力
利用できる全時点の最大バイオマーカー値をその後の解析に用いた。各バイオマーカーおよび検査値をいくつかの二値変数(10%区間により規定)に独立的に分類して、1年目における主要有害心イベントの発生率との最も強い関連を明らかにする二分法を同定した。カイ二乗検定を用いて最適カットオフを決定した。次に、最適カットオフにおける各バイオマーカーに対する相対リスクを決定した。最適カットオフ、カイ二乗値および相対リスクを有する各バイオマーカーの二分法を表3に示す。
Figure 2013503349
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NTプロBNP、BNP、cTnI、HCY、PlGF、血漿コリン、IMA、hsCRP等、数種類のバイオマーカーは、主要有害心イベントに対し有意な的中率を示した。年齢および推算糸球体濾過量(eGFR)も有意であった。NTプロBNP(6.1)、BNP(4.3)、年齢(4.2)およびcTnI(4.0)に関し、最も高い相対リスクが観察された。
150pg/mL以下のBNPカットオフおよび0.015ng/mL以下のcTnIカットオフを用いると、BNPとcTnIとの間に共線性が観察された。375名の患者は同一の結果であり、その内325名は両方の測定法におけるカットオフを下回り、50名は両方の測定法におけるカットオフを超える。両方の測定法は18例の主要有害心イベントを同定し、両者ともに18例の主要有害心イベントを見落とす。BNPは、cTnIにより見落とされる6例の主要有害心イベントを同定し、一方cTnIは、BNPにより見落とされる5例の主要有害心イベントを同定する。
b)CART解析
CART(分類と回帰木(Classification and Regression Tree))解析(Muller R.Clin Chim Acta.2008;394:1−6を参照)を複数マーカーの解析に利用した。BNPは、最高のカイ二乗値を有し、したがって患者の予後またはリスク層別化に最も有意に関連する。図1に示す通り、第一の分割に150pg/mLのBNPカットオフを用いた。150pg/mL以下のBNP値を有する6.4%の主要有害心イベント発生率の362名の患者および150pg/mLを超えるBNP値を有する27.6%の主要有害心イベント発生率の87名の患者が存在する。次に、推算GFR(eGFR)を用いて、150pg/mLを超えるBNP値により87名の患者をさらに区別化する。68mL/min/1.73mのeGFRカットオフを用いると、52名の患者は36.5%の主要有害心イベント発生率を有する高リスクカテゴリーに入り、35名の患者は、68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有し14.3%の主要有害心イベント発生率を有する。
PlGFを用いて、150pg/mL以下のBNP値を有する362名の患者を区別化した(図1を参照)。19.5pg/mLのPlGFカットオフを用いると、19.5pg/mL以下のPlGFを有する2.4%の主要有害心イベント発生率の245名の患者および19.5pg/mLを超えるPlGFを有する14.5%の主要有害心イベント発生率の117名の患者が存在する。19.5pg/mL以下のPlGFを有する245名の患者は、65pg/mLのBNP値に基づいてさらに分割させることができる。0.9%の主要有害心イベント発生率(99.1%陰性的中率)の低リスクカテゴリーにおいて65pg/mL以下のBNPを有する212名の患者が存在し、65pg/mLを超えるBNPを有する12.1%の主要有害心イベント発生率の33名の患者が存在する。
BNP、PlGFおよびeGFRの組み合わせは、患者集団を低、中程度および高リスク群に層別化することができる。低リスク群は、1%未満の主要有害心イベント発生率を有する212名の患者を含み、一方、高リスク群は、36.5%の主要有害心イベント発生率を有する52名の患者を含む。12.1%から14.5%の主要有害心イベント発生率を有する185名の患者が中程度リスク群に存在する(図1を参照)。
感度解析を行って、様々なカットオフでBNPおよびNTプロBNPを評価した。BNPとNTプロBNPの両方は、広範囲のカットオフ値にわたって統計的に有意な相対リスクを提供する。表4に示す通り40から180pg/mLにおいてBNPを評価し、表5に示す通り125から1,200pg/mLにおいてNTプロBNPを評価した。
Figure 2013503349
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150pg/mL以下または60pg/mL以下のBNP値を有する患者サブセットにおいて、PlGFを用いた相対リスクは、18から22pg/mLでカットオフを評価する場合、依然として統計的に有意である(表6)。
Figure 2013503349
図1に記載されている解析と同様に、HCYがBNPの代わりとなり、19.5pg/mL以下のPlGFを有する患者をさらに区別化することができる。図2に示す通り、12.5μmol/L以下のHCYを有し1.0%の主要有害心イベント発生率を有する205名の患者および12.5μmol/Lを超えるHCYを有し10.0%の主要有害心イベント発生率を有する40名の患者が存在する。
図2に示す通り、BNP、PlGF、HCYおよびeGFRの組み合わせも、患者集団を低、中程度および高リスク群に層別化することができる。低リスク群は、1%の主要有害心イベント発生率(99%陰性的中率)を有する205名の患者を含み、一方、高リスク群は、36.5%の主要有害心イベント発生率を有する52名の患者を含む。10.0%から14.5%の主要有害心イベント発生率を有する192名の患者が、中程度リスク群に存在する。
BNPとcTnIとの間に観察される共線性のため、図3および4に示す通り、第一の分割においてBNPの代わりにcTnIを用いた追加的なCART解析を行った。図3において、第一の分割において0.015ng/mL以下のcTnIカットオフを用いた。0.015ng/mL以下のcTnIを有する6.6%の主要有害心イベント発生率の362名の患者および0.015ng/mLを超えるcTnIを有する26.4%の主要有害心イベント発生率の87名の患者が存在する。次に、BNPを用いて0.015ng/mLを超えるcTnI値を有する87名の患者をさらに区別化した。150pg/mLを超えるBNPを有する36.0%の主要有害心イベント発生率の50名の患者および150pg/mL以下のBNPを有する13.5%の主要有害心イベント発生率の37名の患者が存在する。
PlGFを用いて0.015ng/mL以下のcTnI値を有する362名の患者を区別化した(図3を参照)。この場合、21.5pg/mLのPlGFカットオフを用いた。21.5pg/mL以下のPlGFを有し3.6%の主要有害心イベント発生率を有する275名の患者および21.5pg/mLを超えるPlGFを有し16.1%の主要有害心イベント発生率を有する87名の患者が存在する。275名の患者は、90pg/mLのBNP値に基づいてさらに分割させることができる。90pg/mL以下のBNPを有する1.7%の主要有害心イベント発生率の237名の患者および90pg/mLを超えるBNPを有する15.8%の主要有害心イベント発生率の38名の患者が存在した。
図3に示す通り、cTnI、BNPおよびPlGFの組み合わせも、患者集団を低、中程度および高リスク群に層別化することができる。低リスク群は、2%未満の主要有害心イベント発生率を有する237名の患者を含み、一方、高リスク群は、36%の主要有害心イベント発生率を有する50名の患者を含む。13.5%から16.1%の主要有害心イベント発生率を有する162名の患者が、中程度リスク群に存在する。
図3に記載されている解析に代わる解析を図4に示すが、ここでは血漿コリンの結果がPlGFに代わる。この場合、コリンに15.3μmol/Lのカットオフを用いると、15.3μmol/L以下のコリンを有し4.2%の主要有害心イベント発生率を有する283名の患者が存在する。15.3μmol/Lを超えるコリンを有し15.1%の主要有害心イベント発生率を有する79名の患者が存在する。次に、68mL/min/1.73mのeGFRカットオフを用いて、15.3μmol/L以下のコリンを有する283名の患者を区別化した。68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有し2.2%の主要有害心イベント発生率を有する225名の患者および68mL/min/1.73m以下のeGFRを有し12.1%の主要有害心イベント発生率を有する58名の患者が存在する。
図4に示す通り、cTnI、血漿コリン、BNPおよびeGFRの組み合わせも、患者集団を低、中程度および高リスク群に層別化することができる。低リスク群は、2.2%の主要有害心イベント発生率を有する225名の患者を含み、一方、高リスク群は、36%の主要有害心イベント発生率を有する50名の患者を含む。12.1%から15.1%の主要有害心イベント発生率を有する174名の患者が、中程度リスク群に存在する。
本試験において統計的に有意なバイオマーカーは、NTプロBNP、BNP、cTnI、HCY、eGFR、PlGF、コリン、IMAおよびhsCRPである。バイオマーカー類(表3に列挙)は、異なる病態生理学的経路下にある(Vasan RS、Circulation、2006;113:2335−2362およびApple FS、Clin Chem.2005;51:810−824)。バイオマーカーの異なる病態生理に基づいて、バイオマーカーの組み合わせは、患者のリスク層別化の補助に有益となる。バイオマーカーの組み合わせは、上述のマーカー由来の少なくとも3種類のバイオマーカーを含む。

Claims (28)

  1. a)患者から試験試料を得る工程、
    b)前記試験試料における、心筋トロポニンI(cTnI)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)またはその切断産物、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、胎盤増殖因子(PlGF)、推算糸球体濾過量(eGFR)、ホモシステイン(HCY)、コリン、虚血修飾アルブミン(IMA)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)およびリポタンパク質関連ホスホリパーゼA(LpPLA2)からなる群から選択される少なくとも3種類のバイオマーカーの量を決定する工程、ならびに
    c)前記少なくとも3種類のバイオマーカーの量をバイオマーカー標準試料と比較する工程
    を含み、リスクは前記比較の結果によって決定される、
    患者における、急性冠症候群(ACS)の少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベント(MACE)を経験するリスクを決定する方法。
  2. 前記少なくとも3種類のバイオマーカーが、プロBNPまたはその切断産物、PlGF、eGRFおよびホモシステインからなる群から選択される、請求項1の方法。
  3. 前記少なくとも3種類のバイオマーカーが、プロBNPまたはその切断産物、PlGFおよびeGFRからなる群から選択される、請求項1の方法。
  4. 前記少なくとも3種類のバイオマーカーが、cTnI、プロBNPまたはその切断産物およびPlGFからなる群から選択される、請求項1の方法。
  5. 前記少なくとも3種類のバイオマーカーが、cTnI、プロBNPまたはその切断産物、コリンおよびeGFRからなる群から選択される、請求項1の方法。
  6. 前記試験試料が、血液、血清および血漿からなる群から選択される、請求項1の方法。
  7. 前記切断産物がBNPまたはNT−プロBNPである、請求項1の方法。
  8. 前記患者がストレス試験を受けた後に、急性冠症候群の少なくとも1症状を呈して1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクの決定に前記結果が用いられる、請求項1の方法。
  9. 前記主要有害心イベントが、心筋梗塞、死亡、血行再建、血行再建反復、脳卒中、心不全およびリズム障害からなる群から選択される少なくとも1状態を含む、請求項1の方法。
  10. 患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含み、
    約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者のeGRFが評価される必要があることを示し、前記PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、前記試験試料におけるBNPレベルが再評価される必要があることを示し、前記BNPレベルが再評価される必要がある場合、約65pg/mL以下のBNPレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約65pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示す、
    患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクを決定する方法。
  11. 約150pg/mL以下のBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約6.4%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  12. 約150pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約27.6%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  13. 約19.5pg/mL以下のPlGFレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約2.4%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  14. 約19.5pg/mLを超えるPlGF値を有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.5%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  15. 約68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.3%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  16. 68mL/min/1.73m以下のeGFRを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約36.5%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  17. 約65pg/mL以下のBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約1%未満の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  18. 約65pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約12.1%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項10の方法。
  19. 患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含み、
    約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者のeGRFが評価される必要があることを示し、前記PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、前記試験試料におけるHCYレベルが評価される必要があることを示し、19.5を超えるPlGFレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、前記eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示し、前記HCYレベルが評価される必要がある場合、約12.5μmol/L以下のHCYレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約12.5μmol/Lを超えるHCYレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示す、
    患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験する発生率を決定する方法。
  20. 約150pg/mLを超えるBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約27.6%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  21. 約150pg/mL以下のBNPレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約6.4%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  22. 約19.5pg/mLを超えるPlGF値を有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.5%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  23. 約19.5pg/mL以下のPlGFレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約2.4%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  24. 約68mL/min/1.73mを超えるeGFRを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約14.3%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  25. 約68mL/min/1.73m以下のeGFRレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約36.5%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  26. 12.5μmol/L以下のHCYレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約1%未満の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  27. 約12.5μmol/Lを超えるHCYレベルを有する患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に約10%の主要有害心イベント発生率を有する、請求項19の方法。
  28. 患者が約0.015ng/mL以下の心筋トロポニンIレベルを有するかどうか決定する工程、および前記患者が約0.015ng/mL以下の心筋トロポニンIレベルを有する場合、前記患者から得られた試験試料におけるBNPレベルを評価する工程を含み、
    約150pg/mL以下のBNPレベルは、前記試験試料におけるPlGFレベルが評価される必要があることを示し、約150pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者のeGRFが評価される必要があることを示し、前記PlGFレベルが評価される必要がある場合、約19.5pg/mL以下のPlGFレベルは、前記試験試料におけるBNPレベルが再評価される必要があることを示し、前記BNPレベルが再評価される必要がある場合、約65pg/mL以下のBNPレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが低いことを示し、約65pg/mLを超えるBNPレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、eGFRが評価される必要がある場合、約68mL/min/1.73mを超えるeGFRレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが中程度であることを示し、約68mL/min/1.73m以下のeGRFレベルは、前記患者が、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクが高いことを示す、
    慢性腎疾患であると診断された患者における、ACSの少なくとも1症状を呈してから1年以内に主要有害心イベントを経験するリスクを決定する方法。
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