JP2013256714A - めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Si含有量が多い場合であっても優れためっき後外観を有する、めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、Cを0.05質量%以上0.2質量%以下、Siを0.5質量%以上3.0質量%以下、Mnを0.1質量%以上3.0質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域2内に少なくともFeを含有する領域3が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことによって形成されている。これにより、Si含有量が多い場合であっても優れためっき後外観を有する、めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供できる。
【選択図】図1
【解決手段】高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、Cを0.05質量%以上0.2質量%以下、Siを0.5質量%以上3.0質量%以下、Mnを0.1質量%以上3.0質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域2内に少なくともFeを含有する領域3が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことによって形成されている。これにより、Si含有量が多い場合であっても優れためっき後外観を有する、めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車用鋼板等に適用して好適な、めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
近年、自動車、家電、建材等の分野において、素地鋼板に防錆性を付与した表面処理鋼板、中でも安価に製造でき、且つ、防錆性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が利用されている。また、地球環境保全の観点から、自動車車体を軽量化することによって、自動車の燃費を改善することが求められている。一方、衝突時の乗員の安全性を確保するために、自動車車体の強度を向上させることも求められている。自動車車体の軽量化と強度向上とを同時に実現するためには、自動車車体の素材となる薄鋼板を薄肉化、且つ、高強度化することが効果的である。このため、板厚を低減した高強度薄鋼板を自動車車体の素材として採用することが積極的に進められており、最近では、自動車車体の強度部材や補強部材として引張強さが590MPa以上の高強度薄鋼板が使用され始めている。
一般に、自動車車体の強度部材や補強部材はプレス加工等の成形加工によって製造される。このため、自動車車体の素材には、高強度であること以外に加工性に優れることが要求される。自動車車体の素材となる鋼板を高強度化する方法としては、Si(ケイ素)やMn(マンガン)等の合金元素を添加することによって固溶強化したり、結晶粒を微細化したりする方法や、Nb(ニオブ)、Ti(チタン)、V(バナジウム)等の析出物形成元素を添加して析出強化する方法、マルテンサイト相等の硬質な変態組織を形成して強化する方法等が有効であり、既に実用化されている。
合金元素を添加することによって鋼板を高強度化する場合、加工性が低下することが一般的である。ところが、Siは、加工性の低下を抑制しつつ高強度化が可能であるため、鋼板の強度と加工性とを両立させる上で有用な合金元素である。しかしながら、Siは、易酸化性元素であるため、含有量の増加に伴い通常の冷延鋼板の製造工程で実施される還元性雰囲気下での焼鈍処理中に優先的に酸化されて鋼板表面近傍に濃化し、表面にSi含有酸化物層を形成する。表面にSi含有酸化物層が形成された鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施した場合、Si含有酸化物層が溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性を低下させるために、めっき弾きが多発するようになる。また、めっき弾きが発生しなかった場合でも溶融亜鉛めっきと下地鋼板との密着性が悪くなる。
このような背景から、Si含有鋼板、特に0.8質量%以上の高い濃度のSiを含有する鋼板のめっき後外観を改善する方法が数多く提案されている。具体的には、高い濃度のSiを含有する鋼板のめっき性を阻害する主な要因は、Siを主体とする酸化物が鋼板表面を被覆することによって、溶融亜鉛めっき処理時に溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性が低下することである。そこで、特許文献1には、鋼板表面に酸化膜を形成した後に還元焼鈍処理を行う技術が開示されている。また、特許文献2〜8には、酸化速度や還元量を規定したり、酸化膜厚に基づいて酸化条件や還元条件を制御したりすることによって、溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性の効果を安定化させる技術が開示されている。
しかしながら、本発明の発明者らの検討によれば、特許文献1〜8記載の技術を用いても、Si含有量が多く、焼鈍処理後の鋼板表面にSiやMnを含有する酸化物領域がある程度存在する場合には、めっき性にばらつきが見られ、必ずしも十分なめっき性が得られないことが知見された。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、Si含有量が多い場合であっても優れためっき後外観を有する、めっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、Cを0.05質量%以上0.2質量%以下、Siを0.5質量%以上3.0質量%以下、Mnを0.1質量%以上3.0質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことによって形成されていることを特徴とする。
少なくともFeを含有する領域の大きさは100nm以下であることが好ましい。なお、ここでいう領域の大きさとは、領域の長辺の平均長さのことを意味する。面積で換算する場合には、領域の大きさは長辺も短辺も100nmであったときの正方形換算の面積である0.01μm2以下とすることが好ましい。
鋼板引っ張り強度は590MPa以上であることが好ましい。
少なくともFeを含有する領域がSi及び/又はMnを含有する酸化物の領域全体の10%以上の領域を占めることが好ましい。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、本発明に係るめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼成分を有するスラブを1000〜1300℃の温度範囲内に加熱した後に熱間圧延を圧延終了温度800〜1000℃の範囲内で行い、650℃以下の温度で巻き取り、酸洗を行い、冷間圧延を行った後、700〜900℃の温度範囲内で仕上焼鈍を行うにあたり、仕上焼鈍時の加熱速度を5℃/sec以下とし、仕上焼鈍後から600℃までの間の冷却速度を5℃/sec以上として、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことを特徴とする。
本発明に係るめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法によれば、Si含有量が多い場合であっても優れためっき後外観を有する高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供できる。
本発明の発明者らは、焼鈍処理後の鋼板の表面構造とめっき処理後外観との関係を鋭意検討した。一般に、焼鈍処理を行うと、鋼板中にSiやMnが添加元素として含まれているために、少なからず鋼板表面にSiやMnを含有する酸化物領域が形成される。本発明の発明者らは、めっき後外観の優れた鋼板の焼鈍処理後の表面構造を詳細に調べたところ、SiやMnを含有する酸化物領域の中に少なくともFeを含む領域が分散していることを知見した。溶融亜鉛めっき処理時の溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性を左右する要因は、めっき液の濡れ性を阻害するSiやMnを含む酸化物領域の露出面積であると考えられる。すなわち、鋼板表面に比較的広いSiやMnを含有する酸化物領域が存在すると、その部分では溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性が悪く、めっき弾きが生じやすくなる。
このため、通常、SiやMnを多く含有する鋼板の製造時には、焼鈍処理時に表面にSiやMnを含有する酸化物が濃化しない条件で処理が行われる。これに対して、本発明の発明者らが見出した鋼板では、SiやMnを含有する酸化物領域内に少なくともFeを含む微細な金属鉄を分散させることにより、めっき処理時の溶融亜鉛めっきと下地鋼板との濡れ性を確保できるため、めっき弾きを生じることなくめっき処理を施すことができる。
以下、本発明の一実施形態である高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板について説明する。
本発明の一実施形態である高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、Siを0.5質量%以上3.0質量%以下、Mnを0.1質量%以上3.0質量%以下含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。Si及びMnは、鋼板の加工性を低下させずに強度を上げる元素であり、強度と加工性とのバランスを向上させるために必要である。また、C(炭素)の含有量は0.05質量%以上0.2質量%以下の範囲内とする。Cの含有量が下限値未満であると、固溶、析出、細粒化、及び変態等による強化の効果がほとんど見られなくなる。一方、Cの含有量が上限値超えであると、固溶、析出、細粒化、及び変態等による強化の効果が飽和し、製造コストが上昇する。これらの添加元素によって目的とする鋼板特性(例えば鋼板引っ張り強度が590MPa以上等)が得られるが、上記の添加元素に加えて下記の元素を添加してもよい。これらの元素を添加する場合の好ましい範囲は以下の通りである。
P(リン)の含有量は、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以下である。Pの含有量が上限値超えであると、耐食性が劣化傾向になるためである。S(硫黄)の含有量は、好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.002質量%以下である。Sの含有量が上限値超えであると、耐食性が劣化傾向になるためである。
Al(アルミニウム)の含有量は0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内にすることが望ましい。また、N(窒素)の含有量は0.005質量%以下にすることが望ましい。また、上記の元素に加え、必要に応じてさらにTi、Nb、V、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、及びNi(ニッケル)のうちの1種又は2種以上を含有することもできる。
本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面を有し、その後、亜鉛めっき処理及び合金化処理が施されていれば、製造方法は限定するものではないが、所望の表面状態が得られる製造方法の一例について説明する。
本実施形態では、本発明に適合する成分組成を有する鋼を常法の製鋼プロセスで溶製してスラブとし、このスラブに対して熱間圧延する工程、冷間圧延する工程、冷間圧延後の鋼板を焼鈍する工程、焼鈍後の鋼板表面に溶融亜鉛めっき処理を施す工程、及び酸洗工程を施すことによって、めっき後外観に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。
熱間圧延する工程は、一旦室温まで冷却したスラブを加熱炉で1000℃以上の温度に再加熱してから行うことが通常である。しかしながら、スラブ製造後(連続鋳造後)、再加熱することなく直ちに圧延する直送圧延(直接圧延)するプロセスや、室温まで冷却することなく温片状態で加熱炉に装入し、軽加熱又は保温を行ってから圧延するプロセスを採用してもよい。
スラブを再加熱する場合、スラブ加熱温度は1000℃以上にすることが好ましい。スラブ加熱温度の上限値は特に限定されないが、スラブ加熱温度が1300℃を超えると酸化重量の増加に伴いスケールロスが増大したり、表面欠陥が発生したりすることがあることから、1300℃をスラブ加熱温度の上限値とすることが好ましい。
熱間圧延を行う工程では、必要に応じて粗圧延を行った後、圧延終了温度を800℃以上として仕上圧延を行い熱延鋼板とすることが好ましい。仕上圧延の終了温度が800℃を下回ると、鋼板組織の不均一を招き、加工性を低下させる場合がある。一方、仕上圧延終了温度の上限値は、特に限定されないが、過度に高い温度で圧延するとスケール痕等の表面欠陥の原因となるので、仕上圧延終了温度の上限値は1000℃とすることが好ましい。熱間圧延後は650℃以下の温度で鋼板を巻き取ることが好ましい。巻取温度が650℃を超えると、巻取後に多量のスケールが生成し、冷間圧延前の酸洗負荷が大きくなる。
次に、上記のようにして得た熱延鋼板に対し酸洗処理を行うことによって表面スケールを除去した後、冷間圧延工程を行う。この冷間圧延工程は、所望の寸法及び形状の冷延鋼板を得ることができれば特に限定されない。なお、冷間圧延工程前の酸洗処理は、熱延鋼板の表面スケールが極めて少ない場合には、省略することもできる。
冷間圧延工程後の冷延鋼板に対しては、所望の強度と加工性とを付与するため、焼鈍処理が施される。焼鈍炉に導入する雰囲気ガスは0.1〜50体積%のH2(水素)を含み、残部はN2(窒素)及び不可避的不純物とすることが好ましい。H2濃度が0.1体積%未満では鋼板表面のFe酸化物を還元するH2が不足し、H2濃度が50体積%を超えてもFe酸化物の還元反応が飽和するためである。H2濃度そのものやN2濃度とH2濃度との比率、また焼鈍温度等を変更することによって、焼鈍時に鋼板表面に濃化するSi及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域を分散させることができる。
また、露点が-25℃超になると炉内に存在する水に含まれる酸素による酸化が著しくなり、SiやMn等の内部酸化が過度に起こるため、露点は-25℃以下とすることが好ましい。これにより、焼鈍炉内は鉄の還元性雰囲気となり、酸化処理で生成された鉄の酸化物の還元が起こる。このとき、還元により鉄と分離された酸素は、一部鋼板内部に拡散し、SiやMn等と反応することによって、酸化物を形成する。SiやMn等が鋼板内部で酸化し、溶融めっきと接触する鋼板最表面のSiやMn等を含有する酸化物が減少するため、めっき密着性は良好となる。焼鈍処理は、材質調整の観点、及びSi及び/又はMnを含有する酸化物領域内にFeを含有する領域を分散させる観点から、昇温速度5℃/sec以下で加熱して鋼板温度を700〜900℃の範囲内とし、冷却は冷却速度5℃/sec以上で600℃になるまで冷却することが好ましく、仕上焼鈍温度は750〜850℃の範囲内とすることがさらに好ましい。また、仕上焼鈍時の均熱時間は10〜180秒の範囲内にすることが好ましい。このように構成することにより、材質を確保しつつ、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面を得ることができる。
焼鈍処理後、440〜550℃の温度域の温度に冷却した後、溶融亜鉛めっき処理を施す。溶融亜鉛めっき処理は、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき層の合金化処理を行わないもの)製造時は0.12〜0.22質量%の溶解Al量のめっき浴、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(溶融亜鉛めっき後合金化処理するもの)製造時は0.08〜0.18質量%の溶解Al量のめっき浴で、板温440〜550℃で鋼板をめっき浴中に浸入させておこない、ガスワイピング等でめっき付着量を調整する。溶融亜鉛めっき浴温度は通常の440〜500℃の範囲内であればよく、合金化処理を施す場合には鋼板を460〜600℃の範囲内に加熱して処理することが望ましい。鋼板温度が600℃超になるとめっき密着性が劣化し、460℃未満では合金化が進行しない。
合金化処理する場合、合金化度(皮膜中鉄%)は7〜15質量%の範囲内になるようにする。合金化度が7質量%未満であると、合金化ムラが生じ、外観性の劣化や、いわゆるζ相の生成によって摺動性が劣化する。一方、合金化度が15質量%を越えると、硬質で脆いΓ相が多量に形成され、めっき密着性が劣化する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際には、良好なめっき性及びめっき密着性を実現するSiやMn等を含有する酸化物量とめっき層中の酸化物割合と、酸化処理時の酸化温度、酸素濃度及び焼鈍時の雰囲気、温度等との関係を予め調べておき、例えば、酸化処理時の酸化温度が不足する等の事態が生じた際に、焼鈍条件を変更して所定の酸化物量、めっき層中の酸化物割合を実現するとよい。
〔実施例〕
本実施例では、C:0.09質量%、Si:1.4質量%、Mn:1.9質量%を含有するスラブを板厚2.5mmになるまで熱間圧延し、熱延鋼板を580℃で巻き取った。比較例では焼鈍雰囲気を水素濃度9%、実施例では焼鈍雰囲気を水素濃度12%とし、焼鈍条件として昇温速度5℃/secで830℃まで昇温し、この温度で60秒間保持した。その後冷却速度10℃/secで550℃まで冷却し、溶融亜鉛めっき処理を行い、540℃にて合金化処理を行った。比較例では昇温時の到達温度は同じだが、昇温速度を10℃/sec、冷却速度を3℃/secとして焼鈍処理を実施した。実施例の焼鈍処理後表面のSEM像及び構造を図1(a),(b)、比較例の焼鈍処理後表面のSEM像を図2に示す。図1(a),(b)に示すように、実施例では、数ミクロン程度の大きさを有するSiやMnを含有する酸化物領域2の周囲に焼鈍処理によって生成した還元鉄被覆領域1が存在し、酸化物領域2内には10〜100nmの大きさの少なくともFeを含有する領域3が分散している。また、少なくともFeを含有する領域3は酸化物領域2全体の10%以上の領域を占めている。
本実施例では、C:0.09質量%、Si:1.4質量%、Mn:1.9質量%を含有するスラブを板厚2.5mmになるまで熱間圧延し、熱延鋼板を580℃で巻き取った。比較例では焼鈍雰囲気を水素濃度9%、実施例では焼鈍雰囲気を水素濃度12%とし、焼鈍条件として昇温速度5℃/secで830℃まで昇温し、この温度で60秒間保持した。その後冷却速度10℃/secで550℃まで冷却し、溶融亜鉛めっき処理を行い、540℃にて合金化処理を行った。比較例では昇温時の到達温度は同じだが、昇温速度を10℃/sec、冷却速度を3℃/secとして焼鈍処理を実施した。実施例の焼鈍処理後表面のSEM像及び構造を図1(a),(b)、比較例の焼鈍処理後表面のSEM像を図2に示す。図1(a),(b)に示すように、実施例では、数ミクロン程度の大きさを有するSiやMnを含有する酸化物領域2の周囲に焼鈍処理によって生成した還元鉄被覆領域1が存在し、酸化物領域2内には10〜100nmの大きさの少なくともFeを含有する領域3が分散している。また、少なくともFeを含有する領域3は酸化物領域2全体の10%以上の領域を占めている。
一般に、SiやMnを含有する酸化物領域2では、溶融亜鉛めっき液との濡れ性が悪く、めっき弾きが生じるが、還元鉄被覆領域1では正常にめっきが付着する。このため、SiやMnを含有する酸化物領域2では不めっき等の不良が生じる。ところが、図1(a),(b)に示すように、SiやMnを含有する酸化物領域2内に少なくともFeを含む微細な領域3が分散していると、SiやMnを含有する酸化物領域2においてもめっきが正常に付着する。図3は、実施例の合金化処理後鋼板表面を示す。図4は、比較例の合金化処理後鋼板表面を示す。図3と図4との比較から明らかなように、比較例ではめっきが付着してない不めっき領域が形成されているが、実施例では不めっき領域が観察されず、めっき後外観が良好であることが確認された。
1 還元鉄被覆領域
2 酸化物領域
3 少なくともFeを含む領域
2 酸化物領域
3 少なくともFeを含む領域
Claims (5)
- Cを0.05質量%以上0.2質量%以下、Siを0.5質量%以上3.0質量%以下、Mnを0.1質量%以上3.0質量%以下含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことによって形成されていることを特徴とするめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記少なくともFeを含有する領域の大きさが100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼板引っ張り強度が590MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記少なくともFeを含有する領域がSi及び/又はMnを含有する酸化物の領域全体の10%以上の領域を占めることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 請求項1に記載の鋼成分を有するスラブを1000〜1300℃の温度範囲内に加熱した後に熱間圧延を圧延終了温度800〜1000℃の範囲内で行い、650℃以下の温度で巻き取り、酸洗を行い、冷間圧延を行った後、700〜900℃の温度範囲内で仕上焼鈍を行うにあたり、仕上焼鈍時の加熱速度を5℃/sec以下とし、仕上焼鈍後から600℃までの間の冷却速度を5℃/sec以上として、焼鈍処理後の表面がFe及びFeの酸化物とSi及び/又はMnを含有する酸化物とによって構成され、Si及び/又はMnを含有する酸化物の領域内に少なくともFeを含有する領域が分散している鋼板の表面に、亜鉛めっき処理及び合金化処理を順に施すことを特徴とするめっき後外観に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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