JP2013255777A - 使い捨て着用物品 - Google Patents

Abstract

【課題】吸収体の面積が比較的に小さい場合であっても、吸収体の存在領域以外にシャーシから肌が透けて見えない領域を設けることができ、外部から吸収体の存在領域が目立つことのない使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】おむつ１の吸収体４０は、第１ウエスト域１１に重なる領域の横方向Ｘにおける寸法が、第１ウエスト域１１の横方向Ｘにおける寸法の２０〜３０％であり、第１ウエスト域１１は、吸収体４０に重なる難透視性パネル７０が配置され、シャーシ１０、吸収体４０及び難透視性パネル７０が積層された第１領域と、第１領域の横方向Ｘ外側に隣接しシャーシ１０及び難透視性パネル７０が積層された第２領域と、第２領域の横方向Ｘ外側に隣接しシャーシ１０のみから構成される第３領域とを有し、第１領域と第２領域との全光線透過率の差は、第２領域と第３領域との全光線透過率の差よりも小さい。
【選択図】図２

Description

本発明は、使い捨て着用物品に関し、より詳しくは、全光線透過率の比較的高いシャーシと、吸収体とを有する使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ、使い捨て吸収パッド等の使い捨て着用物品に関する。

従来、シャーシの肌対向面に吸収体が取り付けられた使い捨て着用物品は公知である。例えば、特許文献１には、前後ウエスト域およびクロッチ域を有し、繊維不織布によって構成されたシャーシと、シャーシの肌対向面に配置されクロッチ域から前後ウエスト域へ延びる吸収体とを備える使い捨て着用物品が開示される。シャーシを構成する繊維不織布の全光線透過率は、フィルムの絵柄が繊維不織布を透過して視認されるよう比較的高くされる。

特開２００２−６５７号公報（ＪＰ ２００２−６５７Ａ）

特許文献１に開示の使い捨て着用物品によれば、シャーシの全光線透過率が高くされているから、フィルムまたは吸収体と重ならない領域においては、シャーシから着用者の肌が透けて見える。肌が透ける部分が広いと、着用者が羞恥心を感じることがある。また、特にシャーシの面積に比べて吸収体の面積をより小さくした場合には、排泄物の漏れに対して不安を感じる可能性もある。また、吸収体の存在領域と非存在領域との境界がはっきりと視認されることによって、吸収体の存在領域が目立ち、外観視において違和感を与えるおそれがある。

本発明は、従来の着用物品の改良であって、吸収体の面積が比較的に小さい場合であっても、吸収体の存在領域以外にシャーシから肌が透けて見えない領域を設けることができ、外部から吸収体の存在領域が目立つことのない使い捨て着用物品を提供することを課題とする。

本発明は、縦方向およびそれに直交する横方向を有し、肌対向面およびその反対側に位置する非肌対向面と、前後ウエスト域のいずれか一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域のいずれか他方である第２ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシと、前記シャーシの前記肌対向面に位置し前記クロッチ域から少なくとも前記第１ウエスト域に前記縦方向に延びる吸収体とを含む使い捨て着用物品の改良にかかわる。

本発明は、前記使い捨て着用物品において、前記吸収体は、前記第１ウエスト域に重なる領域の前記横方向における寸法が、前記第１ウエスト域の前記横方向における寸法の２０〜３０％であり、前記第１ウエスト域は、前記吸収体に重なる難透視性パネルが配置され、前記シャーシ、前記吸収体及び前記難透視性パネルが積層された第１領域と、前記第１領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシ及び前記難透視性パネルが積層された第２領域と、前記第２領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシのみから構成される第３領域とを有し、前記第１領域と前記第２領域との全光線透過率の差は、前記第２領域と前記第３領域との全光線透過率の差よりも小さいことを特徴とする。

本発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、第１ウエスト域において、
吸収体の存在する第１領域の横方向外側に隣接して難透視性パネルの配置された第２領域が位置するので、比較的に広範囲において着用者の肌が透けることはなく、また、第１領域と第２領域との全光線透過率の差は、第２領域とシャーシのみから形成された第２領域の横方向外側に隣接する第３領域との全光線透過率の差よりも小さいことから、吸収体の存在領域と非存在領域との境界が目立って外観を損ねることはない。

本発明に係る使い捨て着用物品の一例としての使い捨ておむつの前ウエスト域側から見た斜視図。 使い捨ておむつの展開平面図。 使い捨ておむつの分解斜視図。 図２のＩＶ−ＩＶ線で切断した断面図。 図２のＶ−Ｖ線で切断した断面図。 使い捨ておむつを展開した状態における前ウエスト域の平面図。 図２のＶＩＩ−ＶＩＩ線で切断した断面図。

図１を参照すれば、使い捨ておむつ１は、着用者の肌対向面およびその反対側である非肌対向面を有し、シャーシ１０と、シャーシ１０の肌対向面に配置された吸収体４０と、吸収体４０の一部に重なる難透視性パネル７０とを含む。シャーシ１０は前ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）１１と、後ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）１２と、前後ウエスト域１１，１２間に位置するクロッチ域１３と、横方向Ｘへ延びる前後端部１４，１５および縦方向Ｙへ延びる両側部１６とを有する。両側部１６には、縦方向Ｙへ断続的に延びるシーム部１７が形成され、シーム部１７で前後ウエスト域１１，１２が連結されることによって、前後端部１４，１５でウエスト開口が形成され、クロッチ域１３における両側部１６でレッグ開口が形成される。

図２および図３を参照すれば、おむつ１は、横方向Ｘにおける寸法を二等分した仮想縦中心線２−２、縦方向Ｙにおける寸法を二等分した仮想横中心線３−３を有し、仮想縦中心線２−２に関してほぼ対称とされる。この図２および図３において、各弾性体は、その収縮力に抗して伸長させた状態で示される。

シャーシ１０は、肌対向面に位置し前後ウエスト域１１，１２およびクロッチ域１３を画定する内面シート２１と、内面シート２１の外面側に積層され縦方向Ｙへ離間して配置される前後外面シート２２，２３と、横方向Ｘへ延びる折曲部２６，２７に沿って折り曲げられ前後端部１４，１５において内面シート２１および前後外面シート２２，２３をそれぞれ覆う前後ウエストエンドカバー２４，２５とを含む。前外面シート２２は前ウエスト域１１を画定し、後外面シート２３は後ウエスト域１２およびクロッチ域１３の一部を画定する。内面シート２１、前後外面シート２２，２３およびウエストエンドカバー２４，２５としては、例えば、質量が約１０〜４０ｇ／ｍ^２、好ましくは約１３〜２０ｇ／ｍ^２、繊維密度が約０．０３〜０．１０ｇ／ｃｍ^３、好ましくは約０．０４〜０．０９ｇ／ｃｍ^３である熱融着性のスパンボンド繊維不織布等の種々の繊維不織布を用いることができる。

図４をあわせて参照すると、内面シート２１と前後外面シート２２，２３との間には、横方向Ｘへ延びる複数の弾性体３１が、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前後ウエストエンドカバー２４，２５には、折り畳まれて形成されたスリーブに横方向Ｘへ延びる複数の弾性体３２が、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。これら弾性体３１，３２としては、例えば約４７０〜１２４０ｄｔｅｘのストランド状またはストリング状の弾性体を用い、例えば約１．５〜３．５倍の伸長倍率で取り付けることができる。

内面シート２１の内側には、吸収体４０が取り付けられる。吸収体４０は、横方向Ｘへのびる前後端縁４０ａ，４０ｂと、縦方向Ｙへ延びる両側縁４０ｃと、吸液性の芯材４１と、芯材４１を覆うティッシュペーパ等の被覆シート４２とを有する。芯材４１には、その厚さ方向に貫通し縦方向Ｙへ延びる凹部４３が設けられる。凹部４３は、仮想縦中心線２−２近傍に位置し、クロッチ域１３から前後ウエスト域１１，１２へ縦方向Ｙへ延びる中央凹部４４と、中央凹部４４の横方向Ｘ両外側に離間して位置するとともに中央凹部４４よりも縦方向Ｙにおける寸法が小さく、クロッチ域１３に位置する両側凹部と４５とを有する。

中央凹部４４および両側凹部４５の横方向Ｘにおける寸法は約５〜２０ｍｍ、この実施形態では約８ｍｍである。中央凹部４４の縦方向Ｙにおける寸法は約２００〜４００ｍｍ、この実施形態では約３３０ｍｍであり、両側凹部４５の縦方向Ｙにおける寸法は約５０〜４００ｍｍ、この実施形態では約８０ｍｍである。芯材４１としては、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合を用いることができ、フラッフパルプの質量は約０〜５００ｇ／ｍ^２、この実施形態においては約３００ｇ／ｍ^２、超吸収性ポリマー粒子の質量は約０〜５００ｇ／ｍ^２、この実施形態においては約２５０ｇ／ｍ^２である。図５に示したように凹部４３は、芯材４１が厚さ方向において全く存在しない場合であってもよいし、僅かに存在する場合であってもよい。吸収体４０に凹部４３を設けることによって、これら凹部４３に沿って吸収体４０が屈曲し易くなり、着用者に密着して排泄物を吸収することができる。

再び図２および図３を参照すると、吸収体４０は、クロッチ域１３から縦方向Ｙへ延び、その前後端縁４０ａ，４０ｂが前後ウエスト域１１，１２にそれぞれ位置し、前ウエスト域１１に重なる前端部４６と、後ウエスト域１２に重なる後端部４７と、これらの間に位置しクロッチ域１３に重なる中間部４８とを有する。図７をあわせて参照すると、前端部４６の横方向Ｘにおける寸法Ｗ２は、前ウエスト域１１の横方向Ｘにおける寸法Ｗ１の約２０〜３０％である。この実施形態では、吸収体４０の前端部４６の横方向Ｘにおける寸法Ｗ２は約１３５ｍｍであり、前ウエスト域１１の横方向Ｘにおける寸法Ｗ１は約５８０ｍｍであり、寸法Ｗ２は寸法Ｗ１の約２３％である。

図２および図４を参照すると、前端部４６の縦方向Ｙにおける寸法Ｌ２は、前ウエスト域１１の縦方向Ｙにおける寸法Ｌ１の約３０〜６０％である。この実施形態では、吸収体４０の前端部４６の縦方向Ｙにおける寸法Ｌ２は約１００ｍｍであり、縦方向Ｙにおける寸法Ｌ１は約２３０ｍｍであり、寸法Ｌ２は寸法Ｌ１の約４３％である。通常、寸法Ｗ２は寸法Ｗ１の約３０％以上であることが多く、寸法Ｌ２は寸法Ｌ１の約６０％以上であることが多いから、この実施形態におけるおむつ１は、前端部４６が比較的に小さいものである。

前ウエスト域１１および吸収体４０の前端部４６の縦方向Ｙおよび横方向Ｘにおける寸法は、弾性体３１，３２および後述する弾性体６４の収縮力に抗して各シート等を縦方向Ｙおよび横方向Ｘに広げてそれぞれ測定する。

吸収体４０の吸収面には身体側ライナ５０が配置され、底面にはガスケットカフ６１を形成するガスケットシート６０が配置される。図３を参照すると、ガスケットシート６０は、両側部が折り畳まれてスリーブが形成され、そのスリーブ内に縦方向Ｙへ延びるとともに伸長状態で収縮可能に弾性体６４が取り付けられてガスケットカフ６１が形成される。ガスケットカフ６１は、吸収体４０と重なる領域において、吸収体４０および内面シート２１に接着される近位部６２と、吸収体４０の両側縁４０ｃから横方向Ｘ外側に延出し内面シート２１には接着されない遠位部６３とを含む。弾性体６４は遠位部６３に位置するから、その収縮力によって遠位部６３が、内面シート２１から離間可能とされる。さらに、ガスケットカフ６１は、横方向Ｘへ延びる前後端部６５，６６を有し、これら前後端部６５，６６は、吸収体４０の横方向Ｘ外側において内面シート２１に接着される。上記のようなガスケットカフ６１は、遠位部６３が弾性体６４の収縮力によって、内面シート２１から起立するように離間し、着用者の大腿部に密着して、排泄物の漏れを防止することができる（図５参照）。

ガスケットシート６０と、吸収体４０との間には、フィルムによって形成された漏れ防止シート６７が設けられ、吸収体４０に吸収された排泄物がおむつ１から漏れるのを防止する。漏れ防止シート６７は、吸収体４０からその横方向Ｘ外側へと延出するが、遠位部６３に取り付けられた弾性体６４よりも内側に位置する。したがって、遠位部６３の弾性体６４が取り付けられた部分においては、漏れ防止シート６７によって高剛性になるのを防止し、着用者の肌への刺激を予防することができる。

内面シート２１と前外面シート２２との間には、難透視性パネル７０が配置される。難透視性パネル７０は、横方向Ｘへ延びて縦方向Ｙにおいて互いに対向する前後端部７０ａ，７０ｂと、縦方向Ｙへ延びて横方向Ｘにおいて互いに対向する両側縁７０ｃとを有し、吸収体４０の前端部４６に重なって配置される。図２および図６を参照すると、両側縁７０ｃは、吸収体４０の両側縁４０ｃよりも横方向Ｘ外側に位置するとともに、ガスケットカフ６１の遠位部６３よりも横方向Ｘ外側に位置する。すなわち、難透視性パネル７０の横方向Ｘにおける寸法Ｗ３は、前端部４６の寸法Ｗ２よりも大きく、かつ、遠位部６３間の横方向Ｘにおける寸法Ｗ４よりも大きい。この実施形態において、寸法Ｗ３が約２６０ｍｍ、寸法Ｗ４が約２００ｍｍである。

図２および図４を参照すると、難透視性パネル７０は縦方向Ｙにおける寸法Ｌ３が、吸収体４０の前端部４６の寸法Ｌ２よりも大きい。この実施形態において寸法Ｌ３は約１６０ｍｍである。難透視性パネル７０の縦方向Ｙおよび横方向Ｘの寸法は、弾性体３１，３２および６４の収縮力に抗して難透視性パネル７０を縦方向Ｙおよび横方向Ｘに広げたときの、両側縁７０ｃの縦方向Ｙにおける寸法および前端縁７０ａにおける寸法である。

図６，７を参照すると、前ウエスト域１１では、その両側部１６においては、内面シート２１および前外面シート２２が積層され、横方向Ｘ中央部分においてはこれらシートに加え難透視性パネル７０が積層されて両シート２１，２２の間に接合される。さらに、その横方向Ｘ内側においてはガスケットカフ６１が内面シート２１に接着され、ガスケットカフ６１の横方向Ｘ内側にはこれらシートに加え、漏れ防止シート６７および吸収体４０が積層される。すなわち、両側部１６から横方向Ｘ内側に向かって、積層される構成部材が徐々に増加する。

かかる構成を有するおむつ１において、前ウエスト域１１は、シャーシ１０、吸収体４０及び難透視性パネル７０が積層された第１領域５１と、第１領域５１の横方向Ｘの外側に隣接し、シャーシ１０及び難透視性パネル７０が積層された第２領域５２、及び、第２領域５２の横方向Ｘの外側に隣接するシャーシ１０のみから形成された第３領域５３とを有する。第１〜第３領域５１，５２，５３は、積層されるシート部材の数が異なるので、全光線透過率ＴＴがそれぞれ相違するものである。下記の表１は、本実施形態における各領域５１，５２，５３について下記の測定方法に基づいて全光線透過率を測定したものである。また、測定値に基づいて、横方向Ｘにおいて互いに隣り合う、第１領域５１と第２領域５２とにおける平均全光線透過率の差（第２領域５２の値ＴＴ２−第１領域５１の値ＴＴ１）と第２領域５２と第３領域５３とにおける平均全光線透過率の差（第３領域５３の値ＴＴ３−第２領域５２の値ＴＴ２）を示している。測定は１０回行い、その平均値を各領域５１，５２，５３の平均全光線透過率とした。

＜平均全光線透過率の測定方法＞
全光線透過率は、日本電色工業株式会社製濁度曇り度計ＮＤＨ−３００Ａを用いて測定（濁度曇り度計の電源は、測定３０分前にＯＮにしておく）した。縦方向Ｙにおける寸法４０ｍｍ、横方向Ｘにおける寸法５０ｍｍとなるように、おむつ１から試験片（クロッチ域１３側の約６本の弾性体３１を含んだもの）をそれぞれ１０枚用意した。試験片を濁度計に挟んで測定をおこない、１０枚の試験片の全光線透過率の平均値を平均全光線透過率（％）とした。測定の対象となる前ウエスト域１１には、伸長状態で取り付けられた弾性体３１が存在するから、試験片をおむつ１から切り取る際には、弾性体の収縮力に抗して前ウエスト域１１を縦方向Ｙおよび横方向Ｘに引っ張った状態で寸法を測った。同様に、濁度計に挟む際には、試験片を縦方向Ｙおよび横方向Ｘに引っ張った状態で測定した。この実施形態において、試験片には弾性体３１が６本含まれる。

表１に示すとおり、第１領域５１の平均全光線透過率ＴＴ１は４．８６％、第２領域５２の平均全光線透過率ＴＴ２は２８．７７％、第３領域５３の平均全光線透過率ＴＴ３は５９．８６％である。第１領域５１の平均全光線透過率は約４．８６％であることから、吸収体４０の存在領域において着用者の肌が外部から透けて見えることはない。また、通常、吸収体４０の存在してない領域、すなわち、吸収体４０の横方向Ｘの外側においては平均全光線透過率が比較的に高く、肌が透けて見えてしまうおそれがあるが、本実施形態においては、吸収体４０の横方向Ｘの外側に難透視性パネル７０がさらに延出しているので、肌が透けるのを防止するために吸収体４０の幅寸法を必要以上に大きくすることなく、より広い範囲で平均全光線透過率を着用者の肌が外部から透けて見えない（見え難い）程度まで低くすることができる。

このように、吸収体４０の存在領域及び非存在領域においても着用者の肌が透けない（透け難い）ことから、着用者は、臀部が透けて見えることによる恥ずかしさから解放され、安心しておむつ１を着用することができる。また、吸収体４０の非存在領域においても着用者の肌が透けて見えないことで、着用者又は着用補助者は、吸収体４０の吸収領域が広くなっているかのように錯覚し、吸収体４０の吸収力に対する不安感も払拭することができる。

各領域５１，５２，５３の全光線透過率の測定の結果、第１領域５１と第２領域５２とにおける平均全光線透過率の差（第２領域５２の値ＴＴ２−第１領域５１の値ＴＴ１）は２３．９１％、第２領域５２と第３領域５３とにおける平均全光線透過率の差（第３領域５３の値ＴＴ３−第２領域５２の値ＴＴ２）は、３１．０９％であった。このように、横方向Ｘにおいて隣接する領域の平均光線透過率の差が２０〜３０％に位置していることから、隣り合う領域どうしにおいて透過度に基づく大きな色合いの差はなく、各領域の境界ラインがくっきりと外部から視認されることはない。また、第１領域５１と第２領域５２とにおける平均全光線透過率の差が第２領域５２と第３領域５３とのそれよりも小さいことから、前ウエスト域１１において吸収体４０の存在領域のみが比較的に目立つということはない。また、第１領域５１から第３領域５３まで横方向Ｘの外側にいくにつれて、次第に構成部材が減って光線透過率が高くなっているので、横方向Ｘの外側にいくにつれて色合いが次第に僅かに薄くなるグラデーションを呈し、意匠的に良好な外観を有する。

かかる効果を奏するために、第１領域５１と第２領域５２とにおける全光線透過率の差（第２領域５２の値ＴＴ２−第１領域５１の値ＴＴ１）は約０〜３０％、好ましくは約２０〜３０％、第２領域５２と第３領域５３とにおける全光線透過率の差（第３領域５３の値ＴＴ３−第２領域５２の値ＴＴ２）は、約０〜４５％、好ましくは、約２５〜４５％である。これらの値がその最大値以上の場合には、隣り合う領域どうしの境界が外部から比較的に明瞭に視認され、見た目に違和感を生じるおそれがあるからである。また、第１領域５１の全光線透過率は少なくとも５％以上であることが好ましい。５％よりも小さい場合には、おむつ１全体が厚いように見え通気性に劣るような印象を与えかねないからである。なお、本測定は複数条の弾性体３１を含む前ウエスト域１１に関して行ったものであって、シャーシ１０が複数条の弾性体３１を含まない場合には、弾性体３１が存在しない分だけ全体的に全光線透過率が高くなるが、隣接する領域５１，５２，５３間における全光線透過率の差は本実施形態の場合と大きく異なることはないので、弾性体３１を含まない場合についても本発明と同様の効果を奏し得る。

前ウエスト域１１には、横方向Ｘへ延びる弾性体３１が取り付けられるから、前ウエスト域１１全体が横方向Ｘ内側に向かって収縮される。内面シート２１および前外面シート２２のみが積層された第３領域５３に比べて、吸収体４０が積層された第１領域５１ではその剛性が大きいから、第２領域５２が存在しない場合には、剛性差によって収縮されたシートが段差になりやすく、着用者への密着性が低減する。しかし、本実施形態においては吸収体４０の横方向Ｘ外側にガスケットシート６０や難透視性パネル７０が重なった第２領域５２が形成されるから、横方向Ｘ外側からその内側に向かってその剛性が段階的に大きくなり、吸収体４０が重なった部分との間の剛性差を小さくすることができ、弾性体の収縮による段差が生じにくい。

第２領域５２の横方向Ｘにおける平均曲げ剛性Ｂ１は約０．４〜１．２ｇｆ・ｃｍ／ｃｍ、この実施形態では約０．６５ｇｆ・ｃｍ／ｃｍである。難透視性パネル７０が重ならない、すなわち、内面シート２１および前外面シート２２のみが重なった第３領域５３の横方向Ｘにおける平均曲げ剛性Ｂ２は約０．２〜０．６ｇｆ・ｃｍ／ｃｍ、この実施形態では約０．２８ｇｆ・ｃｍ／ｃｍである。このように、難透視性パネル７０を積層することによって、特に横方向Ｘにおける曲げ剛性を大きくすることができるから、吸収体４０との間における剛性差を小さくし、弾性体の収縮による段差を抑制することができる。

横方向Ｘにおいて、第２領域５２の平均曲げ剛性Ｂ１は、第３領域５３の平均曲げ剛性Ｂ２の約１５０〜３００％であることが好ましい。この実施形態では、約２３２％である。これら領域の平均曲げ剛性の差が３００％よりも大きい場合には、これら領域の間で弾性体の収縮による段差が生じる可能性があり、１５０％よりも小さい場合には、おむつ１全体の剛性が高くなり柔軟性が低下する可能性があるからである。

＜曲げ剛性の測定方法＞
曲げ剛性は、カトーテック株式会社製ＫＥＳ ＦＢ−２を用いて測定した。おむつ１の同じ領域において、縦方向Ｙにおける寸法５０ｍｍ、横方向Ｘにおける寸法１００ｍｍとなる試験片と、縦方向Ｙにおける寸法１００ｍｍ、横方向Ｘにおける寸法５０ｍｍとなる試験片とを準備した。一対のチャックの一方に試験片の長手方向の一端を挟み、他方のチャックに試験片の長手方向の他端を挟む。一方のチャックが他方のチャックを中心に回転し、これによって折り曲げられた試験片の曲げ剛性をトルク検出器で測定する。それぞれの試験片で横方向Ｘにおける曲げ剛性を測定し、これらの平均を求めた。さらに、試験片は、各５組準備して、これらの測定値の平均値を横方向Ｘにおける平均曲げ剛性（Ｂ１，Ｂ２）とした。測定の対象となる前ウエスト域１１には、伸長状態で取り付けられた弾性体３１が存在するから、試験片をおむつ１から切り取る際には、弾性体の収縮力に抗して前ウエスト域１１を縦方向Ｙおよび横方向Ｘに引っ張った状態で寸法を測った。

吸収体４０の前端部４６に重なるように難透視性パネル７０を設けることで、前端部４６における剛性を大きくすることができ、弾性体３１の収縮によって吸収体４０が横方向Ｘに収縮するのを予防することができる。したがって、前端部４６に延在する中央凹部４４が大きく横方向へ収縮されるのを予防することができ、凹部を維持することができる。凹部の横方向Ｘに収縮され、それを維持することができなくなると、吸収体４０が凹部に沿って屈曲することができなくなり、着用者の肌への密着性が低下するが、この実施形態ではこれを予防することができる。また、凹部の形成によって、吸収体４０の吸収面積を増大させることもでき、凹部の形状維持によって吸収面積が小さくなるのを予防することもできる。前端部４６に中央凹部４４が延在することによって、前ウエスト域１１において吸収体４０を着用者の肌に密着させることができ、前ウエスト域１１からの排泄物の漏れを予防することができる。

以上のとおり、前ウエスト域１１について第１〜３領域５１，５２，５３に区分して、各領域の全光線透過利率及び横方向Ｘにおける剛性に関しての特徴、技術的効果について述べたが、前ウエスト域１１に難透視性パネル７０を配置せず、後ウエスト域１２にのみ難透視性パネル７０を配置してかかる技術的効果を奏するようにしてもよいし、前後ウエスト域１１，１２に難透視性パネル７０を配置してもよい。

この実施形態において、前外面シート２２のクロッチ域１３における内端部２２Ｂは、仮想縦中心線２−２に向かってその縦方向Ｙにおける寸法が小さくされるように湾曲する。内端部２２Ｂは、レッグ開口を形成し、着用者の大腿部に密着する部分であるから、これが強く接触しすぎないように、着用者の大腿部に合わせて湾曲させたものである。このような形状の場合、難透視性パネル７０は、内端部２２Ｂの縦方向Ｙの最も外側に位置する部分よりもさらに外側に設ける。このようにすることによって、難透視性パネル７０が着用者の肌に接触するのを防止することができる。また、難透視性パネル７０の両側縁７０ｃは、シャーシ１０の横方向Ｘにおける最も小さい寸法、この実施形態ではクロッチ域１３における寸法よりも大きくされる。このようにすることによって、横方向Ｘにおいても難透視性パネル７０が、着用時に着用者の肌に接触するのを防止することができる。

難透視性パネル７０としては、例えば、質量約１０〜３０ｇ／ｍ^２、好ましくは約１４〜２５ｇ／ｍ^２の透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムを用いることができる。具体的には、ポリオレフィン系の樹脂に酸化チタン等の無機充填剤を混練し、延伸処理したプラスチックフィルムを用いることができる。ただし、透湿性かつ不透液性は必須の構成ではない。不透液性のフィルムを用いた場合には、排泄物の漏れをより一層予防することができる。難透視性パネルとしては、繊維不織布またはプラスチックフィルムと繊維不織布とのラミネートを用いることもできる。繊維不織布としては、透液性または不透液性のいずれを用いることができる。

この実施形態において、難透視性パネル７０は前ウエスト域１１に設けられるが、後ウエスト域１２に設けてもよいし、これら両方の領域に設けてもよい。また、この実施形態では前後ウエスト域１１，１２の両側部１６があらかじめ接合された、いわゆるパンツタイプの使い捨ておむつについて説明するが、両側部が接合されない、いわゆるオープンタイプの使い捨ておむつに用いることもできる。

以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
使い捨て着用物品は、縦方向およびそれに直交する横方向を有し、肌対向面およびその反対側に位置する非肌対向面と、前後ウエスト域のいずれか一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域のいずれか他方である第２ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシと、前記シャーシの前記肌対向面に位置し前記クロッチ域から少なくとも前記第１ウエスト域に前記縦方向に延びる吸収体とを含む。

この発明は、上記使い捨て着用物品において、以下の点を含むことを特徴とする。
前記吸収体は、前記第１ウエスト域に重なる領域の前記横方向における寸法が、前記第１ウエスト域の前記横方向における寸法の２０〜３０％であり、
前記第１ウエスト域は、前記吸収体に重なる難透視性パネルが配置され、前記シャーシ、前記吸収体及び前記難透視性パネルが積層された第１領域と、前記第１領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシ及び前記難透視性パネルが積層された第２領域と、前記第２領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシのみから構成される第３領域とを有し、
前記第１領域と前記第２領域との全光線透過率の差は、前記第２領域と前記第３領域との全光線透過率の差よりも小さい。

上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
（１）前記第１領域と前記第２領域との全光線透過率の差は０〜３０％であり、前記第２領域と前記第３領域との全光線透過率の差は０〜４５％である。
（２）前記シャーシの前記肌対向面に位置し、前記クロッチ域から前記第１および第２ウエスト域へと前記縦方向に延びる一対のガスケットカフをさらに含み、
前記ガスケットカフは、前記横方向へ延びるとともに前記第１および第２ウエスト域にそれぞれ接合される第１および第２端部と、前記縦方向へ延びるとともに前記シャーシに接合される近位部と、前記近位部の前記横方向外側に位置し前記シャーシから離間可能にされる遠位部と、前記遠位部に取り付けられ前記縦方向へ収縮可能な弾性体とを有し、前記遠位部は、前記吸収体の前記横方向外側に位置し、前記難透視性パネルの前記横方向において互いに対向する両側縁は、前記遠位部よりも前記横方向外側に位置する。
（３）前記難透視性パネルは、前記横方向へ延びる第１および第２端縁を有し、前記第１端縁は、前記第１領域に位置する吸収体よりも前記縦方向外側に位置する。
（４）前記第１ウエスト域には、前記横方向へ延びるとともに、伸長状態で収縮可能に複数の弾性体が取り付けられ、前記弾性体の少なくとも一部は、前記第１領域に位置する吸収体および前記難透視性パネルに重なる。
（５）前記第２領域の曲げ剛性は、前記第３領域の曲げ剛性の１５０〜３００％である。

おむつ１を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、おむつ１は、前後ウエスト域がシーム部で連結されない、いわゆるオープンタイプであってもよい。

本発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第１」「第２」および「第３」は、同称の要素、位置等を単に区別するために用いられている。

１ おむつ（使い捨ての着用物品）
１０ シャーシ
１１ 前ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）
１２ 後ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）
１３ クロッチ域
３１ 弾性体
４０ 吸収体
５１ 第１領域
５２ 第２領域
５３ 第３領域
６１ ガスケットカフ
６２ 近位部
６３ 遠位部
６４ 弾性体
６５ 前端部（第１端部）
６６ 後端部（第２端部）
７０ 難透視性パネル
７０ａ 前端縁（第１端縁）
７０ｂ 後端縁（第２端縁）
７０ｃ 両側縁
Ｘ 横方向
Ｙ 縦方向

Claims (6)

1. 縦方向およびそれに直交する横方向を有し、肌対向面およびその反対側に位置する非肌対向面と、前後ウエスト域のいずれか一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域のいずれか他方である第２ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するシャーシと、前記シャーシの前記肌対向面に位置し前記クロッチ域から少なくとも前記第１ウエスト域に前記縦方向に延びる吸収体とを含む使い捨て着用物品において、
   前記吸収体は、前記第１ウエスト域に重なる領域の前記横方向における寸法が、前記第１ウエスト域の前記横方向における寸法の２０〜３０％であり、
   前記第１ウエスト域は、前記吸収体に重なる難透視性パネルが配置され、前記シャーシ、前記吸収体及び前記難透視性パネルが積層された第１領域と、前記第１領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシ及び前記難透視性パネルが積層された第２領域と、前記第２領域の前記横方向外側に隣接し前記シャーシのみから構成される第３領域とを有し、
   前記第１領域と前記第２領域との全光線透過率の差は、前記第２領域と前記第３領域との全光線透過率の差よりも小さいことを特徴とする前記使い捨て着用物品。
2. 前記第１領域と前記第２領域との全光線透過率の差は０〜３０％であり、前記第２領域と前記第３領域との全光線透過率の差は０〜４５％である請求項１に記載の使い捨て着用物品。
3. 前記シャーシの前記肌対向面に位置し、前記クロッチ域から前記第１および第２ウエスト域へと前記縦方向に延びる一対のガスケットカフをさらに含み、
   前記ガスケットカフは、前記横方向へ延びるとともに前記第１および第２ウエスト域にそれぞれ接合される第１および第２端部と、前記縦方向へ延びるとともに前記シャーシに接合される近位部と、前記近位部の前記横方向外側に位置し前記シャーシから離間可能にされる遠位部と、前記遠位部に取り付けられ前記縦方向へ収縮可能な弾性体とを有し、
   前記遠位部は、前記吸収体の前記横方向外側に位置し、
   前記難透視性パネルの前記横方向において互いに対向する両側縁は、前記遠位部よりも前記横方向外側に位置する請求項１又は２記載の使い捨て着用物品。
4. 前記難透視性パネルは、前記横方向へ延びる第１および第２端縁を有し、前記第１端縁は、前記第１領域に位置する吸収体よりも前記縦方向外側に位置する請求項１〜３のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
5. 前記第１ウエスト域には、前記横方向へ延びるとともに、伸長状態で収縮可能に複数の弾性体が取り付けられ、前記弾性体の少なくとも一部は、前記第１領域に位置する吸収体および前記難透視性パネルに重なる請求項１〜４のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
6. 前記第２領域の曲げ剛性は、前記第３領域の曲げ剛性の１５０〜３００％である請求項１〜５のいずれかに記載の使い捨て着用物品。

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