JP2013255756A - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】シースを繋いで構成される挿入部を備えた内視鏡用処置具において、シースの繋ぎ部分における操作ワイヤのコーティングの剥がれを好適に防止することができる内視鏡用処置具を提供する。
【解決手段】
シース20Aと、シース20Bと、これらを繋ぐ接続部材22の各々の内周面には、内向き突出する凸部120、122、124が周方向に沿って円環状に設けられている。これにより、シース20の繋ぎ部分の内周面に現れる境界86、88部分に操作ワイヤ30が接触することが防止され、それらの境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、そのエッジによって操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止される。
【選択図】図9
【解決手段】
シース20Aと、シース20Bと、これらを繋ぐ接続部材22の各々の内周面には、内向き突出する凸部120、122、124が周方向に沿って円環状に設けられている。これにより、シース20の繋ぎ部分の内周面に現れる境界86、88部分に操作ワイヤ30が接触することが防止され、それらの境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、そのエッジによって操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止される。
【選択図】図9
Description
本発明は内視鏡用処置具に係り、特に内視鏡の処置具チャンネルを通じて体内に導入されて所定の処置を行う内視鏡用処置具に関する。
内視鏡用処置具は、一般に、内視鏡の処置具チャンネルに挿通可能な長尺の挿入部と、挿入部の先端側に具備される処置部と、挿入部の手元側に具備される操作部とを有し、挿入部内に進退自在に挿通された操作ワイヤを操作部により押し引き操作することによって先端の処置部を動作させて所望の処置を行うことができるようになっている。
このような内視鏡用処置具として、例えば、生体組織をクリッピング(挟持)して止血やマーキング等を行うクリップ処置具が知られている(特許文献1、2等)。クリップ処置具は、挿入部が可撓性を有するシース(導入管)により構成され、処置部がクリップとクリップを挿通する締付けリングとから構成されており、内視鏡の処置具チャンネルを通じて体内の処置対象部位にクリップ処置具の処置部を導入する際には、シース内に挿通配置された操作ワイヤとクリップとが所定の状態で係合してシース内に収容配置されている。
一方、クリップ処置具の処置部が内視鏡の処置具チャンネルを通じて処置対象部位の近傍まで導入されると、操作部の操作によって操作ワイヤが固定された状態でシースが引き戻される。これによって、クリップの腕部及び締付けリングがシースから突出され、クリップの先端が処置対象部位に当接される。その後、操作部の操作により操作ワイヤが牽引されることで、クリップが締付けリングに挿通される。これによって、締付けリングによってクリップの腕部が押圧されて閉塞され、処置対象部位の生体組織がクリップの腕部(先端の爪部)でクリッピングされるようになっている。
ところで、内視鏡用処置具の挿入部のシースは、長寸であるため複数のシースを接続部材で繋ぎ合せて1つのシースを形成することが考えられる。
一方、シース内に挿通配置される操作ワイヤは、一般に複数本の素線を撚り合わせて構成された撚り線が用いられているが、シースと接触すると、シースとの摩擦によって処置部への動力伝達が円滑に行われなくなるため、外周部に摩擦抵抗を低減するためのコーティングを施すことが望ましい。
しかしながら、上記のようにシースを繋ぎ合わせた場合には、シースの繋ぎ部の内周面側に段差や隙間による角部(エッジ)が存在する可能性がある。そのため、操作ワイヤがそのエッジに接触しながら摺動して操作ワイヤのコーティングが剥がれるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、シースを繋ぎ合せて構成される挿入部を備えた内視鏡用処置具において、シースの繋ぎ部における操作ワイヤのコーティングの剥がれを好適に防止することができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用処置具は、基端側の第1シースと先端側の第2シースとからなり、第1シースと第2シースは繋ぎ部を介して接続される管状のシース本体と、シース本体内に進退自在に挿通配置された操作ワイヤとから構成された挿入部と、挿入部の先端に設けられた処置機能を有する処置部と、挿入部の基端に設けられ、所定の操作可能範囲内で操作ワイヤをシース本体に対して進退移動させて処置部を動作させる操作部と、を備え、シース本体の内周面には、繋ぎ部又はその周辺部に径方向内側に突出形成された凸部を有し、操作ワイヤが凸部以外の繋ぎ部及びその周辺部の内周面に接触することを防止する接触防止部材を備えている。
本発明によれば、シース本体の繋ぎ部(シースの繋ぎ部)に段差や隙間によるエッジが生じた場合であっても、そのエッジの操作ワイヤが接触することが防止されるため、シース本体の繋ぎ部における操作ワイヤのコーティングの剥がれが防止される。
本発明では、凸部は、断面R状に加工されている形態とすることが好ましい。また、凸部は、シース本体の長手軸方向に平行な断面においてシース本体の中心部側の端部がR状に形成されている形態とすることが好ましい。
これによれば、接触防止部材である凸部に操作ワイヤが接触してもコーティングの剥がれが生じない。
本発明では、操作ワイヤは、長手軸方向に沿って互いに異なる位置に軟質コーティング部と軟質コーティング部よりも硬い硬質コーティング部を有し、操作ワイヤをシース本体に対して操作可能範囲内で最も押し込んだときの繋ぎ部に対応する操作ワイヤ上の位置を第1位置とし、操作ワイヤをシース本体に対して操作可能範囲内で最も引き出したときの繋ぎ部に対応する操作ワイヤ上の位置を第2位置とした場合に、硬質コーティング部は、操作ワイヤ上の第1位置と第2位置との間を含む範囲に設けられている形態とすることができる。
これによれば、操作部の操作可能範囲内で操作ワイヤを最も押し込んだときに繋ぎ部に対応する操作ワイヤ上の第1位置から操作ワイヤを最も引き出したときに繋ぎ部に対応する操作ワイヤ上の第2位置までを含む範囲が硬質コーティング部となっているため、繋ぎ部に接触する可能性がある操作ワイヤ上の範囲が硬質コーティング部によって硬いコーティングが施されている。したがって、接触防止部材を設けたにもかかわらずシース本体の繋ぎ部のエッジに操作ワイヤが接触する事態が生じてしまった場合でも硬質コーティングによってコーティングの剥がれを防止することができる。また、操作ワイヤと接触防止部材との接触によるコーティングの剥がれも確実に防止できる。
本発明では、操作ワイヤは、長手軸方向に直交する断面において円形に形成されている形態とすることが好ましい。
これによれば、シース本体との接触面積を大きくして面圧を下げることができ、コーティングの剥がれを生じ難くすることができる。
本発明では、操作ワイヤは、軟質コーティング部及び硬質コーティング部で被覆されるワイヤ部が複数の素線を撚り合わせた撚り線により形成され、ワイヤ部の外形が長手軸方向に直交する断面において略円形を有する形態とすることができる。これによれば、操作ワイヤのコーティングの外形を円形とすることが容易となる。
本発明では、第1シースは、第2シースよりも肉厚である形態とすることが好ましい。これによれば、内視鏡の処置具チャンネルへのシース本体の挿入操作等を行い易くすることができる。
本発明では、シース本体の繋ぎ部は、第1シースと第2シースとを接続する円筒状の接続部材により形成され、接続部材の内周面の端縁部にR加工が施されている形態とすることが好ましい。
これによれば、シース本体の繋ぎ部にできるだけエッジが生じないようにすることができる。
本発明では、接続部材の基端側に接続される第1シースの内周面の先端側端縁部と、接続部材の先端側に接続される第2シースの内周面の基端側端縁部とにR加工が施された形態とすることが好ましい。
これによれば、シース本体の繋ぎ部にできるだけエッジが生じないようにすることができる。
本発明に係る内視鏡用処置具の他の形態によれば、基端側の第1シースと先端側の第2シースとからなり、第1シースと第2シースは繋ぎ部を介して接続される管状のシース本体と、シース本体内に進退自在に挿通配置された操作ワイヤとから構成された挿入部と、挿入部の先端に設けられた処置機能を有する処置部と、挿入部の基端に設けられ、所定の操作可能範囲内で操作ワイヤをシース本体に対して進退移動させて処置部を動作させる操作部と、を備え、シース本体の繋ぎ部は、第1シースと第2シースとを接続する円筒状の接続部材により形成され、接続部材の内周面の端縁部にR加工が施されている。
これによれば、シース本体の繋ぎ部にエッジが生じないようにすることができ、シース本体の繋ぎ部における操作ワイヤのコーティングの剥がれを防止することができる。
本発明では、接続部材の基端側に接続される第1シースの内周面の先端側端縁部と、接続部材の先端側に接続される第2シースの内周面の基端側端縁部とにR加工が施されている形態とすることができる。
本発明に係る内視鏡用処置具によれば、シースを繋ぎ合せて構成される挿入部を備えた内視鏡用処置具において、シースの繋ぎ部における操作ワイヤのコーティングの剥がれを好適に防止することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡用処置具の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用される内視鏡用処置具の全体構成を示した外観図である。
同図に示すように内視鏡用処置具10は、可撓性を有する長尺の挿入部12と、挿入部12の先端に具備される処置部14と、挿入部12の手元側(基端側)に具備される操作部16とから構成されており、操作部16が操作されると、その動力が挿入部12により処置部14に伝達され、伝達された動力により処置部14が動作するようになっている。
この内視鏡用処置具10を施術に使用する際には、まず、処置を施す体内の処置対象部位の近傍まで不図示の内視鏡(内視鏡挿入部)が挿入される。そして、その状態において、内視鏡の処置具チャンネルの導入口に内視鏡用処置具10の挿入部12が先端側(処置部14側)から挿入されていく。このとき、処置具チャンネルの管路の湾曲形状に応じて挿入部12が湾曲しながらその先端の処置部14が処置具チャンネルの管路内を進行する。そして、内視鏡挿入部の先端の処置具チャンネルの導出口から処置部14が導出される。
これによって、施術者が体外で操作部16を把持した状態で、処置部14を体内の処置対象部位の近傍に配置することができる。そして、その状態で施術者が操作部16を操作することによって処置部14を動作させて、体内の処置対象部位に対して所定の処置を施すことができる。
挿入部12は、図1中の2−2矢視断面図である。図2に示すように外周部を覆う管状のシース(シース本体)20と、シース20内の管腔24に挿通配置される操作ワイヤ30とから構成されている。
シース20は、例えばステンレス等の適度な弾性を有する金属ワイヤを密着巻きにして樹脂チューブを外装することによって形成された可撓性を有するコイルシースであり、長尺の管状に形成されると共に、内視鏡挿入部の処置具チャンネルに挿入可能な太さに形成されている。なお、シース20は、上述のようなコイルシースと異なる構成のものであってもよい。
また、シース20は、図1に示すように2つに分離可能なシース20A、20Bを接続部材22で繋ぎ合わせて構成されている。基端側のシース20A(第1シースに相当)には、先端側のシース20B(第2シースに相当)よりも剛性の高いものが使用されており、挿入部12の処置具チャンネルへの挿入操作や、シース20の回転による処置部14の回転操作などが好適に行えるようになっている。なお、シース20の繋ぎ部の構成についての詳細は後述する。
操作ワイヤ30は、可撓性を有するワイヤであり、例えばステンレス等の適度な弾性を有する複数本の素線を撚り合せて形成された撚り線からなるワイヤ部32と、ワイヤ部32の外周部に摩擦低減のために施されたコーティング34とから構成され、ワイヤ部32の外周がコーティング34により被覆されている。図2においてワイヤ部32の構成は省略されており、詳細については後述する。
この操作ワイヤ30は、シース20内(管腔24)において長手軸方向に進退移動(押し引き移動)可能、且つ、長手軸周り方向に回動可能に挿通配置されており、操作ワイヤ30の先端側は処置部14に連結され、基端側は操作部16のスライダ42に連結されている。
操作部16は、図1に示すように環状の親指掛け部40Aを有する操作部本体40と、操作部本体40に対してスライド可能に設けられたスライダ42とを備えており、施術者は、親指掛け部40Aの孔に親指を通して、スライダ42を他の指の間に挟むことによって、操作部本体40に対してスライダ42を前後方向に進退操作可能に操作部16を保持することができるようになっている。
この操作部16の操作部本体40には挿入部12のシース20が連結され、スライダ42には操作ワイヤ30が連結されており、施術者がスライダ42を進退操作することによって、操作ワイヤ30を押し引き操作することができ、挿入部12のシース20に対して操作ワイヤ30を相対的に進退移動させることができるようになっている。なお、操作部16の構成はこれに限らず、シース20に対して、操作ワイヤ30をシース20の長手軸方向に進退移動させる操作や、操作ワイヤ30をシース20の長手軸周りに回転させる操作を行うことができるものであればよい。
処置部14は、処置対象部位に所定の処置を施すための処置機能を備えた器具を有しており、内視鏡用処置具10の種類に応じた構成を有する。本発明が適用可能な内視鏡用処置具10として、例えば、生体組織をクリッピング(挟持)して止血やマーキング等を行うクリップ処置具があり、内視鏡用処置具10をクリップ処置具とした場合の処置部14の構成について簡単に説明する。
なお、本発明は、上記のような挿入部12を備える内視鏡用処置具に適用することができ、例えば、クリップ処置具以外にも生検鉗子、把持鉗子、糸切鉗子、鋏鉗子、ホットバイオプシ鉗子、高周波スネア、結紮装置、砕石具、採石バスケット、細胞診ブラシ、パピロトームなども本発明が適用可能な内視鏡用処置具10とすることができる。
図3は、クリップ処置具である場合の内視鏡用処置具10の処置部14をシース20の長手軸方向に切断した断面図であり、同図(A)及び同図(C)は、後述のクリップ50の開閉方向に直交する方向(後述のスカート部62が開く方向)の断面図、同図(B)及び同図(D)は、その方向と直交する方向に切断した断面図である。
これらの図に示すように、シース20(20B)の先端に具備される処置部14は、クリップ50とクリップ50に外嵌された締付けリング52とを備えている。
クリップ50は、バネ性を有する長尺な1枚の板により形成されており、ターン部54、腕部56、56、及び、爪部58、58とから構成されている。ターン部54は、その1枚の長尺の板を半分に折り返して交差させることによって、その交差部60よりも基端側に環状に形成され、腕部56、56は、その交差部60から先端側の領域に形成される。爪部58、58は、各腕部56、56の先端部(ターン部54と逆側の開放端)において、互いに対向するように屈曲させることによって形成されている。
すなわち、図示例のクリップ50は、長尺な板を折り返して交差させることによりクリップ50を開放するためのバネとなる環状部(ターン部54)を形成してなる、いわゆるクローズクリップである。ただし、長尺な1枚の板を折り曲げただけの、ターン部を有さないオープンクリップ(略U字状のクリップ)を用いてもよい。
締付けリング52は、略円筒状に形成されている。図3(A)、(B)のようにこの締付けリング52の内部にクリップ50のターン部54のみを収容した状態とすることで、クリップ50の開放端側(爪部58、58)がターン部54のバネ力により開いた状態となり、締付けリング52の内部にクリップ50の腕部56、56を収容した状態とすることで、ターン部54のバネ力に抗してクリップ50の開放端側を閉じた状態にすることができるようになっている。
また、締付けリング52は、肉厚で板状のスカート部62、62を備えており、それらのスカート部62、62が、外圧を加えない状態において締付けリング52の基端部よりも外方に拡開し、外圧を加えることによって内方に押し込まれるようになっている。スカート部62、62が内方に押し込まれた状態でシース20の内部に収容されている締付けリング52が、外部に導出されると、スカート部62、62への外圧が解除されてシース20先端の内径よりも広幅に拡開する。これによって、締付けリング52がスカート部62、62に規制されてシース20内に戻らないようになっている。
これらのクリップ50と締付けリング52により構成された処置部14によれば、クリッピングを行う前においては、図3(C)、(D)に示すように、締付けリング52の内部にクリップ50のターン部54のみが収容された状態で、全体がシース20先端の内部に収容された状態に保持されている。また、シース20内に挿通配置されている操作ワイヤ30の先端にはフック70が取り付けられており、そのフック70がクリップ50のターン部54に係合されている。
この状態においては、クリップ50の開放端側(爪部58、58)は、腕部56、56がシース20の内壁に当接することで、閉じた状態に保持され、また、締付けリング52のスカート部62、62がシース20の内壁(内周面)に当接することで、スカート部62、62が内方に押し込まれた状態に保持されている。
一方、図3(C)、(D)の状態の処置部14を処置対象部位の近傍に配置した後、クリッピングを行う際には、図1の操作部16のスライダ42を操作部本体40に対して前方に移動させ、又は、スライダ42に対して操作部本体40を後方に移動させることによって、図3(A)、(B)のように、クリップ50と共に締付けリング52がシース20先端から外部に導出される。
この状態においては、クリップ50の開放端側(爪部58、58)が拡開した状態となり、また、締付けリング52のスカート部62、62が拡開してシース20の先端部に当接し、締付けリング52がシース20内に戻ることが防止された状態となる。
続いて、施術者が、図4(A)のように爪部58、58をクリッピングする処置対象部位の生体組織76に押圧し、スライダ42を後方に移動させて操作ワイヤ30を牽引する。
これにより、クリップ50の腕部56、56が基端側から締付けリング52に収容されて、これに応じて腕部56、56が、締付けリング52によって押圧されて、次第に閉塞していく。すなわち、ターン部54を先端にしてクリップ50が締付けリング52に挿通されることで、腕部56、56が、締付けリング52の内壁面(基端側の逆端の内壁角部)によって押圧され、図4(B)のように腕部56、56が閉塞される。
続いて、シース20を牽引して、シース20から締付けリング52を排出し、さらに、操作ワイヤ30を操作して、フック70をクリップ50のターン部54から外す。
以上のようにして、内視鏡用処置具10の処置部14のクリップ50及び締付けリング52により処置対象部位の生体組織76にクリッピングを行うことができる。
次に、内視鏡用処置具10の挿入部12における操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための構成について説明する。図2に示したように操作ワイヤ30の外周部(ワイヤ部32の外周)には、シース20の内周面との摩擦抵抗を低減するためのコーティング34が施されており、シース20内での進退移動や回転動作等が円滑に行われるようになっている。
一方、図1のように挿入部12のシース20は、2つのシース20A、20Bを接続部材22によって繋ぎ合せることによって構成されており、そのシース20の繋ぎ部において操作ワイヤ30のコーティング34が他の部分よりも剥がれやすい状態となっている。
図5は、図1の挿入部12におけるシース20の繋ぎ部周辺を長手軸方向に切断した断面図である。同図に示すようにシース20の繋ぎ部には、接続部材22と、シース20Aの先端部と、シース20Bの基端部が配置されている。
接続部材22は、シース20の長手軸(中心軸)A周りに対称な筒状に形成されており、長手軸A方向の中央部分となる本体部80と、本体部80に対して基端側に形成された基端側接続部82と、本体部80に対して先端側に形成された先端側接続部84とから形成されている。基端側接続部82には、図1に示したシース20A、20Bのうちの基端側(操作部16側)のシース20Aの先端部が接続され、先端側接続部84には、シース20A、20Bのうちの先端側(処置部14側)のシース20Bの基端部が接続される。
これによって、接続部材22の基端側接続部82に接続されたシース20Aと、先端側接続部84に接続されたシース20Bとが、本体部80を介して連結される。そして、シース20Aとシース20Bが接続部材22により連結されることによって、全体として一体的なシース20が構成され、その内部の管腔24に操作ワイヤ30が挿通配置されるようになっている。
なお、図5に示すように、シース20Aとシース20Bとは内径が一致しているが、シース20Bの周壁よりもシース20Aの周壁の方が厚く、シース20Bの外径よりもシース20Aの外径の方が大きくなっている。即ち、シース20Aの方がシース20Bよりも周壁が厚く(肉厚)なっており、剛性が高いものとなっている。これによって、先端側程の柔軟性を要求されないシース20の基端側の剛性を先端側よりも高くし、内視鏡用処置具10の挿入部12の処置具チャンネルへの挿入操作や、シース20の回転による処置部14の回転操作などが好適に行えるようにしている。
接続部材22の基端側接続部82は、本体部80の基端側端部において外周面に沿って長手軸A方向に突設された円筒状の凸部82Aを有しており、その凸部82Aの内径が本体部80の内径よりも拡径されている。即ち、接続部材22の基端側端部の内周面側を径方向外側に切り欠くことによって凸部82Aが形成されると共にその内側に凹部82Bが形成されている。
一方、シース20Aの先端には、内周面に沿ってシース20の長手軸A方向に突設された円筒状の凸部26が形成され、その凸部26の外径が接続部材22の基端側接続部82の凸部82Aの内径と略一致した寸法となるように形成されている。即ち、シース20Aの先端の外周面側を径方向内側に切り欠くことによって凸部26が形成されている。
そのシース20Aの凸部26が接続部材22の基端側接続部82の凸部82Aで囲まれた凹部82Bに嵌入されることによって、シース20Aの先端側が接続部材22の基端側接続部82に接続されるようになっている。なお、接続部材22の凸部82Aの内周面とシース20Aの凸部26の外周面との間を蝋付け等の溶接や接着剤による接着によって固着してもよい。
また、接続部材22の基端側接続部82の凸部82Aの外径は、シース20Aの外径と略一致し、本体部80の内径は、シース20Aの内径と略一致していることから、それらの接続部材22(本体部80)とシース20Aの外周面側及び内周面側に現れる接続部材22とシース20Aとの境界部分(内周面側の境界を符号86で示す)に段差が略生じないようになっている。
接続部材22の先端側接続部84及びシース20Bの基端も基端側接続部82及びシース20Aの先端と同様に形成されている。先端側接続部84は、本体部80の先端側端部において外周面に沿って長手軸A方向に突設された円筒状の凸部84Aを有し、その凸部84Aの内径が本体部80の内径よりも拡径されている。即ち、接続部材22の先端側端部の内周面側を径方向外側に切り欠くことによって凸部84Aが形成されると共にその内側に凹部84Bが形成されている。
一方、シース20Bの基端(後端)には、内周面に沿ってシース20の長手軸A方向に突設された円筒状の凸部28が形成され、その凸部28の外径が接続部材22の先端側接続部84の凸部84Aの内径と略一致した寸法となるように形成されている。即ち、シース20Bの基端の外周面側を径方向内側に切り欠くことによって凸部28が形成されている。
そのシース20Bの凸部28が接続部材22の先端側接続部84の凸部84Aで囲まれた凹部84Bに嵌入されることによって、シース20Bの基端側が接続部材22の先端側接続部84に接続されるようになっている。なお、接続部材22の凸部84Aの内周面とシース20Bの凸部28の外周面との間を蝋付け等の溶接や接着剤による接着によって固着してもよい。
また、本体部80の外形は基端側から先端側に向けて先細りとなるテーパ状に形成され、本体部80の外周面はテーパ面(円錐台面)により形成されている。先端側接続部84の凸部84Aの外周面は、その本体部80の外周面から連続するテーパ面(円錐台面)により形成されており、凸部84Aの先端の外径が、シース20Bの外径に略一致した寸法となるように形成されている。さらに、シース20Bの内径は、シース20Aの内径と略一致していることから、本体部80の内径とも略一致している。したがって、それらの接続部材22(本体部80)とシース20Bの外周面側及び内周面側に現れる接続部材22とシース20Bとの境界部分(内周面側の境界を符号88で示す)に段差が略生じないようになっている。
なお、シース20Aとシース20Bを繋ぎ合せる手段は上記接続部材22のような構成のものに限らない。
以上のような接続部材22によりシース20Aとシース20Bを繋ぎ合わせて構成されたシース20の繋ぎ部の内周面には接続部材22とシース20Aの境界86や接続部材22とシース20Bの境界88が存在する。これらの境界86、88では、上述のように段差や隙間が生じないように設計されているが、シース20の湾曲や製造誤差等によって段差や隙間が生じる可能性がある。特に、シース20の内周面に現れるそれらの境界86、88には溶接処理や接着処理を施すことが困難であるため、シース20の湾曲等によって隙間が生じ易く、それによって、それらの境界86、88に角部(エッジ)が生じる可能性がある。
したがって、シース20の内部の管腔24に挿通配置された操作ワイヤ30がそのようなエッジに接触しながら進退移動し、又は、回転すると操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるおれがあり、そのようなエッジが生じる可能性のあるシース20の繋ぎ部では他の部分よりも操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれが生じやすい。
そこで、以下で説明する第1〜第7の実施の形態の構成によって、シース20の繋ぎ部における操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれを防止する。
第1〜第3の実施の形態は、操作ワイヤ30のコーティング34の構成によってコーティング34の剥がれを防止する形態であり、いずれもの形態も硬度の異なる2種類のコーティングを使用し、シース20の繋ぎ部に配置される操作ワイヤ30の範囲に硬度の高い硬質コーティングを施してシース20の繋ぎ部におけるコーティング34の剥がれを防止するようにしたものである。
図6は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第1の実施の形態の構成を示した図であり、シース20の繋ぎ部を含む範囲を長手軸A方向に切断した断面図である。なお、図6において、図5と同一符号を付している箇所は上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
図6に示す操作ワイヤ30のコーティング34には、上記のように硬度(硬さ)の異なる2種類のコーティングが使用されており、そのうち、他方より硬度の低い通常のコーティングを軟質コーティングと称し、それよりも硬度の高い(硬い)コーティングを硬質コーティングと称するものとする。硬質コーティングは、軟質コーティングと異なる材料を用いることによって硬度を高くしたものであってもよいし、軟質コーティングよりも厚くすることによって硬度を高くしたものであってもよい。なお、コーティングを施した範囲に対してコーティングを施さない範囲を軟質コーティングを施した範囲、コーティングを施した範囲を硬質コーティングを施した範囲として本実施の形態及び下記の第2、第3の実施の形態を適用することもできる。
図6において、操作ワイヤ30の白塗りで示されている範囲100は、軟質コーティングが施されている軟質コーティング部の範囲を示し、黒塗りで示されている範囲102は、硬質コーティングが施された硬質コーティング部の範囲を示している。
これによれば、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる接続部材22とシース20Aとの境界86と接続部材22とシース20Bとの境界88との間、即ち、シース20Aの内周面の先端側端縁とシース20Bの内周面の基端側端縁との間のシース20の繋ぎ領域90と、その前後の領域に配置される操作ワイヤ30の範囲102には硬質コーティングが施され、それ以外の範囲100には軟質コーティングが施されている。
ここで、操作ワイヤ30は、操作部16の操作によってシース20内を進退移動するため、繋ぎ領域90に配置される操作ワイヤ30の範囲が変動する。そこで、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させることができる操作可能範囲内において、操作ワイヤ30を先端側に最も前進させた(押し込んだ)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第1位置とし、操作ワイヤ30を基端側に最も後退させた(引き出した)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第2位置とすると、少なくとも第1位置と第2位置との間を含む範囲を硬質コーティング部の範囲102として硬質コーティングが施されている。これにより、操作ワイヤ30を操作部16の操作によって進退移動させた際に、シース20の繋ぎ領域90とその前後の周辺領域に接触する可能性のある操作ワイヤ30の範囲が硬質コーティングで被覆されている。
本実施の形態での操作ワイヤ30の硬質コーティング部の範囲102についてより具体的に説明すると、硬質コーティング部の範囲102を、最も基端となる基端位置102Aから最も先端となる先端位置102Bまでの範囲とすると、基端位置102Aは、操作部16による操作可能範囲内で操作ワイヤ30を先端側に最も押し込んだときに、境界86(シース20Aの内周面の先端側端縁)の位置に一致する操作ワイヤ30上の位置、又は、その位置よりも所定量分余裕を持たさせて基端側にずらした位置としている。一方、先端位置102Bは、操作部16による操作可能範囲内で操作ワイヤ30を基端側に最も引き出したときに、境界88(シース20Bの内周面の基端側端縁)の位置に一致する操作ワイヤ30上の位置、又は、その位置よりも所定量分余裕を持たさせて先端側にずらした位置としている。
したがって、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させたときに、その部分に接触して摺動する可能性のある操作ワイヤ30の範囲には硬質コーティングが施されているため、コーティング34が剥がれるという事態が防止される。
また、操作ワイヤ30の全体に硬質コーティングを施さずに部分的に硬質コーティングを施し、その他の部分に軟質コーティングを施すようにしているため、操作ワイヤ30を必要以上に硬化させることなく可撓性を維持することができる。
図7は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第2の実施の形態の構成を示した図であり、シース20の繋ぎ部を含む範囲を長手軸A方向に切断した断面図である。なお、図7において、図5及び図6と同一符号を付している箇所は上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
図7に示す操作ワイヤ30のコーティング34には、図6の第1の実施の形態と同様に硬度の異なる2種類のコーティングが使用されており、同図において、操作ワイヤ30の白塗りで示されている範囲100は、軟質コーティングが施されている軟質コーティング部の範囲を示し、黒塗りで示されている範囲102は、硬質コーティングが施された硬質コーティング部の範囲を示している。
これによれば、シース20の繋ぎ領域90と、その前後の領域に配置される操作ワイヤ30の範囲(図6における範囲102と同等範囲)と、それよりも先端側の操作ワイヤ30の範囲を硬質コーティング部の範囲102として、その範囲102に硬質コーティングが施され、その範囲102よりも基端側の範囲100には軟質コーティングが施されている。
即ち、第1の実施の形態と同様に、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させることができる操作可能範囲内において、操作ワイヤ30を先端側に最も前進させた(押し込んだ)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第1位置とし、操作ワイヤ30を基端側に最も後退させた(引き出した)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第2位置とすると、少なくとも第1位置と第2位置との間を含む範囲を硬質コーティング部の範囲102として硬質コーティングが施されている。これにより、操作ワイヤ30を操作部16の操作によって進退移動させた際に、シース20の繋ぎ領域90とその前後の周辺領域に接触する可能性のある操作ワイヤ30の範囲が硬質コーティングで被覆されている。
したがって、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させたときに、その部分に接触して摺動する可能性のある操作ワイヤ30の範囲には硬質コーティングが施されているため、コーティング34が剥がれるという事態が防止される。
また、操作ワイヤ30の全体に硬質コーティングを施さずに先端側のみに硬質コーティングを施し、基端側の部分に軟質コーティングを施すようにしているため、操作ワイヤ30を必要以上に硬化させることなく可撓性を維持することができる。
図8は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第3の実施の形態の構成を示した図であり、シース20の繋ぎ部を含む範囲を長手軸A方向に切断した断面図である。なお、図8において、図5乃至図7と同一符号を付している箇所は上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
図8に示す操作ワイヤ30のコーティング34には、図6の第1の実施の形態及び図7の第2の実施の形態と同様に硬度の異なる2種類のコーティングが使用されており、同図において、操作ワイヤ30の白塗りで示されている範囲100は、軟質コーティングが施されている軟質コーティング部の範囲を示し、黒塗りで示されている範囲102は、硬質コーティングが施された硬質コーティング部の範囲を示している。
これによれば、シース20の繋ぎ領域90と、その前後の領域に配置されている操作ワイヤ30の範囲102(図6における範囲102と同等範囲)と、その範囲102から前後方向の所定間隔置きに離間した所定長さの範囲104、104、104・・・に硬質コーティングが施された硬質コーティング部が設けられ、それ以外の範囲100、100、100、・・・には軟質コーティングが施された軟質コーティング部が設けられている。
即ち、第1、2の実施の形態と同様に、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させることができる操作可能範囲内において、操作ワイヤ30を先端側に最も前進させた(押し込んだ)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第1位置とし、操作ワイヤ30を基端側に最も後退させた(引き出した)ときの繋ぎ領域90に対応する操作ワイヤ30上の位置(領域)を第2位置とすると、少なくとも第1位置と第2位置との間を含む範囲を硬質コーティング部の範囲102として硬質コーティングが施されている。これにより、操作ワイヤ30を操作部16の操作によって進退移動させた際に、シース20の繋ぎ領域90とその前後の周辺領域に接触する可能性のある操作ワイヤ30の範囲が硬質コーティングで被覆されている。
したがって、図6に示した第1の実施の形態と同様に、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、操作部16によって操作ワイヤ30を進退移動させたときに、その部分に接触して摺動する可能性のある操作ワイヤ30の範囲102には硬質コーティングが施されているため、コーティング34が剥がれるという事態が防止される。
また、操作ワイヤ30の全範囲に渡って離間的に硬質コーティングが施されているため(硬質コーティング部と軟質コーティング部が長手軸方向に沿って交互に設けられているため)、操作ワイヤ30を必要以上に硬化させることなく可撓性を維持することができる。なお、図6に示した第1の実施の形態も本実施の形態ように軟質コーティング部と硬質コーティング部とを長手軸方向に沿って交互に設けた形態のうちの1つである。
また、範囲102以外に硬質コーティングを施す範囲104、104、104、・・・は、範囲102と同一の長さであっても良いし、異なる長さであっても良く、さらに、複数の異なる長さを有していてもよい。また、それらを設ける間隔、即ち、軟質コーティングを施す範囲100、100、100、・・・の長さも、同一の長さであっても良いし、複数の異なる長さを有していてもよい。また、硬質コーティングが施された各々の範囲の硬度が異なっていてもよいし、軟質コーティングが施された各々の範囲の硬度も異なっていてもよい。
さらに、本実施の形態の操作ワイヤ30のように硬質コーティングを離間的に施すようにすると、本実施の形態のようなシース20の繋ぎ部が存在しない場合であっても、操作ワイヤ30の可撓性を維持してシース20との接触によるコーティングの剥がれを防止することができる。
次に説明する第4及び第5の実施の形態は、シース20の構成によって操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれを防止する形態である。
図9は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第4の実施の形態の構成を示した図であり、図5に示したシース20の繋ぎ部周辺の断面図における上側部分を拡大して示した図である。なお、図9において、図5と同一符号を付している箇所は上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
図9に示すように接続部材22、シース20A、及びシース20Bの各々の内周面には、内向き突出する凸部(接触防止部材)120、122、124が周方向に沿って円環状に設けられている。
シース20の長手軸A方向の位置に関して、凸部120は、接続部材22(本体部80)の略中央となる位置に設けられ、凸部122は、シース20Aの先端近傍に設けられ、凸部124は、シース20Bの基端近傍に設けられている。
これによれば、操作ワイヤ30が繋ぎ領域90及びその周辺の凸部120、122,124以外の内周面に接触することが防止され、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88部分に操作ワイヤ30が接触することが防止される。したがって、それらの境界86、88に段差や隙間によるエッジが生じている場合であっても、そのエッジによって操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止されている。
また、凸部120、122、124は、エッジを有していない滑らかな曲面で形成され、図9のようにシース20の長手軸A方向に切断した断面(周方向に直交する断面)において、滑らかな山型となっているため(シース20の中心部側の端部がR状に形成されているため)、操作ワイヤ30がそれらの凸部120、122、124に接触しながら進退移動し、又は、回転した場合であっても、コーティング34の剥がれが生じないようになっている。
凸部120、122、124のような凸部は、少なくとも境界86、88の各々の近傍に1箇所ずつ設けた場合であっても良く、上記実施の形態において凸部120を設けない態様であってもよい。また、凸部122は、シース20Aの先端近傍に設けるのではなく、接続部材22の内周面の基端近傍に設けてもよく、凸部124は、シース20Bの基端近傍に設けるのではなく、接続部材22の内周面の先端近傍に設けてもよい。
なお、凸部120、122、124は、各々、接続部材22やシース20A、20Bに一体形成されたものであっても良いし、接続部材22やシース20A、20Bと別体のものを接続部材22やシース20A、20Bの内周面に固着したものであってもよい。
図10は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第5の実施の形態の構成を示した図であり、図5におけるシース20の繋ぎ部材の断面図における上側部分を拡大して示した図である。なお、図10において、図5と同一符号を付している箇所は上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
図10に示すように接続部材22(本体部80)の内周面の基端及び先端の端縁部80A、80Bと、シース20Aの内周面の先端の端縁部26Aと、シース20Bの内周面の基端の端縁部28Aは、R加工(曲面にする曲面加工)が施されて長手軸A方向の断面において湾曲状(円弧上)に形成されている。
これによれば、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88にエッジ(角部)が存在せず、操作ワイヤ30がそれらの境界86、88に接触しながら進退移動し、又は、回転した場合であっても、操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止される。
以上の第4の実施の形態と第5の実施の形態の各々の構成は、操作ワイヤ30のコーティング34を1種類のみのコーティング(軟質コーティング)とした場合であっても有効であるが、上述の第1〜第3の実施の形態のうちのいずれかの操作ワイヤ30のコーティング34の構成と組み合わせて適用するとより効果的に操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれを防止することができる。ただし、第4の実施の形態の構成と第1〜第3の実施の形態のうちのいずれかの構成とを組み合わせる場合には、境界86、88に接触する可能性のある操作ワイヤ30の範囲に硬質コーティングを施す代わりに、凸部120、122、124のようにシース20の内周面に設けた凸部に接触する可能性のある操作ワイヤ30の範囲に硬質コーティングを施すようにすると好適である。また、第4の実施の形態と第5の実施の形態の両方の構成を組み合わせて適用すると、シース20の繋ぎ部における操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれをより確実に防止することができる。
次に説明する第6及び第7の実施の形態は、操作ワイヤ30のワイヤ部32の構成によって操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれを防止する形態である。
図11は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第6の実施の形態の構成を示した図であり、操作ワイヤ30のワイヤ部32を長手軸に直交する方向に切断した断面図である。
図11に示すように操作ワイヤ30のワイヤ部32は、複数の素線140、142A〜142J、144A〜144Jを撚り合わせて構成された撚り線であり、長手軸に直交する断面において、ワイヤ部32の外形が略円状となるように構成されている。
具体的には、ワイヤ部32の中心には所定半径r1の素線140が配置され、その外周には所定半径r2の10本の素線142A〜142Jが周方向に均等な間隔(中心角36度間隔)で配置されている。素線142A〜142Jの半径r2は、素線140の半径r1よりも小さい。
また、素線142A〜142Jの外周には、所定半径r3の10本の素線144A〜144Jが周方向に均等な間隔(中心角36度間隔)で配置されると共に、それらの中心が素線142A〜142Jの中心とは18度ずれた方向となる位置に配置されている。素線144A〜144Jの半径r3は、素線142A〜142Jの半径r2よりも大きい。
これによれば、長手軸(素線140の中心軸)周り方向の回転対称性が高く、素線144A〜144Jの外側にコーティング34を施した際にそのコーティング34の外周面、即ち、操作ワイヤ30の外周面が長手軸に直交する方向の断面において略円形となるように形成することができる。
ここで、比較例としての操作ワイヤのワイヤ部(撚り線)の構成について説明すると、比較例の操作ワイヤのワイヤ部は、同一半径の素線を撚り合わせて構成されている。図14に示すように比較例のワイヤ部170は、例えば、合計19本の同一半径r4の素線を撚り合わせて構成されており、中心の素線172の外周に6本の素線が配置され、さらにその外周に12本の素線176が配置されている。これらの素線172、174、176は、最も密着する状態で撚り合わされるため、長手軸に直交する方向の断面においてワイヤ部170の外形が略六角形となり、その外周側にコーティングを施した際のコーティングの外周面、即ち、操作ワイヤ30の外周面も長手軸に直交する方向の断面において略六角形となる。なお、図14のワイヤ部170は、3層構造の撚り線であるが、中心の素線172の外周に6本の素線174を配置した合計7本の2層構造の撚り線であっても外形が略六角形となる。
したがって、図11に示した本実施の形態の操作ワイヤ30によれば、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88(図5参照)に段差や隙間によるエッジが生じ、そのエッジに操作ワイヤ30が接触した場合であっても、比較例の操作ワイヤと比較してエッジとの接触面積を大きくすることができる。そのため、操作ワイヤ30がエッジに接触しながら進退移動し、又は、回転した場合であっても、操作ワイヤ30の外周面にエッジから与えられる面圧が比較例の操作ワイヤよりも低く、操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止される。
図12及び図13は、操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための第7の実施の形態の構成を示した図であり、図12は、操作ワイヤ30のワイヤ部32を長手軸に直交する方向に切断した断面と側面を示した斜視図であり、図13は、操作ワイヤの撚り線の構成を説明する説明図である。
本実施の形態は、図11に示した第6の実施の形態と同様に、操作ワイヤ30の長手軸に直交する断面において、ワイヤ部32の外形が円形となるようにしたものであるが、第6の実施の形態と異なり、図14の比較例の操作ワイヤのように複数本の素線を撚り合わせて構成した撚り線の外周部を切除して外周面の断面が円形となるようにした形態である。
具体的には、本実施の形態の操作ワイヤ30のワイヤ部32は、図14に示した比較例の操作ワイヤのワイヤ部170と同様に同一半径の素線を撚り合わせて構成されており、図12及び図13では、図14の比較例の操作ワイヤのワイヤ部170と同様に例えば19本の素線(又は7本の素線)からなる撚り線を1単位として区画し、その外形を六角形であるものとして表している。
まず、同一半径の素線を中心の素線の周りに均等に増やしていくものとすると、図13における中央の区画150に続いて、その外周に蜂の巣状に配置される6つの区画152A〜152F内に素線が配置されていく。
一方、図13の一点鎖線で示す円形の切断線156は、本実施の形態の操作ワイヤ30のワイヤ部32の半径となる位置を示し、少なくとも、その切断線156よりも内側の領域に配置される素線と、切断線156と交差する位置に配置される素線を撚り合わせてワイヤ部32の原型となる撚り線158を構成する。
そして、その原型の撚り線158を切断線156に沿って長手軸方向に切断する。これによって、図12のように外周面の断面が円形となる本実施の形態のワイヤ部32が形成される。
なお、原型の撚り線を構成する素線は必ずしも同一半径でなくてもよく、1又は複数種の半径からなる複数本の素線を撚り合せて構成した原型の撚り線に対して外周側を切断して、断面が円形となる外周面を形成すればよい。
これによれば、第6の実施の形態と同様に、ワイヤ部32の外側にコーティング34を施した際にそのコーティング34の外周面、即ち、操作ワイヤ30の外周面が長手軸に直交する方向の断面において略円形となるように形成することができる。
そして、シース20の繋ぎ部の内周面に現れる境界86、88(図5参照)に段差や隙間によるエッジが生じ、そのエッジに操作ワイヤ30が接触した場合であっても、図14に示した比較例の操作ワイヤと比較してエッジとの接触面積が大きくなる。そのため、操作ワイヤ30がエッジに接触しながら進退移動し、又は、回転した場合であっても、操作ワイヤ30の外周面にエッジから与えられる面圧が比較例の操作ワイヤよりも低く、操作ワイヤ30のコーティング34が剥がれるという事態が防止される。
以上の第6の実施の形態と第7の実施の形態の各々の構成は、コーティング34の剥がれを防止する第1〜第5の実施の形態の構成を適用しない場合であっても有効であるが、第1〜第5の実施の形態のうちのいずれかの構成に組み合わせて内視鏡用処置具10に適用することにより、また、第1〜3の実施の形態のいずれかの構成と第4及び第5の実施の形態のいずれかの構成とを組み合わせた構成にさらに組み合わせて内視鏡用処置具10に適用することにより、より効果的に操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれを防止することができる。なお、第1〜第5の実施の形態における操作ワイヤ30のワイヤ部32の外形は、第6又は第5の実施の形態を適用した場合と同様に断面が円形となる場合を示したが、第6又は第5の実施の形態と異なる構成によるものであってもよいし、また、ワイヤ部32の外形やコーティング34の外形が円形でないもの(図14のような比較例の操作ワイヤ等)であっても第1〜第5の実施の形態の各々の構成によってコーティング34の剥がれを防止する効果を有する。
以上、第1〜第7の実施の形態で示した操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれ防止のための構成は、上述のクリップ処置具以外の内視鏡用処置具に対しても有効に適用されるが、内視鏡用処置具の中でもクリップ処置具は比較的強い力での操作ワイヤ30の押し引き操作が行われるため、シース20の繋ぎ部での操作ワイヤ30のコーティング34の剥がれが生じ易く、これを防止するための上記のような構成をクリップ処置具に適用することは特に有効である。
10…内視鏡用処置具、12…挿入部、14…処置部、16…操作部、20、20A、20B…シース、22…接続部材、24…管腔、26、28…凸部、30…操作ワイヤ、32…ワイヤ部、34…コーティング、40…操作部本体、40A…親指掛け部、42…スライダ、50…クリップ、52…締付けリング、54…ターン部、56…腕部、58…爪部、60…交差部、62…スカート部、70…フック、76…生体組織、80…本体部、82…基端側接続部、82A、84A…凸部、82B、84B…凹部、84…先端側接続部、86、88…境界、90…繋ぎ領域、120、122、124…凸部、140、142、144、172、174、176…素線
Claims (11)
- 基端側の第1シースと先端側の第2シースとからなり、該第1シースと該第2シースは繋ぎ部を介して接続される管状のシース本体と、該シース本体内に進退自在に挿通配置された操作ワイヤとから構成された挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられた処置機能を有する処置部と、
前記挿入部の基端に設けられ、所定の操作可能範囲内で前記操作ワイヤを前記シース本体に対して進退移動させて前記処置部を動作させる操作部と、
を備え、
前記シース本体の内周面には、前記繋ぎ部又はその周辺部に径方向内側に突出形成された凸部を有し、前記操作ワイヤが前記凸部以外の前記繋ぎ部及びその周辺部の内周面に接触することを防止する接触防止部材を備えた内視鏡用処置具。 - 前記凸部は、断面R状に加工されている請求項1に記載の内視鏡用処置具。
- 前記凸部は、前記シース本体の長手軸方向に平行な断面において前記シース本体の中心部側の端部がR状に形成されている請求項2に記載の内視鏡用処置具。
- 前記操作ワイヤは、長手軸方向に沿って互いに異なる位置に軟質コーティング部と該軟質コーティング部よりも硬い硬質コーティング部を有し、
前記操作ワイヤを前記シース本体に対して前記操作可能範囲内で最も押し込んだときの前記繋ぎ部に対応する前記操作ワイヤ上の位置を第1位置とし、前記操作ワイヤを前記シース本体に対して前記操作可能範囲内で最も引き出したときの前記繋ぎ部に対応する前記操作ワイヤ上の位置を第2位置とした場合に、前記硬質コーティング部は、前記操作ワイヤ上の前記第1位置と前記第2位置との間を含む範囲に設けられている請求項1、2、又は3に記載の内視鏡用処置具。 - 前記操作ワイヤは、長手軸方向に直交する断面において円形に形成されている請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記操作ワイヤは、前記軟質コーティング部及び前記硬質コーティング部で被覆されるワイヤ部が複数の素線を撚り合わせた撚り線により形成され、該ワイヤ部の外形が長手軸方向に直交する断面において略円形を有する請求項5に記載の内視鏡用処置具。
- 前記第1シースは、前記第2シースよりも肉厚である請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記シース本体の繋ぎ部は、前記第1シースと前記第2シースとを接続する円筒状の接続部材により形成され、該接続部材の内周面の端縁部にR加工が施されている請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記接続部材の基端側に接続される前記第1シースの内周面の先端側端縁部と、前記接続部材の先端側に接続される前記第2シースの内周面の基端側端縁部とにR加工が施された請求項8に記載の内視鏡用処置具。
- 基端側の第1シースと先端側の第2シースとからなり、該第1シースと該第2シースは繋ぎ部を介して接続される管状のシース本体と、該シース本体内に進退自在に挿通配置された操作ワイヤとから構成された挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられた処置機能を有する処置部と、
前記挿入部の基端に設けられ、所定の操作可能範囲内で前記操作ワイヤを前記シース本体に対して進退移動させて前記処置部を動作させる操作部と、
を備え、
前記シース本体の繋ぎ部は、前記第1シースと前記第2シースとを接続する円筒状の接続部材により形成され、該接続部材の内周面の端縁部にR加工が施されている内視鏡用処置具。 - 前記接続部材の基端側に接続される前記第1シースの内周面の先端側端縁部と、前記接続部材の先端側に接続される前記第2シースの内周面の基端側端縁部とにR加工が施されている請求項10に記載の内視鏡用処置具。
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012135086A Pending JP2013255756A (ja) | 2012-06-14 | 2012-06-14 | 内視鏡用処置具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013255756A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101851115B1 (ko) | 2018-01-17 | 2018-05-30 | 최원준 | 내시경용 일회용 클립처치기구 |
WO2020105158A1 (ja) * | 2018-11-22 | 2020-05-28 | オリンパス株式会社 | ガイドチューブ、処置システムおよびガイドチューブの取付方法 |
-
2012
- 2012-06-14 JP JP2012135086A patent/JP2013255756A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101851115B1 (ko) | 2018-01-17 | 2018-05-30 | 최원준 | 내시경용 일회용 클립처치기구 |
WO2020105158A1 (ja) * | 2018-11-22 | 2020-05-28 | オリンパス株式会社 | ガイドチューブ、処置システムおよびガイドチューブの取付方法 |
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