JP2013255445A - 微生物検査方法および検査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速に微生物を検査するための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】本発明は、
薬剤および/または代謝基質が添加された培地を含む、微生物を培養するための培養容器を備えた培養部と、
前記培地の成分を分析するための質量分析装置と、
前記質量分析装置により決定された前記培地中の前記微生物に由来する代謝産物の種類および量に基づいて、前記微生物の種類を同定する、あるいは前記薬剤および/または代謝基質の前記微生物に与える影響を判定する解析部と
を備えることを特徴とする微生物検査システムに関する。
【選択図】図2

Description

本発明は、微生物検査方法および微生物検査システムに関する。
微生物によって引き起こされるヒトおよび動物への感染症は、健康管理および医療、あるいは畜産などにおいて常に大きな問題となっている。ヒトの医療の場合、微生物による感染症を治療するために患者への薬剤投与が行われる。投与する薬剤を決めるためには原因微生物種と原因微生物の薬剤に対する感受性という2つの情報が必要である。したがって、臨床における微生物検査では同定試験と薬剤感受性試験の2つの検査が行われる。患者の治療を考えた場合、少しでも早く検査結果を得て治療を行う必要があるが、主に培養に要する時間が律速となって、臨床検体の受取りから一次培養(微生物の分離培養工程)、二次培養(生化学性状試験による同定や、薬剤に対する感受性試験)を経て、検査結果を得るまでに2〜3日を要している。
生化学性状試験では、各微生物種に特徴的な代謝反応に関して、それぞれの反応活性を検出することによって微生物種を同定する。しかし、一般的に使用されている光学的測定法は感度が低く、同定までに6〜7時間を要し、菌種によってはさらに長時間の培養が必要な場合もある。近年、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型(Matrix Assisted Laser Desorption/ Ionization-Time of Flight:MALDI-TOF)質量分析装置を用いて、微生物に含まれるメジャーなタンパク質(例えばリボソームタンパク質)に由来する質量分析のスペクトルパターンによって微生物種を同定する方法が利用されている。同定試験のための二次培養を必要としないので、作業時間は30分以内である。しかし、この方法では薬剤感受性に関する情報は得られない。
微生物検査や微生物学実験において微生物の増殖を代謝に基づいて検出する方法として、培養液のpH変化や呼吸によって生成されるCO2の濃度を測定する方法がある(特許文献1)。これに関しても、pH変化、またはCO2による圧力や赤外線吸収の変化を検出するには、長時間の培養が必要である。また、pHの変化またはCO2の生成だけでは、得られる情報が少ない。
薬剤感受性試験では、薬剤存在下で微生物の増殖をモニターすることによって各種薬剤に対する微生物の感受性を試験している。薬剤感受性試験には、主に拡散法と希釈法の2つがある。例えば、日本化学療法学会の定める細菌の薬剤感受性試験の標準法では、ミューラー・ヒントン培地を用いて薬剤の2倍希釈系列(0.06〜128μg/mL)を調製し、96ウェルプレートに分注し、各ウェルに菌体濃度が5×105 CFU/mLとなるように細菌を植え、35±1℃にて18〜24時間の培養を行う。培養後、各ウェルにおける細菌の増殖を培地の濁度によって目視で判定し、細菌の増殖が見られなかったウェルのうちで、薬剤濃度が最も低いものについて、その濃度を最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration:MIC)とする。細菌検査自動化装置では、液体希釈法を微量化した方法が採用されているが、結果が得られるまでに少なくとも8時間程度を要する。また、薬剤耐性に関与する遺伝子の配列を解読することによって微生物の薬剤感受性試験を行う試みがなされている。ただし、この手法では二次培養が不要であるというメリットがあるものの、既知の薬剤耐性は検出できるが、未知の薬剤耐性は、関与する遺伝子が分かっていないために検出できないという課題がある。さらに、薬剤耐性に関する情報は得ることができても、どの薬剤がどの濃度で増殖抑制効果を示すかという、薬剤感受性に関する情報は得られない。
特許第3010565号
上述の通り、従来の微生物検査では、細菌や真菌などの微生物の増殖を、培養液の濁度変化を目視や光学的手法で判定する方法や、培養液のpH変化などで判定する方法などを利用しており、検査結果を得るまでに微生物の十分な増殖が必要とされている。そのためには半日〜1日の培養が必要であるが、微生物種によってはさらに長時間の培養が必要な場合もある。特に、薬剤感受性試験に関しては、迅速化の決め手となる技術がない状態であり、培養時間の短縮による迅速化が求められている。また、微生物同定試験と薬剤感受性試験とは別々に行われており、時間と手間とを要している。
そこで本発明は、迅速に微生物を検査するための方法およびシステムを提供する。また例えば、微生物の種や、薬剤感受性などについての詳細な情報を得るための方法およびシステムを提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の方法およびシステムを採用する。具体的には、本発明は、薬剤および/または代謝基質を添加した培地において微生物を培養し、該培地に含まれる該微生物が生成し細胞外に排出した代謝産物に対して質量分析を行い、該質量分析により決定した該代謝産物の種類および量に基づいて、該微生物の種類を同定する、あるいは該薬剤および/または代謝基質の該微生物に与える影響を判定することを特徴とする微生物検査方法に関する。また本発明は、薬剤および/または代謝基質が添加された培地を含む、微生物を培養するための培養容器を備えた培養部と、前記培地の成分を分析するための質量分析装置と、前記質量分析装置により決定した前記培地中の前記微生物に由来する代謝産物の種類および量に基づいて、前記微生物の種類を同定する、あるいは前記薬剤および/または代謝基質の前記微生物に与える影響を判定する解析部とを備えることを特徴とする微生物検査システムに関する。
本発明により、迅速な微生物検査を行うための方法およびシステムが提供される。例えば、薬剤感受性試験では、微生物培養液中の代謝産物を、質量分析法によって検出し、微生物の代謝と増殖を高感度で検出し、短時間の培養でかつ高感度に薬剤の効果を判定することが可能である。また例えば、微生物細胞内の代謝産物を測定するのではなく、培地中の成分を測定するので、細胞の破砕などの処理工程を省略し、迅速に測定を行うことが可能である。さらに、本発明では、薬剤感受性試験と同時に微生物同定試験を行い、薬剤感受性に関する情報とともに、微生物種に関する情報も提供する。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
微生物検査方法の一例を示すフロー図である。 微生物検査システムの一例を示す概略図である。 微生物検査システムの構成例を示す概略図である。 大腸菌におけるクロラムフェニコール濃度による増殖および培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度への影響を示すグラフである。 黄色ブドウ球菌におけるアンピシリン濃度による増殖および培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度への影響を示すグラフである。 薬剤感受性試験における結果判定プロトコールの概要を示す図である。 薬剤感受性試験の結果を示す表である。 薬剤感受性試験の結果を示すグラフである。 薬剤感受性試験の結果表示画面のインターフェース図である。 安定同位体標識13C6グルコースを用いた大腸菌培養における、培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度の経時変化を示すグラフである。 大腸菌における糖基質代謝による質量分析スペクトルを示すグラフである。 黄色ブドウ球菌における糖基質代謝による質量分析スペクトルを示すグラフである。 大腸菌および黄色ブドウ球菌における糖基質代謝パターンを表示するインターフェース図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、後述するシステム構成や処理動作の内容は一例であり、実施の形態と既知の技術との組み合わせや置換により実現することができる様々な形態も、本発明の形態に含まれる。
微生物種によって棲息する環境は多様であり、それに応じて培養条件や代謝が異なっている。その中で、多くの微生物種に共通する基本的な代謝経路として、グルコース代謝系を挙げることができる。グルコース代謝系は、エネルギー代謝および中間代謝の中心経路で、解糖系とクエン酸回路、それに続く電子伝達系における酸化的リン酸化経路から成り立っている。解糖系は、多くの細胞に共通した代謝経路であり、細胞内に取り込んだグルコース1分子からピルビン酸2分子が合成される。その際にエネルギーとしてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:ATP)2分子が産生される。解糖系によって生じたピルビン酸は、さらに代謝されて、嫌気的条件下ではアルコール発酵によりエタノールや嫌気的解糖により乳酸になる。一方、好気的条件下ではピルビン酸からアセチルCoAを経てクエン酸回路に入り、その後の電子伝達系の酸化的リン酸化経路では、さらにグルコース1分子あたり30分子のATPが産生される。グルコース代謝系は、微生物のエネルギー代謝の中心であると同時に、物質代謝でも重要な役割を担っている。
したがって、グルコース代謝系は微生物の代謝活性の指標となり、その活性を測定することによって細胞分裂による増殖を検出することが可能である。従来技術では、代謝産物そのものを測定するのではなく、代謝産物によって生じる培養液のpH変化や濁度の変化、または呼吸によって生じるCO2産生を検出していた。本発明では、代謝産物そのものを質量分析することによって、迅速かつ高感度な検査を可能とし、微生物種の同定や、薬剤が微生物に及ぼす影響などについて、詳細な情報を得ることができる。
本発明では、微生物細胞内の代謝産物ではなく、細胞外に排出され、培地中に蓄積する代謝産物を測定する。微生物細胞内の代謝産物や細胞の構成成分の質量分析法による測定は、研究目的を始めとして広く行われているが、そのためには細胞を破砕するような処理が必要となる。細胞の破砕には、酵素処理によるもの、界面活性剤処理によるもの、超音波や圧力などの機械的な処理によるもの、凍結融解によるものなどがある。いずれの方法にしろ、細胞を破砕するための操作や機器が必要となり、検査のための時間や工程を増やすことになる。また、酵素処理や界面活性剤による処理の場合、処理のために加えた酵素や界面活性剤が、その後の質量分析法による代謝産物の分析の妨げになる可能性がある。さらに、細胞破砕の程度によって菌体内の成分の抽出効率に違いが生じる。したがって、微生物細胞内の代謝産物ではなく、培養液の培地中に排出された代謝産物を測定することは、検査方法の迅速化と簡便化につながる。
従って、本発明に係る微生物検査方法では、
薬剤および/または代謝基質を添加した培地において微生物を培養し、
該培地に含まれる該微生物が生成し細胞外に排出した代謝産物に対して質量分析を行い、
該質量分析により決定した該代謝産物の種類および量に基づいて、該微生物の種類を同定する。
また、本発明に係る微生物検査方法では、
薬剤および/または代謝基質を添加した培地において微生物を培養し、
該培地に含まれる該微生物が生成し細胞外に排出した代謝産物に対して質量分析を行い、
該質量分析により決定した該代謝産物の種類および量に基づいて、該薬剤および/または代謝基質の該微生物に与える影響を判定する。
本発明において検査の対象となるのは、細菌および真菌からなる微生物全般であるが、特に、病院の検査室などで検査対象となる病原性細菌や病原性真菌などの微生物である。病原性細菌には、ブドウ球菌属(Staphylococcus)(具体例として、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、レンサ球菌属(Streptococcus)(具体例として、化膿性レンサ球菌、肺炎球菌)、エンテロコッカス属(Enterococcus)(具体例として、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス)、ナイセリア属(Neisseria)(具体例として、りん菌、髄膜炎菌)、モラクセラ属(Moraxella)、大腸菌属(Escherichia)(具体例として、大腸菌)、赤痢菌属(Shigella)(具体例として、赤痢菌)、サルモネラ属(Salmonella)(具体例として、チフス菌、パラチフスA菌、腸炎菌)、シトロバクター属(Citrobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)(具体例として、肺炎桿菌)、エンテロバクター属(Enterobacter)、セラチア属(Serratia)(具体例として、セラチア・マルセッセンス)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、モルガネラ属(Morganella)、エルシニア属(Yersinia)(具体例として、ペスト菌)、ビブリオ属(Vibrio)(具体例として、コレラ菌、腸炎ビブリオ、ビブリオ・バルニフィカス、ビブリオ・ミミカス)、エロモナス属(Aeromonas)、シュードモナス属(Pseudomonas)(具体例として、緑膿菌)、アシネトバクター属(Acinetobacter)(具体例として、アシネトバクター・バウマニイ)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、ヘモフィルス属(Haemophilus)(具体例として、インフルエンザ菌)、パスツレラ属(Pasteurella)、フランシセラ属(Francisella)、ボルデテラ属(Bordetella)(具体例として、百日咳菌)、エイケネラ属(Eikenella)、ブルセラ属(Brucella)、ストレプトバチラス属(Streptobacillus)、アクチノバチラス属(Actinobacillus)、レジオネラ属(Legionella)(具体例として、レジオネラ・ニューモフィラ)、バシラス属(Bacillus)(具体例として、炭疽菌、セレウス菌)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)(具体例として、ジフテリア菌)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、リステリア属(Listeria)、エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)、ノカルジア属(Nocardia)、放線菌属(Actinomyces)、クロストリジウム属(Clostridium)(具体例として、クロストリジウム・パーフリンジェンス)、バクテロイデス属(Bacteroides)(具体例として、バクテロイデス・フラジリス)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)(具体例として、結核菌)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ヘリコバクター属(Helicobacter)(具体例として、ピロリ菌)、スピリルム属(Spirillum)、トレポネーマ属(Treponema)、ボレリア属(Borrelia)、レプトスピラ属(Leptospira)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)(具体例として、肺炎マイコプラズマ)などの細菌が含まれるが、これら以外の微生物も検査対象となりうる。
検査対象の微生物は、検査を実施する前にサンプルから分離培養して準備することができる。あるいは、検査時にはその種が具体的に同定されておらず、分離培養することが困難なこともあるため、検査対象の微生物は、サンプルそのものであってもよい。そのようなサンプルは、微生物を含有するまたは含有することが疑われるサンプルであれば任意のサンプルとすることができる。例えば、サンプルには、生体(例えばヒト)に由来する生体サンプル、例として血液、喀痰、組織、細胞などのサンプル、および環境由来のサンプル、例として海水、河川水、工業用水、土壌などのサンプルが挙げられる。液体サンプルは、そのまま、または溶媒で希釈もしくは濃縮して使用することができる。固体サンプルは、溶媒に懸濁するか、粉砕機などによりホモジナイズするか、あるいは溶媒と共に攪拌して得られる上清を使用してもよい。サンプルからの微生物の分離培養は、当技術分野で公知の方法に従って行うことができる。
本発明においては、培地に、薬剤および/または代謝基質を添加する。使用する培地は、検査対象の微生物の種類やサンプルの種類に応じて、適当な培地を選択することができる。例えば、天然成分を含む培地(ミューラー・ヒントン培地、LB培地、血液培地など)、化学合成培地(LeMaster培地、M9培地など)、化学合成培地に天然成分を添加した半合成培地などを用いることが可能である。質量分析法による測定のためには培地成分が完全に分かっており、イオン化を妨げるような夾雑物が少ない化学合成培地が望ましい。ただし、微生物の種によっては増殖のために天然成分を必要とする場合があるので、その場合には、化学合成培地に微生物の増殖のために必要最小限の天然成分を添加した半合成培地を使用する。
本発明において検査の対象とする薬剤(被検薬剤)は、主として臨床で用いられる抗菌作用を持つ抗菌薬・抗生物質である。抗菌薬および抗生物質には、ペニシリン系(penicillins)、セフェム系(cephems)、セファロスポリン系(cephalosporins)、セファマイシン系(cephamycins)、経口セフェム系、オキサセフェム系(oxacephems)、ペネム系(penems)、カルバペネム系(carbapenems)、カルバセフェム系(carbacephems)、モノバクタム系(monobactams)、β-ラクタマーゼ阻害薬(β-lactamase inhibitors)、アミノグリコシド系(aminoglycosides)、マクロライド系(macrolides)、ケトライド系(ketolides)、ストレプトグラミン系(streptogramins)、リンコマイシン系(lincomycins)、テトラサイクリン系(tetracyclines)、クロラムフェニコール系(chloramphenicols)、オキサゾリジノン系(oxazolidinones)、ポリペプチド系(polypeptides)、グリコペプチド系(glycopeptides)、キノロン系(quinolones)、サルファ剤、抗結核薬、抗真菌薬などの薬剤が含まれるが、これら以外の薬剤も検査対象となりうる。
被検薬剤は、1種類を使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。また、被検薬剤は、単一の添加量/濃度で培地を準備してもよいし、それぞれ異なる添加量/濃度で培地に添加し、複数の培地を準備してもよい。異なる添加量/濃度を使用した場合には、微生物の薬剤感受性について、その添加量(濃度)に関する情報も得ることができる。例えば、微生物の最小発育阻止濃度(MIC)を決定することが可能となる。
また検査の対象とする代謝基質は、代謝系に必要な代謝基質であれば特に限定されるものではない。例えば、糖基質として、グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、ソルビトール、D-マンニトール、イノシトール、D-フルクトース、アラビノース、D-マンノース、キシリトール、D-キシロース、リボース、スクロース、メリビオース、トレハロース、ラクトース、マルトース、ラフィノース、アドニトールなど、アミノ酸代謝基質として、グリシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられる。添加する代謝基質は、1種類を使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。異なる代謝基質の添加により、微生物により生成される代謝産物の種類および/または量が変化し、その変化または変化パターンに基づいて、微生物種を同定することが可能となる場合があるためである。
培地には、安定同位体標識をした化合物を代謝基質として添加し、その化合物から生成される代謝産物を測定することが可能である。すなわち、安定同位体標識した化合物から生成した代謝産物は安定同位体を含んでおり、他から由来する化合物とは区別することが可能である。これによって、微生物の特定の代謝経路によって生成した代謝産物のみを計測し、より厳密に微生物の代謝をモニターすることが可能となる。また、代謝産物と同じ成分が予め培地成分として含まれており、代謝産物と区別できない場合がある。このような場合でも、安定同位体標識化合物を用いることにより、代謝産物を測定することが可能である。以上により、安定同位体標識化合物の利用により、バックグラウンドを除去して、微生物の代謝や増殖をより正確にモニターすることが可能となる。
続いて、被検薬剤および/または代謝基質を添加した培地(試料)において微生物を培養する。微生物の培養は、当技術分野で慣用的に使用されている条件(温度および時間)で行うことができる。具体的な培養条件は、対象の微生物の種類およびサンプルの種類、分析しようとする代謝産物の種類などに応じて異なり、当業者であれば適宜設定することができる。培養時間は、短時間の培養、具体的には、1〜10時間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは約4時間以下とする。なお、培養時間は、微生物の量や種類によって変動する。対照(標準培養)として、被検薬剤および/または代謝基質が添加されていない培地(試料)において微生物を培養することが好ましい。
微生物の培養を行った後の培地(試料)から、微生物を除去した培地を採取し、質量分析のための前処理を行ってもよい。培地からの微生物の除去は、例えばフィルターを用いたろ過や遠心分離により行うことができる。また、質量分析用の前処理として、具体的には、培地(試料)に含まれる成分のイオン化を妨げる物質を除去する処理や、培地(試料)の成分を濃縮する処理を行うことができる。
次いで、培地(試料)の成分を代謝産物について質量分析する。質量分析の具体的な方法は、特に限定されるものではない。複数の培地(試料)において培養を行った場合には、複数の培地に含まれる代謝産物についてそれぞれ質量分析を行う。質量分析で得られたスペクトルデータを解析し、その結果から、微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定する。質量分析を行う代謝産物の種類は、特に限定されるものではないが、例えばグルコース、グルコース6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-ビスリン酸、グリセルアルデヒド3-リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、1,3-ビスホスフォグリセリン酸、3-ホスフォグリセリン酸、2-ホスフォグリセリン酸、ホスフォエノールピルビン酸、ピルビン酸、アセチルCoA、クエン酸、イソクエン酸、α-ケトグルタル酸、スクシニルCoA、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、アセトイン、アセトン、ブチレングリコール、シュウ酸、アセトアルデヒド、ブタノール、グルコン酸、乳酸、エタノール、酢酸、ギ酸などが挙げられる。本発明においては、これらの代謝産物のうち1つまたは複数について質量分析を行う。複数の代謝産物を決定することにより、より高精度に判定を行うことが可能となる。また、安定同位体標識化合物を代謝基質として添加した培地において微生物を培養した場合には、その安定同位体で標識された代謝産物を質量分析する。
上述のように質量分析により決定した代謝産物の種類および量に基づいて、微生物の種類を同定する、あるいは薬剤および/または代謝基質の微生物に与える影響を判定することが可能である。複数の培地(試料)において微生物の培養を行った場合には、複数の培地に含まれる代謝産物についてそれぞれ質量分析を行い、複数の培地の間で代謝産物の種類および量を比較し、その比較結果に基づいて、微生物の種類を同定する、あるいは薬剤および/または代謝基質の微生物に与える影響を判定することが可能である。
あるいは、質量分析を行って得られたスペクトルデータを、そのまま、各種微生物で得られたスペクトルデータから構成されるデータベースと照合してもよく、その照合結果から微生物種を同定することが可能である。これにより、本検査方法をより迅速かつ簡便に実施することができる。
上述のようにして得られた微生物種の同定結果、あるいは薬剤および/または代謝基質の微生物に与える影響の判定結果は、表示、出力または記憶されてもよい。
図1に、本微生物検査方法の具体例を示すフローを示し、以下に検査手順の概要を説明する。まず、ステップ101では、臨床検体より分離培養などで単離した検査対象微生物109を培地に懸濁した菌懸濁液を調製する。次のステップ102では、この菌懸濁液より培養用の試料を調製する。薬剤感受性試験を行う場合には、当該薬剤を異なる濃度で添加した希釈系列の試料111を複数の薬剤に対して準備する。また、検査の対照のために、当該薬剤を添加しない標準培養用試料110も準備する。また、菌種同定試験のためには、各種の微生物に特徴的な反応を検出するための代謝基質を加えた試料112を準備する。次のステップ103では、この試料の培養を行う。次のステップ104では、培養した試料より培地を採取し、ステップ105で質量分析のための前処理を行い、質量分析用試料を調製する。次のステップ106では、調製した質量分析用試料に対して質量分析を行う。次のステップ107では、質量分析のデータ解析を行い、検査対象微生物の薬剤感受性に関する検査結果や微生物種同定結果をステップ108で出力する。これら検査方法のフローに関しては、後に実施例3で詳細を記述する。
また、本発明は、上述したような微生物検査方法を実施するためのシステムに関する。具体的には、本発明に係る微生物検査システムは、
薬剤および/または代謝基質が添加された培地を含む、微生物を培養するための培養容器を備えた培養部と、
前記培地の成分を分析するための質量分析装置と、
前記質量分析装置により決定した前記培地中の前記微生物に由来する代謝産物の種類および量に基づいて、前記微生物の種類を同定する、あるいは前記薬剤および/または代謝基質の前記微生物に与える影響を判定する解析部と
を備える。
培養部は、微生物を培養するための培養容器を、1個、または好ましくは複数個備える。それぞれの培養容器には、薬剤および/または代謝基質が添加された培地が含まれる。添加される薬剤および/または代謝基質は、1種類であってもよいしまたは複数種類が組み合わされてもよい。また、薬剤および/または代謝基質の添加量/濃度は、単一であってもよいし、または異なっていてもよい。例えば、培養部は、薬剤の添加量/濃度がそれぞれ異なる複数の培地および/または代謝基質の種類がそれぞれ異なる複数の培地を含む複数の培養容器を備えるものとすることができる。さらに、対照(標準培養)として、被検薬剤および/または代謝基質を添加していない培地(試料)を含む培養容器を備えていてもよい。
また、本発明に係る微生物検査方法について上述したように、代謝基質として培地に安定同位体標識化合物が添加されることもある。そのような場合、本発明に係るシステムの培養部は、安定同位体標識化合物を代謝基質として含む培地を含む培養器を備えるものである。
本発明に係るシステムに使用される質量分析装置は、培地(試料)に含まれる成分、すなわち微生物に由来する代謝産物を質量分析することができるものであれば特に限定されるものではない。一般的には、質量分析装置は、成分のイオン化を行うイオン化部と、イオン化された成分の質量荷電比m/zを測定する部とから構成されている。当業者であれば、本発明において使用可能な質量分析装置を適宜選択することが可能である。また、培養部において複数の培地(試料)が準備されている場合には、質量分析装置は、その複数の培地(試料)それぞれについて質量分析を行うものである。
質量分析装置が分析を行う代謝産物の種類は、特に限定されるものではないが、例えばピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸およびエタノールが挙げられる。本発明に係るシステムでは、これらの代謝産物のうち1つまたは複数について質量分析が行われる。また、培養部において培地に安定同位体標識化合物が添加されている場合には、質量分析装置は、その安定同位体標識化合物より生成され微生物細胞外に排出される安定同位体で標識された代謝産物を質量分析する。
なお、本発明に係るシステムは、質量分析のための前処理を行う前処理部を備えていてもよい。例えば、前処理部には、培養部の各培養容器から微生物を除去した培地を採取する手段(フィルター、遠心分離器など)、成分のイオン化を妨げる物質を除去する手段、培地成分を濃縮する手段などが含まれる。
解析部は、前記質量分析装置で得られたスペクトルデータを解析し、培地中の微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定し、その結果から、微生物の種類を同定する、あるいは薬剤および/または代謝基質の微生物に与える影響を判定する。培養部において複数の培地(試料)が準備されている場合には、解析部は、質量分析装置から得られたそれぞれの培地(試料)の分析結果について、複数の培地(試料)の間で代謝産物の種類および量を比較し、微生物の種類を同定する、あるいは薬剤および/または代謝基質の微生物に与える影響(抗菌特性)を判定する。
あるいは、解析部は、質量分析装置で得られたスペクトルデータを、各種微生物で得られたスペクトルデータから構成されるデータベースと照合し、その結果から微生物種を同定するものであってもよい。
本発明に係るシステムは、前記培養部と前記前処理部と前記質量分析装置の間で前記試料および前記培地を運ぶ機構を備えるものであってもよい。
さらに本発明に係るシステムは、システム全体を制御および運用するための制御部を備えるものであってもよい。またシステムは、解析部で得られた結果を表示、出力または記憶する手段を備えるものであってもよく、例えば、制御部に、入力部、表示部、出力部、および記憶部からなる群より選択される1または複数が付随してもよい。
図2に、本微生物検査システムの具体例を示す。これは、図1の検査フローを実現するためのシステムである。本微生物検査システムは、微生物を培養する培養装置201、質量分析用の試料を調製する前処理部202、質量分析装置203、質量分析装置203で得られたデータを解析し、薬剤の効果を判定したり微生物種同定を行ったりする解析部204から構成されている。質量分析装置203は、主としてイオン化部203-1と質量分析部203-2から構成されている。本微生物検査システム全体は、制御部206によって制御され運用される。制御部206には、入力部207、表示部208、出力部209、記憶装置210が付随する。また、データ解析部204は、予め既知の微生物に由来する代謝産物の種類および量に関する情報についてのデータベース205を適宜参照することができる。
図3に、本微生物検査システムの構成例を示す。これは、図1の検査フローを実現するためのシステムの一例であり、図2のシステムをより具体化したものである。培養装置301は、微生物の培養を行う複数の培養容器302から構成されている。容器の数は、検査対象とする薬剤の種類と濃度の組み合わせの数、あるいは代謝基質の数に応じて変わるが、通常は100個から1000個程度を備えていることが望ましい。各培養容器は、容量1 mL以下で、限られた微生物試料で数多くの培養を行うためには、容量が少ないことが望ましく、できれば100μL以下であることが望ましい。これによって、培養装置を小型化するとともに、検査対象とする薬剤の種類と濃度の組み合せや代謝基質の数を増やすことが可能となる。調製した菌懸濁液は、菌懸濁液導入口311より培養容器302に導入する。培養容器に関しては、全体がカートリッジ状になっており、プラスチックなどを材質とし、ディスポーザブルにして、検査ごとに交換する形状にすることが可能である。さらに、1台の検査システムには、複数のカートリッジを装着し、複数の検査を同時に並行して実施することが可能である。各培養容器302は、必要に応じて、培養液を攪拌する機能、温度を制御する機能、微生物の培養に必要な酸素および培地成分を供給する機能、微生物懸濁液を培養容器302に入れる機能、試料を培養容器302から採取する機能を備えている。培養液を攪拌する機能は、カートリッジ全体を振とうすることによって実施可能である。また、温度の制御は、カートリッジ全体を、温度管理されたインキュベータの中に置くことで実施可能である。培養装置301の培養容器302の1つには、薬剤を含まない培地が入っている。薬剤感受性試験の場合には、培養装置301の残りの複数の培養容器302には、それぞれが異なる種類と濃度との組み合わせの薬剤を含む培地が入っている。また、同定試験における生化学性状試験の場合には、それぞれ異なる代謝基質が入っている。
培養装置301の各培養容器302は、培養液の微生物細胞を除去して培地のみを採取する機構を備えている。例えば、メンブレンフィルターにより微生物細胞を捕捉し、培地のみを採取する機能である。この操作は、バルブ313を備えた送液系312によって行われ、各培養容器302から順次培地を採取することが可能である。また、この操作は、自動化されたピペットによって行うことも可能であるし、他の機構によって行うことも可能である。また、微生物細胞の除去には、遠心分離などの方法を用いてもよい。いずれにしても、培養液から微生物を除去して培地のみを採取し、次の前処理部303に送るものである。これらの機構には、洗浄機能をもった洗浄液タンク314およびシステム液タンク315が付随し、試料ごとに機構を洗浄し、異なる試料が互いに混ざることを防止する。廃液は、廃液タンク316に回収される。なお、可能であれば、病原性を有する可能性のある微生物が環境中に拡散することを防ぐために、培養以降の作業は密閉された容器内で行われ、培地の採取も微生物を容器内に留めたまま行うことが望ましい。
前処理部303は、必要に応じて、採取した培地に対して、質量分析装置304にかけるための前処理を行う。質量分析装置304にかけるための前処理とは、カラムやフィルターなどを用いて、質量分析に際して試料のイオン化を妨げるような物質を除去する処理や、培地成分を濃縮する処理などである。前処理の工程は、培地の組成や測定対象の代謝産物などを考慮して、適したものを採用する。
質量分析装置304は、試料を導入してイオン化を行う部分と、イオン化された試料の質量荷電比m/zを測定する部分から構成されている。試料のイオン化を行うイオン化部には、誘電体バリア放電(DBD)イオン化法、エレクトロスプレー大気圧イオン化法(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)などの方式がある。イオン化された試料を分離する分析部には、四重極型質量分析装置(QMS)、イオントラップ型質量分析装置(ITMS)、飛行時間型質量分析装置(TOFMS)、多連四重極型質量分析装置などの方式がある。
データ解析部305では、質量分析装置304のデータ処理を行う。さらに、薬剤感受性試験の場合には、質量分析によって得られた培地中の微生物代謝産物データから薬剤が微生物増殖に及ぼす効果の判定を行う。生化学性状試験の場合には、各代謝基質における代謝結果のパターンをデータベース317と照合し、微生物種を同定する。質量分析の結果および薬剤の効果や種同定に関する検査結果は、制御部306を通じて表示部308に表示されるとともに出力部309より出力され、データは記憶装置310に格納される。
本発明に係る微生物検査方法および微生物検査システムにより、迅速な微生物検査を行うことができる。特に、薬剤感受性試験では、微生物培養液中の代謝産物を、質量分析法によって検出し、微生物の代謝と増殖を高感度で検出し、短時間の培養で薬剤の効果を判定する。また、微生物細胞内の代謝産物を測定するのではなく、培地中の成分を測定するので、細胞の破砕などの処理工程を省略し、迅速に測定を行うことが可能である。微生物の代謝産物は、細胞内に蓄積するのではなく、菌体外に排出されるので、培地中の濃度が微生物の増殖とともに上昇する。したがって、培地中の代謝産物濃度は微生物の増殖と相関関係を示し、その濃度を測定すれば、微生物の増殖を判定することが可能である。本発明では、これらを組み合わせることによって、薬剤の効果を迅速かつ高感度に判定することが可能になる。さらに、本発明では、薬剤感受性試験と同時に微生物同定試験を行い、薬剤感受性に関する情報とともに、微生物種に関する情報も提供する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の具体例について説明する。ただし、これらの実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではないことに注意すべきである。
[実施例1]
まず、本検査方法について、実施の形態を説明する。本検査方法に基づいて、大腸菌Escherichia coli ATCC 25922株を材料として、培地中のグルコース代謝産物であるピルビン酸および乳酸を測定することにより、抗生物質クロラムフェニコールが増殖に与える影響を判定し、最小発育阻止濃度(MIC)を決定することが可能であることを示す。
培養には化学合成培地であるLeMaster培地を使用した。LeMaster培地を用いて、クロラムフェニコールの2倍希釈系列培地を調製した。また、標準培養のために、クロラムフェニコールを含まない培地を準備した。以上を合わせて、以下の10通りの濃度のクロラムフェニコール2倍希釈系列培地を調製した;0.0μg/mL(試料1)、0.5μg/mL(試料2)、1μg/mL(試料3)、2μg/mL(試料4)、4μg/mL(試料5)、8μg/mL(試料6)、16μg/mL(試料7)、32μg/mL(試料8)、64μg/mL(試料9)、128μg/mL(試料10)。
大腸菌ATCC 25922株をイノキュレーティングループを用いて、14 mLカルチャーチューブに入れた1 mLのLB培地に植え、37℃で約18時間の振とう培養を行い、前培養とした。前培養を行い、静止期に達していると考えられる大腸菌培養液について、菌体濃度が107 CFU/mLになるように50 mLコニカルチューブに入れた5 mLのクロラムフェニコール2倍希釈系列LeMaster培地に植え継ぎ、37℃にて振とう培養を行った。
培養開始後4時間に培養液の採取を行った。採取した培養液の量は200μLで、このうち100μLを液体クロマトグラフ-質量分析装置による代謝産物測定に、100μLを菌体数の計測に用いた。代謝産物測定に用いる100μLに関しては、遠心式フィルターユニット(孔径0.45μm)を用いて、3,000 rpm、3分間の遠心操作によってろ過滅菌を行い、培養液中の菌体を除去した。ろ液、すなわち無菌になった培養液の培地は、液体クロマトグラフ-質量分析装置を用いた代謝産物測定に供した。菌体数の計測に用いる100μLに関しては、コロニー形成単位(colony forming unit:CFU)の測定を行った。採取した培養液について、生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)を用いて10倍希釈系列を調製し、LB寒天平板培地に撒き、37℃で16〜24時間の培養を行った。寒天平板培地上に形成されたコロニーを数え、希釈倍率を掛けて培養液原液中の菌体濃度をCFU/mLとして算出した。
培地中の大腸菌代謝産物の測定は、液体クロマトグラフ-エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析装置によって行なった。高速液体クロマトグラフィーによるサンプルの分離に関しては、Agilent Technologies 1100 seriesを用いて、有機酸分析用ポリマーカラムを使用した。質量分析装置はWaters社のQuattro Premierを使用した。代謝産物の定量に関しては、測定毎に各標品の培地による希釈系列を調製し、それを用いて作成した検量線に基づいて行った。その結果を、表1にまとめた。
Figure 2013255445
同時に、上記の作業と並行して、日本化学療法学会が定める標準法との比較を行うために、ミューラー・ヒントン培地を用いた培養も行った。ミューラー・ヒントン培地を用いて、クロラムフェニコールの2倍希釈系列培地を調製した。また、比較の対照とする標準培養のために、クロラムフェニコールを含まない培地を準備した。以上を合わせて、以下の10通りの濃度のクロラムフェニコール2倍希釈系列培地を調製した;0.0μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mL、8μg/mL、16μg/mL、32μg/mL、64μg/mL、128μg/mL。大腸菌前培養液を、菌体濃度が106 CFU/mLになるように50 mLコニカルチューブに入れた5 mLのクロラムフェニコール2倍希釈系列ミューラー・ヒントン培地に植え継ぎ、37℃にて振とう培養を行った。培養開始後24時間で、培養液の濁度の変化を目視で判定した。大腸菌が増殖せず、濁度が上昇しなかった培養について、最もクロラムフェニコール濃度が低いものを日本化学療法学会が定める標準法によるMICとした。その結果、クロラムフェニコールのMICは2μg/mLであった。
表1に記した結果より、クロラムフェニコールの濃度に対して菌体濃度(CFU/mL)とピルビン酸濃度・乳酸濃度をプロットし、図4のグラフを作成した。その結果、クロラムフェニコールに関しては、濃度2μg/mL以上では大腸菌の増殖が抑えられ、その際には培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度の上昇が見られなかった。一方、濃度1μg/mL以下では大腸菌の増殖が生じ、培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度が上昇した。したがって、大腸菌の増殖と培地中のピルビン酸濃度・乳酸濃度とは相関を示し、ピルビン酸濃度・乳酸濃度から大腸菌の増殖を判定し、MICを決定することが可能である。すなわち、ピルビン酸濃度・乳酸濃度が上昇しなかったクロラムフェニコール濃度において、最もクロラムフェニコール濃度が低いものがMICと同等の値を示す。また、ミューラー・ヒントン培地における24時間の培養で濁度による増殖判定で得られたMICと、LeMaster培地における4時間の培養でピルビン酸および乳酸の計測によって得られたMICが、ほぼ同等の値を示した。したがって、本手法により、日本化学療法学会が定める標準法と同じ結果が、4時間の培養で得られることが示された。
[実施例2]
次に、実施例1と同様の方法により、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus ATCC 6538株を材料として、培地中のグルコース代謝産物であるピルビン酸および乳酸を測定することにより、抗生物質アンピシリンが増殖に与える影響を判定し、MICを決定することが可能であることを示す。
黄色ブドウ球菌ATCC 6538株をイノキュレーティングループを用いて、14 mLカルチャーチューブに入れた1 mLのLB培地に植え、37℃で約18時間の振とう培養を行い、前培養とした。静止期に達していると考えられる前培養液について、菌体濃度が106 CFU/mLになるように50 mLコニカルチューブに入れた5 mLのアンピシリン2倍希釈系列LeMaster培地(アンピシリン濃度0.0μg/mL、0.02μg/mL、0.03μg/mL、0.06μg/mL、0.13μg/mL、0.25μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mL)に植え継ぎ、37℃にて振とう培養を行った。
培養開始後4時間に培養液の採取を行い、菌体数の計測と培地中の代謝産物の測定を行った。そのデータに基づき、アンピシリンの濃度に対して菌体濃度(CFU/mL)とピルビン酸濃度・乳酸濃度をプロットし、図5のグラフを作成した。その結果、アンピシリン濃度0.25μg/mL以上では黄色ブドウ球菌の増殖が抑えられ、その際には培地中のピルビン酸濃度の上昇が見られなかった。一方、アンピシリン濃度0.13μg/mL以下では黄色ブドウ球菌の増殖が生じ、培地中のピルビン酸濃度が上昇した。したがって、黄色ブドウ球菌の増殖と培地中のピルビン酸濃度とは相関を示し、ピルビン酸濃度から黄色ブドウ球菌の増殖を判定し、MICを決定することが可能である。すなわち、ピルビン酸濃度が上昇しなかったアンピシリン濃度において、最もアンピシリン濃度が低いものがMICと同等の値を示す。この実験と同時に、ミューラー・ヒントン培地を用いて調製したアンピシリン希釈系列において黄色ブドウ球菌を24時間培養し、濁度によって増殖判定を行ったところ、得られたMICは0.25μg/mLであった。したがって、本手法により、日本化学療法学会が定める標準法と同じ結果が、4時間の培養で得られることが示された。
[実施例3]
次に、実施例1の検査方法に基づいて、これを本微生物検査システムにおいて微生物の薬剤感受性試験を実施する場合について、図1で示した本微生物検査方法および微生物検査システムのフローの具体的な実施の形態を説明する。また、微生物検査システムの具体的な構成例を図3に示す。細菌や真菌などの微生物に対する薬剤の効果の判定を薬剤感受性試験という。本微生物検査システムを用いた薬剤感受性試験は、次のような手順に従って行う。
(菌懸濁液調製)
細菌を検査対象とする場合、患者から採取した臨床検体を所定の寒天平板培地上で一次培養して得られた細菌のコロニーについて、その1個または同じ外観・形状の複数個のコロニーを採取し、液体培地に細菌を懸濁する。拾うコロニーの数は、1個であることが望ましいが、菌量が足りない場合には複数個のコロニーを拾って使用する。細菌の場合、通常は1個のコロニーには107〜108個の細菌が含まれているので、1個のコロニーを10 mLの液体培地に懸濁した場合には、懸濁液中の細菌の濃度は106〜107 CFU/mLとなる。細菌の濃度は、それよりも低い濃度または高い濃度でも構わないが、細菌の濃度が高い方が培地中に排出される代謝産物の濃度が高くなり、より短時間の培養で検査結果を得ることが期待できる。例えば、10 mLの菌懸濁液を調製した場合、100μLの培養を100個行うことが可能となる。真菌に対する感受性試験も、菌体数は異なるが、基本的には同等の手順で行う。
(培地)
培地に関しては、天然成分を含む培地、化学合成培地、化学合成培地に天然成分を添加した半合成培地などを用いることが可能である。天然成分を含む培地とは、肉エキスや酵母抽出物などを組成とする培地であり、ミューラー・ヒントン培地やLB培地などが該当する。化学合成培地とは、化学物質の純品を混合して調製される培地であり、全ての成分とその濃度が明らかな培地であり、例えば、大腸菌の培養に用いるLeMaster培地やM9培地などが該当する。質量分析法による測定のためには培地成分が完全に分かっており、イオン化を妨げるような夾雑物が少ない化学合成培地が望ましい。ただし、微生物の種によっては増殖のために天然成分を必要とする場合があるので、その場合には、化学合成培地に微生物の増殖のために必要最小限の天然成分を添加した半合成培地を使用する。
(安定同位体標識)
上記培地には、安定同位体標識をした化合物を添加し、その化合物から生成される代謝産物を測定することが可能である。例えば、6個の炭素原子の全てが13Cになった13C6グルコースを炭素源として培地に添加した場合には、それから生成される代謝産物には13Cが含まれる。例えば、ピルビン酸の場合には、13C3ピルビン酸が生成する。したがって、13C3ピルビン酸を通常の炭素原子から構成される12C3ピルビン酸と区別して測定することにより、グルコース代謝系の働きのみをモニターすることが可能となる。グルコース代謝系は微生物の増殖と密接に結びついていると考えられるので、より厳密に微生物増殖を計測することが可能になる。また、培地成分としてピルビン酸、乳酸、クエン酸などが予め培地に含まれている場合がある。そのような場合には、培地成分として含まれているピルビン酸、乳酸、クエン酸などとグルコースからの代謝によって生成した代謝産物とを区別することが可能となり、グルコース代謝系の働きをモニターすることが可能となる。13C6グルコースでは、6個の炭素原子の全てが13Cになっているが、13Cの数が5個以下のグルコースの使用も可能である。ただし、13C6グルコースを使用した場合、生成する2分子のピルビン酸の両方が13C3ピルビン酸になり、分析が容易である。また、通常の12C3ピルビン酸とは分子量も違うので、質量分析での区別が容易である。グルコース以外の分子に関しても、安定同位体標識したものを利用することが可能である。ただし、13C6グルコースは、他の安定同位体標識化合物に比べると安価で、安定して供給されるので、本微生物検査法および微生物検査システムを実用化する際には、コストや品質保証の点で有利である。
(検査対象微生物種)
本微生物検査方法および微生物検査システムにおいて検査の対象とするのは、一般的に病院の検査室などで検査対象となる、細菌や真菌などの微生物である。微生物種に関しては、あらかじめ定めずに検査を行うことが可能である。また、患者の症状や染色標本の顕微鏡観察の結果、一次培養に用いた寒天平板培地の種類、コロニーの外観・形状、微生物の遺伝子の塩基配列情報などに基づいて、微生物種を推定または同定することが可能である。さらに、MALDI-TOF質量分析装置を用いた検査方法で種同定することも可能である。微生物種が推定または同定できる場合には、対象微生物種に適した薬剤に対象を絞って薬剤感受性試験を行うことが可能である。検査対象とするのは、ヒトに感染する微生物だけでなく、家畜やペットの動物などに感染する微生物も含まれる。
(薬剤希釈系列)
準備した菌懸濁液を本微生物検査システムにセットした後に、例えば図3に示されるように、菌懸濁液導入口311より菌懸濁液が各培養容器302に送られる。各培養容器には、あらかじめ異なる量の薬剤が含まれており、異なった濃度の薬剤を含む試料が準備される。これを複数種類の薬剤について準備する。同時に、対照として薬剤を含まない試料(標準培養と呼ぶ)も準備する。薬剤の種類と濃度に関しては、検査対象となる微生物またはその候補種に応じて選択するものとする。薬剤の濃度は、希釈系列を用いることも可能であるし、薬剤耐性菌の判定などのために所定の濃度のみに限定することも可能である。なお、薬剤を添加した後に、各培養容器に送ることも可能である。このように異なった濃度の薬剤を含む複数の試料を準備し、濃度に応じた薬剤感受性情報を取得すれば、当該菌に対する薬剤の影響を濃度に応じて評価することが可能となる。
(培養および培養時間)
準備した試料について培養装置301において一定の温度で培養を行う。温度に関しては、必要に応じて設定を行うが、臨床検体の場合例えば32〜40℃、通常は37℃で行うことが多い。培養および質量分析による代謝産物の測定に関しては、培養を行いながら適宜培地を採取して行うことが可能である。また、一定の時間培養の後に行うことも可能である。培養する時間は、検査対象とする微生物種に応じて予め定めておくことが可能である。また、薬剤を含まない標準培養における増殖から判定することも可能である。その場合には、一定時間ごとに培地を採取し、本微生物検査システムで測定を行い、所定の成分(代謝産物)が所定の濃度に達した時点をもって培養を終了することが可能である。
(前処理)
微生物を培養した後に、培地を採取し、前処理部303にて試料調製を行った後に、質量分析装置304で測定を行う。培地の採取に当たっては、孔径0.22μmまたは0.45μmのメンブレンフィルターを用いて培養液から微生物を除去し、培地のみを採取する。ただし、質量分析装置304におけるイオン化および測定の妨げにならない場合には、微生物を除去せずに、微生物を含む培養液を用いて測定することも可能である。
(質量分析)
薬剤が微生物の増殖に及ぼす影響は、次のような手順で行う。各培養液から採取した培地の質量分析により、培地中の所定の微生物代謝産物の濃度を測定する。測定の対象とする微生物由来の代謝産物は、微生物の種類に応じて選ぶものとする。例えば、培地にグルコースを添加し、グルコースの代謝によって生成し、菌体外に排出されるピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、エタノールなどを利用することが可能である。その他の糖類でも、菌種によって代謝されるか否かが異なるが、代謝される場合には、代謝産物としてピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、エタノールなどが生成される場合がある。また、それ以外の代謝産物も利用可能である。なお、代謝産物の濃度に関しては、絶対定量が望ましいが、必ずしもその必要はなく、異なる試料間で代謝産物の量の比較が行えればよく、質量分析の結果得られるスペクトルのピーク面積などの相対定量でもよい。
(判定プロトコール)
質量分析で得られた代謝産物濃度からデータ解析部305において薬剤の効果を判定するプロトコールの具体的な例を図6A〜Cに示す。大腸菌におけるクロラムフェニコールの効果を本検査システムで測定した場合について、実施例1で測定した大腸菌におけるクロラムフェニコール濃度に対する培地中のピルビン酸濃度のデータに基づいて、MICの判定を行った。なお、ピルビン酸以外の代謝産物(例えば、乳酸やクエン酸など)を用いても、同様の操作が可能であり、様々な代謝産物から適したものを選択して、判定を行うものとする。
質量分析の項に記載のように測定したピルビン酸濃度について、図6Aに示すように、薬剤を含まない標準培養の試料1のデータ501と薬剤を含む培養の試料2のデータ502との間で比較503を行う。なお、図6A〜Cでは試料2のみを番号表示したが、以下、試料3〜試料10についても同様に試料1のデータとの比較操作を行う。図6Bは比較の結果を表にまとめたもので、図6Cはクロラムフェニコール濃度に対してピルビン酸の相対濃度をプロットしたグラフである。比較の結果、標準培養よりもピルビン酸濃度が低い培養について、薬剤の効果によって大腸菌の増殖または代謝が抑制された、あるいは大腸菌が死んだものと判断する。この場合に、ピルビン酸濃度の比によって薬剤の効果を判定することが可能である。すなわち、標準培養における代謝産物濃度504を100として、クロラムフェニコールを含む試料2における代謝産物濃度の比率505、すなわち相対濃度を算出する。以下、他の試料3から試料10についても同様に代謝産物の相対濃度を算出する。この相対濃度がある一定の閾値506よりも低い場合に薬剤の効果があると判断する。その閾値となる相対濃度に関しては、微生物種や薬剤の種類によって定めるものとする。薬剤の希釈系列を用いて異なる濃度の薬剤存在下で大腸菌を培養した際には、大腸菌由来の代謝産物がバックグランドレベルしか検出されなかった薬剤濃度のうち、最も低い薬剤濃度を最小発育阻止濃度(MIC)507とする。今回は、試料4におけるクロラムフェニコール濃度2μg/mLがMICとなる。
上述した代謝産物濃度のバックグランドレベルに関しては、各薬剤濃度における代謝産物濃度を結んだグラフの直線の傾きから判定することが可能である。例えば、横軸にクロラムフェニコール濃度をとった図6Cのグラフにおいて、各薬剤濃度におけるピルビン酸濃度を結んだ直線がほぼ水平で、その傾きの絶対値がある一定の閾値以下で、各薬剤濃度間でピルビン酸濃度の変化がほとんど生じないような状態をバックグランドレベルと判定することが可能である。図6Cのグラフにおいて、標準培養におけるピルビン酸濃度504と、クロラムフェニコールを含む試料2におけるピルビン酸濃度505を結ぶ直線508の傾き509を算出する。以下、他の試料2から試料10の隣り合う試料の間についてもグラフの傾きを算出する。その結果、試料4(クロラムフェニコール濃度2μg/mL)以降ではグラフの直線がほぼ水平で、傾きの絶対値が小さく、ピルビン酸濃度の変化がほとんど生じていないと判断される。したがって、これらの濃度におけるピルビン酸濃度がバックグランドレベルと判定され、これよりもピルビン酸濃度が高くなったクロラムフェニコール濃度0.0μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mLの試料において大腸菌の増殖が生じている。
(判定結果表示)
以上の判定結果は、表示部308に表示される。図7にその表示画面のインターフェースを示す。標準培養におけるピルビン酸濃度を100とした場合の、クロラムフェニコールを異なる濃度で添加した各試料におけるピルビン酸の相対濃度を算出し、図7のAに示すような5段階に分けて表示を行った。それぞれの段階は、相対濃度0以上5未満を段階1、5以上10未満を段階2、10以上20未満を段階3、20以上50未満を段階4、50以上を段階5とし、それぞれを異なる色や形でインターフェース上に表示する。これを図7のBに示すようなインターフェースで表示する。また、大腸菌ATCC 25922におけるクロラムフェニコールのMICの結果として、「試料4」とその薬剤濃度「2μg/mL」を表示する。なお、この段階区分に関しては、段階の数を多くしたり、区切りとなる数値を変えたりすることが可能である。
次に、複数の薬剤に関して薬剤感受性試験を行った結果を表示するインターフェースの例を図7のCに示す。例として、培地に炭素源としてグルコースを添加し、薬剤A、薬剤B、薬剤Cの3種類の薬剤について検討を行い、それぞれ濃度1から濃度10について感受性試験を行った場合の結果を示す。また、薬剤無添加の試料を薬剤濃度0の標準培養とし、この試料におけるグルコース代謝産物であるピルビン酸濃度を100として、他の試料におけるピルビン酸濃度の比率を計算した。インターフェースには、図7のAに示すような5段階に分けて表示を行った。その結果として、薬剤Aにおいては、濃度6以上ではピルビン酸が検出されず、濃度5以下ではピルビン酸が検出されたので、濃度6以上ではグルコース代謝が起きておらず、増殖が抑制されたことを示している。薬剤Bにおいては、濃度8以上ではピルビン酸が検出されず、濃度7以下ではピルビン酸が検出されたので、濃度8以上ではグルコース代謝が起きておらず、増殖が抑制されたことを示している。薬剤Cにおいては、濃度4以上ではピルビン酸が検出されず、濃度3以下ではピルビン酸が検出されたので、濃度4以上ではグルコース代謝が起きておらず、増殖が抑制されたことを示している。したがって、薬剤AにおけるMICは濃度6、薬剤BにおけるMICは濃度8、薬剤CにおけるMICは濃度4と判定され、最も効果の高いのは薬剤Cであった。なお、図7のCにおける濃度0の標準培養は、薬剤ごとに準備する必要はなく、全体で1個準備すればよい。
[実施例4]
次に、安定同位体標識された13C6グルコースを炭素源として用いた場合の具体的な効果を示す。実施例1ではLeMaster培地には1%のグルコースが含まれているが、このグルコースとして通常の12C6グルコースと、6個の炭素原子の全てが安定同位体13Cで標識された13C6グルコースを使用した場合とを比較した。実施例1と同様の方法で、炭素源として通常の12C6グルコースを含む培地と、安定同位体標識13C6グルコースを含む培地を用いて、それぞれで大腸菌ATCC 25922株を培養し、菌体濃度と培地中のピルビン酸および乳酸の濃度の経時変化を測定した。12C6グルコースを用いた場合には、12C3ピルビン酸と12C3乳酸とが生成するので、12C3ピルビン酸と12C3乳酸を測定した。ただし、この場合には、グルコース以外に由来する12C3ピルビン酸と12C3乳酸も測定される。一方、13C6グルコースを用いた場合には、13C3ピルビン酸と13C3乳酸とが生成するので、13C3ピルビン酸と13C3乳酸を測定した。この場合には、グルコースに由来するピルビン酸と乳酸のみが測定される。
実際の測定結果を図8に示す。図8のBは、図8のAのグラフのピルビン酸濃度・乳酸濃度を示す縦軸の目盛を拡大したもので、ピルビン酸濃度および乳酸濃度の立ち上がりを分かりやすく示したものである。12C3ピルビン酸と13C3ピルビン酸のデータを比較すると、12C3ピルビン酸は、培養開始時からバックグランドがあり濃度の上昇が明確でないのに対し、13C3ピルビン酸に関しては、バックグランドを無くし、培養開始後1〜2時間でピルビン酸濃度が立ち上がり、増加することを検出することができた。これは、13C6グルコースを用いることにより、スペクトル上で重なっているピークを回避したことと、グルコース以外に由来するピルビン酸を排除したことによると考えられる。このように、安定同位体標識化合物を代謝基質として用いることにより、より短時間の培養で微生物の増殖を判定することが可能である。
[実施例5]
次に、本微生物検査システムにおいて微生物の生化学性状試験を行って微生物種を同定する場合について、図1で示した本発明の微生物検査方法のフローの具体的な実施の形態を説明する。また、微生物検査システムの具体的な構成例を図3に示す。本微生物検査システムを用いた生化学性状試験は、次のような手順に従って行う。
実施例3と同様に菌懸濁液101を調製する。準備した菌懸濁液を本微生物検査システムの培養装置301にセットした後に、菌懸濁液導入口311より菌懸濁液が各培養容器302に送られる。各培養容器には、あらかじめ異なる代謝基質が含まれており、異なった代謝基質を含む試料が準備される。同時に、比較の対照となる試料(標準培養と呼ぶ)も準備する。微生物種同定のために培地に添加する基質となる物質(代謝基質)に関しては、各種の糖類やアミノ酸類があり、検査対象となる微生物種またはその候補種に応じて選択するものとする。培地に関しても、代謝の効果が判定できるのであれば、実施例3と同様に、化学合成培地、天然成分を含む培地、化学合成培地に天然成分を添加した半合成培地などを用いることが可能である。また、培地には、安定同位体標識をした化合物を添加し、その化合物から生成される代謝産物を測定することが可能である。本微生物検査方法および微生物検査システムにおいて検査の対象とするのは、一般的に病院の検査室などで検査対象となる、細菌や真菌などの微生物である。微生物種に関しては、あらかじめ定めずに検査を行うことが可能であるが、患者の症状や染色標本の顕微鏡観察の結果、一次培養に用いた寒天平板培地の種類、コロニーの外観・形状、微生物の遺伝子の塩基配列情報、MALDI-TOF質量分析装置を用いた検査結果などに基づいて推定または同定し、候補微生物に応じて適切な代謝基質に絞って検査を行うことが望ましい。
次に、実施例3と同様に培養を行い、培地を採取し、前処理部303にて前処理を行った後に、質量分析装置304で測定を行う。各代謝基質が微生物の増殖に及ぼす影響は、実施例3と同様に、各培養液から採取した培地の質量分析により、培地中の所定の微生物代謝産物の濃度を測定することによって行う。測定の対象とする代謝産物は、微生物種に応じて選ぶものとする。例えば、培地にグルコースを添加し、グルコースの代謝によって生成し、菌体外に排出されるピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、エタノールなどを利用することが可能である。その他の糖類でも、微生物種によって代謝されるか否かが異なるが、代謝される場合には、代謝産物としてピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、エタノールなどが生成される場合がある。また、それ以外の代謝産物も利用可能である。なお、代謝産物の濃度に関しては、絶対定量が望ましいが、必ずしもその必要はなく、異なる試料間で代謝産物の量の比較が行えればよく、質量分析の結果得られるスペクトルのピーク面積などの相対定量でもよい。
[実施例6]
生化学性状試験において、質量分析で得られた代謝産物濃度からデータ解析によって各代謝基質の効果を判定するプロトコールの具体的な例を次に示す。
大腸菌Escherichia coli ATCC 25922株および黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus ATCC 6538株において、各種糖基質の代謝を判定し、その代謝パターンが異なることを示す。これによって、大腸菌と黄色ブドウ球菌とを判別することが可能である。実施例1で使用したLeMaster培地には1%のグルコースが含まれているが、このグルコースの代わりに各種糖基質を1%の濃度となるように添加して使用した。大腸菌の糖代謝基質として、グルコース、ソルビトール、L-ラムノース、D-アラビノース、スクロース、D-ラフィノースを選んだ。また、黄色ブドウ球菌の糖代謝基質として、グルコース、トレハロース、D-マンニトール、マンノース、ラクトース、D-ラフィノースを選んだ。以上の各糖基質について、グルコースの代わりに各糖基質を含むLeMaster培地を調製した。また、糖基質を含まない培地も準備した。これらの培地を用いて、大腸菌および黄色ブドウ球菌を培養し、培養開始後6時間において培地を採取し、質量分析により培地中のピルビン酸濃度および乳酸濃度を測定した。
これらの試料について、得られた質量分析のスペクトルを図9Aおよび図9Bに示す。図9Aは、大腸菌において各種糖基質の代謝によって得られたスペクトルである。また、図9Bは、黄色ブドウ球菌において各種糖基質の代謝によって得られたスペクトルである。これらのスペクトルデータを基にして、グルコースを含む培地で培養した試料におけるピルビン酸および乳酸の濃度を100として、各糖基質を含む試料におけるピルビン酸および乳酸の濃度の比率、すなわち相対濃度を算出した。また、糖基質を含まない培養においても相対濃度を算出した。その結果を、図10のAに示す5段階に分けて表示した。それぞれの段階は、相対濃度0以上20未満を段階1、20以上40未満を段階2、40以上60未満を段階3、60以上80未満を段階4、80以上を段階5とし、それぞれを異なる色や形でインターフェース上に表示する。その結果、大腸菌における結果は、図10のBのようになる。また、黄色ブドウ球菌における結果は、図10のCのようになる。これらの代謝パターンは、各菌種に特徴的なものと考えられる。そこで、この代謝パターンを、各菌種において測定し、代謝パターンのデータベースを構築する。このデータベースに対して、菌種が不明な微生物において取得した代謝パターンを参照することにより、菌種を同定することができる。その際に、使用する代謝基質の種類を増やし、各菌種に特徴的な代謝反応を検出すれば、同定の精度を上げることが可能である。
なお、特定の培地を用いて所定の時間の培養を行った際に、培地を質量分析して得られるスペクトルパターンは、各微生物種に特徴的なものであり、これに基づいて微生物種の同定が可能であると考えられる。図9Aおよび図9Bは、それぞれ大腸菌および黄色ブドウ球菌における糖基質代謝によって産生されるピルビン酸および乳酸に関するスペクトルパターンである。同じグルコースに由来するスペクトルでも、大腸菌(図9Aの(2))と黄色ブドウ球菌(図9Bの(2))とではパターンが異なっている。これをさらに多くの代謝基質および代謝産物に適用すれば、そのパターンによって菌種を同定することが可能になる。そのために、培地を質量分析して得られるスペクトルのピークパターンを各微生物種において測定し、そのデータベースを構築する。このデータベースに対して、菌種が不明な微生物において取得したスペクトルのピークパターンを参照することにより、簡便に菌種を同定することが可能である。
上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101:菌懸濁液調製ステップ
102:培養試料準備ステップ
102-1:薬剤感受性試験用培養試料調製ステップ
102-2:生化学性状試験用培養試料調製ステップ
103:培養ステップ
104:培養液(培地)採取ステップ
105:前処理(質量分析用試料調製)ステップ
106:質量分析ステップ
107:データ解析ステップ
108:検査結果表示・出力ステップ
109:検査対象微生物
110:薬剤を添加していない標準培養用試料
111:それぞれ異なる濃度の薬剤を添加した試料
112:それぞれ異なる代謝基質を添加した試料
201、301:培養装置
202、303:前処理部
203、304:質量分析装置
203-1:質量分析装置イオン化部
203-2:質量分析装置質量分析部
204、305:データ解析部
205、317:菌種同定用データベース
206、306:制御部
207、307:入力部
208、308:表示部
209、309:出力部
210、310:記憶装置
302:培養容器
311:菌懸濁液導入口
312:送液系
313:送液系バルブ
314:洗浄液タンク
315:システム液タンク
316:廃液タンク

Claims (15)

  1. 薬剤および/または代謝基質を添加した培地において微生物を培養し、該培地に含まれる該微生物が生成し細胞外に排出した代謝産物に対して質量分析を行い、該質量分析により決定した該代謝産物の種類および量に基づいて、該微生物の種類を同定する、あるいは該薬剤および/または代謝基質の該微生物に与える影響を判定することを特徴とする微生物検査方法。
  2. 前記薬剤の添加量がそれぞれ異なる複数の培地において前記微生物を培養し、該複数の培地に含まれる代謝産物に対してそれぞれ質量分析を行い、該複数の培地の間で代謝産物の種類および量を比較し、その比較結果に基づいて、該薬剤の該微生物に与える抗菌特性を判定することを特徴とする請求項1に記載の微生物検査方法。
  3. 分離培養された微生物に、被検薬剤を無添加の試料と、被検薬剤をそれぞれ異なる濃度で添加した複数の試料を、1種類または複数種類の被検薬剤について準備する工程と、
    前記試料を培養する工程と、
    培養された前記各試料から前記微生物を除去した培地を採取して質量分析のための前処理を行う工程と、
    前処理された前記培地の成分を質量分析する工程と、
    前記質量分析で得られたスペクトルデータを解析し、前記微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定し、前記複数の試料の間で比較することによって異なる濃度の前記被検薬剤が前記微生物に与える影響を判定する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の微生物検査方法。
  4. 分離培養された微生物に、それぞれに異なる代謝基質を添加した複数の試料を準備する工程と、
    前記試料を培養する工程と、
    培養された前記各試料から前記微生物を除去した培地を採取して質量分析のための前処理を行う工程と、
    前処理された前記培地の成分を質量分析する工程と、
    前記質量分析で得られたスペクトルデータを解析し、前記微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定し、前記複数の試料の間で比較することによって前記微生物種を同定する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の微生物検査方法。
  5. 前記各試料には、安定同位体標識化合物が代謝基質として含まれており、前記安定同位体標識化合物より生成され前記微生物の細胞外に排出される安定同位体で標識された代謝産物を、質量分析することを特徴とする請求項3または4に記載の微生物検査方法。
  6. 前記質量分析を行う代謝産物が、ピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸およびエタノールからなる群より選択される1つまたは複数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微生物検査方法。
  7. 前記質量分析を行って得られたスペクトルデータを、各種微生物で得られたスペクトルデータから構成されるデータベースと照合し、その結果から前記微生物種を同定することを特徴とする請求項1または4に記載の微生物検査方法。
  8. 薬剤および/または代謝基質が添加された培地を含む、微生物を培養するための培養容器を備えた培養部と、
    前記培地の成分を分析するための質量分析装置と、
    前記質量分析装置により決定された前記培地中の前記微生物に由来する代謝産物の種類および量に基づいて、前記微生物の種類を同定する、あるいは前記薬剤および/または代謝基質の前記微生物に与える影響を判定する解析部と
    を備えることを特徴とする微生物検査システム。
  9. 前記培養部が、前記薬剤の添加量がそれぞれ異なる複数の培地および/または前記代謝基質の種類がそれぞれ異なる複数の培地を含む複数の培養容器を備えるものであり、前記質量分析装置が、前記複数の培地について分析するものであり、前記解析部が、前記複数の培地の間で前記代謝産物の種類および量を比較し、前記微生物の種類を同定する、あるいは前記薬剤および/または代謝基質の前記微生物に与える抗菌特性を判定することを特徴とする請求項8に記載の微生物検査システム。
  10. 分離培養された微生物を培養するための、被検薬剤を無添加の試料と、1種類または複数種類の被検薬剤をそれぞれ異なる濃度で添加された複数の試料を含む培養容器を備えた培養部と、
    前記培養部の前記各培養容器から前記微生物を除去した培地を採取して質量分析のための前処理を行う前処理部と、
    前記前処理部で処理した前記培地の成分を分析する質量分析装置と、
    前記培養部と前記前処理部と前記質量分析装置の間で前記試料および前記培地を運ぶ機構と、
    前記質量分析装置で得られたスペクトルデータを解析し、前記微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定し、前記複数の試料の間で前記代謝産物の種類および量を比較することによって異なる濃度の前記被検薬剤が前記微生物に与える影響を判定する解析部と、
    システム全体を制御および運用するための制御部と
    を備えることを特徴とする請求項8に記載の微生物検査システム。
  11. 分離培養された微生物を培養するための、それぞれに異なる代謝基質を添加した複数の試料を含む培養容器を備えた培養部と、
    前記培養部の前記各培養容器から前記微生物を除去した培地を採取して質量分析のための前処理を行う前処理部と、
    前記前処理部で処理した前記培地の成分を分析する質量分析装置と、
    前記培養部と前記前処理部と前記質量分析装置の間で前記試料および前記培地を運ぶ機構と、
    前記質量分析装置で得られたスペクトルデータを解析し、前記微生物に由来する代謝産物の種類および量を決定し、前記複数の試料の間で前記代謝産物の種類および量を比較することによって前記微生物種を同定する解析部と、
    システム全体を制御および運用するための制御部と
    を備えることを特徴とする請求項8に記載の微生物検査システム。
  12. 前記培養部が、安定同位体標識化合物を代謝基質として含む培地を含む培養器を備えるものであり、前記質量分析装置が、前記安定同位体標識化合物より生成され前記微生物細胞外に排出される安定同位体で標識された代謝産物を質量分析することを特徴とする請求項10または11に記載の微生物検査システム。
  13. 代謝産物が、ピルビン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、エタノールからなる群より選択される1つまたは複数であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の微生物検査システム。
  14. 前記解析部が、質量分析装置で得られたスペクトルデータを、各種微生物で得られたスペクトルデータから構成されるデータベースと照合し、その結果から前記微生物種を同定することを特徴とする請求項8または11に記載の微生物検査システム。
  15. 前記解析部で得られた結果を表示、出力または記憶する手段をさらに備えることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の微生物検査システム。
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