JP2013253390A - 鋼製型枠床版 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間、過酷な振動荷重を受けても、当該鋼製型枠床版内の内部構造の破壊、変形等が防止され、長期間に亘りその強度低下も無く、商品価値に優れ、低コストで、高効率で、高度の耐久性を有する床版を提供する。
【解決手段】鉄筋構成体2と鋼製型枠部14とコンクリート部3とで構成されている鋼製型枠床版1であって、鋼製型枠部14の底板部21の少なくとも一部に、当該接合固定手段31とは別に、当該底板部21の外部から当該コンクリート部3の内部に向けて所定の長さのネジ部6を有するボルト部5が埋め込まれている床版1
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼製型枠を使用する床版に関するものであり、特に詳しくは、長期間の使用に耐える経済的且つ耐久性の優れた鋼製型枠を含む床版に関するものである。
本発明は、橋桁上に道路や鉄道等の交通施設を形成するために、当該橋桁上に載置される床版に関するものである。
かかる、橋桁上に載置される床版を造るための方法としては、従来から、橋桁間に、適宜の支保工を組み上げ、当該支保工上で、木製形枠を使用して、底面部を含む、適宜の形状の型枠を作り、当該型枠内に、作業者が手作業によって、複数の鉄筋群を格子状に組立てた後、当該型枠内に適宜の量のコンクリートを打設して、鉄筋とコンクリートとが一体化された床版構造体を形成し、当該コンクリートの養生が完了した後で、当該型枠を取り除く作業を行って、当該橋桁上に、所定の床版を完成させるという技術が実用化されていた。
然しながら、係る従来の技術に於いては、当該橋梁の建設現場に於いて、所望の床版構造体を組み立てる為、当該支保工を組み上げから、鉄筋群の組立、コンクリートの打設、そして、当該型枠の除去、当該支保工の解体という、複雑で、多種類の作業工程が必要とされるので、その作業に多大の時間と労力を要するばかりでなく、作業上の失敗やミスがあることから、施工精度の向上に人力がかかり、設計図の制度確保が難しいのが現状である他、工期がかさむことから天候に左右され、建設時間の増大と建設費用の高騰を来していた。
係る従来の問題を解決する一つの方法として、先駆的でかつ画期的な、床版の構造体が特開平8−113917号(特許文献1)が知られている。
当該特許文献1に開示されている床版は、従来木製の板等で形成されていた枠体を金属材料から形成された鋼製の枠体に変更すると共に、係る鋼製型枠体と複数の鉄筋群からなる組立体とを、当該橋梁の建設現場で組み立てるのではなく、所定の工場内で、予め決められている設計図に沿って、当該金属製の型枠そのものを制作すると同時に、当該金属製の鋼製型枠内に、予め設計されている鉄筋群からなる鉄筋構造体を当該工場内で別途制作し、当該鉄筋構造体を当該鋼製型枠内に配置して、その両者を一時的に一体化したものである。
係る床版は、その全てが予め決定されている設計図に基づいて、所定の工場内で正確に製造され、組み立てられ、それを工事現場において、当該設計図通りに所定の部位に配置固定するのみであるので、工事現場に於ける、多くの作業員による共同作業に基づく、設定ミス、取り付けミス等の作業ミスや、作業時間の長期化という問題は完全に回避され、且つ天候による施工スケジュールの遅延も回避でき、然も当該鋼製型枠は、コンクリートを当該鋼製型枠内に打設したのち、当該鋼製型枠の底板部とコンクリートとを適宜のリベット等の接合手段により相互接合して固定し、以後、コンクリートの養生が完了したのちでも当該鋼製型枠は解体せずにそのまま、当該床版の一種の補強部材として使用するために残存させるので、効率的で正確で、低コスト化された橋梁の施工方法であったので、当時としては、斬新な技術として多くの橋梁建設現場で採用されていた。
然しながら、上記した技術に於いては、当該鋼製型枠を設計図において、床版と同一構造体として計算されていないため、非合成床版と称されており、当該鋼製型枠の底面部が、当該床版の引張強度に寄与する必要がなかったので、特に、激しい振動が印加される床版部分に於いては、床版の鋼製型枠が損傷されることも懸念されていた。
係る従来技術の更なる問題を解決するために、特開平10−121419号公報(特許文献2)に、当該床版に於いて、当該鋼製型枠と当該鉄筋構造体とを適宜の接合手段、例えば、リベット方式或いは溶接方式等によって、強固に固定することにより、当該鋼製型枠の底面部を当該床版に印加される引張応力に対する補強部材として活用することにより、当該床版の耐久性を向上させるようにした床版構造が開示されている。
係る特許文献2で開示されている当該床版の構造を合成床版構造或は鋼製型枠床版と称されている。(以下、単に合成床版と称する事にする。)
係る合成床版の開発によって、当該従来の床版に見られた問題点は、確かに解決されたが、当該合成床版に使用される当該鋼製型枠は、一般にその厚みが厚く、その為に高い費用がかかるために、全体の建設費が割高となると言う問題がある。
その為、上記した従来の床版を使用して、当該鋼製型枠の厚みは従来並みに維持した状態で、当該合成床版と同等の強度と耐久性を有する建設コストを低減する事が可能な床版に対する要望が高くなってきている。
処で、従来の床版に於ける技術的な欠陥としては、例えば、次の様な問題が多発することである。
即ち、上記した通り、従来からの当該床版は、橋桁上の橋梁として、道路等に使用される事が多く、その場合、当該床版には、重量のある車両が頻繁に往来するたびに、複雑な振動が印加され、その結果、当該鋼製型枠の底板体とコンクリートとの接合固定部が当該振動を長期間受けることによって、変形したり、破壊されてしまうと言う問題があることが判明してきている。
つまり、係る固定部は、上記した様に、長期間の過酷な或いは不規則な振動加圧を受けることによって、当該床版が長手方向に対して、伸長・圧縮操作を繰り返し受けることになるので、その結果、当該リベット部が変形したり破壊されたり、脱落してしまう等の現象が確認されている。
そして、係るリベット等の接合固定手段に変形、破壊等の現象が生じると、当該鋼製型枠の底板部とコンクリートとの接合状態が破壊されて、その間に空間部が発生し、その結果、当該床版自体の強度が低下してその耐久性が劣化することになると共に、当該空間部に水或は適宜の液体が溜まり、それがコンクリート内に浸透して、鉄筋を腐食させ、更に当該床版の耐久性を劣化させるという問題が発生してきている。
又、当該リベットが破壊される部位が、当該複数個の床版1を連結した部位若しくはそれの近傍である場合には、当該リベットの変形或は脱落によって、当該鋼製型枠の底板部が落下したり、変形したりして、当該鋼製型枠の一部から当該コンクリート部が外部に露出して、当該コンクリートから上記したような水或は液体或いはコンクリート内に含まれるアルカリ成分等がコンクリート内に浸透して、上記したような問題を起こす可能性もある。
一方、上記した従来の床版は、型枠そのものを解体して分離して使用するものではなく、当該型枠を当該床版のコンクリート部と一体化された形で実際の現場で使用されるものであるから、当該床版内部に配置されている鉄筋は、現場で使用されている限り、外観から見る事が出来ないので、仮に当該鉄筋が、何らかの理由、例えば、何らかの原因により当該コンクリート部に発生したひび割れ部や亀裂部、若しくは当該鋼製型枠部と当該コンクリート部との間に発生した割れ目等から雨水等の液体や、特定の薬品、特定の化学物質、或いは当該コンクリートに含まれるアルカリ成分等が当該コンクリート部内部に浸透し、当該鉄筋を腐食する結果、当該床版に予期しない、不測の強度低下が発生し、当該床版が実用に耐えられなくなった場合でも、その事実を外見から検出する事が出来ず、当該床版が突然に破壊してしまうと言う問題が考えられている。
特開平08−113917号公報 特開平10−121419号公報
従って本発明の目的は、上記した従来技術の床版に於いて知見されている各種の欠陥を改良し、長期間、過酷な振動荷重を受けても、当該床版内の内部構造の破壊、変形等が防止され、長期間に亘りその強度低下も無く、商品価値に優れ、低コストで、高効率で、高度の耐久性を有する床版を提供すると共に、当該鉄筋の腐食状態を、簡易に、効率的に、非破壊の状態で検出出来る事を可能にすると同時に、早期に当該床版内の当該鉄筋の腐食状態を容易に且つ正確に検出して、当該橋梁の改修処理或は更新工事を早期に実行すること可能にして、大きな事故の発生につながる原因を未然に防止することが出来る床版を提供するものである。
本発明は、上記のような目的を達成するため、基本的には、以下に示す様な技術構成を採用するものである。
即ち、本発明の第1の態様としては、鉄筋構成体の少なくとも下端面部を被覆している鋼製型枠部と当該鋼製型枠部内で、当該鉄筋構成体を内包する様に配置されているコンクリート部とで構成されている床版であって、当該コンクリート部の下端面部の少なくとも一部と、当該コンクリート部の下端面部に対向して配置されている鋼製型枠部の底板部の一部とが、適宜の接合固定手段により相互に接合固定されている床版に於いて、当該鋼製型枠部の底板部の少なくとも一部に、当該接合固定手段とは別に、当該底板部の外部から当該コンクリート部の内部に向けて所定の長さのネジ部を有するボルトが埋め込まれている事を特徴とする床版である。
又、本発明に於ける第2の態様としては、上記した構成からなる床版に於いて、当該鋼製型枠部の底板部若しくは側壁面部の所望の部位に、所望の開口面積を有する開口部が、設けられており、当該開口部から、当該コンクリート部の少なくとも一部が露出せしめられている事を特徴とする床版である。
本発明に係る当該床版は、上記の様な構成を有しているので、長期間、過酷な振動荷重を受けても、当該床版内の内部構造の破壊、変形等が防止され、長期間に亘りその強度低下も無く、商品価値に優れ、低コストで、高効率で、高度の耐久性を有する床版を提供すると共に、非破壊状態で、当該床版内部の各鉄筋の腐食状態を検出出来る様に構成されているので、当該床版の強度劣化の有無を容易に且つ効率的に、然も短時間で検査する事が可能であり、それによって、当該床版の維持管理費用の低減化が期待できると言う効果を発揮するものである。
図1(A)及び図1(B)は、本発明に使用される従来公知の鋼製型枠を使用した床版の構成の一具体例を示す斜視図であり、図1(B)は、鉄筋構成体の詳細な構成を示す断面図であり、更に図1(C)は、その使用例を示す斜視図である。 図2(A)及び図2(B)は、本発明に係る床版の一具体例の構成を示す部分拡大図である。(図2(A)及び図2(B)を修正しました) 図3は、図2(A)及び図2(B)に示されている本発明に係る床版の1具体例に於ける拡大斜視図である。(図3(A)を修正しました) 図4(A)及び図4(B)は、本発明に係る床版同士の連結接合部の構成例を示す断面図であり、図4(C)は、本発明に関連する、鋼製型枠の鋼製底板部に折り曲げ部が形成されている例を示す図である。 図5(A)及び図5(B)は、鋼製型枠の鋼製底板部に折り曲げ部を形成する場合の当該折り曲げ部の配置部位及び配置方向の例を示す平面図である。 図6は、本発明に係る床版の一具体例における当該埋め込みボルト部の配置パターンの一例を示す平面図である。 図7は、本発明に係る床版の一具体例における当該埋め込みボルト部の配置パターンの他の例を示す平面図である。 図8は、本発明に係る床版の一具体例に対して静的及び動的載荷試験を実施して得られた各種の特性値の一部の試験データを示すグラフである。 図9は、本発明に係る床版の一具体例に対して静的及び動的載荷試験を実施して得られた各種の特性値の他の試験データを示すグラフである。 図10は、本発明に係る床版の一具体例に対して静的及び動的載荷試験を実施して得られた各種の特性値の別の試験データを示すグラフである。 図11は、本発明に係る床版の一具体例に対して静的及び動的載荷試験を実施して得られた各種の特性値の更に別の試験データを示すグラフである。 図12は、本発明に係る床版に於いて、当該折り曲げ部を当該床版の配力筋の配列方向と一致する方向に複数個配置形成した具体例に対して、動的載荷試験を実施して後に破壊若しくは変型されたリベットが確認された部位を示す平面図である。 図13は、本発明に係る床版に於いて、当該折り曲げ部を当該床版の主鉄筋の配列方向と一致する方向に複数個配置形成した具体例に対して、動的載荷試験を実施して後に破壊若しくは変型されたリベットが確認された部位を示す平面図である。 図14は、本発明に係る床版の一具体例に於いて、当該動的載荷試験を実施した後に、当該コンクリート部内に形成されたひび割れ部の状況を示す断面図である。 図15は、本発明に係る床版の一具体例に於いて、当該動的載荷試験を実施した後に、当該コンクリート部内に形成されたひび割れ部の他の状況を示す断面図である。 図16(A)及び図16(B)は、図6に示す埋め込みボルト部の配置パターン例を使用した本発明に係る当該床版に対して当該動的載荷試験を実施して後に破壊若しく本発明変形されたリベットが確認された部位を示す平面図であって、図16(A)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数8本でボルト部の長さが80mmに設定されており、図16(B)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数8本でボルト部の長さが100mmに設定されている例を示している。 図17(A)及び図17(B)は、図7に示す埋め込みボルト部の配置パターン例を使用した本発明に係る当該床版に対して当該動的載荷試験を実施して後に破壊若しくは変型されたリベットが確認された部位を示す平面図であって、図17(A)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数24本でボルト部の長さが80mmに設定されており、図17(B)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数24本で,ボルト部の長さが100mmに設定されている例を示している。 図18(A)及び図18(B)は、図6に示す埋め込みボルト部の配置パターン例を使用した本発明に係る当該床版に対して当該動的載荷試験を実施して後に、当該コンクリート部内に形成されたひび割れ部の状況を示す断面図であって、図18(A)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数8本で,ボルト部の長さが80mmに設定されており、図18(B)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数8本で,ボルト部の長さが100mmに設定されている例を示している。 図19(A)及び図19(B)は、図7に示す埋め込みボルト部の配置パターン例を使用した本発明に係る当該床版に対して当該動的載荷試験を実施して後に、当該コンクリート部内に形成されたひび割れ部の状況を示す断面図であって、図19(A)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数24本で、ボルト部の長さが80mmに設定されており、図19(B)の当該床版では、当該埋め込みボルト個数24本で、ボルト部の長さが100mmに設定されている例を示している。 図20は、床版に於ける各部位のひずみを測定するためにひずみ計を設置した位置を示す図である。 図21は、床版の側面に於ける各部位のひずみを測定するためにひずみ計を設置した位置を示す図である。 図22は、本発明に於いて、鉄筋等の金属製部材の腐蝕状況を測定する方法の一例を説明している図である。 図23は、従来の床版に於ける鉄筋等の金属製部材の腐蝕状況を測定する方法の一例を説明している図である。 図24は、本発明に係る床版に於ける金属製部材の腐蝕状況を測定する操作を効率的に実行する事が可能な、床版の構成の一例を説明する斜視図である。
以下に本発明に係る第1の態様である当該床版の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、図1は、本発明に使用される従来の床版1の一具体例を示す図であって、図1(A)は、当該床版1の構成の概略を示す斜視図であり、図中、適宜の本数の主鉄筋群15、16と適宜の本数の配力筋37とが適宜の構成を有する立体的な格子状に組み立てられた鉄筋構成体2が、適宜の形状を有する底板部21と当該底板部21の周縁部の一部に形成された側壁部23とから構成された鉄を含む金属材料、或いは炭素繊維等を含む複合合成樹脂等で構成された板状体からなる鋼製型枠部14内に収納された構造を持つ床版が示されており、実際には、係る床版1が工場内で製作され、それを橋梁架設現場まで、トラック等で搬送し、当該現場に於いて、当該床版1を橋脚7上に載置させた後当該鋼製型枠14内にコンクリートを注入して橋梁を完成させるものである。
そして、図1(A)に示された当該鉄筋構成体2は、適宜の支持手段、例えば、吊金具17等により、上段の主鉄筋15と下段の主鉄筋16とを一対として、固定し、当該主鉄筋15、16の配列方向と直交する方向に配列されている複数本の配力筋37とで、適宜の3次元的立体構造を形成する鉄筋構成体2となし、当該鉄筋構成体2の一部を当該鋼製型枠14の当該底板部21の内面表面部に適宜の固定手段を使用して、当該鋼製型枠14の内部空間部内に固定配置するものであり、その一具体例が図1(B)の断面図に示されている。
更に、上記した公知の床版1を橋脚53上に載置させ、当該鋼製型枠14内部にコンクリート3を注入し、その上に更にアスファルト層13を形成して完成させた橋梁の構成図の断面図と斜視図が図1(B)及び図1(C)にそれぞれ示されている。
又、図1(B)に示す様に、当該鋼製型枠14の底板部21と打設されたコンクリート3とが、適宜の部位に於いて、例えばリベット31等の固定手段を使用して相互に固定されている。
そして、上記した構造を有する従来の床版1を基礎的構成として使用した、本発明に係る床版1の構造の一具体例が図2(A)及び図2(B)に示されている。
即ち、図2(A)及び図2(B)は、本発明に係る当該床版1の構成の一具体例を示すものであって、図中、複数本の鉄筋15、16、37とが格子状に相互に接合されて構成されている鉄筋構成体2と当該鉄筋構成体2の少なくとも下端面部40を被覆している鋼製型枠部14と当該鋼製型枠部14内で、当該鉄筋構成体2を内包する様に配置されているコンクリート部3とで構成されている床版1であって、当該コンクリート部3の下端面部4の近傍で、当該コンクリート3部内に内包されている当該鉄筋構成体3の少なくとも一部と当該コンクリート部3の下端面部に対向して配置されている鋼製型枠部14の底板部21の一部とが、適宜の固定手段31により相互に接合固定されている床版1に於いて、当該鋼製型枠部14の底板部21の少なくとも一部に、当該固定手段31とは別に、当該底板部21の外部から当該コンクリート部3の内部に向けて所定の長さのネジ部6を有するボルト部5が埋め込まれている事を特徴とする床版1が示されている。
本発明に係る当該床版1の構造に関して、更に詳しく説明するならば、先ず、本発明に係る当該鉄筋構成体2は、複数本の鉄筋群が互いに平行及び直交した方向に配列され、且つ相互に立体的に配置されて適宜の寸法に形成された格子状の構造体を形成したものであり、より具体的には、当該床版1の長手方向に互いに平行に且つ上下に配置された複数本の主鉄筋群15、16と、当該主鉄筋の配列方向に対して略直交する方向に互いに平行で、且つ上下に配置された複数本の配力筋37とで、例えば、図1(A)乃至図2(B)に示す様な構成に組み立てられているものである。
本発明に於いては、当該主鉄筋群15、16及び当該配力筋37の材質、太さや使用本数や、配列間隔等は特に限定されるものではなく、適宜当業者が任意に設定して製造する事が可能である。
尚、当該主鉄筋群15、16及び当該配力筋37とのそれぞれの交錯部は、適宜の結合手段、例えば針金等39を用いて、相互に締結せしめられるものである。
より具体的には、当該鉄筋構成体2の構成の一具体例によれば、図1(B)或いは図2(A)又は、図2(B)に示す様に、主鉄筋15、16が上下二段に平行状態で1対の形で配置されると共に、当該対になっている上下の主鉄筋15、16を適宜の支持手段17、例えば、図2(A)又は、図2(B)に示す様な吊り金具17を介して一体に固定化し、係る対になった当該主鉄筋15、16を複数本用意して、これらを互いに平行状態に立設配置し、当該各対間に当該主鉄筋15、16の配列方向と直交する方向に配力筋37を挿入し、それぞれの交差点を針金等の適宜の結合手段39により締結結合して、立体的な格子状鉄筋群である鉄筋構成体2を形成するものである。
更に具体的には、上側の主鉄筋15は、横一列に並んだ多数の吊り金具17の上側の屈曲部17aに溶接され、一方、下側の主鉄筋16は当該連結板17の下側の屈曲部17bに溶接される。
この溶接は主鉄筋15、16が連結板17の屈曲部17a、17bに抱えこまれた状態で行われる。従って、この主鉄筋15、16と連結板17は、相当強い衝撃が加えられても容易には分離しない状態に結合させられている。
尚、本発明の他の具体例に於いては、当該溶接の替わりに、かしめ技術を使用するものであっても良い。
つまり、本発明に於ける当該鉄筋構成体2に於いては、当該鉄筋構成体2を構成する少なくとも一部の鉄筋15、16が、適宜の接合固定手段、例えば、リベット等31により当該鋼製型枠部14の底板部21の一部に接合固定されているものであっても良く、或いは、当該鉄筋15、16を固定する当該吊り金具17が、適宜の接合固定手段、例えば、リベット等31により当該鋼製型枠部14の底板部21の一部に直接或いは、例えばアングル35と称される連結部材等を介して接合固定されている構成を有するものであっても良い。
上下二段の主鉄筋15、16が、当該鋼製型枠14内にその長手方向へ一定の間隔でもって互いに平行状態で多数組み込まれる事になる。
一方、本発明に使用される当該鋼製型枠床版1に於ける当該鋼製型枠部14は、その形状或いは寸法等は特に限定されるものではないが、例えば、当該鋼製型枠部14は鉄板等の鋼製で耐久性が高い金属板で所要の板厚を有し、底板部21とその両側端、即ち、床版1の幅方向及び/又は、その長手方向における両端から各別に立ち上げられた背の低い側壁部23とから成る。
尚、このような鋼製型枠部14は、図面ではその底板部21と側壁23とが一枚の金属板で示してあるが、実際には、その幅方向或いは長手方向において幾つかの部分に区分けして造られ、それら各ユニット部分は、橋梁の施工現場に於いて、橋脚57上に隣接載置された状態で、当該アングル鋼35同士を適宜の接合手段を用いて、連結するか、隣接するそれぞれの床版の床版ユニット部に於ける主鉄筋或いは配力筋同士を適宜の接合手段を用いて、相互に連結する事によって、連続状一体的に結合されるものであっても良い。
また、複数個の当該床版ユニット1が長尺状に相互に連結されて形成された床版1の両端部として用いられる床版ユニット1には、当該床版1の端部側壁23を構成する別の側壁部が設けられるものであっても良い。
本発明においては,上記した各構成部分が一体化された形で、当該床版1として、工場内で製作され、それらを適宜の運搬手段を使用して、当該床版1の設置現場まで搬送する。
その後、当該設置現場に於いては、例えば、図1(B)に示す様に、適宜の橋脚53上の橋桁57上に載置される。
即ち、図1(B)おいて、符号100は橋梁を示す。
そして、当該橋梁100は複数の橋脚53からなり、各橋脚53には橋台55が設けられており、隣り合う橋台55の上には互いに平行な二本の橋桁57が架け渡されており、これら橋桁57は橋台55に図示しないボルト等の適宜の固定手段により固定されている。
そして、二本の橋桁57の上に、本発明に係る当該床版1が載せられている。この床版1は、橋桁57の長手方向へ連続して併置された多数の床版1と、その内部に設けられた主鉄筋15、16と配力筋37からなる当該鉄筋構成体2内部に打設されたコンクリート3が埋め込まれ、厚いパネル状をなしている。
尚、13は当該床版1のコンクリート部3の上に形成されたアスファルト層を示す。
更に、本発明に係る当該床版1に於いては、当該鋼製型枠部14の底板部21の少なくとも一部に、当該固定手段31とは別に、当該底板部21の外部から当該コンクリート部3の内部に向けて所定の長さのネジ部6を有するボルト部5が埋め込まれているものである。
つまり、本発明らは、上記した従来の床版に於ける種々の欠陥や問題点を解決する為に後述する様に、種々の実験を鋭意実行して、長期間に亘って、当該床版に載荷される振動荷重に対して、当該合成床版の型枠14とコンクリート部3を固定しているリベット等の固定手段31の破損、変形、損傷、脱落等による鋼製型枠14の鋼板底板部21の剥がれ、破損、変形、落下、垂れ下がり等の発生を防止し、耐久性を向上する為の床版1の新規な構造の理想形態を追求した結果、上記する様に、当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21の少なくとも一部に、当該接合固定手段31とは別に、当該底板部21の外部から当該コンクリート部3の内部に向けて所定の長さのネジ部6を有するボルト部5を少なくとも1個、好ましくは、所定数の複数本を埋め込むと言う技術構成を採用する事が、望ましい結果を得られると言う事を知得したものである。
係るボルト部5は、後述する各種の実験結果から明らかな通り、当該床版1に掛る上下方向の振動荷重に対して、当該床版1の当該コンクリート部3の厚みの略中心線、即ち中立軸から下面部側が繰り返し伸長作用を受け、一方、その上面部側は繰り返し圧縮作用を長期間、連続的若しくは不規則に受けることになり、それによって、特に、当該床版1の当該コンクリート部3の下面部側にひび割れ、亀裂E等が入ったり、疲労破壊したりして、当該床版1の材料破損、リベット等の変形、脱落の様な構造破壊或いは当該床版1そのものの耐久性の劣化等の現象の発生の問題が発生するが、本発明の上記技術構成を採用することにより上記も問題点を効果的の防止するのに有効に作用するものである。
つまり、当該床版1のコンクリート部3に、当該鋼製底板部21の外側から、繰り返し圧縮作用を受ける所定の長さのネジ部6を有するボルト部5を所定の本数埋めこむ事によって、当該コンクリート部3の伸長作用を効果的に抑制すると共に、当該鋼製底板部21が当該コンクリート部3の下端面4から剥離しようとする動きを有効に防止する事が出来るのである。
本発明に於いて使用される当該ボルト部5の構造、材質、形状等は特に限定されるものではないが、基本的には、頭部5’と当該頭部5’から延展されている所定の長さDを有するネジ部6とで構成されたものである。
尚、本発明に於いて使用される当該ネジ部6は、通常のらせん状のネジ溝が形成されたものであっても良いが、或いは、当該コンクリート部3との摩擦強度を高めるための、凹凸溝が外周面に形成されたものであっても良い事は言うまでも無い。
又、本発明に使用される当該ネジ部6の長さも特に限定されるものではなく、少なくとも当該リベット等の接合固定手段31の埋めこみ長さよりも長い事が必要であるが、好ましくは、当該ボルト部5の当該ネジ部6の長さは、当該コンクリート部3の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さDが当該コンクリート部3の繰り返し圧縮作用を受ける長さに設定されているものであり、更に好ましくは、当該ボルト5の当該ネジ部6に於ける当該コンクリート部3の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さDは、繰り返し圧縮作用を受ける長さよりも長く、より好ましくは、事前の調査で判明している、予め想定される当該コンクリート部3における繰り返し圧縮作用を受ける長さで上面からのコンクリート被りを確保するように設定されているものである。
更に別の観点から考察すると、当該コンクリート部3の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さDは、事前の調査で判明している、予め想定される当該コンクリート部3に発生するひび割れEの垂直方向の長さに等しいかそれ以上の長さを有する様に設定されているものであっても良い。
特に好ましい具体例としては、当該ボルト部5の当該ネジ部6の当該長さDは、当該ボルト部5を当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21の外側から埋め込んだ場合に、当該ネジ部6の当該コンクリート部3内に埋め込まれた先端部が、当該コンクリート部3の中立軸Cを超えて、当該ボルト部5の埋め込み側からみて、当該中立軸Cの反対側の領域にまで突出する様な長さに設定されているものであっても良い。
尚、本発明に於いて使用される当該中立軸Cは、本発明の対象である床版構造に於いて、土木建築技術に於ける構造力学上から定義される周知の一般式から導き出される中立軸Cであって、当該床版1が、その上面から繰り返し振動を受けるに当たり、通常形成される圧縮領域と伸長領域の境界部を形成する領域であって、当該床版1に使用される鉄筋の本数、鉄筋の太さ、配列密度、配列方向等の各要素の異なる組み合わせにより、具体的、且つ個別的に決定されるものであり、その位置は、当該床版1の具体的構成内容により変化するものである。
一方、本発明に於いて使用される当該ボルト部5の個数と配置部位のパターンは特に限定されるものではないが、後述する実験結果を参照すれば、当該ボルト部5の使用個数は、多い方が好ましく、又当該複数個のボルト部5を埋めこむ場合の当該鋼製底板部21上の配置部位は、当該床版1の長手方向(つまり主鉄筋群15、16等が配列されている方向)の略中央部近傍の部位に多めに配置する事が好ましく、又、当該ボルト部5が、当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21の外側から埋め込まれる部位に於いて、相互に隣接して配置されている個々の当該ボルト部5間の、当該床版1の長手方向に対する相互の間隔は、当該床版1の長手方向と直交する方向に対する相互の間隔よりも広くなる様に設定されている事も好ましい具体例である。
又、相互に隣接して配置されている個々の当該ボルト部5間の、当該床版1の長手方向に対する相互の間隔は、当該床版1の長手方向の略中央部近傍の部位に於ける当該間隔が、その他の部位に於ける当該ボルト部5間の、当該相互の間隔よりも狭くなる様に設定されている事も望ましい具体例である。
係る構成を採用した結果、本発明に於ける当該床版1に於いては、従来周知の合成床版に於いて、問題となっていた、長期間、橋梁として使用した場合に、当該リベット等の接合固定手段31が、変形、破損、脱落等により、当該合成床版の破壊、破損、耐久性の早期劣化が発生すると言う欠点が大幅に改善される事が確認出来た。
更に、本発明では、上記した実験に於いて、特に当該床版1を、特に上記した本発明の床版1と同じ構造を有する床版ユニットを2個連結して構成した床版1を作り、その長手方向の略中央部に連結部が形成された実験サンプルを使用して、当該鋼製底板部21の分離、剥離、或いは脱落の発生状況も合わせて検証出来る様に実施したものであり、その結果、本発明に於いては、当該リベット等の接合固定手段31が、変形、破損、脱落等により、当該合成床版の破壊、破損、耐久性の早期劣化を確実に防止出来る結果を得る事が出来たと同時に、当該鋼製底板部21の分離、剥離、或いは脱落と言う欠点の発生も確実に防止出来る事が判明した。
本発明では、係る実験結果から、当該床版1は、複数個の床版ユニットが相互に、当該主鉄筋若しくは配力筋の配列方向に沿って、適宜の連結手段を介して連結されている構造を有していても上記したと同様の望ましい作用効果を奏するものである事が判明した。
即ち、本発明に於いては、当該ボルト部5は、相互に隣接して配列されている複数個の当該床版ユニット間に形成されている相互連結部に沿って埋め込み配置されている事も望ましい具体例であり、又、複数の当該床版ユニット間の当該鋼製型枠部14の底板部21が相互に隣接されて接合されている部位の近傍部位に於いて、当該鋼製型枠部14の底板部21に埋め込まれている当該ボルト部5の単位埋め込み密度は、それ以外の部位に於いて埋め込まれている当該ボルト部5の単位埋め込み密度よりも大きく設定されている事も好ましい具体例である。
上記した本発明とは別に、本願発明者等は、本願発明の上記した従来の問題点を解決する為に、上記した、ボルト部5を埋めこむと言う技術思想とは、独立した別途の技術構成の開発に付いて、更に鋭意検討した結果、下記の通り、当該床版1の当該鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21の所望の部位に、当該鋼製底板部21の平面部から当該コンクリート部3が形成される内部空間に向けて所定の角度を以って立ち上げられている折曲部27を設ける事によっても、上記具体例の場合と略同様の作用効果が得られる事が判明した。
つまり、上記の構成例では、当該単一の床版1若しは、複数個の当該床版ユニットが相互に隣接した状態で連結接合されている床版1に於いて、当該床版1の当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21の一部に、部分的にあるは連続した、当該鉄筋の配列方向に沿って、或いは、当該鉄筋の配列方向と直交する方向に沿って、当該コンクリート部3側に折り曲げられている複数個の折曲部27を設けた構成を有するものである。
本発明に関連する上記した別の構成例に於いて使用される当該折曲部27の形状、構造、配置個数、配置方向等は特に限定されるものではないが、基本的には、図4(C)に示す様に、当該鋼製型枠部14を工場で製作する際に、その底面部21の所定の部位に於いて、その一部を所望の形状、例えば、矩形状或いは台型状、或いは半円形状に打ち抜き、その部分を当該底面部21から基端部を中心として、上方に折り曲げて立ち上げる方法で形成する事が効率的である。
本発明に関連する当該折曲部27の立ち上がり角度は、特に限定されないが、好ましくは、当該鋼製底板21の平面部に対して、90度の角度である。
当該折曲部27の形状は、当該床版1の主鉄筋15、16等の配列方向と平行な線に沿って、所定の長さと高さを有する当該折曲部27を所定の間隔で形成したものであっても良く或いは、当該方向に、所定の高さを有する、連続した一体形状の壁状体として形成されたものであってもよく、当該床版1の配力筋37の配列方向と平行な線に沿って、同様な構成で、形成されたものであっても良い。
尚、当該折曲部27の高さは、当該床版1の施工に際し、複数個の床版ユニット1を、隣接配置して、それぞれの対向する端部同士に存在する鉄筋群を所望の連結手段で連結する場合に、当該連結操作を妨害する事が無い様に、その高さは、当該鉄筋の配置される高さよりも低くなる様に設定するか、図4(C)に示す様に、当該それぞれの折曲部27の中央部に所定の大きさを有する穴部28が設けられているものであっても良い。
本発明に関連する上記構成例に於いては、後述する実験結果から、当該折曲部27を当該床版1の当該鋼製型枠部14に於ける主鉄筋15、16の配列方向と同一の方向に沿って、配置する場合が、当該リベット等の固定手段31の損傷、変形、破壊、脱落が殆ど発生しないという、最も好ましい結果が得られ、又、当該鋼製型枠部14に於ける配力筋37の配列方向と同一の方向に沿って、配置した場合でも、上記したボルト部5を埋めこんだ場合と略同様の作用効果を発揮する事が判明した。
特に、本構成例に於いては、当該折曲部27を、複数個の当該床版ユニットが相互に隣接配列される場合の、当該連結部を形成する当該ユニットの両端部に沿って形成されている事も望ましい具体例である。
即ち、本発明に関連する上記構成例に於いては、当該折り曲部27が、当該床版ユニット部1同士が相互に隣接して当接されている連結接合部の近傍部に設けられている事が望ましい。
本発明に関連する上記構成例、即ち、上記した折曲部27を配置した当該床版1の当該鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21の構造を、前記した本発明の最初の具体例、つまり、当該鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21の下面部から当該コンクリート部3内部に埋め込むと言う技術構成と結合させる事も可能であり、係る構成例に於いては、両者のそれぞれの特性が相乗的に発揮されるので、より好ましい作用効果が発揮できるものである。
次に、本発明等は、本発明に係る当該床版1に於ける、鉄筋群の腐蝕状態を非破壊方法により検査する方法の開発に付いて、更に鋭意検討し、以下に示す技術の開発に成功した。
即ち、上記した当該床版1に於いて、従来から、当該床版1内に配置されている鉄筋群15、16、37等、或いは吊り金具17の支持手段17、更には、アングル等の連結手段35からなる金属構造体は、水、空気、化学薬品或いは、コンクリート内部に含まれるアルカリ成分等によって、さびの発生や腐蝕の発生により強度が低下して、耐久性を劣化させる原因になっている事が判明してはいるが、特に床版の外壁や外面を金属製の板状体等である鋼製型枠部14で被覆している床版1では、外観上、外見しただけでは、当該コンクリート部3内部の当該金属構造体2その他の金属製部品等の腐蝕状態を検出する事が不可能である。
その為、従来から非破壊試験方法として、コンクリート部3と当該金属構造体との間に流れる電流による電位差を測定して、当該金属構造体に於ける腐蝕の程度を推定する方法が知られている。
つまり、当該鉄筋部の電位と当該コンクリート部の表面の電位の差を検出する所謂、自然電位法を利用して、当該鉄筋を含む金属構造体の腐蝕の程度を推測する方法である。
具体的には、図22に示す様に、床版1のコンクリート部3の上面に、適宜の電位差計80の一方の電極Aを接触させると同時に他方の電極Bを当該床版の側壁面に露出している鉄筋15に接触させるか、若しくは、当該鉄筋15を何らかの手段により当該床版の鋼製型枠の底鋼板21若しくはその側壁面に電気的に接触させた状態に構成しておき、当該他方の電極Bを当該鋼製型枠の底鋼板21若しくはその側壁面23に接触させて当該電位を測定するものである。
然しながら、本発明に係る当該床版1に於いては、当該床版1の上表面にはコンクリート部3が設けられており、且つ当該床版1内の鉄筋群15,16は、当該コンクリー部3の内部に内封されている事が多く、一方、当該床版1の側壁23及び底面部21は、鋼製金属板で被覆されているので、コンクリート部3と鉄筋群は15,16からなる鉄筋構造体2とに個別の電極A,Bを個々に接触させる事が困難であった。
又、本発明に係る当該床版1に於いては、当該床版1の上表面にはコンクリート部3の上面に更にそれを被覆するアスファルト部13が設けられており、且つ当該床版1の側壁23及び底面部21は、鋼製型枠14で被覆されているので、コンクリート部3と鉄筋構造体2とに個別の電極を接触させる事が困難であった
その為、従来では、わざわざ、図23(A)に示す様に、当該コンクリート部3の一部を削り取って、適宜の開口部Qを形成し、当該開口部Q内に一方の電極Bを挿入して当該鉄筋構造物、例えば鉄筋15、16に接触させ、他方の電極Aは、当該コンクリート部3の表面に接触させて、両者の電位差を測定する方法が採用されており、又、当該コンクリート部3の表面に当該アルファルト13が存在している場合には、図23(B)に示す様に、当該床版1の表面のアスファルト部13を削り取って、適宜の開口部Oを形成し、当該開口部Oから一方の電極Aをコンクリート部3の表面に接触させ、他方の電極Bを当該床版1の側壁部23に露出されている鉄筋15,16等の鉄筋構造物に接触させて電流の測定を行うか、或いは、予め当該鉄筋構造物の一部を、当該鋼製型枠14の一部とを電気的に接合させておく事を前提として、当該他方の電極Bを当該鋼製型枠14の一部と接触させて電流の測定を行う方法が採用されていたが、何れの方法に於いても、作業効率が悪く、効率的な検査を実行する事が出来なかった。
その為、本発明に於いては、図24に示す様に、当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21若しくは、その側壁面部23の所望の部位に、所望の開口面積Sを有する開口部50が少なくとも一つ設けられており、当該開口部50から、当該コンクリート部3の少なくとも一部が外部に露出せしめられている様に構成されているものである。
本発明に於ける当該開口部50の大きさや形状或いはその個数は特に限定されるものではなく、適宜に当業者が決定する事が出来る。
係る構成を採用した事によって、本発明に係る当該床版1を使用した各種の橋梁構造に於いては、所定の期間毎に定期的に当該床版1内の鉄筋や、連結手段、接合固定手段等の金属製部材の腐蝕の有無或いはその進行程度を検査するに際しては、単に、当該開口部50に露出している当該コンクリート部3に当該自然電位法による電位測定装置の一方の電極Aを接触させると同時に、当該床版1の鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21の任意の部位、若しくは、その側壁部23の任意の部分、好ましくは、当該開口部50に近接した部位に他方の電極Bを接触させる事によって、極めて簡単に、非破壊方法によって、容易且つ迅速に当該電位差を測定する事が可能となる。
つまり、本発明に於いては、当該床版1の鋼製型枠部14に於ける当該底鋼板21或いはその側壁部23は、実質的に当該鉄筋群15、16、37や支持手段17、連結手段35、及び接合固定手段と、電気的に接続されているものである。
更に、本発明に於いては、当該開口部50には、周知の制御機構を使用して、当該開口部50を任意或いは定期的に開口状態にしたり、閉鎖状態にする事が出来る、当該開口部50を被覆する開閉自在に構成された蓋部51が設けられている事も好ましい。
係る構成を採用する事によって、当該検査の際のみ、当該蓋部51を自動的に或いは作業員の手作業によってその位置を変位させて、当該開口部50を外部に露出開口させ、当該検査時以外の時間帯では、当該開口部50を常時当該蓋部51で被覆しておくことにより、当該開口部から水或いは化学薬品、油類等が当該コンクリート部3内に浸透する事を防止する様に構成されている。
即ち、本発明に於ける更に別の具体例としては、当該鋼製型枠部14の底板部21若しくはその側面部23の所望の部位に、所望の開口面積Sを有する開口部50が設けられており、当該開口部50から、当該コンクリート部3の少なくとも一部が外部に露出せしめられている事を特徴とする鋼製型枠床版1である。
更に、本発明に於ける当該更に他の具体例の別の態様としては、上記した鋼製型枠床版1に於いて、当該開口部50には、当該開口部50を開閉自在に被覆する様に構成された任意の形状と大きさを有する蓋部51が設けられている事を特徴とする鋼製型枠床版1である。
以下に、上記した従来技術の欠点或いは問題的を解決する為の、本発明に於ける当該床版1の好ましい構造に付いて、本願発明者等が鋭意開発研究を実行した際に、当該個々の特性値或いは特定構造の追及並びに特定化するに際して実施された各種の実験の概要とそれにより得られた結果を以下に示す。
当該発明者等は、以下に示す様に、先ず、鉄筋付床版1の静的載荷曲げ試験を行い、当該床版1に於ける当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21および吊り金具17が、当該床版1の変形挙動に及ぼす影響を通常のRC床版と比較し検討を行い、次に、当該鉄筋付床版1の底板部継手箇所への動的載荷試験を行い、繰返し荷重の載荷によるリベット31の疲労による破断対策について、検証を行った。
つまり、本発明に於ける以下の実験では、当該床版1においては、複数個の当該床版ユニット1を相互に長手方向に沿って隣接させて連結して使用される事が多く、又、当該各隣接して配置される当該床版1同士の当該鋼製型枠体14に於ける鋼製底板部21同士間の連結接合縁部での、当該リベット破損、リベット変形、リベット脱落が顕著に表れ、それによって、当該鋼製底板部21に於ける連結接合部での剥離、変形等が深刻に現れることから、試験用のサンプルとしての当該床版1としては、当該サンプルの長手方向の略中央部に当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21の連結接合部が形成された構成のものを使用し、当該床版1の中央部近傍に当該連結接合部がないものに対しては、当該鋼製底板部21の連結接合部が形成されたサンプルから得られた実験値よりもより良好で効果的なデータが得られるとの予測を以って、判断することにしたものである。
1.鉄筋付床版の静的載荷試験
(1)床版の寸法および配筋
本実験には、図20に示す様な構成を有する床版で、本発明の対称である長さ2800mmX幅1125mmX高さ250mmの鉄筋付床版1および従来のRC床版からなるサンプル並びに吊り金具17で上下鉄筋15、16を一体化した鉄筋構成体2のみをコンクリート内に配置し、且つ当該鋼製型枠14を使用しない構成を有する床版のサンプルとを用いた。
尚、上記した本発明に於ける実験に於いては、上部主鉄筋15および下部主鉄筋16には、SD345のD19の鉄筋をそれぞれ、5本および9本用いた。又配力筋37には、SD345のD16の鉄筋を上部と下部にそれぞれ11本用いた。
更に、本実験に於いては、上記した通り、当該床版1のサンプルに於いては、図4に示す通り、その長手方向の略中央部に当該鋼製底板部21の連結接合部Rを設け、当該床版1の実際の施工状態に於ける各床版1が連結接続された場合の実際の状況を再現することにしたものである。
尚、上記した本発明に於ける実験に於いて、複数個の当該床版1を相互に連結して一つの一体化された床版1を形成する場合に於いて、当該鋼製型枠部14を構成する当該鋼製底板部21の両端部に於ける相互連結接合部Rは、図4(B)の(2)に示す様に、当該相互の連結接合部Rに沿って、何も配置しない場合や、図4(B)の(3)又は(4)に示す様に当該相互の連結接合部Rの上面或いは下面若しくはその両面に於いて、当該連結接合線を被覆する適宜の幅と長さを有する、長尺状或いは短い長さを有する帯状の鋼製帯状板Gを配置してリベット等の接合固定手段31でその双方を連結接合したものであっても良い。
或いは、当該相互連結接合部Rは、図4(B)の(1)或いは図4(C)に示す様に、前記した様な特定の折曲部27を、当該相互連結接合部Rに沿ったその近傍部に一つ或いは複数個配列するものであっても良い。
本発明に於ける実験結果によれば、上記した各異なる当該鋼製底板部21の連結接合部Rを採用した個々の床版1に於ける、当該連結接合部Rに於ける当該鋼製底板部21の破壊、剥離、垂れ下がりの発生程度に関しては、特に相違は見られなかった。
又、本実験では、鉄筋付床版1に於いて、主鉄筋15、16の固定に図1乃至図3に示すような、鉄板の厚さが1.6mmの吊り金具17を用いている。
当該鉄筋付床版1の鋼製底鋼板部21には、厚さ1.6mmの鉄板を用いた。
更に、当該吊り金具17と鋼製底板部21は、アングル部35を介して、φ4mmのステンレス製リベット31で固定されている。
本実験では、鋼製底板部21の有無の影響を検討するために、上下主鉄筋15、16の固定には吊り金具17を用い、当該鋼製底板部21は用いない床版 (以下、吊り金具のみを用いた床版と呼ぶ)も実験に用いた。
(2)静的載荷実験におけるひずみの測定位置
本発明に於ける上記の静的載荷試験では、上下の主鉄筋15、16、コンクリート部3および吊り金具17のひずみとスパン中央のたわみを測定した。
上下の主鉄筋15、16のひずみの測定は、当該床版1の略中央で行った。図20及び図21に示すように、スパン中央の床版上面および床版上面から20mm (上部鉄筋のかぶりの中央)、40mm
(上部鉄筋位置)、90mm(設計上の中立軸付近)、125mm(床版厚の中央)、210mm(下部鉄筋位置)の6箇所で主鉄筋方向のひずみを測定した。
又、当該吊り金具17の鉄筋15、16とのかしめ部と、当該鉄筋との変形を比較するために、図20に示すように載荷点、即ち当該床版1の長手方向の略中央部付近の4箇所の吊り金具17において、吊り金具17の上下の主鉄筋をかしめている部分と吊り金具直近の鉄筋のひずみも測定した。
(3)床版の静的載荷試験
当該床版1の静的載荷試験は、図20に示すように、2線荷重載荷によって行った。当該スパン中央の下部主鉄筋16の応力が140N/mm2 となる使用限界荷重は、81kNである。
2.鉄筋付床版の動的載荷試験
(1)床版の寸法および配筋
本実験では、上記したと同様の構成を有し、且つ長さ1800mmX幅450mmX高さ190mmの鉄筋付床版1を用いた。
上部主鉄筋15および下部主鉄筋16にはSD345のD19の鉄筋をそれぞれ、5本ずつ用いた。配力筋37には、SD345のD16の鉄筋を上部と下部にそれぞれ8本用いた。
又、上記鉄筋付床版1のスパン中央における床版上縁のコンクリートの圧縮応カが10N/mm2となる使用限界荷重は、37.5kNである。
又、主鉄筋15、16の固定に用いた吊り金具17および鋼製底板部21は、鉄板の厚さが1.6mmの鉄板を用いた。吊り金具17と底鋼板21とは、φ4mmのステンレス製リベット31により接合されている。
当該リベット31で接合されている部分では、厚さ1.6mmの鉄板が2枚重なっている。
当該底鋼板21の動的荷重に対する耐久性を向上させる手法として、図2に示す様なボルト部5により当該鋼製型枠部14の鋼製底板部21と当該コンクリート部3とを一体化させる方法を検討した。
また、ボルト部5を用いる方法では、ボルト部5の埋めこみ部であるネジ部6の長さおよびボルト部5の本数について検討を行った。
図6および図7に示す様に、M10X80mmのボルト部5とM10X100mmのボルト部5を、それぞれ8本および24本、図6及び図7で示すパターンに従って設置した鉄筋付床版1を実験に使用した。
尚、図6および図7中の■は、当該ボルト部5を設置した箇所を示している。
一方、本実験に於いては、当該底鋼板21の動的荷重に対する耐久性を向上させる他の手法として、図4(C)に示すような、上記している当該連結結合部(継手部)Rに近接する当該鋼製底鋼板21の一部分を折り曲げて、当該鋼製型枠床版1の内部に入れ込み、当該連結接合部Rにて、当該鋼製型枠床版1と鋼製底板21とを一体化させる方法を検討した。
当該実験例に於いては、当該鋼製底板部21の一部を折り曲げる方法において、当該折曲部27の折り曲げ長さは、各鋼製型枠床版1ユニットを相互につなぎ合せる際に、鉄筋15,16,37に支障にならないように高さ50mmの正方形状および台形状として、内側を30mmX30mmにてほりぬく形状とした。
当該折曲部27の折り曲げる方向は、図5(A)及び図5(B)示すように、主鉄筋15の長手軸方向と直交する方向、即ち、配力筋37の配列方向と、当該主鉄筋15の長手軸方向の配列方向の両方を検討した。
(2)床版の動的載荷試験方法
当該床版1への動的載荷試験は、荷重を供試体中央に載荷する1点載荷とした。載荷面の大きさは、200mmX200mmである。動的載荷試験では、最小荷重が10kN、最大荷重が使用限界荷重の2倍の75kNで、周波数が5Hzのサイン波を載荷した。
動的な荷重を200万回載荷した後、底鋼板21および底鋼板21と吊り金具17を固定しているリベットの破断状況、ならびに床版側面のひび割れの発生状況を調べた。
3.実験に用いたコンクリート
本発明に於ける上記実験に使用された当該床版1に注入されるコンクリートは、普通30−110−20−Nのレディーミクストコンクリートを用いた。コンクリートの配合を表−1に示す。結合材には、普通ポルトランドセメント(密度:3.16g/cm、ブレーン値:3270cm/g)を用いた。
又、細骨材には、海砂(密度:2.55g/cm、吸水率:1.59%、F.M:2.70)および砕砂(密度:2.55g/cm、吸水率:1.59%、F.M:2.80)を用いた。粗骨材には、砕石(最大寸法20mm、密度:2.72、吸水率:0.37%%、 実積率:59.0%)を用いた。練混ぜ水には地下水を用い、混和剤には、AE減水剤標準形1種を用いた。コンクリートの強度試験結果は、材齢28日の圧縮強度が、現場養生で32.5N/mm、水中養生で38.1N/mm2、静弾性係数が、現場養生で30.9kN/mm、水中養生で32.8kN/mmである。
4.実験結果及び考察
(1)鉄筋付床版の静的載荷試験結果
図8は、上記本実験結果に基づいた、鉄筋付床版1の床版中央の下部主鉄筋16のひずみと荷重の関係を示したものである。
図中の口は鉄筋付床版の結果を、○は、吊り金具のみを用いた床版の結果を、また、●(黒丸)はRC床版の結果をそれぞれ示している。
即ち、下部主鉄筋16のひずみと載荷荷重との関係を示している図8に示す当該実験結果のグラフから明らかな通り、吊り金具17のみを用いた床版の下部主鉄筋のひずみは、使用限界荷重の2倍程度までは、RC床版のものと変わらないことが分かる。
更に、当該図中の実線および破線は、それそれ、本発明に係る床版および本発明の対称外である合成床版とした場合の計算値を示している。
曲げ剛性は、2007年制定土木学会コンクリート標準示方書[設計編]に示される部材全長にわたって一定とする場合の有効曲げ剛性を用いて計算した。
いずれの場合でも、使用荷重程度までは、鉄筋ひずみの実験値は、計算値とほぼ同程度で、使用荷重を超えると、実験値は計算値より小さく、安全側になっていることが分かる。
更に、当該床版1に使用限界荷重の2倍以上の荷重が載荷されると、同じ荷重下では、当該鋼製底板部21のない、鉄筋付床版の下部主鉄筋16のひずみの方が、RC床版に比べて若千大きくなる傾向がある。
一方、当該鋼製底板部21の付いた鉄筋付床版1では、使用限界荷重の1.5倍程度の120kNまでは、RC床版に比べて、下部主鉄筋のひずみが小さくなっており、その後は、当該鋼製底板部21の無いものと同じ挙動を示している。
リベット31の破断は、荷重が120kN に達した時点で目視により確認されている。リベツト31が破断するまでは、本発明に係る床版であっても当該鋼製底板部21が荷重を受け持っているといえる。
図9は、荷重の変化と当該中立軸Cが形成される位置との関係を示した実験結果グラフであって、同図中、鉄筋付床版1における中立軸Cが形成される位置を、当該床版1の上端面から計測される当該位置迄の距離(mm)と荷重(N)との関係を、RC床版と比較し示したものである。
即ち、吊り金具17のみを用いた床版1の中立軸Cの変化は、RC床版とほぼ同じであることが分かる。
一方、当該鋼製底板部21のある鉄筋付床版1では、使用荷重の81kN程度までは、RC床版よりも中立軸Cが下に位置しており、これによって、当該鋼製底板部21が力を負担していることが分かる。また、当該鋼製底板部21を固定しているリベット31が破断した120〜130kN以降の荷重下では、鉄筋付床版1の中立軸Cの位置は、RC床版のものと同じ挙動を示している。
図9中に、本発明に係る床版と本発明の対称外である合成床版を対象として計算した中立軸の計算値を示す。
本発明に係る鉄筋付床版1の中立軸Cに関する、リベット31が破断し、ひび割れが発生した後の挙動は、従来の床版として計算した計算値に近い挙動を示している。
図10は、スパン中央のたわみと載荷荷重の関係を示したものである。
図中の口角および白丸は、それぞれ鉄筋付床版1および吊り金具のみを用いた床版の結果を示すものであり、又、●(黒丸)は、RC床版の結果である。
係る図10より、鉄筋付床版1および吊り金具17のみを用いた床版1のスパン中央のたわみは、使用限界荷重の2倍までは、RC床版とほぼ同じであることが分かる。いずれの床版も、本発明の対象外である合成床版として計算した場合の計算値よりも実験値は小さく、安全側になっている。
図11は、鉄筋付床版1において、上下の主鉄筋15、16と吊り金具17のかしめ部に生じるひずみを比較し、その結果を示したものである。
図中の●(黒丸)および○(白丸)は、それぞれ、上部鉄筋15および下部鉄筋16のひずみを示している。
また黒四角および白四角は、ぞれぞれ、吊り金具17の上部および下部のそれぞれのかしめ部のひずみを示している。
上部鉄筋15と吊り金具17上部に生じるひずみにおいても、又、下部鉄筋16と吊り金具17下部において生じるひずみにおいても、鉄筋のひずみに比べて吊り金具17のひずみは小さく、鉄筋15,16と吊り金具17には大きなずれが生じており、吊り金具17が主鉄筋15,16の応力に及はす影響は小さいことが分かる。
以上のことから、鉄筋付床版1は、リベット31が破断するまでは、荷重を負担しているといえる。しかしリベット31が破断した後は、当該床版1は荷重を負担していないことから、設計において鉄筋付床版1を非合成床版と扱うことは、静的荷重下では安全側になっていると言える。
一方、使用荷重の2倍を超える荷重が載荷された場合、スパン中央のたわみおよび下部主鉄筋のひずみが大きくなる傾向がある。
吊り金具17に大きな力は作用していないものの、本実験で行ったように、吊り金具17を格子状に配列した揚合には、設置した箇所と設置しない箇所で剛性の差ができ、過大な荷重が載荷された場合には、設置していない箇所でひずみが大きくなっている可能性がある。
(2)繰返し荷重によるリベツトの疲労破断に対する対策
図12は、当該床版1の当該鋼製底板部21の一部分で、当該複数個の床版ユニット1を連結接合した連結接合部Rの近傍部で、且つ配力筋37方向に当該折曲部27を一つ或いは複数個、形成し、当該折曲部27を使用して両者を一体化させた鉄筋付床版1を形成し、当該床版1に対して、200万回繰返し載荷を行った後の、吊り金具17と鋼製底板部21を接合しているリベット31の破断箇所を記録したものである。
図12のXは、当該リベットが破断し、落下または手で容易に取れた箇所を示している。
本発明に係る上記実験結果によれば、当該配力筋37方向に当該折曲部27が形成されている揚合は、繰返し荷重の載荷を開始すると、当該連結接合部Rのリベット31から破断が生じしはじめ、当該折曲部27を有する当該鋼製底板部21は、繰返し荷重を70万回載荷した頃、当該鋼製底板部21が塑性疲労を起こし同時に当該鋼製底板部21も破断する結果となった。最終的には、39個のリベット31中、16個が破断していた。
つまり、上記実験によれば、当該折曲部27を当該配力筋37方向に形成する場合は、その効果が少ない事が分かる。
一方、図13は、当該鋼製底板部21に主鉄筋15の長手軸方向に沿って、当該折曲部27を一つ或いは複数個、折り曲げ形成した後、前記した両者を当該連結接合部Rに沿って連結する事によって一体化させた鉄筋付床版1に対して200万回繰返し載荷を行った後の、吊り金具17と構成底板部21を接合しているリベット31の破断箇所を記録したものである。
当該鋼製底板部21に、当該主鉄筋15の長手軸方向に沿って、当該折曲部27を形成した場合に於いては、リベット31の破断箇所は全く無い結果となった。
つまり、本実験に於いて、当該床版1の当該鋼製型枠部14内に於ける当該鋼製底板部21に於いて、その一部を折り曲げる方法により、当該折曲部27を形成する場合に、当該折曲部27を配置形成する方向によりリベット31の破断数量が異なっており、折り曲げる方向によっては、繰返し荷重に対し極めて不利に働くことが明らかとなった。
前記した通り、当該折曲部27は、予め工場内で、当該鋼製型枠床版1の鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21に形成しておくものである。
更に、図14は、当該鋼製底板部21に形成される当該折曲部27を配力筋37の長手軸方向に沿って形成配置した場合のサンプルに於いて、200万回の繰返し荷重を載荷した後の、当該床版1の当該コンクリート部3の側壁面部に生じたひび割れEの発生状態を示したものである。
一方、図15は、当該鋼製底板部21に形成される当該折曲部27を主鉄筋15の長手軸方向に沿って形成配置した場合のサンプルに於いて、200万回の繰返し荷重を載荷した後の、当該床版1の当該コンクリート部3の側壁面部に生じたひび割れEの発生状態を示したものである。
同図中の点線は、繰返し荷重載荷前の静的載荷時に発生したひび割れEで、実線は、200万回の繰返し荷重によって進展したひび割れEである。これらの図から明らかな通り、当該鋼製底板部21が剥がれない揚合においては、ひび割れの発生が少ない結果となっており、当該鋼製底板部21が剥がれない方がひび割れに対し有利に働くことが明らかである。
一方、図16は、当該鋼製底板部21に、M10X80mmの埋め込み用ボルト5の8本とM10X100mmの埋め込み用ボルト5の8本とを別々に当該コンクリート部3内に埋め込み、取り付けた鉄筋付床版1のサンプルに対して200万回繰返し載荷後におけるリベット31の破断箇所を記録したものである。
即ち、図16(A)は、当該80mmの長さを有する埋め込みボルト部5の8本を図6に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該リベット部31の破壊、破損、或いは脱落した場所の位置を示したものであり、又、図16(B)は、当該100mmの長さを有する埋め込みボルト部5の8本を図7に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該リベット部31の破壊、破損、或いは脱落した場所の位置を示したものである。
尚、上記実験に於いては、何れのサンプルも、当該床版1の当該鋼製型枠部14に於ける当該鋼製底板部21の表面には、前記した様な、折曲部27は設けていないが、当該折曲部27を積極的に設けたものであっても良い。
同図中の黒四角は、ボルト部5の配置箇所を示すものであり、Xは、リベット31の破壊、破損、或いは脱落した場所等の位置をそれぞれ示している。
係る実験結果から、明らかな通り、ボルト部5を配置した場合は、当該鋼製底板部21の浮きは見られなかった。
更に、本実験に於いては、当該リベット部31は、80mmの長さを有するボルト部5を使用した場合には、39個中12個が破壊、破損、或いは脱落等の問題を呈すると同時に、100mmの長さを有するボルト部5を使用した場合には、39個中7個が破壊、破損、或いは脱落等の問題を呈する結果となった。
次に、図17は、当該鋼製底板部21に、M10X80mmの埋め込み用ボルト5の24本と、M10X100mmの埋め込み用ボルト5の24本とを別々に当該コンクリート部3内に埋め込み、取り付けた鉄筋付床版1のサンプルに対して200万回繰返し載荷後におけるリベット部31の破断箇所を記録したものである。
即ち、図17(A)は、当該80mmの長さを有する埋め込みボルト部5の248本を図7に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該リベット部31の破壊、破損、或いは脱落した場所の位置を示したものであり、又、図17(B)は、当該100mmの長さを有する埋め込みボルト部5の24本を図7に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該リベット部31の破壊、破損、或いは脱落した場所の位置を示したものである。
係る本実験に於いては、当該リベット部31は、80mmの長さを有するボルト部5を使用した場合には、39個中7個が破壊、破損、或いは脱落等の問題を呈すると同時に、100mmの長さを有するボルト部5を使用した場合には、39個中4個が破壊、破損、或いは脱落等の問題を呈する結果となった。
上記した各実験から、本発明に於ける当該床版1に於いては、ボルト部5のボルト長を長くすることにより当該リベット等の接合固定部材の破断箇所が約半滅していることが分かると同時に、繰返し荷重によるリベット31の破断を抑制する効果は、ボルトの本数よりも長さの影響の方が大きいこと判明した。
一方、図18及び図19は、本発明に於ける当該ボルト部5を埋め込んだ鉄筋付床版1に200万回の繰返し荷重を載荷した後に、当該床版1内の当該コンクリート部3の側面に生じたひび割れEの発生状況を示したものである。
即ち、図18(A)は、当該80mmの長さを有する埋め込みボルト部5の8本を図6に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該ひび割れ部Eが発生した場所の位置とその形状を示したものであり、又、図18(B)は、当該100mmの長さを有する埋め込みボルト部5の8本を図7に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該サンプルに、上記実験を行った後に検出された当該ひび割れ部Eが発生した場所の位置とその形状を示したものである。
同様に、図19(A)は、当該80mmの長さを有する埋め込みボルト部5の24本を図6に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該床版1のサンプルに、上記実験を行った後に検出された当該ひび割れ部Eが発生した場所の位置とその形状を示したものであり、又、図19(B)は、当該100mmの長さを有する埋め込みボルト部5の24本を図7に示す様なボルト部5の埋め込みパターンを使用して埋め込んだ当該サンプルに、上記実験を行った後に検出された当該ひび割れ部Eが発生した場所の位置とその形状を示したものである。
係る実験結果から、静的載荷試後のひび割れEは、その長いものが当該コンクリート部3の伸長領域部側にひび割れが生じないと仮定した揚合の中立軸C付近まで入っていることが分かる。
また、いずれの場合も、繰返し荷重によるひび割れは、コンクリートの引張応力を無視すると仮定した場合の中立軸位置まで達しているものがあることが分かる。
更に、短いボルト部5を数多く埋め込むよりも、ひび割れEの長さと同等または長いボルトを埋め込むことの方が繰返し荷重によるリベットの破断を抑制する効果が高いことが分かる。
以上の実験結果を考察することによって、以下の事が判明した。
(1)鉄筋付床版1の鋼製底板部21は、道路橋示方書に甚づく使用限界荷重の1.5倍程度までは力を負担しており、当該鋼製底板部21のリベット部31が破断した後の当該床版1の変形挙動は、当該鋼製底板部21の無いものと同じであること。
(2)又、当該鋼製底板部21の連結接合部Rで、当該鋼製底板部21の一部を折り曲げて、コンクリート内部に入れ込ませた当該折曲部27を配置形成した揚合、当該折曲部27が当該リベット部3の破壊、破損、変形、脱落等の問題を引き起こす機会を低減させる効果を有している。
(3)一方、当該鋼製底板部21にボルト5を取り付けた揚合では、200万回の繰返し荷重を載荷した後でも、大きな剥離を生じることはない。ボルト5の本数は多いほど、また、長さは長いほど、繰返し荷重によるリベットの破断を抑制する効果は高い。また、ひび割れの長さと同程度または長いボルト5を設置する方が、短いボルトを数多く配置するよりも効果が高い。
(4)当該ボルト部5の当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21の外側からの埋め込み部位に於いて、当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21の長手方向に対する相互の間隔は、当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21の長手方向と直交する方向に対する相互の間隔よりも広くなる様に設定されている事が好ましい。
(5)複数の当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21が相互に隣接されて連結接合されている部位の近傍部位に於いて埋め込まれている当該ボルト部5の単位埋め込み密度は、それ以外の部位に於いて埋め込まれている当該ボルトの単位埋め込み密度よりも大きく設定されている事が望ましい。
次に、本発明に於いては、当該床版1に於いて、従来から、当該所版内に配置されている鉄筋群15、16、37等或いは吊り金具17の接合手段、更には、アングルト等の固定手段からなる金属構造体は、水、空気、化学薬品或いは、コンクリート内部に含まれるアルカリ成分等によって、さびの発生や腐蝕の発生により強度が低下して、耐久性を劣化させる原因になっている事が判明してはいるが、特に床版の外壁や外面を金属製の板状体で被覆している床版1では、外観上、外見しただけでは、当該コンクリート部3内部の当該金属構造体の腐蝕状態を検出する事が不可能である。
その為、従来から非破壊試験方法として、コンクリート部3と当該金属構造体との間に流れる電流による電位差を測定して、当該金属構造体に於ける腐蝕の程度を推定する方法が知られている。
つまり、当該鉄筋部の電位と当該コンクリート部の表面の電位の差を検出する所謂、自然電位法を利用して、当該鉄筋を含む金属構造体の腐蝕の程度を推測する方法である。
自然電位法とは、大気中にあるコンクリート構造物の鉄筋などの鋼材が腐食環境にあるかどうか、すなわち、調査時点での腐食の可能性について診断するものであり、構造物内での腐食の可能性が高い箇所を見つけ出すために用いられる。構造物が供用を開始してから内部鉄筋が腐食し、腐食によりかぶりコンクリートにひび割れが発生するまでの、コンクリート構造物が腐食劣化する初期の段階での診断に有効であって、その基本的原理は、概略、次の通りである。
即ち、コンクリート中の鉄筋などの鋼材は、電荷(電子やイオン)の移動を伴う電気化学的反応である。腐食を起こしている箇所はアノード域と呼ばれ、鉄原子は電子を失い鉄イオンとして周辺のコンクリート中に溶け出していく。この反応は酸化反応(アノード反応)とよばれる。
Fe→Fe+2Ee
電子は鉄筋内に残り、カソード域と呼ばれる場所に移動し、そこで、コンクリート中の水や酸素と結合し、水酸イオンとなる。その反応は還元反応(カソード反応)と呼ばれる。
2HO+O+4e→4OH
鉄イオンは水酸化イオンと反応して鉄の水酸化物、錆となる。よって、鉄筋が腐食している時は、電子は鉄筋内を流れイオンはコンクリート中を移動する。
これら電子やイオンの流れが腐食電流であり、腐食反応の速さ(腐食速度)を表している。鉄筋が腐食していない時には電子やイオンの移動はない。鉄筋が腐食しているアノード部の電位は卑側(-側)に変化することが多い。自然電位法はこの負の電荷を検出するもので、腐食状況に応じて変動する電位を測定することにより、鉄筋の腐食推定を行うものである。
具体的には、図22に示す様に、床版1のコンクリート部3の上面に、適宜の電位差計80の一方の電極Aを接触させると同時に他方の電極Bを当該床版の底鋼板21若しくは、当該床版の側壁面に露出している鉄筋15,16に接触させて当該電位を測定するものである。
然しながら、従来の測定方法を従来公知のRC床版等に適用する場合には、図23(A)に示す様に、当該RC床版の上表面にはコンクリート部3が存在する為、先ず、当該コンクリート層3に穴部Qを開口し、当該RC床版内にある鉄筋等を部分的に露出させてはつり出し、その後、適宜の電位差計80の第1の電極Aを当該RC床版のコンクリート部3の上面に接触させると共に、他方の電極Bを当該穴部Q内に挿入させて、鉄筋15又は16の一部と接触させる方法が使用されていた。
一方、本発明に係る当該床版1の当該鉄筋等の腐蝕状態を非破壊方法で測定する場合には、当該床版上には、図23(B)に示す様に、通常アスファルト層13が設けられているので、当該電位差計80を当該アスファルト層13に接触させても必要な電流は測定不可能である。
つまり、当該床版の上面を被覆するアスファルト部13が設けられており、且つ当該床版1の側壁及び底面部は、鋼製金属板で被覆されているので、コンクリート部3と金属構造体15,16とに個別の電極を接触させる事が困難であった。
その為、従来では、図23(B)に示す様に、当該アスファルト層13の適宜の部位に穴部Oを形成し、当該コンクリート層3を部分的に露出させた後、適宜の電位差計80の第1の電極Aを当該穴部O内に挿入させて、当該一部のコンクリート部3の上面と接触させると共に、他方の電極Bを当該鋼製型枠部14の当該鋼製底板部21の一部と接触させる方法が使用されていた。
尚、この場合には、当該鉄筋構成体2の少なくとも一部が、吊り金具17が或いは当該吊り金具17とそれに接続された例えば、アングル35等を介して、リベット31等により当該鋼製底板部21の一部に固定されていて、当該両者間に電気的接続が完成されている事が前提となる事は言うまでも無い。
然しながら、何れの方法に於いても、作業効率が悪く、効率的な検査を実行する事が出来なかった。
その為、本発明に於いては、図24に示す様に、当該鋼製型枠部1の底板部21若しくは、その側壁面部の所望の部位に、所望の開口面積を有する開口部50が少なくとも一つが設けられており、当該開口部50から、当該コンクリート部3の少なくとも一部が外部に露出せしめられている様に構成するものである。
本発明に於ける当該開口部50の大きさや形状或いはその個数は特に限定されるものではなく、適宜に当業者が決定する事が出来る。
係る構成を採用した事によって、本発明に係る当該床版1を使用した各種の橋梁構造に於いては、所定の期間毎に定期的に当該鋼製型枠床版1内の鉄筋や、接合手段、接合固定手段等の腐蝕の有無或いはその進行程度を検査するに際しては、単に、当該開口部50に露出している当該コンクリート部に当該自然電位法による電位測定装置の一方の電極を接触させると同時に、当該床版1の鋼製型枠部14に於ける当該底鋼板21の任意の部位、好ましくは、当該開口部50に近接した部位に他方の電極を接触させる事によって、極めて簡単に、非破壊方法によって、容易且つ迅速に当該電位差を測定する事が可能となる。
更に、本発明に於いては、当該開口部50には、当該開口部50を任意に開口状態にしたり、閉鎖状態にする事が出来る、当該開口部50を被覆する開閉自在に構成された蓋部51が設けられている事も好ましい。
係る構成を採用する事によって、当該検査の際のみ、当該蓋部51を移動させて、当該開口部50を開口させ、当該検査時以外の時間帯では、当該開口部50を常時当該蓋部51で被覆しておくことにより、当該開口部から水或いは化学薬品、油類等が当該コンクリート部3内に浸透する事を防止する様に構成されている。
本発明に於いて、上記した当該床版1内に配置されている当該鉄筋構成体2を構成する上部鉄筋15、下部鉄筋16、配力筋37及びそれらを接合する吊り金具17或いはリベット31、ボルト5、アングル35等を構成する金属材料の腐蝕程度或いは腐蝕状態を非破壊方式によって検出する技術の開発に関連して、当該金属部材等の腐蝕を積極的に防止する方法に関しても鋭意検討した結果、当該各金属製部材を構成する金属の組成に関しては特に限定されるものではないが、本発明者等が多数の実験を通じて、鋭意検討した結果、当該鋼製型枠14を構成している金属材料として、当該鋼製型枠14内に設置している鉄筋構成体2を構成している個々の鉄筋15、17、37等を構成している金属材料よりもイオン化傾向の大きい金属材料を用いることで、内部に設置している当該鉄筋構成体2と連結されている吊り金具17を通じて、当該鋼製型枠14より当該鉄筋等を防食する電流が流れ、それによって当該鋼製型枠14内部の鉄筋等が腐食しない事を知得した。
1…床版
2…鉄筋構成体
3…コンクリート層
4…コンクリート下端面部
5…ボルト部
6…ネジ部
11…橋梁
13…アスファルト層
14…鋼製型枠部
15…上部主鉄筋
16…下部主鉄筋
17…吊り金具(支持部材)
17a、17b…かしめ部、屈曲部
21…鋼製底板
23…側壁部
27…折曲部
28…穴部
31…接合固定手段、リベット
35…アングル
37…配力筋
39…結合手段、針金
40…鉄筋構成体の下端面
50…開口部
51…蓋部
53…橋脚
55…橋台
57…橋桁
80…腐蝕計測装置、電位差計
A…第1の電極部
B…第2の電極部
C…中心軸
E…ひび割れ部
O…開口部
Q…開口部
R…連結接合部

Claims (14)

  1. 複数本の鉄筋が格子状に相互に接合されて構成されている鉄筋構成体と当該鉄筋構成体の少なくとも下端面部を被覆している鋼製型枠部と当該鋼製型枠部内で、当該鉄筋構成体を内包する様に配置されているコンクリート部とで構成されている床版であって、当該コンクリート部の下端面部の近傍で、当該コンクリート部内に内包されている当該鉄筋構成体の少なくとも一部若しくは当該鉄筋構成体の一部と当該コンクリート部の下端面部に対向して配置されている鋼製型枠部の底板部の一部とが、適宜の接合固定手段により相互に接合固定されている床版に於いて、当該鋼製型枠部の底板部の少なくとも一部に、当該接合固定手段とは別に、当該底板部の外部から当該コンクリート部の内部に向けて所定の長さのネジ部を有するボルトが埋め込まれている事を特徴とする床版。
  2. 当該ボルトは、当該コンクリート部の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さが、当該コンクリート部の厚みの半分の長さよりも長く設定されている事を特徴とする請求項1に記載の床版。
  3. 当該ボルトは、当該コンクリート部の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さが、予め想定される当該コンクリート部に発生するひび割れの垂直方向の長さに等しいかそれ以上の長さを有する様に設定されている事を特徴とする請求項1に記載の床版。
  4. 当該ボルトの当該埋め込み部の長さは、当該埋め込み部の先端部が、当該コンクリート部の中立軸を超えて、当該ボルトの埋め込み側からみて、その反対側の領域にまで突出する様な長さに設定されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の床版。
  5. 当該ボルトの当該埋め込み部の長さは、当該コンクリート部3の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さDが、当該コンクリート部の繰り返し圧縮作用を受ける部分迄の長さに設定されている事を特徴とする請求項1に記載の床版。
  6. 当該ボルトの当該埋め込み部の長さは、当該コンクリート部3の内部に埋め込まれる埋め込み部の長さDが、当該コンクリート部の繰り返し圧縮作用を受ける部分迄の長さよりも長くなる様に設定されている事を特徴とする請求項5に記載の床版。
  7. 当該ボルトの当該埋め込み部の長さは、事前の調査で判明している、予め想定される当該コンクリート部3における繰り返し圧縮作用を受ける部位の近傍で、当該床版の上面からのコンクリート被りを確保するような位置迄の長さに設定されている事を特徴とする請求項5又は7に記載の床版。
  8. 当該ボルトが、当該鋼製型枠部の底板部の外側から埋め込まれる部位に於いて、隣接して配置されている当該ボルト間の当該鋼製型枠部の底板部の長手方向に対する相互の間隔は、当該鋼製型枠部の底板部の長手方向と直交する方向に対する相互の間隔よりも広くなる様に設定されている事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の床版。
  9. 当該床版は、複数個の鋼製型枠床版ユニットが相互に、当該主鉄筋若しくは配力筋の配列方向に沿って、適宜の連結手段を介して連結されている事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の床版。
  10. 当該ボルトは、相互に隣接して配列されている複数個の当該床版ユニット間に形成されている相互連結部に沿って埋め込み配置されている事を特徴とする請求項9に記載の床版。
  11. 複数の当該床版ユニット間の当該鋼製型枠部の底板部が相互に隣接されて接合されている部位の近傍部位に於いて、当該鋼製型枠部の底板部に埋め込まれている当該ボルトの単位埋め込み密度は、それ以外の部位に於いて埋め込まれている当該ボルトの単位埋め込み密度よりも大きく設定されている事を特徴とする請求項9又は10に記載の床版。
  12. 当該鋼製型枠部の底板部若しくはその側面部の所望の部位に、所望の開口面積を有する開口部が設けられており、当該開口部から、当該コンクリート部の少なくとも一部が露出せしめられている事を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の床版。
  13. 当該開口部には、当該開口部を開閉自在に被覆する様に構成された蓋部が設けられている事を特徴とする請求項12に記載の床版。
  14. 当該床版に於いて、当該鋼製型枠に、当該鋼製型枠内に設置している当該鉄筋を構成する金属よりイオン化傾向の大きい金属を用いる事を特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の床版。
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