JP2013253294A - 水電解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、太陽電池の光起電力を利用して効率よく水素ガスを発生させることができ、簡素化することができる水電解装置を提供する。
【解決手段】本発明の水電解装置は、光電変換部と水電解部と少なくとも1つのスイッチとを備え、前記水電解部は、第1電解用電極と第2電解用電極とからなる電極対を少なくとも1つ有し、前記光電変換部は、少なくとも1つの光電変換ユニットを有し、前記光電変換ユニットは、少なくとも1つの光電変換セルを備え、前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、水電解装置に関する。
太陽電池は、二酸化炭素を発生しないクリーンな電源として普及が進んでいる。しかし、太陽電池は受光量により発電量が変動するため、太陽電池の光起電力を利用して水を電気分解し水素ガスとしてエネルギーを貯蔵することが検討されている。
しかし、水の電気分解により効率よく水素ガスを発生させるためには、電解用電極に水の理論分解電圧(1.23V)よりも水電解過電圧だけ高い電圧を印加する必要がある。このため、従来の水電解システムでは、DC−DCコンバーターを介して太陽電池の光起電力を水電解装置に出力している(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平7−233493号公報 特開2002−88493号公報
しかし、従来の水電解システムでは、DC−DCコンバーターにおいてエネルギー損失が生じている。また、DC−DCコンバーターが必要なため、システムが大型化してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、太陽電池の光起電力を利用して効率よく水素ガスを発生させることができ、簡素化することができる水電解装置を提供する。
本発明は、光電変換部と水電解部と少なくとも1つのスイッチとを備え、前記水電解部は、第1電解用電極と第2電解用電極とからなる電極対を少なくとも1つ有し、前記光電変換部は、少なくとも1つの光電変換ユニットを有し、前記光電変換ユニットは、少なくとも1つの光電変換セルを備え、前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることを特徴とする水電解装置を提供する。
本発明によれば、光電変換ユニットの光起電力を外部出力できるため、光電変換ユニットを電源として利用することができる。
本発明によれば、光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力するため、水の電気分解に適した電圧の電力を第1および第2電解用電極に出力することが可能であり、効率よく水素ガスを発生させることができる。また、効率よく水を電気分解するためにDC−DCコンバーターが必要ではなく、水電解装置を簡素化することができる。
本発明によれば、外部出力する電路と水電解する電路とをスイッチにより選択的に形成するように設けられているため、光電変換ユニットの光起電力を外部回路と水電解部の両方で利用することができる。
本発明の一実施形態の水電解装置の構成を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態の水電解装置の概略回路図である。 本発明の一実施形態の水電解装置の構成を示す概略平面図である。 図3の一点鎖線A−Aにおける水電解装置の概略断面図である。 本発明の一実施形態の水電解装置の概略回路図である。
本発明の水電解装置は、光電変換部と水電解部と少なくとも1つのスイッチとを備え、前記水電解部は、第1電解用電極と第2電解用電極とからなる電極対を少なくとも1つ有し、前記光電変換部は、少なくとも1つの光電変換ユニットを有し、前記光電変換ユニットは、少なくとも1つの光電変換セルを備え、前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることを特徴とする。
本発明の水電解装置において、前記スイッチは、複数であり、前記光電変換ユニットは、複数であり、前記スイッチは、前記光電変換ユニットを直列接続して得られる光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力または1つの前記光電変換ユニットから得られる光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、直列接続する光電変換ユニットの光起電力を外部出力できるため、電源として利用しやすい高電圧の電力を外部出力することができる。また、並列接続する光電変換ユニットの光起電力または1つの光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力するため、水の電気分解に適した電圧の電力を第1および第2電解用電極に出力することができ、効率よく水素ガスを発生させることができる。また、効率よく水を電気分解するためにDC−DCコンバーターが必要ではなく、水電解装置を簡素化することができる。さらに、スイッチが複数であるため、様々な電路を形成することができる。
本発明の水電解装置において、前記スイッチは、複数であり、前記光電変換ユニットは、複数であり、前記スイッチは、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力または1つの前記光電変換ユニットから得られる光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力を外部出力できるため、外部装置の入力電圧を有する電力を外部出力することができる。
本発明の水電解装置において、前記光電変換ユニットは、1.3V以上2.5V以下の電圧の光起電力が生じるように構成されたことが好ましい。
このような構成によれば、並列接続された光電変換ユニットまたは1つの光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力することにより効率よく水を電気分解することができる。
本発明の水電解装置において、水電解部は、前記光電変換ユニットの光起電力により水を電気分解し水素ガスおよび酸素ガスを発生させることが好ましい。
このような構成によれば、本発明の水電解装置により水素ガスを製造することができる。
本発明の水電解装置において、前記光電変換ユニットは、直列接続した複数の光電変換セルを備えることが好ましい。
このような構成によれば、光電変換ユニットに含まれる光電変換セルの数により光電変換ユニットの光起電力の電圧を制御することができる。
本発明の水電解装置において、前記スイッチは、FET素子またはリレー素子であることが好ましい。
このような構成によれば、スイッチのON・OFFを容易に制御することができる。
本発明の水電解装置において、スイッチ制御部をさらに備え、前記スイッチ制御部は、前記スイッチの切り替えを制御することが好ましい。
このような構成によれば、スイッチ制御部によりスイッチのON・OFFを制御することができる。
本発明の水電解装置において、前記スイッチは、複数の前記光電変換ユニットのうち一部の前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力し他の前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路を形成できるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、光電変換部の発電量および電力需要に応じて、光電変換部の光起電力を外部回路と第1および第2電解用電極の両方に出力することができる。
本発明の水電解装置において、前記水電解部は、第1および第2の前記電極対を備え、前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を第1の前記電極対に出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第2の前記電極対に出力する電路とを選択的に形成できるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、光電変換ユニットの光起電力を出力する電極対を変更することができ、特定の電極対のみが長時間使用され劣化するのを抑制することができる。
本発明の水電解装置において、前記水電解部は、第1および第2の前記電極対を備え、前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2の前記電極対の両方に出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1の前記電極対に出力する電路とを選択的に形成できるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、光電変換部の発電量に応じて、光電変換ユニットの光起電力を出力する電極対の数を変更することができ、より効率的に水素ガスを製造することができる。
本発明の水電解装置において、前記光電変換ユニットおよび前記スイッチは、1つの基板上に設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、配線距離を短くすることができ、光電変換ユニットの光起電力を効率よく第1および第2電解用電極に出力することができる。また、1つの基板上に複数の光電変換ユニットおよび複数のスイッチを集約することができる。
本発明の水電解装置において、前記光電変換部は、受光面とその裏面とを有し、前記水電解部は、前記光電変換部の裏面側に設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、光電変換ユニットと第1および第2電解用電極との間の配線距離を短くすることができ、光電変換ユニットの光起電力を効率よく利用して水素ガスおよび酸素ガスを発生させることができる。また、水電解部と光電変換部とを同じスペースに設置すること可能になり、水電解装置を小型化することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
水電解装置の構成
図1は本実施形態の水電解装置の構成を示す概略説明図であり、図2は本実施形態の水電解装置の概略回路図である。また、図3は、本実施形態の水電解装置の構成を示す概略平面図であり、図4は、図3の一点鎖線A−Aにおける水電解装置の概略断面図であり、図5は、本実施形態の水電解装置の概略回路図である。
本実施形態の水電解装置20は、光電変換部1と水電解部2と少なくとも1つのスイッチ11とを備え、水電解部1は、第1電解用電極4と第2電解用電極5とからなる電極対6を少なくとも1つ有し、光電変換部1は、少なくとも1つの光電変換ユニット8を有し、光電変換ユニット8は、少なくとも1つの光電変換セル15を備え、スイッチ11は、光電変換ユニット8の光起電力を外部出力する電路と、光電変換ユニット8の光起電力を第1および第2電解用電極4、5に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることを特徴とする。
以下、本実施形態の水電解装置20について説明する。
1.水電解部
水電解部2は、第1電解用電極4と第2電解用電極5とからなる電極対6を少なくとも1つ有する。また、第1電解用電極4と第2電解用電極5とは、電解液27中に設けられる。このことにより、第1電解用電極4と第2電解用電極5との間に電圧を印加することにより電解液に含まれる水を電気分解し水素ガスおよび酸素ガスを発生させることができる。
電極対6は、光電変換部1に含まれる光電変換ユニット8の光起電力が出力されるように設けられる。電極対6と光電変換ユニット8との電気的接続関係は、後述するスイッチ11の説明において説明する。
第1電解用電極4および第2電解用電極5は、同じ電解液槽28に溜めた電解液27中に設けられてもよく、固体電解質を隔てて設けられた2つの電解液槽に溜めた電解液中にそれぞれ設けられてもよい。固体電解質は、第1電解用電極4と第2電解用電極5との間の隔壁40であってもよい。このことにより、発生させた水素ガスおよび酸素ガスが混合することを防止することができる。
固体電解質としては、当該分野で公知の固体電解質をいずれも使用でき、プロトン伝導性膜、カチオン交換膜、アニオン交換膜等を使用できる。
第1電解用電極4と第2電解用電極5とからなる電極対6は、図1のように1つであってもよく、図4のように複数であってもよい。電極対6を1つにすることにより、製造コストを低減することができる。また、電極対6を複数にすることにより、それぞれの電極対6で水素ガスおよび酸素ガスを発生させることが可能になり、光電変換部1の光起電力を利用して効率よく水素ガスを製造することができる。また、光電変換部1の発電量に応じて光起電力を出力する電極対6の数を変更することができ、より効率よく水素ガスを製造することができる。
水電解部2は、図4のように光電変換部1の裏面側に設けることができる。このことにより、光電変換ユニット8と第1および第2電解用電極4、5との間の配線距離を短くすることができ、光電変換ユニット8の光起電力を効率よく利用して水素ガスおよび酸素ガスを発生させることができる。また、水電解部2と光電変換部1とを同じスペースに設置すること可能になり、水電解装置20を小型化することができる。
また、水電解部2は、図4のように扁平な形状にすることができる。このことにより、水電解装置20が設置しやすくなる。
第1電解用電極4および第2電解用電極5のうち少なくとも一方は、触媒が担持された多孔質の導電体であることが好ましい。このような構成によれば、第1電解用電極4および第2電解用電極5のうち少なくとも一方の触媒表面積を大きくすることができ、より効率的に水素ガスまたは酸素ガスを発生させることができる。また、多孔質の導電体を用いることにより、光電変換部1と触媒との間の電流が流れることによる電位の変化を抑制することができ、より効率的に水素ガスまたは酸素ガスを発生させることができる。
第1電解用電極4および第2電解用電極5のうち、一方は水素発生部であり、他方が酸素発生部である。
水素発生部は、電解液からH2を発生させる部分であり、第1電解用電極4および第2電解用電極5のうちどちらか一方である。
また、水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の水素発生触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からH2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。また、電解液からH2が発生する反応の過電圧を小さくすることができる。
水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、水素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。さらに、水素発生部は、水素発生触媒を含んでよく、水素発生触媒は、Pt、Ir、Ru、Pd、Rh、Au、Fe、NiおよびSeのうち少なくとも1つを含んでもよい。このような構成によれば、光電変換部1で生じる起電力により、より速い反応速度で水素ガスを発生させることができる。
電解液からH2が発生する反応の触媒(水素発生触媒)は、2つのプロトンと2つの電子から1分子の水素への変換を促進する触媒であり、化学的に安定であり、水素生成過電圧が小さい材料を用いることができる。例えば、水素に対して触媒活性を有するPt,Ir,Ru,Pd,Rh,Au等の白金族金属およびその合金あるいは化合物、水素生成酵素であるヒドロゲナーゼの活性中心を構成するFe,Ni,Seの合金あるいは化合物、およびこれらの組み合わせ等を好適に用いることが可能である。中でもPtおよびPtを含有するナノ構造体は水素発生過電圧が小さく好適に用いることが可能である。光照射により水素発生反応が確認されるCdS,CdSe,ZnS,ZrO2などの材料を用いることもできる。
水素発生触媒を導電体に担持することができる。触媒を担持する導電体としては、金属材料、炭素質材料、導電性を有する無機材料等が挙げられる。
金属材料としては、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する材料が好ましい。具体的には、Au、Pt、Pd等の貴金属、Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cr、Ag、Cu、Zn、Su、Si等の金属並びにこれらの金属の窒化物および炭化物、ステンレス鋼、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金が挙げられる。金属材料には、Pt、Ti、Au、Ag、Cu、Ni、Wからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが、他の化学的な副反応が少ないという観点から、より好ましい。これら金属材料は、比較的電気抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下を抑制することができる。また、Cu、Ag、Zn等の酸性雰囲気下での耐腐食性に乏しい金属材料を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属および金属、カーボン、グラファイト、グラッシーカーボン、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等によって耐腐食性に乏しい金属の表面をコーティングしてもよい。
炭素質材料としては、化学的に安定で導電性を有する材料が好ましい。例えば、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、VGCF、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン等の炭素粉末や炭素繊維が挙げられる。
導電性を有する無機材料としては、例えば、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、SnO2、酸化アンチモンドープ酸化スズが挙げられる。
なお、導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられ、導電性窒化物としては、窒化炭素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化ゲルマニウム、窒化チタニウム、窒化ジルコニウム、窒化タリウム等が挙げられ、導電性炭化物としては、炭化タンタル、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタニウム、炭化モリブデン、炭化ニオブ、炭化鉄、炭化ニッケル、炭化ハフニウム、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化クロム等が挙げられ、導電性酸化物としては、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンドープ酸化スズ等が挙げられる。
水素発生触媒を担持する導電体の構造としては、板状、箔状、棒状、メッシュ状、ラス板状、多孔質板状、多孔質棒状、織布状、不織布状、繊維状、フェルト状が好適に使用できる。また、フェルト状電極の表面を溝状に圧着した溝付き導電体は、電気抵抗と電極液の流動抵抗を低減できるので好適である。
酸素発生部は、電解液からO2を発生させる部分であり、第1電解用電極4および第2電解用電極5のうちどちらか一方である。
また、酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からO2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。また、電解液からO2が発生する反応の過電圧を小さくすることができる。
酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、酸素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。さらに、酸素発生部は、酸素発生触媒を含んでもよく、酸素発生触媒は、Mn、Ca、Zn、CoおよびIrのうち少なくとも1つを含んでもよい。このような構成によれば、光電変換部で生じる起電力により、より速い反応速度で酸素を発生させることができる。
電解液からO2が発生する反応の触媒(酸素発生触媒)は、2つの水分子から1分子の酸素および4つのプロトンと4つの電子への変換を促進する触媒であり、化学的に安定であり、酸素発生過電圧が小さい材料を用いることができる。例えば、光を用い水から酸素発生を行う反応を触媒する酵素であるPhotosystem IIの活性中心を担うMn,Ca,Zn,Coを含む酸化物あるいは化合物や、Pt,RuO2,IrO2等の白金族金属を含む化合物や、Ti,Zr,Nb,Ta,W,Ce,Fe,Ni等の遷移金属を含む酸化物あるいは化合物、および上記材料の組み合わせ等を用いることが可能である。中でも酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、リン酸コバルトは、過電圧が小さく酸素発生効率が高いことから好適に用いることができる。
酸素発生触媒を導電体に担持することができる。触媒を担持する導電体としては、金属材料、炭素質材料、導電性を有する無機材料等が挙げられる。これらの説明は、上述の水素発生触媒についての説明が矛盾がない限り当てはまる。
水素発生触媒および酸素発生触媒の単独の触媒活性が小さい場合、助触媒を用いることも可能である。例えば、Ni,Cr,Rh,Mo,Co,Seの酸化物あるいは化合物などが挙げられる。
なお、水素発生触媒、酸素発生触媒の担持方法は、導電体もしくは半導体に直接塗布する方法や、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法等の乾式塗工法、電析法など、材料により適宜その手法を変え作製ことが可能である。光電変換部と触媒の間に適宜導電物質を担持することが可能である。また水素発生および酸素発生のための触媒活性が十分でない場合、金属やカーボン等の多孔質体や繊維状物質、ナノ粒子等に担持することにより反応表面積を大きくし、水素及び酸素発生速度を向上させることが可能である。
電解液は、電解質を含む水溶液であり、例えば、0.1MのH2SO4を含む電解液、0.1Mリン酸カリウム緩衝液などである。
2.光電変換部
光電変換部1は、太陽光などを受光し光起電力が生じる光電変換セル15を備える部分である。1つまたは複数の光電変換セル15は、光電変換ユニット8を構成することができる。光電変換ユニット8は、1.3V以上2.5V以下の電圧の光起電力が生じるように構成することができる。このことにより、光電変換ユニット8の光起電力を第1および第2電解用電極4、5に出力する際に、電圧を変換する必要がなく、光電変換ユニット8の光起電力を効率よく水素ガスの製造に利用することができる。なお、ここで光電変換ユニット8の光起電力の電圧とは、開放電圧をいう。
水の理論分解電圧は、1.23Vであるため、光電変換ユニット8の光起電力の電圧を1.3V以上とすることにより、水を電解し水素ガスを製造することが可能である。なお、第1および第2電解用電極4、5に出力する電圧は、光電変換セル15と第1および第2電解用電極4、5との間の配線抵抗や第1および第2電解用電極4、5における過電圧を考慮して水の理論分解電圧よりも高くする必要があるため、装置により変更する必要がある。
光電変換ユニット8の光起電力の電圧を2.5V以下とすることにより、水を電気分解し水素ガスおよび酸素ガスを発生させることができる十分な電圧を第1および第2電解用電極4、5に印加することができ、効率よく水素ガスおよび酸素ガスを発生させることができる。
光電変換セル15の光起電力の電圧は、光電変換セル15に含まれる光電変換層の材料、光電変換層の積層数などにより決まる。1つの光電変換セル15が、1.3V以上2.5V以下の電圧が生じるように構成されている場合、光電変換ユニット8は1つの光電変換セル15により構成することができる。1つの光電変換セル15が1.25V以下の電圧が生じるように構成されている場合、光電変換ユニット8は、直列接続された複数の光電変換セル15により構成することができる。光電変換ユニット8を構成する光電変換セル15の数は、光電変換ユニット8の光起電力の電圧が1.3V以上2.5V以下となるように決めることができる。例えば、図1〜5に示したような水電解装置20の場合、光電変換ユニット8は、直列接続した4つの光電変換セル15により構成することができる。
また、光電変換ユニット8に含まれる複数の光電変換セル15は、例えば、コンタクトラインにより直列接続させてもよく、インターコネクタにより直列接続されてもよい。
複数の光電変換ユニット8は、複数のスイッチ11を介して並列に接続することができ、また、複数のスイッチ11を介して直列に接続することができる。例えば、図1〜5に示したような水電解装置20の場合、光電変換部1は4つの光電変換ユニット8を有することができる。
複数の光電変換ユニット8および複数のスイッチ11は、1つの基板上に設けられてもよい。このことにより配線距離を短くすることができ、光電変換ユニット8の光起電力を効率よく第1および第2電解用電極4、5に出力することができる。
また、光電変換部1は、図1、3、4のように基板25上に設けられ、受光面と裏面とを有してもよい。このことにより、基板25上に複数の光電変換ユニット8および複数のスイッチ11を集約することができる。
光電変換セル15は、光電変換層と第1および第2光電変換用電極とからなってもよい。光電変換層を構成する材料は、シリコン系半導体、化合物半導体、有機材料をベースとしたものなどが挙げられるが、いずれの光電変換材料も使用することが可能である。また、光起電力を大きくするために、これらの光電変換材料からなる光電変換層を積層することが可能である。積層する場合には同一材料で多接合構造を形成することが可能であるが、光学的バンドギャップの異なる複数の光電変換層を積層し、各々の光電変換層の低感度波長領域を相互に補完することにより、広い波長領域にわたり入射光を効率よく吸収することが可能となる。これらの複数の光電変換層は、それぞれ異なるバンドギャップを有することが好ましい。このような構成によれば、光電変換セル15で生じる光起電力をより大きくすることができる。
また、光電変換層間の直列接続特性の改善や、光電変換セル15で発生する光電流の整合のために、層間に透明導電膜等の導電体を介在させることが可能である。これにより光電変換セル15の劣化を抑制することが可能となる。
光電変換セル15に含まれる光電変換層の例を以下に具体的に説明する。
2−1.シリコン系半導体を用いた光電変換層
シリコン系半導体を用いた光電変換層は、例えば、単結晶型、多結晶型、アモルファス型、球状シリコン型、及びこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。いずれもp型半導体とn型半導体が接合したpn接合を有することができる。また、p型半導体とn型半導体との間にi型半導体を設けたpin接合を有するものとすることもできる。また、pn接合を複数有するもの、pin接合を複数有するもの、pn接合とpin接合を有するものとすることもできる。
シリコン系半導体とは、シリコンを含む半導体であり、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどである。また、シリコンなどにn型不純物またはp型不純物が添加されたものも含み、また、結晶質、非晶質、微結晶のものも含む。
また、シリコン系半導体を用いた光電変換セル15は、透光性基板の上に薄膜または厚膜の光電変換層を形成したものであってもよく、また、シリコンウェハなどのウェハにpn接合またはpin接合を形成したものでもよく、また、pn接合またはpin接合を形成したウェハの上に薄膜の光電変換層を形成したものでもよい。
シリコン系半導体を用いた光電変換層の形成例を以下に示す。
透光性基板上に積層した第1光電変換電極上に、第1導電型半導体層をプラズマCVD法等の方法で形成する。この第1導電型半導体層としては、導電型決定不純物原子濃度が1×1018〜5×1021/cm3程度ドープされた、p+型またはn+型の非晶質Si薄膜、または多結晶あるいは微結晶Si薄膜とする。第1導電型半導体層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,Six1-x等の化合物を用いることも可能である。
このように形成された第1導電型半導体層上に、結晶質Si系光活性層として多結晶あるいは微結晶の結晶質Si薄膜をプラズマCVD法等の方法で形成する。なお、導電型は第1導電型半導体よりドーピング濃度が低い第1導電型とするか、あるいはi型とする。結晶質Si系光活性層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,Six1-x等の化合物を用いることも可能である。
次に、結晶質Si系光活性層上に半導体接合を形成するため、第1導電型半導体層とは反対導電型である第2導電型半導体層をプラズマCVD等の方法で形成する。この第2導電型半導体層としては、導電型決定不純物原子が1×1018〜5×1021/cm3程度ドープされた、n+型またはp+型の非晶質Si薄膜、または多結晶あるいは微結晶Si薄膜とする。第2導電型半導体層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,Six1-x等の化合物を用いることも可能である。また接合特性をより改善するために、結晶質Si系光活性層と第2導電型半導体層との間に、実質的にi型の非単結晶Si系薄膜を挿入することも可能である。このようにして、受光面に最も近い光電変換層を一層積層することができる。
続けて第二層目の光電変換層を形成する。第二層目の光電変換層は、第1導電型半導体層、結晶質Si系光活性層、第2導電型半導体層からなり、それぞれの層は、第一層目の光電変換層中の対応する第1導電型半導体層、結晶質Si系光活性層、第2導電型半導体層と同様に形成する。二層のタンデムで水分解に十分な電圧を得ることができない場合は、三層あるいはそれ以上の層状構造を取ることが好ましい。ただし第二層目の光電変換層の結晶質Si系光活性層の体積結晶化分率は、第一層目の結晶質Si系光活性層と比較すると高くすることが好ましい。三層以上積層する場合も同様に下層と比較すると体積結晶化分率を高くすることが好ましい。これは、長波長域での吸収が大きくなり、分光感度が長波長側にシフトし、同じSi材料を用いて光活性層を構成した場合においても、広い波長域で感度を向上させることが可能となるためである。すなわち、結晶化率の異なるSiでタンデム構造にすることにより、分光感度が広くなり、光の高効率利用が可能となる。このとき低結晶化率材料を受光面側にしないと高効率とならない。また結晶化率が40%以下に下がるとアモルファス成分が増え、劣化が生じてしまう。
次に、シリコン基板を用いた光電変換層の形成例を以下に示す。
シリコン基板としては、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板などを用いることができ、p型であっても、n型であっても、i型であってもよい。このシリコン基板の一部にPなどのn型不純物を熱拡散またはイオン注入などによりドープすることによりn型半導体部を形成し、シリコン基板のほかの一部にBなどのp型不純物を熱拡散またはイオン注入などによりドープすることによりp型半導体部を形成することができる。このことにより、シリコン基板にpn接合、pin接合、npp+接合またはpnn+接合などを形成することができ、光電変換層を形成することができる。
ここではシリコン基板を用いて説明したが、pn接合、pin接合、npp+接合またはpnn+接合などを形成することができる他の半導体基板を用いてもよい。また、n型半導体部およびp型半導体部を形成することができれば、半導体基板に限定されず、基板上に形成された半導体層であってもよい。
2−2.化合物半導体を用いた光電変換層
化合物半導体を用いた光電変換層は、例えば、III−V族元素で構成されるGaP、GaAsやInP、InAs、II−VI族元素で構成されるCdTe/CdS、I−III−VI族で構成されるCIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)などを用いpn接合を形成したものが挙げられる。
化合物半導体を用いた光電変換層の製造方法の一例を以下に示すが、本製造方法では、製膜処理等はすべて有機金属気相成長法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置を使って連続して行われる。III族元素の材料としては、例えばトリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリメチルインジウムなどの有機金属が水素をキャリアガスとして成長装置に供給される。V族元素の材料としては、例えばアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)、スチビン(SbH3)等のガスが使われる。p型不純物またはn型不純物のドーパントとしては、例えばp型化にはジエチルジンク、またはn型化には、モノシラン(SiH4)やジシラン(Si26)、セレン化水素(H2Se)等が利用される。これらの原料ガスを、例えば700℃に加熱された基板上に供給することにより熱分解させ、所望の化合物半導体材料膜をエピタキシャル成長させることが可能である。これら成長層の組成は導入するガス組成により、また膜厚はガスの導入時間によって制御することが可能である。これらの光電変換部を多接合積層する場合は、層間での格子定数を可能な限り合わせることにより、結晶性に優れた成長層を形成することができ、光電変換効率を向上することが可能となる。
pn接合を形成した部分以外にも、例えば受光面側に公知の窓層や、非受光面側に公知の電界層等を設けることによりキャリア収集効率を高める工夫を有してもよい。また不純物の拡散を防止するためのバッファ層を有していてもよい。
2−3.色素増感剤を利用した光電変換層
色素増感剤を利用した光電変換層は、例えば、主に多孔質半導体、色素増感剤、電解質、溶媒などにより構成される。
多孔質半導体を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等公知の半導体から1種類以上を選択することが可能である。多孔質半導体を基板上に形成する方法としては、半導体粒子を含有するペーストをスクリーン印刷法、インクジェット法等で塗布し乾燥もしくは焼成する方法や、原料ガスを用いたCVD法等により製膜する方法、PVD法、蒸着法、スパッタ法、ゾルゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法等が挙げられる。
多孔質半導体に吸着する色素増感剤としては、可視光領域および赤外光領域に吸収を持つ種々の色素を用いることが可能である。ここで、多孔質半導体に色素を強固に吸着させるには、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等が存在することが好ましい。これらの官能基は、励起状態の色素と多孔質半導体の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供する。
これらの官能基を含有する色素として、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
多孔質半導体への色素の吸着方法としては、例えば多孔質半導体を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素吸着用溶液に用いられる溶媒としては、色素を溶解するものであれば特に制限されず、具体的には、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、水等を挙げることができる。
電解質は、酸化還元対とこれを保持する液体または高分子ゲル等固体の媒体からなる。
酸化還元対としては一般に、鉄系、コバルト系等の金属類や塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン物質が好適に用いられ、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせが好ましく用いられる。さらに、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド等のイミダゾール塩等を混入することもできる。
また、溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール、メタノール等のアルコール、その他、水や非プロトン極性物質等が用いられるが、中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好適に用いられる。
2−4.有機薄膜を用いた光電変換層
有機薄膜を用いた光電変換層は、電子供与性および電子受容性を持つ有機半導体材料で構成される電子正孔輸送層、または電子受容性を有する電子輸送層と電子供与性を有する正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。
電子供与性の有機半導体材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されないが、塗布法により製膜できることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子が好適に使用される。
ここで導電性高分子とはπ共役高分子を示し、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系からなり、半導体的性質を示すものをさす。
電子供与性の導電性高分子材料としては、例えばポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、共重合体、あるいはフタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマー等が挙げられる。中でも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好適に利用される。
電子受容性の有機半導体材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されないが、塗布法により製膜できることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子が好適に使用される。
電子受容性の導電性高分子としては、例えばポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、共重合体、あるいはカーボンナノチューブ、フラーレンおよびこれらの誘導体、CN基またはCF3基含有ポリマーおよびそれらの−CF3置換ポリマー等が挙げられる。
また、電子供与性化合物がドープされた電子受容性の有機半導体材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性の有機半導体材料等を用いることが可能である。電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述の電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子供与性化合物としては、例えばLi、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl3、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
3.スイッチ、スイッチ制御部
水電解装置20は、少なくとも1つのスイッチ11を備える。
スイッチ11は、光電変換ユニット8の光起電力を出力する電路を切り替えることができるものであれば特に限定されないが、例えば、FET素子からなるスイッチ、リレー素子からなるスイッチである。複数のスイッチ11は、図1、2のようにスイッチ部10にまとめて設けられてもよく、分割して設けられてもよい。
また、複数のスイッチ11は、複数の光電変換ユニット8と共に1つの基板上に設けることができる。このことにより、水電解装置20を小型化することができる。また、配線距離を短くすることもできる。
複数のスイッチ11は、例えば、図2に示した回路図のように設けることができる。
ここでは、図1、2に示したような水電解装置20について、複数のスイッチ(SW1〜SW16)を用いて複数の光電変換ユニット8の光起電力を出力する電路を切り替える方法について説明する。
図1、2に示した水電解装置20は、4つの光電変換セル15を有する光電変換ユニット8を4つ備えている。光電変換ユニット8に含まれる光電変換セル15は直列接続している。
光電変換ユニット8a〜8dを直列接続し、光起電力を外部回路に出力する電路に複数のスイッチ11により切り替える場合、SW1〜3、10〜14をONとし、SW4〜9、15、16をOFFとする。このような電路とすることにより、利用しやすい高電圧の電力を外部回路に供給することができる。
光電変換ユニット8a〜8dを並列接続し、光起電力を第1および第2電解用電極4、5に出力する電路に複数のスイッチ11により切り替える場合、SW4〜12、15、16をONとし、SW1〜3、13、14をOFFとする。このような電路とすることにより、比較的低い電圧の光起電力を水電解部2に出力することができ、水を効率よく電気分解し水素ガスを発生させることができる。また、この場合、光電変換ユニット8の光起電力を1.3V以上2.5V以下とすることにより、水を効率よく電気分解し水素ガスを発生させることができる。
光電変換ユニット8a〜8cを直列接続し、光起電力を外部回路に出力し、光電変換ユニット8dの光起電力を第1および第2電解用電極4、5に出力する電路に複数のスイッチ11により切り替える場合、SW1、2、9〜11、13〜16をONとし、SW3〜8、12をOFFとする。このような電路にすることにより、光電変換部1の光起電力のうち一部を外部回路に出力し他を水電解部2に出力することができる。このように切り替えを可能にすることにより、電力需要や光電変換部1の発電量などに応じて光起電力の出力先を変更することができ、光電変換部1の光起電力をより有効に利用することができる。
次に、図3〜5に示したような水電解装置20について、複数のスイッチ(SW1〜SW19)を用いて複数の光電変換ユニット8の光起電力を出力する電路を切り替える方法について説明する。
図3〜5に示した水電解装置20において、水電解部2は光電変換部1の裏面側に設けられ、第1電解用電極4と第2電解用電極5からなる電極対6を4つ備えている。また、この水電解装置20は、4つの光電変換セル15を有する光電変換ユニット8を4つ備えている。光電変換ユニット8に含まれる光電変換セル15は直列接続している。
光電変換ユニット8a〜8dを直列接続し、光起電力を外部回路に出力する電路に複数のスイッチ11により切り替える場合、SW1〜3、18、19をONとし、SW4〜17をOFFとする。このような電路とすることにより、利用しやすい高電圧の電力を外部回路に供給することができる。
光電変換ユニット8a〜8dを並列接続し、光起電力を4つの電極対6a〜6dに出力する電路に複数のスイッチ11により切り替える場合、SW4〜17をONとし、SW1〜3、18、19をOFFとする。このような電路とすることにより、比較的低い電圧の光起電力を水電解部2に出力することができ、水を効率よく電気分解し水素ガスを発生させることができる。また、この場合、光電変換ユニット8の光起電力を1.3V以上2.5V以下とすることにより、水を効率よく電気分解し水素ガスを発生させることができる。
また、SW10〜17をONとし、SW1〜9およびSW18、19をOFFとすることにより、光電変換ユニット8a〜8dのそれぞれの光起電力を別々の電極対6に出力することもできる。
また、複数のスイッチ11は、光電変換ユニット8の光起電力を第1の電極対6に出力する電路と光電変換ユニット8の光起電力を第2の電極対6に出力する電路とを切り替えることができるように設けられてもよい。図5の回路図を用いて説明すると、SW4〜13をONとし、SW1〜3、14〜19をOFFとし光電変換ユニット8の光起電力を電極対6a、6bに出力する電路とした状態から、SW10〜13をOFFとしSW14〜17をONとすることにより光電変換ユニット8の光起電力を電極対6c、6dに出力する電路に切り替えることができる。このように出力する電極対6を切り替えることにより、特定の電極対6を用いて長時間、水を電気分解することを抑制することができ、特定の電極対6が劣化することを抑制することができる。
複数のスイッチ11は、光電変換ユニット8の光起電力を第1および第2の電極対6の両方に出力する電路と、光電変換ユニット8の光起電力を第1の電極対6に出力する電路とを切り替えることができるように設けられてもよい。図5の回路図を用いて説明すると、SW4〜17をONとし、SW1〜3、18、19をOFFとし光電変換ユニット8の光起電力を電極対6a〜6dに出力する電路とした状態から、SW16、17をOFFとすることにより光電変換ユニット8の光起電力を電極対6a〜6cに出力する電路に切り替えることができる。このように出力する電極対6を切り替えることにより、光電変換部1の発電量に応じて水電解を行う電極対6の数を変更することができ、水素ガスの製造効率を高くすることができる。また、図4のように電極対6が隣り合わせて並べられている場合、水電解を行う電極対6が隣り合うように電極対6の数を変更することができる。このことにより、イオン移動効率が高まり、水素ガス生成効率を向上させることができる。
水電解装置20は、複数のスイッチ11のONとOFFとを制御するスイッチ制御部17を備えることができる。
スイッチ制御部17は、複数のスイッチ11が切り換える電路を選択し、選択した結果をスイッチ11に出力することができる。このことにより、状況に合わせて複数のスイッチ11の電路を切換させるための信号を出力することができる。
また、スイッチ制御部17は、光電変換部1に照射される日射量の予測、降水確率、日時、気温および電力需要予測のうち少なくとも1つに基づき複数のスイッチ11が切り換える電路を選択することができる。また、スイッチ制御部17は、光電変換部1が受光することにより生じる起電力の大きさに基づき複数のスイッチ11が切り換える電路を選択することができる。このことにより、その時の状況に最も適するように複数のスイッチ11が切り換える電路を選択することができる。
スイッチ制御部17は、例えば、家庭のスマートメータが発信する信号、電力会社が発信する信号、インターネットなどの情報網を通じて提供される信号を受信し、その信号に基づき複数のスイッチ11が切り換える回路を選択することができる。
また、スイッチ制御部17が受信する信号は、有線または無線により受信することができる。
1: 光電変換部 2:水電解部 4、4a〜4d:第1電解用電極 5、5a〜5d:第2電解用電極 6、6a〜6d:電極対 8、8a〜8d:光電変換ユニット 10:スイッチ部 11:スイッチ 15:光電変換セル 17:スイッチ制御部 20:水電解装置 22、23:接続端子 25:基板 27:電解液 28:電解液槽 31:光電変換層 32:受光面電極 33:裏面電極 35:透光性基板 36:裏面基板 38:絶縁部 40:隔壁 42:シール部材

Claims (13)

  1. 光電変換部と水電解部と少なくとも1つのスイッチとを備え、
    前記水電解部は、第1電解用電極と第2電解用電極とからなる電極対を少なくとも1つ有し、
    前記光電変換部は、少なくとも1つの光電変換ユニットを有し、
    前記光電変換ユニットは、少なくとも1つの光電変換セルを備え、
    前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられていることを特徴とする水電解装置。
  2. 前記スイッチは、複数であり、
    前記光電変換ユニットは、複数であり、
    前記スイッチは、前記光電変換ユニットを直列接続して得られる光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力または1つの前記光電変換ユニットから得られる光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられている請求項1に記載の水電解装置。
  3. 前記スイッチは、複数であり、
    前記光電変換ユニットは、複数であり、
    前記スイッチは、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力を外部出力する電路と、前記光電変換ユニットを並列接続して得られる光起電力または1つの前記光電変換ユニットから得られる光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路とを選択的に形成するように設けられている請求項1に記載の水電解装置。
  4. 前記光電変換ユニットは、1.3V以上2.5V以下の電圧の光起電力が生じるように構成された請求項1〜3のいずれか1つに記載の水電解装置。
  5. 水電解部は、前記光電変換ユニットの光起電力により水を電気分解し水素ガスおよび酸素ガスを発生させる請求項1〜4のいずれか1つに記載の水電解装置。
  6. 前記光電変換ユニットは、直列接続した複数の光電変換セルを備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の水電解装置。
  7. 前記スイッチは、FET素子またはリレー素子である請求項1〜6のいずれか1つに記載の水電解装置。
  8. スイッチ制御部をさらに備え、
    前記スイッチ制御部は、前記スイッチの切り替えを制御する請求項1〜7のいずれか1つに記載の水電解装置。
  9. 前記スイッチは、複数の前記光電変換ユニットのうち一部の前記光電変換ユニットの光起電力を外部出力し他の前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2電解用電極に出力する電路を形成できるように設けられた請求項2または3に記載の水電解装置。
  10. 前記水電解部は、第1および第2の前記電極対を備え、
    前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を第1の前記電極対に出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第2の前記電極対に出力する電路とを選択的に形成できるように設けられた請求項1〜9のいずれか1つに記載の水電解装置。
  11. 前記水電解部は、第1および第2の前記電極対を備え、
    前記スイッチは、前記光電変換ユニットの光起電力を第1および第2の前記電極対の両方に出力する電路と、前記光電変換ユニットの光起電力を第1の前記電極対に出力する電路とを選択的に形成できるように設けられた請求項1〜9のいずれか1つに記載の水電解装置。
  12. 前記光電変換ユニットおよび前記スイッチは、1つの基板上に設けられた請求項1〜11のいずれか1つに記載の水電解装置。
  13. 前記光電変換部は、受光面とその裏面とを有し、
    前記水電解部は、前記光電変換部の裏面側に設けられた請求項1〜12のいずれか1つに記載の水電解装置。
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