JP2013251379A - エッチング方法、エッチング装置及び記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン酸化膜のエッチング量と比較して、選択的にシリコン窒化膜のエッチングすることができるエッチング方法等を提供する。
【解決手段】シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板Wに、前記露出したシリコン酸化膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基(OH基)を含むシランカップリング剤を供給した後、水素結合した前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤とを脱水縮合させて、シリコン酸化膜の表面を保護物質で覆う。次いで、前記基板Wに、エッチング剤を供給してシリコン窒化膜をエッチングする。
【選択図】図6

Description

本発明は、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板に対してシリコン窒化膜を選択的にエッチングする技術に関する。
半導体デバイスの製造のための処理のーつとして、半導体ウエハ(以下ウエハという)等の基板の表面に形成されたシリコン窒化膜をエッチング液によりエッチングするウェットエッチング処理がある。ウェットエッチング処理を行うにあたって、シリコン酸化膜をほとんどエッチングすることなくシリコン窒化膜を選択的にエッチングしなければならない場合が多々あり、このような場合に、従来は、エッチング液としてリン酸溶液(HPO)が用いられていた(特許文献1参照)。
特許文献2には、リン酸を用いないエッチング液の一例として、硫酸、フッ化物および水を含有するエッチング液が記載されており、半導体等の電子デバイスの製造の用途には、前記フッ化物としてフッ化水素酸およびフッ化アンモニウムを用いることが好ましいことも記載されている。
しかしながら、リン酸系のエッチング液を用いて基板をエッチングした場合、あるいはフッ酸系のエッチング液を用いて基板をエッチングした場合のいずれの場合においても、シリコン酸化膜のエッチング量に対するシリコン窒化膜のエッチング量の比(以下「SiN/SiO選択比」とも称する)を半導体デバイスの製造のために求められているレベルまで高めることはむずかしいのが実情である。
特開2004−221540号公報:段落0038 特開2010−147304号公報:請求項1、段落0023〜0028
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、選択的にシリコン窒化膜のエッチングすることができるエッチング方法、エッチング装置および前記方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
本発明に係るエッチング方法はシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板に、前記露出したシリコン酸化膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基(OH基)を含むシランカップリング剤を供給する工程と、
水素結合した前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤とを脱水縮合させて、シリコン酸化膜の表面を保護物質で覆う工程と、
前記基板に、エッチング剤を供給してシリコン窒化膜をエッチングする工程と、を含むことを特徴とする。
上述のエッチング方法は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記保護物質で覆う工程は、前記基板を加熱することにより脱水縮合を促進させる加熱工程を含むこと。または、前記シランカップリング剤を供給する工程は、予め加熱されたシランカップリング剤を基板の表面に供給することにより脱水縮合を促進させること。このとき、前記加熱の温度は、前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤との脱水縮合が促進される温度以上、シランカップリング剤が分解を開始する温度未満の範囲内の温度であること。
(b)前記基板にシランカップリング剤を供給する工程の前に、この基板の表面に希フッ酸を供給して、基板を洗浄する工程を含むこと。さらに前記基板を洗浄する工程にて、基板の表面に希フッ酸を供給した後、アンモニアと過酸化水素と水との混合溶液を供給すること。
(c)前記基板にシランカップリング剤を供給する工程の後、基板のリンス洗浄を行ってからシリコン酸化膜と、シランカップリング剤との脱水縮合を行うこと。ここで前記シランカップリング剤が水に対する親和性が低い場合、基板表面のシランカップリング剤を親水性の溶剤と置換してからリンス洗浄を行うこと。
(d)前記シリコン窒化膜をエッチングする工程の後、前記保護物質をシリコン酸化膜の表面から除去する工程を含むこと。前記保護物質の除去は、基板を前記シランカップリング剤の分解温度以上に加熱することにより、または前記基板にUV光を照射することにより行われること。
本発明は、シリコン酸化膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基を含むシランカップリング剤を基板に供給しシリコン酸化膜とシランカップリング剤とを結合させてシリコン酸化膜を保護物質で覆うので、エッチング剤によるエッチングを行う際に、保護物質で覆われていないシリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
エッチング対象基板の構造の一例を示す縦断側面図である。 エッチング対象基板の構造の他の例を示す縦断側面図である。 エッチング装置の全体構成を示す横断平面図である。 前記エッチング装置に設けられている液処理ユニットの構成を示す縦断側面図である。 前記エッチング装置に設けられている加熱処理ユニットの構成を示す縦断側面図である。 前記エッチング装置の動作の流れを示すフロー図である。 前洗浄工程の詳細なフロー図である。 シランカップリング剤供給工程の詳細なフロー図である。 SiN膜のエッチング工程の詳細なフロー図である。 シランカップリング剤の一般構造を示す説明図である。 シランカップリング剤により、SiOを保護する作用を示す第1の作用説明図である。 前記シランカップリング剤の第2の作用説明図である。 前記シランカップリング剤の第3の作用説明図である。 第2の実施の形態に係わるエッチング装置の動作の流れを示すフロー図である。 前記第2の実施の形態に係わる前洗浄工程及びシランカップリング剤供給工程の詳細なフロー図である。 第3の実施の形態に係わるシランカップリング剤供給工程の詳細なフロー図である。 実施例に係わる実験結果を示す第1の説明図である。 実施例に係わる実験結果を示す第2の説明図である。 実施例に係わる実験結果を示す第3の説明図である。 実施例に係わる実験結果を示す第4の説明図である。
実施の形態に係わるエッチング装置の説明をする前に、当該エッチング装置で処理されるウエハWの構成例について説明する。処理対象のウエハWは、その表面(「表面」とはウエハWに形成された穴ないし凹部の内表面を含む)にSiN膜(シリコン窒化膜)とSiO膜(シリコン酸化膜)とが露出しており、SiN膜を選択的に除去する必要があるものである。具体的な構造の例としては、図1(a)に概略的に示すように、シリコン基板(Si)上に、熱酸化膜であるSiO膜と、SiN膜とが積層されて、トレンチが形成されているものが例示され、図1(a)に示すようにSiO膜を保護物質で覆ってからエッチング剤を供給することにより、SiN膜が選択的にエッチングされ、図1(b)に示す状態のウエハWが得られる。この保護物質を形成する薬剤として、本実施の形態ではシランカップリング剤が用いられるが、その詳細については後述する。処理対象となるウエハWの他の例としては、図2(a)、(b)に概略的に示すように、シリコン基板(Si)上に、SiO膜およびSiN膜の両方が露出しているものであってもよい。
このような構成を含むウエハWに対して、SiN膜の選択的なエッチングを実行するエッチング装置1の構成について図3〜図5を参照しながら説明する。図3の横断平面図に示すように、エッチング装置1は、複数のウエハWを収容したキャリアであるFOUP100を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP100からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWに対してシランカップリング剤を供給する処理や、SiO膜を保護物質で覆う処理、SiN膜をエッチングする処理などが行われる処理ブロック14とを備えている。載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、処理ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
搬入出ブロック12は、第1ウエハ搬送モジュール121を有している。第1ウエハ搬送モジュール121は、ウエハWを保持する搬送アーム122、および搬送アーム122を前後に移動させる機構を有している。また第1ウエハ搬送モジュール121は、FOUP100の配列方向に延びる水平ガイド123に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム122を回転させる機構を有している。この第1ウエハ搬送モジュール121により、FOUP100と受け渡しブロック13との間でウエハWが搬送される。
受け渡しブロック13は、ウエハWを載置可能な受け渡し棚131を有している。受け渡しブロック13では、この受け渡し棚131を介して搬入出ブロック12、処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
処理ブロック14は、複数の液処理ユニット2A〜2Cや加熱処理ユニット3A、3Bが配置された処理部141と、ウエハWの搬送が行われる搬送部142とを筐体内に収めた構成となっている。搬送部142は、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる空間内に第2ウエハ搬送モジュール143を配置してなる。第2ウエハ搬送モジュール143は、ウエハWを保持する搬送アーム144、および搬送アーム144を前後に移動させる機構を有している。
また、第2ウエハ搬送モジュール143は、前後方向に伸びる水平ガイド145に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム144を回転させる機構を有している。この第2ウエハ搬送モジュール143により、既述の受け渡し棚131と処理部141との間でウエハWの搬送が行われる。
各処理部141には、搬送部142を形成する空間が伸びる方向に沿って各々複数台の液処理ユニット2A〜2Cや加熱処理ユニット3A、3Bが配置されており、ウエハWは、第2ウエハ搬送モジュール143によってこれら液処理ユニット2A〜2C、加熱処理ユニット3A、3B間を予め定められた順番で搬送され、SiN膜をエッチングする処理が行われる。
処理部141に設けられている各処理ユニット2A〜2C、3A、3Bのうち、第1液処理ユニット2Aはシランカップリング剤が供給される前のウエハWの前洗浄を行う洗浄処理部に相当し、第2液処理ユニット2Bは前洗浄を終えたウエハWの表面にシランカップリング剤を供給するシランカップリング剤供給処理部に相当する。また、第3液処理ユニット2Cは、SiO膜が保護物質で覆われた状態のウエハWの表面にエッチング液を供給して、SiN膜を選択的にエッチングするエッチング処理部である。
一方、第1加熱処理ユニット3Aは、シランカップリング剤が供給されたウエハWを加熱することにより、SiO膜を保護物質で覆われた状態とする保護物質形成処理部に相当し、第2加熱処理ユニット3Bは、エッチング後のウエハWのSiO膜の表面から保護物質を除去する除去処理部である。
本例のエッチング装置1では、第1液処理ユニット2A〜第3液処理ユニット2Cは、概略、共通の構成を備えているので、図4を参照しながら液処理ユニット2(2A〜2C)の構成について説明する。
液処理ユニット2は、ウエハWを水平に保持して回転するスピンチャック211を有している。スピンチャック211は、ウエハWの周縁部を保持する複数の保持部材212が設けられ、ウエハWを水平姿勢で保持する支持板213と、この支持板213を鉛直軸回りに回転させる回転駆動部215とを有している。保持部材212や支持板213は、本例の基板保持部に相当する。
支持板213の周囲には、ウエハWから飛散した処理液を受け止めるカップ214が設けられている。カップ214は、搬送部142の第2ウエハ搬送モジュール143との間でウエハWの受け渡しができるように、支持板213に対して相対的に上下方向に移動できるようになっている。また、液処理ユニット2が配置されている筐体内には、窒素ガスなどの不活性ガスの下降流を形成することが可能となっており、不活性ガス雰囲気下でウエハWの振切乾燥を行うことができる。
支持板213に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWの中央部上方の処理液供給位置と、この処理液供給位置から側方へ退避した退避位置との間を、ガイドレール231に沿って移動自在に構成されたノズルヘッド部232が設けられている。ノズルヘッド部232には、液処理ユニット2(2A〜2C)にて実行される処理の内容に応じた処理液を供給するための2〜3個のノズル部221〜223が設けられている。
各ノズル部221〜223は、例えば開閉バルブV1〜V3と、流量調節弁などの流量調節機構241とからなる供給調節部240を介して各々処理液供給部251〜253に接続されている。処理液供給部251〜253からは、各液処理ユニット2(2A〜2C)で実行される処理の種類に応じて異なる処理液が供給される。
以下、第1液処理ユニット2A〜第3液処理ユニット2C毎に処理液供給部251〜253から供給される処理液を説明する。
第1液処理ユニット2Aは、3つのノズル部221〜223から各々異なる種類の処理液をウエハWに供給する。第1処理液供給部251からは、例えば0.1〜0.5wt%の希フッ酸溶液(Diluted HydroFluoric acid:DHF)が供給される。DHFは、ウエハWの表面のパーティクルなどの汚れを除去する。第2処理液供給部252からは、例えば0.5〜3wt%のアンモニアと0.5〜3wt%の過酸化水素と、水との混合溶液であるSC1が供給される。SC1は、パーティクルや有機性の汚染物質を除去する。さらに、SiO膜の表面をわずかにエッチングすると共に過酸化水素が作用して、SiO膜の末端のシラノール基(OH基)を増やす。第3処理液供給部253からは、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)が供給される。
第2液処理ユニット2Bは、3つのノズル部221〜223から各々異なる種類の処理液をウエハWに供給する。第1処理液供給部251からは、シランカップリング剤が供給される。一般に、シランカップリング剤は、ガラスやSiO等の無機材料と、高分子などの有機材料とを架橋して、これらの材料の密着性を高めるために用いられる有機ケイ素化合物であるが、本発明ではこのシランカップリング剤をSiO膜の保護物質として利用する点に特徴を有している。
SiO膜を保護するシランカップリング剤としては、ウエハWの表面に供給される際に、SiO膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合を形成可能なシラノール基(OH基)を含むものが好ましい。具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。第1処理液供給部251は、シランカップリング剤の水溶液やアルコール溶液を例えば室温〜100℃の範囲の温度に調整する。
第2処理液供給部252からは、例えばIPA(IsoPropyl Alcohol)やアセトンなどが供給される。この溶剤は、シランカップリング剤が水に対して親和性が低いとき(例えばシランカップリング剤と水が混合しにくかったり、互いに分離してしまったりする場合など)、リンス洗浄の前にウエハWの表面を水とシランカップリング剤との両方に親和性のある物質で置換するために供給される。従って、シランカップリング剤が親水性である場合には、当該溶剤の供給は行わなくてもよい。第3処理液供給部253からは、リンス液であるDIWが供給される。
第3液処理ユニット2Cは、2つのノズル部221〜222から各々異なる種類の処理液をウエハWに供給する。従って、本例の第3液処理ユニット2Cには第3処理液供給部253及びノズル部223は設けられていない。第1処理液供給部251からは、例えば0.1〜5wt%のDHFが供給され、DHFは、SiN膜をエッチングする。また第2処理液供給部252からは、リンス液であるDIWが供給される。ここでSiN膜のエッチング液はDHFを用いる場合に限定されるものではなく、例えばフッ化アンモニウム(NHF)水溶液を用いてもよい。
次に、第1、第2加熱処理ユニット3A、3Bについて説明する。本例のエッチング装置1では、第1加熱処理ユニット3A、第2加熱処理ユニット3Bは、概略、共通の構成を備えているので、図5を参照しながら加熱処理ユニット3(3A、3B)の構成について説明する。加熱処理ユニット3は偏平な角形の筐体31内に、第2ウエハ搬送モジュール143との間でウエハWの受け渡しを行うと共に、加熱後のウエハWの冷却が行われる冷却プレート32と、ウエハWの加熱を行う熱板33とを設けた構造となっている。筐体31の側壁にはシャッタ312により開閉されるウエハWの搬送口31が形成されている。
冷却プレート32は、前記搬送口311近傍の手前側の位置と、この搬送口311から見て奥手に設けられている熱板33の上方位置との間を移動自在に構成されている。冷却プレート32と第2ウエハ搬送モジュール143との間のウエハWの受け渡しは、昇降機構342によって昇降自在な昇降ピン341を介して行われる。
筐体31内の奥手側に設けられた円板状の熱板33には、抵抗発熱体などからなるヒータが設けられており、不図示の給電部から供給される電力により、ウエハWを予め設定した温度に加熱することができる。熱板33と冷却プレート32との間のウエハWの受け渡しは、昇降機構352によって昇降自在な昇降ピン351を介して行われる。
熱板33の上方にはウエハWを上方側から覆う天板36が配置されており、熱板33と天板36との間に形成される空間の手前側の入口部には、ガス供給管391から供給された窒素ガスなどのパージガスをこの空間内に供給するためのガス吐出部37が設けられている。一方、当該空間の後端には、熱板33(ウエハW)と天板36との間を流れてきたパージガスをガス排気管392に向けて排出するためのガス排気部38が設けられており、ウエハWの加熱により発生した物質をパージガスと共に排出することができる。
第1加熱処理ユニット3AではウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤から、SiO膜を覆う保護物質を形成する処理が行われ、例えば100〜250℃の範囲の200℃にウエハWを加熱する。また第2加熱処理ユニット3Bでは、SiN膜のエッチング後に、SiO膜から保護物質を除去する処理が行われ、前記保護物質が分解する温度、例えば300〜500℃の範囲の400℃にウエハWを加熱する。
以上に説明した構成を備えたエッチング装置1や各液処理ユニット2(2A〜2C)、加熱処理ユニット3(3A、3B)は、図3〜図5に示すように制御部4と接続されている。制御部4は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはエッチング装置1の作用、即ちFOUP100からウエハWを取り出して予め定められた順番で各液処理ユニット2(2A〜2C)、加熱処理ユニット3(3A、3B)にウエハWを搬送しSiN膜の選択的なエッチングを行ってからFOUP100内にウエハWを搬入するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプテイカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンビュータにインストールされる。
以下、図6〜図9のフロー図及び図10〜図13の説明図を参照しながらエッチング装置1の動作、及びシランカップリング剤の作用を説明する。まず載置ブロック11に載置されたFOUP100から第1ウエハ搬送モジュール121により1枚のウエハWを取り出して受け渡し棚131に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚131に載置されたウエハWは、搬送部142内の第2ウエハ搬送モジュール143により、予め定められた順番で各処理ユニット2A〜2C、3A、3Bに搬入されて処理が行われる。
ここで、各処理ユニット2A〜2C、3A、3Bにおける詳細な処理の内容を説明する前に、これらの処理ユニット2A〜2C、3A、3Bを利用して実施される処理の流れについて図6を参照しながら概説しておく。
図6に示すように、受け渡し棚131から取り出されたウエハWは、まず第1液処理ユニット2Aに搬入され、DHFやSC1を利用した前洗浄が行われる(ステップS1)。
次いでウエハWは、第2液処理ユニット2Bに搬入され、ここでウエハWの表面にシランカップリング剤が供給される(ステップS2)。第2液処理ユニット2Bにて供給されたシランカップリング剤は、SiO膜のシラノール基と水素結合した状態であり、シランカップリング剤とSiO膜との間には化学結合は形成されていない。
次に、シランカップリング剤が供給された後のウエハWを第1加熱処理ユニット3Aに搬入し、ウエハWを加熱処理することにより、シランカップリング剤とSiO膜との間に化学結合を形成し、SiO膜がシランカップリング剤由来の保護物質で覆われた状態とする(ステップS3)。
しかる後、ウエハWを第3液処理ユニット2Cに搬入して、DHFを供給することにより、保護物質で覆われていないSiN膜が選択的にエッチングされる(ステップS4)。ここで後述の実施例に実験結果を示すように、DHFによる処理時間が長くなると、SiO膜の保護効果が低下する場合がある。そこで、保護物質の効果が低下する前にSiN膜のエッチング処理を終了し、エッチング処理の回数を確認する(ステップS5)。そして、シランカップリングの供給、加熱処理、エッチング処理を予め定められた回数だけ繰り返すことにより、SiN膜を所望量だけエッチングを行うようにしてもよい(ステップS2〜S4)。エッチング処理を繰り返す回数は、目標のエッチング量と、一回あたりのエッチング量との関係などによって適宜決定される。
こうして、SiN膜のエッチングを終えたら、ウエハWを第2加熱処理ユニット3Bに搬入して保護物質が分解する温度までウエハWを加熱し、SiO膜から保護物質を除去した後(ステップS6)、処理ブロック14からウエハWを搬出する(エンド)。
上述した全体処理の流れを踏まえ、各処理ユニット2A〜2C、3A、3Bにおける処理の詳細について説明する。
まず、第1液処理ユニット2AにウエハWを搬入し前洗浄を行う(ステップS1)。支持板213にウエハWを受け渡したら、スピンチャック211を駆動させ、回転するウエハWの表面にDHFを供給してウエハWの表面の汚れを除去する(図7のステップS101)。しかる後、ウエハWに供給する処理液をDIWに切り替えてリンス洗浄を行った後(ステップS102)、ウエハWの表面にSC1を供給する(ステップS103)。
SC1の作用により、ウエハWの表面のパーティクルや有機性の汚染物質が除去される。また、SC1がSiO膜の表面をわずかにエッチングすると共に、ここに過酸化水素が作用することにより、水素終端(Si元素がH基と結合した状態)されたSiO膜が酸化されて、シラノール基(OH基)が形成される。SC1による処理を行わなくてもSiO膜の表面にはシラノール基が存在しているが、SC1による処理によってシラノール基が多く発生するので良い。一方、SiN膜の末端はSiO膜に比較して酸化されにくく、水素終端された状態が維持される。
所定時間SC1の供給を行ったら、処理液をDIWに切り替えてリンス洗浄を行い(ステップS104)、DIWの供給を停止した後もウエハWの回転を継続して振切乾燥をする(ステップS105)。その後、ウエハWを第1液処理ユニット2Aから取り出し、第2液処理ユニット2Bに搬入してシランカップリング剤の供給を行う(ステップS2)。
ここで第2液処理ユニット2Bの第1処理液供給部251には、図10に示すように、SiO膜と反応可能な官能基を備えたシランカップリング剤が貯留されている。このシランカップリング剤は、例えばシランカップリング剤溶液のpHを調整することなどにより加水分解してシラノール基(ケイ素原子がOH基と結合した官能基)が形成されるものが用いられる。
また、シランカップリング剤の分子同士は、シラノール基が脱水縮合して、複数個の分子がシロキサン結合を介して結合したオリゴマーを形成する。第2液処理ユニット2Bの第1処理液供給部251内には、このようにシラノール基を1個〜複数個含むシランカップリング剤の分子やそのオリゴマーが混在した状態で存在している。
第2液処理ユニット2BにウエハWを搬入し、支持板213にウエハWを受け渡したら、スピンチャック211を駆動させ、回転するウエハWの表面に前記第1処理液供給部251からシランカップリング剤を供給する(図8のステップS201)。ウエハWの表面に供給されたシランカップリング剤は、図11に示すようにそのシラノール基がSiO膜側のシラノール基に引き寄せられ、図12に示すようにこれらのシラノール基の酸素原子と水素原子との間に水素結合が形成される。
この結果、SiO膜の表面に水素結合したシランカップリング剤の分子層が形成される。一方、シラノール基をほとんど持たないSiN膜にはシランカップリング剤は水素結合していない。
所定時間だけシランカップリング剤の供給を行ったら、ウエハWに供給する処理液を、シランカップリング剤とDIWの両方に親和性のある溶剤、例えばIPAに切り替えてウエハWの表面の液体をシランカップリング剤からIPAに置換する(ステップS202)。その後、処理液をDIWに切り替えてリンス洗浄を行い(ステップS203)、DIWの供給を停止した後もウエハWの回転を継続して振切乾燥をする(ステップS204)。SiN膜の表面に残存している不要なシランカップリング剤を除去することにより、SiN膜がシランカップリング剤によって邪魔されずにエッチング液と接触することができるので、SiN膜エッチングの選択性が向上する。しかる後、ウエハWを第2液処理ユニット2Bから取り出し、第1加熱処理ユニット3Aに搬入する(ステップS3)。
第1加熱処理ユニット3Aでは、ウエハWを保持した冷却プレート32が熱板33と天板36との間の空間にウエハWを搬入して熱板33上に載置した後、ウエハWの加熱処理が行われる。ウエハWでは、シランカップリング剤及びSiO膜の水素結合しているシラノール基間の脱水縮合が促進され、図13に示すようにSiO膜及びシランカップリング剤のケイ素がシロキサン結合により結合される。ここで上記脱水縮合は、常温の状態でも進行するが、ウエハWを加熱することにより脱水縮合を促進することができる。この化学結合は、水素結合に比べて強く、SiO膜を保護するのに良い結合であり、SiO膜の表面は、シランカップリング剤由来の保護物質によって堅固に覆われた状態となる。一方、SiN膜にはシランカップリング剤が水素結合していないので、保護物質によって覆われた状態とはならない。
また、シランカップリング剤同士が結合した徽密なオリゴマーから保護物質が形成されることにより、SiO膜を保護する作用が高まる効果も期待できる。但し、シランカップリング剤がこのようなオリゴマーを形成することは必須の要件ではなく、シランカップリング剤の単分子から保護物質を形成する場合でも、SiO膜の保護効果を十分に発揮することができる。
予め設定した時間が経過し、SiO膜が保護物質によって覆われた状態となったら、熱板33から冷却プレート32にウエハWを受け渡し、搬送口311の手前にウエハWを搬送してから所定時間待機することによりウエハWを冷却して常温に戻す。しかる後、ウエハWを第3液処理ユニット2Cに搬送してSiN膜のエッチングを行う(ステップS4)。
第3液処理ユニット2CにウエハWを搬入し、支持板213にウエハWを受け渡したら、スピンチャック211を駆動させ、回転するウエハWの表面にエッチング液であるDHFを供給する(図9のステップS401)。DHFは、露出しているSiN膜をエッチングする一方、保護物質で覆われたSiO膜はほとんどエッチングされない。
一方で、DHFに接触している保護物質は、次第にSiO膜を保護する効果が低下していく。そこで、保護効果が失われ、SiO膜のエッチングが開始されるタイミングを予め把握しておき、その前に処理液をDIWに切り替えてリンス洗浄を行う(ステップS402)。しかる後、ウエハWを回転させたままDIWの供給を停止し、振切乾燥を行う(ステップS403)。
こうして、シランカップリング剤供給(ステップS2(S201〜S204))→加熱処理(ステップS3)→SiN膜のエッチング(ステップS4(S401〜S403))を予め設定された回数だけ繰り返し、SiN膜を所望量だけエッチングしたら(図5のステップS5;YES)、ウエハWを第2加熱処理ユニット3Bに搬入する(ステップS6)。
第2加熱処理ユニット3Bでは、第1加熱処理ユニット3Aの場合と同様の動作でウエハWを熱板33上に載置し、脱水縮合時よりも高温となるようにウエハWを加熱することにより、保護物質を分解、除去する。保護物質が除去されたタイミングで熱板33から冷却プレート32にウエハWを受け渡し、冷却後、第2加熱処理ユニット3BからウエハWを取り出して一連の処理を終える。
第2ウエハ搬送モジュール143は、SiN膜のエッチングを終えたウエハWを搬送して受け渡し棚131に載置し、第1ウエハ搬送モジュール121により受け渡し棚131からFOUP100にウエハWを戻す。以上に説明した処理が複数のウエハWに対して順次、実行される。
本実施の形態に係わるエッチング装置1によれば以下の効果がある。SiO膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基を含むシランカップリング剤をウエハWに供給した後、これらSiO膜とシランカップリング剤とを脱水縮合により結合させてSiO膜を保護物質で覆うので、エッチング液によるエッチングを行う際に、保護物質で覆われていないSiN膜を選択的にエッチングすることができる。
ここで図1に示したエッチング装置1においては、液処理ユニット2A、2B、2Cを分けている。しかしながら、これらの液処理ユニットを一体化して一連の処理をしてもよい。
例えば、図14は、前洗浄(ステップS1)と、シランカップリング剤供給処理(ステップS2)とを共通の第1液処理ユニット2Aで実行する場合の例を示している。この場合には、図4に示した液処理ユニット2(2A)には、DHF供給用の第1処理液供給部251とノズル部221、SC1供給用の第2処理液供給部252とノズル部222、DIW供給用の第3処理液供給部253とノズル部223に加えて、シランカップリング剤供給用の処理液供給部及びノズルが設けられる。
この場合には、前洗浄(ステップS1)と、シランカップリング剤供給処理(ステップS2)との間でウエハWの搬送を行う必要がないので、ウエハの振切乾燥(ステップS105)を経ずにシランカップリング剤の供給(ステップS201)を開始することができる(図15)。また、親水性のシランカップリング剤を用いているので、溶剤置換(ステップS202)を経ずにリンス洗浄を開始することもできる(ステップS203)。
この他、シランカップリング剤の供給(ステップS2)〜エッチング処理(S4)を複数回、繰り返し行う場合には、第3液処理ユニット2Cにシランカップリング剤の供給部を設け、共通の第3液処理ユニット2C内でエッチング処理(ステップS4)とシランカップリング剤供給処理(ステップS2)とを行ってもよい。さらには、共通の液処理ユニット2に、前洗浄を行うための処理液供給部、シランカップリング剤供給を行うための処理液供給部、及びSiN膜のエッチングを行うための処理液供給部をすべて設けてもよい。
この他、シランカップリング剤及びSiO膜間の脱水縮合を促進させる手法は、図5に示した加熱処理ユニットを用いてウエハWを加熱する場合に限定されない。例えば、シランカップリング剤の供給が行われる第2液処理ユニット2Bの支持板213にヒータを埋め込み、この支持板213上にウエハWを載置して、シランカップリング剤の供給処理後、支持板213上でウエハWを加熱してもよい。
このように、支持板213上でウエハWの加熱を行う場合には、前洗浄(ステップS1)→シランカップリング剤供給(ステップS2)→保護物質の形成処理(ステップS3)→エッチング処理(ステップS4)→保護物質の除去処理(ステップS6)までのすべての処理を共通の液処理ユニット2内で行うことも可能となる。
また、脱水縮合を促進させるエネルギーは、ウエハWを加熱することにより供給する場合に限定されない。例えば、常温で放置する場合に比べて当該反応が十分に促進される温度(例えば200℃以上)まで加熱されたシランカップリング剤をウエハWに供給してもよい。この場合には、例えば図16に示すように、シランカップリング剤の供給処理を行う第2液処理ユニット2B内にて高温のシランカップリング剤をウエハWに供給し(ステップS305)、ウエハWの表面に高温のシランカップリング剤の液膜が残るようにウエハWの回転を止めて静置したり、回転数を低くしたりする操作が考えられる(ステップS306)。
そして、シランカップリング剤とSiO膜との水素結合、その後の脱水縮合が完了するタイミングで、溶剤置換(ステップS302)、リンス洗浄(ステップS303)、振切乾燥(ステップS304)を実行する。この場合にも、親水性のシランカップリング剤を用いることで、前洗浄(ステップS1)→シランカップリング剤供給(ステップS2)→保護物質の形成処理(ステップS3)→エッチング処理(ステップS4)までの処理を共通の液処理ユニット2内で行うことができる。
この他、シランカップリング剤及びSiO膜間の脱水縮合は、熱エネルギーを加えるだけではなく、例えばシランカップリング剤を供給した後のウエハWを真空雰囲気に置くことによっても促進させることができる。このとき、真空雰囲気内に配置された基板を熱板上で加熱して、脱水縮合をさらに促進してもよい。
また、ウエハWにシランカップリング剤を供給する前に、DHFとSC1とによる前洗浄を実行することは必須ではなく、例えばDHF洗浄だけを行ってもよいし、SC1洗浄だけを行ってもよく、またこれらの前洗浄を行わなくてもよい。但し、DHFやSC1による処理は、シロキサン結合を阻害するパーティクル等をウエハWの表面から除去する作用があるので、これらの処理工程を設けると、ウエハWの表面をより確実に保護物質にて覆うことができる。特にSC1による処理は、シラノール基を多く発生させることができる。また、シランカップリング剤供給後のリンス洗浄も必須ではない。そして、リンス洗浄を行わない場合には、水に対する親和性の低いシランカップリング剤を親水性の溶剤と置換する処理も省略してよい。
これらに加え、ウエハWに供給されるシランカップリング剤は、液体の状態で供給される場合に限定されず、ミストや気体の状態で供給してもよい。さらにSiN膜のエッチングは、例えばハロゲン系のエッチングガスを利用したドライエッチングでもよく、エッチングガスに対しても保護物質はSiO膜を保護する効果がある。そして、SiO膜から保護物質を除去する手法は、ウエハWを加熱する場合に限定されるものではなく、例えばエッチング処理後のウエハWの表面にUV光を照射して保護物質を分解、除去してもよい。
(実験1)
SiO膜とSiN膜が露出したウエハWを用いて、SiO膜の表面を保護物質で覆った場合と、覆われていない場合や保護物質の形成が十分ではない場合とで、SiO膜やSiN膜のエッチング量、接触角を測定した。
A.実験条件
(実施例1−1)DHF及びSC1による前洗浄を行ったウエハWに、80℃に加熱されたシランカップリング剤A(図10に示すようにケイ素に3つのシラノール基を形成可能な分子構造を有している)を供給し、200℃で加熱処理を行った。得られたウエハWに80℃のDHF(フッ酸と水との質量混合比が1:15O(0.67wt%))を供給して、1分後、3分後におけるSiO膜やSiN膜のエッチング量を測定した。また、このときのSiO膜及びSiN膜の表面の接触角を測定した。
(比較例1−1)DHF及びSC1による前洗浄後、シランカップリング剤を供給せずに、SiO膜が保護物質で覆われていないウエハWを用いた点以外は、実施例1−1と同様の条件で、DHFを供給して1分後のSiO膜やSiN膜のエッチング量を測定した。
(比較例1−2)80℃で加熱処理をした点以外は、実施例1−1と同様の条件で、SiO膜やSiN膜のエッチング量、接触角の測定を行った。
(比較例1−3)400℃で加熱処理をした点以外は、実施例1−1と同様の条件で、SiO膜やSiN膜のエッチング量、接触角の測定を行った。
(参照例)シランカップリング剤を供給した後、熱処理及び、エッチング処理を行っていないウエハWにおけるSiO膜やSiN膜の接触角の測定を行った。
B.実験結果
DHFにより、1分間エッチングを行った後の実施例1−1、比較例1−1のエッチング量を比較した結果を図17に示す。実施例1−1によれば、SiN膜が約50Å程度エッチングされた一方、SiO膜のエッチング量は計測誤差の範囲内の約0.6Å程度であり、実質的にエッチングされていなかった。これは、SiO膜の表面がシランカップリング剤由来の保護物質で覆われ、DHFから保護された結果であるといえる。一方、保護物質が形成されていない比較例1−1では、SiN膜の2倍近くの100Å程度のSiO膜がエッチングされた。
図18には、実施例1−1、比較例1−2、1−3の1分後、及び3分後のエッチング量を示す。実施例1−1によれば、DHFを供給して3分が経過すると、SiO膜も100Å以上エッチングされていることが分かる。しかしながら、エッチング量は、SiN膜よりも小さく、保護物質による保護効果が残っていることも確認できる。これらのことから、保護物質の効果が低下する前に、エッチング処理を中断し、再度、保護物質を形成してからエッチングを繰り返す手法(図6に示したステップS2〜S5の流れ)は、SiN膜の選択的なエッチングを行ううえで有効であるといえる。
一方、比較例1−2、1−3では1分後、3分後共にSiO膜のエッチング量の方がSiN膜よりも多く、保護物質の存在が確認できない。
そこで、図19に示すように、SiO膜、SiN膜の接触角を測定した結果を見ると、80℃にて加熱処理した後、エッチングを行う前の比較例1−2の接触角は、加熱処理を行っていない参照例や実施例1−1のエッチング前の接触角と同等であり、ウエハWの表面は疎水性になっていることが確認できる。しかしながら、比較例1−2のウエハWに対してDHFによるエッチング処理を行うと、接触角が急激に低下している。これは、シランカップリング剤が弱い水素結合のままSiO膜の表面を覆った状態となっており、DHFにより簡単にシランカップリング剤が剥離してしまうものと考えられる。
一方、400℃で加熱処理した比較例1−3は、エッチング処理を行う前から接触角が小さい。これは、高温で加熱したことにより、シランカップリング剤が分解してしまい、SiO膜を保護する物質が形成されなかったためであると推測できる。
これらの結果に対して、200℃で加熱処理を行った実施例1−1は、エッチング処理を供給して1分後でも他の比較例1−2、1−3に比べて高い接触角となっており、SiO膜の表面にSiと化学結合した保護物質が形成されていることを確認できる。これらのことから、加熱によりSiO膜に保護物質を形成する場合には、予め設定した時間内にSiO膜が保護物質で覆われるように、SiO膜と、シランカップリング剤との脱水縮合が促進される下限の温度以上、シランカップリング剤が分解を開始する上限の温度未満の好適な加熱処理温度範囲が存在することを確認できた。
(実験2)SiO膜が形成されたウエハの表面を各種の処理液で前洗浄し、シランカップリング剤を供給した後の接触角を測定した。
A.実験条件
(実施例2−1)50重量%の濃フッ酸と水との質量混合比が1:100(0.5wt%))の室温のDHFをウエハWの表面に1分間接触させた後、シランカップリング剤と3分間接触させた。
(実施例2−2)実施例2−1と同様の条件でDHFによる処理を行った後、70℃のSC1(アンモニアと過酸化水素と水との混合比が1:1:10(アンモニア約3wt%、過酸化水素約3wt%))を1分間接触させた後シランカップリング剤と3分間接触させた。
B.実験結果
実施例2−1、2−2の接触角を図20に示す。DHFの前洗浄後、SC1による前洗浄を行う方が、DHF単独の場合よりも3倍以上の接触角が得られ、より多くのシランカップリング剤が結合していることが確認できる。これは、SiO膜の表面がわずかにエッチングされたところに過酸化水素が作用して、より多くのシラノール基が形成され、また、ウエハWの表面の有機物が除去された結果であると考えられる。
W ウエハ
1 エッチング装置
2 液処理ユニット
2A 第1液処理ユニット
2B 第2液処理ユニット
2C 第3液処理ユニット
3A 第1加熱処理ユニット
3B 第2加熱処理ユニット
4 制御部

Claims (17)

  1. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板に、前記露出したシリコン酸化膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基(OH基)を含むシランカップリング剤を供給する工程と、
    水素結合した前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤とを脱水縮合させて、シリコン酸化膜の表面を保護物質で覆う工程と、
    前記基板に、エッチング剤を供給してシリコン窒化膜をエッチングする工程と、を含むことを特徴とするエッチング方法。
  2. 前記保護物質で覆う工程は、前記基板を加熱することにより脱水縮合を促進させる加熱工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記シランカップリング剤を供給する工程は、予め加熱されたシランカップリング剤を基板の表面に供給することにより脱水縮合を促進させることを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
  4. 前記加熱の温度は、前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤との脱水縮合が促進される温度以上、シランカップリング剤が分解を開始する温度未満の範囲内の温度であることを特徴とする請求項2または3に記載のエッチング方法。
  5. 前記基板にシランカップリング剤を供給する工程の前に、この基板の表面に希フッ酸を供給して、基板を洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載のエッチング方法。
  6. 前記基板を洗浄する工程にて、基板の表面に希フッ酸を供給した後、アンモニアと過酸化水素と水との混合溶液を供給することを特徴とする請求項5に記載のエッチング方法。
  7. 前記基板にシランカップリング剤を供給する工程の後、基板のリンス洗浄を行ってからシリコン酸化膜と、シランカップリング剤との脱水縮合を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載のエッチング方法。
  8. 前記シランカップリング剤が水に対する親和性が低く、基板表面のシランカップリング剤を親水性の溶剤と置換してからリンス洗浄を行うことを特徴とする請求項7に記載のエッチング方法。
  9. 前記シリコン窒化膜をエッチングする工程の後、前記保護物質をシリコン酸化膜の表面から除去する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載のエッチング方法。
  10. 前記保護物質の除去は、基板を前記シランカップリング剤の分解温度以上に加熱することにより行われることを特徴とする請求項9に記載のエッチング方法。
  11. 前記保護物質の除去は、前記基板にUV光を照射することにより行われることを特徴とする請求項9に記載のエッチング方法。
  12. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板に、前記露出したシリコン酸化膜の末端のシラノール基(OH基)と水素結合可能なシラノール基(OH基)を含むシランカップリング剤を供給する処理が行われるシランカップリング剤供給処理部と、
    水素結合した前記シリコン酸化膜と、シランカップリング剤とを脱水縮合させて、シリコン酸化膜の表面を保護物質で覆う処理が行われる保護物質形成処理部と、
    前記基板に、エッチング剤を供給してシリコン窒化膜をエッチングする処理が行われるエッチング処理部と、を備えたことを特徴とするエッチング装置。
  13. 前記シランカップリング剤供給処理部は、基板を水平に保持するための基板保持部と、
    この基板保持部を鉛直軸周りに回転させるための回転駆動部と、
    回転している被処理基板の表面に前記シランカップリング剤を供給するシランカップリング剤供給部と、を備えることを特徴とする請求項12に記載のエッチング装置。
  14. 前記シランカップリング剤供給部は、シランカップリング剤を前記脱水縮合が促進される温度以上に加熱する加熱機構を備え、前記シランカップリング剤供給処理部は、前記保護物質形成処理部の機能を兼ね備えることを特徴とする請求項13に記載のエッチング装置。
  15. 前記保護物質形成処理部は、前記基板が載置され、この基板を前記脱水縮合が促進される温度以上に加熱する熱板を備えることを特徴とする請求項12または13に記載のエッチング装置。
  16. 前記エッチング処理部は、基板を水平に保持するための基板保持部と、
    この基板保持部を鉛直軸周りに回転させるための回転駆動部と、
    回転している被処理基板の表面にエッチング液を供給するエッチング剤給部と、を備えることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか一つに記載のエッチング装置。
  17. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が表面に露出した基板からシリコン窒化膜をエッチングするエッチング装置に用いられるコンビュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
    前記プログラムは請求項1ないし11のいずれか一つに記載されたエッチング方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
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