JP2013250303A - 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路 - Google Patents

光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路 Download PDF

Info

Publication number
JP2013250303A
JP2013250303A JP2012122894A JP2012122894A JP2013250303A JP 2013250303 A JP2013250303 A JP 2013250303A JP 2012122894 A JP2012122894 A JP 2012122894A JP 2012122894 A JP2012122894 A JP 2012122894A JP 2013250303 A JP2013250303 A JP 2013250303A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal fine
light
fine particles
magnetic field
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012122894A
Other languages
English (en)
Inventor
Tazuko Kitazawa
田鶴子 北澤
Masaki Hamamoto
将樹 濱本
Hideki Eto
秀樹 江藤
Shinyuki Naka
峻之 中
Kentaro Kishira
健太郎 岸良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2012122894A priority Critical patent/JP2013250303A/ja
Publication of JP2013250303A publication Critical patent/JP2013250303A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Light Receiving Elements (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】簡素な構成で入射光の進行方向を所望の方向へ変化させる。
【解決手段】光学素子は、表面プラズモンを励起できる金属材料から成る金属微粒子1と、金属微粒子1に磁界を印加する磁界印加部と、を備える。光学素子への入射光(LT)は、Z軸方向に進行し且つX軸方向に偏光されている。磁界印加部は、Y軸方向の磁界(MFY)を印加する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子、並びに、それを利用した光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路に関する。
新たな光学技術として、表面プラズモンの利用が盛んに検討されている。表面プラズモンには、金属薄膜に励起される伝播プラズモンと、金属微粒子に励起される局在プラズモンの2種類がある。伝播プラズモンを光で励起するには、入射角や偏光方向に制約があるのに対し、局在プラズモンは金属微粒子に光を入射するだけで励起可能である。局在プラズモンは、金属微粒子内の自由電子の振動が入射光の電場に共鳴することで励起される。この自由電子の振動は、金属微粒子の周囲に、強く且つ局在した電磁場を作る。更に、この振動を元にした双極子放射も起きるため、局在プラズモンの一部は散乱光を発生する。
局在プラズモン共鳴に関し、様々な応用用途が検討されている。
センシング用途については、伝播プラズモンを利用するタイプと、局在プラズモンを利用するタイプがあるが、いずれのタイプにおいても分子の非常に高感度な検出が可能であり、バイオ及び医療分野において活用されている。伝播プラズモンを利用するタイプは、全反射光学系を用いた構成であるため、プリズムや導波路が必要であり、センシング部分の大型化や、光路の複雑化を招く。また、通常用いられる液体のサンプルを検出するためには、プリズム上に形成された金属膜上に流路を形成する必要があり、装置の組立てが複雑化する。これに対して、特許文献1のような局在プラズモンを利用するタイプは、液体のサンプルであれば金属微粒子を混ぜればよく、また、光も単に照射すればよいだけであり、センシング部の構成が簡易である。
太陽電池への応用用途研究も盛んである。薄膜太陽電池に金属微粒子を設けて局在プラズモンを発生させた場合、強い光を集中して太陽電池に吸収させることができ、また、散乱した光が太陽電池内を斜めに伝播することによって光路長が長くなり、光の吸収率が高くなる。故に、局在プラズモン共鳴は、薄膜太陽電池でありながら、効率を上げられる技術として注目されている。特許文献2では、n型半導体及びp型半導体を含む光電変換層に、入射光の波長よりも小さい部分を含む電場形成領域として金属を設ける構成が示されている。
光学フィルタ用途については、伝播プラズモンを利用するタイプと、局在プラズモンを利用するタイプがある。伝播プラズモンを利用する光学フィルタでは、周期構造を作成することで、周期及び入射角に対応した特定の波長のみを透過させることができる。一方、局在プラズモンを利用する光学フィルタでは、金属微粒子の形状及び周囲の屈折率に対応した特定の波長のみを吸収することができる。例えば、特許文献3には、ナノロッド状の金属微粒子を樹脂に混合したフィルム状の光学フィルタが示されている。この光学フィルタでは、ナノロッドの短軸と長軸の長さを調整することで、可視光から近赤外光の間の波長の光を選択的に吸収させている。尚、局在プラズモンによる散乱を利用すれば、特定の波長のみを透過させることもできる。
金属微粒子1つに励起される局所プラズモンを想定した従来技術を述べたが、複数の金属微粒子の近接配置によって局所プラズモンを結合させ、これをエネルギの伝送に利用する方法も提案されている。非特許文献1では、或る方向に並べられた金属微粒子に対して直交する方向に金属微粒子を並べると、縦波は横波に変化した上で、横波は横波のままで又は縦波に変化した上で、或る割合の光が直交方向に伝播することが示されている。現在の光通信を小型に置き換えるべく、非特許文献1に示されたような、波長が短い表面プラズモンを用いた導波路及びスイッチなどが検討されている。
尚、非特許文献2では、磁性体でない金属微粒子におけるカー回転角が、表面プラズモン共鳴時には非常に大きくなることが報告されている。これと同様に、特許文献4では、表面プラズモン共鳴時にカー回転角が大きくなることが示されているが、金属微粒子のコアにBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を用い且つシェルを銀とすることで、カー回転角が13.5度にもなると報告されている。
特許第4405881号公報 特開2011−71146号公報 特許第4348720号公報 特開2004−219415号公報
Mark L. Brongersma、他2名,「Electromagnetic energy transfer and switching in nanoparticle chain arrays below the diffraction limit」,Physical Review B,The American Physical Society,平成12年,Volume 62,Number 24,R16356 B. Sepulveda、他4名,「Plasmon-Induced Magneto-Optical Activity in Nanosized Gold Disks」,Physical Review Letters,The American Physical Society,平成22年,104,147401
このような広い応用分野において、共通して必要とされる機能の1つが、入射光の進行方向を変化させる機能である。入射光を進行方向の変化は、一般的にプリズムやミラーなどの光学素子によって実現可能であるが、これを金属微粒子の表面プラズモンを利用して実現できれば、装置の小型化及び低コスト化などが図られ、有益である。
尚、特許文献1の光学センサでは、スペクトル測定が必要であるため、検出に分光器が必要となり、センシング部を小型にできたとしても、装置全体が大型化すると共にコストが高くなる。更に、検出精度を高めようとしたとき、波長分解能の高い分光器が必要になる分、更にコストがかさむ。また、特許文献2では、電場形成領域が金属のみからなるため、光電変換層に垂直に入射した光による散乱光の角度分布は、垂直方向を中心とする分布になり、散乱した光が太陽電池内を斜めに伝播することによる吸収率の向上は、限られたものとなる。また、特許文献3は、ロッド状の金属微粒子における光の吸収にのみに頼ってフィルタ作用を得ている。特許文献3の方法では、一部の光は吸収されずに散乱されるため、散乱光によるコントラスト低下が懸念される。また、非特許文献1の導波路は、直交した方向にエネルギを伝送することはできるが、自由な角度に導波路を配置してエネルギを伝送することや、複数に分岐した導波路にエネルギを振り分けることはできない。また、場合によっては、伝送方向により縦波と横波が混在し、非常に複雑な伝送となる。
そこで本発明は、簡素な構成で入射光の進行方向を所望の方向へ変化させることのできる光学素子、並びに、該光学素子を利用した光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路を提供することを目的とする。
本発明に係る光学素子は、表面プラズモンを励起できる金属材料から成る金属微粒子と、前記金属微粒子に磁界を印加する磁界印加部と、を備えた光学素子であって、前記磁界は、前記光学素子への入射光の進行方向及び偏光方向の何れにも直交する成分を持つことを特徴とする。
本光学素子では、磁界印加により異方性を持った金属微粒子で入射光が散乱され、局所的又は全体的に入射光の進行方向を変化させることができる。また、印加磁界の強度で進行方向の変化量を決めることも可能となる。非常に微細な金属微粒子にて入射光の進行方向を変化させることができるため、構成を簡素にすることができると共に、液体中や薄膜中などにも導入できる。故に、プリズムやミラーなどの光学素子と異なり、本光学素子に対する設置場所の制約は小さい。更に、入射光の進行方向の変化量を印加磁界の強度で調整できるため、光学素子を設置する際の設置位置精度(設置の向きの精度を含む)は粗くても良く、微調整などを不要にすることもできる。
例えば、前記金属微粒子の表面で接触している媒質が前記金属微粒子の全表面において透光性を持っていると良い。
これにより、金属微粒子で表面プラズモンが励起されやすくなるため、進行方向の変化量をより大きくできる。
そして例えば、前記金属微粒子の全表面が前記金属材料であると良い。
これにより、金属微粒子の構成が非常に簡素で済むと共に、入射光との関係において金属微粒子がどのような姿勢をとっていても上述したような光の進行方向変化を得ることが可能であり、設置場所の制約が非常に小さくなる。
当該光学素子は、前記金属微粒子を複数個備えていても良い。
これにより、例えば、入射光のビーム径を特に絞らなくても、金属微粒子で散乱される光の割合が大きくなり、平行光でも効果を得ることが可能となる。
当該光学素子において、前記磁界印加部は磁性体から形成されていても良い。
例えば、磁性体が磁化の向きの揃った強磁性体であれば、コイルを用いる場合と違って電流を流す必要がないため、常に一定の磁界を金属微粒子に印加することができると共に、磁界印加部を金属微粒子と一緒に液体中に設置することも可能となる。また、磁性体を薄膜状にして金属微粒子に隣接して形成することができるため、光学素子の小型化が可能となる一方で光学素子を広い面積にわたって設置することも可能となる。磁界印加部を形成する磁性体において、それ単体では磁化の向きが揃っていなくとも、外部から磁界をかけてやれば、磁界印加部を金属微粒子と一緒に液体中に設置することが可能となると共に薄膜状の磁性体を金属微粒子の近傍に配置することも可能となる。
当該光学素子において、前記磁界印加部は、前記金属微粒子の内部に形成された磁性粒子を含んでいても良い。
これにより、光学素子を非常に小型にすることができると共に、金属微粒子と磁界印加部を一緒に(即ち容易に)所望部位に設置することが可能となる。また、金属微粒子への磁界の影響が大きくなるため、金属微粒子の異方性を大きく発現でき、結果、光の進行方向の変化量を大きくできる。
本発明に係る光学センサは、上記の光学素子と、前記光学素子の前記金属微粒子において表面プラズモンを励起できる波長の光を含む光を放射可能な光源と、前記光源の放射光に基づく光を検出する検出器と、を備え、前記光源の放射光は、前記光学素子への入射光として前記光学素子の前記金属微粒子に照射され、前記光源及び前記検出器間における前記放射光の通過経路内に、検出対象を含まない又は前記検出対象を含む検体と前記金属微粒子が配置され、前記検出器は、前記光源の放射光に対する前記金属微粒子の散乱光の角度を検出することを特徴とする。
本発明に係る光学素子を用いた光学センサよれば、検出対象による金属微粒子周辺の屈折率変化が進行方向の変化量に影響することを利用でき、金属微粒子を使った方式でありながら、スペクトル測定ではなく、散乱角度にて検出対象の有無等を検出することができる。従って、白色光の光源や分光器が必要ではなく、小型且つ簡便で低コストなセンサを形成可能である。また、検出対象から検出器までの距離や印加磁界の強度で分解能を調整できるため、分解能の変更が容易であって、変更時におけるコストアップ等も殆ど無い。
また例えば、当該光学センサにおいて、前記光学素子における前記磁界印加部は、前記磁界の強度を周期的に変化させ、前記検出器は、受光した光の信号の内、前記磁界の強度の変化周期に対応する信号を検出してもよい。
これによれば、印加磁界の周期に対応した信号のみを取り出すことができるため、信号対雑音比を高めることが可能となる。
また例えば、前記放射光は、前記検体に前記検出対象が含まれない状態における前記金属微粒子の表面プラズモン共鳴波長より長い波長の光を含んでいると良い。
これにより、検出対象が金属微粒子の近辺にあるときに表面プラズモン共鳴が起こり易くなるため、検出対象を検出する際における検出強度が高くなり、結果、信号対雑音比の向上が図られる。
本発明に係る光電変換素子は、少なくともp型半導体及びn型半導体を備えた光電変換層と、前記光電変換層を挟んで形成される1組の電極と、を備えた光電変換素子であって、上記の光学素子を更に備え、前記光学素子の前記金属微粒子で散乱された光の少なくとも一部が、前記光電変換層で吸収されることを特徴とする。
当該光電変換装置では、散乱の結果として光の進行方向が光電変換層に対して傾くため(磁界印加部を持たない構成との比較において、斜めに散乱される光の成分が増えるため)、光電変換層中の光路長が伸びる。故に、光電変換層における光の吸収率を高くでき、エネルギ変換効率を高めることができる。
前記光学素子のうち少なくとも前記金属微粒子は、前記光電変換層よりも、当該光電変換素子への入射光の入射側に配置されてもよい。
これによれば、光電変換層に入射する光が斜めに散乱されるため、光電変換層中の光路長を相当に長くすることができ、光の吸収率、即ちエネルギ変換効率を高めることができる。
或いは、前記光電変換層は、前記光学素子の内の少なくとも前記金属微粒子よりも、当該光電変換素子への入射光の入射側に配置されてもよい。
これによれば、光電変換層に入射される光を金属微粒子で遮ることがない分、ロスを少なくすることができる。
更に或いは、前記光学素子のうち少なくとも前記金属微粒子は、前記光電変換層の内部に配置されてもよい。
これによれば、光電変換を行う部分に金属微粒子を非常に近接させることができるため、表面プラズモン共鳴による増強した電場を光電変換層で吸収させることができ、この作用によってもエネルギ変換効率の向上が見込める。
また例えば、前記1組の電極は第1電極及び第2電極から成り、前記第1電極は前記第2電極よりも当該光電変換素子への入射光の入射側に配置され、前記光電変換層は第1及び第2面を有して、前記第1面は前記第2面よりも前記第1電極に近く、前記第2面は前記第1面よりも前記第2電極に近く、前記第1電極は、前記第1面の一部領域上に形成されるとともに、前記光学素子の前記磁界印加部による印加磁界方向の直交方向に偏って形成されてもよい。
電極間に電圧を印加したとき、その印加電圧と磁界印加部の印加磁界とにより、光電変換層内に発生した電荷に対し磁界に直交する方向のローレンツ力が働く。よって、電荷が偏った領域のみに第1電極を形成しても電流を効率よく取り出すことができる。また、第1電極の形成領域を第1面の一部にすることで、第1電極での入射光の吸収を低減することができると共に、電極の形成材料の減少に伴って材料コストの低減も図られる。
更に例えば、前記第2電極は、前記第2面の一部領域上に形成され、前記第1及び第2電極は、前記印加磁界方向に直交する、互いに正反対の向きに偏って形成されてもよい。
これにより、電極の形成材料費を更に減少させることができる。第1及び第2電極の内、一方は正の電荷を取り出す電極であり、他方は負の電荷を取り出す電極である。正の電荷と負の電荷とで、作用するローレンツ力の向きは逆であるため、上記の如く第1及び第2電極を形成しても電流を効率良く取り出すことができる。
本発明に係る光学フィルタは、上記の光学素子を有し、前記光学素子の前記金属微粒子により特定の波長域の光が吸収される光学フィルタであって、前記光学素子の出射側に接合された透明なスペーサ層を備えることを特徴とする。
上記光学フィルタでは、表面プラズモン共鳴波長の光の一部が金属微粒子にて散乱されたとき、磁界の作用により、散乱光が斜めに伝搬する。スペーサ層により、この散乱光が透過光として外に出ないようにすることで、透過光のコントラストを上げることが可能となる。
本発明に係る表示装置は、上記の光学フィルタを少なくとも3つ備え、各光学フィルタの透過光を用いて表示を成す表示装置であって、3つの光学フィルタの前記光学素子における前記金属微粒子の表面プラズモン共鳴波長は、夫々、赤色、緑色、青色の補色の波長であることを特徴とする。
これにより、三原色を高コントラストで表示可能となる。
本発明に係る光回路は、上記の光学素子と、複数の導波用金属微粒子を並べて形成された導波路を複数備え、前記複数の導波路は、前記光学素子を介して接続され、前記複数の導波路に含まれる第1及び第2導波路間において前記導波用金属微粒子の並び方向は互いに異なることを特徴とする。
これにより、磁界印加部による印加磁界の強度を予め適切な強度に設定しておけば、複数の導波路を自由な角度で接続しても、効率よく光エネルギを伝送することができる。
当該光回路において、前記複数の導波路は、前記光学素子を介して分岐路を形成してもよい。
これにより、所望の分岐路に光エネルギを伝送させるといったことが可能となる。
当該光回路において、前記光学素子の前記磁界印加部は、印加磁界の強度を変更可能であってもよい。
これにより、複数の導波路によって複数の分岐路が形成されている場合においては、磁界強度にて、光エネルギを伝送させる分岐路を自由に選択することが可能となる。分岐路が1つである場合には、その分岐路にエネルギに伝送させるか否かを切り替えるスイッチング素子として機能を光回路に持たせることができる。
本発明によれば、簡素な構成で入射光の進行方向を所望の方向へ変化させることのできる光学素子、並びに、該光学素子を利用した光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路を提供することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る光学素子の構成ブロック図(a)と、当該光学素子の概略構成図(b)、(c)及び(d)である。 本発明の第1実施形態に係り、光の進行方向変化の原理を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る光学センサの概念図及び構成ブロック図である。 本発明の第2実施形態に係り、金属微粒子における散乱角度を示す図である。 本発明の第2実施形態に係り、透過率の角度依存性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係り、散乱角度に対応する距離を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係る光電変換素子の概略斜視図である。 本発明の第3実施形態に係り、電極の形成領域を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係る光電変換素子の概略斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る光学フィルタの概略構成図である。 本発明の第5実施形態に係る光学フィルタ群の概略構成図である。 本発明の第5実施形態に係る光学フィルタ群の分解図である。 本発明の第5実施形態に係る表示装置の概略ブロック図である。 本発明の第6実施形態に係る光回路の概略構成図である。 本発明の第7実施形態に係る光回路の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)は、第1実施形態に係る光学素子10の構成ブロック図である。光学素子10は、表面プラズモンを励起可能な金属材料から成る金属微粒子1と、磁界印加部2と、を備える。光学素子10への入射光LTは金属微粒子1への入射光LTとして金属微粒子1に入射される。本実施形態及び後述の各実施形態における表面プラズモンは、金属微粒子1にて励起されるため、局在プラズモンである。
金属微粒子1を、表面プラズモンを強く励起可能な任意の金属材料にて形成すると良く、例えば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)を用いて形成すると良い。金属微粒子1の形状は、任意であり、例えば、球、楕円球、円柱、楕円柱であってよい。金属微粒子1を、コアとコアの周囲を覆うシェルとで形成しても良い。この場合、表面プラズモンを励起可能な複数の金属材料を用いてコア及びシェルを形成しても良いし、コア及びシェルの何れか一方を誘電体、半導体を用いて形成するようにしても良い。コア及びシェルの何れか一方を表面プラズモンを励起可能な金属材料で形成する一方で、他方を他の金属材料(例えば、後述の磁性粒子)で形成しても良い。入射光LTによって表面プラズモンを励起可能である限り、金属微粒子1の大きさは任意である。例えば、金属微粒子1の形状が球である場合、その球の直径を入射光LTの波長以下にすればよい。光学素子10に、金属微粒子1を1つだけ設けるようにしても良いし、金属微粒子1を複数設けるようにしても良い。
磁界印加部2は、金属微粒子1に磁界を印加するためのものであり、磁石などの磁化の向きが揃った磁性体であっても良い(磁性体は、強磁性体に分類されるものが好ましい)。ここにおける磁石は永久磁石を含む。或いは、電流を流すことで磁界を発生させるコイルを用いて磁界印加部2を形成しても良い(この場合、コイルとコイルに電流を供給する電流供給部とで磁界印加部2が形成されると考えても良い)。コイルを用いて磁界印加部2を形成する場合、コイルに流す電流の大きさを変化させることで金属微粒子1に印加される磁界の強度を変えることができるため、光の進行方向を様々に変化させることができる(その理由については後述の説明から明らかとなる)。
磁界印加部2は、図1(b)に示すような磁界印加部2aであっても良い。磁界印加部2aを磁界印加部2として有する光学素子10を特に光学素子10aと呼ぶ。磁界印加部2aでは、磁性体による磁石又はコイルを金属微粒子1と分離して金属微粒子1を挟むように配置する。図1(b)において、斜線部分が磁性体による磁石又はコイルを表している。磁石又はコイルにて金属微粒子1を両側から挟むのではなく、金属微粒子1の片側にのみ磁界印加部2aを形成する磁石又はコイルを配置するようにしても良い。磁界印加部2aの大きさは任意であるが、金属微粒子1の大きさに対して、磁界印加部2aを形成する磁石又はコイルを十分に大きくした方が、金属微粒子1への印加磁界が均一となる。
或いは、磁界印加部2は、図1(c)に示すような磁界印加部2bであっても良い。磁界印加部2bを磁界印加部2として有する光学素子10を特に光学素子10bと呼ぶ。磁界印加部2bは磁性体にて形成され、磁界印加部2bを形成する磁性体の内部に金属微粒子1が埋め込まれる。図1(c)において斜線部分が磁性体を表している。磁界印加部2bを形成する磁性体は、透光性を有していると良い。また、磁界印加部2bを形成する磁性体は磁化の向きの揃った強磁性体であっても良く、その場合、コイルを用いる場合と違って電流を流す必要がないため、常に一定の磁界を金属微粒子1に印加することができると共に、磁界印加部2bを金属微粒子1と一緒に液体中に設置することもできる。また、磁界印加部2bでは、磁性体を薄膜状にして金属微粒子1に隣接して形成することができるため、光学素子10の小型化が可能となる一方で光学素子10を広い面積にわたって設置することも可能となる。磁界印加部2bを形成する磁性体において、それ単体では磁化の向きが揃っていなくとも、磁性体の外部から磁性体に磁界をかけてやることで磁性体の磁化の向きを揃えることができ(この場合、磁性体に磁界をかける部位が磁界印加部2bの構成要素に含まれうる)、結果、磁界印加部2bを金属微粒子1と一緒に液体中に設置することが可能となると共に薄膜状の磁性体を金属微粒子1の近傍に配置することが可能となる。磁界印加部2bが磁性体と磁性体に磁界をかける部位とで形成される場合には、磁性体だけ液体中に設置することができる。
更に或いは、磁界印加部2は、図1(d)に示すような磁界印加部2cであっても良い。磁界印加部2cを磁界印加部2として有する光学素子10を特に光学素子10cと呼ぶ。磁界印加部2cは磁性材料から成る磁性粒子であり、該磁性粒子は金属微粒子1のコアとして金属微粒子1に埋め込まれる。この場合、金属微粒子1のシェルが表面プラズモンを励起可能な金属材料にて形成される。図1(d)において斜線部分が磁性粒子を表している。この構成によれば、光学素子10を非常に小型にすることができると共に、金属微粒子1と磁界印加部2を一緒に(即ち容易に)所望部位に設置することが可能となる。また、金属微粒子1への磁界の影響が大きくなるため、金属微粒子1の異方性(磁界印加により生じる異方性)を大きく発現でき、結果、光の進行方向の変化量を大きくできる(その理由については後述の説明から明らかとなる)。磁性粒子は、透光性を有していると良いが、透光性を有していなくても良い。磁性粒子に透光性が無く、金属微粒子1での表面プラズモン励起強度が小さくなってしまう場合、金属微粒子1と磁性粒子との間に透光性のある誘電体を設ければ良い。磁性粒子は磁化の向きの揃った磁性体(特に例えば強磁性体)であると良く、この場合、磁性粒子単体で所望の磁界を金属微粒子1に印加することができる。磁性粒子単体で磁性粒子の磁化の向きが揃っていない場合には、磁性粒子の外部から磁性粒子に磁界をかければよい(この場合、磁性粒子に磁界をかける部位が磁界印加部2cの構成要素に含まれうる)。磁界印加部2cが磁性体と磁性体に磁界をかける部位とで形成される場合には、磁性体だけ液体中に設置することができる。
尚、磁界印加部2a、2b及び2cの内、任意の2以上の磁界印加部を組み合わせて磁界印加部2を形成するようにしても良い。
[光の進行方向の変化の原理]
光学素子10によれば入射光LTの進行方向を変化させることができる。図2(a)及び(b)を参照して、この進行方向変化の原理を説明する。図2(a)及び(b)では、例として、金属微粒子1の形状が円柱とされている。互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸及びZ軸とする。図2(a)及び(b)の例において、入射光LTの進行方向はZ軸と平行であって且つ入射光LTの偏光方向はX軸と平行であるとする。矢印DPLは入射光LTの偏光方向を表している。入射光LTは直線偏光であり、入射光LTの偏光方向とは該直線偏光の電場の振動方向を指す。但し、入射光LTは、直線偏光でなく、円偏光や楕円偏光やランダム偏光などでもよい。ここでは、入射光LTを、光の進行方向作用が最も大きくなる、X軸方向の直線偏光とする。入射光LTにより、金属微粒子1内の自由電子は、入射光LTの電場の振動方向に沿って、即ち実線矢印911の方向に沿って振動(即ち運動)する。
図2(a)では、金属微粒子1に対しZ軸に平行な磁界MFZが印加されることを想定する。そうすると、図2(a)の想定下では、自由電子の運動方向及び磁界MFZの方向の夫々に直交する方向、即ちY軸方向に金属微粒子1内の自由電子に対しローレンツ力が働き、結果、自由電子の振動方向が実線矢印911の方向から破線矢印912の方向へと回転する。金属微粒子1によって散乱される光は、殆どが自由電子の振動に伴う双極子放射であると考えられるため、磁界MFZの印加時には、入射光LTの偏向方向がX軸及びY軸に平行な面上において回転することになる。このような回転はカー回転と呼ばれる。カー回転の角度をカー回転角と呼び、それを記号θKにて表す。尚、金属微粒子1による光の散乱は金属微粒子1における光の透過及び反射を含むと考える。
カー回転角θKは下記式(1)に従う。ここで、εxxは金属微粒子1の誘電率の対角成分、εxyは金属微粒子1の誘電率の非対角成分、αxxは金属微粒子1の分極率の対角成分、αxyは金属微粒子1の分極率の非対角成分、εdは金属微粒子1周辺の誘電率を表す。
Figure 2013250303
これにより、式(1)の分母における(εxx+2εd)がゼロに近くなるほど、カー回転角が大きくなることが分かる。カー回転角が大きくなる条件は、局在プラズモンが励起される条件と一致している。つまり、局在プラズモンの励起時には、自由電子の振動振幅が大きく、即ち振動の速度が大きくなるため、ローレンツ力が大きくなり、結果カー回転角も大きくなる。金属微粒子1の誘電率の非対角成分εxyは金属微粒子1の印加磁界に依存しており、印加磁界が大きくなると金属微粒子1の異方性が大きくなってカー回転角が大きくなる。上述したように、特許文献4では13.5度ものカー回転角を得る金属微粒子構造が示されている。
上述の性質を踏まえ、図2(b)では、金属微粒子1に対しY軸に平行な磁界MFYが印加されることを想定する。磁界MFYの印加時には、ローレンツ力の方向が入射光LTの進行方向に対して平行となるため、自由電子の振動方向が入射光LTの進行方向に垂直な面内から外れる方向に回転する(即ち、実線矢印911の方向から破線矢印913の方向へと回転する)。マクスウェル方程式より、等方的な媒質中での電磁波の伝播では、電磁波の進行方向と電場の振動方向が直交しなければならない。故に、磁界MFYの印加時において、自由電子の振動に伴う双極子放射の進行方向は、X軸の方向成分とZ軸の方向成分を持つ。このことから、磁界MFYの印加時において、入射光LTに対する金属微粒子1の散乱光は、入射光LTの進行方向と異なる進行方向になることが理解される。
本実施形態に係る光学素子10では、このような原理を利用する。即ち、磁界印加部2は、入射光LTの進行方向及び偏光方向であるZ軸及びX軸方向の双方に対して直交する磁界(即ち、磁界MFY)を金属微粒子1に印加する。金属微粒子1における自由電子の振動方向の回転角は、印加磁界が入射光LTの進行方向及び偏光方向の双方に直交するときに最大になるが、入射光LTの進行方向及び偏光方向の双方に直交する磁界の成分を、磁界印加部2の印加磁界が含んでおればよい。即ち、磁界印加部2の印加磁界は磁界MFYの成分を含んでいれば良く、X軸やZ軸に平行な磁界成分が磁界印加部2の印加磁界に更に含まれていても構わない。
本光学素子10では、磁界印加により異方性を持った金属微粒子1で入射光が散乱され、局所的又は全体的に入射光の進行方向を変化させることができ、また、印加磁界の強度で進行方向の変化量を決めることができる。入射光の進行方向を変化させるのは金属微粒子1という非常に微細な構造であり、また、金属微粒子1に磁界を印加できる限り磁界印加部2は金属微粒子1から離れた位置に設置されていてもよいため(或いは、図1(c)又は(d)の如く磁界印加部2を金属微粒子1と一体に形成しても良いため)、金属微粒子1を液体中や薄膜中などにも導入できる。故に、プリズムやミラーなどの光学素子と異なり、本光学素子10に対する設置場所の制約は小さい。更に、入射光の進行方向の変化量を印加磁界の強度で調整できるため、光学素子10を設置する際の設置位置精度(設置の向きの精度を含む)は粗くても良く、微調整などを不要にすることもできる(プリズムやミラーを用いる場合、それらの設置位置及び向きを厳密に調整しないと所望の進行方向変化を得ることができない)。
また、金属微粒子1の表面で接触している媒質が金属微粒子1の全表面において透光性(光を透過させる性質)を持つように金属微粒子1を形成するとよい。これにより、金属微粒子で表面プラズモンが励起されやすくなるため、進行方向の変化量をより大きくできる。
さらに、金属微粒子1の全表面において表面プラズモンを励起可能な金属材料を露出させ(金属微粒子1の最表面を表面プラズモンを励起可能な金属材料にて形成し)、露出している当該金属材料が表面プラズモンを励起不能な他の金属材料などで覆われないようにするとよい。つまり、金属微粒子1の全表面において、表面プラズモンを励起可能な金属材料が、光を伝搬する上記媒質と接触していると良い。これにより、金属微粒子1の構成が非常に簡素で済むと共に、入射光LTとの関係において金属微粒子1がどのような姿勢をとっていても上述したような光の進行方向変化を得ることが可能であり、設置場所の制約が非常に小さくなる。
光学素子10を形成する金属微粒子1の個数が1である場合、作用できる光のエネルギが小さい。そこで、特に例えば、伝播光を入射光LTとして利用する形態では複数の金属微粒子1を利用すると良い。複数の金属微粒子1を利用することで、入射光LTのビーム径を特に絞らなくても、金属微粒子1で散乱される光の割合が大きくなり、平行光でも進行方向の大きな変化作用を得ることが可能となる。後述の任意の実施形態においても、光学素子10に1又は複数の金属微粒子1を設けることが可能である。
光学素子10における入射光LTから見た散乱光の回転角、即ち光学素子10による光の進行方向の変化量を、上記式(1)から計算することができる。また、金属微粒子1の材料及び大きさ並びに金属微粒子1の周囲の屈折率を非特許文献2又は特許文献4に示されたそれらと同じにすれば、上記の回転角を、非特許文献2又は特許文献4に示された回転角と同じにすることができる。但し、磁界印加部2の磁界印加方向は非特許文献2等における磁界印加方向と異なっていて、光学素子10における偏光方向の回転方向は非特許文献2等とは相違し、光学素子10では光の進行方向を回転させることができる。
尚、非特許文献2及び特許文献4において、金属微粒子の散乱光は直線偏光でなく楕円偏光になる場合があることが示唆されている。これは、光学素子10においては、金属微粒子1の散乱光の進行方向が角度分布を持つことを意味する。この角度分布は、楕円偏光における楕円率が大きくなるほど広くなる。しかし、カー回転角が最大値を持つとき、楕円率はゼロになるため、その条件下では、金属微粒子1の散乱光を直線偏光にすることができる。
[光学素子の製造方法]
光学素子10の製造方法を説明する。金属微粒子1として、市販されている金属微粒子、又は、公知の製造方法を用いて作成された金属微粒子を利用可能である。例えば、フォトリソグラフィープロセスなどを用い、基板上に金属微粒子1を形成しても良い。或いは例えば、化学調合により金属微粒子1を形成しても良い。磁界印加部2を形成する磁石、磁性体若しくはコイルとして、市販されている磁石、磁性体若しくはコイル、又は、公知の製造方法を用いて製造された磁石、磁性体若しくはコイルを利用可能である。例えば、基板上に磁化の向きが揃った強磁性体膜(薄膜状の強磁性体)を磁界印加部2として形成しても良い。
図1(b)の光学素子10aを形成する場合、市販又は作成された金属微粒子1の外側に市販又は作成された磁石やコイルを設置すればよい。図1(c)の光学素子10bを形成する場合、市販又は作成された金属微粒子1を基板上に分散させ、その上から強磁性体膜を製膜すれば良い。図1(d)の光学素子10cを形成する場合、市販又は作成された磁性粒子の表面上に、水溶液中の還元反応、酸化反応、析出反応、ゾルゲル反応などを利用して、金属微粒子1のシェルを形成すれば良い。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3〜第7実施形態は、第1実施形態を基礎とする実施形態であり、矛盾無き限り、第1実施形態の記載が第2〜第7実施形態にも適用される。図3(a)及び(b)に、第2実施形態に係る光学センサ200の概念図及び構成ブロック図を示す。光学センサ200は、光学素子11、光源21及び検出器22を備え、基板24も更に備えうる。第1実施形態における光学素子10(10a、10b又は10c)を光学素子11として用いることができる。本実施形態で述べる金属微粒子1及び磁界印加部2とは、特に記述なき限り、光学素子11を形成する金属微粒子1及び磁界印加部2を指す。図3において、複数の丸は複数の金属微粒子1を表している(後述の図4(a)、図4(b)、図7、図9、図10、図11及び図12においても同様)。
尚、以下の説明において、散乱光とは、特に記述なき限り、金属微粒子1による散乱光を指し、当該散乱光は金属微粒子1による反射光を含む(後述の他の実施形態でも同様)。また、以下の説明において、特に記述なき限り、印加磁界とは、磁界印加部2による印加磁界を指す(後述の他の実施形態でも同様)。
光源21は、光学素子11の金属微粒子1において表面プラズモンを励起できる波長の光を放射可能な光源であり、その波長以外の波長の光が光源21の放射光に更に含まれうる。光源21の放射光は入射光LT(図1(a)参照)として光学素子11に入射される。光源21の放射光は直線偏光であることが望ましいが、光源21の放射光そのものが直線偏光ではない場合、光源21及び光学素子11間に偏光板(不図示)を配置するなどの処置を成すことで、光学素子11への入射光を直線偏光にしても良い。光源21の放射光の波長は、光学センサ200にて検出可能な屈折率範囲(検出可能な検出対象23の濃度範囲)において、表面プラズモンが励起されるように設定されれば良い。“検出可能な屈折率範囲(検出可能な検出対象23の濃度範囲)”の意義については後述の説明から明らかとなる。光源21の放射光は、単波長の光であっても、或る程度の波長幅を持った光であっても良い。但し、光源21の放射光の波長の幅が広い場合、分光器(不図示)などを用いて後述の濃度の解析が行われる。
光学センサ200は、検体25内に特定の物質である検出対象23が存在しているか否かを検出できると共に、検体25内における検出対象23の濃度又は量を検出することができる。光源21及び検出器22間における光源21の放射光の通過経路内に、検出対象23を含む検体25が光学素子11の金属微粒子1と共に配置される(但し、検体25内に検出対象23が存在しないこともある)。
検出対象23は、金属微粒子1と同等程度の微細な物体である。光学素子11は、金属微粒子1が検出対象23と入射光LT(即ち光源21の放射光)の波長以下の距離で隣接可能な形態である限り、上述の任意の形態の光学素子10であって良い。図3(a)の例では、光学素子11に複数の金属微粒子1が含まれ、透光性を有する基板24上に複数の金属微粒子1を分散及び固定している。図3(a)では磁界印加部2が図示されていないが、図3(a)が示される紙面に直交する方向において当該紙面を挟み込む位置に磁界印加部2の磁石やコイルを配置しても良いし、各金属微粒子1の内部にコアとして磁界印加部2を設けても良い。或いは、基板24上に配置された金属微粒子1の上から磁化の向きの揃った強磁性体膜を製膜することで磁界印加部2を形成しても良い。この場合、金属微粒子1が検出対象23と入射光LTの波長以下の距離で隣接可能となるように強磁性体膜の膜厚を調整するか、或いは、強磁性体膜の内、金属微粒子1の膜部分だけを除去すればよい。磁界印加部2を形成するための、上述の任意の複数の方法を組み合わせても良い。
また、金属微粒子1は基板24上に固定されていなくても良く、少なくとも一部に透光性を有する容器内に液体を封入して当該液体中に金属微粒子1を分散させても良い。この場合において、各金属微粒子1の内部にコアとして磁界印加部2を設けておく形態を採用する場合、外部から印加された磁界によって磁化の向きが揃う磁性体にて磁界印加部2を形成しておけば、液体中で金属微粒子1が自由に回転しても、金属微粒子1に印加される磁界の向きは一定となる。尚、金属微粒子1の周囲に、特定の物質を吸着するための吸着層をコーティングしておいても良い。
検出器22は、自身が受光した光の強度を検出する。市販又は公知のフォトディテクタにて検出器22を形成できる。検出器22は、少なくとも光源21の放射光の波長を有する光の強度を検出できれば良い。
次に、光学センサ200の動作について説明する。図3(a)では、基板24上に金属微粒子1を固定し、検出対象23を含みうる検体25としての液体を基板24上に流す構成を採用している。基板24を側壁として用いた流路を形成することで当該構成を形成可能である。光源21の放射光は光学素子11への入射光LTとして金属微粒子1に照射され、光学素子11の磁界印加部2(不図示)により金属微粒子1に磁界が印加される。
金属微粒子1の周囲に検出対象23が存在するか否かによって金属微粒子1の周囲の屈折率が変化する。金属微粒子1で励起される表面プラズモンの波長が、金属微粒子1の周囲の屈折率、即ち検出対象23の量に依存することを利用し、表面プラズモンが如何なる波長で励起されるのかを検出する、といった光学センサも存在する。これに対し、本実施形態に係る光学センサ200は、波長ではなく、金属微粒子1による散乱光(反射光でも良い)の進行方向を角度として検出する。上記の式(1)に示されるように、磁界が印加された金属微粒子1では、自由電子の振動方向が、金属微粒子1への印加磁界の強度及び金属微粒子1の周囲の屈折率(即ち誘電率εdの平方根)に依存するため、磁界の強度を一定にしておけば、金属微粒子1の周囲の屈折率に依存して散乱光(反射光でも良い)の進行方向が変化する。故に、金属微粒子1の周囲に検出対象23が存在するか否かによって、或いは、金属微粒子1の周囲の検出対象23の濃度によって、散乱光の進行方向の変化量が変化する。光学センサ200は、この変化量を角度差として検出することで、検出対象23が存在する量(即ち、検出対象23の濃度)を検出することができる。
図4(a)等を参照して、より具体的に説明する。図2(b)と同様、入射光LTとしての光源21の放射光の進行方向及び偏光方向が夫々Z軸及びX軸と平行であるとする。まず、金属微粒子1に磁界を印加しない場合には、図4(a)の点線の如く、検出対象23が金属微粒子1の周囲に存在するか否かに依存せず、光源21の放射光は直進する。一方、磁界印加部2によりY軸に平行な磁界が金属微粒子1に印加されたとき、図4(b)に示す如く、光源21の放射光は、検出対象23が周囲にない金属微粒子1によっては角度θ1だけ進行方向が変化し、検出対象23が周囲に存在する金属微粒子1によっては角度θ2だけ進行方向が変化する(θ1≠θ2)。
光源21の放射光が金属微粒子1及び検体25を通過したときに生じる、当該放射光の進行方向の変化量を角度θにて表す。角度θは、光源21の放射光に対する金属微粒子1の散乱光の角度(即ち、光源21の放射光の進行方向と金属微粒子1の散乱光の進行方向との角度差)である。検出対象23が周囲にない金属微粒子1にとってのθはθ1であり、検出対象23が周囲に存在する金属微粒子1にとってのθはθ2である。検出器22は、金属微粒子1及び検体25を介して受光した散乱光の信号に基づき、散乱光の角度θを検出する。光源21及び検出器22間に複数の金属微粒子1を設けておくことで、検出器22は、複数の金属微粒子1についての複数の角度θを検出することができ、複数の角度θの分布を検出することができる。検出器22は、角度θで進行方向が変化せしめられた光の量(角度θにて散乱された光の、検出器22における受光量)を、透過率として求めることができる。透過率は反射率であっても良い。図5の破線曲線921及び実線曲線922は、検出器22による、透過率の角度θ依存性の測定結果の例である。但し、破線曲線921は、磁界印加部2の磁界印加がない場合における透過率の角度θ依存性を示し、実線曲線922は、磁界印加部2の磁界印加がある場合における透過率の角度θ依存性を示している。実線曲線922では、θ=θ1にて透過率が極大値P1をとり、θ=θ2にて透過率が極大値P2をとっている。結果、単純には例えば、光学センサ200は、検体25における検出対象23の濃度又は量は“k×P2/(P1+P2)”であると算出する(kは所定の係数)。仮に、θ=θ2における透過率が所定値以下である場合(例えば実質的にゼロである場合)、光学センサ200は、検体25に検出対象23が含まれていないと判断する。
光学センサ200において、検出可能な濃度範囲が定められており、その濃度範囲内において検出対象23の濃度を検出可能である。金属微粒子1の周囲の屈折率(以下単に屈折率とも言う)は検出対象23の濃度に依存するため、検出対象23の濃度検出は屈折率の検出とも言える。光学センサ200にて屈折率が検出されると考えた場合、上記検出可能な濃度範囲に対応して光学センサ200にて検出可能な屈折率範囲が定まり、検出可能な最大屈折率が定まる。一般に、検出対象23が金属微粒子1の近辺に存在すると、金属微粒子1の周囲の屈折率が高くなるため、表面プラズモン共鳴波長は長波長側にシフトする。故に、検出可能な最大屈折率において表面プラズモンが金属微粒子1に励起される波長(即ち、検体25に検出対象23が含まれない状態における金属微粒子1の表面プラズモン共鳴波長よりも長い波長)に、光源21の放射光の波長を設定しておくと良い。これによれば、検出対象23が金属微粒子1の近辺にあるときに表面プラズモン共鳴が起こり易くなるため、検出対象23を検出する際における検出強度(角度θ2に対応する光の強度)が高くなり、結果、検出の信号対雑音比が高まる。尚、検出可能な最大屈折率において表面プラズモンが金属微粒子1に励起される波長以外の波長の光が、更に、光源21の放射光に含まれていても構わない。
検出器22としてCCD(Charge Coupled Device)を用いることができる。この場合、検出器22は、CCDが受光した散乱光の分布から複数の金属微粒子1についての複数の距離d(図6を参照)を求め、各距離dを角度θに換算することで透過率の角度θ依存性を求めればよい。光源21の放射光が金属微粒子1によって角度θだけ進行方向が変化したとき、光源21の放射光が直進した状態を基準として、検出器22へ入射する光はX軸方向に距離dだけずれる。金属微粒子1及び検出器22間の距離Lを用いれば、散乱光についての距離dを角度θに換算可能である。検出器22において、CCDの代わりに、複数のフォトディテクタをX軸方向に沿ってアレイ状に並べても良いし、角度θ依存性を導出可能な方向に小型のフォトディテクタをスキャンしても良い。このように、距離dを角度θに換算する場合、距離Lにより、光学センサ200の全体サイズ及び濃度検出の分解能を決定することができる。
よって、光学センサ200では、金属微粒子を使った方式でありながら、特許文献1では必要であった白色光などの広範囲波長光の光源や分光器が不要となる。故に、小型且つ簡便で低コストなセンサを形成可能である。また、距離dを角度θに換算すればよいから、分解能を距離Lで調整可能である。或いは、印加磁界を強くすれば距離Lが不変であっても高分解能が実現される。このように、光学センサ200では、容易に分解能を変更可能であると共に変更時におけるコストアップ等が殆ど無い。
図3(a)では、金属微粒子1が基板24上に固定されているが、金属微粒子1を検出対象23と共に流路に流しても良い。その場合、金属微粒子1の数が多ければ、1つの金属微粒子1で散乱した光が他の金属微粒子1でも散乱されることがある。結果、複数の散乱効果の総合結果が検出器22にて観測されることになるため、角度の変化量が大きくはなるが、解析が複雑となりうる。
上述の説明では、印加磁界の強度が一定であることを想定しているが、磁界印加部2は、金属微粒子1に印加する磁界の強度を所定周期にて周期的に変化させても良い。この場合、検出器22は、金属微粒子1からの散乱光を含む受光した光の信号の内、上記周期に対応する光の信号成分(即ち、上記周期にて強度が変動する光の信号成分)のみを、ロックインアンプ等を用いて検出すると良い。これにより、光学センサ200の信号対雑音比を高めることができ、検出対象23の濃度等を高感度で検出することが可能となる。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。図7は、第3実施形態に係る光電変換素子300の概略斜視図である。光電変換素子300は、裏面電極31、光学素子12、n型半導体層32、i型半導体層33、p型半導体層34、表面電極35及び基板36から成る。図7では、電極31及び35をドットで満たされた領域にて示している(後述の図9でも同様)。第1実施形態における光学素子10(10a、10b又は10c)を光学素子12として用いることができる。本実施形態で述べる金属微粒子1及び磁界印加部2とは、特に記述なき限り、光学素子12を形成する金属微粒子1及び磁界印加部2を指す。
n型半導体層32、i型半導体層33及びp型半導体層34は、アモルファスシリコン、化合物半導体又は有機半導体で作成された半導体の層であり、ドーピングにより、夫々、n型、i型、p型とされる。層32は層33を介して層34に接合されている。半導体層32〜34をまとめたものを光電変換層と呼ぶ。光電変換層は、光電変換層に対する入射光を電気エネルギに変換する(即ち光電変換を行う)。公知の太陽電池又は光検出器の構成を光電変換層に採用することができる。尚、光電変換層からi型半導体層33を割愛することも可能である。
基板36上に光電変換層が形成される。光を基板36側から入射させる場合、ガラスなどの透明材料で基板36を形成することが望ましい。また、光電変換素子300への入射光を拡散させるためのテクスチャ構造を基板36に形成しても良い。光電変換素子300への入射光LT300はZ軸方向に進行する光を含む。以下では、入射光LT300の内、Z軸方向に進行する光の成分に注目する。光電変換素子300への入射光LT300は、光電素子12への入射光LTとしての機能をも持ち、光電変換層だけでなく、光学素子12の金属微粒子1にも照射される。入射光LT300に対する金属微粒子1の散乱光が光電変換層を通過するように金属微粒子1が光電変換素子300に組み込まれている。故に、金属微粒子1で散乱された光の少なくとも一部が光電変換層で吸収される。基板36及び半導体層32〜34は、XY面方向に広がり方向を持つ。XY面とは、X軸及びY軸に平行な面を指す。
裏面電極31及び表面電極35は、光電変換層で発生した電流を取り出すためのものであり、光電変換層を挟むように形成される。電極31及び35の内、少なくとも光が入射する側の電極(本実施形態では電極35)は、ITO(酸化インジウム・スズの酸化物)などの透明導電膜で形成することが望ましい、或いは、透明導電膜上の一部にAl(アルミニウム)やAg(銀)などの配線を付加したものであることを望ましい。また、光電変換層の全面に電極31及び35を設けてもよいが、図7のように、光電変換層の一部にのみ電極31及び35を設けてもよい。
光電変換素子300の外側にコイルや磁石を配置することで光学素子12の磁界印加部2を形成し、光電変換素子300の外側から磁界印加部2による磁界を印加しても良い。但し 特に光電変換素子300の面積が相応に大きい場合などにおいては、金属微粒子1の周囲に磁化の向きが揃った強磁性体膜を設けることで磁界印加部2を形成しても良いし、磁化の向きの揃った強磁性体から成る磁性粒子を磁界印加部2として且つ金属微粒子1のコアとして設けても良い。これにより、金属微粒子1に常時磁界を印加することができると共に光電変換素子300の構成を簡素化することができる。このとき、強磁性体膜又は磁性粒子はXY面内において磁化されていることが好ましい。強磁性体膜で光吸収があると、金属微粒子1で発生する表面プラズモンが弱くなるため、強磁性体膜を透明材料(透明なフェライトなど)で形成しておくことが好ましい。図7の例では、磁界印加部2を強磁性体膜にて形成し、その強磁性体膜中に複数の金属微粒子1を埋め込んだ構成をとっているが、金属微粒子1を強磁性体膜の表面に設置しても良い。磁性粒子を金属微粒子1のコアとして用いる場合には、磁性粒子と金属微粒子1のシェルとの間に誘電体層を設けることが好ましい。
入射光LT300が基板36側から光電変換素子300に照射されると、入射光LT300におけるXY面内の偏光成分(即ちXY面内で電場が振動する偏光成分)と磁界印加部2によるXY面内の磁界(即ちX軸方向の磁界とY軸方向の磁界の一次結合)により、入射光LT300は、入射方向に対して傾いた方向に散乱される。ここにおける散乱の主体は金属微粒子1である。入射光LT300に対する金属微粒子1の散乱光は、裏面電極31側に向かう散乱光931と、基板36側に向かう散乱光932を含む。図7の例では、入射光LT300の光源(不図示)から近い順に、換言すれば、光電変換素子300への入射光LT300の入射側から順に、基板36、表面電極35、光電変換層、磁界印加部2としての強磁性体膜、裏面電極31が配置され、磁界印加部2としての強磁性体膜中に金属微粒子1が配置されている。即ち、光電変換層は、金属微粒子1よりも光電変換素子300への入射光LT300の入射側に配置されている(換言すれば、金属微粒子1は、入射光LT300の光源に対し光電変換層よりも遠い位置に配置されている)。従って、散乱光931は、裏面電極31で反射して光電変換層に戻り、散乱光932はそのまま光電変換層に戻る。入射光LT300の光源は、任意の発光体(例えば太陽、照明装置)であっても良いし、発光体からの光を反射する反射体(例えば、太陽からの光を反射するミラー)であっても良い。
このように、光電素子12を含めた光電変換装置300では、散乱の結果として光の進行方向が光電変換層に対して傾くため(磁界印加部2を持たない構成との比較において、斜めに散乱される光の成分が増えるため)、光電変換層中の光路長が伸びる。故に、光電変換層における光の吸収率を高くでき、エネルギ変換効率を高めることができる。尚、図7では、散乱光931及び932を破線直線で示しているが、実際の散乱は角度に幅を持つ。散乱光931及び932を示す破線直線は、この角度の幅の中心を示している。
金属微粒子1と磁界印加部2は、磁界印加部2の磁界が金属微粒子1に印加される限り、互いに離れた位置に配置されていても良い。従って、光電変換層が、金属微粒子1のみ又は光学素子12全体よりも入射光LT300の入射側に配置されていれば良い(換言すれば、金属微粒子1のみ又は光学素子12全体が、入射光LT300の光源に対し光電変換層よりも遠い位置に配置されていれば良い)。また、図7の構成とは異なるが、金属微粒子1又は光学素子12全体が、光電変換層よりも入射光LT300の入射側に配置されていても良い(換言すれば、金属微粒子1のみ又は光学素子12全体が、入射光LT300の光源に対し光電変換層よりも近い位置に配置されていても良い)。この場合、光電変換層に入射する光を斜めに散乱させるため、光電変換層中の光路長を最も長くすることができ、光の吸収率、即ちエネルギ変換効率を高めることができる。但し、表面プラズモン共鳴波長でない波長の光については、金属微粒子1により光が遮られることになる。一方、図7に示すような金属微粒子1の配置では、光電変換層に入射される光を金属微粒子1で遮ることによるロスがなくなるが、光が金属微粒子1に到達するまでは斜め散乱による効果を発揮できない。
更なる変形構成として、金属微粒子1のみ又は光学素子12全体を、光電変換層の内部に配置するようにしても良い。これによれば、光電変換を行う部分に金属微粒子1を非常に近接させることができるため、表面プラズモン共鳴による増強した電場を光電変換層で吸収させることができ、この作用によってもエネルギ変換効率の向上が見込める。
次に、裏面電極31及び表面電極35の形成位置について説明する。通常、光電変換素子は電圧をかけた状態で利用され、実際、光電変換素子300でも、電極31及び35間に電圧を印加可能である。電極31及び35間に電圧を印加したとき、その印加電圧と磁界印加部2の印加磁界とにより、光電変換層内に発生した電荷に対し磁界に直交する方向のローレンツ力が働く。図7では、例えば、磁界印加部2の印加磁界の方向はY軸方向であって且つ電極31及び35間に印加される電圧の方向はZ軸方向であるため、光電変換層内に発生した電荷にはX軸方向のローレンツ力が働く。
よって、電荷が偏った領域のみに電極を形成しても電流を効率よく取り出すことができる。表面電極35が形成される領域を光電変換層の入射面の一部とすることで、表面電極35での入射光の吸収を低減することができる。また、電極の形成材料の減少により材料コストの低減も図られる。
この電極構成について、図8(a)及び(b)を参照して更に説明を加えておく。電極31及び35は一組の電極(一対の電極)を形成しており、光電変換層は、その一組の電極に挟まれる面935及び936を有している。面935及び936はZ軸方向に法線を持つ面である。面935は、面936よりも表面電極35及び入射光LT300の入射側(入射光LT300の光源)に近く、麺936は、面935よりも裏面電極31に近い。図7の例では、面935と表面電極35が直接接合されているが、面935及び表面電極35間に、光学素子12全体又は金属微粒子1が介在しうる。また、図7の例の如く、面936及び裏面電極31間に光学素子12(又は金属微粒子1のみ)が介在している場合もあるが、面936と裏面電極31が直接接合されていても良い。光電変換層を中心にして考えた場合、表面電極35は、面935の一部領域935aのみを覆うように面935の一部領域935a上に形成される(図8(b)参照)。表面電極35は、面935よりも入射光LT300の入射側に(入射光LT300の光源の近くに)配置される。表面電極35は、面935におけるY軸方向の中心線に対し(即ち、磁界印加部2の印加磁界方向に沿った、面935の中心線に対し)、印加磁界方向に直交する方向(即ちX軸方向)にずれている。つまり、表面電極35は、磁界印加部2の印加磁界方向の直交方向に偏って形成されると良い。尚、X軸方向において表面電極35に隣接する領域(図9の斜線領域)には、所定の誘電体を表面電極35と同じ膜厚で形成しても良いし、光電変換層と同質の半導体層(図7の例では、p型半導体層)を形成しても良い。
また、表面電極35と同様に、裏面電極31の形成領域も偏らせても良い。このとき、電極31及び35の内、一方は正の電荷を取り出す電極であり、他方は負の電荷を取り出す電極である。正の電荷と負の電荷とで、作用するローレンツ力の向きは逆であるため、裏面電極31と表面電極35を、磁界に直交する互いに異なる方向に偏って形成すれば良い。これにより、電極の形成材料費を更に減少させることができると共に、電流を効率良く取り出すことができる。
裏面電極31の形成について、以下のようなことが言える。裏面電極31は、面936の一部領域936aのみを覆うように面936の一部領域936a上に形成され(図8(a)参照)、面936におけるY軸方向の中心線に対し(即ち、磁界印加部2の印加磁界方向に沿った、面936の中心線に対し)、印加磁界方向に直交する方向(即ちX軸方向)にずれている。つまり、裏面電極31は、表面電極35と同様、磁界印加部2の印加磁界方向の直交方向に偏って形成されると良い。但し、裏面電極31と表面電極35は、磁界印加部2の印加磁界方向に直交する、互いに正反対の向きに偏って形成されている。つまり、X軸とY軸の交点が、面935及び936の中心を通る、面935及び936の法線上に位置していると考えた場合、電極31及び35の内、一方はX軸の負側に配置され、他方はX軸の正側に配置される。
光電変換素子300を、太陽電池として利用することもできるし、光検出器として利用することもできる。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。図10は、第4実施形態に係る光学フィルタ400の概略構成図である。光学フィルタ400は、スペーサ層41と光学素子13から成る。第1実施形態における光学素子10(10a、10b又は10c)を光学素子13として用いることができる。本実施形態で述べる金属微粒子1及び磁界印加部2とは、特に記述なき限り、光学素子13を形成する金属微粒子1及び磁界印加部2を指す。
光学素子13に対し、Z軸方向に進行する入射光LT400が入射光LT(図1(a)参照)として入射される。入射光LT400の内、特定の波長域の光が、光学素子13の金属微粒子1により吸収される。その特定の波長域には、金属微粒子1の表面プラズモン共鳴波長が含まれる。光学素子13は、概ね直方体形状を有しており、光学素子13の形状としての直方体の2つの面は入射面及び出射面である。入射面及び出射面は、XY面に平行な、互いに正対する面である。入射面及び出射面の内、入射面の方が入射光LT400の光源(不図示)に対して近い。即ち、入射面は、入射光LT400が入射する側の面である。
スペーサ層41は、光学素子13の出射面に接合される樹脂材料などから成る。スペーサ層41は、光学素子13において特定の角度で入射光LT400が散乱されることで生じる表面プラズモン共鳴波長の光940、即ち、入射光LT400に対する金属微粒子1からの散乱光(表面プラズモン共鳴による散乱光)を吸収し、その散乱光をスペーサ層41の外に出さないようにする。例えば、特定の角度で散乱された上記光940が、スペーサ層41におけるY軸及びZ軸に平行な側壁で吸収されるように、X軸方向におけるスペーサ層41の幅wを設定すると共に当該側壁に光940を吸収する吸収材を形成しておけばよい。
光学フィルタ400の外側にコイルや磁石を配置することで光学素子13の磁界印加部2を形成し、光学フィルタ400の外側から磁界印加部2による磁界を印加しても良い。但し、金属微粒子1の周囲に磁化の向きが揃った強磁性体膜を設けることで磁界印加部2を形成しても良いし、磁性粒子を磁界印加部2として且つ金属微粒子1のコアとして設けても良い。これにより、金属微粒子1に常時磁界を印加することができると共に光学フィルタ400の構成を簡素化することができる。このとき、強磁性体膜又は磁性粒子はXY面内において磁化されていることが好ましい。強磁性体膜で光吸収があると、金属微粒子1で発生する表面プラズモンが弱くなるため、強磁性体膜を透明材料(透明なフェライトなど)で形成しておくことが好ましい。図10の例では、磁界印加部2を磁化の向きの揃った強磁性体膜にて形成し、その強磁性体膜中に複数の金属微粒子1を埋め込んだ構成をとっているが、金属微粒子1を強磁性体膜の表面に設置しても良い。磁化の方向が揃った磁性粒子を金属微粒子1のコアとして用いる場合には、磁性粒子と金属微粒子1のシェルとの間に誘電体層を設けることが好ましい。
入射光LT400の内、表面プラズモン共鳴波長の光以外の光941は、光学素子13及びスペーサ層41を直進し、光学フィルタ400の透過光として光学フィルタ400の外に出射される。入射光LT400の内、表面プラズモンが励起される波長の光は金属微粒子1で部分的に吸収されるが、表面プラズモンが励起される波長の光の一部は散乱光940としてスペーサ層41に向かう。但し、磁界印加部2の印加磁界により、表面プラズモン共鳴波長の光940は斜めに伝播するため光学フィルタ400の透過光とならず、光学フィルタ400の外には出ない(或いは出にくい)。このため例えば、光学フィルタ400を透過させたい光の色の補色の光で表面プラズモンが励起されるように、金属微粒子1の材料及び形状並びに金属微粒子1の周囲の屈折率(図10の例では、磁界印加部2を形成する強磁性体膜の屈折率)を決めておく。そうすると、光学フィルタ400の透過光のコントラストを上げることが可能となる。
具体的には、不等式「w<h×tanθK」が満たされるように、Z軸方向における光学フィルタ400の厚み(即ち、Z軸方向における光学素子13及びスペーサ層41の長さの合計)hと、上記の幅wを設定しておけば良い。散乱光の進行方向は或る程度の分布を持つため、厚みhが大きくなるほどコントラストは向上するが、その分、材料費や製造費が高くなると共に光学フィルタ400が大型化する。
図10の例では、入射光LT400の偏向方向がX軸方向であって且つ磁界印加方向がY軸方向である。入射光LT400は直線偏光であってよい。元々の入射光LT400が直線偏光でない場合には、偏光板などを用いて入射光LT400を直線偏光にすれば良い。また、直線偏光でない入射光LT400が光学フィルタ400に入射された場合でも、磁界印加方向に直交する偏光成分に対して光の進行方向を変えることができるので、透過されるべきでない光に関して直進する成分が減少し、コントラストを上げることができる。
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。図11は、第5実施形態に係る光学フィルタ群410の概略構成図である。図12は、光学フィルタ群410の分解図であり、光学フィルタ群410は、光学フィルタ400R、400G及び400Bから成る。光学フィルタ400R、400G及び400Bの夫々は、図10の光学フィルタ400と同じ構成を有する。光学フィルタ400R、400G及び400Bにおける光学素子13を、夫々符号13R、13G及び13Bにて表し、光学フィルタ400R、400G及び400Bにおけるスペーサ層41を、夫々符号41R、41G及び41Bにて表す。更に、光学フィルタ400R、400G及び400Bにとっての入射光LT400(図10参照)、夫々、記号LTR、LTG及びLTBにて表す。入射光LTR、LTG及びLTBの特性は入射光LT400の特性と同じである。光学フィルタ400R及び入射光LTR間の関係、光学フィルタ400G及び入射光LTG間の関係、並びに、光学フィルタ400B及び入射光LTB間の関係は、光学フィルタ400及び入射光LT400間の関係と同じである。光学フィルタ400R、400G及び400Bにおける散乱光940(図10参照)を夫々符号940R、940G及び940Bにて表し、光学フィルタ400R、400G及び400Bにおける透過光941(図10参照)を夫々符号941R、941G及び941Bにて表す。
光学フィルタ群410では、表示装置用に、赤、緑及び青の光学フィルタ、即ち、光学フィルタ400R、400G及び400Bを並列に設けている。光学フィルタ400R、400G及び400Bを透過させるべき光の色は、夫々、赤、緑及び青である。従って、光学素子13Rの金属微粒子1では赤色の補色の光で表面プラズモンが励起されるように、且つ、光学素子13Gの金属微粒子1では緑色の補色の光で表面プラズモンが励起されるように、且つ、光学素子13Bの金属微粒子1では青色の補色の光で表面プラズモンが励起されるように、光学素子13R、13G及び13Bの夫々において、金属微粒子1の材料及び形状並びに金属微粒子1の周囲の屈折率(磁界印加部2を形成する強磁性体膜の屈折率)を決めておく。
すると、入射光LTR、LTG及びLTBの内、表面プラズモン共鳴波長の光以外の光941R、941G及び941Bは、各光学素子及び各スペーサ層を直進し、光学フィルタ400R、400G及び400Bの透過光として各光学フィルタの外に出射される。入射光LTR、LTG及びLTBの内、表面プラズモンが励起される波長の光は金属微粒子1で部分的に吸収されるが、表面プラズモンが励起される波長の光の一部は散乱光940R、940G及び940Bとして各スペーサ層に向かう。但し、磁界印加部2の印加磁界により、表面プラズモン共鳴波長の光940R、940G及び940Bは斜めに伝播するため各光学フィルタの透過光とならず、各光学フィルタの外には出ない(或いは出にくい)。結果、表面プラズモン共鳴波長の光の色の補色である、赤、緑及び青の光が高コントラストで透過することになる。尚、金属微粒子1を有していても磁界印加部2が備えられていない従来の光学フィルタでは、表面プラズモンが励起される波長の光も、一部は散乱光として光学フィルタを透過することになる(結果、色のコントラストが低くなる)。
図13に、上記光学フィルタ群410を利用した表示装置430の概略ブロック図を示す。表示装置430は、光源431、光学シャッタブロック432及び光学フィルタブロック433を備える。光学フィルタ群410を複数個配列することで光学フィルタブロック433を形成してよい。光学シャッタブロック432は、ブロック432内の光学フィルタ400R、400G及び400Bに個別に対応する複数の光学シャッタを有し、各々の光学シャッタは、偏向板と液晶素子を組み合わせて形成される。光源431は、白色光を放射する。光源431の放射光は、光学シャッタブロック432に入射し、光学シャッタブロック432において各光学フィルタへの入射光LTR、LTG及びLTBの光量が調整された後、光学フィルタブロック433内の光学フィルタ400R、400G及び400Bに入射される。光源431の放射光の内、光学フィルタブロック433内の光学フィルタ400R、400G及び400Bの透過光941R、941G及び941B全体で、表示装置430の一画素に相当する1つの光学フィルタ群410で表示される色が決定する。更に、光学フィルタブロック433を構成する複数個の光学フィルタ群410が、それぞれに適切な色を表示することにより、所望の映像表示が成される。光学フィルタブロック433において、光学素子13R、13G及び13Bにおける金属微粒子1の表面プラズモン共鳴波長を、上述の如く、赤色、緑色及び青色の補色の波長に設定しておくことで、三原色を高コントラストで表示することができる。
尚、図13の表示装置430は透過型の表示装置であるが、光学シャッタブロック432及び光学フィルタブロック433を用いて反射型の表示装置を形成しても良い。反射型の表示装置では、光源431は不要であり、太陽光又は照明装置からの照明光が光学フィルタ400R、400G及び400Bに対する入射光としてスペーサ層41R、41G及び41B側から入射することになる(表示装置430の視聴者は表示装置430をスペーサ層側から見る)。また、スペーサ層41R、41G及び41Bを偏光板などの他の部材と共通化して形成しても良い。また、光学フィルタ群410又は光学フィルタブロック433に、4種類以上の光を個別に透過させる4種類以上の光学フィルタを設けるようにしても良い(4種類以上の光学フィルタの夫々は、光学フィルタ400と同様の構成を有する)。
<<第6実施形態>>
本発明の第6実施形態を説明する。図14は、第6実施形態に係る光回路500の概略構成図である。光回路500は、導波路51〜53及び光学素子16から成り、それらを用いて光の伝播を行う。第1実施形態における光学素子10(10a、10b又は10c)を光学素子16として用いることができる。本実施形態で述べる金属微粒子1及び磁界印加部2とは、特に記述なき限り、光学素子16を形成する金属微粒子1及び磁界印加部2を指す。
導波路51〜53の夫々は、複数の金属微粒子を所定方向に沿って等間隔で配列することで形成される。導波路51〜53を形成する各金属微粒子は、金属微粒子1と同様、表面プラズモンを励起可能な金属材料から成る。例えば、非特許文献1に示される方法を用いて各導波路を形成すればよい。導波路51〜53及び後述の導波路54〜57を含む任意の導波路において、金属微粒子の大きさ(金属微粒子が球である場合、直径)及び隣接する金属微粒子間の間隔は、少なくとも伝播される光の波長以下とされ、表面プラズモン共鳴を利用して光の伝播が成される。各導波路を形成する金属微粒子の形状は球以外の形状(例えば楕円球)でも良い。光回路500における導波路51〜53はあくまで例示であり、重要なことは、互いに異なる方向に金属微粒子を連ねて形成される複数の導波路が光学素子16により接続されている点である。
図14の例では、光学素子16における磁界印加部2が金属微粒子1のコアとして存在しているが、金属微粒子1の周囲に磁化の向きの揃った強磁性体膜を形成するなどの手段を更に併用して磁界印加部2を形成しても良い。
光回路500では、導波路51、52及び53の各一端が光学素子16により互いに接続されている。以下、任意の導波路において、複数の金属微粒子が配列されている方向(即ち光の伝播方向)を“導波路の方向”と表現する。導波路51の方向はZ軸方向であり、導波路52の方向はY軸に直交し且つX軸及びZ軸の夫々に対して傾いている。つまり、導波路52において複数の金属微粒子が並ぶ方向は、導波路51において複数の金属微粒子が並ぶ方向と異なる。導波路53の方向はZ軸方向である。
Z軸方向に導波路51を横波として伝播してきた光LT500は光学素子16の金属微粒子1に到達する。磁界印加部2はY軸方向の磁界を発生する。すると、光学素子16の金属微粒子1の自由電子における振動成分の内、光LT500のXZ面内の偏光成分に対応する振動成分がXZ面内で回転する(XZ面とはX軸及びZ軸に平行な面を指す)。結果、光LT500に基づく、導波路52へと進行する光が現れる。よって、導波路51を横波として伝播してきた光LT500がXZ面内の偏光成分(即ちXZ面内で電場が振動する偏光成分)のみを持つ場合、光LT500の進行方向は光学素子16にて導波路52の方向に曲げられ、以後、光LT500に基づく光が導波路52を進行する(この場合、光回路500から導波路53を割愛可能である)。導波路51を横波として伝播してきた光LT500がXZ面内の偏光成分とその他の偏光成分を持つ場合、光LT500は、光学素子16にて導波路52の方向に進む光と導波路53の方向に進む光に分波されることになる。何れの場合でも、光は横波として伝播するため、導波路の設計は単純で済む。
複数の導波路を光学素子16を介して接続し、磁界印加部2による印加磁界の強度を予め適切な強度(複数の導波路間の接続角度に応じた強度)に設定しておけば、複数の導波路(光回路500における導波路51及び52)を自由な角度で接続しても、効率よく光エネルギを伝送することができる。
光回路500では、導波路52及び53が光学素子16を介して導波路51を基準とすた2つの分岐路を形成している。このため、光回路500に、光の分波機能(光エネルギの分配機能)を持たせることが可能となる。光学素子16の出射光の中に、導波路52、53の金属微粒子が並ぶ方向に直交する偏光成分があれば、それぞれ、導波路52、53にエネルギが伝送される。印加磁界の強度に依存して、光学素子16の出射光を占める、導波路52、53の金属微粒子が並ぶ方向に直交する偏光成分の割合が変化し、導波路52、53の夫々に伝送されるエネルギの割合が変化する。
尚、磁界印加部2を金属微粒子1中のコア又は金属微粒子1の周囲の磁性体にする場合において、導波路中の金属微粒子の材料及び大きさを光学素子16中の金属微粒子1のそれらと同じにすると、導波路中の金属微粒子と光学素子16中の金属微粒子1との間で、表面プラズモンの共鳴条件が異なってくる。これは、磁界印加部2の存在によって、金属微粒子1の環境の屈折率が導波路中の金属微粒子のそれと異なってくるからである。故に、導波路中の金属微粒子を別の媒質中に形成するか、或いは、導波路中の金属微粒子の材料又は大きさを光学素子16中の金属微粒子1の材料又は大きさと相違させることが望ましい。これは、後述の光学素子17についても同様である。
<<第7実施形態>>
本発明の第7実施形態を説明する。図15は、第7実施形態に係る光回路510の概略構成図である。光回路510は、導波路54〜57及び光学素子17から成り、それらを用いて光の伝播を行う。第1実施形態における光学素子10(10a、10b又は10c)を光学素子17として用いることができる。本実施形態で述べる金属微粒子1及び磁界印加部2とは、特に記述なき限り、光学素子17を形成する金属微粒子1及び磁界印加部2を指す。
光回路510では、導波路54〜57の各一端が光学素子17により互いに接続されている。導波路54〜57の夫々は、上述の導波路51と同じ構成を有する。但し、導波路54及び55の方向はZ軸方向であり、導波路56及び57の方向はY軸に直交し且つX軸及びZ軸の夫々に対して傾いている。更に、導波路56及び57の方向は互いに異なる。Z軸方向に導波路54を横波として伝播してきた光LT510は光学素子17の金属微粒子1に到達する。磁界印加部2はY軸方向の磁界を発生する(図15において、斜線部分が磁界印加部2に相当する)。このため、第6実施形態の光回路500と同様の光の進行方向変化を光回路510にて実現することができる。
但し、光回路500及び510間で導波路の構成が相違することに対応して、光学素子17は、光学素子16との比較において2つの相違点を持つ(図14及び図15参照)。
光学素子16との第1の相違点は、光学素子17の磁界印加部2が金属微粒子1の外部から金属微粒子1に磁界を印加し、印加磁界の強度を変更可能に形成されている点である。光学素子17では入射した光(即ちLT510)の進行方向をXZ面内で変化させることができるが、印加磁界の強度を変えれば、その進行方向の変化角度を様々に変更することができる。例えば、磁界印加部2が印加磁界の強度を所定の第1強度にすれば、光LT510の進行方向は部分的に光学素子17にて導波路56の方向に曲げられ、磁界印加部2が印加磁界の強度を第1強度よりも大きな所定の第2強度にすれば、光LT510の進行方向は部分的に光学素子17にて導波路57の方向に曲げられる。磁界印加部2が印加磁界の強度をゼロにすれば、光LT510の進行方向は曲げられず、光LT510は導波路55を伝播する。
このように、光学素子17は、導波路54を伝搬してきた光を導波路56又は57に伝搬させるか否かを制御するスイッチング素子として機能する。伝播方向を次々と変化させることで光のスキャンを実現することもできる。光回路510では、導波路55〜57が光学素子17を介して導波路54を基準とした3つの分岐路を形成していると言える。光回路510は、印加磁界の強度に応じた光エネルギを1以上の分岐路に伝送することができる。
光学素子16との第2の相違点は、光学素子17が2つの金属微粒子1を備えている点である。2つの金属微粒子1の中心間を通る直線とZ軸との成す角度がθKとなるように、2つの金属微粒子1をXZ面内に配置すれば、光学素子17において(2×θK)までの角度変化(光LT510の進行方向に対する角度変化)を実現可能である。同様にして、(2×θK)よりも大きな角度変化を得るべく、光学素子17に3以上の金属微粒子1を設けても良い。
但し、磁界印加部2が印加磁界の強度を変更可能に形成されている場合、光学素子17に設けられる金属微粒子1の個数は1であっても良い。金属微粒子1の個数が1であっても、印加磁界の強度変化により、光LT510の進行方向を複数の方向(例えば導波路56の方向又は導波路57の方向)の何れかに選択的に変化させることができるからである。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
1 金属微粒子
2、2a、2b、2c 磁界印加部
10、10a、10b、10c 光学素子
11、12、13、13R、13G、13B、16、17 光学素子
200 光学センサ
21 光源
22 検出器
23 検出対象
300 光電変換素子
31 裏面電極
32 n型半導体層
33 i型半導体層
34 p型半導体層
35 表面電極
400、400R、400G、400B 光学フィルタ
41 41R、41G、41B スペーサ層
410 光学フィルタ群
430 表示装置
500、510 光回路
51〜57 導波路

Claims (20)

  1. 表面プラズモンを励起できる金属材料から成る金属微粒子と、
    前記金属微粒子に磁界を印加する磁界印加部と、を備えた光学素子であって、
    前記磁界は、前記光学素子への入射光の進行方向及び偏光方向の何れにも直交する成分を持つ
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記金属微粒子の表面で接触している媒質が前記金属微粒子の全表面において透光性を持つ
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記金属微粒子の全表面が前記金属材料である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記金属微粒子を複数個備える
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光学素子。
  5. 前記磁界印加部は、磁性体から成る
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光学素子。
  6. 前記磁界印加部は、前記金属微粒子の内部に形成された磁性粒子を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光学素子。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記金属微粒子において表面プラズモンを励起できる波長の光を含む光を放射可能な光源と、
    前記光源の放射光に基づく光を検出する検出器と、を備え、
    前記光源の放射光は、前記光学素子への入射光として前記光学素子の前記金属微粒子に照射され、
    前記光源及び前記検出器間における前記放射光の通過経路内に、検出対象を含まない又は前記検出対象を含む検体と前記金属微粒子が配置され、
    前記検出器は、前記光源の放射光に対する前記金属微粒子の散乱光の角度を検出する
    ことを特徴とする光学センサ。
  8. 前記光学素子における前記磁界印加部は、前記磁界の強度を周期的に変化させ、
    前記検出器は、受光した光の信号の内、前記磁界の強度の変化周期に対応する信号を検出する
    ことを特徴とする請求項7に記載の光学センサ。
  9. 前記放射光は、前記検体に前記検出対象が含まれない状態における前記金属微粒子の表面プラズモン共鳴波長より長い波長の光を含む
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の光学センサ。
  10. 少なくともp型半導体及びn型半導体を備えた光電変換層と、
    前記光電変換層を挟んで形成される1組の電極と、を備えた光電変換素子であって、
    請求項1〜6の何れかに記載の光学素子を更に備え、
    前記光学素子の前記金属微粒子で散乱された光の少なくとも一部が、前記光電変換層で吸収される
    ことを特徴とする光電変換素子。
  11. 前記光学素子のうち少なくとも前記金属微粒子は、前記光電変換層よりも、当該光電変換素子への入射光の入射側に配置される
    ことを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  12. 前記光電変換層は、前記光学素子の内の少なくとも前記金属微粒子よりも、当該光電変換素子への入射光の入射側に配置される
    ことを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  13. 前記光学素子のうち少なくとも前記金属微粒子は、前記光電変換層の内部に配置される
    ことを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子。
  14. 前記1組の電極は第1電極及び第2電極から成り、前記第1電極は前記第2電極よりも当該光電変換素子への入射光の入射側に配置され、
    前記光電変換層は第1及び第2面を有して、前記第1面は前記第2面よりも前記第1電極に近く、前記第2面は前記第1面よりも前記第2電極に近く、
    前記第1電極は、前記第1面の一部領域上に形成されるとともに、前記光学素子の前記磁界印加部による印加磁界方向の直交方向に偏って形成される
    ことを特徴とする請求項10〜請求項13の何れかに記載の光電変換素子。
  15. 前記第2電極は、前記第2面の一部領域上に形成され、
    前記第1及び第2電極は、前記印加磁界方向に直交する、互いに正反対の向きに偏って形成される
    ことを特徴とする請求項14に記載の光電変換素子。
  16. 請求項1〜6の何れかに記載の光学素子を有し、前記光学素子の前記金属微粒子により特定の波長域の光が吸収される光学フィルタであって、
    前記光学素子の出射側に接合された透明なスペーサ層を備える
    ことを特徴とする光学フィルタ。
  17. 請求項16に記載の光学フィルタを少なくとも3つ備え、各光学フィルタの透過光を用いて表示を成す表示装置であって、
    3つの光学フィルタの前記光学素子における前記金属微粒子の表面プラズモン共鳴波長は、夫々、赤色、緑色、青色の補色の波長である
    ことを特徴とする表示装置。
  18. 請求項1〜6の何れかに記載の光学素子と、
    複数の導波用金属微粒子を並べて形成された導波路を複数備え、
    前記複数の導波路は、前記光学素子を介して接続され、
    前記複数の導波路に含まれる第1及び第2導波路間において前記導波用金属微粒子の並び方向は互いに異なる
    ことを特徴とする光回路。
  19. 前記複数の導波路は、前記光学素子を介して分岐路を形成している
    ことを特徴とする請求項18に記載の光回路。
  20. 前記光学素子の前記磁界印加部は、印加磁界の強度を変更可能である
    ことを特徴とする請求項18又は19に記載の光回路。
JP2012122894A 2012-05-30 2012-05-30 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路 Pending JP2013250303A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122894A JP2013250303A (ja) 2012-05-30 2012-05-30 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122894A JP2013250303A (ja) 2012-05-30 2012-05-30 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013250303A true JP2013250303A (ja) 2013-12-12

Family

ID=49849082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012122894A Pending JP2013250303A (ja) 2012-05-30 2012-05-30 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013250303A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019069585A1 (ja) * 2017-10-04 2019-04-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 光デバイス、光電変換装置、および燃料生成装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019069585A1 (ja) * 2017-10-04 2019-04-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 光デバイス、光電変換装置、および燃料生成装置
JPWO2019069585A1 (ja) * 2017-10-04 2020-09-17 パナソニックIpマネジメント株式会社 光デバイス、光電変換装置、および燃料生成装置
JP7228815B2 (ja) 2017-10-04 2023-02-27 パナソニックIpマネジメント株式会社 光デバイス、光電変換装置、および燃料生成装置
US11652185B2 (en) 2017-10-04 2023-05-16 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Optical device, photoelectric conversion apparatus, and fuel production apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107340559B (zh) 基于超颖表面的高效宽带圆偏振转换器件及方法
Hu et al. All-dielectric metasurface circular dichroism waveplate
Chen et al. Highly desirable photodetectors derived from versatile plasmonic nanostructures
Rodrigo et al. Extraordinary optical transmission: fundamentals and applications
US10073191B2 (en) Methods and apparatus for broadband angular selectivity of electromagnetic waves
Zhao et al. Manipulating light polarization with ultrathin plasmonic metasurfaces
US8238702B2 (en) Hybrid dielectric/surface plasmon polariton waveguide with grating coupling
JP6551485B2 (ja) 赤外線変換素子及び撮像装置
JP5483800B2 (ja) 光透過装置の設計方法
US7193719B2 (en) Device and method for tuning an SPR device
EP2477240A1 (en) Illumination device
KR101014737B1 (ko) 자기 광학 소자
CN106941779A (zh) 集成束缚模式频谱/角度传感器
JP2005156415A (ja) 表面プラズモン共鳴センサ
Park et al. Optical slot antennas and their applications to photonic devices
JP2012522235A5 (ja)
US8921794B2 (en) Evanescent wave absorption based devices
Cheng et al. All-optical manipulation of magnetization in ferromagnetic thin films enhanced by plasmonic resonances
Lin et al. A nano‐plasmonic chip for simultaneous sensing with dual‐resonance surface‐enhanced Raman scattering and localized surface plasmon resonance
Wang et al. The development and progression of micro-nano Optics
US8395768B2 (en) Scattering spectroscopy apparatus and method employing a guided mode resonance (GMR) grating
JP2013250303A (ja) 光学素子、光学センサ、光電変換素子、光学フィルタ、表示装置及び光回路
Tserkezis et al. Tailoring plasmons with metallic nanorod arrays
KR101578614B1 (ko) 간극으로 단절된 불연속 도파로를 가지는 표면 플라즈몬 폴라리톤 소자를 이용한 표면 플라즈몬 폴라리톤 신호 생성 장치 및 방법
CN102971876A (zh) 光源单元和图像显示装置