本発明の一実施形態に係る位置調整装置を、図1〜16を用いて説明する。図1は、本実施形態の位置調整装置を備える引戸10と、引戸10がスライド可能に組み付けられる戸枠20とを示す正面図である。
図1に示すように、戸枠20は、上枠21と、左枠22と、右枠23とを備えている。上枠21は、上下方向Vに垂直な水平方向Hに沿って延びている。左枠22は、上枠21において図中左端に連結されており、上下方向Vに延びている。右枠23は、上枠21において図中右端に連結されており、上下方向Vに延びている。上枠21には、引戸溝24が形成されている。引戸溝24は、上枠21の延びる方向つまり水平方向Hに延びている。上枠21と、左右枠22,23の上端部とは、切り欠かれた状態を示している。後述される引戸10は、引戸溝24に沿ってスライドする。
引戸10は、板形状である。引戸10の上端部には、後述されるアシスト装置30を収容する溝11が形成されている。溝11は、水平方向Hに沿って延びている。戸枠20の上枠21の右枠23側にはストライカ25が設けられている。
引戸10の上端部は、溝11の内側が示されるように、切り欠かかれた状態が示されている。具体的には、図1に示される引戸10の上端部を、水平方向Hと上下方向Vとに垂直な幅方向Wに沿って中間位置で幅方向Wに垂直な面で切断した状態を示している。
アシスト装置30の説明の前に、戸枠20に対する引戸10の状態を説明する。図1に示すように、引戸10が、左枠22と右枠23とのいずれにも当接していない状態を、第1の状態S1とする。図1中、第1の状態S1にある引戸10を実線で示している。引戸10が、左枠22または右枠23に接触している状態を第2の状態S2とする。本実施形態では、引戸10が左枠22に接触している状態を第2の状態S2とする。
アシスト装置30の説明に戻る。アシスト装置30は、ラッチ31と、付勢機構32と、制動機構33と、ハウジング34と、戸車80と、位置調整装置100(図3に示す)とを備えている。ハウジング34は、箱形状であり、ラッチ31と、付勢機構32と、制動機構33と、戸車80とを内側に収容している。図1に示されるアシスト装置30は、ハウジング34が示されており、収容されるラッチ31と、付勢機構32と、制動機構33と、位置調整装置100とは、点線で示されている。
図2は、アシスト装置30を示す側面図である。図2では、戸枠20と引戸10とは、省略されている。また、図2では、ハウジング34は、一部切断されて断面が示されるとともに、残りの部分が2点鎖線で示されている。本実施形態では、アシスト装置30を説明する際に用いる方向は、アシスト装置30が、戸枠20に組みつけられた引戸10に固定された状態に基づく方向である。
図1,2に示すように、ハウジング34は、水平方向Hに沿って延びる一対の側壁38を備える箱型である。ハウジング34内には、仕切板35が設けられている。仕切板35は、一方の側壁38から他方の側壁38に向って延びるとともに、水平方向Hに延びている。仕切板35は、ハウジング34内を、上側の上部室36と下側の下部室37とに仕切っている。上部室36には、ラッチベース43が収容されている。
ハウジング34の両側壁38の水平方向一端部にはスリット40が形成されている。スリット40は、側壁38を貫通している。スリット40は、水平方向Hに沿って待機位置と引込位置に至って延びる主ガイド路40aと、主ガイド路40aより一端側の待機位置において下方に湾曲して延びる待機路40bとを備えている。主ガイド路40aと、待機路40bとは、連続している。
ハウジング34の下部室37において他端部には、引張コイルばね41の端部をハウジング34に対して固定するための連結部42が形成されている。連結部は両側壁38に掛け渡された軸状部材であり、この連結部に引張コイルばね41が取り付けられる。
ラッチ31は、ハウジング34内の上部室36に、水平方向Hに沿って移動可能に支持されている。ラッチ31は、ラッチベース43と、ラッチベース43の先端部に、幅方向W回りに回動可能に連結した回動部44とを備えている。
ラッチベース43は、幅方向外側に突出して、水平方向Hに延びる突起43aを備える。突起43aは、ラッチ31が水平方向Hに移動可能にスリット40内に収容されてスリット40に係合する。突起43aがスリット40に係合することによって、ハウジング34の上部室36を形成する一対の側壁38の間にラッチベース43が水平方向Hにスライド可能に保持される。
ラッチベース43の先端部には水平方向Hに沿う長孔43bが形成されている。回動部44は、長孔43bに水平方向Hに移動可能に係合している。ラッチベース43の前端部には、ラッチ31の移動によりストライカ25に当接して引込方向に押圧される被押圧部45が設けられている。
被押圧部45は、コイルばね46を介してラッチベース43内に、水平方向Hに沿ってスライド可能に取り付けられている。被押圧部45は、コイルばね46によって、水平方向Hに沿ってラッチベース43の内側に向って引っ張られている。被押圧部45の下端部には回動部44が、幅方向W回りに回転可能に軸支され連結されている。
回動部44は、幅方向Wに沿う軸心を有するとともに幅方向Wに突出する軸部44bを備えている。軸部44bは、スリット40及び長孔43bに挿通され回転可能かつスリット40内を移動可能に係合している。
回動部44は、軸部44bを中心に第1の回動方向R1と、第1の回動方向R1に対して逆の方向である第2の回動方向R2に回動可能である。回動部44の先端にはキャッチャ44aと、係合部44dとが設けられている。回動部44の下方には被付勢部44cが設けられている。
キャッチャ44aは、回動部44の先端側に設けられ、第1の回動方向R1に沿って突出するかぎ形状である。キャッチャ44aは、第1の回動方向R1に沿って回動することにより、ストライカ25の係合部25aを捕捉する。このことにより、ラッチ31に係合可能である。具体的には、キャッチャ44aは、第1の回動方向R1に沿って回動した際に、引っ張りコイルばね41の引っ張り力により引き込み方向に付勢され、ラッチベース43との間に係合部25aを挟持することでストライカ25を捕捉する。また、回動部44は、第2の回動方向R2に沿う回動により係合を解除してストライカ25を解放する。
キャッチャ44aの幅方向両側部には、それぞれ係合部44dが形成されている。係合部44dは、幅方向Wに突出しており、スリット40内に移動可能に収容されている。係合部44dは、待機路40bの下端の形状に沿う所定形状の角柱状であり、待機路40bに係合して保持される。
被付勢部44cは、回動部44の下部に設けられ、係合部44dよりも後方に位置している。被付勢部44cは、ハウジング34の下部室37内に配置され、引張コイルばね41の一端が連結されている。引張りコイルばね41により、被付勢部44cが常時引込方向に引っ張られる。
付勢機構32は、引張コイルばね41で構成されている。引張コイルばね41は、ハウジング34の下部室37において、軸方向が水平方向Hに沿うように配置されている。引張コイルばね41の一端は、ラッチ31の下部の被付勢部44cに連結され、他端はハウジング34の連結部42に連結されている。引張コイルばね41は、待機状態にあるラッチ31を引込方向に付勢することで待機路40bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路40aにあるラッチ31を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ31を第2の回動方向R2に付勢する機能とを備えている。
制動機構33は、ハウジング34の上部室36内に設けられたピストンダンパ50を有して構成される。ピストンダンパ50は、内部に流体が封入されたシリンダ51と、シリンダ51内で水平方向Hに沿って往復動するピストンと、このピストンに連結されたピストンロッド52とを備えている。ピストンロッド52の端部は、ハウジング34に固定され、ピストンに対向するシリンダ51の外側端部がラッチ31の後端に固定されている。
制動機構33は、シリンダ51内に納められたピストンに対してシリンダ51内の流体の流体対向を作用させることで、シリンダ51もしくはピストンロッド52の押し込み及び引張り動作に対して抵抗力を付与してラッチ31のハウジング34に対するスライド動作を制動する。なお、シリンダ51に封入される流体としては典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が用いられるがこれに限られず、気体を用いてもよい。
次に、アシスト装置30の動作を説明する。図1に示すように、引戸10がストライカ25に到達していない第1の状態S1では、ラッチ31は、ハウジング34の端部の待機位置に保持されている。ラッチ31は、係合部44dが待機路40bに引っかかり、引張コイルばね41によって引っ張られることで保持され、ハウジング34の待機位置に保持されている。
操作者が、引戸10を、第1の状態S1から第2の状態S2にするべく引戸10を移動させると、被押圧部45がストライカ25に当接する。すると、ストライカ25が被押圧部45を押し込むことにより、軸部44bを中心としてキャッチャ44aが第1の回動方向R1に回動する。この回動によって回動部44のキャッチャ44aがストライカ25に係合し、それゆえ、ストライカ25ラッチ31に捕捉される。
回動部44が第1の回動方向R1に回動すると、下方の係合部44dが上方に移動して主ガイド路40aに入り込む位置にいたり、それゆえ、係合部44dの待機路40b内での保持が解除される。このことにより、ラッチ31が、主ガイド路40aに沿って移動可能な状態となる。
そして、引張コイルばね41の復元力により、ラッチ31は、ハウジング34及び引戸10に対して右方に相対移動して引込位置まで相対移動させられる。この移動に伴い戸枠20及びストライカ25に対して、引戸10及びハウジング34が、右側に相対的に強制移動させられる。このとき制動機構33により抵抗力が付与され、緩衝しながらゆっくり自動的に引戸10が閉まる方向に移動するようになる。
次に、戸車80と、位置調整装置100の説明をする。まず、戸枠20の構造について、具体的に説明する。図1に示すように、戸車80のローラ82は、ハウジング34から上側に出ている。ローラ82は、幅方向Wに沿う回転軸によって支持されており、幅方向W回りに回動自由である。
図1中に2点鎖線で示す範囲F11内に、図1中に示すF12−F12線に沿って切断された上枠21とその近傍とを示している。範囲F11内に示される断面図は、上枠21を、水平方向Hに垂直な方向に沿って切断した状態を示している。範囲F11内に示される断面図に示すように、上枠21に形成される引戸溝24は、第1の溝部24aと、第2の溝部24bとを備えている。
第1の溝部24aは、上枠21の下端面に開口するとともに上側に向って凹んでいる。引戸10が戸枠20に組み付けられた状態では、引戸10の上端部は、第1の溝部24a内に収容される。第1の溝部24aは、引戸10がスライドする際のガイドとして機能する。
第2の溝部24bは、第1の溝部24aの底部に形成されている。第2の溝部24bは、第1の溝部24aに向って開口するとともに上側に向って凹む形状である。第2の溝部24bは、戸車80のローラ82の一部が収容されるとともに引戸10のスライドに伴うローラ82の移動をガイドできる大きさを有している。ローラ82が回転することによって、引戸10の戸枠20に対するスライドがスムーズになる。
図3は、アシスト装置30を、他端部側から見た状態を示す斜視図である。図3は、戸車80と位置調整装置100とが分解された状態を示している。また、図3では、アシスト装置30の一端部側は、省略されて2点鎖線で示されている。図4は、アシスト装置30の他端部を、位置調整装置100が分離されかつハウジング34の一部が省略された状態を示す斜視図である。
図3,4に示すように、戸車80は、キャスターベース81と、ローラ82と、第1の軸部材83と、第2の軸部材84と、コイルばね85とを備えている。キャスターベース81は、幅方向Wに互いに対向する側壁86と、底壁87と、上壁88とを備えている。両側壁86は、水平方向Hに延びており、一端部の下端部が互いに底壁87によって連結されている。側壁86の他端部の上端部は、上壁88によって連結されている。このため、キャスターベース81の一端部は、上端が開口する形状であり、他端部の下端が開口する形状である。
ローラ82は、キャスターベース81の一端部に収容される。第1の軸部材83は、両側壁86に幅方向Wに沿う姿勢で固定されている。ローラ82は、第1の軸部材83を内側に収容し、第1の軸部材83回りに回転自由にキャスターベース81に支持される。
図4は、戸車80がハウジング34に支持されている状態を、ハウジング34の一部を切り欠いて示す斜視図である。図4に示すように、コイルばね85は、キャスターベース81の一端部とハウジング34の一端部との間収容されており、上下方向Vに延びている。コイルばね85の一端はハウジング34に固定され、他端はキャスターベース81の一端に固定されている。コイルばね85は、キャスターベース81の一端部を、ハウジング34から上下方向Vに沿って離れる方向に付勢している。このため、図1に示すように、ローラ82は、第2の溝部24bの底壁に下方から当接する。
図3は、位置調整装置100が分解された状態を示している。図3に示すように、位置調整装置100は、伝達部101と、操作部102とを備えている。伝達部101は、後述される操作部102の操作用ねじ103の変位を、後述されるアジャストピース103に伝達する。伝達部101は、ハウジング34内に収容される。伝達部101は、アジャストプレート104と、ロックピース105と、アジャストピース103とを備えている。
アジャストプレート104は、ハウジング34の下端に設けられており、水平方向Hに延びている。アジャストプレート104は、一例として、板形状である。アジャストプレート104は、ハウジング34の一端部から他端部まで延びている。アジャストプレート104は、水平方向Hに沿う中間位置を境に、一端側部106と他端側部107とに分けられている。一端側部106は、他端側部107に対して高さが異なる。一端側部106は、他端側部107によりも高い位置にある。つまり、一端側部106と他端側部107との間に段差が形成されている。
アジャストプレート104において、一端側部106と他端側部107との境の部分には、アジャストプレート104の水平方向Hに沿う移動をガイドする第1のガイド用突出部108が形成されている。第1のガイド用突出部108は、幅方向Wに沿って外側に突出している。なお、第1のガイド用突出部108は、アジャストプレート104の幅方向両側に1つずつ形成されている。
ハウジング34の両側壁38には、第1のガイド用突出部108が収容される第1のガイド用溝109が形成されている。図5は、第1のガイド用突出部108が第1のガイド用溝109内に収容された状態を幅方向外側から見た側面図である。図5に示すように、第1のガイド用溝109は、水平方向Hに延びる長孔である。第1のガイド用突出部108は、第1のガイド用溝109よりも水平方向Hに短い。このため、第1のガイド用突出部108は、第1のガイド用溝109内で水平方向Hに移動することができる。図中、第1のガイド用突出部108が第1のガイド用溝109の水平方向一端縁に当接している状態を実線で示している。第1のガイド用突出部108が第1のガイド用溝109の他端縁に当接している状態を、2点鎖線で示している。なお、第1のガイド用突出部108の上下方向Vの大きさは、第1のガイド用溝109の上下方向Vに沿うより若干小さい。このため、第1のガイド用突出部108は、第1のガイド用溝109内で水平方向Hにスムーズにスライド可能である。
図3に示すように、ロックピース105は、アジャストプレート104に連結されるアジャストプレート側連結部110と、後述されるアジャストピース103に連結されるアジャストピース側連結部111と、第2のガイド用突出部112とを備えている。
アジャストプレート側連結部110は、水平方向Hに延びる板形状である。アジャストプレート104には、水平方向Hに延びる貫通孔113が形成されている。貫通孔113は、アジャストプレート104を上下方向Vに貫通している。アジャストプレート側連結部110には、第1のリブ114が形成されている。第1のリブ114は、水平方向Hに延びるとともに、上側に向って突出している。
アジャストプレート側連結部110の第1のリブ114は、アジャストプレート104の貫通孔113内に、下側から収容される。図6は、第1のリブ114が貫通孔113内に下側から収容された状態を示す平面図である。図6に示すように、第1のリブ114は、水平方向Hと幅方向Wとに、貫通孔113より若干小さく形成されている。このため、貫通孔113の縁と第1のリブ114との間には、水平方向Hと幅方向Wとに隙間Cが設けられる。隙間Cについては、後で具体的に説明する。
図3に示すように、第2のガイド用突出部112は、アジャストプレート側連結部110に形成されている。第2のガイド用突出部112は、アジャストプレート側連結部110において幅方向両側面から幅方向外側に突出している。図14は、図3に示すF14−F14線に沿ってアジャストプレート側連結部110を切断した状態を示す断面図である。図14は、アジャストプレート側連結部110において第2のガイド用突出部112が形成される部位を幅方向Wに沿って切断した状態を示している。
図14に示すように、一方の第2のガイド用突出部112と、他方の第2のガイド用突出部112とは、アジャストプレート側連結部110を挟んで対称な形状である。このため、両第2のガイド用突出部112の水平方向一端は、幅方向Wに並んでおり、水平方向他端は、幅方向Wに並んでいる。
一方の第2のガイド用突出部112と他方の第2のガイド用突出部112との幅方向Wの間に、第1のリブ114の一部が配置されている。各第2のガイド用突出部112は、幅方向外側に向かって延びるとともに下方に向って突出している。第2のガイド用突出部112は、アジャストプレート側連結部110に対して、基部112aを回転中心として、図14に示すように、撓むことができる。基部112aとは、第2のガイド用突出部112のアジャストプレート側連結部110側の端部である。
第2のガイド用突出部112が可撓性を有する点について具体的に説明する。図14中、実線は、第2のガイド用突出部112が初期位置P1にある状態を示している。初期位置P1は、第2のガイド用突出部112がアジャストプレート側連結部110に対して撓んでいない状態の位置である。言い換えると、例えば第2のガイド用突出部112に対して外力が作用しておらず、第2のガイド用突出部112がアジャストプレート側連結部110に対して変位していない位置にある状態である。
図14において、一方の第2のガイド用突出部112が初期位置P1に対して撓んでいる状態の一例を2点鎖線で示している。2点鎖線で示すように、第2のガイド用突出部112は、初期位置P1に対して、基部112aを回転の中心部として、幅方向Wに撓むことができる。基部112aは、本実施形態では、一例として樹脂で形成されており、それゆえ、弾性を有している。このため、第2のガイド用突出部112が初期位置P1に対して幅方向Wに撓むと、弾性によって撓んだ位置から実線で示す初期位置P1に戻ろうとする。つまり、第2のガイド用突出部112は、撓むと、当該撓んだ位置から初期位置P1に向って付勢される。
図14中では、初期位置P1に対して内側に撓んだ状態の第2のガイド用突出部112を一例として示しているが、第2のガイド用突出部112は、初期位置P1に対して幅方向外側に向かって撓むことができるように構成されてもよい。この場合であっても、第2のガイド用突出部112は、基部112aの弾性力によって、初期位置P1に対して外側に撓んだ位置から初期位置P1に戻ろうとする。他方の第2のガイド用突出部112においても、上記一方の第2のガイド用突出部112と同じである。
図3に示すように、第2のガイド用突出部112は、水平方向Hに所定の長さを有している。第2のガイド用突出部112において基部112aと反対側の先端には、曲面112bが形成されている。曲面112bは、その上下方向両端112c,112dの間の部分がアジャストプレート側連結部110の幅方向内側に向かって凹むように、湾曲している。曲面112bの幅方向Wに沿う断面の形状は、水平方向Hに一定であり、図14に示す形状である。
ハウジング34の両側壁38には、第2のガイド用突出部112が係合する第2のガイド用溝200が形成されている。図15は、第2のガイド用突出部112が第2のガイド用溝200に係合している状態を、幅方向Wに沿って切断して示す断面図である。図15は、伝達部101が、アシスト装置30のハウジング34に組み付けられた状態において、アシスト装置30を、第2のガイド用突出部112を通るように幅方向Wに沿って切断した状態を示す断面図である。
伝達部101が図3に示すようにハウジング34内に収容されると、第2のガイド用突出部112は、図15に示すように、幅方向Wに沿って内側から外側に向って第2のガイド用溝200に係合する。第1のガイド用突出部108が第1のガイド用溝109に収容され、かつ、第2のガイド用突出部112が第2のガイド用溝200に係合することによって、伝達部101は、ハウジング34に保持される。第2のガイド用突出部112の第2のガイド用溝200への係合について具体的に説明する。
図15に示すように、アシスト装置30のハウジング34内に伝達部101が収容されると、両第2のガイド用突出部112は、ハウジング34の側壁38に押圧されることによって初期位置P1に対して幅方向内側に向かって撓む。図15は、両第2のガイド用突出部112が初期位置P1に対して撓んだ状態を示している。第2のガイド用突出部112は、撓んだ状態において、曲面112bが第2のガイド用溝200の下縁201に接触する。
第2のガイド用突出部112は、初期位置P1に対して幅方向内側に撓むことによって、基部112aの弾性力によって初期位置P1に向って付勢される。この付勢力によって、曲面112bは、第2のガイド用溝200の下縁201に押圧される。図15中に、一方の第2のガイド用突出部112の曲面112bが第2のガイド用溝200の下縁201に接触している状態を、拡大して示している。拡大して示すように、第2のガイド用突出部112において第2のガイド用溝200の下縁201に接触する部分が曲面112bであることによって、第2のガイド用突出部112と第2のガイド用溝200との接触範囲を小さくすることができる。このため、伝達部101の水平方向Hに沿う変位の際の摩擦を小さくすることができる。
さらに、アジャストプレート側連結部110を挟んで両側に第2のガイド用突出部112が形成されることによって、伝達部101は、幅方向両側から同じ付勢力によって押圧される。この付勢力によって、伝達部101は、ハウジング34内に収容されると、ハウジング34に対して位置決められる。
図16は、一方の第2のガイド用突出部112が第2のガイド用溝200に係合している状態を、一方の側壁38の外側から見た状態を示す側面図である。図16に示すように、第2のガイド用溝200は、水平方向Hに延びている。第2のガイド用溝200の水平方向Hに沿う長さは、第2のガイド用突出部112の水平方向Hに沿う長さよりも長い。このため、第2のガイド用突出部112は、第2のガイド用溝200に係合した状態を保ちながら、第2のガイド用溝200に沿って水平方向Hに変位可能である。
アジャストピース側連結部111は、基部115と、第2のリブ116とを備えている。図7は、基部115を示す平面図である。図7に示すように、基部115は、板形状である。基部115の上面は、上下方向Vに垂直な平面である。第2のリブ116は、基部115に形成されており、基部115の上面から上方に突出している。第2のリブ116は、水平方向Hと幅方向Wとに対して傾斜する方向Dに延びる直線形状である。より具体的には、基部115の上面115aは略正方形であり、第2のリブ116は、上面115aの対角線に沿って延びている。基部115の幅方向Wに沿う幅は、アジャストプレート側連結部110の幅方向Wに沿う幅よりも大きい。アジャストピース103については、後で説明する。
図8は、アシスト装置30の一端部を、下方から見た状態を示す斜視図である。図3,8に示すように、アジャストプレート104の一端部には、操作部102が設けられている。操作部102は、プラグ120と、操作用ねじ121とを備えている。プラグ120は、ハウジング34の一端部に下方から取り付けられて固定される。プラグ120は、本体部122と、ハウジング34内に挿入される挿入部123とを備えている。
本体部122は、略直方体である。本体部122の内側には、アジャストプレート104の一端部104aが収容される。図9は、図8中に示されるF9−F9線に沿って切断したプラグ120の本体部122の断面図を示している。図9は、本体部122を、本体部122の幅方向中間を通って幅方向Wに垂直な面に沿って切断した状態を示している。
アジャストプレート104の一端部104aは、折り曲げられており、上下方向Vに延びるねじ支持壁124が設けられている。ねじ支持壁124には、操作用ねじ121が螺合するねじ孔125が形成されている。ねじ孔125の内面には、雌ねじが形成されている。
操作用ねじ121は、支持用フランジ126を備えている。支持用フランジ126は、操作用ねじ121の回転中心の周方向外側に突出している。
図3に示すように、本体部122の上端は、アジャストプレート104のねじ支持壁124を内側に収容するように、開口127が形成されている。本体部122の内側は、開口127を通して外側と連通している。図8に示すように、アジャストプレート104の一端部は、開口127を通して本体部122の内側に収容される。開口127の縁部には、アジャストプレート104の水平方向Hに沿う移動をガイドするガイド用溝128が形成されている。
図9に示すように、本体部122内には、第1,2のねじ支持壁129,130が形成されている。第1,2のねじ支持壁129,130は、操作用ねじ121を、雄ねじ部131の延びる方向が水平方向Hに平行になるように、支持する。具体的には、第1,2のねじ支持壁129,130は、水平方向Hに並んでおり、本体部122の底壁132から立ち上がる板形状である。第1,2のねじ支持壁129,130の間に操作用ねじ121の支持用フランジ126が収容される。
第1のねじ支持壁129には、上端から下端に向って延びる第1の溝133が形成されている。第1の溝133は、第1のねじ支持壁129を水平方向Hに貫通している。第1の溝133は、操作用ねじ121のヘッド部134を回転可能に収容する。
第2のねじ支持壁130には、上端から下端に向って延びる第2の溝135が形成されている。第2の溝135は、第2のねじ支持壁130を水平方向Hに貫通している。第2の溝135は、操作用ねじ121の雄ねじ部131を回転可能に収容する。このため、第1,2のねじ支持壁129,130を水平方向Hに見ると、第1,2の溝133,135が水平方向Hに並ぶとともに、第1,2の溝133,135の縁が略U字状に形成される。
図9に示すように、操作用ねじ121の支持用フランジ126が第1,2のねじ支持壁129,130間に収容されることによって、操作用ねじ121が、水平方向Hに移動しないように、本体部122に固定される。本体部122において操作用ねじ121のヘッド部134と水平方向Hに対向する部位には、工具挿入孔136が形成されている。工具挿入孔136を通して本体部122内にマイナスドライバなどの工具137を挿入すると、工具137は、操作用ねじ121のヘッド部134に到達する。
ヘッド部134に形成されたねじ溝に工具が嵌った後、工具137を水平方向H回りに回転すると、操作用ねじ121が水平方向H回りに回転する。操作用ねじ121が水平方向H回りに回転すると、操作用ねじ121の雄ねじ部131に螺合する、アジャストプレート104が水平方向Hに進退する。
ハウジング34の一端部の下端には、プラグ120の挿入部123が挿入されて固定される挿入孔138が形成されている。本実施形態では、一例として、挿入部123が挿入孔138に嵌合することによって、プラグ120がハウジング34に固定される。
図3に示すように、アジャストピース103は、底壁140と、一対の側壁141と、縦壁142とを備えている。側壁141は、底壁140の幅方向Wの両端に位置する縁から立ち上がっている。縦壁142は、底壁140の縁において両側壁141間の部分から立ち上がっている。底壁140と、両側壁141と、縦壁142とは、互いに連結されて一体である。
アジャストピース103は、上記構造により、一端側に開口143を有する。アジャストピース103は、開口143を通して内側と外側とが連通する。図3,4に示すように、アジャストピース103は、キャスターベース81の他端部に、下方から挿入される。
図10は、戸車80がハウジング34に組み付けられた状態においてハウジング34の他端部を上方から見た状態を示す平面図である。図10に示すように、第2の軸部材84は、ハウジング34の両側壁38と、キャスターベース81の両側壁86と、アジャストピース103の両側壁141とを幅方向Wに貫通する。第2の軸部材84は、ハウジング34の側壁38に固定される。第2の軸部材84は、キャスターベース81の側壁86とアジャストピース103の側壁141とに対して回転可能である。このことによって、キャスターベース81と、アジャストピース103とは、第2の軸部材84回りに回転可能にハウジング34に支持される。
また、キャスターベース81の側壁86に形成される、第2の軸部材84が通る貫通孔86bと、アジャストピース103の側壁141に形成される、第2の軸部材84が通る貫通孔141bとは、キャスターベース81とアジャストピース103とが、第2の軸部材84の軸方向に沿って移動可能な大きさを有している。なお、貫通孔86b,141aは、第2の軸部材84よりも若干大きく形成されており、それゆえ、キャスターベース81とアジャストピース103とが第2の軸部材84にたいして大きくがたつくことはない。
図11は、アジャストピース103の底壁140を下方から見た状態を示す下面図である。図11に示すように、底壁140には、第2のリブ116が収容されるリブ収容溝144が形成されている。リブ収容溝144は、下方に向って開口しており、水平方向Hと幅方向Wとに対して傾斜する方向Dに延びている。図11中、リブ収容溝144内に収容された第2のリブ116を2点鎖線で示している。リブ収容溝144は、第2のリブ116よりも若干大きく、リブ収容溝144縁と第2のリブ116との間に隙間Cが設けられる。このため、この隙間C分、第2のリブ116は、リブ収容溝144内で姿勢を変位することができる。
ここで、キャスターベース81の大きさと、アジャストピース103の大きさと、ハウジング34内でのキャスターベース81の位置とアジャストピース103の位置とについて、説明する。
図10に示すように、キャスターベース81の両側壁86の内面86a間の幅方向Wに沿う幅L1は、アジャストピース103の両側壁141の外面141a間の幅方向Wに沿う幅L2よりも大きい。内面86aと外面141aとは、幅方向Wに対向している。キャスターベース81の側壁86とアジャストピース103の側壁141との間には、隙間が形成される。
このため、キャスターベース81とアジャストピース103とは、第2の軸部材84回りの回転を互いに阻害しない。言い換えると、キャスターベース81は、第2の軸部材84回りにアジャストピース103が回転することを阻害せず、かつ、アジャストピース103は、第2の軸部材84回りにキャスターベース81が回転することを阻害しない。さらに、上記したように、キャスターベース81とアジャストピース103とは、ハウジング34に対して、第2の軸部材84の軸方向、つまり幅方向Wに移動可能である。
上記のように構成される位置調整装置100の動作について説明する。図9に示すように、操作部102のプラグ120の工具挿入孔136内に工具137を挿入する。工具137が操作用ねじ121のヘッド部134のねじ溝に嵌合すると、工具137を操作することによって操作用ねじ121を回転する。操作用ねじ121が回転すると、操作用ねじ121の雄ねじ部131に螺合しているアジャストプレート104が水平方向Hに移動する。具体的には、操作用ねじ121を水平方向H回りの一方向に回転すると、アジャストプレート104が水平方向Hに沿ってハウジング34の一端部側に移動する。操作用ねじ121を水平方向H回りに他方向に回転すると、アジャストプレート104は、水平方向Hに沿って逆側に移動する。
図3に示すように、アジャストプレート104の第1のガイド用突出部108が、ハウジング34の第1のガイド用溝109に収容され、ロックピース105の第2のガイド用突出部112がハウジング34の第2のガイド用溝200に収容されているので、アジャストプレート104の水平方向Hに沿う移動が、第1,2のガイド用突出部108,112と、第1,2のガイド用溝109,144とによってガイドされる。アジャストプレート104の水平方向Hの移動は、ロックピース105に伝達される。
図12は、アジャストプレート104が初期位置から一端部側に移動した際のアジャストピース103の下面図を示している。図12では、アジャストピース103のリブ収容溝144内に第2のリブ116が収容されている状態において、第2のリブ116が上下方向Vに垂直な面で切断された状態を示している。図12において、移動した後のアジャストピース103を実線で示す。図12において、アジャストピース103が移動する前、言い換えると、初期位置にあるアジャストピース103を2点鎖線で示している。初期位置とは、引戸10に戸車80と位置調整装置100とを最初に組み付けたとときのアジャストピース103の位置であり、言い換えると、ハウジング34に対する戸車80の位置を調整するべく操作用ねじ121が操作される前の位置である。
図12に示すように、アジャストプレート104が水平方向Hのうちハウジング34の一端部側に進むと、第2のリブ116も一端部側に進む。アジャストピース103は、第2の軸部材84によってハウジング34に連結されている。第2の軸部材84は、幅方向Wに沿って延びている。このため、アジャストピース103は、水平方向Hに移動することはできない。さらに、第2のリブ116は、水平方向Hと幅方向Wとに対して傾斜する方向Dに沿って延びている。このため、第2のリブ116が水平方向Hに移動すると、その移動に合わせて、アジャストピース103のリブ収容溝144の内面を方向Dに沿って第2のリブ116が相対的に滑ることにより、アジャストピース103が幅方向Wのうち一方向に移動する。
図12中では、2点鎖線示す初期位置に対して、図中左側に移動する。なお、図12は、アジャストピース103の下面図であるので、図12中で左側に移動するということは、図3中では、水平方向Hに対して右側に移動することを示す。
図13は、アジャストプレート104が初期位置からハウジング34の他端部側に移動した際のアジャストピース103の下面図を示している。図13において、移動した後のアジャストピース103を実線で示す。図13において、アジャストピース103が移動する前、言い換えると、初期位置にあるアジャストピース103を2点鎖線で示している。
図13に示すように、アジャストプレート104が水平方向Hのうちハウジング34の他端部側に進むと、第2のリブ116も他端部側に進む。第2のリブ116が水平方向Hに沿ってハウジング34の他端部側に移動すると、その移動に合わせて、第2のリブ116がアジャストピース103のリブ収容溝144の内面を相対的に滑ることにより、アジャストピース103が幅方向Wのうち図12に示すアジャストピース103の移動方向に対して反対方向に移動する。図13中では、2点鎖線示す初期位置に対して、図中右側に移動する。なお、図13は、アジャストピース103の下面図であるので、図13中で右側に移動するということは、図3中では、水平方向Hに対して左側に移動することを示す。
上記したように、アジャストピース103は、キャスターベース81の両側壁86間内に収容されている。図12、13に示すようにアジャストピース103が幅方向Wに移動すると、アジャストピース103の側壁141がキャスターベース81の側壁86に内側から当接することにより、アジャストピース103の幅方向Wに沿う移動がキャスターベース81に伝達される。このため、キャスターベース81が幅方向Wに移動する。キャスターベース81が幅方向Wに移動することによって、キャスターベース81に連結されたローラ82が幅方向Wに移動する。このように、戸車80を幅方向Wに移動させることによって、戸車80の位置が調整される。
本実施形態では、伝達部101の水平方向Hに沿う移動は、第1,2のガイド用突出部108,112と、第1,2のガイド用溝109,144とによってガイドされる。具体的には、第1のガイド用突出部108が第1のガイド用溝109に収容され、第2のガイド用突出部112が第2のガイド用溝200に係合することによって、伝達部101が上下方向Vと幅方向Wに変位することが抑制されるので、伝達部101の水平方向Hに沿う移動がアジャストピース103に効率よく伝達される。このため、伝達部101が水平方向Hに長い場合であっても、戸車80の幅方向Wの位置調整の精度が低下することを抑制できる。
また、アジャストプレート104の移動をガイドするために、ハウジング34に形成される第1,2のガイド用溝109,144を用いる。つまり、ハウジング34を利用するので、戸車80の位置を調整する位置調整装置100の構成を簡素にすることができる。
また、第2のガイド用突出部112が初期位置P1に対して撓んだ状態で第2のガイド用溝200に係合することによって、第2のガイド用突出部112の曲面112bが第2のガイド用溝200の下縁201に押し付けられる。このことによって、伝達部101は、変位を伝達する際であっても、ハウジング34に対してぶれることが抑制されるので、伝達部101の水平方向Hに沿う移動がアジャストピース103に効率よく伝達される。
また、第2のガイド用突出部112が幅方向Wに並んで一対設けられることによって、ハウジング34内において伝達部101の位置が、より一層ずれなくなるので、伝達部101の水平方向Hに沿う移動がアジャストピース103に効率よく伝達される。
また、ロックピース105の第2のリブ116と、アジャストピース103のリブ収容溝144とを用いることによって、簡素な構造で、伝達部101の水平方向Hに沿う移動を、幅方向Wに変換することができる。
また、操作部102のプラグ120に工具挿入孔136を形成し、操作用ねじ121をプラグ120の外部から操作可能な構造とすることにより、戸車80の位置調整の作業を効率よく行うことができる。
また、操作用ねじ121を用いることにより、戸車80の位置を調整するために工具137を回転するだけでよいので、戸車80の位置の調整作業を簡単にすることができる。
また、操作用ねじ121の変位をアジャストピース103に伝達する伝達部101を、水平方向Hに延びる簡素な構造のアジャストプレート104と、第2のリブ116を備える形状が複雑なロックピース105とに分けることにより、簡素な形状のアジャストプレート104を例えば金属材料で形成し、複雑な形状のロックピース105を樹脂材料で形成するなど、異なる材料を用いることができる。つまり、伝達部101を、互いに分離される複数の部分に分けることにより、これら部分を、形状や強度に合わせて適切な材料を用いることができる。
また、図6に示すように、ロックピース105のアジャストプレート側連結部110の第1のリブ114と貫通孔113との間に隙間が形成されることにより、操作用ねじ121の変位を、戸車80にスムーズに伝達することができる。この点について、具体的に説明する。
本実施形態では、操作用ねじ121の変位は、アジャストプレート104によって水平方向Hに沿う変位に変換され、その後、アジャストピース103によって幅方向Wに沿う変位に変換される。このように、操作用ねじ121の回転変位は、水平方向Hに沿う変位と、水平方向Hに対して交差する幅方向Wに沿う変位に変換される。
このため、伝達部101には、アジャストピース103に変位を伝達する際の反力として、幅方向Wに沿う荷重を受ける。この荷重により、伝達部101が曲がってしまうおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、ロックピース105の第1のリブ114と、アジャストプレート104の貫通孔113の内面との間に隙間が形成されることにより、アジャストピース103から幅方向Wに沿う荷重が入力されると、ロックピース105とアジャストプレート104とは、貫通孔113の内面と第1のリブ114との間の隙間の範囲内で、姿勢を変化する。このことにより、反力によってロックピース105やアジャストプレート104が曲がって塑性変形してしまうことが抑制される。
ロックピース105やアジャストプレート104が曲がって塑性変形することにより、伝達部101の水平方向Hに沿う移動がスムーズに行われなくことが考えられるが、本実施形態ではロックピース105とアジャストプレート104とが曲がって塑性変形することが抑制されるので、操作用ねじ121の変位を、戸車80にスムーズに伝達することができる。
また、両第2のガイド用突出部112間に第1のリブ114が配置されることによって、伝達部101がアジャストピース103に変位を伝達する際に受ける反力は、第2のガイド用突出部112に効率よく伝達されることにより、第2のガイド用突出部112が撓むことによって、吸収されるようになる。
また、引戸10に設けられる戸車80のように、使用に伴い位置を調整する必要があるものの位置を調整するために位置調整装置100が用いられることにより、戸車80の位置を最適な位置に保つことができる。
本実施形態では、引戸10は、本発明で言う支持物の一例である。ハウジング34は、本発明で言うハウジングの一例である。戸車80は、本発明で言う被支持物の一例である。伝達部101は、本発明で言う伝達部の一例である。操作部102は、本発明で言う操作部の一例である。第2のガイド用突出部112は、本発明でいう撓み部の一例である。第2のガイド用溝200は、本発明で言う係合部の一例である。第1のリブ114は、本発明で言う突部の一例である。貫通孔113は、本発明で言う収容部の一例である。ローラ81は、本発明で言うローラの一例である。
なお、本実施形態では、伝達部101は、互いに連結される連結部材の組み合わせの一例として、アジャストプレート104とロックピース105と備える組み合わせと、ロックピース105とアジャストピース103とを備える組み合わせを備えている。このように、少なくとも1つの組み合わせの一例として、2組備えている。他の例としては、上記のような組み合わせは、1組でもよいし、または、3つや4つなどの他の複数であってもよい。
また、本実施形態では、ロックピース105に第1のリブ114が形成され、アジャストプレート104に貫通孔113が形成されている。他の例としては、例えば、ロックピース105に貫通孔113が形成され、アジャストプレート104に第1のリブ114が形成されてもよい。
また、伝達部101は、アジャストプレート104とアジャストピース103とを備えている。これらの部材は、本発明で言う複数の部材の一例である。本実施形態では、伝達部101を、上記の3つの部材に分けることにより、個々の部材を適した材料で形成することができる。他の例としては、伝達部の形状に応じて伝達部を複数の部材に分け、これら複数の部材を、求められる機能、強度などに応じて適切な材料で形成することができる。さらに、個々の部材に適した作成方法を用いることによって、伝達部を効率よく形成することができる。
また、本実施形態では、伝達部101の変位方向が水平方向Hであり、第2のガイド用突出部112は水平方向Hに直交する幅方向Wに可撓性を有している。このことは、本発明で言う、撓み部が伝達部の変位方向に交差する方向に可撓性を有することの一例である。
本発明で言う、係合部が支持物側に設けられることは、係合部が支持物に設けられることと、支持物に固定されて伝達部の変位に合わせて移動しない部材に設けられることとを含む概念である。支持物に固定されるハウジングに設けられることは、ハウジング側に設けられることの一例である。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。