JP2013249216A - タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置 - Google Patents

タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013249216A
JP2013249216A JP2012123353A JP2012123353A JP2013249216A JP 2013249216 A JP2013249216 A JP 2013249216A JP 2012123353 A JP2012123353 A JP 2012123353A JP 2012123353 A JP2012123353 A JP 2012123353A JP 2013249216 A JP2013249216 A JP 2013249216A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
touch sensor
crack
chemically strengthened
chemically
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2012123353A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Okawa
博之 大川
Tetsuya Nakajima
哲也 中島
Kazutaka Ono
和孝 小野
shusaku Akiba
周作 秋葉
Yu Murayama
優 村山
Fumi Nakagawa
文 中川
Yusuke Kobayashi
裕介 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2012123353A priority Critical patent/JP2013249216A/ja
Priority to PCT/JP2013/064130 priority patent/WO2013176150A1/ja
Priority to KR1020147032856A priority patent/KR20150011818A/ko
Priority to CN201380027498.4A priority patent/CN104350020A/zh
Priority to CN201710070745.9A priority patent/CN107056088A/zh
Priority to TW102118502A priority patent/TW201404732A/zh
Publication of JP2013249216A publication Critical patent/JP2013249216A/ja
Priority to US14/552,998 priority patent/US20150147538A1/en
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Position Input By Displaying (AREA)

Abstract

【課題】4つの破壊モード全てに起因する割れを抑制可能なタッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】タッチセンサ付化学強化ガラス10は、タッチセンサ11と、該タッチセンサ11を搭載する化学強化ガラス20と、を備える。化学強化ガラス20は、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下である。
【選択図】図16

Description

本発明は、タッチセンサと、該タッチセンサを搭載する化学強化ガラスと、を備えるタッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置に関する。
従来よりタッチパネル機能を有するディスプレイ装置(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC等)が知られている。このようなディスプレイ装置は、タッチセンサを搭載したガラス基板を液晶ディプレイ(LCD)上に配置し、さらにその上に化学強化ガラスをカバーガラスとして搭載することで構成されていた(図17(a))。
近年では、特許文献1のように、より軽量化、薄型化するため、タッチセンサを化学強化ガラスに直接搭載させることでガラス基板を省略し、タッチセンサを搭載した化学強化ガラスを液晶ディプレイ(LCD)上に配置する、いわゆる2−in−1方式のディスプレイ装置が開発されている(図17(b))。
このような2−in−1方式のディスプレイ装置に使用されるタッチセンサ付化学強化ガラスとして、3種類の化学強化ガラスが流通している。1つ目は、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が500MPa、圧縮応力層の深さDOLが9μmの化学強化ガラス、2つ目は、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が722MPa、圧縮応力層の深さDOLが32μmの化学強化ガラス、3つ目は、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が623MPa、圧縮応力層の深さDOLが19μmの化学強化ガラスである。
特開2011−197708号公報
しかしながら、これらの化学強化ガラスでは、使用中または携帯中の落下などにより化学強化ガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができないという問題があった。詳しくは後述するが、従来のタッチセンサ付化学強化ガラスでは、タッチセンサ付化学強化ガラスの割れを分類した4つの破壊モードに対する耐性が不十分であり、改善の余地があった。
そこで、本発明は、4つの破壊モード全てに起因する割れを抑制可能なタッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、ディスプレイ装置に使用されるタッチセンサ付化学強化ガラスで発生する割れについて調査、研究を進める上で、タッチセンサ付化学強化ガラスの割れが以下で説明する4つの破壊モードで起こることを見出し、本発明に至った。以下、4つの破壊モードについて、図4を参照しながら説明する。なお、本明細書において、タッチセンサ付化学強化ガラスとは、タッチセンサを搭載した化学強化ガラスを意味し、単に化学強化ガラスと呼ぶときには、タッチセンサを搭載していない化学強化ガラス自体を意味する。
<1.端面・表面割れ>
端面・表面割れは、ヘルツ破壊(ヘルツクラック割れ)とも呼ばれ、タッチセンサ付化学強化ガラスの端面に衝撃が加えられた際に、衝撃面(端面)に発生するヘルツコーンと呼ばれる円錐状の破面を起点として破壊が生じるものである。この端面・表面割れについては、後述するヘルツ割れ試験によりその耐性を測定することができる。
<2.端面・裏面割れ>
端面・裏面割れは、タッチセンサ付化学強化ガラスの端面に衝撃が加えられた際に、衝撃面とは反対側の非衝撃面(端面)に発生する引張応力により発生する傷を起点として破壊が生じるものである。この端面・裏面割れについては、後述する裏面割れ試験によりその耐性を測定することができる。
<3.面・裏面割れ>
面・裏面割れは、タッチセンサ付化学強化ガラスの主面に衝撃が加えられた際に、衝撃面とは反対側の非衝撃面(主面)に発生する引張応力により発生する傷を起点として破壊が生じるものである。この面・裏面割れについては、後述する落球試験によりその耐性を測定することができる。
<4.面・表面割れ>
面・表面割れは、タッチセンサ付化学強化ガラスの主面に衝撃が加えられた際に、圧縮応力層を突き抜ける傷を起点にガラスが比較的遅い速度で割れるスロークラックによる割れ(以下、このようなガラスの割れ方をスロークラック割れとも呼ぶ。)である。このスロークラック割れは、一般的に割れ破片が少なく、最も典型的には破壊起点から一本のクラックが延びてタッチセンサ付化学強化ガラスが2つに割れる現象であり、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC等のタッチパネル機能を有するディスプレイ装置に用いられるタッチセンサ付化学強化ガラス又はカバーガラスで典型的に見られる割れである。
携帯電話や携帯情報端末などはユーザーが持ち歩くものであるため、落下等により衝撃が与えられるおそれが高く、圧縮応力層を突き抜ける傷を生じさせるような物質と接触するおそれが高い。また、タッチセンサ機能付タブレットPCにおいては、サイズが典型的には、150〜350mm×100〜250mm、且つ、重量が150〜1000gであり、サイズが大きく重量が重いにもかかわらず、ユーザーが持ち歩くものである。使用方法の例としては、例えばキッチンでタッチセンサ機能付タブレットPCを立てかけて、レシピを見ながら料理をしたり、会議室でタッチセンサ機能付タブレットPCを立てかけて、資料を見ながら打合せをするなどの使われ方がされている。
従って、携帯電話や携帯情報端末などを落下させた場合、若しくは、タッチセンサ機能付タブレットPCを誤って落下させてしまった場合又は倒してしまった場合等に、表面圧縮応力層を突き抜けるキズが生じやすく、よりスロークラック割れが発生しやすい。
ここで、タッチセンサ機能付タブレットPCのカバーガラスで発生したスロークラック割れを例にスロークラック割れについて図5〜図11を参照しながら説明する。
タッチセンサ機能付タブレットPCは、画像表示部を囲うように略矩形状のフレームが設けられ、カバーガラスがフレーム上に支持されている。図5に示すように、タッチセンサ機能付タブレットPC1が地面(アスファルト・コンクリートなど)に落下して、カバーガラス2が下を向いた状態でアスファルト・コンクリート3中の小石4上の砂5等に接触すると、破壊起点Oに圧縮応力が作用しカバーガラスの画像表示部側に引張応力が作用する(図6(a))。続いて、破壊起点Oには引張応力が作用しクラックCが伸びて、カバーガラス2が割れる(図6(b))。なお、破壊起点は、カバーガラスの中央部に発生することもあるが、フレームによりカバーガラスの撓みが拘束され、破壊起点に生じる応力が大きくなるため、フレームに支持された領域の一部に発生することが多い。このようなカバーガラス2の割れは、地面に落下する場合に限らず、会議室・リビング、キッチン等の床面でも発生する。
図7(a)はスロークラック割れが発生したタッチセンサ機能付タブレットPCの写真を示す図であり、(b)は破壊起点を上方から見た拡大写真を示す図、(c)は破壊起点を側方から見た写真を示す図である。
このときのカバーガラスの割れは、図7(c)の破断面から明らかなように、圧縮応力層の深さより深い傷が破壊起点となっている。図7(a)及び(b)では、破壊起点から一本のクラックが延びてカバーガラスが2つに割れている。この図7(c)に示す破断面をさらに観察すると、圧縮応力層の深さより深い破壊起点の回りには、鏡のように滑らかな鏡面半径(mirror radius)の長い鏡面(mirror)が見られる。
図8は、図7(c)の破断面を模式的に示す図である。破断面には、破壊の過程、すなわち、破壊起点、破壊の進行方向、破壊が緩やかに進んだか、急速に進んだかなどの要因が反映される。このスロークラック割れの破断面解析によれば、鏡面半径の長い鏡面は小さな応力により破壊が進行したことを意味しており、このような滑らかな破断面は、クラックがゆっくり音速に比べてずっと遅い速度で成長したことを意味している。従って、図7(c)の破断面によれば、カバーガラスには、圧縮応力層の深さより深い起点が形成された後、クラックがゆっくり成長し、小さな応力で破壊が進行したことが分かる。このようなスロークラック割れにより割れたカバーガラスは、割れ破片が数ピース〜(場合によっては)数十ピースになる。典型的には、2ピースから20ピースであり、図7(a)及び(b)に示す破壊起点から一本のクラックが延びてカバーガラスが2つに割れた例は、スロークラック割れの象徴的な例である。
スロークラック割れであるか否かは、よりミクロには次のようにして判別される。まず、破壊起点がわかるようなものでなければスロークラック割れとはいえない。また、その破壊起点付近を観察して圧縮応力層を突き抜けるような傷すなわち圧縮応力層深さ(いわゆるDOL)よりも深い傷が破壊起点であることが確認された場合はスロークラック割れである。また、鏡面半径が長く、破面断面が鏡面でありミストやハックルが認められない場合はスロークラック割れである。
次に、スロークラック割れとの対比のため、スロークラック割れではないカバーガラスの割れ方(以下、非スロークラック割れとも呼ぶ。)について説明する。非スロークラック割れとして、ヌープ圧子をガラス表面に押し込んで生じたカバーガラスの割れについて説明する。図9は、非スロークラック割れによるカバーガラスの破壊起点を側方から見た写真を示す図であり、図10は図9の破断面を模式的に示す図である。
この非スロークラック割れの破断面を観察すると、圧縮応力層内に破壊起点が形成され、回りに鏡のように滑らかな鏡面半径の短い鏡面が見られ、さらに鏡面の回りには、ミスト面(mist)が存在する。この非スロークラック割れの破断面解析によれば、鏡面半径の短い鏡面は大きな応力により破壊が進行したことを意味し、ミスト面は、クラックが急速に成長したことを意味している。従って、図9の破断面によれば、カバーガラスには、圧縮応力層の深さより浅い破壊起点が形成された後、大きな応力で破壊が進行しクラックが急速に成長したことが分かる。非スロークラック割れが生じると、カバーガラスは図11に示すように、蜘蛛の巣状に延びた複数のクラックにより複数(20枚以上)のガラス片となる(以下、このような割れ方をスパイダー割れとも呼ぶ。)。このように、スロークラック割れと非スロークラック割れとは、全く異なるモードで破壊が生じていることが分かる。
スロークラック割れについては、破壊起点が圧縮応力層を超えた領域、即ち引張応力層に発生するため(傷の深さは典型的には数十〜数百マイクロメートルで、化学強化による圧縮応力層が数〜数十マイクロメートル)、スロークラック割れの発生しやすいディスプレイ装置においては、スロークラック割れにも強い機械特性を有するタッチセンサ付化学強化ガラスを選択する必要がある。このスロークラック割れ(面・表面割れ)については、後述するサンドペーパー落球試験によりその耐性を測定することができる。なお、非スロークラック割れについては、スロークラック割れとの対比のために強制的に発生させた破壊モードであり、上記4つに分類される破壊モードではない。
本発明のタッチセンサ付化学強化ガラスは、ディスプレイ装置において典型的に発生する4つの破壊モード全てに起因する割れを抑制することができる。
本発明は、以下の態様を提供するものである。
(1) タッチセンサと、該タッチセンサを搭載する化学強化ガラスと、を備えるタッチセンサ付化学強化ガラスであって、
前記化学強化ガラスは、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下であることを特徴とするタッチセンサ付化学強化ガラス。
(2) 前記圧縮応力層の最表面の圧縮応力が900MPa以上、前記引張応力層の引張応力が9MPa以上であることを特徴とする(1)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
(3) 前記化学強化ガラスを温度90℃、0.1mol%塩酸中に20時間浸漬したときの重量減少が1mg/cm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
(4) 前記圧縮応力層の深さが15μm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
(5) 前記化学強化ガラスの板厚が1.5mm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のタッチセンサ付化学強化ガラスを備えるディスプレイ装置。
上記(1)又は(2)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラスによれば、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上を有するので、上記した<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れの発生を抑制することができる。また、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下であるので、<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>に分類される、タッチセンサ付化学強化ガラスで典型的に見られる割れの発生についても抑制することができる。
上記(3)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラスによれば、耐酸性が高いので、フォオリソグラフィ技術を用いて化学強化ガラスにタッチセンサを搭載させることができる。
上記(4)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラスによれば、面取り等の端面処理で発生する潜傷よりも圧縮応力層が深いので、所望の端面強度を発生させることができる。
上記(5)に記載のタッチセンサ付化学強化ガラスによれば、軽量化、薄型化を実現することができる。
上記(6)に記載のディスプレイ装置によれば、タッチセンサ付化学強化ガラスの割れが抑制され、割れに対する信頼性の高いディスプレイ装置を実現される。
本発明の一実施形態のタッチセンサ付化学強化ガラスの主要部を構成する平面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のタッチセンサ付化学強化ガラスの製造方法を説明する図である。 ディスプレイ装置に使用されるタッチセンサ付化学強化ガラスで発生する4つの破壊モードについて説明する図である。 タッチセンサ機能付タブレットPCが落下した際にカバーガラスにスロークラック割れが発生する状況を示す模式図である。 スロークラック割れが発生するメカニズムを模式的に示す図であり、(a)は破壊起点を示す図であり、(b)はクラックを示す図である。 (a)はスロークラック割れが発生したタッチセンサ機能付タブレットPCの写真を示す図であり、(b)は破壊起点を上方から見た拡大写真を示す図、(c)は破壊起点を側方から見た写真を示す図である。 図7(c)の破断面を模式的に示す図である。 非スロークラック割れが発生したカバーガラスの破壊起点を側方から見た写真を示す図である。 図9の破断面を模式的に示す図である。 スパイダー割れが発生したカバーガラスの写真を示す図である。 サンドペーパー落球試験の模式図である。 図12のサンドペーパー落球試験における化学強化ガラスの割れが発生するメカニズムを模式的に示す図であり、(a)は破壊起点を示す図であり、(b)はクラックを示す図である。 (a)は、化学強化ガラスを花崗岩からなる基台上に配置し、P30のサンドペーパーの擦り面に化学強化ガラスの上面を接触させた状態で、Φ0.75インチ、4gのステンレス鋼性の球体を高さ17cmから落下させてスロークラック割れが発生したカバーガラスの写真を示す図であり、(b)は破壊起点を側方から見た写真を示す図である。 (a)はP30のサンドペーパーの拡大写真を示す図であり、(b)はアスファルト・コンクリートの拡大写真を示す図であり、(c)はP30のサンドペーパー先端の角度分布と砂の先端の角度分布を示すグラフである。 (a)はヘルツ割れ試験の結果を示すグラフであり、(b)は裏面割れ試験の結果を示すグラフであり、(c)は落球試験の結果を示すグラフであり、(d)はサンドペーパー落球試験の結果を示すグラフである。 (a)は従来のタッチパネル機能を有するディスプレイ装置の模式図であり、(b)は2−in−1方式のディスプレイ装置の模式図である。
先ず、本発明の一実施形態のタッチセンサ付化学強化ガラスについて図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態のタッチセンサ付化学強化ガラスの主要部を構成する平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。
タッチセンサ付化学強化ガラス10は、タッチセンサ11と、該タッチセンサ11を搭載する化学強化ガラス20と、を備え、2−in−1方式のディスプレイ装置に使用されるタッチセンサ付化学強化ガラスである。即ち、タッチセンサ付化学強化ガラス10の化学強化ガラス20は、カバーガラスとしての機能と、センサ基板としての機能とを兼ねるものである。
タッチセンサ11は、化学強化ガラス20の片側の面に、交差するX軸、Y軸の2軸それぞれの軸方向に伸びる列電極が、その交差部分において間に電気的絶縁層を介することにより電気的に非接触状態で形成されることにより構成されている。ここにおいて、X軸方向に伸びる列電極を第1電極12a、Y軸方向に伸びる列電極を第2電極12bと呼ぶと、タッチ位置を検出するためには、各軸方向に伸びる第1電極12aと第2電極12bとが互いに独立していなければならない。このため、本実施形態では、化学強化ガラス20の片側の面に、マトリックス状を構成する各々の第1電極12aと第2電極12bの列電極パターン(各軸方向に伸びる複数列の電極パターン)を1層の透明電極パターン12として配列させた上で、2つの列が交差する領域においていずれか一方の列を他方の列と接触しないよう分断させた透明電極パターン12の分断箇所をブリッジ配線14で接続している。なお、ブリッジ配線14と透明電極パターン12とが重なり合う領域(交差領域)においては、透明電極パターン12とブリッジ配線14との間に絶縁性物質による絶縁層13が設けられている。
符号15は、透明電極パターン12を囲むように化学強化ガラス20の周縁部に形成される遮光性を有する黒色層であり、符号16は、各列をなす電極集合への引き廻し配線を示している。引き廻し配線16は、各列の電極パターンのいずれか1つに接続されていればよい。タッチセンサ11の最下層には、保護ガラス17が形成されている。
絶縁層13を構成する透明性の電気絶縁性物質として、有機樹脂材料を用いることが可能であり、有機樹脂材料を使用して絶縁層を形成する場合には、フォトリソ技術により容易にパターニングされた樹脂製の絶縁層を得ることができる。
ブリッジ配線14を構成する導電物質としては、化学強化ガラス20に対して高い密着力を容易に得ることができる金属材料が望ましく使用される。特に、透明基板がガラス基板の場合には、ガラス基板に対して密着力が高く、ITOより導電性が高く、耐久性、耐摩耗性にも優れた、Mo、Mo合金、Al、Al合金、Au、Au合金などの金属材料を好ましく用いることができる。
タッチセンサ11を搭載する化学強化ガラス20は、板厚が1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。また、例えば以下の組成のガラスが使用される。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス。ここで、たとえば「KOを0〜10%含む」とはKOは必須ではないが10%までの範囲で、かつ、本発明の目的を損なわない範囲で含んでもよい、の意である。
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
化学強化ガラス20を得るための化学強化は、例えば、380℃〜450℃の硝酸カリウム(KNO)溶融塩にガラスを0.1〜20hr浸漬させることで行われるが、硝酸カリウム(KNO)溶融塩の温度や、浸漬時間、溶融塩等を変更することで、化学強化の入り方を調整することができる。化学強化することでガラス表面には圧縮応力層が形成され、内部に引張応力層が形成される。
本発明の化学強化ガラス20は、上記した4つの破壊モードである、<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、<3.面・裏面割れ>、<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>の全てに耐性を有することが必要であり、そのためには圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下となるように化学強化される。その理由を以下に示す。
<1.端面・表面割れ>は、ヘルツ割れ試験により割れ強さを求めることができる。
ヘルツ割れ試験は、ガラス端面に超硬材の細径の円柱棒を衝突させることにより、ガラス端面の表面にヘルツ応力を発生させることで、ヘルツクラック割れを生じさせるものであり、円柱棒の衝撃エネルギー(衝突エネルギーJ=高さm×重さkg×9.8m/s)により<1.端面・表面割れ>による耐性を測定することができる。
測定は、以下の条件で行った。以下に示すA〜Eの5種の硝材のガラスA1〜E1をサイズ:50mm×50mmに切断、研磨し、#600のホイールでC面取りをおこなった。その後、それぞれのガラスを化学強化した。前述のガラスを基台上に配置し、その端面にφ3mmの超硬ピンを振り子式にぶつけて、ガラスの端面表側を、ヘルツ割れに手配することを20回繰り返し、破壊時の円柱棒の衝撃エネルギーの単純平均を算出して平均破壊エネルギーとした。
硝材Aは、以下の組成を有するものである。
SiO: 72.5mol%
Al: 6.2mol%
NaO: 12.8mol%
MgO: 8.5mol%
硝材Bは、以下の組成を有するものである。
SiO: 61.5mol%
Al: 13mol%
NaO: 17mol%
MgO: 8mol%
O: 0.5mol%
硝材Cは、以下の組成を有するものである。
SiO: 68mol%
Al: 10mol%
NaO: 14mol%
MgO: 8mol%
O: 4mol%
硝材Dは、以下の組成を有するものである。
SiO: 64mol%
Al: 8mol%
NaO: 12.5mol%
O: 4mol%
MgO: 11mol%
ZrO: 0.5mol%
硝材Eは、以下の組成を有するものである。
SiO: 66.7mol%
Al: 10.8mol%
NaO: 13.2mol%
KO: 2.4mol%
MgO: 6.2mol%
CaO: 0.6mol%
また、ガラスA1〜E1は、表1に示す性能を有している。表1及び図16(a)に、それぞれのガラスのヘルツ割れ試験の試験結果を示す。なお、表1中(以降の表についても同じ。)、CSは表面圧縮応力を示し、DOLは圧縮応力層の深さを示している。
<2.端面・裏面割れ>は、裏面割れ試験により割れ強さを求めることができる。
裏面割れ試験は、ガラス端面に太径の超硬材の円柱棒を衝突させることにより、ガラス端面の裏側に衝撃引っ張り応力を発生させ、端面・裏面割れを生じさせるものであり、円柱棒の衝撃エネルギー(衝突エネルギーJ=高さm×重さkg×9.8m/s)により<2.端面・裏面割れ>による耐性を測定することができる。
測定は、以下の条件で行った。上記したA、C〜Eの4種の硝材のガラスA2、C2〜E2をサイズ:50mm×50mmに切断、研磨し、#600のホイールでC面取りをおこなった。その後、それぞれのガラスを化学強化した。前述のガラスを基台上に配置し、その端面にφ40mmの超硬ピンを振り子式にぶつけて、ガラスの端面裏側を、衝撃的に破壊することを20回繰り返し、破壊時の円柱棒の衝撃エネルギーの単純平均を算出して平均破壊エネルギーとした。
また、ガラスA2、C2〜E2は、表2に示す性能を有している。表2及び図16(b)に、それぞれのガラスの端面・裏面割れ試験の試験結果を示す。
<3.面・裏面割れ>は、落球試験により割れ強さを求めることができる。
落球試験は、ガラス表面にステンレス製の鉄球を落下させることにより、落球面の裏面に引っ張り応力を発生させ、面・裏面割れを生じさせるものであり、鉄球の衝撃エネルギー(衝突エネルギーJ=高さm×重さkg×9.8m/s)により<3.面・裏面割れ>による耐性を測定することができる。
測定は、以下の条件で行った。上記したA、C〜Eの4種の硝材のガラスA3、C3〜E3をサイズ:50mm×50mmに切断、研磨した。その後、それぞれのガラスを化学強化した。前述のガラスを中央部40mm×40mmをくりぬいた基台上に配置し、その表面にφ30mm、130gの鉄球を落下させて、ガラスの面裏側を衝撃的に破壊することを20回繰り返し、破壊時の鉄球の衝撃エネルギーの単純平均を算出して平均破壊エネルギーとした。
また、ガラスA3、C3〜E3は、表3に示す性能を有している。表3及び図16(c)に、それぞれのガラスの端面・裏面割れ試験の試験結果を示す。
図16(a)〜図16(c)からこれらの3つの破壊モードに起因する割れは、割れ発生時の平均破壊エネルギーが圧縮応力に比例し、圧縮応力が大きくなればなるほど割れ発生に要する平均破壊エネルギーが大きくなる、即ち割れづらくなる傾向があることが分かる。従って、化学強化ガラス20の圧縮応力層の最表面の圧縮応力を800MPa以上とすることで、上記した<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れの発生を従来の縮応力層の最表面の圧縮応力800MPa未満のタッチセンサ付化学強化ガラスに比べ飛躍的に抑制することができる。圧縮応力層の最表面の圧縮応力は、850MPa以上が好ましく、900MPa以上がより好ましく、950MPa以上がさらに好ましく、1000MPa以上が極めて好ましい。
また、本発明者らは、<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>を再現するための方法として、以下に説明するサンドペーパー落球試験を見出した。そして、そのサンドペーパー落球試験から、<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>に分類される割れにも強いタッチセンサ付化学強化ガラス10を提供することを可能とした。
サンドペーパー落球試験は、図12に示すように、表面に圧縮応力層が形成された化学強化ガラス20を基台31上に配置し、圧縮応力層の深さ以上の大きさの研磨材を含むサンドペーパー32の擦り面32aに化学強化ガラス20を接触させ、鉄球等の球体33を上方から落下させるものである。このとき、サンドペーパー32は、好ましくは化学強化ガラス20の上方に配置され、化学強化ガラス20の上面30aがサンドペーパー32の擦り面32aと接触しており、球体33がサンドペーパー32の擦り面32aとは反対側の面32bに落下する。
基台31としては、花崗岩のような硬い石から形成されることが好ましい。これにより、破壊起点となる傷が発生しやすいフレームに支持されたカバーガラスの領域と同じように、応力の逃げ場を排除することができる。ただし、基台31の材質は弾性率やたわみを目的にあわせて変更することができ、ストレート材、ガラス、中央がくりぬかれたフレーム等、適宜選択することができる。
サンドペーパーは研磨紙(紙やすり、JIS R6252:2006)に限られず基材に研磨材が接着剤によって塗装されたもの、あるいはそれに相当するものを含み、たとえば研磨布(JIS R6251:2006)、耐水研磨紙(JIS R6253:2006)などを含む。
サンドペーパー32には、含まれる研磨材の粒度に応じてP12〜P2500番が存在する(JIS R6252、2006)。研磨材は、典型的には、アルミナ、炭化ケイ素である。アスファルト・コンクリートに含まれる砂の粒径を0.06mm〜1mmと想定すると、サンドペーパー32に含まれる研磨材の粒度としてP30〜P600が概ねこれと対応する。
例えば圧縮応力層の深さを30μmと想定すると、圧縮応力層の深さよりも大きい研磨材を含むサンドペーパーとしては、P30(D:710μm)、P100(D:180μm)、P320(d:66.8μm)、P600(d:43.0μm)などのサンドペーパーが選択される。
球体33の材質や重量は目的にあわせて変更可能であるが、典型的には、ステンレス鋼製の4〜150gのステンレス球が用いられる。
このように基台31上に配置された化学強化ガラス20に、球体33を落下させることで、化学強化ガラス20にはサンドペーパー32に含まれる研磨材により、上面30a側の圧縮応力層より深いところに破壊起点Oが発生する。
このとき、破壊起点Oに圧縮応力が作用しその周りに引張応力が作用する(図13(a))。続いて、破壊起点Oには引張応力が作用しクラックCが伸びて、カバーガラスが割れる(図13(b))。即ち、破壊起点の面が上面と下面の違いはあるが、図6(a)及び(b)で説明したスロークラック割れと同じメカニズムで割れが発生する。
図14(a)は、化学強化ガラス20を花崗岩からなる基台上に配置し、P30のサンドペーパー32の擦り面に化学強化ガラス20の上面を接触させた状態で、Φ0.75インチ、4gのステンレス鋼からなる球体33を高さ17cmから落下させてスロークラック割れが発生したカバーガラスの写真を示す図であり、図14(b)は図14(a)の破壊起点を側方から見た写真を示す図である。
化学強化ガラスは、一本のクラックが延びてカバーガラスが2つに割れており、また図14(b)は図7(c)と同様の破断面を示しており、スロークラック割れと同じメカニズムで割れが発生していることが分かる。
図15(a)はP30のサンドペーパーの拡大写真であり、図15(b)は、アスファルト・コンクリート(横浜にて採取)の拡大写真であり、図15(c)は、P30のサンドペーパー先端の角度分布と砂の先端の角度分布を示すグラフである。図15(c)は、それぞれサンドペーパーを144箇所、砂を149箇所観測し、サンドペーパー又は砂の先端角度を横軸に、頻度を縦軸に示したものである。本発明では、P30のサンドペーパーに含まれる研磨材としてのアルミナと、アスファルト・コンクリートに含まれる小石等の形状の近似性から、P30のサンドペーパーが選択された。
本発明では、化学強化ガラスを花崗岩からなる基台上に配置し、P30(JIS R6252、2006)のサンドペーパーの擦り面にカバーガラスの上面を接触させた状態で、Φ0.75インチ、29gのステンレス鋼からなる球体を上方から落下させるサンドペーパー落球試験を行った。
測定は、以下の条件で行った。上記したA〜Eの5種の硝材のガラスA4〜E4をサイズ:50mm×50mmに切断・研磨した化学強化ガラスを20枚用意し、20枚のガラスを順次花崗岩からなる基台上に配置し、P30(JIS R6252、2006)のサンドペーパーの擦り面にガラスの上面を接触させた状態で、Φ0.75インチ、29gのステンレス鋼からなる球体を上方から落下させ、破壊時の落球高さの単純平均を算出して平均破壊高さとした。
また、ガラスA4〜E4は、表4に示す性能を有している。表4及び図16(d)に、それぞれのガラスのサンドペーパー落球試験の試験結果を示す。なお、表4中、CTは内部の引張応力を示している。
図16(d)から<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>に起因する割れは、割れ発生時の落球高さが内部の引張応力に反比例し、引張応力が小さくなればなるほど割れ発生時の落球高さが高くなる、即ち割れづらくなる傾向があることが分かる。従って、化学強化ガラス20の内部の引張応力層の引張応力を40MPa以下とすることで、<4.面・表面割れ(スロークラック割れ)>に分類される、タッチセンサ付化学強化ガラスで典型的に見られる割れの発生についても抑制することができる。
内部の引張応力層の引張応力が小さすぎる場合、最表面の圧縮応力や圧縮応力層の深さを大きくできないため、総合的に強度を高くできない。従って、内部の引張応力層の引張応力の下限は、8MPaであり、9MPa以上が好ましく、10MPa以上がさらに好ましい。また、内部の引張応力層の引張応力の上限は、37MPa以下が好ましく、34MPa以下がさらに好ましい。
なお、図9〜11で示した非スロークラック割れについては、スロークラック割れとの対比のために強制的に発生させた破壊モードであり、上記4つに分類される破壊モードではないが、非スロークラック割れについては、破壊起点が圧縮応力層内に発生するため、これを防ぐためには、上記した<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れと同様に、圧縮応力層の最表面の圧縮応力を大きくすることが効果的である。
このように化学強化された化学強化ガラス20において、圧縮応力層の深さは15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。これは、切断や面取り等の端面処理で発生する潜傷よりも圧縮応力層が深くすることで、所望の端面強度を発生させることができるためである。
次に、本実施形態のタッチセンサ付化学強化ガラス10の製造方法の一例について図3を参照しながら説明する。
まず、複数個のディスプレイ装置用の化学強化ガラスに分割可能な大型の化学強化ガラス200を用意し(図3(a))、化学強化ガラス200の片側の面に、それぞれの化学強化ガラスの周縁部に対応する位置に黒色層15を形成する(図3(b))。なお、この化学強化ガラス200は、上記したように、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下となるように化学強化されたものである。
続いて、化学強化ガラス200の片側の面に、透明電極パターン12を形成する(図3(c))。例えば、化学強化ガラス200の片側の面に、スパッタリング法などを用いてITOを成膜させ、成膜させたITO膜を図1に示すようなパターン形状に加工することにより、所定パターンを有する透明電極パターン12を形成する。この透明電極パターン12を形成するにあたっては、ITO膜をコーティングし、所定パターンのマスクを用いて露光し、ついでエッチングするというフォトリソグラフィー・プロセス法(以下、フォトリソグラフィ技術と呼ぶ。)を採用することができる。
このとき、透明電極パターン12が形成されている化学強化ガラス200の同面(透明電極パターン12が形成されている面)に、透明電極パターン12の特定部位(X軸方向の第1電極12aの列電極パターンとY軸方向の第2電極12bの列電極パターンとが交差する領域、すなわち、列電極パターンとしての交差領域。)を覆う絶縁層13を、例えばフォトリソグラフィ技術を利用して形成する(図3(d))。
次に、各交差領域に設けた絶縁層13の上を跨ぐようにして透明電極パターン12の特定部位(第1電極12aの分断箇所)間を接続させる各ブリッジ配線14を形成する(図3(e))。例えば、絶縁層13が形成されている化学強化ガラス200の同面(絶縁層13が形成されている面)に対してスパッタリング法などを用いて金属製の導電物質を成膜して金属膜を形成し、この金属膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして所定形状のパターンを有するブリッジ配線14を形成する。この際、引き廻し配線部分も覆って金属膜を形成し、この金属膜をブリッジ配線の形成のためのフォトリソグラフィ法によるパターニング工程と同時にパターニングを行って引き廻し配線16を形成する。これにより、図1に示す状態が完成する。
続いて、SiOをスパッタリングして保護ガラス17を形成し(図3(f))、各タッチセンサ付化学強化ガラス10に分割し(図3(g))、各タッチセンサ付化学強化ガラス10の隅部を面取りする(図3(h))。最後に、各タッチセンサ付化学強化ガラス10にフレキシブル配線基板18を圧着して接続することで、タッチセンサ付化学強化ガラス10が製造される。
このようにタッチセンサ付化学強化ガラス10は、タッチセンサ11を形成するに際し、フォトリソグラフィ技術を用いて製造することができる。そのため、化学強化ガラス20は耐酸性を有していることが好ましく、化学強化ガラスを温度90℃、0.1mol%塩酸中に20時間浸漬したときの重量減少が1mg/cm以下であることが好ましい。このように耐酸性を高い化学強化ガラスを用いることで、フォオリソグラフィ技術を用いて化学強化ガラスにタッチセンサを搭載させることができる。
ここで、上記したA〜Eの5種の硝材のガラスA5〜E5をサイズ:50mm×50mmに切断・研磨した化学強化ガラスを用意し、それぞれの化学強化ガラスを温度90℃、0.1mol%塩酸中に20時間浸漬したときのガラス単位面積当たりの重量減少(mg/cm)を評価した。
また、ガラスA5〜E5は、表5に示す性能を有している。表5に、それぞれのガラスの重量減少(mg/cm)を示す。
この結果から、ガラスC5は、最表面の圧縮応力が800MPa以上であるため、<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れを抑制することができ、且つ、ガラス単位面積当たりの重量減少が1mg/cm未満で、耐酸性は十分であり、最も好ましいガラスということができる。また、ガラスBは、耐酸性が不十分であるものの、最表面の圧縮応力が800MPa以上であるため、<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れを抑制することができる。
一方、ガラスA5、ガラスD5、ガラスE5では、ガラス単位面積当たりの重量減少が1mg/cm未満で、耐酸性は十分であるが、最表面の圧縮応力が800MPa未満であるため、<1.端面・表面割れ>、<2.端面・裏面割れ>、及び<3.面・裏面割れ>に分類される割れを抑制することができず、本発明の対象外のガラスである。
以上説明したように、本実施形態のタッチセンサ付化学強化ガラスによれば、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下であるので、4つの破壊モード全てに起因する割れを抑制することができる。
また、化学強化ガラスを温度90℃、0.1mol%塩酸中に20時間浸漬したときの重量減少が1mg/cm以下とすることで、フォオリソグラフィ技術により化学強化ガラスにタッチセンサを搭載させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
タッチセンサ付化学強化ガラス10は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC以外にも、デジタルカメラ、液晶テレビ、電子手帳、電卓等、タッチパネル機能を有する各種のディスプレイ装置に適用することができる。
10 タッチセンサ付化学強化ガラス
11 タッチセンサ
20 化学強化ガラス

Claims (6)

  1. タッチセンサと、該タッチセンサを搭載する化学強化ガラスと、を備えるタッチセンサ付化学強化ガラスであって、
    前記化学強化ガラスは、圧縮応力層の最表面の圧縮応力が800MPa以上であり、且つ、内部の引張応力層の引張応力が8MPa以上40MPa以下であることを特徴とするタッチセンサ付化学強化ガラス。
  2. 前記圧縮応力層の最表面の圧縮応力が900MPa以上、前記引張応力層の引張応力が9MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
  3. 前記化学強化ガラスを温度90℃、0.1mol%塩酸中に20時間浸漬したときの重量減少が1mg/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
  4. 前記圧縮応力層の深さが15μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
  5. 前記化学強化ガラスの板厚が1.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタッチセンサ付化学強化ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のタッチセンサ付化学強化ガラスを備えるディスプレイ装置。
JP2012123353A 2012-05-25 2012-05-30 タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置 Withdrawn JP2013249216A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123353A JP2013249216A (ja) 2012-05-30 2012-05-30 タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置
PCT/JP2013/064130 WO2013176150A1 (ja) 2012-05-25 2013-05-21 化学強化ガラス板、カバーガラス、タッチセンサ付化学強化ガラスおよびディスプレイ装置
KR1020147032856A KR20150011818A (ko) 2012-05-25 2013-05-21 화학 강화 유리판, 커버 유리, 터치 센서 부착 화학 강화 유리 및 디스플레이 장치
CN201380027498.4A CN104350020A (zh) 2012-05-25 2013-05-21 化学强化玻璃板、保护玻璃、带触控传感器的化学强化玻璃及显示装置
CN201710070745.9A CN107056088A (zh) 2012-05-25 2013-05-21 化学强化玻璃板、保护玻璃、带触控传感器的化学强化玻璃及显示装置
TW102118502A TW201404732A (zh) 2012-05-25 2013-05-24 化學強化玻璃板、覆蓋玻璃、附觸碰感測器之化學強化玻璃及顯示裝置
US14/552,998 US20150147538A1 (en) 2012-05-25 2014-11-25 Chemically strengthened glass plate, cover glass, chemically strengthened glass with touch sensor, and display device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012123353A JP2013249216A (ja) 2012-05-30 2012-05-30 タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013249216A true JP2013249216A (ja) 2013-12-12

Family

ID=49848278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012123353A Withdrawn JP2013249216A (ja) 2012-05-25 2012-05-30 タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013249216A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015536892A (ja) * 2012-10-03 2015-12-24 コーニング インコーポレイテッド ガラス表面を保護するための物理蒸着層
JP2018022034A (ja) * 2016-08-03 2018-02-08 旭硝子株式会社 カバー部材および表示装置
CN111204991A (zh) * 2020-01-16 2020-05-29 Oppo广东移动通信有限公司 玻璃盖板及其强化方法、电子设备

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005535548A (ja) * 2002-08-09 2005-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 多機能多層光学膜
JP2009057271A (ja) * 2007-08-03 2009-03-19 Nippon Electric Glass Co Ltd 強化ガラス基板及びその製造方法
JP2009084075A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Nippon Electric Glass Co Ltd 強化ガラス基板及びガラス並びに強化ガラス基板の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005535548A (ja) * 2002-08-09 2005-11-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 多機能多層光学膜
JP2009057271A (ja) * 2007-08-03 2009-03-19 Nippon Electric Glass Co Ltd 強化ガラス基板及びその製造方法
JP2009084075A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Nippon Electric Glass Co Ltd 強化ガラス基板及びガラス並びに強化ガラス基板の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015536892A (ja) * 2012-10-03 2015-12-24 コーニング インコーポレイテッド ガラス表面を保護するための物理蒸着層
JP2018022034A (ja) * 2016-08-03 2018-02-08 旭硝子株式会社 カバー部材および表示装置
CN111204991A (zh) * 2020-01-16 2020-05-29 Oppo广东移动通信有限公司 玻璃盖板及其强化方法、电子设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150147538A1 (en) Chemically strengthened glass plate, cover glass, chemically strengthened glass with touch sensor, and display device
TWI580961B (zh) Experimental method of impact of chemically strengthened glass and manufacturing method of chemically strengthened glass
WO2013176150A1 (ja) 化学強化ガラス板、カバーガラス、タッチセンサ付化学強化ガラスおよびディスプレイ装置
US20180037498A1 (en) Display cover glass and display cover glass fabrication method
JP6463682B2 (ja) ガラス板及び当該ガラス板を含む装置
TWI636028B (zh) 化學強化用玻璃及化學強化玻璃
JP2018519228A (ja) 深い圧縮深さを有する強化ガラス
TW201706226A (zh) 具有深的壓縮深度之強化玻璃
KR20190068636A (ko) 유리판
JP6123675B2 (ja) カバーガラス
TWI525056B (zh) Chemically strengthened glass plate
JP2013542159A (ja) ガラス板
KR20170048459A (ko) 코팅 유리에서 강도 및/또는 변형률 손실 완화를 위한 방법 및 장치
US20170273201A1 (en) Methods for preparing strengthened lithium-based glass articles and lithium-based glass articles
JP5724779B2 (ja) 化学強化ガラスの強度測定方法、化学強化ガラスの割れ再現方法及び化学強化ガラスの製造方法
JP2013249216A (ja) タッチセンサ付化学強化ガラス及びディスプレイ装置
JP2015206663A (ja) 脆性材料の衝撃試験方法、脆性材料の衝撃試験装置および脆性材料の製造方法
TW201350319A (zh) 電子機器用玻璃
JP2015205779A (ja) 化学強化ガラス板及びその衝撃試験方法
CN107793039A (zh) 抗冲击钢化玻璃及其制备方法和显示终端

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20140210

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150202

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160105

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20160316