JP2013248846A - コンクリートポールの足場受口用取付け金具及び該足場受口用取付け金具を使用したコンクリートポールの製造方法 - Google Patents

コンクリートポールの足場受口用取付け金具及び該足場受口用取付け金具を使用したコンクリートポールの製造方法 Download PDF

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彰 久本
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Abstract

【課題】足場受口を備えたコンクリートポールの製造ラインを足場受口用取付け金具の一部の部品の破損によって長時間停止させることがないようにする。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明のコンクリートポール1の足場受口用取付け金具7は、足場受口5のネジ孔6に螺合して組み付けられる段付きボルト9と、型枠3の外周部の所定の位置に取り付けられ、内周凹部11を有する金具本体13と、前記金具外枠13に取り外し可能に取り付けられる内部リング21であって、前記内周凹部11に内嵌する外周部15と前記足場受口5が組み付けられた段付きボルト9と螺合する雌ネジ部17を有する内部リング21と、を具備している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電柱等、作業者が登ることを想定して製造されるコンクリートポールに対して、足場受口を取り付ける場合に使用される足場受口用取付け金具及び該足場受口用取付け金具を使用することによって実行されるコンクリートポールの製造方法に関する。
電柱等、作業者が登ることを想定して製造されるコンクリートポールには、送電線や電話線の架設工事やこれらの保守点検等を行う管理運営上の必要から、下記の特許文献1に開示されているようにコンクリートポールの外周面にネジ孔が臨むように足場受口が埋め込まれた状態で取り付けられており、該足場受口を利用して作業者がコンクリートポールを登る際の足掛かりとなる足場ボルトを設置するように構成されている。
このような足場受口が埋め込まれたコンクリートポールを製造する場合には、先ず、コンクリート原料を流し込む前の型組み工程において、半円筒状の一対の型枠の間に、筒状に組まれた鉄筋籠を配置し、上記一対の型枠を組み合わせて円筒状に型組みすると共に、上記型枠の外側から足場受口を取り付ける。
次に、充填・成形工程において、型組みされた上記型枠内に所定量のコンクリート原料を充填し、型枠を回転させることによって発生する遠心力を利用して円筒形状のコンクリートポールを成形する遠心成形を実行する。
更に、養生・硬化工程において、所定時間養生・乾燥させてコンクリート原料が硬化後、上記型枠を分解して型枠から取り出すことでコンクリートポールの原形が製造される。
また、型組み工程において、足場受口105を型枠103に取り付ける場合には、図12(a)に示すような段付きボルト109を使用して、該段付きボルト109の小径雄ネジ部153を足場受口105のネジ孔106に螺合させて図12(b)に示すように事前に両者を組み付けておく。
一方、型枠103の外周部には、上記段付きボルト109の大径雄ネジ部155と螺合する雌ネジ部117が内周部119に刻設されているカップリング121が図12(c)に示すように点付け溶接してある。
そして、上記図12(b)に示す組み上がった状態の足場受口105と段付きボルト109を図12(d)に示すように上記カップリング121に向けて挿入し、上記段付きボルト109の大径雄ネジ部155をカップリング121の雌ネジ部117に螺合させることによって足場受口105の型枠103に対する取り付けが完了する。
尚、上記段付きボルト109の締め付けには段付きボルト109の頭部145と係合し、強力な締付け力を発揮し得るインパクトレンチが使用されており、上記養生・硬化工程を経てコンクリート原料が硬化した後に上記段付きボルト109を取り外す場合にも上記インパクトレンチが使用されている。
特開2010−112905号公報
しかし、インパクトレンチを使用して上記段付きボルト109を締め付ける際に段付きボルト109の大径雄ネジ部155や該大径雄ネジ部155と螺合するカップリング121の雌ネジ部117が潰れることがある。
そして、この場合、段付きボルト109の大径雄ネジ部155が潰れた場合には、段付きボルト109を交換すればコンクリートポールの製造ラインをほとんど停止させることなく、コンクリートポールの製造を継続することができるから、連続的なコンクリートポールの製造が可能である。一方、カップリング121の雌ネジ部117が潰れた場合には、リーマ等を使用して潰れた雌ネジ部117を切り直すか、型枠103に点付け溶接されたカップリング121を型枠103から取り外してその剥離面を整えた後、新しいカップリング121を再び位置合わせして点付け溶接しなければならず、コンクリートポールの製造ラインが一時的に停止してしまう。
そこで、本発明の目的は、段付きボルトの締付け時に発生したネジ部の破損に起因する足場受口用取付け金具の交換を容易にし、短時間で交換できるようにしたコンクリートポールの足場受口用取付け金具及び該足場受口用取付け金具を使用したコンクリートポールの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一側面に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)は、型組みされた型枠(3)の外周部の所定の位置に足場受口(5)を配置する際に使用されるコンクリートポール(1)の足場受口用取付け金具(7)であって、前記足場受口(5)のネジ孔(6)に螺合して組み付けられる段付きボルト(9)と、前記型枠(3)の外周部の所定の位置に取り付けられ、内周凹部(11)が形成されている金具外枠(13)と;前記金具外枠(13)に取り外し可能に取り付けられる内部リング(21)であって、前記金具外枠(13)の内周凹部(11)に内嵌する外周部(15)と、前記足場受口(5)が組み付けられた段付きボルト(9)と螺合する雌ネジ部(17)が刻設された内周部(19)とを有する内部リング(21)と、を具備していることを特徴とするものである。
また、本発明の一実施形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)では、前記金具外枠(13)の外周壁(23)にネジ孔(25)が形成されており、前記金具外枠(13)の外周壁(23)に形成されているネジ孔(25)に螺合して、当該金具外枠(13)に内嵌する前記内部リング(21)の外周部(15)に軸部(65)の先端部を突き当てて内部リング(21)を取り付ける固定ボルト(27)を更に備える。
また、本発明の一実施形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)では、前記金具外枠(13)が前記型枠(3)の外周部に対して点付け溶接又は全周溶接されている。
また、本発明の一実施形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)では、前記金具外枠(13)の内周凹部(11)と前記内部リング(21)の外周部(15)との間に、前記内周凹部(11)内での内部リング(21)の回転を防止する回り止め構造(29)が設けられている。
また、前記回り止め構造(29)は、前記内部リング(21)の外周部(15)の一部を切除することによって形成される回転規則面(31)と、前記金具外枠(13)の内周凹部(11)において、前記回転規制面(31)と対向するように設けられ、前記回転規制面(31)に当接することによって前記内部リング(21)の回転を規制する当接面(3)3)と、を備えることによって構成されることが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)では、前記内部リング(21)の外周部(15)に、前記固定ボルト(27)の軸部(65)先端の進入を受け入れる切込み溝(35)が形成されており、前記切込み溝(35)の前記型枠(3)側の内周面(37)に、内部リング(21)の内周側に行くに従って縮径するようにテーパ加工が施されている。
また、本発明の一実施形態に係るコンクリートポールの製造方法は、コンクリート原料(M)を流し込む型枠(3)を組み立て、組み立てられた型枠(3)の外周部の所定の位置に足場受口(5)を配置する型組み工程を備えるコンクリートポールの製造方法であって、前記型組み工程では、前記型枠(3)の外周部の所定の位置に取り付けられている金具外枠(13)に対して内部リング(21)を内嵌した状態で、当該内部リング(21)を前記金具外枠(13)に取り付けると共に、前記金具外枠(13)に取り付けられた内部リング(21)に形成されている雌ネジ部(17)に対して前記足場受口(5)が組み付けられた段付きボルト(9)を螺合することによって足場受口(5)を配置することを特徴とするものである。
また、前記型組み工程で行われる足場受口(5)の型枠(3)に対する取り付けにあたっては、前述した何れかの実施形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)を使用することが好ましい。
本発明のコンクリートポールの足場受口用取付け金具によれば、従来、段付きボルトを取り付ける際の対象になっていたカップリングに相当する部材が、金具外枠と内部リングの二部材によって構成されている。そして、段付きボルトと螺合する雌ネジ部が交換の容易な内部リングに形成されている。従って、点付け溶接されていたカップリングを取り外したり、リーマ等によって潰れた雌ネジ部を切り直すといった面倒な作業が不要になるから、製造ラインの停止がなくなり作業効率が改善される。
また、前記金具外枠を前記型枠の外周部に対して点付け溶接した場合には、金具外枠を交換する場合の交換作業が容易になる。一方、前記金具外枠を前記型枠の外周部に対して全周溶接した場合には、金具外枠の型枠に対する固着強度が向上するから長期に亘って繰り返して使用することが可能になる。
また、前記金具外枠の内周凹部と前記内部リングの外周部との間に、前記内周凹部内での内部リングの回転を防止する回り止め構造を設けた場合には、遠心成形時等における金具外枠内での内部リングの水平方向のガタ付きや回転が防止される。
そして、前記回り止め構造として内部リングの回転規制面と金具外枠の当接面とによる面接触を利用した構造を採用した場合には、比較的加工が簡単で、大きな回転荷重に耐えられる回り止め構造が提供できるようになる。
また、前記内部リングの外周部に、前記固定ボルトの軸部先端の進入を受け入れる切込み溝を形成し、該切込み溝の型枠側の内周面に内部リングの内周側に行くに従って縮径するテーパ加工を施した場合には、固定ボルトを締め込んで行くと、固定ボルトの軸部の先端が上記内部リングのテーパ状の内周面に摺接して当該内部リングを型枠側に押し付ける力が作用するようになる。
従って、遠心成形時の振動等によって生じる内部リングの垂直方向のガタ付きが防止されて、内部リングが確実に固定されるようになる。
また、本発明のコンクリートポールの製造方法によれば、型組み工程において内部リングを金具外枠に取り付けるため、コンクリートポールの製造中に内部リングの雌ネジ部が潰れても、短時間で内部リングを交換することができるから、コンクリートポールの製造ラインの連続的な稼働が可能になる。
更に前記型組み工程において、本発明のコンクリートポールの足場受口用取付け金具を使用すれば、内部リングの交換が一層、円滑になり、長期に亘って安定したコンクリートポールの製造が可能になる。
本発明の実施の形態を示す図で、足場受口用取付け金具の使用状態を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態を示す図で、足場受口用取付け金具の使用状態を示す横断面図である。 本発明の実施の形態を示す図で、段付きボルトを示す側面図(a)と正面図(b)である。 本発明の実施の形態を示す図で、足場受口を示す背面図(a)と側部半断面図(b)である。 本発明の実施の形態を示す図で、金具外枠を示す正面図(a)と側部半断面図(b)である。 本発明の実施の形態を示す図で、内部リングを示す正面図(a)と側部半断面図(b)である。 本発明の実施の形態を示す図で、固定ボルトを示す正面図(a)と側面図(b)である。 本発明の実施の形態を示す図で、コンクリートポールの製造の流れを(a)(b)(c)の3段階に分けて示す説明図である。 本発明の実施の形態を示す図で、型組み工程での作業の流れを(a)(b)(c)の3段階に分けて示す説明図である。 本発明の実施の形態を示す図で、コンクリートポールの設置状態を示す側面図とその一部の拡大断面図である。 本発明の他の実施の形態を示す図で、足場受口用取付け金具の種々の態様(a)(b)(c)(d)を示す説明図である。 従来の実施の形態を示す図で、足場受口の取り付けの流れを(a)(b)(c)(d)の4段階に分けて示す説明図である。
以下、本発明に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具及び該足場受口用取付け金具を使用したコンクリートポールの製造方法を図示の実施の形態を例にとって具体的に説明する。
最初に、図1乃至図7及び図10に基づいて本実施の形態に係るコンクリートポールの足場受口用取付け金具7について説明する。
この足場受口用取付け金具7は、電柱等、作業者が登ることを想定して製造されるコンクリートポール1に対して足場受口5を取り付ける場合に使用される。
尚、コンクリートポール1に対して埋め込まれた状態で取り付けられる足場受口5は、図10に示すように足場受口5のネジ孔6に足場ボルト4の軸部の先端部を螺合させ、ワッシャー41とロックナット43とを利用して当該足場ボルト4の軸部の先端部側を基部としてコンクリートポール1に固定するのに使用される。
具体的には、この足場受口用取付け金具7は、型組みされた型枠3の外周部の所定の位置に足場受口5を配置する際に使用され、段付きボルト9と、金具外枠13と、内部リング21と、を備えることによって基本的に構成されている。
段付きボルト9は、足場受口5のネジ孔6内へのコンクリート原料Mの進入を防止した状態で足場受口5を保持する役割を有している。
具体的には、図3に示すように六角ボルト様の頭部45とフランジ部47とを有し、先端側に小径軸部49、基端側に大径軸部51を備えており、上記小径軸部49に小径雄ネジ部53、上記大径軸部51に大径雄ネジ部55を各別に配設することによって段付きボルト9は構成されている。
因みに、本実施の形態では、一例として黄銅製の段付きボルト9を採用し、小径雄ネジ部53としてネジの呼び径がW5/8のウィット並目ネジを採用し、大径雄ネジ部55としてネジの呼び径がPT1の管用テーパネジを採用している。
また、足場受口5は、図4に示すように軸部中心にネジ孔6が刻設され、底部が閉塞された胴部59と、該胴部59の開放された端面側に設けられるフランジ部60とを備える一例として八角形断面の筒状の部材である。
そして、上記胴部59の外周には、コンクリートポール1中に埋め込まれた時の固着力を増強させるための凹凸リブ61等が適宜の間隔を空けて配設されている。また、上記ネジ孔6には、前記段付きボルト9の小径雄ネジ部53と螺合するネジの呼び径がW5/8のウィット並目ネジが一例として採用されており、足場受口5の材料としては一例としてフェノール系の合成樹脂が採用されている。
金具外枠13は、型枠3の外周部の所定の位置に点付け溶接又は全周溶接によって取り付けられている金属製の部材で、次に述べる内部リング21を介して前記足場受口5を位置決めする作用を有している。
具体的には、図5に示すように円環状の外周壁23の内部に次に述べる内部リング21を収容する内周凹部11を備えることによって金具外枠13は構成されている。
また、金具外枠13の外周壁23には、半径方向の一例として対向する2ヶ所にネジ孔25が刻設されている。このネジ孔25は後述する固定ボルト27の軸部65と螺合するようになっており、一例としてネジの呼び径がM8のメートル並目ネジが採用されている。
また、金具外枠13の内周凹部11の底部67の中心には、前記段付きボルト9の大径軸部51の外径より幾分大きな穴部69が形成されている。
また、上記内周凹部11の底部67は、次に述べる内部リング21を内周凹部11にセットした時の内部リング21の垂直方向Vの位置決め作用と内部リング21の傾きを防止する姿勢の安定性を保つ役割を有している。
この他、上記内周凹部11の内周面の一部は、中心に向って幾分張り出した平担面になっており、この平担面が内周凹部11内での次に述べる内部リング21の回転を防止する回り止め構造29の構成要素になっている当接面33として機能している。
尚、本実施の形態では、上記ネジ孔25の形成方向と直交する方向に対向するように2つの当接面33、33を配設している。
内部リング21は、前記段付きボルト9の大径雄ネジ部55に螺合することで当該段付きボルト9を介して足場受口5を保持する役割を有している一例として金属製の部材である。
具体的には、図6に示すように前記金具外枠13の内周凹部11に内嵌する外周部15と、前記足場受口5が組み付けられた段付きボルト9の大径雄ネジ部55と螺合する雌ネジ部17が刻設された内周部19とを備えることによって内部リング21は基本的に構成されている。
内部リング21の形状と大きさは、前記金具外枠13の内周凹部11に対して僅かな隙間を介して内嵌する形状と大きさに形成されている。
これに伴ない、内部リング21の外周部15には、前記金具外枠13の内周凹部11に形成されていた当接面33、33と対向する位置に同じく平担面によって構成されている回転規制面31、31が上記外周部15の一部を切除することによって形成されている。
この回転規制面31、31は、前記当接面33、33と共に回り止め構造29の構成要素になっており、当該回転規制面31、31が前記当接面33、33に当接することによって当該内部リング21の回転を防止するように構成されている。
また、上記回転規制面31、31が形成されていない残りの内部リング21の外周部15には、次に述べる固定ボルト27の軸部65先端の進入を受け入れる切込み溝35が形成されている。
そして、上記切込み溝35の前記型枠3側の内周面37には、内部リング21の内周側に行くに従って縮径するようにテーパ加工が施されており、次に述べる固定ボルト27を締め込んで行くと、当該固定ボルト27の軸部65の先端が上記内周面37に摺接するように当該内周面37の位置が設定されている。
また、内部リング21の内周部19に刻設されている雌ネジ部17は、前記段付きボルト9の大径雄ネジ部55と螺合する一例としてネジの呼び径がPF1の管用平行ネジによって構成されている。
固定ボルト27は、前記内部リング21を前記金具外枠13に取り付ける取付手段として使用されており、図7に示すように一例としてネジの呼び径がM8のメートル並目ネジで刻設された軸部65と、六角形断面の頭部63とを有する六角ボルトによって構成されている。
そして、上記固定ボルト27は、前記金具外枠13の外周壁23に形成されているネジ孔25に螺合して、当該金具外枠13に内嵌する前記内部リング21の外周部15に形成されている切込み溝35の内周面37に前述したように軸部65の先端部を突き当てて内部リング21を固定する。
また、固定ボルト27は前述したネジ孔25に対応して2本使用されており、これら2本の固定ボルト27、27は対向する直線上を進んで前記金具外枠13の中心に配置されている内部リング21を挟持した状態で保持することによって固定できるように構成されている。
次に、このようにして構成されるコンクリートポールの足場受口用取付け金具7を使用することによって実行される本実施の形態に係るコンクリートポールの製造方法について説明する。
このコンクリートポールの製造方法は、コンクリート原料Mを流し込む型枠3を組み立て、組み立てられた型枠3の外周部の所定の位置に足場受口5を配置する(1)型組み工程と、型組みされた型枠3内にコンクリート原料Mを充填し、所定の形状のコンクリートポール1に成形する(2)充填・成形工程と、型組みされた型枠3内でコンクリート原料Mを養生・硬化する(3)養生・硬化工程とを備えることによって一例として構成されている。
以下、図8及び図9に基づいてこれらの工程の内容を具体的に説明する。
(1)型組み工程(図8(a)及び図9参照)
型組み工程は、本発明のコンクリートポールの製造方法の特徴的構成になっている工程である。
先ず、図8(a)に示すように半円筒状の一対の型枠3、3の間に筒状に組まれた鉄筋籠8を配置し、上記一対の型枠3、3を組み合わせて円筒状に型組みし、2つの型枠3、3をボルト10Aとナット10B等を使用して固定する。次に、図9(a)に示すように、前記型枠3の外周部の所定の位置に取り付けられている金具外枠13の内周凹部11に対して内部リング21を内嵌し、固定ボルト27を使用して当該内部リング21を前記金具外枠13に固定する。
この時、上記固定ボルト27の軸部65を金具外枠13のネジ孔25に螺合させて締め付けて行くと、上記固定ボルト27の軸部65の先端部が前述したように内部リング21の切込み溝35の内周面37に摺接し、内部リング21を型枠3側に押し付ける押付け力Fが図9(b)に示すように発生する。
そして、内部リング21は、上記押付け力Fによって垂直方向Vのガタ付きが防止されると同時に型枠3側に強く押し付けられて確実に固定されるようになる。
また、足場受口5のネジ孔6に段付きボルト9の小径雄ネジ部53を螺合させて段付きボルト9に足場受口5を予め組み付けておく。そして、当該足場受口5が組み付けられた段付きボルト9を図9(c)に示すように内部リング21に取り付ける。
即ち、前記金具外枠13の内周凹部11に固定された内部リング21の内周部19に形成されている雌ネジ部17に対して、上記足場受口5が組み付けられた段付きボルト9の大径雄ネジ部55を螺合させることによって段付きボルト9を内部リング21に取り付け、足場受口5を所定の位置に配置するようにする。
尚、上記段付きボルト9の取り付けは、段付きボルト9の頭部45に係合するボックスレンチを装着したインパクトレンチ等を使用することによって実行されるが、段付きボルト9の締め付けの途中で段付きボルト9の大径雄ネジ部55にネジの潰れが生じた場合には、インパクトレンチを逆転させて段付きボルト9の締め付けを緩めることで容易に段付きボルト9を取り外して新しい段付きボルト9に交換することが可能になっている。
また、段付きボルト9の締め付けの途中で内部リング21の内周部19に形成されている雌ネジ部17にネジの潰れが生じた場合には、インパクトレンチを逆転させることで段付きボルト9を内部リング21から取り外し、固定ボルト27を緩めることで内部リング21を金具外枠13から取り外して新しい内部リング21に交換することが可能になっている。
従って、溶接によって固着されている金具外枠13を型枠3から取り外したり、内部リング21の雌ネジ部17を切り直したりする時間のかかる面倒な作業を行うことなく、円滑な内部リング21の交換が可能になる。
(2)充填・成形工程(図8(b)参照)
充填・成形工程では、型組みされた上記型枠3内の端部からホースを入れ、所定量のコンクリート原料Mを充填し、型枠3を回転させることによって発生する遠心力を利用して中空の円筒形状のコンクリートポール1を成形する遠心成形を実行する。ここでは、型組みされた型枠3内にコンクリート原料Mを充填する場合を説明したが、型組み前の半割の状態の型枠3の一方に所定量のコンクリート原料Mを盛り込み、その後、型枠3を型組みしても良い。
尚、遠心成形時のモーターの回転数は最大で約1600rpmと高速であるが、本実施の形態では、前述した回り止め構造29によって、内部リング21の水平方向Hのガタ付きと回転が防止され、前述した固定ボルト27と内部リング21の外周部15に形成されている切込み溝35の内周面37との摺接によって内部リング21の垂直方向Vのガタ付きも防止されている。
(3)養生・硬化工程(図8(c)参照)
養生・硬化工程では、型組みした型枠3内に充填されたコンクリート原料Mを所定時間養生・乾燥させて硬化させる。そして、上記コンクリート原料Mの硬化後、インパクトレンチ等を利用して段付きボルト9を緩めて金具外枠13から取り外す。
次に、ボルト10A及びナット10Bを緩めて型組みされた型枠3を2つに分解し、型枠3内から所定の形状に成形されて硬化したコンクリートポール1を取り出す。
以上が本発明の基本的な実施の形態であるが、本発明のコンクリートポールの足場受口用取付け金具7及び該足場受口用取付け金具7を使用したコンクリートポールの製造方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略、あるいは当業者において周知、慣用の技術を追加することが可能である。
例えば、回り止め構造29としては、前述した実施の形態のように回転規制面31と当接面33をそれぞれ対向するように2組設ける構成の他、図11(a)に示す回り止め構造29Aのように回転規制面31と当接面33を1組のみ設ける構成であってもよい。
また、金具外枠13の内周凹部11と内部リング21の外周部15の平面形状を図11(b)に示すようなコーナ部が面取りされた四角形状や四角形以外の多角形状等にすることによって上記金具外枠13の内周凹部11のすべてを当接面33にし、上記内部リング21の外周部15のすべてを回転規制面31とした回り止め構造29Bを採用することも可能である。
また、前記切込み溝35の形状も前記実施の形態で述べた形状に限らず、三角形断面形状や半円形断面形状等、他の形状の切込み溝35であっても構わないし、前記実施の形態の切込み溝35の外周部を切除した図11(c)に示すような外周部15の形状を有する内部リング21Aを採用することも可能である。
また、前記実施の形態において、金具外枠13の内周凹部11に設けた底部67を省略して、図11(d)に示すように直接、内部リング21を型枠3の外周面に当接させてセットする構造の金具外枠13Aを採用することも可能である。
この他、固定ボルト27の数や締付け方向も前述した実施の形態に限らず、固定ボルト27を1本のみにしたり、3本以上の固定ボルト27を放射状に配設する等、種々の態様を採ることが可能である。
なお、前記実施の形態では、内部リング21を金具外枠13に固定ボルト27によって取り付けたが、金具外枠13の内周及び内部リング21の外周にねじを形成して、内部リング21を金具外枠13に螺合して取り付けるようにしても良い。
本発明は、足場受口を備えたコンクリートポールの製造分野等で利用でき、特に足場受口を備えたコンクリートポールの製造ラインを足場受口用取付け金具の一部の部品の破損によって長時間停止させることなく効率良く当該コンクリートポールを製造したい場合に利用可能性を有する。
1 コンクリートポール
3 型枠
4 足場ボルト
5 足場受口
6 ネジ孔
7 足場受口用取付け金具
8 鉄筋籠
9 段付きボルト
10A ボルト
10B ナット
11 内周凹部
13 金具外枠
15 外周部
17 雌ネジ部
19 内周部
21 内部リング
23 外周壁
25 ネジ孔
27 固定ボルト
29 回り止め構造
31 回転規制面
33 当接面
35 切込み溝
37 内周面
41 ワッシャー
43 ロックナット
45 頭部
47 フランジ部
49 小径軸部
51 大径軸部
53 小径雄ネジ部
55 大径雄ネジ部
59 胴部
60 フランジ部
61 凹凸リブ
63 頭部
65 軸部
67 底部
69 穴部
M コンクリート原料
V 垂直方向
H 水平方向
F 押付け力

Claims (8)

  1. 型組みされた型枠(3)の外周部の所定の位置に足場受口(5)を配置する際に使用されるコンクリートポール(1)の足場受口用取付け金具(7)であって、
    前記足場受口(5)のネジ孔(6)に螺合して組み付けられる段付きボルト(9)と、
    前記型枠(3)の外周部の所定の位置に取り付けられ、内周凹部(11)が形成されている金具外枠(13)と、
    前記金具外枠(13)に取り外し可能に取り付けられる内部リング(21)であって、前記金具外枠(13)の内周凹部(11)に内嵌する外周部(15)と、前記足場受口(5)が組み付けられた段付きボルト(9)と螺合する雌ネジ部(17)が刻設された内周部(19)とを有する内部リング(21)と、
    を備えるコンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  2. 請求項1に記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)において、
    前記金具外枠(13)の外周壁(23)にネジ孔(25)が形成されており、
    該ネジ孔(25)に螺合して、当該金具外枠(13)に内嵌する前記内部リング(21)の外周部(15)に軸部(65)の先端部を突き当てて内部リング(21)を固定する固定ボルト(27)を更に備えることを特徴とする、コンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  3. 請求項1又は2に記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)において、
    前記金具外枠(13)は、前記型枠(3)の外周部に対して点付け溶接又は全周溶接されていることを特徴とする、コンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)において、
    前記金具外枠(13)の内周凹部(11)と前記内部リング(21)の外周部(15)との間には、前記内周凹部(11)内での内部リング(21)の回転を防止する回り止め構造(29)が設けられていることを特徴とする、コンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  5. 請求項4に記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)において、
    前記回り止め構造(29)は、前記内部リング(21)の外周部(15)の一部を切除することによって形成される回転規制面(31)と、
    前記金具外枠(13)の内周凹部(11)において、前記回転規制面(31)と対向するように設けられ、前記回転規制面(31)に当接することによって前記内部リング(21)の回転を規制する当接面(33)と、を備えることによって構成されていることを特徴とする、コンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)において、
    前記内部リング(21)の外周部(15)には、前記固定ボルト(27)の軸部(65)先端の進入を受け入れる切込み溝(35)が形成されており、
    前記切込み溝(35)の前記型枠(3)側の内周面(37)には、内部リング(21)の内周側に行くに従って縮径するようにテーパ加工が施されていることを特徴とする、コンクリートポールの足場受口用取付け金具。
  7. コンクリート原料(M)を流し込む型枠(3)を組み立て、組み立てられた型枠(3)の外周部の所定の位置に足場受口(5)を配置する型組み工程を備えるコンクリートポールの製造方法であって、
    前記型組み工程では、前記型枠(3)の外周部の所定の位置に取り付けられている金具外枠(13)に対して内部リング(21)を内嵌した状態で、当該内部リング(21)を前記金具外枠(13)に取り付けると共に、
    前記金具外枠(13)に取り付けられた内部リング(21)に形成されている雌ネジ部(17)に対して前記足場受口(5)が組み付けられた段付きボルト(9)を螺合することによって足場受口(5)を配置することを特徴とするコンクリートポールの製造方法。
  8. 請求項7に記載のコンクリートポールの製造方法において、
    前記型組み工程で行われる足場受口(5)の型枠(3)に対する取り付けにあたっては、請求項1乃至6の何れかに記載のコンクリートポールの足場受口用取付け金具(7)が使用されることを特徴とするコンクリートポールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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