図1は、本発明の実施の一形態である基地局装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態の基地局装置1は、通信端末装置との間で、互いに異なる第1および第2の通信方式で無線通信可能な基地局装置である。本実施の形態では、第1の通信方式はLTE方式であり、第2の通信方式は3G方式、具体的にはW−CDMA方式である。通信端末装置は、たとえば、移動可能に構成される移動通信端末装置であるが、必ずしも移動可能に構成される必要はなく、固定して使用されるものであってもよい。また、移動通信端末装置が固定して使用されてもよい。
基地局装置1は、後述する図5に示すように、通信端末装置112とともに、通信システム110を構成する。通信システム110は、具体的には無線通信システムである。通信端末装置112が移動通信端末装置である場合、通信システム110は、移動体通信システムとなる。
基地局装置1は、高周波(Radio Frequency;略称:RF)部11、LTE回路部13、第1アンテナ17、第2アンテナ18および3G回路部81を備えて構成される。
RF部11は、第1送受信部21および第2送受信部22を備える。LTE回路部13は、直交周波数分割多重アクセス(Orthogonal Frequency Division Multiple Access;略称:OFDMA)部35、LTE用チャネルコーディング部36、単一波周波数分割多重アクセス(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access;略称:SC−FDMA)部37、LTE用チャネルデコーディング部38、LTE用無線パラメータ取得部39、無線リンク制御(Radio Link Control;略称:RLC)/メディアアクセス制御(Medium Access Control;略称:MAC)部40、パケットデータ収束プロトコル(Packet Data Convergence Protocol;略称:PDCP)/ユーザプレーン用汎用パケット無線サービストンネリングプロトコル(General Packet Radio Service Tunneling Protocol-User;略称:GTP−U)部41、LTE用インターネットプロトコル(Internet Protocol;略称:IP)部42、LTE用インターネットプロトコルセキュリティ(IP Security;略称:IPsec)部43、LTE用アプリケーション(application;略称:AP)部44、LTE用プラットフォーム(platform;略称:PF)部45およびネットワークパラメータ取得部46を備える。
3G回路部81は、拡散変調部50、3G用チャネルコーディング部51、逆拡散復調部52、3G用チャネルデコーディング部53、高速下り回線パケットアクセス(High Speed Downlink Packet Access;略称:HSDPA)用メディアアクセス制御(Medium Access Control-HSDPA;略称:MAC−hs)部54、エンハンストアップリンク(Enhanced Uplink;略称:EUL)用メディアアクセス制御(Medium Access Control-EUL;略称:MAC−e)部55、FP終端部56、3G用無線パラメータ取得部57、3G用IP部58、イーサネット(登録商標)経由ポイントツーポイントプロトコル(Point to Point Protocol over Ethernet(登録商標);略称:PPPoE)部60、3G用AP部61および3G用PF部62を備える。
RF部11は、無線送受信部71を構成する。無線送受信部71は、FPGAまたはASICに実装した回路およびRF部品によって構成される。
LTE回路部13のうち、OFDMA部35、LTE用チャネルコーディング部36、SC−FDMA部37、LTE用チャネルデコーディング部38、LTE用無線パラメータ取得部39、RLC/MAC部40およびPDCP/GTP−U部41は、LTE用ベースバンド部72を構成する。
LTE回路部13のうち、LTE用AP部44、LTE用PF部45およびネットワークパラメータ取得部46は、発展型基地局(Evolved Node Base Station;略称:eNB)制御部73を構成する。eNB制御部73は、LTE方式の通信システムにおける基地局であるeNBとして機能する部位を制御し、LTE機能に関する呼処理、呼処理監視、回線設定および管理、保守監視、ならびに状態管理などを行う。
3G回路部81のうち、拡散変調部50、3G用チャネルコーディング部51、逆拡散復調部52、3G用チャネルデコーディング部53、MAC−hs部54、MAC−e部55、FP終端部56および3G用無線パラメータ取得部57は、3G用ベースバンド部74を構成する。3G用ベースバンド部74は、本実施の形態では、W−CDMA用のベースバンド部として機能する。
3G回路部81のうち、3G用AP部61および3G用PF部62は、NB制御部75を構成する。NB制御部75は、3G方式の通信システムにおける基地局であるNodeB(以下「NB」という場合がある)として機能する部位を制御し、3G機能に関する呼制御、呼処理監視、回線設定および管理、保守監視、ならびに状態管理などを行う。eNB制御部73およびNB制御部75は、制御手段、送信電力決定手段、解析手段、品質情報取得手段、識別手段および検出手段として機能する。
LTE回路部13のLTE用IP部42およびLTE用IPsec部43と、3G回路部81の3G用IP部58およびPPPoE部60とは、有線側終端部76を構成する。有線側終端部76は、イーサネット(Ethernet:登録商標)およびIPの信号を終端する。また有線側終端部76は、IPsec機能、オペレーションシステム(operation system;略称:OPS)、AP、PF、装置リセット機能に対応している。
RF部11の第1送受信部21は、第1アンテナ17に接続されている。また第1送受信部21は、LTE用ベースバンド部72および3G用ベースバンド部74に接続されている。より詳細に述べると、第1送受信部21は、LTE回路部13のOFDMA部35、SC−FDMA部37およびLTE用無線パラメータ取得部39と、3G回路部81の拡散変調部50、逆拡散復調部52および3G用無線パラメータ取得部57とに接続されている。
第1送受信部21は、LTE用ベースバンド部72または3G用ベースバンド部74から与えられ、第1アンテナ17を介して送信するべきベースバンド送信信号を、無線周波数信号に変換する。第1送受信部21は、無線周波数信号を、第1アンテナ17を介して通信端末装置に送信する。また第1送受信部21は、第1アンテナ17を介して受信した受信無線周波数信号を、受信ベースバンド信号に変換する。第1送受信部21は、受信ベースバンド信号を、LTE用ベースバンド部72または3G用ベースバンド部74に与える。
RF部11の第2送受信部22は、第2アンテナ18に接続されている。また第2送受信部22は、LTE用ベースバンド部72および3G用ベースバンド部74に接続されている。より詳細に述べると、第2送受信部22は、LTE回路部13のOFDMA部35、SC−FDMA部37およびLTE用無線パラメータ取得部39と、3G回路部81の拡散変調部50、逆拡散復調部52および3G用無線パラメータ取得部57とに接続されている。
第2送受信部22は、LTE用ベースバンド部72または3G用ベースバンド部74から与えられ、第2アンテナ18を介して送信するべきベースバンド送信信号を、無線周波数信号に変換する。第2送受信部22は、無線周波数信号を、第2アンテナ18を介して通信端末装置に送信する。また第2送受信部22は、第2アンテナ18を介して受信した受信無線周波数信号を、受信ベースバンド信号に変換する。第2送受信部22は、受信ベースバンド信号を、LTE用ベースバンド部72または3G用ベースバンド部74に与える。
OFDMA部35、LTE用チャネルコーディング部36、SC−FDMA部37、LTE用チャネルデコーディング部38およびLTE用無線パラメータ取得部39は、LTE回路部13の内蔵DSPおよびL1エンジン(Engine)によって実現される。内蔵DSPとは、LTE回路部13に内蔵されたディジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)である。DSPは、ソフトウェアプログラムを搭載し、ディジタル信号処理に適した処理を実行することができる。L1エンジンとは、以下の参考文献1〜3において定義されるレイヤ1(Layer1)機能を処理するコプロセッサである。
参考文献1:3GPP TS36.211 V10.1.0
参考文献2:3GPP TS36.212 V10.1.0
参考文献3:3GPP TS36.213 V10.1.0
OFDMA部35は、OFDMAのための変調処理を行う。OFDMA部35は、主に参考文献1,3で定義された変調機能を有する。LTE用チャネルコーディング部36は、チャネル符号化、具体的には、誤り訂正符号化を行う。SC−FDMA部37は、SC−FDMAのための復調処理を行う。SC−FDMA部37は、主に参考文献1,3で定義された復調機能を有する。LTE用チャネルデコーディング部38は、受信チャネルの復号化を行う。
LTE用無線パラメータ取得部39は、第1アンテナ17および第2アンテナ18の少なくともいずれか一方のアンテナから取得し、第1送受信部21および第2送受信部22によってダウンコンバージョンした下りデータの振幅強度または電力強度を測定する。またLTE用無線パラメータ取得部39は、データを復調および復号し、報知情報などの内容を解析することによって、隣接基地局からの電界強度などの3GおよびLTE両方の周辺セルの環境情報を取得する。
RLC/MAC部40は、無線リンク制御(RLC)およびメディアアクセス制御(MAC)を行う。PDCP/GTP−U部41は、PDCP処理およびGTP−U処理を行う。
LTE用IP部42は、LTE信号に対してIP処理を行う。IP処理は、IPヘッダなどの情報を解析し、解析結果に基づいてヘッダを除去し、データを生成する処理である。LTE用IP部42は、LTE信号に対してIP処理を行って生成したデータをLTE用IPsec部43に与える。
LTE用IPsec部43は、LTE用IP部42から与えられたデータを暗号化するセキュリティ機能を有する。LTE用IPsec部43は、暗号化したデータを、3G回路部81の3G用IP部58およびPPPoE部60に与える。
LTE用AP部44は、基地局装置1のLTE側機能を制御するアプリケーション機能を有する。LTE用PF部45は、基地局装置1のLTE側機能を制御するプラットフォーム機能を有する。
ネットワークパラメータ取得部46は、基地局装置1と、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity;略称:MME)およびサービングゲートウェイ(Serving Gateway;略称:SGW)などの基地局上位装置とのインタフェースよりも上位側のネットワーク情報を取得する機能を有する。
3G回路部81のMAC−hs部54は、HSDPAを行うときに必要なレイヤ2のMACスケジューリング機能を有する。MAC−e部55は、HSUPA(EUL)を行うときに必要なレイヤ2のMACスケジューリング機能を有する。
3G回路部81のFP終端部56は、FP終端処理を行う。FP終端部56は、FP終端処理として、主に以下の参考文献4,5で定義されたFPフォーマットのフレーミングを行う機能、具体的にはFPフォーマットを作成する機能およびFPフォーマットを解除する機能を有する。3G回路部81は、たとえばFPGAまたはASICで実現される3G用大規模集積回路(Large Scale Integration;略称:LSI)である3G−LSIで構成される。
参考文献4:3GPP TS25.427 V10.0.1
参考文献5:3GPP TS25.435 V10.1.0
3G用無線パラメータ取得部57は、アンテナから取得した下りデータの振幅強度または電力強度を測定し、またデータを復調および復号し、報知情報の内容を解析することによって、隣接基地局からの電界強度などの3G方式の周辺セルの環境情報を取得する。
3G用IP部58は、レイヤ3のIPフレームデータの処理(以下「フレーミング」という場合がある)を行う機能を有する。PPPoE部60は、LTE用IPsec部43から与えられたデータに対して、PPPoEプロトコルに対応した処理を行う。PPPoE部60は、LTE側のインタフェースであるS1インタフェースを介して、MMEおよびSGWと接続される。またPPPoE部60は、3G側のインタフェースであるIubインタフェースまたはIuhインタフェースを介して、基地局制御装置(Radio Network Controller;略称:RNC)と接続される。
3G用AP部61は、基地局の3G側機能を制御するアプリケーション機能を有する。3G用PF部62は、基地局の3G側機能を制御するプラットフォーム機能を有する。
拡散変調部50は、拡散変調処理を行う。3G用チャネルコーディング部51は、チャネル符号化、具体的には誤り訂正符号化を行う。逆拡散復調部52は、逆拡散によって復調する逆拡散復調処理を行う。3G用チャネルデコーディング部53は、受信チャネルの復号化を行う。
拡散変調部50および逆拡散復調部52は、主に以下の参考文献6〜8で定義される機能を有する。3G用チャネルコーディング部51および3G用チャネルデコーティング部53は、主に以下の参考文献9で定義される機能を有する。
参考文献6:3GPP TS25.211
参考文献7:3GPP TS25.213
参考文献8:3GPP TS25.214
参考文献9:3GPP TS25.212
図1に示す基地局装置1は、3G方式、具体的にはW−CDMA方式と、LTE方式との両方に対応する共用基地局装置(以下「デュアル基地局装置」という場合がある)である。
基地局装置1において、3G方式に対応する機能を有する部位(以下「3G側機能部位」という場合がある)は、第2アンテナ18、RF部11の第2送受信部22、3G回路部81のW-CDMA方式の拡散変調部50、3G用チャネルコーディング部51、逆拡散復調部52、3G用チャネルデコーディング部53、MAC−hs部54、MAC−e部55、FP終端部56、3G用無線パラメータ取得部57、3G用IP部58、PPPoE部60、3G用AP部61および3G用PF部62を備えて構成される。3G側機能部位は、第2の通信手段に相当する。
基地局装置1において、LTE方式に対応する機能を有する部位(以下「LTE側機能部位」という場合がある)は、第1アンテナ17、RF部11の第1送受信部21、LTE回路部13のOFDMA部35、LTE用チャネルコーディング部36、SC−FDMA部37、LTE用チャネルデコーディング部38、LTE用無線パラメータ取得部39、RLC/MAC部40、PDCP/GTP−U部41、LTE用IP部42、LTE用IPsec部43、LTE用AP部44、LTE用PF部45およびネットワークパラメータ取得部46を備えて構成される。LTE側機能部位は、第1の通信手段に相当する。
図1において、各機能部位同士をつないだ線は、主にデータ信号線を示している。LTE用AP部44、LTE用PF部45、3G用AP部61および3G用PF部62は、制御すべき各機能に接続されるはずであるが、信号線の図示を省略している。ただし、3G用PF部62とLTE用PF部45とを接続する信号線は、CSフォールバックなどの3G機能とLTE機能との連携動作に関わる機能を実現するための信号線であるので、省略していない。
本実施の形態の基地局装置1におけるLTE回路部13は、演算処理に適したLTE回路部13内の内蔵DSPと、同じくLTE回路部13に実装されたL1エンジンに、OFDMA、SC−FDMA、チャネルコーディング、チャネルデコーディング、無線パラメータ取得機能などを実装することで実現することができる。L1エンジンは、具体的には、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;略称:FFT)、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform;略称:DFT)、対数尤度比(Log Likelihood Ratio;略称:LLR)、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Checksum;略称:CRC)、ターボ(Turbo)/ビタビ(Viterbi)デコーダ(decoder)などのレイヤ1機能のコプロセッサである。なお、無線パラメータ取得機能は、3GおよびLTEの両方の機能がサービス休止中にLTE回路部13で受信処理を行う。
図2は、図1に示すLTE用PF部45および3G用PF部62の構成を示すブロック図である。LTE用PF部45および3G用PF部62は、基地局装置1が通信可能な範囲である通信エリアを広げる、または狭める処理を行う。LTE用PF部45は、CSFB検知部101およびLTE用送信電力/CQI情報取得部102を備える。3G用PF部62は、送信電力決定部103、3G用CQI情報取得部104および3G用マクロセル情報取得部105を備える。
CSFB検知部101は、識別手段および検出手段に相当する。LTE用送信電力/CQI情報取得部102は、品質情報取得手段に相当する。送信電力決定部103は、送信電力決定手段および解析手段に相当する。
CSFB検知部101は、CSFBを検知する。CSFB検知部101は、通信端末装置から送出されるCSFBの開始を要求するメッセージ(以下「CSFBメッセージ」という場合がある)を検出することによって、CSFBを検知する。CSFBメッセージは、切替要求に相当する。CSFB検知部103は、CSFBを検知すると、検知したCSFBの情報を、LTE用送信電力/CQI情報取得部104に与える。
CSFB検知部101は、たとえば、通信端末装置から送信された信号を復号して得た巡回冗長検査(略称:CRC)の結果に基づいて、通信端末装置がいずれの通信方式の信号を受信しているかを識別し、その識別結果に基づいて、CSFBが行われたことを検出するように構成される。これによって、簡単な構成でCSFB検知部101を実現することができる。CSFBが行われたことを検出することは、通信端末装置から切替要求が送出されたことを検出することに相当する。CRCは、図1に示すLTE回路部13のL1エンジンにおいて行われる。
LTE用送信電力/CQI情報取得部101は、LTE通信における基地局装置1から通信端末装置への送信電力を示すLTE用送信電力情報を取得する。またLTE用送信電力/CQI情報取得部101は、LTE通信における基地局装置1から通信端末装置へのデータの伝送品質を示すチャネル品質指標(Channel Quality Indicator;略称:CQI)情報(以下「LTE用CQI情報」という場合がある)を取得する。LTE用送信電力/CQI情報取得部101は、CSFB検知部103からCSFBの情報を受け取ると、LTE用送信電力情報およびLTE用CQI情報を取得し、3G用PF部62の送信電力決定部103に通知する。
3G用PF部62の3G用マクロセル情報取得部105は、周辺のマクロセルの送信電力情報(以下「マクロセル送信電力情報」という場合がある)を取得し、送信電力決定部103に通知する。
送信電力決定部103は、LTE用送信電力/CQI情報取得部102から与えられるLTE用送信電力情報およびLTE用CQI情報と、3G用マクロセル情報取得部105から与えられるマクロセル送信電力情報とに基づいて、CSFB後における基地局装置1の3G通信での下り送信電力(以下「3G下り送信電力」という場合がある)を決定する。
送信電力決定部103は、3G方式での通信品質が、LTE方式での通信品質と等しくなるように、3G下り送信電力を決定する。送信電力決定部103は、決定した3G下り送信電力になるように、3G側機能部位、たとえば図1に示す無線送受信部71の第2送受信部22を制御する。
送信電力決定部103が、LTE用送信電力/CQI情報取得部102からLTE用CQI情報を取得する理由は、通信端末装置が基地局装置1からLTE通信でデータを受信したときの受信レベルと、通信端末装置が基地局装置1から3G通信でデータを受信したときの受信レベルとを同じレベルに合わせるためである。
すなわち、送信電力決定部103は、通信端末装置が基地局装置1からLTE通信でデータを受信したときの受信レベルと、通信端末装置が基地局装置1から3G通信でデータを受信したときの受信レベルとを同じレベルに合わせるために、LTE用送信電力/CQI情報取得部102から与えられたLTE用CQI情報と、そのLTE用CQI情報から求めた受信レベルとに基づいて送信電力を決定する。
換言すれば、LTE用送信電力/CQI情報取得部102から与えられたLTE用CQI情報と、そのLTE用CQI情報から求めた受信レベルとに基づいて送信電力を決定することによって、通信端末装置が基地局装置1からLTE通信でデータを受信したときの受信レベルと、通信端末装置が基地局装置1から3G通信でデータを受信したときの受信レベルとを同じレベルに合わせることができる。これによって、CSFBの前後において、3G方式およびLTE方式の両方式に対応するフェムトセル基地局である基地局装置1と通信端末装置との通信品質を維持することができる。
3G用CQI情報取得部104は、CSFB後、すなわちLTE通信から3G通信に切替わった後に、3G通信における基地局装置1から通信端末装置へのCQI情報(以下「3G用CQI情報」という場合がある)を取得する。3G用CQI情報取得部104は、通信端末装置が3G通信でデータを受信したときに、その伝送品質を示すCQI情報である3G用CQI情報を、通信端末装置から取得する。3G用CQI情報取得部104は、取得した3G用CQI情報を送信電力決定部103に通知する。
このように3G用CQI情報取得部104から送信電力決定部103に3G用CQI情報を通知することによって、送信電力決定部103において、LTE通信における受信レベルの大きさと、3G通信における受信レベルの大きさとを合わせる。CQIと受信レベルとは、予め対応表をテーブルなどとして送信電力決定部103に保持させておくことによって対応付けることができる。
このように送信電力決定部103は、LTE用送信電力情報が表す送信電力値と、LTE用CQI情報から得られる受信レベルの大きさとに基づいて、3G下り送信電力を決定する。
送信電力決定部103は、3G用CQI情報が得られない場合および初めて3G通信を行う場合には、3G下り送信電力を、LTE用送信電力情報が表す送信電力値と同じ値に設定する。その後、3G用CQI情報取得部104を介して、3G通信でのCQI情報が通信端末装置から得られた場合には、送信電力決定部103は、3G通信でのCQIが、LTE通信での受信レベルと同じ大きさの受信レベルが得られるレベルになるように、送信電力を上げる、または下げる制御を行う。受信レベルは、たとえば信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference plus Noise power Ratio;略称:SINR)であってもよい。
このような構成にすることによって、通信端末装置の通信方式の切替えに伴って、自基地局装置1と通信端末装置との接続が不所望に切断されることを防ぐことができる。これによって、自基地局装置1と接続されて通信していた通信端末装置が、不所望に他の基地局装置と接続されて通信してしまうことを防ぐことができる。
したがって、たとえば、通信端末装置と基地局装置1との通信の有無を在宅確認に用いている場合に、通信端末装置の通信方式の切替えに伴って通信端末装置の接続先が他の基地局装置に切替わることを防ぎ、通信端末装置の位置が変わっていないにもかかわらず、在宅から不在に変わったと認識されてしまうことを防ぐことができる。
具体的には、本実施の形態の基地局装置1では、たとえばLTE方式で通信端末装置と通信しているときに、CSFBが検出されると、3G方式での通信品質が、LTE方式での通信品質と等しくなるように3G下り送信電力が決定されて、そのような送信電力になるように制御される。これによって、3G方式およびLTE方式の両方式に対応するフェムトセル基地局である基地局装置1と通信接続していた通信端末装置が、CSFBによって他の基地局装置と通信してしまうことを防ぐことができる。
また本実施の形態では、送信電力決定部103は、LTE用送信電力/CQI情報取得部102から与えられたLTE用CQI情報と、そのLTE用CQI情報から求めた受信レベルとに基づいて送信電力を決定する。これによって、通信端末装置が基地局装置1からLTE通信でデータを受信したときの受信レベルと、通信端末装置が基地局装置1から3G通信でデータを受信したときの受信レベルとを同じレベルに合わせることができる。したがって、CSFBの前後において、3G方式およびLTE方式の両方式に対応するフェムトセル基地局である基地局装置1と通信端末装置との通信品質を維持することができる。
図3および図4は、LTE方式から3G方式にCSFBするときの通信端末装置の通信エリアとフェムトセル基地局装置の通信エリアとを説明するための図である。図3は、前述の図2に示すCSFB検知部101がCSFBを検知する前の状態を示し、図4は、CSFB検知部101がCSFBを検知した後の状態を示す。
基地局装置1が、3G方式およびLTE方式に共用される3G/LTE共用フェムトセル基地局装置(以下「フェムトセル基地局」という場合がある)であり、3Gフェムトセルエリア113およびLTEフェムトセルエリア114を有する場合を想定する。また図3に示すCSFB検知前の状態では、通信端末装置が、LTEフェムトセルエリア114内および3Gマクロセルエリア113内であって、3Gフェムトセルエリア113外に位置していることを想定する。
図3に示すように通信端末装置112が、LTEフェムトセルエリア114内および3Gマクロセルエリア115内であって、3Gフェムトセルエリア113外に位置しているときに、前述の3G用PF部62による3G下り送信電力の制御を行わずに、通信方式をLTE方式から3G方式に切替える場合を考える。この場合、通信端末装置112は、フェムトセル基地局1との通信ではなく、マクロセルとの通信になってしまう。すなわち、通信端末装置112が、通信方式をLTE方式から3G方式に切替えると、通信端末装置とフェムトセル基地局1との通信が切断されてしまう。
これに対し、本実施の形態では、フェムトセル基地局である基地局装置1は、CSFB検知部101でCSFBメッセージを認識すると、CSFBを検知したと判断し、3Gのセル半径がLTEのセル半径と同じになるように、送信電力を制御する。
具体的には、基地局装置1は、通信端末装置112がLTEフェムトセルエリア114内および3Gマクロセルエリア115内であって、3Gフェムトセルエリア113外に位置しているときに、通信方式をLTE方式から3G方式に切替えたことを認識すると、3Gフェムトセルエリア113を広げるように送信電力を大きくする制御を行う。これによって、図4に示すように3Gフェムトセルエリア113が広げられ、それまで3Gフェムトセルエリア113外に位置していた通信端末装置112が、3Gフェムトセルエリア113A内に位置するようになる。したがって、通信端末装置112は、フェムトセル基地局1との通信を継続することができる。
以上のことから、本実施の形態では、3G方式およびLTE方式の両通信方式に対応するフェムトセル基地局装置と通信接続していたユーザが、CSFBによって、他の基地局装置と通信してしまうことを防ぐことができる。また、CSFBの前後において、3G方式およびLTE方式の両通信方式に対応するフェムトセル基地局装置とユーザとの通信品質を維持することができる。
CSFB後にユーザをマクロセルと通信させたい場合には、前述の図2に示す送信電基地局装置1は、送信電力決定部103によって、速やかに3Gのセル半径が小さくなるように送信電力を制御し、通信端末装置をマクロセルにハンドオーバさせるように制御する。
図5は、基地局装置1を備える通信システム110の構成を示すブロック図である。通信システム110は、本実施の形態の基地局装置1と、基地局上位装置117と、通信端末装置(以下「UE」という場合がある)112とを備えて構成される。通信システム110は、他の基地局装置116を備えてもよい。図5では、通信システム110が他の基地局装置116を備える場合を示している。以下の説明では、基地局装置を「eNodeB」という場合がある。
前述のように本実施の形態の基地局装置1は、CSFBを認識すると、CSFB後の通信方式での通信エリアを大きくするように送信電力を制御する。これによって、UE112の通信方式の切替えに伴って、通信中の基地局装置1とUE112との接続が不所望に切断されることを防ぐことができる。したがって、基地局装置1と接続されて通信していたUE112が、CSFBで、不所望に他の基地局装置116と接続されて通信してしまうことを防ぐことができる。
本実施の形態では、基地局装置1は、自装置の判断に基づいて、送信電力を制御するように構成される。これに限定されず、本発明の他の実施の形態では、基地局装置1は、MMEなどのコアネットワーク側の基地局上位装置117の指示に基づいて、送信電力を制御するように構成されてもよい。
この場合、基地局上位装置117は、検出手段および指示手段を備え、検出手段によって通信端末装置によるCSFBを認識すると、CSFB後の通信方式における基地局装置1の通信エリアを広げるように送信電力を大きくするように、指示手段によって基地局装置1に指示する。基地局装置1は、基地局上位装置117の指示に基づいて、前述の図2に示す送信電力決定部103によって、送信電力を制御する。このように基地局上位装置117の指示に基づいて、基地局装置1における制御が行われる場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以下に、本実施の形態の基地局装置1における送信電力制御について、さらに具体的に説明する。
図6は、着呼の手順を示すシーケンス図である。ステップS11において、G−MSC(Gateway Mobile-services Switching Center)に、初期アドレスメッセージ(Initial Address Message;略称:IAM)が通知される。
ステップS11においてIAMが通知されると、G−MSCは、ステップS12において、ホーム加入者サーバ(Home Subscriber Server;略称:HSS)および移動交換局/在圏網加入者管理レジスタ(Mobile-services Switching Center/Visitor Location Register;略称:MSC/VLR)とともに、SRIプロシージャ(Send Routing Information procedure)を行う。SRIプロシージャは、通信端末装置の場所を問う検索に関する手続である。SRIプロシージャは、3GPP TS23.018に規定される。
ステップS13において、G−MSCは、HSSを経由してMSC/VLRに、IAMを送信する。IAMを送信することは、3G方式で呼び出すことに相当する。G−MSCから送信されたIAMを受信したMSC/VLRは、ステップS14において、無線ネットワーク制御装置/基地局制御装置(Radio Network Controller/Base Station Controller;略称:RNC/BSC)を経由してMMEに、ページングリクエスト(Paging Request)メッセージを送信する。
MSC/VLRから送信されたページングリクエストメッセージを受信したMMEは、ステップS15において、eNodeBにページングメッセージを送信する。ステップS15においてeNodeBに送信されるページングメッセージには、コアネットワークドメインインジケータ(Core Network Domain Indicator)が含まれる。
MMEから送信されたページングメッセージを受信したeNodeBは、ステップS16において、通信端末装置(User Equipment;略称:UE)にページングメッセージを送信する。ステップS16においてUEに送信されるページングメッセージには、コアネットワークドメインインジケータが含まれる。
eNodeBから送信されたページングメッセージを受信したUEは、ステップS17において、eNodeBおよびMMEに拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)メッセージを送信する。ステップS17においてeNodeBおよびMMEに送信される拡張サービスリクエストには、CSフォールバックインジケータ(CS Fallback Indicator)が含まれる。
また拡張サービスリクエストは、通信端末装置がアイドルモード(Idle Mode)であったことを示すインジケータ(Indicator)を含む。発呼側が長時間の無音状態となる可能性を回避するために、通信端末装置がアイドルモードであったことを示すインジケータを用いる。発呼側は、長時間待たされることが想定されている。
通信端末装置(UE)から送信された拡張サービスリクエストメッセージを受信したMMEは、ステップS18において、RNC/BSCを経由してMSC/VLRに、拡張サービスリクエスト(Service Request)メッセージを送信する。この拡張サービスリクエストの受信によって、MSCのSGsインタフェースを介したページングメッセージの再送が止められる。
また、UEから送信された拡張サービスリクエストメッセージを受信したMMEは、ステップS19において、eNodeBに、初期UEコンテキストセットアップ(Initial UE Context Setup)メッセージを送信する。初期UEコンテキストセットアップメッセージには、CSフォールバックインジケータが含まれる。
図7は、アタッチの手順を示すシーケンス図である。ステップS21において、UEは、MMEにアタッチリクエスト(Attach Request)メッセージを送信する。アタッチリクエストメッセージには、結合EPS/IMSI(Evolved Packet System/International Mobile Subscriber Identity)アタッチメッセージ、およびCSFBの通信端末装置の能力(UE Capability)が含まれている。
ステップS22において、UE、MME、MSC/VLRおよびHSSは、第1のアタッチプロシージャ(Attach Procedure(1))を行う。第1のアタッチプロシージャとしては、具体的には、接続されるMMEが変更される場合の新たなMMEと以前のMMEとの間の識別要求および応答、新たなMMEにUEが認識されていない場合のMMEとUEとの間の認証要求および応答、UE、MMEおよびHSSの間の認証および安全確保、暗号化要求および応答、セッションの消去要求および応答、位置の更新、ならびにセッションの生成要求および応答などが行われる。第1のアタッチプロシージャは、3GPP TS23.401に規定されるアタッチプロシージャのステップ3〜ステップ16に相当する。
ステップS23において、MMEは、VLR番号を取得する。ステップS24において、MMEは、MSC/VLRに、ロケーションアップデートリクエスト(Location Update Request)メッセージを送信する。
ステップS25において、MSC/VLRは、SGs associationを生成する。ステップS26において、MSC/VLRおよびHSSは、CSドメインにおけるロケーションアップデート(Location Update)を行う。
ステップS27において、MSC/VLRは、MMEに、ロケーションアップデートアクセプト(Location Update Accept)メッセージを送信する。
ステップS28において、UE、MME、MSC/VLRおよびHSSは、第2のアタッチプロシージャ(Attach Procedure(2))を行う。第2のアタッチプロシージャとしては、具体的には、初期設定要求、アタッチアクセプトメッセージの送信、RRC接続の確立、ベアラの修正要求および応答などが行われる。第2のアタッチプロシージャは、3GPP TS23.401に規定されるアタッチプロシージャのステップ17〜ステップ26に相当する。
図8は、結合したトラッキングエリア(TA)およびローカルエリア(LA)のアップデートの手順を示すシーケンス図である。図8では、LTE側、すなわちTA側がアップデートされた場合のシーケンスを示す。
ステップS31において、UEは、トラッキングエリアを更新するトラッキングエリアアップデート(Tracking Area Update;略称:TAU)を実行することを決定する。ステップS32において、UEは、新たに接続されるMME(new MME)に、TAUリクエスト(TAU Request)メッセージを送信する。以下の説明において、新たに接続されるMMEを「新たなMME」という場合がある。
ステップS33において、UE、新たなMME、以前に接続されていたMME(old MME)、MSC/VLRおよびHSSは、TAUプロシージャ(TAU procedure)を行う。TAUプロシージャは、3GPP TS23.401に規定される。以下の説明において、以前に接続されていたMMEを「以前のMME」という場合がある。
ステップS34において、新たなMMEは、以前のMMEを経由してMSC/VLRに、ロケーションアップデートリクエスト(Location Update Request)メッセージを送信する。
ステップS35において、MSC/VLRおよびHSSは、CSドメインにおけるロケーションアップデート(Location Update)を行う。
ステップS36において、MSC/VLRは、以前のMMEを経由して新たなMMEに、ロケーションアップデートアクセプト(Location Update Accept)メッセージを送信する。
MSC/VLRから送信されたロケーションアップデートアクセプトメッセージを受信した、新たなMMEは、ステップS37において、UEに、TAUアクセプト(TAU Accept)メッセージを送信する。
新たなMMEから送信されたTAUアクセプトメッセージを受信したUEは、ステップS38において、新たなMMEに、TAUコンプリート(TAU Complete)メッセージを送信する。
図9は、発呼の手順を示すシーケンス図である。ステップS41において、UE/MS(Mobile Station)は、eNodeBを経由してMMEに、拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)メッセージを送信する。
UE/MSから送信された拡張サービスリクエストメッセージを受信したMMEは、ステップS42において、eNodeBに、CSFBインジケータを含むS1−AP(S1-Application Protocol)リクエストメッセージ(Request message)を送信する。
S1−APリクエストメッセージを受信したeNodeBは、ステップS43において、MMEに、S1−APレスポンスメッセージ(Response message)を送信する。
ステップS44において、UE/MS、eNodeB、および基地局サブシステム/無線ネットワークサブシステム(Base Station Subsystem/Radio Network Subsystem;略称:BSS/RNS)は、任意の測定報告(Optional Measurement Report Solicitation)を行う。
ステップS45において、UE/MS、eNodeB、BSS/RNS、MME、MSC、およびパケットアクセス制御ノード(Serving GPRS Support Node;略称:SGSN)は、LTEから3GへのPS(Packet Switch)ドメインのハンドオーバ(以下「PS HO」という場合がある)処理を行う。ステップS45のPS HO処理は、PS HOの準備段階および実行開始段階に相当する。ステップS45のPS HO処理は、3GPP TS23.401に規定される。
ステップS46において、UE/MSは、SGSNに対して、一時停止(Suspend)メッセージを送信する。
一時停止(Suspend)メッセージを受信したSGSNは、ステップS47において、サービングゲートウェイ(Serving GW)およびパケットデータネットワークゲートウェイ/パケットゲートウェイノード(Packet Data Network Gateway/Gateway General packet ratio service Support Node;略称:P−GW/GGSN)に、アップデートベアラ(Update Bearer(s))を送信する。
ステップS48において、UE/MS、eNodeB、BSS/RNS、MMEおよびMSCは、ロケーションエリアアップデート(Location Area Update)または結合ルーティングエリア/ロケーションエリア(Combined Routing Area/Location Area;略称:RA/LA)アップデート(Update)を行う。
ステップS49において、UE/MSは、eNodeBを経由してBSS/RNSに、コネクション管理(Connection Management;略称:CM)サービスリクエスト(Service Request)メッセージを送信する。
UE/MSからCMサービスリクエストメッセージを受信したBSS/RNSは、ステップS50において、MMEを経由してMSCに、CMサービスリクエスト(CM Service Request)メッセージを含むA/lu−csメッセージ(A/lu-cs message)を送信する。
MSCが変化した場合は、次のステップS51の処理を行う。ステップS51の処理は、ステップS52およびステップS53の各処理を含む。
ステップS52において、MSCは、MMEを経由してBSS/RNSに、CMサービスリジェクト(CM Service Reject)メッセージを送信するとともに、BSS/RNSおよびeNodeBを経由してUE/MSに、CMサービスリジェクト(CM Service Reject)メッセージを送信する。
ステップS53において、UE/MS、eNodeB、BSS/RNS、MMEおよびMSCは、ロケーションエリアアップデート(Location Area Update)または結合RA/LAアップデート(Combined RA/LA Update)を行う。
ステップS54において、UE/MS、eNodeB、BSS/RNS、MMEおよびMSCは、CS呼出し設定プロシージャ(CS call establishment procedure)を行う。
ステップS55において、UE/MS、eNodeB、BSS/RNS、MME、MSC、SGSNおよびサービングゲートウェイは、PS HOを行う。ステップS55のPS HO処理は、PS HOの実行継続段階に相当する。ステップS55のPS HO処理は、3GPP TS23.401に規定される。
拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)は、図6および図9のシーケンスにおいて、通信端末(UE)が基地局装置(eNB)を経由してMMEに送るCSフォールバックインジケータ(CS Fallback Indicator)である。CSフォールバックインジケータは、CSフォールバック(CS Fallback)を実行するためにMMEへ示すものである。
通信端末は、結合EPS/IMSIアタッチメッセージによってCSドメインにアタッチされており、かつIMSヴォイス(IMS voice)のセッションを介して通話ができない場合にのみ、CSフォールバックインジケータをMMEに送信する。たとえば、通信端末が、登録されたIMSでない、またはIP−CANサービスによって、家庭用公衆移動通信網(home Public Land Mobile Network;略称:home PLMN)で、IMSボイスサービスがサポートされない場合に、通信端末は、CSフォールバックインジケータをMMEに送信する。
前述の図6および図9に示すシーケンスは、3GPP TS23.272、23.018、23.401などによって定義されている。このシーケンスによれば、拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)のメッセージは、基地局装置(eNodeB)を経由してMMEへ送信される。したがって基地局装置は、基地局装置内で、拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)メッセージを解析する処理を行うことによって、通信端末が拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)をMMEに送信したことを知ることができる。
基地局装置1は、具体的には、前述の図2に示すLTE用PF部45のCSFB検知部101において、通信端末(UE)が拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)をMMEに送信したことを知ることができる。それによって、基地局装置1は、CSFBが行われようとしているか否かの判断を行うことができる。
図7に示すアタッチシーケンス、および図8に示す結合TA/LAアップデート(Update)手順では、拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)が存在しない。この場合、基地局装置1は、発呼または着呼シーケンスが進むのを待ってから、そこで発行される拡張サービスリクエスト(Extended Service Request)を元に、CSフォールバック(CS Fallback)を識別してもよいし、アタッチシーケンス、または結合したTA/LAアップデート手順の情報を用いて識別してもよい。
「アタッチシーケンスの情報を用いる」とは、たとえば、図7のステップS21のアタッチリクエスト(Attach Request)に含まれるアタッチタイプ(Attach Type)の情報を用いるなどである。アタッチタイプ(Attach Type)の情報は、通信端末が、ショートメッセージサービス(Short Message Service;略称:SMS)専用なのか、CSフォールバックを使用可能なのかをMMEに指示できる情報である。
以上のように本実施の形態では、基地局装置1は、前述の図2に示すように、LTE用PF部45に、CSFB検知部101およびLTE用送信電力/CQI情報取得部102を備え、3G用PF部62に、送信電力決定部103、3G用CQI情報取得部104および3G用マクロセル情報取得部105を備えるように構成される。基地局装置1は、これに限定されず、前述の図1に示すLTE用AP部44に、CSFB検知部101およびLTE用送信電力/CQI情報取得部102を備え、3G用AP部61に、送信電力決定部103、3G用CQI情報取得部104および3G用マクロセル情報取得部105を備えるように構成されてもよい。
本実施の形態の基地局装置1は、後述する図11に示すように、通信端末装置131〜132とともに、通信システム130を構成する。通信システム130は、具体的には無線通信システムである。通信端末装置131〜132が移動通信端末装置である場合、通信システム130は、移動体通信システムとなる。
図10は、LTE用PF部45の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、LTE用PF部45は、自基地局通信維持制御部126を備える。自基地局通信維持制御部126は、判断手段に相当する。自基地局通信維持制御部126は、特別サービス利用端末識別部124および接続先決定部125を備える。
特別サービス利用端末識別部124は、現在LTE方式で通信接続中の通信端末が、通信方式が切替わっても、同一の基地局装置、すなわち自基地局装置1と通信し続けることが望ましいサービスを利用中であるか否かを判別する。通信方式が切替わっても、同一の基地局装置と通信し続けることが望ましいサービスとは、自基地局装置1に特有のサービスをいい、このサービスを以下の説明では「特別サービス」という場合がある。特別サービス利用端末識別部124は、通信接続中の通信端末が特別サービスを利用中であるか否かの判別結果を接続先決定部125に与える。
接続先決定部125は、LTE側機能部位で同時に通信可能な通信端末の数が、3G側機能部位で同時に通信可能な通信端末の数を超える場合、予め定める維持条件を満足する通信端末との通信中の通信を維持すると判断し、維持条件を満足しない通信端末との通信中の通信を維持しないと判断する。前述の通信端末が特別サービスを利用していることは、維持条件に相当する。
具体的には、接続先決定部125は、特別サービス利用端末識別部124から与えられた判別結果に基づいて、通信端末が特別サービスを利用中であると判断した場合、通信方式がLTE方式から3G方式に切替わっても、自基地局装置1と通信端末との通信中の通信を維持すると判断し、そのように3G側機能部位を制御する。また接続先決定部125は、特別サービス利用端末識別部124から与えられた判別結果に基づいて、通信端末が特別サービスを利用中でないと判断した場合、通信方式がLTE方式から3G方式に切替わったときに、自基地局装置1と通信端末との通信中の通信を維持しないと判断し、通信端末に対する送信信号の電力を下げ、通信端末を隣接する他の基地局にハンドオーバさせるなどの制御を行う。
本実施の形態における3G用PF部62は、図10に示すLTE用PF部45と同様に構成される。すなわち、3G用PF部62は、特別サービス利用端末識別部124および接続先決定部125を備える。3G用PF部62の特別サービス利用端末識別部124は、現在3G方式で通信接続中の通信端末が、通信方式が切替わっても、自基地局装置1と通信し続けることが望ましい特別サービスを利用中であるか否かを判別し、判別結果を接続先決定部125に与える。
3G用PF部62の接続先決定部125は、特別サービス利用端末識別部124から与えられた判別結果に基づいて、通信端末が特別サービスを利用中であると判断した場合、通信方式が3G方式からLTE方式に切替わっても、自基地局装置1と通信し続けるように制御する。
以下に、本実施の形態の基地局装置1における通信方式の切替え制御について、さらに具体的に説明する。図11は、基地局装置1を備える通信システム130の構成を示すブロック図である。通信システム130は、本実施の形態の基地局装置1と、3つのUE131,132,133と、基地局上位装置134と、他の基地局装置135とを備えて構成される。以下の説明では、基地局装置を「eNodeB」という場合がある。
図12および図13は、通信システムにおける基地局装置とUEとの接続状況を説明するための図である。図12は、自基地局通信維持制御部126を備える本実施の形態における基地局装置1の場合を示し、図13は、自基地局通信維持制御部126を備えない基地局装置140の場合を示す。
図12に示すように、本実施の形態における基地局装置1は、複数の通信方式、具体的には2つの通信方式に共用される基地局装置(以下「複数方式共用基地局」という場合がある)である。以下の説明では、2つの通信方式を、「第1方式」および「第2方式」という場合がある。2つの通信方式は、LTE方式および3G方式である。本実施の形態では、第1方式がLTE方式であり、第2方式が3G方式である場合を説明する。
本実施の形態の基地局装置1は、第1方式機能部141と、第2方式機能部142と、前述の図10に示す自基地局通信維持制御部126とを備える。第1方式機能部141は、第1方式に対応する機能を有する部位である。第2方式機能部142は、第2方式に対応する機能を有する部位である。本実施の形態では、前述の図1に示す基地局装置1の構成のうち、LTE側機能部位が第1方式機能部141に相当し、3G側機能部位が第2方式機能部142に相当する。
本実施の形態では、基地局装置1は、通信方式が変わっても、ユーザが引き続き自基地局装置1で通信し続ける必要があるかどうかを判断し、必要があるものを優先して自基地局装置1に割り当てる制御を行う。また基地局装置1は、通信方式が変わっても、ユーザが通信中の基地局装置1との通信を続けなければならない制約、たとえば条件および設定などがある場合、そのような制約がある通信端末からの通信方式の切替要求は許容し、そのような制約がない通信端末からの通信方式の切替要求を拒絶する制御を行う。また基地局装置1は、第1方式と第2方式とで、より伝送速度が高い方へ通信方式を変更する制御を行う。
たとえば図12および図13において、他の基地局装置135が単一の通信方式のみに対応する単一方式基地局であり、第1UE131、第2UE132および第3UE133の3つのUEが、複数方式共用基地局1,140と全て第2方式で通信中であるとする。この状態から、第1UE131が第1方式への移行を要求し、次に第2UE132が第1方式への移行を要求し、最後に第3UE133が第1方式への移行を要求する場合を考える。各複数方式共用基地局1,140において、第1方式で対応できるユーザ数、すなわち第1方式で同時に通信可能な通信端末の数は「2」であるとする。
図13に示すように、自基地局通信維持制御部126を備えない基地局装置140では、第1方式で対応できるユーザ数は「2」であるので、最後に第1方式に移行を要求した第3UE133は、基地局140との通信中の通信を維持できず、他の基地局135と第1方式の通信を行うようにハンドオーバを行う。
これに対し、本実施の形態の基地局装置1は、図12に示すように、自基地局通信維持制御部126を備える。基地局装置1は、自基地局装置1に特有のサービスを利用している第3UE133のみについて、自基地局装置1との通信中の通信を維持すると判断し、自基地局装置1での第1方式の通信に切替える。そして基地局装置1は、自基地局装置1に特有のサービスを利用していない第1および第2UE131,132については、自基地局装置1との通信中の通信を維持しないと判断し、他の基地局装置135と第1方式で通信するようにハンドオーバを実行するように第1および第2UE131,132に指示する。
このように本実施の形態によれば、基地局装置1は、自基地局装置1に特有のサービスを利用している第3UE133については、自基地局装置1との通信中の通信を維持すると判断し、自基地局装置1での第1方式の通信に切替える。これによって、基地局装置1は、自基地局装置に特有のサービスを利用しているUEとは、通信方式が変わっても通信中の通信を維持することができる。したがって、通信方式が変わっても、UEに対する特別サービスを維持することができる。
また本実施の形態の基地局装置1では、通信方式毎に対応可能なユーザ数が異なる場合、維持条件を満足するUEとの通信中の通信は維持すると判断され、維持条件を満足しないUEとの通信中の通信は維持しないと判断される。たとえば、基地局装置1は、UEが自基地局装置1に特有のサービスを利用している場合には、自基地局装置1との通信中の通信を維持すると判断し、UEが自基地局装置1に特有のサービスを利用していない場合には、自基地局装置1との通信中の通信を維持しないと判断する。
これによって、自基地局装置1に特有のサービスを利用しているUEについては、通信方式が変わっても、自基地局装置1との通信中の通信を維持することができる。したがって、CSFBによって自基地局装置1に特有のサービスが無効になることを防ぐことができる。
また本実施の形態では、基地局装置1は、第1方式と第2方式とで、より伝送速度が高い方へ通信方式を変更する制御を行う。したがって、ユーザが通信できる伝送速度を最適な状態に保持することができるので、UEのユーザに対して、最適なサービスを供給することができる。
以上に述べた本実施の形態では、基地局装置1は、自装置の判断に基づいて、切替え制御を行うように構成される。これに限定されず、本発明の他の実施の形態では、基地局装置1は、MMEなどのコアネットワーク側の基地局上位装置134からの指示に基づいて、切替え制御を行うように構成されてもよい。
この場合、基地局上位装置134は、通信方式が変わっても、ユーザが引き続き同じ基地局装置1で通信し続ける必要があるかどうかを判断し、必要があるものを優先して同じ基地局装置1に割り当てる制御を行う。また基地局上位装置134は、通信方式が変わっても、ユーザが通信中の基地局装置1との通信を続けなければならない制約、たとえば条件および設定などがある場合、通信方式変更要求を拒絶する制御を行う。また基地局上位装置134は、第1方式と第2方式とで、より伝送速度が高い方へ通信方式を変更する制御を行う。
以上のように本実施の形態では、基地局装置1は、前述の図10に示すように、LTE用PF部45および3G用PF部62に、自基地局通信維持制御部126を備えるように構成される。基地局装置1は、これに限定されず、前述の図1に示すLTE用AP部44および3G用AP部61に、自基地局通信維持制御部126を備えるように構成されてもよい。
以上の実施の形態では、LTE方式から3G方式へのCSFBについて述べているので、LTE側機能部位が第1の通信手段に相当し、3G側機能部位が第2の通信手段に相当するが、LTE側機能部位が第2の通信手段に相当し、3G側機能部位が第1の通信手段に相当するように構成してもよい。この場合、LTE方式が第2の通信方式に相当し、3G方式が第1の通信方式に相当する。