以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図2は、図1の位置検知装置の動作を示すタイミングチャートである。図1において、本実施の形態に係る位置検知装置は、移動機1と、検知制御装置2と、検知装置11及び12と、無線受信装置3とを備えて構成される。また、検知装置11はアンテナ11aと無線送信回路21とを備えて構成され、検知装置12はアンテナ12aと無線送信回路22とを備えて構成される。さらに、移動機1はアンテナ1aを備えて構成され、無線受信装置3はアンテナ3aと無線受信回路4とを備えて構成される。
図1において、本実施の形態に係る位置検知装置は、自動ドア又はゲートなどの扉300で区切られる2つの区画201,202間の人又は物品の出入の管理を行う入退室管理システムに用いられる。図1において、移動機1は、例えば、入退室管理される人又は物品に付与されたRFIDタグである。また、室内である区画201と室外である区画202との間の移動機1の往来経路を1つに制限するために、区画201と区画202とを区切る壁などの構造物301に対して、自動ドア又はゲートなどの扉300が設けられている。また、区画201と202との間の移動機1の移動を検知するために、検知装置11は区画201内の扉300の近傍に設置される一方、検知装置12は区画202内の扉300の近傍に設置される。より具体的には、扉300を横切る移動機1を確実に検知するために、アンテナ11a及びアンテナ12aは、アンテナ11aからの電波の到達範囲(以下、検知装置11の検知領域110という。)及びアンテナ12aからの電波の到達範囲(以下、検知装置12の検知領域120という。)が扉300を含むように設置される。なお、一般に、検知領域110及び120は、区画201及び202内の構造物及び空気中の成分などの電波伝搬経路の周辺の環境の影響を受けて変化するが、図1では模式的に円で示している。また、図1に示すように、検知領域110及び120はともに扉300を含むので、検知領域110と120とは扉300を含むエリアCにおいて重複する。以下、検知領域110からエリアCを除いた領域をエリアAといい、検知領域120からエリアCを除いた領域をエリアBという。また、図1において、アンテナ3aは、移動機1が検知領域110及び120のうちの何れに存在する場合でも、移動機1のアンテナ1aからの電波を受信できる位置に設置される。
図1において、検知制御装置2は、詳細後述するように、検知信号D11及び位置判別信号L11を無線送信するように、検知装置11の無線送信回路21を制御する一方、検知信号D12及び位置判別信号L12を無線送信するように、検知装置12の無線送信回路12を制御する。無線送信回路21は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D11及び位置判別信号L11に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ11aを用いて無線送信する。また、無線送信回路22は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D12及び位置判別信号L12に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ12aを用いて無線送信する。なお、無線送信回路21及び22で用いられる搬送波の周波数は互いに同一であるように、例えば130kHzに設定される。
また、図1において、移動機1はアンテナ1aを用いて半二重通信方式で通信を行う。詳細後述するように、移動機1は、検知領域110内に存在するとき、検知装置11からの検知信号D11に応答して応答信号R11を含む無線信号を無線送信する一方、検知領域120内に存在するとき、検知装置12からの検知信号D12に応答して応答信号R12を含む無線信号を無線送信する。また、無線受信回路4は、アンテナ3aを用いて無線受信した無線信号を応答信号R11及びR12に復調して検知制御装置2に出力する。さらに、検知制御装置2は、応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号L11,L12の組合せに基づいて移動機1の存在エリアを検知し、検知された存在エリアを表すエリア信号S2を出力する。
次に、図2を参照して、検知制御装置2による検知装置11及び12の制御方法を説明する。図2に示すように、検知制御装置2は、検知信号D11及びD12を交互に無線送信するように検知装置11及び12を制御する。さらに、検知制御装置2は、検知信号D11に続いて位置判別信号L11を無線送信するように検知装置11を制御した後、位置判別信号L11に続いて位置判別信号L12を無線送信するように検知装置12を制御する。またさらに、検知制御装置2は、検知信号D12に続いて位置判別信号L12を無線送信するように検知装置12を制御した後、位置判別信号L12に続いて位置判別信号L11を無線送信するように、検知装置11を制御する。これにより、検知信号D11に続いて、位置判別信号L11及びL12が無線送信され、検知信号D12に続いて、位置判別信号L12及び位置判別信号L11が無線送信される。
なお、図2において、検知信号D11及びD12は、例えば通信開始を移動機1に通知するためのスタートビット、直前の通信状況を表すデータ、通信に用いる暗号鍵のデータ、通信内容を確認するためのパリティ、及びCRC(Cyclic Redundancy Check)などのチェック情報などの移動機1との通信に必要な情報を含み、数十バイト以上のサイズを有する。一方、位置判別信号L11及びL12は、それぞれ位置判別信号L11及びL12の送信元の検知装置11及び12を識別するための所定のデータを含み、検知信号D11及びD12のサイズよりも十分に小さい例えば数ビットのサイズを有する。従って、検知信号D11に続いて位置判別信号L11を送信する場合の通信時間は、検知信号D11のみを送信する場合の通信時間と実質的に同一である。同様に、検知信号D12に続いて位置判別信号L12を送信する場合の通信時間は、検知信号D12のみを送信する場合の通信時間と実質的に同一である。
図2において、移動機1は、検知信号D11及び位置判別信号L11を受信すると、所定の待機時間だけ位置判別信号L12を待機する。そして、位置判別信号L12を受信した場合は、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L11及びL12とを含む応答信号R11を送信する一方、位置判別信号L12を受信しなかった場合は、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L11とを含む応答信号R11を送信する。また、移動機1は、検知信号D12及び位置判別信号L12を受信すると、所定の待機時間だけ位置判別信号L11を待機する。そして、位置判別信号L11を受信した場合は、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L12及びL11とを含む応答信号R12を送信する一方、位置判別信号L11を受信しなかった場合は、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L12とを含む応答信号R12を送信する。なお、上述した待機時間は、位置判別信号L11及びL12の送信時間より長くかつ次の検知信号D11又はD12を受信するまでの時間より短いように設定される。また、データE11は、例えば検知信号D11の送信元の検知装置11を識別するための所定のデータを含み、データE12は、例えば検知信号D12の送信元の検知装置12を識別するための所定のデータを含む。
図2において、移動機1がエリアA内に存在する場合、エリアAは検知領域110内でありかつ検知領域120外であるため、移動機1は検知装置11からの検知信号D11及び位置判別信号L11を受信できるが、検知装置12からの検知信号D12及び位置判別信号L12を受信できない。従って、図2に示すように、移動機1は、エリアA内に存在するとき、検知信号D11に応答して、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L11とを含み、位置判別信号L12を含まない応答信号R11を無線送信する。
また、図2において、移動機1がエリアB内に存在する場合、エリアBは検知領域110外でありかつ検知領域120内であるため、移動機1は検知装置11からの検知信号D11及び位置判別信号L11を受信できないが、検知装置12からの検知信号D12及び位置判別信号L12を受信できる。従って、図2に示すように、移動機1は、エリアB内に存在するとき、検知信号D12に応答して、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L12とを含み、位置判別信号L11を含まない応答信号R12を無線送信する。
さらに、図2において、移動機1がエリアC内に存在する場合、エリアCは検知領域110内でありかつ検知領域120内であるため、移動機1は、検知装置11からの検知信号D11及び位置判別信号L11と、検知装置12からの検知信号D12及び位置判別信号L12とを受信できる。従って、図2に示すように、移動機1は、エリアC内に存在するとき、検知信号D11に応答して、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L11及びL12とを含む応答信号R11を無線送信する。また、検知信号D12に応答して、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L11及びL12とを含む応答信号R12を無線送信する。
従って、応答信号R11は、検知信号D11に続く位置判別信号L11及びL12をそれぞれ移動機1が受信したか否かを表し、応答信号R12は、検知信号D12に続く位置判別信号L12及びL11を移動機1がそれぞれ受信したか否かを表す。具体的には、応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号の組合せは、移動機1の存在エリアに応じて変化する。検知制御装置2は、無線受信装置3により受信された応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号の組合せに基づいて、移動機1がエリアA,B及びCのうちのどのエリアに存在するのかを検知し、検知された存在エリアを表すエリア信号S2を出力する。
本実施の形態によれば、検知制御装置2は、1つの応答信号R11又はR12に基づいて移動機1の位置を検知できる。例えば、図2において、検知制御装置2が移動機1の位置を検知するために必要な最短の検知時間Tdは、検知信号D11又はD12の送信開始タイミングから当該検知信号D11又はD12に対する応答信号R11又はR12の送信終了タイミングまでの時間である。また、移動機1の位置を特定するために必要な全ての信号を移動機1において受信するために必要な最長の時間(以下、位置特定時間Tcという。)は、検知信号D11又はD12の送信開始タイミングから、位置判別信号L11及びL12の送信終了タイミングまでの時間である。ここで、例えば、検知信号D11及びD12の送信に用いられる搬送波周波数が130kHzでありかつ検知信号D11及びD12のサイズが数10バイトであるとき、検知信号D11及びD12の送信時間は約100ミリ秒である。このとき、2つの位置判別信号L11及びL12の送信時間が5ミリ秒であり、2つの位置判別信号L11及びL12の送信終了タイミングから応答信号R11又はR12の送信終了タイミングまでの時間が100ミリ秒である場合、検知時間Tdは約205ミリ秒であり、位置特定時間Tcは105ミリ秒である。このため、例えば、移動機1の移動速度が人の移動速度と同程度の1m/秒であるとき、位置特定時間Tcの間に移動機1は約10cmしか移動しない。
図3は、図1の位置検知装置の比較例に係る動作を示すタイミングチャートである。図3において、検知信号D11及びD12は図2と同様に送信されるが、位置判別信号L11及びL12は送信されない。また、応答信号R11は、検知信号D11を受信したことを示すデータE11を含み、応答信号R12は、検知信号D12を受信したことを示すデータE12を含む。比較例において、検知制御装置2は、応答信号R11とR12とを続けて受信したときに、移動機1がエリアC内に存在すると判断する。このため、検知制御装置2が移動機1の位置を検知するために必要な最短の検知時間Tdは、検知信号D11又はD12のうちの一方の送信開始タイミングから検知信号D11又はD12のうちの他方に対する応答信号R11又はR12の送信終了タイミングまでの時間である。また、上述した位置特定時間Tcは、検知信号D11の送信開始タイミングから検知信号D12の送信終了タイミングまでの時間である。図3に示すように、比較例において、位置特定時間Tcは、応答信号R11又はR12を含む。ここで、例えば、検知信号D11及びD12の送信に用いられる搬送波周波数が130kHzでありかつ検知信号D11及びD12のサイズが数10バイトであるとき、検知信号D11及びD12の送信時間は約100ミリ秒である。このとき、検知信号D11又はD12の送信終了タイミングから応答信号R11又はR12の送信終了タイミングまでの時間が100ミリ秒である場合、検知時間Tdは、(100ミリ秒+100ミリ秒)×2=400ミリ秒以上になり、位置特定時間Tcは100ミリ秒+100ミリ秒+100ミリ秒=300ミリ秒以上になる。このため、例えば、移動機1の移動速度が人の移動速度と同程度の1m/秒であるとき、300ミリ秒の間に移動機1は30cm移動するので、位置特定時間Tcの間に約一人分の位置推定誤差が生じてしまう。すなわち、本実施の形態によれば、位置特定時間Tcは、応答信号R11及びR12を含まない(図2参照。)ので、比較例に比較して、高い精度で移動機1の位置を検知できることがわかる。また、本実施の形態によれば、移動機1が検知信号D11又はD12を受信後、応答信号R11又はR12を送信するまでの期間が長くなっても位置特定時間Tcは変化せず、比較例に比較して、高い精度で移動機1の位置を検知できる。
また、図2の比較例に係る動作の場合、移動機1が第1の移動パターンのように、エリアCを比較的ゆっくりと通過したときは、無線受信装置3は移動機1がエリアC内にある間に応答信号R11及びR12を受信できるので、移動機1がエリアCにあることを検知できる。しかしながら、移動機1が第2又は第3の移動パターンのように、エリアCを比較的速く通過した場合は、無線受信装置3は移動機1がエリアC内にある間に応答信号R11及びR12の両方を受信できないので、移動機1がエリアCにあっても、エリアA又はBにあると誤検知してしまう。これに対して、本実施の形態によれば、移動機1の移動速度に関わらず、従来技術に比較して正確に移動機1の位置を検知できる。
以上説明したように、本実施の形態に係る位置検知装置は、
(1)検知信号D11と位置判別信号L11とを、検知領域110に無線送信する検知装置11と、
(2)検知信号D12と位置判別信号L12とを、検知領域120に無線送信する検知装置12と、
(3)検知信号D11及びD12を交互に送信し、かつ検知信号D11に続いて位置判別信号L11及びL12を順次送信し、検知信号D12に続いて位置判別信号L12及びL11を順次送信するように、検知装置11及び12を制御する検知制御装置2と、
(4)検知信号D11を受信すると、当該受信した検知信号D11に続く位置判別信号L11及びL12をそれぞれ受信したか否かを表す応答信号R11を無線送信し、検知信号D12を受信すると、当該受信した検知信号D12に続く位置判別信号L12及びL11をそれぞれ受信したか否かを表す応答信号R12を無線送信する移動機1とを備えて構成される。
従って、本実施の形態によれば、検知信号D11及びD12の通信時間をほとんど延長することなく、検知装置11又は12と移動機1との間の1回の通信により、移動機1の位置を判別できる。従って、従来技術に比較して移動機1の位置を正確に検知できる。特に、移動機1が移動中か静止中に関わらず、図1のエリアA、B、及びCのうちのどのエリアにあるのかを正確に特定することができる。
なお、本実施の形態において、検知信号D11、位置判別信号L11、位置判別信号L12の順序で送信し、検知信号D12、位置判別信号L12、位置判別信号L11の順序で送信したが、これらの信号の送信順序はこれに限られない。ただし、移動機1において、検知装置11及び12からの各信号が分断されたときに、通信プロトコルやハードウェアの制約により、分断後の信号を受信できない場合は、上述した送信順序で検知信号D11及びD12ならびに位置判別信号L11及びL12を送信することが望ましい。例えば、検知信号D11、位置判別信号L12、位置判別信号L11の順序で送信すると、移動機1がエリアA内にあるときは位置判別信号L12を受信できず、上述した制約により位置判別信号L11を受信できなくなるためである。
実施の形態1の変形例.
図1において、「移動機1が検知領域110に存在すること」という、移動機1による位置判別信号L11の受信条件は、検知信号D11の受信条件と同一である。また、「移動機1が検知領域120に存在すること」という、移動機1による位置判別信号L12の受信条件は、検知信号D12の受信条件と同一である。従って、検知信号D11に続いて、位置判別信号L11を送信することなく位置判別信号L12を送信し、検知信号D12に続いて、位置判別信号L12を送信することなく位置判別信号L11を送信するように、検知装置11及び12を制御してもよい。
図4は、図1の位置検知装置の変形例に係る動作を示すタイミングチャートである。図4において、検知制御装置2は、検知信号D11及びD12を交互に無線送信するように、検知装置11及び12を制御する。さらに、検知制御装置2は、検知信号D12に続いて位置判別信号L11を無線送信するように検知装置11を制御し、検知信号D11に続いて位置判別信号L12を無線送信するように検知装置12を制御する。これにより、検知信号D11に続いて位置判別信号L12が無線送信され、検知信号D12に続いて位置判別信号L11が無線送信される。
図4において、移動機1は、検知信号D11を受信すると、所定の待機時間だけ位置判別信号L12を待機する。そして、位置判別信号L12を受信した場合は、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L12とを含む応答信号R11を送信する一方、位置判別信号L12を受信しなかった場合は、検知信号D11を受信したことを示すデータE11を含む応答信号R11を送信する。また、移動機1は、検知信号D12を受信すると、所定の待機時間だけ位置判別信号L11を待機する。そして、位置判別信号L11を受信した場合は、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L11とを含む応答信号R12を送信する一方、位置判別信号L12を受信しなかった場合は、検知信号D12を受信したことを示すデータE12を含む応答信号R12を送信する。なお、上述した待機時間は、位置判別信号L11及びL12の送信時間より長くかつ次の検知信号D11又はD12を受信するまでの時間より短いように設定される。
図4に示すように、移動機1がエリアA(図1参照。)内に存在する場合、移動機1は、検知信号D11に応答して、検知信号D11を受信したことを示すデータE11を含み位置判別信号L12を含まない応答信号R11を無線送信する。また、移動機1がエリアB内に存在する場合、移動機1は、検知信号D12に応答して、検知信号D12を受信したことを示すデータE12を含み位置判別信号L11を含まない応答信号R12を無線送信する。さらに、移動機1がエリアC内に存在する場合、移動機1は、検知信号D11に応答して、検知信号D11を受信したことを示すデータE11と、位置判別信号L12とを含み、位置判別信号L11を含まない応答信号R11を無線送信する。また、検知信号D12に応答して、検知信号D12を受信したことを示すデータE12と、位置判別信号L11とを含み、位置判別信号L12を含まない応答信号R12を無線送信する。
従って、図4において、応答信号R11は、検知信号D11に続く位置判別信号L12を移動機1が受信したか否かを表し、応答信号R12は、検知信号D12に続く位置判別信号L11を移動機1が受信したか否かを表す。このため、移動機1の存在エリアに応じて、受信される応答信号が変化する。検知制御装置2は、無線受信装置3により受信された応答信号R11又はR12に基づいて、移動機1がエリアA,B及びCのうちのどのエリアに存在するのかを検知し、検知された存在エリアを表すエリア信号S2を出力する。本変形例は、実施の形態1と同様の効果を奏する。
なお、実施の形態1及びその変形例において1個の無線受信装置3を設置したが、本発明はこれに限られず、受信感度を向上させるために、検知装置11の近傍と、検知装置12の近傍とに少なくとも1個の無線受信装置3を設置してもよい。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図6は、図5のアンテナ11a〜15aの配置方法と、各領域で受信される位置判別信号L11〜L15とを示す平面図である。また、図7は、図5の位置検知装置の動作を示すタイミングチャートである。本実施の形態に係る位置検知装置は、図1の実施の形態1に係る位置検知装置に比較して、検知装置13〜15をさらに備え、検知装置11〜15を、ビルなどの構造物の中において天井、梁、床上又は床下などの平面上に二次元的に配置した点が異なる。以下、実施の形態1との相違点のみを説明する。
図5において、本実施の形態に係る位置検知装置は、移動機1と、検知装置11〜15と、検知制御装置2と、無線受信装置3とを備えて構成される。ここで、検知装置13はアンテナ13aと無線送信回路23とを備えて構成され、検知装置14はアンテナ14aと無線送信回路24とを備えて構成され、検知装置15はアンテナ15aと無線送信回路25とを備えて構成される。詳細後述するように、検知制御装置2は、検知信号D13及び位置判別信号L13を無線送信するように検知装置13の無線送信回路23を制御し、検知信号D14及び位置判別信号L14を無線送信するように検知装置14の無線送信回路24を制御し、検知信号D15及び位置判別信号L15を無線送信するように検知装置15の無線送信回路15を制御する。
無線送信回路23は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D13及び位置判別信号L13に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ13aを用いて無線送信する。また、無線送信回路24は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D14及び位置判別信号L14に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ14aを用いて無線送信する。また、無線送信回路25は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D15及び位置判別信号L15に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ15aを用いて無線送信する。なお、無線送信回路21〜25で用いられる搬送波の各周波数は互いに同一であるように、例えば130kHzに設定される。また、位置判別信号L13、L14及びL15は、それぞれ位置判別信号L13,L14及びL15の送信元の検知装置13、14及び15を識別するための所定のデータを含む。
図6において、アンテナ11a,12a,13a,14a,15aからの電波の到達範囲110,120,130,140,150(以下、検知装置11,12,13,14,15の検知領域110,120,130,140,150という。)を円で示す。図6において、アンテナ12a及び13aはアンテナ11aの上下に配置され、アンテナ14a及び15aはアンテナ11aの左右に配置される。さらに、アンテナ12a,13a,14a,15aは、検知領域120,130,140,150が互いに接しかつ検知領域110のみと重複するように配置される。図6において、検知領域120が検知領域110と重複する領域を領域121といい、検知領域120から検知領域121を除いた領域を領域122という。また、検知領域130が検知領域110と重複する領域を領域131と言い、検知領域130から検知領域131を除いた領域を領域132という。さらに、検知領域140が検知領域110と重複する領域を領域141と言い、検知領域140から検知領域141を除いた領域を領域142という。またさらに、検知領域150が検知領域110と重複する領域を領域151と言い、検知領域150から検知領域151を除いた領域を領域152という。なお、図6において、アンテナ3a(図示せず。)は、移動機1が検知領域110,120,130,140,150のうちの何れに存在する場合でも、移動機1のアンテナ1aからの電波を受信できる位置に設置される。
図7に示すように、検知制御装置2は、検知信号D11と、検知信号D12〜D15とを交互に無線送信するように、検知領域110を有する検知装置11と、互いに重複しない検知領域120,130,140,150をそれぞれ有する検知装置12〜15とを制御する。さらに、検知制御装置2は、検知信号D11に続いて位置判別信号L11を無線送信するように検知装置11を制御した後、位置判別信号L11に続いて位置判別信号L12〜L15をそれぞれ無線送信するように検知装置12〜15を制御する。また、検知制御装置2は、検知信号D12〜D15をそれぞれ無線送信するように検知装置12〜15を制御した後、位置判別信号L12〜L15をそれぞれ無線送信するように検知装置12〜15を制御し、位置判別信号L12〜L15に続いて位置判別信号L11を無線送信するように検知装置11を制御する。ここで、図6に示すように、検知装置12,13,14,15の各検知領域120,130,140,150は互いに重複していないので、検知装置12〜15から実質的に同時に無線信号を送信しても互いに干渉しない。このため、図7に示すように、検知信号D12〜D15を実質的に同時に送信し、位置判別信号L12〜L15を実質的に同時に送信できる。なお、位置判別信号L12〜L15の各送信タイミングをずらして送信することもできるが、移動機1における位置判別信号L12〜L15の待機時間を長くする必要が生じる。互いに干渉する可能性がない検知信号及び互いに干渉する可能性がない位置判別信号を、交互ではなく実質的に同時に送信することで通信に必要な時間を短縮することができる。
以上説明したように位置判別信号L11〜L15を送信するように制御するので、図6に示すように、2つの検知領域が重複する各領域121,131,141,151では、重複する2つの検知領域において送信された2つの位置判別信号が干渉せずに順次受信される。また、複数の検知領域が重複しない各領域111,122,132,142,152では、各領域において送信された1つの位置判別信号が受信される。従って、図6に示すように、移動機1の位置に応じて受信できる位置判別信号の組み合わせが異なる。図5において、移動機1は、検知信号D11〜D15のうちの1つの検知信号と当該検知信号に続く位置判別信号を受信すると、所定の待機時間だけ次の位置判別信号を待機する。そして、上述した検知信号を受信したことを示すデータと、受信した位置判別信号とを含む応答信号を送信する。ここで、検知信号D11,D12,D13,D14,D15に対応する応答信号を、それぞれ応答信号R11,R12,R13,R14,R15という。検知制御装置2は、無線受信装置3により受信された応答信号R11〜R15に含まれる位置判別信号の組合せに基づいて、移動機1が図6のどの領域に存在するのかを検知し、検知された存在領域を表すエリア信号S2を出力する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検知装置11〜15を平面上に二次元的に配置したので、平面上を移動機1が移動した場合でも移動機1の位置を検知できる。なお、本実施の形態において5個の検知装置11〜15を配置したが、本発明はこれに限られず、6個以上の検知装置を、図6の配置パターンを繰り返すように配置してもよい。これにより、より広い領域内で移動する移動機1の位置を検知できる。
なお、実施の形態1の変形例と同様に、検知信号D11に続いて、位置判別信号L11を送信することなく位置判別信号L12〜L15を送信し、検知信号D12〜D15に続いて、位置判別信号L12〜L15を送信することなく位置判別信号L11を送信するように、検知装置11〜15を制御してもよい。
実施の形態2の変形例.
図6に示すように、実施の形態2において、アンテナ12a,13a,14a,15aは、各検知領域120,130,140,150が互いに重ならないように配置されたが、本発明はこれに限られない。図8は、図5のアンテナ11a〜15aの別の配置方法を示す平面図であり、図9は、図8の配置方法を用いたときに各領域で受信される位置判別信号L11〜L15を示す平面図である。
図8において、検知領域120,130,140,150はそれぞれ、隣接する2つの検知領域と重複する。具体的には、検知領域120は、領域123において検知領域110及び140と重複し、領域124において検知領域110及び150と重複する。また、検知領域130は、領域133において検知領域110及び150と重複し、領域134において検知領域110及び140と重複する。従って、図7に示すように検知信号D11〜D15及び位置判別信号L11〜L15を送信すると、位置判別信号L12とL14は実質的に同時に送信されるので、領域123において位置判別信号L12とL14とが干渉し、領域123に移動機1があるとき、移動機1は位置判別信号L12とL14とを識別できない。また、領域124,133,134でも、同様の問題が生じる。このため、領域123,124,133,134において、3つの位置判別信号が干渉せずに受信されるように、検知装置11〜15を制御する必要がある。
一方、図8に示すように、検知装置12の検知領域120と検知装置13の検知領域130は互いに重なっておらず、検知装置14の検知領域140と検知装置15の検知領域150とは互いに重なっていない。このため、このため、検知装置12からの位置判別信号L12と検知装置13からの位置判別信号L13とは、実質的に同時に送信されても干渉しない。同様に、検知装置14からの位置判別信号L14と検知装置15からの位置判別信号L15とは、実質的に同時に送信されても干渉しない。従って、本変形例では、検知装置12及び13からの各信号と、検知装置14及び15からの各信号とが干渉することを防ぐために、検知装置12及び13からの各信号の送信タイミングと、検知装置14及び15からの各信号の送信タイミングとが重ならないように制御する。
図10は、アンテナ11a〜15aを図8に示すように配置したときの図5の位置検知装置の動作を示すタイミングチャートである。図10において、検知制御装置2は、検知信号D11と、検知信号D12及びD13と、検知信号D14及びD15とを順次繰り返して送信するように検知装置11〜15を制御する。さらに、検知制御装置2は、検知信号D11及び位置判別信号L11を順次送信するように検知装置11を制御した後、位置判別信号L11に続いて位置判別信号L12及びL13を実質的に同時に送信するように検知装置12及び13を制御し、位置判別信号L12及びL13に続いて位置判別信号L14及びL15を実質的に同時に送信するように検知装置14及び15を制御する。また、検知制御装置2は、検知信号D12に続いて位置判別信号L12を送信するように検知装置12を制御するとともに、検知信号D13に続いて位置判別信号L13を送信するように検知装置13を制御した後、位置判別信号L11を送信するように検知装置11を制御する。またさらに、検知制御装置2は、検知信号D14に続いて位置判別信号L14を送信するように検知装置14を制御するとともに、検知信号D15に続いて位置判別信号L15を送信するように検知装置15を制御した後、位置判別信号L11を送信するように検知装置11を制御する。なお、位置判別信号L14及びL15を送信した後に、位置判別信号L12及びL13を送信してもよい。
以上説明したように検知装置11〜15を制御すると、図9に示すように、各領域111,121〜124,131〜134,141,142,151,152において、当該領域に送信される位置判別信号は干渉せずに順次受信される。具体的には、例えば、3つの検知領域110,120及び140が重複する領域123に移動機1がある場合、移動機1は、3個の位置判別信号L11,L12及びL14を順次受信する。また、2つの検知領域110と120とが重複する領域121では、移動機1は2個の位置判別信号L11及びL12を順次受信する。さらに、検知領域110が他の検知領域120,130,140,150と重複しない領域111では、移動機1は1個の位置判別信号L11を受信する。
以上説明したように、3つの検知領域が重なる領域122,123,132,133が存在する場合でも、当該領域において複数の検知信号間の干渉及び複数の位置判別信号間の干渉が発生しないように検知装置11〜15を制御することにより、移動機1からの応答信号に基づいて移動機1の存在領域を検知できる。
なお、図10において、実施の形態1の変形例と同様に、各検知信号D11〜D15の直後に送信される位置判別信号L11〜L15を送信しなくてもよい。
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図12は、図11のアンテナ11a〜17aの配置方法と、各領域で受信される位置判別信号L11〜L17とを示す平面図である。また、図13は、図11の位置検知装置の動作を示すタイミングチャートである。本実施の形態に係る位置検知装置は、図5の実施の形態2に係る位置検知装置に比較して、検知装置16〜17をさらに備えた点が異なる。以下、実施の形態2との相違点のみを説明する。
図11において、本実施の形態に係る位置検知装置は、移動機1と、検知装置11〜117と、検知制御装置2と、無線受信装置3とを備えて構成される。ここで、検知装置16はアンテナ16aと無線送信回路26とを備えて構成され、検知装置17はアンテナ17aと無線送信回路27とを備えて構成される。詳細後述するように、検知制御装置2は、検知信号D16及び位置判別信号L16を無線送信するように検知装置16の無線送信回路26を制御し、検知信号D17及び位置判別信号L17を無線送信するように検知装置17の無線送信回路27を制御する。
無線送信回路26は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D16及び位置判別信号L16に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ16aを用いて無線送信する。また、無線送信回路27は、検知制御装置2の制御の下で、所定の周波数を有する搬送波を検知信号D17及び位置判別信号L17に従って変調し、変調後の無線信号をアンテナ17aを用いて無線送信する。なお、無線送信回路21〜27で用いられる搬送波の各周波数は互いに同一であるように、例えば130kHzに設定される。また、位置判別信号L16及びL17は、それぞれ位置判別信号L16及びL17の送信元の検知装置16及び17を識別するための所定のデータを含む。
図12において、アンテナ11a,12a,13a,14a,15a,16a,17aからの電波の到達範囲110,120,130,140,150,160,170(以下、検知装置11,12,13,14,15,16,17の検知領域110,120,130,140,150,160,170という。)を円で示す。図12において、アンテナ12a〜17aはアンテナ11aの周囲の6方向にそれぞれ配置される。また、検知装置11の検知領域110内で検知領域120,130,140,150,160,170は互いに重ならず、かつ検知領域110外で互いに重なる。このため、2つの検知領域が重なる各領域において、当該領域に送信される2つの位置判別信号が互いに干渉しないように、位置判別信号L11〜L17を送信するように制御する。なお、図12において、アンテナ3a(図示せず。)は、移動機1が検知領域110,120,130,140,150,160,170のうちの何れに存在する場合でも、移動機1のアンテナ1aからの電波を受信できる位置に設置される。
具体的には、検知装置11〜17は、検知装置11のみを含む第1のグループと、互いに重複しない検知領域120,140,160をそれぞれ有する検知装置12,14,16を含む第2のグループと、互いに重複しない検知領域130,150,170をそれぞれ有する検知装置13,15,17を含む第3のグループとに分けられる。このとき、図13に示すように、検知制御装置2は、第1のグループからの検知信号D11が送信された後、第1のグループからの位置判別信号L11が送信され、第2のグループからの位置判別信号L12,L14,L16が実質的に同時に送信され、第3のグループからの位置判別信号L13,L15,L17が実質的に同時に送信されるように検知装置11〜17を制御する。次に、検知制御装置2は、第2のグループからの検知信号D12,D14,D16が実質的に同時に送信された後、第2のグループからの位置判別信号L12,L14,L16が実質的に同時に送信され、第3のグループからの位置判別信号L13,L15,L17が実質的に同時に送信され、第1のグループからの位置判別信号L11が送信されるように検知装置11〜17を制御する。さらに、検知制御装置2は、第3のグループからの検知信号D13,D15,D17が実質的に同時に送信された後、第3のグループからの位置判別信号L13,L15,L17が実質的に同時に送信され、第1のグループからの位置判別信号L11が送信され、第2のグループからの位置判別信号L12,L14,L16が実質的に同時に送信されるように検知装置11〜17を制御する。検知制御装置2は、以上説明した動作を繰り返して実行する。
以上説明したように、位置判別信号L11〜L17を送信するように制御するので、図12に示すように、2つの検知領域が重複する各領域では、重複する2つの検知領域において送信された2つの位置判別信号が干渉せずに順次受信される。また、複数の検知領域が重複しない各領域では、各領域において送信された1つの位置判別信号が受信される。従って、図12に示すように、移動機1の位置に応じて、受信できる位置判別信号の組み合わせが異なる。図11において、移動機1は、検知信号D11〜D17のうちの1つの検知信号と当該検知信号に続く位置判別信号を受信すると、所定の待機時間だけ次の位置判別信号を待機する。そして、上述した検知信号を受信したことを示すデータと、受信した位置判別信号とを含む応答信号を送信する。ここで、検知信号D11,D12,D13,D14,D15,D16,D17に対応する応答信号を、それぞれ応答信号R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17という。検知制御装置2は、無線受信装置3により受信された応答信号R11〜R17に含まれる位置判別信号の組合せに基づいて、移動機1が図12のどの領域に存在するのかを検知し、検知された存在領域を表すエリア信号S2を出力する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、互いに重複する検知領域を有する複数の検知装置からの各検知信号の送信タイミングが重ならず、かつ互いに重複する検知領域を有する複数の検知装置からの各位置判別信号の送信タイミングが重ならないように制御するので、検知装置11〜17を六角形のような複雑な形状に配置できる。なお、本実施の形態において7個の検知装置11〜17を配置したが、本発明はこれに限られず、8個以上の検知装置を、図12の配置パターンを繰り返すように配置してもよい。これにより、より広い領域内で移動する移動機1の位置を検知できる。
なお、図13において、実施の形態1の変形例と同様に、各検知信号D11〜D17の直後に送信される位置判別信号L11〜L17を送信しなくてもよい。
実施の形態3の変形例.
図12において、アンテナ11aからの位置判別信号L11は検知領域110内のみで受信可能である。また、検知領域120,130,140,150,160,170は検知領域110外では互いに重複するが、検知領域110内では互いに重複しない。従って、検知信号D11を移動機1が受信するとき、移動機1は検知装置11の検知領域110内に存在することになるため、検知領域110外で位置判別信号の干渉が起きても問題ではない。
図14は、図11の位置検知装置の変形例に係る動作を示すタイミングチャートである。図14の動作は図13の動作に比較して、検知信号D11と位置判別信号L11とを順次送信するように検知装置11を制御した後、位置判別信号L12〜L17を実質的に送信するように検知装置12〜17を制御する点のみが異なる。本変形例によれば、移動機1は、実施の形態3と同様の応答信号R11〜R17を受信できる。本変形例は、実施の形態3と同様の効果を奏する。
なお、図14において、実施の形態1の変形例と同様に、各検知信号D11〜D17の直後に送信される位置判別信号L11〜L17を送信しなくてもよい。
実施の形態4.
実施の形態2では1個の検知制御装置2に5個の検知装置11〜15を接続し、実施の形態3では1個の検知制御装置2に7個の検知装置11〜17を接続して、複数の検知装置を平面上に配置した。しかしながら、数十個〜数百個の検知装置を配置する場合、検知制御装置2に対して検知装置と同数の配線が必要になり、現実的ではない。
図15は、本発明の実施の形態4に係る位置検知装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る位置検知装置は、検知制御装置2Aと、検知装置11,12と、無線受信装置3A,3Bとを備えて構成される。また、検知制御装置2Aは、検知制御回路10A及び10Bと、同期信号発生器5と、位置判別装置6とを備えて構成される。ここで、検知装置11及び12は、実施の形態1に係る検知装置11及び12と同様に構成されるので説明を省略する。また、無線受信装置3A,3Bはそれぞれ、実施の形態1に係る無線受信装置3と同様に構成されるので説明を省略する。なお、無線受信装置3A,3Bの各アンテナ3aは、移動機1が検知領域110及び120のうちの何れに存在する場合でも、移動機1のアンテナ1aからの電波が無線受信装置3Aのアンテナ3a及び無線受信装置3Bのアンテナ3aのうちの少なくとも一方により受信されるように設けられる。従って、移動機1からの応答信号R11及びR12は、無線受信装置3A及び3Bのうちの少なくとも一方により受信される。
図15において、同期信号発生器5は、所定の周期を有するパルス波形又はクロック信号を発生して、同期信号S5として検知制御回路10A及び10Bに出力する。また、検知制御回路10A及び10Bはそれぞれ、実施の形態1と同様に検知信号D11,D12及び位置判別信号L11,L12が送信されるように、同期信号S5に従って検知装置11,12を制御する。具体的には、検知制御回路10Aは、同期信号S5に従って、検知装置11を、検知信号D11及び位置判別信号L11を送信するように制御し、検知制御回路10Bは、同期信号S5に従って、検知装置12を、検知信号D12及び位置判別信号L12を送信するように制御する。
また、図15において、検知制御回路10Aは、無線受信装置3Aの無線受信回路4により復調された応答信号R11又はR12を位置判別装置6に出力する一方、検知制御回路10Bは、無線受信装置3の無線受信回路4により復調された応答信号R11又はR12を位置判別装置6に出力する。ここで、検知制御回路10Aにより受信される応答信号と、検知制御回路10Bにより受信される応答信号とは互いに異なる可能性がある。位置判別装置6は、検知制御回路10A,10Bからの応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号L11,L12の組合せに基づいて、移動機1が存在する領域を検知し、検知された領域を表すエリア信号S2Aを出力する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、2個の検知制御回路10A,10Bに同期信号S5を出力して各検知制御回路10A,10を同期して動作させるので、検知装置の数が増加しても、検知信号D11,D12及び位置判別信号L11,L12を実施の形態1と同一の順序で送信するように制御できる。さらに、検知制御回路10A,10からの応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号L11,L12の組合せに基づいて、移動機1が存在する領域を検知するので、数十個〜数百個の検知装置を備えた大規模な位置検知装置を実現できる。
なお、本実施の形態において、1個の検知制御回路10Aに1個の検知装置11を接続したが、本発明はこれに限られず、実施の形態2又は3の検知制御装置2に複数の検知装置を接続したように、1個の検知制御回路10Aに複数の検知装置11を接続してもよい。また、本実施の形態に係る検知制御装置2Aは2つの検知制御回路10A,10を備えたが、本発明はこれに限られず、3つ以上の複数の検知制御回路を備えてもよい。この場合、複数の検知制御回路に同期信号S5を出力すればよい。
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5に係る位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図17は、図16のアンテナ11a,12aの配置方法と、エリアA,B,Cとを示す平面図である。本実施の形態に係る位置検知装置は、実施の形態1に係る図1の位置検知装置に比較して、メモリ8mを備えた移動方向判別装置8をさらに備えた点が異なる。以下、実施の形態1との相違点のみを説明する。
図16において、検知制御装置2は、移動機1の存在エリアを表すエリア信号S2を移動方向判別装置8に出力する。移動方向判別装置8は、検知制御装置2からのエリア信号S2に含まれる移動機1の存在エリアのデータをメモリ8mに格納する。そして、移動方向判別装置8は、メモリ8mに格納された移動機1の存在エリアのデータの履歴に基づいて、移動機1の移動方向を判別し、判別結果を表す移動方向信号S8を出力する。例えば、移動機1の存在エリアが図17のエリアB、エリアC、エリアAの順に変化した場合、移動方向判別装置8は、移動機1はエリアBからエリアAに移動したと判断し、当該判断結果を表す移動方向信号S8を出力する。この場合、移動機1は図17の上から下に移動したことになる。従って、例えば、図17において区画202が構造物301の外側であり、区画201が構造物301の内側である場合、移動機1が構造物301で区切られる建物内に入場したことを、移動方向信号S8に基づいて判断できる。このため、本実施の形態に係る位置検知装置は、入退場管理装置のための位置検知装置として有用である。
ただし、移動機1が図17に示すように、移動経路P2に沿って実質的にエリアCのみを横切って扉300を通過した場合は、上述した移動方向信号S8に基づく入退場の判断は困難であるが、移動方向判別装置8は移動機1の移動方向の判断が困難であることを示す移動方向信号S8を出力できる。一方、検知制御装置2が上述した比較例に係る動作を行う場合、移動機1がエリアCにあることを判断できず、エリアA又はBに存在すると判断してしまう。このため、比較例に係る動作を行う検知制御装置2からのエリア信号S2に基づいて移動機1の移動方向を判断すると、移動方向判別装置8は移動機1の移動方向を誤って判断し、しかも当該判断が誤っている可能性があることを識別できない。
実施の形態6.
図18は、本発明の実施の形態6に係る位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図19は、図18のアンテナ11a,12aの配置方法と、エリアA,B,C,As,Bs,Csとを示す平面図である。また、図20は、図18の検知制御装置2Bにより実行される検知制御処理を示すフローチャートである。図18において、本実施の形態に係る位置検知装置は、実施の形態1に係る図1の位置検知装置に比較して、検知制御装置2に代えて検知制御装置2Bを備えた点が異なる。以下、実施の形態1との相違点を説明する。
上記各実施の形態において、図19に示すように、移動機1が移動経路P3に沿って実質的にエリアCのみを横切って扉300を通過した場合は、検知制御装置2は移動機1がエリアCに存在することを検知できるが、実施の形態5において説明したように、検知制御装置2からのエリア信号S2に基づいて、移動機1が扉300を横切ったことは検出できなかった。
図18において、検知制御装置2Bは、出力調整装置7を備えて構成される。検知制御装置2Bは、実施の形態1に係る検知制御装置2と同様に、検知信号D11,D12及び位置判別信号L11,L12を送信するように検知装置11,12を制御するとともに、出力調整装置7を用いて、検知装置11,12からの各信号D11,D12,L11,L12の送信出力レベル(以下、出力レベルという。)を、第1のレベル又は第1のレベルより低い第2のレベルに切り換える。ここで、図19に示すように、出力レベルが第1のレベルに切り換えられると、検知装置11の検知領域は検知領域110になり、検知装置12の検知領域は検知領域120になる。また、出力レベルが第2のレベルに切り換えられると、検知装置11の検知領域は、検知領域110より狭い検知領域110sになり、検知装置12の検知領域は、検知領域120より狭い検知領域120sになる。
なお、図19に示すように、検知領域110s及び120sは、エリアC内に含まれる。さらに、検知領域110sと120sとは扉300を含むエリアCsにおいて重複する。以下、検知領域110sからエリアCsを除いた領域をエリアAsといい、検知領域120sからエリアCsを除いた領域をエリアBsという。図18において、検知制御装置2Bは、実施の形態1に係る検知制御装置2と同様に、無線受信回路4により復調された応答信号R11,R12に含まれる位置判別信号の組み合わせに基づいて、移動機1の存在エリアを検知し、検知されたエリアを表すエリア信号S2Bを出力する。なお、検知制御装置2Bは、出力レベルを第1のレベルに設定しているときは、移動機1はエリアA,B,C又はエリアA,B,Cの外側にあると判断し、出力レベルを第2のレベルに設定しているときは、移動機1はエリアAs,Bs,Cs又はエリアAs,Bs,Csの外側にあると判断する。
次に、図20を参照して、図18の検知制御装置2Bにより実行される検知制御処理を説明する。図20のステップS21において、検知制御装置2Bは、出力レベルを第1のレベルに設定するように、出力調整装置7を制御する。次に、ステップS22において、検知制御装置2Bは、実施の形態1に係る検知制御装置2と同様に、検知信号D11,D12及び位置判別信号L11,L12を送信するように検知装置11,12を制御する。さらに、ステップS23において、検知制御装置2Bは、無線受信回路4により復調された応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号の組み合わせに基づいて、移動機1をエリアC内で検知したか否かを判断し、YESのときはステップS24に進む一方、NOのときはステップS23の処理を繰り返して実行する。
図20のステップS24において、検知制御装置2Bは、出力レベルを第2のレベルに設定するように、出力調整装置7を制御する。次に、ステップS25において、検知制御装置2Bは、実施の形態1に係る検知制御装置2と同様に、検知信号D11,D12及び位置判別信号L11,L12を送信するように検知装置11,12を制御する。さらに、ステップS26において、検知制御装置2Bは、無線受信回路4により復調された応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号の組み合わせに基づいて、移動機1をエリアAs,Bs又はCs内で検知したか否かを判断し、YESのときはステップS26の処理を繰り返して実行する一方、NOときはステップS21に戻る。
図21は、移動機1が図19の経路P3に沿って移動したときの図18の位置検知装置の動作を示すタイミングチャートである。図21に示すように、移動機1は、図19の経路P3に沿って、エリアCからエリアAs,Bs及びCsを除いた領域、エリアAs、エリアCs、エリアBs、エリアCからエリアAs,Bs及びCsを除いた領域の順序で移動する。この場合、経路P3はエリアCに含まれるので、出力レベルの制御を行わない場合、移動機1は位置判別信号L11,L12を含む応答信号R11及びR12を送信し、実施の形態1に係る検知制御装置2は、エリアCを表すエリア信号S2を出力する。なお、検知制御装置2Bは、図20のステップS23及びS26においてNOと判断した場合、検知信号D11及びD12の送信時間間隔より長い所定の期間にわたって応答信号R11及びR12の両方を受信できないときに、移動機1の存在エリアが不明であると判断する。
一方、本実施の形態に係る検知制御装置2Bによる出力レベルの制御を行う場合、まず始めに、出力レベルが第1のレベルに設定されているときに移動機1がエリアCからエリアAs,Bs及びCsを除いた領域にあると、移動機1は位置判別信号L11,L12を含む応答信号R11を送信する。従って、図20のステップS23においてYESと判断され、出力レベルは第2のレベルに設定される。このとき、移動機1はまだ検知領域110s内には到達しておらず、検知装置11からの検知信号D11及び検知装置12からの検知信号D12を受信できないため、移動機1の存在エリアは不明となる。移動機1がさらに移動し、エリアAs、エリアCs、エリアBsの順序で移動すると、図20のステップS26においてYESと判断され、エリアAs、エリアCs、エリアBsの順序で移動機1の存在エリアが検知される。なお、図21において、検知制御装置2Bによって検知されたエリアがエリアCsである期間と、エリアBsである期間との間に「不明」と記載された期間があるが、これは、エリアBsでは移動機1が検知装置11からの検知信号D11を受信できず、かつ当該期間は検知装置12からの検知信号D12の送信タイミングを含まなかったために検知信号D12を受信できなかったためである。なお、当該期間において検知信号D12が送信された場合は、移動機1の存在エリアはエリアBsであると検知される。
さらに移動機1が移動してエリアBs外に出ると、移動機1は検知装置11及び12からの検知信号D11及びD12の両方を受信できなくなり、検知制御装置2Bは移動機1の位置を検知できない。このため、図20のステップS26においてNOと判断され、出力レベルは第1のレベルに設定される。そして、移動機1がエリアCに存在することが検知される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検知信号D11及びD12ならびに位置判別信号L11及びL12の送信出力レベルを第1のレベルと第2のレベルとの間で切り換えるので、検知装置11及び12の各検知領域を、検知領域110及び120と、検知領域110s及び120sとの間で切り換えることができる。このため、上記各実施の形態に比較して、移動機1の位置をより高い精度で検知できる。
実施の形態7.
図22は、本発明の実施の形態7に係る位置検知装置の構成を示すブロック図である。図22において、本実施の形態に係る位置検知装置は、実施の形態6に係る図18の位置検知装置に比較して、メモリ8mを備えた移動方向判別装置8をさらに備えた点が異なる。以下、実施の形態6との相違点のみを説明する。図22において、検知制御装置2Bは、移動機1の存在エリアを表すエリア信号S2Bを移動方向判別装置8に出力する。移動方向判別装置8は、検知制御装置2Bからのエリア信号S2Bに含まれる移動機1の存在エリアのデータをメモリ8mに格納する。そして、移動方向判別装置8は、メモリ8mに格納された移動機1の存在エリアのデータの履歴に基づいて、移動機1の移動方向を判別し、判別結果を表す移動方向信号S8を出力する。本実施の形態によれば、例えば図1のエリアC内でも移動機1の存在エリア及び移動方向を判別できる。
実施の形態8.
入退室管理システムは、アンチパスバックという機能を搭載することが望ましい。アンチパスバックとは、例えば、固有のIDを有する接触式のRFID等を用いて入室及び退室を管理するとき、同一のIDで2回続けて入室又は退室をできないように、扉又はゲートを施錠して通過を規制する機能である。例えば、人物Aが入室時に認証手続きを行ったときに人物Bが認証手続きを行うことなく人物Aに追従して入室した場合(共連れ)、人物Bが正規の認証手続きにより退室しようとしても、入退室管理システムは、人物Bの入室時の認証結果がないために扉又はゲートの通過を許可しない。このため、アンチパスバック機能を導入することにより、正規の認証資格がある人物は共連れを避け、入退室毎に毎回認証手続きを行うようになる。従って、扉又はゲートの通過時に確実に入退室情報が取得できるようになる。このため、アンチパスバック機能は、例えば、職場での正確な在場管理のために用いられる。
図23は、本発明の実施の形態8に係るアンチパスバック機能を有する位置検知装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る位置検知装置は、実施の形態5に係る図16の位置検知装置に比較して、入退室管理装置9と、移動機状態記憶装置91と、通行判断装置92と、認証装置93と、誘導装置94と、施開錠装置95とをさらに備えた点が異なる。なお、検知装置11及び12と、無線受信装置3とは、図1に示すように配置される。以下、実施の形態5との相違点のみを説明する。
図23において、検知制御装置2は、応答信号R11及びR12に含まれる位置判別信号L11,L12の組合せに基づいて移動機1の存在エリアを検知し、検知された存在エリアを表すエリア信号S2を移動方向判別装置8と、移動機状態記憶装置91と、入退室管理装置9とに出力する。なお、本実施の形態において、応答信号R11及びR12ならびにエリア信号S2は、移動機1に割り当てられた固有のIDを含む。また、移動方向判別装置8は、検知制御装置2からのエリア信号S2に含まれる移動機1の存在エリアのデータをメモリ8mに格納する。そして、移動方向判別装置8は、メモリ8mに格納された移動機1の存在エリアのデータの履歴に基づいて、移動機1の移動方向を判別し、判別結果を表す移動方向信号S8を出力する。入退室管理装置9は、詳細後述する図24及び図25の入退室管理処理を実行し、移動機状態記憶装置91と、通行判断装置92と、認証装置93と、誘導装置94と、施開錠装置95とを制御する。
図23において、移動機状態記憶装置91は、エリア信号S2に含まれる移動機1の存在エリアのデータを、移動機1が扉を通過した直後の所定のタイミングにおいて記憶する。また、通行判断装置92は、現在の移動機1の存在エリアが移動機状態記憶装置91に記憶された移動機1の存在エリアと一致するか否かを判断する。さらに、認証装置93は移動機1の認証を行う。誘導装置94は、例えば、ブザーによる警告音、LEDなどの信号灯の点灯、又はディスプレイやモニタへの所定のメッセージの表示により、移動機1の持ち主に対して、通行不許可の通知又はエリアA又はBへの移動を促すための判断不能通知を行う。施開錠装置95は、扉300の施開錠を行う。
次に、図24及び図25を参照して、入退室管理装置9の動作を説明する。図24及び図25は、図23の入退室管理装置9によって実行される入退室管理処理を示すフローチャートである。まず始めに、ステップS31において、入退室管理装置9は、検知制御装置2からのエリア信号S2に基づいて、移動機1をエリアA、B又はC内で検知したか否かを判断する。そして、ステップS31においてYESのときはステップS32に進む一方、NOのときはステップS31の処理を繰り返して実行する。ステップS32において、入退室管理装置9は、エリア信号S2に含まれる移動機1のIDに基づいて移動機1を認証するように認証装置93を制御し、移動機1が認証装置93により認証されたか否かに基づいて、移動機1が通行許可されているか否かを判断する。そして、ステップS32においてYESのときはステップS33に進む一方、NOのときはステップS40に進む。ステップS40において、入退室管理装置9は、通行不許可通知を行うように誘導装置94を制御してステップS31に戻る。
また、ステップS33において、入退室管理装置9は、検知制御装置2からのエリア信号S2に基づいて、移動機1をエリアC内で検知したか否かを判断し、YESのときはステップS41に進む。このとき、移動機1が図1の区画201及び202のうちのどちらにあるかが不明であるので、ステップS41において、入退室管理装置9は、移動機1に対してエリアA又はBへの移動を促すための判断不能通知を行うように、誘導装置94を制御してステップS31に戻る。また、ステップS33においてNOのときは、ステップS34において、入退室管理装置9は、移動機1を検知したエリアは、移動機状態記憶装置91に記憶されている移動機1の存在エリアと一致するか否かを判断するように通行判断装置92を制御し、YESのときはステップS36に進む一方、NOのときはステップS42に進む。なお、ステップS34において、移動機状態記憶装置91に記憶されている移動機1の存在エリアは、移動機1が前回扉300を通過した直後の存在エリアである。ステップS42において、入退室管理装置9は、通行不許可通知を行うように誘導装置94を制御してステップS31に戻る。
ステップS36において、入退室管理装置9は移動機1の検知動作を続け、検知制御装置2からのエリア信号S2に基づいて、移動機1をエリアA、B又はC内で検知したか否かを判断する。そして、ステップS36においてYESのときはステップS36の動作を繰り返して実行する一方、NOのときはステップS37に進む。ステップS37において、入退室管理装置9は、移動機1を最後に検知したエリアがエリアCであるか否かを判断し、YESのときはステップS43に進む一方、NOのときはステップS38に進む。ステップS43において、入退室管理装置9は、移動機1に対してエリアA又はBへの移動を促すための判断不能通知を行うように、誘導装置94を制御してステップS36に戻る。また、ステップS38において、入退室管理装置9は、移動機1を最後に検知したエリアは、移動機状態記憶装置91に記憶されている開錠前の移動機1の存在エリアと一致するか否かを判断し、YESのときはステップS44に進む一方、NOのときはステップS39に進む。
ステップS44において、入退室管理装置9は、移動機1が扉300を通過しなかったと判断し、移動機状態記憶装置91に記憶されている移動機1の存在エリアのデータを更新せずに保持し、ステップS31に戻る。また、ステップS39において、入退室管理装置9は、移動機1が扉300を通過したと判断し、移動機状態記憶装置91に記憶されている移動機1の存在エリアのデータを、現在の移動機1の存在エリア(扉300の通過後の存在エリアである。)のデータに更新してステップS31に戻る。以上説明したように、図25のステップS36〜S38の判断処理により、扉300を開錠後、移動機1が扉300を実際に通過したか否かが判断される。
図24及び図25の入退室管理処理によれば、移動機1が通行許可されており(ステップS32でYESの場合)、移動機1がエリアA又はBに存在し(ステップS33でNOの場合)、かつ移動機1を検知したエリアが、移動機1が前回扉300を通過した直後の存在エリアと一致する(ステップS34でYESの場合)ときに扉300は開錠される。従って、入退室許可を得ている所定の移動機1のみの通行を許可できる。また、移動機1が検知されているエリアが、移動機1が前回扉300を通過した直後の存在エリアと一致しない場合に通行不許可通知を行うので、アンチパスバック機能を実現できる。例えば、移動機1の所有者が前回扉300を通過したときに、誘導装置94からの通行不許可通知又は判断不能通知に従わなかった場合、又は他の移動機の所有者と共連れによる通行を行った場合などに、ステップS34においてNOと判断され、扉300は開錠されない。これにより、移動機1の所有者を、正規の通行方法で扉300を通過するように誘導し、扉300の不正な通過の再発を防止できる。なお、ステップS32,S33,S34における各判断処理を、任意の順序で実行してよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る位置検知装置は、
(1)移動機1を認証する認証装置93と、
(2)エリアCに含まれる扉300を施開錠する施開錠装置95と、
(3)移動機1が扉300を通過した後の所定のタイミングにおいて、検知制御装置2により検知された移動機1の位置を記憶する移動機状態記憶装置91と、
(4)移動機1をエリアC以外の領域に誘導する誘導装置94と、
(5)移動機1が認証装置93により認証され、移動機1をエリアC以外の領域で検知し、かつ当該検知した移動機1の位置が移動機状態記憶装置91に記憶された移動機1の位置と一致するとき、扉300を開錠するように施開錠装置95を制御するとともに、移動機1をエリアCで検知したとき、移動機1をエリアC以外の領域に誘導するように誘導装置94を制御する入退室管理装置9とを備えたことを特徴としている。
従って、本実施の形態に係る位置検知装置によれば、移動機1が扉を通過した直後のタイミングにおいて、移動機1の存在エリアのデータを移動機状態記憶装置91に記憶し、現在の移動域1の存在エリアが移動機状態記憶装置91に記憶されている移動機1の存在エリアと一致し、かつ移動機1が認証されたときに扉300を開場する。また、扉4300の開錠後に、移動機1が扉300を通過したか否かを判断する。従って、アンチパスバック機能を確実に実現できる。
なお、図23に示すように、本実施の形態に係る位置検知装置は検知制御装置2を備えたが、本発明はこれに限られず、図15の検知制御装置2A又は図18の検知制御装置2Bを備えてもよい。検知制御装置2Bを用いた場合、移動機1の位置をより高い精度で検知でき、ユーザに対してエリアA又はBに移動するよう誘導する機会を減らし、ユーザビリティを向上させることができる。
また、上記各実施の形態において、応答信号R11〜R17は、受信された位置判別信号L11〜L17そのものを含んだが、本発明はこれに限られない。例えば、応答信号R11〜R17は、受信された位置判別信号L11〜L17を表すデータを含めばよい。すなわち、応答信号R11〜R17は、各位置判別信号L11〜L17を受信したか否かを表せばよい。