JP2013246080A - 大腸がん検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マススペクトルデータを用いた大腸がんの検査方法に関する。大腸がんに関し、早期診断や治療効果の判定、予後診断に適用可能な検査方法を提供する。
【解決手段】被検者から採取した検体中の生体成分のうち、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)のマススペクトルデータに基づく多重ロジスティック回帰分析により分析する検査方法による。本発明の検査方法は、一つの解析対象分子(マーカー)によるものではなく、マルチ解析対象分子による検査を主体としたものであり、患者の病態をより詳しく反映することができる。これにより、大腸がんの早期診断、治療効果の判定、予後診断などを行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マススペクトル(Mass spectrum:以下、単に「MS」という場合もある。)データを用いた大腸がんの検査方法に関する。
従来の疾患診断、特にがん疾患診断は、血液、尿中のバイオマーカー測定による生化学的検査、カメラ、内視鏡等による画像検査が主体である。しかし、現状では、疾患特異的なバイオマーカーが発見されていないものや画像検査が評価の対象とならない疾患も数多く存在し、早期診断や治療効果の判定、予後診断を困難にしている。日本の死因別死亡率の第1位は悪性腫瘍(がんや肉腫)であり、大腸がんは増加の傾向にある。
現在、がんの検査は血液中の腫瘍マーカー[例えば、CA19-9(糖鎖抗原19-9)、CEA(がん胎児性抗原)、AFP(α-フェトプロテイン)、PIVKA-II、PSA(前立腺特異抗原)、CA125(糖鎖抗原125)]などの数値を指標に一次検査が行われている。大腸がんの腫瘍マーカー(診断マーカー)として、CEA、CA19-9等が開発され、臨床診断で利用されている。しかしながら、これら腫瘍マーカーは、大腸がん以外に、すい臓がん、慢性膵炎のみならず、慢性肝炎や肝硬変などの肝良性疾患でも陽性を示してしまうという問題がある。また、これらのマーカーは、がん細胞より分泌されると考えられるが、がんのステージが初期の場合には、採血検体中ではこれらのマーカーをほとんど検出することができない。また、血液以外の生体検体を採取したとしても、採取する検体の部位によってはマーカーを検出することができず、検出・診断するための腫瘍マーカーとしては検出感度が低く問題があった。
被検者から採取した検体中の生体成分のうち、特定の有限個の解析対象成分を選別して定量し、多変量解析を行うことによりメタボローム解析を行い、その解析結果を、予め取得した健常者グループ及び疾患患者グループの解析結果と比較することで、特定の疾患の検査を行う方法について開示がある(特許文献1)。ここでは、例えば膵臓がんについては61の生体分子、消化管がんについては77の生体分子、肺がんについては血清について58の生体分子、肺組織については71の生体分子を解析対象生体分子とし、健常者グループとの多変量解析結果を確認することで、各疾患のステージなどを解析しうることが開示されている。特許文献1には、解析対象成分のうち、2−ヒドロキシ酪酸及びアスパラギン酸が、大腸がんを含む検査での上記有限個の解析対象成分に含まれている。
また、被検者から採取した検体中の生体成分のうち、キヌレニンについては特許文献2、3に示されており、アスパラギンやキヌレニンについては、特許文献4に示されている。しかしながら、特許文献2の検査対象疾患は肺がんであり、同様に特許文献3に示す対象疾患は肝臓疾患であり、特許文献4に示す対象疾患は前立腺がんであるが、特許文献2〜4のいずれの場合も、大腸がんを検査対象疾患として特定するものはない。
特開2011−247869号公報 特開2010−537170号公報 特開2011−232164号公報 特開2010−537170号公報
本発明は、大腸がんに関し、早期診断や治療効果の判定、予後診断に適用可能な検査方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、被検者から採取した検体中の生体成分のうち、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)のMS(Mass spectrum)データに基づき多重ロジスティック回帰分析により分析する検査方法により、大腸がんを早期診断しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.採取された生体検体中の生体内代謝産物のうち、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)を解析対象分子とし、各分子のMS測定値を多重ロジスティック回帰分析により分析することを特徴とする、大腸がん検査方法。
2.MS測定値が、キヌレニン(Kyn)では(K)、シスタミン(Cyst)では(C)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)では(H)及びアスパラギン酸(Asp)では(A)とし、以下の式(I)で示す多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)が、カットオフ値よりも低い場合に健常であると判断し、カットオフ値よりも高い場合に大腸がんの危険性が高いと判断する、前項1に記載の大腸がん検査方法。
3.MS測定値を、ガスクロマトグラフマススペクトロメーター(GCMS-QP2010 Ultra(登録商標))を用いて測定した場合に、多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)が、以下の式(II)で示される、前項2に記載の大腸がん検査方法。
4.カットオフ値が0.4945である、前項2又は3に記載の大腸がん検査方法。
5.採取された生体検体が、血液、組織、尿、糞便から選択されるいずれかである前項1〜4のいずれか1に記載の大腸がん検査方法。
本発明の検査方法は、一つの解析対象分子(マーカー)によるものではなく、マルチ解析対象分子による検査を主体としたものであり、患者の病態をより詳しく反映することができる。これにより、大腸がんの早期診断、治療効果の判定、予後診断などを行うことができる。
本発明の検査方法は、微量の血液等の検体から測定可能であり、血液等に検体に存在する複数の物質の測定値を網羅的に解析することにより、大腸がんの総体として捉えて検査する手法であり、ひとつの解析対象分子で検査する結果と比較して、迅速かつ容易に精度の高い検査を行うことができる。
本発明の検査方法のROC解析結果を示す図である。(実験例1) 本発明の解析対象分子の各々について、健常人及び大腸がんステージでの実測値を示した図である。(参考例1)
本発明は、採取された生体検体中の生体内代謝産物のうち、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)のMSデータに基づいて多重ロジスティック回帰分析により分析することを特徴とする、大腸がん検査方法に関する。上記において、2−ヒドロキシ酪酸は、2−ヒドロキシ酪酸のカルボキシラートアニオンであっても良い。
本明細書において、「採取された生体検体」とは、特に限定されないが、例えば血液、組織、尿、糞便などが挙げられ、特に血液を検体とするのが最も好適である。また採取する組織は、いずれの組織であっても良いが、例えばがん患者の場合は、がん組織などが挙げられる。血液の場合には、臨床検査のために採取した血液を利用することができる。臨床検査の際の採血は、原則として空腹時に行われるが、本発明の検査方法で使用する検体は、特に空腹時や午前中など時間を特定することなく、一日のうち、いずれの時間帯に採血した検体であってもよい。本明細書では、生体検体とは生体から採取したものをいい、生体検体に対して何らかの処理を行い、検査に供されるものを試料ということとする。例えば、臨床検査で検体として用いられる血液関連試料には、全血、血清、血漿などがありえる。これらのうち、生化学検査や内分泌学的検査には血清又は血漿が用いられる。血清としては、全血検体に対して抗凝固剤を添加せずに血球が凝固してから液性成分を検査に使用することができ、血漿の場合は抗凝固剤を添加して血球を凝固させずにその液性成分を使用することができる。本発明の検査試料には、特に好適には血清又は血漿を使用することができる。また、本明細書において、「生体内代謝産物」は「生体分子」ともいい、生体の主要構成単位であり、DNA、RNA、タンパク質、脂質、糖質などが代謝されて産生された有機分子・無機分子等が挙げられる。
本発明の検査方法の供するための試料の調製方法は特に限定されず、自体公知の方法又は今後開発されるあらゆる方法を適用することができる。例えば特開2008-5778(細胞からの代謝物の抽出方法)に記載の方法のように、代謝物に超音波処理をしても良い。また、抽出した溶液を凍結乾燥後、メトキシアミンを含むピリジン溶液に生体分子を再溶解し、30℃で90分間インキュベートすることで、オキシム化することができる。続けて、N‐メチル‐N-トリメチルシリル-トリフルオロアセトアミド(N‐Methyl‐N-trimethylsilyl-trifluoroacetamide)を含むピリジン溶液を加えて、さらに、37℃で30分間インキュベートすることで、生体分子を誘導体化させることができる。そして、得られた溶液を試料として、MSによる測定に供することができる。
本明細書において、MSデータは、質量分析の結果として得られる、横軸に質量(正しくはm/z値)、縦軸に検出強度をとったスペクトルデータである。分析する試料をイオン化させて導入し、電気力や磁気力により質量ごとの差をつくり、イオンの質量を計測することで得られる。より詳しくは、原子、分子、クラスター等の粒子を何等かの方法で気体状のイオンとし、真空中で運動させ電磁気力を用いて、あるいは飛行時間差によりそれらイオンを質量電荷比に応じて分離・検出することをいう。質量分析をする為の機器を質量分析計といい、試料導入部、イオン源、分析部、イオン検出部そしてデータ処理部から構成される。また、質量分析計を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィー(GC)、キャピラリー電気泳動(CE)に直結し、移動相を導入することも可能である。それぞれLC/MS、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)、CE-MSと称される。本発明の質量分析計として最も好適には、GC/MSが適用される。
本発明の大腸がん検査は、試料に含まれる生体分子のうち、特にキヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)についてのMSデータを、多重ロジスティック回帰分析することにより達成される。キヌレニン(Kyn)の測定値を(K)、シスタミン(Cyst)の測定値を(C)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)の測定値を(H)及びアスパラギン酸(Asp)の測定値を(A)としたときに、各測定値を多重ロジスティック回帰分析による式に代入し、解析値(P値)が0に近いほど健常であり、1に近づくほど大腸がんの危険性が高いと判断することができる。各解析対象分子に付与される係数は、MS分析機器による測定結果により、適宜設定することができる。
具体的には、例えばMSを測定し、多重ロジスティック回帰分析する場合は、キヌレニン(Kyn)の測定値を(K)、シスタミン(Cyst)の測定値を(C)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)の測定値を(H)及びアスパラギン酸(Asp)の測定値を(A)とし、i(切片値)や、a, b, c, dの各定数を解析したい対象に応じて適宜定めることができる。各測定値を以下の式(I)に代入した際に、得られる解析値(P値)が0に近いほど健常であり、1に近づくほど大腸がんの危険性が高いと判断することができる。
本発明の多重ロジスティック回帰分析による分析値(P値)に基づく分析結果に基づき、大腸がんの予測に関し、感度、特異度及び精度を確認することができる。例えば、ROC曲線(receiver operating characteristic curve)は、縦軸を真の陽性率、つまり感度、横軸を偽陽性率、つまり特異度を尺度としてプロットすることができる。まず、検査結果のどの値を異常と判断するか、つまり所見ありと判断するかのカットオフ値を決め、その値で陽性とされる大腸がん患者と健常人(非疾病者)の割合より感度と陽性率を計算する。同様にして他のカットオフ値とした検査値での感度と陽性率を計算し、このようにして求めた値をグラフにプロットし、曲線を描く。カットオフ値は、大腸がんの重症度や検査の位置づけ、その他種々の条件より決定することができる。この曲線がより左上方に位置するほど、検査方法として、優れていると判断することができる。
本発明において、多重ロジスティック回帰分析による分析値(P値)が0に近いほど健常であり、1に近づくほど大腸がんの危険性が高いと判断するとは、P値がカットオフ値よりも低い場合には健常であると判断し、P値がカットオフ値よりも高い場合に大腸がんの危険性が高いと判断することを意味する。カットオフ値よりも、より低い方が健常であり、より高いほうが大腸がんの危険性が高いと判断することができる。
本発明の大腸がん検査方法では、MS測定値を例えばガスクロマトグラフマススペクトロメーター(GCMS-QP2010 Ultra(登録商標))を用いて測定した場合に、多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)を、以下の式(II)で示すことができる。係る式から得られた結果に基づき、ROC曲線を描くことができる。そしてカットオフ値を、例えば0.4945と設定することができる。実際に検査した結果、P値が0.4945よりも低い場合には健常であると判断し、0.4945よりも高い場合に大腸がんの危険性が高いと判断することができる。
なお、本発明の検査方法は、一つの解析対象分子によるものではなく、マルチな解析対象分子による検査を主体としたものであり、患者の病態をより詳しく反映することができる。これにより、大腸がんの早期診断、治療効果の判定、予後診断などを行うことができる。
本発明の理解を助けるために、以下に実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
(実施例1)ガスクロマトグラフマススペクトロメーター(GC/MS)による測定
神戸大学医学倫理委員会の承認を得て、下記大腸がん患者及び健常者から取得した検体について、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)を解析対象分子とし、各解析対象分子のMS測定値を多重ロジスティック回帰分析により解析を行った。本実施例では、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)は、2-Hydroxy-butyrateを標準品としており、試料中の2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)のカルボキシラートアニオンも含めて2-HBとして測定した。
(試料の調製)
上記大腸がん患者及び健常者から採取した血液を遠心分離(3000rpm、10分間、4℃)して血清を得た。該血清は、使用時まで-80℃で保存した。
次に、溶解した上記血清50μlをエッペンドルフチューブに分注し、抽出溶媒(メタノール:蒸留水:クロロホルム=2.5:1:1の混合溶液)0.25mlと、内部標準として0.5mg/mlの2-イソプロピルリンゴ酸溶液(蒸留水に溶解)10μlを添加して、混合した。次に、1200rpmの速度で混合しながら、37℃で30分間インキュベートした。混合液を遠心分離(16000rpm、3分間、4℃)し、得られた上清を225μl回収して、新しいエッペンドルフチューブに移した。そのエッペンドルフチューブに蒸留水200μlを添加して混合した。混合液を遠心分離(16000rpm、3分間、4℃)し、上清を250μl回収して、新しいエッペンドルフチューブに移した。遠心濃縮機により混合液を濃縮した後に凍結乾燥機により水分を完全に除去した。凍結乾燥物に20mg/mlのメトキシアミン溶液(ピリジンに溶解)40μlを添加して、水浴超音波処理を20分間行った後、1200rpmの速度で混合しながら、30℃で90分間インキュベートした。次に、N-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド20μlを添加して、1200rpmの速度で混合しながら、37℃で30分間インキュベートした。混合液を遠心分離(16000rpm、3分間、4℃)し、上清を試料とした。
(試料の測定)
ガスクロマトグラフマススペクトロメーター(GCMS-QP2010 Ultra(登録商標):島津製作所)を用いて上記試料中のMSを測定した。なお、詳細は、以下の通りである。
試料のインジェクション容量は1μlで、GC キャピラリーカラム(CPSIL8CB low bleed/MS:Varian)を用いた。カラム温度は、測定開始からは80℃で2分間保持し、その後、1分あたり15℃ずつ330℃になるまで上昇させ、続けて、330℃で6分間保持した。イオン源温度は200℃に設定した。
(MS測定データの解析)
上記測定で得られたMSのピークを検出し、得られたデータをMetAlign softwareで補正後、AIoutputに格納されたMSライブラリ内にある各生体分子のMSパターン、各生体分子に特異的な確認用イオンの質量、保持指標の情報に基づき、検出されたキヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)のMS測定値を確認した。
(多重ロジスティック回帰分析による解析)
大腸がん患者60名及び健常人60名について、MS測定値が、キヌレニン(Kyn)では(K)、シスタミン(Cyst)では(C)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)では(H)及びアスパラギン酸(Asp)では(A)としたときに、多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)が0に近いほど健常であり、1に近づくほど大腸がんの危険性が高いと判断するための予測式として、式(II)に示す式を確立した。
(実施例2)大腸がん患者の検査結果(1)
大腸がん患者60名及び健常人60名について、実施例1の手法に基づいて分析し、ROC解析を行った。本検査対象となった患者及び健常人の内訳は、表1に示すとおりである。がんステージは、UICCのTNM悪性腫瘍の分類(第7版)に従った。
P値のカットオフ値を0.4945としたときのROC解析結果を、図1に示した。その結果、感度85%、特異度85%、精度85.0%の結果であった。さらに、がんステージについても確認した。また、従来血液中の腫瘍マーカーとして用いられていたCEA(がん胎児性抗原)及びCA19-9(糖鎖抗原19-9)についても、同様に感度、特異度、及び精度を確認し、比較例として表2に示した。
上記の結果、本発明の検査方法によれば、従来の腫瘍マーカーに比べて、がんステージが初期の段階であっても高い感度で大腸がんと診断しうることが示唆された。
(実施例3)大腸がん患者の検査結果(2)
大腸がん患者59名及び健常人63名について、実施例1の手法に基づいて分析した。本検査対象となった患者及び健常人の内訳は、表3に示すとおりである。実施例2と同様、がんステージは、UICCのTNM悪性腫瘍の分類(第7版)に従った。
実施例2と同様に各がんステージの結果を表4に示した。
上記の結果、本発明の検査方法によれば、実施例2の結果と同様に従来の腫瘍マーカーに比べて、がんステージが初期の段階であっても高い感度で大腸がんと診断しうることが示唆された。
(参考例1)解析対象分子の実測値
本発明の検査方法での解析対象分子について、健常人及び各がんステージでのMS測定値を実施例1の方法により測定したときの実測値を図2に示した。この結果、各解析対象物の実測値は、何れの場合も健常人に比べて高い値を示したものの、ステージの程度と実測値との傾向は必ずしも一定の法則に従うものではなかった。
以上、詳述したように、本発明の検査方法によれば、患者の病態をより詳しく反映することができる。
従来の腫瘍マーカーは、がん細胞より分泌されると考えられるが、がんのステージが初期の場合には、がん細胞そのものが十分に増殖していないので、採血検体中ではこれらのマーカーをほとんど検出することができない。また、血液以外の生体検体を採取したとしても、採取する検体の部位によってはマーカーを検出することができず、検出・診断するための腫瘍マーカーとしては検出感度が低く問題があった。一方、本発明の方法によれば、大腸がんの早期診断、治療効果の判定、予後診断などを行うことができる。
本発明の検査方法は、微量の血液等の検体から測定可能であり、血液等に検体に存在する複数の解析対象分子の測定値を網羅的に解析することにより、大腸がんの総体として捉えて検査する手法であり、ひとつの解析対象分子で検査する結果と比較して、迅速かつ容易に精度の高い検査を行うことができる。

Claims (5)

  1. 採取された生体検体中の生体内代謝産物のうち、キヌレニン(Kyn)、シスタミン(Cyst)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)及びアスパラギン酸(Asp)を解析対象分子とし、各分子のマススペクトル測定値を多重ロジスティック回帰分析により分析することを特徴とする、大腸がん検査方法。
  2. マススペクトル測定値が、キヌレニン(Kyn)では(K)、シスタミン(Cyst)では(C)、2−ヒドロキシ酪酸(2-HB)では(H)及びアスパラギン酸(Asp)では(A)とし、以下の式(I)で示す多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)が、カットオフ値よりも低い場合に健常であると判断し、カットオフ値よりも高い場合に大腸がんの危険性が高いと判断する、請求項1に記載の大腸がん検査方法。
  3. マススペクトル測定値を、ガスクロマトグラフマススペクトロメーター(GCMS-QP2010 Ultra(登録商標))を用いて測定した場合に、多重ロジスティック回帰分析での分析値(P値)が、以下の式(II)で示される、請求項2に記載の大腸がん検査方法。
  4. カットオフ値が0.4945である、請求項2又は3に記載の大腸がん検査方法。
  5. 採取された生体検体が、血液、組織、尿、糞便から選択されるいずれかである請求項1〜4のいずれか1に記載の大腸がん検査方法。
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