JP2013245896A - 空気調和装置 - Google Patents

空気調和装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013245896A
JP2013245896A JP2012121181A JP2012121181A JP2013245896A JP 2013245896 A JP2013245896 A JP 2013245896A JP 2012121181 A JP2012121181 A JP 2012121181A JP 2012121181 A JP2012121181 A JP 2012121181A JP 2013245896 A JP2013245896 A JP 2013245896A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air conditioning
control
upper limit
conditioning load
rotational speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012121181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5920027B2 (ja
Inventor
Takeshi Kusaba
毅 草場
Masahito Tsuchiura
雅人 土浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2012121181A priority Critical patent/JP5920027B2/ja
Publication of JP2013245896A publication Critical patent/JP2013245896A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5920027B2 publication Critical patent/JP5920027B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Air Conditioning Control Device (AREA)

Abstract

【課題】圧縮機の発停回数を更に抑制し、省エネルギー性を更に向上することができる空気調和装置を提供する。
【解決手段】制御装置41は、空調負荷上限回転速度に基づき圧縮機12の回転速度の上限を制御し、暖房運転時にあっては高側圧力センサ43により検出された高圧相当温度が所定の終了時高側温度を下回ることを終了条件に上限制御を終了して、高圧相当温に基づく要求回転速度に基づいて圧縮機12の回転速度を制御する。空調負荷上限回転速度は、室内機30における吸込温度及び設定温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算し、今回の空調負荷温度差から前回の空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算し、制御効果量及び今回の空調負荷温度差に基づいて前回の空調負荷上限回転速度に対して補正する制御量を演算することで求められる。制御量は、圧縮機12の回転速度の上限制御の終了がしにくくなるように、高圧相当温度に基づいて補正される。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気調和装置に関するものである。
従来、制御上の空調負荷を算出して、該空調負荷に基づき空調能力(出力)に相関する圧縮機の回転速度を制御する空気調和装置が知られている。
例えば特許文献1の空気調和装置では、制御上の空調負荷を「室内吸込空気温度と室内設定温度の差」として算出し、その値が予め定められている複数の温度領域のいずれに該当するかにより、圧縮機の駆動周波数の上限周波数を段階的に変化させることが提案されている。例えば空調負荷が大きい温度領域に属する場合には圧縮機の上限周波数を増加させ、反対に空調負荷が小さい温度領域に属する場合には圧縮機の上限周波数を減少させるようにしている。このように、制御上の空調負荷によって圧縮機の上限周波数を定め、圧縮機の駆動周波数(以下、圧縮機の回転速度という)を抑制するとともにそのハンチング幅を抑制することで省エネルギー性の向上が図れるとしている。
特開2007−10200号公報
ところで、特許文献1の空気調和装置の圧縮機回転速度制御は、室内設定温度を目標値とした温度追従型である。つまり、空調負荷に見合った圧縮機の回転速度を適用することで目標値(室内設定温度)への追従性を向上させ、結果、空気調和装置(圧縮機)の発停回数の抑制に繋げるものである。しかしながら、いずれにしても、室内設定温度に収束させて空気調和装置を停止する制御であるため、発停によるエネルギーロスの発生を余儀なくされる。
本発明の目的は、圧縮機の発停回数を更に抑制し、省エネルギー性を更に向上することができる空気調和装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機及び冷房運転時は前記冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は前記冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、冷房運転時は前記冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は前記冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機とを備える空気調和装置において、空調負荷上限回転速度演算手段により演算された空調負荷上限回転速度に基づき前記圧縮機の回転速度の上限を制御する空調負荷上限回転速度制御手段と、冷房運転時にあっては低側検出手段により検出された前記冷媒の低圧相当温度が所定の終了時低側温度を超えることを終了条件に、暖房運転時にあっては高側検出手段により検出された前記冷媒の高圧相当温度が所定の終了時高側温度を下回ることを終了条件に、前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了する終了手段と、前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了後、冷房運転時にあっては前記低圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、使用領域最大回転速度を上限に、前記圧縮機の回転速度を制御する要求回転速度制御手段とを備え、前記空調負荷上限回転速度演算手段は、前記室内機における実際の空気温度及び目標空気温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算する空調負荷温度差演算手段と、今回の前記空調負荷温度差から前回の前記空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算する制御効果量演算手段と、前記制御効果量及び今回の前記空調負荷温度差に基づいて、前回の前記空調負荷上限回転速度に対して補正する制御量を演算する制御量演算手段と、前記終了手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了がしにくくなるように、少なくとも暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づいて前記制御量を補正する制御量補正手段とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記圧縮機の回転速度の上限である空調負荷上限回転速度は、前記制御効果量及び今回の前記空調負荷温度差に基づく前記制御量で前回の前記空調負荷上限回転速度を補正することで演算される。このように、空調負荷上限回転速度の演算に際し、前記制御効果量及び今回の前記空調負荷温度差が反映されることで、空調負荷から本来要求されている前記圧縮機の回転速度の上限をより正確に計算することができ、前記圧縮機の発停回数の抑制により省エネルギー性を向上しつつも、前記室内機が設置されている空間の空気温度を目標空気温度に近付けることができる。
一方、冷房運転時にあっては前記低圧相当温度が前記終了時低側温度を超えることを終了条件に、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度が前記終了時高側温度を下回ることを終了条件に、前記終了手段により前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御が終了される。そして、これに伴い、前記要求回転速度制御手段により、冷房運転時にあっては前記低圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、省エネルギー性の考慮されない自然な成行で、前記圧縮機の回転速度の制御が開始される。
しかしながら、少なくとも暖房運転時には前記終了条件に係る前記高圧相当温度に基づいて、前記制御量補正手段により前記終了手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了がしにくくなるように、前記制御量が補正される。従って、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の期間を延長することができ、当該上限制御の安定性を確保していっそうの省エネルギー効果を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和装置において、冷房運転時にあっては前記低圧相当温度が所定の開始時低側温度を下回り、且つ、前記空調負荷温度差が開始閾値を下回ることを開始条件に、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度が所定の開始時高側温度を超え、且つ、前記空調負荷温度差が開始閾値を下回ることを開始条件に、前記要求回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の制御を終了して、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始する開始手段と、前記開始手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の開始がしにくくなるように、少なくとも暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づいて前記空調負荷温度差を補正する開始条件補正手段とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、少なくとも暖房運転時の前記開始条件に係る前記高圧相当温度に基づいて、前記開始条件補正手段により前記開始手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の開始がしにくくなるように、前記空調負荷温度差が補正される。従って、前記要求回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の制御を過早に終了して前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始し、空調能力不足に陥る可能性を抑制できる。あるいは、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始したものの、結果として当該上限制御を短時間で終了することになるなど、安定性を損ねる可能性を低減できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の空気調和装置において、前記終了手段は、前記空調負荷温度差が終了閾値を超えることの論理和を前記終了条件として、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了するものであり、省エネルギー制御モード時、前記空調負荷温度差が前記終了閾値を超えにくくなるように補正する終了条件補正手段を備えたことを要旨とする。
同構成によれば、省エネルギー制御モード時、前記空調負荷温度差が前記終了閾値を超えにくくなるように、即ち前記終了手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了がしにくくなるように前記終了条件補正手段により補正されることで、前記圧縮機の回転速度の上限制御の期間を延長することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
本発明では、圧縮機の発停回数を更に抑制し、省エネルギー性を更に向上することができる空気調和装置を提供することができる。
本発明の一実施形態を示す冷媒回路図。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 同実施形態の制御態様を示すフローチャート。 凝縮又は蒸発時の温度と圧力との関係を示すグラフ。 省エネルギー率と開始条件補正係数との関係を示す一覧図。 省エネルギー率と終了条件補正係数との関係を示す一覧図。 省エネルギー率と応答速度補正係数との関係を示す一覧図。 制御効果量及び補正された空調負荷温度差と、制御量との関係を示す一覧図。 高圧相当温度と制御量補正係数との関係を示す一覧図。 (a)(b)は、制御量補正係数による制御量の補正の非実施時・実施時におけるガスエンジンのみかけ回転速度及び高圧相当温度を示すタイムチャート。
図1〜図10を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ式の空気調和装置1は、室外機10と、複数の室内機30とを備えて構成されている。なお、複数の室内機30の各々は、その設置される空間(部屋)のサイズ等に合わせてその容量が選択・設定されており、少なくとも一つの室内機30の容量がその他の室内機30の容量と異なっていてもよい。
室外機10には、ガス会社から供給される燃料ガス(例えばプロパンガス、天然ガス等)を燃焼等することで回転動力を発生するガスエンジン11が設置されるとともに、該ガスエンジン11に回転駆動され回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機12が設置されている。この圧縮機12は、その吸入管12aから吸入した冷媒を圧縮するとともに、その吐出管12bに冷媒配管13aを介して接続された四方弁14に冷媒を送り出す。四方弁14は、冷媒配管13bを介して室外機熱交換器15に接続されるとともに、冷媒配管13dを介して各室内機30(室内機熱交換器31)に接続されている。また、四方弁14は、冷媒配管13fを介してアキュームレータ18に接続されるとともに、該アキュームレータ18は、冷媒配管13gを介して圧縮機12の吸入管12aに接続されている。
前記室外機熱交換器15は、冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能するもので、冷媒配管13hを介して室内機30(電子膨張弁32)に接続されている。そして、冷媒配管13hには、室内機30側への冷媒の流れを許容する逆止弁21が配置されるとともに、該逆止弁21と並列で電子膨張弁22が配置されている。
各室内機30に設置された室内機熱交換器31は、前記冷媒配管13dに接続されるとともに、電子膨張弁32に接続されている。そして、電子膨張弁32は、前記冷媒配管13hに接続されている。室内機熱交換器31は、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する。
なお、圧縮機12の吸入管12a及び吐出管12b間をバイパスするバイパス管13jが設けられるとともに、該バイパス管13jに容量調整弁25が設けられている。この容量調整弁25の開度を調整することで、バイパス管13jを流れる冷媒流量が調整され、ガスエンジン11の回転速度を著しく低下させることなく空調能力の低減が可能となる。
次に、空気調和装置1の冷媒の流れについて説明する。なお、冷房及び暖房の各運転時における冷媒の流れを実線矢印及び破線矢印にて表している。
まず、冷房運転時において、圧縮機12の吐出管12bを出た冷媒は、四方弁14を通過した後、凝縮器として機能する室外機熱交換器15に導かれる。室外機熱交換器15において、冷媒は室外の空気(外気)により熱を奪われ、凝縮・液化する。その後、逆止弁21を介して室内機30に導かれた冷媒は、電子膨張弁32において減圧されるとともに、蒸発器として機能する室内機熱交換器31において、室内の空気の熱を奪い気化する。その後、冷媒は、四方弁14及びアキュームレータ18を介して圧縮機12の吸入管12aに戻る。以上の過程を経ることで、室内が冷房される。
一方、暖房運転時において、圧縮機12の吐出管12bを出た冷媒は、四方弁14を通過した後、室内機30に導かれる。そして、冷媒は、凝縮器として機能する室内機熱交換器31において、室内の空気に熱を放出し、凝縮・液化する。その後、電子膨張弁32において減圧された冷媒は、電子膨張弁22において更に減圧されて室外機熱交換器15に導かれる。そして、冷媒は、蒸発器として機能する室外機熱交換器15において、室外の空気の熱を吸収・気化する。その後、室外機熱交換器15からの四方弁14を介した冷媒が、アキュームレータ18を介して圧縮機12の吸入管12aに戻る。以上の過程を経ることで、室内が暖房される。
次に、本実施形態の電気的構成について更に説明する。
図1に示すように、室外機10には、ガスエンジン11及び四方弁14等を駆動制御する制御装置41が設けられている。この制御装置41は、マイコンを主体に構成されており、前記吸入管12aの冷媒圧力PLを検出する低側検出手段としての低側圧力センサ42及び前記吐出管12bの冷媒圧力PHを検出する高側検出手段としての高側圧力センサ43にそれぞれ電気的に接続されている。また、制御装置41は、ガスエンジン11の回転速度を検出する回転速度センサ44に電気的に接続されている。
一方、各室内機30には、電子膨張弁32等を駆動制御する制御装置46が設けられている。この制御装置46は、マイコンを主体に構成されており、当該室内機30の空気温度としての吸込温度Tsを検出する温度センサ47に電気的に接続されている。また、制御装置46は、当該室内機30に設定されている目標空気温度としての温度調整の設定温度(操作パネルやリモコン等の設定温度)Tm及び当該室内機30の容量(馬力)PWを、その内蔵する記憶手段に記憶する。
そして、制御装置41は、冷房運転時にあっては吸入管12aの低圧相当温度TLに基づく要求回転速度に基づいて圧縮機12の回転速度を制御(以下、「冷房時蒸発圧力要求制御」ともいう)する。図4に示すように、低圧相当温度TLは、吸入管12aの冷媒圧力PL(蒸発圧力)に相関するもので、前記低側圧力センサ42により検出される。また、制御装置41は、暖房運転時にあっては吐出管12bの高圧相当温度THに基づく要求回転速度に基づいて圧縮機12の回転速度を制御(以下、「暖房時凝縮圧力要求制御」ともいう)する。図4に示すように、高圧相当温度THは、吐出管12bの冷媒圧力PH(凝縮圧力)に相関するもので、前記高側圧力センサ43により検出される。
また、制御装置41は、複数の顧客の空気調和装置1を集約的に管理する管理センターの管理装置(例えばコンピュータなど)50に、集中制御機器51を介して電気的に接続されている。管理装置50は、予め設定されている種々の条件に基づいて、省エネルギー化を促すべく、集中制御機器51を介して選択的に省エネルギー制御モード指示を制御装置41に送信する。省エネルギー制御モード指示を受信した制御装置41は、一定の条件を満たすことで、冷房時蒸発圧力要求制御又は暖房時凝縮圧力要求制御に代えて、圧縮機12の回転速度の上限制御を実施する。
すなわち、制御装置41は、運転中の各室内機30の吸込温度Ts、設定温度Tm及び容量PW等を適宜の通信手段を通じて取得可能に構成されており、これら吸込温度Ts、設定温度Tm及び容量PWに基づいて装置全体の空調負荷(全室内機30で合計した空調負荷)を算出する。そして、制御装置41は、例えば装置全体の空調負荷に基づいて、圧縮機12の回転速度の上限を制御する。この制御は、特に低負荷運転中に省エネルギー性の向上を目的に圧縮機12の回転速度を低下させるためのものである。
なお、冷房時蒸発圧力要求制御又は暖房時凝縮圧力要求制御は、実際にはガスエンジン11の回転速度制御で行っている。より厳密には、このときのガスエンジン11の回転速度制御は、ガスエンジン11のみかけ回転速度の制御(以下、「要求回転速度制御」ともいう)で行っている(要求回転速度制御手段)。同様に、圧縮機12の回転速度の上限制御は、実際にはガスエンジン11の回転速度の上限制御で行っている。より厳密には、ガスエンジン11の回転速度の上限制御は、ガスエンジン11のみかけ回転速度の上限制御(以下、「空調負荷上限回転速度制御」ともいう)で行っている(空調負荷上限回転速度制御手段)。これは、圧縮機12の回転速度を直接監視できない構成になっていることによる。また、ガスエンジン11のみかけ回転速度を利用しているのは、空調能力に相関する冷媒流量が以下の要素に影響されることによる。実施形態では、これらの要素をファクターとする冷媒流量とみかけ回転速度との相関を示すマップによって、みかけ回転速度によって冷媒流量を代替している。
[1]ガスエンジン11の実際の回転速度
[2]ガスエンジン11に回転駆動される圧縮機12の接続台数
[3]ガスエンジン11の回転速度を著しく低下させることなく空調能力を低減するために、圧縮機12の吸入管12a及び吐出管12b間をバイパスするバイパス管13jに設けられた容量調整弁25の開度
従って、みかけ回転速度とは、冷媒流量と1対1で対応するようにこれらの要素を考慮して導入されたガスエンジン11の回転速度の概念である。例えばガスエンジン11の実際の回転速度が同一であるとして、圧縮機12の接続台数が多くなればその分、みかけ回転速度が大きく計算・設定され、反対に圧縮機12の接続台数が少なくなればその分、みかけ回転速度が小さく計算・設定される。あるいは、ガスエンジン11の実際の回転速度が同一であるとして、圧縮機12の容量調整弁25の開度が小さくなればその分、みかけ回転速度が大きく計算・設定され、反対に圧縮機12の容量調整弁25の開度が大きくなればその分、みかけ回転速度が小さく計算・設定される。
このみかけ回転速度を利用することで、冷媒流量制御の計算を簡略化することができる。各種回転速度制御に係る以下の説明では、ガスエンジン11のみかけ回転速度を用いて説明する。
ここで、制御装置41による冷房運転時のガスエンジン11のみかけ回転速度の制御態様についてより具体的に説明する。
まず、省エネルギー制御モード指示の有無に関わらず、使用領域最大回転速度Nmaxを上限にガスエンジン11のみかけ回転速度の要求回転速度が計算される。ガスエンジン11のみかけ回転速度が要求回転速度に制御される要求回転速度制御の実施時は、ガスエンジン11のみかけ回転速度即ち空調能力が十分に確保され、各室内機30が設置されている空間での快適性が迅速に向上される。なお、使用領域最大回転速度Nmaxは、例えば制御装置41等の異常過熱や圧縮機12の過負荷運転等を回避し得る規格上(システム)の上限回転速度である。
一方、省エネルギー制御モード指示があるときは、以下の態様でガスエンジン11のみかけ回転速度の空調負荷上限回転速度Nが計算される。なお、省エネルギー制御モード指示には、省エネルギー制御の実施指示のみならず、省エネルギー率(実施時の目標とする省エネルギーの度合い)も含まれる。空調負荷上限回転速度Nの計算に際しては、省エネルギー率に応じた補正が加わるようになっているため、以下では、省エネルギー率が0%であるときの空調負荷上限回転速度Nの基本的な計算方法等について最初に説明する。
まず、制御装置41は、下式(1)に従って空調負荷温度差ΔTsの演算を開始する(空調負荷上限回転速度演算手段、空調負荷温度差演算手段)。
空調負荷温度差ΔTs=(運転中の各室内機30の(容量PW×(吸込温度Ts−設定温度Tm))を運転中の全ての室内機30で合計した値)÷(運転中の各室内機30の容量PWを運転中の全ての室内機30で合計した値)
…(1)
このように演算された空調負荷温度差ΔTsには、運転中の各室内機30の容量PWが盛り込まれている。
そして、室内機30の操作パネルやリモコンのオンにより室外機10(ガスエンジン11)を始動してから所定時間(例えば5分)以上を経過すると、制御装置41は、冷媒の低圧相当温度TLが所定の開始時低側温度VTc(例えば6°C)を下回り、且つ、空調負荷温度差ΔTsが開始閾値としての所定温度差DTc(例えば2°C)を下回ることを開始条件に、前述の空調負荷上限回転速度制御を開始する(開始手段)。
換言すれば、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過するまでは前述の要求回転速度制御(冷房時蒸発圧力要求制御)を継続して、空調負荷上限回転速度制御を開始しない。これは、空調負荷上限回転速度制御に先立って、システムを最低限安定させておくためである。また、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過しても、冷媒の低圧相当温度TLが高く装置全体としての室内機30の吹出し温度が高いと見なせる運転領域では、空調負荷上限回転速度制御を開始しない(待機する)。これは、最低限の蒸発能力を確保したいためである。さらに、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過しても、空調負荷温度差ΔTsが大きく装置全体としての空調負荷が大きいと見なせる運転領域では、ガスエンジン11のみかけ回転速度を下げる必要がないことから空調負荷上限回転速度制御を開始しない(待機する)。
システムが安定し、装置全体としての空調負荷が下がったと判断されると、制御装置41は、空調負荷上限回転速度制御を開始する。すなわち、制御装置41は、当該制御の初期回転速度(初期値)としてガスエンジン11の現在のみかけ回転速度に「0.9」を乗じた値を与える。そして、制御装置41は、前記初期回転速度でガスエンジン11のみかけ回転速度の上限制御を実施後、回転速度制御周期である所定時間T(例えば30秒)の経過後まで待機する。所定時間Tを経過した次回の制御周期時、制御装置41は制御量ΔN及び制御効果量Eに基づき下式(2)に従って空調負荷上限回転速度Nを演算する(空調負荷上限回転速度演算手段、制御効果量演算手段、制御量演算手段)。制御量ΔNは空調負荷上限回転速度の前回値との差分である。制御効果量Eは制御量ΔNを与えたときの空調負荷変動量であり、制御量ΔNに対しての温度変化度合い、つまり効果を示すものである。
空調負荷上限回転速度N(i)=前回の空調負荷上限回転速度N(i−1)+(前回制御量ΔN(i−1)/制御効果量E(i))×空調負荷温度差ΔTs(i)
(iは制御周期の回数)
ただし、
前回制御量ΔN(i−1)=前回の空調負荷上限回転速度N(i−1)−前々回の空調負荷上限回転速度N(i−2)
制御効果量E(i)=今回の空調負荷温度差ΔTs(i)−前回の空調負荷温度差ΔTs(i−1)
…(2)
なお、空調負荷上限回転速度制御の開始時、初期回転速度としてガスエンジン11の現在のみかけ回転速度に「0.9」を乗じた値を与えたとき、前回制御量の初期値としてガスエンジン11のみかけ回転速度に「0.1」を乗じた値が採用される。
つまり、ガスエンジン11のみかけ回転速度を下げるための制御量ΔN(i)(=空調負荷上限回転速度N(i)−前回の空調負荷上限回転速度N(i−1))は、前回制御量ΔN(i−1)とその制御量ΔN(i−1)を与えたときの空調負荷変動量(制御効果量E(i))に基づいて決定される。このように、空調負荷上限回転速度の演算に際し、前回制御量とその制御量を与えたときの空調負荷変動量(制御効果量)が反映されることで、空調負荷から本来要求されているガスエンジン11のみかけ回転速度の上限がより正確に計算される。
以後、制御装置41は、所定時間Tの経過ごとに同様の制御(空調負荷上限回転速度制御)を繰り返す。ガスエンジン11のみかけ回転速度が上限制御される空調負荷上限回転速度制御の実施時は、省エネルギー性の向上を目的にガスエンジン11のみかけ回転速度が低下される。
また、前述の態様で空調負荷上限回転速度制御を繰り返しているとき、外気温度の上昇や運転中の室内機数の増加などに伴う運転容量の増加等で空調負荷が増加した場合には、制御装置41は、ガスエンジン11のみかけ回転速度を再び上昇させる必要があることから、空調負荷上限回転速度制御を終了して、前述の要求回転速度制御(冷房時蒸発圧力要求制御)を再開する。
具体的には、制御装置41は、空調負荷温度差ΔTsが終了閾値としての所定温度差DTc1(例えば3°C)以上になることを終了条件に、空調負荷上限回転速度制御を終了して、要求回転速度制御を再開する。これにより、空調負荷温度差ΔTsが大きく装置全体としての空調負荷が大きいと見なせる運転領域において、ガスエンジン11のみかけ回転速度が徒に下げられることを防止することができる。あるいは、制御装置41は、冷媒の低圧相当温度TLが所定の終了時低側温度VTc1(例えば10°C)以上になることを終了条件に、空調負荷上限回転速度制御を終了して、要求回転速度制御を再開する。これにより、冷媒の低圧相当温度TLが高く装置全体としての室内機30の吹出し温度が高いと見なせる運転領域において、ガスエンジン11のみかけ回転速度が徒に下げられることを防止することができる。なお、空調負荷上限回転速度制御から要求回転速度制御に切り替える際にガスエンジン11のみかけ回転速度が急増することを回避するため、該回転速度の上限を漸増させていくことがより好ましい。空調負荷上限回転速度制御の終了後、要求回転速度制御の再開に伴い、冷媒の低圧相当温度TLが開始時低側温度VTcを下回り、且つ、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTcを下回ると、空調負荷上限回転速度制御が再開されることはいうまでもない。
また、空調負荷上限回転速度Nを演算した際(式(2))、該空調負荷上限回転速度Nで空気調和装置1の運転を継続するよりも、該室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)を発停した方がエネルギー消費量(所定時間内のガス消費量に相当)が少ないと判断される場合には、室外機10の運転が強制的に停止されるようになっている。
なお、空気調和装置1の運転を継続する際のエネルギー消費量は、以下の要素に基づいて算出される。
[1]目標とする空調負荷に到達してからの経過時間
[2]ガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度、接続台数、容量調整弁開度)の空調負荷上限回転速度
従って、例えば目標とする空調負荷に到達してからの経過時間が所定時間Tth以上となり、ガスエンジン11のみかけ回転速度の空調負荷上限回転速度が所定値Nth未満となり、ガスエンジン11のみかけ回転速度が所定値NGth未満となるとき(圧縮機12の回転速度が所定値NCth未満となり、且つ、容量調整弁開度が所定値Ath未満となるとき相当)、室外機10の運転が停止されるようになっている。なお、吸込温度Tsが設定温度Tmより所定温度以上離れた場合など再び室内機30から温調要求があった場合、運転停止後所定時間経過の後に室外機10の運転を再開する。
なお、省エネルギー制御モード指示がないときや、省エネルギー制御モード指示があっても空調負荷上限回転速度制御の開始条件の非成立時又は終了条件の成立時は、空調負荷上限回転速度Nとして使用領域最大回転速度Nmaxが設定されるようになっている。そして、省エネルギー制御モード指示の有無に関わらず、前述の態様で計算等された要求回転速度及び空調負荷上限回転速度Nのうちの小さい方の回転速度になるようにガスエンジン11のみかけ回転速度が制御される。これにより、特に空調負荷上限回転速度制御の実施時は、ガスエンジン11の発停回数の抑制により省エネルギー性を向上することができる。一方、省エネルギー制御モード指示がないときや、省エネルギー制御モード指示があっても空調負荷上限回転速度制御の開始条件の非成立時又は終了条件の成立時は、自ずと要求回転速度制御が実施される。
次に、制御装置41による暖房運転時のガスエンジン11のみかけ回転速度の制御態様について説明する。なお、暖房運転時の上記制御は、基本的に前述の冷房運転時に準じて行われるため、ここでは冷房運転時との相違点のみを抽出して説明する。
省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、省エネルギー率が0%であるとして、下式(3)に従って空調負荷温度差ΔTsの演算を開始する(空調負荷上限回転速度演算手段、空調負荷温度差演算手段)。
空調負荷温度差ΔTs=(運転中の各室内機30の(容量PW×(設定温度Tm−吸込温度Ts))を運転中の全ての室内機30で合計した値)÷(運転中の各室内機30の容量PWを運転中の全ての室内機30で合計した値)
…(3)
そして、室内機30の操作パネルやリモコンのオンにより室外機10(ガスエンジン11)を始動してから所定時間(例えば5分)以上を経過すると、制御装置41は、冷媒の高圧相当温度THが所定の開始時高側温度CTh(例えば39°C)以上となり、且つ、空調負荷温度差ΔTsが開始閾値としての所定温度差DTh(例えば2°C)を下回ることを開始条件に、前述の空調負荷上限回転速度制御を開始する(開始手段)。開始時高側温度CThは、室内機30において快適と感じられる吹出し温度に基づき設定されている。
換言すれば、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過するまでは前述の要求回転速度制御(暖房時凝縮圧力要求制御)を継続して、空調負荷上限回転速度制御を開始しない。これは、空調負荷上限回転速度制御に先立って、システムを最低限安定させておくためである。また、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過しても、冷媒の高圧相当温度THが低く装置全体としての室内機30の吹出し温度が低いと見なせる運転領域では、空調負荷上限回転速度制御を開始しない(待機する)。これは、最低限の凝縮能力を確保したいためである。さらに、制御装置41は、室外機10を始動してから前記所定時間以上を経過しても、空調負荷温度差ΔTsが大きく装置全体としての空調負荷が大きいと見なせる運転領域では、ガスエンジン11のみかけ回転速度を下げる必要がないことから空調負荷上限回転速度制御を開始しない(待機する)。
システムが安定し、装置全体としての空調負荷が下がった判断されると、制御装置41は、空調負荷上限回転速度制御を開始する。この際、制御装置41は、式(3)に基づき演算された空調負荷温度差ΔTsを前記式(2)に適用して空調負荷上限回転速度Nを演算する(空調負荷上限回転速度演算手段、制御効果量演算手段、制御量演算手段)。空調負荷上限回転速度の演算に際し、前回制御量とその制御量を与えたときの空調負荷変動量(制御効果量)が反映されることで、空調負荷から本来要求されている圧縮機12の回転速度の上限がより正確に計算されることは既述のとおりである。
所定時間Tの経過ごとに空調負荷上限回転速度制御を繰り返しているとき、外気温度の下降や運転中の室内機数の増加などに伴う運転容量の増加等で空調負荷が増加した場合には、制御装置41は、ガスエンジン11のみかけ回転速度を再び上昇させる必要があることから、空調負荷上限回転速度制御を終了して、前述の要求回転速度制御(暖房時凝縮圧力要求制御)を再開する。具体的には、制御装置41は、空調負荷温度差ΔTsが終了閾値としての所定温度差DTh1(例えば3°C)以上になることを終了条件に、空調負荷上限回転速度制御を終了して、要求回転速度制御を再開する。これにより、空調負荷温度差ΔTsが大きく装置全体としての空調負荷が大きいと見なせる運転領域において、圧縮機12の回転速度が徒に下げられることを防止することができる。あるいは、制御装置41は、冷媒の高圧相当温度THが所定の終了時高側温度CTh1(例えば37°C)を下回ることを終了条件に、空調負荷上限回転速度制御を終了して、要求回転速度制御を再開する。終了時高側温度CTh1は、室内機30において不快と感じられる吹出し温度に基づき設定されている。これにより、冷媒の高圧相当温度THが低く装置全体としての室内機30の吹出し温度が低いと見なせる運転領域において、ガスエンジン11のみかけ回転速度が徒に下げられることを防止することができる。なお、空調負荷上限回転速度制御の終了後、要求回転速度制御の再開に伴い、冷媒の高圧相当温度THが開始時高側温度CTh以上となり、且つ、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTh1を下回ると、空調負荷上限回転速度制御が再開されることはいうまでもない。
次に、省エネルギー制御モード指示に含まれる省エネルギー率と、これに対応する空調負荷上限回転速度制御の補正態様について説明する。
省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、図5に従って省エネルギー率に対応する開始条件補正係数αを設定する。この開始条件補正係数αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件に係る前記所定温度差DTc,DThを補正するものである。具体的には、開始条件補正係数αは、省エネルギー率が0%のときに零であって、省エネルギー率が大きくなるに従って、大きくなるように設定されている。そして、省エネルギー率が0%のときの空調負荷上限回転速度制御の開始条件であるΔTs<DTc,DThを、ΔTs<DTc,DTh+αと補正する。つまり、開始条件補正係数αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件を緩和してこれを開始しやすくするためのものである。
また、省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、図6に従って省エネルギー率に対応する終了条件補正係数βを設定する。この終了条件補正係数βは、空調負荷上限回転速度制御の終了条件に係る前記所定温度差DTc1,DTh1を補正するものである(終了条件補正手段)。具体的には、終了条件補正係数βは、省エネルギー率が0%のときに零であって、省エネルギー率が大きくなるに従って、大きくなるように設定されている。そして、省エネルギー率が0%のときの空調負荷上限回転速度制御の終了条件であるΔTs<DTc1,DTh1を、ΔTs<DTc1,DTh1+βと補正する。つまり、終了条件補正係数βは、空調負荷上限回転速度制御の終了条件を厳正してこれを終了しにくくするためのものである。
さらに、省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、図7に従って省エネルギー率に対応する応答速度補正係数γを設定する。この応答速度補正係数γは、目標とする空調負荷への応答速度(追従性)に係る空調負荷温度差ΔTs自体を補正するものである。具体的には、応答速度補正係数γは、省エネルギー率が0%のときに零であって、省エネルギー率が大きくなるに従って、大きくなるように設定されている。そして、省エネルギー率が0%のときの空調負荷温度差ΔTs(式(1)(3)参照)を、ΔTs’=ΔTs−γと補正する(空調負荷温度差補正手段)。そして、空調負荷上限回転速度制御では、補正後の空調負荷温度差ΔTs’が適用される。従って、応答速度補正係数γは、本来の空調負荷温度差ΔTsが小さくなるように補正するもの、即ち目標とする空調負荷に収束しているように見せかけて、該目標とする空調負荷へと収束しにくくする(応答速度を遅くする)ためのものである。
ところで、ガスエンジン11のみかけ回転速度の空調負荷上限回転速度Nの計算に際しては、制御装置41は、図8に示す制御効果量と空調負荷温度差ΔTs’(省エネルギー率に応じて補正された空調負荷温度差ΔTs)との関係を示す一覧図を利用して制御量ΔNを取得する。そして、制御装置41は、基本的に空調負荷上限回転速度Nを下式(4)に従って計算する。これは、制御量ΔNの取得を簡略化して空調負荷上限回転速度Nの演算負荷を軽減するためである。
空調負荷上限回転速度N(i)=前回の空調負荷上限回転速度N(i−1)+制御量ΔN(i)
…(4)
そして、特に暖房運転時において省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、空調負荷上限回転速度制御の終了条件に係る冷媒の高圧相当温度THに基づいて制御量ΔN自体を補正する(制御量補正手段)。具体的には、制御装置41は、図9に従って暖房運転時における高圧相当温度THに対応する制御量補正係数δを設定する。この制御量補正係数δは、高圧相当温度THが所定温度A(例えば39°C)未満のときに「1」に設定され、所定温度A以上であり、且つ、所定温度B(例えば42°C)未満のときに「0」に設定される。また、制御量補正係数δは、高圧相当温度THが所定温度B以上であり、且つ、所定温度C(例えば45°C)未満のときに「0.5」に設定され、所定温度C(例えば39°C)以上のときに「1」に設定される。
そして、制御装置41は、この制御量補正係数δにより制御量ΔNを補正して空調負荷上限回転速度Nを下式(5)に従って計算する。
空調負荷上限回転速度N(i)=前回の空調負荷上限回転速度N(i−1)+制御量ΔN(i)×δ
…(5)
従って、制御量ΔNは、冷媒の高圧相当温度THが空調負荷上限回転速度制御を終了させる終了時高側温度CTh1に比較的近い温度領域(A<高圧相当温度TH≦C)のときに低減されるように補正される。これは、空調負荷上限回転速度制御が終了しやすい状況下で空調負荷上限回転速度Nを著しく変動させて空調負荷上限回転速度制御が終了しやすくなることを回避するためである。
一方、制御量ΔNは、冷媒の高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1に近似する温度領域(高圧相当温度TH<A)のときに補正されない(制御量補正係数δ=1)。これは、空調負荷上限回転速度制御を終了して要求回転速度制御を開始すべき状況下で徒に空調負荷上限回転速度制御を継続して空調能力不足に陥る可能性を抑制するためである。
なお、制御量ΔNは、冷媒の高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1から離れる温度領域(高圧相当温度TH≧C)のときにも補正されない(制御量補正係数δ=1)。これは、空調負荷上限回転速度制御が終了しにくい状況下で空調負荷上限回転速度Nを著しく変動させても空調負荷上限回転速度制御が終了する可能性が低いためである。
次に、制御装置41によるガスエンジン11のみかけ回転速度の制御態様について暖房運転時を代表して説明する。
図3に示すように、室内機30の操作パネルやリモコンのオンにより処理がこのルーチンに移行すると、前述の態様で要求回転速度制御時のガスエンジン11のみかけ回転速度が計算・設定され(S1)、続いて空調負荷上限回転速度制御時のガスエンジン11のみかけ回転速度が計算・設定される(S10)。
すなわち、図2に示すように、省エネルギー制御モード指示があるか否かが判断され(S11)、省エネルギー制御モード指示がある場合にはその省エネルギー率に対応する開始条件補正係数α、終了条件補正係数β及び応答速度補正係数γがそれぞれ決定される(S12)。そして、空調負荷温度差ΔTs,ΔTs’が決定され(S13)、冷媒の高圧相当温度THに対応する制御量補正係数δが決定される(S14)。
次に、現在、空調負荷上限回転速度制御を実施中か否かが判断され(S15)、実施中でなければ、室外機10が始動されてから前記所定時間以上経過したか否かが判断される(S16)。そして、室外機10が始動されてから前記所定時間以上経過している場合には、冷媒の高圧相当温度THが開始時高側温度CTh以上か否かが判断される(S17)。
ここで、冷媒の高圧相当温度THが開始時高側温度CTh以上の場合には、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DThに開始条件補正係数αを加算した値(=DTh+α)よりも小さいか否かが判断される(S18)。そして、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DThに開始条件補正係数αを加算した値よりも小さい場合には、目標とする空調負荷への収束に近付いていることから、空調負荷上限回転速度制御が開始される(S19)。すなわち、当該制御の初期回転速度としてガスエンジン11の現在のみかけ回転速度に「0.9」を乗じた値が空調負荷上限回転速度として設定される(S20)。
なお、S11において省エネルギー制御モード指示がないと判断され、あるいはS16において室外機10が始動されてから前記所定時間以上経過していないと判断され、あるいはS17において冷媒の高圧相当温度THが開始時高側温度CTh未満と判断され、あるいはS18において空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DThに開始条件補正係数αを加算した値以上と判断された場合には、空調負荷上限回転速度として使用領域最大回転速度Nmaxが設定される(S28)。
そして、S20又はS28の処理をした後、図3の処理に戻って、前述の要求回転速度が空調負荷上限回転速度よりも大きいか否かが判断される(S2)。ここで、要求回転速度が空調負荷上限回転速度よりも大きいと判断されると、ガスエンジン11のみかけ回転速度として空調負荷上限回転速度が設定され(S3)、要求回転速度が空調負荷上限回転速度以下と判断されると、ガスエンジン11のみかけ回転速度として要求回転速度が設定される(S4)。従って、空調負荷上限回転速度が設定された場合には、空調負荷上限回転速度制御が実施され、要求回転速度が設定された場合には、要求回転速度制御が実施される。なお、S28において空調負荷上限回転速度として使用領域最大回転速度Nmaxが設定されている場合には、当然ながら要求回転速度制御が実施される。換言すれば、S28の処理は、空調負荷上限回転速度制御を非実施にするためのものである。
空調負荷上限回転速度制御が実施(開始)され、前記所定時間Tが経過して次回の制御周期に至ると、通常はS11〜S14を経てS15で空調負荷上限回転速度制御を実施中と判断される。このとき、制御効果量と補正後の空調負荷温度差ΔTs’とから今回制御量が算出され(S21)、前回の空調負荷上限回転速度に制御量補正係数δで補正した今回制御量を加算することで空調負荷上限回転速度が算出される(S22)。
次に、この空調負荷上限回転速度で空調負荷上限回転速度制御を継続した場合のエネルギー消費量の方が、室外機10を発停させた場合のエネルギー消費量よりも大きいか否かが判断される(S23)。そして、空調負荷上限回転速度で空調負荷上限回転速度制御を継続した場合のエネルギー消費量の方が小さい場合には、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTh1に終了条件補正係数βを加算した値(=DTh1+β)以上か否かが判断される(S24)。そして、空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTh1に終了条件補正係数βを加算した値を下回る場合には、目標とする空調負荷への収束に近付いた状態のままであることから、更に冷媒の高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1未満か否かが判断される(S25)。そして、冷媒の高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1以上の場合には、装置全体としての室内機30の吹出し温度が高いと見なせることから、そのまま図3の処理に戻って空調負荷上限回転速度制御が継続される。
一方、S24の判断において空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTh1に終了条件補正係数βを加算した値以上の場合には、目標とする空調負荷から離れていることから、空調負荷上限回転速度制御が終了され(S26)、空調負荷上限回転速度として使用領域最大回転速度Nmaxが設定される(S28)。あるいは、S25の判断において冷媒の高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1未満の場合には、装置全体としての室内機30の吹出し温度が低いと見なせることから、空調負荷上限回転速度制御が終了され(S26)、空調負荷上限回転速度として使用領域最大回転速度Nmaxが設定される(S28)。S28の処理をした後、図3の処理に戻ることで、S2の判断においてガスエンジン11のみかけ回転速度として要求回転速度が設定され、前述の要求回転速度制御が実施(再開)されることはいうまでもない。
また、S22において空調負荷上限回転速度制御を継続した場合のエネルギー消費量の方が、室外機10を発停させた場合のエネルギー消費量よりも大きいと判断されると、空調停止フラグが設定される(S27)。この空調停止フラグは、室外機10(ガスエンジン11等)を停止させるためのフラグである。従って、空調停止フラグが設定されると、その後のガスエンジン11のみかけ回転速度の設定等に関わらず、室外機10(ガスエンジン11等)が停止されるようになっている。
次に、本実施形態の動作について説明する。
室外機10が始動されると、通常は空調負荷が大きいことから、省エネルギー制御モード指示の有無に関わらず、要求回転速度制御が実施される。要求回転速度制御の実施に伴い、目標とする空調負荷に近付くと、省エネルギー制御モード指示がある場合には前述の条件を満たすことで空調負荷上限回転速度制御が開始・実施される。これにより、空調負荷から本来要求されているガスエンジン11のみかけ回転速度の上限がより正確に計算され、室外機10(ガスエンジン11等)の発停回数が抑制される。
特に、省エネルギー制御モード指示の省エネルギー率に対応する開始条件補正係数αに基づいて空調負荷上限回転速度制御の開始条件が緩和されることで、速やかに空調負荷上限回転速度制御が開始される。また、省エネルギー制御モード指示の省エネルギー率に対応する終了条件補正係数βに基づいて空調負荷上限回転速度制御の終了条件が厳正されることで、空調負荷上限回転速度制御の期間がより長く延長される。さらに、省エネルギー制御モード指示の省エネルギー率に対応する応答速度補正係数γに基づいて目標とする空調負荷により収束しにくくなるように空調負荷温度差ΔTsが補正されることで、室外機10(ガスエンジン11等)の発停回数がいっそう抑制される。
加えて、省エネルギー制御モード時、暖房運転時には空調負荷上限回転速度制御の終了条件に係る高圧相当温度THに基づく制御量補正係数δで、空調負荷上限回転速度制御の終了がしにくくなるように、今回制御量が補正される。従って、空調負荷上限回転速度制御の期間を更に延長することができ、当該空調負荷上限回転速度制御の安定性を確保していっそうの省エネルギー効果を得ることができる。
すなわち、図10(a)に示すように、制御量補正係数δによる今回制御量の補正がない場合には、高圧相当温度THと終了時高側温度CTh1との大小関係が頻繁に切り替わって、空調負荷上限回転速度制御の開始・終了を繰り返していることが確認される。このように、制御安定性(制御開始←→制御終了)に欠けることで、省エネルギー効果の低下を余儀なくされる。これは、空調負荷変動量(制御効果量E)と制御上の空調負荷(空調負荷温度差ΔTs)の相関と、設定された省エネルギー率に応じて補正された制御上の空調負荷(ΔTs’)をもって、制御量を算出し、前回の空調負荷上限回転速度に対して当該制御量を加算することで空調負荷の目標値に収束させる方式としているが、終了条件(高圧相当温度TH)との相関をもった空調負荷上限回転速度としていないことによる。
一方、図10(b)に示すように、制御量補正係数δによる今回制御量の補正がある場合には、高圧相当温度THと終了時高側温度CTh1との大小関係の切り替わりが抑えられ、空調負荷上限回転速度制御の安定性が確保されていることが確認される。このように、制御安定性を確保することで、省エネルギー効果の更なる向上が見込まれる。これは、制御量の算出に終了条件にて使用する要素(高圧相当温度TH)を加えたことによる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)の上限である空調負荷上限回転速度は、制御効果量及び今回の空調負荷温度差ΔTs(ΔTs’)に基づく制御量ΔNで前回の空調負荷上限回転速度を補正することで演算される。このように、空調負荷上限回転速度の演算に際し、制御効果量及び今回の空調負荷温度差ΔTs(ΔTs’)が反映されることで、空調負荷から本来要求されているガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)の上限をより正確に計算することができる。そして、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)の発停回数の抑制により省エネルギー性を向上しつつも、室内機30が設置されている空間の吸込温度Tsを設定温度Tmに近付けることができる。
一方、冷房運転時にあっては低圧相当温度TLが終了時低側温度VTc1を超えることを終了条件に、暖房運転時にあっては高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1を下回ることを終了条件に、空調負荷上限回転速度制御が終了される。そして、これに伴い、冷房運転時にあっては低圧相当温度TLに基づく要求回転速度に基づいて、暖房運転時にあっては高圧相当温度THに基づく要求回転速度に基づいて、省エネルギー性の考慮されない自然な成り行きで、要求回転速度制御が開始される。
しかしながら、暖房運転時には終了条件に係る高圧相当温度THに基づいて、空調負荷上限回転速度制御の終了がしにくくなるように、制御量ΔNが補正される。従って、空調負荷上限回転速度制御の期間を延長することができ、当該空調負荷上限回転速度制御の安定性を確保していっそうの省エネルギー効果を得ることができる。
(2)本実施形態では、省エネルギー制御モード時、空調負荷上限回転速度制御を終了しにくくなるようにその終了条件(ΔTs≧DTc1,DTh1+β)が補正されることで、空調負荷上限回転速度制御の期間を延長することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(3)本実施形態では、省エネルギー制御モード時、室内機30における吸込温度Tsが設定温度Tmに収束しにくくなるように制御上の空調負荷としての空調負荷温度差ΔTsが補正されることで、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)の発停回数を更に抑制することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(4)本実施形態では、制御上の空調負荷としての空調負荷温度差ΔTsの計算に、運転中の各室内機30の容量(馬力)が盛り込まれる。そして、空調負荷上限回転速度は、この空調負荷温度差ΔTsに基づいて制御される。従って、例えば小容量室内機のみが設置されている空間(部屋)と大容量室内機が設置されている空間とが混在する場合であっても、各室内機30において空調負荷に対応する最適な空調能力を確保することができ、該各室内機30が設置されている空間での快適性を向上することができる。また、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)の不要な運転停止を回避することができ、省エネルギー性を向上することができる。
(5)本実施形態では、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、空調負荷上限回転速度制御をより終了しにくくなるようにその終了条件が補正されることで、空調負荷上限回転速度制御の期間をより長く延長することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(6)本実施形態では、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、室内機30における吸込温度Tsが設定温度Tmに収束しにくくなるように空調負荷温度差ΔTsが補正されることで、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)の発停回数をいっそう抑制することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(7)本実施形態では、省エネルギー制御モード時、空調負荷上限回転速度制御を開始しやすくなるようにその開始条件(ΔTs<DTc,DTh+α)が補正されることで、空調負荷上限回転速度制御を速やかに開始することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(8)本実施形態では、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、空調負荷上限回転速度制御をより開始しやすくなるようにその開始条件が補正されることで、空調負荷上限回転速度制御をいっそう速やかに開始することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(9)本実施形態では、省エネルギー制御モード時、室内機30における吸込温度Tsを設定温度Tmに収束させないで空調負荷上限回転速度制御を継続する場合のエネルギー消費量の方が、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)を発停させた場合のエネルギー消費量よりも大きいときに、室外機10が停止される。従って、省エネルギー制御モード時、室外機10を速やかに停止することができ、徒に空調負荷上限回転速度制御を継続してエネルギー消費量が増加することを回避できる。
(10)本実施形態では、例えば冷房運転時における外気温度の上昇又は暖房運転時における外気温度の下降、あるいは運転中の室内機数の増加などに伴う運転容量の増加等で、制御上の空調負荷である空調負荷温度差ΔTsが所定温度差DTc1,DTh1(+β)を超えたときは、空調負荷上限回転速度制御が終了される。同様に、冷房運転時にあっては低圧相当温度TLが終了時低側温度VTc1以上になり、暖房運転時にあっては高圧相当温度THが終了時高側温度CTh1未満になるときは、空調負荷上限回転速度制御が終了される。従って、空調負荷の高い状態において、ガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)即ち空調能力が徒に下げられることを防止することができ、最低限の凝縮能力(暖房)、蒸発能力(冷房)を確保することができる。
(11)本実施形態では、空調負荷上限回転速度制御が終了されるとき、要求回転速度に基づいてガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)が制御されることで、空調負荷の高い状態においても空調能力を好適に確保することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、低圧相当温度TL又は高圧相当温度THに代えて、各々に相関する吸入管12aの冷媒圧力PL又は吐出管12bの冷媒圧力PHをそのまま所要の演算等に利用してもよい。
・前記実施形態においては、冷房運転時に制御量補正係数δによる制御量ΔNの補正をしなかった(δ=1)。これに対し、冷房運転での省エネルギー制御モード時、空調負荷上限回転速度制御の終了条件に係る低圧相当温度TLに基づいて、当該空調負荷上限回転速度制御の終了がしにくくなるように、制御量補正係数(δ)で制御量ΔNを補正してもよい。
・前記実施形態においては、制御効果量と空調負荷温度差ΔTs’(省エネルギー率に応じて補正された空調負荷温度差ΔTs)との関係を示す一覧図(図8)を利用して制御量ΔNを取得してこれを制御量補正係数(δ)で補正した。これに対し、式(2)を利用して制御量ΔN(=(前回制御量ΔN(i−1)/制御効果量E(i))×空調負荷温度差ΔTs(i))を導出してこれを制御量補正係数(δ)で補正するようにしてもよい。
・前記実施形態において、省エネルギー制御モード時、空調負荷上限回転速度制御の開始がしにくくなるように、暖房運転時にその開始条件に係る高圧相当温度THに基づいて空調負荷温度差ΔTsを補正してもよい(開始条件補正手段)。同様に、空調負荷上限回転速度制御の開始がしにくくなるように、冷房運転時にその開始条件に係る低圧相当温度TLに基づいて空調負荷温度差ΔTsを補正してもよい(開始条件補正手段)。
この構成によれば、省エネルギー制御モード時、要求回転速度制御を過早に終了して空調負荷上限回転速度制御を開始し、空調能力不足に陥る可能性を抑制できる。あるいは、空調負荷上限回転速度制御を開始したものの、結果として当該空調負荷上限回転速度制御を短時間で終了することになるなど、安定性を損ねる可能性を低減できる。
・前記実施形態において、省エネルギー率等に応じた空調負荷上限回転速度制御態様の変更(開始条件補正係数α、終了条件補正係数β、応答速度補正係数γ、制御量補正係数δの設定)を集中制御機器51で主体的に行うようにして、制御装置41では省エネルギー率等を考慮しない通常の空調負荷上限回転速度制御のみを実施させてもよい。
・前記実施形態において、集中制御機器51を介した制御装置41と管理装置50との電気的な接続を割愛してもよい。この場合、制御装置41に対して省エネルギー制御モード指示がなされることがないため、制御装置41(室外機10)において省エネルギー率等に応じた省エネルギー制御モードを主体的に実行させればよい。
・前記実施形態において、省エネルギー率に応じた空調負荷上限回転速度制御態様の変更(開始条件補正係数α、終了条件補正係数β及び応答速度補正係数γの少なくとも一つの設定)は必ずしも実施しなくてもよい。特に、省エネルギー率に応じた開始条件補正係数α、終了条件補正係数β及び応答速度補正係数γの全ての設定を実施しない場合、省エネルギー制御モード指示を受けなくても、一定の条件を満たすことで空調負荷上限回転速度制御を実施できるため、集中制御機器51を介した制御装置41と管理装置50との電気的な接続を割愛することができる。
・前記実施形態において、制御上の空調負荷としての空調負荷温度差ΔTsの計算に、運転中の各室内機30の容量PWを必ずしも盛り込む必要はない。
・前記実施形態において、圧縮機12の回転速度を監視して、該圧縮機12の回転速度を直接制御するようにしてもよい。
・本発明は、電動モータによって圧縮機12が回転駆動される電気ヒートポンプ(EHP)式の空気調和装置や、灯油エンジンにより圧縮機12が回転駆動される灯油ヒートポンプ(KHP)式の空気調和装置に適用してもよい。また、これらの各場合、圧縮機12の回転速度を、電動モータや、灯油エンジンの回転速度を介して間接的に制御してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和装置において、
省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に収束しにくくなるように前記空調負荷温度差を補正する空調負荷温度差補正手段を備えたことを特徴とする空気調和装置。同構成によれば、省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に収束しにくくなるように前記空調負荷温度差補正手段により制御上の空調負荷としての前記空調負荷温度差が補正されることで、前記圧縮機の発停回数を更に抑制することができ、省エネルギー性を更に向上することができる。
(ロ)請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和装置において、
前記室内機は複数であって、
前記空調負荷温度差演算手段は、
前記複数の室内機のうち運転中の全ての容量をそれぞれ取得する容量取得手段と、
前記複数の室内機のうち運転中の全てにおける実際の空気温度及び目標空気温度の温度差をそれぞれ取得する温度差取得手段とを備え、
前記各室内機に対して取得された前記容量及び前記温度差の乗算値を全ての前記室内機で合計した値を、前記各室内機に対して取得された前記容量を全ての前記室内機で合計した値で除して前記空調負荷温度差を演算することを特徴とする空気調和装置。同構成によれば、制御上の空調負荷としての前記空調負荷温度差の計算に、運転中の各室内機の容量(馬力)が盛り込まれる。そして、前記圧縮機の回転速度の上限は、前記演算された空調負荷温度差に基づいて制御される。従って、例えば小容量室内機のみが設置されている空間(部屋)と大容量室内機が設置されている空間とが混在する場合であっても、各室内機において空調負荷に対応する最適な空調能力を確保することができ、該各室内機が設置されている空間での快適性を向上することができる。また、前記圧縮機の不要な運転停止を回避することができ、省エネルギー性を向上することができる。
1…空気調和装置、10…室外機、11…ガスエンジン、12…圧縮機、12a…吸入管、12b…吐出管、15…室外機熱交換器、30…室内機、31…室内機熱交換器、41…制御装置(空調負荷上限回転速度制御手段、要求回転速度制御手段、空調負荷上限回転速度演算手段、空調負荷温度差演算手段、制御効果量演算手段、制御量演算手段、制御量補正手段、開始手段、開始条件補正手段、終了手段、終了条件補正手段)、42…低側圧力センサ(低側検出手段)、43…高側圧力センサ(高側検出手段)。

Claims (3)

  1. 回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機及び冷房運転時は前記冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は前記冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、冷房運転時は前記冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は前記冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機とを備える空気調和装置において、
    空調負荷上限回転速度演算手段により演算された空調負荷上限回転速度に基づき前記圧縮機の回転速度の上限を制御する空調負荷上限回転速度制御手段と、
    冷房運転時にあっては低側検出手段により検出された前記冷媒の低圧相当温度が所定の終了時低側温度を超えることを終了条件に、暖房運転時にあっては高側検出手段により検出された前記冷媒の高圧相当温度が所定の終了時高側温度を下回ることを終了条件に、前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了する終了手段と、
    前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了後、冷房運転時にあっては前記低圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づく要求回転速度に基づいて、使用領域最大回転速度を上限に、前記圧縮機の回転速度を制御する要求回転速度制御手段とを備え、
    前記空調負荷上限回転速度演算手段は、
    前記室内機における実際の空気温度及び目標空気温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算する空調負荷温度差演算手段と、
    今回の前記空調負荷温度差から前回の前記空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算する制御効果量演算手段と、
    前記制御効果量及び今回の前記空調負荷温度差に基づいて、前回の前記空調負荷上限回転速度に対して補正する制御量を演算する制御量演算手段と、
    前記終了手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の終了がしにくくなるように、少なくとも暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づいて前記制御量を補正する制御量補正手段とを備えたことを特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1に記載の空気調和装置において、
    冷房運転時にあっては前記低圧相当温度が所定の開始時低側温度を下回り、且つ、前記空調負荷温度差が開始閾値を下回ることを開始条件に、暖房運転時にあっては前記高圧相当温度が所定の開始時高側温度を超え、且つ、前記空調負荷温度差が開始閾値を下回ることを開始条件に、前記要求回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の制御を終了して、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始する開始手段と、
    前記開始手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御の開始がしにくくなるように、少なくとも暖房運転時にあっては前記高圧相当温度に基づいて前記空調負荷温度差を補正する開始条件補正手段とを備えたことを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項1又は2に記載の空気調和装置において、
    前記終了手段は、前記空調負荷温度差が終了閾値を超えることの論理和を前記終了条件として、前記空調負荷上限回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了するものであり、
    省エネルギー制御モード時、前記空調負荷温度差が前記終了閾値を超えにくくなるように補正する終了条件補正手段を備えたことを特徴とする空気調和装置。
JP2012121181A 2012-05-28 2012-05-28 空気調和装置 Active JP5920027B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012121181A JP5920027B2 (ja) 2012-05-28 2012-05-28 空気調和装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012121181A JP5920027B2 (ja) 2012-05-28 2012-05-28 空気調和装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013245896A true JP2013245896A (ja) 2013-12-09
JP5920027B2 JP5920027B2 (ja) 2016-05-18

Family

ID=49845814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012121181A Active JP5920027B2 (ja) 2012-05-28 2012-05-28 空気調和装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5920027B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015203541A (ja) * 2014-04-15 2015-11-16 サンポット株式会社 ヒートポンプシステム
CN111006367A (zh) * 2018-11-07 2020-04-14 珠海格力电器股份有限公司 空调及其控制方法和装置
CN112944561A (zh) * 2021-02-09 2021-06-11 青岛海尔空调电子有限公司 空调机组的控制方法
CN115992988A (zh) * 2022-11-28 2023-04-21 珠海格力电器股份有限公司 便携式空调压缩机的排气控制方法、装置、设备及介质

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06265198A (ja) * 1993-01-14 1994-09-20 Toshiba Corp 空気調和機
JP2001027455A (ja) * 1999-05-13 2001-01-30 Denso Corp ヒートポンプ式空調装置
JP2009109127A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Daikin Ind Ltd 調湿装置
JP2010276276A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Aisin Seiki Co Ltd 空気調和装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06265198A (ja) * 1993-01-14 1994-09-20 Toshiba Corp 空気調和機
JP2001027455A (ja) * 1999-05-13 2001-01-30 Denso Corp ヒートポンプ式空調装置
JP2009109127A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Daikin Ind Ltd 調湿装置
JP2010276276A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Aisin Seiki Co Ltd 空気調和装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015203541A (ja) * 2014-04-15 2015-11-16 サンポット株式会社 ヒートポンプシステム
CN111006367A (zh) * 2018-11-07 2020-04-14 珠海格力电器股份有限公司 空调及其控制方法和装置
CN112944561A (zh) * 2021-02-09 2021-06-11 青岛海尔空调电子有限公司 空调机组的控制方法
CN115992988A (zh) * 2022-11-28 2023-04-21 珠海格力电器股份有限公司 便携式空调压缩机的排气控制方法、装置、设备及介质
CN115992988B (zh) * 2022-11-28 2024-05-28 珠海格力电器股份有限公司 便携式空调压缩机的排气控制方法、装置、设备及介质

Also Published As

Publication number Publication date
JP5920027B2 (ja) 2016-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5423150B2 (ja) 空気調和装置
TWI573969B (zh) 串聯式浮動中介溫度熱幫浦系統
JP4158820B2 (ja) 電力量制御装置
WO2009119023A1 (ja) 冷凍装置
RU2488047C2 (ru) Кондиционер
US20140041848A1 (en) Temperature control system, air conditioning system and control method
US10197307B2 (en) Air conditioner with oil level control for both gas and electric heat pump cycles
WO2016141791A1 (zh) 混合动力制冷系统及其控制方法
JP5920027B2 (ja) 空気調和装置
WO2016059837A1 (ja) ヒートポンプ式暖房装置
JP5633335B2 (ja) 空気調和装置
EP3690356A1 (en) Refrigeration cycle device
JP6053201B2 (ja) 冷凍装置
KR102290031B1 (ko) 공기 조화기 및 그 제어방법
JP2012202581A (ja) 冷凍サイクル装置及びその制御方法
CN113405222A (zh) 一种不停机化霜方法
JP5971964B2 (ja) ターボ冷凍機
JP5677198B2 (ja) 空冷ヒートポンプチラー
JP5517891B2 (ja) 空気調和装置
JP2023065680A (ja) 冷凍サイクル装置
KR20170092812A (ko) 공기 조화기 및 그 제어방법
JP6083276B2 (ja) 空気調和装置
JP5594095B2 (ja) 空気調和装置
WO2023190302A1 (ja) 空気調和機
JP2000161752A (ja) 空気調和機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160328

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5920027

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151