JP2013245604A - ガスタービン高温部の冷却システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガスタービン高温部の冷却システム30は、ガスタービン2の高温部の冷却に用いられる冷媒を排熱回収ボイラ20への給水との熱交換によって冷却するクーラ31と、クーラ31への給水の供給量を調節する流量調節弁(37,39)と、ガスタービン2の出力に応じて決定される前記供給量の目標値に、ガスタービン2の出力に対するガスタービン高温部の冷却量の応答性に応じて決定される補正値を加算して前記供給量の設定値を求め、該設定値に基づいて流量調節弁(37,39)を制御するコントローラ50とを備える。
【選択図】 図3
Description
なお、特許文献1には、ガスタービンの圧縮機の途中から抽気された圧縮空気をガスタービン高温部の冷却用の冷媒として用いることが記載されている。
なお、ガスタービン出力に対してガスタービン高温部と冷媒との熱交換量が遅れるのは、次のような理由によると考えられる。すなわち、ガスタービン出力が変動すると、これに伴ってクーラを通過する給水流量の目標値が更新される。この新たな給水流量の目標値と、流量計によるクーラを通過する給水流量の検出値との偏差に基づくフィードバック制御によって、クーラにおける給水流量を調節するための流量調節弁の開度が変更され、クーラにおける給水流量が変化する。ところが、クーラにおける給水流量が変化しても、流量が変更された給水と冷媒とのクーラにおける熱交換によって、冷媒温度が実際に変化するまでの熱伝達の過程を経なければ、クーラへの給水供給量の変更の影響がガスタービン高温部の冷却量の変化として表れることがない。よって、上記クーラにおける熱伝達の過程が主な原因となり、ガスタービンの出力に対して、ガスタービン高温部と冷媒との熱交換量(冷却量)は遅れを持って追従することになると考えられる。
電力系統に対する発電機の併入及び解列時に、ガスタービンの負荷は不安定であり、大きく急激に変動する。そのため、このような場合においても給水供給量の目標値への補正値の加算を行えば、補正値の加算が外乱となって、ガスタービン高温部の冷却量の適切な制御が却って妨げられるおそれがある。そこで、上述のように、発電機の併入及び解列時に、給水冷却量の目標値への補正値の加算を無効化し、補正値が加算されていない目標値を給水冷却量の設定値として用いることで、発電機の併入及び解列時においてもガスタービン高温部の冷却量を適切に制御できる。
これにより、一次遅れ要素、先行制御部、フィードバック制御部及び先行制御無効化部という簡単な構成で、ガスタービンの状態(発電機の併入及び解列時であるか否か)に応じて、給水冷却量の目標値への補正値の加算の有無を切り換えて、ガスタービン高温部の冷却量を適切に制御できる。
これにより、コントローラの構成を複雑化することなく、遮断器の開閉信号を受け取った後のガスタービン負荷が不安定である所定期間(発電機の併入又は解列後の所定の期間)、一次遅れ要素をオフにして、給水供給量の目標値への補正値の加算を無効化できる。
同図に示すように、発電プラント1は、主として、ガスタービン2と、蒸気タービン10と、排熱回収ボイラ20と、ガスタービン高温部の冷却システム30とを備えている。
また、発電機8は、遮断器34を介して電力系統9に連系される。遮断器34の開閉信号は、コントローラ50に送られ、流量調節弁(回収弁37又はダンプ弁39)の開度制御に用いられる。
なお、空気圧縮機3で生成される圧縮空気の一部は、空気圧縮機3の途中で抽気され、後述する冷却システム30におけるTCAクーラ31によって冷却されてタービン冷却空気とされ、タービン4の高温部(例えば動静翼やロータ)の冷却に用いられる。
同図に示すように、冷却システム30は、高中圧給水ポンプ17と高圧ドラム23との間において、ECO側給水ライン32とクーラ側給水ライン42とを有している。ECO側給水ライン32は、TCAクーラ31の上流側の分岐点Aにおいてクーラ側給水ライン42から分岐し、回収弁37よりも下流側の合流点Bにおいてクーラ側給水ライン42と合流する。
なお、ECO側給水ライン32には、排熱回収ボイラ20の高圧節炭器29が設けられている。
例えば、発電プラント1の起動時や低負荷運転時には排熱回収ボイラ20における高圧給水の蒸発量が少ないため、この少ない蒸発量に応じて、高圧ドラム23への高圧給水の供給量を減らす必要がある。一方、タービン4の高温部の冷却を確実に行うためには、TCAクーラ31における高圧給水の流量をある程度は確保しなければならない。このような状況下では、回収弁37の開度を小さくし、ダンプ弁39の開度を大きくすることで、TCAクーラ31がガスタービン高温部の冷却のために要求する高圧給水の流量を維持しながら、少ない蒸発量に見合った適量の高圧給水を高圧ドラム23に供給することができる。逆に、発電プラント1の高負荷運転時には、回収弁37の開度を大きくし、ダンプ弁39の開度を小さくすることで、TCAクーラ31が要求する高圧給水の流量を維持しながら、多い蒸発量に見合った適量の高圧給水を高圧ドラム23に供給することができる。
あるいは、回収弁37及びダンプ弁39の一方のみについてTCAクーラ31における高圧給水の流量(流量計36による検出値)に基づくフィードバック制御を行い、回収弁37及びダンプ弁39の他方についてはガスタービン2の出力(電力量計35による検出値)と弁開度との関係を示す関数を用いて制御を行ってもよい。このように、上記フィードバック制御の対象を回収弁37とダンプ弁39のいずれか一方のみとすることで、回収弁37とダンプ弁39の制御干渉を防止できる。なお、回収弁37とダンプ弁39の制御干渉とは、TCAクーラ31を通過する高圧給水の流量という1つの制御因子に基づいて回収弁37及びダンプ弁39という2つの弁を制御する場合に各弁の開度制御が互いに干渉し合い、制御上の不都合が生じることをいう。
同図に示すように、コントローラ50は、主として、ガスタービン2の出力に応じてTCAクーラ31における高圧給水の流量の目標値を決定する関数発生器52と、該目標値に先行制御用の補正値を加算して、TCAクーラ31における高圧給水の流量の設定値を求める先行制御部60と、該設定値と流量計36の検出値との偏差に基づいて流量調節弁(回収弁37及びダンプ弁39の少なくとも一方の弁)を制御するフィードバック制御部54とで構成してもよい。
同図のグラフG1で示したように、時刻t1〜t2においてガスタービン出力が上昇する場合、ガスタービン2の高温部の温度を適切な範囲内に維持するために必要な冷却量もガスタービン出力に応じて増加する。ところが、関数発生器52により決定されたTCAクーラ31における高圧給水の流量の目標値と、流量計36の検出値との偏差に基づいて流量調節弁(回収弁37及びダンプ弁39の少なくとも一方の弁)をフィードバック制御部54で制御しても、ガスタービン2の出力に対してガスタービン高温部の冷却量は遅れて追従する(図4のグラフG2参照)。そこで、先行制御部60によって、ガスタービン2の出力(電力量計35による検出値)に対するガスタービン2の高温部の冷却量の応答性に応じて決定される補正値を関数発生器52により求めた上記目標値に加算して、TCAクーラ31における高圧給水の流量の設定値を求める。
なお、一次遅れ要素62の時定数Tは、ガスタービン2の出力(電力量計35による検出値)に対するガスタービン2の高温部の冷却量の応答性に応じて決定してもよい。例えば、ガスタービン2の出力のステップ状の入力に対するガスタービン2の高温部の冷却量の応答(ステップ応答)が、前記冷却量の最終的な変化量の約63.2%に到達するまでの時間から一次遅れ要素62の時定数Tを決定してもよい。
そこで、電力系統9に対する発電機8の併入及び解列時に、先行制御部60による上記目標値への補正値の加算を無効化し、関数発生器52から出力された上記目標値をそのままTCAクーラ31における高圧給水の流量の設定値として用い、流量調節弁(回収弁37及びダンプ弁39の少なくとも一方の弁)の開度制御を行ってもよい。
2 ガスタービン
3 空気圧縮機
4 タービン
5 燃焼器
8 発電機
9 電力系統
10 蒸気タービン
11 高圧タービン
12 中圧タービン
13 低圧タービン
20 排熱回収ボイラ
21 低圧ドラム
22 中圧ドラム
23 高圧ドラム
24 低圧蒸発器
25 中圧蒸発器
26 高圧蒸発器
27 低圧節炭器
28 中圧節炭器
29 高圧節炭器
30 冷却システム
31 TCAクーラ(クーラ)
32 ECO側給水ライン
33 回収ライン
34 遮断器
35 電力量計
36 流量計
37 回収弁
38 ダンプライン
39 ダンプ弁
42 クーラ側給水ライン
50 コントローラ
52 関数発生器
54 フィードバック制御部
56 減算器
58 PI制御器
60 先行制御部
62 一次遅れ要素
64 減算器
66 関数発生器
68 加算器
70 先行制御無効化部
72 切換器
74 シグナルジェネレータ
Claims (4)
- ガスタービンの排熱を利用して排熱回収ボイラにおいて給水を加熱して蒸気を生成し、該蒸気によって蒸気タービンを駆動するコンバインドサイクル発電プラントに用いられるガスタービン高温部の冷却システムであって、
前記ガスタービンの高温部の冷却に用いられる冷媒を前記給水との熱交換によって冷却するクーラと、
前記クーラへの前記給水の供給量を調節する流量調節弁と、
前記ガスタービンの出力に応じて決定される前記供給量の目標値に、前記ガスタービンの前記出力に対する前記ガスタービン高温部の冷却量の応答性に応じて決定される補正値を加算して前記供給量の設定値を求め、該設定値に基づいて前記流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とするガスタービン高温部の冷却システム。 - 前記コントローラは、前記ガスタービンによって駆動される発電機の電力系統に対する併入及び解列時に、前記補正値の加算を無効化し、前記補正値が加算されていない前記目標値を前記設定値として用い、前記流量調節弁の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン高温部の冷却システム。
- 前記コントローラは、
前記ガスタービンの前記出力と、一次遅れ要素による一次遅れ処理が施された前記出力との偏差に基づいて前記補正値を決定し、該補正値を前記目標値に加算して前記設定値とする先行制御部と、
前記供給量の検出値と前記設定値との偏差に基づいて、前記流量調節弁の開度をフィードバック制御するフィードバック制御部と、
前記発電機と前記電力系統との間に設けられた遮断器の開閉信号に基づいて、前記一次遅れ要素をオフにして、前記先行制御部による前記補正値の加算を無効化する先行制御無効化部とを含むことを特徴とする請求項2に記載のガスタービン高温部の冷却システム。 - 前記先行制御無効化部は、前記遮断器の開閉信号を受け取ってから所定の期間、前記一次遅れ要素をオフにすることを特徴とする請求項3に記載のガスタービン高温部の冷却システム。
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