JP2013244371A - 溶解装置及び溶解方法 - Google Patents

溶解装置及び溶解方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013244371A
JP2013244371A JP2012122368A JP2012122368A JP2013244371A JP 2013244371 A JP2013244371 A JP 2013244371A JP 2012122368 A JP2012122368 A JP 2012122368A JP 2012122368 A JP2012122368 A JP 2012122368A JP 2013244371 A JP2013244371 A JP 2013244371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drug
container
syringe
main body
medicine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012122368A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Nishioka
正樹 西岡
克圭 ▲濱▼井
Katsuyoshi Hamai
Fujio Inoue
冨士夫 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Techno Corp
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Techno Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd, Otsuka Techno Corp filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2012122368A priority Critical patent/JP2013244371A/ja
Publication of JP2013244371A publication Critical patent/JP2013244371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Abstract

【課題】薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるのを促進する溶解装置及び溶解方法を提供する。
【解決手段】本発明の溶解装置は、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるための溶解装置であって、薬剤容器保持部と、運動機構とを備える。薬剤容器は、容器体と、容器体から取り外し不能であり、容器体内に薬剤を封入する栓とを有する。薬剤容器保持部は、1以上の薬剤容器を保持可能である。運動機構は、外力を受け取り、1以上の薬剤容器を保持した状態の薬剤容器保持部に所定の運動をさせる運動力を発生させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるための溶解装置及び溶解方法に関する。
一般に、用時溶解タイプの薬剤は、バイアル等と呼ばれる薬剤容器に封入されているが、特許文献1でも言及されているとおり、このような薬剤の投与時には、通常、シリンジを用いて薬剤容器内に溶解液を注入し、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させることが必要になる。このような薬剤容器の栓は、取り外しができず、溶解液で溶解させた後でなければ、シリンジを用いて薬剤を薬剤容器から抜き取ることができないからである。そして、その後、シリンジへ抜き取られた溶解薬液は、注射や点滴等の方法で、患者へ投与される。
特表2009−514641号公報
しかしながら、上記のような溶解作業は、医療従事者等にとって大きな負担となっている。例えば、ユーザは、薬剤容器内に溶解液を注入した後、薬剤が溶解するのを待たなければならない。或いは、ユーザは、溶解速度を速めるために、薬剤容器を手で震盪させる等しているが、その結果、薬剤容器を誤って落下させて破損してしまったり、腱鞘炎を患ったり等の問題も生じている。特に、溶解性の低い薬剤となれば、このような問題は顕著になる。さらに、1人の患者が一時に複数の薬剤容器分の薬剤を必要とする場合もあれば、一時に複数の患者分の薬剤を準備しなければならない場合もある。
本発明は、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるのを促進する溶解装置及び溶解方法を提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る溶解装置は、容器本体、及び前記容器本体から取り外し不能であり、前記容器本体内に薬剤を封入する栓を有する薬剤容器内で、前記薬剤を溶解液に溶解させるための溶解装置であって、1以上の前記薬剤容器を保持可能な薬剤容器保持部と、外力を受け取り、前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記薬剤容器保持部に所定の運動をさせる運動力を発生させる運動機構とを備える。
ここでは、運動機構が、外力を受けて、1以上の薬剤容器を保持した状態の薬剤容器保持部に所定の運動をさせることができる。なお、ここでいう薬剤容器とは、バイアル等と呼ばれる、取り外し不能な栓で薬剤を封入した容器のことである。従って、ここでは、シリンジを用いる等して薬剤容器内に溶解液を注入した後、外力を加えることにより、薬剤容器保持部に容易に所定の運動をさせ、ひいては薬剤容器を容易に運動させることができる。その結果、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるのを促進することができる。
なお、本発明において「溶解」なる用語には、完全に溶液化するものだけでなく、一部の成分が溶解せずに分散化するものや懸濁化するもの等も含まれるものとする。また、容器体から栓を「取り外し不能」とは、薬剤容器から薬剤を抜き取る際に、容器体から栓を取り外すことが想定されておらず、容器体から栓を容易に取り外すことが可能なように構成されていないことを意味し、特別な器具を用いたり、薬剤容器の少なくとも一部を破壊したり等すれば、容器体から栓を取り外すことが可能な場合をも含むものとする。
本発明の第2観点に係る溶解装置は、第1観点に係る溶解装置であって、前記運動機構は、前記薬剤容器保持部を少なくとも振動させる。すなわち、ここでは、薬剤容器を保持した状態の薬剤容器保持部を容易に振動させることができる。その結果、薬剤容器内での薬剤の溶解がさらに促進される。
本発明の第3観点に係る溶解装置は、第2観点に係る溶解装置であって、前記運動機構は、前記運動力の少なくとも一部として復元力を発生させることにより、前記薬剤容器保持部を少なくとも振動させる弾性体を有する。言い換えると、ここでは、薬剤容器保持部を振動させるための力として、ばね等の弾性体の復元力が利用される。従って、振動を生じさせる運動力を容易に発生させることができる。なお、弾性体としてばねを選択する場合には、コイルばね、板ばね等、任意のばねを選択し得る。
本発明の第4観点に係る溶解装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記薬剤容器保持部を収容可能な収容空間を規定する本体部をさらに備える。すなわち、ここでは、薬剤容器保持部の運動により、万が一薬剤容器が薬剤容器保持部から脱落したり、薬剤容器が破壊されたり等しても、薬剤容器全体やその破片やその中身である薬剤等が本体部内に留まる。従って、安全に溶解作業を行うことができる。
本発明の第5観点に係る溶解装置は、第4観点に係る溶解装置であって、前記薬剤容器内に前記溶解液を注入するシリンジと前記収容空間とが連通した状態で、前記シリンジを保持可能なシリンジ保持部をさらに備える。従って、ここでは、シリンジ保持部に保持されたシリンジを用いて、薬剤容器内に容易に溶解液を注入することができる。なお、シリンジ保持部と本体部とは、一体的に形成され、両者の境界を判別できないようになっていてもよい。
本発明の第6観点に係る溶解装置は、第5観点に係る溶解装置であって、前記溶解液を収容する1以上の溶解液容器の内部と前記収容空間とを連通可能な状態で、前記1以上の溶解液容器を前記収容空間の外部において取り外し可能に保持可能な溶解液容器保持部をさらに備え、前記本体部は、外部から閉鎖された空間として、前記収容空間を規定し、前記薬剤容器保持部は、前記1以上の薬剤容器の内部と前記収容空間とを連通可能な状態で、前記1以上の薬剤容器を保持可能であり、前記シリンジ保持部は、前記シリンジが前記収容空間と連通した後、前記シリンジが前記薬剤容器及び前記溶解液容器の内部と連通するように、前記シリンジの針が前記収容空間内を前記薬剤容器及び前記溶解液容器の内部に対し相対的に移動可能な状態で、前記シリンジを保持可能である。
ところで、従来より、癌化学療法等で用いられる、細胞毒性を有する薬剤を取り扱う医療従事者の健康被害が問題視されている。その理由は、通常、細胞毒性を有する薬剤は、バイアル等と呼ばれる容器に封入された状態で流通するが、医療従事者は、これらの薬剤容器内の薬剤にシリンジを用いてアクセスし、その後、溶解したり、取り出したり、希釈したり、混合したりしなければならず、このような作業時に、薬剤に曝露することが少なからず起きているからである。
そこで、医療従事者は、キャップや、マスク、ガウン、手袋等を着用した状態で、アイソレーターや安全キャビネット等の装置内で作業を行ったり、特許文献1に記載の特殊な器具を用いたりしている。特許文献1の特殊な器具は、薬剤容器と、そこから薬剤を抜き取るシリンジとを連結する器具であり、シリンジ内へ抜き取られる際に薬剤が漏れて周囲の環境が曝露されるのを抑制するものである。
ところで、薬剤を最終的に患者へ投与するためには、例えば、シリンジ内へ抜き取られた薬剤を混合液と混合することが必要になる場面も多い。しかしながら、アイソレーターや安全キャビネット等の装置を用いる手法では、薬剤を混合液と混合する過程で、それらの装置内で各種器具が汚染されてしまうという問題は十分に解決されていない。そうすると、汚染された器具をその後治療に用いたり、廃棄したり等する中で、汚染された器具に接する者は、薬剤に曝露する可能性がある。また、アイソレーターや安全キャビネット等の装置内が上記薬剤で汚染されると、その洗浄除去が非常に煩わしく、極端な場合には装置全てを廃棄処分しなければならなくなり、環境面でも医療経済の面でも大きな問題となる。
一方、特許文献1の特殊な器具を用いる手法でも、薬剤と混合液との混合作業に用いられる各種器具の汚染を十分に防ぐことは困難である。例えば、特許文献1の特殊な器具から薬剤入りのシリンジを取り外した後、誤操作等によって薬剤が外部に漏洩した場合のことは全く考慮されておらず、完璧に安全なものと断言することはできない。なお、上記では、細胞毒性を有する薬剤を取り扱う場合について述べたが、これに限らず、臭気性や刺激性を有する薬剤など、外部に曝露することが問題となり得るその他の薬剤を取り扱う場合にも、同様の問題が生じる。
これに対し、本発明の第6観点に係る溶解装置では、シリンジを用いて薬剤と混合液(溶解液)とを混合する際に、薬剤容器から万一薬剤が漏れ出たり揮発したりした場合でもそれを閉鎖空間内にとどめ、外部にまで曝露が及ばなくすることができる。すなわち、ここでは、薬液容器の内部及び溶解液容器の内部が、シリンジを介して本体部の閉鎖空間に気密に連通するように構成されている。そして、シリンジの針が閉鎖空間内を移動することができるように、シリンジがシリンジ保持部に保持されているため、閉鎖空間内で気密性を保ったまま、シリンジの針が薬剤容器及び溶解液容器の内部にアクセスすることができる。従って、閉鎖空間内で気密性を保ったまま、シリンジを用いて薬剤と混合液(溶解液)とを混合することができる。その結果、薬剤と混合液(溶解液)との混合作業中の薬剤の曝露を高度に防止することができる。
なお、本発明に係る「連通可能な状態」とは、空間と空間とが直接的に通じ得る状態だけでなく、空間と空間とが第3の空間を介して通じ得る状態も含まれるものとする。さらに、空間と空間とが第3の空間を介して通じ得る状態には、第1の空間が第3の空間と通じた後、第2の空間が第3の空間に通じる等、必ずしも第1の空間と第2の空間とが同時に通じている必要はなく、第3の空間を介して異なるタイミングで通じ得る状態も含まれる。ここでいう「第3の空間」とは、例えば、シリンジの内部空間であり、シリンジを介して収容空間と薬剤容器の内部空間とが連通し得る状態を「連通可能な状態」の一態様とすることができる。
本発明の第7観点に係る溶解装置は、第5観点又は第6観点に係る溶解装置であって、前記シリンジ保持部は、前記シリンジのシリンダが装着可能な状態で、前記針を前記収容空間内に保持する。すなわち、ここでは、薬剤と溶解液との混合作業に用いられるシリンジの針が、予め溶解装置側に保持されている。従って、シリンジ保持部にシリンジを容易にセットすることが可能になる。
本発明の第8観点に係る溶解装置は、第4観点に係る溶解装置であって、前記本体部には、前記薬剤容器保持部に保持された複数の前記薬剤容器内に前記溶解液を順次注入するための注入口が形成されており、前記薬剤容器保持部は、前記複数の薬剤容器内に前記溶解液を順次注入できるように、前記注入口に対して相対的に移動可能である。従って、ここでは、薬剤容器保持部に保持された複数の薬剤容器内に容易に溶解液を注入することが可能になる。
本発明の第9観点に係る溶解装置は、第4観点から第8観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記運動機構は、前記外力を前記本体部を介して受け取る。すなわち、ここでは、本体部に外力を加えることにより、薬剤容器保持部に所定の運動をさせることができる。
本発明の第10観点に係る溶解装置は、第1観点から第9観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記運動機構は、ユーザが手動で加えた力を前記外力として受け取る。従って、ここでは、ユーザが手動で薬剤容器を運動させることができる。
本発明の第11観点に係る溶解装置は、第1観点から第9観点のいずれかに係る溶解装置であって、駆動力を発生させる電動アクチュエータをさらに備え、前記運動機構は、前記駆動力を前記外力として受け取る。従って、ここでは、電動力を利用して、薬剤容器を運動させることができる。その結果、ユーザの負担がさらに低減される。
本発明の第12観点に係る溶解装置は、第1観点から第11観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記運動機構は、前記薬剤容器保持部に振動及び回転を組み合わせた運動をさせる。すなわち、ここでは、薬剤容器を保持した状態の薬剤容器保持部を容易に振動させながら、回転させることができる。その結果、薬剤容器内での薬剤の溶解がさらに促進される。
本発明の第13観点に係る溶解装置は、第1観点から第12観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記運動機構は、前記薬剤容器保持部を少なくとも回転させる。すなわち、ここでは、薬剤容器を保持した状態の薬剤容器保持部を容易に回転させることができる。その結果、薬剤容器内での薬剤の溶解がさらに促進される。
本発明の第14観点に係る溶解装置は、第12観点又は第13観点に係る溶解装置であって、前記薬剤容器保持部の回転軸が水平面に対して傾いた状態で、前記薬剤容器保持部の向きを固定する固定部をさらに備える。従って、ここでは、回転による遠心力だけでなく、重力を利用して、薬剤容器内で薬剤と溶解剤とを攪拌することができる。その結果、薬剤容器内での薬剤の溶解がさらに促進される。
本発明の第15観点に係る溶解装置は、第1観点から第14観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記薬剤容器保持部は、複数の前記薬剤容器を保持可能である。すなわち、ここでは、薬剤容器保持部を運動させることにより、複数の薬剤容器をまとめて運動させることができる。
本発明の第16観点に係る溶解装置は、第1観点から第15観点のいずれかに係る溶解装置であって、前記薬剤容器保持部を、前記運動機構からの前記運動力の伝達が少なくとも部分的に制限される運動制限状態と、前記運動力の伝達の制限が解除された解除状態とに切り替え可能な切替部をさらに備える。
ここでは、例えば、薬剤容器保持部に薬剤容器を保持したり、薬剤容器保持部に保持された薬剤容器内にシリンジでアクセスしたりする等、薬剤容器保持部が固定されていることが望ましい状況下では、薬剤容器保持部の運動が少なくとも部分的に制限される運動制限状態にしておくことができる。一方で、薬剤を溶解すべく薬剤容器保持部を運動させることが望ましい状況下では、解除状態にしておくことができる。
本発明の第17観点に係る溶解方法は、容器体、及び前記容器体から取り外し不能であり、前記容器体内に薬剤を封入する栓を有する薬剤容器内で、前記薬剤を溶解液に溶解させるための溶解方法であって、1以上の前記薬剤容器を準備するステップと、前記1以上の薬剤容器を保持可能な溶解装置を準備するステップと、前記1以上の薬剤容器を前記溶解装置に対し保持するステップと、シリンジを準備するステップと、前記シリンジの針で前記栓を刺通することにより、前記シリンジを介して前記1以上の薬剤容器内に前記溶解剤を注入するステップと、外力を加えて、前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記溶解装置に所定の運動をさせる運動力を発生させることにより、前記1以上の薬剤容器内で前記薬剤を前記溶解液に溶解させて、溶解薬液を生成するステップとを備える。
ここでは、外力を加えて、1以上の薬剤容器を保持した状態の溶解装置に所定の運動をさせる。なお、ここでいう薬剤容器とは、バイアル等と呼ばれる、取り外し不能な栓で薬剤を封入した容器のことである。従って、ここでは、薬剤容器を容易に運動させ、その結果、薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるのを促進することができる。なお、薬剤容器内に溶解液を注入するステップと、薬剤容器を溶解装置に保持するステップの先後は問わない。
本発明によれば、バイアル等と呼ばれる薬剤容器内で薬剤を溶解液に溶解させるのを促進することができる。
第1実施形態に係る、シリンジ及び薬剤容器を保持した状態の混合装置の要部の外観斜視図である。 第1実施形態に係る混合装置の平面図である。 第1実施形態に係る薬剤容器保持部の平面図である。 第1実施形態に係る混合作業を示す動作説明図である。 第1実施形態に係る混合作業を示す別の動作説明図である。 第1実施形態に係る混合作業を示す別の動作説明図である。 第2実施形態に係る、シリンジ、薬剤容器及び混合液容器を保持した状態の混合装置を示す図である。 第3実施形態に係る、シリンジ、薬剤容器及び混合液容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第3実施形態に係る混合液容器保持部の平面図である。 第3実施形態に係る混合作業を示す動作説明図である。 第3実施形態に係る混合作業を示す別の動作説明図である。 第3実施形態に係る混合作業を示す別の動作説明図である。 第4実施形態に係る、シリンジ、薬剤容器及び混合液容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第4実施形態に係る薬剤容器保持部と回転伝達部材との位置関係を示す図。 第5実施形態に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第5実施形態に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の別の断面図である。 第5実施形態の変形例に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第6実施形態に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第7実施形態に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第7実施形態の変形例に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第2実施形態の変形例に係る、シリンジ、薬剤容器及び混合液容器を保持した状態の混合装置を示す図である。 第7実施形態の変形例に係る、薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 第1実施形態から第4実施形態の変形例に係るシリンジ保持部及びその周辺の断面図である。 第3実施形態の変形例に係る、シリンジ及び薬剤容器を保持した状態の混合装置の断面図である。 シリンジの変形例を示す図である。
以下、本発明に係る溶解装置及び溶解方法の第1実施形態から第4実施形態である混合装置及び混合方法と、第5実施形態から第7実施形態である溶解装置及び溶解方法とについて、図面を参照しつつ説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.混合装置の構成>
第1実施形態に係る混合装置101は、薬剤容器50に収容されている薬剤と、混合液容器60に収容されている混合液とを、シリンジ70を用いて混合し、混合薬液を生成するために用いられる装置である。そして、この混合薬液を生成する過程では、シリンジ70を用いて薬剤容器50から薬剤を抜き取ることが必要となるが、薬剤の種類によっては、薬剤容器50内に混合液を注入し、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させた後でなければ、薬剤容器50から取り出すことができない。混合装置101は、特にそのような場合に機能を発揮し、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した運動を、簡単な操作で薬剤容器50に与えることができる。
本実施形態で対象とする薬剤は、用時溶解タイプの薬剤であり、バイアル等と呼ばれる薬剤容器50内に密閉されている。また、ここでの薬剤は、主として粉末状や固体状、気体状であり、薬剤容器50から抜き取られる前に、薬剤容器50内で混合液に溶解されることが必要なものであるが、液体状であってもよい。上記のとおり、混合装置101は、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した機能を有するものであるが、薬剤容器50内で混合液と均一に混合することが要求されるものであれば、その形態に限らず、その機能を発揮し得る。さらに、ここでの薬剤は、主として細胞毒性を有する薬剤であり、曝露すると、これを取り扱う者(主として、医療従事者。以下、ユーザと言う。)に重篤な副作用を及ぼしたり、細胞毒性に由来する健康被害を及ぼしたり等する可能性のある薬剤である。このような薬剤の例としては、抗悪性腫瘍剤、抗ウィルス剤、抗生物質、放射性医薬品等が挙げられる。一方、混合液とは、生理食塩水やリンゲル液、蒸留水等であって、薬剤を溶解したり、希釈したりするための溶液である。なお、ここでいう薬剤の混合とは、例えば、医師、歯科医師又は獣医師の処方箋により行われる調剤行為や、患者が自ら混合する行為や、製薬会社等において混合薬液を製造するために行われる行為等であり、薬剤と混合液とを混合した混合薬液を生成する任意の行為を意味する。
図1に示すように、混合装置101は、略円柱形状の透明の本体部110を備えており、この本体部110が、後述する運動機構150(図4参照)によって支持されている。
本体部110の内部には、薬剤容器保持部130が収容されており、この薬剤容器保持部130によって複数の薬剤容器50が保持される。また、本体部110の上面側には、シリンジ70を保持するためのシリンジ保持部120が取付けられており、さらに本体部110の底面側には、混合液容器60が取付けられる混合液容器保持部140が取付けられている。以下では、略円柱形状の本体部110の中心軸A1の延びる方向を軸方向とし、この軸A1を基準として、径方向、周方向を定義して説明を行う。また、本体部110の上面側(図1の紙面上側)を「上」、底面側(図1の紙面下側)を「下」として方向を記載することもある。
まず、混合装置101において、薬剤の混合のために用いられるシリンジ70、薬剤容器50、及び混合液容器60について説明する。図1に示すように、シリンジ70は、公知のものを用いることができ、円筒型のシリンダ71と、シリンダ71内で可動するピストン72とで構成されている。シリンダ71の先端には、開口部が設けられており、この開口部に針73が装着される。
図1に示すように、薬剤容器50は、バイアル等と呼ばれる薬剤入りの容器であり、ガラス製のボトル本体(容器本体)51と、ボトル本体51の上部に形成された開口を閉鎖するボトル栓52とを有する。ボトル本体51は、全体として略円柱形状に形成されているが、上端部には肩部51bを介して径が小さいネック部51aが形成され、このネック部51aにボトル栓52が取付けられている。ボトル栓52は、ボトル本体51の開口を塞ぐようにネック部51aにアルミ等で巻き閉め固定されており、ボトル本体51から取り外し不能である。そして、ボトル栓52において、ボトル本体51の開口を塞ぐ部分(蓋)は、ゴム、エラストマー等の弾性変形可能な材料により形成されており、シリンジ70の針73による刺通が可能である。
混合液容器60は、プラスチック製のボトル本体61と、ボトル本体61の上部に形成された開口を閉鎖するボトル栓62(図4〜図6参照)とを有する。ボトル本体61は、全体として略楕円柱形状に形成されているが、薬剤容器50と同様に、上端部には肩部61bを介して径が小さいネック部61aが形成され、このネック部61aにボトル栓62が取付けられている。ボトル栓62は、ボトル本体61の開口を塞ぐようにネック部61aに溶着により取付けられており、ボトル本体51から取り外し不能である。そして、ボトル栓62において、ボトル本体61の開口を塞ぐ部分(蓋)は、薬剤容器50と同様に、ゴム、エラストマー等の弾性変形可能な材料により形成されており、シリンジ70の針73による刺通が可能である。
次に、混合装置101について説明する。図1に示すように、混合装置101は、略円柱形状に形成された本体部110と、本体部110の上面に形成された開口を塞ぐように配置された略円錐形状のシリンジ保持部120とを有している。そして、本体部110及びシリンジ保持部120により、主として薬剤と混合液との混合作業を行う作業スペースとなる閉鎖空間S1(図4〜図6参照)が規定されており、閉鎖空間S1内の液体及び気体が外部に漏れないようになっている。言い換えると、本体部110及びシリンジ保持部120は、閉鎖空間S1と、混合作業を行うユーザが存在する外部空間とを仕切る壁部材であるが、本体部110が透明であるため、混合作業中、ユーザが閉鎖空間S1を外部から視認できるようになっている。なお、図1では、後述する本体部110の容器体111と蓋部112とが取り外された状態となっており、閉鎖空間S1が成立していないが、本体部110の蓋部112を容器体111に取り付けることにより、閉鎖空間S1が形成され得る。
また、混合装置101は、薬剤容器50を保持する薬剤容器保持部130と、混合液容器60を保持する混合液容器保持部140とを有する。薬剤容器保持部130は、同一平面内に複数の薬剤容器50を保持可能であり(本実施形態では最大で5個)、薬剤容器50を保持した状態で、本体部110の閉鎖空間S1内に収容されるが、この状態で、薬剤容器50のボトル栓52は、上方を向く。一方、混合液容器保持部140は、1つの混合液容器60を保持可能である。そして、混合液容器保持部140に保持された状態の混合液容器60は、閉鎖空間S1の外部において、混合液容器60の開口が閉鎖空間S1側を向いた状態で、混合液容器保持部140から取り外し可能に配置される。従って、この状態で、閉鎖空間S1内を移動可能なシリンジ70の針73は、薬剤容器50の開口及び混合液容器60の開口に挿入可能となっている。
また、図4〜図6に示すように、混合装置101は、本体部110の下方に配置され、本体部110等を振動させる運動機構150を有する。運動機構150が振動させる本体部110等とは、運動機構150から直接的又は間接的に振動のための運動力(以下、振動力)を受け取ることが可能なように、運動機構150に直接的又は間接的に連結されている物体のことであり、以下、これらの物体を振動要素と呼ぶ。具体的には、振動要素には、本体部110の他、本体部110に固定されたシリンジ保持部120、薬剤容器保持部130及び混合液容器保持部140が含まれるが、さらには、これらの要素120,130,140に固定されたシリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60も含まれる。これらの振動要素は、運動機構150から伝達される振動力を受け取って、一体的に振動する。
運動機構150により振動要素が振動する時、本体部110の底面に固定された運動機構150の円柱突起154が、運動機構150の円筒部152内を直線状にスライドすることになる。そして、混合装置101は、これらの円筒部152と円柱突起154との隙間H1に入り込み、円筒部152に対する円柱突起154のスライド運動を妨げるストッパー160を有する。すなわち、ストッパー160は、振動要素を、運動機構150からの振動力の伝達が制限される運動制限状態にすることができる。また、ストッパー160は、隙間H1に対し抜き差しされることで、振動要素を、この運動制限状態と、運動機構150からの振動力の伝達の制限が解除された解除状態とに切り替えることが可能である。なお、図4(a)は、ストッパー160が隙間H1に挿入されていない状態、すなわち、解除状態を示しており、図4(b)は、ストッパー160が隙間H1に挿入された状態、すなわち、運動制限状態を示している。また、図4〜図6は、シリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60を支持した状態の混合装置101の側面図であるが、分かり易くするため、運動機構150、ストッパー160及び本体部110等の一部の要素については、混合装置101の中心を通る断面図となっている。
以下、各部について詳細に説明する。本体部110は、プラスチック等の材料で形成され、円筒形でカップ状の容器体111と、容器体111の上部開口を塞ぐ蓋部112とを有する。容器体111は、略円形の底面部111aと、底面部111aに連続する略円筒形状の側面部111bとを有し、容器体111の上端(すなわち、底面部111aと対向する面)は開口している。また、容器体111の底面部111aには、混合液容器60を挿入するための開口C7(図4参照)が形成されており、この開口C7は、後述するように、閉鎖空間S1側から混合液容器保持部140によって塞がれている。一方、蓋部112は、容器体111の底面部111aと略同じサイズ及び形状を有する上面部112aと、上面部112aに連続する略円筒形状の側面部112bとを有し、蓋部112の下端(すなわち、上面部112aと対向する面)は開口している。
そして、容器体111の側面部111bの上部が、蓋部112の側面部112bの内側に入り込むことにより、容器体111の開口が蓋部112により閉鎖される。なお、蓋部112が容器体111の蓋をした状態では、容器体111の側面部111bの上部の外周面と、蓋部112の側面部112bの内周面との間には隙間がなく、従って、外部空間に対し閉鎖空間S1の気密性が保たれるようになっている。ただし、蓋部112は、上記軸A1を中心に、容器体111に対しスライド式に回転可能である。このとき、ユーザは、蓋部112の上面部112a上であってその中心付近に形成されているつまみ部112cをつまんで回転方向の力を加えることにより、蓋部112を容器体111に対し容易に回転させることができる。なお、閉鎖空間S1の気密性を保ちつつ、蓋部112を容器体111に対し回転可能に構成する方法としては、容器体111の側面部111bの上部の外周面と、蓋部112の側面部112bの内周面とをシリコン系コーティングしたり、パッキンを設置したりする等、当業者が任意の公知の方法を採用し得る。
シリンジ保持部120は、蓋部112の上面部112aに形成された開口を塞ぐように配置されている。また、シリンジ保持部120は、蛇腹構造を有し、その結果、フレキシブルに変形可能であり、上下にも左右にも斜めにも自在に収縮及び拡張可能である。また、シリンジ保持部120は、その上端面120aでシリンジ70の針73を受け取ることにより、シリンジ70を保持可能である。さらに、図2に示すように、シリンジ保持部120は、平面視において略円形であり、平面視においてその中心が本体部110の蓋部112の中心から径方向に距離D1だけ離れた位置に配置される。
薬剤容器保持部130は、容器体111の底面部111aと略同じサイズ及び形状を有する円板状の部材であり、閉鎖空間S1内に収容される。より正確には、薬剤容器保持部130は、容器体111内であって、容器体111の上下方向の中央付近に、容器体111の底面部111aと略平行となるように配置される。ただし、薬剤容器保持部130は、容器体111から着脱自在である。なお、容器体111と薬剤容器保持部130とを分離及び固定可能に構成する方法としては、容器体111の内周面の上下方向の略中央付近に周方向に沿って概ね等間隔に複数個の突起部を形成し、薬剤容器保持部130がそれらの突起部により下方から支持されるようにする等、当業者が任意の公知の方法を採用し得る。
図3に示すように、薬剤容器保持部130には、6つの略円形の開口、つまり第1〜第6開口C1〜C6が形成されている。第1開口C1は、混合液容器保持部140が下方から通り抜けるための貫通孔である。一方、残りの開口C2〜C6は、薬剤容器50のボトル栓52が下方から通り抜けるための穴である。第2〜第6開口C2〜C6は、全て同じサイズであり、第1開口C1より小さく、薬剤容器50のボトル栓52よりもやや小さい半径を有する。また、薬剤容器保持部130は、弾性及び可撓性を有するプラスチック等で形成することができる。従って、ユーザは、薬剤容器保持部130を軽く引っ張ったり折り曲げたりしながら、ボトル栓52が開口C2〜C6を通り抜けるようにすることができる。そして、ボトル栓52を第2〜第6開口C2〜C6に挿入させた後は、ボトル栓52と肩部50bとの間のネック部51aが各開口C2〜C6に引っ掛かった状態となり、薬剤容器50が薬剤容器保持部130に保持された状態となる。
図3に示すように、薬剤容器保持部130の第1〜第6開口C1〜C6は、平面視において薬剤容器保持部130の周方向に沿って等間隔に並んでおり、かつ、それぞれの中心が薬剤容器保持部130の中心から径方向に距離D1だけ離れた位置に配置される。従って、蓋部112が容器体111の蓋をした状態で、蓋部112を容器体111に対し回転させると、平面視においてシリンジ保持部120の中心が、開口C1〜C6の中心と重なるように移動する。その結果、シリンジ保持部120の上端面120aの中心付近に刺通されたシリンジ70の針73は、薬剤容器50及び混合液容器60のボトル栓52,62の中心付近に容易にアクセス可能となる。
混合液容器保持部140は、ゴム、エラストマー等の弾性材料で形成されており、図4に示すように、下方に開口するカップ状に形成された収容部141と、収容部141内に配置される圧着部142とを有している。収容部141は、本体部110の底面部111aに形成された開口C7を気密に塞ぐように本体部110に取付けられている。より詳細には、収容部141の下端縁が開口C7の周縁に接続されており、その結果、収容部141は、本体部110の底面部111aに混合液容器60を挿入可能な凹部を形成するとともに、閉鎖空間S1と外部とを仕切る壁として機能する。また、収容部141の上端部は、上述したように、薬剤容器保持部130の第1開口C1に下方から挿入される。圧着部142は、下方に開口するカップ状に形成されており、収容部141内に圧入されている。また、圧着部142の開口の内径は、混合液容器60のボトル栓62の外径とほぼ同じであり、ボトル栓62を圧着部142の開口に下方から差し込むことにより、ボトル栓62が弾性体である圧着部142に強固に圧着し、混合液容器60が混合液容器保持部140に保持される。
なお、上記説明のとおり、ボトル栓52,62及び混合液容器保持部140は、ゴム、エラストマーなどの弾性材料で形成されているため、シリンジ70の針73を刺通した後、これを引き抜いても、針73によって形成された貫通孔は自然に塞がれる。容器50,60、及び混合液容器保持部140によって塞がれる本体部110は、気密性が維持され、薬剤の漏れや揮発が防止される。
図4〜図6に示すように、運動機構150は、円板状の基台151と、基台151から直上方に延びる上述の円筒部152と、同じく基台151から直上方に延びるコイルばね153とを有する。さらに、運動機構150は、本体部110の底面部111aから直下方に延びる上述の円柱突起154を有する。本実施形態では、コイルばね153は、金属製であり、硬質である。また、基台151、円筒部152及び円柱突起154は、プラスチック製等であるが、硬質の材料が選択されている。すなわち、運動機構150は、振動要素の荷重等が掛かることを想定し、高耐力に設計されている。
円柱突起154及びコイルばね153は、円筒部152の内径よりもやや小さい外径を有し、円筒部152内に収容されている。前者は、円筒部152内を上下方向にスライドし、後者は、円筒部152内で上下方向に伸縮する。ここで、本体部110、基台151、円柱突起154、円筒部152及びコイルばね153は、それぞれの中心軸が重なるように配置されている。そして、円柱突起154は、その上端面で本体部110の底面部111aに連続し、その下端面の略中心には、コイルばね153の上端が強固に接続されている。一方、コイルばね153の下端は、基台151の略中心に強固に接続されている。なお、円柱突起154と、本体部110の底面部111aとの連結構造は、底面部111aから直下方に延びるねじ部材111cと、このねじ部材111cを受け取るために円柱突起154の上端面に形成された開口とにより実現されている。従って、本体部110を回転させる等して、この開口からねじ部材111cの係合を解くことにより、振動要素を運動機構150から分離することができる。また、本体部110を逆回転させる等して、この開口にねじ部材111cを係合させることにより、両者を連結することができる。
ストッパー160は、ゴム、エラストマー等の弾性材料からなり、中心付近を上下に貫く略円形の開口を有する略円錐台状の部材である。この開口の内径は、円柱突起154の外径よりもやや大きく、ストッパー160は、この開口に挿入された円柱突起154を取り囲むような態様で配置されている。そして、ストッパー160は、円柱突起154に沿って上下方向に移動可能であり、弾性変形しながら、円筒部152と円柱突起154との僅かな隙間H1に入り込むことができる。ストッパー160は、隙間H1に入り込んでいる間、円筒部152及び円柱突起154に圧着し、摩擦力を生じさせる。この摩擦力は、円柱突起154の円筒部152に対するスライド運動、ひいてはコイルばね153の伸縮(振動)を防ぎ、それにより、振動要素の振動を制限し、振動要素を安定させることができる。すなわち、円柱突起154を円筒部152に対して相対的に移動不能な状態とすることができる。
ここで、図4(a)は、コイルばね153に、本体部110、シリンジ保持部120、薬剤容器保持部130、混合液容器保持部140、円柱突起154及びストッパー160の荷重が載った状態(定常状態)を示しているが、この状態では、コイルばね153は、かかる荷重を受けて自然長よりも縮んでいる。一方、図4(b)の状態では、コイルばね153は、図4(a)の状態と比べ、さらにシリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60の荷重を受け取るから、図4(a)の状態よりもさらに縮んでいる。なお、図4(b)のストッパー160は、定常状態で隙間H1に差し込まれており、この荷重と、コイルばね153の復元力との釣り合いに影響を与えていないものとする。
また、図6(a)は、ストッパー160が外され、ユーザが手動で本体部110に対し下向きの外力を加えている状態(定常状態)を示している。この状態では、コイルばね153は、図4(b)の状態と比べ、本体部110及び円柱突起154を介してさらにユーザから下向きの外力を受け取っているから、図4(b)の状態よりもさらに縮み、より大きな上向きの復元力を生じさせている。そして、図6(a)の状態で、ユーザが手を放すと、コイルばね153は、復元力により振動する。このコイルばね153の振動は、円柱突起154を介して振動要素に伝達され、振動要素を振動させる。
<1−2.混合装置を用いた混合方法>
次に、図4〜図6を参照しつつ、混合装置101及びシリンジ70を用いて、薬剤と混合液とを混合した混合薬液を生成する混合作業の流れについて、詳細に説明する。なお、ここでは、薬剤容器50内の薬剤は、粉末状であるものとする。
まず、ユーザは、混合装置101、必要な数の薬剤容器50、混合液容器60及びシリンジ70を準備する。この段階で、混合装置101は、図4(a)の状態にある。なお、以下では、薬剤容器50は、複数準備されたものとして説明を進める。
次に、ユーザは、混合装置101の本体部110から蓋部112を取り外し、薬剤容器50のネック部51aを、薬剤容器保持部130の第2〜第5開口C2〜C5に引っ掛けることにより、薬剤容器50を薬剤容器保持部130に対し保持する。この固定の作業が終わると、薬剤容器保持部130と容器体111とを固定し、さらに蓋部112により容器体111を閉じ、薬剤容器50を閉鎖空間S1内に閉じ込める。この工程により、薬剤容器50は、薬剤容器50のボトル栓52にこの後刺通されるシリンジ70の針73を介して、閉鎖空間S1と連通可能な状態となる。
続いて、ユーザは、混合液容器60を、本体部110の底面部111に形成された開口C7に挿入する。すなわち、混合液容器60を混合液容器保持部140の凹部に下方から差し込み、混合液容器60のボトル栓62を圧着部142内に挿入することにより、混合液容器60全体を混合液容器保持部140に対し保持する。これにより、混合液容器60は、混合液容器60のボトル栓62にこの後刺通されるシリンジ70の針73を介して、閉鎖空間S1と連通可能な状態となる。なお、このとき、混合液容器60は、閉鎖空間S1の外部において、混合液容器保持部140に対し取り外し可能に保持される。
続いて、ユーザは、シリンジ70の針73をシリンジ保持部120の上端面120aの中心付近に刺通することにより、シリンジ70全体をシリンジ保持部120に対し保持する。シリンジ70の針73は、シリンジ保持部120の薄肉の上端面120aに対し、閉鎖空間S1の外側から内側へ略垂直に刺通される。これにより、シリンジ70の内部空間S2は、針73内の流通路を介し、閉鎖空間S1と連通した状態となる。続いて、ユーザは、運動機構150の操作準備を行う。つまり、図4(b)に示すように、ストッパー160を隙間H1に差し込むことにより、振動要素の振動が制限される運動制限状態にする。すなわち、振動要素を運動機構150に対して固定する。従って、以後、シリンジ70の針73を薬剤容器50及び混合液容器60に対し抜き刺しする間、振動要素であるこれらシリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60が安定し、作業性が向上する。
次に、ユーザは、シリンジ70の針73を、閉鎖空間S1内で薬剤容器50及び混合液容器60の開口に対し相対的に移動させながら、混合液容器60内に混合薬液を生成する。すなわち、ユーザは、シリンジ70を用いて薬剤容器50内から必要な量の薬剤を吸引し、それらを混合液容器60内に注入する。ここで、薬剤容器50から薬剤を抜き取るに際しては、まず、薬剤容器50内に混合液を注入し、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させた後、薬剤容器50から溶解薬液を取り出す。なお、必要な薬剤の量とは、例えば抗がん剤の場合は、患者の体表面積、体重、年齢等に応じて決定される、患者に必要とされる薬剤の投与量である。以下、この操作について詳細に説明する。
まず、ユーザは、蓋部112を回転させ、シリンジ保持部120が混合液容器60の上方に配置されるように位置決めする。続いて、蛇腹構造のシリンジ保持部120を収縮させながら、シリンジ保持部120を下方に押し込むことにより、シリンジ保持部120を閉鎖空間S1内に突出させる。そして、シリンジ70の針73を閉鎖空間S1内で混合液容器60のボトル栓62に対しさらに下降させ、図5(a)に示すように、シリンジ70の針73で混合液容器保持部140の収容部141及び圧着部142、並びに混合液容器60のボトル栓62の薄肉部分を刺通する。これにより、シリンジ70の内部空間S2を、シリンジ70の針73を介して混合液容器60の内部空間と連通させる。このとき、シリンジ70の針73は、ボトル栓62の薄肉部分に対し、閉鎖空間S1の内側から混合液容器60の内側へ略垂直に刺通される。
この状態で、ユーザは、シリンジ70のピストン72をシリンダ71の内部空間S2から引き抜く方向に引っ張ることにより、内部空間S2へ混合液容器60内の混合液を吸引する。その後、ユーザは、シリンジ保持部120とともにシリンジ70を上方に引き上げることにより、シリンジ70の針73を混合液容器60のボトル栓62、並びに混合液容器保持部140の収容部141及び圧着部142から引き抜く。
続いて、ユーザは、蓋部112を回転させ、シリンジ保持部120を所望の薬剤容器50の上方に位置決めする。さらに、蛇腹構造のシリンジ保持部120を収縮させながら、シリンジ保持部120を下方に押し込むことにより、シリンジ保持部120を閉鎖空間S1内に突出させる。そして、シリンジ70の針73を閉鎖空間S1内で薬剤容器50のボトル栓52に対しさらに下降させ、シリンジ70の針73で薬剤容器50のボトル栓52の薄肉部分を、閉鎖空間S1の内側から薬剤容器50の内側へ略垂直に刺通する。これにより、シリンジ70の内部空間S2を、シリンジ70の針73を介して薬剤容器50の内部空間と連通させる。そして、この状態で、図5(b)に示すように、シリンジ70のピストン72をシリンダ71の内部空間S2へと押し込むことにより、混合液を薬剤容器50内へ注入する。
その後、混合液容器60から混合液を抜き取り、薬剤容器50内に注入する以上の工程を、薬剤容器50の数だけ繰り返す。それにより、複数の薬剤容器50内で薬剤と混合液とが混合された状態となるが、ここで、ユーザは、運動機構150を用いてこれらの薬剤容器50をまとめて振動させることにより、これらの薬剤容器50内で薬剤が混合液に溶解されるのを促進することができる。
具体的には、まず、ユーザは、ストッパー160を隙間H1から引き抜くことにより、運動制限状態から、振動要素の振動の制限が解除された解除状態にする。そして、ユーザは、この状態で、本体部110の蓋部112を下向きに押す等し、手動で本体部110に下向きの外力を加える。この外力は、本体部110を介してその下方の運動機構150のコイルばね153に伝達され、その結果、図6(a)に示すように、コイルばね153がさらに縮む。この状態で、ユーザが本体部110から手を放し、ユーザの加えていた外力が取り除かれると、コイルばね153の上向きの復元力が下向きの振動要素の荷重(より正確には、振動要素に加え、円柱突起154及びストッパー160の荷重)に打ち勝ち、振動要素を上下方向に振動させる運動力が発生する。この振動力は、コイルばね153から円柱突起154及び本体部110を介して薬剤容器保持部130へと伝達され、その結果、薬剤容器保持部130に保持された複数の薬剤容器50が同時に振動し、従って、同時に複数の薬剤容器50内で薬剤の溶解が促進される。なお、本体部110に外力を加えた後、ユーザが何もしなければ、振動の振幅は徐々に小さくなり、やがてゼロとなる。そこで、ユーザは、混合液中へ薬剤が十分に溶解するまで、繰り返し本体部110に外力を加えることにより、薬剤容器50の振動を維持することができる。また、ここでは、ユーザの加える外力の向きを下向きとして説明したが、振動要素を振動させるべく上向きの外力を加えてもよいことは、言うまでもない。
続いて、ユーザは、薬剤容器50内で薬剤が十分に溶解したことを目視で確認した後、ストッパー160を隙間H1に差し込み、再度、運動制限状態にする。そして、振動要素が安定したこの状態で、シリンジ70の針73が現在挿入されている薬剤容器50内の溶解薬液をシリンジ70の内部空間S2へ吸引し、その後、針73を薬剤容器50のボトル栓52から引き抜く。
続いて、ユーザは、上述したのと同様の態様で、蓋部112を回転させ、シリンジ70で混合液容器60の内部にアクセスする。さらに、この状態で、図6(b)に示すように、シリンジ70内の溶解薬液を混合液容器60内へ注入する。そして、その後、薬剤容器50から溶解薬液を抜き取り、混合液容器60内に注入するこれらの工程を、薬剤容器50の数だけ繰り返すことにより、混合液容器60内に混合薬液が生成される。こうして混合薬液の生成が完了すると、ユーザは、シリンジ70の針73を混合液容器60のボトル栓62から引き抜き、針73を閉鎖空間S1に留めた状態で、混合液容器60を回しながら強く下方に引っ張ることにより、混合液容器60を混合液容器保持部140から取り外す。その後、ユーザは、混合薬液入りの混合液容器60を患者のところへ運び、混合液容器60内の混合薬液を点滴等の方法で患者へ投与する。
最後に、ユーザは、本体部110を回転させて、本体部110のねじ部材111cと運動機構150の円柱突起154との係合を解き、運動機構150から本体部110を取り外す。そして、混合装置101(運動機構150及びストッパー160を除く。以下、混合装置101の要部という)に対し薬剤容器50及びシリンジ70を保持したまま、混合装置101の要部、薬剤容器50及びシリンジ70を廃棄する。すなわち、薬剤容器50及びシリンジ70は、混合装置101の要部から取り外されることなく、混合装置101の要部と一体のまま廃棄される。なお、このとき、蓋部112が容器体111の蓋をしたままにするとともに、シリンジ70のピストン72をシリンダ71に挿入したままにし、閉鎖空間S1及びシリンダ71の内部空間S2が外部空間に曝されないようにする。
<2.第2実施形態>
次に、図7を参照しつつ、第2実施形態に係る混合装置201について説明する。ここで、第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、主として振動要素を振動させる運動機構150が、振動要素を振動させるのではなく回転させる運動機構250に置換された点にある。この意味で、以下、振動要素を回転要素と呼ぶ。また、以下では、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ参照符号を付して説明を省略し、主として両者の相違点について説明を行う。
図7と図4〜図6とを比較すれば分かるように、運動機構250は、運動機構150と比べて、主としてコイルばね153の代わりに、ユーザからの外力を受けて回転要素を回転させる運動力(以下、回転力)を発生させる回転軸253を有する点が相違する。なお、図7は、図4〜図6と同様に、シリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60を支持した状態の混合装置201の側面図であるが、分かり易くするため、運動機構250、ストッパー160及び本体部110等の一部の要素については、混合装置201の中心を通る断面図となっている。回転軸253は、円板形状の回転テーブル253aと、回転テーブル253aの略中心から上方に延びる軸心253bとを有する。ここで、回転テーブル253a及び軸心253bの中心軸は、本体部110の軸A1に重なるように配置されている。
回転軸253は、基台151が回転テーブル253a全体及び軸心253bの下部を取り囲むような態様で、基台151に形成された開口に嵌め込まれている。従って、回転軸253は、基台151から取り外し不能である。ただし、基台151と、回転テーブル253a及び軸心253bの下部との間には適度な遊びがあり、ユーザは手動で、基台151に対し回転軸253を軸心253b周りに回転させることができる。また、基台151の上記開口を規定する面と、この開口に挿入される回転テーブル253a及び軸心253bの下部の表面とには、両者の相対回転が妨げられることのないよう、フッ素樹脂のコーティングを施す等、摩擦低減のための加工を施しておくことが好ましい。一方、軸心253bの上部は円柱突起154に埋め込まれているが、両者の間には遊びがない。従って、ユーザが手動で、本体部110全体に周方向の外力を加えると、その外力は、円柱突起154を介して円柱突起154に固定された回転軸253に伝達され、回転軸253、回転要素、並びに円柱突起154及びストッパー160が、基台151に対し軸A1周りを回転する。
この回転要素等の回転は、回転要素である薬剤容器保持部130に保持された状態の薬剤容器50内で、薬剤を混合液に溶解させるのを促進するために利用される。混合装置201の使用方法は、概ね混合装置101の使用方法と同様であるが、この薬剤の溶解の工程では、運動機構250の発生させる回転力により、薬剤が薬剤容器50内で攪拌される。具体的には、この工程では、まず、ユーザは、ストッパー160が隙間H1に挿入されていない解除状態にする。そして、ユーザは、この状態で、本体部110の容器体111に触れる等し、手動で本体部110全体に周方向の外力を加える。回転軸253は、このユーザからの外力を本体部110及び円柱突起154を介して受け取り、回転要素等を回転させる軸A1周りの遠心力を発生させる。その結果、薬剤容器保持部130に保持された複数の薬剤容器50が同時に軸A1周りを回転し、従って、同時に複数の薬剤容器50内で薬剤の溶解が促進される。ユーザは、混合液中へ薬剤が十分に溶解するまで、本体部110に外力を加え続けることにより、薬剤容器50の回転を継続させる。
<3.第3実施形態>
<3−1.混合装置の構成>
次に、図8〜図12を参照しつつ、第3実施形態に係る混合装置301について説明する。ここで、混合装置301は、第1及び第2実施形態の混合装置101,201と同様に、外部空間に対して気密に薬剤と混合液とを混合するために用いられる装置であって、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した運動を薬剤容器50に与える機能を有するものである。そのため、混合装置301に含まれる構成要素は、混合装置101,201と同じ又は類似するものが多いが、以下では、そのような構成要素については、同じ参照符号を付して重複する構成に関する説明を省略する。また、シリンジ70、薬剤容器50、混合液容器60及び薬剤の種類についても、第1及び第2実施形態と同様であるものとして説明を省略する。
図8に示すように、混合装置301は、第1及び第2実施形態と同様の本体部110、シリンジ保持部120及び薬剤容器保持部130を有する他、混合液容器保持部140に代えて、混合液容器保持部340を有する。ここで、図8及び図10〜図12は、本体部110の中心軸A1を通る、シリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60を保持した状態の混合装置301の断面図である。
図8に示すように、混合装置301の本体部110は、第1及び第2実施形態と同様の容器体111を有するものであるが、その底面部111aに形成された開口C7を気密に塞ぐべく、第1実施形態の収容部141に代えて収容部113を有する。収容部113は、下方に開口するカップ状に形成されており、その下端縁が開口C7の周縁に接続されている。その結果、収容部113は、本体部110の底面部111aに混合液容器60を挿入可能な凹部を形成するとともに、閉鎖空間S1と外部とを仕切る壁として機能する。また、収容部113の上端部は、薬剤容器保持部130の第1開口C1の直下方に位置する。
図9は、混合液容器保持部340の平面図であるが、この図に示されるように、混合液容器保持部340は、第1支持部材341を有する。第1支持部材341は、収容部113の凹部の内径と略同じ外径を有する略半円形の板状部材に、同心の略半円形の切り込みR1を形成した部材である。また、第1支持部材341は、収容部113の凹部内に収容され、収容部113の側面に固定されている。ここで、切り込みR1の外径は、混合液容器60のネック部61aの外径と略等しく、従って、混合液容器60のネック部61aは、切り込みR1で第1支持部材341に引っ掛けることができる。なお、図9中、参考のため、収容部113、混合液容器60のボトル栓62の外径、ボトル本体61のネック部61aの外径、及びボトル本体61の最大の外径を点線で示している。
また、図8に示すように、混合液容器保持部340は、混合液容器60のボトル本体61(より正確には、肩部61bよりも下の部分)を受け取るための第2支持部材342を有する。第2支持部材342は、図9に示すように、平面視において円弧状の板状部材であり、ボトル本体61に沿うよう湾曲している。また、第2支持部材342は、第1支持部材341と同様に、収容部113の凹部内に収容され、収容部113の側面に固定されているが、収容部113の周方向に沿って第1支持部材341の反対側に配置されている。そして、第2支持部材342は、混合液容器60のネック部61aが第1支持部材341に引っ掛かった状態でボトル本体61に接触し、平面視において混合液容器60を第1支持部材341の反対側から支持する。なお、支持部材341,342は、プラスチック等からなる弾性部材である。従って、これらの支持部材341,342は、混合液容器60を収容部113の凹部内に挿入し、混合液容器保持部340に保持させる際に適宜弾性変形し、この挿入の作業がスムーズに行われるようになっている。
また、混合装置301は、図8に示すように、第1及び第2実施形態の運動機構150に代えて、運動機構350を有する。運動機構350は、閉鎖空間S1内であって薬剤容器保持部130の下方に配置されており、運動機構150と同様の円筒部152、コイルばね153及び円柱突起154を有している。ただし、これらの要素152〜154は、閉鎖空間S1内に収容可能な程度に小型化されている。より詳細には、運動機構350においては、ねじ部材111cによる円柱突起154と本体部110の底面部111aとの係合機構が省略され、円柱突起154の上面が、薬剤容器保持部130の下面に接触している。また、コイルばね153の下端は、底面部111aの上面に強固に接続されている。なお、これらの要素152〜154の中心軸は、全て軸A1に重なっている。
そして、薬剤容器保持部130が薬剤容器50を保持した状態であるか否かに関わらず、コイルばね153は、復元力により、円柱突起154を介して薬剤容器保持部130を上向きに付勢している。ただし、容器体111の内周面には、その上下方向の中心付近であって同じ高さ位置に、周方向に沿って概ね等間隔に複数個の突起部350aが形成されている。従って、薬剤容器保持部130は、これらの突起部350aにより上方から押され、突起部350aよりも上方に移動しないようになっている。
ここで、本実施形態の薬剤容器保持部130には、突起部350aの存在により薬剤容器保持部130を上方から図8の位置に装着できなくなることを防ぐために、その外周に沿って突起部350aに対応する切欠き(図示されない)が形成されている。従って、薬剤容器保持部130を容器体111内に収容する際には、これらの切欠きと突起部350aとを平面視において位置合わせした状態で、薬剤容器保持部130を突起部350aの下方まで移動させる。そして、その状態で、薬剤容器保持部130を回転させ、平面視においてこれらの切欠きと突起部350aの位置をずらすようにする。
以上述べたとおり、薬剤容器保持部130は、コイルばね153と突起部350aとにより、突起部350aの真下に安定的に配置され得るものである。しかしながら、運動機構350は、ユーザから下向きの外力を受け取り、薬剤容器保持部130を振動させるための細長い円柱形状の突き棒351と、これに連続する円板状のハンドル352とを有する。なお、本実施形態においては、蓋部112のつまみ部112cは省略されている。そして、突き棒351は、蓋部112の上面部112aの中心付近に開けられた開口を通り抜けて、閉鎖空間S1の外部から薬剤容器保持部130の略中心の直上まで上下方向に延びている。なお、突き棒351の中心軸は、軸A1に重なっている。一方、ハンドル352は、突き棒351の上端に連続しており、ユーザが外力を加える際に手で触れる部材である。
また、運動機構350は、突き棒351が貫通する蓋部112の上記開口に対し、閉鎖空間S1を気密に塞ぐための栓体353を有している。栓体353は、平面視において蓋部112の上記開口と同じ外形を有しており、この開口に挿入されている。そして、この栓体353は、栓体353を上下方向に貫く貫通孔を有しており、この貫通孔で突き棒351を受け取っている。また、この貫通孔と突き棒351との間には隙間がなく、従って、閉鎖空間S1の気密性は保たれているが、突き棒351はこの貫通孔を上下方向にスライド可能であるものとする。なお、本実施形態では、栓体353は、ゴム、エラストマー等から構成されており、突き棒351及びハンドル352は、プラスチック等から構成されている。
また、収容部113の上面部には、その略中央、つまり混合液容器60のボトル栓62と対向する面に開口が形成されている。そして、この開口には、下向きに凸状の栓370が強固に挿入されている。その結果、混合液容器60を装着した際には、栓370の凸状の部位がボトル栓62に押し込まれ、この部位において混合液容器保持部40とボトル栓62とが密着する。従って、シリンジ70で混合液容器60の内部にアクセスする際には、この部分にシリンジ70の針73を刺通することにより、外部空間への薬液の漏れをより確実に防止することができる。そして、この機能を確実にするために、収容部113の上端面には、上記開口を取り囲むような態様のガイド部材380が取り付けられている。ガイド部材380は、筒状の部材である。従って、シリンジ70で混合液容器60の内部にアクセスする際には、このガイド部材380の内側に針73の先端を位置合わせすることにより、針73を栓370及びボトル栓62の中心付近に正確に案内することができる。なお、栓370は、ゴム、エラストマー等からなり、針73を刺通した後これを引き抜いても、針73によって形成された貫通孔は自然に塞がれ、閉鎖空間S1の気密性が維持される。
<3−2.混合装置を用いた混合方法>
次に、図8及び図10〜図12を参照しつつ、混合装置301及びシリンジ70を用いて混合薬液を生成する混合作業の流れについて、第1及び第2実施形態との相違点を中心に説明を行う。なお、ここでは、薬剤容器50内の薬剤は、粉末状であるものとする。
まず、ユーザは、混合装置301、必要な数の薬剤容器50、混合液容器60及びシリンジ70を準備する。続いて、薬剤容器50、混合液容器60及びシリンジ70を薬剤容器保持部130、混合液容器保持部340及びシリンジ保持部120にそれぞれセットし、図8の状態にする。このセットの工程は、上述の通りである。なお、以下では、薬剤容器50が複数準備されたものとする。
次に、ユーザは、図10(a)に示すように、混合装置301を鉛直方向に90°傾ける。その後、蓋部112を回転させ、シリンジ保持部120が混合液容器60の右側方に配置されるように位置決めする。さらに、この状態で、シリンジ保持部120を収縮させて、シリンジ70を左方に移動させる。そして、シリンジ70の針73をガイド部材380の内側に位置合わせした状態で、図10(b)に示すように、針73で栓370及び混合液容器60のボトル栓62を刺通する。次に、ユーザは、シリンジ70を操作して、その内部空間S2へ混合液容器60内の混合液を吸引し、その後、針73を栓370及びボトル栓62から引き抜く。
続いて、ユーザは、蓋部112を回転させ、シリンジ保持部120が薬剤容器50の右側方に配置されるように位置決めする。さらに、この状態で、シリンジ保持部120を収縮させて、シリンジ70を左方に移動させ、針73で栓370及び薬剤容器50のボトル栓52を刺通する。続いて、シリンジ70を操作して、図10(c)に示すように、その内部空間S2内の混合液を薬剤容器50内へ注入する。その後、混合液容器60から混合液を抜き取り、薬剤容器50内に注入する以上の工程を、薬剤容器50の数だけ繰り返す。
次に、ユーザは、図10(d)に示すように、混合装置301を鉛直方向に転倒させ、通常の向きに戻す。そして、この状態で、運動機構350を用いて複数の薬剤容器50をまとめて振動させることにより、これらの薬剤容器50内で薬剤が混合液に溶解されるのを促進する。具体的には、まず、ユーザは、ハンドル352を手で握ってこれに下向きの外力を加える。この外力は、ハンドル352に連結されている突き棒351、その下方の薬剤容器保持部130、さらにその下方の円柱突起154、さらにその下方のコイルばね153へと伝達され、その結果、図11(a)に示すように、コイルばね153が縮む。この状態で、ユーザがハンドル352から手を放すと、コイルばね153の復元力により、薬剤容器保持部130に上下方向の振動力が発生する。この振動力は、コイルばね153から円柱突起154を介して薬剤容器保持部130へと伝達され、その結果、薬剤容器保持部130に保持された複数の薬剤容器50が同時に振動し、これらの薬剤容器50内で同時に薬剤の溶解が促進される。ユーザは、混合液中へ薬剤が十分に溶解するまで、ハンドル352を操作し続けることにより、薬剤容器保持部130の振動を維持する。
続いて、ユーザは、薬剤容器50内で薬剤が十分に溶解したことを目視で確認した後、図11(b)に示すように、混合装置301を鉛直方向に概ね反転させる。その結果、重力により、薬剤容器50内で溶解薬液が下方に寄り、薬剤容器50内の溶解薬液を最後までシリンジ73内に吸引できる状態になる。そこで、ユーザは、この状態で、針73が現在挿入されている薬剤容器50内の溶解薬液を、全てシリンジ70の内部空間S2へ吸引する。
この時、シリンジ70の内部空間S2には、気泡が溜まり易い。そこで、ユーザは、図11(c)に示すように、混合装置301を通常の向きから90°傾いた状態にし、シリンジ70を略水平に配置する。そして、この状態で、シリンジ70を回転させることにより、シリンジ70の内部空間S2内の気泡を内部空間S2のヘッドスペースに集める。その後、ユーザは、再度図11(b)の角度まで、混合装置301を鉛直方向に回転させ、シリンジ70を操作して、内部空間S2内の空気を薬剤容器50内に押し出す。この時、シリンジ70内の溶解薬液の一部が薬剤容器50内に戻されがちであるが、そのような場合には、戻された溶解薬液をシリンジ70内へ再度吸引する。そして、このような作業を繰り返すことにより、シリンジ70の内部空間S2を、気泡なく溶解薬液が充填されている状態にする。その後、針73を薬剤容器50のボトル栓52から引き抜く。
続いて、ユーザは、上述したのと同様の態様で、蓋部112を回転させ、シリンジ70で混合液容器60の内部にアクセスする。さらに、この状態で、図11(d)に示すように、シリンジ70内の溶解薬液を混合液容器60内へ注入する。そして、その後、薬剤容器50から溶解薬液を抜き取り、混合液容器60内に注入するこれらの工程を、薬剤容器50の数だけ繰り返すことにより、混合液容器60内に混合薬液が生成される。こうして混合薬液の生成が完了すると、ユーザは、針73を混合液容器60のボトル栓62から引き抜き、図12に示すように、混合液容器60を混合液容器保持部340から取り外す。以後の作業の流れは、第1及び第2実施形態と同様である。
<4.第4実施形態>
次に、図13及び図14を参照しつつ、第4実施形態に係る混合装置401について説明する。ここで、混合装置401は、第3実施形態に係る混合装置301に類似しているが、両者の差異は、主として薬剤容器保持部130及び運動機構350が、それぞれ薬剤容器保持部430運動機構450に置換された点にある。運動機構350は、薬剤容器保持部130を振動させる機構であったが、これに対し、運動機構450は、薬剤容器保持部430を振動させるだけなく、回転をさせることも可能なように構成されている。以下では、第3実施形態と共通する構成要素については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、運動機構450は、運動機構350と比べ、突き棒351の下端に比較的背の低い略四角柱形状の回転伝達部材451が追加されるとともに、ハンドル352上につまみ部352aが追加された点のみが相違する。一方、薬剤容器保持部430は、図14に示すように、薬剤容器保持部130と比べ、その上面の略中心に平面視において回転伝達部材451と同じ略四角柱形状の凹部430aが形成されている点のみが相違する。なお、図14(a)は、突き棒351及び回転伝達部材451の側面図であるが、図14(b)及び図14(c)は、それぞれ薬剤容器保持部430の断面図及び平面図であって、回転伝達部材451に対する凹部430aの相対サイズを示している。そして、回転伝達部材451は、ハンドル352が下方に押された時、凹部430aに強固に嵌まり込むように構成されている。そして、回転伝達部材451が凹部430aに嵌まり込んでいる状態で、ユーザがハンドル352を水平面内で回転させると、回転伝達部材451が平面視において回転非対称の形状であるため、ユーザからのこの外力は、軸A1周りの回転力として薬剤容器保持部130に伝達される。なお、ユーザは、ハンドル352を回転させる時、つまみ部352aを掴んで操作することができる。つまみ部352aは、外力のモーメントを増大させるべく、図13に示すように、ハンドル352上であってその中心(回転中心)から偏心した位置に固定されている。
そして、この回転力は、薬剤容器保持部430に保持された薬剤容器50内で、薬剤を混合液に溶解させるのを促進するために利用される。混合装置401の使用方法は、概ね混合装置301の使用方法と同様であるが、この薬剤の溶解の工程では、運動機構450の発生させる振動力及び回転力の両方により、薬剤が薬剤容器50内で攪拌される。具体的には、この工程では、ユーザは、薬剤容器50内で薬剤が十分に溶解するまで、手動でハンドル352に対し上下方向及び周方向の外力を加え続ける。一方、ハンドル352は、ユーザから外力を受け取り、これを突き棒351及び回転伝達部材451を介して薬剤容器保持部430に伝達する。つまり、ここでは、薬剤容器50を保持した状態の薬剤容器保持部430を、容易に振動させながら、回転させることができる。その結果、薬剤容器50内での薬剤の溶解がさらに促進される。
<5.第5実施形態>
<5−1.溶解装置の構成>
次に、図15〜図17を参照しつつ、第5実施形態に係る溶解装置501について説明する。ここで、第5実施形態に係る溶解装置501が、第1から第4実施形態に係る混合装置101,201,301,401と相違するのは、主として溶解装置501がシリンジ保持部及び混合液容器保持部を有さず、本体部内に気密な閉鎖空間が形成されない点にある。すなわち、溶解装置501は、主として薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した運動を薬剤容器50に与えるために用いられる装置であって、シリンジ70を用いて薬剤容器50内へ混合液を注入する工程は、溶解装置501外で行われる。また、シリンジ70を用いて溶解薬液を混合液容器60内に注入する工程も、溶解装置501外で行われる。従って、溶解装置501の取り扱いの対象となる薬剤は、第1から第4実施形態とは異なり、主として細胞毒性を有さない薬剤等、外部空間への曝露が問題とならない薬剤である。ただし、外部空間への曝露が問題となる薬剤であっても、従来行われてきたように、ユーザがキャップや、マスク、ガウン、手袋等を着用した状態でアイソレーターや安全キャビネット等の装置内で作業を行うのであれば、溶解装置501の取り扱いの対象となる。なお、シリンジ70、薬剤容器50及び混合液容器60については、第1から第4実施形態と同様であるものとして説明を省略する。
図15に示すように、溶解装置501は、プラスチック等の材料からなる略円柱形状の本体部510を有する。図15中には、明確に示されていないが、本体部510は、円筒形でカップ状の容器体と、容器体の上部開口を開閉する蓋部とを有する。すなわち、この蓋部は、容器体に対し着脱可能である。
また、溶解装置501は、本体部510内に着脱自在に収容可能な円板状の薬剤容器保持部530を有する。薬剤容器保持部530は、同一平面内に複数の薬剤容器50を保持可能であり(本実施形態では最大で6個)、薬剤容器50を保持した状態で本体部110内に収容され得る。また、薬剤容器保持部530は、本体部510内に装着された状態で、本体部510の上面及び底面と略平行になる。そして、薬剤容器保持部530には、6つ薬剤容器50のボトル栓52がそれぞれ通り抜けるための6つの略円形の開口が、周方向に等間隔に形成されている。これらの開口は、薬剤容器50のボトル栓52よりもやや小さい半径を有する。また、薬剤容器保持部530は、弾性及び可撓性を有するプラスチック等で形成されている。従って、ユーザは、薬剤容器保持部530を軽く引っ張ったり折り曲げたりしながら、ボトル栓52をこれらの開口に挿入することができる。そして、ボトル栓52がこれらの開口に挿入された後は、ボトル栓52と肩部50bとの間のネック部51aがこれらの開口に引っ掛かった状態となり、薬剤容器50が薬剤容器保持部530に保持された状態となる。
また、溶解装置501は、本体部510の底面の中心付近を貫通する運動機構550を有する。運動機構550は、略円盤状の基台551と、コイルばね553と、コイルばね553の上端及び下端にそれぞれ固定された円柱部材554,555とを有する。コイルばね553及び円柱部材554,555は、上下方向に一直線状に延びており、上側の円柱部材554の上面は、薬剤容器保持部530の下面に接触しており、下側の円柱部材553の底面は、基台551上に固定されている。
また、薬剤容器保持部530の下面には、コイルばね553及び円柱部材554,555の外形よりもやや大きい内径を有し、その内側でコイルばね553及び円柱部材554,555を受け取る円筒部552が固定されている。円柱部材554,555は、円筒部552内を上下方向にスライドし、コイルばね553は、円筒部552内で上下方向に伸縮する。ここで、薬剤容器保持部530、基台551、円柱部材554,555、円筒部552及びコイルばね553は、全て中心軸が本体部510の中心軸A2に重なるように配置されている。なお、本実施形態では、コイルばね153は、金属製であり、硬質である。また、基台551、円筒部552及び円柱部材554,555は、プラスチック製等であるが、硬質の材料が選択されている。すなわち、運動機構550は、薬剤容器50を保持した状態の薬剤容器保持部530の荷重等が掛かることを想定し、高耐力に設計されている。
そして、薬剤容器保持部530が薬剤容器50を保持した状態であるか否かに関わらず、コイルばね553は、復元力により、円柱部材554を介して薬剤容器保持部530を上向きに付勢している。ただし、本体部510の内周面には、その上下方向の中心付近であって同じ高さ位置に、周方向に沿って概ね等間隔に複数個の突起部550aが形成されている。従って、薬剤容器保持部530は、これらの突起部550aにより上方から押され、突起部550aよりも上方に移動しないようになっている。
ここで、薬剤容器保持部530には、突起部550aの存在により薬剤容器保持部530を上方から図16の位置に装着できなくなることを防ぐために、その外周に沿って突起部550aに対応する切欠き(図示されない)が形成されている。従って、薬剤容器保持部530を本体部510内に収容する際には、これらの切欠きと突起部550aとを平面視において位置合わせした状態で、薬剤容器保持部530を突起部550aの下方まで移動させる。そして、その状態で、薬剤容器保持部530を回転させ、平面視においてこれらの切欠きと突起部550aの位置をずらすようにする。なお、この作業は、薬剤容器保持部530の下面に固定されている円筒部552内に、コイルばね553及び円柱部材554,554を収容させながら行われる。
以上述べたとおり、薬剤容器保持部530は、コイルばね553と突起部550aとにより、突起部550aの真下に安定的に配置され得るものである。しかしながら、ユーザが本体部510を下向きに押すと、運動機構550により薬剤容器保持部130が振動させられることになる。具体的には、ユーザが本体部510を下向きに押すと、その下向きの外力が突起部550a、薬剤容器保持部530及び円柱部材554を介してコイルばね553に伝達され、その結果、図16に示すように、コイルばね553が縮む。この状態で、ユーザが本体部510から手を放し、ユーザの加えていた外力が取り除かれると、コイルばね553の復元力により、薬剤容器保持部530を上下方向に振動させる運動力(以下、振動力)が発生する。この振動力は、コイルばね553から円柱部材554を介して薬剤容器保持部530へと伝達され、その結果、薬剤容器保持部530に保持された薬剤容器50が振動し、薬剤容器50内で薬剤の溶解が促進される。
<5−2.溶解装置を用いた溶解方法>
以下、溶解装置501を用いて、薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させる溶解作業の流れについて説明する。
まず、ユーザは、混合装置501、必要な数の薬剤容器50、混合液容器60及びシリンジ70を準備する。そして、シリンジ70を用いて、混合液容器60内の混合液を抜き取り、この混合液を薬剤容器50内へ注入する。その後、ユーザは、薬剤容器保持部530を本体部510から取り出して、混合液入りの薬剤容器50を薬剤容器保持部530に固定する。その後、薬剤容器50を保持した状態の薬剤容器保持部530を、上述した態様で本体部510内に収容する。
続いて、ユーザが本体部510に触れながら、これに下向きの外力を加えたり、解除したりすると、上述したとおり、薬剤容器保持部530が振動し始める。その結果、薬剤容器保持部530に保持された複数の薬剤容器50が同時に振動し、これらの薬剤容器50内で同時に薬剤の溶解が促進される。ユーザは、混合液中へ薬剤が十分に溶解するまで、本体部510を操作し続けることにより、薬剤容器保持部530の振動を継続させる。
続いて、ユーザは、薬剤容器50内で薬剤が十分に溶解したことを目視で確認した後、混合装置501から薬剤容器50を取り出す。そして、シリンジ70を用いて、各薬剤容器50内の溶解薬液を抜き取り、この溶解薬液を混合液容器60内へ注入する。その結果、混合液容器60内に混合薬液が生成される。
なお、本実施形態では、シリンジ70を用いて薬剤容器50内へ混合液を注入する工程を、溶解装置501外で行ったが、これを溶解装置501内で行い易いよう、シリンジ70が通る注入口H2を、本体部510の蓋部の上面に形成してもよい(図17参照)。この注入口H2は、シリンジ70の針73が薬剤容器50のボトル栓52にアクセスし易いよう、本体部510内に収容された薬剤容器50の直上に配置することが好ましい。そして、蓋部を容器体に対して回転させると、注入口H2は、容器体に固定されている薬剤容器保持部530に対して相対的に回転することになる。このように、蓋部を容器体に対して回転させることで、シリンジ70が注入口H2を介して、薬剤容器保持部530にまとめて保持されている複数の薬剤容器50に順次アクセス可能になる。あるいは、本体部510の蓋部を取り外したまま作業することも可能である。
また、このように、シリンジ70を用いて本体部510内に収容されている薬剤容器50にアクセスするのであれば、第1実施形態と同様のストッパー160を用意することが好ましい。薬剤容器50にシリンジ70が接触した時に、運動機構550により意図せずして薬剤容器保持部530が振動してしまうのを防ぐためである。本実施形態では、図17に示すように、ストッパー160を円柱部材555に取付けておき、必要に応じてこのストッパー160を円筒部552と円柱部材555との隙間H3に挿入し、運動制限状態にすればよい。
<6.第6実施形態>
次に、図18を参照しつつ、第6実施形態に係る溶解装置601について説明する。ここで、溶解装置601は、第5実施形態に係る溶解装置501に類似しており、主として薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した運動を、薬剤容器50に与えるために用いられる装置である。両者の差異は、主として薬剤容器保持部530を振動させる運動機構550が、薬剤容器保持部530を振動させるのではなく、回転させる運動機構650に置換された点にある。以下では、第5実施形態と共通する構成要素については、同じ参照符号を付して説明を省略する。シリンジ70、薬剤容器50、混合液容器60及び薬剤の種類についても、第5実施形態と同様であるものとして説明を省略する。
図18と図15とを比較すれば分かるように、溶解装置601は、溶解装置501と同様の本体部510及び薬剤容器保持部530を有し、運動機構550の代わりに、運動機構650を有する。運動機構650は、薬剤容器保持部530の上方に配置され、ユーザの操作を受けて、薬剤容器保持部530を回転させる回転力を発生させる。具体的には、運動機構650は、薬剤容器保持部530上に固定された円柱部材653と、本体部510の蓋部の下面に固定され、円柱部材530を収容可能な円筒部652とを有する。ここで、薬剤容器保持部530、円柱部材653及び円筒部652は、全て中心軸が本体部510の中心軸A2に重なるように配置されている。円筒部652は、本体部510の上面から薬剤容器保持部530のやや上方まで上下方向に延びており、円筒部652内を上下方向に延びる円柱部材653が水平面内で移動しないように規制する。言い換えると、円筒部652は、円柱部材653に固定されている薬剤容器保持部530が水平面内でずれるのを防止する役割を果たす。
また、運動機構650は、円柱部材653の上部に着脱可能に装着されるハンドル654を有する。図18には、点線で、ハンドル654が取り外された様子を示している。ハンドル654は、円柱部材653の上部を受け取る円筒部材と、この円筒部材の上面に固定された円板部材と、この円板部材の上面に固定されたつまみ部654aとを有する。これらの円筒部材及び円板部材も、中心軸が本体部510の中心軸A2に重なるように配置されている。そして、円筒部材の内周の下部及び円柱部材653の上部の外周には、互いに係合するねじ溝が形成されており、両者はねじ止め可能である。ここで、両者がねじ止めされた状態では、ハンドル654が本体部510の内外に亘って上下方向に延びることになるが、このようにハンドル654が本体部510の蓋部を貫通することが可能なよう、蓋部の略中心付近には開口が形成されている。そして、この状態で、ユーザは、つまみ部654aを掴んで、ハンドル654及び円柱部材653、さらには円柱部材653に固定された薬剤容器保持部530を回転させることができる。なお、つまみ部654aは、外力のモーメントを増大させるべく、ハンドル654の円板部材の中心(回転中心)から偏心した位置に固定されている。
そして、この回転力は、薬剤容器保持部530に保持された薬剤容器50内で、薬剤を混合液に溶解させるのを促進するために利用される。溶解装置601の使用方法は、概ね溶解装置501の使用方法と同様であるが、この薬剤の溶解の工程では、運動機構650の発生させる回転力により、薬剤が薬剤容器50内で攪拌される。具体的には、この工程では、ユーザが手動でハンドル654に周方向の外力を加えると、ハンドル654が受け取ったこの外力は、円柱部材653及び円筒部652により、薬剤容器保持部530を回転させる軸A2周りの遠心力に変換される。その結果、薬剤容器保持部130に保持された複数の薬剤容器50が同時に軸A2周りを回転し、従って、同時に複数の薬剤容器50内で薬剤の溶解が促進される。ユーザは、混合液中へ薬剤が十分に溶解するまで、ハンドル654に外力を加え続けることにより、薬剤容器50の回転を継続させる。
なお、本実施形態において、本体部510の容器体内に薬剤容器保持部530を収容し、さらに容器体に蓋をして図18の状態にする作業は、ハンドル654を円柱部材653から取り外した状態で行われる。具体的には、まず、本体部510の容器体の内周面上であって、本体部510の上下方向の略中央付近に形成されている突起部650a上に、薬剤容器保持部530を載置する。続いて、薬剤容器保持部530上の円柱部材653が、本体部510の蓋部の下方の円筒部652の内側に下方から入り込むように、容器体に蓋部で蓋をする。そして、その後、蓋部の上方から、ハンドル653で円柱部材654にアクセスし、両者をねじ止めする。なお、この状態では、薬剤容器保持部530は、突起部650aと円筒部652とに挟まれ、上下方向の移動がほぼ規制されている。
また、本実施形態においても、第5実施形態と同様に、本体部510にシリンジ70が通る注入口H2を形成してもよい。この場合、本実施形態においては、ハンドル654を操作して薬剤容器保持部530を回転させることによっても、注入口H2を薬剤容器保持部530に対して相対的に回転させることが可能になり、その結果、薬剤容器保持部530に保持されている複数の薬剤容器50に注入口H2を介してシリンジ70で順次アクセスすることができる。
<7.第7実施形態>
次に、図19を参照しつつ、第7実施形態に係る溶解装置701について説明する。ここで、溶解装置701は、第5及び第6実施形態に係る溶解装置501,601に類似しており、主として薬剤容器50内で薬剤を混合液に溶解させるのに適した運動を、薬剤容器50に与えるために用いられる装置である。両者の差異は、主として薬剤容器保持部530を振動又は回転させる運動機構550,650が、薬剤容器保持部530を振動させるだけでなく、回転をもさせる運動機構750に置換された点にある。以下では、第5及び第6実施形態と共通する構成要素については、同じ参照符号を付して説明を省略する。シリンジ70、薬剤容器50、混合液容器60及び薬剤の種類についても、第5及び第6実施形態と同様であるものとして説明を省略する。
図19と図15及び図18とを比較すれば分かるように、溶解装置701は、溶解装置501,601と同様の本体部510及び薬剤容器保持部530を有し、運動機構550,650の代わりに、運動機構750を有する。運動機構750は、ユーザの操作を受けて、薬剤容器保持部530を振動及び回転させる運動力を発生させる。具体的には、運動機構750は、運動機構650と同様の円筒部652、円柱部材653及びハンドル654を有するとともに、第3実施形態と同様の円筒部152、コイルばね153及び円柱突起154を有する。また、溶解装置701は、溶解装置501と同様に、コイルばね153により下方から付勢される薬剤容器保持部530の移動の上端を規定する突起部550aを有している。
そして、運動機構750が発生させる運動力は、薬剤容器保持部530に保持された薬剤容器50内で、薬剤を混合液に溶解させるのを促進するために利用される。溶解装置701の使用方法は、概ね溶解装置501,601の使用方法と同様であるが、この薬剤の溶解の工程では、運動機構750の発生させる振動力及び回転力の両方により、薬剤が薬剤容器50内で攪拌される。具体的には、この工程では、ユーザは、薬剤容器50内で薬剤が十分に溶解するまで、手動でハンドル654に対し上下方向及び周方向の外力を加え続ける。一方、ハンドル654は、ユーザから外力を受け取り、これを円柱部材653を介して薬剤容器保持部530に伝達する。つまり、ここでは、薬剤容器50を保持した状態の薬剤容器保持部530を、容易に振動させながら、回転させることができる。その結果、薬剤容器50内での薬剤の溶解がさらに促進される。
また、本実施形態においても、第5及び第6実施形態と同様に、本体部510にシリンジ70が通る注入口H2を形成してもよい。また、本実施形態においては、図20に示すように、運動機構750により意図せずして薬剤容器保持部530が振動してしまうのを防ぐべく、必要に応じて薬剤容器保持部530をクリップ760(切替部)等で本体部510に対し固定できるようにしてもよい。すなわち、クリップ760は、運動機構750からの運動力の伝達が少なくとも部分的に制限される運動制限状態と、運動力の伝達の制限が解除された解除状態とに切り替える役割を果たす。具体的な実現方法としては、例えば、本体部510の側面上であって薬剤容器保持部530が配置される高さ位置付近に、周方向に沿って開口を数か所形成しておき、必要な時にこれらの開口からクリップ760等を挿入するようにすればよい。この態様は、注入口H2を形成し、シリンジ70で本体部510内にセットされた薬剤容器50にアクセスする場合に特に有効である。そして、振動を付与する場合には、クリップ760を薬剤容器保持部530から取り外し、薬剤容器保持部530が振動可能な状態とすればよい。
<8.変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。
<8−1>
運動機構により薬剤容器保持部を回転させることが可能な上記実施形態においては、薬剤容器保持部の回転軸が水平面に対して傾いた状態となるように、本体部等の回転要素の向きを固定し支持する機構を設けてもよい。この態様によれば、回転による遠心力だけでなく、重力を利用して、薬剤容器50内で薬剤と溶解剤とを攪拌することが可能になり、その結果、薬剤容器50内での薬剤の溶解がさらに促進される。なお、この変形例を、第2実施形態に適用すると、図21のようになる。すなわち、基台151が斜面を有する略三角柱形状の基台251を有する形状に変更されている。
<8−2>
上記実施形態では、運動機構が薬剤容器保持部を運動させる運動力を発生させるためのトリガーとなる外力は、ユーザが本体部やハンドル等を操作することにより加えられるようになっていたが、これを自動化してもよい。具体的には、本体部やハンドル等に電動アクチュエータを接続し、薬剤容器50内で薬剤を溶解させる際にこの電動アクチュエータを起動するようにすればよい。すなわち、電動アクチュエータが発生させる駆動力を外力として、運動機構が受け取るようにすればよい。電動アクチュエータとしては、例えば、電動モータを利用して回転力を発生させることもできるし、電動バイブレータを利用して振動力を発生させることもできるし、両方を利用して回転力及び振動力を発生させることもできる。なお、この変形例を、第7実施形態に適用すると、図22のようになる。すなわち、この例では、電動バイブレータ770が、ハンドル654の円板部材上であってその中心付近に配置されている。その結果、ユーザはハンドル654を回転させるだけで、回転力と振動力が同時に発生することになる。
<8−3>
第1から第4実施形態において、シリンジ保持部120及びその周辺の構造を、図23に示すような態様としてもよい。具体的には、図23では、本体部110の蓋部112の上面の、シリンジ70及びシリンジ保持部120が本体部110内に進入するための開口に沿うように、円筒壁114が形成されている。円筒壁114と蓋部112との間には、閉鎖空間S1の気密性を確保すべく、シールリング114aが配置されている。また、ここでのシリンジ保持部120は、同じく蛇腹構造を有するものであるが、略円錐形状ではなく、略円柱形状であり、底面部121と、側面部を形成するプリーツ122とを有している。
さらに、シリンジ70は、シリンダ71と針73とをルアーロック式に装着可能なタイプのものであり、針73は、予め底面部121の閉鎖空間S1側に装着されている。より具体的には、底面部121には、シリンダ71と針73と連結するためのルアーロックアダプター74であって、針73を保持した状態のものが、予め装着されている。そして、図23(a)及び(b)に示すように、混合作業時に、ルアーロックアダプター74を介してシリンダ71と針73とが連結されるようになっている。また、円筒壁114の内壁には、シリンジ70の安定性を向上させるべく、平面視においてドーナツ形状のシリコンラバー114bが配置されている。ここで、シリンジ70は、シリンダ71がシリコンラバー114bの中央の開口を貫通する態様で支持される。すなわち、シリコンラバー114bは、シリンダ71に密着することでシリンジ70の水平方向の安定性を向上させるが、一方で、シリンダ71がシリコンラバー114bの開口を上下方向に移動する時の摩擦は少ない。
図23(b)及び(c)に示すように、シリンジ70及びシリンジ保持部120が本体部110内に対し進入及び後退する際には、プリーツ122が上下方向に伸縮する。また、図23(d)は、シリンジ71が針73に装着される前の様子を示しているが、このように、混合作業を開始するまでは、無菌性を保つために針73をカバー75で覆っておくことが好ましい。また、同じく無菌性を保つ観点からは、底面部121に固定されているルアーロックアダプター74を、混合作業の開始時に取り外すことが可能なカバー76で覆っておくことが好ましい。さらに、同様の観点から、混合作業中に針73が接触する可能性が高い部材には、カバーを付けておくことが望ましい。例えば、第3実施形態において、図24に示すように、栓370を開口C7側から覆うカバー370aを設けてもよいし、ガイド部材380を閉鎖空間S1側から覆うカバー380aを設けてもよい。
<8−4>
シリンジ70による薬剤、混合液又は混合薬液の吸引又は注入操作を容易にすべく、針73を、図25に示すような内部に2つの流通路73a,73bを有するタイプの針としてもよい。ここで、流通路73aは、薬剤容器50及び混合液容器60の内部空間と、シリンジ70の内部空間S2とを連通させる液体用の流通路であり、流通路73bは、薬剤容器50及び混合液容器60の内部空間と、外部空間とを連通させる空気用の流通路である。また、流通路73bには、疎水性フィルタが設けられており、従って、ここから薬剤容器50及び混合液容器60内の液体が漏れることはない。そして、この構成によれば、流通路73aを介して薬剤容器50及び混合液容器60内の液体量が増減しようとも、流通路73bの作用により薬剤容器50及び混合容器60の内圧の変化が抑制されるため、シリンジ70による吸引又は注入操作が容易になる。
<8−5>
薬剤容器保持部が同時に保持可能な薬剤容器50の数は、1つであってもよいし、混合液容器保持部が同時に保持可能な混合液容器60の数は、2つ以上であってもよい。また、シリンジ保持部が同時に保持可能なシリンジ70の数は、1つでなくてもよく、複数であってもよい。
<8−6>
上記実施形態においては、運動機構が薬剤容器50内で薬剤を溶解させるために薬剤容器保持部に与える運動の態様は、振動及び/又は回転であったが、薬剤の溶解を促進することが可能な運動であれば、任意のものを採用し得る。例えば、直線状の往復移動であってもよい。
<8−7>
本体部とシリンジ保持部とは、一体的に形成されており、両者の境界を判別できないようになっていてもよいし、一体的に形成されていなくてもよい。また、本体部とシリンジ保持部とが一体的に形成されている場合には、ユーザが針を刺すまで、両者が区別されないような場合も含まれる。すなわち、閉鎖空間を規定する部材があり、その部材のうち、ユーザが針を刺した箇所の周辺部分がシリンジ保持部となり、その他の部分が本体部となるものとしてもよい。
<8−8>
ポリオレフィン製等のバックタイプの混合液容器60を、薬剤との混合の対象としてもよい。
<8−9>
混合液容器60と混合液容器保持部との固定の方法は、上述したものに限られない。例えば、ねじ式としてもよい。薬剤容器50と薬剤容器保持部との固定の方法についても、同様である。
<8−10>
上記実施形態で混合(溶解を含む)の対象とされる薬剤は、上述したものに限られず、臭気性や刺激性を有する薬剤など、外部に曝露することが問題となり得る任意のものとし得る。
<8−11>
閉鎖空間S1を規定する必要のない第5から第7実施形態においては、本体部510を省略してもよい。
<8−12>
上記実施形態においては、本体部の形状は全て略円柱形状であり、薬剤容器保持部の形状も全て平面視において略円形であったが、勿論、この例に限られず、これらを任意の形状とし得る。例えば、本体部を略直方体形状にしてもよいし、薬剤容器保持部を平面視において略矩形にしてもよい。また、薬剤容器保持部における薬剤容器50の配列についても、周方向に並べる必要はなく、直線状に並べてもよいし、格子状に並べてもよいし、ランダムに並べてもよい。ただし、その場合、シリンジ保持部120に保持された状態のシリンジ70を、薬剤容器保持部に保持された状態の薬剤容器に対して移動させる機構としては、直線状に移動させる機構等、薬剤容器50の配列に対応するように適宜変更を加えることが好ましい。
<8−13>
上記各実施形態では、運動機構150、750からの運動力の伝達を運動制限状態と、解除状態とに切り替える切替部として、ストッパー160やクリップ760を例示したが、これに限定されるものではなく、上記運動制限状態と解除状態とを切り替えられるものであれば、特には限定されない。また、切替部が明示されてない実施形態においても、そのような切替部を適宜設けることができる。
101,201,301,401 混合装置(溶解装置)
501,601,701 溶解装置
110,510 本体部
120 シリンジ保持部
130,330,430,530 薬剤容器保持部
140,340 混合液容器保持部
150,250,350,450,550,650,750 運動機構
153,553 コイルばね(弾性体)
160 ストッパー(切替部)
251 基台(固定部)
760 クリップ(切替部)
770 電動バイブレータ(電動アクチュエータ)
50 薬剤容器
60 混合液容器
70 シリンジ
71 シリンダ
73 針
S1 閉鎖空間

Claims (17)

  1. 容器本体、及び前記容器本体から取り外し不能であり、前記容器本体内に薬剤を封入する栓を有する薬剤容器内で、前記薬剤を溶解液に溶解させるための溶解装置であって、
    1以上の前記薬剤容器を保持可能な薬剤容器保持部と、
    外力を受け取り、前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記薬剤容器保持部に所定の運動をさせる運動力を発生させる運動機構と
    を備える、溶解装置。
  2. 前記運動機構は、前記薬剤容器保持部を少なくとも振動させる、
    請求項1に記載の溶解装置。
  3. 前記運動機構は、前記運動力の少なくとも一部として復元力を発生させることにより、前記薬剤容器保持部を少なくとも振動させる弾性体を有する、
    請求項2に記載の溶解装置。
  4. 前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記薬剤容器保持部を収容可能な収容空間を規定する本体部
    をさらに備える、
    請求項1から3のいずれかに記載の溶解装置。
  5. 前記薬剤容器内に前記溶解液を注入するシリンジと前記収容空間とが連通した状態で、前記シリンジを保持可能なシリンジ保持部
    をさらに備える、
    請求項4に記載の溶解装置。
  6. 前記溶解液を収容する1以上の溶解液容器の内部と前記収容空間とを連通可能な状態で、前記1以上の溶解液容器を前記収容空間の外部において取り外し可能に保持可能な溶解液容器保持部
    をさらに備え、
    前記本体部は、外部から閉鎖された空間として、前記収容空間を規定し、
    前記薬剤容器保持部は、前記1以上の薬剤容器の内部と前記収容空間とを連通可能な状態で、前記1以上の薬剤容器を保持可能であり、
    前記シリンジ保持部は、前記シリンジが前記収容空間と連通した後、前記シリンジが前記薬剤容器及び前記溶解液容器の内部と連通するように、前記シリンジの針が前記収容空間内を前記薬剤容器及び前記溶解液容器の内部に対し相対的に移動可能な状態で、前記シリンジを保持可能である、
    請求項5に記載の溶解装置。
  7. 前記シリンジ保持部は、前記シリンジのシリンダが装着可能な状態で、前記針を前記収容空間内に保持する、
    請求項5又は6に記載の溶解装置。
  8. 前記本体部には、前記薬剤容器保持部に保持された複数の前記薬剤容器内に前記溶解液を順次注入するための注入口が形成されており、
    前記薬剤容器保持部は、前記複数の薬剤容器内に前記溶解液を順次注入できるように、前記注入口に対して相対的に移動可能である、
    請求項4に記載の溶解装置。
  9. 前記運動機構は、前記外力を前記本体部を介して受け取る、
    請求項4から8のいずれかに記載の溶解装置。
  10. 前記運動機構は、ユーザが手動で加えた力を前記外力として受け取る、
    請求項1から9のいずれかに記載の溶解装置。
  11. 駆動力を発生させる電動アクチュエータ
    をさらに備え、
    前記運動機構は、前記駆動力を前記外力として受け取る、
    請求項1から9のいずれかに記載の溶解装置。
  12. 前記運動機構は、前記薬剤容器保持部に振動及び回転を組み合わせた運動をさせる、
    請求項1から11のいずれかに記載の溶解装置。
  13. 前記運動機構は、前記薬剤容器保持部を少なくとも回転させる、
    請求項1から12のいずれかに記載の溶解装置。
  14. 前記薬剤容器保持部の回転軸が水平面に対して傾いた状態で、前記薬剤容器保持部の向きを固定する固定部
    をさらに備える、
    請求項12又は13に記載の溶解装置。
  15. 前記薬剤容器保持部は、複数の前記薬剤容器を保持可能である、
    請求項1から14のいずれかに記載の溶解装置。
  16. 前記薬剤容器保持部を、前記運動機構からの前記運動力の伝達が少なくとも部分的に制限される運動制限状態と、前記運動力の伝達の制限が解除された解除状態とに切り替え可能な切替部
    をさらに備える、
    請求項1から15のいずれかに記載の溶解装置。
  17. 容器体、及び前記容器体から取り外し不能であり、前記容器体内に薬剤を封入する栓を有する薬剤容器内で、前記薬剤を溶解液に溶解させるための溶解方法であって、
    1以上の前記薬剤容器を準備するステップと、
    前記1以上の薬剤容器を保持可能な溶解装置を準備するステップと、
    前記1以上の薬剤容器を前記溶解装置に対し保持するステップと、
    シリンジを準備するステップと、
    前記シリンジの針で前記栓を刺通することにより、前記シリンジを介して前記1以上の薬剤容器内に前記溶解剤を注入するステップと、
    外力を加えて、前記1以上の薬剤容器を保持した状態の前記溶解装置に所定の運動をさせる運動力を発生させることにより、前記1以上の薬剤容器内で前記薬剤を前記溶解液に溶解させて、溶解薬液を生成するステップと
    を備える、溶解方法。
JP2012122368A 2012-05-29 2012-05-29 溶解装置及び溶解方法 Pending JP2013244371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122368A JP2013244371A (ja) 2012-05-29 2012-05-29 溶解装置及び溶解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122368A JP2013244371A (ja) 2012-05-29 2012-05-29 溶解装置及び溶解方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013244371A true JP2013244371A (ja) 2013-12-09

Family

ID=49844600

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012122368A Pending JP2013244371A (ja) 2012-05-29 2012-05-29 溶解装置及び溶解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013244371A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018535796A (ja) * 2015-12-04 2018-12-06 ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド 自動薬物調合器のためのバイアルパックシステム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018535796A (ja) * 2015-12-04 2018-12-06 ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド 自動薬物調合器のためのバイアルパックシステム
JP2021164830A (ja) * 2015-12-04 2021-10-14 ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド 自動薬物調合器のためのバイアルパックシステム
US11246803B2 (en) 2015-12-04 2022-02-15 Carefusion 303, Inc. Vial puck system for automatic drug compounder
JP7116830B2 (ja) 2015-12-04 2022-08-10 ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド 自動薬物調合器のためのバイアルパックシステム
US11622913B2 (en) 2015-12-04 2023-04-11 Carefusion 303, Inc. Vial puck system for automatic drug compounder

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014069150A1 (ja) 薬剤容器収容装置、薬剤容器収容システム、及び薬剤の吸引方法
JP6676740B2 (ja) 連結容易な移送システム
JP4599345B2 (ja) 同一物を使用する薬剤配送システムおよび方法
JP6371401B2 (ja) 注射針カバーシステム
KR101889340B1 (ko) 약제 용기의 뚜껑 커버
EP3407853B1 (en) System and method for injection component preparation
JP2015500074A (ja) 一体型シーケンス制御を有する医療機器
JP6271549B2 (ja) 再構成装置
KR101690456B1 (ko) 필터 주사기
JP2011072783A (ja) 異なる注射剤を収容可能な容器
US20210205538A1 (en) Device and method for dispensing at least one substance
EP2875837A1 (en) Liquid administration tool
JP6964784B2 (ja) 薬剤分注システム
JP5922977B2 (ja) 混合装置、混合支援装置及び混合方法
JP2013244371A (ja) 溶解装置及び溶解方法
JP2014236906A (ja) 針カバー、針アセンブリ、及び針付きシリンジ
US10736818B2 (en) Reconstitution device with tip cap
EP2874594B1 (en) Reconstitution device with tip cap
JP5991642B2 (ja) 薬液混注器具
JP3159642U (ja) 針先ガイド器具
KR20230009068A (ko) 약제 혼합 장치
JP3103274U (ja) 液剤移送部の保護具
JP2020074932A (ja) 混注具、及びこれを備えた薬剤容器