JP2013242777A - 植物栽培方法と植物栽培システム - Google Patents
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Abstract
【課題】植物工場や自然環境の農場現場などで複数の植物の成長を同時に管理する際に、植物同士の衝突を回避しながら植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を移動させ、植物個々の状態に応じた個体単位で植物の成長を管理することのできる植物栽培方法および植物栽培システムを提供する。
【解決手段】栽培対象となる植物Pを移動機構11を備えた移動ロボット10上に載置し、人工ポテンシャル法を用いて複数の移動ロボット10に載置された植物Pのそれぞれの位置情報と栽培環境の環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動ロボット10の速度指令信号を生成し、その速度指令信号に基づいて各移動ロボット10の移動機構11を駆動させて各移動ロボット10を栽培環境の環境情報に応じた領域へ移動させ、各移動ロボット10に載置された植物Pを栽培する。
【選択図】図1
【解決手段】栽培対象となる植物Pを移動機構11を備えた移動ロボット10上に載置し、人工ポテンシャル法を用いて複数の移動ロボット10に載置された植物Pのそれぞれの位置情報と栽培環境の環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動ロボット10の速度指令信号を生成し、その速度指令信号に基づいて各移動ロボット10の移動機構11を駆動させて各移動ロボット10を栽培環境の環境情報に応じた領域へ移動させ、各移動ロボット10に載置された植物Pを栽培する。
【選択図】図1
Description
本発明は、植物栽培方法と植物栽培システムに関し、特に植物工場や自然環境の農場現場などで複数の植物を同時に栽培する植物栽培方法と植物栽培システムに関するものである。
従来から、農作業の省力化や効率化、農作物の生産性向上を目的として、植物工場や農作業ロボットなどの研究開発が進められている。
ところで、従来の植物工場においては、植物が特定の位置に定着されており、植物工場内の光量や温度、湿度、二酸化炭素濃度などを制御することによって植物の成長を制御していたため、植物個々の状態に応じた個体単位で植物の成長を管理することが困難であった。
このような問題に対し、ベルトコンベアといった移動路を用いて栽培した植物を個体単位あるいはコンテナ単位で移動させ、当該移動路上に配設された観察装置で植物の成長度を観察し、その観察結果に基づいて植物を収穫用区画や栽培用区画といった各区画へ移動させる植物工場が知られている。
しかしながら、このような植物工場においては、栽培した植物が予め設定された移動経路に沿って移動するため、時々刻々と変化する植物工場内の環境において植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を自在に移動させることは困難であり、植物個々の状態に応じた個体単位で植物の成長を精緻に管理することは依然として困難であった。
ここで、移動ロボットを目標とする位置へ移動させる制御方法として、人工ポテンシャル法(「仮想ポテンシャル法」や単に「ポテンシャル法」ともいう。)による制御方法が知られている。この人工ポテンシャル法は、ロボットの位置情報や障害物の位置などの環境情報を用いて擬似的に山や谷のようなポテンシャル場を作成し、そのポテンシャル場の斜面の勾配に基づく仮想的な引力と斥力を当該ロボットに作用させることで、ロボットを目標とする位置へ到達させる制御方法であり、特許文献1、2には、その人工ポテンシャル法を使用し、周囲の障害物を含めた外部状況に応じてロボットの移動を制御する技術が開示されている。
特許文献1に開示されている自律移動体の移動制御方法は、障害物の位置及び速度を取得し、設定された目標位置へ向かう仮想引力と障害物に関する仮想斥力を合成した仮想力ベクトルを求め、仮想力ベクトルの方向及び大きさに基づいて自機を移動させる移動部に移動指令を送信すると共に、前記仮想斥力を、設定される予測時間後の自機及び障害物の予測位置と、自機と障害物の相対速度と、自機と障害物の許容最小距離と、を考慮してポテンシャル法に基づき算出する方法である。
また、特許文献2に開示されている自律移動体の移動制御方法は、障害物を検知し、検知された障害物を回避する必要がある場合にポテンシャル法に基づいて自機の正面方向を変化させずに障害物を回避する移動指令信号を生成し、自機を移動させる全方位移動機構へ当該移動指令信号を送信する方法である。
特許文献1に開示されている自律移動体の移動制御方法によれば、障害物に関する仮想斥力を算出する際に、設定される予測時間後の自機及び障害物の予測位置と、自機と障害物の相対速度と、自機と障害物の許容最小距離と、を考慮することで、対処を要する緊急度が種々に異なる問題に対して柔軟かつ適切に対応できると共に、余裕度を持った回避行動を生成して障害物への衝突を確実に回避することができる。
また、特許文献2に開示されている自律移動体の移動制御方法によれば、自機の正面方向を変化させずに障害物を回避する移動指令信号を生成することで、自機の向きが頻繁に変化することを防止して迅速で的確な移動制御を行うことができると共に、自機自体の構成を簡素化することができる。
しかしながら、特許文献1、2に開示されている自律移動体の移動制御方法においては、栽培対象となる植物を移動機構を備えた移動ロボット上に載置し、植物工場や自然環境の農場現場などの栽培環境で複数の移動ロボットを移動させ、当該移動ロボットに載置された植物の成長を同時に管理する場合、植物同士の衝突を回避しながら植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を精緻に移動させ、複数の植物を栽培環境に応じた領域に配置して栽培することができないといった問題がある。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、植物工場や自然環境の農場現場などの栽培環境で複数の植物の成長を同時に管理する際に、植物同士の衝突を回避しながら植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を移動させ、植物個々の状態に応じた個体単位で植物の成長を精緻に管理することのできる植物栽培方法および植物栽培システムを提供することを目的とする。
上記した目的を達成した本発明に係る植物栽培方法は、以下を包含する。
(1)栽培対象となる植物を移動機構を備えた移動装置上に載置し、栽培環境で複数の移動装置を移動させて移動装置に載置された植物を栽培する植物栽培方法であって、人工ポテンシャル法を用いて前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と前記栽培環境の環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置を前記栽培環境の環境情報に応じた領域へ移動させる植物栽培方法。
(2)前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である(1)に記載の植物栽培方法。
(3)前記環境情報は照度情報であり、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させる(2)に記載の植物栽培方法。
(4)各移動装置をそれぞれ異なる照度を有する複数の領域へ移動させる(3)に記載の植物栽培方法。
(5)栽培環境に配設された検出装置によって位置情報と環境情報の少なくとも一方を取得する(1)から(4)のいずれかに記載の植物栽培方法。
(1)栽培対象となる植物を移動機構を備えた移動装置上に載置し、栽培環境で複数の移動装置を移動させて移動装置に載置された植物を栽培する植物栽培方法であって、人工ポテンシャル法を用いて前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と前記栽培環境の環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置を前記栽培環境の環境情報に応じた領域へ移動させる植物栽培方法。
(2)前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である(1)に記載の植物栽培方法。
(3)前記環境情報は照度情報であり、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させる(2)に記載の植物栽培方法。
(4)各移動装置をそれぞれ異なる照度を有する複数の領域へ移動させる(3)に記載の植物栽培方法。
(5)栽培環境に配設された検出装置によって位置情報と環境情報の少なくとも一方を取得する(1)から(4)のいずれかに記載の植物栽培方法。
また、上記した目的を達成した本発明に係る植物栽培システムは、以下を包含する。
(6)栽培対象となる植物が載置されていてそれぞれが移動機構を備えた複数の移動装置と、栽培環境での複数の移動装置の移動を制御する制御装置と、を備える植物栽培システムであって、前記制御装置は、前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と栽培環境の環境情報を検出する少なくとも1以上の検出部と、人工ポテンシャル法を用いて前記検出部により検出された位置情報と環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置の前記栽培環境の環境情報に応じた領域への移動を制御する制御部と、を有している植物栽培システム。
(7)前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である(6)に記載の植物栽培システム。
(8)前記環境情報は照度情報であり、前記制御部は、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させるようになっている(7)に記載の植物栽培システム。
(9)前記制御部は、それぞれ異なる照度を有する複数の領域へ各移動装置を移動させるようになっている(8)に記載の植物栽培システム。
(6)栽培対象となる植物が載置されていてそれぞれが移動機構を備えた複数の移動装置と、栽培環境での複数の移動装置の移動を制御する制御装置と、を備える植物栽培システムであって、前記制御装置は、前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と栽培環境の環境情報を検出する少なくとも1以上の検出部と、人工ポテンシャル法を用いて前記検出部により検出された位置情報と環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置の前記栽培環境の環境情報に応じた領域への移動を制御する制御部と、を有している植物栽培システム。
(7)前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である(6)に記載の植物栽培システム。
(8)前記環境情報は照度情報であり、前記制御部は、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させるようになっている(7)に記載の植物栽培システム。
(9)前記制御部は、それぞれ異なる照度を有する複数の領域へ各移動装置を移動させるようになっている(8)に記載の植物栽培システム。
本発明の植物栽培方法および植物栽培システムによれば、植物工場や自然環境の農場現場などの栽培環境で複数の植物の成長を同時に管理する際に、植物同士の衝突を回避しながら植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を移動させることができ、たとえば複数の植物を栽培環境に応じた領域に配置して植物個々の状態に応じた個体単位で植物の成長を精緻に管理することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の植物栽培方法と植物栽培システムの実施の形態を説明する。
[植物栽培システムの実施の形態]
図1は、本発明の植物栽培システムの一実施の形態を模式的に示した図であり、図2は、図1で示す移動ロボットを拡大して示した拡大図である。
図1は、本発明の植物栽培システムの一実施の形態を模式的に示した図であり、図2は、図1で示す移動ロボットを拡大して示した拡大図である。
図1で示す植物栽培システム100は、栽培対象となる植物Pが載置されていてそれぞれが移動機構11を備えた複数の移動ロボット(移動装置)10と、栽培環境での複数の移動ロボット10の移動を制御する制御装置20と、を備えている。
前記移動ロボット10は、図2で示すように差動駆動車輪型のロボットであり、植物Pを載置するための載置台12を有する本体13と、その本体13を移動させるための移動機構11と、から構成されており、前記移動機構11は、本体13の左右に設けられた駆動輪14と、前後部分に設けられた2つの自在式キャスタ15と、駆動輪14を回転駆動させるためのモータ(不図示)と、モータ電源として使用されるバッテリ(不図示)と、から構成されている。本体13の内部に搭載されたモータ(不図示)を用いて左右の駆動輪14を同速度で回転駆動させることで移動ロボット10を前進もしくは後進させることができ、左右の駆動輪14を異なる速度で回転駆動させることで移動ロボット10を旋回させることができ、移動ロボット10を他方面に任意の方向へ移動させることができる。なお、モータを駆動させるための駆動信号は、図1で示す制御装置20から無線通信を介して送信されることで、移動ロボット10は自律的に栽培環境内を移動できるようになっている。
なお、移動ロボット10には、当該移動ロボット10の周囲の照度や水分量、温度、湿度、二酸化炭素量、移動ロボット10に載置された植物Pの重量や生育状態などを検出する各種センサ(不図示)が取り付けられており、その各種センサによって取得された情報(環境情報)は無線通信を介して制御装置20へ送信されるようになっている。
図1で示す制御装置20は、栽培環境の所定領域R1を撮像する撮像カメラ(検出部)21と、この撮像カメラ21で撮像された栽培環境の画像情報や移動ロボット10に取り付けられた各種センサによって取得された情報(環境情報)に基づいて各移動ロボット10の移動機構11のモータを駆動させる駆動信号を生成し、その駆動信号を無線通信を介して各移動ロボット10へ送信して各移動ロボット10の移動を制御する制御コンピュータ(制御部)22と、を有している。
具体的には、前記撮像カメラ21は、栽培環境の所定領域R1内の移動ロボット10に載置された植物Pや栽培環境の日向領域R2や障害物(例えば壁や柱などの建造物や栽培用具などの重量物)などを撮像し、その撮像情報を制御コンピュータ22へ送信する。
前記制御コンピュータ22は、撮像カメラ21で撮像された栽培環境の所定領域R1の画像情報から、複数の移動ロボット10に載置された植物Pのそれぞれの位置情報、栽培環境の日向領域R2や障害物(例えば壁や柱などの建造物や栽培用具などの重量物)などの位置や形状といった環境情報を検出し、人工ポテンシャル法を用いて前記撮像カメラ21によって撮像された画像情報から取得された位置情報や環境情報、各移動ロボット10に取り付けられた各種センサから取得された情報(環境情報)からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成する。そして、作成された人工ポテンシャル場に基づいて各移動ロボット10の移動機構11を駆動させるための速度指令信号(駆動信号)を生成し、その速度指令信号を各移動ロボット10へ送信して植物Pの個々の状態に応じた栽培環境内の最適な環境領域へ各移動ロボット10を移動させるようになっている。
[植物栽培方法の実施の形態]
次に、図3〜図7を参照して、図1で示す植物栽培システム100を用いた植物の栽培方法を具体的に説明する。以下、本実施の形態においては、環境情報として太陽光の日照(日向)情報を使用し、太陽光を時間的・空間的に有効に活用して植物を栽培する植物栽培方法について説明する。
次に、図3〜図7を参照して、図1で示す植物栽培システム100を用いた植物の栽培方法を具体的に説明する。以下、本実施の形態においては、環境情報として太陽光の日照(日向)情報を使用し、太陽光を時間的・空間的に有効に活用して植物を栽培する植物栽培方法について説明する。
太陽光を時間的・空間的に有効に活用する方法としては、(1)植物の日向への高密度配置と、(2)植物の状態に応じた日向と日陰の入れ替え配置と、が挙げられる。(1)植物の日向への高密度配置では、移動ロボット10に載置された植物Pを日向へ高密度に配置することによって、栽培環境の限られた空間内で植物Pをより効率的に光合成させることができる。一方で、植物Pは植物自体の温度が高くなり過ぎると光合成能力が低下することが知られている。したがって、(2)植物の状態に応じた日向と日陰の入れ替え配置では、日向に配置されて温度が高くなり過ぎた植物Pを日陰へ移動させ、光合成可能な植物Pを日向へ移動させることによって、個々の植物Pの状態に応じて効率的に光合成させることができる。これにより、単位時間・単位面積当たりの植物Pの光合成能力を維持し、各植物Pの二酸化炭素の吸収量を増加させることができ、植物Pの成長を促進させて植物Pの果実などの収穫量を増加させることができる。
[制御コンピュータによる人工ポテンシャル場の作成]
まず、移動ロボット10に載置された植物Pを日向領域R2へ高密度に配置する((1)植物の日向への高密度配置)ために、制御コンピュータ22では、撮像カメラ21で撮像された栽培環境の所定領域R1の画像情報から、複数の移動ロボット10に載置された植物Pの位置情報と栽培環境の日向領域R2や障害物(例えば壁)の位置や形状の環境情報を検出する。そして、人工ポテンシャル法を用い、日向領域R2の位置や形状の環境情報に基づいて移動ロボット10に仮想的な引力が作用して日向領域R2に移動ロボット10を移動させるような引力ポテンシャル(日向ポテンシャル)を設定する。また、移動ロボット10同士の位置情報や障害物(例えば壁)の位置や形状の環境情報に基づいて移動ロボット10に仮想的な斥力が作用して移動ロボット10同士や移動ロボット10と障害物の衝突を回避するような斥力ポテンシャル(ロボット間ポテンシャルと壁ポテンシャル)を設定する。なお、移動ロボット10はXY平面上を移動するものとし、日向はXY平面上に形成されるものとする。
まず、移動ロボット10に載置された植物Pを日向領域R2へ高密度に配置する((1)植物の日向への高密度配置)ために、制御コンピュータ22では、撮像カメラ21で撮像された栽培環境の所定領域R1の画像情報から、複数の移動ロボット10に載置された植物Pの位置情報と栽培環境の日向領域R2や障害物(例えば壁)の位置や形状の環境情報を検出する。そして、人工ポテンシャル法を用い、日向領域R2の位置や形状の環境情報に基づいて移動ロボット10に仮想的な引力が作用して日向領域R2に移動ロボット10を移動させるような引力ポテンシャル(日向ポテンシャル)を設定する。また、移動ロボット10同士の位置情報や障害物(例えば壁)の位置や形状の環境情報に基づいて移動ロボット10に仮想的な斥力が作用して移動ロボット10同士や移動ロボット10と障害物の衝突を回避するような斥力ポテンシャル(ロボット間ポテンシャルと壁ポテンシャル)を設定する。なお、移動ロボット10はXY平面上を移動するものとし、日向はXY平面上に形成されるものとする。
[制御コンピュータによる日向ポテンシャルの設定]
日向ポテンシャルは、任意の形状を有する日向に対応するために日向と日陰の境界線に基づいて生成する。日向領域R2をΩ、栽培環境の所定の位置(x,y)と日向と日陰の境界線との最短距離をdmin(x,y)とすると、日向ポテンシャルUs(x,y)は、以下の式(1)によって定義される。
日向ポテンシャルは、任意の形状を有する日向に対応するために日向と日陰の境界線に基づいて生成する。日向領域R2をΩ、栽培環境の所定の位置(x,y)と日向と日陰の境界線との最短距離をdmin(x,y)とすると、日向ポテンシャルUs(x,y)は、以下の式(1)によって定義される。
これにより、日向と日陰の境界線上でポテンシャルの高さが0(ゼロ)、境界線の法線方向に対して傾きが1となるポテンシャルを設定することができる。
図3は、日向領域R2が直径5[m]の円形状を呈する場合の日向ポテンシャルの一例を示したものであり、XY平面上には日向ポテンシャルUs(x,y)が等高線で示されている。
[制御コンピュータによるロボット間ポテンシャルの設定]
次いで、大きさの異なる植物P同士の衝突を防止しつつ目標とする位置もしくは領域へ植物Pを移動させて配置するためのロボット間ポテンシャルを設定する。ここで、移動ロボット10は栽培環境のXY平面上を移動していることから、植物Pの平面視における外形を円形と仮定し、植物P同士の直径を考慮したポテンシャルを設定する。ある位置(xi,yi)に配置された移動ロボットi上の植物の平面視における直径をdi、ある位置(xj,yj)に配置された移動ロボットj上の植物の平面視における直径をdjとすると、位置(xj,yj)に配置された移動ロボットjから位置(xi,yi)に配置された移動ロボットiへ作用するロボット間ポテンシャルjUriは、以下の式(2)によって定義される。
次いで、大きさの異なる植物P同士の衝突を防止しつつ目標とする位置もしくは領域へ植物Pを移動させて配置するためのロボット間ポテンシャルを設定する。ここで、移動ロボット10は栽培環境のXY平面上を移動していることから、植物Pの平面視における外形を円形と仮定し、植物P同士の直径を考慮したポテンシャルを設定する。ある位置(xi,yi)に配置された移動ロボットi上の植物の平面視における直径をdi、ある位置(xj,yj)に配置された移動ロボットj上の植物の平面視における直径をdjとすると、位置(xj,yj)に配置された移動ロボットjから位置(xi,yi)に配置された移動ロボットiへ作用するロボット間ポテンシャルjUriは、以下の式(2)によって定義される。
なお、a、b、cはシミュレーションの際に算出されるパラメータであり、例えばそれぞれ3.1、3、2.9である。このようにロボット間ポテンシャルjUriを、移動ロボットi,j間の相対距離の数乗に反比例し、移動ロボットi,jに載置された植物の直径di, djの積の2乗に比例するように設定することで、移動ロボットjの近傍で急激に増加するポテンシャル(移動ロボット同士が接近するに従って仮想的な斥力が大きくなるポテンシャル)を設定することができ、植物P同士を高密度で配置する際にも植物P同士の衝突を確実に回避して栽培環境内で植物Pを円滑に移動させられるようになる。
図4は、移動ロボット10上の植物Pの平面視における直径di、djを1[m]とした場合の、位置(3[m],-3[m])に配置された移動ロボットjから移動ロボットiへ作用するロボット間ポテンシャルjUriの一例を示したものである。
[制御コンピュータによる壁ポテンシャルの設定]
次に、日向ポテンシャルとロボット間ポテンシャル以外のポテンシャルとして、栽培環境の障害物(例えば壁)と植物Pの衝突を回避して栽培環境内で植物Pを円滑に移動させるための壁ポテンシャルを設定する。なお、栽培環境の壁の位置や形状は、撮像カメラ21で撮像された画像情報から検出してもよいし、栽培環境の設計図等に基づいて入力してもよい。栽培環境の所定の位置(x,y)とある壁kの距離をdk(x,y)とすると、壁kによる壁ポテンシャルUwk(x,y)は、以下の式(3)によって定義される。
次に、日向ポテンシャルとロボット間ポテンシャル以外のポテンシャルとして、栽培環境の障害物(例えば壁)と植物Pの衝突を回避して栽培環境内で植物Pを円滑に移動させるための壁ポテンシャルを設定する。なお、栽培環境の壁の位置や形状は、撮像カメラ21で撮像された画像情報から検出してもよいし、栽培環境の設計図等に基づいて入力してもよい。栽培環境の所定の位置(x,y)とある壁kの距離をdk(x,y)とすると、壁kによる壁ポテンシャルUwk(x,y)は、以下の式(3)によって定義される。
このように壁ポテンシャルUwk(x,y)を、所定の位置(x,y)と壁kの距離dk(x,y)の偶数乗(例えば、2乗、4乗、6乗など)に反比例するように設定することで、壁kの近傍で急激に増加するポテンシャル(移動ロボットと壁が接近するに従って仮想的な斥力が大きくなるポテンシャル)を設定することができ、栽培環境内で植物Pを移動させる際に植物Pと壁kの衝突を回避することができる。
図5は、y=10、y=-10、x=10、x=-10の四平面からなる壁kによって生成される壁ポテンシャルUwk(x,y)の一例を示したものである。
[栽培環境における人工ポテンシャルの設定]
そして、栽培環境でのある位置(xi,yi)に配置される移動ロボットiに作用する人工ポテンシャルUiは、上記する3つのポテンシャルを合成して以下の式(4)によって定義される。
そして、栽培環境でのある位置(xi,yi)に配置される移動ロボットiに作用する人工ポテンシャルUiは、上記する3つのポテンシャルを合成して以下の式(4)によって定義される。
なお、第2項は、ある位置(xi,yi)に配置される移動ロボットiと当該移動ロボットi以外の移動ロボットのロボット間ポテンシャルの総和を表しており、第3項は、栽培環境内に複数の壁kが存在する場合にその総和を表している。
図6は、図3で示す日向ポテンシャルと図4で示すロボット間ポテンシャルと図5で示す壁ポテンシャルを合成したものであり、ロボットiに作用する人工ポテンシャルUiの一例を示したものである。
[制御コンピュータによる移動ロボットに対する速度指令信号の生成]
人工ポテンシャル法においては、人工ポテンシャル場の最急降下方向を利用して移動ロボットに対する速度指令信号の生成し、移動ロボットの速度制御を実行することができるため、制御コンピュータ22では、上記するように作成したロボットiに作用する人工ポテンシャルUiを偏微分することで各移動ロボット10に対する速度指令信号を生成する。
人工ポテンシャル法においては、人工ポテンシャル場の最急降下方向を利用して移動ロボットに対する速度指令信号の生成し、移動ロボットの速度制御を実行することができるため、制御コンピュータ22では、上記するように作成したロボットiに作用する人工ポテンシャルUiを偏微分することで各移動ロボット10に対する速度指令信号を生成する。
ここで、移動ロボット10は、図2で示すように差動駆動車輪型であり、左右の駆動輪14を同速度で回転駆動させることで前進もしくは後進させ、左右の駆動輪14を異なる速度で回転駆動させることで旋回させることができるため、移動ロボット10に対する速度指令信号として、移動ロボット10の前後方向の並進速度v=dxr/dtと、移動ロボット10の中心を回転中心とする旋回角の角速度ω=dθ/dtと、を生成する(図7参照)。
まず、ワールド座標系Σwにおける最急降下方向ベクトルdwは、ロボットiに作用するポテンシャルUiを用いて以下の式(5)によって定義される。
次に、ワールド座標系Σwからロボット座標系Σrへ変換するための回転行列をrRwとすると、移動ロボット10の前方方向をXr方向、側方方向をYrとするロボット座標系Σrにおける最急降下方向ベクトルdrは、以下の式(6)によって定義される。
そして、ロボットiの速度制御に用いる速度指令ベクトルV=(v,ω)Tは、並進速度vと旋回角の角速度ωの調整ゲインをkv、kωとし、ロボット座標系Σrにおける最急降下方向ベクトルdrを用いて以下の式(7)によって定義される。
これにより、制御コンピュータ22で差動駆動車輪型の移動ロボット10に対する速度指令ベクトルV=(v,ω)Tを算出することができ、この速度指令ベクトルVを各移動ロボット10の移動機構11へ送信して各移動ロボット10の駆動輪14を適正に回転駆動させることで、各移動ロボット10を適正に移動させることができる。そして、移動後の各移動ロボット10に載置された植物Pの位置情報と栽培環境の日向領域R2や障害物(例えば壁)の位置や形状の環境情報から移動ロボットiに作用する人工ポテンシャルUiを順次作成し、その人工ポテンシャルUiに基づいて各移動ロボット10に対する速度指令ベクトルを順次生成し、この速度指令ベクトルVを各移動ロボット10の移動機構11へ送信して各移動ロボット10の駆動輪14を回転駆動させることで、移動ロボット10に載置された植物P同士や植物Pと壁kとの衝突を回避しながら、栽培対象の各植物Pを日向領域R2へ効率的に移動させると共に、移動ロボット10に載置された植物Pを日向領域R2へ高密度に配置することができる。
[制御コンピュータによる日陰ポテンシャルの設定]
次に、日向に配置されて温度が高くなり過ぎた植物Pを日陰へ移動させる((2)植物の状態に応じた日向と日陰の入れ替え配置)ために、制御コンピュータ22では、上記した日向ポテンシャルUs(x,y)の符号を逆転した日陰ポテンシャルUn(x,y)を生成する。すなわち、日向領域R2をΩ、栽培環境の所定の位置(x,y)と日向と日陰の境界線との最短距離をdmin(x,y)とすると、日陰ポテンシャルUn(x,y)は、以下の式(8)によって定義される。
次に、日向に配置されて温度が高くなり過ぎた植物Pを日陰へ移動させる((2)植物の状態に応じた日向と日陰の入れ替え配置)ために、制御コンピュータ22では、上記した日向ポテンシャルUs(x,y)の符号を逆転した日陰ポテンシャルUn(x,y)を生成する。すなわち、日向領域R2をΩ、栽培環境の所定の位置(x,y)と日向と日陰の境界線との最短距離をdmin(x,y)とすると、日陰ポテンシャルUn(x,y)は、以下の式(8)によって定義される。
これにより、例えば撮像カメラ21や移動ロボット10に取り付けられたセンサによって取得された情報に基づいて植物Pの温度が高くなり過ぎたと判定された場合に、上記する式(4)の日向ポテンシャルUs(x,y)を日陰ポテンシャルUn(x,y)に変更して新たな人工ポテンシャルを設定し、その人工ポテンシャルに基づいて移動ロボット10に対する速度指令信号を生成することで、移動ロボット10に載置された植物P同士や植物Pと壁kとの衝突を回避しながら、栽培対象の各植物Pを日陰領域へ移動させることができ、植物Pの個々の状態に応じた最適な環境下へ当該植物Pを移動させることができる。
このような構成とすることで、植物工場や自然環境の農場現場などの栽培環境で複数の植物の成長を同時に管理する際に、植物P同士の衝突を回避しながら栽培環境内で植物Pを自在に移動させることができ、個々の植物Pの状態に応じて効率的に光合成させることができるため、単位時間・単位面積当たりの植物Pの光合成能力を維持し、各植物Pの二酸化炭素の吸収量を増加させ、植物Pの成長を促進させて植物Pの果実などの収穫量を増加させることができる。
[移動ロボット群の移動シミュレーションとその検証結果]
本発明者等は、上記する人工ポテンシャルの設定方法を用い、栽培環境が20[m]×20[m]、植物の直径が0.5〜1.0[m]とした場合の移動ロボット群の移動シミュレーション(実施例)を実施し、太陽光を時間的・空間的に有効に活用できるか否かを検証した。
本発明者等は、上記する人工ポテンシャルの設定方法を用い、栽培環境が20[m]×20[m]、植物の直径が0.5〜1.0[m]とした場合の移動ロボット群の移動シミュレーション(実施例)を実施し、太陽光を時間的・空間的に有効に活用できるか否かを検証した。
[日向領域への移動ロボット群の移動シミュレーションとその検証結果]
図8は、日向領域R2が直径13[m]の円形とした場合の移動ロボット群の移動シミュレーションの結果を時系列で示した図である。なお、図中、移動ロボットの移動の態様が明確となるように植物は省略している。
図8は、日向領域R2が直径13[m]の円形とした場合の移動ロボット群の移動シミュレーションの結果を時系列で示した図である。なお、図中、移動ロボットの移動の態様が明確となるように植物は省略している。
この移動シミュレーションの結果より、本実施例では、移動ロボットが限られた日向領域へ次第に移動していき、その日向領域へ高密度に配置されることが確認された。また、移動ロボットに作用する人工ポテンシャルUに対しロボット間ポテンシャルを設定することによって、日向領域へ移動ロボットが移動する際や日向領域に移動ロボットが配置される際に植物同士の衝突が確実に回避されることが確認された。
[移動ロボットの個別移動シミュレーションとその検証結果]
例えば撮像カメラ21や移動ロボット10に取り付けられたセンサによって植物個々の生育状態を検出し、植物の水分量が不足していたり、生育不良、障害、病害虫などの問題がある場合には、その特定の個体を優先的に目的別のある地点へ移動させる必要がある。
例えば撮像カメラ21や移動ロボット10に取り付けられたセンサによって植物個々の生育状態を検出し、植物の水分量が不足していたり、生育不良、障害、病害虫などの問題がある場合には、その特定の個体を優先的に目的別のある地点へ移動させる必要がある。
図9は、図8で示すシミュレーション結果に続いて、ある特定の移動ロボットのみを個別に目的地(xt,yt)へ移動させた場合の移動ロボットの移動シミュレーションの結果を時系列で示した図である。ここで、個別に移動させる移動ロボット(図中、黒色のロボットで表記)は、以下の式(9)で示す目的地(xt,yt)を中心とした円錐型のポテンシャル場に従って移動させ、目的地(xt,yt)までその他のロボットからの斥力を受けることなく移動させた。
この個別移動シミュレーションの結果より、個別に移動させる移動ロボット(図中、黒色のロボットで表記)は、優先的に目的地(xt,yt)まで移動されるものの、個別に移動させる移動ロボット以外の移動ロボットは、ロボット間ポテンシャルが設定されることによって、個別に移動される移動ロボットとの衝突を回避するように移動して日向領域に配置されることが確認された。
[移動ロボット群の日向と日陰間の入れ替えシミュレーションとその検証結果]
上記するように、植物は植物自体の温度が高くなり過ぎると光合成能力が低下するため、光合成が飽和した植物を日陰へ移動させ、光合成が可能な植物を日向領域の空いた空間へ移動させる必要がある。
上記するように、植物は植物自体の温度が高くなり過ぎると光合成能力が低下するため、光合成が飽和した植物を日陰へ移動させ、光合成が可能な植物を日向領域の空いた空間へ移動させる必要がある。
図10は、光合成が飽和した植物が載置された移動ロボットを日陰へ移動させ、日陰にあった移動ロボットを日向領域へ移動させる場合の日向と日陰間の入れ替えシミュレーションの結果を時系列で示した図である。ここで、日向に配置された移動ロボット(図中、灰色のロボットで表記)は、例えば撮像カメラや移動ロボットに取り付けられたセンサによって植物自体の温度を検出できるようになっており、植物自体の温度が所定の温度以上となった場合には上記するように日向ポテンシャルUsの符号を反転した日陰ポテンシャルUnを用いて移動させ、日陰に配置された移動ロボット(図中、白色のロボットで表記)は、日向ポテンシャルUsを用いて移動させた。
この日向と日陰間の入れ替えシミュレーションの結果より、栽培環境で植物同士が衝突することなく、植物個々の状態に応じた最適な環境下へ円滑に移動されることが確認された。
[外部カメラの画像情報に基づく移動ロボット群の移動シミュレーションとその検証結果]
図8〜図10で示すシミュレーションにおいては、日向領域が直径13[m]の円形とした場合の移動ロボットの移動シミュレーションを実施した。
図8〜図10で示すシミュレーションにおいては、日向領域が直径13[m]の円形とした場合の移動ロボットの移動シミュレーションを実施した。
それに対して、図11は、外部カメラ(図1参照)によって実際に撮像された画像情報に基づいて時々刻々と変化する日向領域を検出し、その日向領域に基づいて移動ロボットを日向領域へ移動させた場合の移動ロボット群の移動シミュレーションの結果を時系列で示した図である。
ここで、外部カメラによって撮像された画像情報の画像処理方法について概説すると、外部カメラによって撮像された実環境の画像に対し、画像処理ライブラリOpenCVを用いて画像処理を行い、日向と日陰の境界線を検出する。より具体的には、外部カメラによってXY平面(地面)に対し斜め上方から撮像された画像に対し、透視投影変換を行うことで鉛直上方から見た平面視における画像に変換し、この正投影画像に対して輝度値をベースに日向領域を検出し、検出された日向領域から輪郭座標を算出して日向と日陰の境界線を特定した。
そして、算出された輪郭座標と栽培環境の各座標(x,y)の最短座標dmin(x,y)を算出し、上記する式(1)の最短距離dmin(x,y)として日向ポテンシャルを作成し、この日向ポテンシャルを用いて各移動ロボットに対する速度指令信号を生成して、各移動ロボットを栽培環境内で移動させた。
この移動シミュレーションの結果より、実環境における複雑形状の日向領域が時間に応じて様々に変化する場合であっても、移動ロボット同士が衝突することなく、各移動ロボットが限られた日向領域へ次第に移動していき、その日向領域へ高密度に且つ円滑に配置されることが確認された。
この検証結果より、ロボット間ポテンシャルや栽培環境の環境情報に関する各ポテンシャルを最適に設定し、移動ロボットに作用する人工ポテンシャルを適切に作成することによって、移動ロボットに載置された植物同士の衝突を回避しながら植物を日向領域に高密度に配置することができ、植物個々の状態に応じて高密度に配置された植物から特定の植物を所定の目的地まで円滑に移動させることができ、植物個々の状態に応じて日向や日陰の領域へそれぞれ移動させることができると共に、日向領域が時間に応じて変化する場合であっても当該植物をその日向領域へ高密度に且つ円滑に配置できることが確認された。したがって、植物同士の衝突を回避しながら植物個々の状態に応じた最適な環境下へ各植物を移動させることができ、太陽光を時間的・空間的に有効に活用して、植物個々の状態に応じた個体単位で各植物の成長を精緻に管理できることが実証された。
なお、上記する実施の形態においては、栽培環境の環境情報を取得する装置として、栽培環境の上方に設置された外部カメラを用いる場合について説明したが、例えば超音波センサ、赤外線センサ、サーモグラフィなどを用いてもよい。また、撮像カメラは、移動ロボットに配設してもよい。
また、上記する実施の形態においては、日向ポテンシャルを日向と日陰の境界線に基づいて生成する形態について説明したが、たとえば栽培環境の照度や温度に基づいて日向ポテンシャルを生成してもよい。
また、移動ロボットに太陽電池を搭載することによって、植物を日向領域へ移動させた際に光合成に利用することのできない「光合成に不要な波長」や「葉が取りこぼした光」を太陽電池で電気エネルギに変換し、移動ロボットのエネルギ源とすることができるため、投入エネルギの増加を抑制しながら移動ロボットを移動させて植物を栽培することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
10…移動ロボット(移動装置)、11…移動機構、12…載置台、13…本体、14…駆動輪、15…自在式キャスタ、20…制御装置、21…撮像カメラ(検出部)、22…制御コンピュータ(制御部)、100…植物栽培システム、P…植物
Claims (9)
- 栽培対象となる植物を移動機構を備えた移動装置上に載置し、栽培環境で複数の移動装置を移動させて移動装置に載置された植物を栽培する植物栽培方法であって、
人工ポテンシャル法を用いて前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と前記栽培環境の環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置を前記栽培環境の環境情報に応じた領域へ移動させる植物栽培方法。 - 前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である請求項1に記載の植物栽培方法。
- 前記環境情報は照度情報であり、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させる請求項2に記載の植物栽培方法。
- 各移動装置をそれぞれ異なる照度を有する複数の領域へ移動させる請求項3に記載の植物栽培方法。
- 栽培環境に配設された検出装置によって位置情報と環境情報の少なくとも一方を取得する請求項1から4のいずれかに記載の植物栽培方法。
- 栽培対象となる植物が載置されていてそれぞれが移動機構を備えた複数の移動装置と、栽培環境での複数の移動装置の移動を制御する制御装置と、を備える植物栽培システムであって、
前記制御装置は、前記複数の移動装置に載置された植物のそれぞれの位置情報と栽培環境の環境情報を検出する少なくとも1以上の検出部と、人工ポテンシャル法を用いて前記検出部により検出された位置情報と環境情報からその位置情報と環境情報に固有の人工ポテンシャル場を作成し、その人工ポテンシャル場に基づいて各移動装置の移動に関する制御信号を生成し、その制御信号に基づいて各移動装置の移動機構を駆動させて各移動装置の前記栽培環境の環境情報に応じた領域への移動を制御する制御部と、を有している植物栽培システム。 - 前記環境情報は、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報、および栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報である請求項6に記載の植物栽培システム。
- 前記環境情報は照度情報であり、前記制御部は、所定の照度を有する領域へ各移動装置を移動させるようになっている請求項7に記載の植物栽培システム。
- 前記制御部は、それぞれ異なる照度を有する複数の領域へ各移動装置を移動させるようになっている請求項8に記載の植物栽培システム。
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