JP2013242403A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リーク電流を効果的に抑制するとともに中間調表示が可能である、生産コストを抑えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る液晶表示装置は、PNLCからなる液晶層LCを有した表示パネル6を備えており、表示パネル6は更に、液晶層LCへの電圧の印加と非印加とをスイッチングするTFT7を有しており、このTFT7は酸化物半導体を有している。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の一形態に係る液晶表示装置は、PNLCからなる液晶層LCを有した表示パネル6を備えており、表示パネル6は更に、液晶層LCへの電圧の印加と非印加とをスイッチングするTFT7を有しており、このTFT7は酸化物半導体を有している。
【選択図】図2
Description
本発明は、液晶表示装置に関し、より詳細には、偏光板を必要としない液晶モードの液晶層を備えた液晶表示装置に関する。
近年、偏光板を用いない液晶表示素子として、液晶と高分子を互いに分散させた高分子分散液晶を用いた液晶表示素子が注目されている(特許文献1および2参照)。この液晶表示素子の動作原理は、液晶と高分子の屈折率の差を利用しており、電界印加により液晶と高分子の屈折率が一致した場合には透過状態を示し、電界除去により屈折率が相違した場合には散乱状態を示すことによる。液晶高分子複合体(LCPC)、ポリマー分散型液晶(PDLC)、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)は、上記の動作原理によるもので、製造方法が簡易であり、低電圧駆動性を有する点で注目されている。また、電界無印加時に透過し、電界印加時に散乱する逆のモードの高分子分散液晶を用いた液晶表示素子も開発されている。高分子分散液晶を用いた液晶表示素子は、色素と組み合わせて視認性を高めることや、アクティブ素子と組み合わせての大容量表示が試みられている。
しかしながら、これらの高分子分散液晶は、明るく、高コントラストで低電圧駆動が可能であるが、リーク電流が大きく、電圧保持率が不十分なために、アクティブ駆動を行う上で問題となっていた。
そこで、この問題を解決した画素構造が、非特許文献1に開示されている。図8は、非特許文献1に開示された液晶表示装置の画素部の構成について示した図である。非特許文献1の液晶表示装置は、各画素内に、PNLC液晶101と、SRAM102と、極性反転機能を有する表示電圧供給回路103とを内蔵している。図8において、ゲートバスラインGLを選択して、データバスラインDLのデータをSRAM102に記憶させるが、SRAM102に記憶されたデータに応じて表示電圧供給回路103より画素電極(不図示)に表示電圧が供給されているので、低周波駆動においても電圧保持率の低下が起きず、表示品位への影響は生じない。表示データを書き換える場合にのみ、周辺回路を動作させて画素内のSRAM102のデータを更新する必要があり、このときデータバスライン容量やゲートバスライン容量への充放電電流や各回路部で電流が発生する。しかし、静止画表示で表示データの書き換えが必要ない場合には、画素電極へは表示電圧供給回路103より常に電位供給がおこなわれるため、従前のような一定周期(通常、60Hz)でのデータ書き込み動作をおこなう必要が無くなるとともに、液晶の極性反転周期を1Hzという低周波に設定することが可能となる。
また、上述したPNLCを実装した透過型の液晶表示装置が、非特許文献2に開示されている。この非特許文献2の液晶表示装置は、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いて、ディスプレイによるモノクロ表示と、プロジェクターによるカラー表示を分離した構造となっている。
生産と技術第62巻第3号(2010)「モバイル機器向け液晶ディスプレイの超低消費電力化技術」
E. Satoh et al. SID2010 80.2 「60-inch Highly Transparent See-through Active Matrix Display without Polarizers」
非特許文献1の液晶表示装置の場合、図8に示すSRAM102はデジタルでの電圧設定となるため、中間調表示が困難である。
また、図9にSRAMの回路図を示すが、SRAMは、1bitの情報を保持するのに2つのラッチ(それぞれのラッチに2個のトランジスタ)を用いており、それに転送用トランジスタ2個を加えた計6個のトランジスタから構成されている。このように6個という比較的多くのトランジスタが必要であるため、従前の液晶表示装置に比べて歩留りが低く、生産コストが高くなる。同様に生産面において、CG(Continuous Grain)シリコンを用いているため、アモルファスシリコンタイプの従前の液晶表示装置と比べ、エキシマレーザーを用いたアニール結晶化などのプロセスが必要となることに加え、プロセスマスクも多くなり、生産プロセスが複雑になる。また、CGシリコンを用いた場合、基板のサイズは7〜10インチ程度が限界であり、大型化が困難である。
また、非特許文献2の液晶表示装置の場合、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いているため、電子移動度が低く、TFTサイズが大きい。そのため、透過率が低くなる。また、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いているため、リーク電流が大きく、補助容量素子および補助容量線の配設が必要であり、これに伴う開口率の低下が避けられない。また、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いているため、低周波駆動をおこなうことができない。そのため、消費電力が多くなる。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、低消費電力であり、且つ、中間調表示が可能である、生産コストを抑えた液晶表示装置を提供することにある。
すなわち、本発明に係る液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、
非偏向光が入射され、入射した非偏向光の透過量を電圧印加量に応じて制御する液晶層と、
上記液晶層を挟持する一対の基板のうちの一方の基板であって、複数のゲートバスラインと、複数のデータバスラインと、当該複数のゲートバスラインと当該複数のゲートバスラインとが交差している各交点に一つずつ設けられた、酸化物半導体を有する薄膜トランジスタと、画素電極とが形成された当該一方の基板と、
上記一対の基板のうちの他方の基板と、
を備えており、
偏光板を備えていないことを特徴としている。
非偏向光が入射され、入射した非偏向光の透過量を電圧印加量に応じて制御する液晶層と、
上記液晶層を挟持する一対の基板のうちの一方の基板であって、複数のゲートバスラインと、複数のデータバスラインと、当該複数のゲートバスラインと当該複数のゲートバスラインとが交差している各交点に一つずつ設けられた、酸化物半導体を有する薄膜トランジスタと、画素電極とが形成された当該一方の基板と、
上記一対の基板のうちの他方の基板と、
を備えており、
偏光板を備えていないことを特徴としている。
上記の構成によれば、低消費電力であり、且つ、中間調表示が可能である、生産コストを抑えた液晶表示装置を提供することができる。
具体的には、上記の構成によれば、酸化物半導体を有した薄膜トランジスタを有していることから、リーク電流が少なく、よって、低周波駆動が可能となるため、SRAMを実装することなく、低消費電力化を実現することができる。
また上記の構成によれば、SRAMを実装した従来の液晶表示装置とは異なり、薄膜トランジスタを実装していることから、アナログ階調駆動による中間調表示が可能である。
また上記の構成によれば、SRAMを実装した従来の液晶表示装置とは異なり、薄膜トランジスタを実装した液晶表示装置であることから、CGシリコンに比べて製造工程を減少および簡略化することができ、また、使用するマスク枚数が減少することから、プロセスコストが削減でき、歩留りが向上する。また本発明の液晶表示装置は、SRAMを実装しないことから、SRAMを実装した従来の液晶表示装置に比べて、各画素部に配されるトランジスタ数が少なく、これによる歩留りの向上も実現することができる。また、低温(250℃)での製造も可能となる。また上記の構成によれば、SRAMを実装した従来の液晶表示装置において必須であるレーザーアニール結晶化プロセスが必要なく、大型基板にも対応することができる。
アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いた構成に比べ、酸化物半導体を有した薄膜トランジスタは、電子移動度が高く、TFTサイズも小さい。そのため、本発明をシースルー(see−through)型の液晶表示装置に適用した場合に、透過率の向上に寄与することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に加えて、
上記酸化物半導体が、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体であることが好ましい。
上記酸化物半導体が、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体であることが好ましい。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に加えて、
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、液晶ドロップレットが分散した三次元網目状のポリマーネットワークが形成された層であることが好ましい。
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、液晶ドロップレットが分散した三次元網目状のポリマーネットワークが形成された層であることが好ましい。
上記の構成によれば、液晶層が、液晶ドロップレットが分散した三次元網目状のポリマーネットワークが形成された構成となっているため、偏光板を用いることなく表示を制御することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に代えて、
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、コレステリック液晶からなることが好ましい。
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、コレステリック液晶からなることが好ましい。
上記の構成によれば、液晶層がコレステリック液晶からなるため、偏光板を用いることなく表示を制御することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に代えて、
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、ゲストホスト液晶からなることが好ましい。
上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、ゲストホスト液晶からなることが好ましい。
上記の構成によれば、液晶層がゲストホスト液晶からなるため、偏光板を用いることなく表示を制御することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に代えて、
上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、補助容量素子および補助容量線は形成されていないことが好ましい。
上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、補助容量素子および補助容量線は形成されていないことが好ましい。
上記の構成によれば、光透過性を有する材料から画素電極を構成して、シースルー型の液晶表示装置を実現している。酸化物半導体を用いない薄膜トランジスタを実装しているものでは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタを実装しているため、電子移動度が低く、当該薄膜トランジスタを大きく構成する必要がある。しかし、本発明に係る液晶表示装置によれば、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを実装しているため、当該薄膜トランジスタを小さく構成することができ、よって、光透過率の向上、および、開口率の向上を実現したシースルー型の液晶表示装置を提供することができる。
また上記の構成によれば、一対の基板には補助容量配線が形成されていない。これは、換言すれば、一対の基板には補助容量素子および補助容量線が必要ないということである。すなわち、酸化物半導体を用いない薄膜トランジスタの場合はリーク電流が大きいためこれを補うために補助容量素子および補助容量線が設けられているが、本発明に係る液晶表示装置は、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを設けているため、リーク電流が小さく、よって、補助容量素子および補助容量線が無くとも良好に表示を実現することができる。また、補助容量素子および補助容量線が無いことから、開口率の向上および高解像度化を実現することができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の一形態としては、上記の構成に代えて、
上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、配線群が形成されており、
上記配線群のうちの少なくとも一つは、透明導電材料から構成されていることが好ましい。
上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、配線群が形成されており、
上記配線群のうちの少なくとも一つは、透明導電材料から構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、光透過性を有する材料から画素電極を構成して、光透過型の液晶表示装置を実現している。酸化物半導体を用いない薄膜トランジスタを実装しているものでは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタを実装しているため、電子移動度が低く、当該薄膜トランジスタを大きく構成する必要がある。しかし、本発明に係る液晶表示装置によれば、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを実装しているため、当該薄膜トランジスタを小さく構成することができ、よって、光透過率の向上、および、開口率の向上を実現した光透過型の液晶表示装置を提供することができる。
また上記の構成によれば、一対の基板に形成された配線群のうちの少なくとも一つは、透明導電材料から構成されているため、開口率の向上に寄与することができる。
本発明は、リーク電流を効果的に抑制するとともに中間調表示が可能である、生産コストを抑えた液晶表示装置を提供することができる。
本発明に係る液晶表示装置は、テレビ、携帯電話などのあらゆるディスプレイ機器に搭載することができる。以下に、本発明に係る液晶表示装置の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、本発明は画素アレイを構成する各絵素(画素部)の構成に特徴を有している。そこで、各絵素の具体的な構成については後述することとし、まずは液晶表示装置の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態における液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。液晶表示装置1は、画素アレイ2と、ゲートドライバ3と、データドライバ4と、を備えている。
画素アレイ2は、行方向にn本配設されたゲートバスライン(G1、G2、・・・、Gn)と、列方向にm本配設されたデータバスライン(D1、D2、・・・、Dm)との各交点近傍に、絵素PixがGn×Dm個、2次元配列された構成を有している。
画素アレイ2が形成された表示パネル6は、対向する2つの基板に液晶層を挟持させたアクティブマトリックスタイプの液晶表示パネルである。表示パネル6の具体的構造については後述する。
ゲートドライバ3は、図1に示すように、概略、各行のゲートバスラインGに対応して、複数段の信号保持ブロックを備えたシフトレジスタ回路(不図示)を有している。そして、シフトレジスタ回路の各段の信号保持ブロックにおいて、システムコントローラ5から供給される走査制御信号(走査スタート信号、走査エンド信号)、および走査クロック信号に基づいて、シフト信号を順次出力(伝達)しつつ、該シフト信号を外部出力信号として取り出して、各ゲートバスラインGに走査信号として印加し、各行ごとの絵素を、順次、選択状態に設定するように制御する。なお、システムコントローラ5は液晶表示装置1内に構成されていてもよく、液晶表示装置1の外部に構成されていてもよい。
データドライバ4は、システムコントローラ5から供給されるデータ制御信号に基づいて、表示信号生成回路(不図示)から供給される、画素アレイ2の1行分ごとの表示データを取り込んで保持し、当該表示データに対応する階調信号(階調電圧、または階調電流)を生成して、ゲートドライバ3により選択状態に設定された各表示画素に、各データバスラインDを介して並行して供給し、該階調信号(表示データに応じた絵素情報)を各絵素に書き込むように制御する。
なお、表示信号生成回路(不図示)は、例えば、液晶表示装置1の外部から供給されるデータ信号から輝度階調信号成分およびタイミング信号成分を抽出し、画素アレイ2の1行分ごとに、該輝度階調信号成分を表示データとしてデータドライバ4に供給するとともに、タイミング信号成分をシステムコントローラ5に供給する。また、表示信号生成回路は、表示すべき画像を示す画像データに含まれる、各絵素についての輝度を示す輝度情報、および、各絵素についての色差を示す色差情報から、各画素についての階調値を算出する。表示信号生成回路はメモリを備えており、階調値とデータ電圧との対応関係を示す対応情報(対応表、または、ルックアップテーブルとも称する)が格納されており、表示信号生成回路は、当該対応情報を参照することによって、各画素についての階調値を、該画素の画素電極に供給すべきデータ電圧を示すデータ電圧情報に変換し、当該データ電圧情報を、データドライバ4に供給する。
なお、図1には示していないが、各絵素には、補助容量素子と、補助容量素子に繋がった補助容量線も配されている。これについては後述する。
システムコントローラ5は、表示信号生成回路から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも、ゲートドライバ3およびデータドライバ4の各々に対して、上述したような走査制御信号およびデータ制御信号を生成して出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて、画素アレイ2に走査信号および階調信号を出力させ、表示画素における発光駆動動作を連続的に実行させて、データ信号に基づく所定の画像情報を表示パネル6に表示させる制御を行う。
絵素Pixの等価回路を図2に示す。各絵素は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)7と、液晶層LCと、補助容量素子8とが、図2の等価回路のように接続されている。
本実施形態の液晶表示装置1は、反射型の液晶表示装置であり、且つ、液晶層が電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とに切り替わる構成を具備している。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1は、偏光板を用いることなく、良好な表示が可能である。以下、この点について説明する。
図3は、表示パネル6の概略断面図である。表示パネル6は、一対の基板に液晶層LCが挟持された構成となっている。具体的には、ガラス基板60上に画素電極61とTFT7とが形成されたTFT基板62(一対の基板のうちの一方の基板)と、共通電極63が形成されたカラーフィルタ機能を具備したCFガラス基板64(一対の基板のうちの他方の基板)とに、液晶層LCが挟持されている。本実施形態の液晶表示装置1は反射型の液晶表示装置であるため、画素電極61が反射機能を有しており、CFガラス基板64側から入射して液晶層LCを通過した光を反射することができる。なお、画素電極61自体が光反射材料から構成されていなくとも、画素電極61に隣接して光反射板が配されていてもよく、この場合には画素電極は光透過性材料から構成することができる。
図4は、表示パネル6の表示形態を概略的に示すものであり、図4の(a)が電圧無印加時の表示形態を示し、図4の(b)が電圧印加時の表示形態を示す。本実施形態の液晶表示装置に具備された表示パネル6は、図4の(a)に示す電圧無印加時には、CFガラス基板64側から入射した光は液晶層LCに散乱されて白表示となる。一方、図4の(b)に示す電圧印加時には、CFガラス基板64側から入射した光は液晶層LCを通過して、液晶層LCの後方に在る光反射性を有する画素電極にて反射され、ミラー表示となる。
上述のように本実施形態では偏光板を用いなくとも、液晶層LCが電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とに切り替わる。具体的には、液晶層LCが、ポリマーネットワーク液晶、いわゆるPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)であるためである。PNLCは、液晶、モノマー、光開始材の混合液に紫外線を照射して光重合相分離を誘起することで、液晶ドロップレットが分散した三次元網目状のポリマーネットワークが形成されているものである。液晶層LCは、このPNLCからなるので、PNLC層の光散乱状態と光透過状態の間のスイッチングを利用することで、電圧を印加しないときはドロプレット内の液晶分子が不規則で入射光は液晶層LCで散乱され白表示になる一方、電圧を印加しているときは、電圧を印加しないときに不規則に並んでいた液晶分子が電圧方向に配列し、よって、入射光は液晶層LC後方に存在する画素電極61によって反射して、ミラー表示となる。PNLCは、PDLCに比べて低駆動電圧で駆動することができる点でも好ましい。
このように表示形態を変えるべく液晶層LCに印加する電圧は、画素電極61と、CFガラス基板64の共通電極63とに印加することでおこなう。このとき、画素電極61は、TFT7によるスイッチングを受けて電圧が印加される。本実施形態の表示パネル6の各絵素Pixに実装されるTFT7は、ボトムゲート方式のトランジスタである。図5(a)にTFT7の断面図を、図5(b)に、図5(a)に示すTFT7の上面図を、それぞれ示す。
TFT7は、図5(a)に示すように、絶縁表面を有する基板上に形成されたゲート電極11と、ゲート電極11上のゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極11と重畳する酸化物半導体膜18と、酸化物半導体膜18上に形成された一対のソース電極16およびドレイン電極17とを有する。さらに、TFT7は、酸化物半導体膜18上に形成された絶縁膜19を、その構成要素に含めても良い。図5に示すTFT7は、ソース電極16とドレイン電極17の間において、酸化物半導体膜18の一部がエッチングされたチャネルエッチ構造である。更に、これら全体を覆うように保護膜15が形成されている。なお、ゲート電極11と基板10の間には、下地膜となる絶縁膜が設けられていてもよい。
酸化物半導体膜18としては、例えば、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体を用いることができる。スパッタ法によりIn−Ga−Zn−O系の酸化物半導体成膜用ターゲット(モル数比で、In2O3:Ga2O3:ZnO = 1:1:1)を用いて酸化物半導体膜18を形成することができる。
酸化物半導体膜18は、300〜500℃(ガラス転移温度以下、最大でも700℃程度)の熱処理で作製することが可能である点で、酸化物半導体膜を形成する代わりに炭化珪素を形成する従来周知のTFTの場合に比べて有利である。なお、従来周知のTFTは一般に1500℃〜2000℃の熱処理を必要とする。また、酸化物半導体膜を用いない従来周知のトップゲート方式のTFTの場合は、Si系の薄膜を形成した後に結晶化しなければならず、また、ゲート絶縁膜形成にはイオンドープが必要であり、ゲート絶縁膜の上に形成するゲート電極もイオンドープが必要であり、合計で10枚以上のマスクを用いる必要がある。これに対して、本実施形態では、ボトムゲート方式であり、ゲート電極形成後の結晶化は不要であり、また上述のように酸化物半導体膜は低温で形成することができ、ゲート絶縁膜の形成にはイオンドープが必要ない。また、使用するマスク総数も3〜5枚で済む。
なお、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体に限らず、例えば、In-Sn-Zn-O系、In-Al-Zn-O系、 Sn-Ga-Zn-O系、 Al-Ga-Zn-O系、 Sn-Al-Zn-O系、 In-Zn-O系、 In-Ga-O系、 Zn-Sn-O系、 Al-Zn-O系、 In-O系、 Sn-O系、 Zn-O系などの酸化物半導体を酸化物半導体膜18として形成してもよい。
なお、TFT7における、酸化物半導体膜18以外の構成については、従来周知の材料を用いて形成することができるが、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極、配線に以下の材料を用いることが可能である。Cu系材料を用いることにより、低抵抗なため電極・配線等を細くでき、開口率が上がることが期待できるため好ましい。あるいは、ITO系、IZO系、Sn02系、ZnO系を用いることにより、透明電極・配線により開口率が上がることが期待できるため好ましい。あるいは、カーボンナノチューブを用いることにより、透明で、ITO等より低抵抗になる可能性があるため、好ましい。
以上のように酸化物半導体膜18を用いたTFT7は、アモルファスシリコンTFTに比べて、リーク電流を1/10000程度に抑えることができる。具体的には、酸化物半導体膜18を用いたTFT7は、リーク電流が10−17A/μm程度である。
また、上述のように、製造面では、トランジスタの総数が、SRAMを実装した従来の液晶表示装置と比べて少なく1個のトランジスタで良いことから、それに伴う歩留りが向上する。更に、マスク数が少ない点からも、本実施形態の液晶表示装置はSRAMを実装した従来の液晶表示装置に比べて、歩留りをより一層向上させることができる。
(本実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、酸化物半導体を有した薄膜トランジスタを実装することにより、リーク電流を低減させることができるため、SRAMを実装することなく低周波駆動を実現することができ、よって、低消費電力化を実現することができる。且つ、アナログ階調駆動による中間調表示が可能である。
本実施形態によれば、酸化物半導体を有した薄膜トランジスタを実装することにより、リーク電流を低減させることができるため、SRAMを実装することなく低周波駆動を実現することができ、よって、低消費電力化を実現することができる。且つ、アナログ階調駆動による中間調表示が可能である。
また上記の構成によれば、SRAMを実装した従来の液晶表示装置とは異なり、薄膜トランジスタを実装した液晶表示装置であることから、CGシリコンに比べて製造工程を減少および簡略化することができ、また、使用するマスク枚数が減少することから、プロセスコストが削減でき、歩留りが向上する。また本発明の液晶表示装置は、SRAMを実装しないことから、SRAMを実装した従来の液晶表示装置に比べて、各画素部に配されるトランジスタ数が少なく、これによる歩留りの向上も実現することができる。また、低温(250℃)での製造も可能となる。また上記の構成によれば、SRAMを実装した従来の液晶表示装置において必須であるレーザーアニール結晶化プロセスが必要なく、大型基板にも対応することができる。
本実施形態によれば、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)を用いた構成に比べ、酸化物半導体を有した薄膜トランジスタは、電子移動度が高く、TFTサイズも小さい。
また、本実施形態によれば、偏光板を配設する必要がない分、生産性を向上させることができる。
なお、本実施形態では表示パネル6に補助容量素子とその配線とを設けているが、リーク電流が小さいTFTを実装していることから、必ずしも補助容量素子およびその配線を配設する必要はない。
<実施形態1の変形例(1)>
上述の本実施形態では、液晶層がPNLC層であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光板を用いることなく電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とを切り替えることができる液晶層であればよい。
上述の本実施形態では、液晶層がPNLC層であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光板を用いることなく電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とを切り替えることができる液晶層であればよい。
本変形例(1)では、液晶層がコレステリック液晶である点で、上述の実施形態と異なる。コレステリック液晶としては、従来周知のものを使用することができる。
本変形例(1)の構成であっても、上述した作用効果を奏する。
<実施形態1の変形例(2)>
上述の本実施形態では、液晶層がPNLC層であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光板を用いることなく電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とを切り替えることができる液晶層であればよい。
上述の本実施形態では、液晶層がPNLC層であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、偏光板を用いることなく電圧印加の有無によって光透過状態と光反射状態とを切り替えることができる液晶層であればよい。
本変形例(2)では、液晶層がゲストホスト液晶である点で、上述の実施形態と異なる。ゲストホスト液晶としては、従来周知のものを使用することができる。
本変形例(2)の構成であっても、上述した作用効果を奏する。
〔実施形態2〕
図6〜図7を用いて本発明の液晶表示装置の他の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施形態1で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
図6〜図7を用いて本発明の液晶表示装置の他の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施形態1で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
上述の実施形態1と本実施形態との相違点は、表示方式にある。具体的には、上述の実施形態1の液晶表示装置が反射型であったのに対して、本実施形態の液晶表示装置はシースルー型である。具体的には、実施形態1に具備された表示パネル6では画素電極が光反射性を有していたが、本実施形態に具備された表示パネルでは光透過性を有する画素電極に置き換える。また、実施形態1に具備された表示パネル6ではCFガラス基板64に代えて、本実施形態に具備された表示パネルでは、カラーフィルタを有していない基板65を用いる。
図6は、本実施形態の液晶表示装置に具備された表示パネル6´の表示形態を概略的に示すものであり、図6の(a)が電圧無印加時の表示形態を示し、図6の(b)が電圧印加時の表示形態を示す。図6は、上述の実施形態1の図4に相当する。
本実施形態の液晶表示装置に具備された表示パネル6´は、図6の(a)に示す電圧無印加時には、CFガラス基板64側から入射した光は液晶層LCに散乱されて白表示となる。一方、図6の(b)に示す電圧印加時には、CFガラス基板64側から入射した光は液晶層LCを通過して、更に液晶層LCの後方に在る光透過性を有する画素電極を透過して、表示パネル6´の反対側(光入射側とは反対側)に抜ける。すなわち、図6のように表示パネル6´の光入射側に視点があれば、図6の(a)に示す電圧無印加時には表示パネル6´の反対側まで見通せないものの、図6の(b)に示す電圧印加時には表示パネル6´が透明となり、シースルー液晶が実現される。シースルー液晶が実現されれば、表示パネル6´の背面にプロジェクターを配設してプロジェクターによるカラー表示を投影することにより所望の画像を視認することができる。
なお、上述の実施形態1では画素電極が光反射性を有していたため、本実施形態では光透過性を有する画素電極に置き換えているが、実施形態1において画素電極は光透過性であって当該画素電極とともに反射板が実装されている場合には、本実施形態のシースルー型の液晶表示装置を実現するためには、この反射板を取り除くことで実現される。
また、本実施形態の表示パネル6´は、酸化物半導体を用いたTFTを備えていることから、リーク電流が小さい。そこで、本実施形態では、実施形態1の表示パネルに配設していた補助容量素子とその配線とを設けていない(図7参照)。また、酸化物半導体を用いたTFTは電子移動度が50cm2/Vsと高いため、TFT自体を小型化することができる。これらのことにより、表示パネルの開口率を向上させ、高解像度および高透過率を実現することができる。
また、リーク電流が小さいため、1Hz以下での低周波数駆動が可能である。そのため、低消費電力化が可能である。具体的には、酸化物半導体を用いないTFTを備えた従来の60Hz駆動の表示パネルに比べて、1/60〜1/6000程度の低消費電力化を実現することができる。
なお、本実施形態では、シースルー型の液晶表示装置について説明したが、表示パネル6´の視点がある側とは反対側にバックライトを配置し、バックライトから出射した光を、表示パネル6´の反対側から表示パネル6´に入射させて、視点がある側に出射させる構成としてもよい。
<実施形態2の変形例>
上述した本実施形態の変形例として、更にゲート電極、ソース電極、およびそれらに繋がる配線群を、光透過性材料から構成することによって、更なる透明化を実現することができる。例えば、ITO、IZO、Sn02、ZnOなどの光透過性導電材料を用いることができる。
上述した本実施形態の変形例として、更にゲート電極、ソース電極、およびそれらに繋がる配線群を、光透過性材料から構成することによって、更なる透明化を実現することができる。例えば、ITO、IZO、Sn02、ZnOなどの光透過性導電材料を用いることができる。
以上、本発明に係わる実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、液晶表示装置を搭載する表示機器に適用することができる。
1 液晶表示装置
2 画素アレイ
3 ゲートドライバ
4 データドライバ
5 システムコントローラ
6 表示パネル
7 TFT
8 補助容量素子
10 基板
11 ゲート電極
12 ゲート絶縁膜
15 保護膜
16 ソース電極
17 ドレイン電極
18 酸化物半導体膜
19 絶縁膜
60 ガラス基板
61 画素電極
62 TFT基板(一対の基板のうちの一方の基板)
63 共通電極
64 CFガラス基板(一対の基板のうちの他方の基板)
65 基板(一対の基板のうちの他方の基板)
D データバスライン
G ゲートバスライン
LC 液晶層
Pix 絵素
2 画素アレイ
3 ゲートドライバ
4 データドライバ
5 システムコントローラ
6 表示パネル
7 TFT
8 補助容量素子
10 基板
11 ゲート電極
12 ゲート絶縁膜
15 保護膜
16 ソース電極
17 ドレイン電極
18 酸化物半導体膜
19 絶縁膜
60 ガラス基板
61 画素電極
62 TFT基板(一対の基板のうちの一方の基板)
63 共通電極
64 CFガラス基板(一対の基板のうちの他方の基板)
65 基板(一対の基板のうちの他方の基板)
D データバスライン
G ゲートバスライン
LC 液晶層
Pix 絵素
Claims (7)
- 非偏向光が入射され、当該非偏向光の透過量を電圧印加に応じて制御する液晶層と、
上記液晶層を挟持する一対の基板のうちの一方の基板であって、複数のゲートバスラインと、複数のデータバスラインと、当該複数のゲートバスラインと当該複数のゲートバスラインとが交差している各交点に一つずつ設けられた、酸化物半導体を有する薄膜トランジスタと、画素電極とが形成された当該一方の基板と、
上記一対の基板のうちの他方の基板と、
を備えており、
偏光板を備えていないことを特徴とする液晶表示装置。 - 上記酸化物半導体が、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、液晶ドロップレットが分散した三次元網目状のポリマーネットワークが形成された層であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。 - 上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、コレステリック液晶からなることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。 - 上記画素電極は、上記液晶層側から入射した光を反射する構成となっており、
上記液晶層は、ゲストホスト液晶からなることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。 - 上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、補助容量素子および補助容量線は形成されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。 - 上記画素電極は、光透過性を有する材料から構成されており、
上記一対の基板には、配線群が形成されており、
上記配線群のうちの少なくとも一つは、透明導電材料から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
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2012
- 2012-05-18 JP JP2012114911A patent/JP2013242403A/ja active Pending
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