JP2013242308A - 核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメント - Google Patents

核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメント Download PDF

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Abstract

【課題】定量的に評価できる核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメントを提供する。
【解決手段】SPECT装置1の制御方法であって、テネイシンCの上皮成長因子(EGF)様ドメインを認識するscFv4F10を標識している111Inから放射される放射線と、前記テネイシンCのフィブロネクチンIII型反復配列のBCD配列部分を認識するscFv4C8を標識している99mTcから放射される放射線を、ガンマカメラ2により検出し、検出データをデータ記憶部3に記憶し、前記検出データからscFv4F10の集積量とscFv4C8の集積量を比較し、この比較結果に基づいて被検体の状態を制御部6で判定し、判定結果を入出力部7に表示する。
【選択図】図3

Description

この発明は、例えば標識された抗体を検出するような核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体一本鎖Fvフラグメント(以下、一本鎖FvフラグメントをscFvともいう)に関する。
細胞外マトリクス糖たんぱくの1つであるテネイシンC(以下、TNCともいう)は、正常組織では発現しないが、創傷治療や腫瘍細胞浸潤、炎症に伴う組織再構築において高い発現が認められる。このTNCに対して、本発明者らは、いくつかのモノクローナル抗体を提案している(特許文献1、2参照)。また、他にも、TNCに対するモノクローナル抗体が提案されている(特許文献3参照)。
一方、放射性薬剤を血液中に注射して診断できるシングルフォトンCT(Single−Photon Emission Computed Tomography:SPECT)が用いられている。このSPECT装置を用いれば、非侵襲的に体外診断することができる。
しかし、SPECT装置は、定量性のある評価ができないという問題点を有していた。
特許第3646159号 特開2004−217546号 特開2008−518609号
この発明は、上述の問題に鑑みて、定量的に評価できる核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメントを提供することを目的とする。
この発明は、被検体に投与された標識から放射される放射線を被検体の体外から検出する放射線検出部と、前記放射線検出部で検出した検出データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータを用いて各種制御処理を実行する制御部と、前記制御部から出力される出力データを表示する表示部とを備えた核医学診断装置の制御方法であって、抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤が標識された第1標識剤から放射される放射線と、前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤が標識された第2標識剤から放射される放射線を、前記放射線検出部により検出する放射線検出工程と、前記放射線検出部で検出した検出データを前記記憶部に記憶する記憶工程と、前記記憶部の検出データから前記第1標識剤の集積量である第1集積量と前記第2標識剤の集積量である第2集積量とを比較し、この比較結果に基づいて被検体の状態を制御部で判定する判定工程と、前記制御部から出力される判定結果を表示部に表示する表示工程とを有する核医学診断装置の制御方法であることを特徴とする。またこの発明は、前記核医学診断装置、前記核医学診断装置の制御方法に用いる診断剤キット、および診断剤キットに含まれる標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメントとすることができる。
この発明により、定量的に評価できる核医学診断装置の制御方法、核医学診断装置、診断剤キット、および標識抗テネイシンC抗体scFvフラグメントを提供できる。
SPECT装置の構成と動作の説明図。 SPECT装置の表示画像を説明する説明図。 4C8および4F10のscFv作製工程の概略説明図。 2核種同時標識したテネイシンCと評価結果の説明図。 実施例2,3での2核種同時標識したテネイシンCと評価結果の説明図。
本発明者らは、鋭意研究の結果、1つの抗原に対して異なるエピトープを認識する複数種類の抗体を用い、定量評価する方法を発明した。この定量評価は、複数種類の抗体の各集積量を比較するものである。比較の方法は、除算により比を求める、減算により差を求めるなど、適宜の方法が可能であるが、比を求める方法が好ましい。比を求めることで、投与量による数量差の影響を受けずに定量評価することができる。
また、本発明者らは、対象となる抗原の1つであるテネイシンC(ヒトテネイシンC)について、異なるエピトープを認識する複数種類の抗テネイシンC抗体(抗ヒトテネイシンC抗体)におけるscFvフラグメントを発明し、このscFvの標識化にも成功した。
すなわち、抗TNC抗体4F10TTに由来するscFvのC末端配列を改変してVH−linker−VL−Flag−Cys(Cysはメルカプト基を有する)とし、遺伝子工学的手法によりラジオアイソトープによる標識が可能な分子を2種類(4F10TTと4C8MS)作製した。
ハイブリドーマからRNAを抽出し、RT−PCR法によりH鎖およびL鎖のドメイン(VとV)の遺伝子をクローニングし、これらをoverlap extension PCRに付すことによりリンカー配列を介して連結し、scFv遺伝子を構築した。これを発現ベクターにサブクローニングしたのち大腸菌に導入して、可溶型scFvタンパク質を調製した。ScFv抗体の大量合成を行った。
また、キレート(EMCS−Bz−EDTA)を作製し、scFvに付加し、インジウム−111を用い標識した。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、核医学診断装置の一種であるSPECT装置1の構成と動作を説明する説明図であり、図1(A)がブロック図、図1(B)がフローチャートである。
図1(A)に示すように、SPECT装置1は、放射線検出部となるガンマカメラ2、記憶部となるデータ記憶部3、制御部6、および表示部となる入出力部7により構成されている。
SPECT装置1のガンマカメラ2は、被検体(図示せず)に静脈内投与された第1診断剤8および第2診断剤9から発生したγ線を検出する。ここで、第1診断剤8および第2診断剤9は、1つの抗原に対して異なるエピトープを認識する標識化モノクローナル抗体または標識化モノクローナル抗体フラグメントである。また、第1診断剤8と第2診断剤9は、セットにした診断剤キットとして提供することができ、第1診断剤8と第2診断剤9を産生する材料等をセットにして診断剤キットとすることもできる。エネルギーピークの異なる核種により前記第1診断剤8と前記第2診断剤9が標識されている場合、ガンマカメラ2は、両核種から放出されるγ線を同時に検出するか、または、エネルギーピーク別に第1診断剤8によるγ線と第2診断剤9によるγ線を別々に検出する。同時検出の場合は、後にエネルギーピークで検出データを分離すればよく、別々の検出の場合は第1診断剤8によるγ線だけを検出してから第2診断剤9によるγ線だけを検出するなど時間差で検出して検出データを分離すればよい。
データ記憶部3は、ガンマカメラ2が検出したγ線検出データをデータ5として蓄積する。このデータ5には、他にも、病期を判定するための病期判定基準データ、効果的な治療を判定するための効果的治療判定データなど、適宜のデータを記憶している。また、データ記憶部3は、各種のデータ5に加えて、各種のプログラム4も記憶している。制御部6は、データ記憶部3に蓄積されているγ線検出データを読み出し、画像再構成の実行と解析、及びこれらの演算結果の入出力部7への表示などを実行する。これにより、SPECT装置1は、γ線を放射する核種の3次元分布像を得ることができ、任意の断面での断層画像を入出力部7に表示することができる。
図1(B)は、データ記憶部3のプログラム4に従って、制御部6が異なるエピトープに対する標識のデータを分離収集してそれぞれの断層画像を表示する処理のフローチャートである。この処理は、SPECT装置1の制御部6が実行するが、これに限らず、別途のコンピュータにデータ記憶部3に蓄積したγ線検出データを伝送し、コンピュータの制御部6が実行することもできる。
まず、制御部6は、データ群設定処理を実行し、データ群に分離する条件設定と変数iの最大値imaxを決定する(ステップS1)。データ群の分離は、検出するγ線のエネルギー量によって実行することができる。
例えば、図2(A)のエネルギーピークのグラフに示すように、111In標識scFv4F10によるエネルギーピークは、245KeV付近に現れ、99mTc標識scFv4C8によるエネルギーピークは、140KeV付近に現れる。このため、245KeV近辺のエネルギーピークを有するγ線検出データを第1標識化抗体(111In標識scFv4F10)のデータとし、140KeV近辺のエネルギーピークを有するγ線検出データを第2標識化抗体(99mTc標識scFv4C8)のデータとして分離できる。この2種類で行う場合、imaxは「2」とする。
なお、例えば図2(B)の断層画像10に示す関心領域11を設定するために別途のγ線検出データを用いる場合は、imaxを「3」とするとよい。この場合、例えば111In標識scFv4F1099mTc標識scFv4C8の同時投与の被検体をSPECT装置1でスキャンしてデータ記憶部3にデータ蓄積した後(放射性核種が十分半減した後)に、追加で99mTc−MIBIを被検体に注射し、再度SPECT装置1でスキャンして先のデータと分けてデータ蓄積しておくとよい。
制御部6は、変数iを初期化して「1」とし(ステップS2)、データ記憶部3から第iデータを収集する処理を実行する(ステップS3)。例えば、第1データであれば1回目のγ線検出データのうち245KeV付近のエネルギーピークを有するγ線検出データを収集する、第2データであれば1回目のγ線検出データのうち140KeV付近のエネルギーピークのγ線検出データを収集する、第3データであれば2回目のγ線検出データを収集するといったように、ステップS1のデータ群設定処理で設定された内容に従った収集を行う。
制御部6は、第iデータの断層画像を作成し(ステップS4)、変数iが最大値imaxになるまで(ステップS5:No)、ステップS3〜S4を繰り返す。
変数iが最大値imaxになると(ステップS5:Yes)、制御部6は、関心領域11の設定を受け付ける関心領域設定処理を実行する(ステップS7)。この設定は、入出力部7による操作者の操作入力によって定められる。また、関心領域11の設定は、関心領域設定用に取得されたγ線検出データ(例えば99mTc−MIBIのデータ)により実行する、あるいは比較用のデータ(111In標識scFv4F1099mTc標識scFv4C8のデータ)により実行するなど、適宜のデータにより実行するとよい。
制御部6は、図2(C)の並列表示断層画像15に示すように、比較すべき断層画像16,17を入出力部7に並列表示する(ステップS8)。図示の例では、第1標識化抗体(111In標識scFv4F10)による断層画像16を左側に、同じ断面での第2標識化抗体(99mTc標識scFv4C8)による断層画像17を右側に表示している。両断層画像16,17には、関心領域11も表示されている。断層画像16,17の下にあるデータは、関心領域11のピクセル数(AREA.px1)、関心領域11の平均カウント数(AVE.cnt)、関心領域11のカウント数(TOTAL.cnt)、関心領域11の最大のカウント数(MAX.cnt)、最大のカウント数の位置(MAX(X,Y))を示しており、上段が断層画像16のデータ、下段が断層画像17のデータを示している。この中でも、カウント数18,19が次に説明するように重要になる。
制御部6は、カウント数18とカウント数19の比を演算することで抗体比を演算し、演算結果を入出力部7に表示する(ステップS9)。この演算結果の表示は、比率を数字で表示する、比率から判定した被検体の状態を表示するなど、適宜の表示とすることができる。被検体の状態を表示する場合には、例えば病期判定基準データに基づいて判定した被検体の病期、効果的治療判定データに基づいて判定した被検体にとって効果的と考えられる治療など、適宜の状態とすることができる。
図2(D)は、判定基準の例を示す基準データ構成図であり、図2(E)は、判定結果の表示例を示す画面構成図である。
図2(D)の例では、心筋梗塞に関する病期と推奨治療法を判定する基準データ5a(病期判定基準データ)を示している。4C8と4F10を予め定めた割合(この実施例では同量)ずつ投与した場合の4C8/4F10比が1.40以上であれば、病期はAで、推奨治療法として顆粒球コロニー刺激因子治療を開始すべきと判定する。4C8/4F10比が1.2から1.39であれば、病期はBで、推奨治療法として顆粒球コロニー刺激因子治療が可能であり、β遮断薬治療を優先すべきと判定する。4C8/4F10比が1.19以下であれば、病期はCで、推奨治療法として顆粒球コロニー刺激因子治療は不適で、β遮断薬治療をすべきと判定する。
図2(E)は、抗体比表示画面20に、抗体比表示部21、病期表示部22、推奨治療法表示部23を備えている。抗体比表示部21は、抗体比を表示する部分であり、図示の例では4C8/4F10比を表示している。病期表示部22は、抗体比と前記基準データ5aをもとに判定した病期を表示し、推奨治療法表示部23は、抗体比と前記基準データ5aをもとに判定した推奨治療法を表示する。
以上のようにして、体外から定量的に評価でき、病期や推奨治療法を判定できるSPECT装置1とそのプログラム4を提供することができる。
次に、具体的な実施例として、実験に使用した抗体および抗体フラグメントの作製方法と標識、および結果を説明する。実施例では、抗原としてテネイシンCを用いている。また、このテネイシンCに対するモノクローナル抗体やそのフラグメントは、第1診断剤8や第2診断剤9となるものである。なお、本発明は、この実施例に限定されず、様々な形態をとることができる。
≪モノクローナル抗体、ハイブリドーマ≫
本実施例では、抗原としてテネイシンCを用いる場合のモノクローナル抗体(IgG)について説明する。このモノクローナル抗体は、1つの抗原の異なるエピトープを認識するものであれば良く、本実施例では、テネイシンCの選択的スプライシング部位のN末端側を認識する抗テネイシンCモノクローナル抗体4F10TT(以下、抗TNC−4F10という)と、テネイシンC分子内のフィブロネクチンIII型反復配列のBCD配列部分を認識する抗テネイシンCモノクローナル抗体4C8MS(以下、抗TNC−4C8という)を用いる。
抗TNC−4F10は、特許第3837374号に開示されている方法により、平成14年10月10日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にFERM P−19063として寄託されたハイブリドーマ細胞を用いて産生できる。
抗TNC−4C8は、特許第3646159号に開示されている方法を用いて、2000年10月4日付けで工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM P−18070として寄託されたハイブリドーマα−hTNC/B−Dにより産生した。
≪モノクローナル抗体フラグメント≫
モノクローナル抗体は、低分子化することが好ましいため、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fd、scFv、またはsdFvといった適宜の抗体フラグメントとすることができる。以下、Fabフラグメント、scFvフラグメントの製作方法について説明する。
≪Fabの製作≫
Fabフラグメントは、モノクローナル抗体をパパインで分解することで、N末端側の産物として得られる。
抗TNC−4F10のFabフラグメント(以下、Fab4F10という)は、抗TNC−4F10をパパインで分解して産生する。
抗TNC−4C8のFabフラグメント(以下、Fab4C8という)は、抗TNC−4C8をパパインで分解して産生する。
なお、Fab4F10、Fab4C8といった抗TNCモノクローナル抗体のFabフラグメントを、まとめて抗TNC−Fabという。
≪scFvの製作≫
さらに低分子化した抗体を得るため、抗体一本鎖Fvフラグメント(以下、scFvという)を作製する。scFvは、抗体を構成するH鎖とL鎖の可変部ドメイン(VとV)を可動性に富むリンカーペプチドで連結した人工の抗体フラグメントであり、分子量は25,000〜28,000程度、すなわちIgGの約1/6、Fabの約1/2である。
本発明者らは、抗TNC−4F10のscFvフラグメント(以下、scFv4F10という)と、抗TNC−4C8のscFvフラグメント(以下、scFv4C8という)の作製に成功した。scFv4F10とscFv4C8の作製方法は、いずれも共通しており、以下に具体的に説明するとおりである。なお、scFv4F10とscFv4C8といった抗TNCモノクローナル抗体のscFvフラグメントを、まとめて抗TNC−scFvという。
ScFv遺伝子は、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマからH鎖およびL鎖の可変部ドメイン(VおよびV)の遺伝子をクローニングして、これらを連結することにより得られる。そこで、4C8および4F10抗体のVおよびV遺伝子をクローニングし、その塩基配列並びにアミノ酸配列を決定した。
抗体可変部の遺伝子(V遺伝子)をクローニングするためには、抗体産生ハイブリドーマから得られるmRNAを鋳型として、その両端の塩基配列に相補的なプライマーを用いてPCRを行うのが効果的である。V遺伝子の3’末端は、定常部の遺伝子(C遺伝子)と隣接するが、C遺伝子はそのサブクラスに応じたほぼ一定の塩基配列を示す。したがって、forwardプライマーとしては、C遺伝子上に相補性を示すオリゴDNAを用いることができる。しかし、5’末端側の枠組み領域(framework region:FR)あるいは、さらに上流のリーダー配列は大きな多様性を示すため、backプライマーの設計には特別な配慮が必要で、このため抗体V遺伝子のPCRクローニングは必ずしも容易でない。
このように、目的遺伝子の5’側に未知の塩基配列を有する遺伝子のクローニングには、5’RACE(5’ rapid amplification of cDNA ends)(Frohman MA, Dush MK, Martin GR. Rapid production of full−length cDNAs from rare transcripts: amplification using a single gene−specific oligonucleotide primer. Proc Natl Acad Sci USA 1988; 85: 8998−9002.)が有用である。そこで、まず本法により4C8および4F10抗体のV遺伝子のクローニングを行った。以下、図3(A)の5’RACEによる抗体V遺伝子クローニングの概略工程説明図に沿って説明する。
<Vのクローニング>
まず、抗TNC−4F10および抗TNC−4C8の両抗体を産生する各ハイブリドーマ株(FERM P−19063として寄託されたハイブリドーマ細胞、FERM P−18070として寄託されたハイブリドーマα−hTNC/B−D)より全RNAを抽出し、逆転写酵素を作用させ、first−strand cDNAを合成した。このとき、抗体V遺伝子のcDNAを選択的に得るために、定常部サブクラスに特異的なプライマー(group−specific primer:GSP−1)を用いた。
ついで、調製したcDNAの3’末端にdCTP存在下、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)を用いてポリC配列を付加し、このポリC配列に特異的なプライマー(AAP)と、C遺伝子上、GSP−1より5’側に相補性を示すGSP−2を用いるPCRを行った。
得られた遺伝子断片を、AUAP(5’末端に制限酵素認識部位を導入するためのプライマー)およびGSP−3(GSP−2よりさらに5’側に相補性を示す)を用いるnested PCRに付した。
得られたDNA断片を、各々pBluescriptIIベクターにサブクローニングした後、大腸菌XL1−Blue株にエレクトロポーレーション法により導入した。
形質転換体からプラスミドを単離し、ジデオキシ法によりscFv遺伝子の塩基配列を解析した。
以上の方法で、抗TNC−4F10および抗TNC−4C8のいずれについてもV遺伝子をクローニングすることができた。塩基配列からアミノ酸配列を推定し、Kabatの抗体シークエンスデータベース(Kabat EA, Wu TT, Perry HM, Gottesman KS, Foeller C. Sequences of proteins of immunological interest. Washington, DC: U. S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health; 1991.)と比較して、各抗体のCDRを決定した。
<Vのクローニング>
遺伝子のクローニングに際して、Vのクローニングに使用した5’RACE法では、困難を伴った。これは、MOPC−21由来ミエローマ細胞(例えば、P3/NS1/1−Ag4−1やP3X63−Ag8.653など)を細胞融合のパートナーとしたハイブリドーマから得られるRNAには、ミエローマに由来するκ鎖のmRNAが混在することに起因している。そこで、抗TNC−4F10および抗TNC−4C8のV遺伝子については、“ユニバーサルプライマー”を用いるクローニングを試み、クローニングに成功した。
V遺伝子をPCRクローニングする際、backプライマーのハイブリダイゼーション部位として、FRのうちN末端に位置するFR1、あるいはリーダー配列が考えられるが、これらの塩基配列は多様性が大きい。そこで、こうした多様な塩基配列に対応できるように設計されたV遺伝子増幅用の縮重プライマーのセット、すなわち、ユニバーサルプライマーのセットがこれまでに種々報告されている。本実施例では、そのうちNichollsらによって開発されたκ型L鎖可変部遺伝子クローニング用のプライマーセット(Nicholls PJ, Johnson VG, Blanford MD, Andrew SM. An improved method for generating single−chain antibodies from hybridomas. J Immunol Methods 1993;165:81−91.)を用いた。これは、6種類の縮重backプライマーを含むもので、 いずれもFR1の5’末端に相補性を示すものである。このうち1種をbackプライマーに、κ型L鎖定常部[C(κ)]の遺伝子に相補的なプライマー(MKC)をforwardプライマーに用いて上述のcDNAの増幅を試みたところ、いずれの抗体についても目的のVL(κ)遺伝子を含む約400bpのDNA断片を得ることができた。これらの塩基配列を解析してアミノ酸配列を推定し、各抗体のCDRを特定した。
配列番号1は、抗TNC−4F10のV鎖の塩基配列である。
配列番号2は、配列番号1のCDR1領域の塩基配列である。
配列番号3は、配列番号1のCDR2領域の塩基配列である。
配列番号4は、配列番号1のCDR3領域の塩基配列である。
配列番号5は、抗TNC−4F10のV鎖のアミノ酸配列である。
配列番号6は、配列番号5のCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号7は、配列番号5のCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号8は、配列番号5のCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号9は、抗TNC−4F10のV鎖の塩基配列である。
配列番号10は、配列番号9のCDR1領域の塩基配列である。
配列番号11は、配列番号9のCDR2領域の塩基配列である。
配列番号12は、配列番号9のCDR3領域の塩基配列である。
配列番号13は、抗TNC−4F10のV鎖のアミノ酸配列である。
配列番号14は、配列番号13のCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号15は、配列番号13のCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号16は、配列番号13のCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号17は、抗TNC−4C8のV鎖の塩基配列である。
配列番号18は、配列番号17のCDR1領域の塩基配列である。
配列番号19は、配列番号17のCDR2領域の塩基配列である。
配列番号20は、配列番号17のCDR3領域の塩基配列である。
配列番号21は、抗TNC−4C8のV鎖のアミノ酸配列である。
配列番号22は、配列番号21のCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号23は、配列番号21のCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号24は、配列番号21のCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号25は、抗TNC−4C8のV鎖の塩基配列である。
配列番号26は、配列番号25のCDR1領域の塩基配列である。
配列番号27は、配列番号25のCDR2領域の塩基配列である。
配列番号28は、配列番号25のCDR3領域の塩基配列である。
配列番号29は、抗TNC−4C8のV鎖のアミノ酸配列である。
配列番号30は、配列番号29のCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号31は、配列番号29のCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号32は、配列番号29のCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号33は、リンカーの塩基配列である。
配列番号34は、リンカーのアミノ酸配列である。
<scFv4F10およびscFv4C8の調製>
上述したV遺伝子塩基配列の情報を基盤として、scFv(scFv4F10およびscFv4C8)の調製を試みた。すなわち、抗TNC−4F10および抗TNC−4C8の各V及びV遺伝子を、サブクローニングのための制限酵素部位(Nco IとSal I)および両遺伝子の連結に必要なリンカー配列を含むプライマーで各々増幅した。
ついで、図3(B)のscFv遺伝子構築の概略工程説明図に示すように、得られたV、V両遺伝子断片を、リンカー部分のハイブリダイゼーションを利用するoverlap extension PCR スプライシング法により連結させて、scFv遺伝子を構築した。リンカーペプチドは、可動性に富み、scFvの構築に一般的に多用される(GlySer)を採用した。また、本scFvの発現の確認に有用と思われるFLAG 配列の遺伝子を3’末端に付加した。得られたscFv遺伝子は、いずれも期待どおり約800bpのサイズを有することがアガロースゲル電気泳動により確認された。これらscFv遺伝子断片を、それぞれ抗体発現用ベクターであるpEXmide 5(Kobayashi N, Shibahara K, Ikegashira K, Shibusawa K, Goto J. Single−chain Fv fragments derived from an anti−11−deoxycortisol antibody. Affinity, specificity, and idiotype analysis. Steroids 2002; 67: 733−42.)にサブクローニングし、大腸菌XLOLR株を形質転換した。この組換え菌では、 scFv遺伝子の産物は、5’上流のpel B リーダーペプチドの働きにより大腸菌のペリプラズムへ送達されるものと期待される。そこで、得られた形質転換体クローンをisopropyl β−D−thiogalactopyranoside(IPTG)存在下で培養し、浸透圧ショック法によりそのペリプラズム抽出液を調製した。これら抽出液について下記のELISAにより抗原結合活性を調べたところ、対応するマウス抗体に匹敵する十分な抗原結合活性が認められている。
≪scFv4F10およびscFv4C8の諸性質と有用性≫
上述したscFvのうち、scFv4F10の結合特性について述べる。まず、ペリプラズム抽出液を、FLAG固定化アガロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーに付してscFvを精製し、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)に付した。その結果、クーマシーブルー染色において本scFvの分子量(約29KDa)と符合する位置にバンドが認められた。さらに、 抗FLAG抗体を検出プローブとするイムノブロッティングにおいても同じ位置に単一のバンドが認められ、目的の可溶型scFvが発現されていることが示された。
次に、図3(C)のELISA原理説明図に示す方法により、ペリプラズム抽出液を、テネイシンCを固定化したマイクロプレートを用いるELISAに付したところ、強い陽性シグナルが得られた。さらに、遊離のテネイシンCを添加して競合反応を行い、用量作用曲線を作成したところ、midpoint(50%阻害率を示す抗原量)はおよそ8ng(約0.3pmol)であり、本scFvを用いて高感度なテネイシンCのELISAが可能なことが示された。表面プラズモン共鳴センサー(Biacore 2000)を用いて本scFvのテネイシンCに対する解離定数Kdを求めた。図3(D)は、scFvの表面プラズモン共鳴センサーグラムのグラフ図を示す。この図に示すように、scFvは由来するマウス抗体(4F10)Fab(解離定数K=7×10−8M)に全く遜色のない親和力(解離定数K=4×10−8M)を保持していることを確認した。
本scFvをラット血清と混合し、その一部を経時的に上記のELISAに付して、scFvの分解の有無を調べた。その結果、混合して2時間後からゆるやかなシグナルの低下が認められるものの、24時間後でも約80%が分解することなく血清中に存在していることが示された。従って、本ScFvは、標的組織へ到達するに充分な時間、血液中で分解を受けず、安定に循環でき、体内診断薬として応用できる。
本scFvを放射性同位体で標識するため、上記のscFv遺伝子の3’末端にシステイン(cys)のコドンをPCRにより付加し、XLOLR菌内で発現させて、C末端にcys残基を導入したscFv−cysを調製した。 このscFv−cysは、cys導入前のscFvと変わらないテネイシンC結合活性をもつことを確認した。
≪キレートの開発≫
放射性核種標識scFvの体内動態を検討するためには、scFvが移行した組織において、放射活性が長時間滞留することが望ましい。そこで、インジウム−111と安定な錯体を形成することが知られ、標的組織において、滞留すること期待できるDTPA(diethylenetriamine pentaacetic acid)を金属キレート部位として選択した。また、scFvは分子量が29000程度と小さく、アミノ基修飾によるキレートの導入では、アミノ末端など抗原認識に関わる部位へ修飾が懸念される。そこで、カルボキシ末端にシステインを導入したscFvのスルフヒドリル基を介して、位置選択的にキレートを導入することにした。本実施例では、スルフヒドリル基との選択的に結合するマレイミド基を選択し、キレート部位としてDTPA骨格を有するEMCS−Bz−DTPAを二官能性キレート試薬として設計合成した。
≪EMCS−Bz−DTPAの合成≫
<実験材料>
H−NMRおよびFAB−MSはそれぞれJEOL JNM−ALPHA 400 spectrometer, JEOL JMS−AX500 (JEOL Ltd., Tokyo, Japan)を用いて測定した。試薬は特級を使用した。
<Methyl−p−nitrophenyalanine(1)の合成>
無水methanol(40mL)を−10℃以下に冷却し、thionyl chloride(2mL,27.4mmol)を温度を維持したままゆっくりと滴下した。10分間温度を維持したまま撹拌した後、4−nitro−L−phenylalanine(5g,23.8mmol)を加えた。室温に戻した後、一晩灌流した。溶媒を減圧留去し、次の[化1]に示す化合物1を白色固体(4.58g,収率85.8%)として得た。
FAB−MS:m/z224(M+H),found224.
<p−Nitrophenylalanine−N−(2−aminoethyl)amide(2)の合成>
化合物1(2.78g,12.4mmol)を乾燥methanol(5mL)に溶解した。窒素気流下、ethylenediamine(45mL,692mmol)をゆっくりと加え、一晩撹拌した。溶媒を留去し、赤色の油状物質2を得た。得られた[化2]に示す化合物2はそのまま次の反応に用いた。
FAB−MS:m/z253(M+H),found253.
<1−(p−Nitrobenzyl)diethylenetriamine(3)の合成>
化合物2(2.7g,10.6mmol)をtetrahydrofuran(THF,43mL)に溶解した。窒素気流下−10℃に冷却した後、1.0M borane−THF complex(55.7mL)を滴下した。そのまま1時間撹拌後、一晩灌流した。溶媒を−10℃に冷却後、methanol(10mL)をゆっくりと加えた。溶媒を留去し、同様の操作をもう一度繰り返した後、ethanol(25mL)を加え、氷令した。次いで、HClガスを飽和になるまで吹き込んだ後、2時間灌流した。冷蔵庫で一晩放置した後、結晶をろ取した。結晶を12mLの水に溶解した後、50%NaOHを氷零下滴下し、pHを約14とした。Chloroform(25x3)で抽出した後、chloroform−methanol−ammonia(12:4:1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、[化3]に示す化合物3である油状物質3(1.9g,70%)を得た。
FAB−MS:m/z239(M+H),found239.
<1−(p−Nitrobenzyl)diethylenetriaminepentaacetic acid penta−t−butylester(4)の合成>
化合物3(0.62g,2.58mmol)をacetonitrile(7mL)に溶解し、次いで、KCO(3.57g,25.8mmol)を加えた。t−Butyl bromoacetate(2.67g,13.7mmol)を氷零下滴下し、遮光下一晩撹拌した。溶媒を減圧留去した後、水(20mL)を加え、chloroform(20mLx3)で抽出した。Ethyl acetate−hexane(1:4)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、[化4]に示す化合物4である黄色の油状物質4(1.63g,収率78.1%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ1.37(s,45H,t−butyl),2.43−3.01(overlap,9H,CH,CH),3.25−3.44(m,10H,CH−COO),7.24−8.11(d,4H,benzyl).
FAB−MS:831(M+Na),found831.
<1−(p−aminobenzyl)diethylenetriaminepentaacetic acid penta−t−butylester(5)の合成>
化合物4(0.71g,0.88mol)をethyl acetate(20mL)に溶解し、次いで10% Pd/C(0.39g)を加え、水素気流下9時間撹拌した。Pd/Cをろ去し、[化5]に示す化合物5を無色透明の油状物質(0.65g,95.1%)として得た。
H−NMR(CDCl):δ1.38−1.42(s,45H,t−butyl),2.45−2.80(overlap,8H,CH),3.00(m,1H,CH),3.33−3.71(m,10H,CH−COO),6.55−6.98(d,4H,benzyl).
FAB−MS:802(M+Na),found802.
<N−(2−Hydroxyethyl)maleimide(6)の合成>
Maleimide(3.0g,30.9mmol)をethyl acetate(40mL)に溶解し、氷令下N−methylmorpholine(3.92g,38.8mmol)をゆっくりと滴下した。3時間後沈殿をろ去し、残渣をethyl acetate−hexan(1:2)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、[化6]に示す化合物6を白色結晶(3.8g,79.3%)として得た。
<N−Maleimidehexanoic acid(7)の合成>
6−Amino−n−hexanoic acid(193mg,1.47mmol)を飽和NaHCO(4mL)に溶解し、氷零下化合物6を加えた。氷零下40分、室温で50分間反応させた後、HSOを加え、pHを3とした。Ethyl acetate(10mLx3)で抽出し、[化7]に示す化合物7を白色固体(129mg,41.6%)として得た。
H−NMR(CDCl):δ1.23−1.36(m,2H,CH),1.55−1.67(m,4H,CH),2.30−2.34(m,2H,CH),3.48−3.66(m,2H,CH−COO),6.67(s,2H,maleimide).
FAB−MS:211(M+H),found211.
<1−(N−maleimidehexanoyl)−3−amidobenzyldiethylenetriaminepentaacetic acid penta−t−butylester(8)の合成>
化合物7(81.4mg,0.39mmol)をTHF(1.93mL)に溶解し、−15℃に冷却した。N−Methylmorpholine(38.1μL,0.35mmol)を加え、次いでisobutyl chloroformate(55.4μL,0.43mmol)を加えた。2分後、THF(0.38mL)に溶解した化合物5(150mg,0.193mmol)を加え、30分間撹拌した。さらに、室温に戻した後、90分間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣をethyl acetate 10mLに溶解し、5%NaHCO溶液(10mL)、水(10mL)、1M HCl溶液(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をethyl acetate−hexane(1:1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製し、[化8]に示す化合物8を油状物質(260mg,67%)として得た。
H−NMR(CDCl):δ1.23−1.72(overlap,51,t−butyl,CH),2.23−2.70(overlap,8H,CH),3.05(m,1H,CH),3.36−3.53(m,10H,CH−COO),6.66(s,2H,maleimide),7.14−7.38(d,4H,benzyl).
FAB−MS:994(M+Na),found994.
<1−(N−maleimidehexanoyl)−3−amidobenzyldiethylenetriaminepentaacetic acid (EMCS−BZ−DTPA)の合成>
化合物8(355mg,0.37mmol)をtrifluoroacetic acid−anisole(9:1,200μL)に溶解し、3時間撹拌した。Ethyl acetate(5mL)を加え、[化9]に示すEMCS−Bz−DTPA(77mg,30%)を白色固体として得た。
H−NMR(DMSO−d6):δ1.24−1.25(m,2H,CH),1.49−1.59(m,4H,CH),2.24−2.27(m,2H,CH),2.75−2.98(overlap,10H,CH),3.16−3.59(overlap,13H,CH,CH),7.00(s,2H,maleimide),7.11−7.49(d,4H,benzyl).
FAB−MS:692(M+H),found692.
≪抗体の標識≫
本発明には様々な標識が利用できるが、この実施例では、抗TNC−Fabのヨウ素−125/131標識、抗TNC−Fabのインジウム−111標識、ScFv−EMCS−Bz−DTPAのインジウム−111標識について説明する。
Na[125I]IはMP biomedicals(Irvine,USA)から、Na[131I]IはPerkinElmer Japan(Yokohama,Japan)から購入した。インジウム−111(111In)は日本メジフィジックス株式会社(Tokyo,Japan)より購入した。その他の試薬は特級を購入し、そのまま使用した。
<抗TNC−Fabのヨウ素−125/131(125/131I)標識>
Fab4F10あるいはFab4C8(1mg/mL,0.1Mphosphate buffer pH6.8)100μLにNa[125I]IあるいはNa[131I]Iを加えた。その溶液にchloramine T(0.1mg/mL,0.1M phosphate buffer pH6.8)を6μL加え、室温で5分間反応させた。その後、亜硫酸水素ナトリウム(0.1mg/mL,0.1M phosphate buffer pH6.8)を20μL加え、反応を終了させた。その後、Sephadex G−50(Pharmacia Biotech KK, Tokyo, Japan)を担体とするスピンカラム(0.1M acetate buffer pH6.0)により精製した。放射化学的純度は80%methanolによるTLCにより求めた。放射化学的純度は96%、収率は59.2%(125I−Fab4F10)または50.2%(131I−Fab4C8)である。
<抗TNC−Fabのインジウム−111標識>
ホウ酸緩衝液(0.05M,pH8.5)に溶解したFab(5mg/mL,100μL)にホウ酸緩衝液(0.05M,pH8.59)に溶解したSCN−Bz−DTPA(15eq,10μL)を加えた。15時間37℃で反応させた後、Sephadex G−50を担体とするスピンカラム(0.1M acetate buffer pH6.0)により精製し、Fab−SCN−Bz−DTPAを得た。
1M酢酸緩衝液(pH6.0)200μLに111Inを200μL加え、室温で5分間放置した。次いで、Fab−SCN−Bz−DTPA(1mg/mL,100μL)を加え、60分間反応させた。反応液をSephadex G−50を担体とするスピンカラム(0.1M phosphate buffer pH7.4)により精製した。放射化学的純度は電気泳動(veronal buffer pH8.6, I=0.06,60分)により求めた。放射化学的純度は95%である。
<抗TNC−Fabのテクネシウム−99m標識>
抗TNC−Fabのテクネシウム−99m標識は、論文「99mTc−HYNIC−derivatized ternary ligand complexes for 99mTc−labeled polypeptides with low in vivo protein binding」, Nuclear Medicine and Biology,28(2001),215−224 に記載の方法により行った。
<ScFv−EMCS−Bz−DTPAのインジウム−111標識>
1M酢酸緩衝液(pH6.0)100μLに111Inを100μL加え、室温で5分間放置した。次いで、Fab−SCN−Bz−DTPA(0.45mg/mL,220μL,0.1M酢酸緩衝液pH6.0)を加え、60分間反応させた。反応液をSephadex G−25を担体とするスピンカラム(0.1M phosphate buffer pH7.4)により精製した。放射化学的純度は電気泳動(veronal buffer pH8.6,I=0.06,60分)により求めた。放射化学的純度は95.1%である。
≪テネイシンCと標識化抗体≫
テネイシンCの異なるエピトープを認識する標識化抗体は、上述した、抗TNC−4F10(マウスIgG)と抗TNC−4C8(マウスIgG)、またはそのFabフラグメント、若しくはそのscFvフラグメントとすることができる。分子量が最も低く好ましいscFvフラグメントの場合について説明する。
図4(A)は、テネイシンC33と、In−111標識4F10TT抗テネイシンC scFv抗体(以下、111In−anti−TNC−scFv4F10という)31と、Tc−99m標識4C8MS抗テネイシンC scFv抗体(以下、99mTc−anti−TNC−scFv4C8という)32を示す説明図である。テネイシンC33は、複数のエピトープを有している。111In−anti−TNC−scFv4F10は、テネイシンC33の上皮成長因子(EGF)様ドメインに集積する。99mTc−anti−TNC−scFv4C8は、テネイシンC33のフィブロネクチンIII様配列部分に集積する。
このように、選択的スプライシング部位のN末端側の「上皮成長因子(EGF)様ドメイン」と、「フィブロネクチンIII様配列部分」という異なるエピトープにそれぞれ集積するため、1つの抗テネイシンCに2つの標識抗体が集積した状態を実現することができる。
また、標識に、インジウム(In−111)とテクネシウム(Tc−99m)というエネルギーピークの異なる放射性核種を用いているため、SPECT装置1による体外評価において、それぞれ分離してデータ収集することができる。
また、分子量が低いscFvフラグメントを用いているため、IgGやFabに比べて組織/血液分布比がより大きく、より鮮明なシンチグラムを与えることができる。
≪ラットへの投与結果≫
図4(B)は、隣接切片のオートラジオグラフィーと組織染色像を示す説明図である。上から順に、(1)111In−anti−TNC−Fabを投与した心筋梗塞部、(2)111In−anti−TNC−Fabを投与した非心筋梗塞部、(3)抗パラインフルエンザウイルス2型蛋白モノクローナル抗体のFab抗体を投与した心筋梗塞部、(4)111In−anti−TNC−scFvを投与した心筋梗塞部を示している。
図示するように、非特異抗体としてアイソタイプの抗パラインフルエンザウイルス2型蛋白モノクローナル抗体のFab抗体を投与した場合には心筋梗塞部に集積しないことが確認でき、FabとscFvが心筋梗塞による心筋壊死部に集積することを確認できた。
図4(C)は、心筋梗塞モデルラットに同量で同時投与した4C8と4F10の比を測定した結果である。この実施例では、25μg(111kBq)の125I−Fab4F10と25μg(111kBq)の131I−Fab4C8を混和し、ラット(300μL,saline)に尾静脈より投与している。そして、臓器分布により測定している。
図示するように、4C8/4F10比は、30分虚血再灌流後3日に1.48、30分虚血再灌流後4日に1.37となっている。急性心筋梗塞後3日に1.30であった4C8/4F10比は、急性心筋梗塞後4日に1.38となっている。また、陳旧性心筋梗塞の場合、4C8/4F10比は0.88である。ラットの場合、心筋梗塞4日後からは、再灌流していても同様の比であり、治療効果への反応は乏しいが、3日後では大きく変わる。このように、病期によって4C8/4F10比が変化することがわかる。
図4(D)は、心筋梗塞モデルラットに111In−anti−TNC−Fabを投与して測定した結果である。急性心筋梗塞後3日の4C8/4F10比は、1.45であった。このように、体外画像評価でもヨウ素標識、臓器分布と同様の結果が得られる。なお、この図4(D)は、111In−anti−TNC−Fab4C8を投与し、別の個体に111In−anti−TNC−scFv4F10を投与して測定して比を取っているが、99mTc−anti−TNC−scFv4C8111In−anti−TNC−scFv4F10を同時投与して比をとっても良い。この場合も、2つの抗体フラグメント(scFv4C8とscFv4F10)が集積する2つのエピトープは図示した例と同じであるから、同じ結果が得られる。
図4(C)、図4(D)に示した結果に基づき、急性心筋梗塞後3日のラットに翌日からGCSF注射治療を始めたところ、有意に生存期間の延長を認めた(治療群107.5(週)、対照群76.8(週))。治療群と対照群の「急性心筋梗塞後3日のIn−111−4C8放射活性」を比較すると、同程度(治療群6.23 counts/heart、対照群7.37 counts/heart)であり、明らかな差が得られなかった。このように、4F10の放射活性を勘案した4C8/4F10比を体外評価から算出することにより、治療を必要とする群を選別することが可能である。
これらの結果から、4C8/4F10比を測定することで、病期や推奨治療法を判定することが可能となる。例えば、4C8/4F10比を図2(D)に説明した基準データ5aと比較することで、病期や推奨治療法を容易に判定できる。
また、図4(A)に示したIn−111標識4F10TT抗テネイシンC scFv抗体31と、Tc−99m標識4C8MS抗テネイシンC scFv抗体32を用いることで、低分子量の診断剤による2核種同時測定を実現することができる。
また、4C8/4F10比を心不全の悪化の指標と用いることもできる。また、病変部を体外定量評価することができる。
また、効果的な薬剤のスクリーニングを定量的な体外評価により実施することも可能となる。
また、炎症部位が複数あっても、4C8/4F10比をとることで画像的に定量評価することができる。
以上のように、1つの抗原の異なるエピトープに集積する複数種類の抗体を対で使用し、その比を求めることで、炎症部位を画像的に体外定量評価することができる。従って、このような抗体対を提供することで、病期を判定し治療開始時期を示すという画期的な評価を行える。
抗TNC−4C8及びそのフラグメントは、抗TNC−4F10及びそのフラグメントよりも、炎症の重症度との関連が高く、敏感度が高いと考えられる。また、抗TNC−4F10及びそのフラグメントは、抗TNC−4C8及びそのフラグメントよりも、軽症でも発現が多く重症との差を出しにくくしていると考えられる。従って、免疫染色でのテネイシンCの発現領域は、抗TNC抗体及びそのフラグメントにおいて常に4F10>4C8と考えられる。このように、敏感性や重症度との関連性が異なる複数種類の抗TNC抗体またはそのフラグメントを対として用い、比較することで、病期および適切な治療方法を定量的かつ的確に判定することができる。
また、In−111標識4F10TT抗テネイシンC Fab抗体と、Tc−99m標識4C8MS抗テネイシンC Fab抗体により、十分な基礎研究を行うことができる。詳述すると、現在米国でPhaseII臨床治験となっている抗テネイシンCモノクローナル抗体(81C6)は、本発明とは塩基配列が異なっており、ラットおよびマウスのテネイシンCには結合しない。このため、抗テネイシンCモノクローナル抗体(81C6)には、十分な基礎研究ができないという問題点がある。これに対して、本実施例に説明したIn−111標識4F10TT抗テネイシンC Fab抗体と、Tc−99m標識4C8MS抗テネイシンC Fab抗体は、いずれもラットおよびマウスのテネイシンCに結合する。このため、ヒトに投与する前に十分な基礎研究を行うことができる。
なお、この実施例ではSPECT装置1を用いたが、これに限らずPET装置等の適宜の装置に応用することもなし得る。
また、scFvは、V,Vのそれぞれに3箇所ずつ存在する相補性決定部(complementarity−determining region; CDR)のアミノ酸にランダム変異を導入して変異scFvのライブラリーを構築してもよい。これにより、野生型scFvよりも特異性や親和力の向上した変異体を探索することができる。
また、実施例では4C8/4F10の比としたが、4F10/4C8の比とすることもできる。
また、4C8と4F10の投与量を同量としたが、これに限らず、あらかじめ定めた適宜の割合とすることができる。この場合でも事前に投与割合がわかっていることから、比をとって判定することができる。
また、4C8と4F10の投与は、静脈内投与に限らず、サプリメントとして経口投与する、経口吸引する、または皮膚吸収するなど、適宜の投与方法で投与することができる。サプリメントによる場合は、4C8と4F10とを有する抗体対を含むサプリメントを作製し提供すればよい。
次に、99mTc−anti−TNC−Fab4C8111In−anti−TNC−Fab4F10を2核種同時投与した実施例2について説明する。この実施例2では、上述の実施例1で説明したSPECT装置1、および、Fab4C8とFab4F10をそれぞれ99mTcまたは111Inでそれぞれ標識化した99mTc−anti−TNC−Fab4C8111In−anti−TNC−Fab4F10を用いるため、その詳細な説明を省略する。
基準データ5aは、実施例1と異なり、4F10/4C8の比が2.8より低ければ血管再生治療薬である顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)の投与による治療効果があり、4F10/4C8の比が2.8以上であれば治療効果がないとする判定基準に設定されている。
図5(A)は、この実施例2にて2核種同時標識したテネイシンCと評価結果を説明するグラフであり、縦軸が拡張末期内腔径変化(mm)であり、横軸が4F10/4C8の比である。
このグラフに表記されている値は、急性心筋梗塞ラット(術後3日)に、In−111標識抗テネイシンC−4F10TT抗体とTc−99m標識抗テネイシンC−4C8MS抗体を同時投与し、3時間後にSPECT装置にて体外評価した結果である。その比を4F10/4C8とし、翌日から顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を14日連続皮下投与すると、4F10/4C8が2.8未満の群では、心筋梗塞72日後の拡張末期の心臓内腔径が10日後よりも縮小し、GCSF治療により心機能が改善した。
このように、4F10/4C8比を確認することで、検査対象を治療効果が出る群と出ない群に分けることができる。また、この治療効果は、4F10TT/4C8MS比と良好な相関を示しており、4F10/4C8比が薬剤治療の効果を予測できることを示している。このように4F10/4C8比を用いて判定する方法により、病態評価が可能となり、病期を評価して炎症治療の開始時期を知ることができる。
次に、脳腫瘍ラットについての放射線治療用化合物生産方法を示す実施例3について説明する。実施例3では、上述した実施例2と同一のSPECT装置1、99mTc−anti−TNC−Fab4C8111In−anti−TNC−Fab4F10を用いるため、その詳細な説明を省略する。
この実施例3では、anti−TNC−Fab4C8(4C8MS抗テネイシンC Fab抗体)と、anti−TNC−Fab4F10(4F10TT抗テネイシンC Fab抗体)に、それぞれ半減期の異なる核種を結合させて、放射線治療剤を生産する。具体的には、前者が後者よりも半減期が短い核種でかつ高い放射線量の核種としている。半減期の異なる核種を結合させる方法は、実施例1に説明した標識化と同様であるため、その詳細な説明を省略する。このように生産した放射線治療用化合物を、内用放射線治療薬としている。このように生産した治療薬により、各抗体の発現の広さおよび大きさと集積部位の違いを利用した好適な治療を行うことができる。
次に、この実施例3の治療薬による治療の有効性について説明する。図5(B1)〜図5(D2)は、脳腫瘍細胞移植後14日の脳腫瘍ラットに111In−anti−TNC−Fab4F1099mTc−anti−TNC−Fab4C8を尾静脈注射により同時投与し、6時間後にSPECT装置1によってラット頭部線条体付近の短軸像を撮像して体外評価した結果の説明図である。
図5(B1)は、111In−anti−TNC−Fab4F10の発現を示し、図5(C1)は99mTc−anti−TNC−Fab4C8の発現を示し、図5(D1)は両核種の発現を示している。図はモノクロになっているが、本来は、図5(B1)が赤色等の第1色で濃淡表示され、図5(C1)が緑色等の第2色で濃淡表示され、図5(D1)が第1色と第2色に加えて黄色等の第3色(第1色と第2色の合成色)によって111In−anti−TNC−Fab4F1099mTc−anti−TNC−Fab4C8の両方が発現している部位が濃淡表示されている。このようにモノクロの図では色の違いがわからないことを補足するため、図5(B2)〜図5(D2)は、図5(B1)〜図5(D1)の注目領域40付近を、第1色と第2色を異なる方向のハッチングとし、第3色を第1色のハッチングと第2色のハッチングの混合ハッチングとして見やすく図示している。
図示からわかるように、111In−anti−TNC−Fab4F10の領域である4F10TT領域41と、99mTc−anti−TNC−Fab4C8の領域である4C8MS42は、発現する場所が一部を除いて異なっているとともに、両方の発現する重複部位43が存在している集積の高い領域も一部異なっている。
このように、発現の広さと大きさと部位に応じて結合する核種および放射線量を変化させることで、治療剤の治療効果を高めることができる。すなわち、4F10TT領域41は半減期の比較的長い核種で低めの放射線を照射するものとすることで、癌細胞の遠隔転移を予防することができる。また、例えば、4C8MS領域42は、半減期の比較的短い核種を高めの放射線量で結合させておくことで、原発巣の活動性の高い癌細胞を壊死させることができる。このように、2核種によるカクテル療法として使用できる治療剤を提供することで、放射線内用療法の効果向上や生存率改善を行うことができる。
特に、本発明により、半減期の異なる2核種による内用放射線治療というこれまでにない画期的な治療法を提案することができ、研究開発の用途が広がる。
また、本発明のような抗体は、安全性や効果を担保することができ、医薬品としての実用化が十分に期待できる。
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
この発明は、SPECT装置等の核医学診断装置に利用することができる。また、テネイシンC等の複数のエピトープを有する抗体に利用することができる。
1…SPECT装置
2…ガンマカメラ
3…データ記憶部
6…制御部
7…入出力部

Claims (10)

  1. 被検体に投与された標識から放射される放射線を被検体の体外から検出する放射線検出部と、前記放射線検出部で検出した検出データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータを用いて各種制御処理を実行する制御部と、前記制御部から出力される出力データを表示する表示部とを備えた核医学診断装置の制御方法であって、
    抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤が標識された第1標識剤から放射される放射線と、前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤が標識された第2標識剤から放射される放射線とを、前記放射線検出部により検出する放射線検出工程と、
    前記放射線検出部で検出した検出データを前記記憶部に記憶する記憶工程と、
    前記記憶部の検出データから前記第1標識剤の集積量である第1集積量と前記第2標識剤の集積量である第2集積量とを比較し、この比較結果に基づいて被検体の状態を制御部で判定する判定工程と、
    前記制御部から出力される判定結果を表示部に表示する表示工程とを有する
    核医学診断装置の制御方法。
  2. 前記第1剤の標識に用いられる第1標識と、前記第2剤の標識に用いられる第2標識とが、異なるエネルギーピークを有する放射性核種で構成され、
    前記放射線検出工程は、前記第1標識と第2標識から放射される各放射線を同時またはエネルギーピーク別に取得する
    請求項1記載の核医学診断装置の制御方法。
  3. 抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤が標識された第1標識剤から放射される放射線と、
    前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤が標識された第2標識剤から放射される放射線とを、投与された被検体の体外から検出する放射線検出部と、
    前記放射線検出部で検出した検出データを記憶する記憶部と、
    前記記憶部の検出データから前記第1標識剤の集積量である第1集積量と前記第2標識剤の集積量である第2集積量とを比較し、この比較結果に基づいて被検体の状態を判定する制御部と、
    前記制御部から出力される判定結果を表示する表示部とを備えた
    核医学診断装置。
  4. 抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤と、
    前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤とを有し、
    標識した前記第1剤と、標識した前記第2剤とを被検体に投与し、
    前記第1剤が前記抗原に集積した第1集積量と、前記第2剤が前記抗原に集積した第2集積量とを比較することで、前記被検体の診断を可能とする
    診断剤キット。
  5. 前記抗原はテネイシンCであり、
    前記第1モノクローナル抗体は、前記第1エピトープとして前記テネイシンCのEGF様配列部分を認識する抗テネイシンCモノクローナル抗体4F10であり、
    前記第2モノクローナル抗体は、前記第2エピトープとして前記テネイシンCのフィブロネクチンIII様配列部分を認識する抗テネイシンCモノクローナル抗体4C8である
    請求項4記載の診断剤キット。
  6. 配列番号6に示されるCDR1領域、配列番号7に示されるCDR2領域、および配列番号8に示されるCDR3領域のアミノ酸配列を有するV遺伝子と、
    配列番号10に示されるCDR1領域、配列番号11に示されるCDR2領域、および配列番号12に示されるCDR3領域のアミノ酸配列を有するV遺伝子とが連結され、
    放射性核種により標識化され、
    テネイシンCのEGF様配列部分を認識する
    標識抗テネイシンC抗体scFv4F10フラグメント。
  7. 配列番号22に示されるCDR1領域、配列番号23に示されるCDR2領域、および配列番号24に示されるCDR3領域のアミノ酸配列を有するV遺伝子と、
    配列番号26に示されるCDR1領域、配列番号27に示されるCDR2領域、および配列番号28に示されるCDR3領域のアミノ酸配列を有するV遺伝子とが連結され、
    放射性核種により標識化され、
    テネイシンCのフィブロネクチンIII様配列部分を認識する
    標識抗テネイシンC抗体scFv4C8フラグメント。
  8. 抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤が標識された第1標識剤と、前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤が標識された第2標識剤とを被検体に投与し、
    前記第1標識剤の集積量である第1集積量と前記第2標識剤の集積量である第2集積量とを比較し、この比較結果に基づいて被検体の病期または適切な治療法を診断する
    診断方法。
  9. 前記第1標識剤と前記第2標識剤の前記被検体への投与を、サプリメントとして経口投与する、経口吸引する、または皮膚吸収することにより行う
    請求項8記載の診断方法。
  10. 抗原の第1エピトープを認識する第1モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第1剤と、前記抗原の前記第1エピトープとは異なる第2エピトープを認識する第2モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントである第2剤とを用い、
    前記第1剤と前記第2剤にそれぞれ半減期の異なる核種を結合させて放射線治療用化合物を生産する
    放射線治療用化合物生産方法。
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