JP2013241101A - 無線式閉そく装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無線通信を利用した新たな閉そく確保の方式の提案。
【解決手段】列車制御システム1では、線路を任意の地点で区切った走行ブロックが設定される。無線式閉そく装置40は、無線基地局10の無線通信エリア12内の列車50に搭載されている車上装置60から現在位置を受信し、受信した現在位置に対応する走行ブロックを、該列車50の在線位置(在線ブロック)として管理する。そして、各列車の在線位置をもとに、走行ブロックを単位として設定された各閉そく区間の鎖錠/解錠を制御する。また、無線式閉そく装置40は、各閉そく区間の鎖錠/解錠状態をもとに、列車が停止すべき走行ブロックと、この走行ブロックに至る各走行ブロックに関する情報を、該列車50の車上装置60に送信する。車上装置60では、受信した情報をもとに照査速度パターンを作成して速度照査を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、車上装置と無線通信を行って閉そくを確保する無線式閉そく装置に関する。
列車の運行に際しては、安全確保のため、線路を一定区間に区切った閉そく区間を定め、1つの閉そく区間には1列車のみしか存在させないように制御する閉そく制御が行われる。この閉そく制御は閉そく装置が司っており、各閉そく区間に対応する軌道回路を設けることで、列車の在線位置を検知している。軌道回路を細分化することで、列車の運転時隔を短縮でき、高密度運転が可能となるが、軌道回路の設置や保守に費用がかかるという問題がある。特に、運行列車本数が比較的少ない単線運転の区間では、駅間を1つの閉そく区間として軌道回路を設けない特殊自動閉そく式が用いられていた。
一方で、無線通信を利用した列車制御システムが提案されている。かかるシステムでは、各駅に無線基地局を設置し、この無線基地局による無線ゾーン内では無線通信を利用した列車制御が行われ、無線ゾーン外等の無線通信ができない区間では、軌道に設けられた地上子との通信によって点制御ATSシステムによる列車制御が行われる(特許文献1参照)。
特開2002−240716号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている列車制御システムは、閉そく制御を実現するものではない。そのため、従来の閉そく装置に特許文献1のシステムを適用することは困難であった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的とするところは、無線通信を利用した新たな閉そく確保の方式を提案することである。また、第1の目的を達成する新たな閉そく確保の方式において、駅間での複数列車の在線を許容し得る仕組みを実現することを第2の目的とする。
上記課題を解決するための第1の形態は、
無線通信装置を制御して各列車の車上装置と無線通信を行って閉そくを確保する無線式閉そく装置であって、
停車場間に仮想駅を設定する仮想駅設定手段と、
任意地点で線路の区切りを設定することで列車の進入の可否を制御する区間でなるブロックを設定するとともに、隣接停車場間に仮想駅が設定されている場合には当該仮想駅で分割したブロックを設定するブロック設定手段と、
前記無線通信装置を介して、各列車の車上装置から、当該列車の車上装置が記憶している列車ID及び当該列車の車上装置が計測している位置情報を含む列車情報を取得する列車情報取得手段と、
前記列車情報取得手段により取得された列車情報に含まれる列車IDを用いて前記ブロック毎の鎖錠/解錠を制御し、列車の停車場間の走行の進路確保については前記仮想駅を停車場とみなして当該仮想駅を含む停車場間のブロックを鎖錠する制御を行うブロック鎖錠制御手段と、
前記ブロック鎖錠制御手段により制御されている各ブロックの鎖錠状態を用いて、各列車の照査速度パターンの基礎情報を生成する基礎情報生成手段と、
前記無線通信装置を介して、各列車の車上装置に前記基礎情報を送信する基礎情報送信制御手段と、
を備えた無線式閉そく装置である。
この第1の形態によれば、各列車の車上装置と無線通信を行うことによる閉そく確保の新たな方式が実現される。すなわち、第1に、任意地点で線路の区切りを設定することで列車の進入の可否を制御する区間でなるブロックを任意に設定することが可能となる。例えば、軌道の保守計画に基づいて任意にブロックを設定することができる。また、停車場間に仮想駅が設定されている場合には、この仮想駅で分割したブロックが設定される。第2に、無線通信装置を介して車上装置から取得された列車情報に含まれる列車IDを用いて、ブロック毎の鎖錠/解錠が制御される。このとき、停車場間の走行の進路確保については、仮想駅も1つの停車場とみなされて停車場間のブロックが鎖錠される。閉そく制御の基本となるブロック毎の鎖錠/解錠に列車IDが用いられるため、簡単且つ確実に鎖錠/解錠が制御できる。第3に、各ブロックの鎖錠状態を用いて、各列車の照査速度パターンの基礎情報が生成され、無線通信装置を介して各列車の車上装置に送信される。基礎情報として、停止目標となるブロックや、各ブロックの制限速度や勾配といった速度照査パターンの作成に必要な情報を含めて送信することで、従来のATS−P制御で必要であったATS地上子を不要とすることができる。また、基礎情報が無線通信によって車上装置に送信されることで、鎖錠状態の変化に追随した速やかな速度制御が可能となる。また、仮想駅も1つの停車場とみなされるため、実際の停車場間に複数の列車の在線(走行)を許容することができる。
また、第2の形態として、第1の形態の無線式閉そく装置であって、
前記線路の停車場間の一部範囲は、前記無線通信装置の通信圏外であり、
前記ブロック鎖錠制御手段は、一の列車IDに係る列車情報を前記列車情報取得手段が取得不可能となった場合、当該一の列車IDに係る列車情報が新たに取得されるまで、当該一の列車IDを用いて鎖錠されているブロックの鎖錠状態を維持する、
無線式閉そく装置を構成しても良い。
この第2の形態によれば、線路の停車場間の一部範囲は無線通信装置の通信圏外であるが、一の列車IDに係る列車情報が取得不可能となった場合、当該一の列車IDに係る列車情報が取得されるまで、当該一の列車IDを用いて鎖錠されているブロックの鎖錠状態が維持される。つまり、ある列車の車上装置が無線通信装置の通信圏外となって列車情報が取得されなくとも、この列車による鎖錠状態が維持される。すなわち、閉そくの確保が維持される。
また、第3の形態として、第2の形態の無線式閉そく装置であって、
前記仮想駅の設定位置が前記無線通信装置の通信圏外の場合には、通過する列車の前記車上装置と通信が可能な地上装置が当該仮想駅に係るブロックの境界位置に設置されてなり、
前記地上装置と通信を行う手段を更に備えた、
無線式閉そく装置を構成しても良い。
この第3の形態によれば、仮想駅が無線通信装置の通信圏外の場合には、車上装置と通信可能な地上装置がこの仮想駅に係るブロックの境界位置に設置されるので、仮想駅に係るブロック1つ1つの鎖錠/解錠を制御できる。
また、第4の形態として、第1〜第3の何れかの形態の無線式閉そく装置であって、
前記車上装置は前記列車ID及び前記位置情報を揮発性メモリに記憶しており、
前記線路の各駅構内の所定位置には、前記車上装置と無線通信して確定位置を通知する位置通知用地上子が設置されており、
車上装置は、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得することで前記位置情報の計測を開始可能に構成されており、
前記無線通信装置を介して、前記車上装置に当該列車の列車IDを通知して記憶させる列車ID設定記憶制御手段を更に備えた、
無線式閉そく装置を構成しても良い。
この第4の形態によれば、列車ID及び位置情報は車上装置の揮発性メモリに記憶されているため、車上装置の電源が遮断されると、記憶されている列車ID及び位置情報は消去されてしまう。しかし、車上装置は、線路の各駅構内の所定位置に設置された位置通知用地上子から確定位置を取得することで、位置情報の計測を開始可能であり、無線式閉そく装置によって、無線通信装置を介して、車上装置に当該列車の列車IDを通知して記憶される。これにより、車上装置の電源遮断によって消去された列車ID及び位置情報を、再度、揮発性メモリに記憶させることが可能となる。
また、第5の形態として、第4の形態の無線式閉そく装置であって、
前記車上装置は、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得した後に当該列車の列車IDを要求するID要求信号を送信するように構成されており、
前記列車ID設定記憶制御手段は、前記ID要求信号に応答して当該列車の列車IDを通知する、
無線式閉そく装置を構成しても良い。
この第5の形態によれば、位置通知用地上子から確定位置を取得して初めて送信が可能となるように構成された車上装置からID要求信号を受信した場合に、無線式閉そく装置は、当該列車の列車IDを通知する。これにより、電源投入後は、車上装置は確定位置を取得しなければID要求信号を送信できないため、多くの列車の車上装置と無線式閉そく装置間の通信量の増加を抑制するといったことが可能となる。
また、第6の形態として、第5の形態の無線閉そく装置であって、
前記車上装置は、少なくとも滞泊による電源断によって前記揮発性メモリの記憶データが消去された後に電源投入された場合に、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得した後に前記ID要求信号を送信するように構成されており、
前記列車ID設定記憶制御手段は、前記無線通信装置が通信中の列車数が所定の通信上限数を超える場合には当該列車の列車IDを通知せず、当該通信上限数以下の場合に当該列車の列車IDを通知する、
無線閉そく装置を構成しても良い。
この第6の形態によれば、車上装置からID要求信号を受信した場合に、無線式閉そく装置は、通信中の列車数が所定の通信上限数を超える場合には列車IDを通知せず、通信上限数以下の場合に当該列車の列車IDを通知する。これにより、例えば、始発列車前等の通信の増加が見込まれる場合に、無線式閉そく装置の通信能力を超える通信が行われないようにすることが可能となる。
列車制御システムの全体構成図。 走行ブロックの設定の説明図。 在線検知の説明図。 閉そく確保の説明図。 列車速度制御の説明図。 滞泊時の説明図、 車上装置の機能構成図。 列車状態情報のデータ構成例。 無線式閉そく装置の機能構成図。 走行ブロック設定テーブルのデータ構成例。 閉そく区間設定テーブルのデータ構成例。 列車位置管理データのデータ構成例。 進路鎖錠データのデータ構成例。 閉そく確保処理のフローチャート。 滞泊時処理のフローチャート。 駅間に仮想駅を設定した第2実施形態の説明図。 分散型の列車制御システムの構成例。
以下、図面を参照して、本発明を適用した2つの実施形態を説明する。但し、本発明の適用可能は実施形態がこれに限定されるものではない。
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態を説明する。
<構成>
図1は、第1実施形態の列車制御システム1の概略構成図である。この列車制御システム1は、いわゆる閑散線区を対象としたシステムであり、図1に示すように、各駅に設置された無線基地局10、及び、駅端末装置20と、中央司令所に設置された集中連動装置30、及び、無線式閉そく装置40と、列車50に搭載された車上装置60とを備えて構成される。
駅端末装置20は、集中連動装置30及び無線式閉そく装置40と、通信ケーブルを介して通信可能に接続されている。この駅端末装置20は、集中連動装置30からの制御信号に従って駅構内に設置された転てつ器や信号機などを制御したり、これらの機器の現在の制御状態を、集中連動装置30や無線式閉そく装置40に送信する。また、駅端末装置20は、当該駅に設置された無線基地局10の通信エリア内(通信圏内)12に位置する車上装置60と無線通信が可能であり、この車上装置60と、集中連動装置30や無線式閉そく装置40との間の通信を仲介する。無線基地局10の通信エリア12は、駅構内、及び、駅近傍を含むように構成されている。
集中連動装置30は、対象線区内の各駅に設置された各機器(信号機や転てつ器など)に相互関係を持たせて列車進路を鎖錠(進路構成)するための制御を行う。
無線式閉そく装置40は、無線基地局10を介した車上装置60との通信や、駅端末装置20や集中連動装置30と通信を行うことで、駅間の閉そくを確保する処理や、各列車の速度を制御する処理を行う。
車上装置60は、無線通信機能を有しており、無線基地局10の通信エリア内に位置している場合、該無線基地局10を介した無線通信が可能である。具体的には、自列車の識別情報である列車IDや現在の走行位置を含む情報(列車状態情報)を無線式閉そく装置40に送信したり、無線式閉そく装置40から受信した情報をもとに、速度照査パターンを作成して速度制御を行う。
<原理>
第1実施形態における列車制御の原理を説明する。
(1)走行ブロックの設定
第1実施形態では、線区全体に対して、線路を任意の位置で分割した区間である「走行ブロック」が設定される。この走行ブロックは、軌道回路が設置されている区間については、この軌道回路の設置区間を単位として設定され、軌道回路が設置されていない区間については、この区間を1又は複数に分割した区間を単位として設定される。
図2は、第1実施形態における走行ブロックの設定例を示す図である。図2に示す例では、軌道回路が設置されているA駅構内については、軌道回路の設置区間それぞれを1つの走行ブロックBL1〜BL6として設定されている。また、軌道回路が設置されていないA駅〜B駅間については、この駅間を1つの走行ブロックBL7として設定されている。
(2)在線検知
第1実施形態において、列車の在線位置は、上述のように設定された走行ブロックを単位として管理される。図3は、列車の在線検知を説明する図である。車上装置60では、例えば車軸に取り付けられた速度発電機の回転数を計数することで、自列車の現在の走行位置(キロ程)を計測しており、この自列車の走行位置を、随時、自列車の識別情報となる「列車ID」とともに、無線通信にて送信している。そして、無線式閉そく装置40においては、受信された走行位置に対応する走行ブロックが判定され、この走行ブロックが、ともに受信された列車IDに対応する列車の在線位置(在線ブロック)として管理される。
このように、走行ブロックを単位として列車の在線位置を管理することで、無線通信エリア外についても在線位置を把握することができる。すなわち、図3では、A駅近傍における様子を示している。各駅に設置された無線基地局10による無線通信エリア12は、駅構内のみではなく、その駅近傍をも含むように構築されている。つまり、A駅の無線通信エリア12は、A駅構内の走行ブロックBL1〜BL6に加え、A駅〜B駅間に相当する走行ブロックBL7の一部も含んでいる。
この場合、A駅からB駅に向かう列車50について考えると、A駅の出発直後は、A駅の無線通信エリア12A内に位置している。このため、無線式閉そく装置40との無線通信によって、この列車50の在線ブロックは、進行に伴って走行ブロックBL4,BL5,BL6,BL7と変化する。列車50が更に進行してA駅の無線通信エリア12Aを出ると、無線式閉そく装置40との無線通信ができなくなるため、直前の在線位置である走行ブロックBL7が、現在の在線ブロックとして保持される。そして、B駅に接近してB駅の無線通信エリア12B内に進入すると、無線式閉そく装置40との無線通信が再開され、列車50の在線ブロックが走行ブロックBL7であると特定される。
(3)閉そく確保
上述の在線検知を利用した閉そく確保について説明する。図4は、駅間の閉そく確保を説明する図である。図4では、A駅に停車中の列車50がB駅に向けて走行する場合を示している。なお、ここでは、走行ブロックそれぞれを1つの閉そく区間として説明する。
先ず、対象列車のA駅の出発時刻が近づくと、集中連動装置30によって、A駅からB駅までの経路が判断され、無線式閉そく装置40へ、この判断された経路の閉そく確保要求がなされる。すると、無線式閉そく装置40によって、対象の列車50の在線位置(在線ブロック)が確認され、A駅からB駅に至る全ての閉そく区間(すなわち、走行ブロックBL4,BL5,BL6,BL7,BL8,BL9,BL10)それぞれについて、他の列車によって鎖錠されているか否かが判断される。全ての閉そく区間が鎖錠されていないならば、閉そくが確保されたと判断され、これらの閉そく区間が、この列車50によって鎖錠される(進路構成)。このとき、鎖錠した閉そく区間と列車50の列車IDとを対応付けて記憶しておく。
その後、出発時刻となると、対象列車50はA駅を発車する。A駅の無線通信エリア12A内では、無線基地局10を介した無線式閉そく装置40との無線通信によって、列車50の在線位置が管理される。つまり、列車50の在線位置(在線ブロック)は、進行に伴って走行ブロックBL4,BL5,BL6,BL7と順に変化する。走行中は、列車50に限らず、全ての列車と同様の処理が実行される。すなわち、新たな閉そく区間(走行ブロック)に列車が進入する毎に、当該列車の列車IDと、進入した閉そく区間を鎖錠している列車IDとの一致が判断され、一致しない場合には、当該列車に対して停止指令が送信される。また、新たな閉そく区間(走行ブロック)への進入が検出された場合、進出した直前の閉そく区間を鎖錠している列車IDとの一致が判断され、一致するならば、その進出した閉そく区間の鎖錠が解錠される。
列車50が進行してA駅の無線通信エリア12A外に進出すると、無線基地局10を介した無線式閉そく装置40との無線通信ができなくなるが、列車50の在線位置は、直前まで無線通信していた在線ブロックである走行ブロックBL7が維持される。
列車50がB駅に接近してB駅の無線通信エリア12B内に進入すると、B駅に設置された無線基地局10を介した無線式閉そく装置40との無線通信が可能となり、在線位置が走行ブロックBL7であると判断される。このとき、新たに受信された列車IDと、この列車50の在線位置(走行ブロックBL7)を鎖錠している列車IDとの一致が判断され、一致していない場合には、停止指令が送信されるのは、他の列車も同様である。
そして、列車50はB駅に到着(停止)するまで走行し、この列車50の進行に伴って、列車50の在線位置は、走行ブロックBL7,BL8,BL9,BL10の順に変化する。このときも同様に、列車50が新たな閉そく区間に進入する毎に、この新たな閉そく区間を鎖錠している列車IDとの一致を判断するとともに、進出した直前の閉そく区間を鎖錠している列車IDとの一致を判断して鎖錠を解錠する処理を行う。
(4)速度制御
図5は、列車の速度制御を説明する図である。第1実施形態では、上述の走行ブロックを利用した速度制御を行う。すなわち、無線式閉そく装置40では、例えば他の列車による閉そく区間の鎖錠/解錠の状態をもとに、対象の列車が停止すべき走行ブロック(停止ブロック)が決定され、在線ブロックからこの停止ブロックまでの各走行ブロックに関する「走行可能ブロック情報(基礎情報)」が生成される。ここで、走行ブロックに関する情報としては、開始位置及び終了位置(ともにキロ程で表現される)や、曲率や勾配といった線路条件、制限速度等を含んでいる。
そして、この走行可能ブロック情報が、無線基地局10を介した無線通信によって、対象の列車の車上装置60に送信される。車上装置60では、受信した走行可能ブロック情報をもとに、停止ブロック内で停止するための照査速度パターンが作成され、この照査速度パターンに従った速度制御が行われる。なおこのとき、各走行ブロックに定められた制限速度や線路条件等を考慮して、照査速度パターンが作成される。
図5では、A駅に停車している列車50がB駅まで走行する場合を示している。なお、A駅〜B駅間の閉そくが確保されている。この場合、列車50の在線位置は走行ブロックBL4であり、停止ブロックは走行ブロックBL10である。
従って、無線式閉そく装置40では、停止ブロックが走行ブロックBL10であることを示すとともに、走行ブロックBL4〜BL10それぞれについての情報を含む走行可能ブロック情報が生成され、この走行可能ブロック情報が車上装置60へ送信される。そして、車上装置60では、受信された走行可能ブロック情報を用いて、在線位置である走行ブロックBL4から、走行ブロックBL5〜BL9を順に通過して、停止ブロックである走行ブロックBL10内に停止するような照査速度パターンが作成される。
(5)滞泊
図6は、滞泊時の処理を説明する図である。列車50は、一日の運行を終えると、次の日の始発まで、駅や車両基地に停泊する滞泊がなされる。滞泊の際には、車上装置60の電源が遮断(オフ)されるが、列車IDや、現在の走行位置を含む列車状態情報などの走行中に更新される情報は、車上装置60の揮発性のメモリに記憶されているために消去されてしまう。
そこで、第1実施形態では、車上装置60の電源遮断の前に、記憶されている列車IDや列車状態情報が、列車に搭載されている無線機IDとともに、無線式閉そく装置40に送信される。無線式閉そく装置40では、受信した列車ID及び列車状態情報を、ともに受信した無線機IDと対応付けて記憶しておく。
そして、車上装置60は、電源が投入されると、駅構内に設置された地上子(位置通知用地上子)70との通信を行うことで現在位置を確定した後、無線式閉そく装置40に対して該当する情報の要求(ID要求信号)を送信する。すると、無線式閉そく装置40は、現在、無線通信を行っている列車50(車上装置60)の台数を判断し、この台数が、
自装置の通信性能によって定まる通信上限数に達しているか否かを判断する。通信上限数に達していないならば、更に、ID要求信号を送信してきた車上装置60(列車50)の現在位置が確定されていることを確認した後、この車上装置60からの要求に応じて、ともに受信された無線機IDに対応する列車ID及び列車状態情報を、該車上装置60に送信する。車上装置60では、受信した列車ID及び列車状態情報を、再度記憶する。
なお、この無線式閉そく装置40による、車上装置60が自列車の現在位置を確定していることの確認は、滞泊列車に対してのみならず、例えば、側線に留置されていた列車等、車上装置60の電源が遮断された後に電源が投入された列車に対しても、同様になされる。また、駅間を走行して進入してきた列車については、車上装置60は随時走行位置を取得しているため、直ちに無線式閉そく装置40との無線通信が可能となる。
また、車上装置60において現在位置が未確定の場合に、車上装置60がID要求信号を送信しない構成としても良い。この場合には、無線式閉そく装置40による車上装置60(列車50)の現在位置が確定されているかの確認を省略することができる。
<機能構成>
(1)車上装置60
図7は、車上装置60の機能構成を示すブロック図である。図7によれば、車上装置60は、機能的には、車上制御部610と、車上記憶部620とを備えて構成される。
車上制御部610は、例えばCPU等の演算装置で実現され、車上記憶部620に記憶されたプログラムやデータ、移動無線装置54を介した受信データ等に基づいて、車上装置60の全体制御を行う。第1実施形態では、車上制御部610は、通信制御部611と、位置・速度算出部612と、照査速度パターン作成部613と、速度照査部614と、滞泊制御部615とを有する。
通信制御部611は、無線基地局10等の外部装置との移動無線装置54を介した無線通信を制御する。
位置・速度算出部612は、車軸に取り付けられた速度発電機51の回転数の計測値をもとに、自列車の現在の走行位置(キロ程で表わされる走行距離)、及び、走行速度を算出する。更に、地上子(不図示)の近傍の通過時に、受電器52を介した該地上子との無線通信によって取得した地上子IDから通過した地上子を識別し、走行位置を補正する。
照査速度パターン作成部613は、無線式閉そく装置40から受信した走行可能ブロック情報をもとに、照査速度パターンを作成・更新する。具体的には、自列車の現在の走行位置から停止ブロックまでの各走行ブロックに定められた制限速度や線路条件をもとに、停止ブロック内に停止するための照査速度パターンを作成する。ここで、受信した走行可能ブロック情報は、走行可能ブロック情報623として記憶され、作成された照査速度パターンは、照査速度パターンデータ624として記憶される。
速度照査部614は、照査速度パターン作成部613によって作成された照査速度パターンに従った速度照査を行う。すなわち、照査速度パターンで定められる現在の走行位置の照査速度と、現在の走行速度とを比較し、走行速度が照査速度を超える場合には、ブレーキ機構53を作動させて減速させる。
滞泊制御部615は、自列車の滞泊時等の車上装置60の電源遮断/投入時の情報設定にかかる処理を行う。具体的には、電源遮断指示が入力されると、車上記憶部620に記憶されている列車ID621及び列車状態情報622の保存要求を、移動無線装置54の機器ID(無線機ID)とともに、無線式閉そく装置40に送信する。その後、車上装置60の電源を遮断する。
また、滞泊後に車上装置60の電源が投入されると、先ず、駅構内に設置された地上子70との通信を行い、受信した設置位置を現在位置として確定する。現在位置を確定することで、走行位置の計測が可能となる。その後、車上装置60は、無線式閉そく装置40に対して、移動無線装置54の機器ID(無線機ID)とともに、対応する情報の要求通知(ID要求信号)を送信し、この要求に応答して、無線式閉そく装置40から送信されてきた列車ID、及び、列車状態情報を受信し、車上記憶部620に記憶させる。各列車は終電後に電源が遮断されて滞泊し、翌日の始発前に電源が再投入される。このため、始発前は、無線式閉そく装置40に対する通知要求が混み合うおそれがある。そこで第1実施形態では、現在位置を確定できていない列車(車上装置60)は、無線式閉そく装置40に通知要求をできないこととしている。
図8は、列車状態情報622のデータ構成の一例を示す図である。図8によれば、列車状態情報622は、在線ブロックID622aと、走行位置622bと、停止検知622cと、運転方向622dとを格納している。
車上記憶部620は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置で実現され、車上制御部610が車上装置60を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、車上制御部610の作業領域として用いられ、車上制御部610が実行した演算結果や、移動無線装置54による受信データ等が一時的に格納される。第1実施形態では、車上記憶部620には、列車ID621と、列車状態情報622と、走行可能ブロック情報623と、照査速度パターンデータ624とが記憶される。
(2)無線式閉そく装置40
図9は、無線式閉そく装置40の機能構成を示すブロック図である、図9によれば、無線式閉そく装置40は、機能的には、地上制御部410と、地上記憶部420とを備えて構成される。
地上制御部410は、例えばCPU等の演算装置で実現され、地上記憶部420に記憶されたプログラムやデータ、集中連動装置30や駅端末装置20等の外部装置からの受信データ等に基づいて、無線式閉そく装置40の全体制御を行う。また、地上制御部410は、走行ブロック設定部411と、列車位置管理部412と、閉そく管理部413と、滞泊管理部414と、通信制御部415とを有している。
走行ブロック設定部411は、例えば翌日のダイヤである計画ダイヤの作成段階といった任意のタイミングで、線路に対して走行ブロックを設定する。これにより軌道の保守計画等を考慮して、走行ブロックを設定することが可能となる。走行ブロックの設定に関するデータは、走行ブロック設定テーブル423として記憶される。
図10は、走行ブロック設定テーブル423のデータ構成の一例を示す図である。図10によれば、走行ブロック設定テーブル423は、設定されている走行ブロックそれぞれについて、識別番号であるブロックID423aと、開始位置423bと、終了位置423cと、上り方向の隣接する走行ブロックのブロックID423dと、下り方向の隣接する走行ブロックのブロックID423eと、制限速度423fとを対応付けて格納している。開始位置423b及び終了位置423cは、キロ程で表現されている。制限速度423fは、該当する走行ブロックの曲率や勾配といった線路条件のほか、保守工事といった一時的な状況に応じて定められる。
また、走行ブロック設定部411は、設定した走行ブロックを単位とした閉そく区間の設定を行う。閉そく区間の設定に関するデータは、閉そく区間設定テーブル424として記憶される。
図11は、閉そく区間設定テーブル424のデータ構成の一例を示す図である。図11によれば、閉そく区間設定テーブル424は、設定した閉そく区間それぞれについて、識別番号である閉そく区間ID424aと、当該閉そく区間を構成する走行ブロックのブロックID424bとを対応付けて格納している。
列車位置管理部412は、無線基地局10を介して車上装置60から受信した列車ID及び列車状態情報をもとに、該車上装置60が搭載された列車の在線位置を管理する。具体的には、車上装置60から受信された列車状態情報に含まれる走行位置に該当する走行ブロックを、走行ブロック設定テーブル423を参照して判断し、ともに受信された列車IDに対応する列車の在線ブロックとする。
図12は、列車位置管理データ425のデータ構成の一例を示す図である。図12によれば、列車位置管理データ425は、列車それぞれについて、列車ID425aと、在線ブロックID425bと、走行位置425cとを対応付けて格納している。
閉そく管理部413は、集中連動装置30からの閉そく確保要求に応じて、要求された列車について、要求された区間の閉そくを確保する処理を行う。すなわち、進路鎖錠データ426を参照して、要求された各閉そく区間の鎖錠の有無を判断し、全ての区間が鎖錠されていないならば、要求された列車IDで要求された各閉そく区間を鎖錠して、進路鎖錠データ426を更新する。そして、閉そくが確保されたとして、集中連動装置30に通知する。
また、列車が新たな閉そく区間に進入すると、進路鎖錠データ426を参照して、該列車の列車IDが、進入した閉そく区間の鎖錠列車IDと一致するかを判断する。一致しない場合には、当該列車の車上装置60に対して停止指示を送信する。また、進路鎖錠データ426を参照して、該列車の列車IDが、進出した閉そく区間の鎖錠列車IDと一致するかを判断し、一致するならば、進出した閉そく区間の鎖錠を解錠して進路鎖錠データ426を更新する。
進路鎖錠データ426は、対象の線区の進路鎖錠についてのデータである。図13は、進路鎖錠データ426のデータ構成の一例を示す図である。図13によれば、進路鎖錠データ426は、対象線区を構成する閉そく区間426aそれぞれについて、鎖錠列車ID426bを対応付けて格納している。鎖錠列車ID426bが記憶されている閉そく区間は鎖錠されており、記憶されていない閉そく区間は鎖錠されていないことを示す。
滞泊管理部414は、各列車における滞泊時の情報設定にかかる処理を行う。具体的には、車上装置60から、列車ID及び列車状態情報の保存要求を受信したならば、受信された列車ID及び列車状態情報を、ともに受信した無線機IDと対応付けて、滞泊保存データ427として蓄積記憶する。また、車上装置60から、列車ID及び列車状態情報の要求通知(ID要求信号)を受信したならば、現在、通信している列車50(車上装置60)の台数を判断し、この台数が、自装置の通信性能によって定まる通信上限数に達しているか否かを判断する。通信上限数に達していないならば、更に、ID要求信号を送信してきた車上装置60(列車50)の現在位置が確定されていることを確認した後、蓄積記憶している滞泊保存データ427のうちから、ともに受信した無線機IDに対応付けられているデータを選択し、該無線機IDに対応付けて記憶している列車ID及び列車状態情報を、該車上装置60に送信する。
通信制御部415は、無線通信モジュールやルータ、モデム、有線ケーブルのジャック等の通信装置によって実現され、外部装置(主に、集中連動装置30及び駅端末装置20)との間の通信を実現する。
地上記憶部420は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置で実現され、地上制御部410が無線式閉そく装置40を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、地上制御部410の作業領域として用いられ、地上制御部410が実行した演算結果や、外部装置(集中連動装置30や車上装置60等)からの受信データ等が一時的に格納される。第1実施形態では、地上記憶部420には、プログラムとして、閉そく管理部413による閉そく確保処理(図14参照)を実現するための閉そく管理プログラム421と、滞泊管理部414による滞泊時処理(図15参照)を実現するための滞泊管理プログラム422とが記憶されるとともに、データとして、走行ブロック設定テーブル423と、閉そく区間設定テーブル424と、列車位置管理データ425と、進路鎖錠データ426と、滞泊保存データ427とを記憶している。
<処理の流れ>
(A)閉そく確保
図14は、閉そく確保処理の流れを説明するフローチャートである。図14によれば、閉そく管理部413は、集中連動装置30から、列車ID及び閉そく区間を含む閉そく確保要求を受信したならば(ステップA1:YES)、対象列車の在線位置を確認する(ステップA3)。また、進路鎖錠データ426を参照して、対象の各閉そく区間の鎖錠有無を確認する(ステップA5)。その結果、対象の閉そく区間の全てについて鎖錠がなされていないならば(ステップA7:YES)、これらの閉そく区間それぞれを、対象の列車IDで鎖錠する(ステップA9)。そして、「閉そくの確保」を集中連動装置30に通知する(ステップA11)。
また、閉そく管理部413は、列車の新たな閉そく区間への列車の進入を検知したならば(ステップA13:YES)、該列車の列車IDと、その新たな閉そく区間の鎖錠列車IDとが一致するか否かを判断する(ステップA15)。一致するならば(ステップA17:YES)、続いて、該列車の列車IDと、直前の閉そく区間(すなわち進出した閉そく区間)の鎖錠列車IDとが一致するか否かを判断し(ステップA19)、一致するならば(ステップA21:YES)、直前の区間に対応付けて記憶されている列車IDを消去して鎖錠を解錠する(ステップA23)。一方、該列車の列車IDと、新たに進入した閉そく区間の鎖錠列車IDとが一致しないならば(ステップA17:NO)、当該列車の車上装置60に対して、「緊急停止指示」を送信する(ステップA25)。その後、ステップA1に戻り、同様の処理を繰り返す。
なお、ステップA25において、新たな閉そく区間への進入を検知した列車に対してのみ緊急停止指示を送信することとしたが、全ての列車に対して停止指示を送信することとしてもよい。進路鎖錠データに不具合が生じている可能性があるため、安全確保上、停止させるのである。
(B)滞泊時処理
図15は、滞泊時処理の流れを説明するためのフローチャートである。図15では、左側に車上装置60における処理を示し、右側に無線式閉そく装置40における処理を示している。
車上装置60において、電源遮断指示が入力されると(ステップB1:YES)、滞泊制御部615が、記憶している列車ID621及び列車状態情報622の保存要求を、移動無線装置54の無線機IDとともに、無線式閉そく装置40へ送信する(ステップB3)。その後、電源を遮断する(ステップB5)。すると、無線式閉そく装置40では、滞泊管理部414が、車上装置60から受信した列車ID及び列車状態情報を、ともに受信した無線機IDと対応付けて、滞泊保存データ427として蓄積記憶する(ステップC1)。
その後、車上装置60において、電源投入指示が入力されて電源が投入されると(ステップB7)、滞泊制御部615は、該駅に設置された地上子70を通過したならば(ステップB9:YES)、この地上子70との通信によって現在位置を確定する(ステップB11)。次いで、無線基地局10の無線通信エリア12内であって無線式閉そく装置40と通信可能か否かを判断し、通信可能ならば(ステップB13:YES)、無線式閉そく装置40に対して、移動無線装置54の無線機IDとともに、列車ID及び列車状態情報の要求通知(ID要求信号)を送信する(ステップB15)。
すると、無線式閉そく装置40では、滞泊管理部414が、現在、通信を行っている列車50(車上装置60)の台数を判断し、この台数が所定の通信上限数に達していないならば(ステップC2:YES)、車上装置60から受信した無線機IDに対応する列車ID及び列車状態情報を、当該車上装置60に送信する(ステップC3)。そして、車上装置60では、滞泊制御部615が、無線式閉そく装置40から受信した列車ID及び列車状態情報を、車上記憶部620に記憶する(ステップB17)。滞泊時処理は、このように行われる。
<作用・効果>
このように、本実施形態の列車制御システム1によれば、線路を任意の地点で区切った走行ブロックが設定され、無線式閉そく装置40は、車上装置60から受信した現在位置に対応する走行ブロックを、在線位置(在線ブロック)として管理する。これにより、無線通信エリア12外である駅間や、何らかの通信支障によって一時的に通信ができなくなった場合にも、列車の在線位置(在線ブロック)を連続的に管理することができる。そして、この列車の在線検知の結果をもとに、走行ブロックを単位として設定した閉そく区間の鎖錠/解錠が制御される。
[第2実施形態]
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に加えて、駅間に「仮想駅」を設定した場合の実施形態である。
第2実施形態では、図16に示すように、駅間の任意の位置に仮想駅を設定し、この仮想駅の設定位置を基準として該駅間を分割して複数の走行ブロックを設定する。この場合、駅間が無線通信エリア12外であれば、設定する走行ブロックの境界位置に、車上装置と通信を行って列車の通過を検知する地上子72を設置し、無線式閉そく装置40では、この地上子72(地上装置)によって列車の在線位置を検知する。
第2実施形態に係る無線式閉そく装置40の構成は、図9の走行ブロック設定部411が、この仮想駅を考慮した走行ブロックの設定を行うこととなる。また、仮想駅に係る走行ブロックの境界位置に設置した地上子72それぞれと通信を行う通信装置を無線式閉そく装置40が備える構成となる。
図16では、A駅〜B駅間に仮想駅を設定し、A駅〜B駅間に相当する走行ブロックBL7を三分割した3つの走行ブロックBL7−1〜BL7−3が設定されている。そして、走行ブロックBL7−1〜BL7−3それぞれの境界位置に、合計2つの地上子72が設置されている。これにより、仮想駅を任意に設定することで、実際の駅間を複数の閉そく区間として扱うことが可能となり、駅間での複数の列車の在線(走行)が可能となる。なお、地上子72をいわゆる無電源地上子としても良い。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)分散型
例えば、上述の実施形態では、無線式閉そく装置40を中央司令所に設置し線区全体を制御対象とする集中型の列車制御システムとしたが、各駅に設置する分散型の列車制御システムとしても良い。図17は、分散型の列車制御システムの一例を示す図である。図17に示すように、分散型の列車制御システムでは、各駅に、無線基地局10と、駅連動装置22と、閉そく装置42とが設置される。なお、閉そく装置42と駅連動装置22とは、一体の装置として構成されていても良い。
閉そく装置42は、上述の実施形態における無線式閉そく装置40に相当し、隣接する駅に設置された閉そく装置42同士が、通信ケーブル等によって通信接続されている。この閉そく装置42は、該駅に設置された無線基地局10の無線通信エリア12内の列車50に搭載された車上装置60との無線通信を行うことで、該無線通信エリア12内の走行ブロックに位置する列車の在線検知を行う。また、在線検知の結果をもとに、隣接駅の閉そく装置42の通信を行うことで、駅間の閉そく確保を行う。
また、この分散型の列車制御システムにおいて、上述の「仮想駅」を設定する場合、地上子72は、例えば最も近い駅に設置された閉そく装置42と通信可能に接続される。
(B)停車場
上述した実施形態の「駅」を、信号場や操車場等の他の停車場に拡張して、本発明を適用することとしてもよい。
1 列車制御システム
10 無線基地局、12 無線通信エリア
20 駅端末装置
30 集中連動装置
40 無線式閉そく装置
410 地上制御装部
411 走行ブロック設定部、412 列車位置管理部
413 閉そく管理部、414 滞泊管理部、415 通信制御部
420 地上記憶装置
421 閉そく管理プログラム、422 滞泊管理プログラム
423 走行ブロック設定テーブル、424 閉そく区間設定テーブル
425 列車位置管理データ、426 進路鎖錠データ
50 列車
51 速度発電機、52 受電器
53 ブレーキ機構、54 移動無線装置
60 車上装置
610 車上制御部
611 通信制御部、612 位置・速度算出部
613 照査速度パターン作成部、614 速度照査部、615 滞泊制御部
620 車上記憶部
621 列車ID、622 列車状態情報
623 走行可能ブロック情報、624 照査速度パターンデータ

Claims (6)

  1. 無線通信装置を制御して各列車の車上装置と無線通信を行って閉そくを確保する無線式閉そく装置であって、
    停車場間に仮想駅を設定する仮想駅設定手段と、
    任意地点で線路の区切りを設定することで列車の進入の可否を制御する区間でなるブロックを設定するとともに、隣接停車場間に仮想駅が設定されている場合には当該仮想駅で分割したブロックを設定するブロック設定手段と、
    前記無線通信装置を介して、各列車の車上装置から、当該列車の車上装置が記憶している列車ID及び当該列車の車上装置が計測している位置情報を含む列車情報を取得する列車情報取得手段と、
    前記列車情報取得手段により取得された列車情報に含まれる列車IDを用いて前記ブロック毎の鎖錠/解錠を制御し、列車の停車場間の走行の進路確保については前記仮想駅を停車場とみなして当該仮想駅を含む停車場間のブロックを鎖錠する制御を行うブロック鎖錠制御手段と、
    前記ブロック鎖錠制御手段により制御されている各ブロックの鎖錠状態を用いて、各列車の照査速度パターンの基礎情報を生成する基礎情報生成手段と、
    前記無線通信装置を介して、各列車の車上装置に前記基礎情報を送信する基礎情報送信制御手段と、
    を備えた無線式閉そく装置。
  2. 前記線路の停車場間の一部範囲は、前記無線通信装置の通信圏外であり、
    前記ブロック鎖錠制御手段は、一の列車IDに係る列車情報を前記列車情報取得手段が取得不可能となった場合、当該一の列車IDに係る列車情報が新たに取得されるまで、当該一の列車IDを用いて鎖錠されているブロックの鎖錠状態を維持する、
    請求項1に記載の無線式閉そく装置。
  3. 前記仮想駅の設定位置が前記無線通信装置の通信圏外の場合には、通過する列車の前記車上装置と通信が可能な地上装置が当該仮想駅に係るブロックの境界位置に設置されてなり、
    前記地上装置と通信を行う手段を更に備えた、
    請求項2に記載の無線式閉そく装置。
  4. 前記車上装置は前記列車ID及び前記位置情報を揮発性メモリに記憶しており、
    前記線路の各駅構内の所定位置には、前記車上装置と無線通信して確定位置を通知する位置通知用地上子が設置されており、
    前記車上装置は、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得することで前記位置情報の計測を開始可能に構成されており、
    前記無線通信装置を介して、前記列車IDを記憶していない前記車上装置に当該列車の列車IDを通知して記憶させる列車ID設定記憶制御手段を更に備えた、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の無線式閉そく装置。
  5. 前記車上装置は、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得した後に当該列車の列車IDを要求するID要求信号を送信するように構成されており、
    前記列車ID設定記憶制御手段は、前記ID要求信号に応答して当該列車の列車IDを通知する、
    請求項4に記載の無線式閉そく装置。
  6. 前記車上装置は、少なくとも滞泊による電源断によって前記揮発性メモリの記憶データが消去された後に電源投入された場合に、前記位置通知用地上子から前記確定位置を取得した後に前記ID要求信号を送信するように構成されており、
    前記列車ID設定記憶制御手段は、前記無線通信装置が通信中の列車数が所定の通信上限数を超える場合には当該列車の列車IDを通知せず、当該通信上限数以下の場合に当該列車の列車IDを通知する、
    請求項5に記載の無線閉そく装置。
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