JP5989421B2 - 踏切情報無線伝送装置 - Google Patents

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Description

この発明は、踏切に係る速度照査パターンである踏切防護パターンの消去指示を送信する踏切情報無線伝送装置に関し、詳しくは、列車に搭載されて列車速度制限に速度照査パターンを用いる速度照査機能を備えた車上装置と、駅構内の連動装置と協動する又は連動装置を兼ねる駅制御装置とが、無線通信にて列車の位置情報と信号機の現示情報とを送受信する無線式列車制御システムに加わえられて、その無線通信を傍受して適宜なタイミングを計ることにより列車制御に役立つ踏切防護パターン消去指示を無線送信するようになった踏切情報無線伝送装置に関する。
列車速度制限に速度照査パターンを用いる典型システムとしてATS−P形システムが挙げられる(例えば非特許文献1参照)。このATS−P形システムは、軌道に固定設置されていて通信範囲が軌道幅以下の極狭範囲に限られるATS−P形地上子と、列車に搭載されて列車速度制限に速度照査パターンを用いる車上装置とからなる。ATS−P形地上子は、連動装置等の信号保安装置から信号機の現示情報を入力して対応電文を車上装置へ送信するようになっており、一つのパターン発生用地上子と幾つかのパターン消去用地上子とが組になっていて軌道に沿って配設されている。車上装置は、パターン発生用地上子から電文を受信して速度照査パターンを発生させ、それと列車速度との照査を行って速度超過時にはブレーキを作動させるが、パターン消去用地上子からパターン消去指示の電文を受信すると速度照査パターンを消去するようになっている。
そのようなシステムでは、軌道に沿って点々と軌道内の各所に設置される地上子等の現地設備が多数になるばかりか地上子等と連動装置等とを結ぶケーブル配線も多くなるところ、設置コストやメンテナンスコストの削減のため、コスト削減要請の強い地方交通線向けに、通信範囲が駅構内より広いが他の駅にまでは及ばない小電力通信等の汎用無線通信にて車上装置と地上装置とが交信して速度照査パターン利用の速度照査機能を発揮することによりATS−P形地上子やケーブル等を大幅に削減した列車制御システムも開発されている(例えば非特許文献2参照)。
この列車制御システムでは、駅構内の連動装置と協動する又は連動装置を兼ねる駅制御装置が信号現示等の情報を信号保安装置等から取得して信号機の現示情報や列車の進路情報(信号機位置基準の列車進入可能区間情報)を無線通信範囲内の車上装置へ送信し、車上装置が、搭載先列車の速度発電機や地上の位置補正用無電源地上子から列車位置を取得して列車の位置情報を無線通信範囲内の駅制御装置へ送信するとともに、信号機位置や踏切位置を含む線路データを保持していてそのうちの信号機位置と列車位置と受信情報に基づいて速度照査パターン(速度制限パターン)の発生や消去を行うようになっている。
また、この列車制御システムでは、踏切制御子やその配線等も削減するために、車上装置が線路データのうちの踏切位置と列車位置とに基づいて踏切手前でも速度照査パターンを発生し、踏切制御装置がこれも無線化されて受信した列車の位置情報等に基づいて踏切制御を行い、更に車上装置が踏切制御装置から遮断完了情報を受信したら速度照査パターンを消去するようになっている。さらに、踏切制御装置は、警報開始や遮断完了などの踏切動作情報に加えて踏切支障情報も送信するようになっている。
このように速度照査パターンが、信号現示対応で使用される場合すなわち停止現示の信号機の所を停止点位としてそこから手前で列車を停止させる列車制御に使用される場合と、踏切遮断対応で使用される場合すなわち踏切警報リレーや遮断桿下降センサ等に基づいて踏切道の遮断完了が確認されるまでは踏切道の手前で列車を停止させる列車制御に使用される場合とがあるので、本明細書では、以下、信号現示対応で使用される場合を明示するときは速度照査パターンを信号防護パターンと呼び、踏切遮断対応で使用される場合を明示するときは速度照査パターンを踏切防護パターンと呼ぶこととする。
そうすると、上記の地方交通線向け列車制御システムは(例えば非特許文献2参照)、信号機の設置された駅構内などでは信号防護パターンで列車制御を行い、踏切の設置された駅間では踏切防護パターンで列車制御を行うようになったものと言える。
また、衛星航法システム(GPS)を利用した測位と線路データとのマッピング等にて列車位置を検知し、それを三種類の速度照査パターンに照らして速度照査機能を発揮するようになった列車速度制御装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
さらに、無線交信の時間間隔が長い場合でも警報時間割れ等の不都合を回避できるようになった無線式踏切警報制御システムも開発されている(例えば特許文献2参照)。
また、或る踏切とその隣の踏切とが近くても無線通信の負荷が過大にならないよう両踏切を一台の踏切警報制御装置と一台の無線機で警報制御する無線式踏切警報システムが開発されており、それには無線送信を代行するものもある(例えば特許文献3参照)。
これらの無線式踏切警報システムでは(例えば特許文献2,特許文献3参照)、列車識別番号と列車位置と列車長といった列車情報が車上装置から踏切警報制御装置へ無線で送信されるとともに、踏切警報の開始や停止といった踏切情報が踏切警報制御装置から車上装置へ無線で送信されるようになっている。
また、駅に近い踏切制御装置が駅制御装置と車上装置との無線通信を傍受することにより、踏切制御装置が単独で駅における列車進路を把握することができるようになった無線式踏切警報システムも開発されている(例えば特許文献4参照)。
この無線式踏切警報システムでは、列車識別番号と列車位置と列車長といった列車情報が車上装置から踏切警報制御装置へ無線で送信されるとともに、踏切警報の開始や停止といった踏切情報が踏切警報制御装置から車上装置へ無線で送信されるのに加えて、列車の進路情報と信号機の現示情報とが(信号機位置基準の列車進入可能区間情報)、駅制御装置から車上装置へ送信されるようになっている。
その他、指定区間内の列車に規制情報を無線で通告するに際し、照合にて紐付けして複数の列車から通告送信対象列車を特定するシステムもある(例えば特許文献5参照)。
特開2008−247219号公報 特開2011−105117号公報 特開2011−195117号公報 特開2011−195120号公報 特開2009−126382号公報
鉄道電気技術者のための信号概論「ATS・ATC」p.55〜80、社団法人 日本鉄道電気技術協会 出版、平成13年7月28日改訂版発行 石川哲也,安西理,石瀬裕之,八木尊,佐々木敦著「地方交通線向け列車制御システムの開発」第47回サイバネ・シンポジウム論文集、論文番号403、2010年11月
このような従来の無線式列車制御システムでは、車上装置から「列車の位置,速度,運転方向,編成長」といった『列車情報』を無線伝送することを前提として、列車の進入可能な一の又は一連の区間を示すために「信号機の現示情報」や「列車の進路情報」を適宜組み合わせた情報からなる或いは信号機位置対応の「停止点位」に加工した情報などからなる『列車進入可能区間情報』を駅制御装置から無線伝送することにより、信号防護パターンを用いた速度照査機能が駅構内でも発揮できるようになるとともに、踏切制御装置から少なくとも「踏切防護パターン消去に係る踏切動作情報」を含む「踏切の警報状態,遮断状態,踏切防護パターン消去指示,踏切支障」といった情報を無線伝送することにより、踏切防護パターンを用いた速度照査機能が駅間で発揮できるようになっている。
現状、駅では、軌道回路(区間内列車検知機能)や短小軌道回路(踏切制御子)を用いて列車検知を行ったうえで、その列車検知結果や信号機の現示情報などに基づいて連動装置が信号機や転てつ機の制御などを行うとともに、駅の屋内の踏切制御論理リレー架か踏切近傍の屋外に設置された踏切制御装置が連動装置の出力条件(特に信号機の現示情報)や軌道回路の列車検知結果に基づいて踏切警報制御を行っている(図6,図12の踏切制御表を参照)。これらの連動装置や踏切制御装置は、信号伝達をケーブルで行っており、動作実績があって、安全性も実証ずみであるが、各駅毎に個々の論理で開発されたものなので、構内の踏切について、踏切防護パターンを用いた速度照査機能を実現するために、踏切制御装置の機能まで組み込もうとすると、装置の開発や,安全動作確認,設備のメンテナンス等に係る負担が過大になり、無線化等で得た地上設備の簡素化による利益が損なわれてしまうこととなる。
とはいえ、構内踏切についても、踏切防護パターンを用いた速度照査機能によって安全性を高めることに対する要請は強い。
そこで、中間踏切と同じように列車が保持している踏切位置を含めた線路データをもとに列車の位置,速度,運転方向から直近の踏切に対する踏切防護パターンを発生させることが考えられる。また、この踏切防護パターンを当該踏切に設置された踏切情報無線伝送装置から当該列車に踏切遮断完了の条件で伝送することが考えられる。
しかし、駅では複数の列車が行き来するうえ、構内踏切と線路との対応が単純ではなく、更には踏切防護パターンの発生と消去を列車の進行状態と踏切の警報状態に応じて適時に行わなければならないため、指定区間に在線している列車を識別番号の照合にて特定するといった一般的な遣り方をそのまま踏襲しただけでは(例えば特許文献5参照)、踏切防護パターン利用の速度照査を具体的に遂行する車上装置や列車を的確に特定することができないので、速度照査遂行対象の列車を的確に特定しうる手法を実現することが第1技術課題となる。
さらに、駅では、列車が運行によって停車したり停車せずに通過したりするが、列車がホームトラックに一旦停車するときには、踏切が出発信号機の内方に在る場合すなわちホームトラック及び出発信号機より列車進行方向(列車運転方向)で先の所に踏切が設けられている場合と、踏切が出発信号機の外方に在る場合すなわちホームトラックの列車停止目標位置とホームトラック先の出発信号機との間に踏切が設けられている場合とで、踏切制御装置による踏切警報制御が異なる。具体的には、出発信号機との距離が過走防護距離を越える内方の踏切の場合は、列車接近に応じて警報や遮断が開始し列車通過後に警報や遮断が停止するが、出発信号機の外方の踏切や,内方であっても出発信号機との距離が過走防護距離以内の踏切の場合は、停車中に警報を中断して踏切を開け列車出発前に警報や遮断を再開するので、そのときにも適切なタイミングで踏切防護パターンの消去情報を地上から車上に伝送できるようにすることが第2技術課題となる。
[第1解決手段]
このような課題を解決するために、適用対象となる地方交通線について、基本的な駅の線路配線等を改めて確認したところ(図1(a)参照)、対象駅と隣の駅との駅間では線路が単線になっており、対象駅の構内の両端には場内信号機が設置され、駅構内では線路が複数の構内分岐線に分かれて並走しており、それぞれの構内分岐線の中央部分がホームトラックとなっており、ホームトラックの一端か両端に出発信号機が設置されている。踏切が出発信号機の内方に設置されている場合すなわちホームトラックから見て出発信号機より先に踏切が位置している場合(図1(b)参照)と、踏切が出発信号機の外方に設置されている場合すなわちホームトラックから見て出発信号機の手前に踏切が位置している場合(図1(c),(d)参照)とに分類される。また、地方交通線では、駅中間に進入できる列車が一つまでに限定されているので、駅中間の後続列車を考慮する必要が無い。
そして、このような駅を通る列車について、踏切の通過前に予め踏切防護パターンを発生させていたとして、その踏切防護パターンを消去すべき条件は踏切遮断完了が検知されていることと、列車位置が踏切位置より手前になっていることに加えて、列車が場内信号機と踏切を経由してホームトラックへ進入する場合には列車進入可能区間が場内信号機を越えて出発信号機までかそれより先になっていることが満たされれば良く(図2(a)参照)、列車がホームトラックから出発信号機と内方の踏切を経由して駅間へ進出する場合(図3(a)参照)、及び列車がホームトラックから外方の踏切と出発信号機を経由して駅間へ進出する場合(図3(b)参照)には、列車進入可能区間が出発信号機より先になっていれば良いことが判明した。
本発明の踏切情報無線伝送装置は(解決手段1)、このような知見や考察に基づいて創案されたものであり、
駅の構内軌道の各区間に設けられた複数の軌道回路の列車検知結果に応じて駅構内の踏切に係る警報制御を行う別体の踏切制御装置から踏切警報状態を取得して前記踏切の遮断完了を示す検知情報を検知する検知手段と、前記検知情報に応じて駅構内の列車の車上装置のうち前記踏切に係る踏切防護パターンを消去可能な車上装置を特定する特定手段と、前記特定手段で特定した車上装置に対し踏切防護パターン消去指示を無線で送信する無線通信手段とを具備した踏切情報無線伝送装置であって、更に次のようになっていることを特徴とする。
すなわち、前記踏切情報無線伝送装置は、駅構内の信号機の現示情報を取得して信号防護パターンの消去が可能な列車進入可能区間情報を無線で送信する駅制御装置の通信範囲内に設けられていて、前記無線通信手段が前記駅制御装置から無線傍受にて列車進入可能区間情報を取得する。
また、前記踏切情報無線伝送装置は、列車位置と踏切位置とに基づいて駅構内の踏切に係る踏切防護パターンを発生し、無線で受信して得た列車進入可能区間情報に基づいて該パターンを消去する車上装置のうち、通信範囲内に入っている車上装置から前記無線通信手段が無線傍受にて列車の位置情報を取得する。
さらに、前記踏切情報無線伝送装置では、前記特定手段が、前記検知情報に加え、予め保持している踏切位置データと前記無線通信手段にて取得した列車の位置情報とに基づく位置関係に応じて、車上装置に踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する。
[第2解決手段]
さらに、上述した判別条件は、列車位置から始まる列車進入可能区間のうちでも扱い易い幾つかの位置情報や信号現示情報を用いることで、更に簡便な条件になることが判明した。すなわち、先ず、列車が場内信号機と踏切を経由してホームトラックへ進入する場合は(図2(a)参照)、それを言い換えると、ホームトラックから見て踏切が場内信号機側になる列車運転方向の車上装置について位置関係と信号現示関係に応じて踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する場合になるが、この場合には、踏切遮断完了が検知されていることと、列車位置が場内信号機より手前になっていることと、列車運転方向の場内信号機が進行現示になっていることが満たされれば良い(図2(b)参照)。
また、列車がホームトラックから出発信号機と内方の踏切を経由して駅間へ進出する場合と(図3(a)参照)、列車がホームトラックから出発信号機の外方の踏切とその出発信号機とを経由して駅間へ進出する場合は(図3(b)参照)、それらを言い換えると、何れの場合も、ホームトラックから見て踏切が出発信号機側になる列車運転方向の車上装置について位置関係と信号現示関係に応じて踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する場合になるが、この場合には、踏切遮断完了が検知されていることと、列車位置が場内信号機より先で踏切より手前になっていることと、列車運転方向の出発信号機が進行現示になっていることが満たされれば良い(図3(c)参照)。このような更なる知見や考察を加味したことにより、判別条件がより簡便なものとなっている。
本発明の踏切情報無線伝送装置は(解決手段2)、このような更なる知見や考察に基づいて創案されたものであり、上記解決手段1の踏切情報無線伝送装置であって、無線通信手段と特定手段が次のようになっていることを特徴とする。
すなわち、前記無線通信手段は、無線により車上装置から列車運転方向を取得する。
また、前記特定手段は、前記車上装置のうち列車運転方向に応じて前記踏切がホームトラックから見て場内信号機側に位置する場合であって、前記検知情報が検知されていることと、列車位置が場内信号機より手前であることと、その場内信号機が進行現示になっている(こと、という条件が満たされている)場合には、当該車上装置を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定し、
前記車上装置のうち列車運転方向に応じて前記踏切がホームトラックから見て出発信号機側に位置する場合であって、前記検知情報が検知されていることと、列車位置が前記踏切より手前であることと、出発信号機が進行現示になっている(こと、という条件が満たされている)場合には、当該車上装置を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定する。
このような本発明の踏切情報無線伝送装置を導入した無線式列車制御システムにあっては、駅構内では複雑なため改造負担の過大な軌道回路や踏切制御装置は既存のものをそのまま使用し続けるとともに、駅制御装置には既設の連動装置と協動する或いはその連動機能を取り込んだ公知の無線式装置を採用したうえで、各車上装置は、信号防護パターン利用の速度照査機能に加えて構内踏切に係る踏切防護パターン利用の速度照査機能を発揮するようになっているが、これは駅間の踏切に係る踏切防護パターン利用の速度照査機能を有する公知のものを改造することで、容易かつ簡便に実現することができる。
しかも、踏切情報無線伝送装置が新たに導入されているが、その必須任務は踏切防護パターン消去指示を無線送信することに特化させたうえで、任務遂行に必要な情報は踏切制御装置の踏切警報状態の入力や駅制御装置と車上装置との交信の無線傍受で得るようにしたことにより、簡素で安価なもので足り、容易に開発できるうえ、例え踏切防護パターンの消去に失敗したとしても列車を踏切前で停止させるフェールセーフなものなので、動作確認や安全性検証などの負担もかなり軽くなる。このように本発明の踏切情報無線伝送装置を導入することにより、構内踏切に係る踏切防護パターン利用の速度照査機能も発揮する無線式列車制御システムが簡便に実現される。
そして、本発明の踏切情報無線伝送装置にあっては(解決手段1)、通信範囲内の駅制御装置や車上装置から無線傍受にて車上装置毎の列車進入可能区間情報と列車位置情報を取得して、踏切遮断完了時に踏切防護パターン消去指示送信先の車上装置を特定する際に、無線傍受で得た情報と予め保持している踏切位置とに基づく位置関係と信号現示関係とに応じて、車上装置毎に、踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別するようになっているため、既存の踏切制御装置や公知の駅制御装置はもとより速度照査機能を拡張した車上装置についてその他の改造を施すまでもなく、踏切防護パターンを消去可能な車上装置が的確に特定される。しかも、各列車が駅構内のどの分岐線を通るのかといった細かな進路は連動装置や駅制御装置が把握すれば足り、踏切情報無線伝送装置は細かな進路を把握不要で簡素化される。
これにより、踏切防護パターン利用の速度照査を具体的に遂行する車上装置や列車を的確に特定することが簡便にできることとなり、上述した第1技術課題が解決される。
さらに、踏切遮断完了時に位置関係と信号現示関係に応じて車上装置毎に踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別するに際して、踏切が出発信号機の外方に設けられている場合であっても踏切が出発信号機の内方に設けられている場合であっても同じ条件で判別するようにもしたことにより、列車のプラットホーム停車に応じて警報が中断されるか否かという変動的な状態を把握するまでもなく一律に判別できるので、判別内容が簡素になって、検証や動作確認の負担が軽減されるとともに、軽負担でも検証や動作確認は的確に行われることとなる。そのため、踏切が外方であれ内方であれ列車が通過であれ停止であれ踏切防護パターン利用の速度照査が的確かつ簡便に遂行できるようになり、上述の第2技術課題が解決される。
したがって、この発明によれば、上述した第1,2技術課題が纏めて解決される。
また、本発明の踏切情報無線伝送装置にあっては(解決手段2)、取得容易な列車運転方向で判別条件を場合分けしたことにより、特定手段がより分かり易いものとなって、検証や動作確認の負担が更に軽減される。
本発明の適用対象となる地方交通線の駅における線路配線等を示し、(a)が基本の線路配線と信号機設置状況を示す記号図、(b)が出発信号機の内方に踏切が設置された状態を示す記号図、(c),(d)が出発信号機の外方に踏切が設置された状態を示す記号図であり、(c)と(d)は左右反転の状態にある。 ホームトラックから見て踏切が場内信号機側になる列車運転方向の車上装置について位置関係と信号現示関係に応じて踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する条件を示し、(a)が列車進入可能区間に属する信号機や踏切などの並び順にて判別するときの条件、(b)が列車位置と信号現示とに基づいて判別することにより一層簡素になった条件である。 ホームトラックから見て踏切が出発信号機側になる列車運転方向の車上装置について位置関係と信号現示関係に応じて踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する条件を示し、(a)が列車進入可能区間に属する信号機や踏切などの並び順にて判別するときの条件を出発信号機の内方の踏切と共に示した模式図、(b)が列車進入可能区間に属する信号機や踏切などの並び順にて判別するときの条件を出発信号機の外方の踏切と共に示した模式図、(c)が列車位置と信号現示とに基づいて判別することにより一層簡素になった条件である。 本発明の実施例1について、踏切情報無線伝送装置およびそれを導入した無線式列車制御システムの構造を示し、(a)が線路配線図、(b)が無線式列車制御システムの概要ブロック図、(c)が駅制御装置12と車上装置13と踏切制御装置14と踏切情報無線伝送装置15に係るブロック図である。 踏切遮断完了検知等に係る信号波形や状態遷移のタイムチャートであり、踏切警報リレーRに基づいて遮断完了を間接的に検知する場合を示している。 踏切制御装置の構成を示し、(a)が踏切制御図、(b)が踏切制御表である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 本発明の実施例2について、(a)が線路配線図、(b)が踏切制御表、(b1)〜(b3)が踏切制御表の該当行に係る踏切制御装置の動作説明である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。 列車運行に伴う踏切情報無線伝送装置および無線式列車制御システムの動作状態を示し、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置の無線送信状況図、(c)が駅制御装置の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置の動作状態図である。
このような本発明の踏切情報無線伝送装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図4〜図11に示した実施例1は、上述した解決手段1〜2(出願当初の請求項1〜2)を具現化したものであって、踏切が上りの出発信号機の内方に設けられている場合を示しており、図12〜図18に示した実施例2は、やはり上述した解決手段1〜2(出願当初の請求項1〜2)を具現化したものであって、踏切が下りの出発信号機の外方に設けられている場合を示している。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、記号図やブロック図を多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示している。
本発明の踏切情報無線伝送装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が踏切情報無線伝送装置15を含む無線式列車制御システム10を設置した或る駅に係る線路配線図、(b)が無線式列車制御システム10の概要ブロック図、(c)が駅制御装置12と車上装置13と踏切制御装置14と踏切情報無線伝送装置15に係るブロック図である。また、図5は、踏切遮断完了検知等に係る信号波形や状態遷移のタイムチャートであり、踏切警報リレーRに基づいて遮断完了を間接的に検知する場合を示している。さらに、図6は、踏切制御装置14に係り、(a)が踏切制御図、(b)が踏切制御表である。
先ず、この駅の線路配線を述べると(図4(a)参照)、この駅の外では起点側も終点側も駅間が単線になっており、駅構内には、起点側の駅間軌道区間(駅外軌道)から軌道区間FT,軌道区間AT,軌道区間11T,軌道区間2RT,軌道区間16LTを経て終点側の駅間軌道区間(駅外軌道)に至る線路と、軌道区間11Tで分岐して軌道区間5LTを経て軌道区間16LTに至る線路と、軌道区間11Tで分岐して軌道区間6LTを経て軌道区間16LTに至る線路と、軌道区間11Tで分岐した折り返し用の線路とが敷設されている。それらのうち軌道区間11Tと軌道区間16LTとの中間部分2RT,5LT,6LTは、複数の構内分岐線になっていて並走している。さらに、そのうち軌道区間2RTに下り本線のホームトラックがあり、軌道区間5LTに上り本線のホームトラックがあり、軌道区間6LTに上り下り1番線のホームトラックがある。
これら多数の軌道区間FT,AT,…には、それぞれ列車検知用の軌道回路が設けられていて、各軌道区間における列車の在線/非在線が分るようになっている。軌道区間と軌道回路が一対一で対応しているので、対応するもの同士には同じ符号を付している。
このような駅構内の線路に対し、踏切4は軌道区間11Tを横断する形で設けられており、軌道区間11Tにおいて踏切4から軌道区間2RTへ連なる部分には終止点踏切制御子C1が設置され、軌道区間11Tにおいて踏切4から軌道区間5LT,6LTへ連なる部分には終止点踏切制御子C2が設置されている。踏切4には、少なくとも踏切警報機4aが付設されており、第1種の踏切であれば図示しない遮断機も設置されている。
この駅では、下りの場内信号機5Rが現示方向を起点側に向けて軌道区間FT,ATの境目脇に設置され、上りの場内信号機5Lが現示方向を終点側に向けて軌道区間16LTより終点側に設置され、下りの出発信号機2Rが現示方向を起点側に向けて軌道区間2RT,16LTの境目脇に設置され、下りの出発信号機6Rが現示方向を起点側に向けて軌道区間6LT,16LTの境目脇に設置され、上りの出発信号機2Lが現示方向を終点側に向けて軌道区間5LT,11Tの境目脇に設置され、上りの出発信号機3Lが現示方向を終点側に向けて軌道区間6LT,11Tの境目脇に設置されている。
このような地上設備が駅に設置されている地方交通線に対して使用される無線式列車制御システム10は(図4(b)参照)、駅に設置される連動装置11と駅制御装置12と踏切制御装置14と踏切情報無線伝送装置15と、駅を通る列車8a,8b,8cそれぞれに一台ずつ搭載された複数の車上装置13とを具えている。
連動装置11は、速度照査機能の実装前から用いられている既存装置なので(例えば非特許文献2や社団法人日本鉄道電気技術協会発行の鉄道電気技術者のための信号概論「連動装置」を参照)、概要を述べるにとどめるが、列車が衝突することなく適切な線路を進むことができるように、各軌道回路FT,AT,…の列車検知結果などに応じて信号機5R,2L,…や図示しない転てつ機などを制御するものであり、各信号機5R,2L,…の現示情報を駅制御装置12や踏切制御装置14に伝達するようにもなっている。
踏切制御装置14は、これも速度照査機能の実装前から用いられている既存装置であるうえ論理が複雑なので(例えば社団法人日本鉄道電気技術協会発行の鉄道電気技術者のための信号概論「踏切保安装置」や図6を参照)、概要と本願発明の実施に関係する部分とを述べるにとどめるが、要するに各軌道回路FT,AT,…の列車検知結果に応じて駅構内の踏切4に係る警報制御を行うものであり、軌道回路FT,AT,…から列車検知結果を直接取得するとともに、連動装置11から各信号機5R,2L,…の現示情報を取得する。そして、踏切毎に定められた個別の踏切制御表の論理に基づいて(図6(b)参照)、踏切警報リレーRを落下(復旧・無励磁)させたり動作(励磁)させるようになっている(図4参照)。
具体的には、踏切4の近くの軌道区間に一台か複数台の列車が在線していて、その列車の何れかについて踏切4に進入する条件が整ったことが判明したときには、言い換えると各列車について列車位置から続く進行現示に基づく列車進入可能区間の何れかに踏切4が属する状態になったときには、踏切警報機4aの警報を開始させるために、踏切警報リレーRを落下(復旧・無励磁)させ、そうでないときには、踏切警報機4aの警報を停止させるために、踏切警報リレーRを動作(励磁)させるようになっている。
また、踏切4に向けて列車が出発することのある分岐線のホームトラックである軌道区間5LT,6LTに列車が進入してから所定時間が経過したとき、過走防護距離100m以下の踏切については列車が停止したものとして警報を一旦停止させるようになっている。さらに、出発ルートが構成されると、その条件で踏切警報が開始する。具体的には、最小警報時間を確保できるように、警報が開始してから現示時素の秒数だけ経過した後に出発信号機が進行現示となるようになっている。
駅制御装置12は(図4参照)、連動装置11や踏切制御装置14より新しくて無線通信利用の速度照査機能が開発された以後のものであるが、無線通信で信号防護パターン利用の速度照査機能を実現した公知の駅制御装置なので(非特許文献2参照)、これについても概要と本願発明の実施に関係する部分とを述べるにとどめるが、要するに、無線通信機能を有したものであって、信号機位置を含む線路データを保持していて、連動装置11から駅構内の信号機5R,2L,…の現示情報を取得するとともに、通信範囲内の車上装置13から無線で列車位置を取得して又は更に連動装置11から軌道区間FT,AT,…における列車在線状況も取得して、各列車が現在の列車位置からどの信号機の直前まで進行して良いのか或いはその先まで進行できるのかといった信号機位置基準の列車進入可能区間を求め、その区間情報をそれぞれ該当する車上装置13へ無線で送信するようになっている。
そのような信号機位置基準の列車進入可能区間情報は、それを無線で受信した車上装置13にとって先行発生の信号防護パターンの消去時期を決めるのに役立つ必要情報であり、例えば、該当する一連の信号機の現示のリストデータ、経由分岐線と区間端との組データといった形で具体化されている。駅制御装置12は、そのような信号機の現示情報に基づく信号機位置基準の列車進入可能区間情報を通信範囲内の各車上装置13毎に作成し、それを列車識別番号等の列車IDで識別されるそれぞれの車上装置13に宛てて送信するようになっているが、踏切防護パターン消去指示を送信するようにはなっていない。
車上装置13は(図4参照)、これも駅制御装置12と同じく無線通信利用の速度照査機能が開発された以後のものであるが、やはり無線通信で信号防護パターン利用の速度照査機能を実現した公知の車上装置なので(非特許文献2参照)、これについても概要と本願発明の実施に関係する部分とを述べるにとどめるが、要するに、それぞれ何れかの列車8a,8b,8cに搭載されて列車位置を検知し、その位置情報を予めデータ保持している列車運転方向や列車識別番号等の列車IDと共に無線で駅制御装置12へ送信するようになっている。また、車上装置13は、それぞれ、検知した列車位置と予め保持している線路データのうちの信号機位置とに基づいて予定進路における直近の停止現示の信号機の位置に係る信号防護パターンを発生するとともに、駅制御装置12から無線で受信して得た信号機位置基準の列車進入可能区間情報に基づいて、直近の停止現示の信号機の現示状態が進行現示に変化したことが判明したときには、該当する信号防護パターンを消去するようになっている。
さらに、車上装置13は、それぞれ、列車位置と線路データのうちの踏切位置とに基づいて予定進路における直近の踏切の位置に係る踏切防護パターンを発生するとともに、踏切制御装置などから無線で踏切防護パターン消去指示やそれに準じた情報を受信すると、それで得た情報に基づいて、該当する踏切防護パターンを消去するようにもなっている。この機能は、駅間や駅近くの踏切に係る警報制御を担う無線式踏切警報システムについては公知であるが(非特許文献2参照)、そのような公知の車上装置と異なり、この車上装置13では、構内踏切である踏切4についても発揮されるようになっている。すなわち、車上装置13は、搭載先列車の位置と踏切4の位置とに基づいて構内踏切に係る踏切防護パターンを発生するとともに、その踏切防護パターンを、無線で受信して得た踏切防護パターン消去指示に応じて、消去するものとなっている。
踏切情報無線伝送装置15は(図4参照)、無線通信手段と踏切通過可否判別手段とを具備したものであり、無線通信手段にて駅制御装置12と車上装置13との無線通信を傍受するために、無線通信機能を有していて駅制御装置12の通信範囲内に設けられていることが必要なので、駅制御装置12と一緒に駅の機器室等に設置しても良いが、踏切通過可否判別に欠かせない踏切警報状態を取得するために、踏切制御装置14から踏切警報リレーRの接点出力を信号ケーブルにて入力するので、踏切4の近くに設置しても良い。また、踏切情報無線伝送装置15は(図4(c)参照)、踏切4の踏切位置を車上装置13の列車位置と比較可能な状態たとえば同じ基準位置からのキロ程といった数値でデータ保持している。
無線通信手段は、駅制御装置12や車上装置13との無線方式に適合した公知の無線機器を具備していて、やはり公知の通信処理や電文処理等で通信傍受や指示送信を行うので(例えば特許文献4参照)、具体的な通信手法や電文構成などの煩雑な説明は割愛するが、要するに、駅制御装置12から車上装置13へ無線で送信された列車識別番号と信号機位置基準の列車進入可能区間情報とを無線傍受にて取得することと、通信範囲内に入っている列車8a,8b,8cに搭載されている各車上装置13から駅制御装置12へ無線で送信された各列車8a,8b,8cの列車識別番号と列車運転方向と列車位置とを無線傍受にて取得することと、踏切防護パターンを消去すべき車上装置として踏切通過可否判別手段の特定手段により特定された車上装置13に対し踏切防護パターン消去指示を無線で送信することを行うようになっている。
特に、この踏切情報無線伝送装置15は、無線傍受にて取得した情報を各車上装置13毎に分けて最新のデータを保持するとともに、それら車上装置13毎のデータを、踏切通過可否判別手段が利用し易いよう、列車運転方向が上りなのか下りなのか示すデータと、列車位置が進入側の場内信号機や進出側の出発信号機より手前なのか先なのかを示すデータと、列車位置が踏切より手前なのか先なのかを示すデータと、進入側の場内信号機や進出側の出発信号機が停止現示なのか進行現示なのかを示すデータとに、整理しておくようにもなっている。
踏切通過可否判別手段は、踏切制御装置14から踏切警報状態を取得して踏切4の遮断完了を示す検知情報を検知する検知手段と、その遮断完了に応じて車上装置13,…のうち踏切4に係る踏切防護パターンを消去可能なものを特定する特定手段とを具えている。
検知手段は、上述したように本例では踏切警報状態の取得源として踏切警報リレーRが用いられることから(図5参照)、踏切警報状態としては警報中なのか停止中なのかが分かるだけで、遮断完了が直接的に分かる訳ではないので、警報の開始から所定時間Δtが経過するまでは踏切道が未だ開通しており所定時間Δtが経過して始めて踏切4の遮断が完了すると擬制するようになっている。なお、踏切警報リレーRの出力に代えて又は加えて、遮断桿が十分に降下したことを直に検知した遮断桿降下検知信号などで遮断完了が直接的に分かる場合は、上述したような擬制は不要である。
特定手段は、要するに、検知手段にて検知した遮断完了を示す検知情報に加え、予め保持している踏切位置データと無線通信手段にて取得した情報とに基づく位置関係と信号現示関係に応じて、車上装置13毎に踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別するものである。その詳細は、すでに前述の「課題を解決するための手段」の欄で説明しているので、ここでは省略する。
車上装置13のうち列車運転方向が上りか下りかに応じて踏切4がホームトラックから見て場内信号機側になるものについて、踏切4の遮断完了が検知されていることと、列車位置が場内信号機より手前であることと、場内信号機が進行現示になっていること(正確には、該当列車の列車進入可能区間が場内信号機の先であることを駅制御装置より無線通信にて知らされていること)という三条件が総て満たされた車上装置13を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定するという条件(図2(b)参照)に変形されることも、解決手段2の欄で述べたところである。変形前の判別条件でも(図2(a)参照)、変形後の判別条件でも(図2(b)参照)、適切な車上装置13を確実に特定できるが、この実施例では、直感的で分かり易くて論理チェック等が容易な変形後の判別条件が採用されて(図2(b)参照)、列車の特定に適用される。
また、車上装置13のうち列車運転方向が上りか下りかに応じて踏切4がホームトラックから見て出発信号機側になるものについて、踏切4の遮断完了が検知されていることと、列車位置が踏切より手前であることと、出発信号機が進行現示になっていることという三条件が総て満たされた車上装置13を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定するという条件(図3(c)参照)に変形されることも、解決手段2の欄で述べたところである。やはり、変形前の判別条件でも(図3(a),(b)参照)、変形後の判別条件でも(図3(c)参照)、適切な車上装置13を確実に特定できるが、これについても、直感的で分かり易くて論理チェック等が容易な変形後の判別条件が採用されて(図3(c)参照)、列車に適用されるようになっている。
さらに、何れの判別条件で車上装置13を特定するにしろ、踏切防護パターン消去指示を送信するには、踏切4の遮断が完了していることと、該当する信号機が進行現示になっていることとが、共に成立していなければならないので、踏切防護パターン消去指示の送信タイミングは(図5参照)、該当する信号機が進行現示になった後に踏切4の遮断が完了した場合にはその遮断完了時となり、踏切4が遮断完了になった後に該当信号機が停止現示から進行現示になった場合にはその現示アップ時となる。その場合、踏切4を識別する情報を踏切情報無線伝送装置15が踏切防護パターン消去指示に含めるとともに、それに基づいて消去する踏切防護パターンを車上装置13が限定するといったことで、支障なく送信を繰り返すことができる。
この実施例1の踏切情報無線伝送装置15およびそれを導入した無線式列車制御システム10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図7〜図11は、列車運行に伴う各部の動作状態を時系列で示しており、各図いずれも、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置13の無線送信状況図、(c)が駅制御装置12の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置15の動作状態図である。なお、各図(a)において、列車8a,8b,8cの脇の小さな矢印は列車運転方向を示し、矢付き輪郭線は列車進入可能区間を示している。
先ず(図7(a)参照)、駅制御装置12と踏切情報無線伝送装置15の通信範囲内に列車8a,8b,8cが入っていて、そのうち下り列車8aが下り本線の軌道区間2RTのホームトラックに停止しており、上り列車8bが軌道区間16LTに進入していて上り本線の軌道区間5LTのホームトラックまで進む予定であり、上り列車8cが上り下り1番線の軌道区間6LTのホームトラックに停止している、という状態から始める。
このとき、連動装置11の制御によって、下りの場内信号機5Rも,下りの出発信号機2Rも,上りの出発信号機2Lも,上りの出発信号機3Lも赤色点灯の停止現示になっている。また、列車8bの進入に応じて踏切制御装置14が踏切警報リレーRを落下させるので、踏切4では警報が開始する。
そして、この状態では(図7(b)参照)、列車8aの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が下りであることと列車位置が軌道区間2RTに属していることが無線送信され、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が上りであることと列車位置が軌道区間16LTに属していることが無線送信され、列車8cの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が上りであることと列車位置が軌道区間6LTに属していることが無線送信される。また(図7(c)参照)、駅制御装置12から列車8aの車上装置13へ列車進入可能区間情報として下りの出発信号機2Rまで進行可能であることが無線送信され、駅制御装置12から列車8bの車上装置13へ列車進入可能区間情報として上りの出発信号機2Lまで進行可能であることが無線送信され、駅制御装置12から列車8cの車上装置13へ列車進入可能区間情報として上りの出発信号機3Lまで進行可能であることが無線送信される。
そうすると(図7(d)参照)、それを無線傍受した踏切情報無線伝送装置15では、列車8aについて下り列車であることと列車位置が踏切より先であることが分かり、列車8aが踏切4を通過しているため踏切防護パターン消去の情報を伝送する対象列車から除外される。また、列車8bについて上り列車であることと列車位置が踏切より手前であることと出発信号機が停止現示であることが分かり、列車8cについて上り列車であることと列車位置が踏切より手前であることと出発信号機が停止現示であることが分かる。
また、踏切情報無線伝送装置15では、踏切警報リレーRに基づいて踏切警報の開始が検知されるとそれから所定時間経過後に踏切の遮断完了が検知される。そして、早々に対象外とされた列車8aを除く他の列車8b,8cのうち、上り列車8bについて、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が調べられるが、現示条件(信号現示関係)が満たされないので列車8bの車上装置13にも踏切防護パターン消去指示が送信されない(図7(d)参照)。
さらに(図7(d)参照)、上り列車8cについても、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が調べられるが、現示条件が満たされないので列車8bの車上装置13にも踏切防護パターン消去指示が送信されない(図7(d)参照)。このように、現況では(図7(a)参照)、列車8a,8b,8c何れの車上装置13にも踏切防護パターン消去指示が送信されないので(図7(d)参照)、列車8bの車上装置13は踏切4に係る踏切防護パターンを保持し、列車8cの車上装置13は踏切4に係る踏切防護パターンを保持し続ける。
以下、変化のあった事項を中心に述べると、次の状態では(図8(a)参照)、列車8bが上り本線の軌道区間5LTに進入してホームトラックに停止する。すると、それに応じて、踏切制御装置14が踏切警報リレーRを動作させるので、踏切4では警報が停止する。また、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ無線送信される列車位置が軌道区間5LTに属したものになるが(図8(b)参照)、駅制御装置12から列車8b,8cの車上装置13へ無線送信される列車進入可能区間には変更がないので(図8(c)参照)、それぞれの車上装置13の保持する踏切防護パターンにも変更がない。そして(図8(d)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、無線取得情報には送信先特定に影響する本質的な変化が無いが、遮断完了が検知されなくなったので、列車8b,8c何れの車上装置13についても、踏切防護パターン消去指示が送信されない。
それから(図9(a)参照)、上り列車8bの出発準備が整って上りの出発信号機2Lが進行現示になると、踏切4では警報が再び開始する。そして、駅制御装置12から列車8bの車上装置13へ無線送信される列車進入可能区間が上りの出発信号機2Lより先も進行可になるので(図9(c)参照)、列車8bの車上装置13の保持する信号防護パターンが起点側の図示しない駅外信号機に係るものとなる。そして(図9(d)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、遮断完了が検知されるとともに、出発信号機の現示に変化のあった上り列車8bについてだけ、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が満たされることとなって(図9(d)参照)、踏切防護パターン消去指示が送信される。そのため、列車8bの車上装置13の保持する踏切防護パターンが消去され、列車8bは踏切4を通過することができる。また、踏切4を通過した列車8bは、踏切防護パターン消去の情報を伝送する対象列車から除外される。
それから(図10参照)、上り列車8bが踏切4を通過して起点側の軌道区間FTへ進むと(図10(a)参照)、踏切4では警報が停止し、上り本線では上りの出発信号機2Lが停止現示になる。また、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ無線送信される列車位置が軌道区間FTに属したものになるが(図10(b)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、無線取得情報には送信先特定に影響する本質的な変化が無いうえ、遮断完了が検知されなくなったので、先ほど対象外とされた列車8bを除く他の列車8cの車上装置13について、判別条件が満たされず、踏切防護パターン消去指示が送信されない。そのため、列車8cの車上装置13の保持する踏切防護パターンは変更されることなく維持される。
それから(図11参照)、上り列車8cの出発準備が整って上りの出発信号機3Lが進行現示になると(図11(a)参照)、踏切4では警報が開始する。また、列車8cの車上装置13から駅制御装置12へ無線送信される列車位置は変わらず軌道区間6LTに属したもののままであるが(図11(b)参照)、駅制御装置12から列車8cの車上装置13へ無線送信される列車進入可能区間が上りの出発信号機3Lより先も進行可になるので(図11(c)参照)、列車8cの車上装置13の保持する信号防護パターンが終点側の駅外信号機に係るものとなる。
そして(図11(d)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、遮断完了が検知されるとともに、出発信号機の現示に変化のあった上り列車8cについて、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が満たされることとなって(図11(d)参照)、踏切防護パターン消去指示が送信される。そのため、列車8cの車上装置13の保持する踏切防護パターンが消去され、列車8cは踏切4を通過することができることとなる。また、踏切4を通過した列車8cは、踏切防護パターン消去の情報を伝送する対象列車から除外される。
本発明の踏切情報無線伝送装置15の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図12は、(a)が線路配線図、(b)が踏切制御装置14の踏切制御表、(b1)〜(b3)が踏切制御表の該当行に係る踏切制御装置14の動作説明である。
ここで用いる無線式列車制御システム10は、基本的には上述した実施例1のものと同じで良い。とはいえ、連動装置11や踏切制御装置14は、基本機能が踏襲されているにとどまり、適用対象の駅の線路配線や設備が異なることに対応して具体的な論理は個別に作成されているが、何れも既設の装置なので、実施例1のときと同様、連動装置11については詳細な図示を割愛し、踏切制御装置14については踏切制御表(図12(b)参照)と下り列車の通過時の説明(同図(b1)参照)と下り列車の進入時の説明(同図(b2)参照)と下り列車の進出時の説明(同図(b3)参照)とを図示するにとどめる。
無線式列車制御システム10のうち、新規な踏切情報無線伝送装置15について、上述した実施例1のものと相違するのは、踏切の設置場所が異なることに対応して踏切位置のデータ値が書き換えられている程度のことである。
構内踏切4の設置位置が下りの出発信号機5Rの内方でなく下りの出発信号機5Rの外方になっており、この実施例2では、構内踏切4が出発信号機の外方に設置されている場合であっても、種々の運行態様の列車が踏切防護パターンを用いた速度照査機能を何ら不都合なく発揮することを具体的な事例で確認する。
この駅の線路配線を述べると(図12(a)参照)、駅の外ではやはり起点側も終点側も単線になっており、駅構内には、起点側の駅間軌道区間から軌道区間MT,軌道区間AT,軌道区間11T,軌道区間2RT,軌道区間16T,軌道区間BTを経て終点側の駅間軌道区間に至る線路と、軌道区間11Tで分岐して軌道区間5LTを経て軌道区間16Tに至る線路とが敷設されている。それらのうち軌道区間11Tと軌道区間16Tとの中間部分は、複数の構内分岐線になっていて並走しており、そのうち軌道区間2RTに下り本線のホームトラックがあり、軌道区間5LTに上り本線のホームトラックがある。また、多数の軌道区間MT,AT,…それぞれに列車検知用の軌道回路が設けられている。
このような駅構内の線路に対し、下りの場内信号機2Rが現示方向を起点側に向けて軌道区間MT,ATの境目脇に設置され、上りの場内信号機5Lが現示方向を終点側に向けて軌道区間16T,BTの境目脇に設置され、下りの出発信号機5Rが現示方向を起点側に向けて軌道区間2RT,16Tの境目脇に設置され、上りの出発信号機2Lが現示方向を終点側に向けて軌道区間5LT,11Tの境目脇に設置されている。
踏切4は、軌道区間2RT及び軌道区間5LTの双方を横断する形で設けられて、下り本線の軌道区間2RTのホームトラック(停止位置目標の起点側)と下りの出発信号機5Rとの間に位置しているので、下りの出発信号機5Rの外方の踏切となっている。また、そのような踏切設置に対応して、軌道区間BTより終点側に始動点踏切制御子E1,E2が設置され、軌道区間2RTにおいて踏切4と下りの出発信号機5Rとの間に終止点踏切制御子Cが設置され、軌道区間5LTにおいて踏切4より終点側の部分に終止点踏切制御子Dが設置されている。
この実施例2の踏切情報無線伝送装置15及びそれを導入した無線式列車制御システム10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図13〜図18は、列車運行に伴う各部の動作状態を時系列で示しており、何れも、(a)が列車を付記した線路配線図、(b)が車上装置13の無線送信状況図、(c)が駅制御装置12の無線送信状況図、(d)が踏切情報無線伝送装置15の動作状態図である。
ここでは(図13(a)参照)、駅制御装置12と踏切情報無線伝送装置15の通信範囲内に下り列車8aだけが入っていて、その列車8aが起点側の軌道区間MTから軌道区間ATへ進入していて下り本線の軌道区間2RTのホームトラックまで進む予定になっている、という状態から始める。
このとき、連動装置11の制御によって、下りの場内信号機2Rが注意進行現示になっており、下りの出発信号機5Rと他の信号機2L,5Lは停止現示になっている。また、列車8aの進入に応じて踏切制御装置14が踏切警報リレーRを落下させるので、踏切4では警報が開始する。
そして、この状態では、列車8aの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が下りであることと列車位置が軌道区間ATに属していることが無線送信され(図13(b)参照)、駅制御装置12から列車8aの車上装置13へ列車進入可能区間情報として下りの出発信号機5Rまで進行可能であることが無線送信される(図13(c)参照)。
そうすると(図13(d)参照)、それを無線傍受した踏切情報無線伝送装置15では、列車8aについて下り列車であることと列車位置が踏切より手前であることと出発信号機が停止現示であることが分かる。
また、踏切情報無線伝送装置15では、踏切警報リレーRに基づいて踏切の遮断完了が検知される。そして、下り列車8aについて、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が調べられるが、現示条件が満たされないので列車8aの車上装置13には踏切防護パターン消去指示が送信されない(図13(d)参照)。そのため、列車8aの車上装置13は踏切4に係る踏切防護パターンを保持し続ける。
次の状態では(図14(a)参照)、列車8aが下り本線に進入して軌道区間2RTのホームトラックに停止すると、それに応じて、踏切制御装置14が踏切警報リレーRを動作させるので(図12(b2)参照)、踏切4では警報が停止する。この場合(図14(d)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、無線取得情報には送信先特定に影響する本質的な変化が無いうえ、遮断完了の検知までなくなって、列車8aの車上装置13について、判別条件が満たされないので、踏切防護パターン消去指示が送信されない。そのため、列車8aの車上装置13の保持する踏切防護パターンが変更なく現状維持される。
それから(図15参照)、下り列車8aが下り本線に停止している間に後続の下り列車8bが起点側から軌道区間MTまで進んで来たとすると(図15(a)参照)、踏切4の警報は停止のまま(図12(b2)参照)、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が下りであることと列車位置が軌道区間MTに属していることが無線送信され(図15(b)参照)、駅制御装置12から列車8bの車上装置13へ列車進入可能区間情報として下りの場内信号機2Rまで進行可能であることが無線送信される(図15(c)参照)。
そして、踏切情報無線伝送装置15では(図15(d)参照)、下り列車8a,8bについて、踏切の遮断が無いことと踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が調べられるが、現示条件が満たされないので列車8a,8b何れの車上装置13にも踏切防護パターン消去指示が送信されない(図15(d)参照)。そのため、列車8aの車上装置13は踏切4に係る踏切防護パターンを保持し続け、列車8bの車上装置13も踏切4に係る踏切防護パターンを保持し続け、列車8bは軌道区間MTにとどまる。
それから(図16(a)参照)、連動装置11で先行の下り列車8aの出発進路が構成されると、その条件で踏切4の警報が開始される。現示時素の秒数経過後に下りの出発信号機5Rが進行現示になると、駅制御装置12から列車8aの車上装置13へ無線送信される列車進入可能区間が下りの出発信号機5Rより先も進行可になるので(図16(c)参照)、遮断完了の条件が既に整っている踏切情報無線伝送装置15では(図16(d)参照)、下りの出発信号機5Rの現示が停止現示から進行現示に変化したことにより、先行の下り列車8aについて、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が満たされることとなって(図16(d)参照)、踏切防護パターン消去指示が送信され、列車8aは踏切4を通過することができる。
そして、下り列車8aが下り本線の軌道区間2RTから終止点Cを通過して軌道区間16Tへ進むと(図17(a)参照)、下りの出発信号機5Rが停止現示になり、この条件で踏切4は警報を停止する(図12(b)参照)。また、踏切4を通過した下り列車8aは、踏切情報無線伝送装置15によって、踏切防護パターン消去の情報を伝送する対象列車から除外される(図17(d)参照)。次に、先行の列車8aが下り本線(2RT)から進出すると、後続の列車8bが軌道区間ATを経て下り本線(11T,2RT)に進入できることになって、下りの場内信号機2Rが注意進行現示になるとともに、踏切制御表(図12(b)参照)の条件b2から踏切制御装置14の制御により踏切4は警報開始となる(図17(a)参照)。列車8bの列車進入可能区間が下りの出発信号機5Rまで進行可になり、列車8bが軌道区間MTから軌道区間ATへと進入する。
そして、この状態では、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が下りであることと列車位置が軌道区間ATに属していることが無線送信され(図17(b)参照)、駅制御装置12から列車8bの車上装置13へ列車進入可能区間情報として下りの出発信号機5Rまで進行可能であることが無線送信されるので(図17(c)参照)、そのような無線通信を傍受した踏切情報無線伝送装置15では(図17(d)参照)、列車8bについて下り列車であることと列車位置が踏切より手前であることと出発信号機が停止現示であることが分かる。
また、踏切情報無線伝送装置15では、踏切警報リレーRに基づいて踏切の遮断完了が検知される。そして、下り列車8bについて、踏切の遮断完了と踏切より手前の列車位置と出発信号機の進行現示という三条件(図3(c)参照)が調べられるが、現示条件が満たされないので列車8bの車上装置13には踏切防護パターン消去指示が送信されない(図17(d)参照)。
そのため、列車8aの車上装置13は踏切4に係る踏切防護パターンを保持し続ける。
それから(図18(a)参照)、列車8bが軌道区間ATから軌道区間11Tへと進むと、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ列車情報として列車運転方向が下りであることと列車位置が軌道区間11Tに属していることが無線送信されるが(図18(b)における上側の行を参照)、これは踏切情報無線伝送装置15の踏切通過可否判別に影響する本質的な変化でないうえ、他の条件にも変化がないので(図17(c)〜(d)参照)、踏切情報無線伝送装置15から踏切防護パターン消去指示が送信されることはなく、列車8bの車上装置13が保持する踏切防護パターンが現状維持される。
それから、列車8bが下り本線に進入して軌道区間2RTのホームトラックに停止すると、それに応じて、踏切制御装置14が踏切警報リレーRを動作させるので、踏切4では警報が停止する。また、列車8bの車上装置13から駅制御装置12へ無線送信される列車位置が軌道区間2RTに属したものになるが(図18(b)における下側の行を参照)、駅制御装置12から列車8bの車上装置13へ無線送信される列車進入可能区間には変更がないので(図18(c)参照)、踏切情報無線伝送装置15では、無線取得情報には送信先特定に影響する本質的な変化が無いうえ、遮断完了の検知までなくなるので、列車8bの車上装置13について、判別条件が満たされることはなく、踏切防護パターン消去指示が送信されない。そのため、列車8aの車上装置13の保持する踏切防護パターンが変更なく現状維持される。
以降の列車8bに対する踏切4の警報動作条件および駅制御装置の伝送情報ならびに踏切情報無線伝送装置15の踏切防護パターン消去指示は、上述した列車8aに対するものと同様になるので、以下、繰り返しとなる説明を割愛する。
[その他]
なお、上記実施例では、踏切情報無線伝送装置15が踏切支障情報を伝送するようになっていなかったが、踏切障害物検知装置が障害物を検知した時点や,踏切支障ボタンが押下された時点で、踏切に向かって進行する列車などの車上装置に対して踏切情報無線伝送装置15が踏切支障情報を伝送するようにしても良い(例えば非特許文献2参照)。
また、上記実施例では、駅に設置された駅制御装置12と連動装置11とが別体のものであって協動するようになっていたが、駅制御装置と連動装置は、何れか一方が他方の機能を取り込む等のことにより、一体化されていても良い(例えば非特許文献2参照)。
また、上記実施例では、踏切防護パターン消去指示の送信を踏切情報無線伝送装置15が自己の無線機を用いて自ら送信するようになっていたが、踏切防護パターン消去指示の送信は、踏切情報無線伝送装置15が信号ケーブル等を介して駅制御装置12に依頼し、それに応じて駅制御装置12が代行するようにしても良い(例えば特許文献3参照)。
本発明の無線式列車制御システム10及び踏切情報無線伝送装置15は、単線区間の多い地方交通線向けに開発されたものであるが、運行量が比較的少ない単線主体の所であれば、都市近郊等の鉄道にも適用することができる。
4…踏切、4a…踏切警報機、8a,8b,8c…列車、
10…無線式列車制御システム、
11…連動装置、12…駅制御装置、
13…車上装置、14…踏切制御装置、15…踏切情報無線伝送装置、
実施例1では、5R,3R…下りの場内信号機、2R,6R…下りの出発信号機、
実施例1では、5L,6L…上りの場内信号機、2L,3L…上りの出発信号機、
実施例2では、2R…下りの場内信号機、5R…下りの出発信号機、
実施例2では、5L…上りの場内信号機、2L…上りの出発信号機、
FT,AT,11T,2RT,16LT…軌道区間(軌道回路)、
5LT,6LT,MT,16T,BT…軌道区間(軌道回路)、
R…踏切警報リレー、E1,E2…始動点踏切制御子、
C1,C2,C,D…終止点踏切制御子

Claims (2)

  1. 駅の構内軌道の各区間に設けられた複数の軌道回路の列車検知結果に応じて駅構内の踏切に係る警報制御を行う別体の踏切制御装置から踏切警報状態を取得して前記踏切の遮断完了を示す検知情報を検知する検知手段と、前記検知情報に応じて駅構内の列車の車上装置のうち前記踏切に係る踏切防護パターンを消去可能な車上装置を特定する特定手段と、前記特定手段で特定した車上装置に対し踏切防護パターン消去指示を無線で送信する無線通信手段とを具備した踏切情報無線伝送装置であって、
    前記踏切情報無線伝送装置は、駅構内の信号機の現示情報を取得して信号防護パターンの消去が可能な列車進入可能区間情報を無線で送信する駅制御装置の通信範囲内に設けられていて、前記無線通信手段が前記駅制御装置から無線傍受にて列車進入可能区間情報を取得し、
    列車位置と踏切位置とに基づいて駅構内の踏切に係る踏切防護パターンを発生し、無線で受信して得た列車進入可能区間情報に基づいて該パターンを消去する車上装置のうち、通信範囲内に入っている車上装置から前記無線通信手段が無線傍受にて列車の位置情報を取得し、
    前記特定手段が、前記検知情報に加え、予め保持している踏切位置データと前記無線通信手段にて取得した列車の位置情報とに基づく位置関係に応じて、車上装置に踏切防護パターン消去指示を送信すべきか否かを判別する
    ことを特徴とする踏切情報無線伝送装置。
  2. 前記無線通信手段は、無線により車上装置から列車運転方向を取得し、
    前記特定手段は、前記車上装置のうち列車運転方向に応じて前記踏切がホームトラックから見て場内信号機側に位置する場合であって、前記検知情報が検知されていることと、列車位置が場内信号機より手前であることと、その場内信号機が進行現示になっている場合には、当該車上装置を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定し、
    前記車上装置のうち列車運転方向に応じて前記踏切がホームトラックから見て出発信号機側に位置する場合であって、前記検知情報が検知されていることと、列車位置が前記踏切より手前であることと、出発信号機が進行現示になっている場合には、当該車上装置を踏切防護パターン消去指示の送信先として特定する
    ことを特徴とする請求項1記載の踏切情報無線伝送装置。
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