JP2013240300A - 組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、in vitroの細胞培養における高い増殖性と、in vivoのカイコ生体における高い増殖性を併せ持った、優れたカイコ核多角体病ウイルスベクターを提供することである。
【解決手段】前記課題は、Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含み、カイコ生体内での増殖能を有することを特徴とする、組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターによって解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター、及び目的タンパク質の製造方法に関する。本発明によれば、培養細胞及びカイコ幼虫のいずれにおいても、目的タンパク質を効率よく製造することができる。
カイコ核多角体病ウイルス(Bombyx mori nucleopolyhedrovirus:BmNPV)はカイコ培養細胞及び個体で良く増殖する。このBmNPVを用いたカイコ個体における外来タンパク質発現系は、真核細胞における最も効率の良いタンパク質発現系の一つとして知られている。BmNPVのウイルス粒子は、大型の棒状であり、増殖後期において感染核内に多角体と呼ばれる包埋体を形成し、内部に多くのウイルス粒子を包埋する。この包埋体はウイルス遺伝子にコードされるポリヘドリンと呼ばれるタンパク質でできており、感染末期には宿主細胞タンパク質の50%以上を占めることがある。
このポリヘドリン遺伝子(polh)をコードする遺伝子を、目的タンパク質をコードする遺伝子と置き換えた組換えNPVを用いることによって、感染細胞内で目的タンパク質を高効率に発現させることが可能である。このようなNPVを用いたタンパク質の発現系は、バキュロウイルス発現ベクターシステム(BEVS)と称され、現在このBEVSはさまざまな分野で利用されている。
しかしながら、従来、BEVSに用いられていたカイコ核多角体病ウイルスの標準株であるT3株は、培養細胞における十分な増殖性を示していた(非特許文献1)が、カイコ生体、例えばカイコ幼虫又はカイコ蛹における増殖が十分満足できるものではなかった。BEVSにおいては、培養細胞より、カイコ幼虫、又はカイコ蛹などのカイコの生体を用いる方が効率よく外来タンパク質を製造することが可能である。従って、カイコ生体における増殖性の優れた、カイコ核多角体病ウイルスベクターの開発が望まれていた。
「ジャーナル・オブ・セリカルチュラル・サイエンス・オブ・ジャパン(Journal of Sericultural Science of Japan)」(日本)1984年、第53巻、p.547−548 「ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー(Journal of General Virology)」(英国)2008年、第89巻、p.791−798
本発明者らは、最近カイコから、新規なカイコ核多角体病ウイルス(H4株)を分離した。このH4株は、カイコ生体で優れた増殖性を示したため、BEVSにおけるベクターとして期待された。しかしながら、H4株は培養細胞における増殖性が極めて低いために、in vitroの組換えウイルスの作製などの培養細胞を用いる操作において、不便であった。
従って、本発明の目的は、in vitroの細胞培養における高い増殖性と、in vivoのカイコ生体における高い増殖性を併せ持った、優れたカイコ核多角体病ウイルスベクターを提供することである。
本発明者らは、培養細胞における高い増殖性及びカイコ生体における高い増殖性を有するカイコ核多角体病ウイルスについて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、H4株のFタンパク質を、T3株のFタンパク質に置換することにより、培養細胞における高い増殖性及びカイコ生体における高い増殖性を有するカイコ核多角体病ウイルスを得ることができることを見出した。具体的には、H4株にT3株のFタンパク質を組込んだ組換えH4−T3F株は、培養細胞においてT3株より優れた増殖能を示した。また、カイコ生体においてH4株と同等の増殖能を示した。
バキュロウイルス(NPV)は、膜タンパク質としてGP64及びFタンパク質を有するグループI、及び膜タンパク質としてFタンパク質のみを有するグループIIに分類される。
グループIIのバキュロウイルスでは、ウイルスの感染において、細胞融合活性を示すFタンパク質が必須であり、例えば非特許文献2では、オオタバコガ単核多角体病ウイルスのFタンパク質を欠如させたバクミドで、感染性発芽ウイルスが産生されなかったことが開示されている。
一方、GP64及びFタンパク質を有するグループIのバキュロウイルスでは、Fタンパク質には明確な細胞融合活性は認められず、Fタンパク質の感染における役割は、不明であった。従って、H4株にT3株のFタンパク質を組込んだ組換えH4−T3F株が、培養細胞においてT3株より優れた増殖能を示したことは、当業者にとって驚くべきことである。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含み、カイコ生体内での増殖能を有することを特徴とする、組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター、
[2]カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスの、Fタンパク質をコードするヌクレオチド以外の一部若しくはすべてのヌクレオチドを含み、且つ前記T3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドである、[1]に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター、
[3]前記カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスが、
(1)カイコ核多角体病ウイルスT3株のカイコ生体における増殖能に対して1.1倍以上の増殖能を示すカイコ核多角体病ウイルス、
(2)配列番号3で表される塩基配列からなるヌクレオチドを含むカイコ核多角体病ウイルス、又は
(3)カイコ核多角体病ウイルスT3株のカイコ生体における増殖能に対して1.1倍以上の増殖能を示し、且つ配列番号3で表される塩基配列からなるヌクレオチドとの相同性が98%以上のヌクレオチドを含むカイコ核多角体病ウイルス、
である、[1]又は[2]に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター、
[4]目的タンパク質発現用ベクターである、[1]〜[3]のいずれかに記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター、
[5]Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含む、カイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター、
[6]前記ヌクレオチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドである、[5]に記載のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター、
[7]配列番号4で表される塩基配列からなるヌクレオチドを含む[6]に記載のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター、
[8]目的タンパク質の製造方法であって、
(1)[1]〜[4]のいずれかに記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターのヌクレオチドに、目的タンパク質をコードするヌクレオチドを相同組換えにより導入することによって、目的タンパク質のヌクレオチドが組込まれた目的タンパク質発現用ベクターを作製する工程、
(2)培養細胞又はカイコ生体に前記ウイルスベクターを感染させる工程、及び
(3)前記感染培養細胞若しくは培養上清、又は感染カイコ生体から目的タンパク質を回収する工程、を含む、目的タンパク質の製造方法、
[9]目的タンパク質がウシインターフェロン−τである[8]に記載の目的タンパク質の製造方法、又は
[10][9]の目的タンパク質の製造方法によって得られる、糖鎖が付加されている遺伝子組換えウシインターフェロン−τ、
に関する。
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスによれば、in vitroにおける操作性に優れ、且つカイコ生体、特にはカイコ幼虫又はカイコ蛹において増殖性の優れた目的タンパク質発現用ベクターを作製することができる。本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスを用いた目的タンパク質発現用ベクターは、操作が容易で、目的タンパク質が組込まれたウイルスベクターを簡便に作製することができる。また、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスを用いたバキュロウイルス発現ベクターシステムは、目的タンパク質を大量に且つ容易に製造することが可能である。更に、本発明の目的タンパク質の製造方法によれば、目的タンパク質を大量に且つ容易に製造することが可能である。
カイコ核多角体病ウイルスのFタンパク質におけるT3株とH4株とのアミノ酸配列の相違を示した図である。上側がH4株、下側がT3株であり、相違しているアミノ酸を下線で示す。 カイコ核多角体病ウイルスT3株のFタンパク質の相同組換え用ベクター(トランスファープラスミドベクター)(A)及びカイコ核多角体病ウイルスH4株のFタンパク質の相同組換え用ベクター(トランスファープラスミドベクター)(B)の構造を模式的に示した図である。 培養細胞(BmN細胞)におけるT3株、rT3−H4F株、rH4−T3F株、及びH4株の増殖をウイルスDNA量により示したグラフである。mockは非感染を示す。 培養細胞におけるT3株(レーン3及び4)、rT3−H4F株(レーン5及び6)、rH4−T3F株(レーン7及び8)、及びH4株(レーン9及び10)の感染48時間後と72時間後のポリヘドリンの発現(培養細胞と培養液に含まれる多角体の総体を解析)をSDS−PAGEの電気泳動より示した写真である。レーン1及び2は非感染培養細胞で同様の解析を行った結果を示す。 カイコ幼虫におけるT3株、rT3−H4F株、rH4−T3F株、及びH4株の増殖をウイルスDNA量により示したグラフである。mockは非感染を示す。 カイコ幼虫におけるT3株(レーン3及び4)、rT3−H4F株(レーン5及び6)、rH4−T3F株(レーン7及び8)、及びH4株(レーン9及び10)の感染48時間後と72時間後のポリヘドリンの発現をSDS−PAGEの電気泳動より示した写真である。レーン1及び2は非感染カイコ体液を用いて同様の解析を行った結果を示す。
[1]組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含み、カイコ生体内での増殖能を有する。本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、バキュロウイルス発現システムにおいて、目的タンパク質発現用ベクターとして用いることができる。
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、前記のFタンパク質をコードするヌクレオチドを含み、且つカイコの培養細胞又はカイコ生体において、ポリヘドリンタンパク質、又は目的タンパク質を産生することができる限り、限定されるものではない。例えば、組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターとして、カイコ核多角体病ウイルスのタンパク質をコードする遺伝子をすべて含みウイルス粒子を産生することができる組換えカイコ核多角体病ウイルス、カイコ核多角体病ウイルスの一部のタンパク質をコードする遺伝子を含みウイルス粒子を産生することができる組換えカイコ核多角体病ウイルス、又はカイコ核多角体病ウイルスの一部のタンパク質をコードする遺伝子を含みウイルス粒子を産生することができない組換えカイコ核多角体病ウイルス、を挙げることができる。
また、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、カイコ核多角体病ウイルスの遺伝子以外の遺伝子を含むことができ、例えば目的タンパク質の遺伝子が組込まれたウイルスベクター、又はマーカー遺伝子が組込まれたウイルスベクターを挙げることができる。マーカー遺伝子としては、例えば蛍光タンパク質遺伝子(例えば、GFP、EGFP、EBFP、ECFP、EYFP、AmCyan1、ZsGreen1、ZaYellow1、DsRed2、AsRed2及びHcRed1)、又は薬剤耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、除草剤ビアラフォス耐性遺伝子、又はスルホニル尿素耐性遺伝)を挙げることができる。
すなわち、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、カイコ核多角体病ウイルスそのものの遺伝子を有するカイコ核多角体病ウイルスでもよく、DsRedなどのマーカー遺伝子を含んだベクター(例えば、rT3−H4F株)でもよく、更に目的のタンパク質を含んだベクター(例えば、後述のH4−T3F/Boτ)でもよく、バキュロウイルス発現システムに用いられるバクミドなどのベクターでもよい。
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターに含まれるヌクレオチドとしては、例えば、配列番号3で表される塩基配列における1〜13559番の塩基配列からなるヌクレオチド、配列番号4で表される塩基配列における521〜4508番の塩基配列からなるヌクレオチド、及び配列番号3で表される塩基配列における15585〜127459番からなるヌクレオチドが、この順番に結合したヌクレオチドを挙げることができるが、このヌクレオチドは、実施例1で得られたrH4−T3F株のヌクレオチドの配列である。また、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターに含まれるヌクレオチドとしては、配列番号3で表される塩基配列における1〜13559番の塩基配列からなるヌクレオチド、配列番号4で表される塩基配列における527〜2548番の塩基配列からなるヌクレオチド、及び配列番号3で表される塩基配列における15585〜127459番からなるヌクレオチドが、この順番に結合したヌクレオチドを挙げることができるが、このヌクレオチドは、H4株のFタンパク質をコードするヌクレオチドをT3株のFタンパク質をコードするヌクレオチドに置換したヌクレオチドである。
(カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルス)
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスを骨格として含むものである。すなわち、カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスのヌクレオチドを骨格として含むものであり、ウイルスのすべてのヌクレオチドを含んでもよく、ウイルスの増殖に必要なタンパク質をコードする一部のヌクレオチドを含むものでもよい。特に、一部のヌクレオチドを含む場合、カイコ生体での優れた増殖能に関与するタンパク質をコードするヌクレオチドを含むものである。カイコ生体での優れた増殖能に関与するタンパク質としては、限定されるものでないが、GP64を挙げることができる。従って、一部のヌクレオチドとしては、H4株のGP64をコードするヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において、「カイコ生体での増殖能を有する」とは、カイコ核多角体病ウイルスT3株と比較してカイコ生体における増殖能がよいことを意味する。具体的には、カイコ核多角体病ウイルスT3株のカイコ生体における増殖に対して、増殖能が優れているカイコ核多角体病ウイルスをすべて含む。しかしながら、T3株と比較して好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.3倍以上、更に好ましくは1.5倍以上、最も好ましくは2倍以上、カイコ生体における増殖能が優れているものである。
カイコ生体における増殖能の測定方法は、特に限定されるものではなく、又はPCRによるカイコ核多角体病ウイルスのDNA量の測定、又はカイコ核多角体病ウイルスのPFUアッセイを用いることができる。更に、測定のポイントも特に限定されるものではなく、感染後の任意の時間を選択することができ、いずれかの1つのポイントにおいてT3株と比較した増殖能が優れていればよい。
例えば、カイコ生体における増殖能の測定方法として、後述の実施例3及び実施例5に記載の方法を準用することもできる。具体的には、5齢1日目のカイコ(例えば錦秋×鐘和)に、感染価(又はDNA量)を揃えた、T3株及び対象のカイコ核多角体病ウイルスを接種する。その後飼育5日目に感染カイコの体表にカミソリで傷つけ、100mL(4℃)の50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.5mMDTT中に体液(約0.5mL/頭)を回収する。カイコ個体から採取した体液を水で100倍希釈し、遠心分離(3,000rpm,3min.,4℃)を行い、その上清を回収する。この上清中のDNA量をPCR又はプラークアッセイで測定することによって、カイコ生体における増殖能を測定することが可能である。
カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスとして、最も好ましいものはカイコ核多角体病ウイルスH4株である。H4株の遺伝子配列を配列番号3に示す。このカイコ核多角体病ウイルスH4株はカイコ生体での優れた増殖能を示すが、H4株の遺伝子と相同性を示す遺伝子を有するカイコ核多角体病ウイルス、及び/又はH4株のタンパク質と高い同一性を示すタンパク質を有するカイコ核多角体病ウイルスも、カイコ生体での優れた増殖能を示す。従って、カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスとして、H4株の遺伝子と98%以上の相同性を有する遺伝子を含むウイルスを挙げることができ、より好ましくは98.5%以上、更に好ましくは99%以上、更に好ましくは99.5%以上、最も好ましくは99.7%以上の相同性を有するウイルスを挙げることができる。また、カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスとして、H4株のタンパク質のアミノ酸配列と98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むウイルスを挙げることができ、より好ましくは98.5%以上、更に好ましくは99%以上、更に好ましくは99.5%以上、最も好ましくは99.7%以上の同一性を有するウイルスを挙げることができる。
なお、カイコ核多角体病ウイルスH4株は、2005年2月2日付けで、独立行政法人農業生物資源研究所ジーンバンク(MAFF)に、受託番号MAFF261000として、寄託されている。
(Fタンパク質)
本発明のベクターに含まれるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドは、カイコ核多角体病ウイルスのFタンパク質であり、且つ674アミノ酸からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドにおいて、第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンをコードするヌクレオチドを含む限り、限定されるものではない。本明細書において、前記のアミノ酸を有するFタンパク質をT3系タンパク質と称し、最も好ましいT3系タンパク質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるT3Fタンパク質である。従って、本発明のベクターに含まれるFタンパク質をコードするヌクレオチドとして、最も好ましくは配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるT3Fタンパク質をコードするヌクレオチドである。
カイコ核多角体病ウイルスのFタンパク質は、前記のように感染における機能は不明であった。培養細胞における優れた増殖能を示すT3株のFタンパク質(配列番号1)と、カイコ生体における優れた増殖能を示すH4株のFタンパク質(配列番号2)では、12アミノ酸の違いが存在する。図1に示すように、H4株の674アミノ酸を基準としてT3株の置換を示すと、第102位のロイシンがリジンに、第103位のセリンがトレオニンに、第104位のフェニルアラニンがアルギニンに、第215位のセリンがアラニンに、第330位のバリンがロイシンに、第403位のセリンがアルギニンに、第404位のアスパラギンがアスパラギン酸に、第405位のイソロイシンがバリンに、第577位のチロシンがアスパラギンに、第578位のトレオニンがイソロイシンに、及び第598位のセリンがロイシンに置換され、そして第593位のロイシンが欠失している。
前記674アミノ酸からなるFタンパク質のアミノ酸配列の第102位、第103位、第104位、第215位、第330位、第403位、第404位、第405位、第577位、第578位、及び第598位以外のアミノ酸配列は、カイコ生体における高い増殖性及び培養細胞における優れた増殖性を示す限りにおいて、限定されるものではない。すなわち、本発明のベクターに含まれるFタンパク質をコードするヌクレオチドは、前記のアミノ酸をコードするヌクレオチド以外のヌクレオチドは特に限定されるものではない。またヌクレオチドの長さも、673アミノ酸をコードするヌクレオチドの長さである2019ヌクレオチドが好ましいが、これに限定されるものではない。
すなわち、Fタンパク質の前記の第102位等のアミノ酸以外のアミノ酸配列及びその長さは限定されるものではなく、Fタンパク質の674アミノ酸において、1〜10個、又は1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列でもよい。カイコ核多角体病ウイルスは、変異を起こすことがあり、そのようなFタンパク質においても、第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであることにより、本発明の効果を示すことができるからである。なお、欠失及び/又は挿入が置きた場合、アミノ酸の番号がずれるが、周囲のアミノ酸配列から前記の第102位等のアミノ酸を特定することは、当業者にとって容易である。
(カイコ生体)
カイコ生体としては、例えばカイコ幼虫、又はカイコ蛹を挙げることができる。カイコ幼虫も限定されるものではないが、通常4齢〜最終齢の幼虫を用いることが好ましく、操作の容易性と、得られるタンパク質の収率から5齢幼虫がより好ましい。
(目的タンパク質発現用ベクター)
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、目的タンパク質発現用ベクターとして用いることができる。本明細書において「目的タンパク質発現用ベクター」とは、目的タンパク質をコードするヌクレオチドを組み込むためのベクター及び目的タンパク質をコードするヌクレオチドを組み込まれたベクターの両方を意味する。
カイコ核多角体病ウイルスは、増殖後期に感染核内に多角体と呼ばれる包埋体を形成し、内部に多くのウイルス粒子を包埋する。この包埋体はウイルス遺伝子にコードされるポリヘドリンと呼ばれるタンパク質からできており、感染末期には宿主細胞タンパク質の50%以上を占めることがある。例えば、このポリヘドリン遺伝子(polh)のコード領域を目的タンパク質のコード配列と置換した目的タンパク質発現用ベクターを用いることにより、感染細胞内で目的タンパク質を効率よく発現させることができる。
目的タンパク質発現用ベクターにおける、目的タンパク質をコードする遺伝子を挿入する領域は、目的タンパク質が発現する限りにおいて、限定されるものではないが、ポリヘドリン遺伝子のプロモーター領域の下流が好ましく、ポリヘドリン遺伝子のコード領域と目的タンパク質のコード遺伝子とを置換してもよく、ポリヘドリン遺伝子と目的タンパク質のコード遺伝子とを融合させてもよい。ポリヘドリン遺伝子プロモーターの制御下で目的タンパクを発現することができるため、大量の目的タンパク質を得ることができる。
(カイコ核多角体病ウイルスベクター発現システム)
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは、カイコ核多角体病ウイルスベクター発現システムにおいて、目的タンパク質発現用ベクターとして用いることのできるものである。
カイコ核多角体病ウイルスベクター発現システムは、目的タンパク質発現用ベクター、目的タンパク質を目的タンパク質発現用ベクターに組み込むためのトランスファーベクター、カイコ培養細胞、又はカイコ生体(カイコ幼虫、又はカイコ蛹)などを含むことができる。
カイコ核多角体病ウイルスベクター発現システムは、後述の目的タンパク質の製造方法に記載の方法に従って用いることにより、目的のタンパク質を大量且つ容易に調製することが可能である。
[2]カイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター
本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターは、カイコ核多角体病ウイルスの673アミノ酸からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドにおいて、第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、及び第597位がロイシンをコードするヌクレオチドを含むものである。本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターは、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターを製造するためのトランスファーベクターとして用いることができる。
本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターは、前記の第102位等の特定のアミノ酸を含むFタンパク質をコードするヌクレオチドを含む限り、限定されるものではない。
本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターは、Fタンパク質をコードするヌクレオチド以外の遺伝子を含むことができ、例えばマーカー遺伝子が組込まれたウイルスベクターを挙げることができる。マーカー遺伝子としては、例えば蛍光タンパク質遺伝子(例えば、GFP、EGFP、EBFP、ECFP、EYFP、AmCyan1、ZsGreen1、ZaYellow1、DsRed2、AsRed2及びHcRed1)、又は薬剤耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、除草剤ビアラフォス耐性遺伝子、又はスルホニル尿素耐性遺伝)を挙げることができる。また、マーカー遺伝子以外に、プロモーター遺伝子、エンハンサー又はpoly(A)付加シグナルなどのシス・エレメントを含むこともできる。
本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターに含まれるヌクレオチドとしては、例えば配列番号4で表される塩基配列からなるヌクレオチドを挙げることができる。配列番号4に記載のヌクレオチドは、実施例1で構築したトランスファープラスミドベクターp−rec H4−T3 F proteinに含まれるヌクレオチドであり、図(A)に示すように、「H4 F protein up」、「T3 F protein」、「Poly(A)」、「ie−1p」、「DsRed」、「Poly(A)」、及び「H4 F protein down」を含む。
本発明のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクターに含まれるFタンパク質をコードするヌクレオチドは、前記カイコ核多角体病ウイルスベクターに含まれるヌクレオチドと同じものであり、前記「Fタンパク質」の項に記載のFタンパク質をコードするヌクレオチドを用いることができる。具体的には、本発明のベクターに含まれるFタンパク質をコードするヌクレオチドは、カイコ核多角体病ウイルスのFタンパク質であり、且つ674アミノ酸からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドにおいて、第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンをコードするヌクレオチドを含む限り、限定されるものではないが、好ましくは配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドである。
[3]目的タンパク質の製造方法
本発明の目的タンパク質の製造方法は、(1)前記組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターのヌクレオチドに、目的タンパク質をコードするヌクレオチドを相同組換えにより導入することによって、目的タンパク質のヌクレオチドが組込まれた目的タンパク質発現用ベクターを作製する工程、(2)培養細胞又はカイコ生体に前記目的タンパク質発現用ベクターを感染させる工程、及び(3)前記感染培養細胞若しくは培養上清、又は感染カイコ生体から目的タンパク質を回収する工程、を含む。
(1)目的タンパク質発現用ベクター作製工程
目的タンパク質を発現させるための組換えウイルスの構築方法は、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターを用いることを除いては、公知の方法に従って行うことができる。すなわち、目的タンパク質を組込んだトランスファープラスミドベクターを作製し、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターとトランスファープラスミドベクターとの相同組換えにより、目的タンパク質のヌクレオチドが組込まれたウイルスベクターを作製することができる。
具体的には、トランスファープラスミドベクターにクローニングした目的遺伝子を挿入する。目的タンパク質を組込んだトランスファープラスミドベクターと、本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターとを、カイコ培養細胞、例えばBmN株にコトランスフェクションした後、培養を続け、培養液中に出現した組換え体を限界希釈法、又はプラーク法などの一般的な方法によってクローニングする。目的タンパク質が組込まれた組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターは多角体の形成能がないことから、野性型ウイルスと容易に区別できる。
トランスファープラスミドベクターとしては、通常使用されているトランスファープラスミドベクターを制限なく使用できるが、例えば、pBM030、pBM010、及びpBM030−sisを挙げることができる。
(2)感染工程
本発明の目的タンパク質の製造方法における感染工程は、培養細胞又はカイコ生体に前記目的タンパク質発現用ベクターを感染させるものである。
カイコ生体(例えば、カイコ幼虫、又はカイコ蛹)への感染は、通常の方法を用いることができる。例えば5齢1日目のカイコ幼虫に、適当な希釈のウイルスを注射することによって感染させることができる。ウイルス接種後、4〜6日程度でウイルスを含む試料を回収することができる。また、カイコ蛹に適当な希釈のウイルスを注射することによって感染させることができ、6〜7日程度でウイルスを回収することができる。
培養細胞への感染も通常の方法に従って行うことができる。例えば、カイコ培養細胞を無血清培地で洗浄し、無血清培地で最適に希釈したウイルス液を添加する。1時間後に血清が添加された培地と交換し、25〜28℃で培養する。感染時間は適宜決定することができるが、例えば1〜3日程度培養して、ウイルス液を回収する。
(培養細胞)
本発明の目的タンパク質の製造方法において使用することのできる培養細胞は、特に限定されるものではないが、例えばBmN細胞(カイコ卵巣由来)、NIAS−Bm−Ke1、又はBmN4を挙げることができる。
(3)回収工程
本発明の目的タンパク質の製造方法における、目的タンパク質の回収は、通常の方法を用いることができる。
目的タンパク質を回収する試料としては、カイコ幼虫の体液、脂肪体、及び細胞、カイコ蛹の細胞、培養細胞の培養上清、及び培養細胞を用いることができるが、カイコ幼虫の体液が好ましい。
目的タンパク質の精製方法も、限定されるものではないが、例えばゲルろ過カラム、イオン交換カラム、疎水性カラム、逆相カラム、硫安塩析、及び透析などを単独で、又は組み合わせて用い、目的タンパク質を分離及び精製することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例では、カイコ核多角体病ウイルスのH4株及びT3株のそれぞれのFタンパク質を入れ換えた組換えH4−T3F株及び組換えT3−H4F株を作製した。
H4のFタンパク質をT3のFタンパク質に置換した組換えウイルスであるrH4−T3F株を作製するためのトランスファープラスミドベクターp−rec H4−T3 F protein、T3のFタンパク質をH4のFタンパク質に置換した組換えウイルスであるrT3−H4F株を作製するためのトランスファープラスミドベクターp−rec T3−H4 F protein、及びT3のFタンパク質をT3のFタンパク質に置換した組換えウイルス(rec T3−T3 F protein)を作製するためのトランスファープラスミドベクターp−rec T3−T3 F proteinを作製した。作製の際に用いたプライマー(1)〜(6)は表1に示した。
(p−rec H4−T3F proteinの構築)
まず、H4のゲノムライブラリーの中からpPst Rを鋳型とし、プライマー(1)、プライマー(2)を用いてPCRを行うことで、制限酵素KpnIとApaIの認識配列を5’あるいは3’末端に付加したH4 F protein上流配列(520塩基、H4 F protein up)を増幅し、これをpGEM−Teasy vector(Promega)にクローニングした(pGEM−H4 F protein up)。
次に、T3のゲノムライブラリーの中からpEco Cを鋳型とし、プライマー(3)、プライマー(4)を用いてPCRを行うことで、制限酵素ApaIとSmaIの認識配列を5’あるいは3’末端に付加したT3 F protein配列を増幅し、pGEM−Teasy vector(Promega)にクローニングした(pGEM−T3 F protein)。
更に、H4のゲノムライブラリーの中からpPst Jを鋳型とし、プライマー(5)、プライマー(6)を用いてPCRを行うことで、制限酵素AflIIとSpeIの認識配列を5’あるいは3’末端に付加したH4 F proteinの下流配列(539塩基、H4 F protein down)を増幅し、それをpGEM−Teasy vector(Promega)にクローニングした(pGEM−H4 F protein down)。
制限酵素PstIとSacIの認識配列を5’あるいは3’末端に付加したSV40 polyadenylation signal(SV40 poly(A))をpGEM−Teasy vectorにクローニングしたものから、制限酵素SacIとPstIでSV40 poly(A)を切り出した。また、pBIS−vectorを制限酵素SacIとSalIで消化して、BmNPV ie−1 promoter領域を切り出した。これら2断片をPstIとSalIで消化したpBluescript II SK(−)vector(Stratagene)に挿入した(pBlue−polyA−ie1p)。
次に、pBlue−polyA−ie1pを制限酵素SmaIとXhoIで消化して切り出したSV40 poly(A)及びie−1 promoter領域を含む断片を平滑末端化した後、SmaIで消化したpGEM−T3 F proteinに挿入した(pGEM−T3 F protein−polyA− ie1p)。
次に、pDsRed−Express2−1(Clontech)をEcoRIとAflIIで消化し、DsRedのORF及びSV40 poly(A)を含む領域を切り出した。また、pGEM−H4 F protein downをAflIとSacIIで消化し、H4 F protein下流配列を切り出した。これら2断片を制限酵素EcoRIとSacIIで消化したpBluescript II SK(−)vectorに挿入した(pBlue−DsRed−polyA−H4 F protein down)。
更に、pGEM−H4 F protein upを制限酵素KpnIとApaIで消化して、H4 F protein 上流配列(H4 F protein up)を切り出し、また、pGEM−T3 F protein−polyA−ie1pをApaIとEcoRIで消化して、T3 F protein配列及びSV40 poly(A)、ie−1 promoter配列(ie−1p)を含む断片を切り出した。次に、pBlue−DsRed−polyA−H4 F protein downをEcoRIとSpeIで消化して、DsRedのORFとSV40 poly(A)及びH4 F protein下流配列(H4 F protein down)を含む領域を切り出した。これら3断片を制限酵素KpnIとSpeIで消化したpBluescript II SK(−)vectorに挿入した(p−rec H4−T3 F protein)。p−rec H4−T3 F proteinの構造を図2Aに示す。
(p−rec T3−H4F proteinの構築)
T3株とH4株を入れ換えて、前記「p−rec H4−T3F proteinの構築」の操作を繰りかえすことによって、トランスファープラスミドベクターp−rec T3−H4 F proteinを得た。p−rec T3−H4 F proteinの構造を図2Bに示す。
また、コントロールとしてトランスファープラスミドベクターp−rec T3−T3 F proteinを得た。
(rH4−T3F株及びrT3−H4F株の作製)
3μgのp−rec H4−T3 F protein及び1μgのBmNPV H4ゲノム、3μgのp−rec T3−H4 F protein及び1μgのBmNPV T3ゲノム、3μgのp−rec T3−T3 F proteinと1μgのBmNPV T3ゲノムを各々のウェルのBmN細胞にコトランスフェクションして相同組換えを行い、5〜6日後に培養上清を回収した。
培養上清中の組換えウイルスの選抜は次のように行った。10〜10倍に希釈した培養上清を培養細胞に接種し、4〜6日後にDsRedが発現しているキメラウイルス(p−rec T3−H4 F proteinウイルス、p−rec H4−T3 F proteinウイルス、p−rec T3−T3 F proteinウイルス)のプラークを、蛍光顕微鏡(Leica MZ FI III)を用いて確認しながらゲルごと採取して、TC100培地100μLに懸濁した(ウイルスの純化)。更に、それらのウイルスの純化を3回繰り返し、クローン化組換えウイルスとした。
得られた組換えウイルスの構造の確認は、PCRにより確認した。H4株ではT3株の76954から77545に相当する位置に約600塩基の欠失が認められる。従って、PCR産物の長さによって、目的の組換えウイルスであることを確認した。
《実施例2:培養細胞における増殖及び多角体タンパク質の産生》
本実施例では、rH4−T3F株及びrT3−H4F株の培養細胞における増殖及びポリヘドリンタンパク質の発現を確認した。
カイコ卵巣由来のBmN細胞を、TC100培地(Applichem)に10%ウシ胎児血清(Biowest)を加えた血清TC100培地を用いて26℃で培養した。
BmN細胞へのウイルス感染は、12ウエルプレートのウェルあたりBmN細胞を5×10個になるように播種し、2時間無血培養したものを無血清TC100培地で2回洗浄した後、多重感染度multiplicity of infection(MOI)=1となるように無血清TC100培地で希釈したウイルス液をそれぞれのウェルに加えることで行った。1時間後、ウイルス接種液をウェルにつき1mLの血清TC100培地に交換し、感染後84時間まで12時間毎に培養上清を回収した。それぞれの時間の培養上清中のウイルスDNA量をPCRにより測定した。また、48時間及び72時間のBmN細胞及び培養上清中のポリヘドリンの発現をウエスタンブロットにより調べた。
(ウイルスDNA量の測定)
ウイルスDNA量は、ie−1プライマー(表2)及びSYBR Premix Ex TaqTM(Perfect real time)(Takara)を用いた定量的real−time PCR(qPCR)で見積もった。
培養上清10μLに等量の0.1%SDSを加え、95℃で5分間加熱処理を行った。その後、氷中に2分間静置し、遠心分離(15,000rpm,5min.,4℃)を行い、その上清2μLに7.2μLの滅菌水、0.4μLずつの各プライマー溶液(10μM)、10μLのSYBR Premix Ex TaqTMを混合し、反応条件〔95℃−30sec.〕×1cycle、〔95℃−4sec.,60℃−25sec.〕×40cyclesに設定したTaKaRa Smart Cycler II(Takara)を用いて反応を行い、DNAの増幅及びSYBR Greenの蛍光強度を計測した。結果を図3に示す。
rH4−T3F株は、親株であるH4株と比較して、例えば84時間において6倍程度の高い増殖能が示した。また、T3Fタンパク質の親株であるT3株と比較しても2倍近く高い増殖能を示した。
一方、rT3−H4F株は、H4Fタンパク質が組込まれたにもかかわらず、BmN細胞における増殖能は低下せず、親株であるT3株と同等の増殖能を示した。
(ポリヘドリンの発現)
ポリヘドリンの発現は、SDS−PAGEによって確認した。回収した細胞及び上清に1MのNaCOを終濃度50mMになるように加えて多角体を完全に溶解させたものを多角体溶解液とした。この多角体溶解液に1/5量の5×SDSサンプルバッファーを加え、沸騰水中で3分間加熱後、遠心分離(15,000rpm,5min.,4℃)した上清10μLを10%polyacrilcmide gelを用いて、80Vで30分間、120Vで1時間電気泳動をした。分子量マーカーはSDS−PAGE Standards,Broad−Range(BioRad)を使用した。泳動バッファーは1/5量のElectrophoresis bufferを用いた。染色は、Coomassie brilliant blue染色液に浸して55℃で15分間振とうすることで行った。その後10%酢酸に浸し、バンドが確認できるまで2〜3回10%酢酸を交換しながら55℃で振とうして脱色した。結果を図4に示す。
rH4−T3F株は、48時間及び72時間のいずれでも最も高いポリヘドリンの発現量を示した。
《実施例3:カイコ生体における増殖及び多角体タンパク質の産生》
本実施例では、rH4−T3F株及びrT3−H4F株のカイコ幼虫における増殖及びポリヘドリンタンパク質の発現を確認した。
カイコ個体へのウイルス接種は、ウイルス液を無血清TC100培地で希釈した100PFU相当量のウイルス液2μLを注射することで行った。注射後72時間、96時間、108時間、120時間、132時間にカイコ個体体液の採取を行った。それぞれの時間の培養上清中のウイルスDNA量をPCRにより測定した。また、48時間及び72時間のBmN細胞及び培養上清中のポリヘドリンの発現をウエスタンブロットにより調べた。
(ウイルスDNA量の測定)
カイコ個体から採取した体液を即座に水で100倍希釈し、遠心分離(3,000rpm,3min.,4℃)を行い、その上清を回収した。培養上清に代えて、前記遠心分離で回収した上清を用いたことを除いては、前記実施例2の「ウイルスDNA量の測定」の操作を繰り返した。結果を図5に示す。
rH4−T3F株は、H4Fタンパク質がT3タンパク質に置換されたにもかかわらず、H4株と同程度の増殖能を示した。
一方、rT3−H4F株は、H4Fタンパク質が組込まれたにもかかわらず、カイコ幼虫における増殖能は向上しなかった。
(ポリヘドリンの発現)
カイコ個体から採取した体液は即座に10倍量の水で希釈した後、遠心分離(10,000rpm,1min.,4℃)を行い、上清を除き、沈殿を水に懸濁した。これをサンプルとして、1MのNaCOを終濃度50mMになるように加えて多角体を完全に溶解させ、多角体溶解液とした。この多角体溶解液を用い、前記実施例2の「ポリヘドリンの発現」の操作を繰り返し、ポリへドリンの発現を確認した。結果を図6に示す。
《実施例4:組換えウイルスの感染性》
本実施例では、組換えH4−T3F株及び組換えT3−H4F株の感染性を検討した。
12ウエルプレートのウェルあたりBmN細胞を5×10個になるように播種し、2時間無血培養したものを無血清TC100培地で2回洗浄した。多重感染度multiplicity of infection(MOI)=1となるように無血清TC100培地で希釈した組換えH4−T3F株、組換えT3−H4F株、T3株、及びH4株のウイルス液をそれぞれのウェルに加えた。1時間後、ウイルス接種液をウェルにつき1mLの血清TC100培地に交換した。6日後に培養上清を回収し、ウイルス粒子を精製した。それぞれの時間の培養上清中のウイルスDNA量をPCRにより測定し、1.5×10コピー/mLの濃度に調整した。
1.5×10コピー/mLの濃度に調整したH4−T3F株、組換えT3−H4F株、T3株、及びH4株のウイルス液の感染価を、BmN細胞を用いたプラークアッセイによって測定した。H4−T3F株は、1.5×10コピー/mLあたり、1.0×10PFU/mLの感染価を示した。この感染価は、T3株の約10倍であった(表3)。
《実施例5:目的タンパク質の製造》
本実施例では、T3株、H4株、及び組換えH4−T3F株にウシインターフェロン−τ(BoIFN−τ)の遺伝子を組み込み、カイコ生体により製造した。
市販の牛肉片(20mg)からDNAzol(インビトロジェン)を用い、定法によりDNAを精製した。得られたDNAを鋳型にして、以下の2つのプライマーを用いたPCR(TaKaRa EX Taqを用いた)を行った。なお、tou5はBoIFN−τ遺伝子配列の5’側配列を含み、その上流に制限酵素SalIの認識配列を持つものであり、tou3はBoIFN−τ遺伝子配列の3’側配列の相補配列を含み、その上流に制限酵素HindIIIの認識配列を持つものである。
tou5:5’−CTTGTCGACATCTTCCCCATG−3’(配列番号13)
tou3:5’−CTGAAGCTTAGTCAGCGAGAG−3’(配列番号14)
増幅された断片をプラスミドベクターpGEM−T(プロメガ)を用いてクローニングした(pGEM−T Easy/BoIFN−τ)。
得られたBoIFN−τ遺伝子断片(配列番号15)(DNAデータベース ID: AF238612)を、BmNPVの多角体遺伝子外来遺伝子を挿入するためのトランスファープラスミドpBM030(Horiuchi et al., High-level expression of the human-a-interferon gene through the use of an improved baculovirus vector in the silkworm, Bombyx mori. Agric. Biol. Chem. 51, 1573-1580, 1987)のクローニング部位(EcoRI−XbaIサイト)に挿入し、BoIFN−τ遺伝子組換えトランスファープラスミドpBM030−Boτを得た。すなわち、pBM030をXbaIで切断し平滑末端化を行い、更にEcoRIで切断したベクターと、pGEM−T Easy/BoIFN−τ(2ug)をHindIIIで切断し平滑末端化を行い、更にEcoRIで切断した断片をライゲーションし、pBM030−Boτを作製した。
得られたpBM030−Boτと、T3株、H4株及びH4−T3F のDNAをカイコBmN細胞に同時導入することによって相同組換えを行い、T3−/Boτ株、H4/Boτ株、及びH4−T3F/Boτ株を得た。
T3−/Boτ株、H4/Boτ株、及びH4−T3F/Boτ株によるカイコ幼虫におけるBoIFN−τの発現を確認した。5齢1日目のカイコ(錦秋×鐘和、30頭、愛媛蚕種株式会社より入手)に同じ感染価のT3−/Boτ株、H4/Boτ株、及びH4−T3F/Boτ株を接種し、その後飼育5日目に感染カイコの体表にカミソリで傷つけ、100mL(4℃)の50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.5mM DTT中に体液(約0.5 mL/頭)を回収した。この体液回収液から、陰イオン交換カラムHiTrap Q HP 1mL(GEヘルスケア)と金属キレートカラムHiTrap Chelating HP 1mL(GEヘルスケア)を用いて、添付のプロトコールに従ってBoIFN−τを精製した。BoIFN−τの回収量は、T3−/Boτが80ug/幼虫、H4/Boτ及びH4−T3F/Boτが180ug/幼虫であった。
精製したBoIFN−τのN末端アミノ酸配列を確認したところ、シグナルペプチド部分が昆虫細胞においても切断されてカイコ体液中に分泌されていることが判明した。実際には1アミノ酸多い、N末端から24アミノ酸が切断されている組換えタンパク質(配列番号16)であった。このタンパク質の推定分子量は19.6kDaであるが、SDS−PAGEでの見かけの大きさは約22kDであり、糖鎖が付加されていることが示唆された。
本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスは、カイコ生体を用いたバキュロウイルス発現ベクターシステムにおいて、増殖性の優れた目的タンパク質発現用ベクターとして用いることができる。本発明の組換えカイコ核多角体病ウイルスを用いたバキュロウイルス発現ベクターシステムは及び本発明の目的タンパク質の製造方法によれば、目的タンパク質を大量に且つ容易に製造することが可能である。

Claims (10)

  1. Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含み、カイコ生体内での増殖能を有することを特徴とする、組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター。
  2. カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスの、Fタンパク質をコードするヌクレオチド以外の一部若しくはすべてのヌクレオチドを含み、且つ前記T3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドである、請求項1に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター。
  3. 前記カイコ生体での増殖能を有するカイコ核多角体病ウイルスが、
    (1)カイコ核多角体病ウイルスT3株のカイコ生体における増殖能に対して1.1倍以上の増殖能を示すカイコ核多角体病ウイルス、
    (2)配列番号3で表される塩基配列からなるヌクレオチドを含むカイコ核多角体病ウイルス、又は
    (3)カイコ核多角体病ウイルスT3株のカイコ生体における増殖能に対して1.1倍以上の増殖能を示し、且つ配列番号3で表される塩基配列からなるヌクレオチドとの相同性が98%以上のヌクレオチドを含むカイコ核多角体病ウイルス、
    である、請求項1又は2に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター。
  4. 目的タンパク質発現用ベクターである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクター。
  5. Fタンパク質を構成する674アミノ酸の第102位がリジン、第103位がトレオニン、第104位がアルギニン、第215位がアラニン、第330位がロイシン、第403位がアルギニン、第404位がアスパラギン酸、第405位がバリン、第577位がアスパラギン、第578位がイソロイシン、第593位が欠失、及び第598位がロイシンであるT3系Fタンパク質をコードするヌクレオチドを含む、カイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター。
  6. 前記ヌクレオチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるFタンパク質をコードするヌクレオチドである、請求項5に記載のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター。
  7. 配列番号4で表される塩基配列からなるヌクレオチドを含む請求項6に記載のカイコ核多角体病ウイルスの相同組換え用ベクター。
  8. 目的タンパク質の製造方法であって、
    (1)請求項1〜4のいずれか一項に記載の組換えカイコ核多角体病ウイルスベクターのヌクレオチドに、目的タンパク質をコードするヌクレオチドを相同組換えにより導入することによって、目的タンパク質のヌクレオチドが組込まれた目的タンパク質発現用ベクターを作製する工程、
    (2)培養細胞又はカイコ生体に前記ウイルスベクターを感染させる工程、及び
    (3)前記感染培養細胞若しくは培養上清、又は感染カイコ生体から目的タンパク質を回収する工程、を含む、目的タンパク質の製造方法。
  9. 目的タンパク質がウシインターフェロン−τである請求項8に記載の目的タンパク質の製造方法。
  10. 請求項9の目的タンパク質の製造方法によって得られる、糖鎖が付加されている遺伝子組換えウシインターフェロン−τ。
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