JP2013239577A - 集光型太陽電池パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型軽量で取り扱いが容易な集光型太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】本発明に係る集光型太陽電池パネル1は、複数の太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11e及び太陽電池セル12から構成され、太陽電池ユニット11は、光を集光させる集光部と、集光した光を太陽電池セル12まで導光し入射させる導光部とから構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、集光型太陽電池パネルに関する。
近年、太陽電池パネルの普及は大きな広がりを見せ、電卓等の小型電子機器に搭載される比較的小さなものから、家庭用として住宅に取り付けられる太陽電池パネルや大規模な発電施設に用いられる大面積の太陽電池発電システム、さらには人工衛星の電源まで、様々な分野で利用が促進されている(例えば、特許文献1参照)。
太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、様々な方式が知られている。例えば太陽電池セルの使用材料の種類によって結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、化合物系(CIS系、CdTe系、GaAs系等)、有機系(色素増感、有機薄膜等)等に分類され、用途により使い分けられている。
また、例えばシステムの形態によって、結晶シリコン系(太陽電池セルを複数配列)、薄膜系(パネル全体に発電層を薄く形成)、集光型(集光レンズと高効率セルの組み合わせ)等に分類され、材料や用途により使い分けられている。
太陽電池パネルの課題の一つに発電コストの低減があり、様々な試みがなされている。発電コストが高い原因の一つとして、太陽電池セルの材料が高価であることが挙げられる。この問題の解決策として集光型が注目されている。集光型は、集光によって太陽電池セルの使用量を減らすことが出来るため、高効率セルを使用しても発電コストの低減が可能となる。(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の集光型太陽光パネルは、集光させるために必要な焦点距離を確保するために、集光レンズと太陽電池セルとを離して配置する必要があり、かなりの厚みが必要となってしまう。また、集光レンズと太陽電池セルの配置が不適切だと性能が低下するため、適切な位置に保持するために、強固な筐体を用いて固定する必要があり、重量が重くなる、組み立てが難しい、コストが増加するなどの問題が生じてしまう。
特許文献3に示される技術は、集光と導光を同時に行うため、構造体の構造が複雑になっている。
特開2001−295437号公報 特開2009−272567号公報 特開2010−525582号公報
上記のように、従来の集光型太陽電池パネルは、太陽電池セルの使用量を減らすことで発電コストの低減が可能であるとされているが、集光レンズと太陽電池セルを離して配置する必要があるためにパネルが厚くなる、集光レンズと太陽電池セルの固定のために強固な筐体が必要であるために、重い、組み立てが難しい、コストが増加するなどの課題があり、さらなる改善が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑み、薄型軽量で取り扱いが容易な集光型太陽電池パネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、複数の太陽電池ユニット、及び太陽電池セルから構成される集光型太陽電池パネルであって、前記太陽電池ユニットは、光を集光させる集光部と、集光した前記光を前記太陽電池セルまで導光し入射させる導光部とからなることを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、導光部の端部に太陽電池セルを設置するため、太陽電池パネルの薄型化が可能となり、強固な筐体を用いないため軽量化が可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記集光部の入射面は、前記集光型太陽電池パネルの入射面を分割して設けられており、前記集光部の入射面の各々は重複しないことを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、太陽電池パネルに入射する光を最大限に利用できるため、集光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記集光部の背面側には入射光を集光する凹凸構造が配置されており、前記凹凸構造の断面形状は、直角三角形であり、前記直角三角形を構成する斜辺と隣辺とがなす鋭角θは、以下のように設定されていることを特徴としている。
・φ1=arctan(x/2/y1)≧arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ1/2
・φ1=arctan(x/2/y1)<arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ2/2
φ2=arctan(x/y2)
ただし、φ1は前記集光部の前記入射面への裏面からの入射角であり、φ2は前記導光部の前記集光部側端部上面への入射角であり、y1は前記集光部の高さであり、y2は前記導光部の高さであり、n1は前記太陽電池ユニットの屈折率であり、n2は前記太陽電池ユニットの外部雰囲気の屈折率であり、xは前記集光部における前記導光部までの距離である。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、形状が適切に設定された凹凸構造により、集光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記凹凸構造は、当該凹凸構造に沿って反射層が形成されていることを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、凹凸構造に沿って反射層が形成されているために、集光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記導光部の出射面は、前記太陽電池セル側の出射面を分割して設けられており、前記導光部の出射面の各々は重複しないことを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、太陽電池パネルを出射する光を、太陽電池セルに入射する光として最大限に利用できるため、集光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記太陽電池ユニットのうち少なくとも前記導光部は、空気層を介して配置されていることを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、少なくとも導光部が空気層を介して積層されているため、導光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記導光部は、前記空気層を形成する突起部を有しており、前記突起部の高さは、100μm以上1mm以下の範囲内に設定さ
れていることを特徴としている。
このような特徴の太陽電池パネルによれば、簡便かつ確実に導光部を空気層を介して積層させることが可能となり、導光効率を高めることが可能となる。
本発明の一態様に係る集光型太陽電池パネルは、前記集光部と前記導光部を兼ねる太陽電池ユニットを少なくとも1層含むことを特徴としている。
このような特徴の集光型太陽電池パネルによれば、太陽光パネルの入射面の全面積を集光部として利用することができ、かつ、太陽光パネルの出射面の全面積を利用できるため、集光効率を高めることが可能となる。
本発明に係る太陽電池パネルによれば、集光部に設けられた凹凸構造によって効率よく導光部に集光することが可能であり、導光部は凹凸構造が設けられておらず、かつ空気層を介して積層されていることによって、より確実に光を導光し、太陽電池セルに入射させることが可能となる。
本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す縦断面図である。 本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。 本発明の実施形態の太陽電池ユニットの概略構成を示す縦断面図である。 本発明の実施形態の凹凸構造の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。 本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。 導光部からの距離の違いによる集光作用を説明する模式的な光路図である。 凹凸構造の鋭角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。 凹凸構造の頂角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。 導光部からの距離の違いによる導光作用を説明する模式的な光路図である。 本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の太陽電池パネルの実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す縦断面図である。図2は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す斜視図である。図3(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。図4は、本発明の実施形態の太陽電池ユニットの概略構成を示す縦断面図である。図5は、本発明の実施形態の凹凸構造の一例を示す斜視図である。図6(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。図7(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す平面図及び断面図である。
図1に示すように、本実施形態の太陽電池パネル1は、複数の太陽電池ユニット11と、太陽電池セル12と、複数の空気層13とを備え、太陽電池パネル1の外部側に配置された光源Lからの光を受光することにより発電を行なう装置である。
なお、光源Lとしては、例えば、太陽や、室内灯の人工照明などを採用することができ
る。
太陽電池パネル1は、太陽電池ユニット11の積層体である。
例えば、図2及び図3に示すように、5つの太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eにより形成されている。ユニットの数は5に限らないが、ここではユニット数が5の場合を例に説明する。
太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eは太陽電池パネル1の入射面をそれぞれ5分割しており、かつ太陽光パネル1の太陽電池セル12への出射面を5分割している。
太陽電池ユニット11a、11b、11c、11dは、XY断面が概L字形状を為しており、図4に示すように、集光部111と、導光部112と、突起部103とを備え、集光部111は、凹凸構造101と、反射層102をさらに備えている。
代表的な例として、ここでは太陽電池ユニット11a、11b、11c、11dの集光部111の幅(X方向)はそれぞれ等しいこととする。なお、集光部111の幅は必ずしも等しくなくても良く、他の設計を考慮して適宜設定することが出来る。
また、導光部112の高さ(Y方向)は、ここでは代表的な例として、それぞれ等しいこととする。なお、導光部112の高さは必ずしも等しくなくても良く、他の設計を考慮して適宜設定することが出来る。
集光部111の高さ(Y方向)は、導光部112の高さ(Y方向)によって異なり、太陽電池ユニット11aが一番高く、11b、11c、11dの順に低くなる。
太陽電池ユニット11e、すなわち入射面を5分割した中で最も太陽電池セル12への出射面に近いユニットは、導光部111及び突起部103を持たず、集光部111のみから構成されており、XY断面は概L字形状ではなく長方形状を為している。集光部111は、他のユニットと同様に凹凸構造101と反射層102をさらに備えている。
ここでは、集光部111の幅(X方向)は太陽電池ユニット11a、11b、11c、11dと等しいこととする。なお、集光部111の幅は、必ずしも等しくなくても良く他の設計を考慮して適宜設定することが出来る。
太陽電池ユニット11eの集光部111の高さ(Y方向)は、ここでは、太陽電池ユニット11a、11b、11c、11dにおける導光部112の高さ(Y方向)と等しくなっている。
太陽電池ユニット11は、光源Lからの光を内部で集光及び導光させるため、透過率が高い透明な材料から形成されている。
太陽電池ユニット11に使用する材料としては、透光性を有し、後述する凹凸構造101の形状を形成することができれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を採用することができる。
太陽電池ユニット11に使用する熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を1種又は2
種以上混合して使用することができる。
また、上述の樹脂の他に例えば、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等の各種添加剤が適宜配合されてもよい。
なかでも、透光性に優れ安価なPMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエチレン系樹脂が好適である。
凹凸構造101、及び突起部103を有する太陽電池ユニット11の作製方法としては、金型を用いたプレス法・キャスティング法・押し出し成形法・射出成形法などが挙げられる。
なかでも、射出成型法は凹凸構造101と突起部103を同時に形成することができるため好適である。
ここでは、太陽電池ユニット11を射出成型法で作製する方法について説明する。
使用する金型は、フライス加工、ワイヤー放電加工、研磨加工など既知の方法により作製することができる。
特に凹凸構造101部分については、バイト切削やエッチングなどにより直接加工する方法と、別に作製したスタンパを組み込む方法とのいずれかによって作製することができる。スタンパは金属板の切削加工や、バイト切削及び電子ビームによる描画やエッチングによって得られた母型の電鋳加工等により得ることができる。スタンパを組み込む方法は、スタンパを金型とは別に作製するため、加工方法の選択肢が多くなり、より微細な構造の形成も可能であることから好適である。
このような加工により作製された金型には、凹凸構造101及び突起部103の逆型構造が形成されている。
凹凸構造101は、本実施形態では、図5に模式的に示すように、斜辺と隣辺が為す角度である鋭角θを有する直角三角形状の断面が一方向に延ばされた形状の単位構成が、各頂部の稜線Qが平面に整列するように延在する方向と直交する方向に複数隣接された凹凸形状となっている。頂部が配列されたピッチは一定値Pである。
凹凸構造101の頂部のピッチPは、50μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。ピッチPが50μmよりも小さいと、凹凸構造101に沿う反射層102で光が反射する際に光の回折が起こる場合がある。この回折光は、分光し広がった光となるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。さらに、凹凸構造101を製造する金型を切削する時間が長くなり、これにより製造タクトが延びて生産効率が悪くなるため好ましくない。
これに対してピッチPが50μm以上であれば、回折が起こらないため光を設計通りに適確に特定方向に反射することができるため好ましい。
ピッチPが500μmより大きいと、凹凸構造101を成型するときに金型の凹凸形状の先端部分に樹脂が十分に入らないため成型性が悪い、すなわち形状の再現性が低いために光を設計通りに反射させることが難しく好ましくない。上述の構造のピッチが、500μm以下であれば比較的粘度の高い樹脂でも成型が可能となるため好ましい。
反射層102は、凹凸構造101上に、凹凸構造101に追従した層状になるように形成され、凹凸構造層101を透過して入射する光を凹凸構造層101側に反射する反射面を構成する金属含有層である。
反射層102に用いる金属としては、金属光沢を有し反射面を形成できるものであれば
特に限定されない。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、等の単体もしくは合金が挙げられる。
反射層102は、単層で形成してもよく複数の金属、合金を積層して用いてもよい。中でも、アルミニウムは、反射性が高く、緻密な金属層が比較的容易に形成でき、安価でもあるため、特に好適である。
反射層102の厚さは、30nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内では、40nm以上、または90nm以下、または40nm以上90nm以下がより好ましい範囲である。
反射層102の厚さが30nmより小さいと、反射層102に入射する光を十分に反射することができない。40nm以上の厚さがあれば、より確実に反射層102に入射する光を反射することができる。
反射層102の厚さが100nmを超えると、反射層102に目視でも確認できるクラックが発生しやすくなる。90nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しにくくなるためより好ましい。
このような構成の反射層102は、凹凸構造101に追従した断面が直角三角形状の反射面になっているため、凹凸構造層101を透過した光が入射すると、この光を入射方向に応じた特定の方向へ反射する機能を有する。この反射光を効率よく特定の方向に反射するためには、反射層102による反射面が鏡面反射面であることが望ましい。
反射層102を鏡面反射面に形成するためには、凹凸構造101における直角三角状の平面を鏡面に対応する面精度を有する滑らかな平面に形成するとともに、反射層102を構成する金属または合金を、凹凸構造101に密着する緻密な膜に形成すればよい。
反射層102の形成手段としては、均一に金属層が形成できれば特に限定されるものではない。例えば、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)などを採用することができる。
これらの中でも、生産性が高く良質な金属層が形成できる真空蒸着法が特に好ましい。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。
これらの形成手段によれば、金属または合金の微粒子を緻密に積層させることができるため、鏡面反射面の形成が容易である。
反射層102の他の形成手段としては、例えば、凹凸構造101上に、金属や合金の微粒子やフレークを含有した樹脂をコーティングする等の方法も挙げられる。このとき、アルミニウムのフレークを使用すると、反射率も高く安価であり好ましい。特に、リーフィングタイプのフレークは、表面張力によってアルミフレークが塗膜表面に浮いて並行配列するために鏡面反射面に近い光沢が得られるため好ましい。ノンリーフィングタイプのフレークは、フレークが塗膜中に一様に分散配列するために反射面が鏡面反射面ではなく散乱を生じる反射面となるため不適である。
突起部103の高さは、100μm以上1mm以下の範囲内であることが好ましい。
突起部103の高さが100μmより小さいと、導光部112同士が密着し、空気層13の形成が阻害される可能性が考えられ、好ましくない。
また、突起部103の高さが1mmより大きいと、導光部112の高さに対して突起部103の高さが高い、すなわち空気層13が厚いために空洞の比率の高い構造体となり、強度が低下するため、好ましくない。
太陽電池ユニット11を積層する手段としては、接着層(図示せず)による集光部111の貼り合わせを採用することができる。太陽電池パネル1は屋外で長期使用される用途が想定されるため、接着層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化しデラミネーションなどを生じないこと、黄変の程度が小さいことなどが要求される。
これらの要求を満たすため、接着層としては、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系の樹脂を1種又は2種以上混合したラミネート用接着剤を使用することができる。
また、接着層には、長期間の屋外暴露による接着剤の劣化を防止するために劣化防止剤を添加しても良い。劣化防止剤としては、例えば、カルボジイミン、エポキシなどの添加剤が挙げられる。
また、さらに、例えば、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等の各種添加剤が適宜配合されてもよい。
なお、反射層102の形成手段として金属フレーク等を含有した樹脂をコーティングする方法を採用する場合、接着層に金属フレーク等を含有させることで、接着層が反射層102を兼ねる構成とすることも可能である。この場合、反射層102を別途形成する工程を省くことが出来るため、好適である。
貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチ・エクストルージョンラミネーション方法などの公知の方法を適宜使用することができる。
太陽電池セル12は、光電効果により受光面に入射した光を電気へと変換する機能を有する部材である。太陽電池セル12の種類としては、単結晶シリコン、多結晶シリコンなどの結晶系シリコン型、アモルファスシリコン型、CI(G)S、GaAs、InGaAs等の化合物系薄膜型、有機系色素増感型、有機系薄膜型等を採用することができる。
なかでも、化合物系薄膜型は変換効率も高く形状の自由度もある程度高いと考えられることから好適である。なお、本実施形態の太陽電池パネル1においては太陽電池セル12の使用面積が小さいために、変換効率が高いが高コストである化合物系薄膜型の多接合セルを用いることも可能である。
太陽電池セル12は、封止材によって貼り合わせることが望ましい。
封止材には、太陽電池ユニット11から射出し太陽電池セル12に入射する光を透過させるため光線透過率が高い材料が用いられ、さらに耐候性、耐高温、耐高湿、耐候性等の耐久性、電気絶縁性を有する素材が好適である。この条件を満たす材料として、例えば、酢酸ビニルの含有量が20〜30%であるEVA(エチレンビニルアセテート共重合体)やPVB(ポリビニルブチラール)等を主成分とする熱可塑性の合成樹脂材が使用される。
なお、太陽電池パネル1の形態については、図6に示すように、既述の太陽電池パネル1を太陽電池セル12に対して左右対称に配置したものであっても良い。この形態とすることで、集光効率をさらに高めることが可能となる。
また、太陽電池パネル1の形状については、図7に示すように、円形としても良い。この形状とすることで、太陽電池セル12の面積をさらに少なくすることが出来、低コスト化が可能となる。
各太陽電池パネル1は、単独で使用することも可能であるが、大きな出力を得るために複数個配列したモジュールとして使用することが望ましい。
次に、本実施形態の太陽電池ユニット11および太陽電池パネル1の作用について、説明する。
図8(a)、(b)は、導光部112からの距離の違いによる集光作用を説明する模式的な光路図である。図9(a)、(b)は、凹凸構造101の鋭角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。図10(a)、(b)、(c)は、凹凸構造101の頂角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。図11(a)、(b)は、導光部112からの距離の違いによる導光作用を説明する模式的な光路図である。図12(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態の太陽電池パネルの概略構成を示す断面図である。
以下に、太陽電池ユニット11aを例にとって入射光の光路及び作用を説明する。
図8に示すように、光源Lから発される光のうち、太陽電池ユニット11aの最外面である入射面110に垂直に入射する光H0は、太陽電池ユニット11aに入射後、太陽電池ユニット11a内を透過して凹凸構造101に入射する。なお、入射面110の法線NGは、例えば水平面に平行な平面S上に太陽電池ユニット11aを載置した状態における平面Sの法線NSと平行な方向とする。
凹凸構造101に入射した光H1は、反射層102に入射して、入射方向に対する反射層102の傾斜方向に応じた斜めの特定方向に向かって、反射光H2として反射される。このとき、図8(a)に示すように、反射光H2が導光部112に向かって進む場合と、図8(b)に示すように、反射光H2が太陽電池ユニット11a内を入射面110に向かって斜め方向に進み、少なくとも一部の光が、入射面110で裏面反射され、反射光H3として太陽電池ユニット11a内を導光部112側に向かって進む場合が考えられる。
なお、最適な設定は導光部112までの距離xに応じて変化し、導光部112近傍のエリアでは、図8(a)に示すように反射光H2が導光部112に直接入射するように凹凸構造101の鋭角θを設定するのが好ましい。一方、導光部112から離れたエリアでは、図8(b)に示すように反射光H2が一度入射面110で裏面反射され、反射光H3として導光部112に入射するように凹凸構造101の鋭角θを設定するのが好ましい。
ここで、凹凸構造101の鋭角θの作用について説明する。
なお、ここでは入射面110へ入射する光H0の入射角が0°の場合について説明する。
まず、反射光H2が導光部112に直接入射する場合、鋭角θは次式(2)及び(3)で表される。
θ=φ2/2 ・・・(2)
φ2=arctan(x/y2) ・・・(3)

φ2:導光部112の集光部側端部上面への入射角
x:導光部112までの距離
y2:導光部112の高さ

なお、鋭角θは導光部112までの距離xに応じて変化し、距離xが長くなるにつれて鋭角θは大きくなる。このとき、図9に示すように反射光H2の水平面Sとの角度βが小さくなる。角度βが小さくなると、隣り合う凹凸構造にぶつかってしまう割合が増える。隣り合う凹凸構造101にぶつかってしまう成分H4は進行方向が変わってしまうため、有効に利用することが出来ない。すなわち、距離xが長くなるにつれて有効に利用できる成分が減少し、集光効率が低下してしまう。
一方、反射光H2が一度入射面110で裏面反射され、反射光H3として導光部112に入射する場合、鋭角θは次式(1)で表される。
φ1=arctan(x/2/y1)
θ=φ1/2 ・・・(1)

φ1:集光部111の入射面110への裏面からの入射角
x:導光部112までの距離
y1:集光部111の高さ

なお、反射光H2が導光部112に直接入射する場合と同様に、鋭角θは導光部112までの距離x2に応じて変化し、距離xが長くなるにつれて鋭角θは大きくなるため、距離xが長くなるにつれて有効に利用できる成分が減少し、集光効率が低下してしまう。
ここで、導光部112からの距離xが同じであれば、反射光H2が導光部112に直接入射する場合よりも、反射光H2が一度入射面110で裏面反射され反射光H3として導光部112に入射する場合の方が鋭角θが小さくなる、すなわち、隣り合う凹凸構造101にぶつかってしまい有効に利用出来ない成分H4が少なくなるため、集光効率が高くなる。
しかしながら、反射光H2を一度入射面110で裏面反射し反射光H3として導光部112に入射させる場合には、反射光H2が入射面110に裏面入射する際に臨界角γ以上の角度で入射し全反射する条件でなければ、かえって集光効率が低下してしまう。
以下に反射光H2を一度入射面110で裏面反射し反射光H3として導光部112に入射させる場合の光の挙動について説明する。
図10(c)に示すように、光H1は、凹凸構造101に到達すると、凹凸構造101の裏面に対して、入射角αで入射する。凹凸構造101の裏面側には反射層102が密着しているため、光H1の出射角αで反射される。すなわち、反射光H2は、光H1の入射方向に対しては角度2αをなす方向に反射される。
鋭角θと出射角αとの間には、それぞれの単位を度で表したとき、次式(4)が成り立つ。
α=θ ・・・(4)
反射光H2は、図8に示すように、太陽電池ユニット11aと、太陽電池ユニット11aが設置される外部環境の雰囲気、例えば大気、との間の界面である入射面110で裏面反射されて反射光H3が形成される。このとき、入射面110に対する反射光H2の入射角φ1は2αである。
ここで、図10(a)に示すように、2αが入射面110の裏面における臨界角γ以上の場合には、入射面110で全反射されるため、反射光H2はロスが極めて少なく反射光H3となる。
一方、図10(b)に示すように、2αが臨界角γより小さい場合には、反射光H3の他に入射面110を外部側に透過する透過光H5が発生する。この透過光H5が発生すると有効に利用できる反射光H3の光量が減少するため、反射光H2の入射角2αが臨界角γ以上となることが望ましい。
なお、臨界角γは、太陽電池ユニット11aの屈折率n1と外部環境の雰囲気の屈折率n2(ただし、n1>n2)によって決定され、次式(5)で表される。
sinγ=n1/n2 ・・・(5)
例えば、太陽電池ユニット11aにアクリルなどの樹脂を用いた場合には、屈折率n1は約1.5、外部環境の雰囲気を大気とすると屈折率n2は約1.0であるため、臨界角γは約42°となる。
以上から、入射面110に対する反射光H2の入射角φ1、すなわち2αが臨界角γ以上であれば、反射光H2を一度入射面110で裏面反射し反射光H3として導光部112に入射させることが可能となる。このとき、上記のように臨界角γが42°の際には凹凸構造101を為す反射層102での反射角αが21°以上であること、すなわち凹凸構造101の鋭角θが21°以上であることが好ましい。
一方、2αが臨界角γより小さくなってしまう領域では、反射光H2を一度入射面110で裏面反射し反射光H3として導光部112に入射させようとしても、透過光H5が発生してしまうために集光効率が低下してしまうために、反射光H2を導光部112に直接入射させる設計とするのが好ましい。この場合には、導光部112の集光部側端部上面への入射角φ2が臨界角γ以上となるように設計すれば良い。
以上から、凹凸構造101の鋭角θの設計は次式(1)、(2)、及び(3)で表される。
φ1=arctan(x/2/y1)≧arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ1/2 ・・・(1)

φ1=arctan(x/2/y1)<arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ2/2 ・・・(2)
φ2=arctan(x/y2) ・・・(3)

φ1:集光部111の入射面110への裏面からの入射角
φ2:導光部112の集光部側端部上面への入射角
x:導光部112までの距離
y1:集光部111の高さ
y2:導光部112の高さ
n1:太陽電池ユニット11の屈折率
n2:太陽電池ユニット11の外部雰囲気の屈折率

なお、入射面110で裏面反射した反射光H3が凹凸構造101に入射してしまうと、光の進行方向が変わり、有効に利用できない成分となってしまい集光効率が低下するため、反射光H3が確実に導光部112に入射するように導光部112までの距離xを設定することが望ましい。
ここで、上記のように設計した角度で光を集光させるために、反射層102は、鏡面反射面に形成することが望ましい。鏡面反射面にしておけば、反射時の散乱が抑制され、反射光H2を特定の反射方向により向けやすくなるため、光の集光効率をさらに向上させることができる。
なお、以上は太陽電池ユニット11aを例にとって説明したが、太陽電池ユニット11b、11c、11d、11eについても、それぞれのユニットの集光部111の高さy1を用いることで同様に設計可能である。
次に導光部112内での光の挙動について説明する。
図11(a)に示すように、凹凸構造101における反射光H2が導光部112に直接入射する場合、入射角φ2が臨界角γ以上であるため、導光部112に入射した光H2は、全反射を繰り返しながら導光部112内を導光し、太陽電池セル12側の端部に達する
一方、図11(b)に示すように、凹凸構造101における反射光H2が一度入射面110で裏面反射され反射光H3として導光部112に入射する場合、入射面110への入射角φ1が臨界角γ以上であるため、反射光H3は臨界角γ以上の角度で導光部の集光部側端面下面に入射する。導光部112に入射した光は、全反射を繰り返しながら導光部112内を導光し、太陽電池セル12側の端部に達する。
このとき、導光部112の上面及び下面の外部雰囲気が大気であることが望ましい。例えば、外部に接着層等の樹脂が接しているときと、外部雰囲気が大気であるときを比較すると、一般的に樹脂材料の屈折率は1.5前後であるのに対して大気の屈折率は約1.0であるため、導光部112、すなわち太陽電池ユニット11の屈折率との差が大きく、臨界角γが小さい。臨界角γが小さければ、より広い角度範囲の光を導光させることが可能になるため、屈折率の小さく利用が簡便な大気を外部雰囲気として選択するのが好ましい。
外部雰囲気を大気とするために、太陽電池ユニット11には突起部103を設けるのが望ましい。突起部103を設けることで、簡便に導光部112の外部雰囲気を大気とすることが可能となり、また、突起部103は太陽電池ユニット11と一体化させて設けることができるため作製方法も容易である。
なお、太陽電池ユニット11eは、導光部112を持たないが、集光部111の端部に太陽電池セル12が設置されているため、凹凸構造101で反射した光が太陽電池セル12に集光するため、他のユニットと同様の集光効果を有している。
また、本実施形態の太陽電池パネル1は、光源Lから入射面110への入射光が垂直であるときに、最も集光及び導光効率が高い。光源Lが太陽である場合には、季節や時間によって太陽の位置が変化するため、太陽の動きに合わせて太陽電池パネル1の向きを調整できる追尾装置と組み合わせて使用することが望ましい。
このとき、複数の太陽電池パネル1を配列した太陽電池モジュールの向きを調整できる機構としても良いし、個々の太陽電池パネル1の向きを調整できる機構としても良い。また、太陽電池モジュール内で複数のエリアに分割し各エリアごとに向きを調整できる機構としても良い。
なお、本実施形態の太陽電池パネル1は、光源Lから入射面110への入射光が垂直であるときに最も集光及び導光効率が高いが、複数の太陽電池ユニット11それぞれを、異なる入射角度に対して最適であるように設計しても良い。このような設計とすることによって、広い入射角度範囲に対応させることが可能であり、追尾装置の簡素化が可能となる。
例えば、太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eの5つのユニットからなる太陽電池パネル1では、太陽電池ユニット11aを入射角度0°、太陽電池ユニット11bを入射角度5°、太陽電池ユニット11cを入射角度10°、太陽電池ユニット11dを入射角度15°、太陽電池ユニット11eを入射角度20°に対して最適となるように設計すれば、入射角度0〜20°の範囲内で高い集光効率が得られる。
以上に説明したように、本実施形態の太陽電池ユニット11及び太陽電池パネル1によれば、集光部111に設けられた凹凸構造101の凹凸形状に沿う凹凸構造を有する反射層102によって、凹凸構造101に入射する光を反射して、導光部112に集光して入射した後、導光部112内を導光することで端部に設置された太陽電池セル12に入射させることで、発電が可能となる。このとき凹凸構造101の鋭角θを適切に設計すること
で集光及び導光効率を向上させることが可能となる。
[実施例1]
実施例1として、図12に示した太陽電池パネル2、即ち、凹凸構造101及び反射層102が設けられた集光部111、導光部112、及び突起部103をそれぞれ備える太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eを順に積層し、端部に太陽電池セル12を配置した太陽電池パネルを作製した。なお、太陽電池ユニット11eは集光部が導光部を兼ねた形状とした。
凹凸構造101の鋭角θは次式(1)、(2)、及び(3)によって設定した。

φ1=arctan(x/2/y1)≧arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ1/2 ・・・(1)

φ1=arctan(x/2/y1)<arcsin(n2/n1)のとき
θ=φ2/2 ・・・(2)
φ2=arctan(x/y2) ・・・(3)

φ1:集光部の入射面への裏面からの入射角
φ2:導光部の集光部側端部上面への入射角
x:導光部までの距離
y1:集光部の高さ
y2:導光部の高さ
n1:太陽電池ユニットの屈折率
n2:太陽電池ユニットの外部雰囲気の屈折率

なお、太陽電池ユニット11aの集光部の高さy1は10mm、太陽電池ユニット11bの集光部の高さy1は8mm、太陽電池ユニット11cの集光部の高さy1は6mm、太陽電池ユニット11dの集光部の高さy1は4mm、太陽電池ユニット11eの集光部の高さy1は2mmとした。
また、太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eの導光部の高さy2はすべて2mmとした。
ここで、太陽電池パネル2の長さXは30mm、太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eの集光部の長さXa、Xb、Xc、Xd、Xeはすべて6mmとした。また、太陽電池パネル2の高さYは10mm、太陽電池パネル2の幅Zは4mmとした。太陽電池セル12のサイズは、太陽電池パネル2の高さY、及び幅Zと等しく、高さYは10mm、幅Zは4mmとした。
太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eは、屈折率が1.5のPMMAで作製した。
太陽電池ユニットの外部雰囲気は空気であり、屈折率は1.0とした。
太陽電池セル12は、変換効率が15%の単結晶シリコンセルを使用した。
[比較例1]
比較例1として、図3に示した太陽電池パネル1から突起部103を省いた太陽電池パネル(図示せず)、即ち、凹凸構造101及び反射層102が設けられた集光部111、及び導光部112をそれぞれ備える太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eを順に積層し、端部に太陽電池セル12を配置した太陽電池パネルを作製した。なお、太陽電池ユニット11eは集光部が導光部を兼ねた形状とした。
このとき、各導光部112も貼り合わせて積層し、空気層13が存在しない状態とした以外は、太陽電池パネル2の各サイズ、用いた太陽電池セル等は同様とし、凹凸構造101の鋭角θも実施例1と同様に設定した。
[比較例2]
比較例2として、図3に示した太陽電池パネル1、即ち、凹凸構造101及び反射層102が設けられた集光部111、導光部112、及び突起部103をそれぞれ備える太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eを順に積層し、端部に太陽電池セル12を配置した太陽電池パネルを作製した。なお、太陽電池ユニット11eは集光部が導光部を兼ねた形状とした。
本比較例の凹凸構造101の鋭角θは次式(1)及び(6)によって設定した。

θ=φ1/2 ・・・(1)
φ1=arctan(x/2/y1) ・・・(6)

φ1:集光部の入射面への裏面からの入射角
x:導光部までの距離
y1:集光部の高さ

すなわち、φ1=arctan(x/2/y1)<arcsin(n2/n1)のときにも、式(1)及び(6)にて鋭角θを設定した以外は、太陽電池パネル2の各サイズ、用いた太陽電池セル等は同様とした。
[比較例3]
比較例3として、図3に示した太陽電池パネル1、即ち、凹凸構造101及び反射層102が設けられた集光部111、導光部112、及び突起部103をそれぞれ備える太陽電池ユニット11a、11b、11c、11d、11eを順に積層し、端部に太陽電池セル12を配置した太陽電池パネルを作製した。なお、太陽電池ユニット11eは集光部が導光部を兼ねた形状とした。
本比較例の凹凸構造101の鋭角θは次式(2)及び(3)によって設定した。

θ=φ2/2 ・・・(2)
φ2=arctan(x/y2) ・・・(3)

φ2:導光部の集光部側端部上面への入射角
x:導光部までの距離
y2:導光部の高さ

すなわち、φ1=arctan(x/2/y1)≧arcsin(n2/n1)のときにも、式(2)及び(3)にて鋭角θを設定した以外は、太陽電池パネル2の各サイズ、用いた太陽電池セル等は同様とした。
[評価]
評価を行うため、実施例1、比較例1〜3の各太陽電池パネルを作製し、変換効率測定のための配線をはんだ付けによって取り付けた。以下、実施例1を用いた太陽電池パネルを評価用パネル1、比較例1〜3を用いた太陽電池パネルを評価用パネル2〜4と称する。
評価としては、各評価用パネルの変換効率を測定した。
出力の測定は、ソーラーシミュレータ(Newport製 34903A)、IVカーブトレーサー(ADCMT製 6244)を用いて行った。
これらの評価結果について、変換効率を下記表1に示す。
Figure 2013239577
凹凸構造101の鋭角θを適切に設定した実施例1の評価用パネル1では、凹凸構造101の鋭角θを臨界角γを考慮しないで設定した比較例2の評価用パネル3、及び凹凸構造の鋭角θを導光部112への直接入射のみとなるように設定した比較例3の評価用パネル4と比べて高い変換効率が得られることを確認した。
この結果より、既述の式(1)、(2)、及び(3)を満たすように適切に鋭角θを設定することで集光効率が高まり、より高い変換効率が得られることが確認できた。
また、導光部112の外層が空気層となるように突起部103を設けた実施例1の評価用パネル1では、突起部103を設けず導光部113の外層に空気層13が存在しない比較例1の評価用パネル2と比べて高い変換効率が得られることを確認した。
この結果より、導光部112の外層を空気層13とし、導光効率を高めることで、より高い変換効率が得られることが確認できた。
1 太陽電池パネル
2 太陽電池パネル
11 太陽電池ユニット
11a、11b、11c、11d、11e 太陽電池ユニット
12 太陽電池セル
13 空気層
101 凹凸構造
102 反射層
103 突起部
110 入射面
111 集光部
112 導光部
P ピッチ
Q 稜線
θ 鋭角
φ1 集光部の入射側界面への入射角
φ2 導光部の集光部側端部上面への入射角
H0、H1 入射光
H2、H3、H4 反射光
H5 透過光
X 太陽電池パネルの長さ
Xa、Xb、Xc、Xd、Xe 太陽電池ユニットの集光部の長さ
x 導光部までの距離
Y 太陽電池パネルの高さ
y1 太陽電池ユニットの集光部の高さ
y2 太陽電池ユニットの導光部の高さ
Z 太陽電池パネルの幅
n1 太陽電池ユニットの屈折率
n2 太陽電池ユニットの外部雰囲気の屈折率
L 光源
NG 入射面の法線
S 水平面に平行な平面
NS 平面の法線
γ 臨界角

Claims (8)

  1. 複数の太陽電池ユニット、及び太陽電池セルから構成される集光型太陽電池パネルであって、
    前記太陽電池ユニットは、光を集光させる集光部と、集光した前記光を前記太陽電池セルまで導光し入射させる導光部とからなることを特徴とする集光型太陽電池パネル。
  2. 前記集光部の入射面は、前記集光型太陽電池パネルの入射面を分割して設けられており、前記集光部の入射面の各々は重複しないことを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池パネル。
  3. 前記集光部の背面側には入射光を集光する凹凸構造が配置されており、
    前記凹凸構造の断面形状は、直角三角形であり、前記直角三角形を構成する斜辺と隣辺とがなす鋭角θは、以下のように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集光型太陽電池パネル。
    ・φ1=arctan(x/2/y1)≧arcsin(n2/n1)のとき
    θ=φ1/2
    ・φ1=arctan(x/2/y1)<arcsin(n2/n1)のとき
    θ=φ2/2
    φ2=arctan(x/y2)
    ただし、φ1は前記集光部の前記入射面への裏面からの入射角であり、φ2は前記導光部の前記集光部側端部上面への入射角であり、y1は前記集光部の高さであり、y2は前記導光部の高さであり、n1は前記太陽電池ユニットの屈折率であり、n2は前記太陽電池ユニットの外部雰囲気の屈折率であり、xは前記集光部における前記導光部までの距離である。
  4. 前記凹凸構造は、当該凹凸構造に沿って反射層が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の集光型太陽電池パネル。
  5. 前記導光部の出射面は、前記太陽電池セル側の出射面を分割して設けられており、前記導光部の出射面の各々は重複しないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の集光型太陽電池パネル。
  6. 前記太陽電池ユニットのうち少なくとも前記導光部は、空気層を介して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の集光型太陽電池パネル。
  7. 前記導光部は、前記空気層を形成する突起部を有しており、前記突起部の高さは、100μm以上1mm以下の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の集光型太陽電池パネル。
  8. 前記集光部と前記導光部を兼ねる太陽電池ユニットを少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の集光型太陽電池パネル。
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