JP2013238549A - 変動面の変位計測方法及びシステム - Google Patents

変動面の変位計測方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】変動面上の離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面上の特定位置の変位を計測する。
【解決手段】凹凸のある変動面1(例えば水底面1)上に散在する計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像Iを作成し,特定時刻Toの二次元画像Ioから抽出した測定点Poの周囲の凹凸パターンMを所定時間後Tjの二次元画像Ij上で検索して凹凸パターンMが最も類似する相似点Pjを検出し,相似点Pj及び測定点Poの対応する計測点の対応三次元座標値又は凹凸値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求める。二次元画像Iの一例は,各計測点のZ座標値を輝度値に置換してXY平面に配列した二次元輝度画像であり,その場合は凹凸パターンを輝度パターンとする。
【選択図】 図2

Description

本発明は変動面の変位計測方法及びシステムに関し,とくに凹凸のある変動面の経時的な変位を計測する方法及びシステムに関する。
土木・建築構造物(以下,単に構造物ということがある)を構築し又は管理する際に,安定性・安全性を確認すると共に設計・施工の妥当性を評価するため,周辺の変動しうる地山・地盤その他の自然物又は人工物表面(以下,変動面ということがある)の経時的な変位を計測することがある。例えば山岳トンネルを掘削する場合に,掘削直後の切羽において必要な支保や一次覆工を建て込むと共に,周囲地山の挙動や支保の変形を把握して施工の安全性・支保の妥当性を判断するため,切羽から離れた後方においてトンネル内空断面(変動面)の変位を継続的に計測する施工管理(トンネルA計測)が行われる。その変位速度が所定値以下(例えば1mm/週以下)に収束することで周囲地山が安定したと判断し,変位収束後の内空断面に最終的なトンネル断面となる二次覆工を打設する。
従来から変動面の変位を計測する方法として,例えばトンネル内空断面の天端部位,肩部位,両脚部位等の所定位置にそれぞれアンカーを打ち込んで測定点を設け,その測定点間の距離(測線)を直接スケール等で読み取る方法(測線法)が実施されている。また,各測定点にターゲット(反射板又はプリズム)を取り付け,トンネル底盤の所定観測点に位置決めしたトータルステーション(三次元光波式測距器)で各ターゲットを順次視準して水平角・鉛直角・距離を求めることにより,各測定点の観測点に対する三次元座標及び変位を計測する方法も実施されている(特許文献1,2参照)。トータルステーションによる変位計測法は,非接触式であるため足場等を組み立てる必要がなく,測線法に比べて簡便であることから,現在では標準的な変位計測法となっている。ただし,これらの計測法は何れもトンネル内空断面当たりの測定点の数が3〜5点程度に限られるため,その断面(変動面)の詳細な形状変化を把握することは困難である。
これに対し,例えば図7に示すように,変動面(図示例ではトンネル内空面)上の多数の計測点の三次元座標値から変動面の詳細な形状変化を計測する方法が提案されている(特許文献3参照)。図示例では,トンネル2の切羽2aの後方底盤2b上に三次元レーザスキャナ5を設置してトンネル内空面(変動面)1を走査することにより,内空面1上の多数の計測点の三次元座標値を取得する。三次元レーザスキャナ5とは,レーザ光の発光体及び受光センサと方位角及び仰角の切り替え装置とが組み合わされたレーザヘッド5aを例えば三脚上に搭載し,方位角(水平角)θ及び仰角(鉛直角)φを切替えながらレーザ光を計測対象面上で走査すると共にその対象面からの反射光をセンサで検知することにより,レーザ光の往復時間(対象面までの距離d)と方位角θ及び仰角φとから対象面上の各計測点の三次元座標値を取得する装置である。例えば経緯台式又は回転ミラー式の切り替え装置を用いた三次元レーザスキャナにより,トンネル内空面上の140万点〜7億点の三次元座標値を迅速に取得することができる。
図7の方法は,トンネル内空面(変動面)1上の3以上の既知位置(地球座標系の位置。以下,トンネル座標値ということがある)にそれぞれターゲット9を取り付け,そのターゲット9を含む内空面1を走査して多数の計測点の三次元座標値(スキャナ装置の座標系の位置。以下,スキャン座標値ということがある)を取得したのち,先ず計測点の中からターゲット9の位置を検出する。例えばターゲット9をレーザ光の高反射シート(全反射シート)又は吸収シート(低反射シート)とすることにより,多数の計測点の中からデータ抜け領域としてターゲット9の位置を検出し,そのスキャン座標値を特定することができる。次いで,特定したターゲット9のスキャン座標値とトンネル座標値との関係に基づき他の計測点のスキャン座標値をそれぞれトンネル座標値に変換し,変換後の各計測点のトンネル座標値に基づきトンネル内空断面の形状を計測する。
図7の方法によれば,トンネル内空面のような変動面の形状を継続的に計測して順次比較することにより,変動面の詳細な形状変化を把握することができる。また,計測した形状を設計形状と比較することにより,トンネル内空断面の特定部位における当たり取りや余掘の要否を判断することもできる。図7のように多数の計測点の三次元座標値から変動面の形状を把握する方法は,三次元レーザスキャナを用いてトンネル内空面の形状を計測する場合だけでなく,例えば図1のように調査船に搭載した音響測深機(ソナーヘッド)を用いて海底面・水底面(変動面)の地形を計測する場合にも適用されており(特許文献4〜6参照),航空機等に搭載した航空レーザスキャナ又はステレオ式デジタルカメラを用いて地表面(変動面)の地形を計測する場合にも適用されている(特許文献7〜9参照)。
特開2001−165656号公報 特開2005−024492号公報 特開2010−217017号公報 特開平06−094456号公報 特開平10−325871号公報 特開平11−083479号公報 特開平08−159762号公報 特開平10−089958号公報 特開2002−243444号公報
MVTec Software Gmbhほか著「画像処理アルゴリズムと実践アプリケーション」株式会社リンクス,210〜217頁,2008年6月11日発行
しかし,上述した三次元レーザスキャナ,音響測深機,航空レーザスキャナ,ステレオ式デジタルカメラ等のような多数の計測点群の三次元座標値を取得する装置(以下,これらをまとめて走査装置という)は,基本的に変動面(トンネル内空断面,水底面,地表面等)の形状を多数の計測点群の三次元座標値で把握するものであり,走査密度を高めて変動面の形状の把握精度を高め,更にその経時的観察によって変動面の詳細な形状変化を計測することはできるものの,変動面上の特定位置(測定点)の変位を計測できない問題点がある。すなわち,走査装置を用いた計測では,各計測点が走査密度で決まる離散的・散在的な位置であり,前回走査時に計測点となった変動面上の位置が今回走査時の計測点になるとは限らず,常に同じ位置の三次元座標値が得られるわけではない。これに対しトータルステーション等で計測する変位は,変動面上の同じ位置(測定点)の経時的な変化であり,前回計測と同じ位置で今回計測を行うことが前提となっている。もし離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面上の同じ位置(測定点)の変位を計測できれば,走査装置によって変位を計測することが可能になる。また,走査装置によって同じ位置の変位を計測できれば,トータルステーションによる計測時に必要とされるターゲット等が省略できるので,トータルステーションよりも更に簡便な変位計測法として活用が期待できる。
そこで本発明の目的は,変動面上の離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面上の特定位置の変位を計測する方法及びシステムを提供することにある。
本発明者は,土木・建築分野で変位の計測が求められる変動面の多くは表面に凹凸を有していることに注目した。また,そのような変動面は多くの場合,時間が経過して全体の形状が変化しても局所的な凹凸形状の特徴を残しており,時間経過の前後で共通する局所的な凹凸形状を手がかりに変動面上の変位を計測できる可能性があることに着目した。すなわち,特定時点における変動面の測定点近傍の特徴的な凹部及び凸部は,時間経過後においても特定時点からそれほど離れていない位置に測定点と一体的に存在しており,測定点と一体的に変位すると考えられる。本発明は,この知見に基づく研究開発の結果,完成に到ったものである。
図1の実施例及び図4の流れ図を参照するに,本発明による変動面の変位計測方法は,凹凸のある変動面1(図示例では水底面1)上に散在する計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像Iを作成し(ステップS102及び図6参照),特定時刻Toの二次元画像Io(図6(A)参照)から抽出した測定点Poの周囲の凹凸パターンMを所定時間後Tjの二次元画像j(図6(B)参照)上で検索して凹凸パターンMが最も類似する相似点Pjを検出し,相似点Pj及び測定点Poに対応する計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めてなるものである(ステップS105〜S106参照)。
また図1のブロック図及び図2の流れ図を参照するに,本発明による変動面の変位計測システムは,凹凸のある変動面1(図示例では水底面1)上に散在する計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像Iを作成する画像作成手段20(図2(B)参照),特定時刻Toの二次元画像Io(図6(A)参照)から抽出した測定点Poの周囲の凹凸パターンMを所定時間後Tjの二次元画像Ij(図6(B)参照)上で検索して凹凸パターンMが最も類似する相似点Pjを検出する相似点検出手段23(図2(D)参照),及び相似点Pj及び測定点Poに対応する計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求める変位計測手段25(図2(E)参照)を備えてなるものである。
画像作成手段20により,例えば計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を輝度値に置換してXY平面に配列した二次元画像を作成することができ,その場合は凹凸パターンを輝度パターンとする。変位計測手段25により,相似点Pj及び測定点Poに対応する計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)に代えて,相似点Pj及び測定点Poの凹凸値又は輝度値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めることもできる。
好ましい実施例では,図1のブロック図及び図3の流れ図に示すように,計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)に対し変動面1の平面展開用の座標変換Rを施す座標変換手段21を含め(図3(B)参照),画像作成手段20により座標変換後の変換座標値(x,y,z)のz座標値をxy平面に配列して二次元画像Iを作成し(図3(C)及び図4のステップS102参照),変位計測手段25により変換座標系における相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値の差分(Δx,Δy,Δz)を求める(図3(E)参照)。この場合において必要な場合は,変換座標系における相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値に座標変換Rの逆変換Vを施す逆変換手段24を含め(図3(F)及び図4のステップS106参照),変位計測手段25により逆変換後の対応三次元座標値(ΔX,ΔY,ΔZ)の差分を求めることができる(図3(G)参照)。
特定時刻Toの測定点Poは変動面1上の既知三次元座標とすることができ,その場合は,測定点Poを変動面1上の既知三次元座標値して記憶する記憶手段11を設け,変位計測手段25により相似点Pjの対応三次元座標値と測定点Poの既知三次元座標値との差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めることができる。
更に好ましい実施例では,図5に示すように,相似点検出手段23により特定時刻Toの二次元画像Io上の複数の測定点Poに対する所定時間後Tjの二次元画像Ij上の相似点Pjをそれぞれ検出し,変位計測手段25により複数の相似点Pj及び複数の測定点Poの対応三次元座標値をそれぞれ結んだ相似線Fj及び測定線Foの変化を求めることができる。
本発明による変動面の変位計測方法及びシステムは,凹凸のある変動面1上に散在する計測点群の特定時刻To及び所定時間後Tjにおける三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像Io,Ijを作成し,特定時刻Toの二次元画像Ioから抽出した測定点Poの周囲の凹凸パターンMを所定時間後Tjのに二次元画像Ij上で検索して凹凸パターンMが最も類似する相似点Pjを検出し,その相似点Pj及び測定点Poの対応する計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めて変位とし,又は相似点Pj及び測定点Poの凹凸値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めて変位とするので,次の効果を奏する。
(イ)離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面1の変位を直接計測するのではなく,その三次元座標値のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面上に配列した二次元画像(Z座標値が画素値として埋め込まれた画像)Io,Ijを作成し,その二次元画像Io,Ij上で周囲の凹凸パターン(画素値の分布パターン)Mが相互に類似する測定点Po,相似点Pjを検出し,その測定点Po,相似点Pjの対応三次元座標値の差分から変位を計測するので,計測点群の離散性・散在性に拘らず,変動面1上の同じ位置(測定点Po)の経時的な変位を計測することができる。
(ロ)計測点群が散在的であっても,二次元画像Io,Ij上で測定点Po及び相似点PjのXY座標値を特定することにより,散在する計測点のZ座標値から測定点Po及び相似点PjのZ座標値を定めることができる。
(ハ)また,周囲の凹凸パターンMを尺度として検索することにより,従来のパターン認識技術ないし画像解析技術等を利用して特定時刻Toの測定点Poと実質上同じ位置とみなせる所定時間後Tjの相似点Pjを精度よく検出することができる。
(ニ)測定点Poにターゲット等を取り付けて変位を計測することも可能であるが,変動面1上の平坦でない部分であればターゲット等を取り付けていない任意の測定点Poの変位を計測することが可能であり,ターゲット等の取り付け作業を省略することで変位計測の作業の簡単化・効率化を図ることができる。
(ホ)変動面1がトンネル内空面のように湾曲している場合は,必要に応じて計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)に対し変動面1の平面展開用の座標変換Rを施した変換座標値(x,y,z)から二次元画像Iを作成し,その変換座標系において相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値の差分(Δx,Δy,Δz)を求めることにより,従来のトータルステーションを用いた計測方法等では困難であった変動面の表面に沿った方向(例えばトンネル内空面に沿ったトンネル軸方向及び周方向)の変位を計測することができる。
以下,添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
は,本発明による変動面の変位計測システムを示すブロック図の一例である。 は,所定時刻の走査図面Io及び所定時間後の走査図面Ijの説明図である は,変動面の近似曲面の平面展開用の座標変換及びその逆変換の説明図である は,本発明による変動面の変位計測方法を示す流れ図の一例である。 は,本発明による変動面の変位計測方法の一実施例の説明図である。 は,本発明による変動面の変位計測の原理を示す説明図である。 は,従来の三次元レーザスキャナを用いたトンネル内空断面の形状計測の説明図である。
図1は,例えば水底地盤中に地下トンネルを掘削する場合に,水底面を変動面1として本発明の変位計測システムを適用した実施例を示す。図示例のシステムは,水底面を走査して計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)を取得する走査装置5と,その三次元座標値を入力して水底面1上の特定の測定点Poの変位(ΔX,ΔY,ΔZ)を計測するコンピュータ10とを有する。図示例の走査装置5は,調査船上の所定位置に搭載して所定水平角θ及び鉛直角φのシングルビーム音波又は扇形のマルチビーム音波を水底面に向けて放射するソナーヘッド5bと,その調査船の位置Oを測量するGPS測量装置6と,調査船の方位及び姿勢を計測する姿勢計測装置7とを有する音響測深機である。ソナーヘッド5bによる音波の往復時間(水底面までの距離d)・水平角θ・鉛直角φと,GPS測量装置6による測量位置Oと,姿勢計測装置7による方位・姿勢とを計測しながら調査船を移動させることにより,水底面上の計測点群の地球座標系における三次元座標値を取得することができる。必要に応じて走査装置5に水中の温度及び塩分濃度を計測する計測器を含め,その計測値に基づき水中の音速度(例えば水深毎の音速度)を補正することにより三次元座標値の精度を高めることができる。
以下,図示例を参照して本発明を説明するが,本発明は水底面の変位計測への適用に限定されるわけではなく,地表面,トンネル内空面,その他の凹凸のある変動面(自然物又は人工物の表面)の変位計測に広く適用可能である。例えば上述した航空機等に搭載可能なGPS付きレーザスキャナを用いて地表面上の計測点群の三次元座標値を得ることにより,本発明を地表面の変位計測に適用することができる。また,計測点群の三次元座標値を取得する装置も図示例に限定されるものではなく,GPS測量装置に代えて自動追尾トータルステーション,レーザ測距儀等を用いて調査船の位置Oを測量することもできる。更に,計測点群の三次元座標値の取得装置を航空測量等で用いるステレオ式デジタルカメラとし,ステレオ式デジタルカメラで撮影した写真画像から複数の計測点群の三次元座標値をステレオ画像法により取得して本発明に適用するこもできる。
図示例のコンピュータ10は,キーボード・マウス等の入力装置13と,ディスプレイ・プリンタ等の出力装置15と,一次記憶装置又は二次記憶装置等の記憶手段11とを有している。また内蔵プログラムとして,走査装置5から計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)を入力する入力手段12と,その計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)から二次元画像Iを作成する画像作成手段20を有する。画像作成手段20は,例えば各計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列することにより,Z座標値が画素値I(X,Y)として埋め込まれた二次元画像Iを作成する。或いは,画像作成手段20により各計測点のZ座標値を,例えば輝度値,明度値,彩度値,色相値,RGB値等(以下,これらをまとめて輝度値という)に置換したうえでXY平面に配列して二次元画像Iを作成してもよい(図2(B)参照)。このような二次元画像I(以下,二次元輝度画像Iということがある)には,例えば色彩等を利用して輝度値を表した画像,単一の色であっても濃淡により輝度値を表した画像が含まれる。例えば,各計測点(X,Y,Z)のZ座標値の平均値(又は最大値或いは最小値)を基準輝度値とし,各計測点のZ座標値を平均値(又は最大値或いは最小値)との差に応じた輝度値へ置換することにより,XY平面上に散在する各計測点の凹凸高低差が輝度値で表わされた二次元画像Iを作成することができる。必要に応じて,Z座標値を輝度値へ置換するための置換式又は置換テーブルを記憶手段11に記憶しておくことができる。
また図示例のコンピュータ10は,内蔵プログラムとして,特定時刻Toに作成した二次元画像Io上から測定点Poの周囲の凹凸パターン(画素値の分布パターン,例えば輝度パターン)Mを抽出するパターン抽出手段22(図6(A)参照)と,そのパターンMを所定時間後Tjに作成した二次元画像Ij上で検索して最も類似する相似点Pjを検出する相似点検出手段23と,検出した相似点Pjと測定点Poとの対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求める変位計測手段25とを有している。
更に図示例のコンピュータ10は,内蔵プログラムとして,入力手段12の入力した三次元座標値,作成手段20の作成した二次元画像I,抽出手段22の抽出したパターンM,検出手段23の検出した相似点Pj,計測手段25の求めた変位(ΔX,ΔY,ΔZ)等を出力装置15へ適宜出力する出力手段14を有している。
図4は,図1のコンピュータ10により変動面1(この場合は水底面1)の変位を計測する方法の流れ図を示す。以下,図4の流れ図を参照して図1のコンピュータ10の各内蔵プログラムの機能を説明する。先ずステップS101において,走査装置5により変動面(図示例では水底面)1を走査して多数の計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)を取得し,取得した計測点群の三次元座標値を入力手段12経由でコンピュータ10に入力する。ステップS102において,各計測点の三次元座標値(X,Y,Z)を画像作成手段20へ入力して二次元画像Iを作成する(図2(B)参照)。
図4のステップS103において,変位計測に必要な凹凸パターンMが抽出済みであるか否かを判断し,未抽出のときはステップS104へ進み,図2(C)及び図6(A)に示すように,パターン抽出手段22により特定時刻Toの二次元画像Ioから測定点Po=(Xo,Yo)の周囲の凹凸パターンMを抽出する。パターンMは,二次元画像Io上の任意位置に測定点Poを設定して抽出することができる。測定点Poは必ずしもステップS101で入力した計測点の何れかと一致させる必要はなく,二次元画像Io上に散在する計測点の中間位置に測定点Poを設定することも可能であり,そのような測定点PoのZ座標値(凹凸値,輝度値)を隣接する計測点のZ座標値から按分(平均操作)により定めることもできる。例えば,特定時刻Toの二次元画像Ioを出力装置15へ出力し,その二次元画像Io上で指定された測定点Poを入力手段12経由で入力してパターンMを抽出してもよい。パターン抽出手段22で抽出したパターンMは,図1に示すように記憶手段11に記憶しておくことができる。
ステップS104において,測定点Poとする変動面1上の位置に予めターゲット等を取り付けておく必要はないが,ターゲット等を取り付けた変動面1上の位置を測定点Poとして凹凸パターンMを抽出することも可能である。その場合は,例えば図1に点線で示すように,ターゲット等を取り付けた変動面1上の測定点Poの三次元座標値(Xo,Yo,Zo)を予め求めてコンピュータ10の記憶手段11に記憶しておき,その測定点Po=(Xo,Yo)の周囲からパターン抽出手段22によりパターンMを抽出する。パターンMを抽出したのちステップS101へ戻り,上述したステップS101〜S102を繰り返す。例えば所定時間後Tjに変動面1を走査して取得した計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)を入力し,所定時間後Tjの二次元画像Ijを作成する。
ステップS103において凹凸パターンMが抽出済であるときはステップS105へ進み,図2(D)及び図6(B)に示すように,相似点検出手段23によって所定時間後Tjの二次元画像Ij上で凹凸パターンMを検索し,周囲のパターンが測定点PoのパターンMと最も類似する相似点Pj=(Xj,Yj)を二次元画像Ijから検出する。上述したように変動面1上の測定点Poは多くの場合に周囲の凹部及び凸部と一体的に移動すると考えられるので,所定時間後Tjの二次元画像Ij上で凹凸パターンMの最も類似する相似点Pjは,その所定時間後Tjにおける測定点Poの移動先位置とみなすことができる。
ステップS105において,凹凸パターンMの類似度を尺度として所定時間後Tjの二次元画像Ijを検索することにより,従来のパターン認識技術等を利用して測定点Poの移動先位置とみなせる相似点Pjを精度よく検出できる。二次元画像Ijから検出される相似点Pjは,必ずしもステップS101で入力した計測点の何れかと一致せず,二次元画像Ij上に散在する計測点の中間位置となることもあるが,そのような相似点PjのZ座標値(凹凸値,輝度値)は隣接する計測点のZ座標値からの按分(平均操作)により定めることができる。変動面1上の計測点の密度に拘らず,測定点Poの移動先位置とみなせる二次元画像Ij上の相似点Pjを精確に特定することにより,以下のステップS106において同一位置(測定点Po)の変位を求めることが可能となる。
ステップS105の相似点検出手段23は,例えばテンプレートマッチング法を利用して相似点Pjを検出することができる。すなわち,例えば二次元輝度画像I上における凹凸パターン(輝度パターン)Mを所要大きさ(画素数n)のテンプレートt(u,v)とし,そのテンプレートt(u,v)を(1)式に示すように二次元輝度画像Ij上の全ての点(r,c)上に移動させながら各点においてテンプレートt(u,v)との類似度sad(r,c)(テンプレート全体にわたる輝度差の絶対値の総和)を算出し,その類似度sadが最も小さく(近く)なる相似点Pjを検出することができる。また,(2)式のようにテンプレート全体にわたる輝度差の二乗和を類似度ssdとし,又は(3)式のように正規化相互相関を類似度nccとするテンプレートマッチング法によって相似点Pjを検出することも可能である(非特許文献1参照)。なお,(3)式の正規化相互相関における符合mはテンプレートt及び二次元画像Ijの平均輝度を表し,符合sはテンプレートt及び二次元画像Ijの輝度分散を表す((4)式及び(5)式参照)。
ただし,相似点検出手段23による相似点Pjの検出方法はテンプレートマッチング法に限定されるものではなく,凹凸パターンMと二次元画像Ijとの類似度を評価する他のパターン認識技術を利用して相似点Pjを検出することができる。また,パターンMの大きさ(面積)は,計測対象である変動面1の表面凹凸形状に応じて適宜選択できる。例えば変動面1の表面凹凸形状が比較的均一であるときは比較的大きなパターンMを用いることで相似点Pjの検出精度を高めることができ,変動面1の表面凹凸形状が位置によって相違しているときは比較的小さなパターンMでも相似点Pjを精度よく検出することができる。そのような変動面1に応じたパターンMの大きさ(面積)は,予め試験的に求めて記憶手段11に登録しておくことができる。
図4のステップS106は,ステップS105で検出した所定時間後Tjの相似点Pj=(Xj,Yj)に基づき,変位計測手段25によって測定点Po=(Xo,Yo)からの変位を求める処理を示す(図2(E)参照)。例えば,ステップS101で入力した各計測点の三次元座標値を記憶手段11に記憶しておき,ステップS106において測定点Po及び相似点Pjに対応する計測点の三次元座標値(Xo,Yo,Zo),(Xj,Yj,Zj)が存在するときは,その計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)=(Xj−Xo,Yj−Yo,Zj−Zo)を測定点Poの変位とすることができる。或いは,測定点Po及び相似点Pjと一致する計測点が存在しない場合に,測定点Po及び相似点Pjに最も隣接する計測点をそれぞれ対応する計測点とし,その計測点の対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を測定点Poの変位としてもよい。上述したように相似点Pjは測定点Poの移動先とみなせるので,その対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)から所定時間後Tjにおける測定点Poの三次元変位を求めることができる。
好ましくは,測定点Po及び相似点Pjに対応する計測点の対応三次元座標値に代えて,ステップS106において変位計測手段25により,測定点Po及び相似点Pjの凹凸値(例えば輝度値)を隣接する計測点の凹凸値(例えば輝度値)から按分(平均操作)により定めたうえで,その凹凸値(例えば輝度値)をZ座標値に戻して対応三次元座標値(Xo,Yo,Zo),(Xj,Yj,Zj)を求め,その対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)=(Xj−Xo,Yj−Yo,Zj−Zo)を算出する。測定点Po及び相似点Pjの凹凸値又は輝度値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分を求めることにより,測定点Po及び相似点Pjが計測点と一致しない場合でも,変動面1上の同じ特定位置(測定点Po)の三次元変位(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めることができる。
ステップS106において測定点Poの変位(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めたのち,ステップS108において変位計測を終了するか否かを判断し,計測を継続する場合はステップS101へ戻って上述したステップS101〜S106を繰り返す。すなわち,更に所定時間経過T(j+1)の計測点群の三次元座標値をコンピュータ10に入力して二次元画像I(j+1)を作成し,その二次元画像I(j+1)上において凹凸パターンMを検索して相似点P(j+1)=(X(j+1),Y(j+1),Z(j+1))を検出し,その相似点P(j+1)及び測定点Poの対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)=(X(j+1)−Xo,Y(j+1)−Yo,Z(j+1)−Zo)によって測定点Poの変位を求める。ステップS101〜S108のサイクルを繰り返すことにより,変動面1上の同じ特定位置(測定点Po)の経時的な変位を順次計測できる。
本発明は,離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面1の変位を直接計測するのではなく,計測点群の三次元座標値からZ座標値をXY平面上に配列した二次元画像(Z座標値が画素値として埋め込まれた画像)Io,Ijを作成し,二次元画像Io上の測定点Poの周囲画素値のパターンMとの類似度を尺度として二次元画像Ij上の相似点Pjを検出し,その相似点Pjと測定点Poとの対応三次元座標値の差分から変位を計測するので,計測点群の離散性・散在性に拘らず,変動面1上の特定位置(測定点Po)の変位を計測することができる。また,測定点Po及び相似点Pjが計測点と一致しない場合でも,計測点の散在する二次元画像Io,Ij上で測定点Po及び相似点PjのXY座標値を特定することにより,隣接する計測点のZ座標値から測定点Po及び相似点PjのZ座標値を精度よく定めて対応三次元座標値の差分を求めることができる。
こうして本発明の目的である「変動面上の離散的・散在的な計測点群の三次元座標値から変動面上の特定位置の変位を計測する方法及びシステム」の提供を達成することができる。
図3は,トンネル2の内空面を変動面1として本発明の変位計測システムを適用し,図7と同様の三次元レーザスキャナ5を用いて変動面1上の計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)を取得する実施例を示す。例えば変動面1に臨むトンネル内側の所定トンネル座標位置Oに三次元レーザスキャナ5を設置して各計測点の地球座標系における三次元座標値を取得するが,その設置位置Oのトンネル座標値は,例えばトンネル2内の複数の既知位置に設けた測量基準点8に基づき定めることができる。或いは,図7を参照して上述したように,三次元レーザスキャナ5のスキャン範囲内の3以上の既知位置にそれぞれターゲット9を取り付け,そのターゲット9を含む対象域を走査して各計測点の三次元座標値(スキャン座標値)を取得したのち,計測点から抽出したターゲット9のスキャン座標値と既知座標値(トンネル座標値)との関係に基づきレーザスキャナ5の設置位置Oの三次元座標値を算出することも可能である。
図3のように変動面1が湾曲している場合は,上述した図2(B)の場合と同様に計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)をXY平面に配列して二次元画像Iを作成することも可能であるものの,湾曲部分の凹凸高低差が反映された二次元画像Iを作成することが難しくなる。このため,図3(B)〜(C)に示すように,計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)に対して変動面1の平面展開用の座標変換Rを施したうえで,座標変換後の変換座標値(x,y,z)のz座標値をxy平面に配列して二次元画像Iを作成することが望ましい。図1のコンピュータ10は,走査装置5から入力した計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)に対し変動面1の平面展開用の座標変換Rを施す座標変換手段21を有している。また図4のステップS102は,画像作成手段20において計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)から二次元画像Iを作成する際に,必要に応じて座標変換手段21により三次元座標(X,Y,Z)に対して座標変換Rを施し,座標変換後の変換座標値(x,y,z)から二次元画像Iを作成することを示している。
図3(B)で用いる座標変換Rは,例えばトンネル内空面1の近似曲面1sである円柱面又は円錐面を伸び縮みなく平面上に展開するものである。変動面1の三次元形状が複雑であっても,柱面,錐面その他の可展面(伸縮なく平面上に展開できる曲面)又はそれらを組合せた曲面1sによって近似することにより,可展面を展開する座標変換Rによって変動面1上の各計測点の三次元座標値を平面上に展開することができる。そのような変動面1に応じた座標変換式Rは,予め作成して記憶手段11に登録しておくことができる(図1参照)。図3(C)において,座標変換Rによる座標変換後の変換座標値(x,y,z)を画像作成手段20へ入力し,そのz座標値をxy平面に配列することにより,各計測点の凹凸高低差が表わされた二次元画像Iを作成する。
図3(D)は,x軸方向をトンネル軸方向と一致させ,y軸方向をトンネル周方向と一致させ,xy平面に対する凹凸高低差を表わした特定時刻Toの二次元画像Ioを示す。図4のステップS104において, パターン抽出手段22により二次元画像Ioから測定点Q1o=(x1o,y1o),測定点Q2o=(x2o,y2o)の周囲の凹凸パターンM1,M2をそれぞれ抽出する。同図に示すように,パターン抽出手段22で抽出するパターンMは1個に限らず,二次元画像Io上に複数の測定点Qを設定してその周囲からそれぞれパターンMを抽出することができる。抽出したパターンMは,測定点Q毎に区別して記憶手段11に記憶しておく。
また図3(E)は,図3(D)と同様にx軸方向をトンネル軸方向と一致させ,y軸方向をトンネル周方向と一致させた所定時間後Tjの二次元画像Ijを示す。図4のステップS105において,相似点検出手段23により二次元画像Ij上で凹凸パターンM1,M2をそれぞれ検索し,周囲パターンがパターンM1,M2と最も類似する相似点Q1j=(x1j,y1j),Q2j=(x2j,y2j)を二次元画像Ijからそれぞれ検出する。上述したように二次元画像Ij上でパターンM1,M2の最も類似する相似点Q1j,Q2jは,それぞれ所定時間後Tjにおける測定点Q1o,Q2oの移動先とみなすことができる。
そののち図4のステップS106において,変位計測手段25により,測定点Q1o及び相似点Q1jの対応三次元座標値(x1o,y1o,z1o),(x1j,y1j,z1j)を求め,変換座標系における対応三次元座標値の差分(Δx1,Δy1,Δz1)=(x1j−x1o,y1j−y1o,z1j−z1o)を求める。また同様に,測定点Q2o及び相似点Q2jの対応三次元座標値の差分(Δx2,Δy2,Δz2)=(x2j−x2o,y2j−y2o,z2j−z2o)を求める。図3の二次元画像Iは変動面1を平面上に座標変換して展開したものであり,変換座標系における測定点Qo及び相似点Qjの対応三次元座標値の差分(Δx,Δy,Δz)は変動面1の表面に沿った方向及び垂直方向の移動量を示している。従って,x軸方向をトンネル軸方向と一致させ,y軸方向をトンネル周方向と一致させ,z軸方向を凹凸方向と一致させた図3の二次元画像Io,Ijから対応三次元座標値の差分(Δx1,Δy1,Δz1),(Δx2,Δy2,Δz2)を求めることにより,変動面1上の特定位置(測定点Q1o,Q2o)のトンネル軸方向,トンネル周方向,および凹凸方向の変位をそれぞれ計測することができる。
また図3(F)〜(G)に示すように,図4のステップS106において,変換座標系における相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値に座標変換Rの逆変換Vを施し,逆変換後の対応三次元座標値(ΔX,ΔY,ΔZ)の差分を求めることにより,変動面1の座標系(例えばトンネル座標系)における変位(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めることも可能である。図1のコンピュータ10は,変換座標系の相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値に対して座標変換Rの逆変換Vを施す逆変換手段24を有している。また図4のステップS106は,変位計測手段25において変動面1上の変位を求める際に,必要に応じて逆変換手段24により相似点Qj及び測定点Qoの対応三次元座標値に対して座標変換Rの逆変換Vを施し,逆変換後の対応三次元座標値(ΔX,ΔY,ΔZ)の差分から変動面1上の変位を計測することを示している。
図3(F)で用いる逆座標変換Vは,図3(B)の座標変換Rと逆向きに二次元画像Iを例えばトンネル内空面1の近似曲面1sである円柱面又は円錐面に戻すものであり,上述した座標変換式Rと同様に予め作成して記憶手段11に登録しておくことができる。この逆座標変換Vにより,二次元画像Iの変換座標系が変動面1のトンネル座標系に変換されるので,逆変換後の相似点Pj及び測定点Poの対応三次元座標値の差分(ΔX,ΔY,ΔZ)を求めることにより,従来のトータルステーションを用いた場合と同様の変位計測(トンネル座標系における変位計測)が可能となる。上述したように,本発明の変位計測では測定点Poに予めターゲット等を取り付けておく必要がなく,平坦でない部分であれば変動面1上の任意の測定点Poの変位を計測できるので,図3(A)〜(G)の流れ図により,ターゲット等の取り付け作業を省略して作業の簡単化・効率化を図りつつ,従来のトータルステーションと同様の変位計測を行うことができる。
図4のステップS107は,例えば図5に示すように,特定時刻Toの複数の測定点P1o,P2o,……,P12oの対応三次元座標値を結んだ測定線Foと,所定時間後Tjの複数の相似点P1j,P2j,……,P12jの対応三次元座標値を結んだ相似線Fjとの変化を求める実施例を示す。例えば図7に示す従来のトンネル掘削工事の施工管理(トンネルA計測)において,切羽2aから所定距離Dだけ離れた後方のトンネル内空断面(変動面)の形状変化(変状)を計測することが求められている。従来のトータルステーションを用いた方法では,計測対象のトンネル内空断面に沿った複数の測定点Poにそれぞれターゲットを取り付けて変位を計測し,所定時間Tj毎に複数の変位点Pjを結ぶ断面形状から形状変化(変状)を求めているが,断面上の測定点Poの数が4点程度に限られるため,断面形状の変状を精度よく把握できない問題点が指摘されていた。
図5の実施例では,例えば図3(D)に示す特定時刻Toの二次元画像Ioにおいて複数の測定点P1o,P2o,……,P12oを設定してそれぞれ周囲のパターンM1,M2,……,M12を抽出し,図3(E)に示す所定時間後Tjの二次元画像Ij上において各パターンM1,M2,……,M12と最も類似する相似点P1j,P2j,……,P12jをそれぞれ検出する。変位計測手段25において,複数の相似点P1j,P2j,……,P12jの対応三次元座標値を結んだ相似線Fjと,複数の測定点P1o,P2o,……,P12oの対応三次元座標値を結んだ測定線Foをそれぞれ求め,相似線Fjの測定線Foに対する三次元的な変化によってトンネル内空断面の変状を求める。上述したように,本発明において変位を追跡できる測定点Poの数にとくに制限はなく,平坦でない部分であれば二次元画像Io上に任意数の測定点Poを設定して変位を追跡できる。従って,図5に示す実施例によれば,ターゲット等の取り付け作業の簡単化・効率化を図りつつ,同時にトンネル内空断面の変状計測の精度向上を図ることができる。また,本発明により求められる相似線Fjの測定線Foに対する変状は,所定の断面における形状変化ではなく,断面における複数の測定点の変位である。つまり,トンネル軸方向の変位も含んだ変状を計測することができる。従って,従来のような断面における形状変化ではなく,より精度の高い変位計測が可能となる。
1…凹凸のある変動面(トンネル内空面) 1s…近似曲面
2…構造物(トンネル) 2a…切羽
2b…底盤 5…走査装置
5a…レーザヘッド 5b…ソナーヘッド
6…GPS測量装置 7…姿勢(方位)計測装置
8…測量基準点 9…ターゲット
10…コンピュータ 11…記憶手段
12…入力手段 13…入力装置
14…出力手段 15…出力装置
20…画像作成手段 21…座標変換手段
22…パターン抽出手段 23…相似点検出手段
24…逆変換手段 25…変位計測手段
Fo…測定線 Fj…相似線
I…走査図面 M…凹凸パターン(輝度パターン)
O…走査装置の位置 Po…測定点
Pj…相似点 Qo…(座標変換後の)測定点
Qj…(座標変換後の)相似点 R…座標変換式
T…時刻 V…逆変換式

Claims (14)

  1. 凹凸のある変動面上に散在する計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像を作成し,特定時刻の前記画像から抽出した測定点の周囲の凹凸パターンを所定時間後の前記画像上で検索して凹凸パターンが最も類似する相似点を検出し,前記相似点及び測定点に対応する計測点の対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測方法。
  2. 請求項1の方法において,前記計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を輝度値に置換してXY平面に配列した二次元画像を作成し,前記凹凸パターンを輝度パターンとしてなる変動面の変位計測方法。
  3. 請求項1又は2の方法において,前記相似点及び測定点に対応する計測点の対応三次元座標値の差分に代えて,前記相似点及び測定点の凹凸値又は輝度値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測方法。
  4. 請求項1から3の何れかの方法において,前記計測点群の三次元座標値に対し前記変動面の平面展開用の座標変換を施した変換座標値(x,y,z)のz座標値をxy平面に配列して二次元画像を作成し,前記変換座標系における相似点及び測定点の対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測方法。
  5. 請求項4の方法において,前記変換座標系における相似点及び測定点の対応三次元座標値に前記座標変換の逆変換を施し,前記逆変換後の対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測方法。
  6. 請求項1から5の何れかの方法において,前記測定点を変動面上の既知三次元座標値とし,前記相似点の対応三次元座標値と前記測定点の既知三次元座標値との差分を求めてなる変動面の変位計測方法。
  7. 請求項1から6の何れかの方法において,前記特定時刻の画像上の複数の測定点に対する所定時間後の画像上の相似点をそれぞれ検出し,前記複数の相似点及び複数の測定点の対応三次元座標値をそれぞれ結んだ相似線及び測定線の変化を求めてなる変動面の変位計測方法。
  8. 凹凸のある変動面上に散在する計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を凹凸値とみなしてXY平面に配列した二次元画像を作成する画像作成手段,特定時刻の前記画像から抽出した測定点の周囲の凹凸パターンを所定時間後の前記画像上で検索して凹凸パターンが最も類似する相似点を検出する相似点検出手段,及び前記相似点及び測定点に対応する計測点の対応三次元座標値の差分を求める変位計測手段を備えてなる変動面の変位計測システム。
  9. 請求項8のシステムにおいて,前記画像作成手段により計測点群の三次元座標値(X,Y,Z)のZ座標値を輝度値に置換してXY平面に配列した二次元画像を作成し,前記凹凸パターンを輝度パターンとしてなる変動面の変位計測システム。
  10. 請求項8又は9のシステムにおいて,前記変位計測手段により,前記相似点及び測定点に対応する計測点の対応三次元座標値の差分に代えて,前記相似点及び測定点の凹凸値又は輝度値をZ座標値に戻した対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測システム。
  11. 請求項8から10の何れかのシステムにおいて,前記計測点群の三次元座標値に対し前記変動面の平面展開用の座標変換を施す座標変換手段を含め,前記画像作成手段により座標変換後の変換座標値(x,y,z)のz座標値をxy平面に配列して二次元画像を作成し,前記変位計測手段により変換座標系における相似点及び測定点の対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測システム。
  12. 請求項11のシステムにおいて,前記変換座標系における相似点及び測定点の対応三次元座標値に前記座標変換の逆変換を施す逆変換手段を含め,前記変位計測手段により逆変換後の対応三次元座標値の差分を求めてなる変動面の変位計測システム。
  13. 請求項8から12の何れかのシステムにおいて,前記測定点を変動面上の既知三次元座標値として記憶する記憶手段を設け,前記変位計測手段により相似点の対応三次元座標値と測定点の既知三次元座標値との差分を求めてなる変動面の変位計測システム。
  14. 請求項8から13の何れかのシステムにおいて,前記相似点検出手段により特定時刻の画像上の複数の測定点に対する所定時間後の画像上の相似点をそれぞれ検出し,前記変位計測手段により複数の相似点及び複数の測定点の対応三次元座標値をそれぞれ結んだ相似線及び測定線の変化を求めてなる変動面の変位計測システム。
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