JP2013238120A - 内燃機関の圧縮ガス温度推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディーゼルエンジン等の内燃機関の圧縮ガス温度を精度良く推定する。
【解決手段】圧縮行程と膨張行程及び低温時と暖機時とに区分し、その圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Np、及び、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを、それぞれ、水温が所定値(40℃)未満の低温時と水温が所定値以上の完全暖機時とに区分して補正することによりポリトロープ指数nを求める。そして、その補正後のポリトロープ指数nを用いて圧縮ガス温度を推定しているので、簡単な処理のもとに圧縮ガス温度を精度良く推定することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の圧縮ガス温度を推定する圧縮ガス温度推定装置に関する。
従来、自動車用エンジン等として使用されるディーゼルエンジンにおいて、燃焼室内での燃焼の安定性、発生トルク、燃料消費率等が適正に得られているか否かを判断するために、燃焼状態の評価を行うことが提案されている。この燃焼状態の評価手法として具体的には、燃焼室内での熱発生率(クランクシャフトの単位回転角度当たりの熱発生量)の変化である熱発生率波形を用い、その波形が理想的な波形となっているか否かを判断することで燃焼室内での燃焼状態を評価している(例えば、特許文献1参照)。熱発生率波形を構成する反応形態(燃焼形態)としては、低温酸化反応、高温酸化反応などがある。そして、このような熱発生率波形を推定することは可能であるが、影響パラメータ(相互に依存するパラメータ)が多すぎるため、推定作業に多くの時間やコストを要していた。
そこで、本発明の発明者は、熱発生率波形を推定する手法として、低温酸化反応や高温酸化反応などの反応開始時期を温度で管理することで、熱発生率波形の推定を簡略化できる手法を見出した。具体的には、例えば、圧縮ガス温度を推定し、その圧縮ガス温度が、軽油燃料の酸化反応開始温度である750Kに達する前に、燃料噴射(パイロット噴射)が終了するような燃料噴射パターンとすることにより、従来よりも少ないパラメータで理想的な低温酸化反応形態(熱発生率波形)を求めることが可能になる。また、高温酸化反応(反応開始温度:900K)についても、筒内ガス温度(圧縮ガス温度+筒内投与エネルギ)で管理することにより、従来よりも少ないパラメータで高温酸化反応の開始時期を求めることが可能になる。
ここで、上述の如く、各種反応の開始時期を温度で管理するには圧縮ガス温度が必要である。その圧縮ガス温度については、ポリトロープ指数を用いた一般的な式によって求めることができる(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−183466号公報 特開2011−111906号公報
ところで、圧縮ガス温度の推定に用いるポリトロープ指数は、低温時とエンジン暖機時(水温が所定値以上)とで変化する。また、ポリトロープ指数は圧縮行程と膨張行程とで異なる。つまり、圧縮行程の筒内ガス温度は膨張行程よりも低く、また、膨張行程では燃焼ガスが存在しており壁面温度との温度差が拡大して放熱量が増加するという理由から、圧縮行程と膨張行程とではポリトロープ指数が異なる値となる。
このようにポリトロープ指数は温度状態・行程等によって異なる値となるが、ポリトロープ指数は瞬時に算出することが難しいため、従来では、ポリトロープ指数を一定値(固定値)として圧縮ガス温度を推定している。このため、従来の推定手法では、圧縮ガス温度の推定精度を確保することが難しい。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、ディーゼルエンジン等の内燃機関の圧縮ガス温度を精度良く推定することが可能な圧縮ガス温度推定装置を適用することを目的とする。
−発明の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた発明の解決原理は、内燃機関の下死点時筒内ガス温度(圧縮開始時のガス温度)に対するポリトロープ指数を、圧縮行程と膨張行程及び冷温時と暖機時とに区別してそれぞれ個別に設定することで、圧縮ガス温度を精度良く推定できるようにする。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関の圧縮ガス温度を推定する装置であって、下死点時筒内ガス温度(圧縮開始時のガス温度)TBDC、圧縮比ε(θ)(クランク角度θで変化する値)、ポリトロープ指数nを用いて、圧縮行程にあるときには以下の式(2)によって圧縮ガス温度T(θ)を推定し、膨張行程にあるときには以下の式(3)によって圧縮ガス温度T(θi)を推定するように構成されている。そして、圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを第1の値(具体的には、1.36)とし、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを第2の値(具体的には、1.40)として、そのポリトロープ指数の基準値Npに、前記内燃機関の水温が所定値未満である低温時の補正係数、または、前記内燃機関の水温が所定値以上である暖機時の補正係数を乗じて、前記圧縮ガス温度の推定に用いるポリトロープ指数nを求めることを特徴としている。
T(θ)=TBDC×ε(θ)n-1 ・・・(2)
T(θi)=T(θi-1)×{V(θi-1)/V(θi)}n-1 ・・・(3)
より具体的には、内燃機関の回転数と燃料噴射量とをパラメータとして前記ポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを求めるマップが予め設定されており、前記内燃機関の水温が40℃未満である低温時には前記マップから求めたポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPをそのまま補正係数Kとして用いてポリトロープ指数n(n=Np×K)を求めて圧縮ガス温度を推定する。また、前記内燃機関の水温が40℃以上である暖機時(完全暖機時)には、前記マップから求めたポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを以下の式(5)によって補正して、その補正後の補正係数Kを用いてポリトロープ指数n(n=Np×K)を求めて圧縮ガス温度を推定することを特徴としている。
補正係数K=MAP_NP+(水温−40℃)/100 ・・・(5)
本発明によれば、圧縮行程と膨張行程及び低温時と暖機時とに区別してポリトロープ指数を求めて圧縮ガス温度を推定するので、圧縮ガス温度をより正確に推定することが可能になる。しかも、圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Np、及び、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npをそれぞれ補正してポリトロープ指数を求めているので、ポリトロープ指数を瞬時に算出する場合と比較して、簡単な処理のもとに圧縮ガス温度を精度良く推定することができる。
なお、上記式(2)において、下死点時筒内ガス温度(圧縮開始時のガス温度)TBDCは、定容容器(筒内)の初期(熱エネルギ投入前)の筒内ガス温度であって、例えば、インマニガス温度を下死点時筒内ガス温度TBDCとして用いる。そのインマニガス温度についてはセンサ検出値であってもよいし、推定値であってもよい。なお、下死点時筒内ガス温度TBDCについては、センサによる実測値(実測下死点時筒内ガス温度)を用いてもよいし、推定値(推定下死点時筒内ガス温度)を用いてもよい。
また、上記式(3)において、圧縮ガス温度T(θi-1)の初期値(膨張行程に移行した際に最初に用いる値)については、圧縮行程のときに最後に算出を行った圧縮ガス温度T(θ)を圧縮ガス温度T(θi-1)の初期値とする。
本発明において、圧縮行程から膨張行程に移行した際に、ポリトロープ指数の基準値Npを第1の値(1.36)から第2の値(1.40)に徐々に変化させて圧縮ガス温度の推定を行うようにしてもよい。より具体的には、以下の式(6)に基づいてポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させるようにしてもよい。
Np=(1.40−1.36)[1−exp(A×クランク角B)]+1.36 ・・(6)
ただし、A,B:実験またはシミュレーションにより求められた定数
このようにして、圧縮行程から膨張行程に移行した際にポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させることにより、膨張行程に移行した際のポリトロープ指数をより正確に求めることができ、圧縮ガス温度の推定精度をより高めることができる。
本発明によれば、圧縮行程と膨張行程及び低温時と暖機時とに区別してポリトロープ指数を求めて圧縮ガス温度を推定するので、内燃機関の圧縮ガス温度を精度良く推定することができる。
本発明を適用するエンジン及びその制御系統の概略構成図である。 ディーゼルエンジンの燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 燃焼室内での燃焼形態の概略を説明するための吸排気系及び燃焼室の模式図である。 ポリトロープ指数の補正係数マップ値を求めるためのマップの一例を示す図である。 ポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させる場合の一例を示す図である。 圧縮ガス温度の推定処理の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、車両に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に、本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
まず、本発明を適用するディーゼルエンジンの概略構成について説明する。図1は本発明を適用するディーゼルエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。また、図2はディーゼルエンジン1の燃焼室3及びその周辺部を示す断面図である。
図1に示すように、ディーゼルエンジン1(以下、「エンジン1」ともいう)は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部とするディーゼルエンジンシステムとして構成されている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、機関燃料通路27等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ23・・23に分配する。インジェクタ23は、その内部に圧電素子(ピエゾ素子)を備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給するピエゾインジェクタにより構成されている。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2参照)に形成された吸気ポート15aに接続されるインテークマニホールド63を備えており、このインテークマニホールド63に吸気管64が接続されている。これら吸気ポート15a、インテークマニホールド63及び吸気管64等によって吸気通路が構成されている。この吸気通路には、上流側から順にエアクリーナ65、エアフローメータ43、後述するターボチャージャ5のコンプレッサインペラ53、吸気絞り弁(ディーゼルスロットル)62などが配設されている。上記エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力する。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された排気ポート71に接続されるエキゾーストマニホールド72を備えており、このエキゾーストマニホールド72に対して、排気管73が接続されている。これら排気ポート71、エキゾーストマニホールド72及び排気管73等によって排気通路が構成されている。この排気通路には、後述するターボチャージャ5のタービンホイール52、及び、排気浄化ユニット77などが配設されている。
排気浄化ユニット77には、NOx吸蔵還元型触媒としてのNSR触媒(排気浄化触媒)75及びDPF(Diesel Paticulate Filter)76が備えられている。なお、排気浄化ユニット77としてDPNR触媒を適用してもよい。
上記NSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2もしくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を上記インジェクタ23からの燃料噴射動作(ポスト噴射)や吸気絞り弁62の開度制御によって行うようになっている。
また、DPF76は、例えば多孔質セラミック構造体からなり、排気ガスが多孔質の壁を通過する際に、この排気ガス中に含まれるPM(Paticulate Matter:粒子状物質)を捕集するようになっている。また、このDPF76には、DPF再生運転時に、上記捕集したPMを酸化・燃焼するための触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
ここで、エンジン1の燃焼室3及びその周辺部の構成について、図2を参照して説明する。この図2に示すように、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎に円筒状のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12の内部にはピストン13が上下方向に摺動可能に収容されている。
ピストン13の頂面13aの上側には上記燃焼室3が形成されている。つまり、この燃焼室3は、シリンダブロック11の上部に取り付けられたシリンダヘッド15の下面と、シリンダボア12の内壁面と、ピストン13の頂面13aとにより区画形成されている。そして、ピストン13の頂面13aの略中央部には、キャビティ(凹陥部)13bが凹設されており、このキャビティ13bも燃焼室3の一部を構成している。
上記ピストン13は、コネクティングロッド18によってエンジン出力軸であるクランクシャフトに連結されている。これにより、シリンダボア12内でのピストン13の往復移動がコネクティングロッド18を介してクランクシャフトに伝達され、このクランクシャフトが回転することでエンジン出力が得られるようになっている。
また、燃焼室3に向けてグロープラグ19が配設されている。このグロープラグ19は、エンジン1の始動直前に電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置として機能する。
上記シリンダヘッド15には、上記吸気ポート15a及び上記排気ポート71がそれぞれ形成されていると共に、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16及び排気ポート71を開閉する排気バルブ17が配設されている。また、シリンダヘッド15には、燃焼室3の内部へ直接的に燃料を噴射する上記インジェクタ23が取り付けられている。このインジェクタ23は、シリンダ中心線Pに沿う起立姿勢で燃焼室3の略中央上部に配設されており、上記コモンレール22から導入される燃料を燃焼室3に向けて所定のタイミングで噴射する。
さらに、図1に示す如く、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52及びコンプレッサインペラ53を備えている。コンプレッサインペラ53は吸気管(吸気通路)64内部に臨んで配置され、タービンホイール52は排気管(排気通路)73内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサインペラ53を回転させ、吸気圧を高めるといった、いわゆる過給動作を行うようになっている。本実施形態におけるターボチャージャ5は、可変ノズル式ターボチャージャであって、タービンホイール52側に可変ノズルベーン機構(図示省略)が設けられており、この可変ノズルベーン機構の開度を調整することにより、エンジン1の過給圧を調整することができる。
ターボチャージャ5のタービンホイール52はタービンハウジング52a内に収容されており、また、コンプレッサインペラ53はコンプレッサハウジング53a内に収容されている。そして、タービンホイール52、タービンハウジング52a及び可変ノズルベーン機構などによってタービン520が構成されており、また、コンプレッサインペラ53及びコンプレッサハウジング53aなどによってコンプレッサ530が構成されている。
吸気系6の吸気管64(コンプレッサ530の吸気流れの下流側の吸気通路)には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx生成量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路8を流れる排気流量を自在に調整することができるEGRバルブ81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。これらEGR通路8、EGRバルブ81、EGRクーラ82等によってEGR装置(排気還流装置)が構成されている。なお、EGR装置としては、上記EGRクーラ82を備えていない構成のものであってもよい。
−センサ類−
エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
例えば、上記エアフローメータ43は、吸気系6内の吸気絞り弁62上流において吸入空気の流量(吸入空気量)に応じた検出信号を出力する。レール圧センサ41はコモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。スロットル開度センサ42は吸気絞り弁62の開度を検出する。
吸気圧センサ48は、インテークマニホールド63に配置され、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。インマニ温度センサ(吸気温センサ)49は、インテークマニホールド63に配置され、燃焼室3への吸入空気の温度に応じた検出信号を出力する。
A/F(空燃比)センサ44a,44bは、NSR触媒75の上流側及び下流側にそれぞれ配設され、排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。なお、A/Fセンサの配設位置としては、NSR触媒75の上流側のみであってもよいし、NSR触媒75の下流側のみであってもよい。排気温センサ45a,45bは、同じくNSR触媒75の上流側及び下流側にそれぞれ配設され、排気ガスの温度(排気温度)に応じた検出信号を出力する。なお、排気温センサの配設位置も、NSR触媒75の上流側のみであってもよいし、NSR触媒75の下流側のみであってもよい。
−ECU−
ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータと入出力回路とを備えている。
図3に示すように、ECU100の入力回路には、レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、A/Fセンサ44a,44b、排気温センサ45a,45b、吸気圧センサ48、インマニ温度センサ49が接続されている。さらに、入力回路には、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号を出力する水温センサ46、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ47、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力するクランクポジションセンサ40などが接続されている。
一方、ECU100の出力回路には、サプライポンプ21、インジェクタ23、吸気絞り弁62、EGRバルブ81、及び、上記ターボチャージャ5の可変ノズルベーン機構(可変ノズルベーンの開度を調整するアクチュエータ)54が接続されている。
そして、ECU100は、上記した各種センサからの出力、その出力値を利用する演算式により求められた演算値、または、上記ROMに記憶された各種マップに基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。
例えば、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御として、パイロット噴射(副噴射)とメイン噴射(主噴射)とを実行する。
上記パイロット噴射は、インジェクタ23からのメイン噴射に先立ち、予め少量の燃料を噴射する動作である。また、このパイロット噴射は、メイン噴射による燃料の着火遅れを抑制し、安定した拡散燃焼に導くための噴射動作であって、副噴射とも呼ばれる。
上記メイン噴射は、エンジン1のトルク発生のための噴射動作(トルク発生用燃料の供給動作)である。このメイン噴射での噴射量は、基本的には、エンジン回転数(エンジン回転速度)、アクセル操作量、冷却水温度、吸気温度等の運転状態に応じ、要求トルクが得られるように決定される。
例えば、エンジン回転数(クランクポジションセンサ40の検出値に基づいて算出されるエンジン回転数;エンジン回転速度)が高いほど、また、アクセル操作量(アクセル開度センサ47により検出されるアクセルペダルの踏み込み量)が大きいほど(アクセル開度が大きいほど)エンジン1のトルク要求値としては高く得られ、それに応じてメイン噴射での燃料噴射量としても多く設定されることになる。
具体的な燃料噴射形態の一例としては、ピストン13が圧縮上死点に達する前に上記パイロット噴射(インジェクタ23に形成された複数の噴孔からの燃料噴射)が実行され、燃料噴射が一旦停止された後、所定のインターバルを経て、ピストン13が圧縮上死点近傍に達した時点で上記メイン噴射が実行されることになる。これにより燃料が自己着火によって燃焼し、この燃焼により発生したエネルギは、ピストン13を下死点に向かって押し下げるための運動エネルギ(エンジン出力となるエネルギ)、燃焼室3内を温度上昇させる熱エネルギ、シリンダブロック11やシリンダヘッド15を経て外部(例えば冷却水)に放熱される熱エネルギとなる。
燃料噴射を実行する際の燃料噴射圧は、コモンレール22の内圧により決定される。このコモンレール内圧として、一般に、コモンレール22からインジェクタ23へ供給される燃料圧力の目標値、即ち目標レール圧は、エンジン負荷(機関負荷)が高くなるほど、及び、エンジン回転数(機関回転数)が高くなるほど高いものとされる。この目標レール圧は、例えばECU100のROMに記憶された燃圧設定マップに従って設定される。なお、本実施形態では、エンジン負荷等に応じて燃料圧力が30MPa〜200MPaの間で調整されるようになっている。
なお、上述したパイロット噴射及びメイン噴射の他に、アフタ噴射やポスト噴射が必要に応じて行われる。これらの噴射の機能は周知である。特に、ポスト噴射は、NOx還元処理、S被毒回復制御、DPF再生処理に利用される。
また、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じてEGRバルブ81の開度(開度=0(閉鎖)の場合も含む)を制御し、インテークマニホールド63に向けての排気還流量(EGR量)を調整する。このEGR量は、予め実験やシミュレーション等によって作成されてECU100のROMに記憶されたEGRマップに従って設定される。このEGRマップは、エンジン回転数及びエンジン負荷をパラメータとしてEGR量(EGR率)を決定するためのマップである。さらに、ECU100は、後述する圧縮ガス温度の推定を行う。
以上のECU100により実行されるプログラムによって、本発明の圧縮ガス温度推定装置が実現される。
−燃焼形態の概略説明−
次に、本実施形態に係るエンジン1における燃焼室3内での燃焼形態の概略について説明する。
図4は、エンジン1の1つの気筒に対して吸気マニホールド63及び吸気ポート15aを経てガス(空気)が吸入され、燃焼室3内へインジェクタ23からの燃料噴射によって燃焼が行われるとともに、その燃焼後のガスが排気ポート71を経て排気マニホールド72へ排出される様子を模式的に示した図である。
この図4に示すように、気筒内に吸入されるガスには、吸気管64からスロットルバルブ62を介して吸入された新気と、上記EGRバルブ81が開弁された場合にEGR通路8から吸入されるEGRガスとが含まれる。吸入される新気量(質量)と吸入されるEGRガス量(質量)との和に対するEGRガス量の割合(すなわち、EGR率)は、運転状態に応じて上記ECU100により適宜制御されるEGRバルブ81の開度に応じて変化する。
このようにして気筒内(燃焼室3内)に吸入された新気及びEGRガスは、吸気行程において開弁している吸気バルブ16を介し、ピストン13(図4では図示省略)の下降に伴って気筒内に吸入されて筒内ガスとなる。この筒内ガスは、エンジン1の運転状態に応じて決定されるバルブ閉弁時にて吸気バルブ16が閉弁することにより気筒内(燃焼室3内)に密閉され(筒内ガスの閉じ込め状態)、その後の圧縮行程においてピストン13の上昇に伴って圧縮される。そして、ピストン13が上死点近傍に達すると、上述したECU100による噴射量制御によって所定時間だけインジェクタ23が開弁されることで燃料を燃焼室3内に直接噴射する。具体的には、ピストン13が上死点に達する前に上記副噴射が実行され、燃料噴射が一旦停止された後、所定のインターバルを経て、ピストン13が圧縮上死点近傍に達した時点(もしくは圧縮上死点以降)で上記主噴射が実行されることになる。
−圧縮ガス温度推定処理−
次に、ECU100が実行する圧縮ガス温度推定処理について説明する。
まず、圧縮ガス温度の推定式(算出式)、ポリトロープ指数、補正係数等について説明する。
(圧縮ガス温度の推定式)
任意の角度(クランク角)における圧縮ガス温度T(θ)、任意の角度(クランク角)における筒内容積V(θ)、ポリトロープ指数nとすると、圧縮ガス温度T(θ)は以下の式(1)で表すことができる。
T(θ)×V(θ)n-1=Const ・・・(1)
上記式(1)は、ポリトロープ指数nが固定ならば、始点(下死点BDC)に対して、任意の角度(クランク角)の状態を定義することが可能である。
T(θ)×V(θ)n-1=TBDC×VBDC n-1
この式を展開すると、
T(θ)=TBDC×(VBDC/V(θ))n-1
となる。ここで、[VBDC/V(θ)]は圧縮比ε(θで変化する圧縮比ε(θ))であるので、圧縮ガス温度T(θ)は以下の式(2)で表すことができる。
T(θ)=TBDC×ε(θ)n-1 ・・・(2)
そして、圧縮行程の場合、ポリトロープ指数nは固定(本実施形態では、後述する基準値Npにポリトロープ指数補正係数Kを乗じた値)であるため、圧縮行程のときには、上記式(2)を使用して圧縮ガス温度T(θ)を算出(推定)することができる。
膨張行程の場合は、ポリトロープ指数nを変化(後述する基準値Npを変化[1.36→1.4])させるため、始点は前回値として定義することが可能である。したがって、膨張行程の場合、上記式(1)は、
T(θi)×V(θin-1=T(θi-1)×V(θi-1n-1
と表すことができる。この式を展開すると、
T(θi)=T(θi-1)×{V(θi-1)/V(θi)}n-1 ・・・(3)
となり、この式(3)を使用して、膨張行程のときの圧縮ガス温度T(θi)を算出(推定することができる。この式(3)及び上記式(2)はECU100のROM内に記憶されている。
ここで、上記した圧縮行程及び膨張行程の場合の共通式を定義すると、以下の式(4)で表すことができる。
T(θ)=Ti-1×En-1 ・・・(4)
この共通式(4)において、圧縮行程の場合は[Ti-1=TBDC、E=ε(θ)]とし、膨張行程の場合は[Ti-1=T(θi-1)、E=V(θi-1)/V(θi)]とすればよい。そして、上記共通式(4)をECU100のROM内に記憶しておき、圧縮行程であるときには共通式(4)の[Ti-1]及び[E]を[Ti-1=TBDC、E=ε(θ)]として圧縮ガス温度T(θ)を算出(推定)し、膨張行程であるときには共通式(4)の[Ti-1]及び[E]を[Ti-1=T(θi-1)、E=V(θi-1)/V(θi]として圧縮ガス温度T(θi)を算出(推定)するようにしてもよい。
(ポリトロープ指数)
本実施形態にあっては、圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを1.36(第1の値)とし、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを1.40(第2の値)としている。これら圧縮行程のポリトロープ指数の基準値Np(Np=1.36)、及び、膨張行程のポリトロープNp(Np=1.40)は、実験・シミュレーション等によって求めた値である。
そして、本実施形態では、上記ポリトロープ指数の基準値Npに以下に示すポリトロープ指数補正係数Kを乗じることによりポリトロープ指数nを求める(n=Np×K)。
(補正係数等)
まず、筒内での熱伝達は時間と温度差で変化するので、その時間と温度差(筒内ガス温度と壁面温度(筒内壁面温度)との温度差)とをパラメータとして、負荷格子点補正係数(以下、補正係数マップ値ともいう)を求めるためのマップを作成し、そのマップから指数係数マップ値MAP_NPを求めるようにする。具体的には、上記時間をエンジン回転数NE[rpm]で代用し、温度については燃料噴射量Qv[mm3]で代用して、それらエンジン回転数NEと燃料噴射量Qvとをパラメータとして、補正係数マップ値MAP_NPを求めるためのマップ(図5に示すマップ)を実験・シミュレーション等によって予め作成している。この図5のマップはECU100のROM内に記憶されている。
この図5のマップにおいて、燃料噴射量Qvが小さい領域(低負荷領域)、及び、エンジン回転数NEが高い領域(高回転域)では、補正係数マップ値MAP_NPは「1」もしくは「1」に近い値となっている。また、エンジン回転数NEが小さいほど(熱伝達の時間が長いほど)圧縮ガス温度が低い傾向となる点、及び、同じエンジン回転数NEであっても燃料噴射量Qvが大きいほど筒内ガス温度を壁面温度との温度差が大きくなるという点を考慮して、エンジン回転数NEが低いほど、また、燃料噴射量Qvが多いほど、補正係数マップ値MAP_NPが小さい値となるように設定されている。なお、図5のマップにおいて、エンジン回転数NE及び燃料噴射量Qvがマップ上の各ポイント間の値になるときには、補間処理にて補正係数マップ値MAP_NPを算出する。
また、本実施形態では、エンジン1の水温が所定未満である冷温時と、エンジン1の水温が所定値以上の完全暖機時とを区別して上記補正係数Kを設定するようにしている。
具体的には、エンジン1の水温が40℃未満の冷温時には、上記図5のマップから読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPをそのままポリトロープ指数補正係数Kとする(補正係数K=MAP_NP)。
また、エンジン1の水温が40℃以上である完全暖機時には、上記図5のマップから読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPを用いて、以下の式(5)(ECU100のROMに記憶)によってポリトロープ指数補正係数Kを求める。ただし、式(5)から求めたポリトロープ指数補正係数Kが「1」よりも大きい値となる場合には、ポリトロープ指数補正係数Kは「1」とする。なお、冷温時と完全暖機時とを区別する値(水温)は40℃に限定されるものではなく、他の任意の値が適宜設定される。
補正係数K=MAP_NP+(水温−40℃)/100 ・・・(5)
次に、圧縮ガス温度推定処理の具体的な例について図7のフローチャートを参照して説明する。この図7の処理ルーチンはECU100において所定時間(例えば、クランクシャフトの所定回転角毎、または、数msec)に繰り返して実行される。
まず、ステップST101において、クランクポジションセンサ40の出力信号等に基づいてエンジン1の現在の行程が圧縮行程であるか否かを判定する。その判定結果が否定判定(NO)である場合はステップST111に進む。ステップST101の判定結果が肯定判定(YES)である場合はステップST102に進む。
ステップST102では、現在の行程が圧縮行程であるのでポリトロープ指数の基準値Npを1.36とする(Np=1.36)。
ステップST103では、クランクポジションセンサ40の出力信号からエンジン回転数NEを算出し、そのエンジン回転数NE及び燃料噴射量Qv(指令値)に基づいて図5のマップを参照して、ポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを読み込む。
次に、ステップST104において、水温センサ46の出力信号から現在の水温を算出し、その水温が40℃未満であるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定(YES)である場合([水温<40℃]である場合)は、冷温時であると判断してステップST105に進む。ステップST105では、上記ステップST103で読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPをそのままポリトロープ指数補正係数Kとする。
上記ステップST104の判定結果が否定判定(NO)である場合([水温≧40℃]である場合は、完全暖機時であると判断してステップST115に進む。ステップST115では、上記ステップST103で読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPを用いて上記した式(5)[補正係数K=MAP_NP+(水温−40℃)/100]によってポリトロープ指数補正係数Kを算出する。
ステップST106では、上記ステップST105またはステップST115で取得したポリトロープ指数補正係数Kを用い、上記ポリトロープ指数の基準値Np(圧縮行程の場合はNp=1.36)にポリトロープ指数補正係数Kを乗じることによって、ポリトロープ指数nを算出する(n=Np×K)。
そして、ステップST107において、上記ステップST106で算出したポリトロープ指数nを用いて、上記した圧縮行程のときの温度推定の式(2)[T(θ)=TBDC×ε(θ)n-1]によって、現在のクランク角θにおける圧縮ガス温度T(θ)を算出(推定)する。
ここで、圧縮ガス温度の算出に用いる下死点時筒内ガス温度(圧縮開始時のガス温度)TBDCは、定容容器(筒内)の初期(熱エネルギ投入前)の筒内ガス温度であって、例えば、インマニガス温度を下死点時筒内ガス温度TBDCとして用いる。そのインマニガス温度については、インマニ温度センサ49にて検出された検出値を用いる。なお、インマニガス温度は推定値であってもよい。また、下死点時筒内ガス温度TBDCについては、センサによる実測値(実測下死点時筒内ガス温度)を用いてもよいし、推定値(推定下死点時筒内ガス温度)を用いてもよい。
また、圧縮ガス温度の算出に用いる圧縮比ε(θ)については、現在のクランク角θに基づいて、予め計算等によって作成されたマップや数式等から求めるようにする。
以上のステップST101〜ステップST105(またはステップST115)〜ステップST107の各処理は、ステップST101の判定結果が否定判定(NO)となるまで、つまり、エンジン1の行程が圧縮行程から膨張行程に移行するまで繰り返して実行される。そして、膨張行程に移行した時点(ステップST101:NOとなった時点)でステップST111に進む。
ステップST111では現在のエンジン1の行程が膨張行程であるか否かを判定する。ここで、圧縮行程が終了した時点(ステップST101:NOとなった時点)ではエンジン1の行程は膨張行程に移行するので、ステップST111の判定結果は肯定判定(YES)となり、ステップST112に進む。なお、ステップST111の判定結果が否定判定(NO)である場合(圧縮行程ではなく、膨張行程でもない場合)はリターンする。
ステップST112では、エンジン1の現在の行程が膨張行程であるので、ポリトロープ指数の基準値Npを1.40とする(Np=1.40)。ここで、圧縮行程から膨張行程に移行した際に、ポリトロープ指数の基準値Npを直ぐに1.40(1.36→1.40)とすると、ポリトロープ指数nの変化が連続的でなくなり、圧縮ガス温度の推定値がステップ状に変化してしまうので、好ましくない。そこで、本実施形態では、圧縮行程から膨張行程に移行した際に、図6に示すように、ポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させる。より具体的には、以下の式(6)を用いてポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させる。その後に、ステップST103に進む。
Np=(1.40−1.36)[1−exp(A×クランク角B)]+1.36 ・・(6)
ただし、A,Bは実験またはシミュレーションにより求められた定数である。また、クランク角は、圧縮上死点(TDC)に対するクランク角[°CA]である。
なお、上記図6はポリトロープ指数の基準値Npを徐変させる形態の一例であって、これに限定されるものではなく、他の任意の形態でポリトロープ指数の基準値Npを徐変させるようにしてもよい。また、上記式(6)は、ポリトロープ指数の基準値Npを徐変させる式の一例であって、これに限定されるものではなく、他の任意の徐変式を用いてもよい。
そして、エンジン1の行程が膨張行程であるときにも、上記した圧縮行程と同様に、ステップST103において、クランクポジションセンサ40の出力信号からエンジン回転数NEを算出し、そのエンジン回転数NE及び燃料噴射量Qv(指令値)に基づいて、図5のマップを参照してポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを読み込む。次に、ステップST104において、水温センサ46の出力信号から現在の水温を算出し、その水温が40℃未満であるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定(YES)である場合([水温<40℃]である場合)は、冷温時であると判断してステップST105に進む。ステップST105では、上記ステップST103で読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPをそのままポリトロープ指数補正係数Kとする。
上記ステップST104の判定結果が否定判定(NO)である場合([水温≧40℃]である場合は、完全暖機時であると判断してステップST115に進む。ステップST115では、上記ステップST103で読み込んだ補正係数マップ値MAP_NPを用いて、上記した式(5)[補正係数K=MAP_NP+(水温−40℃)/100]によってポリトロープ指数補正係数Kを算出する。
さらに、ステップST106において、上記ステップST105またはステップST115で取得したポリトロープ指数補正係数Kを用い、上記ポリトロープ指数の基準値Np(膨張行程の場合はNp=1.40)にポリトロープ指数補正係数Kを乗じることによって、ポリトロープ指数nを算出する(n=Np×K)。
そして、ステップST107において、上記ステップST106で算出したポリトロープ指数n(膨張行程での値)を用いて、上記した膨張行程のときの温度推定の式(3)[T(θi)=T(θi-1)×{V(θi-1)/V(θi)}n-1]によって、現在のクランク角θiにおける圧縮ガス温度T(θi)を算出(推定)する。ここで、上記式(3)のT(θi-1)の初期値(膨張行程に移行した際に最初に用いる値)については、圧縮行程のときに最後に算出を行った圧縮ガス温度T(θ)を圧縮ガス温度T(θi-1)の初期値とする。また、V(θi-1)、V(θi)については、前回のクランク角θ、現在のクランク角θに基づいて、予め計算等によって作成されたマップや数式等から求めるようにする。
以上のステップST111〜ステップST102〜ステップST105(またはステップST115)〜ステップST107の各処理は、ステップST111の判定結果が否定判定(NO)となるまで、つまり、膨張行程が終了するまで繰り返して実行される。そして、膨張行程が終了した時点(ステップST111:NOとなった時点)でリターンされ次の圧縮行程を迎えるまで処理は待機状態となる。
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、圧縮行程と膨張行程とに区別し、さらに水温が所定値未満の低温時と水温が所定値以上の完全暖機時とに区別してポリトロープ指数nを求めて圧縮ガス温度を推定しているので、圧縮ガス温度をより正確に推定することが可能になる。しかも、圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Np、及び、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npをそれぞれ補正してポリトロープ指数nを求めているので、ポリトロープ指数を瞬時に算出する場合と比較して、簡単な処理のもとに圧縮ガス温度を精度良く推定することができる。
−熱発生率波形の推定等について−
以上のように、本実施形態にあっては、圧縮ガス温度を精度良く推定することが可能であるので、例えば、熱発生率波形を構成する低温酸化反応の反応開始時期(750Kとなるクランク角)を精度良く推定することができる。これにより、例えば、Wiebe関数(特開2007−248119号公報、特開2007−126997号公報等参照)の熱発生開始点のクランク角[°CA]を求めることが可能になる。
そして、燃料噴射量Qv[mm3]と熱発生効率30J/mm3(この値については後述する)とから熱発生量(=Qv×30)を求め、その熱発生量を基に、熱発生率最大クランク角及び反応期間(燃焼期間)を規定することにより、これら熱発生率最大クランク角及び反応期間と上記熱発生開始点のクランク角とを用いて、熱発生率波形を推定することが可能になる。また、同様な処理にて、高温酸化反応の反応開始時期(熱発生開始点のクランク角)を求めるとともに、その高温酸化反応の熱発生率最大クランク角及び反応期間(燃焼期間)を規定することにより、熱発生率波形を推定することが可能になる。
(熱発生効率について)
まず、燃焼室3内で理想的な燃焼が行われている場合には、燃焼期間全体に亘る燃料の単位体積当たりの発生熱量は最大値となる。つまり、燃焼室3内の酸素濃度及び酸素過剰率が十分に確保されており、筒内温度が燃料の自着火温度に達しており、かつ、燃料噴射量指令値に応じた適切な量の燃料がインジェクタ23から噴射されている場合には、噴射された燃料の大部分が良好に燃焼する。このため、この燃焼期間における燃料の単位体積当たりの発生熱量は最大値となる。この発生熱量の最大値を基準熱発生効率と呼び、燃料が軽油である場合は、基準熱発生効率は30J/mm3となる。この値(30J/mm3)は実験的に求められた値である。そして、そのような基準熱発生効率を上記した熱発生効率の固定値(30J/mm3)として、発熱量(投入エネルギ=QV[mm3]×30J/mm3)を求めることができる。
ここで、軽油の単位質量当たりの発熱量は42.94kJ/gであり、軽油の密度は0.834×10-3g/mm3であるので、単位体積当たりの発生熱量の最大値は、理論上では35.8J/mm3となる。しかし、実際の燃料(軽油)では、燃焼室3内での燃焼行程における熱発生に寄与しない燃料(例えば排気行程において燃焼を行う燃料や、排気系7において燃焼を行う燃料)が存在するため、実際の燃料の単位体積当たりの発生熱量の最大値(基準熱発生効率)は30J/mm3となる。つまり、一般的なエンジン1は実行率が83.8%(=30/35.8)で稼働していることになる。なお、本発明の発明者は、上記基準熱発生率を実験によって調べたところ、基準熱発生効率は、燃料噴射量・燃料噴射圧に関係なく、30J/mm3となることが確認できている。
−他の実施形態−
以上の例では、車両に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジンの温度推定・温度センサ故障診断に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、車両用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンの圧縮ガス温度推定にも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型エンジン、V型エンジン、水平対向型エンジン等の別)についても特に限定されるものではない。
以上の例では、通電期間においてのみ全開の開弁状態となることにより燃料噴射率を変更するピエゾインジェクタ23を適用したエンジン1について説明したが、本発明は、可変噴射率インジェクタを適用したエンジンの圧縮ガス温度推定への適用も可能である。
また、本発明は、ディーゼルエンジンに限られることなく、ガソリンエンジンの圧縮ガス温度推定にも適用することができる。
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の圧縮ガス温度を推定する圧縮ガス温度推定装置に有効に利用することができる。
1 エンジン(内燃機関)
2 燃料供給系
3 燃焼室(気筒)
21 サプライポンプ
23 インジェクタ(燃料噴射弁)
40 クランクポジションセンサ
46 水温センサ
49 インマニ温度センサ(吸気温センサ)
100 ECU

Claims (4)

  1. 内燃機関の圧縮ガス温度を推定する装置であって、
    下死点時筒内ガス温度TBDC、圧縮比ε(θ)、ポリトロープ指数nを用いて、圧縮行程にあるときには以下の式(2)によって圧縮ガス温度T(θ)を推定し、膨張行程にあるときには以下の式(3)によって圧縮ガス温度T(θi)を推定するように構成されているとともに、
    圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを第1の値とし、膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを第2の値として、そのポリトロープ指数の基準値Npに、前記内燃機関の水温が所定値未満である低温時の補正係数、または、前記内燃機関の水温が所定値以上である暖機時の補正係数を乗じて、前記圧縮ガス温度の推定に用いるポリトロープ指数nを求めることを特徴とする内燃機関の圧縮ガス温度推定装置。
    T(θ)=TBDC×ε(θ)n-1 ・・・(2)
    T(θi)=T(θi-1)×{V(θi-1)/V(θi)}n-1 ・・・(3)
  2. 請求項1記載の内燃機関の圧縮ガス温度推定装置において、
    前記内燃機関の回転数と燃料噴射量とをパラメータとして前記ポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを求めるマップが予め設定されており、
    前記内燃機関の水温が40℃未満である低温時には前記マップから求めたポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPをそのまま補正係数Kとして用いてポリトロープ指数nを求めて圧縮ガス温度を推定し、
    前記内燃機関の水温が40℃以上である暖機時には、前記マップから求めたポリトロープ指数の補正係数マップ値MAP_NPを以下の式(5)によって補正して、その補正後の補正係数Kを用いてポリトロープ指数nを求めて圧縮ガス温度を推定することを特徴とする内燃機関の圧縮ガス温度推定装置。
    補正係数K=MAP_NP+(水温−40℃)/100 ・・・(5)
  3. 請求項1または2記載の内燃機関の圧縮ガス温度推定装置において、
    圧縮行程から膨張行程に移行した際に、前記ポリトロープ指数の基準値Npを前記第1の値から前記第2の値に徐々に変化させて前記圧縮ガス温度の推定を行うことを特徴とする内燃機関の圧縮ガス温度推定装置。
  4. 請求項3記載の内燃機関の圧縮ガス温度推定装置において、
    前記圧縮行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを1.36とし、前記膨張行程のときのポリトロープ指数の基準値Npを1.40とし、
    以下の式(6)に基づいて前記ポリトロープ指数の基準値Npを1.36から1.40に徐々に変化させることを特徴とする内燃機関の圧縮ガス温度推定装置。
    Np=(1.40−1.36)[1−exp(A×クランク角B)]+1.36 ・・・(6)
    ただし、A.B:実験またはシミュレーションにより求められた定数
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