JP2013237634A - 縮環イミダゾロン誘導体 - Google Patents

縮環イミダゾロン誘導体 Download PDF

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孝明 住吉
Atsushi Suwa
篤志 諏訪
Yoshiji Uruno
義治 宇留野
健太郎 ▲高▼井
Kentaro Takai
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Abstract

【課題】本発明は、選択的にムスカリンMおよびM受容体を作動して効果を発現するとともにその他のムスカリン受容体または他の受容体を介する副作用が低減された縮環イミダゾロン誘導体を提供する。
【解決手段】本発明は、式(1):
Figure 2013237634

(上記式中の各記号は明細書に記載の通りである。)
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩、それらを有効成分とする医薬組成物、およびそれらを含有するムスカリン受容体仲介疾患の治療薬に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ムスカリン受容体作動性を有する新規な置換イミダゾロン誘導体に関する。また本発明は、それらを有効成分として含有するムスカリン受容体仲介疾患の治療薬または予防薬も提供する。
神経伝達物質アセチルコリン受容体にはニコチン受容体およびムスカリン受容体の2タイプのコリン作動性受容体が知られている。ムスカリン受容体は細胞膜結合Gタンパク質共役受容体(GPCR)であり、現在5個のサブタイプ(M−M)が知られている。これらM−Mムスカリン受容体は中枢および末梢組織に興奮性または抑制性制御を及ぼし、心拍、覚醒、認知、運動制御などを含む多くの生理的機能に関与する。
ムスカリン受容体作動薬は鎮痛作用、記憶改善作用、抗精神病作用、認知障害改善作用など種々の薬理作用を有しており、それらの作用が関係する中枢性疾患の治療薬として使用できる可能性がある(非特許文献1)。しかしながら、カルバコールやピロカルピンのような従来のムスカリン受容体作動薬は、ムスカリン受容体サブタイプに対する選択性が低く、その結果副作用が多く見られたため臨床への応用は限られている。
近年、ムスカリン受容体の分子クローニングおよびノックアウトマウスを使用する特定のサブタイプの生理学的役割の同定によって選択的ムスカリン受容体リガンドが新しい治療薬となりうる可能性が提示され、効果の増強および副作用の減少に必要な選択性プロファイルが研究されてきた。ザノメリン(xanomeline)は、ヒト統合失調症の陽性症状、陰性症状、認知障害のすべてに優れた臨床効果を示したことが報告されているが、MおよびMノックアウトマウスを用いた研究により、ザノメリンの抗精神病作用は主としてムスカリンMおよびM受容体作動性を介していることが報告されている(非特許文献2)。
以上の理由から、特に中枢疾患治療剤としてムスカリンMおよびM受容体に選択的に作動する薬剤の創出が、効果の増強および副作用の低減の観点から期待されている。
特許文献1には、例えば、下記式で示されるベンズイミダゾロン化合物が開示されているが、ムスカリンMおよびM受容体作動性およびムスカリン受容体選択性に関しては何ら開示も示唆もされていない。
Figure 2013237634
特許文献2には、例えば、下記式で示されるベンズイミダゾロン化合物が開示されているが、ムスカリンM受容体作動性およびムスカリン受容体選択性に関しては何ら開示も示唆もされていない。
Figure 2013237634
特許文献3には、例えば、下記式で示されるベンズイミダゾロン化合物が開示されている。
Figure 2013237634
また、特許文献4には、例えば、下記式で示されるベンズイミダゾロン化合物が開示されている。当該特許文献3および4には、これらの化合物が、ムスカリンM受容体への作動性が弱く、ムスカリンM受容体選択的であることが記載されているが、ムスカリンMおよびMの両受容体を選択的に作動するベンズイミダゾロン化合物に関しては何ら開示も示唆もされていない。
Figure 2013237634
特許文献5には、例えば、下記式で示されるベンズイミダゾロン化合物が開示されているが、当該化合物はムスカリン受容体拮抗薬であり、ムスカリン受容体作動薬に関しては何ら記載されていない。
Figure 2013237634
特許文献1〜5に記載の上記化合物は、ベンズイミダゾロン環に置換するピペリジン環が、ピペリジン環またはピロリジン環と直結しており、二つの環構造の間にメチレン鎖を介している本発明化合物とは構造が相違する。また、上記のいずれの特許文献にも、ムスカリンMおよびM両受容体の選択的作動薬については何ら記載されていない。
国際公開第99/32481号パンフレット 国際公開第01/27104号パンフレット 国際公開第2007/142585号パンフレット 国際公開第2009/110844号パンフレット 国際公開第1996/13262号パンフレット
Journal of Medicinal Chemistry、43巻、4333−4353頁(2000年) European Journal of Pharmacology、603巻、147−149頁(2009年)
本発明は、選択的にムスカリンMおよびM受容体を作動して、中枢性疾患の改善効果を発現するとともに、その他のムスカリン受容体または他の受容体を介する副作用が低減された縮環イミダゾロン化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の縮環イミダゾロン構造を有する化合物が、選択的にムスカリンMおよびM受容体を作動して、抗精神病作用、認知障害改善作用などを含む優れた中枢性疾患の改善効果を有すると共に、その他のムスカリン受容体または他の受容体を介する副作用を低減することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
[1] 下記式(1):
Figure 2013237634
[式中、Rは、水素原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよい3〜7員の複素環基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、スルファモイル基または置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基であり、
は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1もしくは2個以上の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、または置換されていてもよいC2−6アルキニル基であり、
は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−14アリールアルキル基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、シアノ基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、スルファモイル基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ基、ニトロ基または置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基であり、
a、b、cおよびdは、同一または異なって、窒素原子またはCRであり、
eおよびfは、同一または異なって、それぞれ1または2であり、
gは、1または2であり、
Aは、単環または二環の含窒素飽和複素環基であり、
YおよびZは、同一または異なってそれぞれ酸素原子または硫黄原子である。]で表される化合物(以下、この化合物を「化合物(1)」または「式(1)の化合物」と称することもある。)またはその薬学的に許容される塩。(以下、これらを総称して「本発明の化合物」と称することもある。);
[2] YおよびZが、いずれも酸素原子である、上記[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[3] Rが、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1もしくは2個以上の置換基で置換されていてもよい、メチル基またはエチル基である、上記[1]または[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[4] a、b、cおよびdが、同一または異なって、CRである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[5] Rが、水素原子、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基または置換されていてもよい3〜7員の複素環基である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[6] Rが、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、ニトロ基、エチニル基、プロピニル基、アセチル基、メタンスルホニル基、メチルスルファニル基、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基またはジメチルアミノ基である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[7]:下記式(1a)で表される式(1)の部分構造が、
Figure 2013237634
下記式(2):
Figure 2013237634
で表される構造である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[8] 4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(3−exo)−3−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸メチル;
4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(1R,5S)−3−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(3−exo)−3−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;および
4−{[4−(4−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル
からなる群から選択される、上記[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩;
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬;
[10] 中枢性疾患の治療薬である上記[9]に記載の医薬;
[11] 中枢性疾患がアルツハイマー病および/または統合失調症である、上記[10]に記載の医薬;
[12] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有するムスカリン受容体作動薬;
[13] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物;
[14] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
本発明化合物は、抗精神病作用、認知障害改善作用などを含む優れた中枢性疾患の改善効果を示すため、新規な中枢性疾患の治療薬および/または予防薬として有用である。
実施例2の化合物のヒト型ムスカリン受容体のin vitro作動性試験結果である。
本明細書における用語を以下に説明する。
本発明の目的に関して、化学元素は元素周期表、CAS version, Handbook of Chemistry
and Physics, 75th Edに従って同定する。さらに、有機化学の一般的原理は、“Organic
Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999および“March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., : Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、それらの全内容を参照することができる。
受容体サブタイプを特定する接頭辞がない用語「ムスカリン受容体」は、5種の受容体サブタイプM−Mの1種以上を意味する。
ムスカリン受容体に結合してムスカリン活性を増強する化合物は作動薬またはアゴニストと称される。ムスカリン受容体の活性を減少させる化合物は拮抗薬またはアンタゴニストと称される。アゴニストはムスカリン受容体と相互作用して該受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を増加させる。アンタゴニストはムスカリン受容体と相互作用し、該受容体上の結合部位(複数可)を内因性リガンド(複数可)または基質(複数可)と競合して、該受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を低下させる。
「C1−6アルキル基」とは、炭素数が1〜6個の直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。当該「C1−6アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基およびn−ヘキシル基、ならびにそれらの構造異性体が挙げられる。当該「C1−6アルキル基」の中でも、C1−3アルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基がより好ましい。
「C2−6アルケニル基」とは、1個以上の二重結合を有する炭素数が2〜6個の直鎖状または分枝鎖状の不飽和の脂肪族炭化水素基を意味する。当該「C2−6アルケニル基」の具体例としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、クロチル基、ブテニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基、ならびにそれらの構造異性体や幾何異性体が挙げられる。当該「C2−6アルケニル基」の二重結合の位置は、化学的に安定であれば炭素鎖上のどの位置であってもよい。当該「C2−6アルケニル基」の中でも、C2−3アルケニル基が好ましい。
「C2−6アルキニル基」とは、1個以上の三重結合を有する炭素数が2〜6個の直鎖状または分枝鎖状の不飽和の脂肪族炭化水素基を意味する。当該「C2−6アルキニル基」の具体例としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基およびヘキシニル基、ならびにそれらの構造異性体が挙げられる。当該「C2−6アルキニル基」の三重結合の位置は、化学的に安定であれば炭素鎖上のどの位置であってもよい。当該「C2−6アルキニル基」の中でも、C2−3アルキニル基が好ましい。
「C3−7脂肪族炭素環基」とは、炭素原子のみで環を構成している3〜7員の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素環基を意味する。また、当該「C3−7脂肪族炭素環基」は、芳香族π電子系が生じない限り、任意に1個以上の不飽和結合を有していてもよく、また、C3−7脂肪族炭素環、3〜7員の複素環、C6−14アレーンまたは5〜10員のヘテロアレーンと縮合していてもよい。
当該「C3−7脂肪族炭素環基」の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、1,4−シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、1,2−シクロヘプタジエニル基、1,3−シクロヘプタジエニル基および1,4−シクロヘプタジエニル基が挙げられる。当該「C3−7脂肪族炭素環基」の中でも、C3−6脂肪族炭素環基が好ましい。
「C3−7脂肪族炭素環」とは、上記「C3−7脂肪族炭素環基」に対応する環を意味し、炭素原子のみで環を構成している3〜7員の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素環を意味する。当該「C3−7脂肪族炭素環」の具体例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、1,2−シクロヘプタジエン、1,3−シクロヘプタジエンおよび1,4−シクロヘプタジエンが挙げられる。当該「C3−7脂肪族炭素環」の中でも、C3−6脂肪族炭素環が好ましい。
「3〜7員の複素環基」とは、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和または不飽和の脂肪族環基を意味し、当該「3〜7員の複素環基」は、芳香族π電子系が生じない限り、任意に1個以上の不飽和結合を有していてもよく、また、C3−7脂肪族炭素環、3〜7員の複素環、C6−14アレーンまたは5〜10員のヘテロアレーンと縮合していてもよい。さらに、環構成メンバーとして、1個以上のカルボニルまたはチオカルボニルを含んでいてもよく、例えば、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミド、環式カルバメートなどの環状基も当該複素環基に含まれる。当該「3〜7員の複素環基」上の結合位置は、ヘテロ原子上でも炭素原子上でもよい。
当該「3〜7員の複素環基」の具体例としては、例えば、テトラヒドロチオピラニル基、4H−ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ピペリジル基、1−エトキシカルボニルピペリジル基、1−エトキシカルボニルピペリジニリデニル基、1,3−ジオキシニル基、1,3−ジオキサニル基、1,4−ジオキシニル基、1,4−ジオキサニル基、ピペラジニル基、1,3−オキサチアニル基、1,4−オキサチイニル基、1,4−オキサチアニル基、テトラヒドロ−1,4−チアジニル基、2H−1,2−オキサジニル基、マレイミド基、スクシンイミド基、ジオキソピペラジニル基、ヒダントイン基、ジヒドロウラシル基、モルホリノ基、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロフラニル基、オキセタニル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、ピロリドニル基、ピロリジオニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、1,3−ジオキソリル基、1,3−ジオキソラニル基、1,3−ジチオリル基、1,3−ジチオラニル基、イソオキサゾリニル基、イソオキサゾリジニル基、オキサゾリニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリニル基、チアゾリジニル基および1,3−オキサチオラニル基が挙げられる。
「3〜7員の複素環」とは、上記「3〜7員の複素環基」に対応する環を意味し、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和または不飽和の脂肪族環を意味する。当該「3〜7員の複素環」の具体例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンが挙げられる。
「C6−14アリール基」とは、炭素数が6〜14の芳香族炭素環基を意味する。当該「C6−14アリール基」は、少なくとも1つのC3−7脂肪族炭素環、3〜7員の複素環または5〜10員のヘテロアレーンと縮合していてもよい。当該「C6−14アリール基」の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオレニル基、テトラヒドロナフチル基、インデニル基およびインダニル基が挙げられ、中でも、フェニル基およびナフチル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
「C6−14アレーン」とは、C6−14アリール基に対応する芳香族炭素環を意味する。当該「C6−14アレーン」の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンが挙げられ、中でも、ベンゼンおよびナフタレンが好ましく、ベンゼンが特に好ましい。
「C6−14アリールアルキル基」とは、1個以上の前記C6−14アリール基で置換された前記C1−6アルキル基(すなわち、C6−14アリール−C1−6アルキル基)を意味する。当該「C6−14アリールアルキル基」の具体例としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−ナフチルメチル基、1−(1−ナフチル)エチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−ナフチルメチル基、1−(2−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基などが挙げられる。当該「C6−14アリールアルキル基」の中でも、好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルキル基、より好ましくは、(CまたはC10アリール)−C1−4アルキル基、特に好ましくは、ベンジル基である。
「5〜10員のヘテロアリール基」とは、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族環基を意味する。当該「5〜10員のヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチオフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、インドリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、テトラゾリル基、フラザニル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、プリニル基、ピラジニル基、プテリジニル基、フェノキサゾリル基、ベンゾピラゾリル基、キノリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基およびキノキサリニル基が挙げられる。当該「5〜10員のヘテロアリール基」の中でも、5員および6員のヘテロアリール基が好ましい。当該「5〜10員のヘテロアリール基」は、少なくとも1つのC3−7脂肪族炭素環、3〜7員の複素環、C6−14アレーンまたは5〜10員のヘテロアレーンと縮合していてもよい。
「5〜10員のヘテロアレーン」とは、上記「5〜10員のヘテロアリール基」に対応する環を意味し、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族環基を意味する。当該「5〜10員のヘテロアレーン」の具体例としては、例えば、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、テトラゾール、フラザン、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノン、ピリダジン、ピリミジン、プリン、ピラジン、プテリジン、ベンゾピラゾール、キノリジンが挙げられる。当該「5〜10員のヘテロアレーン」の中でも、5員および6員のヘテロアレーンが好ましい。
「5〜10員のヘテロアリールアルキル基」とは、上記5〜10員のヘテロアリール基で置換されたC1−6アルキル基を意味する。当該「5〜10員のヘテロアリールアルキル基」の具体例としては、(2−フリル)メチル基、(3−フリル)メチル基、(2−チエニル)メチル基、(1−ピロリル)メチル基、(2−ピロリル)メチル基、(3−ピロリル)メチル基、(2−ピリジル)メチル基、(3−ピリジル)メチル基、(4−ピリジル)メチル基、(2−インドリル)メチル基、(3−インドリル)メチル基、(2−オキサゾリル)メチル基、(2−ベンゾオキサゾリル)メチル基、(3−イソオキサゾリル)メチル基、(3−ベンゾイソオキサゾリル)メチル基、(2−チアゾリル)メチル基、(2−ベンゾチアゾリル)メチル基、(2−イミダゾリル)メチル基が挙げられ、中でも(2−ピロリル)メチル基、(3−ピロリル)メチル基、(2−インドリル)メチル基、(3−インドリル)メチル基が好ましい。
「C1−6アルコキシ基」とは、C1−6アルキル基が結合した−O−を意味する。当該「C1−6アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基およびヘキシルオキシ基が挙げられる。当該「C1−6アルコキシ基」の中でも、C1−3アルコキシ基が好ましく、メトキシ基およびエトキシ基が特に好ましい。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。当該「ハロゲン原子」の中でも、フッ素原子、臭素原子および塩素原子が好ましい。
「C1−6アルキルスルファニル基」とは、C1−6アルキル基が結合した−S−を意味する。当該「C1−6アルキルスルファニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ペンチルスルファニル(すなわち、アミルスルファニル)基、ヘキシルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、sec−ブチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基、イソペンチルスルファニル基、ネオペンチルスルファニル基およびtert−ペンチルスルファニル基が挙げられる。当該「C1−6アルキルスルファニル基」の中でも、C1−3アルキルスルファニル基が好ましく、メチルスルファニル基およびエチルスルファニル基が特に好ましい。
「アシル基」とは、C1−6アルキル基が結合した−C(=O)−(すなわち、C1−6アルキル−カルボニル基)、C1−6アルコキシ基が結合した−C(=O)−(すなわち、C1−6アルコキシ−カルボニル基)、C6−14アリール基が結合した−C(=O)−(すなわち、C6−14アリール−カルボニル基)およびC6−14アリールアルキル基が結合した−C(=O)−(すなわち、C6−14アリールアルキル−カルボニル基)を意味する。
「C1−6アルキル−カルボニル基」の具体例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基が挙げられる。
「C1−6アルコキシ−カルボニル基」の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
「C6−14アリール−カルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基が挙げられる。
「C6−14アリールアルキル−カルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニル基、2−フェニルエチルカルボニル基、3−フェニルプロピルカルボニル基が挙げられる。
当該「アシル基」の中でも、アセチル基、プロピオニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基およびベンゾイル基が好ましい。
「置換されていてもよいアシル基」において、アシル基が置換される場合には、上記C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基に含まれるC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基や、C6−14アリール−カルボニル基、C6−14アリールアルキル−カルボニル基に含まれるC6−14アリール基が置換されることを意味する。アシル基に含まれるC1−6アルキル基やC1−6アルコキシ基が置換される場合の置換基としては、後記置換基(α)の群から選択される1または2個以上の置換基が挙げられ、アシル基に含まれるC6−14アリール基が置換される場合の置換基としては、後記置換基(β)から選択される1または2個以上の置換基が挙げられ、これらの置換基はそれぞれ置換可能な任意の位置に置換することができる。
「アミノ基」とは、特に断りのない限り1級のアミノ基(−NH)を意味する。
「モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ基」とは、C1−6アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基を意味する。当該「モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ基」の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基などが挙げられる。当該「モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ基」の中でも、モノまたはジ−C1−3アルキルアミノ基が好ましく、メチルアミノ基およびジメチルアミノ基が特に好ましい。
「C1−6アルキルスルホニル基」とは、C1−6アルキル基が結合した−SO−を意味する。当該「C1−6アルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基およびイソプロピルスルホニル基が挙げられる。当該「C1−6アルキルスルホニル基」の中でも、C1−3アルキルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基およびエチルスルホニル基が特に好ましい。
「C1−6アルキルスルフィニル基」とは、C1−6アルキル基が結合した−SO−を意味する。当該「C1−6アルキルスルフィニル基」としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基およびイソプロピルスルフィニル基が挙げられる。当該「C1−6アルキルスルフィニル基」の中でも、C1−3アルキルスルフィニル基が好ましい。
「スルファモイル基」とは、−SONHを意味する。
「モノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基」とは、上記スルファモイル基の窒素原子上の1または2個の水素原子が、1または2個のC1−6アルキル基と置換した基を意味する。当該「モノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基」としては、例えば、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、プロピルスルファモイル基、ジプロピルスルファモイル基、ブチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基が挙げられる。当該「モノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基」の中でも、モノまたはジ−C1−3アルキルスルファモイル基が好ましく、メチルスルファモイル基およびジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルファニル基、置換されていてもよいモノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基におけるC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基の置換基としては、下記の置換基(α)の群から選択される置換基が挙げられ、これら置換基はそれぞれ置換可能な任意の位置に1または2個以上置換することができる。
置換基(α):
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C3−7脂肪族炭素環基、C6−14アリール基、5〜10員のヘテロアリール基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルスルファニル基、アシル基、スルファモイル基、モノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、アミノ基、モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルスルホニル基。
置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよい3〜7員の複素環基、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−14アリールアルキル基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリールアルキル基におけるC3−7脂肪族炭素環基、3〜7員の複素環基、C6−14アリール基、5〜10員のヘテロアリール基の置換基としては、下記の置換基(β)の群から選択される置換基が挙げられ、これら置換基はそれぞれ置換可能な任意の位置に1または2個以上置換することができる。
置換基(β):
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1−6アルキル基、C3−7脂肪族炭素環基、C6−14アリール基、5〜10員のヘテロアリール基、C6−14アリールアルキル基、5〜10員のヘテロアリールアルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルスルファニル基、アシル基、スルファモイル基、モノまたはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、アミノ基、モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルスルホニル基。
「含窒素飽和複素環基」とは、環構成原子として1個の窒素原子を含む5ないし7員の単環の飽和脂肪族複素環基を意味するか、あるいは下記式(3)で表される二環の飽和脂肪族複素環基を意味する。
Figure 2013237634
上記式(3)において、p、q、rおよびsは同一または異なって、それぞれ0、1または2であり、p、q、rおよびsの総和は4以下であり、好ましくは2、3または4である。また上記式(3)において、Xは−CH−、−(CH−、−(CH−、−CHOCH−であり、好ましくは−CH−または−(CH−である。
当該「含窒素飽和複素環基」の具体例としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼパニル基、および下記式(4)で表される環状基が挙げられる。
Figure 2013237634
また下記式(1a)で表される上記式(1)の部分構造が、
Figure 2013237634
下記式(2):
Figure 2013237634
で表される構造である場合が好ましい。
式(1)の化合物の薬学的に許容される塩とは、式(1)の化合物に含まれるアミンなどの官能基の塩基型を、薬学的に許容される適当な酸で処理することによって得られる酸付加塩を意味する。上記の薬学的に許容される酸としては、例えば無機酸[例:ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸)、または硫酸、硝酸、リン酸など]や、有機酸[例:酢酸、プロピオン酸、ヒドロ酢酸(hydroacetic acid)、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)−2−ブテン二酸、(E)−ブテン二酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、および当業者に知られている他の有機酸]が挙げられる。
本発明には、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩の水和物およびエタノール溶媒和物等の溶媒和物も含まれる。
結晶として得られる式(1)の化合物およびその薬学的に許容される塩には、結晶多形が存在する場合があり、その結晶多形も本発明に包含される。
さらに本発明の式(1)の化合物は、その置換基の態様によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体が存在する場合があるが、本発明の式(1)の化合物はこれら全ての立体異性体及びそれらの混合物をも包含する。また、化合物を構成する原子を同位体に変換した化合物(例えば、水素を重水素化した化合物や12Cを14Cに変換した化合物)も本発明に包含される。
前記一般式(1)で表される本発明の化合物を更に具体的に開示するため、式(1)において用いられる各種記号につき、その好適な具体例を挙げて更に詳細に説明する。
a、b、cおよびdは、同一または異なって窒素原子またはCRであり、好ましくは、a、b、cおよびdがそれぞれCRであり、より好ましくは、dがCHである。
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−14アリールアルキル基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、シアノ基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、スルファモイル基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ基、ニトロ基または置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基であり、
好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基およびメトキシ基からなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい。)、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、シアノ基、置換されていてもよいアシル基、スルファモイル基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ基または置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基およびメトキシ基からなる群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい。)、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、シアノ基、置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、メトキシ基またはジフルオロメトキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、ジフルオロメチル基またはメトキシ基であり、最も好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル基またはメトキシ基である。
前記式(1)において、Rが2個以上存在する場合には、Rはそれぞれ独立して選択される。
は、水素原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよい3〜7員の複素環基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルファニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、スルファモイル基または置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基であり、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基またはジフルオロメチル基であり、最も好ましくは、水素原子である。
eおよびfは、同一または異なって、それぞれ1または2である。
は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、好ましくは水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素原子、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基またはトリフルオロメトキシ基であり、より好ましくは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基、フッ素原子またはジフルオロメチル基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基またはメトキシ基である。
gは、1または2である。gが2であるとき、すなわち前記式(1)のRが2個存在する場合には、Rはそれぞれ独立して選択される。
前記式(1)において、Aは、単環または二環の含窒素飽和複素環基であり、当該A上の窒素原子には、−C(=Y)−Z−Rが置換される(各記号は前述のものと同義である。)。当該A上のその他の置換基の位置は化学的に安定であれば特に制限されない。
Aにおける単環の含窒素飽和複素環基としては、好ましくはピペリジニル基である。当該二環の含窒素飽和複素環基としては、下記式(3):
Figure 2013237634
[式中、Xは、−CH−、−(CH−、−(CH−または−CHOCH−であり、好ましくは−CH−または−(CH−であり、p、q、rおよびsは、同一または異なって、それぞれ0、1または2であり、好ましくは同一または異なって、それぞれ0または1であり、かつp、q、rおよびsの総和は2、3または4であり、好ましくは2である。]で表される含窒素飽和複素環基である。
Aとして、より好ましくは下記式(5):
Figure 2013237634
で表される含窒素飽和複素環基である。
YおよびZは、同一または異なってそれぞれ酸素原子または硫黄原子である。
Yは、好ましくは、酸素原子である。
Zは、好ましくは、酸素原子である。
は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1もしくは2個以上の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、または置換されていてもよいC2−6アルキニル基であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1または2個以上の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基であり、より好ましくはフッ素原子およびメトキシ基からなる群より選択される1または2個以上の置換基で置換されていてもよい直鎖のC1−3アルキル基であり、さらに好ましくはフッ素原子およびメトキシ基からなる群より選択される1または2個以上の置換基で置換されていてもよい、メチル基またはエチル基である。
本発明化合物において、好ましい化合物としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
[化合物A]
aがCRであり、
bがCRであり、
cがCRであり、
dがCHであり、
が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基またはメトキシ基であり、
が、水素原子またはメチル基であり、
eおよびfが、同一または異なって、それぞれ1または2であり、
が、水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、
gが1であり、
Aが下記式(5):
Figure 2013237634
で表される含窒素飽和複素環基であり、
YおよびZが、ともに酸素原子であり、
が、メチル基またはエチル基である、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
本発明化合物において、さらに好ましい化合物としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
[化合物B]
aがCHであり、
bがCRであり、
cがCRであり、
dがCHであり、
が、水素原子、フッ素原子、メチル基またはメトキシ基であり、
が水素原子であり、
eおよびfが、それぞれ2であり、
が水素原子であり、
gが1であり、
Aが下記式(5):
Figure 2013237634
で表される含窒素飽和複素環基であり、
YおよびZが、ともに酸素原子であり、
が、メチル基またはエチル基である、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
本発明の化合物としては、
4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(3−exo)−3−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸メチル;
4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(1R,5S)−3−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
(3−exo)−3−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−メチル−4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル;
(3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル;
4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル;
4−{[4−(4−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル
等が好ましい。
化合物(1)の製造方法:
次に本発明の化合物の製造方法について以下に説明する。一般式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩は以下の製法により製造することができる。
製法1:
下記式(6):
Figure 2013237634
で表される化合物またはその塩と、下記式(7):
Figure 2013237634
で表される化合物を用いて、還元的アミノ化反応を行うことで前記式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩を製造する方法(上記式中の記号は前記と同義である。)。
還元的アミノ化反応に用いる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシボラン酸ナトリウム、ピリジンボラン、2−ピコリンボランなどが挙げられる。また、反応は無溶媒または適当な溶媒中で行うことができ、使用する溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、酢酸エチルなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。また、必要に応じて、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基、チタンテトライソプロポキシドや塩化亜鉛などの酸を用いてもよい。反応温度は通常−20℃から120℃であり、好ましくは0℃から80℃である。
前記式(6)で表される化合物またはその塩は、例えば、下記スキーム1に従って製造することができる。
Figure 2013237634
(上記式中、Pは保護基を表し、その他の記号は前記と同義である。)
上記保護基の具体例としては、例えば、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのカルバメート類を形成する基や、ベンジル基、トリチル基などのベンジルアミン類を形成する基などが挙げられる。
工程1:
式(1−3)の化合物は、入手可能な式(1−1)の化合物と、入手可能な式(1−2)の化合物を塩基存在下、溶媒中、または無溶媒で反応させることで製造することができる。本反応において用いる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−20℃から170℃であり、好ましくは0℃から100℃である。
工程2:
式(1−4)の化合物は、式(1−3)の化合物のニトロ基を、金属触媒存在下、水素添加により還元することで製造することができる。本反応において用いる金属触媒としては、パラジウム炭素、ロジウム炭素、水酸化パラジウム、酸化白金などが挙げられる。使用する溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンなどが挙げられ、これらの溶媒を単独または2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−20℃から150℃であり、好ましくは0℃から80℃である。また水素源として、例えば、ギ酸アンモニウムなどを加えてもよい。
工程3:
式(1−5)の化合物は、式(1−4)の化合物にカルボニル基を導入し、つづいて環化することにより製造することができる。カルボニル基を導入する試薬としては、例えば、N,N’−カルボジイミダゾール、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲンなどが挙げられる。反応時に使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いることもできる。この反応は必要に応じて塩基を加えることができるが、加える塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムメトキシド、tert−ブトキシカリウム等が挙げられる。反応は通常−20℃から140℃であり、好ましくは20℃から80℃である。
工程4:
式(1−6)の化合物は、式(1−5)の化合物に、脱離基(例えば、ハロゲン原子)を有するRに対応する化合物(例えば、R−Xa; Xaはハロゲン原子を意味する。)を、塩基存在下、溶媒中または無溶媒で反応させることで製造することができる。本反応において用いる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−20℃から170℃であり、好ましくは0℃から120℃である。
工程5:
式(6)の化合物は、式(1−6)の化合物の保護基Pを、常法に従って脱保護することで製造することができる。
式(7)の化合物の製造方法:
前記式(7)の化合物は、例えば、下記スキーム2または3に従って製造することができる。
Figure 2013237634
(上記式中の記号は前記と同義である。但し、上記式(7)中において、Rはホルミル基のα位には置換しないものとする。)
工程1:
式(2−2)の化合物は、入手可能な式(2−1)の化合物を、水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどの塩基存在下、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中でヨウ化トリメチルスルホニウムと反応させることで製造することができる。反応温度は通常−20℃から60℃であり、好ましくは−10℃から30℃である。
工程2:
式(7)の化合物は、式(2−2)の化合物に、ボラントリフルオリド錯体などのルイス酸を反応させることで製造することができる。使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノールなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いることもできる。反応温度は通常−20℃から60℃であり、好ましくは−10℃から20℃である。
前記式(7)のうち、ホルミル基のα位に1個のRを導入した化合物である式(7a)の化合物は、スキーム3に従って製造することができる。
Figure 2013237634
(上記式中、R3aは、水酸基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、ほかの記号は前記と同義である。但し、上記式(7a)においてR3aはホルミル基のα位に置換しているものとする。)
工程1:
式(3−2)の化合物において、R3aが、置換されていてもよいC1−6アルキル基である化合物は、入手可能な式(3−1)の化合物に対し、脱離基(例えばハロゲン原子)を有するR3aに対応する化合物(例えば、R3a−Xa; Xaはハロゲン原子を意味する。)を、塩基存在下、溶媒中または無溶媒で反応させることで製造することができ、またR3aが水酸基である化合物は、水酸基を導入する化合物(例えば(2R,8S)−(+)−(カンファースルホニル)オキサジリジンなど)を、塩基存在下、溶媒中または無溶媒で反応させることで製造することができる。これらの反応において用いる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−78℃から100℃であり、好ましくは−78℃から40℃である。
式(3−2)の化合物において、R3aが置換されていてもよいC1−6アルコキシ基である化合物は、R3aが水酸基である式(3−2)の化合物に、塩基存在下、溶媒中、例えばハロゲン化アルキルなどを反応させることにより製造することができ、また、R3aがハロゲン原子である化合物は、R3aが水酸基である式(3−2)の化合物を、溶媒中、ハロゲン化する(例えば塩素化ならば塩化チオニルなどと反応させる)ことにより製造することができる。本反応において用いる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−78℃から100℃であり、好ましくは−20℃から40℃である。
工程2:
式(3−3)の化合物は、式(3−2)の化合物のエステル部分を還元剤で還元することにより製造することができる。本工程において用いられる還元剤としては、例えば、リチウムアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどが挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリルなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−78℃から100℃であり、好ましくは−20℃から40℃である。
工程3:
式(3−4)の化合物は、式(3−3)の化合物の保護基Pを常法により除去した後、例えば、適当なハロゲン化合物を塩基存在下反応させることで製造することができる。本反応において用いる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。使用する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。反応温度は通常−78℃から100℃であり、好ましくは−20℃から60℃である。
工程4:
式(7a)の化合物は、式(3−4)の化合物の水酸基をホルミル基へと酸化することにより製造することができる。酸化の方法としては、公知の方法、例えば、新実験化学講座15巻(丸善、1978年)に記載されている方法、あるいはそれに準じた方法を用いることができる。
また、上記式(3−1)の化合物を用いて、上記スキーム3の工程2−4に記載の方法と同様にして、Rが水素原子である式(7)の化合物を製造することができる。
上記で示す製造方法で得られた式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿のような常法に従って単離・精製される。抽出溶媒としては、例えばジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等が挙げられる。カラムクロマトグラフィーによる精製は、酸性、塩基性もしくは各種化学処理をしたシリカゲルまたはアルミナ等を用い、展開溶媒として、例えばヘキサン/酢酸エチル、ヘキサン/クロロホルム、酢酸エチル/メタノール、クロロホルム/メタノール、アセトニトリル/水、メタノール/水等を用いて行うことができる。
式(1)の化合物がラセミ体である場合は、光学活性カラムを用いるクロマトグラフィー、光学活性な酸または合成キラル分割剤などによる光学分割方法、優先晶出法、ジアステレオマー法等の常法に従って、それぞれのエナンチオマーへと分離・精製することができる。
水酸基を有する式(1)の化合物は、上記製造方法において、常法に従った水酸基の保護工程と脱保護工程を適宜挿入することにより製造される。
式(1)の化合物は、構造式中に存在する官能基の種類、原料化合物の選定、反応処理条件により、遊離塩基または酸付加塩の形で得られるが、常法に従って式(1)の化合物に変換することができる。一方、式(1)の化合物は、常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
式(1)の化合物の各エナンチオマーへの分離は、例えば光学活性酸を用い常法に従ってジアステレオマー塩を形成させた後、2種のジアステレオマー塩に分離し、次いでこれを遊離塩基に変換させることにより行われる。光学分割剤として用いられる光学活性酸としては、例えば(+)−または(−)−ショウノウ酸、(1S)−(+)−または(1R)−(−)−ショウノウ−10−スルホン酸、L−(+)−またはD−(−)−酒石酸、(+)−または(−)−マンデル酸、(S)−(−)−または(R)−(+)−リンゴ酸、L−ピログルタミン酸、(S)−(+)−または(R)−(−)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル、(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸または(−)−ジベンゾイル−L−酒石酸等が挙げられる。
本発明の化合物はムスカリンM、MおよびM受容体サブタイプと比較して、ムスカリンMおよびM受容体に対して高い選択性および親和性を持ち、選択的なムスカリンMおよびM受容体作動薬として有用である。また本発明の化合物は少なくとも部分的にMおよびM作動薬として作用する。
本発明の化合物は、ムスカリンMおよびM受容体が仲介する疾患に対して効果を示し、中枢疾患の治療薬および/または予防薬、特に優れた抗精神病作用を発現する抗精神病薬として有用である。さらに本発明の化合物はムスカリン受容体選択性およびその他の受容体に対する選択性を有することから、先行剤と比べて副作用が少ない安全な中枢疾患の治療薬および/または予防薬として使用することが期待できる。
ムスカリンM受容体に関係する障害は、典型的には、精神障害であり、例えば、認知障害、健忘、錯乱、記憶喪失、注意欠陥、視覚欠陥、うつ、疼痛、睡眠障害、精神病などが挙げられる。
また、ムスカリンM受容体に関係する障害は精神障害であるとは限らず、例えば、眼内圧上昇もムスカリンM受容体に関係している。したがって本発明の対象となる障害には非精神障害も含まれる。
ムスカリンM受容体に関係する障害は、典型的には精神障害であり、例えば、錯乱、注意欠陥、疼痛、睡眠障害、統合失調症などが挙げられる。
従って、本発明の化合物または医薬組成物が対象とする障害としては、例えば、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ハンチントン病、フリードライヒ運動失調症、トゥレット症候群、ダウン症候群、疼痛、ピック病、痴呆、臨床的抑うつ、加齢性認知機能低下、注意欠陥障害、乳児突然死症候群、緑内障、認知障害、健忘、錯乱、記憶喪失、視覚欠陥、うつ、睡眠障害、精神病などが挙げられ、好ましくは神経変性疾患、注意欠陥障害、疼痛、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害であり、特に好ましくは統合失調症、アルツハイマー病、認知障害である。
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与または非経口投与のどちらでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、例えば、経口投与の場合は、通常、ヒトまたは哺乳動物1kg体重あたり約0.01〜100mg、更に好ましくは、約0.1〜10mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注などの非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒトまたは哺乳動物1kg体重あたり約1μg〜10mg、更に好ましくは約10μg〜1mgを投与することができる。ここでいう非経口投与には、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、腟内および腹腔内などへの投与を含む。
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、クエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングルコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
本発明の医薬、治療薬、医薬組成物等における医薬製剤の剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法にしたがって調製することができる。液体製剤にあっては、用時、水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また、錠剤および顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。非経口製剤、例えば、注射剤を製造する際には、水性溶剤(例:蒸留水、生理食塩水、リンゲル液等)、等張化剤(例:ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)、安定化剤(例:ヒト血清アルブミン等)、防腐剤(例:ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノール等)、緩衝剤(例:リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例:塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)を適宜配合することができる。更に、これらの製剤は治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
本発明の医薬製剤は常法に従って製造することができ、製剤中の本発明の化合物の含有割合は通常0.01〜50%(w/w)である。当該医薬製剤の製造方法の具体例を以下に示す。
(1)錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤:本発明の化合物に、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤などを添加して圧縮成型し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性を目的とするコーティングを行うことにより製造することができる。
例えば錠剤の場合、実施例1の化合物20mg、乳糖100mg、結晶セルロース25mgおよびステアリン酸マグネシウム1mgを混合し、得られた混合物を打錠することにより製造できる。
(2)注射剤:本発明の化合物を、例えば分散剤、保存剤、等張化剤などと共に水性注射剤として、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油等の植物油、プロピレングリコール等に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤として調製することにより製造することができる。
(3)座剤:本発明の化合物を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とすることにより製造される。このような組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド(例えば、カカオ脂、ウイテプゾル類など)、中級脂肪酸(例えば、ミグリオール類など)、あるいは植物油(例えば、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
前記医薬製剤の投与期間および間隔は、種々の状況に応じて変更されるものであり、医師の判断により随時調整されるものであるが、分割投与、連日投与、間歇投与、短期大量投与、反復投与などの方法がある。例えば、経口投与の場合は、1日1ないし数回(特に1日2ないし3回)に分割して投与することが望ましい。また、徐放性の製剤として投与することや長時間かけて点滴静注することも可能である。
本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩は、その作用の増強を目的として、例えば、リスペリドン、ハロペリドール、オランザピンのような統合失調症治療薬と組み合わせて用いることができる。また、抗うつ薬、抗不安薬、ドーパミン受容体作動薬、パーキンソン病治療薬、抗癇癪薬、抗痙攣薬、鎮痛薬、ホルモン製剤、偏頭痛治療薬、アドレナリンβ受容体拮抗薬、認知症治療薬、気分障害治療薬などの薬剤とも組み合わせて用いることができる。また、その副作用抑制を目的として、制吐剤、睡眠導入剤、抗痙攣薬、昇圧剤などの薬剤と組み合わせて用いることができる。本発明化合物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせる併用薬剤の種類などにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜1000倍重量部用いればよい。
以下に参考例、実施例および試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。化合物の同定はプロトン核磁気共鳴吸収スペクトル(H−NMR)、LC−MS等を用いて行った。なお、参考例および実施例におけるアミノシリカゲルクロマトグラフィーは、山善株式会社製のアミノシリカゲルカラムを用いた。LC−MSは下記表1に示す種々の条件を用いて測定を行った。リテンションタイム(R.T.)はLC−MS測定におけるマススペクトルピークが現れた時間を表す。
Figure 2013237634
原料化合物、反応試薬および溶媒は、特に断りのない限り、市販のものを用いるか、または公知の方法に準じて製造したものを使用した。
また、明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例および表中において次に示すような略号を用いることもある。
Meはメチル基、Etはエチル基、tertは第3級、tBuはtert−ブチル基、Bocはtert−ブトキシカルボニル基、minは分を意味する。
NMRに用いられる略号としては、sは単一線、dは二重線、ddは二個の二重線、dqは二個の四重線、tは三重線、tdは三個の二重線、ttは三個の三重線、qは四重線、mは多重線、brsは幅広い単一線およびJは結合定数を意味する。
参考例1
4−[(5−フルオロ−2−ニトロフェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン (795mg) のN,N−ジメチルホルムアミド (10mL) 溶液に、tert−ブチル 4−アミノピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g)およびジイソプロピルエチルアミン(646mg)を加え、80 ℃ で3 時間攪拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(1.46g、87%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.48 (s, 9H), 1.48-1.61 (m, 2H), 2.01-2.20 (m, 2H), 3.01-3.11 (m, 2H), 3.53-3.63 (m, 1H), 3.98-4.10 (m, 2H), 6.35-6.40 (m, 1H), 6.49-6.52 (m, 1H), 8.21-8.25 (m, 1H).
参考例2
4−[(2−アミノ−5−フルオロフェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
参考例1の化合物(1.46g)のメタノール(30mL)溶液に10%パラジウム-炭素(300 mg)を加え、水素雰囲気下、25℃で3時間攪拌した。反応液をセライトろ過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物を得た(1.21g、91%)。
LC-MS: 条件C R.T. 1.38 min, m/z 310 (M+1).
参考例3
4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
参考例2の化合物(1.26g)のジクロロメタン(20mL)溶液にジイソプロピルエチルアミン(1.0g)を加え、0℃で攪拌した。この反応液にトリホスゲン(593mg)を少しずつ加えた後、25℃で24時間攪拌した。この反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(1.19g、91%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.52 (s, 9H), 1.80-1.88 (m, 2H), 2.29 (dq, J = 4.4, 12.7 Hz, 2H), 2.81-2.91 (m, 2H), 4.24-4.50 (m, 3H), 6.77-6.91 (m, 2H), 7.02-7.07 (m, 1H), 10.12 (brs, 1H).
LC-MS: 条件C R.T. 1.60 min, m/z 358 (M+23).
参考例4
6−フルオロ−1−(ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
Figure 2013237634
参考例3の化合物(1.19g)のジクロロメタン(5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、25℃で17時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(542mg、65%)。
LC-MS: 条件C R.T. 0.386 min, m/z 236 (M+1).
参考例5−19
対応する市販の原料を用いて、参考例1−4に記載の方法と同様にして、表2および3に示すとおり参考例5−19の化合物を得た。
Figure 2013237634
Figure 2013237634
参考例20
1−オキサ−6−アザスピロ[2,5]オクタン−6−カルボン酸エチル
Figure 2013237634
エトキシカルボニルピペリドン(513mg)にヨウ化トリメチルスルホニウム(660mg)を加えたジメトキシエタン(20mL)溶液に、tert−ブトキシカリウム(336mg)を加え、加熱還流下で18時間攪拌した。反応溶液を25℃に冷却した後、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(288mg、52%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.42-1.50 (m, 2H), 1.79-1.86 (m, 2H), 2.70 (s, 2H), 3.43-3.50 (m, 2H), 3.75-2.82 (m, 2H), 4.15 (q, J = 7.1 Hz, 2H).
参考例21
4−ホルミルピペリジン−1−カルボン酸エチル
Figure 2013237634
参考例20の化合物(400mg)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解し、氷浴下ボラントリフルオリドジエチルエーテル錯体(140μL)を加え、室温に昇温後10時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(180mg、45%)。
参考例22−24
対応する市販の原料を用いて、参考例20および21に記載の方法と同様にして、表4に示すとおり、参考例22−24の化合物を得た。
Figure 2013237634
参考例25
4−メチルピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチル,4−エチル
Figure 2013237634
ジイソプロピルアミン(1.1g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を窒素雰囲気下、−78℃で攪拌しているところに、n−ブチルリチウム 2.5 mol/L ヘキサン溶液(4.5mL)を滴下し、−78℃で30分間攪拌した。つづいてこの反応液に1−tert−ブチル 4−エチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(2.57g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下した後、−78℃で30分間攪拌した。その後、反応溶液にヨウ化メチル(1.56g)を滴下した後、25℃で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(2.14g、79%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.20 (s, 3H), 1.26 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.31-1.39 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 2.02-2.10 (m, 2H), 2.91-3.05 (m, 2H), 3.67-3.86 (m, 2H), 4.16 (q, J = 7.3 Hz, 2H).
参考例26
4−(ヒドロキシメチル)−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
リチウムアルミニウムヒドリド(210mg)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を窒素雰囲気下、0℃で冷却した。この溶液に参考例25の化合物(1.0g)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下し、25℃で90分間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、水(0.165mL)をゆっくりと加えた後、4mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(0.165mL)、つづいて水(0.5mL)を加えた。反応液をセライトろ過した後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(0.8g、94%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ0.99 (s, 3H), 1.27-1.33 (m, 2H), 1.41-1.50 (m, 2H), 1.46 (s, 9H), 3.10-3.17 (m, 2H), 3.37-3.42 (m, 2H), 3.63-3.75 (m, 2H).
参考例27
4−ホルミル−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
ジメチルスルホキシド(0.63g)のジクロロメタン(12mL)溶液を窒素雰囲気下、−78℃に冷却し、オキサリルクロリド(0.5g)を滴下し、同温で30分間攪拌した。この反応液に参考例26で得た化合物(0.8g)のジクロロメタン(5mL)溶液を滴下した。−78℃でさらに2時間攪拌した後、トリエチルアミン(3mL)を滴下した。つづいて反応温度を25℃に昇温し、1時間攪拌した後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(0.69g、88%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.08 (s, 3H), 1.35-1.45 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.88-1.94 (m, 2H), 3.08-3.15 (m, 2H), 3.60-3.71 (m, 2H), 9.47 (s, 1H).
参考例28
4−ホルミル−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル
Figure 2013237634
参考例27の化合物を用いて、クロロギ酸メチルの代わりにクロロギ酸エチルを用いて、後記実施例1に記載の方法と同様にして、標記化合物を得た。
参考例29
4−ホルミル−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル
Figure 2013237634
参考例27の化合物を用いて、後記実施例1に記載の方法と同様にして標記化合物を得た。
参考例30
4−ヒドロキシピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチル,4−エチル
Figure 2013237634
窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン(5.2g)のテトラヒドロフラン溶液(80mL)に、−20℃で、2.6mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(19.8mL)を滴下し、45分間攪拌した。混合物を−65℃に冷却し、エチル 1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボキシレート(10.2g)のテトラヒドロフラン溶液(48mL)を滴下し、1時間攪拌した。この反応液に(2R,8S)−(+)−(カンファスルフォニル)オキシアジリジン(10g)のテトラヒドロフラン溶液(70mL)を滴下した後、ゆっくりと室温まで昇温し、21時間攪拌した。この反応混合物に、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(9.2g,85%)。
参考例31
4−メトキシピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチル,4−エチル
Figure 2013237634
参考例30で得られた化合物(9.2g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(168mL)に、水素化ナトリウム(60%,1.75g)とヨウ化メチル(6.21g)を加え、室温で14時間攪拌した。混合物に、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(6.2g,64%)。
参考例32
4−ホルミル−4−メトキシピペリジン−1−カルボン酸メチル
Figure 2013237634
参考例31の化合物を用いて、参考例26、27および29に記載の方法と同様にして標記化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.63-1.84 (m, 4H), 3.17-3.29 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.84 (s, 2H), 9.57 (s, 1H).
参考例33
4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
Figure 2013237634
参考例4の化合物(117mg)のジクロロメタン(5mL)溶液にtert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレート(102mg)を加え、25℃で10分間攪拌した後、水素化トリアセトキシホウ素化ナトリウム(102mg)を加え25℃で19時間攪拌した。この反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(225mg、100%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.05-1.16 (m, 2H), 1.47 (s, 9H), 1.62-1.68 (m, 1H), 1.75-1.82 (m, 4H), 2.11 (t, J = 10.2 Hz, 2H), 2.22 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 2.39 (dq, J = 3.7, 12.4 Hz, 2H), 2.65-2.76 (m, 2H), 2.98-3.04 (m, 2H), 4.06-4.20 (m, 2H), 4.31 (tt, J = 3.9, 12.4 Hz, 1H), 6.75-6.80 (m, 1H), 6.97-7.03 (m, 2H), 9.32 (brs, 1H).
LC-MS: 条件C R.T. 0.395 min, m/z 433 (M+1).
実施例1
4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル
Figure 2013237634
参考例33の化合物(225mg)のジクロロメタン溶液(5mL)に4mol/L 塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(5mL)を加え、25℃で17時間攪拌した。その後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にジクロロメタン(5mL)およびジイソプロピルエチルアミン(323mg)を加え、25℃で10分間攪拌後、さらにクロロギ酸メチル(47mg)を加え25℃で30分間攪拌した。この反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、標記化合物を得た(154mg、79%)。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.06-1.17 (m, 2H), 1.61-1.71 (m, 1H), 1.76-1.85 (m, 4H), 2.12 (t, J = 11.7 Hz, 2H), 2.22 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 2.39 (dq, J = 3.4, 12.2 Hz, 2H), 2.71-2.84 (m, 2H), 2.98-3.04 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.07-4.24 (m, 2H), 4.31 (tt, J = 4.4, 12.4 Hz, 1H), 6.75-6.80 (m, 1H), 6.97-7.02 (m, 2H), 9.09 (brs, 1H).
LC-MS: 条件C R.T. 0.44 min, m/z 391 (M+1).
実施例2−34
参考例5−19の化合物と、tert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに参考例22−24、28、29および32の化合物を用いて、参考例33に記載の方法と同様にして、表5−11に示すとおり、実施例2−35の化合物を得た。
Figure 2013237634
Figure 2013237634
Figure 2013237634
Figure 2013237634
Figure 2013237634
Figure 2013237634
Figure 2013237634
N.D.:データなし(No Data)
本発明の化合物の医薬品としての有用性は、薬理作用を確認できる薬理試験、体内動態を確認できる薬物動態試験、安全性を確認できる安全性試験などにより証明される。これらの試験は、ムスカリンMおよびM受容体作動性に基づく生理活性およびムスカリン受容体サブタイプ選択性を向上させることによる安全性向上を確認できるものであれば特に限定されないが、例えば以下の試験により証明される。薬理試験としては、in vitroのムスカリン受容体作動性測定試験、抗精神病作用や認知機能障害改善作用を確認するin vivo試験が挙げられ、具体的なin vivo試験としては、例えばアポモルフィン誘発クライミング試験、メタンフェタミン誘発運動量亢進試験、プレパルス抑制試験、マイクロダイアリシス試験、受動的回避試験、Y迷路型試験などが挙げられる。薬物動態試験としては、例えば血中濃度評価試験、脳移行性評価試験、P−糖タンパク基質認識試験、薬物相互作用試験、薬物代謝経路同定試験、ダンシルグルタチオン付加試験などが挙げられる。安全性試験としては、例えばhERG阻害試験、細胞毒性試験、Amesなどのin vitro試験に加えて、血圧や心拍数の測定試験、心電図測定試験、ラット味覚嫌悪条件付け試験、唾液分泌量測定試験、体温測定試験、消化器症状評価試験、共有結合試験、錐体外路症状評価試験、一般症状観察、一般毒性試験などが挙げられる。これらの試験は、一般にマウス、ラット、イヌおよびサルで行うことができる。また、必要に応じて覚醒または麻酔下で実施することができる。
下記試験例により、本発明の化合物の医薬としての有用性を説明する。
試験例1: ヒト型ムスカリンM −M 受容体のin vitro作動性試験
各受容体に対する作動性は、各受容体安定発現細胞における細胞内カルシウム濃度の変化を、蛍光強度を指標として評価した。ヒトm1受容体発現プラスミド(pcDNA3.1_hM1)あるいはヒトm3受容体発現プラスミド(pcDNA3.1_hM3)をCHO−K1細胞に導入し、限界希釈法にてGeneticin耐性の安定発現株を取得した。ヒトm2受容体発現プラスミド(pcDNA3.1_hM2)、ヒトm4受容体発現プラスミド(pcDNA3.1_hM4)およびヒトm5受容体発現プラスミド(pcDNA3.1_hM5)は、それぞれGα16遺伝子をコードするcDNAとともにCHO−K1細胞に導入し、選択薬剤ZeocinおよびHygroGold耐性の安定発現株を取得した。ヒトm1およびヒトm3受容体安定発現細胞は4×10cells/100μL/wellの割合で、ヒトm2、ヒトm4およびヒトm5受容体安定発現細胞は2×10cells/100μL/wellの割合で96−well plateに播き込み、COインキュベーターにて一晩培養した。各受容体安定発現細胞が100%コンフルエントになればFLIPR Calcium 4 assay kit(Molecular Devices社)を用い、FLIPRTETRA(登録商標)(Molecular Devices社)にて、被検化合物添加により一過性に上昇した蛍光強度(RFU(max−min))を測定した。コントロール薬剤アセチルコリン(3μM)による蛍光強度を100%としたとき、各被検化合物の蛍光強度の相対値を求め、これをアゴニスト活性(%)とした。
各実施例化合物に対する、ヒト型ムスカリン受容体のin vitro薬理試験の結果を表12および13に示す(各表中、N.T.とあるのは、試験未実施であることを意味する。)。
Figure 2013237634
Figure 2013237634
実施例2の化合物のin vitro薬理試験結果を、ムスカリン各受容体(M−M)のそれぞれについてシグモイドカーブとして表し、図1に示した。この図より、本化合物はM受容体およびM受容体について、低濃度から高選択的に作動していることが明らかである。
試験例2: ラット抗メタンフェタミン誘発運動量亢進作用評価
ラットにおけるメタンフェタミン誘発の運動量亢進は、統合失調症の陽性症状の病態を反映すると考えられている。本モデルに対して本発明化合物を単独で、もしくは抗精神病薬と併用投与した際の、メタンフェタミン誘発運動量亢進に対する抑制の作用を拮抗する程度によって抗精神病作用を評価した。7週齢の雄性Sprague−Dawleyラットに対して、本発明化合物を単独で、もしくは抗精神病薬と併用で皮下、腹腔内または経口投与し、30分後(経口投与の場合は60分後)にメタンフェタミン(1mg/kg)を腹腔内投与した。メタンフェタミン投与直後にラットをテストケージ(無色透明プラスチック製:335×385×173mm)に移し、10分後から80分間の運動量を測定した。測定にはSuperMex(室町機械株式会社)を用いた。80分間の総運動量はメタンフェタミン単独投与群の運動量を基準とし、抑制率(%)を0〜100の数値で表すことによって統計学的に処理した。実施例1および2の化合物の抑制率を表14に示す。
Figure 2013237634
試験例3: ラット抗スコポラミン誘発健忘作用評価
本試験では認知障害改善作用を評価できると考えられている。実験には明箱(200×250×200mm)と暗箱(200×150×200mm)からなるラット受動回避反応試験装置(小原医科産業製)を用いた。7週齢の雄性Wistarラットに対して、本発明化合物を皮下、腹腔内または経口投与し、15分後(経口投与の場合は30分後)にスコポラミン(0.5mg/kg)を腹腔内投与した。その30分後に、訓練試行としてラットを明箱へ入れ、ラットが暗箱へ移動すると0.3mAのフットショックを3秒間与えた。翌日にテスト試行として、ラットを再び明箱へ入れて、暗箱へ移動するまでの潜時を最長300秒まで測定した。テスト試行における移動潜時を記憶の指標として、溶媒投与群の潜時を100、スコポラミン単独群の潜時を0として改善率(%)を数値で表した。
試験例4: ラットカタレプシー誘発作用評価
本試験では錐体外路症状カタレプシーを評価できると考えられている。本発明化合物単独もしくは精神病薬と併用した場合のカタレプシー誘発作用を評価した。8週齢の雄性Sprague−Dawleyラットに対して、本発明化合物を単独で、もしくは精神病薬リスペリドンと併用で投与した。化合物の皮下、腹腔内または経口投与は、カタレプシー評価の60分前に行った。カタレプシー評価では、ラットの前肢を9cmの高さに水平に設置した直径1cmの金属製バー上に置き、立位の姿勢保持時間を最長180秒まで連続3回計測した。3回の測定の中で最長の姿勢保持時間を各個体の値として採用した。
試験例5: マウス一般症状観察
本試験では被験化合物によって引き起こされる行動変化、神経症状、自律神経症状および中毒症状などを多角的・定量的に評価することができる。4〜8週齢の雄性ddYマウスに対して、過剰量の本発明化合物を皮下投与した後、個別観察ケージ内に移し、15分後、45分後にIrwinの多次元観察法に従って症状観察・スコア付けを行った。投与後60分後まで観察を継続し、痙攣が認められた場合には投与からの経過時間について記録した。
試験例6: hERG阻害試験
自動パッチクランプ装置 QPatch HT (Sophion Bioscience A/S)を用いて、ホールセルパッチクランプ法により、hERG(human ether−a−go−go)遺伝子を安定発現させたCHO細胞におけるhERGカリウム電流を記録した。hERG電流は、ボルテージクランプモードで膜電位を−80mVに保持し、20ミリ秒間−50mVにした後5秒間+20mVに脱分極させ、続いて5秒間−50mVに再分極させた時のテール電流の振幅を評価した。刺激は15秒おきに繰り返し行い、実験は室温(22±2℃)で行った。化合物は1細胞あたり4濃度を各濃度5分間累積投与し、各濃度における化合物適応前の電流の大きさと較べて阻害された電流の阻害率を算出し、Hill式により50%阻害濃度を計算した(IC50[μM])。試験溶液は以下のものを用いた:細胞外溶液(mM):2 CaCl、1 MgCl、10 HEPES、4 KCl、145 NaCl、10グルコース、細胞内溶液(mM):5.4 CaCl、1.8 MgCl、10 HEPES、31 KOH、10 EGTA、120 KCl、4 ATP
試験例7: ラットPK試験
本試験では本発明化合物の薬物動態を評価できる。7週齢のラットに対して、本発明化合物を生理食塩水溶液にて静脈投与またはメチルセルロース水溶液にて経口投与し、それぞれ以下の時間で血液を採取した。
静脈投与:投与後5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間
経口投与:投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間
採取した血液を4℃に設定した冷却遠心器を用いて3000rpm×10分間遠心分離することで得た血漿をHPLCにて測定し、得られたタイムカーブをもとに薬物動態パラメータを算出した。
比較例
上記試験例1に記載の方法を用いて、前記特許文献1および2に記載の公知の化合物のムスカリンM−M受容体に対する作動性を測定し、本願の実施例化合物との比較を行った。
比較例1:
実施例32の化合物と特許文献1に開示されている下記化合物(比較例1の化合物)との比較を行った。その結果を下記表15に示す。
Figure 2013237634
Figure 2013237634
表15より、比較例1の化合物はムスカリン受容体選択性が無く、二つの含窒素飽和複素環の間にメチレン炭素が挿入されている本発明化合物が、ムスカリン受容体選択性の面で優れていることは明らかである。
比較例2:
実施例2の化合物と特許文献2に開示されている下記化合物(比較例2の化合物)との比較を行った。その結果を下記表16に示す。
Figure 2013237634
Figure 2013237634
表16より、比較例2の化合物は薬効の発現に重要なMおよびM受容体作動性が非常に弱く、本発明化合物が、MおよびM受容体作動性の面で優れていることは明らかである。
本発明の化合物は、選択的にムスカリンMおよびM受容体を作動するので、抗精神病作用、認知障害改善作用などを含む優れた中枢性疾患の改善効果を有すると共に、その他のムスカリン受容体または他の受容体を介する副作用を低減することができる。従って、本発明の化合物は、非常に有用な医薬となり得る。

Claims (13)

  1. 下記式(1):
    Figure 2013237634
    [式中、Rは、水素原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよい3〜7員の複素環基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、スルファモイル基または置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基であり、
    は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1もしくは2個以上の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基、または置換されていてもよいC2−6アルキニル基であり、
    は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基、置換されていてもよいC6−14アリール基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−14アリールアルキル基、置換されていてもよい5〜10員のヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、シアノ基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルファニル基、置換されていてもよいアシル基、スルファモイル基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ基、ニトロ基または置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基であり、
    a、b、cおよびdは、同一または異なって、窒素原子またはCRであり、
    eおよびfは、同一または異なって、それぞれ1または2であり、
    gは、1または2であり、
    Aは、単環または二環の含窒素飽和複素環基であり、
    YおよびZは、同一または異なってそれぞれ酸素原子または硫黄原子である。]で表される化合物またはその薬学的に許容される塩。
  2. YおよびZが、いずれも酸素原子である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  3. が、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基からなる群より選択される1もしくは2個以上の置換基で置換されていてもよい、メチル基またはエチル基である、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  4. a、b、cおよびdが、同一または異なって、CRである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  5. が、水素原子、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−7脂肪族炭素環基または置換されていてもよい3〜7員の複素環基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  6. が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、ニトロ基、エチニル基、プロピニル基、アセチル基、メタンスルホニル基、メチルスルファニル基、水酸基、アミノ基、メチルアミノ基またはジメチルアミノ基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  7. 下記式(1a)で表される式(1)の部分構造が、
    Figure 2013237634
    下記式(2):
    Figure 2013237634
    で表される構造である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  8. 4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−メチル−4−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    (3−exo)−3−{[4−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    (1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    (3−exo)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸メチル、
    4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−メチル−4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    (1R,5S)−3−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−メチル−4−{[(3R)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    (1R,5S)−3−{[(3S)−3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−{[(3S)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    (3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    (3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    (3−exo)−3−{[(3S)−3−(6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    (3−exo)−3−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−メチル−4−{[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)アゼチジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    (3−exo)−3−{[(3S)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチル、
    4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−{[(3R)−3−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸エチル、
    4−{[(3S)−3−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル]メチル}−4−メチルピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[4−(5−フルオロ−6−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[4−(6−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、
    4−{[4−(5−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル、および
    4−{[4−(4−フルオロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸メチル
    からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
  10. 中枢性疾患の治療薬である請求項9に記載の医薬。
  11. 中枢性疾患がアルツハイマー病および/または統合失調症である、請求項10に記載の医薬。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有するムスカリン受容体作動薬。
  13. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
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