JP2013237197A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多層に形成されるインク層からの反射光の干渉を抑えて、高品位の画像を記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】フォトシアンインク(PC)のドットと、シアンインク(C)のドットと、の間における光の反射特性の類似性は、フォトシアンインク(PC)のドットと、マゼンタインク(M)のドットと、の間における光の反射特性の類似性よりも高い。単位画素にフォトシアンインク(PC)、シアンインク(C)、およびマゼンタインク(M)のドットが形成され、かつシアンインク(C)とマゼンタインク(M)のドット数が同じときに、それらのドットの形成位置を制御する。フォトシアンインク(PC)のドットの下に形成されるマゼンタインク(M)のドットの数は、フォトシアンインク(PC)のドットの下に形成されるシアンインク(C(のドットの数を越えないように、それらのドットの形成位置を制御する。
【選択図】図14

Description

本発明は、複数のインクを重ねるように付与することによって画像を記録するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
インクジェット記録装置は、各種装置の出力機器、あるいはポータブルプリンタ等として様々な形態に商品化されている。このようなインクジェット記録装置では、記録画像の見栄えや耐候性向上の要求が高まっており、近年では顔料インクを用いて画像を記録するものも多く提供されている。
しかし、このような顔料インクを用いた画像の記録物においては、「ブロンジング」または「ブロンズ」と呼ばれる現象が発生することがある。この現象は、画像の記録物に光を当てた際に、正反射光が光源の色とは異なった色を帯びる現象である。この現象が顔料インクを用いた記録画像において発生しすい理由は、記録物の表面に定着した顔料粒子によって、反射光が色づくためである。このようなブロンズ現象の発生を抑えるために、例えば、特許文献1には、ブロンズ現象が比較的発生しづらいインクを画像の表面に定着させる技術が記載されている。一般的なインクジェット記録装置においては、多色のインクが用いられている。インクには、その色材等の違いから、ブロンズ現象が発生しづらいインクと、それが発生しやすいインクと、が存在する。特許文献1においては、ブロンズ現象の発生を抑えるために、ブロンズ現象が発生しづらいインクを後から付与する。
一方、特許文献2には、顔料インクなどの有色インクによって記録した画像上に透明のインクを付与して、画像の表面をオーバーコートすることにより、画像の光沢性や擦れなどへの耐性(以下、「耐擦性」ともいう)等を高める技術が記載されている。透明インクに、ポリマーのような付加的な機能を持たせたインクを用いることにより、耐擦性を高めることが可能となる。
特開2008−236219号公報 特開2005−81754号公報
しかしながら、複数のインクによって多層のインク層が形成される多層構造の記録物においては、画像の表層における顔料インクの層(顔料層)が光の干渉を起こして、画像の品位を劣化させる場合がある。
図1は、濃インクで記録した画像の上に、淡インクが付与された記録媒体の断面を示す模式図である。一般的に、淡インクはブロンズ現象が発生しにくいため、このような構成によって、ブロンズ現象の発生を抑えることが可能となる。具体的には、記録媒体101上に、濃インクによって顔料層102が形成され、さらに、その上に淡インクによって淡インク層103が形成されている。淡インク層103は、一般に、約100nm〜1000nm程度の厚みdを有している。
太陽光や蛍光灯などからの平行光104は、淡インク層103の表面で反射する反射光105と、淡インク層103を透過してから濃インク層102の表面で反射する光106と、に分けられ、両者の光路差のために光の干渉が起きることがある。このような記録画像とは無関係な干渉による発色は、記録画像の品位を劣化させるおそれがある。特に、光沢紙等に光沢性が極めて高い画像を記録した場合には、多層構造となるインク膜が均一な干渉膜となる。この場合には、干渉色が統一された色となって目立つことになり、記録画像の品位を劣化させることになる。
このような光の干渉による弊害を抑えるための方法としては、一般に、以下の3つの方法などが考えられる。(1)淡インク層103のように、クリアインクや淡インク等によって形成される上側のインク層(以下、「上側インク層」ともいう)の厚みdを極めて薄くする。(2)多くの可視光において干渉を起こさせる程に、上側インク層の厚みdを厚くする。(3)上側インク層に、厚い厚みdが厚い部分と薄い部分を形成して、様々な干渉波長を発生させる。
しかし、上側インク層を形成する顔料インクには、色づいた画像を記録するという本来の役割があるため、上記(1)〜(3)の役割を自由に持たせることは難しい。つまり、光の干渉を起こさないように、上側インク層を形成するために多量のインクを付与すること、または、極少量のインクを付与することは、インクの打ち込み量(付与量)を制限することになり、望ましい画像を記録する上において妨げとなる。また、上側インク層がクリアインクによって形成される透明インク層の場合に、上記(1)のように透明インク層を極めて薄くすると、その透明インク層の本来の目的、すなわち画像表面の光沢性や耐擦性を高めるという目的が達成し難くなる。また、上記(2)のように、特定の干渉色が目立たなくなる程度に、上側インク層としての透明インク層を厚くするためには、それを1μm程度の厚みとすることが必要となる。この場合には、有色インクに比べて大量の透明インクが消費されることになり、画像とは直接関係しない透明インクのために、記録装置の大型化や高価格化を招くおそれがある。
一方、上側インク層としての透明インク層に、上記(3)のように厚い部分と薄い部分を形成するためには、透明インクの付与領域に応じて付与量を変更する必要が生じる。しかし、透明インク層に十分な厚みの差をつくるためには、やはり多量の透明インクが消費されることになり、また、このような透明インク層に形成する段差は、緩やか変化する大きな周期でしか得られないため、干渉色を十分に目立たなくすることは難しい。
本発明の目的は、多層に形成されるインク層からの反射光の干渉を抑えて、高品位の画像を記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体上の所定領域に、第1、第2、および第3のインクを吐出可能な記録ヘッドを複数回走査して、前記記録媒体上に、前記第1、第2、および第3のインクによる第1、第2、および第3のインクドットを形成し、前記第1、第2、および第3のインクドットの形成位置を制御手段によって制御するインクジェット記録装置であって、前記第1のインクドットと前記第2のインクドットとの光の反射特性の類似性は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットとの光の反射特性の類似性よりも高く、前記記録媒体上の所定の単位記録領域に前記第1、第2、および第3のインクドットが形成され、かつ前記第2および第3のインクドットの形成数が同じであるときに、前記制御手段は、前記第1のインクドットの下に形成される前記第3のインクドットの数が前記第1のインクドットの下に形成される前記第2のインクドットの数を越えないように、前記第1、第2、および第3のインクドットの形成位置を制御することを特徴とする。
本発明によれば、光の反射特性の類似性に応じてインクドットの形成位置を制御することにより、多層に形成されたインクドットからの反射光の干渉を抑えて高品位の画像を記録することができる。特に、顔料インクを用いた場合に、反射光の干渉を効果的に抑えることができる。
濃インク上に淡インクが付与された記録媒体の断面図である。 本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略斜視図である。 図1のインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。 図3における記録ヘッドを吐出口側から見た模式図である。 ブロンズ現象の測定装置を説明するための模式図である。 ブロンズ現象と正反射光のスペクトルとの関係の説明図である。 (a)は、光の干渉が起きにやすい組み合わせのインクが付与された記録媒体の断面図、(b)は、光の干渉が起きにくい組み合わせのインクが付与された記録媒体の断面図である。 (a),(b),(c)は、光の干渉が起きやすさの程度と、ドット配置と、の関係の説明図である。 一般的なマルチパス記録方法を説明するための模式図である。 一般的な8パスのマルチパス記録方式において用いられるマスクパターンの説明図である。 本発明の第1の実施形態におけるノズルの使用方法の説明図である。 本発明の第1の実施形態における画像処理工程を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の実施形態において用いるインデックスパターンの説明図である。 (a)は、本発明の第1の実施形態におけるインク色毎のインデックスパターンの説明図であり、(b)は、ドット配置の一例の説明図である。 本発明の第2の実施形態におけるマルチパス記録方式の説明図である。 (a)は、従来におけるドット配置の一例の説明図、(b)は、本発明の第2の実施形態におけるドット配置の一例の説明図である。 本発明の第2の実施形態におけるマスク選択処理を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を複数の項目に分けて説明する。
(1)記録装置の構成
図2は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置の概観構成を説明するための斜視図である。インクジェット記録ヘッドおよび複数色分のインクタンクを搭載するキャリッジ11は、キャリッジモータ12を駆動源として、矢印Xの主走査方向に往復移動される。キャリッジ11の往走査方向(X1)および副走査方向(X2)の往復移動に追従するように取り付けられているフレキシブルケーブル13を通して、不図示の記録装置側の制御部とキャリッジ11に搭載された記録ヘッドは、電気信号を送受信する。キャリッジ11の移動位置は、主走査方向に延在して取り付けられているエンコーダ16の位置情報を、キャリッジ11に備えられたエンコーダセンサが光学式に読み取ることによって検出される。記録ヘッドは、後述する複数の吐出口からインクを吐出可能であり、インクを吐出するための吐出エネルギー発生素子として、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などが備えられている。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。吐出エネルギー発生素子および吐出口を含めてノズルともいう。
記録装置外部のホストコンピュータ(ホスト装置)から記録装置に記録動作コマンドが入力されると、給紙トレイ15に積層されている記録媒体のうちの1枚が、キャリッジ11に搭載された記録ヘッドによって画像を記録可能な位置(記録位置)まで給紙される。その後、記録ヘッドがキャリッジ11と共に主走査方向に移動しながら記録信号に基づいてインクを吐出する記録走査と、主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する矢印Yの副走査方向に記録媒体を所定量搬送する動作と、を交互に繰り返す。これにより、記録媒体に順次画像が記録される。
キャリッジ11が移動する領域の端部には、記録ヘッドのメンテナンス処理を実行するための回復機構(回復手段)14が備えられている。回復機構14には、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しないインクを吸引する吸引回復時、および記録ヘッドの放置時に、記録ヘッドの吐出口面(吐出口が形成される面)を保護するためのキャップ141を備えられている。また、回復機構14には、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しないインクを吐出する吐出回復時に、その吐出されたインクを受容する吐出受け142および143等が備えられている。ワイパーブレード144は、矢印A方向に移動しながら記録ヘッドの吐出口面をワイピングする。
図3は、図2に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。システムコントローラ301は、受信した画像データを処理したり、記録装置全体を制御する。システムコントローラ301の内部には、マイクロプロセッサ、制御プログラムや後述するマスクパターンなどを記憶する記憶素子(ROM)、および各種画像処理を実施する際のワークエリアとなるRAMが備えられている。キャリッジモータ12は、主走査方向に記録ヘッドを移動させるためのモータであり、搬送モータ305は、記録媒体を副走査方向に搬送するためのモータである。ドライバ302および303は、システムコントローラ301から、記録ヘッド17や記録媒体の移動速度や移動距離などの情報を受け取り、それぞれ対応するキャリッジモータ12および搬送モータ305を駆動する。
記録装置の外部に備わるホストコンピュータ(ホスト装置)306は、記録装置に対して、記録すべき画像情報を転送する。ホストコンピュータ306の形態としては、情報処理装置としてのコンピュータ、あるいはイメージリーダなどの形態とすることもできる。受信バッファ307は、ホストコンピュータ306からの受信データを一時的に格納し、システムコントローラ301が受信データを読み込むまで、その受信データを蓄積しておく。
フレームメモリ308は、記録すべきデータをイメージデータに展開するためのメモリであり、画像の記録に必要な容量のメモリサイズをインク色毎に有している。本例の場合は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタのインクに対応するメモリ308k、308c、308m、308y、308PC,308PMを有する。バッファ309は、記録すべきデータをインク色毎に一時的に記憶し、その記憶容量は、記録ヘッドのノズル数(吐出口の数に対応)に応じて変化する。本例の場合は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタのインクに対応するバッファ309k、309c、309m、309y、309PC,309PMを有する。
記録制御部310は、システムコントローラ301からの指令により記録ヘッド17を制御し、記録速度や記録データ数などを制御する。記録ヘッドドライバ311は、記録制御部310からの信号に基づいて記録ヘッド17からインクをさせるように、記録ヘッド17を駆動する。
以上の構成において、ホストコンピュータ306から供給される画像データは、受信バッファ307に転送されて一時的に格納され、システムコントローラ301によってインク色毎に対応するフレームメモリ308に展開される。その展開された画像データは、システムコントローラ301によって読み出されて所定の画像処理が施された後に、インク色毎に対応するバッファ309に展開される。記録制御部310は、それらのバッファ内の画像データに基づいて記録ヘッド17を制御する。
図4は、本実施形態において使用される記録ヘッド17を吐出口側から見た模式図である。本例の記録ヘッド17には、主走査方向と交差する方向(本例の場合は、副走査方向)に沿って、1インチ当たり1200個の密度で1280個の吐出口17Aを配列することにより、1インク色分吐出口列が形成されている。このような吐出口列がインク色に対応した分だけ、主走査方向に並列に形成されている。吐出口列4C,4M,4Y,4K,4PC,4PMからは、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、フォトシアン、フォトマゼンタのインクが吐出される。本例において、それぞれの吐出口17Aから吐出されるインク滴は約4.5plである。ブラックインクについては、高濃度の黒画像を実現するために、他のインクよりも吐出量を多く設定してもよい。このような記録ヘッド17を主走査方向に移動させながら吐出口17Aからインクを吐出させることにより、主走査方向に2400dpi(ドット/インチ)、副走査方向に1200dpiの記録密度でインクのドットを形成して、画像を記録することができる。
(2)インクセット
次に、本実施形態で適用するインクセットの成分および精製方法について説明する。本実施形態では、有色インクとして、顔料を含有する6色の顔料インクを用いる。
<イエローインク>
(1)分散液の作製
まず、以下に示す顔料10部、アニオン系高分子30部、純水60部を混合する。
・顔料:[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))]
・アニオン系高分子P−1:[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]30部
次に、以上に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行う。更に、この分散液を遠心分離機にかけて、粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにインクを調製する。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、インク1を調製する。
・上記で得た顔料分散体1:40部
・グリセリン:9部
・エチレングリコール:6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH):1部
・1,2−ヘキサンジオール:3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000):4部
・水:37部
<マゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、100gの上記ポリマー溶液、100gのC.I.ピグメントレッド122、および300gのイオン交換水を混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とする。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記マゼンタ分散液 40部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 39.5部。
<フォトマゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、100gの上記ポリマー溶液、100gのC.I.ピグメントレッド122、および300gのイオン交換水を混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用して、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とする。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)樹脂溶液の作製
スチレンおよびアクリル酸で構成される樹脂を15.0質量%とし、そのアクリル酸を構成するカルボン酸に対して水酸化カリウムを1当量加え、残部を水として100.0質量%に調整した後、80℃で撹拌して樹脂を溶解する。その後、固形分の含有量が15.0質量%になるように水で調整して、樹脂水溶液を得る。樹脂は、重量平均分子量7,000である。
(3)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記マゼンタ分散液 5部
上記樹脂溶液 13部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 61.5部。
<シアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、180gの上記のポリマー溶液、100gのC.I.ピグメントブルー15:3、および220gのイオン交換水を混合して、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とする。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記シアン分散液 20部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 53.5部。
<フォトシアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、180gの上記のポリマー溶液、100gのC.I.ピグメントブルー15:3、および220gのイオン交換水を混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とする。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)樹脂溶液の作製
スチレン及びアクリル酸で構成される樹脂を15.0質量%とし、そのアクリル酸を構成するカルボン酸に対して水酸化カリウムを1当量加え、残部を水として100.0質量%に調整した後、80℃で撹拌して樹脂を溶解する。その後、固形分の含有量が15.0質量%になるように水で調整して、樹脂水溶液を得る。樹脂は、重量平均分子量7,000である。
(3)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記シアン分散液 5部
上記樹脂溶液 13部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 55.5部。
<ブラックインク>
(1)分散液の作製
イエローインク1で使用したポリマー溶液の100g、100gのカーボンブラック、および300gのイオン交換水を混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とする。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が6質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%、分散剤濃度3質量%の顔料インクを調製する。
上記ブラック分散液 50部
グリセリン 10部
トリエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 25.5部。
以上のように作製されたインクセットの中の淡インク(フォトマゼンタインクおよびフォトシアンインク)には、分散樹脂以外にも樹脂が添加されており、これによってブロンズ現象を減少することが可能となっている。
(3)ブロンズ現象の測定方法
次に、図5を用いて、各インクによって生じるブロンズ現象の測定方法について説明する。ブロンズ現象とは、前述したように照明光に対して、その反射光が色づく現象である。
図5において、照明部(光源)501は、評価対象となる記録媒体503を照明する。この照明部501は、ハロゲン電球、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、LED、あるいは、これらのいずれか複数を組み合わせたものでもよい。
光検出部(受光器)502は、評価対象となる記録媒体503からの正反射光を検出する。この光検出部502に備わる検出器としては、単受光面形のフォトダイオード、光電管、光電子増倍管、多素子受光面形のSiフォトダイオードアレイ、CCD等を用いることができる。また、光検出部502には、回折格子やプリズム等の分光する分光部も備えられている。さらに、光検出部502は、記録媒体503の法線方向に対して、照明部501と反対側に同一角度θ傾いた位置、すなわち正反射方向の位置に備えられている。照明部501および光検出部502は、それぞれ光学(レンズ等)系を備える構成でもあってもよい。
評価対象となる記録媒体503は、例えば、静電吸着やエアポンプによる吸引等の固定手段により、できるだけ平らに保つことが望ましい。
光検出部504は、照明部501の光を検出する。この光検出部504は、光検出部502と同一のものであり、ブロンズ現象の発生量を算出するために、特に、照明部501の分光強度を測定する。この照明部501の分光強度は、完全拡散反射体等の白色板、または鏡面を測定対象として、その正反射光の分光強度を光検出部502で測定してもよい。あるいは、照明光をビームスプリット等で分離して、光検出部502とは別の光検出部によって測定してもよい。
次に、測定した記録媒体の正反射光からブロンズ特性(ブロンズ現象の発生量)を算出する方法(ブロンズ算出処理)について、図6を用いて説明する。
図6は、2種類の試料A、Bの分光強度の測定例を示している。曲線601は、ブロンズ現象の発生量が比較的多い試料Aの分光強度を示す。曲線602は、ブロンズ現象の発生量が比較的少ない試料Bの分光強度を示す。
光検出部502によって測定される記録媒体503からの正反射光の分光強度をRx(λ)とし、その分光強度Rx(λ)から、以下の式(1)によって、正反射光の三刺激値Xx,Yx,Zxを算出する。
Figure 2013237197
但し、上記式(1)において、図5の光学系では正反射光を測定するため、例えば、光沢紙のように艶の度合いが大きいものは、その正反射光の測定値のレンジは光源の測定値のレンジに近くなる。つまり、光源からの光を直接測光する測定系に類似している。
したがって、通常の反射による物体色の三刺激値の算出とは異なり、正反射光の分光強度を光源の相対分光分布とみなし、光源色の三刺激値の算出方法に従う。式(1)のx ̄(λ)、y ̄(λ)、z ̄(λ)は、JIS Z 8782の等色関数である。また、本実施形態では、比例定数の乗算による正規化を行わないが、下式(2)のKを乗算する等の正規化を行ってよい。
Figure 2013237197
光検出部504によって測定される照明の分光強度s(λ)から、下式(3)によって、照明の三刺激値Xs,Ys,Zsを算出する。式(3)は、光源色の三刺激値の算出方法に基づいており、上記照明の分光データから三刺激値Xs,Ys,Zsを算出する変換式である。
Figure 2013237197
式(3)のx ̄(λ)、y ̄(λ)、z ̄(λ)は、JIS Z 8782の等色関数である。また、式(3)のkは比例定数であり、三刺激値のYsの値が測光量に一致するように定める。
次に、光検出部502で検出された評価対象となる記録媒体503の正反射の三刺激値Xx,Yx,Zxと、光検出部504で検出された照明の三刺激値Xs,Ys,Zsを取得する。そして、これらの三刺激値Xx,Yx,Zxと三刺激値Xs,Ys,Zsから、JIS Z 8729規格で規定される式(1)乃至式(4)に基づいて、記録媒体503の正反射光のCIE−Lab色空間におけるL*a*b*値を算出する。
JIS Z 8729規格で規定される式(1)乃至式(4)は、例えば、JISハンドブック 色彩(2001年1月31日、日本規格協会発行)に示されている。但し、JIS Z 8729の式(1)乃至式(4)におけるX,Y,Zの値には、記録媒体503の正反射光の三刺激値(Xx,Yx,Zx)を使用する。また、Xn,Yn,Znの値には、光源の三刺激値(Xs,Ys,Zx)を使用する。即ち、a*、b*の値は、以下の式(4)によって算出される。
Figure 2013237197
ブロンズ現象は、映り込んだ照明の像の明るさではなく、その色味(色味を示す値)に関係するため、本実施形態において明るさを示す値であるL*の値は評価に用いない。本実施形態では、回折格子等を利用した分光強度を用いてL*a*b*値を算出する例を示したが、光検出部502には、カラーフィルタ等を用いて三刺激値X,Y,Zを光電的に直接読み取る方法を用いてもよい。尚、分光強度は、分光放射輝度等の他の分光特性値(色味を示す値)を用いても同一の議論が成立する。
ここでブロンズ値Cは下式(5)によって与えられる。
Figure 2013237197
下表1は、本発明者らが、上述した記録装置、記録ヘッドおよびインクを用いて、各色の画像を記録した場合のブロンズ値Cである。本検討では、キヤノン製フォト光沢紙(商品名「フォト光沢紙[薄口]LFM−GP421R」)に対し、上記各インクを150%の記録率で付与して記録し、その記録物に対して測定を行った。記録方法に関しては、8パスのマルチパス記録で行った。本例の場合、記録率は、2400dpi×1200dpiの解像度で記録可能な単位領域に含まれる全画素を記録した場合を200%として、その単位領域に付与されるインク滴によって記録される画素の割合である。
Figure 2013237197
表1から分かるように、ブロンズ値Cは、フォトシアン(淡シアン)のインクの方がシアン(濃シアン)のインクよりも小さい。これは、フォトシアンのインクには樹脂が添加されているためである。樹脂による正反射光は、色材による正反射光よりも光源色に近い色となる。つまり、分光強度の波長依存性が小さい。そのために、樹脂が多く入っているフォトシアンインクの方がシアンインクよりもブロンズ値Cが小さくなると考えられる。フォトマゼンタインクとマゼンタインクとの関係も同様である。
したがって、特許文献1にも記載されているように、ブロンズ値Cの小さい淡インクを濃インクの上に付与することによって、画像のブロンズ現象の発生を抑えることが可能となる。
しかし、前述したように、淡インクを濃インクに重ねるような多層構造の画像を顔料インクによって記録した場合には、光の干渉が生じてしまう。
下表2は、濃インクの上から淡インクを重ねた場合の光の干渉の評価結果を示したものである。符号○は干渉が生じないこと、△は干渉がやや生じたこと、×は干渉が著しく生じたことを意味する。本検討においては、濃インクを記録濃度100%付与した後に、淡インクを記録濃度100%で付与した記録サンプルを作成して、干渉の様子を目視により評価した。
Figure 2013237197
表2のように、干渉の起こるインクの組み合わせ、および起きないインクの組み合わせは、インクの種類に応じて異なることが分かる。
図7は、干渉の起こるインクの組み合わせ、および起きないインクの組み合わせにおいて生じていると考えられる現象の説明図である。図7(a)は、干渉の起きるインクの組み合わせにおける現象の説明図である。701は記録媒体であり、702は濃インクによって形成される下側の層(以下、「濃インク層」ともいう)、703は、淡インクによって形成される下側の層(以下、「淡インク層」ともいう)である。705は、淡インク層の表面での反射光であり、704は、淡インク層と濃インク層との界面での反射光である。706は、記録媒体と濃インク層との界面での反射光である。反射光706は、濃インク層を通過するため、それによって吸収される程度が大きい。そのため、この反射光706が光の干渉に及ぼす影響は小さいと考えられる。反射光704は、淡インク層と濃インク層の屈折率差に起因する反射光である。この反射光704と、淡インク層の表面での反射光705と、によって光の干渉が起きる。
図7(b)は、光の干渉が起きにくいインクの組み合わせにおける現象の説明図である。この場合には、淡インク層と濃インク層との界面での反射光707が弱く、この反射光707と、淡インク層の表面での反射光705と、の干渉が起きにくい。
以上の観察結果から、本発明者らは、多層のインク層を形成するインクの組み合わせが、光の干渉の起きにくいインクの組み合わせとなるように、インク滴によるドットの形成順序を制御することによって、光の干渉を抑えることが可能であることを見出した。
図8は、シアン、マゼンタ、および淡シアン(フォトシアン)の顔料インクC,M,PCを記録媒体に付与してドットを形成した場合における、ドットの配置と、光の干渉の生じやすさと、の関係の説明図である。
図8(a)においては、従来の場合と同様に、淡シアンインクPCのドットの下に、マゼンタインクM、およびシアンインクCのドットが無作為に配置されている。淡シアンインクPCのドットの下にマゼンタインクMのドットが配置される位置801において、光の干渉が発生しやすい。また、位置802においては、上下に重なるドットを形成するインクの組み合わせがシアンインクCと淡シアンPCの組み合わせであるため、光の干渉は発生しづらい。図8(a)の場合には、淡シアンインクPCのドットの下に多くのマゼンタインクMのドットが存在するために、光の干渉が目立つことになる。
図8(b)は、積極的に、淡シアンインクPCのドットの下に、シアンインクのドットを配置するように、ドットの形成順序を制御した場合の説明図である。この場合には、図8(a)に比較して、光の干渉が発生しやすい組み合わせのインクによって形成されるドットが重ならないため、光の干渉を有効に抑えることができる。図8(c)は、淡シアン、シアン、およびマゼンタのインクPC,C,Mの順に、それらのインクを記録媒体に付与して、それらのドットを重ねた場合の説明図である。このような手法によっても光の干渉を抑えることが可能となる。
本発明は、以上のような観点から、光の干渉を抑えるために、上下に重なるドットを形成するインクの組み合わせが光の干渉の起きにくいインクの組み合わせとなるように、ドットの配置および形成順序を制御する。
以下、具体的に、ドットの配置および形成順序の制御例について説明する。
(4)ドット配置の制御
(4−1)マルチパス制御
本制御例においては、ドットの重ね方を制御するために、マルチパス記録方法を利用する。
図9は、マルチパス記録方法の一例を説明するための模式図である。本例の場合は、記録ヘッド91を用いて、8パスのマルチパス記録方式により記録媒体92に画像を記録する。K,C,M,Y,PC,PMは、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン(淡シアン)、フォトマゼンタ(淡マゼンタ)のインクを吐出するための吐出口が配列された吐出口列(ノズル列)である。
本例の場合は片方向記録方式が採用され、記録ヘッド91が矢印X1の往走査方向に移動するときにインクを吐出し(記録走査)、それが逆の復走査方向に移動するときにはインクを吐出しない。先の記録走査と次の記録走査との間には、記録ヘッドの記録幅(吐出口列の長さに対応)の1/8に相当する量dだけ、記録媒体92が副走査方向に搬送される。8パスのマルチパス記録方式において、記録媒体92上の単位記録領域は、記録ヘッドの8つの領域1〜8に対応する8回の記録走査によって、画像が記録される。その結果、記録媒体上の単位記録領域は、記録ヘッドの領域1から8の異なる8つのノズルによって画像が記録されるため、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向のバラツキの影響が緩和されて、良好な画像を記録することができる。また、記録ヘッドが往方向と復方向のいずれに移動するときにもインクを吐出する双方向記録方式を採用した場合には、記録媒体上82の全ての記録領域に対して、往方向移動時の往路走査と復方向移動時の復路走査の両方において、インクが付与される。
図10は、図9のような8パスのマルチパス記録を実行する際に利用する一般的なマスクパターンの一例の説明図である。ここでは説明を簡素化するために、一色分のインクのノズル列(吐出口列)201と、それに対応するマスクパターン203a〜203h、および記録率を示している。ノズル列201内のノズルは8つの領域1〜8に分割され、それぞれの領域に含まれるノズルは、各領域に対応するマスクパターン203a〜203hを用いて間引かれた画像データに基づいてインクを吐出することにより、ドットを形成する。個々のマスクパターン203a〜203hは、対応するノズルからのインクの吐出の許容および禁止を定める複数の画素領域によって構成されている。黒の領域は、インクの吐出を許容、つまりドットの記録を許容する画素を示しており、白い領域は、インクの吐出を禁止、つまりドットの記録を許容しない画素を示している。8種類のマスクパターン203a〜203hは互いに補完の関係にあり、各記録走査において、これらマスクパターンと画像データとの論理積をとることによって、実際に形成するドットが決定される。ここでは説明を簡素化するために、4画素×3画素の領域を有するマスクパターンを示している。しかし、実際のマスクパターンは、主走査方向および副走査方向において更に大きな領域を有している。
(4−2)インデックスドット配置
図11は、図4に示した記録ヘッド17を用いて、8パスのマルチパス記録を実行する場合のノズルの使用方法の説明図である。濃インク用のノズル列(吐出口列)4C,4M,4Y,4Kに関しては、それらの副走査方向の上流側部分(図11中の下側半分の部分)402を用いて4パスにより記録を行う。淡インク用のノズル列(吐出口列)4PC,4PMに関しては、それらの副走査方向の下流側部分(図11中の上側半分の部分)401を用いて4パスにより記録を行う。本実施例においては、このようにノズルの使用/不使用を使い分けることによって、濃インクの上に淡インクを付与するように、淡インクの後打ちを行う。また、淡インク用のノズル列が部分401のみに位置し、また濃インク用のノズル列が部分402のみに位置するように、それらのノズル列の位置をずらしてもよい。
このようなノズルの使用方法によっては、濃インクの上に淡インクを付与することが可能とはなるものの、上述したような光の干渉の起きやすいインクドットの重なり、および、それが起きにくいインクドットの重なりが無作為に存在することになる。そのため、光の干渉を有効に抑えることはできない。
本実施例においては、前述したマルチパス記録方式と共に、インデックスドット配置方式を用いることによって、光の干渉が起きにくいようにインクドットの重なりを設定する。
まず、インデックスドット配置方式を説明する前に、本例において用いる画像処理の工程について説明する。
図12は、ホスト装置306(図3参照)が実行する画像処理の工程を具体的に説明するためのフローチャートである。同図において、矩形は、個々の画像処理工程を示し、楕円は、個々の画像処理工程間で受け渡しされるデータの形式を示している。
一般に、ホスト装置306にインストールされるプリンタドライバは、まず、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の輝度情報を有する画素データD1をアプリケーションソフト等から受け取る。そして、ホスト装置は、解像度変更処理S1によって、記録装置への出力に適した解像度を有するRGBデータD2に変換する。この段階の解像度は、記録装置が最終的にドットを形成する記録解像度(2400dpi×1200dpi)とは異なるものである。その後の色調整工程S2によって、各画素のRGBデータD2を記録装置に適したR´G´B´データD3に色調整処理する。この色調整処理工程S2は、予め用意されているルックアップテーブルを参照することによって行われる。
インク色分解処理S3においては、R´G´B´データD3を記録装置で使用するインク色に対応したC,M,Y,PC,PM,K(シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタ、ブラック)の濃度データに変換する。一般に、色分解処理S3もルックアップテーブルを参照することによって行われる。具体的な変換方法としては、RGB値をそれぞれの補色であるCMYに置き換えつつ、これらの無彩色成分の一部をK(ブラック)に置き換えるような処理となる。インク色分解処理S3にて変換されたC,M,Y,PC,PM,Kの濃度データは、例えば、256階調程度の階調レベルを有する8bitデータであり、次の4bitデータ変換処理S4にて、4bitで表される9階調の濃度データD5に多値量子化される。このような多値量子化処理は、一般的な多値誤差拡散処理を採用することができる。この段階において、4bitで表される9階調の濃度データD5は、各色とも0000〜1000の値を有する9段階の濃度データである。
このような一連の画像処理がホスト装置において行われた後、出力データとして濃度データD5が記録装置に入力される。記録装置においては、受信したデータD5が受信バッファ307に格納され、その後、そのデータD5はシステムコントローラ301によってフレームメモリ308に移される。システムコントローラ301は、予めROMに格納されているインデックスパターンを用いて、インク色毎の4bitデータD5を1bitデータに変換する。このような変換処理は、以下、インデックス展開処理と称する。
以下、インデックス展開処理について説明する。
図13は、一般的なインデックス展開処理を説明するための模式図である。インデックス展開処理は、ホスト装置などから入力された数段階の階調データを、記録装置の記録動作に必要なインクの吐出および不吐出(ドットの形成および非形成)に対応する2値データに変換するための処理である。図13中左側の階調データ0000〜1000は、ホスト装置から入力された4bitデータD5の値を示している。本例の場合、この階調データは600dpiの解像度に対応するデータである。以降においては、この階調データに対応する画素、つまりホスト装置から入力され数レベルの階調値を有する画素P1を「単位画素」と称する。図13中右側に示したパターンは、ドットの形成および非形成を定めるパターンであり、単位画素P1を形成する計8(=4×2)の四角部分の画素P2は、それぞれ、主走査方向が2400dpiの解像度に対応し、副走査方向が1200dpiの解像度に対応する。以降においては、この四角部分の画素P2、つまり記録装置が実際にドットを形成するか否かを定める最小単位を「記録画素」と称する。黒の四角部分は、ドットを形成する記録画素を示し、白の四角部分は、ドットを形成しない記録画素を示している。本例において、1つの単位画素P1の領域は8つの記録画素P2の領域に相当する。図13では、1単位画素P1が有する階調データの値が増加するほど、8つの記録画素P2のうち、ドットを形成する記録画素(黒の四角部分)が1つずつ増える。
次に、階調データとドット配置との関係について説明する。
図14(a)は、シアン、マゼンタ、フォトシアン、フォトマゼンタ、イエロー、およびブラックのインクのそれぞれに対応するインデックスパターンを示す。例えば、シアンインク用の階調データ0011、0100に対応するドット配置は、それぞれ、インデックスパターン43、4Cによって決定される。同様に、マゼンタ、フォトシアン、フォトマゼンタ、イエロー、ブラックのインク用の階調データに対応するドット配置は、それぞれ、インデックスパターンM、PC、PM、Y、Kによって決定される。
例えば、シアンインクとフォトシアンインクに関しては、階調値が0010から0111において、それらのインクのドットの重なりが多い。同様に、マゼンタインクとフォトシマゼンタインクに関しては、階調値が階調値0010から0111において、それらのインクのドットの重なりが多い。また、全てのインク用の階調データの階調値が0100の場合のドット配置において、シアンインクとフォトシアンインクは3つのドットが重なり、フォトシアンインクとマゼンタインクは1つのドットが重なる。同様に、フォトマゼンタインクとマゼンタインクは3つのドットが重なり、フォトマゼンタインクとシアンインクは1つのドットが重なる。つまり、ドットの形成位置を規制するインデックスパターンを用いて、ドットを形成する記録画素(黒の四角部分)の重なり具合を制御することにより、光の干渉の起きやすいドット配置を避けることができる。
図14(b)は、以上のようなドット配置に基づいて、シアン、マゼンタ、フォトシアンのインク用の階調データの階調値が全て0100である場合に形成されるドットの説明図である。このように、フォトシアンインクのドットPCを積極的にシアンインクのドットの上に配置することによって、光の干渉を効果的に抑えることができる。
本実施形態においては、前述した表2のように、干渉が起きやすいインクの組み合わせと、それが起きにくいインクの組み合わせと、がある。しかし、主観評価による干渉の有無を判断は、インクの色材そのものがもつブロンズ特性の影響もあって困難であることが多い。本発明者らは、インク色毎の単独インク膜によるブロンズ現象のスペクトルを元に、干渉を予測できることを見出した。単独インク膜は、単一のインクによって記録した画像に対応する。このようにインク色毎のブロンズ現象によるスペクトルを測定することによって、干渉の有無を予測できる。
前述したように、図5の測定装置を用いて、重ね合わせの対象となる2種類のインクのそれぞれについて、単独インク膜によるブロンズ現象のスペクトルを測定する。そして上述した式(1)から式(4)を用いて、それらのブロンズ現象のスペクトルの色度であるa*b*を算出する。次に重ね合わせる対象となるインクのそれぞれのブロンズ現象の色度であるa*1、b*1とa*2、b*2とから、色度図上の空間距離を下式(6)によって算出する。
Figure 2013237197
下表3は、上下に重なるインクの組み合わせに応じて算出した空間距離(色度距離)を示す。
Figure 2013237197
表3を前述した表2と比較すると、上インクがフォトシアンとなる場合、下インクがシアンのときには干渉が起きず、このときのフォトシアンインクとシアンインクとの色度距離は比較的小さい。同様に、上インクがフォトマゼンタとなる場合、下インクがマゼンタのときには干渉が起きず、このときのフォトマゼンタインクとマゼンタインクとの色度距離は比較的小さい。また、干渉がやや起きると判断されたフォトマゼンタインクとイエローインクとの色度距離、およびフォトマゼンタインクとブラックインクとの色度距離は、干渉が起きると判断されたフォトマゼンタインクとシアンインクとの色度距離よりも小さい。つまり、このような色度距離に基づいて、干渉の有無を予測することが可能となる。
本発明者らは、このような色度距離に基づいて干渉の有無が予測できる理由を次のように考えている。インク色毎の単独インク膜の反射率は、インク色毎の屈折率の波長依存性に起因していると考えられる。その理由は、空気との界面反射は、屈折率が大きいほど反射量が大きくなるためである。一般に、0度方向からの入射光に対して、0度方向に反射する光は式(7)によって与えられる。空気の屈折率は略1であり、そのため、屈折率差が大きいほど反射光量は大きくなる。
Figure 2013237197
次に、インク膜同士の界面においては、同様に上側のインク膜と下側のインク膜との屈折率差が大きいほど界面反射光量が大きくなる。前述したように、単独のインク膜の屈折率は、単独のインク膜の反射光量と類似の傾向をもつ。そのため、上側のインク膜と下側のインク膜の反射光スペクトルの形状が大きく異なる場合には、屈折率が大きく異なることが考えられ得る。そのため、上側のインク膜と下側のインク膜との反射光スペクトルの色度が大きく異なった場合には、屈折率差が大きく異なり、界面反射が大きくなって干渉を引き起こすと考えられる。
したがって、2つのインクによって形成されるインクドットの光の屈折率に基づいて、それら2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が判断できる。つまり、2つのインクドットについて、それらの光の屈折率の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値が小さいときは、それら2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が高く、一方、その値が大きいときに類似性が低い。具体的には、その値が所定値よりも小さいときは2つのインクドットの反射特性の類似性が高く、一方、その所定値以上のときは反射特性の類似性が低いと判断できる。
以上のことから、反射光スペクトルの色度距離の小さいシアンインクは、その上にフォトシアンインクを積極的に重ねるインクとし、それ以外のインクは、その上にフォトシアンインクを積極的に重ねないインクとする。このように、フォトシアンインクに関連して、下側のインク膜を形成する濃インクをグループ分けすることができる。また、フォトマゼンタインクと色度距離の小さいマゼンタインクは、その上にフォトマゼンタインクを積極的に重ねるインクとし、それ以外のインクは、その上にフォトマゼンタインクを積極的に重ねないインクとする。このように、フォトマゼンタインクに関連して、下側のインク膜を形成する濃インクをグループ分けすることができる。また、色度距離の判断基準を15以上または15以下等に設定して、フォトマゼンタインクを積極的に重ねるインクをブラックインクとしてもよい。
このようにグループ分けした結果は下表4となる。
Figure 2013237197
このように、2つのインクによって形成されるインクドット間の正反射光のスペクトルに基づいて、それら2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が判断できる。つまり、黒板ガラスにおける正反射強度を分光反射率100%として、2つのインクドットの正反射光の分光反射率を元にJIS Z 6729に基づいて求めた色度値のab平面上の距離(色度距離)を類似性の判断に用いる。その色度距離が小さいときは、2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が高く、一方、その距離が大きいときに類似性が低い。具体的に、表3の距離が所定値よりも小さいときは2つのインクドットの反射特性の類似性が高く、一方、その所定値以上のときは反射特性の類似性が低いと判断できる。例えば、フォトシアンインクを第1のインク、シアンインクを第2のインク、マゼンタインクを第3のインクとし、さらに、それらのインクによって形成されるドットを第1のインクドット、第2のインクドット、第3のインクドットとする。この場合、第1および第2のインクドットは反射特性の類似性が高く、第1および第3のインクドットの反射特性の類似性は低い。
図14(a)のドット配置により、表4のようなドットの重なりの関係が実現できる。すなわち、フォトシアン、フォトマゼンタ、シアン、マゼンタ、イエローのインクに関しては、前述したように、それぞれインデックスパターンPC、PM、C、M、Yを用いてドット配置を決める。但し、ブラックインクに関しては、フォトマゼンタと相関性の高いマゼンタインクと同様のドット配置を決めるインデックスパターンMを用いる。階調値が0100の場合、濃インクのドットの形成数はいずれも4つであり、これらのドットと重なる淡インク(フォトシアンインクおよびフォトマゼンタインク)のドットの形成数はいずれも4つである。それら濃インク毎の4つのドットの上に、フォトシアンインクまたはフォトマゼンタインクのドットが形成される。
下表5は、階調値が0100の場合に、それぞれの濃インクの4つのドットの上に形成される淡インクのドットにおいて、フォトアイアンインクのドットが占める割合と、フォトマゼンタインクのドットが占める割合と、を示す。
Figure 2013237197
例えば、シアンインクと重なるフォトシアンとフォトマゼンタのインクのドットの総数4の内、75%の3つがシアンインクに重なり、25%の1つがマゼンタインクと重なる。他の濃インクの場合も同様である。
以上説明したように、本実施形態においては、下側の濃インクを、上側の淡インクと光の干渉を起こしやすいインクと、それを起こしにくいインクと、にグループ分けする。そして、淡インクに対する濃インクの干渉の起こしやすさの程度に応じて、それらのインクのドット配置を制御する。この結果、光の干渉を効果的に抑えて、高品位な画像を記録することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態の場合は、マスクパターンを記録画素毎に変化させることにより、特にインク付与量の多い画像において効果的に光の干渉を抑える。本実施形態においては、記録ヘッドのノズル列を12の領域(領域1から領域12)に分けて、12パスのマルチパス方式により画像を記録する。
図15は、本例において用いる3種類のマスクの説明図である。マスクAは、矢印の副走査方向の上流側に位置するノズルに用いるマスク、マスクBは、副走査方向の中流部分に位置するノズルに用いるマスク、マスクCは、副走査方向の下流側に位置するノズルに用いるマスクである。マスクCを淡インク吐出用のノズルに用いることにより、ブロンズ現象の発生を抑える。そして、後述するように、記録画素毎に、その記録画素に配置されるドットのインク色を判断し、そのインク色の組み合わせに応じて、ドットの形成順序を制御する。
前述した表4は、淡インクに対して光の干渉の起こしやすさの程度に応じた濃インクの序列を表す。フォトシアンインクはシアンインクと干渉を起こしにくく、フォトマゼンタインクは、マゼンタインクおよびブラックインクと干渉を起こしにくい。このような判断は、目視判断によってもよく、前述したように反射光スペクトルの色差から判断してもよい。
図17は、ドットの形成順序を制御するためのマスクの選択処理を説明するためのフローチャートである。
まずは、これから記録する全ての記録画素に対して、1画素毎に、ドットを形成するインクの中に淡インクが1種類あるか否かを判定する(ステップS11,12)。淡インクが無い場合、もしくは2種類以上ある場合には、ステップS15において、それぞれのインクに対して適用するマスクとして、標準マスクを選択する。標準マスクは、シアン、マゼンタのインクに対してはマスクAであり、イエローおよびブラックのインクに対してはマスクBであり、淡インク(フォトシアンインク、フォトマゼンタインク)に対してはマスクCである。濃インクに関しては、ブラックおよびイエローのインクをできるだけ後から付与して、ブロンズ現象の発生を抑えるように、このようなマスク選択を行った。しかし、このようなマスク選択に限定されるものではない。
ステップS13の判定においては、淡インクが1種類の場合にはステップS13に移行する。ステップS13においては、その淡インクの下に、2色以上の濃インクが存在し、かつ、それらの濃インクの中に、淡インクと干渉を起こしやすいインクと、それを起こしにくいインクと、の両方が存在するか否かを判定する。ここで否定判定された場合には、ステップS15に移行して標準マスクを選択する。ステップS13にて肯定判定された場合には、ステップS14に移行し、干渉を起こしにくい濃インクに対してマスクBを選択し、干渉を起こしやすい濃インクに対してはマスクAを選択する。これによって、淡インクと複数種類の濃インクが重なる場合に、淡インクの直下の濃インクは、その淡インクと干渉を起こしくいインクとすることができる。そして、全ての記録画素に対して適用するマスクを選択するまで、以上の処理を繰り返す(ステップS16,17)。
図16(a)および(b)は、フォトシアン、シアン、マゼンタのインクのそれぞれの記録デューティが100%のときに、本実施形態におけるドットの形成順序の制御を加えない従来の場合、および、それを加えた場合におけるドットの重なり具合の説明図である。図16(a),(b)において、1つの格子の主走査方向および副走査方向の大きさは、1200dpiに対応する大きさである。図16(a)の従来の場合には、シアンおよびマゼンタのどちらのインクに対してもマスクAが適用されるため、シアンインクとマゼンタインクの上下関係は、記録画素の半数においてシアンインクが上となり、残りの半数においてマゼンタインクが上となる。また、双方向記録方式を採用した場合、同一のマスクが適用されるシアンインクとマゼンタインクの上下の位置関係は、記録走査の方向に応じて変化する。例えば、一方向に記録走査したときには、マゼンタインクの上にシアンインクが重なり、さらに、その上にフォトシアンが重なることになる。また、他方向に記録走査したときには、シアンインクの上にマゼンタインクが重なり、さらに、その上にフォトシアンが重なることになる。後者のように、シアンインク、マゼンタインク、フォトシアンインクが順次重なる記録画素に関しては、光の干渉が目立つことになる。
一方、図16(b)のように、本実施形態におけるドットの形成順序の制御を加えた場合、フォトシアン、シアン、およびマゼンタの3種類のインクのドットが重なる記録画素においては、フォトシアンインクの下には必ずシアンインクが位置する。したがって、片方向記録方式および双方向記録方式の如何に拘わらず、光の干渉を抑えることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態においては、光の干渉を起こしやすいインクの組み合わせと、それを起こしくいインクの組み合わせと、を判別するために、図6に示したようなスペクトルから直接計算した値を用いる。前述したように、単独インク膜の反射光スペクトルが大きく異なる2層のインク膜の間においては、界面反射が起きると予測される。そのため、反射光スペクトルの違いを元に、下式(8)によって、反射スペクトルの差分の絶対量を求めることができる。
Figure 2013237197
下表6は、前述したインクを用いた場合に、反射スペクトルの差分の自乗を積分した値を求めたものである。この表6と前述した表3とを比較すると、本実施形態における数値を用いても光の干渉の程度を判断できることが分かる。
Figure 2013237197
このように、2つのインクによって形成されるインクドット間の正反射光のスペクトルに基づいて、それら2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が判断できる。つまり、2つのインクドットの正反射光の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値が小さいときは、それら2つのインクドット間における光の反射特性の類似性が高く、一方、その値が大きいときに類似性が低い。具体的に、表6の値が所定値よりも小さいときは2つのインクドットの反射特性の類似性が高く、一方、その所定値以上のときは反射特性の類似性が低いと判断できる。
また、前述した式(7)に示すように、反射スペクトルと屈折率も類似の傾向にあり、一般的なエリプソメーター等によって求めた屈折率を元に、干渉を起こしやすいインクの組み合わせと、それを起こしにくいインクの組み合わせを判別してもよい。
以上のような構成によって、光の干渉を抑えて良好な画像を記録することができる。本実施形態においては、淡インクを最表層に配置する形態について説明したが、これに限られるものではない。最表層に配置することが好ましいインクの例として、ブロンズが少ないインク、および耐擦性に優れたインクがある。このようなインクであれば、濃インクであっても最表層に配置してもよく、また、例えば透明インクであるクリアインクを最表層に配置してもよい。
(他の実施形態)
記録画像の最表層に付与するインクとしては、フォトシアンインクやフォトマゼンタインクの他、他のインクよりも色材濃度が低いインク、耐擦強度が強いインク、透明インク等、種々のインクを用いることができる。また、記録媒体上の所定領域に対して記録ヘッドを複数回走査して画像を記録するマルチパス記録方式として、2パス以上の記録方式を採用することでき、上述したパス数のみに限定されない。
101 記録媒体
102 濃インクの層
103 淡インクの層
17 記録ヘッド
301 システムコントローラ
310 記録制御部

Claims (10)

  1. 記録媒体上の所定領域に、第1、第2、および第3のインクを吐出可能な記録ヘッドを複数回走査して、前記記録媒体上に、前記第1、第2、および第3のインクによる第1、第2、および第3のインクドットを形成し、前記第1、第2、および第3のインクドットの形成位置を制御手段によって制御するインクジェット記録装置であって、
    前記第1のインクドットと前記第2のインクドットとの光の反射特性の類似性は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットとの光の反射特性の類似性よりも高く、
    前記記録媒体上の所定の単位記録領域に前記第1、第2、および第3のインクドットが形成され、かつ前記第2および第3のインクドットの形成数が同じであるときに、前記制御手段は、前記第1のインクドットの下に形成される前記第3のインクドットの数が前記第1のインクドットの下に形成される前記第2のインクドットの数を越えないように、前記第1、第2、および第3のインクドットの形成位置を制御する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記所定の光の反射特性は、少なくとも正反射光のスペクトルおよび光の屈折率の一方であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記第1のインクドットと前記第2のインクドットの正反射光の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットの正反射光の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 黒板ガラスにおける正反射強度を分光反射率100%としたときに、前記第1のインクドットと前記第2のインクドットの正反射光の分光反射率を元にJIS Z 8729に基づいて求めた色度値のab平面上の距離は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットの正反射光の分光反射率を元にJIS Z 8729に基づいて求めた色度値のab平面上の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1のインクドットと前記第2のインクドットの光の屈折率の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットの光の屈折率の周波数成分毎の差の自乗値を可視光領域において積分した値よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第1のインクは、前記第2および第3のインクよりも色材濃度が低いことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記第1のインクは、前記第2および第3のインクよりも耐擦強度が強いことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第1のインクは透明インクであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第1のインクは、前記第1および第2のインクよりも正反射光の刺激値が小さいことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 記録媒体上の所定領域に、第1、第2、および第3のインクを吐出可能な記録ヘッドを複数回走査して、前記記録媒体上に、前記第1、第2、および第3のインクによる第1、第2、および第3のインクドットを形成するインクジェット記録方法であって、
    前記第1のインクドットと前記第2のインクドットとの光の反射特性の類似性は、前記第1のインクドットと前記第3のインクドットとの光の反射特性の類似性よりも高く、
    前記記録媒体上の所定の単位記録領域に前記第1、第2、および第3のインクドットが形成され、かつ前記第2および第3のインクドットの形成数が同じであるときに、前記第1のインクドットの下に形成される前記第3のインクドットの数が前記第1のインクドットの下に形成される前記第2のインクドットの数を越えないように、前記第1、第2、および第3のインクドットの形成位置を制御する
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2021014077A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 キヤノン株式会社 記録装置、画像処理装置、記録物、およびプログラム

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