JP2013233115A - 植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置 - Google Patents
植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置を提供する。
【解決手段】本発明の植物の脱黄化又は緑化促進方法は、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の植物の脱黄化又は緑化促進方法は、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、光合成反応には効率的に利用されることがないが、緑化誘導活性を有する特定の三つの光域帯の光を人工光源により照射し、色素成分の生合成等を刺激するための植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置に関する。
現在、安全で付加価値の高い植物を効率的に生産・栽培する技術が求められている。その技術として、人工光源、例えば発光ダイオード(LED)を導入した次世代型の植物生産技術が注目されている。しかしながら、例えば、植物工場等の生育制御環境下において、実際に生産・栽培が実現しているのは一部の葉物類、例えばレタス等に品目が限られているのが現状である。今後、技術革新により、幅広い植物が制御環境下で生産・栽培されることが期待されている。
一般的に、生育制御環境下、例えば野菜工場では、太陽光を利用する太陽光利用型、太陽光と人工光を併用する太陽光・人工光併用型、及び人工光のみを利用する完全人工光源型が知られている。現在、それらの中で太陽光利用型が多く採用されている。一方、完全人工光源型の植物工場は、太陽光を利用しないため、天候に左右されることなく安定して生産・栽培ができるという利点がある。また、栽培棚の積層化が容易であり、高度集約型の効率的な植物の生産・栽培が可能となるという利点も有する。しかしながら、現在、実証研究に取り組む研究拠点や研究機関が少なく、実用化には多くの課題が残されている。
例えば、完全人工光源型の植物工場において、実用化が期待される品目として、例えばスプラウト(種子が発芽した新芽)を挙げることができる。一般的に、植物の種子を暗所で発芽・栽培すると緑色ではなく、黄色い葉を生じ、黄化芽生え、いわゆるもやしとなることが知られている。特に、スプラウトは、種子の発芽から子葉の展開までの生育初期には光を要求せず、最小限の光照射で栽培できることから完全人工光源型の植物工場における生産に好ましく適用される。
一般的に、黄化芽生えのように緑色を持たない葉が生じ、葉や茎が間延びする現象を黄化(etiolation)といい、黄化した組織を黄化組織という。黄化組織の黄色は、主として黄色のカロチノイド類に由来する。カロチノイド類は、明所で栽培した植物にも存在するが、黄化した植物には緑色を呈する主要な光合成色素であるクロロフィルが存在しないために黄色のカロチノイド類の存在が優勢である。従って、黄化植物を特徴づける生化学的要素の一つとして、クロロフィルの欠如を挙げることができる。
ところで、太陽光には、脱黄化誘導又は緑化の促進に必要な光成分、植物の生育に必要な光成分、及び脱黄化誘導又は生育に必要のない光成分等の全ての光成分が含まれている。しかしながら、人工光源の場合、全ての光成分が含まれる光源、例えば昼白色光源を使用することは、エネルギー効率の観点から好ましくない。特に、コストダウンの必要性が高い完全人工光源型の植物工場において、脱黄化誘導又は植物の生育等の特定の目的下において、光照射を行う場合、より効率的な照射が求められる。
従来より、非特許文献1に開示されるように、特定の波長を発する人工光源を用いて、植物を人工的に栽培する方法が知られている。非特許文献1は、人工光源として青色LED及び赤色LEDを使用し、レタスを栽培する方法が開示されている。非特許文献1に開示の方法によれば、照射される光が光合成を行うクロロフィルの光吸収波長である青色及び赤色付近であるため、効率的にレタスを生育させることができる。
また、非特許文献2に開示されるように、光受容体としてクリプトクロム及びフィトクロムに関連する脱黄化を制御するメカニズムが知られている。非特許文献2は、青色光を効率よく吸収する光受容体としてクリプトクロムを介する反応の関与が示唆されている。また、非特許文献3に開示されるように、遠赤色光受容体であるフィトクロムの効果に関し、クロロフィル生合成に対して阻害の方向に働くという報告がなされている。また、非特許文献4に開示されるように、シアノバクテリアにおいて、クロロフィルの生合成に有効な波長430nmと660nmで特にクロロフィルの合成が進み光合成に利用されない525nmでは最も合成が少ないことが報告されている。
Kim, H.H., Goins, G. D., Wheeler, R. M., Sager, J. C. (2004) Green-light supplementation for enhanced lettuce growth under red-and blue-light-emitting diodes. HortScience 39 (7): 1617-1622.
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そこで、本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、光合成反応には効率的に利用されることがないが、緑化誘導活性を有する特定の三つの光域帯の光を人工光源により照射することにより、効率的に色素成分の生合成等を刺激できることを見出したことによりなされたものである。本発明の目的とするところは、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、効率的に色素成分の生合成等を刺激することができる植物の脱黄化又は緑化促進方法、及び植物の脱黄化又は緑化促進装置を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明の植物の脱黄化又は緑化促進方法は、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記紫外領域の光は、波長が100nm〜280nmの範囲のUV−C領域の光、波長が280nm〜315nmの範囲のUV−B領域の光、波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光から選ばれる少なくとも一種であり、前記クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光は、波長が480nm〜490nmの緑青色の光、490nm〜500nmの青緑色の光、500nm〜560nmの緑色の光、560nm〜580nmの黄緑色の光、580nm〜595nmの黄色の光、及び595nm〜605nmの橙色の光から選ばれる少なくとも一種であり、前記遠赤色領域の光は、波長が700nm〜800nmの範囲の光であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記植物は、アブラナ科、キク科、アカザ科、マメ科、タデ科、ナス科、ウリ科、及びイネ科から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記植物は、幼植物、スプラウト、ベビーリーフ、及び苗から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記光成分は、波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光、及び波長500nm〜560nmの緑色の光から選ばれる少なくとも一種を主成分とすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィル又はカロチノイド類の生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記光成分は、波長500nm〜560nmの緑色の光を主成分とし、前記植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィルa又はクロロフィルbの生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、前記植物は、リンゴ、洋ナシ、マスカット、メロン、トマト、及びキュウリから選ばれる少なくとも一種であって、光照射部位は果実部であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法を実施するための植物の脱黄化又は緑化促進装置であって、紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射するための人工光源を備えてなることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置において、前記人工光源は、発光ダイオード、ハロゲンランプ、白熱電球、蛍光灯、アーク灯、無電極放電灯、低圧放電灯、冷陰極型蛍光管、外部電極型蛍光管、エレクトロルミネセンスライト及びHIDランプ、並びにプリズム又は光学フィルタを介する光源から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置において、前記植物の脱黄化又は緑化促進装置は、圃場、温室、植物工場、貯蔵設備、搬送車、及び陳列棚から選ばれる少なくとも一種に設けられることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置において、前記植物の脱黄化又は緑化促進装置は、完全人工光源型の植物工場に適用されることを特徴とする。
本発明によれば、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を刺激することができる。
(第1実施形態)
以下、この発明の植物の脱黄化又は緑化促進方法を具体化した第1実施形態を詳細に説明する。
以下、この発明の植物の脱黄化又は緑化促進方法を具体化した第1実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法に用いられる光は、光合成には効率的に利用されない光域帯であって、緑化誘導活性を有する三つの光域帯から選ばれる。これら三つの光域帯は、より具体的にはそれぞれ紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光を示す。本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法において、これら三つの光域帯から選ばれる少なくとも一種を主成分とする人工光が用いられる。これらの中で、植物の脱黄化又は緑化促進効果に優れるクロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光が好ましい。
紫外領域の光は、より具体的には波長が100nm〜280nmの範囲のUV−C領域の光、波長が280nm〜315nmの範囲のUV−B領域の光、及び波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光を示す。これらの中で、植物の脱黄化又は緑化促進効果に優れるとともに、細胞への障害を最小限にする観点から、長波長側の紫外線であるUV−A領域の光が好ましく、波長350nm〜380nmの範囲の光がより好ましく、波長360〜370nmの範囲の光がさらに好ましく、波長365nmを発光極大とする光が最も好ましい。
クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光は、クロロフィルを光受容色素として光合成に効率よく利用される450nm付近(B帯:ソーレー帯)と700nm付近(Q帯)に挟まれた可視領域の光を示す。具体的には、波長が480nm〜490nmの緑青色の光、490nm〜500nmの青緑色の光、500nm〜560nmの緑色の光、560nm〜580nmの黄緑色の光、580nm〜595nmの黄色の光、及び595nm〜605nmの橙色の光を示す。これらの中で、脱黄化又は緑化促進効果に優れる観点から、500nm〜560nmの緑色の光が好ましく、500nm〜540nmの範囲の光がより好ましく、510nm〜540nmの範囲の光がさらに好ましく、波長525nmを発光極大とする光が最も好ましい。
遠赤色領域の光は、波長が700nm〜800nmの範囲の光を示す。これらの中で、脱黄化又は緑化促進効果に優れる観点から、波長710nm〜750nmの範囲の光が好ましく、730nm〜735nmを発光極大とする光がより好ましい。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法が適用される植物は、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞である。好ましくは、黄化状態にある植物に適用されるが、緑色状態にある植物においても、更なる色素の増加のために適用することができる。
植物の種類は、特に限定されないが、好ましくは被子植物に適用され、より好ましくは短年性の植物に適用される。被子植物としては、特に限定されないが、例えばアブラナ科、キク科、アカザ科、マメ科、タデ科、ナス科、ウリ科、及びイネ科が挙げられる。光照射される植物の生育段階は、とくに限定されないが、好ましくは黄化状態にある又は緑化途上にある幼植物、スプラウト、ベビーリーフ、及び苗が挙げられる。例えば、スプラウトは、播種後、水分存在下において、適温暗所で数日、例えば3〜10日栽培することにより得ることができる。
植物の脱黄化又は緑化促進方法の対象となる植物の照射部位は、とくに限定されないが、本発明の効果が植物への光照射に依存することから、好ましくは植物の地上部であり、より好ましくは葉であり、さらに好ましくは、芽生えに含まれる子葉と生育初期にある本葉である。尚、本実施形態において光照射の対象とする葉には、葉柄と葉身、及びその葉身の内部の葉脈も対象部位に含まれるものとする。
また、本実施形態の脱黄化又は緑化促進方法は、果皮色の変化を誘導するために用いてもよい。果皮色の変化は、果実又は果菜の果実部に光照射を行うことにより実施することができる。果実又は果菜としては、例えば、リンゴ、洋ナシ、マスカット、メロン、トマト、及びキュウリが挙げられる。
本実施形態において、植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内における色素成分の生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加(蓄積)を指標とすることができる。色素成分としては、例えばクロロフィル及びカロチノイド類を挙げることができる。クロロフィルとしては、例えばクロロフィルa及びbを挙げることができる。カロチノイド類は、黄色〜橙色を呈することが多いが、緑化促進におけるクロロフィル含有量の増加に伴いカロチノイド類の生合成が促進される場合がある。これらの色素成分は、植物を目視することにより、又は植物からの抽出成分を分光光度計及び蛍光分光光度計等を用い分析することで確認することができる。これらの色素成分のうち、クロロフィルbの生合成誘導等が促進されることが好ましい。クロロフィルbは、クロロフィル生合成経路の最終産物であるため、クロロフィルbの生合成誘導等の促進により、クロロフィル生合成経路全体の活性化が期待される。
次に、上記のように構成された植物の脱黄化又は緑化促進方法の作用について説明する。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法により、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、又は植物細胞に対し、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、又は遠赤色領域の光を主成分とする光成分を照射すると色素成分の生合成等が刺激される。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法により、黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、又は植物細胞に対し、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、又は遠赤色領域の光を主成分とする光成分を照射すると色素成分の生合成等が刺激される。
一般的に、黄化植物に自然光又は白色光を照射すると数時間から1日程度で緑色に変化することが知られている。この現象は、脱黄化(de-etiolation)又は緑化(greening)と呼ばれている。これは、黄化葉に光照射をすると、吸収された光によりプロトクロロフィリドが励起され、この励起エネルギーを用いてプロトクロロフィリドが還元されることでクロロフィリドに変わり、さらに下流の酵素群の反応により、色素成分であるクロロフィルが生合成されると考えられている。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法は、クロロフィルの吸収波長を除く波長領域によって、植物の脱黄化又は緑化促進が図られることから、既知の光受容体を介さない新規なメカニズムによりもたらされる作用であると考えられる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法によれば、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる。
(1)本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法によれば、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる。
特に、成長の必要がない脱黄化又は緑化促進のみを目的とする植物の場合、より低コストで効率的な処理が可能となる。
(2)本実施形態において、好ましくは、照射対象とされる植物は被子植物であり、より好ましくはアブラナ科、キク科、アカザ科、マメ科、タデ科、ナス科、ウリ科、及びイネ科から選ばれる少なくとも一種である。したがって、かかる植物に対し、より効率的に脱黄化又は緑化促進を図ることができる。
(2)本実施形態において、好ましくは、照射対象とされる植物は被子植物であり、より好ましくはアブラナ科、キク科、アカザ科、マメ科、タデ科、ナス科、ウリ科、及びイネ科から選ばれる少なくとも一種である。したがって、かかる植物に対し、より効率的に脱黄化又は緑化促進を図ることができる。
(3)本実施形態において、好ましくは、植物は、幼植物、スプラウト、ベビーリーフ、及び苗から選ばれる少なくとも一種である。したがって、幼植物、スプラウト、ベビーリーフ又は苗の商品価値を高めることができる。
特に、例えば暗黒条件下で栽培され、黄化した状態の幼植物、スプラウト、ベビーリーフ又は苗に対し、クロロフィルの合成を促進させ、緑化を促すことにより、付加価値を一層向上させることができる。
(4)本実施形態において、好ましくは、光成分は、波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光、及び波長500nm〜560nmの緑色の光から選ばれる少なくとも一種を主成分とする。したがって、多くの種類の植物に対し、より効率的な脱黄化又は緑化促進を図ることができる。
(5)本実施形態において、好ましくは、植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィル又はカロチノイド類の生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種である。したがって、クロロフィル又はカロチノイド類の含有量等の増減を測定することにより、植物の脱黄化又は緑化促進の程度を容易に数値化又は比較することができる。
(6)本実施形態において、好ましくは、光成分は、波長500nm〜560nmの緑色の光を主成分とし、植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィルa又はクロロフィルb、特にクロロフィルbの生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種である。クロロフィルbは、クロロフィル生合成経路の最終産物であるため、クロロフィルbの生合成誘導等の促進により、クロロフィル生合成経路全体の活性化が期待される。
(7)本実施形態において、好ましくは、被子植物は、リンゴ、洋ナシ、マスカット、メロン、トマト、及びキュウリから選ばれる少なくとも一種であって、光照射部位は果実部である。したがって、果皮の色を制御することにより、収穫物の付加価値を向上させることができる。
(8)本実施形態により、青果物の表面色及びその表面色を指標とする鮮度を制御することができる。それにより、これまで青果物の表面色の制御に用いられてきた化学物質、例えば農薬及び植物ホルモンの使用量及び残留量を低減させることができる。よって、環境への負荷の低減及び食の安全性の向上が期待できる。
(9)本実施形態により、クロロフィルa,b等のクロロフィル類又はカロチノイド類の含有量を増加させることができる。それにより、植物の栄養価を高めることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とするとは、照射光中において、それらの光成分の存在割合が最も高いことを意味し、好ましくは、照射光中において、それらの光成分が50%以上を示す。また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、照射光中に、紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光以外の光成分が含まれてもよい。
・本実施形態において、植物の脱黄化又は緑化促進活性を有する人工光うち可視光領域の光は、単一波長の光を使用してもよく、光の三原色である赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の三色光の混成、いわゆるRGB合成により様々な色調の光を合成したものを採用してもよい。
・本実施形態において、照射される光の強さ及び光の照射時間は植物の種類、光源、及び所望の色等に応じ、適宜設定される。
例えば、照射される光は、好ましくは0.1〜100mW/cm2、より好ましくは0.5〜20mW/cm2である。かかる範囲内において、より効率的な脱黄化又は緑化の促進が期待される。
例えば、照射される光は、好ましくは0.1〜100mW/cm2、より好ましくは0.5〜20mW/cm2である。かかる範囲内において、より効率的な脱黄化又は緑化の促進が期待される。
光の照射時間は、好ましくは0.5〜72時間、より好ましくは5〜24時間である。かかる範囲内において、より効率的な脱黄化又は緑化の促進が期待される。
・本実施形態において、照射対象がアブラナ科植物及びウリ科植物の場合、本発明の効果を阻害しない範囲内において、植物の脱黄化又は緑化促進活性を有する人工光源に赤色光源(620〜700nm)を補足的に加えてもよい。アブラナ科植物及びウリ科植物においては、赤色光源も脱黄化又は緑化促進活性を有するため、上記構成により、より効率的な脱黄化又は緑化促進処理を行うことができる。
・本実施形態において、照射対象がアブラナ科植物及びウリ科植物の場合、本発明の効果を阻害しない範囲内において、植物の脱黄化又は緑化促進活性を有する人工光源に赤色光源(620〜700nm)を補足的に加えてもよい。アブラナ科植物及びウリ科植物においては、赤色光源も脱黄化又は緑化促進活性を有するため、上記構成により、より効率的な脱黄化又は緑化促進処理を行うことができる。
・本実施形態において、脱黄化又は緑化促進処理の対象となる植物の栽培の目的は、特に限定されず、例えば食用の蔬菜及び穀物、園芸作物、並びに観賞用の植物(観葉植物)に適用することができる。
・本実施形態において、脱黄化又は緑化促進処理の対象となる植物が観葉植物の場合、葉、茎の他、花卉に脱黄化又は緑化促進処理を行ってもよい。
・本実施形態において、植物の緑色を鮮度の指標とすることを目的として、青果物、葉菜類及び豆類に脱黄化又は緑化促進処理を行ってもよい。
・本実施形態において、植物の緑色を鮮度の指標とすることを目的として、青果物、葉菜類及び豆類に脱黄化又は緑化促進処理を行ってもよい。
・本実施形態において、紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、又は遠赤色領域の光を照射した後、光合成に用いられる赤又は青の波長の光を照射させてもよい。クロロフィルの合成を促進した後、光合成を行うため、より効率的な植物の生長が期待される。
(第2実施形態)
以下、この発明の第1実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法を実施するための植物の脱黄化又は緑化促進装置を詳細に説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
以下、この発明の第1実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進方法を実施するための植物の脱黄化又は緑化促進装置を詳細に説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射するための人工光源を備えてなる。
人工光源は、特に限定されないが、公知の光源、例えばLED、ハロゲンランプ、白熱電球、蛍光灯、アーク灯、無電極放電灯、低圧放電灯、冷陰極型蛍光管、外部電極型蛍光管、エレクトロルミネセンスライト及びHIDランプを使用することができる。HIDランプとしては、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び高圧ナトリウムランプが挙げられる。また、人工光源は、人工的に作られた光の他、自然光をプリズム又は光学フィルタを介して得られる特定波長からなる光源も含まれるものとする。これらの人工光源は1種類のみ使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの人工光源の中で、単一の波長又は狭い波長域の光の照射が容易なLEDが好ましい。LEDの形状は特に限定されず、例えば砲弾型及び表面実装型が挙げられ、シングルチップでもマルチチップでもいずれの形態でもよい。また、LEDとして高輝度LEDを採用してもよい。人工光源を保持する構成、例えばスタンド、及び配線等は、公知の構成を適宜採用することができる。
植物の脱黄化又は緑化促進装置が設置される場所は、特に限定されず、植物の脱黄化又は緑化促進が必要な場所であれば設置することができる。例えば、圃場、温室、植物工場、貯蔵設備、搬送車、及び陳列棚が挙げられる。貯蔵設備としては、例えば、冷蔵庫、定温室、倉庫、及びコンテナが挙げられる。搬送車としては、例えば台車、貨車の荷台、及びコンテナ貨物が挙げられる。これらの中で、高効率な運用が求められる観点から、好ましくは完全人工光源型の植物工場に適用される。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(10)本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置によれば、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる。
(10)本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置によれば、黄化状態にある又は緑化途上にある植物に対して、色素成分の生合成等を効率的に刺激することができる。
(11)本実施形態において、光源として人工光源が用いられる。したがって、特定の波長領域の光を容易に選択して照射することができる。また、太陽光のように気象条件に左右されることなく、制御環境下において、効率的な植物の脱黄化又は緑化促進を行うことができる。
(12)本実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置によれば、LED及びハロゲンランプ等の公知の光源を採用することができる。したがって、光の照射を容易に且つ安価に実施することができる。
(13)本実施形態として、好ましくは、人工光源としてLEDが用いられる。LEDは、単一の波長又は狭い波長域の光の照射が容易なため、本実施形態において、目的とする特定の波長領域の光の照射を容易に実施することができ、生産・生育活動において効率的な運用が可能となる。また、LEDは、長寿命及び低消費電力であるため、低コストで実施することができる。
(14)本実施形態として、好ましくは、圃場、温室、植物工場、貯蔵設備、搬送車、及び陳列棚から選ばれる少なくとも一種に備えられる。植物の脱黄化及び緑化誘導を制御する技術は、例えば植物工場での利用のみならず、農業分野、食品流通分野、及び小売分野において利用することができる。例えば、植物の栽培中、収穫物の収穫後、流通過程、保蔵期間、及び店頭販売期間における鮮度保持において、光によるクロロフィル量の制御技術の応用が期待される。
(15)本実施形態として、好ましくは、完全人工光源型の植物工場に適用される。したがって、幅広い植物に対し、生育環境を制御しながら、安全で付加価値の高い生産物を効率的に生産・栽培することが期待される。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、人工光源より光を直接植物に照射してもよく、光学装置、例えば光ファイバー、レンズ、及び反射鏡を介して照射してもよい。かかる構成により、光源と照射部位を離間させる構成を採用することができる。また、集光等により照射光を容易に増強させることができる。よって、より効率的な植物の脱黄化又は緑化促進処理を行うことができる。
・上記実施形態において、人工光源より光を直接植物に照射してもよく、光学装置、例えば光ファイバー、レンズ、及び反射鏡を介して照射してもよい。かかる構成により、光源と照射部位を離間させる構成を採用することができる。また、集光等により照射光を容易に増強させることができる。よって、より効率的な植物の脱黄化又は緑化促進処理を行うことができる。
・上記実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、人工光源を照射する照射部位が棚状に構成されてもよい。かかる構成により、一度に多くの植物に対し照射処理することができるため、効率的な運用が可能となる。
・上記実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、人工光源を保持する保持手段に車輪を取り付けることにより可動式として構成してもよい。
・上記実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、人工光源を照射する照射部位の下にコンベアを取り付けることにより、移動する植物に対し、連続的に照射してもよい。かかる構成により、数少ない光源であっても、多くの植物に対し効率的に照射処理することができる。
・上記実施形態の植物の脱黄化又は緑化促進装置は、人工光源を照射する照射部位の下にコンベアを取り付けることにより、移動する植物に対し、連続的に照射してもよい。かかる構成により、数少ない光源であっても、多くの植物に対し効率的に照射処理することができる。
次に、実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(試験例1)
(試料)
暗黒下で生育させたトマト(品種、Micro−Tom)(ナス科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。本試験例1で使用した試料は播種後、室温(23℃)暗黒下において5日間成長させたMicro−Tomトマトの芽生えを使用しており、その子葉は、黄化した状態である。通常、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。
(試験例1)
(試料)
暗黒下で生育させたトマト(品種、Micro−Tom)(ナス科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。本試験例1で使用した試料は播種後、室温(23℃)暗黒下において5日間成長させたMicro−Tomトマトの芽生えを使用しており、その子葉は、黄化した状態である。通常、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。
(光源)
光照射は、光照射試験用のLED光源を用いて行った。本試験においては、光照射試験用のLED光源として、次の6種類の砲弾型LED素子を用いた。(1)対照試験区(照射なし)。(2)ナイトライドセミコンダクター社製、UV−A光源、発光極大365nm、型式NS365L−5RLO。(3)日亜化学工業社製、青色光光源、発光極大430nm、型式NSPU510CS。(4)エピテックス社製、緑色光光源、発光極大525nm、型式L525−01。(5)SANDER社製、赤色光光源、発光極大660nm、型式SDL−5N3KR。(6)エピテックス社製、遠赤色光光源、発光極大735nm、型式L735−03AU。(7)日亜化学工業化学工業株式会社製、白色光光源、可視光領域にブロードな発光極大を有する、型式NSPW500DS。以下、これらの(2)〜(7)LED光源をそれぞれUV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光と呼ぶ。
光照射は、光照射試験用のLED光源を用いて行った。本試験においては、光照射試験用のLED光源として、次の6種類の砲弾型LED素子を用いた。(1)対照試験区(照射なし)。(2)ナイトライドセミコンダクター社製、UV−A光源、発光極大365nm、型式NS365L−5RLO。(3)日亜化学工業社製、青色光光源、発光極大430nm、型式NSPU510CS。(4)エピテックス社製、緑色光光源、発光極大525nm、型式L525−01。(5)SANDER社製、赤色光光源、発光極大660nm、型式SDL−5N3KR。(6)エピテックス社製、遠赤色光光源、発光極大735nm、型式L735−03AU。(7)日亜化学工業化学工業株式会社製、白色光光源、可視光領域にブロードな発光極大を有する、型式NSPW500DS。以下、これらの(2)〜(7)LED光源をそれぞれUV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光と呼ぶ。
まず、上記各光照射試験用のLED光源の発光スペクトルの解析及び照射エネルギーの測定を行った。各光照射試験用のLED光源の発光スペクトルの解析及び照射エネルギーの測定には、全長2mの光ファイバー(Ocean Optics社製、型式QP200−2−UV/VIS)、励起光偏角補正器(Ocean Optics社製、型式CC−3−UV)、タングステンハロゲン光源(Ocean Optics社製、型式LS−1−CAL)、及び紫外可視キャリブレーション用光源(Ocean Optics社製、型式DH2000−CAL)を実装した小型光ファイバースペクトロメータ(Ocean Optics社製、型式USB4000−UV−VIS)を用いた。得られたデータの解析には、小型スペクトロメータソフトウェア(Ocean Optics社製、型式SpectraSuite)を用いた。また、光量子測定には、光量子センサー(Li−Cor社製、型式LI−190SA)を実装したライトメーター(Li−Cor社製、型式LI−250A)を使用した。
各光照射試験用のLED光源の発光スペクトルの結果をそれぞれ図1〜6に示す。図1〜6に示されるように、各光照射試験用のLED光源は、各ピークの波長より、それぞれUV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光を代表する光源であることが確認される。
図1に示されるように、UV−A光LEDは、365nmに発光極大を持つことが分かる。図2に示されるように、青色光LEDは、430nmに発光極大を持つこと及び目視で青い光に見えることが分かる。図3に示されるように、緑色光LEDは、525nmに発光極大を持つこと及び目視で緑色に見える光を放つのが分かる。図4に示されるように、赤色光LEDは、660nmに発光極大を持つこと及び目視で赤色の光を放出しているのが分かる。図5に示されるように、遠赤色光LEDは、735nmに発光極大を持つことが分かる。図6に示されるように、白色光LEDは、430nmに発光極大を有する狭いバンドと500nm付近の緑色光領域から700nm付近の赤色光領域までをカバーする広いバンドから成る発光特性が示されている。広く可視光領域をカバーする発光特性を持つことから、目視では、白色の光に見える。
(LED照射装置)
次に、試験例1の黄化誘導実験を植物の脱黄化又は緑化促進装置を用いて行った。植物の脱黄化又は緑化促進装置として、図7(a)に示される光照射試験用の灯具であるLED照射装置11を使用した。LED照射装置11は、調光ユニット付きLEDスタンド12(植物研究用任意波長選択可能LED基盤スタンド;オプトコード社製、型式:LEDFLEX−STND100)に上記任意の光色を生じる砲弾型高輝度LED素子13が実装されている。このLED照射装置11には、100個の砲弾型高輝度LED素子13を実装することができる。
次に、試験例1の黄化誘導実験を植物の脱黄化又は緑化促進装置を用いて行った。植物の脱黄化又は緑化促進装置として、図7(a)に示される光照射試験用の灯具であるLED照射装置11を使用した。LED照射装置11は、調光ユニット付きLEDスタンド12(植物研究用任意波長選択可能LED基盤スタンド;オプトコード社製、型式:LEDFLEX−STND100)に上記任意の光色を生じる砲弾型高輝度LED素子13が実装されている。このLED照射装置11には、100個の砲弾型高輝度LED素子13を実装することができる。
まず、室温23℃、湿度80%以上に設定した暗室内にLED照射装置11とプラスチック容器14内で発芽させた植物試料15を配置した。次に、UV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光の各LED光をそれぞれ2mW/cm2の照射強度で黄化状態の植物試料15に到達するよう、小型光ファイバースペクトロメータで得た実測値に基づき調整しながら、黄化誘導実験を行った。
例えば、図7(a)においては、プラスチック容器14内の寒天培地上で発芽をさせたMicro−Tomトマト黄化芽生えに対して、高輝度LED光である緑色光の照射を行っている。図7(b)は、2mW/cm2の緑色光(発光極大、525nm)を12時間連続で照射し、脱黄化したMicro−Tomトマト芽生えの写真を例示する。図7(b)に示される照射試験では、LED光照射により脱黄化した芽生え21は、子葉22、胚軸23、及び根24からなり、子葉22の緑化が誘導されていることが確認される。尚、芽生えの栽培に用いた植物栽培用のプラスチック容器14は、光透過性は90%以上あることを確認している。したがって、同じ素材で成型された容器の蓋を被せた状態でもLED光照射による緑化が可能であるが、試験例1では、照射時には蓋を外した。
試験例1では、LED光照射によるMicro−Tomトマト幼植物の子葉の脱黄化の指標として(A)目視による観察、(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析、(C)色素抽出液の3次元蛍光スペクトル解析を実施した。
(A−1)目視による観察(3時間照射)
まず、Micro−Tomトマトの黄化芽生えに対し、UV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光をそれぞれ3時間照射した。次に各照射後の試料及び対照実験として同じ時間無照射条件で放置した試料は、すぐに液体窒素で凍結した。尚、凍結試料の一部を色素抽出実験に用いた。
まず、Micro−Tomトマトの黄化芽生えに対し、UV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光をそれぞれ3時間照射した。次に各照射後の試料及び対照実験として同じ時間無照射条件で放置した試料は、すぐに液体窒素で凍結した。尚、凍結試料の一部を色素抽出実験に用いた。
凍結試料を用い、目視による脱黄化、即ち緑化の観察を判断した。結果を図8に示す。図8は、(1)対照試験区、(2)UV−A照射区、(3)青色光照射区、(4)緑色光照射区、(5)赤色光照射区、(6)遠赤外光照射区、(7)白色光照射区を比較している。この中で、子葉の展開が誘導され、脱黄化の兆候が目視で確認できたのは、(2)UV−A照射区と(4)緑色光照射区であった。
(A−2)目視による観察(12時間照射)
Micro−Tomトマトの黄化芽生えにUV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光をそれぞれ12時間照射した。次に、各照射後の試料及び対照実験として同じ時間無照射条件で放置した試料は、凍結処理をせずに、照射直後に目視での脱黄化の観察を行った。尚、かかる試料の一部を色素抽出実験に用いた結果を図9に示す。この中で、子葉の展開が誘導され、脱黄化の兆候が目視で確認できたのは、(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、(f)遠赤外光照射区、及び(g)白色光照射区の四つの処理区であった。
Micro−Tomトマトの黄化芽生えにUV−A、青色光、緑色光、赤色光、遠赤色光、及び白色光をそれぞれ12時間照射した。次に、各照射後の試料及び対照実験として同じ時間無照射条件で放置した試料は、凍結処理をせずに、照射直後に目視での脱黄化の観察を行った。尚、かかる試料の一部を色素抽出実験に用いた結果を図9に示す。この中で、子葉の展開が誘導され、脱黄化の兆候が目視で確認できたのは、(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、(f)遠赤外光照射区、及び(g)白色光照射区の四つの処理区であった。
(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析
試験例1の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに各処理区の子葉切片0.17gを浸漬した。そして12時間、色素の抽出処理を行った後に抽出液全量を回収した。その後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、その抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析には、分光光度計(日立ハイテク社製、型番F−3310)を使用した。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図10〜16に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図17〜23に示す。
試験例1の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに各処理区の子葉切片0.17gを浸漬した。そして12時間、色素の抽出処理を行った後に抽出液全量を回収した。その後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、その抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析には、分光光度計(日立ハイテク社製、型番F−3310)を使用した。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図10〜16に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図17〜23に示す。
図10に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図11,12に示されるように、UV−A及び青色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かであるが、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図13に示されるように、緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示す明瞭なピークが確認できる。即ち、光照射によりクロロフィルの生合成が誘導されたことを示している。図14,15に示されるように、赤色光及び遠赤色光では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図16に示されるように、白色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かにクロロフィルの存在を示すピークが確認できる。
図17に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図18,19に示されるように、UV−A及び青色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かであるが、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図20に示されるように、緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示す明瞭なピークが確認できる。即ち、光照射によりクロロフィルの生合成が誘導されたことを示している。図21,22に示されるように、赤色光及び遠赤色光では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認でき、クロロフィルの存在を示すピークも確認できる。図23に示されるように、白色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、顕著なクロロフィルの存在を示すピークが確認できる。
図10〜図23に示されるように、クロロフィルの試料の吸光スペクトル解析の結果から、トマトの黄化子葉におけるクロロフィル生合成が光を要求すること、特定の単一波長のLED光源がその要求を満たすことが確認される。また、黄化組織が光を受けることによって、カロチノイド類を増加させることが示されている。これは、本発明の条件を満たす人工光をカロチノイド類の蓄積促進に応用できることを示している。
試験例1における分光光度計を用いた吸光スペクトル解析において、Micro−Tomトマト黄化芽生えの子葉におけるLED光照射後のクロロフィルaの検出を660nmにおける吸光度の値として表1に示す。
(C)色素抽出液の3次元蛍光スペクトル解析
試験例1の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析には、分光蛍光光度計(日立ハイテク社製、型番F−4500)を使用した。
試験例1の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析には、分光蛍光光度計(日立ハイテク社製、型番F−4500)を使用した。
LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図24に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図25に示す。図24,25に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。3時間処理において顕著なクロロフィルaの蛍光が認められたのは、緑色光処理区と近赤色光処理区のみであった。12時間処理においては、対照照射区以外では、クロロフィルaの蛍光が認められた。特に顕著なクロロフィルaの蛍光が認められたのは、白色光区、緑色光区、遠赤色光区であった。
図26において、試験例1の各試料におけるクロロフィルaに特徴的な二つの蛍光極大での蛍光強度を示す。照射時間3時間及び12時間のLED光照射による励起光665nm、蛍光680nmにおける蛍光強度、及び励起光435nm、蛍光680nmにおける蛍光強度を比較した。尚、二つの蛍光極大は、クロロフィルaの生合成の誘導の指標として用いられている。図26は、(1)対照試験区、(2)UV−A照射区、(3)青色光照射区、(4)緑色光照射区、(5)赤色光照射区、(6)遠赤外光照射区、(7)白色光照射区を示している。
その結果、3時間照射の試料よりも12時間照射の試料の方が、より高濃度のクロロフィルを含むことが示された。クロロフィルaに特徴的な二つの蛍光極大を指標に、12時間照射後の試料におけるクロロフィル生合成を評価したところ、単色光源では、緑色光LEDが最もクロロフィル生合成の誘導活性が高いことが示された。白色光源も緑色光源と同程度又はそれ以上のクロロフィル生合成を誘導したことが示された。
(試験例2)
播種後、室温(23℃)暗黒下において3日間生育させたキュウリ(品種、ときわ地這)(ウリ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではキュウリ芽生えの子葉は、黄化した状態であり、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。試験例2で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。また、試験例2での植物へのLED光照射条件は、試験例1に記載の方法に従った。
播種後、室温(23℃)暗黒下において3日間生育させたキュウリ(品種、ときわ地這)(ウリ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではキュウリ芽生えの子葉は、黄化した状態であり、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。試験例2で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。また、試験例2での植物へのLED光照射条件は、試験例1に記載の方法に従った。
(A)目視による観察
試験例2では、LED光照射後のキュウリ子葉を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光3時間及び12時間照射後の試料の写真を図27,28にそれぞれ示す。図27に示されるように、(b)UV−A照射区及び(d)緑色光照射区において、顕著に脱黄化の兆候が目視で確認できた。また、(f)遠赤色光照射区及び(g)白色光照射区において、わずかに脱黄化の兆候が目視で確認できた。図28に示されるように、12時間照射後では、全ての光照射区で脱黄化の兆候が目視で確認できた。
試験例2では、LED光照射後のキュウリ子葉を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光3時間及び12時間照射後の試料の写真を図27,28にそれぞれ示す。図27に示されるように、(b)UV−A照射区及び(d)緑色光照射区において、顕著に脱黄化の兆候が目視で確認できた。また、(f)遠赤色光照射区及び(g)白色光照射区において、わずかに脱黄化の兆候が目視で確認できた。図28に示されるように、12時間照射後では、全ての光照射区で脱黄化の兆候が目視で確認できた。
(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析
試験例2の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、12時間照射後の各処理区の試料では、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに8枚の子葉片(生重量0.21〜0.27g)を浸漬した。次に12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。尚、3時間照射後の各処理区では、上記色素抽出液の調製方法において、6枚の子葉片(生重量0.18〜0.42g)を用いた点のみ相違する。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図29〜35に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図36〜42に示す。
試験例2の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、12時間照射後の各処理区の試料では、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに8枚の子葉片(生重量0.21〜0.27g)を浸漬した。次に12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。尚、3時間照射後の各処理区では、上記色素抽出液の調製方法において、6枚の子葉片(生重量0.18〜0.42g)を用いた点のみ相違する。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図29〜35に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図36〜42に示す。
また、試験例2における分光光度計を用いた吸光スペクトル解析において、キュウリの黄化芽生え子葉におけるLED光照射後のクロロフィルaの検出を660nmにおける吸光度の値として表2に示す。
図29に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図30〜35に示されるように、全測定光領域において、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図36に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図37に示されるように、UV−Aでは、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図38に示されるように、青色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かであるが、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図39に示されるように、緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示す明瞭なピークが確認できる。図40,41に示されるように、赤色光及び遠赤色光では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認でき、クロロフィルの存在を示すピークも確認できる。図42に示されるように、白色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、顕著なクロロフィルの存在を示すピークが確認できる。
(C)色素抽出液の3次元蛍光スペクトル解析
試験例2の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図43に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図44に示す。図43,44に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
試験例2の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図43に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図44に示す。図43,44に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
図45において、試験例2の各試料におけるクロロフィルaに特徴的な二つの蛍光極大での蛍光強度を示す。照射時間3時間及び12時間のLED光照射による励起光665nm、蛍光680nmにおける蛍光強度、及び励起光435nm、蛍光680nmにおける蛍光強度を比較した。図45は、(1)対照試験区、(2)UV−A照射区、(3)青色光照射区、(4)緑色光照射区、(5)赤色光照射区、(6)遠赤外光照射区、(7)白色光照射区を示している。
図43〜45に示されるように、3時間及び12時間の光照射を行うことによりUV−A照射区と緑色光照射区で強いクロロフィルaの蛍光が検出された。
(試験例3)
播種後、室温(23℃)暗黒下において4日間生育させたダイコン(品種:青首長大根 青の幸)(アブラナ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではダイコン芽生えの子葉は、黄化した状態であり、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。試験例3で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。試験例3での植物へのLED光照射条件は、試験例1に記載の方法に従った。
(試験例3)
播種後、室温(23℃)暗黒下において4日間生育させたダイコン(品種:青首長大根 青の幸)(アブラナ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではダイコン芽生えの子葉は、黄化した状態であり、脱黄化と子葉の展開には光照射が必要である。試験例3で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。試験例3での植物へのLED光照射条件は、試験例1に記載の方法に従った。
(A)目視による観察
試験例3では、LED光照射後のダイコン子葉を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光3時間及び12時間照射後の試料の写真を図46,図47にそれぞれ示す。図46に示されるように、3時間のLED光照射では、緑化の兆候を目視で確認することはできなかった。試験例1,2と比較してダイコンは、緑化誘導のための光要求量が大きいと考えられる。図47に示されるように、緑色光12時間照射区と赤色光12時間照射区において、子葉の緑化が目視で確認できた。このようにアブラナ科植物では、緑色光に加えて赤色光でも緑化誘導することが分かった。
試験例3では、LED光照射後のダイコン子葉を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光3時間及び12時間照射後の試料の写真を図46,図47にそれぞれ示す。図46に示されるように、3時間のLED光照射では、緑化の兆候を目視で確認することはできなかった。試験例1,2と比較してダイコンは、緑化誘導のための光要求量が大きいと考えられる。図47に示されるように、緑色光12時間照射区と赤色光12時間照射区において、子葉の緑化が目視で確認できた。このようにアブラナ科植物では、緑色光に加えて赤色光でも緑化誘導することが分かった。
(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析
試験例3の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに40枚の子葉片(生重量0.94〜1.75g)を浸漬した。次に12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図48〜54に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図55〜61に示す。
試験例3の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに40枚の子葉片(生重量0.94〜1.75g)を浸漬した。次に12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図48〜54に示す。また、LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図55〜61に示す。
また、試験例3における分光光度計を用いた吸光スペクトル解析において、ダイコンの黄化芽生え子葉におけるLED光照射後のクロロフィルaの検出を660nmにおける吸光度の値として表3に示す。
図48に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルのピークは確認できない。図49〜54に示されるように、全測定光領域において、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示すピークの増加が確認できる。図55に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが明瞭に確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークはほとんど確認できない。図56,58に示されるように、UV−A及び緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示すピークの増加が確認できる。図57,59,60に示されるように、青色光、赤色光、及び遠赤色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かであるが、クロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図61に示されるように、白色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、顕著なクロロフィルの存在を示すピークの増加が確認できる。
(C)色素抽出液の3次元蛍光スペクトル解析
脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。尚、本3次元蛍光スペクトル解析の試験のみ試料としてダイコン(Raphanus sativus)を用いている。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の試料の吸光スペクトル解析を図62に示す。また、LED光照射12時間後の試料の吸光スペクトル解析を図63に示す。図62,63に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。尚、本3次元蛍光スペクトル解析の試験のみ試料としてダイコン(Raphanus sativus)を用いている。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射3時間後の試料の吸光スペクトル解析を図62に示す。また、LED光照射12時間後の試料の吸光スペクトル解析を図63に示す。図62,63に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
図64において、試験例3の各試料におけるクロロフィルaに特徴的な二つの蛍光極大での蛍光強度を示す。照射時間3時間及び12時間のLED光照射による励起光665nm、蛍光680nmにおける蛍光強度、及び励起光430nm、蛍光680nmにおける蛍光強度を比較した。図64は、(1)対照試験区、(2)UV−A照射区、(3)青色光照射区、(4)緑色光照射区、(5)赤色光照射区、(6)遠赤外光照射区、(7)白色光照射区を示している。
図62,64に示されるように、3時間の光照射を行うことによりUV−A照射区、緑色光照射区、及び遠赤外光照射区で特に強いクロロフィルaの蛍光が検出された。図63,64に示されるように、12時間の光照射を行うことにより、特に緑色光照射区においてクロロフィルaの蛍光強度がさらに大きく増大した。
(試験例4)
播種後、室温(23℃)暗黒下において5日間生育させたイネ(品種:コシヒカリ)(イネ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではイネ芽生え地上部は、子葉鞘に葉身が内胞され黄化した状態であり、子葉鞘からの葉身の伸長と葉組織の脱黄化には光照射が必要である。試験例4で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。試験例4での植物へのLED光照射条件は、照射時間を12時間と24時間とした。その他の諸条件は、試験例1に記載の方法に従った。
播種後、室温(23℃)暗黒下において5日間生育させたイネ(品種:コシヒカリ)(イネ科)の幼植物に高輝度LEDによる光照射を施し、緑化試験を行った。暗黒化ではイネ芽生え地上部は、子葉鞘に葉身が内胞され黄化した状態であり、子葉鞘からの葉身の伸長と葉組織の脱黄化には光照射が必要である。試験例4で使用した光照射試験用の灯具及びLED素子は、試験例1に記載の方法に従った。試験例4での植物へのLED光照射条件は、照射時間を12時間と24時間とした。その他の諸条件は、試験例1に記載の方法に従った。
(A)目視による観察
試験例4では、LED光照射後のイネ芽生え地上部を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光12時間及び24時間照射後の試料の写真を図65,66に示す。図65に示されるように、12時間の光照射を施すことにより、(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、(e)赤色光照射区、及び(g)白色光照射区の各試料で子葉鞘からの葉身の伸長と葉組織の緑化の兆候が確認できる。図66に示されるように、24時間の光照射を施すことにより、特に(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、及び(g)白色光照射区の各試料で葉身の伸長が著しいことが確認された。
試験例4では、LED光照射後のイネ芽生え地上部を対象に目視による脱黄化、即ち緑化の観察を行った。LED光12時間及び24時間照射後の試料の写真を図65,66に示す。図65に示されるように、12時間の光照射を施すことにより、(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、(e)赤色光照射区、及び(g)白色光照射区の各試料で子葉鞘からの葉身の伸長と葉組織の緑化の兆候が確認できる。図66に示されるように、24時間の光照射を施すことにより、特に(b)UV−A照射区、(d)緑色光照射区、及び(g)白色光照射区の各試料で葉身の伸長が著しいことが確認された。
(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析
試験例4の試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに20個体の芽生え地上部(生重量0.53〜1.04g)を浸漬した。次に、12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図67〜73に示す。また、LED光照射24時間後の各試料の各吸光スペクトル解析を図74〜80に示す。
試験例4の試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を分光光度計を用いた吸光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、まず5℃の暗黒条件下で2mLのジメチルホルムアミドに20個体の芽生え地上部(生重量0.53〜1.04g)を浸漬した。次に、12時間後に抽出液全量を回収後、新たに2mLのジメチルホルムアミドを加え、12時間静置後、抽出液を回収した。2回の抽出過程で回収した抽出液を混合し、全量4mLの抽出液を吸光度解析に用いた。色素の吸光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図67〜73に示す。また、LED光照射24時間後の各試料の各吸光スペクトル解析を図74〜80に示す。
また、試験例4における分光光度計を用いた吸光スペクトル解析において、イネ芽生え地上部におけるLED光照射後のクロロフィルaの検出を660nmにおける吸光度の値として表4に示す。
図67に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは、認められない。図68,70に示されるように、UV−A及び緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示す顕著なピークが確認できる。図69に示されるように、青色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、僅かながらクロロフィルの存在を示すピークも確認できる。図71〜73に示されるように、赤色光、遠赤色光、及び白色光では、カロチノイド類の存在を示すピーク及びクロロフィルの存在を示すピークが確認できる。図74に示されるように、光照射がない条件では、カロチノイド類の存在を示すピークは確認できるが、クロロフィルの存在を示すピークは確認できない。図75に示されるように、UV−Aでは、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示すピークの顕著な増加が確認できる。図76に示されるように、青色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルのピークが確認できる。図77に示されるように、緑色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、クロロフィルの存在を示す明瞭なピークが確認できる。図78,79に示されるように、赤色光及び遠赤色光では、カロチノイド類の存在を示すピークが確認でき、僅かであるがクロロフィルのピークも確認できる。図80に示されるように、白色光では、カロチノイド類の存在を示すピークに加えて、顕著なクロロフィルの存在を示す明瞭なピークの増加が確認できる。
(C)色素抽出液の3次元蛍光スペクトル解析
試験例4の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図81に示す。また、LED光照射24時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図82に示す。図81,82に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
試験例4の各LED光照射試料から色素を抽出し、脱黄化の指標であるクロロフィルの生合成の有無を、分光蛍光光度計を用いた3次元蛍光スペクトル解析により検証した。色素抽出液の調製方法は、上記(B)色素抽出液の吸光スペクトル解析欄記載の方法に従った。色素の3次元蛍光スペクトル解析は、試験例1に記載の方法に従った。LED光照射12時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図81に示す。また、LED光照射24時間後の各試料の吸光スペクトル解析を図82に示す。図81,82に示される各グラフにおいて、縦軸が励起光波長(Ex:250〜700nm)、横軸が蛍光波長(Em:300〜750nm)、等高線が蛍光強度(rfu)を示す。
図83において、試験例4の各試料におけるクロロフィルaに特徴的な二つの蛍光極大での蛍光強度を示す。照射時間12時間及び24時間のLED光照射による励起光665nm、蛍光680nmにおける蛍光強度、及び励起光435nm、蛍光680nmにおける蛍光強度を比較した。図83は、(1)対照試験区、(2)UV−A照射区、(3)青色光照射区、(4)緑色光照射区、(5)赤色光照射区、(6)遠赤外光照射区、(7)白色光照射区を示している。
12時間の光照射後において、UV−A照射区が最も高いクロロフィル蛍光を示した。次いで、緑色光照射区が高いクロロフィル蛍光を示した。尚、図81の12時間照射の対照試験区は、後日再試験において、励起光435nmで蛍光680nmにおける蛍光強度が再現性のある15以下であることを確認している。24時間連続照射後において、UV−A照射区、緑色光照射区、及び白色光照射区においてクロロフィル蛍光がそれぞれ5倍以上に増加した。
以上により、上記試験例における結果より、LEDによる遠赤色光照射、緑色光照射及び紫外光照射で誘導した幼植物の脱黄化は、既知の光受容体を介したメカニズムによらない新規のメカニズムである可能性も内包される。
つまり、従来より、光応答モデル植物であるシロイヌナズナを用いた研究により、脱黄化を制御する光受容体としてクリプトクロムを介する反応の関与が示唆されている(非特許文献2参照)。しかしながら、クロプトクロムの関与という知見から予測される効果は一般に青色光であり、UV−Aを含む紫外部の光による脱黄化又は緑化についての報告はない。一方、例えば試験例4に示されるように、青色光による脱黄化又は緑化促進作用は他の光源(例えばUV−A)に対し劣ることを確認している。したがって、非特許文献2に開示されるような、既知の青色光を効率よく吸収するクリプトクロムによる制御機構では、今回の本知見を説明することはできない。したがって、本実施例において、LED光源を用いて実証したUV−Aによる脱黄化の誘導機構は、クリプトクロムを介したものではないと結論することができる。
また、非特許文献3に開示されるように、フィトクロムの効果に関し、クロロフィル生合成に対して阻害の方向に働くという報告がなされている。本試験例1〜試験例4において示されるように、黄化幼植物に対する遠赤色光による脱黄化の効果は、既知の遠赤色光の受容体であるフィトクロムを介した応答反応とは異なる新規の知見である可能性を示唆している。
(試験例5)
Micro−Tomトマトについて、クロロフィルの生合成経路における生合成経路最後のクロロフィルbまで活性させる光の作用について、光の波長を変えることにより評価した。
Micro−Tomトマトについて、クロロフィルの生合成経路における生合成経路最後のクロロフィルbまで活性させる光の作用について、光の波長を変えることにより評価した。
(A)クロロフィルa/bの含有量の比率の測定(波長365〜735nm)
播種後、室温(23℃)暗黒下で5日間生育させたMicro−Tomトマトの黄化芽生えに対し、UV−A(ピーク発光波長(λp):365nm)、青色光(λp:430nm)、緑色光(λp:525nm)、赤色光(λp:660nm)、遠赤色光(λp:735nm)、及び白色光をそれぞれ照射強度2mW/cm2で12時間照射した。光照射後の黄化芽生えから子葉部分を切り取り、褐色バイアルに入れたジメチルホルムアミド3mLに浸し、暗黒下4℃で48時間色素抽出を行った。その他の試験条件は、試験例1に従った。
播種後、室温(23℃)暗黒下で5日間生育させたMicro−Tomトマトの黄化芽生えに対し、UV−A(ピーク発光波長(λp):365nm)、青色光(λp:430nm)、緑色光(λp:525nm)、赤色光(λp:660nm)、遠赤色光(λp:735nm)、及び白色光をそれぞれ照射強度2mW/cm2で12時間照射した。光照射後の黄化芽生えから子葉部分を切り取り、褐色バイアルに入れたジメチルホルムアミド3mLに浸し、暗黒下4℃で48時間色素抽出を行った。その他の試験条件は、試験例1に従った。
得られた色素抽出液について、高速液体クロマトグラフィー(ウォーターズアライメンスPDAシステム高速液体クロマトグラフ,ウォーターズ,USA)を用いて色素抽出液中のクロロフィルa,bの定量を行った。
分析機器はHPLC(Waters 2690 Separations Module, Waters, USA)、カラム(Inertsil ODS-80A, GL Science, USA)蛍光検出器(Waters 474Scanning Fluorescence Detector, Waters, USA)を用いた。HPLC解析では、A液(1M酢酸アンモニウム:80%メタノール=1:4(v/v))とB液(アセトン:メタノール、1:4(v/v))の2種類の溶離液を流速1.0mL/minで流した。開始15分間A液からB液へ、その後5分間B液、そして2分間A液に戻して、最後の8分間A液を流し続けた。クロロフィルの蛍光検出波長はEX:430nm:EM:660nmにした。
各照射波長におけるクロロフィルa/bの含有量の比率の結果を図84に示す。図84に示されるように、緑色光(λp:525nm)を照射した場合に、クロロフィルa/bの含有量の比率が低いことが確認された。通常、成熟した葉では、クロロフィルa/bの含有量の比率が2〜3程度を示す。緑色光(λp:525nm)を照射した場合に、最終産物であるクロロフィルbまでのクロロフィル合成経路を最も活性させることが確認された。
(B)クロロフィルa/bの含有量の測定(波長420〜545nm)
上記試験結果より、緑色光に関し、さらに青色光領域を含むλpが420nm、430nm、450nm、470nm、490nm、505nm、525nm、及び545nmの単一波長のLED光源を用いて試験を行った。各波長の光をそれぞれ照射した後、クロロフィルa/bの含有量を求めた。その他の試験条件については、上記(A)欄に記載の方法に従った。
上記試験結果より、緑色光に関し、さらに青色光領域を含むλpが420nm、430nm、450nm、470nm、490nm、505nm、525nm、及び545nmの単一波長のLED光源を用いて試験を行った。各波長の光をそれぞれ照射した後、クロロフィルa/bの含有量を求めた。その他の試験条件については、上記(A)欄に記載の方法に従った。
各照射波長におけるクロロフィルa/bの含有量の結果を図85に示す。図85に示されるように、505nm及び525nmにおいて最もクロロフィルbの含有量が高いことが確認された。505nm及び525nmにおけるクロロフィルa/bの含有量の比率は約2.5であった。その他の波長におけるクロロフィルa/bの含有量の比率は3以上であった。以上の結果より、緑色光を照射した場合にクロロフィルbまでのクロロフィル合成経路を最も活性させることが確認された。
(試験例6)
Micro−Tomトマトについて、緑色光(λp:525nm)を用い、照射強度を変えた場合のクロロフィルa及びbの含有量を測定した。
Micro−Tomトマトについて、緑色光(λp:525nm)を用い、照射強度を変えた場合のクロロフィルa及びbの含有量を測定した。
照射強度は、0mW/cm2(コントロール)、0.75mW/cm2、1.5mW/cm2、3mW/cm2、6mW/cm2、及び12mW/cm2の条件を採用した。照射時間は3時間と12時間で行った。その他の条件は、試験例5に記載の方法に従った。3時間照射した結果を図86に、12時間照射した結果を図87に示す。
図86に示されるように、照射時間3時間においては、照射強度を上げてもクロロフィルaの含有量に変化は見られなかった。また、クロロフィルbは検出されなかった。図87に示されるように、照射時間12時間においては、照射強度を上げることによりクロロフィルa及びb共に含有量が増加していくことが確認された。クロロフィル合成経路の活性化には、ある程度の照射時間が必要であることが確認された。
(試験例7)
ダイコン(Raphanus sativus)について、クロロフィルの生合成経路における生合成経路最後のクロロフィルbまで活性させる光の作用について、光の波長を変えることにより評価した。
ダイコン(Raphanus sativus)について、クロロフィルの生合成経路における生合成経路最後のクロロフィルbまで活性させる光の作用について、光の波長を変えることにより評価した。
(A)クロロフィルa/bの含有量の比率の測定(波長365〜735nm)
播種後、室温(23℃)暗黒下で4日間生育させたダイコンの黄化芽生えに対し、UV−A(ピーク発光波長(λp):365nm)、青色光(λp:430nm)、緑色光(λp:525nm)、赤色光(λp:660nm)、遠赤色光(λp:735nm)、及び白色光をそれぞれ照射強度2mW/cm2で12時間照射した。光照射後の黄化芽生えから子葉部分を切り取り、褐色バイアルに入れたジメチルホルムアミド3mLに浸し、暗黒下4℃で48時間色素抽出を行った。
播種後、室温(23℃)暗黒下で4日間生育させたダイコンの黄化芽生えに対し、UV−A(ピーク発光波長(λp):365nm)、青色光(λp:430nm)、緑色光(λp:525nm)、赤色光(λp:660nm)、遠赤色光(λp:735nm)、及び白色光をそれぞれ照射強度2mW/cm2で12時間照射した。光照射後の黄化芽生えから子葉部分を切り取り、褐色バイアルに入れたジメチルホルムアミド3mLに浸し、暗黒下4℃で48時間色素抽出を行った。
得られた色素抽出液について、HPLCを用いて色素抽出液中のクロロフィルa,bの定量を行った。カラムは、Asahipac ODS-50 column(Showa Denko)を使用した。その他の試験条件は、試験例5に従った。
各照射波長におけるクロロフィルa/bの含有量の比率の結果を図88に示す。図88に示されるように、緑色光(λp:525nm)を照射した場合に、クロロフィルa/bの含有量の比率が低いことが確認された。通常、成熟した葉では、クロロフィルa/bの含有量の比率が2〜3程度を示す。緑色光(λp:525nm)を照射した場合に、最終産物であるクロロフィルbまでのクロロフィル合成経路を最も活性させることが確認された。
(B)クロロフィルa/bの含有量の測定(波長420〜545nm)
上記試験結果より、緑色光に関し、さらに青色光領域を含むλpが420nm、430nm、450nm、470nm、490nm、505nm、525nm、及び545nmの単一波長のLED光源を用いて試験を行った。各波長の光をそれぞれ照射した後、クロロフィルa/bの含有量を求めた。その他の試験条件は上記(A)欄と同様に行った。
上記試験結果より、緑色光に関し、さらに青色光領域を含むλpが420nm、430nm、450nm、470nm、490nm、505nm、525nm、及び545nmの単一波長のLED光源を用いて試験を行った。各波長の光をそれぞれ照射した後、クロロフィルa/bの含有量を求めた。その他の試験条件は上記(A)欄と同様に行った。
各照射波長におけるクロロフィルa/bの含有量の結果を図89に示す。図89に示されるように、470nm及び525nmにおいてクロロフィルbの含有量が高いことが確認された。525nmにおけるクロロフィルa/bの含有量の比率は約2.5であった。その他の波長におけるクロロフィルa/bの含有量の比率は3以上であった。以上の結果より、ダイコンの芽生えにおいて、光合成にほとんど利用されていないとされる緑色光(525nm)を照射した場合に最終産物であるクロロフィルbまでのクロロフィル合成経路を最も活性させることが確認された。
尚、470nmにおいてクロロフィルaの合成が盛んであったことから、470nm付近の光を照射した後、緑色の光を照射することにより、より効率的な脱黄化又は緑化が期待される。
(試験例8)
ダイコン(Raphanus sativus)について、緑色光(λp:525nm)を用い、照射強度を変えた場合のクロロフィルa及びbの含有量を測定した。
ダイコン(Raphanus sativus)について、緑色光(λp:525nm)を用い、照射強度を変えた場合のクロロフィルa及びbの含有量を測定した。
照射強度は、0mW/cm2(コントロール)、0.75mW/cm2、1.5mW/cm2、3mW/cm2、6mW/cm2、及び12mW/cm2の条件を採用した。照射時間は3時間と12時間で行った。その他の条件は、試験例7に記載の方法に従った。3時間照射した結果を図90に、12時間照射した結果を図91に示す。
図90に示されるように、照射時間3時間においては、照射強度を上げてもクロロフィルaの含有量に変化は見られなかった。また、クロロフィルbは検出されなかった。図91に示されるように、照射時間12時間においては、照射強度を上げることによりクロロフィルa及びb共に含有量が増加していくことが確認された。クロロフィル合成経路の活性化には、ある程度の照射時間が必要であることが確認された。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする植物のクロロフィル又はカロチノイド類の増強方法。したがって、この(a)に記載の発明によれば、クロロフィル又はカロチノイド類の含有量を増加させ、植物の栄養価をより高めることができる。
(a)黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする植物のクロロフィル又はカロチノイド類の増強方法。したがって、この(a)に記載の発明によれば、クロロフィル又はカロチノイド類の含有量を増加させ、植物の栄養価をより高めることができる。
11…LED照射装置、12…調光ユニット付きLEDスタンド、13…砲弾型高輝度LED素子、15…植物試料、21…芽生え、22…子葉。
Claims (12)
- 黄化状態にある又は緑化途上にある植物体、植物組織、及び植物細胞から選ばれる少なくとも一種の植物に、人工光源として紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射することを特徴とする植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 前記紫外領域の光は、波長が100nm〜280nmの範囲のUV−C領域の光、波長が280nm〜315nmの範囲のUV−B領域の光、波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光から選ばれる少なくとも一種であり、
前記クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光は、波長が480nm〜490nmの緑青色の光、490nm〜500nmの青緑色の光、500nm〜560nmの緑色の光、560nm〜580nmの黄緑色の光、580nm〜595nmの黄色の光、及び595nm〜605nmの橙色の光から選ばれる少なくとも一種であり、
前記遠赤色領域の光は、波長が700nm〜800nmの範囲の光であることを特徴とする請求項1に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。 - 前記植物は、アブラナ科、キク科、アカザ科、マメ科、タデ科、ナス科、ウリ科、及びイネ科から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 前記植物は、幼植物、スプラウト、ベビーリーフ、及び苗から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 前記光成分は、波長が315nm〜400nmの範囲のUV−A領域の光、及び波長500nm〜560nmの緑色の光から選ばれる少なくとも一種を主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 前記植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィル又はカロチノイド類の生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 前記光成分は、波長500nm〜560nmの緑色の光を主成分とし、
前記植物の脱黄化又は緑化促進は、植物細胞内におけるクロロフィルa又はクロロフィルbの生合成誘導、生合成促進、及び含有量の増加から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。 - 前記植物は、リンゴ、洋ナシ、マスカット、メロン、トマト、及びキュウリから選ばれる少なくとも一種であって、光照射部位は果実部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法。
- 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の植物の脱黄化又は緑化促進方法を実施するための植物の脱黄化又は緑化促進装置であって、紫外領域の光、クロロフィルの吸収波長であるB帯とQ帯に挟まれた範囲の可視領域の光、及び遠赤色領域の光から選ばれる少なくとも一種類を主成分とする光成分を照射するための人工光源を備えてなることを特徴とする植物の脱黄化又は緑化促進装置。
- 前記人工光源は、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱電球、蛍光灯、アーク灯、無電極放電灯、低圧放電灯、冷陰極型蛍光管、外部電極型蛍光管、エレクトロルミネセンスライト及びHIDランプ、並びにプリズム又は光学フィルタを介する光源から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項9に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置。
- 前記植物の脱黄化又は緑化促進装置は、圃場、温室、植物工場、貯蔵設備、搬送車、及び陳列棚から選ばれる少なくとも一種に設けられることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置。
- 前記植物の脱黄化又は緑化促進装置は、完全人工光源型の植物工場に適用されることを特徴とする請求項11に記載の植物の脱黄化又は緑化促進装置。
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