JP2007089445A - 植物体栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体や植物の遺伝子に影響を与えることがない安全な光を照射して、植物体の表面細胞内に植物色素の生成を誘起する。
【解決手段】暗所でスプラウトを栽培して黄化スプラウトを得る。栽培された黄化スプラウトに対して、青色光(420〜490nm)またはUV−A紫外光(320〜400nm)の波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードで植物体の表面細胞を照射して、表面細胞内に植物色素の生成を誘起させて赤色化する。光照射の明暗期時間は、1×104 〜9×104 秒にする。
【選択図】なし
【解決手段】暗所でスプラウトを栽培して黄化スプラウトを得る。栽培された黄化スプラウトに対して、青色光(420〜490nm)またはUV−A紫外光(320〜400nm)の波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードで植物体の表面細胞を照射して、表面細胞内に植物色素の生成を誘起させて赤色化する。光照射の明暗期時間は、1×104 〜9×104 秒にする。
【選択図】なし
Description
本発明は、植物体内でアントシアニン等の色素を誘起し表面細胞を赤色化した植物を栽培する植物体栽培方法に関するものである。
植物の育成・栽培方法として、太陽光を利用する従来の露地栽培や施設園芸とともに、近年人工光源を用いて、施設内で高度に環境制御しながら周年栽培するシステムが実用化されつつある。また、太陽光と人工光源との併用により、植物を栽培する方法も研究されている。
人工光源として、従来より、白熱電灯、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等が利用されているが、いずれも放射光に熱線を含むため、植物への近接照射ができないこと、冷却水を必要とすること、施設内温度制御に経費がかかること等の問題を有している。
この改善策として、発光ダイオードを用いる植物栽培法が注目されている。発光ダイオードは熱線を放出しないことから、植物への近接照射が可能であり、ランプからの発熱量も低く、施設内の温度制御が効率的である。また、電球と比較して消費電力は5分の1以下、寿命は10倍以上であることから、経済性が高いという利点がある。
植物に対する光の作用は、光合成に必要なエネルギーを供給することと、植物の生長・形態形成を制御するシグナルを与えることである。したがって、供給される光の波長とエネルギーの強さ、ならびに、明暗期時間は、植物の生長促進や形態形成に著しい影響を及ぼす因子であると考えられるため、発光ダイオードは、植物体への光環境ストレスの条件設定に最適なランプ特性を有するものである(非特許文献1参照)。
蕎麦のスプラウト栽培(植物が発芽したのち子葉を展開し、本葉を形成する前までの生長段階を、スプラウト、新芽、カイワレなどという。)では、スプラウト胚軸部に赤みを持たせることは、彩り野菜として付加価値を高めることから、安定な品質として供給できる赤色化技術が求められている。しかし、露地栽培や施設園芸では、温度、湿度、太陽光の成分や強度の変化により品質が安定化できない問題を抱えている(特許文献1参照)。
同様に、紅タデのスプラウトの胚軸部の赤色化や、植物色素を生産できる植物のスプラウトの胚軸部や子葉部の赤みを増加させる栽培技術は確立されていない。
リンゴ果実の着色に及ぼす紫外光(UV−B:290〜320nmの波長領域の光)を含む白色蛍光灯の照射効果に関する研究があるが、発光ダイオードを用いた研究はなされていない(非特許文献2参照)。
高地に生育する蕎麦は、代表的な植物色素であるアントシアニンを豊富に含み、赤花を咲かせることが知られている。例えば、ヒマラヤや中国雲南省の高地では、赤花蕎麦が収穫される。これらの蕎麦の種子を高度の低い平地に播種すると、高地で開花した場合に比べて色あせた赤花を咲かせることが多く、高地特有の環境ストレスによる赤色化促進効果が存在すると考えられている。一般に、高地における紫外線被曝量は高度の低い平地よりも多いことから、紫外線による生体損傷を自己防御する作用により赤みが出現するのではないかと推定されている。
特開2005一151850公報
後藤英司,第13回SHITAシンポジウム講演要旨集,22-39(2003)
渡辺慶一,G.Stephen Lawes,David J.Woo11ey,植物工場学会誌,11,288-293(1999)
UV−B領域の紫外線は、植物体に光環境ストレスを与えることにより、植物体の表面細胞に赤みを発現させる効果を有するという研究結果が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、UV−Bは、人体に皮膚癌を引き起こす有害な光であることが、光医学分野の研究により実証されている。したがって、植物体へのUV−Bの使用は、植物体遺伝子の損傷を引き起こす可能性が極めて高いため、食の安全性確保の観点からも農業技術への応用は回避されるべきであり、人体にも植物体にも安全性が担保できる光技術開発が必要である。本発明は、短波長であって、UV−B波長領域よりも安全性が非常に高い長波長側の光波長領域を使用するものである。さらに、植物の明暗期応答性を利用する方法によって、より効率よく植物体表面に赤みを発現させることで、この問題点を解決しようとするものである。
本発明は、暗所でスプラウトを栽培する黄化スプラウト栽培工程と、栽培された黄化スプラウトに対して、320〜490nmの波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードで植物体の表面細胞を照射して、表面細胞内に植物色素の生成を誘起させて赤色化する赤色化栽培工程を有することを特徴とするものである。
近年UV−Aには、DNA損傷を引き起こす作用がないため、皮膚癌を誘発する心配がないことが光医学分野の研究で報告されている。したがって、青色光(420〜490nm)やUV−A(320〜400nm)領域に放射スペクトル有する発光ダイオードなど、320〜490nmの波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードを使用すれば、人体にも植物体DNAにも損傷を与えることはない。しかしながら、光エネルギーが弱いことから、植物体に強い光環境ストレスを与えることは困難であると予想される。そこで、植物の明暗期応答性と光強度に対する応答性を利用して、植物内アントシアニン生合成を効率よく誘起し、また、同時に、植物表面細胞内の液胞内酸性度を低下させることにより、比較的エネルギーの弱い光を照射しても、再現性よく植物細胞表面に赤みを発現させることができる。
植物体への赤み色素発現技術は、発癌抑制作用や血圧効果作用を有するとされる機能性栄養成分として知られるアントシアニンの増量に繋がるものである。さらに、彩り野菜として、赤みを有する野菜は、青白野菜よりも付加価値が高く、栽培野菜の商品価値が増大するという効果もある。
本発明の植物体栽培方法は、まず、暗所でスプラウトを栽培して黄化スプラウトを栽培する。この工程では、特に、光源を必要としないので、経済的に有利である。次に、栽培された黄化スプラウトに対して、320〜490nmの波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードで植物体の表面細胞を照射する。短波長の光を植物体の表面細胞に照射することによって、植物表面細胞内におけるアントシアン生合成を促進するとともに、細胞液内酸性度を低下させて細胞液を赤色化する。
以下に、発光ダイオードを用いて、蕎麦スプラウトの胚軸部表面に赤み発現を引き起こす方法の実施例を説明する。
発光ダイオードは、40cm×40cmのパネルに36×42=1512個の発光ダイオードを配置したものであり、紫外光発光ダイオード、青色光発光ダイオード、緑色光発光ダイオード、赤色光発光ダイオード、遠赤色発光ダイオードを光源として用いたものは、それぞれ、1512個の発光ダイオードの100%が紫外光発光ダイオード、青色光発光ダイオード、緑色光発光ダイオード、赤色光発光ダイオード、遠赤色光発光ダイオードであるパネルを用いたものである。
これら発光ダイオードの駆動において、点灯と消灯を繰り返して、明の状態と暗の状態を繰り返した。明と暗のそれぞれを同じ時間とし、これを明暗期時間と呼ぶことにする。青色光発光ダイオードについては、種々の明暗期時間で照射をして栽培を行なったが、赤色光発光ダイオード、遠赤色光発光ダイオード,緑色光発光ダイオードについては、明暗期時間を12時間とした栽培だけを行なった。光照射強度は、いずれも約130μmol/m2 /sとした。明暗期時間が12時間とした場合は、12時間連続照射をして12時間光を遮断することに相当する。
光照射用のサンプルを準備するために、まず、暗所で蕎麦のスプラウトを栽培した。暗所条件下で栽培したスプラウトの胚軸は青白く、全く赤みをもたない。このようなスプラウトを黄化スプラウトと呼ぶ。黄化スプラウトに青色光発光ダイオードを照射した後、表面赤色度変化を測定する方法、ならびに、胚軸部で生成したアントシアニン量を分析する方法は、以下のとおりである。
(1)蕎麦の種子を水洗した後、雑菌処理のため、殺菌水に24時間浸漬した。
(2)殺菌水を除去したのち、再生紙製の育苗カップ(開ロ部5cm四方,高さ5cm)に播種した。
(3)市販の植物育成装置内に育苗カップを並べ、温度20℃、湿度80%、二酸化炭素濃度約1500ppmの条件下で、適度に水のみを供給しながら光を遮断した暗所で、黄化スプラウトを栽培した。
(4)播種後7〜12日目に、草丈10〜14cmの黄化スプラウトを収穫した。
(5)市販の植物育成装置内に、上述の(1)〜(4)の方法で栽培した黄化スプラウトを並べ、青色光発光ダイオード(日亜化学製NSPB320BS;中心波長470nm)を用いて照射を行なった。光の照射によって、子葉は緑色を呈し、胚軸は全体にわたって赤色化された。
(6)同様にして、収穫した黄化スプラウトに対して、100%遠赤色光発光ダイオード(エピテックス製L735−36AU;中心波長735nm)、100%赤色光発光ダイオード(シャープ製GL3UR8;中心波長660nm)、100%緑色光発光ダイオード(日亜NSPG320BS;中心波長525nm)をそれぞれ用いて、照射を行なった。これらの照射によっても、子葉は緑色を呈し、胚軸は赤色化された。
(7)照射後、アントシアニンの生合成反応が定常に達するのを待つため、いずれも、引き続き遮光した条件下で48時間放置した。
(8)スプラウト胚軸表面の物体色は、ミノルタ製色彩輝度計を使用してL* a* b* 表示法により測定した。
(9)胚軸部に含まれるアントシアニン全量を決定するため、新鮮重量1gの胚軸を1%塩酸−メタノール溶液10ml中で3時間還流し、アントシアニンを抽出した。島津製作所製紫外可視吸収スペクトル装置を用いてアントシアニンの吸収スペクトルを測定し、513nmにおける吸収強度からアントシアニン濃度を決定した。
(1)蕎麦の種子を水洗した後、雑菌処理のため、殺菌水に24時間浸漬した。
(2)殺菌水を除去したのち、再生紙製の育苗カップ(開ロ部5cm四方,高さ5cm)に播種した。
(3)市販の植物育成装置内に育苗カップを並べ、温度20℃、湿度80%、二酸化炭素濃度約1500ppmの条件下で、適度に水のみを供給しながら光を遮断した暗所で、黄化スプラウトを栽培した。
(4)播種後7〜12日目に、草丈10〜14cmの黄化スプラウトを収穫した。
(5)市販の植物育成装置内に、上述の(1)〜(4)の方法で栽培した黄化スプラウトを並べ、青色光発光ダイオード(日亜化学製NSPB320BS;中心波長470nm)を用いて照射を行なった。光の照射によって、子葉は緑色を呈し、胚軸は全体にわたって赤色化された。
(6)同様にして、収穫した黄化スプラウトに対して、100%遠赤色光発光ダイオード(エピテックス製L735−36AU;中心波長735nm)、100%赤色光発光ダイオード(シャープ製GL3UR8;中心波長660nm)、100%緑色光発光ダイオード(日亜NSPG320BS;中心波長525nm)をそれぞれ用いて、照射を行なった。これらの照射によっても、子葉は緑色を呈し、胚軸は赤色化された。
(7)照射後、アントシアニンの生合成反応が定常に達するのを待つため、いずれも、引き続き遮光した条件下で48時間放置した。
(8)スプラウト胚軸表面の物体色は、ミノルタ製色彩輝度計を使用してL* a* b* 表示法により測定した。
(9)胚軸部に含まれるアントシアニン全量を決定するため、新鮮重量1gの胚軸を1%塩酸−メタノール溶液10ml中で3時間還流し、アントシアニンを抽出した。島津製作所製紫外可視吸収スペクトル装置を用いてアントシアニンの吸収スペクトルを測定し、513nmにおける吸収強度からアントシアニン濃度を決定した。
このように、黄化スプラウトの栽培が暗所で行なわれるので、エネルギ経済の面から有利な栽培方法である。なお、本明細書でいう暗所とは、外光を含め光を遮蔽した暗黒状態に限られるものではなく、漏れ光や、栽培管理等のためにオペレータが行動するための照明光等があってもよいものである。
実験結果について説明する。図1,図2は、青色光発光ダイオードについて、種々の明暗期時間で照射をして栽培を行なった結果を示すものである。黄化スプラウトに青色光を照射すると、明暗期時間12時間程度(4.3×104 秒)の場合に、最も胚軸表面が赤色化し、明暗期時間10分(6×102 秒)程度が、もっとも赤み発現の程度が低いことがわかった。植物の光応答反応は、明期における光吸収により反応が開始され、続いて暗反応が進行する。暗反応が完結するのに必要な時間は、個々の反応により異なると推察されるが、胚軸表面上に赤みを発現させる本反応には、長時間の明暗期設定が効果的であることが確認された。なお、図1では、暗所で栽培した黄化スプラウトの赤色度を「○」で示し、そのスプラウトに対して、青色光を照射した後、アントシアニンの生合成反応が定常に達した状態でのスプラウトの赤色度を、その「○」と同じ明暗期時間にある「●」で示している。したがって、明暗期時間を、1×104 〜9×104 秒とすると、有効に黄化スプラウトを赤色化できることがわかった。
一方、図2に示すように、スプラウト内で生成されるアントシアニン全量は、明暗期時間に関わらず、光照射によりほぼ同程度であることがわかる。図2でも、暗所で栽培した黄化スプラウトの赤色度を「□」で示し、そのスプラウトに対して、青色光を照射した後、アントシアニンの生合成反応が定常に達した状態でのスプラウトのアントシアニン量を、その「□」と同じ明暗期時間にある「■」で示している。図2から、光照射により、黄化スプラウトに含まれるアントシニン全量より増加しているが、胚軸表面の赤色度に関わらず、光照射によるアントシアニン量の増加量はほぼ一定であったということができる。
青色光発光ダイオード、ならびに、赤色光発光ダイオード,赤色光発光ダイオード,緑色光発光ダイオードを用いた場合での比較を行なった結果を図3,図4に示す。上述したように、照射条件は、温度20℃、湿度80%、二酸化炭素濃度約1500ppm、明暗期時間12時間、光照射強度約130μmol/m2 /sである。図3,図4において、4点の波長は、470nm(青色光),525nm(緑色光),660nm(赤色光),735nm(遠赤色光)である。図3から、胚軸表面細胞に赤色化を誘起するのに効果的な発光ダイオードは、短波長側に光放射スペクトル領域を有する青色光発光ダイオードであることがわかった。アントシアニン量についても、図4から、同様に、短波長側に光放射スペクトル領域を有する青色光発光ダイオードであることがわかった。
また、図1および図3から、最もスプラウト胚軸表面細胞に赤色化をもたらすことができる条件、すなわち、温度20℃、湿度80%、二酸化炭素濃度約1500ppmに設定した条件下では、青色光発光ダイオードの発光時間間隔を、12時間(12時間連続点灯し、12時間連続して消灯する。)に設定する条件で、スプラウトに照射する光強度の効果を測定した。その結果、光強度を低下させると胚軸表面の赤色度も低下することから、植物体に損傷を与えない範囲でより強度の高い青色光を照射することが効果的であることがわかった。したがって、青色光よりも、より短波長側である紫外光が、より有効であるといえる。
植物体への有効な光照射部位を確認するため、上述した方法で栽培した黄化スプラウトの子葉部および根部をアルミホイルで遮光した(子葉部と根部の中間の胚軸部を遮光しない状態)後、植物育成装置内を、温度20℃、湿度80%、二酸化炭素濃度約1500ppmに設定し、明暗期時間を12時間として、合計24時間青色光発光ダイオードで照射をした。その結果、遮光しなかった胚軸の表面だけに赤色色素が発現することが確認された。
つぎに、赤色化とアントシアニン量との関係を、微小電極法によって細胞内pHを測定して確かめた。図5に示すアントシアニンの構造は、溶液の酸性度により変化し、pH4.5程度の弱酸性下では無色であり、pH1付近の強酸性下では赤色を示すことが知られている。図1,図2に示した結果から、青色光発光ダイオードを照射すると、スプラウト内のアントシアニン総量は、明暗期時間に依存することなく、ほぼ同程度に増加することがわかった。一方、光照射による胚軸表面の赤色度は、明暗期時間に依存することが確認された。このことは、光照射によりアントシアニン生成量が増加することだけによって胚軸表面が赤みを帯びるのではないことを示している。アントシアニンの構造が、酸性度により変化するという知見に基づけば、赤色化した細胞の液胞は、酸性度が低下していると推定される。
細胞内の酸性度を測定する方法として微小電極法が知られている。しかし、この測定方法で使用する電極の強度は低いため、植物体表皮に直接電極を差し込んで測定できるのは稀である。そこで、酵素を利用して胚軸部細胞を解離させる方法により、プロトプラストを調製した。光照射して胚軸表面が赤色化したスプラウトの胚軸断面を顕微鏡下で撮影すると、表面細胞が赤色化されていることが確認された。
赤みを帯びたプロトプラスト、無色のプロトプラスト、ならびに、黄化スプラウトの表皮細胞に直接微小電極を挿入して測定した細胞内酸性度(pH)の値を図6に示す。図6では、赤みを帯びたプロトプラスト,無色のプロトプラスト,黄化スプラウトについて、それぞれ8個の測定資料について測定をしたが、図6中で、「−」を表示した資料では、測定結果が出せなかった。この測定結果から、赤みを帯びたプロトプラストの酸性度は平均値3.3であり、一方、無色のプロトプラストは平均値5.1であった。したがって、表皮細胞における赤み出現は、アントシアニン量の増加と液胞酸性度の低下により生じた結果であることが明らかとなった。
露地栽培や施設園芸では、季節に応じて環境因子が大幅に変動する(太陽光の成分と強度、温度、湿度、二酸化炭素濃度が変動する)ことにより、品質の安定した(外観がほぼ同じで、含まれる機能性栄養成分量もほぼ均一である)農産物を栽培することが困難である。本発明の栽培方法では、高度に環境制御した施設内で人工光源を用いて、これらの問題を解決することができる。使用する発光ダイオードの作用効果が明瞭であることから、品質の揃ったスプラウトを周年栽培することが可能であり、製品のばらつきを抑制して価格を安定化できる効果が期待される。経営者の安定収入確保、市場への安定供給を実現できる点で利用価値が高い。
Claims (9)
- 暗所でスプラウトを栽培する黄化スプラウト栽培工程と、栽培された黄化スプラウトに対して、320〜490nmの波長領域内に放射スペクトルを有する発光ダイオードで植物体の表面細胞を照射して、表面細胞内に植物色素の生成を誘起させて赤色化する赤色化栽培工程を有することを特徴とする植物体栽培方法。
- 前記発光ダイオードを明暗期時間が1×104 〜9×104 秒となるように駆動することを特徴とする請求項1に記載の植物体栽培方法。
- 前記発光ダイオードが青色光発光ダイオードであることを特徴とする請求項1または2に記載の植物体栽培方法。
- 前記発光ダイオードが320〜400nmの波長領域内に放射スペクトルを有する紫外光発光ダイオードであることを特徴とする請求項1または2に記載の植物体栽培方法。
- 前記赤色化栽培工程の後に、生成物の生合成反応が定常に達するまで暗所に放置する工程を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の植物体栽培方法。
- 前記植物体が植物色素を生成できるスプラウト野菜であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の植物体栽培方法。
- 前記植物体がアントシアニンを植物体内で生成できる植物体であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の植物体栽培方法。
- 前記植物体が蕎麦、レッドキャベツ、紅タデ、赤シソのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の植物体栽培方法。
- 前記発光ダイオードによる照射は、植物細胞内におけるアントシアニン生合成を誘起させるとともに、細胞内酸性度が増大して細胞液を赤色化させるまで照射することを特徴とする請求項7または8に記載の植物体栽培方法。
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