JP7236186B1 - 植物栽培方法、及び植物栽培装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光合成で生成したグルコースの一次代謝経路と二次代謝経路への分配を光制御し、さらに、各代謝反応内での代謝物質生産を制御できる植物栽培方法を提供する。【解決手段】播種から収穫までの栽培期間の少なくとも一部で、光合成のための主光と、主光による植物の光合成を促進する追加光の照射とを行い、追加光は、光強度が周期的に変動する追加シグナル光と、光強度が追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光とを含み、追加シグナル光の波長が、植物内の赤色光受容体の光吸収波長帯を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、植物の有用成分生産を促進させる植物栽培法、及び植物栽培装置に関する。
植物は光合成で作り出したグルコースを、一次代謝回路と二次代謝回路で他の物質に転換している。一次代謝はどの植物にも共通している代謝であり、植物の生存と生育に必要な化学エネルギー、と、根、茎、葉などの器官形成に必要な化学物質を作り出している。二次代謝は植物によって異なるが、外敵や損傷に対する防御や損傷の修復に有用な化学物質を作り出している。
植物が代謝で作り出す化学物質は、人間にとっては解毒、鎮痛、解熱、抗酸化のための薬として有用である。このため、植物の代謝物質の効率的な生産をめざして、遺伝子組換技術やゲノム編集技術が応用されている。
国際公開第2019/031559号公報
特許文献1に記載の方法は、植物の光合成が行われていない光環境下で、比較的デューティー比が小さい光を照射する。発明者らの実験では、植物が比較的強い刺激によるダメージを受け、変質するという結果が得られている。さらに、一次代謝と二次代謝の生成物質生産を独立して制御できないという課題もある。
本発明は、光合成で生成したグルコースの一次代謝経路と二次代謝経路への分配を光制御し、さらに、各代謝反応内での代謝物質生産を制御できる植物栽培方法、及び植物栽培装置を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を有する植物栽培法、及び植物栽培装置を提供する。
(1)播種から収穫までの栽培期間の少なくとも一部で、光合成のための主光と、前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射とを行い、前記追加光は、光強度が周期的に変動する追加シグナル光と、光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光とを含み、前記追加シグナル光の波長が、植物内の赤色光受容体の光吸収波長帯を含む植物栽培方法。
(2)植物の葉又は芽を、根や枝、もしくは、茎から切り離し、前記葉又は前記芽のみに前記主光を一定の時間照射し、その後、暗所において一定の時間保持する上記(1)に記載の植物栽培方法。
(3)植物の光合成のための主光が照射される植物栽培装置であって、
前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射を行う追加光光源と、
前記追加光光源を駆動制御することが可能な照射光制御部とを備え、
前記追加光光源が、
光強度が周期的に変動する追加シグナル光を照射する追加シグナル光光源と、
光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光を照射する追加緩和光光源と、を備え、
前記追加緩和光を前記追加シグナル光とともに照射し、
前記追加シグナル光の波長が、植物内の赤色光受容体の光吸収波長帯を含む植物栽培装置。
本発明によれば、光合成で生成したグルコースの一次代謝経路と二次代謝経路への分配を光制御し、さらに、各代謝反応内での代謝物質生産を制御できる植物栽培方法、及び植物栽培装置を提供できる。
光合成色素と光受容体の光吸収波長帯を示す説明図である。 光合成産物であるグルコースが転流経路と二次代謝経路に分配されるまでの流れを示す説明図である。 フィトクロムの光吸収スペクトルを示す説明図である。 光吸収によるフィトクロムの状態変化を示す説明図である。 実施形態の追加光を示す説明図である。 実施形態の収穫後の光照射プロファイルを示す説明図である。 植物栽培装置の概略構成図である。 (a)~(d)は実施例1の条件を示す説明図。 (a)~(d)は実施例2の条件を示す説明図。 (a)~(d)は実施例3の条件を示す説明図。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<植物栽培方法>
<<ストレスを利用した代謝産物増加技術>>
本実施形態では、最初に、フィトクロムに起因するストレスを利用する植物栽培方法を説明する。次に、植物の外傷に起因するストレス利用する植物栽培方法を説明する。
<<フィトクロムに起因するストレス>>
植物は、光や光環境を生育に利用するために光受容体を利用している。光受容体には、光合成に必要な光エネルギーを捕集するクロロフィルやカロテノイドがあり、光環境情報を収集するフィトクロム、クリプトクロム、フォトロロピンがある。図1に、植物の中の光受容体と、それぞれの光吸収波長を示す。
植物は、クロロフィルとカロテノイドが捕集した光エネルギーを使って、水(H20)と二酸化炭素(CO2)から糖質であるグルコース(C6H12O6)を生産している。グルコースは、一次代謝経路と二次代謝経路に分配されていく。
光環境を感知する上述の3種類の光受容体(フィトクロム、クリプトクロム、フォトロロピン)の中で、フィトクロムは、花芽形成、発芽の制御、芽から葉への成長促進、代謝制御をしている。フィトクロムが光を感知すると、花芽形成、発芽などに関与する遺伝子が発現する。発現とは、遺伝子転写因子と呼ばれるタンパク質が遺伝子に結合することで、個々の働きをする遺伝子が活性化することである。フィトクロムは、細胞核内に移動することで、発現遺伝子を制御している。
フィトクロムは多数のタンパク質が集合している組織である。フィトクロムは、集合状態によって、Pfr型とPr型に分類されている。Pfr型のフィトクロムは、細胞核内の特定の遺伝子転写因子と結合して、遺伝子転写因子の分解を促進する。その結果、この遺伝子転写因子が制御していた複数の遺伝子の発現量が増減して、細胞の性質が変化する。Pr型のフィトクロムは、遺伝子とは離れた場所にあるので、遺伝子との相互作用はしない。したがって、Pr型フィトクロムによっては、細胞の性質は変化しない。
図2に、フィトクロムの赤色から遠赤外域での光吸収スペクトルを示す。Pr型フィトクロムは、600nmから710nmの赤色光を吸収する。Pfr型フィトクロムは、赤色光を含む600nmから長波長域の光を吸収する。図2の縦軸は吸光度である。図2では、吸光度と光学密度(O.D.、「光学濃度」ともいう)を同じものとしている。
フィトクロムの集合組織の状態は、光を吸収すると変化する。図3に赤色光と遠赤色光によるPr型とPfr型の間の可逆的変化を示す。Pr型フィトクロムが赤色光を吸収するとPfr型に変化する。逆に、Pfr型フィトクロムが遠赤色光を吸収するとPr型に変化する。
光合成が十分に起きる赤色光と遠赤色光が同時に照射されていると、フィトクロムはPr型とPfr型の間を循環して、それぞれの分布は一定の光平衡状態になる。光がない環境では、フィトクロムは、Pfr型からPr型に徐々に熱緩和する。波長が700nmより長い光の照射で、Pfr型からPr型への転換が促進する。一方、波長が600nmから710nmまでの光は、Pr型とPfr型の両方が吸収する。この場合の光吸収量はPr型の方が多いので、フィトクロムにおいては、Pr型からPfr型への転換が優勢である。
フィトクロムは、Pfr型になると細胞核に移動するが、Pr型になると細胞質に局在して異物化する。細胞にとっては、異物化したフィトクロムはストレス要因になる。そのため、フィトクロムが誘発する細胞ストレスをSとし、Pr型のストレスをS(Pr型)とし、Pfr型のストレスをS(Pfr型)とすると、これらの関係は、S(Pr型)>S(Pfr型)である。
植物は、強光、高温、低温、乾燥などの環境ストレスにさらされている。これらの環境ストレスにより細胞に何らかの損傷が生じると、植物は、損傷を防御、緩和、修復するために多様な抗酸化物質を代謝反応で作り出す。アスコルビン酸やポリフェノールは代表的な抗酸化物質であるが、これらは、二次代謝産物である。
図4に、グルコースが、一次代謝経路と二次代謝経路に流れる過程を示す。光合成で合成されたグルコースから、一次代謝経路の中で、デンプン、スクロース、フルクトースなどが合成される。これらの一部が二次代謝経路に入り、多種類の二次代謝物質が合成される。植物はストレス状態を感知すると、二次代謝反応が活発になり、ビタミンC(アスコルビン酸)やポリフェノール、s-アリルシステインなどの抗酸化物質の生産量が増加する。
植物が受けるストレスを、フィトクロムの集合状態(Pr型またはPrf型)で制御することで、光合成産物であるグルコースの一次代謝経路と二次代謝経路への分配比率や分配量を変える(制御する)ことができる。
本実施形態に係る植物栽培方法は、太陽光(自然光)やLEDなどの人工光(後述する主光)により植物が生育されている環境で、光強度が周期的に変化する光を追加して照射する。追加する光がフィトクロムのアミノ酸集合組織を変化させるので、フィトクロムに起因するストレス状態も変わる。これにより、代謝産物生産を制御することができる。追加する光は、以下では「追加光」ともいう。追加光については後述する。
<<主光による植物の成長>>
本実施形態では、太陽光(自然光)や、人工的な補光を、光合成のための「主光」と称する。この主光は、光合成を直接的に起こしたり、増大させたりするための光である。主光は、太陽光やLED等から発せられる光で、光合成を主に担う光である。「主光」は、光合成に関し、光補償点以上の光合成有効量子束密度を有する光であり、「追加光」は光補償点未満の光合成有効量子束密度を有する光である。光合成における二酸化炭素吸収速度(μmolCO2 m-2s-1)と、呼吸における二酸化炭素放出速度(μmolCO2 m-2s-1)の差が、光合成速度(μmolCO2 m-2s-1)である。光合成速度がゼロになるPPFD(光合成有効量子束密度)が光補償点であるが、この値は植物によって異なる。光補償点を超えるPPFDの光は、光合成のための光ということができ、光補償点を超えるPPFDの主光は、光合成のための主光であるということができる。
<<追加光による代謝促進成長促進>>
本実施形態では、主光とは異なる補助的な光を人工的に作成し、植物に照射する。この補助的な光を「追加光」とする。この追加光の照射は、詳細は後述するが、所定の時期や期間に行われる。追加光は、光合成を間接的に促進させるための光である。
追加光が植物のDNAの生存能力を刺激することで、光合成を間接的に促進させることができる。植物には光の積算機能があることが知られていて、植物は太陽光の強度や照射時間を日々積算している。主光におけるPPFDの低下(PPDF低下)が積算機能により検知されると、植物の葉緑体にあるDNAは、光アンテナ内の葉緑素を増産させる指令を出す。これにより、光吸収量が増加して、光合成が促進される。
本実施形態では、植物に潜在的に備わっている光の強度変化率を検出する微分機能を活用する。植物の微分機能をもっとも効率的に刺激できるのが、一定の時間間隔で点灯と消灯を繰り返すパルス光(シグナル光)である。このパルス光(シグナル光)を、以下では「追加シグナル光」と称する。追加シグナル光は、追加光に含まれる光である。本実施形態では、この追加シグナル光を単独で、又は、追加緩和光とともに、植物に照射する。
追加シグナル光は、主光と比較して、光合成を起こすには不十分である。このため、植物は、一時的に光合成の飢餓状態であると認識する。DNAが光合成飢餓状態を検知すると、光合成に必要な光をもっと吸収させるために、DNAが葉緑素を増産する指令を出す。さらに追加シグナル光により、DNAは二酸化炭素の吸収量が増えるように、外気の出入り口である気孔の開閉制御指令を出す。この結果、追加パルス光照射によって、光合成に必要な光エネルギーと二酸化炭素の吸収量が増加する。すなわち、本実施形態における追加シグナル光は、DNAに葉緑素増産指令と気孔開閉指令を出させるためのトリガー信号として機能する。このような考え方における追加シグナル光の効果を、追加シグナル光のDNAトリガー効果と定義する。
DNAトリガー効果は、時間あたりのトリガー回数には比例して増加するが、トリガー信号の強さには依存しない。トリガー信号の時間間隔が短くなりすぎると、DNAトリガー効果は減少する。また、追加シグナル光を含む追加光による光合成促進効果は、主光のPPFDがどのような値であっても得られる。
本実施形態ではこれに加え、追加シグナル光に、追加シグナル光よりも更に光強度が緩やかに変化する光(追加緩和光)が、所望の光合成促進効果に応じて合成される。追加緩和光は、正弦波状の波形を有しており、基本周期は1ms以上である。追加シグナル光の周期は8μs<T<200μsであり、追加緩和光の基本周期は、追加シグナル光の周期Tの125~2倍以上である。
このように、追加シグナル光に追加緩和光を組み合わせて得られた追加光を植物に照射することにより、追加シグナル光を単独で照射した場合に比べて、より一層、植物が感じる光ストレスを緩和できる。すなわち、本実施形態の追加光は、追加シグナル光と追加緩和光とを組み合わせて、追加光による光ストレスの軽減効果を、可及的に向上させることが可能な光である。
追加シグナル光とは、点灯と消灯を任意の周期で繰り返す光である。追加緩和光とは、強度がほぼ一定の光である。本実施形態において、追加緩和光には、60Hz程度の周波数のリップルがわずかに含まれていることもある。
本実施形態の追加シグナル光は、先行技術のパルス光に比べれば、植物に対する光ストレスを緩和できると考えられる。しかし、本実施形態の追加シグナル光のみだけではなく、更に他の態様の光(ここでは追加緩和光)を加えることで、追加光が植物に与える光ストレスを、より効果的に軽減できる。
追加シグナル光による光ストレスを可能な限り緩和するためには、追加緩和光のPPFDは、追加シグナル光と同程度以上であることが望ましい。追加シグナル光と追加緩和光の波長域(波長帯)は、同じであっても、異なっていてもよい。いずれの場合も、光合成促進効果がある。ただし、追加シグナル光の波長帯と、追加緩和光の波長帯とは、互いに共通する部分(重なり部分)があること(少なくとも一部の波長帯が共通すること)が望ましい。
植物は、光強度の時間的変化に敏感である。したがって、追加シグナル光と追加緩和光が同時に植物に照射されると、植物は、追加シグナル光を優先的に検知する。このような植物の反応を、植物の光検知におけるカクテルパーティー効果と定義する。追加光に対するカクテルパーティー効果は、主光が照射されていても有効である。
主光による光合成よりも弱い光合成が周期的に起きると、植物は光合成の飢餓状態であると認識し、DNAは光アンテナの葉緑素合成の指令を出す。その結果、光合成のための光利用効率が向上し、太陽光や人工光による主光のPPFDが一定であっても、光合成速度は増える。光合成速度の増加は、追加シグナル光のみを照射した場合でも観察される。
光合成の促進効果と、より安定した生育促進効果は、追加シグナル光よりも緩やかに変化する追加緩和光を重ね合わせることで得られる。追加シグナル光はDNAにトリガー信号を与える光なので、PPFDに制約はない。一方、追加緩和光のPPFDは、追加シグナル光と同等以上であることが望ましい。
例えば、本実施形態の植物栽培方法は、太陽光や人工光を光合成のための主光(メイン光)として照射する過程で、播種から収穫までの任意の栽培期間に、追加光を照射する。追加光は、光強度が周期的に変動する光(追加シグナル光)、及び、光強度が緩やかに変化する光(追加緩和光)の内の少なくとも1つである。追加シグナル光のみを追加光として照射する場合もある。
追加光は、タンパク質光受容体であるフィトクロムを励起できる光である。本実施形態の植物栽培方法は、この追加光を、1日の任意の時間帯に追加して照射する植物栽培法であって、追加シグナル光の光強度(PPFD)の変動が周期的で、その変動周期が8μs以上200μs以下で、該周期的変動光の波長が500nm以上2000nm以下であり、該周期的変動光のデューティー比が、例えば0.1以上である。この点については後述する。
Pr型フィトクロムは細胞質に局在している。Pr型フィトクロムがPfr型に変化されると、細胞核に近づくように移動する。逆に、Pfr型フィトクロムがPr型に変化すると、細胞核から離れるように移動し、細胞質内に局在化する。したがって、細胞核に接近していたPfr型フィトクロムがPr型に転換すると、細胞核から離れるように移動する。逆に、Pr型フィトクロムがPfr型に転換すると、細胞核に近づくように移動する。
光強度(PPFD)が周期的に変化する追加光が、フィトクロムの転換を促進するメカニズムを説明する。既述したように、フィトクロムは多数のタンパク質が集合している組織である。アミノ酸が光を吸収すると、フィトクロム集合組織は局所的に変化する。アミノ酸集合組織全体を効率よく転換するには、間欠的にアミノ酸を励起し続けることが効果的である。
つまり、1つのアミノ酸分子が光を吸収すると、HOMO軌道(最高被占軌道)には空孔(負電荷の電子がぬけて生じた正に帯電した孔)が、LUMO軌道(最低空軌道)には電子が生じる。その結果、アミノ酸内の局所的な電気的な中性状態が崩れるので、アミノ酸分子の原子配列が歪む。この歪みがアミノ酸集合組織全体で発生すると、アミノ酸集合組織の全体で歪みが発生する。
このとき、時間的にほぼ一定強度の光を照射するよりも、急峻に強度が変化する光(図5)を照射する方が、アミノ酸集合体の全体組織の変形を促進できる。瞬間的にアミノ酸集合組織を変形させた後に一定の時間だけ待つサイクルを繰り返すと、アミノ酸集合組織全体に大きな変形の力を働かせることが可能になる。このため、アミノ酸集合組織全体を効率よく転換するには、間欠的にアミノ酸を励起し続けることが効果的である。
Pfr型フィトクロムは、光がない環境(暗中)では、熱的な緩和によりゆっくりとPr型に戻る。したがって、Pfr型フィトクロムを恒常的に得るためには、光合成のための主光がない時間帯にPr型フィトクロムを励起することが必要である。
フィトクロムのPr型とPfr型の間での転換速度、Pfr型に係る細胞核への移動と離脱の速さは、時間あたりの光励起回数に比例して増加する。フィトクロムの光励起の時間間隔が短くなりすぎると、連続光照射に近づくので、接近と離脱の促進効果は減少する。したがって、最も効率よくフィトクロムを移動させるのに適した光強度変化の周期が存在する。
図5は、本実施形態の追加光を示す図である。図5におけるグラフは、葉面に入射する光子数(光合成有効量子束密度(PPFD)を表す)の時間変化を示している。
本実施形態においては、追加光に係るパルスの形状が台形である。追加光の周期(基本周期)がTであり、一つのパルスの立ち上がり時間がΔT1、ピーク時間がΔT2、立ち下がり時間がΔT3である。これらのうちΔT1及びΔT3の光強度は、時間とともに変化する。これらのΔT1及びΔT3における時間変化の勾配は、ΔT1とΔT3とで同じであっても、異なっていてもよい。さらに、ΔT1やΔT3における勾配を、ΔT1やΔT3の途中で変化させてもよい。これらのΔT1やΔT3における勾配を途中で異ならせる形態としては、ΔT1やΔT3における波形を、例えば、曲線状(弓形状、円弧状、波状など)や、ステップ状(段差状、階段状など)等とすることを例示できる。
発明者らの実験によれば、追加光による光合成促進効果は、追加光の周期Tが、8μs<T<200μsのときに良好に得られる。また、ピーク時間ΔT2の前後のΔT1とΔT3については、どちらか一方が5μs以下であるときに良好に得られる。
本実施形態ではこれに加え、追加光に、追加光(図2の左側)よりも更に光強度が緩やかに変化する光(追加緩和光)が、所望の光合成促進効果に応じて合成される。追加緩和光は、基本周期は1ms以上である。追加光の周期は8μs<T<200μsであり、追加緩和光の基本周期は、追加光の周期Tの125~2倍以上である。
このように、追加光に追加緩和光を組み合わせて得られた追加光を植物に照射することにより、追加光を単独で照射した場合に比べて、より一層、植物が感じる光ストレスを緩和できる。すなわち、本実施形態の追加光は、追加光と追加緩和光とを組み合わせて、追加光による光ストレスの軽減効果を、可及的に向上させることが可能な光である。
追加光とは、点灯と消灯を任意の周期で繰り返す光である。追加緩和光とは、強度がほぼ一定の光である。本実施形態において、追加緩和光には、60Hz程度の周波数のリップルがわずかに含まれていることもある。
本実施形態の追加光は、先行技術のパルス光に比べれば、植物に対する光ストレスを緩和できると考えられる。しかし、本実施形態の追加光のみだけではなく、更に他の態様の光(ここでは追加緩和光)を加えることで、追加光が植物に与える光ストレスを、より効果的に軽減できる。
追加光による光ストレスを可能な限り緩和するためには、追加緩和光のPPFDは、追加光と同程度以上であることが望ましい。追加光と追加緩和光の波長域(波長帯)は、同じであっても、異なっていてもよい。いずれの場合も、光合成促進効果がある。ただし、追加光の波長帯と、追加緩和光の波長帯とは、互いに共通する部分(重なり部分)があること(少なくとも一部の波長帯が共通すること)が望ましい。
追加光は、1日における24時間のうちの任意の時間帯に照射してもよく、予め決められた所定の時間帯に照射してもよい。追加光の波長は、500nmから2000nmの範囲である。
<<外傷に起因するストレス>>
発芽直後の植物の新芽は、乾燥した種子には含まれていないビタミンやポリフェノールなどの二次代謝物質を合成している。
発明者らは、新芽や葉に含まれている代謝産物を急速に増やすために、外傷によるストレスを利用することを検討した。
外傷によるストレスを利用するため、光合成を行っている新芽を根元から刈り取り、水分が抜けない環境下で保持する。その状態で、刈り取る前と同じ程度の光環境下で光合成を一定の時間だけ行わせ、その後は、光がない環境下で一定の時間保持する。新芽や葉は、刈り取られると、外傷性ストレスを感知する。そうすると、新芽や葉は、光合成産物の転流を制限し、一方で、二次代謝を活発化させて、ストレスの防御、緩和、細胞修復作用がある抗酸化物質を増産する。
図6に、本実施形態における光照射プロファイル(収穫後の光照射プロファイル)を示す。本実施形態に係る光照射は「ポストハーベスト光照射」等とも称する。上段から順に、収穫後に暗所に静置した場合の光照射プロファイル(光照射なし)、白色LEDを12時間照射した場合の光照射プロファイル、同じく白色LEDを24時間照射した場合の光照射プロファイルを示している。これらの態様の光照射を適宜使い分けて、植物へのポストハーベスト光照射を行う。
上述した方法で、新芽や葉に含まれている二次代謝物質を、刈り取り後12時間程度で大幅に増やすことができる。外傷性ストレスを利用する二次代謝促進技術は、大麦、ブロッコリー、ニンニクなどの新芽やオリーブ、茶、赤紫蘇、大葉など、あらゆる植物に有効である。
上述の植物栽培方法(外傷によるストレスを利用した植物栽培方法)は、単独で行ってもよいし、フィトクロムに起因するストレスを利用した植物栽培に続いて行ってもよい。
本実施形態による植物栽培方法は、すべての種類の植物の光合成に有効である。したがって、葉菜類、花き、果樹、海草、藻類、及び、微細藻類の生育促進に応用できる。さらに、圃場、ハウス、植物工場、陸上養殖、海面、海中、及び、中山間地での植物栽培に効果がある。
<植物栽培装置10>
図7は、本実施形態の植物栽培装置10に係る概略構成を示している。植物栽培装置10は、水耕又は土耕用の栽培床12と、栽培床12に向けて光を照射する光照射部14と、光照射部14を点灯駆動する照射光制御部16とを備えている。植物栽培装置10は、栽培床12を覆って栽培室を形成する保護部材18を有している。保護部材18を省略することも可能である。
光照射部14は、主光の照射を行う主光光源20と、追加光の照射を行う追加光光源22とを有する。主光光源20と追加光光源22は、照射光制御部16の制御(ここでは電流制御)により個々に駆動制御される。図5では、主光光源20と追加光光源22とが、左右に並んで示されているが、主光光源20の光と追加光光源22の光は、図示を省略する拡散板(拡散レンズであってもよい)を介し、同様の経路で栽培床12に向けて照射される。追加光光源22の光は、図示を省略する光ファイバーを介し、栽培床12に向けて照射してもよい。光ファイバーは、端面発光または側面発光のものを適宜用いることができる。
主光光源20は、所定の時間内で連続点灯し、主光(「連続照射光」ともいう)を連続して出射する。主光光源20には、例えば、LED、蛍光灯、プラズマランプ、水銀灯、白熱電球、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、又は、無電極ランプ等の人工光源が用いられる。
他の主光として、太陽光を使用することも可能である。太陽光を使用する場合、主光光源20を使用しないことや、主光光源20を省略することが可能である。太陽光と主光光源20の光とを併用することも可能である。この場合、太陽光と主光光源20の光を、時間帯等の条件に応じて使い分けてもよい。さらに、太陽光と主光光源20の光を、同時に出射する場合があってもよい。
追加光光源22は、追加シグナル光光源24と追加緩和光光源26とを有する。追加シグナル光光源24は追加シグナル光を照射し、追加緩和光光源26は追加緩和光を照射する。追加シグナル光と追加緩和光は追加光を構成する(図4)。
図5では、追加シグナル光光源24と追加緩和光光源26とが、左右に並んで示されているが、追加シグナル光と追加緩和光は、図示を省略する拡散板(拡散レンズであってもよい)を介し、同様の経路で栽培床12に向けて照射される。追加光光源22は、追加シグナル光光源24と追加緩和光光源26とを集積し、一体化したものであってもよい。
追加光光源22は、追加シグナル光光源24により、500nm~2000nmの波長の範囲内の光を発することができる。追加シグナル光光源24には、栽培対象とする植物の育成に適した波長の光を出射できれば、例えば、LED、EL(エレクトロルミネセンス)、レーザ、紫外光、赤外光などの各種の光源を採用できる。また、追加シグナル光光源24には、パルス点灯制御が容易な光源を用いることが望ましい。追加緩和光光源26としては、例えば、電灯線(50Hzまたは60Hz)で駆動する冷陰極蛍光灯、LED単色灯、LED蛍光灯などの各種の光源を採用できる。
図示は省略するが、追加光光源22は、連続発光する光源と、光路途中に配置されたシャッタを備えたものであってもよい。この場合、シャッタにより光路を断続的に遮って、シグナル光を形成する。また、白色光光源に波長制限フィルタを取り付けて、必要な波長の光を形成することも可能である。シャッタやフィルタは、追加シグナル光光源24と追加緩和光光源26の各々に設けてもよい。
光照射部14は、保護部材18の天井面や側壁の上方、又は栽培床12に設置された柱の上方等に設置される。光照射部14は、照射光制御部16からの指令に応じて、栽培床12を照明する。
光照射部14は、主光光源20、及び、追加光光源22を、それぞれ複数を備えたものとすることが可能である。この場合、複数の主光光源20、及び、複数の追加光光源22を、異なる位置で、かつ、照射角度を異ならせて配置することが可能である。例えば、複数の主光光源20、及び、複数の追加光光源22を、交互に配置するといったことも可能である。また、複数の主光光源20と単数の追加光光源22(又は単数の主光光源20と複数の追加光光源22)を備えるといったことも可能である。栽培床12に複数の方向から光が照射されるように、追加光光源22を設置することも可能である。このようにすると、より安定した生育促進効果が得られる。
このように、複数の主光光源20、及び/又は、複数の追加光光源22を備えることにより、より緻密な光照射を行うことが可能となる。そして、複数の光源の配置や照射角度を異ならせることにより、栽培床12の植物に均一に光照射でき、場所による成長ムラを抑制できる。
照射光制御部16は、本実施形態の植物栽培方法に基づいて、光照射部14を点灯駆動する。照射光制御部16は、主光光源20のみを点灯駆動することや、追加光光源22のみを点灯駆動すること、及び、主光光源20と追加光光源22の両方を同時に点灯駆動することが可能である。
光照射部14が複数の主光光源20、及び/又は、複数の追加光光源22を備える場合には、照射光制御部16は、同種の光源を同期させて点灯させることが可能である。また、栽培床12を複数のブロック(試験区)に分ける場合には、照射光制御部16は、それぞれのブロックで、主光光源20及び追加光光源22を個別に制御することが可能である。
照射光制御部16は、ブロック単位で、主光光源20及び追加光光源22を同期させてもよく、複数ブロック又は全ブロックの主光光源20及び追加光光源22を同期させてもよい。追加光光源22における追加シグナル光を同期させることで、植物に照射する追加シグナル光のデューティー比を正確に維持できる。
このような植物栽培装置10は、一般家庭で手軽に家屋内にて栽培するための小型栽培キット、農業用ハウス、建造された栽培室を有する植物工場等の大型のもの等に広く適用することが可能である。
ここで、農業用ハウスとは、透光性を有するフィルムがハウス全面に展張された農業用ビニールハウスのほか、ガラス窓の内側の全面にフィルムが伸ばし拡げられた農業用ガラスハウスとすることもできる。農業用ガラスハウスにおいては、ハウス内の栽培空間における水分を含んだ空気が、フィルムを透過して、ガラス窓とガラス窓の骨組み部分との隙間を通じてハウス外に出る。そのため、農業用ガラスハウスにおいても、ハウス内が高温多湿になることを抑制できる。なお、上記した「透光性」とは、昼間に植物を育てるのに必要な光を通すことを意味する。
追加光の光源(ここでは追加光光源22)を、農業用ハウス内に設置した場合、追加光の一部は、ガラス板、樹脂板、樹脂製フィルムなどにより反射及び拡散(反射拡散)がされるので、追加光の照射効率があがるという利点がある。小型栽培キットや植物工場などでも、同様の照射効率向上の効果は得られる。
また、追加光(追加シグナル光、及び/又は、追加緩和光)の有効な照射方向についても考えることができる。追加光を、主光と同じ方向から照射した場合も、主光と異なる方向から照射した場合も、いずれも生育促進効果は得られる。さらに、主光が十分に届いていない場所(例えば、日陰に位置する葉の表裏の葉面や、日の当たる場所にある葉の裏面など)に追加光を照射すれば、より大きな生育促進効果が得られる。
具体的には、例えば葡萄のように、枝が水平方向に伸びている植物に対して、地面から上方向(斜め上方向を含む)に追加光を照射する。この場合、日陰にある葉の裏面(地面の側の面)に当たる光が増加する。そして、追加光を照射しない場合に比べて、盛んに光合成が行われ、葡萄の甘みが増す。このように、追加光の照射方向を、植物の栽培が行われている環境や、植物の特性等に応じ設定することで、植物の成長をより一層効果的に促進できる。
<先行技術と本実施形態における追加光の比較>
以下の表1は、先行技術(前掲の特許文献1に開示された技術事項)と、本実施形態に係る植物栽培方法(追加光照射)の基本的な技術事項とを比較して示している。
Figure 0007236186000002
表1に示すように、主光は、先行技術も本実施形態も、太陽光及び人口光(LEDなど)である。追加光の周期は、先行技術が8μs~500μsであり、本実施形態が8μs~200μsである。追加光のデューティー比は、先行技術には20%以下の制約があるのに対し、本実施形態では制約がない。
追加光の光合成光量子密度(μmol・m-2・s-1)は、先行技術には0.001~4.0の制約があるのに対し、本実施形態では制約がない。主光に付加する光の種類は、先行技術が1種類であり、本実施形態が、追加光と追加緩和光の2種類である。波長帯は、先行技術が400nm~500nmであり、本実施形態が500nm~2000nmである。
照射期間は、先行技術が定植後の生育期であり、本実施形態が、播種から育苗期及び生育期までのうちの任意の期間(全体の期間を含む)である。播種から定植までを育苗期、定植から収穫までを生育期と定義している。
1日の照射時間帯は、先行技術が夜間の時間帯であり、本実施形態が1日の24時間のうちの任意時間帯である。技術的な効果は、先行技術が、生育の促進及び有用成分の増加を可能とすることであり、本実施形態が、生育及び有用成分生産の個別制御を可能とすることである。
また、表1には記載されていないが、先行技術では、パルス光により相対的に強い刺激が植物に与えられる。また、パルス光の波長帯を青色の波長帯に限っているので、葉が重なっているような状況では、隠れている葉まで光が到達し難い。さらに、生育と二次代謝の個別制御(生育速度と有用物質生産を独立して制御すること)は難しい。
これに対して、本実施形態では、点滅光(追加光)と緩やかに変化する光(追加緩和光)の重畳により、先行技術に比べて、植物に与えられる刺激が少ない。そして、本実施形態の植物栽培方法や植物栽培装置10は、生育と二次代謝の個別制御が可能である。生育と二次代謝の個別制御は、追加光や追加緩和光の波長や光強度を変化させることにより可能である。
なお、本実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以下、実施例によって本発明の実施形態を詳細に説明する。各実施例のような条件で追加光の照射を行うことにより、追加シグナル光により促進された光合成で生成したグルコースの一次代謝経路と二次代謝経路への分配を光制御し、さらに、各代謝反応内での代謝物質生産を制御できるようになる。より詳細には、追加シグナル光と追加緩和光により促進された光合成で生産されるグルコースの、一次代謝反応経路経と二次代謝反応経路の分配を追加シグナル光が引き起こすストレスにより制御し、さらに、各代謝反応経路内での代謝物質の生産比率を追加シグナル光が引き起こすストレスにより制御できるようになる。ただし、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、レタスの生育に及ぼす追加光照射の影響を調べた。図8は、実施例1に係る条件を、破線で区切った4つの領域の図によって示している。図8における左上の図(領域)は、各種の光の照射期間等を示しており、右上の図(領域)は1日における各種の光の照射時間帯を示している。左下の図(領域)は、各種の光の特性を示しており、右下の図(領域)は、追加シグナル光の光子数の変化や追加緩和光の周期等を示している。
最初に、水を含んでいるスポンジにレタスの種を撒き、暗所で3日保管したのち、主光を7日間(第1所定期間)照射して、苗を育てた。図8の左上の図の「主光」に係る矢印の左端に示されている「3」の数値は、暗所での3日間(第2所定期間)の保管を意味している。同じく図8の左上の図における横軸の「7」の数値は、この3日間の暗所での保管を経て、さらに7日間(合計で10日間(第2所定期間))が経過していることを意味している。次に、この苗を水耕栽培キットに定植し、28日間栽培した。栽培中、気温22℃、湿度40~50%に保持した。液肥には、ハイポネックス(登録商標:ハイポネックスジャパン社製液体肥料)を1000倍に希釈して使用した。
レタスには、主光と2種類の追加光を照射した(図8における左上の図及び右上の図)。追加光は、追加シグナル光と追加緩和光を組み合わせた光である。
図8における右上の図に示すように、1日の24時間のうち、主光は0時から12時まで照射し、追加光は6時から18時まで照射した。それぞれの光のPPFD(μmol・m-2・s-1)は、図8における左下の図に示すように、主光が220、追加シグナル光が0.05、追加緩和光は0.05であった。
図8における左上の図に示すように、主光は播種後3日目から35日まで照射し、追加光は定植した7日目から35日目まで照射した。
以下では、主光のみで栽培した試験を、コントロール(以後、「CNT」と略す場合がある)と呼び、追加光を照射した試験を、比較試験と呼ぶ。
本実施例1では、以下の「1.」~「2.」の2種類の比較試験を行った(図8における左下の図)。
1.比較試験1 波長域が620nmから640nmの追加光を照射
2.比較試験2 波長域が710nmから1000nmの追加光を照射
上記の比較試験1~比較試験2では、追加シグナル光1と追加シグナル光2のパラメーターは以下の値に固定した(図8における右下の図)。
T=25μs 、ΔT1=2μs、ΔT2=2μs、ΔT3=4μs
ここで、T、ΔT1、ΔT2、及び、ΔT3図5について説明したのと同様の意味である。
追加シグナル光1と追加シグナル光2の周期は16.7msであった。
播種から35日目に収穫して、根を除いた部分の収穫湿重量を計測し、湿重量比を以下の(1)式により算出した。湿重量は10株の平均値から求めた。

[収穫湿重量比]=試験区の収穫湿重量/コントロール(CNT)の収穫湿重量 (1)

レタスの収穫湿重量1gあたりに含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)とグルタミン酸の重量を高速液体クロマトグラフィー装置(以後、HPLC装置)で定量分析した。アスコルビン酸比(重量比)を(2)式により算出した。

[アスコルビン酸重量比]=試験区のアスコルビン酸重量/コントロール(CNT)の湿アスコルビン酸重量 (2)
レタスに含まれるアスコルビン酸の総重量比は以下の(3)式により算出した。

[アスコルビン酸総重量比]=[収穫湿重量比]×[アスコルビン酸重量比] (3)

グルタミン酸比(重量比)を(4)式により算出した。

[グルタミン酸重量比]=試験区のグルタミン酸重量/コントロール(CNT)の湿グルタミン酸重量 (4)
レタスに含まれるグルタミン酸の総重量比は以下の(5)式により算出した。

[グルタミン酸総重量比]=[収穫湿重量比]×[グルタミン酸重量比] (5)
表2に、各比較試験における、収穫湿重量比、アスコルビン酸重量比、及び、アスコルビン酸総重量比の計算結果を示す。
Figure 0007236186000003
本実施例1によれば、コントロール(CNT)との比率を表す「収穫湿重量比」と「アスコルビン酸総重量比」と「グルタミン酸総重量比」の結果から、追加光の照射(追加光照射)には、レタスの収穫湿重量を増やす効果がある。さらに、二次代謝で合成されるアスコルビン酸と、一次代謝で合成されるグルタミン酸の生産を促進させる効果がある。さらに、比較試験1と比較試験2の結果から、追加光はアスコルビン酸とグルタミン酸の合成を促進させる効果がある。さらに、比較試験1と比較試験2の結果から、波長が620nmから640nmの追加光照射にはグルタミン酸の合成促進に高い効果があり、波長が710nmから1000nmの追加光照射にはアスコルビン酸の合成促進に高い効果がある。
<実施例2>
ニンニクの新芽の生育と二次代謝物質であるアリルシステイン(図4には「s-アリルシステイン」として示されている)合成に及ぼす追加光照射の影響を調べた。図9は、実施例2に係る条件を、破線で区切った4つの領域の図によって示している。図9における左上の図(領域)は、各種の光の照射期間等を示しており、右上の図(領域)は1日における各種の光の照射時間帯を示している。左下の図(領域)は、各種の光の特性を示しており、右下の図(領域)は、追加シグナル光の光子数の変化や追加緩和光の周期等を示している。
最初に、ニンニク球根を温度4℃で1日保管し、次に温度20℃で24時間保管した。次に、水分を含んだロックウールの上に、ニンニク球根、ニンニク球根1個分の間隔をあけて置いた。
ニンニク球根には、主光1、追加光1、主光2を照射した(図9における左上の図及び右上の図)。追加光は、追加シグナル光と追加緩和光を組み合わせた光である。
図9における右上の図に示すように、1日の24時間のうち、主光1は0時から12時まで、追加光1と追加光2は6時から20時まで、主光2は12時から24時まで照射した。それぞれの光のPPFD(μmol・m-2・s-1)は、図9における左下の図に示すように、主光1が160、追加シグナル光が0.1、追加緩和光が3.0、主光2が160であった。
図9における左上の図に示すように、主光1は栽培1日目から6日目まで照射し、追加光は栽培1日目から6日目まで照射した。主光2は栽培6日目の主光1が消灯した直後から12時間照射した。
以下では、主光1のみで栽培した試験を、コントロール(以後、「CNT」と略す場合がある)と呼び、追加光と主光2を照射した試験を、比較試験と呼ぶ。
主光1と主光2の波長域は400nmから750nmである。
本実施例2では、以下の「1.」~「2.」の2種類の比較試験を行った(図9における左下の図)。
1.比較試験1 波長域が600nmから660nmの追加光1を照射
2.比較試験2 追加光と主光2を照射
上記の比較試験1と比較試験2では、追加シグナル光のパラメーターは以下の値に固定した(図9における右下の図)。
T=30μs 、ΔT1=2μs、ΔT2=10μs、ΔT3=4μs
ここで、T、ΔT1、ΔT2、及び、ΔT3図5について説明したのと同様の意味である。
上記の比較試験1と比較試験2では、追加緩和光の強度変化の基本周期は16.7msであった。
コントロールと比較試験1は、栽培6日目の14時に新芽のみを球根から切り取った(収穫した)。比較試験2は、栽培6日目の14時に新芽のみを球根から切り取り(収穫し
)、湿度65%に保持されている透明容器に入れ、主光2を照射した。
ニンニク球根から切り取った新芽のみの収穫湿重量を計測し、湿重量比を以下の(6)式により算出した。湿重量は20株の平均値から求めた。

[収穫湿重量比]=試験区の収穫湿重量/コントロール(CNT)の収穫湿重量 (6)

ニンニク新芽に含まれているアリルシステイン重量を高速液体クロマトグラフィー装置(以後、HPLC装置)で定量分析した。アリルシステイン比を(7)式により算出した。

[アスコルビン酸重量比]=試験区のアスコルビン酸重量/コントロール(CNT)の湿アスコルビン酸重量 (7)

ニンニク新芽に含まれるアリルシステインの総重量比は以下の(8)式により算出した。

[アリルシステイン総重量比]=[収穫湿重量比]×[アリルシステイン重量比](8)
表3に、各比較試験における、収穫湿重量比、アリルシステイン酸重量比、及び、アリルシステイン総重量比の計算結果を示す。
Figure 0007236186000004
本実施例2によれば、コントロール(CNT)との比率を表す「収穫湿重量比」と「アリルシステイン重量比」の結果から、追加光の照射(追加光照射)には、ニンニク新芽の収穫湿重量と、二次代謝成分であるアリルシステインを増加させる効果がある。さらに、比較試験1と比較試験2の結果から、主光2の光照射には、比較試験1と比べて、収穫湿重量の増加効果はないが、アリルシステインを増加させる効果がある。
<実施例3>
実施例3では、オリーブの生葉に含まれるポリフェノールに及ぼすポストハーベスト光照射の影響を調べた。図10は、実施例3に係る条件を、破線で区切った2つの領域の図によって示している。図10における上段の図(領域)は、主光の種類を示しており、下段の図(領域)は試験方法を示している。
オリーブは畑で栽培した。主光1は太陽光である。晴天の日の正午(以降)に、オリーブの葉を刈り取りとった(収穫した)。オリーブの生葉200gを用いて、以下の試験を実施した。
図10の下段の図に示すように、以下では、刈り取った(収穫した)直後のオリーブの生葉のポリフェノール定量試験を、コントロール(以後、「CNT」と略す場合がある)と呼び、刈り取った(収穫した)オリーブ生葉を24時間後にポリフェノール定量に主光を照射する試験を比較試験と呼ぶ。
本実施例3では、以下の「1.」~「3.」の3種類の比較試験(比較試験1~3)を行った。
1.比較試験1 暗所に24時間静置
2.比較試験2 波長域が380nmから770nmで、PPFD(μmol・m-2・s-1)が230の主光2を12時間(第1所定期間)照射、暗所で12時間(第2所定期間)静置
3.比較試験3 波長域が380nmから770nmで、PPFD(μmol・m-2・s-1)が230の主光2を24時間照射
比較試験2、3については、刈り取られた(収穫された)オリーブの葉を、湿度65%の容器に入れた。その後、白色LED(波長域が380nmから770nm)の光(主光)の照射を行い、暗所での保管(比較試験2では12時間、比較試験3では24時間)を行った。
オリーブの生葉に含まれる総ポリフェノール量を吸光度計測により定量した。総ポリフェノール重量比は以下の(1)式により算出した。

[総ポリフェノール重量比]=試験区の総ポリフェノール重量/コントロール(CNT)の総ポリフェノール重量 (1)
表4に、各比較試験における、総ポリフェノール重量比の計算結果を示す。
Figure 0007236186000005
本実施例3によれば、コントロール(CNT)との比率を表す「総ポリフェノール重量比」の結果から、収穫直後の主光の照射は、オリーブの生葉に含まれる総ポリフェノール重量を増加させる効果がある。比較試験2の結果より、主光2の照射終了後に暗所で静置すると、総ポリフェノール重量を増加させる効果が大きい。
<各植物の光補償点>
レタスの光補償点の値は、20~30(μmol・m-2・s-1)である。大麦の光補償点についての具体的なデータは取得していないが、イネが7~15(μmol・m-2・s-1)であるので、大麦も7~15(μmol・m-2・s-1)と推察できる。オリーブについても、具体的なデータは取得していないが、お茶の光補償点は文献(植物環境工学 (J.SHITA)24(1):16-24. 2012. 、”低光量条件下における光質の違いが幼茶樹の光合成および窒素吸収同化能に及ぼす影響“、鈴木利和ほか)に、光補償点は30~50(μmol・m-2・s-1)であり、光飽和点は500~850(μmol・m-2・s-1)であることが記載されている。したがって、オリーブの光補償点も、30~50(μmol・m-2・s-1)の範囲と推察できる。
<実施形態及び実施例から抽出可能な発明>
(1)播種から収穫までの栽培期間の少なくとも一部で、光合成のための主光(太陽光、人工光など)と、前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射とを行い、前記追加光は、光強度が周期的に変動する追加シグナル光と、光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光とを含み、前記追加シグナル光の波長(500~2000nmなど)が、植物内の赤色光受容体(Pr型フィトクロム、Pfr型フィトクロムなど)の光吸収波長帯(600nm以上の波長帯など)を含む植物栽培方法。
(2)植物の葉又は芽を、根や枝、もしくは、茎から切り離し、前記葉又は前記芽のみに前記主光を一定の時間(第1所定期間など)照射し、その後、暗所において一定の時間(第2所定期間など)保持する上記(1)に記載の植物栽培方法。
(3)植物の光合成のための主光(太陽光、人工光など)が照射される植物栽培装置(植物栽培装置10など)であって、
前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射を行う追加光光源(追加光光源22など)と、
前記追加光光源を駆動制御することが可能な照射光制御部(照射光制御部16など)とを備え、
前記追加光光源が、
光強度が周期的に変動する追加シグナル光を照射する追加シグナル光光源(追加シグナル光光源24など)と、
光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光を照射する追加緩和光光源(追加緩和光光源26など)と、を備え、
前記追加緩和光を前記追加シグナル光とともに照射し、
前記追加シグナル光の波長(500~2000nmなど)が、植物内の赤色光受容体(Pr型フィトクロム、Pfr型フィトクロムなど)の光吸収波長帯(600nm以上の波長帯など)を含む植物栽培装置。
本願発明の植物栽培方法は、露地栽培、ハウス栽培、植物工場栽培に有効である。光合成を行っているあらゆる植物に対して成長促進効果があるので、レタスや、紫蘇、バジル等の葉物、イチゴ等の果樹類、稲や小麦等の穀物、ワカメ等の海藻類、ヒトエグサやユーグレナ等の緑藻類、等の生産効率向上や生産コスト低減に利用できる。
10 :植物栽培装置
12 :栽培床
14 :光照射部
16 :照射光制御部
18 :保護部材
20 :主光光源
22 :追加光光源
24 :追加光光源
26 :追加緩和光光源

Claims (3)

  1. 播種から収穫までの栽培期間の少なくとも一部で、光合成のための主光と、前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射とを行い、前記追加光は、光強度が周期的に変動する追加シグナル光と、光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光とを含み、前記追加シグナル光の波長が、植物内の赤色光受容体の光吸収波長帯を含む植物栽培方法。
  2. 植物の葉又は芽を、根や枝、もしくは、茎から切り離し、前記葉又は前記芽のみに前記主光を一定の時間照射し、その後、暗所において一定の時間保持する請求項1に記載の植物栽培方法。
  3. 植物の光合成のための主光が照射される植物栽培装置であって、
    前記主光による植物の光合成を促進する追加光の照射を行う追加光光源と、
    前記追加光光源を駆動制御することが可能な照射光制御部とを備え、
    前記追加光光源が、
    光強度が周期的に変動する追加シグナル光を照射する追加シグナル光光源と、
    光強度が前記追加光よりも緩やかに変化する追加緩和光を照射する追加緩和光光源と、を備え、
    前記追加緩和光を前記追加シグナル光とともに照射し、
    前記追加シグナル光の波長が、植物内の赤色光受容体の光吸収波長帯を含む植物栽培装置。
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