JP2013227930A - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】還元触媒の劣化を精度良く検出可能な内燃機関の排ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】排ガス浄化装置2のECU12は、SCR触媒8の劣化を判定する判定ユニット13を備えている。判定ユニット13は、SCR触媒8にて浄化された浄化NOx量を算出するNOx量算出部15と、当該浄化NOx量の浄化に必要なNH量を算出する消費アンモニア量算出部30と、NHセンサ11による計測値に基づいてSCR触媒8をスリップしたNH量を算出するスリップアンモニア量算出部27と、SCR触媒8をスリップしたNHのスリップ率を算出し、当該スリップ率に基づいてSCR触媒8の劣化を判定する劣化判定部35と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の排ガス通路に還元触媒を配設し、還元剤として尿素水から生成されたアンモニアを供給することにより、NOx(窒素酸化物)を還元して排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関の排ガス中に含まれるNOxを浄化するための排ガス浄化装置として、内燃機関の排ガス通路に配置された還元触媒を有し、還元剤としてアンモニアを供給することにより、NOxを還元して排ガスを浄化する排ガス浄化装置が用いられている(例えば、特許文献1)。
このような排ガス浄化装置では、尿素水を排ガス中に供給するのが一般的であり、尿素水インジェクタなどを用いて排ガス中に尿素水を噴射する。尿素水インジェクタから排ガス中に噴射された尿素水は排ガスの熱により加水分解し、その結果生成されるアンモニアが還元触媒に供給される。こうして還元触媒に供給されたアンモニアと排ガス中のNOxとの間の脱硝反応が還元触媒によって促進されることによりNOxが還元されて排ガスが浄化される。
ここで、排ガス浄化装置に異常が発生して所定の排ガス浄化性能を発揮しなくなると、NOxの一部が大気中へ放出されてしまう。このため、例えば米国や欧州のOBD(On Board Diagnosis)に関する法規制では、排ガス浄化装置の異常を検出して検出情報を保存すると共に、運転者への修理を促すべく排ガス浄化装置の異常警告を行う診断機能を車両に装備することが義務付けられている。
特開2003−301737号公報
排ガス浄化装置の異常警告を行うだけでなく、排ガス浄化装置の異常の原因となる還元触媒の劣化や尿素水の異常(濃度低下又は供給量不足)等を検出することが望まれている。
本発明は、このような問題を解決するものであって、NOx浄化率の低下の原因である還元触媒の劣化を精度良く検出可能な内燃機関の排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決する本発明に係る内燃機関の排ガス浄化装置は、
内燃機関の排ガス通路に設けられ、排ガスに含まれるNOxを還元する還元触媒と、
前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出するNOx量算出手段と、
前記NOx量算出手段により算出されたNOx量の浄化に必要な消費アンモニア量を算出する消費アンモニア量算出手段と、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるスリップアンモニア量を算出するスリップアンモニア量算出手段と、
前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量及び前記スリップアンモニア量算出手段により算出されたスリップアンモニア量に基づいて、前記還元触媒の劣化を判定する劣化判定手段と、を備えることを特徴とする。
上記内燃機関の排ガス浄化装置によれば、NOx量算出手段と、消費アンモニア量算出手段と、スリップアンモニア量算出手段とを備えているため、還元触媒にて実際に消費された消費アンモニア量及び還元触媒をスリップしたスリップアンモニア量を算出することができる。
そして、劣化判定手段を備えているため、算出された消費アンモニア量及びスリップアンモニア量に基づいて、還元触媒の劣化を判定することができる。これにより、還元触媒の劣化を検出することができる。
また、NOxの浄化に必要なアンモニアを発生させるために、排ガス通路内に尿素を供給する場合においては、尿素の一部が、還元触媒に到達する前に排ガス通路に堆積する場合がある。これにより、発生するアンモニア量が減少し、還元触媒に到達するアンモニア量が所望量よりも少なくなる。かかる場合に、排ガス通路内に実際に供給された尿素量から生成される発生アンモニア量を用いて還元触媒の劣化判定を実施するとNOx浄化率が低下するため、還元触媒が劣化していないにもかかわらず劣化していると判定してしまうおそれがある。しかしながら、本発明では、還元触媒の劣化の判定に、還元触媒にて実際に消費された消費アンモニア量を用いており、排ガス通路中に供給した尿素量から生成される発生アンモニア量を用いていない。したがって、還元触媒の劣化を精度良く判定することができる。
また、前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量の生成に必要な有効尿素量を算出する有効尿素量算出手段と、
前記スリップアンモニア量算出手段により算出されたスリップアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出する無効尿素量算出手段と、を更に備え、
前記劣化判定手段は、
前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量と前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する前記無効尿素量又は前記有効尿素量の割合を算出し、当該割合の値に基づいて、前記還元触媒の劣化を判定することとしてもよい。
このように、有効尿素量算出手段と、無効尿素量算出手段とを備えているため、実際に還元触媒にて消費された消費アンモニア量の生成に必要な有効尿素量及び還元触媒をスリップしたスリップアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出することができる。
また、還元触媒の劣化の判定に、実際に消費された消費アンモニア量の生成に必要な有効尿素量を用いており、排ガス通路中に実際に供給した尿素量を用いていない。したがって、精度良く還元触媒の劣化を判定することができる。
さらに、劣化判定手段にて、有効尿素量と無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する無効尿素量又は前記有効尿素量の割合を算出し、当該割合の値に基づいて還元触媒の劣化を判定するため、還元触媒の劣化を更に精度良く判定するこができる。
また、前記劣化判定手段は、
前記合計尿素量に対する前記無効尿素量の割合の値が第1閾値以上の場合に前記還元触媒が劣化していると判定することとしてもよい。
このように、劣化判定手段は、合計尿素量に対する無効尿素量の割合の値が第1閾値以上の場合に還元触媒が劣化していると判定するため、短時間で還元触媒の劣化を判定するこができる。
また、前記劣化判定手段は、
前記合計尿素量に対する前記無効尿素量の割合の値が所定回数以上連続して前記第1閾値以上となる場合に前記還元触媒が劣化していると判定することとしてもよい。
還元触媒の還元能力は、排ガス流量、排ガス温度、供給される尿素水の濃度等により変動する。このため、有効尿素量と無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する無効尿素量の割合の値が、所定回数以上連続して第1閾値以上となる場合に、還元触媒が劣化していると判定することで、還元触媒の劣化をより精度良く判定することができる。
また、前記劣化判定手段は、
前記合計尿素量に対する前記有効尿素量の割合の値が第2閾値以下の場合に前記還元触媒が劣化していると判定することとしてもよい。
このように、劣化判定手段は、合計尿素量に対する有効尿素量の割合の値が第2閾値以下の場合に還元触媒が劣化していると判定するため、短時間で還元触媒の劣化を判定するこができる。
また、前記劣化判定手段は、
前記合計尿素量に対する前記有効尿素量の割合の値が所定回数以上連続して前記第2閾値以下となる場合に前記還元触媒が劣化していると判定することとしてもよい。
還元触媒の還元能力は、排ガス流量、排ガス温度、供給される尿素水の濃度等により変動する。このため、有効尿素量と無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する有効尿素量の割合の値が、所定回数以上連続して第2閾値以下となる場合に、還元触媒が劣化していると判定することで、還元触媒の劣化をより精度良く判定することができる。
また、前記有効尿素量算出手段は、
前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記有効尿素量とすることとしてもよい。
このように、有効尿素量算出手段は、消費アンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出するため、正確な有効尿素量を短時間で算出することができる。
また、前記無効尿素量算出手段は、
前記スリップアンモニア量算出手段により計測されたスリップアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記無効尿素量とすることとしてもよい。
このように、無効尿素量算出手段は、スリップアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出するため、正確な無効尿素量を短時間で算出することができる。
また、前記スリップアンモニア量算出手段は、還元触媒よりも下流の前記排ガス通路に設けられて、アンモニアの濃度を計測するアンモニアセンサを有していることとしてもよい。
このように、アンモニアセンサが還元触媒よりも下流の排ガス通路に設けられているため、還元触媒をスリップしたスリップアンモニア量を短時間で正確に計測することができる。
また、前記NOx量算出手段は、前記内燃機関の直下流のNOx量から前記還元手段の直下流のNOx量を減算して算出することとしてもよい。
このように、NOx量算出手段は、内燃機関の直下流のNOx量から還元手段の直下流のNOx量を減算して算出するため、浄化されたNOx量を正確に取得することができる。
また、前記劣化判定手段によって前記還元触媒が劣化していると判定された際に、運転者に対して警報を発する警告手段を更に備えることとしてもよい。
このように、警告手段を備えているため、運転者は還元触媒が劣化したことを直ちに検知することができる。
本発明によれば、還元触媒の劣化を精度良く検出可能な内燃機関の排ガス浄化装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置が適用されたエンジンシステムの概略全体構成図である。 判定ユニットの各部にて算出される算出結果及びその出力先を示す図である。 総走行距離とアンモニアスリップ率との関係を示すマップである。 尿素水の濃度を算出するフローを示す図である。 総走行距離と尿素消費率との関係を示すマップである。
以下、本発明に係る内燃機関の排ガス浄化装置について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
<排ガス浄化装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置が適用されたエンジンシステムの概略全体構成図である。また、図2は、判定ユニットの各部にて算出される算出結果及びその出力先を示す図である。
図1及び図2に示すように、ディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)の排ガス浄化装置2は、前段酸化触媒4と、パティキュレートフィルタ(以下フィルタ6という)と、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒8と、後段酸化触媒10と、を備えている。
エンジン1は、燃料の噴射時期及び噴射量がECU(Electronic
Control Unit)12によって電子制御されており、かかる噴射時期及び噴射量にて燃焼室5毎に設けられた燃料噴射弁3から、燃焼室5内に燃料が噴射される。
ECU12は、図示しない中央処理装置(CPU)、制御プログラムや制御マップ等を格納する記憶装置、走行距離カウンタ及びタイマカウンタ等を備えている。そして、ECU12は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御する。
エンジン1の各燃焼室5から排気が排出される排気ポート(図示せず)は、排気マニホールド9を介して排ガス通路16に接続されている。
排ガス通路16は、ターボチャージャ7のタービン7aを経由して排ガス浄化装置2に接続されている。また、タービン7aはコンプレッサ7bと機械的に連結されており、タービン7aが排ガス通路16内を流動する排気を受けてコンプレッサ7bを駆動する。
排ガス浄化装置2は、排ガス通路16に設けられた筒状の上流側ケーシング14及び当該上流側ケーシング14よりも下流に設けられた筒状のSCR用ケーシング18を備えている。
上流側ケーシング14内には、前段酸化触媒4が収容されると共に、この前段酸化触媒4よりも下流にはフィルタ6が収容されている。
フィルタ6は、排ガス中のPM(Paticulate Matter:粒子状物質)を捕集する。このフィルタ6はハニカム型のセラミック体からなり、上流側と下流側とを連通する通路が多数並設されると共に、この通路の上流側開口と下流側開口とが交互に閉鎖されており、エンジン1の排ガスが内部を流通することによって排ガス中のPMが捕集される。
前段酸化触媒4は排ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化させてNO(二酸化窒素)を生成する。このため、前段酸化触媒4の下流にフィルタ6を配置することにより、フィルタ6に捕集され堆積しているPMは、前段酸化触媒4から供給されたNOと反応して酸化し、これによってフィルタ6の連続再生が行われる。また、前段酸化触媒4で生成されたNO(二酸化窒素)は、NOxのNO比率を増大しNOxの浄化効率の向上に貢献している(最も浄化効率が高くなるNO比率は50%)。
また、SCR用ケーシング18内には、NH(アンモニア)を還元剤として、排ガス中のNOxを選択還元して排ガスを浄化するSCR触媒8が収容されている。
そして、SCR用ケーシング18よりも下流の排ガス通路16には、後段酸化触媒10を収容するための筒状の下流側ケーシング38が設けられている。
後段酸化触媒10は、SCR触媒8を通過したNHを排ガス中から除去する機能を有している。また、後段酸化触媒10は、フィルタ6の強制再生でPMが焼却される際に発生するCO(一酸化炭素)を酸化し、CO(二酸化炭素)として大気中に排出する機能も有している。
また、排ガス浄化装置2は、SCR触媒8と後段酸化触媒10との間の排ガス通路16に設けられ、排ガス中に含まれるNOxの濃度を計測するNOxセンサ46と、SCR触媒8の直上流に設けられ、SCR触媒8に流入する排ガスの温度を検出する温度センサ28と、排ガス通路16のフィルタ6とSCR触媒8との間の部分に尿素水を噴射する噴射装置20と、を備えている。噴射装置20の噴射量及び噴射時期等は、ECU12に備えられている尿素水制御部22にて制御される。
温度センサ28による計測結果は、温度センサ28から尿素水制御部22へ向けて出力される。尿素水制御部22は、温度センサ28による計測結果に基づいて、噴射装置20から尿素水を供給するか否かを決定する。
噴射装置20は、排ガス通路16のフィルタ6とSCR触媒8との間の部分に設けられた尿素水インジェクタ24と、尿素水インジェクタ24に尿素水を供給する尿素水供給用ポンプ25と、尿素水供給用ポンプ25から供給される尿素水の流量を調整する制御弁21と、尿素水供給用ポンプ25から供給される尿素水の流量を計測する尿素水流量計23と、尿素水を貯留する尿素水タンク26と、を備えている。
尿素水制御部22は、温度センサ28の計測結果に基づいて、排ガスの温度が尿素水を加水分解可能な温度以上か否かを判定する。そして、排ガスの温度が加水分解可能な温度以上であると判定した場合に、尿素水供給用ポンプ25を稼働させて尿素水を排ガス中に供給する。このとき、尿素水供給用ポンプ25から供給される尿素水量を制御弁21により制御することにより、NOxを還元するために必要な量の尿素水を供給する。この制御弁21は、尿素水制御部22により制御される。
そして、尿素水流量計23による計測結果は、尿素水流量計23から尿素水制御部22へ向けて出力される。なお、本実施形態では、尿素水供給用ポンプ25から供給される尿素水の流量を計測する尿素水流量計23を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、尿素水の供給量を計測可能なメータリングユニットを備えた尿素水供給用ポンプを用いてもよい。要は、尿素水供給用ポンプから供給される尿素水の流量を計測できる機能を備えていればよい。
尿素水供給用ポンプ25から供給された尿素水は、ミキシングチャンバー29にて圧縮エアと混合され、供給管31を通過後、尿素水インジェクタ24からSCR触媒8よりも上流の排ガス通路16の部分に供給される。
使用すべき正規の尿素水の濃度は、予め定められており、本実施形態では、尿素の飽和状態である32.5%とした。以下、濃度32.5%を規定濃度という。なお、本実施形態では、規定濃度を32.5%としたが、この値に限定されるものではなく、32.5%未満としてもよいが、尿素水の消費量が増加するため、32.5%に近い値であることが望ましい。
次に、SCR触媒8の劣化を判定する判定ユニット13について説明する。
判定ユニット13は、ECU12内に設けられている。そして、判定ユニット13は、NOx量算出部15、消費アンモニア量算出部30及び有効尿素量算出部17を備えている。
NOxセンサ46による計測結果は、NOxセンサ46から判定ユニット13へ向けて出力される。判定ユニット13のNOx量算出部15は、NOxセンサ46により計測されたNOx濃度及びエンジン1から排出される排ガスに含まれる第1NOx量(後述する)に基づいて、SCR触媒8にて浄化された浄化NOx量を算出する。浄化NOx量を算出する算出方法について以下に説明する。
まず、エンジン1から排出される単位時間当たりのNOx量として第1NOx量を決定する。エンジン1から排出されるNOx量は、エンジン1の回転速度や燃料噴射量、即ちエンジン1の運転状態から決定することができる。具体的には、エンジン1の運転状態とNOx量との関係を示すマップ等に基づいて第1NOx量を決定する。エンジン1の運転状態とNOx量との関係が示されたマップ等はECU12内の上記記憶装置に格納されている。
なお、本実施形態では、エンジン1の運転状態から第1NOx量を定める場合について説明したが、この方法に限定されるものではなく、例えば、タービン7aの直上流の排ガス通路16の部分にNOxセンサを設け、当該NOxセンサにより計測された計測値に、単位時間当たりの排ガス流量を乗算して、エンジン1から排出される単位時間当たりの第1NOx量を算出してもよい。
また、NOx量算出部15は、NOxセンサ46により計測された計測値に、単位時間当たりの排ガス流量を乗算して、SCR触媒8を通過した排ガス中に含まれる単位時間当りの第2NOx量を算出する。
第1NOx量及び第2NOx量をそれぞれ、予め設計等により決定された所定の走行距離(例えば、30km)にわたって積算する。走行距離は、ECU12の上記走行距離カウンタにより計測される。第1NOx量及び第2NOx量を所定の走行距離にわたって積算することで、SCR触媒8に貯蔵されるNH量を無視することができる。以下の説明では、所定の走行距離にわたって積算された第1NOx量及び第2NOx量をそれぞれ第1NOx積算量及び第2NOx積算量という。
次に、SCR触媒8にて浄化された所定の走行距離当たりの浄化NOx量を次式(1)より算出する。
浄化NOx量=第1NOx積算量−第2NOx積算量・・・式(1)
この浄化NOx量は、所定の走行距離毎に算出される。
所定の走行距離毎に算出された浄化NOx量は、ECU12の上記記憶装置に格納される。記憶装置には、所定の走行距離を積算した総走行距離情報(例えば、30、60、90・・・(km))が格納されている。そして、総走行距離情報に対応する浄化NOx量(即ち所定の走行距離毎に算出された浄化NOx量)が、各総走行距離情報のそれぞれに紐付けられて記憶装置に格納される。なお、総走行距離情報は、SCR触媒8を再生又は交換する際にリセットされる。
そして、算出された浄化NOx量は、NOx量算出部15から消費アンモニア量算出部30に向けて出力される。
消費アンモニア量算出部30は、NOx量算出部15により算出された浄化NOx量に基づいて、当該浄化NOx量の浄化に必要な消費アンモニア量を算出する。NOx浄化量とNHの関係はNO比率に依存するため、詳細の値を算出することは困難である。このため、NO比率を50%と仮定して簡易的に1モルのNOxは、1モルのNHと反応して浄化されることとする。即ち、NO1モルに対してNH1モルが1当量となるため、浄化NOx量の浄化に必要な消費アンモニア量Nnを、次式(2)により算出する。なお、NOxをNOとして分子量は46g/mol、NHの分子量は17g/molとした。
Nn=(浄化NOx量/46)×17 ・・・式(2)
ここで、Nnは消費アンモニア量(g)であり、浄化NOx量は上記式(1)から算出される値(g)である。また、値46はNOの分子量(g)、値17はNHの分子量(g)である。
そして、算出された消費アンモニア量は、消費アンモニア量算出部30から有効尿素量算出部17へ向けて出力される。
有効尿素量算出部17は、上記式(2)により算出された消費アンモニア量Nnを生成するのに必要な有効尿素量Anを算出するとともに、当該尿素量の発生に必要な必要尿素水量Unを算出する。具体的に1モルの尿素から2モルのNHが生成されるため、消費アンモニア量Nnを発生させるのに必要な有効尿素量Anを、次式(3)により算出する。なお、尿素の分子量を60g/molとした。
An=(Nn/(17×2))×60×β ・・・式(3)
ここで、Anは有効尿素量(g)であり、Nnは上記式(2)から算出される消費アンモニア量(g)である。また、値17はNHの分子量(g)、値2はモル数、値60は尿素の分子量(g)である。さらに、βは、実験等から求められる係数である。係数βの値は予め決定されている。
なお、本実施形態では、上記式(2)から算出した消費アンモニア量Nnに基づいて有効尿素量Anを算出した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば有効尿素量算出部17は、上記式(1)により算出された浄化NOx量を還元するのに必要な有効尿素量を直接、算出してもよい。具体的に1モルの尿素は、2モルのNOと反応して浄化される(即ち、尿素1モルに対してNO2モルが1当量となる)ため、有効尿素量Anを、次式(4)により算出してもよい。
An=(浄化NOx量/(46×2))×60×β ・・・式(4)
ここで、Anは有効尿素量(g)であり、浄化NOx量は上記式(1)から算出される値(g)である。また、値46はNOの分子量(g)、値2はモル数、値60は尿素の分子量(g)である。そして、βは実験等から求められる係数である。
続いて、有効尿素量算出部17は、上記式(3)又は(4)により算出された有効尿素量Anに基づいて、当該有効尿素量Anの発生に必要な規定濃度の必要尿素水量Unを次式(5)により算出する。
Un=An×(1/0.325) ・・・式(5)
ここで、Unは、必要尿素水量(g)であり、値0.325は、尿素水の規定濃度である。
算出された有効尿素量An及び必要尿素水量Unは、有効尿素量算出部17からそれぞれ劣化判定部35(後述する)及び尿素水制御部22に向けて出力される。
尿素水制御部22は、有効尿素量算出部17により算出された必要尿素水量に基づいて噴射装置20の尿素水供給用ポンプ25及び制御弁21を制御し、必要尿素水量の尿素水をフィルタ6とSCR触媒8との間の排ガス通路16内の排ガス中に供給する。
排ガス中に供給された尿素水は霧化し、排ガスの熱により加水分解してNHとなってSCR触媒8に供給される。SCR触媒8は、NHと排ガス中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なNとする。なお、このときNHがNOxと反応せずにSCR触媒8から流出した場合には、このNHが後段酸化触媒10によって排ガス中から除去される。
ところで、尿素水タンク26内の尿素水の濃度が規定濃度よりも低い場合、尿素水と間違って水等が補充されている場合、或いはSCR触媒8が劣化している場合等、SCR触媒8のNOx浄化率が低下してしまう。NOx浄化率が低下するとアンモニアスリップが発生する。アンモニアスリップが発生すると脱硝反応に寄与しないNHがSCR触媒8を通過する。
そこで、排ガス浄化装置2は、SCR触媒8を通過したNHの濃度を常時計測している。具体的に、排ガス浄化装置2は、SCR触媒8と後段酸化触媒10との間の排ガス通路16に設けられ、排ガス中に含まれるNHの濃度を計測するNHセンサ(アンモニアセンサ)11を備えている。
NHセンサ11による計測結果は、NHセンサ11から後述するスリップアンモニア量算出部27へ向けて出力される。
判定ユニット13は、スリップアンモニア量算出部27と、無効尿素量算出部19とを更に備えている。
スリップアンモニア量算出部27は、NHセンサ11により計測されたNH濃度に基づいてSCR触媒8を通過したスリップアンモニア量SAnを、次式(6)により算出する。
SAn=(NH濃度×Egas)/10 ・・・式(6)
ここで、SAnはスリップアンモニア量(g)であり、NH濃度はNHセンサ11により計測された値(ppm)であり、EgasはSCR触媒8と後段酸化触媒10との間の排ガス通路16を通過する排ガスの体積流量を標準状態(10℃、1atm)に換算した排ガス体積流量(L)である。排ガス体積流量は、所定の時間間隔で取得され、スリップアンモニア量算出部27に格納される。
算出したスリップアンモニア量SAnは、スリップアンモニア量算出部27から無効尿素量算出部19に向けて出力される。
無効尿素量算出部19は、スリップアンモニア量算出部27により算出されたスリップアンモニア量SAnの生成に必要な無効尿素量Qnを算出する。具体的に1モルの尿素から2モルのNHが生成されるため、上記式(6)により算出されたスリップアンモニア量SAnを生成するのに必要な無効尿素量Qnを、次式(7)により算出する。
Qn=(SAn/(22.4×2))×60 ・・・式(7)
ここで、Qnは無効尿素量(g)であり、SAnは上記式(6)により算出されたスリップアンモニア量(g)である。また、値22.4は標準状態(10℃、1atom)における1モルの体積(L)、値2はモル数、値60は尿素の分子量(g)である。
なお、本実施形態では、NHセンサ11により計測されたNH濃度から無効尿素量Qnを算出する過程において、式(6)及び式(7)をそれぞれ計算した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、式(6)及び式(7)をまとめた次式(8)にて、無効尿素量Snを算出してもよい。
Qn=(((NH濃度×Egas)/10)/22.4)×(1/2)×60 ・・・式(8)
算出された無効尿素量Qnは、無効尿素量算出部19から後述する劣化判定部35に向けて出力される。
ECU12の判定ユニット13は、劣化判定部35を更に備えている。
劣化判定部35は、無効尿素量算出部19により算出された無効尿素量Qn及び有効尿素量算出部17により算出された有効尿素量Anに基づいて、次式(9)にてSCR触媒8を通過するNHのスリップ率Rsを算出する。
Rs =Qn/(An+Qn) ・・・式(9)
ここで、RsはSCR触媒8を通過するNHのスリップ率である。また、Qnは無効尿素量算出部19より算出された無効尿素量(g)であり、Anは有効尿素量算出部17より算出された有効尿素量(g)である。
算出されたスリップ率Rsは、ECU12の記憶装置に格納されている総走行距離情報に紐付けられて記憶装置に格納される。
次に、劣化判定部35は、算出されたスリップ率Rsに基づいて、総走行距離とスリップ率Rsとの関係を示すマップを作成するとともに、スリップ率Rsが第1閾値以下か否かを判定する。
図3は、総走行距離とスリップ率との関係を示すマップである。図3に示すように、劣化判定部35は、ECU12の記憶装置に格納されている総走行距離情報、及び当該総走行距離情報に紐付けられたスリップ率Rsに基づいてマップを作成する。
そして、スリップ率Rsが第1閾値未満である場合、SCR触媒8が正常であるとして、この判定結果を記憶装置に格納する。判定結果は、対応する総走行距離情報に紐付けられて格納される。また、運転席付近に設置された緑色の正常ランプ36を点灯させて、SCR触媒8が正常であることを表示する。なお、本実施形態では、スリップ率Rsが第1閾値未満のときに正常ランプ36を点灯させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、正常ランプ36を点灯させる等の対策を実施しなくても良い。なお、第1閾値は、NOxの平均浄化率に基づいて設計等により決定される値である。
一方、スリップ率Rsが第1閾値以上である場合、SCR触媒8が劣化していると判定して、この判定結果を記憶装置の対応する総走行距離情報に紐付けて格納するとともに、第1閾値以上であると判定した判定回数Naをカウントする。例えば、スリップ率Rsが第1閾値以上であると最初に判定された場合、判定回数Naは1となる。そして、所定距離を走行した後、再びスリップ率Rsを算出したときに、新たなスリップ率Rsが第1閾値以上であると判定された場合、判定回数Naは2となる。ただし、スリップ率Rsが第1閾値以上であると判定されて、所定距離を走行した後、再びスリップ率Rsを算出したときに、スリップ率Rsが第1閾値未満であると判定された場合、判定回数Naはリセットされて0(ゼロ)となる。
そして、劣化判定部35は、判定回数Naが予め設定された所定回数Nth(例えば、4回)以上になったら、運転席付近に設置された警告ランプ37を点滅又は点灯させて、SCR触媒8が劣化していることを運転手に警告する。
SCR触媒8を再生又は交換した後には、走行距離カウンタは車両の総走行距離を0(ゼロ)にリセットし、新たに総走行距離の計測を開始する。
<SCR触媒8の劣化判定フロー>
次に、上述した構成からなる排ガス浄化装置2を用いたSCR触媒8の劣化判定フローについて図4を用いて説明する。
図4に示すように、まず、第1閾値Rth及び連続して第1閾値以上となった場合に警告ランプ37を点滅又は点灯させる所定回数Nthを設定する。また、判定回数Naを0(ゼロ)に設定する(ステップS2)。
次に、第1NOx量及び第2NOx量の積算を開始するとともに、NH濃度の計測を開始する(ステップS4)。
第1NOx量及び第2NOx量は、NOx量算出部15に向けて出力され、当該NOx量算出部15に格納される。また、NH濃度は、スリップアンモニア量算出部27に向けて出力され、当該スリップアンモニア量算出部27に格納される。
次に、NOx量算出部15は、格納された第1NOx量及び第2NOx量に基づいて、第1NOx積算量及び第2NOx積算量を算出する。続いて、算出した第1NOx積算量及び第2NOx積算量に基づいて、上記式(1)より浄化NOx量を算出する(ステップS6)。
そして、算出された浄化NOx量は、NOx量算出部15から消費アンモニア量算出部30に向けて出力される。
消費アンモニア量算出部30は、NOx量算出部15により算出された浄化NOx量に基づいて上記(2)式より、当該浄化NOx量の浄化に必要な消費アンモニア量を算出する。
そして、算出された消費アンモニア量は、消費アンモニア量算出部30から有効尿素量算出部17にむけて出力される。
有効尿素量算出部17は、消費アンモニア量算出部30により算出された消費アンモニア量に基づいて上記式(3)より、当該消費アンモニア量を生成するのに必要な有効尿素量を算出する(ステップS8)。
そして、算出された有効尿素量は有効尿素量算出部17から劣化判定部35に向けて出力される。
次に、ステップS4でスリップアンモニア量算出部27に格納されたNH濃度に基づいて上記式(6)より、スリップアンモニア量を算出する。
そして、算出されたスリップアンモニア量はスリップアンモニア量算出部27から無効尿素量算出部19に向けて出力される。
無効尿素量算出部19は、スリップアンモニア量算出部27により算出されたスリップアンモニア量に基づいて上記式(7)より、当該スリップアンモニア量を生成するのに必要な無効尿素量を算出する(ステップS10)。
そして、算出された無効尿素量は無効尿素量算出部19から劣化判定部35に向けて出力される。
劣化判定部35は、無効尿素量算出部19により算出された無効尿素量、及び有効尿素量算出部17により算出された有効尿素量に基づいて上記式(9)より、アンモニアのスリップ率Rsを算出する(ステップS12)。
続いて、劣化判定部35は、算出されたスリップ率Rsに基づいて、当該スリップ率Rsが第1閾値以上か否かを判定する(ステップS14)。
劣化判定部35は、スリップ率Rsが第1閾値未満であると判定した場合、運転席付近に設置された正常ランプ36を点灯させて、SCR触媒8が正常であることを表示する(ステップS16)。
続いて、劣化判定部35は、判定回数Naをリセットして0(ゼロ)とし(ステップS18)、再び、ステップS4を実施する。
一方、劣化判定部35は、スリップ率Rsが第1閾値以上であると判定した場合、判定回数Naをカウントする(ステップS20)。具体的には、スリップ率Rsが第1閾値以上であると判定された場合、判定回数Naに1が加算される。例えば、スリップ率Rsが第1閾値以上であると最初に判定された場合、判定回数Naは1となる。また、所定距離を走行した後、再びスリップ率Rsを算出したときに、新たなスリップ率Rsが第1閾値以上であると判定された場合、判定回数Naに1が加算されて2となる。
次に、劣化判定部35は、判定回数Naが所定回数Nth以上か否かを判定する(ステップS22)。
劣化判定部35は、判定回数Naが所定回数Nth以上であると判定した場合、運転席付近に設置された警告ランプ37を点滅又は点灯させて、SCR触媒8が劣化していることを表示する(ステップS24)。
一方、劣化判定部35は、判定回数Naが所定回数Nth未満であると判定した場合、再び、ステップS4を実施する。
なお、本実施形態では、浄化NOx量等を算出(ステップS6)して有効尿素量を算出(ステップS8)し、その後、無効尿素量を算出(ステップS10)する順番で実施する場合について説明したが、この順番に限定されるものではない。例えば、無効尿素量を算出した後、浄化NOx量等を算出して有効尿素量を算出してもよい。また、浄化NOx量等を算出して有効尿素量を算出する工程と並行して無効尿素量を算出してもよい。
<排ガス浄化装置2による効果>
上述したように、本実施形態に係る排ガス浄化装置2によれば、NOx量算出部15と、消費アンモニア量算出部30とを備えているため、実際にSCR触媒8にて消費された消費アンモニア量を算出することができる。さらに、有効尿素量算出部17を備えているため、消費アンモニア量の生成に必要な有効尿素量を算出することができる。
また、NHセンサ11と、スリップアンモニア量算出部27とを備えているため、SCR触媒8をスリップしたスリップアンモニア量を算出することができる。さらに、無効尿素量算出部19を備えているため、スリップアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出することができる。
そして、劣化判定部35にて、有効尿素量と無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する無効尿素量の割合(即ち、消費アンモニア量とスリップアンモニア量とを加算した合計アンモニア量に対するスリップアンモニア量の割合)であるスリップ率を算出するとともに、スリップ率が第1閾値以上の場合にSCR触媒8が劣化していると判定するため、短時間でSCR触媒8の劣化を判定するこができる。
また、排ガス通路16に尿素水を噴射すると、尿素の一部が、SCR触媒8に到達する前に排ガス通路16内に堆積する場合がある。これにより、発生するアンモニア量が減少し、SCR触媒8に到達するアンモニア量が所望量よりも少なくなってしまう場合がある。かかる場合に、有効尿素量の代わりに排ガス通路16内に実際に供給された尿素量を用いてSCR触媒8の劣化判定を実施すると、SCR触媒8の劣化が進行していないにもかかわらず劣化していると判定してしまう場合がある。しかしながら、本発明では、SCR触媒8の劣化の判定に、実際にSCR触媒8で消費された有効尿素量を用いており、排ガス通路16中に実際に供給した尿素量を用いていない。したがって、精度良くSCR触媒8の劣化を判定することができる。
また、SCR触媒8の還元能力は、排ガス流量、排ガス温度、供給される尿素水の濃度等により変動する。このため、スリップ率の値が、所定回数以上連続して第1閾値以上となる場合に、SCR触媒8が劣化していると判定することで、SCR触媒8の劣化を精度良く判定することができる。
また、無効尿素量算出部19は、スリップアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出するため、正確な尿素量を短時間で算出することができる。
そして、NHセンサ11は、SCR触媒8と後段酸化触媒10との間に設けられているため、SCR触媒8をスリップしたスリップアンモニア量を正確に計測することができる。
さらに、NOx量算出部15は、エンジン1の直下流のNOx量からSCR触媒8の直下流のNOx量を減算して算出するため、正確なNOx量を取得することができる。
また、SCR触媒8が劣化していないこと示す正常ランプ36及びSCR触媒8の劣化を示す警告ランプ37を備えているため、運転者は、点検等の作業をすることなく、SCR触媒8の状態を検知することができる。
また、現在のOBDは、NOx値の絶対量に規制を設けており、NOx量が予め設定された値を超えたときに異常である旨を出力する。しかし、OBD自体では異常の原因について特定することができない。そこで、本発明に係る排ガス浄化装置2を用いることで、NOx値の異常の原因の一つであるSCR触媒8の劣化を検知することができる。
なお、本実施形態では、総走行距離を計測して所定の走行距離毎(例えば、30km毎)にスリップ率を算出する場合について説明したが、走行距離に限定されるものではなく、総走行時間を計測して所定の時間毎(例えば、1時間毎)にスリップ率を積算してもよい。かかる場合には、総走行時間は、SCR触媒8を再生又は交換する際に0(ゼロ)にリセットし、新たに総走行時間の計測を開始する。
また、本実施形態では、SCR触媒8と後段酸化触媒10との間にNHセンサ11を配置した場合について説明したが、この位置に限定されるものではない。例えば、後段酸化触媒10よりも下流側に設けてよいし、また、SCR触媒8と後段酸化触媒10とが一体型になっているものを用いる場合には、当該一体型のものの下流側に配置してもよい。要は、NHセンサ11がSCR触媒8よりも下流側に配置されていれば良い。
また、本実施形態では、劣化判定部35にて、有効尿素量Anと無効尿素量Qnとを加算した合計尿素量に対する無効尿素量Qnの割合(即ち、Qn/(An+Qn))であるスリップ率を算出し、当該スリップ率に基づいてSCR触媒8の劣化を判定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、劣化判定部35にて、有効尿素量Anと無効尿素量Qnとを加算した合計尿素量に対する有効尿素量Anの割合(即ち、An/(An+Qn))である尿素消費率を算出し、当該尿素消費率に基づいてSCR触媒8の劣化を判定してもよい。
かかる場合には、劣化判定部35は、図5に示すように、総走行距離と尿素消費率に基づいてマップを作成して、尿素消費率が第2閾値よりも大きい場合、SCR触媒8が正常であると判定する。一方、尿素消費率が第2閾値以下である場合、SCR触媒8が劣化していると判定して、判定回数Naをカウントする。そして、判定回数Naが予め設定された所定回数Nth(例えば、4回)以上になったら、運転席付近に設置された警告ランプ37を点滅又は点灯させて、SCR触媒8が劣化していることを運転手に警告することとしてもよい。なお、第2閾値は、NOxの平均浄化率に基づいて設計等により決定される値である。
内燃機関から排出される排ガス中に含まれるNOxの浄化に適用できる。
1 エンジン
2 排ガス浄化装置
3 燃料噴射弁
4 前段酸化触媒
5 燃焼室
6 フィルタ
7 ターボチャージャ
7a タービン
7b コンプレッサ
8 SCR触媒
9 排気マニホールド
10 後段酸化触媒
11 NHセンサ
12 ECU
13 判定ユニット
14 上流側ケーシング
15 NOx量算出部
16 排ガス通路
17 有効尿素量算出部
18 SCR用ケーシング
19 無効尿素量算出部
20 噴射装置
21 制御弁
22 尿素水制御部
23 尿素水流量計
24 尿素水インジェクタ
25 尿素水供給用ポンプ
26 尿素水タンク
27 スリップアンモニア量算出部
28 温度センサ
29 ミキシングチャンバー
30 消費アンモニア量算出手段
35 劣化判定部
36 正常ランプ
37 警告ランプ
38 下流側ケーシング
46 NOxセンサ

Claims (11)

  1. 内燃機関の排ガス通路に設けられ、排ガスに含まれるNOxを還元する還元触媒と、
    前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出するNOx量算出手段と、
    前記NOx量算出手段により算出されたNOx量の浄化に必要な消費アンモニア量を算出する消費アンモニア量算出手段と、
    前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるスリップアンモニア量を算出するスリップアンモニア量算出手段と、
    前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量及び前記スリップアンモニア量算出手段により算出されたスリップアンモニア量に基づいて、前記還元触媒の劣化を判定する劣化判定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
  2. 前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量の生成に必要な有効尿素量を算出する有効尿素量算出手段と、
    前記スリップアンモニア量算出手段により算出されたスリップアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出する無効尿素量算出手段と、を更に備え、
    前記劣化判定手段は、
    前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量と前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量とを加算した合計尿素量に対する前記無効尿素量又は前記有効尿素量の割合を算出し、当該割合の値に基づいて、前記還元触媒の劣化を判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  3. 前記劣化判定手段は、
    前記合計尿素量に対する前記無効尿素量の割合の値が第1閾値以上の場合に前記還元触媒が劣化していると判定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  4. 前記劣化判定手段は、
    前記合計尿素量に対する前記無効尿素量の割合の値が所定回数以上連続して前記第1閾値以上となる場合に前記還元触媒が劣化していると判定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  5. 前記劣化判定手段は、
    前記合計尿素量に対する前記有効尿素量の割合の値が第2閾値以下の場合に前記還元触媒が劣化していると判定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  6. 前記劣化判定手段は、
    前記合計尿素量に対する前記有効尿素量の割合の値が所定回数以上連続して前記第2閾値以下となる場合に前記還元触媒が劣化していると判定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  7. 前記有効尿素量算出手段は、
    前記消費アンモニア量算出手段により算出された消費アンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記有効尿素量とすることを特徴とする請求項2〜6のうち何れか一項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  8. 前記無効尿素量算出手段は、
    前記スリップアンモニア量算出手段により算出されたスリップアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記無効尿素量とすることを特徴とする請求項2〜6のうち何れか一項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  9. 前記スリップアンモニア量算出手段は、還元触媒よりも下流の前記排ガス通路に設けられて、アンモニアの濃度を計測するアンモニアセンサを有していることを特徴とする請求項1〜8のうち何れか一項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  10. 前記NOx量算出手段は、前記内燃機関の直下流のNOx量から前記還元手段の直下流のNOx量を減算して前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  11. 前記劣化判定手段によって前記還元触媒が劣化していると判定された際に、運転者に対して警報を発する警告手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜6のうち何れか一項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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