JP2013225071A - 配光制御用微小機械システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】略円形のミラー形成部2と、このミラー形成部2がLED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部3と、両者を接続し、ミラー形成部が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部分とが、射出成型により一体的に形成されている。ミラー形成部2には、鏡面形成用のインク塗布層が形成されるとともに、その端面に磁気機能層6が形成されており、この磁気機能層6に対向配置した磁気コイル9を励磁することにより、スプリング部分5を介して、ミラー形成部2を傾動させて、LED素子の発光部からの反射光の向きを変更する。
【選択図】図5
Description
一般的なMEMSの製造方法は、下記特許文献1、2にみられるように、半導体製造設備を使用して、シリコーンやシリカなどのウエハ表面や裏面にリソグラフィ工程で有機物または無機物のパターンを作成し、その表面や裏面に形成されたパターンを保護層としてエッチングすることにより構造体を形成している。これら一連の構造体の形成工程を複数回行った後に、電気的接点あるいは静電アクチュエータとして機能する電極層、圧電層、マイクロコイルなどを磁性層からなる高誘電体層、熱変形層、発光素子層などを形成し、こうしたMEMSを合成樹脂等のフィルム等の表面に組み合わせることにより、様々な機能を有するフレキシブルシートを実現することができる。
また、以前までの半導体プロセスを用いたMEMS製造工程では、光学レンズとMEMSを融合したデバイスの作製は多くの工程を必要とし、半導体工程を採用したレンズの作製では、非球面レンズ等の作製が非常に困難になるという問題が発生していたが、先に提案した微小電気機械システム製造方法、及び金型、フィルムを使用すると、合成樹脂を利用した圧縮成形、射出成形、トランスファー成形などの一般的な樹脂成形により、例えば、光学平面とMEMSデバイスが一体化した光MEMS等多機能のMEMSを成形だけで一括形成することができる。
そのため、これまで製造コストなどで組み入れることができなかったLEDなどの照明の前方にMEMSデバイスを組み合わせることにより、点光源のLEDとMEMSミラーにより照明、自動車のヘッドライト等、さまざまな照明機器への適用が可能になる。
そこで、本発明は、先に提案した微小電気機械システム製造方法を活用して、低コストで大量生産可能で、しかも、LED照明の配光調整機能を飛躍的に高めるための配光制御用微小機械システムを提供することにある。
(1)略円形のミラー形成部と、このミラー形成部がLED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部と、両者を接続し、ミラー形成部が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部分とが、射出成型により一体的に形成されてなり、前記ミラー形成部には、鏡面形成用の機能層が形成されるとともに、その端面に磁気機能層が形成されており、この磁気機能層に対向配置した磁気コイルを励磁することにより、前記スプリング部分を介して、前記ミラー形成部を傾動させて、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにした。
(5)略円形のミラー形成部と、このミラー形成部がLED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部と、両者を接続し、ミラー形成部が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部分とが、射出成型により一体的に形成されてなり、対向配置したには、鏡面形成用の機能層が形成されるとともに、その端面に電極機能層が形成されており、この電磁コイル機能層に磁石を対向配置し、前記電磁コイル機能層に電流を印加することにより、スプリング部分を介して、ミラー形成部を傾動させて、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにした。
[実施例1]
基材は、例えば、熱可塑性樹脂や紫外線硬化型樹脂からなり、熱可塑性樹脂であれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリリアセタール、シクロオレフィンポリマーなどが使用可能であり、図1に示されるように、後述する射出成型時に、塗布された鏡面形成用インク層によりミラー層1が一体的に形成され、LED素子からの発光を反射させる略円形で、表面がフラットなミラー形成部2と、LED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部3と、両者を接続し、ミラー形成部2が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部5とから構成されている。
なお、スプリング部5には、その屈曲度を制御するための歪みを計測するための圧電素子成分を含有するストレインゲージ形成用インク層によりストレインゲージ機能層4が、また、ミラー形成部2の外端には、後述する磁気コイルにより吸着される磁気インク層により、磁気機能層6が射出成型時に一体的に形成されている。
一方、コの字状フレーム8の他の脚部8bには、配光制御用MEMSの磁気機能層6が、その長さ方向にわたって最も近接するよう、磁気コイル9が取り付けられている。
なお、コの字状フレーム8は、脚部8a、8b、ロッド8cとともに、樹脂により一体成型されたものである。
実施例1では、ミラー形成部2の外端に磁気機能層6を形成したが、実施例2では、図3に示すように、磁気機能層6に代えて、ミラー形成部2の外周に、電極インク層により電磁コイル機能層6-1を形成し、ローレンツ力により、永久磁石から発生される磁力線により、ミラー形成部2を吸着・反発させるようにする。なお、その他の構造、形状、材質等は、実施例1と同様である。
実施例2の場合、図4に示すように、電磁コイル機能層6-1に対向するように、永久磁石9-1を対向配置するが、この配置関係は、磁力と電力によるローレンツ力や電磁力と磁力の吸着力・反発力が生じ、ミラーを動作させることができる配置であれば、特に限定させる必要はない。
図2において、磁気コイル9が励磁されると、磁気機能層6が吸引あるいは反発されて、ミラー形成部2が屈曲するため、LED発光素子7からの発光は、反射方向が変化する。
本実施例の配光制御用MEMSの作動の概念図を図5に示す。
本実施例による配光制御用MEMSは、取り付け部3により、LED照明器具におけるLED発光素子7の光軸に対し、略45度傾斜して取り付けられている。
一方、磁気コイル9に磁気機能層6を吸引する方向の電圧が印加されると、磁気機能層6により、ミラー形成部2が図において、時計方向に傾動し、破線の円10-bの領域に照射され、逆方向の電圧が印加されると、図において、反時計方向に傾動し、破線の円10-cの領域に照射されることになる。
まず、磁気コイル9に一定周波数の交流電源を印加することにより、ミラー形成部2をこの周波数で、中立位置を中心に時計方向、反時計方向に揺動させて、照射領域を拡大する場合について説明する。
本実施例の配光制御用MEMSは、各パーツの材質、形状、大きさ、厚み、さらには塗布されたインク層の重量に応じて、最大振れ幅が得られる磁気コイル9に印加する交流電源の周波数が異なる。
本実施例の配光制御用MEMSについても、各パーツの材質、形状、大きさ、厚み、さらには塗布されたインク層の重量に応じて、最大振れ幅が得られる電磁コイル機能層6-1に印加する交流電源の周波数が異なる。
そこで、電磁コイル機能層6-1の駆動回路に、直流を含め周波数を変更できる交流電源を接続し、スプリング部分5に形成されたストレインゲージ機能層4により、ミラー形成部2の屈曲度を計測し、これを電磁コイル機能層6-1の駆動回路にフィードバックすることにより自励発振を行い、最大の傾斜角度を得ることができる。
図8(a)に示すように、最大回転角部分で一瞬ミラー動作が止まり、8図(b)に示すように、回転中心角の場合は、ミラー動作速度が最大値をとる。
照度は、単位時間あたりの発光エネルギーであるため、単位面積あたりの発光強度は、発光強度(I)と単位面積あたりの発光時間(t)で決定される。
そのため、照度を均一化する場合は、回転角中心から最大回転角に変化するにあたり、ミラー走査速度に応じて、発光の強度分布を変化させることによって、均一に発光できるように制御を行っている。
また、永久磁石と電磁コイル機能層6-1を用いた実施例2の場合も同様に、配光制御用MEMSの各パーツの材質、重量、形状、大きさ、厚み、塗布されたインク層等の重量など、電磁コイル機能層6-1の駆動回路に供給する電力に対し、振動特性、屈曲特性が既知のものであれば、ストレインゲージ機能層4を設けることなく、照射領域調整ボタンにより、電磁コイル機能層6-1の駆動回路に供給する電力を特設調整するようにしてもよい。
(a)図10に示されるような金型を用意する。
本実施例では、金型の材質として、ステンレスを使用しているが、シリコン基板、シリコーンカーバイト、グラッシカーボン、ガラスあるいはニッケル、鉄、アルミ、窒化シリコンなどの誘電体などを用いることが可能であり、金型の加工方法として切削加工や半導体加工プロセスを用いて作製することが可能である。
この実施例では、一回の射出成型により、本発明の配光制御用MEMSを6個同時製造できるよう、静止側射出成形金型である金型11aには、ミラー形成部2に対応して50〜500μm、スプリング部分5に対応して50μm、取り付け部3に対応して1mm程度となるよう、配光制御用MEMSの形態に合わせた凹部が形成されている。なお、金型11bは、金型11aと組み合わされる平板の可動側金型である。
また、必要に応じて、離型層と各印刷層との間に中間層を塗布し、結合を強化するようにしてよい。
また、上記の実施例では、基材としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用して射出成形により製造しているが、様々な樹脂を使用することが可能であり、成型方法についても、射出成形に加え、圧縮成形、トランスファー成形などの一般的な樹脂成形を採用することができる。
2 ミラー形成部
3 取り付け部
4 ストレインゲージ機能層
5 スプリング部分
6 磁気機能層
6−1 電磁コイル機能層
7 LED発光素子
8 取り付け用コの字状フレーム樹脂
9 磁気コイル
9−1 永久磁石
10 照射領域
11a 金型
11b 金型11aと組み合わされる押圧板
12 フィルム
Claims (8)
- 略円形のミラー形成部と、このミラー形成部がLED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部と、両者を接続し、ミラー形成部が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部分とが、射出成型により一体的に形成されてなり、
前記ミラー形成部には、鏡面形成用の機能層が形成されるとともに、その端面に磁気機能層が形成されており、この磁気機能層に対向配置した磁気コイルを励磁することにより、前記スプリング部分を介して、前記ミラー形成部を傾動させて、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにしたことを特徴とする配光制御装置。 - 前記磁気機能層に対向するよう磁気コイルを配置し、該磁気コイルに交流電流を印加して、前記磁気機能層を吸着、反発することにより、前記ミラー形成部が平面を維持したまま、中立位置を中心に時計方向、反時計方向に傾動させ、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の配光制御装置。
- 前記取り付け部には、前記ミラー形成部とスプリング部分をまたがるように、ストレインゲージ形成用機能層が形成されており、前記磁気コイルに印加する交流電流の周波数を、前記ストレインゲージ形成用機能層の出力に基づいて、最大振れ幅が得られるようフィードバック制御するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の配光制御装置。
- 前記磁気コイルに印加する交流電流の位相に同期して、前記LED素子の発光部からの発光頻度を調整するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の配光制御装置。
- 略円形のミラー形成部と、このミラー形成部がLED素子の発光部に対向するよう配置するための取り付け部と、両者を接続し、ミラー形成部が平面を維持しながら屈曲可能とするスプリング部分とが、射出成型により一体的に形成されてなり、
対向配置したには、鏡面形成用の機能層が形成されるとともに、その端面に電極機能層が形成されており、この電磁コイル機能層に磁石を対向配置し、前記電磁コイル機能層に電流を印加することにより、スプリング部分を介して、ミラー形成部を傾動させて、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにしたことを特徴とする配光制御装置。 - 前記電磁コイル機能層に交流電流を印加して、前記磁石による磁界と前記電極コイル層の電力間に発生する力により吸着、反発することにより、前記ミラー形成部が平面を維持したまま、中立位置を中心に時計方向、反時計方向に傾動させ、前記LED素子の発光部からの反射光の向きを変更できるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の配光制御装置。
- 前記取り付け部には、前記ミラー形成部とスプリング部分をまたがるように、ストレインゲージ形成用機能層が形成されており、前記電磁コイル機能層に印加する交流電流の周波数を、前記ストレインゲージ形成用機能層の出力に基づいて、最大振れ幅が得られるようフィードバック制御するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の配光制御装置。
- 前記電磁コイル機能層に印加する交流電流の位相に同期して、前記LED素子の発光部からの発光頻度を調整するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の配光制御装置。
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